説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】ウェハ面内の再配線層の厚みのばらつきを低減し、所望の電気的特性を得ることのできる多層再配線構造を有するWCSP型の半導体装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】第1の再配線層を形成する工程において、第1の導電材料をめっき法により成長させて第1の再配線層より厚い第1の導電材料層を形成し、第1のレジスト膜及び第1の導電材料層を主面側から研磨して表面を平坦化して、第1の再配線層を形成する処理、及び、第2の再配線層を形成する工程において、第2の導電材料をめっき法により成長させて第2の再配線層より厚い第2の導電材料層を形成し、第2のレジスト膜及び第2の導電材料層を主面側から研磨して表面を平坦化して、第2の再配線層を形成する処理の少なくとも一方の処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に係り、特に、特に、多層再配線構造を有するWCSP型の半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体集積回路などの半導体チップをパッケージングした集積回路パッケージでは、小型化及び薄型化に対する要求が高まっている。近年、特に薄型化を要求される分野の集積回路パッケージを中心に、半導体チップの表面にバンプと呼ばれる球状の外部接続端子を格子状に配置したCSP(チップ・サイズ・パッケージ)の開発が進められている。また、ウェハプロセスにより、半導体ウェハに複数個形成された半導体装置を含む構造体に対して、個片化工程を行うことにより得られるCSPは、WCSP(ウェハレベル・チップ・サイズ・パッケージ)と称されている。
【0003】
近年、WCSPにおいても、高集積化のために多層再配線構造が導入されている。この多層再配線構造のWCSPにあっては、さらなる高集積化のために、各層に対応するビア部が電極パッド上に重なって形成される「スタックド構造」が提案されている(特許文献1)。いわゆるスタックドビアである。例えば、特許文献1の図2には、半導体ウェハ2上に、信号電極パッド4aに接続されるように第1絶縁パターン層を介して第1金属層(再配線層)が形成され、さらにその上に第2絶縁層を介して第2金属層(再配線層)が形成された構造のWCSPが図示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−252310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の多層再配線構造のWCSPでは、ウェハ面内で再配線層の厚みがばらつき、Q値(Quality Factor)等で表される電気的特性にばらつきを生じる、という問題があった。特に、スタックド構造のWCSPでは、電気的特性のばらつきは顕著である。例えば、特許文献1の図2に示す構造では、信号電極パッド4a部分の開口部付近の段差等によって、その上に形成される第1金属層(再配線層)の厚みが局所ごとにばらつく。また、第1金属層の上に形成される第2絶縁層の厚みもばらつき、第2絶縁層を介して形成される第2金属層(再配線層)の厚みもばらつく。これらの結果として、WCSP全体として、再配線層の厚みがばらついてしまう。
【0006】
従来は、再配線層を「めっき法」で成長させる工程において、電流密度、めっき流速などの各種パラメータを制御することで、再配線層の厚みのばらつきを抑制していた。しかしながら、近時、Q値等、電気的特性向上への要求が高まっており、再配線層の厚みのばらつきを更に低減する必要がある。従来のパラメータ制御による対応だけでは、ばらつきを所望の範囲に収めることが困難になってきている。
【0007】
本発明は、上記問題を解決すべく成されたものであり、本発明の目的は、ウェハ面内の再配線層の厚みのばらつきを低減し、所望の電気的特性を得ることのできる多層再配線構造を有するWCSP型の半導体装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、主面側に電極パッドが形成された半導体基板を準備する工程と、前記電極パッド及び前記半導体基板の主面を覆うように、絶縁材料からなる第1の絶縁層を形成する工程と、前記電極パッドの一部を露出するように、前記第1の絶縁層に第1の開口部を形成する工程と、前記電極パッド及び前記第1の絶縁層を覆うように、第1の導電材料を含む第1の導電層を形成する工程と、前記第1の導電層上に、第1の再配線層が形成される領域を除いて第1のレジスト膜を形成する工程と、前記第1の導電層上に、前記第1の導電層に含まれる前記第1の導電材料をめっき法により成長させ、前記第1のレジスト膜を除去して、前記第1の導電材料からなる第1の再配線層を形成する工程と、前記第1の再配線層及び前記第1の絶縁層を覆うように、絶縁材料からなる第2の絶縁層を形成する工程と、前記第1の再配線層の一部を露出するように、前記第2の絶縁層に第2の開口部を形成する工程と、前記第1の再配線層及び前記第2の絶縁層を覆うように、第2の導電材料を含む第2の導電層を形成する工程と、前記第2の導電層上に、第2の再配線層が形成される領域を除いて第2のレジスト膜を形成する工程と、前記第2の導電層上に、前記第2の導電層に含まれる前記第2の導電材料をめっき法により成長させ、前記第2のレジスト膜を除去して、前記第2の導電材料からなる第2の再配線層を形成する工程と、を含み、
前記第1の再配線層を形成する工程において、前記第1の導電材料をめっき法により成長させて前記第1の導電材料層を形成し、前記第1のレジスト膜及び前記第1の導電材料層を主面側から研磨して表面を平坦化して、前記第1の再配線層を形成する処理、及び、前記第2の再配線層を形成する工程において、前記第2の導電材料をめっき法により成長させて前記第2の導電材料層を形成し、前記第2のレジスト膜及び前記第2の導電材料層を主面側から研磨して表面を平坦化して、前記第2の再配線層を形成する処理、の少なくとも一方の処理を行う半導体装置の製造方法である。
【0009】
請求項2の発明は、前記電極パッド上に形成された第1の再配線層のビア部に、前記第1の再配線層上に形成された第2の再配線層のビア部が積層方向に重なり合い、スタックド構造を形成するように、前記第1の開口部及び前記第2の開口部が形成された請求項1に記載の半導体装置の製造方法である。
【0010】
請求項3の発明は、前記第1の導電材料層及び前記第2の導電材料層の少なくとも一方を主面側から研磨すると共に、前記第1の絶縁層及び前記第2の絶縁層の少なくとも一方を主面側から研磨して表面を平坦化した請求項1又は請求項2に記載の半導体装置の製造方法である。
