説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】プローブとパッドとを低接触抵抗で相互に電気的に接続させ、安定した特性検査を行うことができる方法の提供。
【解決手段】半導体装置は、電気的特性の検査を行う検査装置のプローブ8が接触されるパッド9を備え、パッド9の少なくとも表層部には、凹部21の内径がプローブ8の先端部8aよりも小径であり、凸部22の頂部が平坦である凹凸形状が形成されている。この構造により、パッド9上でオーバードライブされるプローブ8の先端部8aとパッド9の表面との摩擦を大きくすることができる。オーバードライブの際に、パッド9の表面に元々生成されている絶縁物をプローブ8の先端部8aで掻き取るようにして十分に剥がすことができる。こうすることで、プローブ8とパッド9とを低接触抵抗で相互に電気的に接続させ、安定した特性検査を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の電気的特性検査の際には、検査装置のプローブを半導体装置のパッドへ低接触抵抗で電気的に接続することが好ましい。特に、アナログ信号を扱う場合、接触抵抗の大きさによっては、検査結果が非常に不安定となるという課題がある。
【0003】
ところで、パッドは一般的にアルミなどの金属膜により構成されているため、パッドの表面には、アルミナ等の絶縁物が自然に生成される。このため、この絶縁物がパッドとプローブとの電気的接続を阻害することがある。
【0004】
しかしながら、一般的な半導体装置では、パッドが平坦に形成されているため、プローブをパッドへ接触させて該パッド上でオーバードライブする際に、プローブの先端がパッド上を滑り易い。従って、パッドの表面に生成されているアルミナ等の絶縁物を十分に剥がすことができないままで測定を行うこととなり、すなわち、プローブをパッドへ低接触抵抗で接続できずに測定を行うこととなり、測定が不安定となるという課題がある。
【0005】
特許文献1には、プローブの先端部よりも大径に設定された複数の穴をパッドに形成し、この穴内にプローブの先端部を入り込ませる技術が開示されている。特許文献1には、穴内にプローブの先端部を入り込ませることによって、プローブとパッドとの接触面積を増加させ、プローブとパッドとの接触性を高めることができる旨の記載がある。
【0006】
特許文献2には、パッドの表面に凹凸を形成し、該表面にプローブの先端を垂直に突き当てることにより、該表面における凸部をプローブにより押しつぶす技術が開示されている。特許文献2には、この押しつぶしによって、凸部の表面に存在した金属酸化膜を破壊し、その金属酸化膜の下に隠れていたパッドの表面を露出させ、この表面とプローブとを低抵抗で接触させることができる旨の記載がある。なお、特許文献2では、パッドを構成する金属膜をエッチングするに際し、エッチングスピードがグレイン方向により異なることを利用して、パッドに凹凸形状を形成する。
【0007】
特許文献3には、下地層の凹凸形状を表層のパッドへ反映させることにより、パッドの表面も凹凸形状に形成する技術が開示されている。特許文献3には、凹凸形状とされているパッドの表面上でプローブをオーバードライブすることにより、該プローブの先端によってパッド表面の絶縁物を剥がし、プローブとパッドとの接触性を高めることができる旨の記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−64123号公報
【特許文献2】特開2001−174514号公報
【特許文献3】特開平10−189671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の技術では、パッドにはプローブの先端部よりも大径の穴が形成されている。このため、特許文献1の技術において、例えば特許文献3のようにプローブをパッドに対して斜めに配置し、該プローブをパッド上でオーバードライブさせる場合、パッドの穴に対してプローブの先端部が引っ掛かるため、オーバードライブ動作を好適に実施できないばかりか、プローブによりパッドを損傷してしまうことがあるという課題がある。