【0011】
請求項4の発明は、前記研磨がグラインダーで行われる請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法である。
【0012】
請求項5の発明は、前記第1の再配線層を形成する工程において、前記第1のレジスト膜及び前記第1の導電材料層を主面側から研磨して表面を平坦化する場合には、表面を平坦化した後に、前記第1のレジスト膜を除去して、前記第1の再配線層を形成する処理を行い、前記第2の再配線層を形成する工程において、前記第2のレジスト膜及び前記第2の導電材料層を主面側から研磨して表面を平坦化する場合には、表面を平坦化した後に、前記第2のレジスト膜を除去して、前記第2の再配線層を形成する処理を行う、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法である。
【0013】
請求項6の発明は、前記研磨が前記半導体基板の主面の全面に亘って行われる請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法である。
【0014】
請求項7の発明は、前記第1の再配線層を形成する工程において、前記第1のレジスト膜及び前記第1の導電材料層を主面側から研磨して表面を平坦化する場合には、前記第1のレジスト膜の高さを超えないように前記第1の導電材料をめっき法により成長させて前記第1の導電材料層を形成し、前記第1の導電材料層を研磨した後に、前記第1のレジスト膜を除去して、前記第1の再配線層を形成する処理を行い、前記第2の再配線層を形成する工程において、前記第2のレジスト膜及び前記第2の導電材料層を主面側から研磨して表面を平坦化する場合には、前記第2のレジスト膜の高さを超えないように前記第2の導電材料をめっき法により成長させて前記第2の導電材料層を形成し、前記第2の導電材料層を研磨した後に、前記第2のレジスト膜を除去して、前記第2の再配線層を形成する処理を行う、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法である。
【0015】
請求項8の発明は、主面側に、第1の再配線層、及び前記第1の再配線層の一部を露出する第1の開口部を備えた第1の絶縁層が形成された半導体基板を準備する工程と、前記第1の再配線層及び前記第1の絶縁層を覆うように、第1の導電材料を含む第1の導電層を形成する工程と、前記第1の導電層上に、第2の再配線層が形成される領域を除いて第1のレジスト膜を形成する工程と、前記第1の導電層上に、前記第1の導電層に含まれる前記第1の導電材料をめっき法により成長させ、前記第1のレジスト膜を除去して、前記第1の導電材料からなる第2の再配線層を形成する工程と、前記第2の再配線層及び前記第1の絶縁層を覆うように、絶縁材料からなる第2の絶縁層を形成する工程と、前記第2の再配線層の一部を露出するように、前記第2の絶縁層に第2の開口部を形成する工程と、前記第2の再配線層及び前記第2の絶縁層を覆うように、第2の導電材料を含む第2の導電層を形成する工程と、前記第2の導電層上に、第3の再配線層が形成される領域を除いて第2のレジスト膜を形成する工程と、前記第2の導電層上に、前記第2の導電層に含まれる前記第2の導電材料をめっき法により成長させ、前記第2のレジスト膜を除去して、前記第2の導電材料からなる第3の再配線層を形成する工程と、を含み、
前記第2の再配線層を形成する工程において、前記第1の導電材料をめっき法により成長させて前記第1の導電材料層を形成し、前記第1のレジスト膜及び前記第1の導電材料層を主面側から研磨して表面を平坦化して、前記第2の再配線層を形成する処理、及び、前記第3の再配線層を形成する工程において、前記第2の導電材料をめっき法により成長させて前記第2の導電材料層を形成し、前記第2のレジスト膜及び前記第2の導電材料層を主面側から研磨して表面を平坦化して、前記第3の再配線層を形成する処理、の少なくとも一方の処理を行う半導体装置の製造方法である。
【0016】
請求項9の発明は、主面側に電極パッドが形成された半導体基板と、前記電極パッド及び前記半導体基板上に形成され、前記電極パッドを露出する第1の開口部を備えた第1の絶縁層と、前記電極パッド及び前記第1の絶縁層上に形成され、第1の導電層を介して前記電極パッドと電気的に接続された第1の再配線層と、前記第1の絶縁層及び前記第1の再配線層上に形成され、前記第1の再配線層を露出する第2の開口部を備えた第2の絶縁層と、前記第1の再配線層及び前記第2の絶縁層上に形成され、第2の導電層を介して前記第1の再配線層と電気的に接続された第2の再配線層と、を備え、前記第1の再配線層及び前記第2の再配線層の少なくとも一方が、主面側から研磨されて表面が平坦化された半導体装置である。
【0017】
請求項10の発明は、前記電極パッド上に形成された第1の再配線層のビア部と、前記第1の再配線層上に形成された第2の再配線層のビア部と、が積層方向に重なり合うスタックド構造を有する請求項9に記載の半導体装置である。
【0018】
請求項11の発明は、主面側に第1の再配線層及び前記第1の再配線層の一部を露出する第1の開口部を備えた第1の絶縁層が形成された半導体基板と、前記第1の再配線層及び前記第1の絶縁層上に形成され、前記第1の再配線層を露出する第2の開口部を備えた第2の絶縁層と、前記第1の再配線層及び前記第1の絶縁層上に形成され、第1の導電層を介して前記第1の再配線層と電気的に接続された第2の再配線層と、前記第2の絶縁層及び前記第2の再配線層上に形成され、前記第2の再配線層を露出する第2の開口部を備えた第3の絶縁層と、前記第2の再配線層及び前記第3の絶縁層上に形成され、第2の導電層を介して前記第2の再配線層と電気的に接続された第3の再配線層と、を備え、前記第1の再配線層、前記第2の再配線層及び前記第3の再配線層の少なくとも1層が、主面側から研磨されて表面が平坦化された半導体装置である。
【発明の効果】
【0019】
各請求項に係る発明によれば、以下の効果がある。
【0020】
請求項1に係る発明によれば、ウェハ面内の再配線層の厚みのばらつきが低減され、所望の電気的特性を得ることのできる多層再配線構造を有するWCSP型の半導体装置の製造方法が提供される、という効果がある。
【0021】
請求項2に係る発明によれば、下地パターンの影響が大きいスタックド構造を有する半導体装置では、スタックド構造を有さない半導体装置に比べて、再配線層を平坦化した効果がより顕著に現れる、という効果がある。
【0022】
請求項3に係る発明によれば、下地パターンが平坦化されて、WCSP型の半導体装置全体として見れば、ウェハ面内の再配線層の厚みのばらつきがさらに低減される、という効果がある。