【0010】
特許文献2では、エッチングスピードがグレイン方向により異なることを利用して、パッドの表面に凹凸形状を形成するため、凹凸の高低差が小さい上、凹凸の表面が丸みを帯びている。このため、仮に、特許文献2の構造のパッド上で、プローブをオーバードライブさせたとしても、プローブによってパッド表面の絶縁物を十分に剥がしてプローブとパッドとの接触性を高めることは、困難である。なお、特許文献2の技術は、プローブをパッド上でオーバードライブさせるのではなく、プローブをパッドに垂直に突き当てて、パッド表面の凸部の表層部を破壊し、その下に隠れていたパッドの表面を露出させ、この表面にプローブの先端を接触させることを目的としている。このため、特許文献2では、そもそも、パッド表面の凸部の表面は、平坦であるよりも、むしろ、丸みを帯びていることが好ましいと考えられる。
【0011】
特許文献3では、下地層(層間絶縁膜)の凹凸形状を表層のパッドへ反映させることにより、パッドの表面も凹凸形状に形成しているため、凹凸の高低差が小さい上、凹凸の表面が丸みを帯びている。このため、プローブの先端で絶縁物を掻き取るようにして剥がす動作を好適に実施しにくいばかりか、検査を繰り返すことにより凹凸形状が摩耗する結果、パッド表面を平坦に形成した場合と実質的に相違無い状態となってしまうという課題がある。
【0012】
このように、プローブをパッド上でオーバードライブすることによって、パッド上の絶縁物を十分に剥がすことは困難だった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、電気的特性の検査を行う検査装置のプローブが接触されるパッドを備え、前記パッドの少なくとも表層部には、凹部の内径が前記プローブの先端部よりも小径であり、凸部の頂部が平坦である凹凸形状が形成されていることを特徴とする半導体装置を提供する。
【0014】
この半導体装置によれば、パッドの少なくとも表層部を凹凸形状としたことにより、パッド上でオーバードライブされるプローブの先端とパッドの表面との摩擦を大きくすることができる。よって、オーバードライブの際に、パッドの表面に元々生成されている絶縁物をプローブの先端で掻き取るようにして十分に剥がすことができる。よって、その絶縁物の下に隠れているパッドの表面にプローブの先端を低抵抗で接触させることができる。更に、凸部の頂部が平坦であるため、凸部が丸まっている場合と比べて、より容易且つ確実に、プローブによって絶縁物を掻き取ることができる。更に、凸部が元々丸まっている場合と比べて、凸部が丸まりにくいため、パッドの耐用回数を増加させることができる。また、凹部の内径がプローブの先端部よりも小径であるため、プローブの先端部が凹部内に入り込まないようにでき、好適にプローブをパッドの表面上でオーバードライブさせることができる。
【0015】
このように、プローブをパッド上でオーバードライブすることによって、パッド上の絶縁物を十分に剥がすことができる。よって、プローブとパッドとを低接触抵抗で相互に電気的に接続させ、安定した特性検査を行うことができる。特に、アナログ信号を扱う場合であっても、信頼性の高い検査結果を得ることができる。
【0016】
また、本発明は、電気的特性の検査を行う検査装置のプローブが接触されるパッドを形成する工程を備え、前記工程は、前記パッドの少なくとも表層部に、凹部の内径が前記プローブの先端部よりも小径であり、凸部の頂部が平坦である凹凸形状を形成する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法を提供する。
【0017】
また、本発明は、電気的特性の検査を行う検査装置のプローブが接触されるパッドを形成する工程を備え、前記工程は、前記パッドの少なくとも表層部に、凹部の内径が前記プローブの先端部よりも小径である凹凸形状を、フォトリソグラフィを用いたパターニングにより形成する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法を提供する。