【0023】
請求項4に係る発明によれば、WCSPの製造工程に対し研磨工程の導入が容易である、という効果がある。
【0024】
請求項5に係る発明によれば、研磨工程においてレジスト膜が保護膜としての役割を果す、という効果がある。
【0025】
請求項6に係る発明によれば、ウェハ全体において、ウェハ面内の再配線層の厚みのばらつきが低減される、という効果がある。
【0026】
請求項7に係る発明によれば、研磨工程において研磨機の引っ掛かり等の不具合を低減できる、という効果がある。
【0027】
請求項8に係る発明によれば、何層に亘る多層再配線構造であっても、ウェハ面内の再配線層の厚みのばらつきが低減され、所望の電気的特性を得ることのできる多層再配線構造を有するWCSP型の半導体装置の製造方法が提供される、という効果がある。
【0028】
請求項9に係る発明によれば、ウェハ面内の再配線層の厚みのばらつきが低減され、所望の電気的特性を得ることのできる多層再配線構造を有するWCSP型の半導体装置が提供される、という効果がある。
【0029】
請求項10に係る発明によれば、下地パターンの影響が大きいスタックド構造を有する半導体装置では、スタックド構造を有さない半導体装置に比べて、再配線層を平坦化した効果がより顕著に現れる、という効果がある。即ち、ウェハ面内の再配線層の厚みのばらつきがさらに低減され、所望の電気的特性を得ることができる。
【0030】
請求項11に係る発明によれば、下地パターンが平坦化されて、WCSP型の半導体装置全体として見れば、ウェハ面内の再配線層の厚みのばらつきがさらに低減される、という効果がある。
【0031】
請求項12に係る発明によれば、何層に亘る多層再配線構造であっても、ウェハ面内の再配線層の厚みのばらつきが低減され、所望の電気的特性を得ることのできる多層再配線構造を有するWCSP型の半導体装置が提供される、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の積層構造の一例を示す部分断面図である。
【図2】第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を表す部分断面図である。
【図3】第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を表す部分断面図である。
【図4】第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を表す部分断面図である。
【図5】第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を表す部分断面図である。
【図6】第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を表す部分断面図である。
【図7】第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を表す部分断面図である。
【図8】第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を表す部分断面図である。
【図9】第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を表す部分断面図である。
【図10】第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を表す部分断面図である。
【図11】第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を表す部分断面図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の積層構造の一例を示す部分断面図である。
【図13】第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を表す部分断面図である。
【図14】第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を表す部分断面図である。
【図15】第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を表す部分断面図である。
【図16】第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を表す部分断面図である。
【図17】第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を表す部分断面図である。
【図18】第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を表す部分断面図である。
【図19】第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を表す部分断面図である。
【図20】第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を表す部分断面図である。
【図21】本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置の積層構造の一例を示す部分断面
【図22】第3の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を表す部分断面図である。
【図23】第3の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を表す部分断面図である。
【図24】第3の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を表す部分断面図である。
【図25】第3の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を表す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
【0034】
<第1の実施の形態>
図1は本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の積層構造の一例を示す部分断面図である。第1の実施の形態に係る半導体装置100は、多層再配線構造のWCSPであり、半導体ウェハ10、電極パッド12、パッシベーション膜14、第1の絶縁層16、第1の開口部16a、第1のアンダバンプメタル(UBM)層18、第1の再配線層20、第2の絶縁層22、第2の開口部22a、第2のUBM層24、第2の再配線層26、及びポスト電極28を備えている。
【0035】