【0018】
この半導体装置の製造方法によれば、パッドの少なくとも表層部に凹凸形状を形成するので、パッド上でオーバードライブされるプローブの先端とパッドの表面との摩擦を大きくすることができる。よって、オーバードライブの際に、パッドの表面に生成されている絶縁物をプローブの先端で掻き取るようにして十分に剥がすことができる。よって、その絶縁物の下に隠れているパッドの表面にプローブの先端を低抵抗で接触させることができる。更に、凹凸形状を、フォトリソグラフィを用いたパターニングにより形成するので、凹凸形状における凸部の頂部を平坦(少なくとも、特許文献2、3の場合よりも平坦)にできる。よって、凸部が丸まっている場合と比べて、より容易且つ確実に、プローブによって絶縁物を掻き取ることができる。更に、凸部が元々丸まっている場合と比べて、凸部が丸まりにくいため、パッドの耐用回数を増加させることができる。また、凹部の内径をプローブの先端部よりも小径にするため、プローブの先端部が凹部内に入り込まないようにでき、好適にプローブをパッドの表面上でオーバードライブさせることができる。ところで、特許文献2の技術では、凹凸形状がパッドの材質となる金属グレインに依存するため、凹凸形状の自由度が低く、プローブに最適な凹凸の形成が困難となる可能性がある。また、特許文献3の技術では、層間絶縁膜を島状に残留させ、この層間絶縁膜の間隔を介して最上層配線を下層配線に接触させている構造であるため、層間絶縁膜の間隔が密になると、最上層配線と下層配線との密着性が低下し、これら両配線との電気的接続が十分でなくなる可能性がある。このため、層間の絶縁膜の間隔に制約が発生する可能性がある。これに対し、本発明では、パッドの凹凸形状をフォトリソグラフィを用いたパターニングにより形成するため、その凹凸形状の寸法(凹部の内径、凸部の幅等)の自由度が高く、プロービングに最適な凹凸形状を容易に形成することができる。
【0019】
このように、プローブをパッド上でオーバードライブすることによって、パッド上の絶縁物を十分に剥がすことができる。よって、プローブとパッドとを低接触抵抗で相互に電気的に接続させ、安定した特性検査を行うことができる。特に、アナログ信号を扱う場合であっても、信頼性の高い検査結果を得ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、プローブをパッド上でオーバードライブすることによって、パッド上の絶縁物を十分に剥がすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1の実施形態に係る半導体装置の層構造の要部を示す断面図である。
【図2】第1の実施形態に係る半導体装置のパッドを示す平面図である。
【図3】プローブを凹凸形状のパッド上でオーバードライブさせる状態を示す要部断面図である。
【図4】第1の実施形態に係る半導体装置の変形例におけるパッドを示す平面図である。
【図5】第2の実施形態に係る半導体装置の層構造の要部を示す断面図である。
【図6】パッドの凹凸形状における凸部の断面形状の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
【0023】
〔第1の実施形態〕
図1は第1の実施形態に係る半導体装置100の層構造の要部を示す断面図、図2は半導体装置100のパッド9を示す平面図、図3はプローブ8をパッド9上でオーバードライブさせる状態を示す要部断面図である。
【0024】
本実施形態に係る半導体装置100は、電気的特性の検査を行う検査装置(全体図示略)のプローブ8が接触されるパッド9を備え、パッド9の少なくとも表層部には、凹部21の内径がプローブ8の先端部8aよりも小径であり、凸部22の頂部が平坦である凹凸形状が形成されている。また、本実施形態に係る半導体装置の製造方法は、電気的特性の検査を行う検査装置(全体図示略)のプローブ8が接触されるパッド9を形成する工程を備え、その工程は、パッド9の少なくとも表層部に、凹部21の内径がプローブ8の先端部8aよりも小径であり、凸部22の頂部が平坦である凹凸形状を形成する工程を含む。また、本実施形態に係る半導体装置の製造方法は、電気的特性の検査を行う検査装置(全体図示略)のプローブ8が接触されるパッド9を形成する工程を備え、その工程は、パッド9の少なくとも表層部に、凹部21の内径がプローブ8の先端部8aよりも小径である凹凸形状を、フォトリソグラフィを用いたパターニングにより形成する工程を含む。以下、詳細に説明する。