この半導体装置100では、第1の再配線層20の表面が平坦化されて、全体として再配線層の厚みのばらつきが低減されている。また、第1の再配線層20及び第2の再配線層26のビア部の各々が、電極パッド12上に重なるスタックド構造30が形成されている。なお、図示はしていないが、半導体装置100の表面は、ポスト電極28の端部を除いて保護膜で覆われている。保護膜から露出したポスト電極28の端部には、半田ボール等の外部接続端子が接続されている。
【0036】
以下、製造工程に従って第1の実施の形態に係る半導体装置100の構造を説明する。図2〜図10は第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を表す部分断面図である。WCSPは、ウェハプロセスにより、半導体ウェハに複数個形成された半導体装置を含む構造体に対して、個片化工程を行うことにより得られるCSPであるが、ここでは電極パッド1個分の部分構造(1個の半導体装置)を図示して説明する。
【0037】
(第1の絶縁層の形成工程)
図2は第1の絶縁層16の形成工程を表す部分断面図である。まず、図2に示すように、半導体ウェハ10の表面(主面側)に、電極パッド12が形成される。また、半導体ウェハ10及び電極パッド12上に、電極パッド12の一部が露出するように、パッシベーション膜14が形成される。次に、半導体ウェハ10の表面に、PBO(ポリベンゾオキサゾール)等の感光性樹脂により第1の絶縁層16が形成される。第1の絶縁層16を露光現像処理することによって、電極パッド12の一部を露出させるための第1の開口部16aが形成される。
【0038】
(第1の再配線層の形成工程)
図2に示すように、第1の絶縁層16を形成した後、第1の絶縁層16上に、表面の凹凸に沿って第1のUBM層18が略一定の厚さで薄膜形成される。第1のUBM層18には、第1の再配線層20を形成する第1の導電性材料が含まれる。UBM層はシード層とも称され、上層に形成される再配線層のめっき成長を促進する金属薄膜層である。例えば、導電性材料がCuである銅再配線の場合には、スパッタリングによりTi(チタン)/Cu(銅)が順次堆積されたUBM層が形成される。
【0039】
UBM層の最上層には、再配線層と同じ導電性材料が用いられる。UBM層の他の層には、再配線層の導電性材料に応じて、例えば、Ti、W(タングステン)、Au(金)、Pd(パラジウム)、Ni(ニッケル)、又はTiW(チタン・タングステン)等の合金が用いられる。銅めっきの場合は、硫酸銅やスルホン酸銅等を用いて、めっき成長を行うことができる。
【0040】
次に、第1のUBM層18上に、フォトレジスト材料によりレジスト膜32が形成される。図3に示すように、フォトリソグラフィによってレジスト膜32が所望の再配線パターンにパターニングされる。即ち、第1の再配線層20が形成される領域では、レジスト膜32が除去されて、第1のUBM層18の表面が露出する。
【0041】
次に、図4に示すように、露出した第1のUBM層18の表面から第1の導電性材料をメッキにより成長させて、第1の導電性材料層20Aを形成する。第1の導電性材料層20Aは、予め規定した第1の再配線層20の厚さより厚く形成される。例えば、第1の導電性材料層20Aを最も低い部分まで研磨したときに、第1の再配線層20が予め規定した厚さ(例えば、8μm程度の厚さ)になるように形成する。
【0042】
次に、図5に示すように、半導体ウェハ10を主面側からグラインダーで研磨する平坦化処理により、レジスト膜32及び第1の導電性材料層20Aが形成された表面が平坦化されて、第1の再配線層20が形成される。グラインダーによる研磨は、半導体ウェハ10の主面全面に亘って行われる。ここで、レジスト膜32は、下地パターン(レジスト膜32より下層に形成された構造)に対する保護膜の役割を果す。また、レジスト膜32が在ることで、グラインダーの刃が第1の再配線層20に引っ掛かり難くなり、製造信頼性が向上する。第1の導電性材料層20Aをレジスト膜32の高さを超えないように形成することで、更に、グラインダーの刃が第1の再配線層20に引っ掛かり難くなる。また、レジスト膜32は、削り取られた異物が、構造内に入り込むのを防止する。
【0043】
次に、図6に示すように、残りのレジスト膜32が除去され、続いて第1の再配線層20が積層されていない部分の第1のUBM層18が除去される。例えば、Ti/CuからなるUBM層の場合は、めっき成長しなかったCu層がエッチングにより除去された後に、Ti層がエッチングにより除去される。第1のUBM層18が除去された部分では、第1の絶縁層16の表面が露出する。これにより、電極パッド12とコンタクトする第1の再配線層20が完成する。
【0044】
上記の平坦化処理により、第1の再配線層20の表面20aと半導体ウェハ10の表面との距離は一定となる。また、第1の再配線層20の第1の開口部16a内に形成された部分は、第1の再配線層20の他の部分より厚くなる。本実施の形態では、この部分が第1の再配線層20のビア部に相当する。
【0045】
(第2の絶縁層の形成工程)
図7は第2の絶縁層22の形成工程を表す部分断面図である。図7に示すように、第1の再配線層20が形成された半導体ウェハ10の主面に、PBO等の感光性樹脂により第2の絶縁層22が形成される。第2の絶縁層22を露光現像処理することによって、第1の再配線層20の一部を露出させるための第2の開口部22aが形成される。第2の開口部22aの径は、第1の開口部16aの径より大きく、第1の開口部16aに対向する部分の第2の絶縁層22は除去されている。
【0046】
(第2の再配線層の形成工程)
第2の絶縁層22を形成した後、第2の絶縁層22上に、表面の凹凸に沿って第2のUBM層24が略一定の厚さで薄膜形成される。第2のUBM層24には、第2の再配線層26を形成する第2の導電性材料が含まれる。例えば、銅再配線の場合には、Ti/CuからなるUBM層が形成される。次に、第2のUBM層24上に、フォトレジスト材料によりレジスト膜34が形成される。図8に示すように、フォトリソグラフィによってレジスト膜34が所望の再配線パターンにパターニングされる。即ち、第2の再配線層26が形成される領域では、レジスト膜34が除去されて、第2のUBM層24の表面が露出する。
【0047】
次に、図9に示すように、露出した第2のUBM層24の表面から第2の導電性材料をメッキにより成長させて、第2の再配線層26が形成される。次に、図10に示すように、残りのレジスト膜34が除去される。これにより、第1の再配線層20とコンタクトする第2の再配線層26が完成する。第2の再配線層26は、表面の凹凸に沿って略一定の厚さで形成され、第2の開口部22aが形成された部分で落ち込んだ構造となっている。本実施の形態では、この部分が第2の再配線層26のビア部に相当する。第2の再配線層26のビア部は、第1の再配線層20のビア部に重ねられて、スタックド構造を構成する。