【0025】
先ず、半導体装置100の構成を説明する。
【0026】
図1に示すように、本実施形態に係る半導体装置100は、第1配線層間膜1と、第2配線層間膜2と、下層配線4と、最上層配線5と、プラグ6と、第1バリアメタル層11と、第2バリアメタル層12と、第3バリアメタル層13と、第4バリアメタル層14と、パッシベーション膜7と、を備えて構成されている。この半導体装置100の一部分は、電気的特性の検査を行う検査装置(全体図示略)のプローブ8(図3)が接触されるパッド9を構成している。
【0027】
第1配線層間膜1上には、所定のパターン形状の第1バリアメタル層11が形成されている。この第1バリアメタル層11上には、該第1バリアメタル層11と同様のパターン形状の下層配線4が形成されている。下層配線4上には、第2バリアメタル層12が形成されている。第2バリアメタル層12は、例えば、下層配線4の表側(図1の上側)の面と第2配線層間膜2との間に介在している。
【0028】
第2配線層間膜2は、第1配線層間膜1、下層配線4及び第2バリアメタル層12を覆うように形成されている。第2配線層間膜2には、ビアホール6aと、開口2aと、が形成されている。ビアホール6aには、第3バリアメタル層13を介してプラグ6が埋め込まれている。半導体装置100の表側(図1の上側)の部分のうち、第2配線層間膜2の開口2aの内側の部分がパッド9を構成している。
【0029】
第3バリアメタル層13は、例えば、パッド9の部分における最上層配線5と下層配線4との間の部分と、第2配線層間膜2の表側(図1の上側)の面と最上層配線5の裏側(図1の下側)の面と、第2配線層間膜2の開口2aの内周壁と最上層配線5との間に、それぞれ介在している。第3バリアメタル層13のパターンの平面形状は、最上層配線5と同様である。
【0030】
最上層配線5は、パッド9の部分と、パッド9以外の部分とで、それぞれ所定のパターン形状に形成されている。最上層配線5は、パッド9の部分では、例えば、図1及び図2に示すような凹凸形状とされている。具体的には、本実施形態の場合、例えば、図2に示すように、パッド9の部分に位置する最上層配線5は、格子状のパターン形状に形成されている。
【0031】
ここで、パッド9の部分に位置する最上層配線5の凹凸形状における凹部21の内径は、プローブ8(図3)の先端部8aよりも小径に設定されている。
【0032】
また、凹凸形状における凸部22の頂部は、平坦とされている。ここで言う「平坦」とは、必ずしも完全に平坦であることを意味するわけではない。例えば、少なくとも、特許文献2のようにエッチングスピードがグレイン方向により異なることを利用して凹凸形状を形成した場合における凸部の頂部よりも平坦であること、或いは、特許文献3のように下地層の凹凸形状を表層に反映させた場合における凸部の頂部よりも平坦であること、を意味する。このように平坦な凹凸形状は、例えば、フォトリソグラフィを用いたパターニングにより、好適に形成することができる(詳細後述)。なお、フォトリソグラフィを用いたパターニングとは、フォトリソグラフィによってフォトレジストをパターン形成し、そのフォトレジストを介してエッチングを行うことによって、パターニングを行うこと(厳密には、更にそのフォトレジストを除去すること)を意味する。
【0033】
第4バリアメタル層14は、最上層配線5の表側(図1の上側)の面とパッシベーション膜7との間に介在している。
【0034】
パッシベーション膜7は、パッド9以外の部分に形成されている最上層配線5どうしの間隔に位置する第2配線層間膜2と、第4バリアメタル層14と、を覆うように形成されている。パッシベーション膜7には、第2配線層間膜2の開口2aに連なるような開口7aが形成されている。これら開口7a及び開口2aを介して、パッド9は半導体装置100の表側に臨まされている。
【0035】
ここで、パッド9は、例えば、下層配線4、最上層配線5、第1バリアメタル層11及び第3バリアメタル層13により構成されている。そして、上述のように、パッド9の表層部には、凹凸形状が形成されている。この凹凸形状は、本実施形態の場合、例えば、最上層配線5及び第3バリアメタル層13の2層構造となっている。この層構造のうち、配線層は、最上層配線5の1層となっている。すなわち、本実施形態の場合、パッド9を構成する配線としては、下層配線4と最上層配線5との2層の配線を備えるが、このうち最上層の配線である最上層配線5のみにより凹凸形状が構成されている。このように、パッド9は複数層の配線(例えば、最上層配線5と下層配線4との2層の配線)からなる積層構造をなし、複数層の配線のうちの最上層の配線(最上層配線5)により凹凸形状が構成されている。なお、凹凸形状を構成する最上層配線5は、下層配線4上に、(該下層配線4との間に)絶縁層を介さずに、島状に配置されている。
【0036】
次に、本実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する。
【0037】
先ず、第1配線層間膜1上に、第1バリアメタル層11を構成する金属膜(例えば、チタン、又は窒化チタンからなる)と、下層配線4を構成する金属膜(例えば、アルミからなる)と、第2バリアメタル層12を構成する金属膜(例えば、チタン、又は窒化チタンからなる)と、をこの順に成膜する。
【0038】
次に、これら3層の金属膜に対し、一括して、フォトリソグラフィを用いたパターニングを行う。このパターニングは、パッド9が形成される範囲と、後に形成されるビアホール6aの下側及びその周囲とに、第1バリアメタル層11、下層配線4及び第2バリアメタル層12が残留するように行う。
【0039】
次に、第2配線層間膜2を成膜する。これにより、第2配線層間膜2が、第2バリアメタル層12、下層配線4及び第1バリアメタル層11のパターンと、このパターンから露出している第1配線層間膜1と、を覆った状態となる。
【0040】
次に、フォトリソグラフィを用いたパターニングによって、この第2配線層間膜2にビアホール(via hole)6aと開口2aとを一括して形成する。なお、このパターニングにおけるエッチングでは、例えば、パッド9の部分、並びに、プラグ6の直下における第2バリアメタル層12の除去も併せて行う。
【0041】
次に、第3バリアメタル層13を構成する金属膜(例えば、チタン、又は窒化チタンからなる)を成膜する。これにより、第3バリアメタル層13が、第2配線層間膜2と、開口2a及びビアホール6aを介して露出していた第2バリアメタル層12と、を覆った状態となる。
【0042】
次に、ビアホール6a内が埋まるように金属膜を成膜することにより、該ビアホール6a内にプラグ6を形成する。なお、この金属膜の成膜後、全面エッチバックを行うことにより、該金属膜においてプラグ6を構成する部分以外は除去される。つまり、ビアホール6aは狭い開口であるため、該ビアホール6a内のプラグ6のみが残留し、広く開口した開口2a内の金属膜は除去される。
【0043】
次に、最上層配線5を構成する金属膜(例えば、アルミ膜)を成膜する。これにより、最上層配線5が第2配線層間膜2、プラグ6及び第3バリアメタル層13を覆った状態となる。次に、第4バリアメタル層14を構成する金属膜(例えば、チタン、又は窒化チタンからなる)を最上層配線5上に成膜する。
【0044】
次に、最上層配線5に対し、フォトリソグラフィを用いたパターニングを行う。このパターニングでは、パッド9以外の部分の最上層配線5と、パッド9の部分に位置する最上層配線5と、をそれぞれ所定のパターン形状に加工する。つまり、パッド9以外の部分の最上層配線5のパターニングと、パッド9の部分に位置する最上層配線5のパターニングと、を一括して行う。なお、ここでのパターニングでは、最上層配線5だけでなく、その下層に位置する第3バリアメタル層13と、最上層配線5の上層に位置する第4バリアメタル層14についても、一括してパターニングする。なお、後述するように、パッド9の部分の第2バリアメタル層12を残留させる構造でも良く、その場合、ここでは、第2バリアメタル層12についても一括してパターニングする。