【0048】
第2の再配線層26は、第1の再配線層20と略同じ厚さ(例えば、8μm程度の厚さ)で形成される。本実施の形態に係る半導体装置100は、第1の再配線層20及び第2の再配線層26の2層の再配線層を有している。第1の再配線層20が平坦化されたことにより、ウェハ面内の再配線層の厚みのばらつきが±10%以内に低減される。再配線層の平坦化処理を行わない場合には、ウェハ面内の再配線層の厚みのばらつきは±30%を超える。例えば、厚さ8μmの再配線層を作製しようとすると、5.6μm〜10.4μmの範囲で厚みがばらついていた。これに対し、平坦化処理により再配線層の厚みのばらつきは顕著に低減され、7.2μm〜8.8μmの範囲に落ち着くのである。これにより、Q値に代表される半導体装置の電気的特性が向上する。
【0049】
(ポスト電極の形成工程)
次に、図11に示すように、第2の再配線層26が形成された半導体ウェハ10の主面に、ドライフィルムレジストDF36を貼り付ける。ドライフィルムレジストDF36は、フォトリソグラフィによって所望のパターンにパターニングされる。即ち、ポスト電極28が形成される領域では、ドライフィルムレジストDF36が除去されて、第2の再配線層26の表面が露出する。図1に示すように、次に、露出した第2の再配線層26の表面から第2の導電性材料をメッキにより成長させて、ポスト電極28が形成される。
【0050】
最後に、残りのレジスト膜36が除去され、続いて第2の再配線層26が積層されていない部分の第2のUBM層24が除去される。上述した通り、例えば、Ti/CuからなるUBM層の場合は、Cu層がエッチングにより除去された後に、Ti層がエッチングにより除去される。第2のUBM層24が除去された部分では、第2の絶縁層22の表面が露出する。これにより、第1の実施の形態に係る半導体装置100が完成する。
【0051】
なお、半導体装置100の表面を保護膜で覆い、ポスト電極28の端部に外部接続端子を接続する場合には、更に以下の工程を行う。即ち、ポスト電極28を形成した後に、ポスト電極28が形成された半導体ウェハ10の主面を、樹脂モールド等により保護膜で覆う。その後、保護膜を切削加工して、ポスト電極28の表面を露出させる。ポスト電極28の表面に半田ボール等の外部接続端子を接続して、多層再配線構造のWCSPを得る。また、更に何層かの再配線層を有する積層構造の場合には、第1の再配線層20又は第2の再配線層26と同様にして、多層再配線を順次形成した後に、ポスト電極28を形成する。他の再配線層について平坦化処理を実施することもできる。
【0052】
以上説明した通り、第1の実施の形態では、平坦化処理により表面が平坦化された第1の再配線層が形成されるので、ウェハ面内の再配線層の厚みのばらつきが低減され、Q値に代表される半導体装置の電気的特性が向上する。特に、下層の凹凸(下地パターン)の影響が大きいスタックド構造において、再配線層の中で最も下側に形成される第1の再配線層の厚みの変動が小さくなるので、電気的特性への影響を低減できる。
【0053】
<第2の実施の形態>
図12は本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の積層構造の一例を示す部分断面図である。第2の実施の形態に係る半導体装置102は、第1の実施の形態に係る半導体装置100と同様に(図1参照)、半導体ウェハ10、電極パッド12、パッシベーション膜14、第1の絶縁層16、第1の開口部16a、第1のUBM層18、第1の再配線層20、第2の絶縁層22、第2の開口部22a、第2のUBM層24、第2の再配線層26、及びポスト電極28を備えている。
【0054】
この半導体装置102では、第2の再配線層26の表面が平坦化されて、全体として再配線層の厚みのばらつきが低減されている。また、第1の再配線層20及び第2の再配線層26のビア部の各々が、電極パッド12上に重なるスタックド構造30が形成されている。なお、保護膜及び外部接続端子を備える点は、第1の実施の形態に係る半導体装置100と同様である。
【0055】
以下、製造工程に従って第2の実施の形態に係る半導体装置102の構造を説明する。図13〜図20は第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を表す部分断面図である。各々、電極パッド1個分の部分構造を図示している。
【0056】
(第1の絶縁層の形成工程)
第1の絶縁層16の形成工程(図2及び図3を参照)は、第1の実施の形態に係る半導体装置100と同様であるため、同じ符号を付して説明を省略する。
【0057】
(第1の再配線層の形成工程)
図3に示すように、第1の絶縁層16上には、表面の凹凸に沿って第1のUBM層18が略一定の厚さで薄膜形成されている。第1のUBM層18上には、所望の再配線パターンにパターニングされたレジスト膜32が形成されている。第1の再配線層20が形成される領域では、レジスト膜32が除去されて、第1のUBM層18の表面が露出している。
【0058】
次に、図13に示すように、露出した第1のUBM層18の表面から第1の導電性材料をメッキにより成長させて、第1の再配線層20が形成される。次に、図14に示すように、残りのレジスト膜32が除去され、続いて第1の再配線層20が積層されていない部分の第1のUBM層18が除去される。第1のUBM層18が除去された部分では、第1の絶縁層16の表面が露出する。これにより、電極パッド12とコンタクトする第1の再配線層20が完成する。
【0059】
第1の再配線層20は、表面の凹凸に沿って略一定の厚さで形成され、第1の開口部16aが形成された部分で落ち込んだ構造となっている。本実施の形態では、この部分が第1の再配線層20のビア部に相当する。
【0060】
(第2の絶縁層の形成工程)
図15は第2の絶縁層22の形成工程を表す部分断面図である。図15に示すように、第1の再配線層20が形成された半導体ウェハ10の主面に、PBO等の感光性樹脂により第2の絶縁層22が形成される。第2の絶縁層22を露光現像処理することによって、第1の再配線層20の一部を露出させるための第2の開口部22aが形成される。第2の開口部22aの径は、第1の開口部16aの径より大きく、第1の開口部16aに対向する部分の第2の絶縁層22は除去されている。
【0061】
(第2の再配線層の形成工程)