【0045】
ここで、パッド9の部分に位置する最上層配線5のパターン形状は、例えば、図1及び図2に示すように、凹凸形状とする。具体的には、本実施形態の場合、例えば、図2に示すように、パッド9の部分に位置する最上層配線5を格子状のパターン形状に形成する。
【0046】
ここで、パッド9の部分に位置する最上層配線5の凹凸形状における凹部21の内径は、プローブ8の先端部8aよりも小径に設定する。また、凹凸形状における凸部22の頂部がなるべく平坦となるように、フォトリソグラフィ条件を適宜に設定する。ここで言う「平坦」の定義は上述した通りである。フォトリソグラフィ条件を適宜に設定することにより、平坦性の高い凸部22を形成することができる。
【0047】
次に、パッシベーション膜7を成膜する。これにより、パッシベーション膜7が、第4バリアメタル層14、最上層配線5及び第3バリアメタル層13からなるパターン(パッド9以外の部分)と、第4バリアメタル層14、最上層配線5、第3バリアメタル層13及び第2バリアメタル層12からなるパターン(パッド9の部分)と、これらのパターンから露出している下層配線4と、を覆った状態となる。
【0048】
次に、フォトリソグラフィを用いたパターニングにより、パッシベーション膜7に開口7aを形成する。次に、この開口7aを介したエッチングにより、該開口7a内に位置する第4バリアメタル層14を除去する。
【0049】
これにより、図1に示す半導体装置100が得られる。
【0050】
次に、動作を説明する。
【0051】
半導体装置100の電気的特性の検査を行うには、例えば、先ず、半導体装置100と、検査装置(全体図示略)のプローブ8(図3)と、の位置合わせを行う。具体的には、例えば、先ず、半導体装置100を水平に配置し、この半導体装置100のパッド9の上方にプローブ8の先端部8aを配置する。なお、プローブ8は、例えば、図3に示すように、パッド9に対して斜めに配置する。この状態で、プローブ8を半導体装置100に対して相対的に下降させる(半導体装置100をプローブ8に対して相対的に上昇させる、とも言える)。その結果、図3に示すように、プローブ8の先端部8aが半導体装置100のパッド9に接触した状態となる。
【0052】
このように接触した状態で、プローブ8をオーバードライブさせる。すなわち、このように接触した状態から、プローブ8を半導体装置100に対して相対的に、更に僅かだけ下降させることにより、プローブ8の先端部8aを、パッド9の表面に沿って、図3の矢印A方向へと滑動させる。
【0053】
ここで、パッド9の表層部は、上述のように凹凸形状とされている。このため、パッド9の表面とプローブ8の先端部8aとの摩擦力は、パッドの表面が平坦に形成されている場合よりも大きい。このため、パッド9の表面にアルミナ等の絶縁物が自然に成膜されている場合には、プローブ8の先端部8aがパッド9の表面に沿って滑動する際に、該先端部8aでこの絶縁物を掻き取るようにして剥がすことができる。
【0054】
よって、プローブ8の先端部8aを、絶縁物が剥がされた後のパッド9の表面(最上層配線5の表面)に接触させることができるため、プローブ8とパッド9とを低抵抗で電気的に接続させることが可能となる。つまり、プローブ8とパッド9との電気的導通を確実に行うことができるので、半導体装置100の電気的特性の検査を適切に行うことができる。
【0055】
パッド9の凹凸形状における凹部21の内径は、プローブ8の先端部8aの外径よりも小径に設定されているので、該先端部8aが凹部21内に入り込まないようにできる。よって、先端部8aを好適に、パッド9の表面に沿って滑動させることができる。
【0056】
また、パッド9の凹凸形状における凸部22の頂部は平坦であるので、凸部の頂部が元々丸みを帯びている場合(特許文献2、3)と比べると、検査を繰り返し行っても(プローブ8のオーバードライブを繰り返し行っても)、凸部22が丸まった状態となりにくい。よって、パッド9とプローブ8の先端部8aとの摩擦力の大きさを好適に維持することができる(パッド9の耐用回数を増加させることができる)。
【0057】
なお、例えば、図2に示す矢印Aのように、パッド9の表層部を構成する格子状の凹凸形状における格子に対して交差する方向(例えば、矢印Aのように、格子に対して直交する方向)へプローブ8(図3)がオーバードライブされるように、パッド9に対するプローブ8の傾斜方向と、パッド9の向きと、を設定することが好ましい。
【0058】
なお、念のために言及すると、図1では、主にパッド9の層構造を説明できるような示し方をしており、パッド9の表層部における凹凸の数を極端に少なくしている。実際には、例えば、図3に示すように、パッド9には十分な数の凹凸が形成されており、このパッド9上でプローブ8を不都合無くオーバードライブできるようになっている。
【0059】
以上のような第1の実施形態によれば、半導体装置100は、電気的特性の検査を行う検査装置のプローブ8が接触されるパッド9を備え、パッド9の少なくとも表層部には、凹部21の内径がプローブ8の先端部8aよりも小径であり、凸部22の頂部が平坦である凹凸形状が形成されているので、パッド9上でオーバードライブされるプローブ8の先端部8aとパッド9の表面との摩擦を大きくすることができる。よって、オーバードライブの際に、パッド9の表面に生成されている絶縁物をプローブ8の先端部8aで掻き取るようにして十分に剥がすことができる。よって、その絶縁物の下に隠れているパッド9の表面(最上層配線5の表面)にプローブ8の先端を低抵抗で接触させることができる。更に、凸部22の頂部が平坦であるため、凸部が丸まっている場合(特許文献2、3)と比べて、より容易且つ確実に、プローブ8によって絶縁物を掻き取ることができる。更に、凸部が元々丸まっている場合(特許文献2、3)と比べて、凸部22が丸まりにくいため、パッド9の耐用回数を増加させることができる。また、凹部21の内径がプローブ8の先端部8aよりも小径であるため、プローブの先端部8aが凹部21内に入り込まないようにでき、好適にプローブ8をパッド9の表面上でオーバードライブさせることができる。
【0060】
このように、プローブ8をパッド9上でオーバードライブすることによって、パッド9上の絶縁物を十分に剥がすことができるので、プローブ8とパッド9とを低接触抵抗で相互に電気的に接続させ、安定した特性検査を行うことができる。特に、アナログ信号を扱う場合であっても、信頼性の高い検査結果を得ることができる。
【0061】
また、第1の実施形態によれば、パッド9の凹凸形状を、フォトリソグラフィを用いたパターニングにより形成するので、凹凸形状における凸部22の頂部を平坦(少なくとも、特許文献2、3の場合よりも平坦)にできる。よって、上述したような効果を奏することができる。しかも、凹凸形状の寸法(凹部21の内径、凸部22の幅等)の設計の自由度が高く、オーバードライブによるプロービングに最適な凹凸形状を容易に形成することができる。
【0062】
また、複数層の配線には、凹凸形状を構成する最上層配線5と、その下層に位置する下層配線4と、が含まれ、凹凸形状を構成する最上層配線5は、下層配線4上に、絶縁層を介さずに、島状に配置されているので、例えば特許文献3のように下層配線上に絶縁層を介して最上層配線を配置した場合と比べて、凹凸形状の高低差を十分に確保することができる。よって、オーバードライブによって絶縁物を剥がす動作を好適に行うことができる。また、特許文献3では、最上層配線と下層配線との間の層間絶縁膜を島状に残留させ、この層間絶縁膜の間隔を介して、最上層配線を下層配線に接触させている構造であるため、層間絶縁膜の間隔が密になると、最上層配線と下層配線との密着性が低下し、これら両配線の電気的接続が十分でなくなる可能性がある。このため、層間絶縁膜の間隔を密にはできないので、その間隔の広さに制約が発生する可能性がある。よって、パッドの凹凸形状をプロービングのための最適な間隔で形成できない可能性がある。これに対し、本実施形態では、このように、最上層配線5は、下層配線4上に、絶縁層を介さずに、島状に配置されているので、最上層配線5と下層配線4との密着性を高め、これら両配線の電気的接続をより確実に行うことができる。よって、このことからも、凸部22の間隔を高い自由度で設計することが可能となり、パッド9の凹凸形状をプロービングのための最適な間隔に設定することが可能となる。