第2の絶縁層22を形成した後、第2の絶縁層22上に、第2のUBM層24が薄膜形成される。第2のUBM層24は、表面の凹凸に沿って略一定の厚さで形成され、第1の再配線層20のビア部で落ち込んだ構造となっている。次に、第2のUBM層24上に、フォトレジスト材料によりレジスト膜34が形成される。図16に示すように、フォトリソグラフィによってレジスト膜34が所望の再配線パターンにパターニングされる。即ち、第2の再配線層26が形成される領域では、レジスト膜34が除去されて、第2のUBM層24の表面が露出する。
【0062】
次に、図17に示すように、露出した第2のUBM層24の表面から第2の導電性材料をメッキにより成長させて、第2の導電性材料層26Aを形成する。第2の導電性材料層26Aは、予め規定した第2の再配線層26の厚さより厚く形成される。例えば、第2の導電性材料層26Aを最も低い部分まで研磨したときに、第2の再配線層26が予め規定した厚さになるように形成する。第2の導電性材料層26Aは、レジスト膜34の高さを超えないように形成することが好ましい。
【0063】
次に、図18に示すように、半導体ウェハ10を主面側からグラインダーで研磨する平坦化処理により、レジスト膜34及び第2の導電性材料層26Aが形成された表面が平坦化されて、第2の再配線層26が形成される。グラインダーによる研磨は、半導体ウェハ10の主面全面に亘って行われる。ここでも、レジスト膜34は、下地パターンに対する保護膜の役割を果す。
【0064】
次に、図19に示すように、残りのレジスト膜34が除去される。これにより、第1の再配線層20とコンタクトする第2の再配線層26が完成する。上記の平坦化処理により、第2の再配線層26の表面26aと半導体ウェハ10の表面との距離は一定となる。また、第2の再配線層26の第2の開口部22a内に形成された部分は、第2の再配線層26の他の部分より厚くなる。特に、第1の再配線層20のビア部に対応する部分は、第2の再配線層26の他の部分より厚くなる。本実施の形態では、この部分が第2の再配線層26のビア部に相当する。第2の再配線層26のビア部は、第1の再配線層20のビア部に重ねられて、スタックド構造を構成する。
【0065】
本実施の形態に係る半導体装置102は、第1の再配線層20及び第2の再配線層26の2層の再配線層を有している。第2の再配線層26が平坦化されたことにより、ウェハ面内の再配線層の厚みのばらつきが±10%以内に低減される。これにより、Q値に代表される半導体装置の電気的特性が向上する。
【0066】
(ポスト電極の形成工程)
次に、図20に示すように、第2の再配線層26が形成された半導体ウェハ10の主面に、ドライフィルムレジストDF36を貼り付け、所望のパターンにパターニングする。即ち、ポスト電極28が形成される領域では、ドライフィルムレジストDF36が除去されて、第2の再配線層26の表面が露出する。図12に示すように、次に、露出した第2の再配線層26の表面から第2の導電性材料をメッキにより成長させて、ポスト電極28が形成される。
【0067】
最後に、残りのレジスト膜36が除去され、続いて第2の再配線層26が積層されていない部分の第2のUBM層24が除去される。第2のUBM層24が除去された部分では、第2の絶縁層22の表面が露出する。これにより、第2の実施の形態に係る半導体装置102が完成する。
【0068】
以上説明した通り、第2の実施の形態では、平坦化処理により表面が平坦化された第2の再配線層が形成されるので、ウェハ面内の再配線層の厚みのばらつきが低減され、Q値に代表される半導体装置の電気的特性が向上する。特に、再配線層の中で最も上側に形成される第2の再配線層の厚みの変動が小さくなるので、装置全体として見た場合には、第1の再配線層を平坦化した第1の実施の形態と比べて再配線層の厚みのばらつきが低減され、電気的特性がより向上する。
【0069】
<第3の実施の形態>
図21は本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置の積層構造の一例を示す部分断面図である。第3の実施の形態に係る半導体装置104は、第1の実施の形態に係る半導体装置100と同様に(図1参照)、半導体ウェハ10、電極パッド12、パッシベーション膜14、第1の絶縁層16、第1の開口部16a、第1のUBM層18、第1の再配線層20、第2の絶縁層22、第2の開口部22a、第2のUBM層24、第2の再配線層26、及びポスト電極28を備えている。
【0070】
この半導体装置104では、第1の再配線層20及び第2の再配線層26の表面が平坦化されて、全体として再配線層の厚みのばらつきが低減されている。また、第1の再配線層20及び第2の再配線層26のビア部の各々が、電極パッド12上に重なるスタックド構造30が形成されている。なお、保護膜及び外部接続端子を備える点は、第1の実施の形態に係る半導体装置100と同様である。
【0071】
以下、製造工程に従って第3の実施の形態に係る半導体装置104の構造を説明する。図22〜図24は第3の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を表す部分断面図である。各々、電極パッド1個分の部分構造を図示している。
【0072】
(第1の絶縁層、第1の再配線層、第2の絶縁層の形成工程)
第2の再配線層26の形成工程より前の工程(図2〜図8を参照)は、第1の実施の形態に係る半導体装置100と同様であるため、同じ符号を付して説明を省略する。第1の実施の形態と同様に、上記の平坦化処理により第1の再配線層20の表面が平坦化されて、第1の再配線層20の表面20aと半導体ウェハ10の表面との距離は一定となる。また、第1の再配線層20の第1の開口部16a内に形成された部分は、第1の再配線層20の他の部分より厚くなる。本実施の形態では、この部分が第1の再配線層20のビア部に相当する。
【0073】
(第2の再配線層の形成工程)
図8に示すように、第2のUBM層24上には、フォトレジスト材料によりレジスト膜34が形成されている。そして、フォトリソグラフィによってレジスト膜34が所望の再配線パターンにパターニングされている。即ち、第2の再配線層26が形成される領域では、レジスト膜34が除去されて、第2のUBM層24の表面が露出している。
【0074】
次に、図22に示すように、露出した第2のUBM層24の表面から第2の導電性材料をメッキにより成長させて、第2の導電性材料層26Aを形成する。第2の導電性材料層26Aは、予め規定した第2の再配線層26の厚さより厚く形成される。次に、図23に示すように、上記の平坦化処理により、レジスト膜34及び第2の導電性材料層26Aが形成された表面が平坦化されて、第2の再配線層26が形成される。ここでも、レジスト膜34は、下地パターンに対する保護膜の役割を果す。
【0075】
次に、図24に示すように、残りのレジスト膜34が除去される。これにより、第1の再配線層20とコンタクトする第2の再配線層26が完成する。上記の平坦化処理により、第2の再配線層26の表面26aと半導体ウェハ10の表面との距離は一定となる。また、第2の再配線層26の第2の開口部22a内に形成された部分は、第2の再配線層26の他の部分より厚くなる。本実施の形態では、この部分が第2の再配線層26のビア部に相当する。第2の再配線層26のビア部は、第1の再配線層20のビア部に重ねられて、スタックド構造を構成する。
【0076】
本実施の形態に係る半導体装置104は、第1の再配線層20及び第2の再配線層26の2層の再配線層を有している。第1の再配線層20及び第2の再配線層26が平坦化されたことにより、ウェハ面内の再配線層の厚みのばらつきが±10%以内に低減される。これにより、Q値に代表される半導体装置の電気的特性が向上する。
【0077】
(ポスト電極の形成工程)
次に、図25に示すように、第2の再配線層26が形成された半導体ウェハ10の主面に、ドライフィルムレジストDF36を貼り付け、所望のパターンにパターニングする。即ち、ポスト電極28が形成される領域では、ドライフィルムレジストDF36が除去されて、第2の再配線層26の表面が露出する。図21に示すように、次に、露出した第2の再配線層26の表面から第2の導電性材料をメッキにより成長させて、ポスト電極28が形成される。
【0078】
最後に、残りのレジスト膜36が除去され、続いて第2の再配線層26が積層されていない部分の第2のUBM層24が除去される。第2のUBM層24が除去された部分では、第2の絶縁層22の表面が露出する。これにより、第3の実施の形態に係る半導体装置104が完成する。
【0079】
以上説明した通り、第3の実施の形態では、平坦化処理により表面が平坦化された第1の再配線層20及び第2の再配線層が形成されるので、装置全体として見た場合にウェハ面内の再配線層の厚みのばらつきが顕著に低減され、Q値に代表される半導体装置の電気的特性が向上する。また、第1の実施の形態と同様に、下地パターンの影響が大きいスタックド構造において、再配線層の中で最も下側に形成される第1の再配線層の厚みの変動が小さくなるので、電気的特性への影響を低減できる。
【0080】
なお、上記の実施の形態では、スタックド構造を備えた多層再配線構造のWCSPについて説明したが、他の多層再配線構造のWCSPについて本発明を適用してもよい。下地パターンの影響が大きいスタックド構造においては、再配線層を平坦化した効果がより顕著に現れるが、他の多層再配線構造のWCSPについても、再配線層を平坦化した効果を得ることができる。
【0081】
また、上記の実施の形態では、グラインダー研磨はWCSPの製造工程に適用し易いため、グラインダーで研磨して再配線層の表面を平坦化処理する例について説明したが、平坦化処理の方法はこれに限定される訳ではない。化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)やエッチバックによる平坦化処理等を用いることもできる。
【0082】
また、上記の実施の形態では、製造工程の一例を示したものであり、製造工程はこれに限定される訳ではない。同じ構造物を製造できる限り、細かい工程の順序を適宜入れ替えて実施できることは言うまでもない。
【0083】
また、上記の実施の形態では、再配線層の表面を平坦化する例について説明したが、平坦化の対象は再配線層に限定される訳ではない。下層の凹凸(下地パターン)が上層の再配線層の厚みを変動させることから、再配線層の平坦化に加えて、再配線層以外の層を平坦化することが好ましい。
【符号の説明】
【0084】
10 半導体ウェハ
12 電極パッド
14 パッシベーション膜
16 第1の絶縁層
16a 第1の開口部
18 第1のUBM層
20A 第1の導電性材料層
20 第1の再配線層
20a 表面
22 第2の絶縁層
22a 第2の開口部
24 第2のUBM層
26 第2の再配線層
26A 第2の導電性材料層
26a 表面
28 ポスト電極
30 スタックド構造
32 レジスト膜
34 レジスト膜
36 レジスト膜(ドライフィルムレジストDF)
100 半導体装置
102 半導体装置
104 半導体装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面側に電極パッドが形成された半導体基板を準備する工程と、
前記電極パッド及び前記半導体基板の主面を覆うように、絶縁材料からなる第1の絶縁層を形成する工程と、
前記電極パッドの一部を露出するように、前記第1の絶縁層に第1の開口部を形成する工程と、
前記電極パッド及び前記第1の絶縁層を覆うように、第1の導電材料を含む第1の導電層を形成する工程と、
前記第1の導電層上に、第1の再配線層が形成される領域を除いて第1のレジスト膜を形成する工程と、
前記第1の導電層上に、前記第1の導電層に含まれる前記第1の導電材料をめっき法により成長させ、前記第1のレジスト膜を除去して、前記第1の導電材料からなる第1の再配線層を形成する工程と、
前記第1の再配線層及び前記第1の絶縁層を覆うように、絶縁材料からなる第2の絶縁層を形成する工程と、
前記第1の再配線層の一部を露出するように、前記第2の絶縁層に第2の開口部を形成する工程と、
前記第1の再配線層及び前記第2の絶縁層を覆うように、第2の導電材料を含む第2の導電層を形成する工程と、
前記第2の導電層上に、第2の再配線層が形成される領域を除いて第2のレジスト膜を形成する工程と、
前記第2の導電層上に、前記第2の導電層に含まれる前記第2の導電材料をめっき法により成長させ、前記第2のレジスト膜を除去して、前記第2の導電材料からなる第2の再配線層を形成する工程と、
を含み、
前記第1の再配線層を形成する工程において、前記第1の導電材料をめっき法により成長させて前記第1の導電材料層を形成し、前記第1のレジスト膜及び前記第1の導電材料層を主面側から研磨して表面を平坦化して、前記第1の再配線層を形成する処理、
及び、
前記第2の再配線層を形成する工程において、前記第2の導電材料をめっき法により成長させて前記第2の導電材料層を形成し、前記第2のレジスト膜及び前記第2の導電材料層を主面側から研磨して表面を平坦化して、前記第2の再配線層を形成する処理、
の少なくとも一方の処理を行う半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記電極パッド上に形成された第1の再配線層のビア部に、前記第1の再配線層上に形成された第2の再配線層のビア部が積層方向に重なり合い、スタックド構造を形成するように、前記第1の開口部及び前記第2の開口部が形成された請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1の導電材料層及び前記第2の導電材料層の少なくとも一方を主面側から研磨すると共に、前記第1の絶縁層及び前記第2の絶縁層の少なくとも一方を主面側から研磨して表面を平坦化した請求項1又は請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記研磨がグラインダーで行われる請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1の再配線層を形成する工程において、前記第1のレジスト膜及び前記第1の導電材料層を主面側から研磨して表面を平坦化する場合には、表面を平坦化した後に、前記第1のレジスト膜を除去して、前記第1の再配線層を形成する処理を行い、
前記第2の再配線層を形成する工程において、前記第2のレジスト膜及び前記第2の導電材料層を主面側から研磨して表面を平坦化する場合には、表面を平坦化した後に、前記第2のレジスト膜を除去して、前記第2の再配線層を形成する処理を行う、
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記研磨が前記半導体基板の主面の全面に亘って行われる請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第1の再配線層を形成する工程において、前記第1のレジスト膜及び前記第1の導電材料層を主面側から研磨して表面を平坦化する場合には、前記第1のレジスト膜の高さを超えないように前記第1の導電材料をめっき法により成長させて前記第1の導電材料層を形成し、前記第1の導電材料層を研磨した後に、前記第1のレジスト膜を除去して、前記第1の再配線層を形成する処理を行い、
前記第2の再配線層を形成する工程において、前記第2のレジスト膜及び前記第2の導電材料層を主面側から研磨して表面を平坦化する場合には、前記第2のレジスト膜の高さを超えないように前記第2の導電材料をめっき法により成長させて前記第2の導電材料層を形成し、前記第2の導電材料層を研磨した後に、前記第2のレジスト膜を除去して、前記第2の再配線層を形成する処理を行う、
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
主面側に、第1の再配線層、及び前記第1の再配線層の一部を露出する第1の開口部を備えた第1の絶縁層が形成された半導体基板を準備する工程と、
前記第1の再配線層及び前記第1の絶縁層を覆うように、第1の導電材料を含む第1の導電層を形成する工程と、
前記第1の導電層上に、第2の再配線層が形成される領域を除いて第1のレジスト膜を形成する工程と、
前記第1の導電層上に、前記第1の導電層に含まれる前記第1の導電材料をめっき法により成長させ、前記第1のレジスト膜を除去して、前記第1の導電材料からなる第2の再配線層を形成する工程と、
前記第2の再配線層及び前記第1の絶縁層を覆うように、絶縁材料からなる第2の絶縁層を形成する工程と、
前記第2の再配線層の一部を露出するように、前記第2の絶縁層に第2の開口部を形成する工程と、
前記第2の再配線層及び前記第2の絶縁層を覆うように、第2の導電材料を含む第2の導電層を形成する工程と、
前記第2の導電層上に、第3の再配線層が形成される領域を除いて第2のレジスト膜を形成する工程と、
前記第2の導電層上に、前記第2の導電層に含まれる前記第2の導電材料をめっき法により成長させ、前記第2のレジスト膜を除去して、前記第2の導電材料からなる第3の再配線層を形成する工程と、
を含み、
前記第2の再配線層を形成する工程において、前記第1の導電材料をめっき法により成長させて前記第1の導電材料層を形成し、前記第1のレジスト膜及び前記第1の導電材料層を主面側から研磨して表面を平坦化して、前記第2の再配線層を形成する処理、
及び、
前記第3の再配線層を形成する工程において、前記第2の導電材料をめっき法により成長させて前記第2の導電材料層を形成し、前記第2のレジスト膜及び前記第2の導電材料層を主面側から研磨して表面を平坦化して、前記第3の再配線層を形成する処理、
の少なくとも一方の処理を行う半導体装置の製造方法。
【請求項9】
主面側に電極パッドが形成された半導体基板と、
前記電極パッド及び前記半導体基板上に形成され、前記電極パッドを露出する第1の開口部を備えた第1の絶縁層と、
前記電極パッド及び前記第1の絶縁層上に形成され、第1の導電層を介して前記電極パッドと電気的に接続された第1の再配線層と、
前記第1の絶縁層及び前記第1の再配線層上に形成され、前記第1の再配線層を露出する第2の開口部を備えた第2の絶縁層と、
前記第1の再配線層及び前記第2の絶縁層上に形成され、第2の導電層を介して前記第1の再配線層と電気的に接続された第2の再配線層と、
を備え、
前記第1の再配線層及び前記第2の再配線層の少なくとも一方が、主面側から研磨されて表面が平坦化された半導体装置。
【請求項10】
前記電極パッド上に形成された第1の再配線層のビア部と、前記第1の再配線層上に形成された第2の再配線層のビア部と、が積層方向に重なり合うスタックド構造を有する請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】

主面側に第1の再配線層及び前記第1の再配線層の一部を露出する第1の開口部を備えた第1の絶縁層が形成された半導体基板と、
前記第1の再配線層及び前記第1の絶縁層上に形成され、前記第1の再配線層を露出する第2の開口部を備えた第2の絶縁層と、
前記第1の再配線層及び前記第1の絶縁層上に形成され、第1の導電層を介して前記第1の再配線層と電気的に接続された第2の再配線層と、
前記第2の絶縁層及び前記第2の再配線層上に形成され、前記第2の再配線層を露出する第2の開口部を備えた第3の絶縁層と、
前記第2の再配線層及び前記第3の絶縁層上に形成され、第2の導電層を介して前記第2の再配線層と電気的に接続された第3の再配線層と、
を備え、
前記第1の再配線層、前記第2の再配線層及び前記第3の再配線層の少なくとも1層が、主面側から研磨されて表面が平坦化された半導体装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate


【公開番号】特開2010−182952(P2010−182952A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−26480(P2009−26480)
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【出願人】(308033711)OKIセミコンダクタ株式会社 (898)
【Fターム(参考)】