【0063】
<第1の実施形態の変形例>
図4は第1の実施形態に係る半導体装置100の変形例におけるパッド9を示す平面図である。上述の第1の実施形態では、パッド9の表層部を格子状に形成することによって、該表層部を凹凸形状とした例を説明したが、この変形例では、図4に示すように、パッド9の表層部を、互いに平行な複数の列構造により構成する。
【0064】
すなわち、例えば、図1に示す最上層配線5、第2バリアメタル層12及び第3バリアメタル層13からなる層構造部分に、溝状の凹部21と、リブ状の凸部22と、が交互に形成されるようにパターニングする。
【0065】
この変形例の場合も、上記の第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0066】
なお、この変形例の場合、例えば、図4に示す矢印Bのように、パッド9の表層部を構成する列構造の列方向に対して交差する方向(例えば、矢印Bのように、この列方向に対して直交する方向)へプローブ8(図3)がオーバードライブされるように、パッド9に対するプローブ8の傾斜方向と、パッド9の向きと、を設定することが好ましい。
【0067】
〔第2の実施形態〕
図5は第2の実施形態に係る半導体装置200の層構造の要部を示す断面図である。
【0068】
上述の第1の実施形態では、パッド9を構成する複数層の配線のうち、最上層の配線である最上層配線5により凹凸形状を構成した例を説明した。ここで、最上層配線5の膜厚は、半導体装置100の使用時(検査装置による検査時ではなく)に、該最上層配線5に流す電流の大きさに応じて、適宜に設定されている。このため、上記の第1の実施形態のように(配線層のうち)最上層配線5の一層のみにより凹凸形状を形成したのでは、凹凸形状の高低差が不足し、オーバードライブによって絶縁物を剥がす動作を好適に行うことが困難となる場合も有り得る。
【0069】
そこで、第2の実施形態では、以下に説明するようにして、凹凸形状の高低差を十分に確保できるようにする。
【0070】
図5に示すように、本実施形態に係る半導体装置200は、第1配線層間膜1と、第2配線層間膜2と、第3配線層間膜3と、第1下層配線31と、第2下層配線32と、最上層配線33と、プラグ6と、プラグ41と、第1バリアメタル層11と、第2バリアメタル層12と、第3バリアメタル層13と、第4バリアメタル層14と、第5バリアメタル層15と、第6バリアメタル層16と、パッシベーション膜7と、を備えて構成されている。この半導体装置200の一部分は、電気的特性の検査を行う検査装置(全体図示略)のプローブ8(図3参照)が接触されるパッド9を構成している。
【0071】
第1配線層間膜1上には、所定のパターン形状の第1バリアメタル層11が形成されている。この第1バリアメタル層11上には、該第1バリアメタル層11と同様のパターン形状の第1下層配線31が形成されている。なお、第1下層配線31は、上記の第1の実施形態における下層配線4に相当する。この第1下層配線31上には、第2バリアメタル層12が形成されている。第2バリアメタル層12は、例えば、第1下層配線31の表側(図5の上側)の面と第2配線層間膜2との間に介在している。
【0072】
第2配線層間膜2は、第1配線層間膜1、第1下層配線31及び第2バリアメタル層12を覆うように形成されている。第2配線層間膜2には、ビアホール6aと、開口2aと、が形成されている。ビアホール6aには、第3バリアメタル層13を介してプラグ6が埋め込まれている。半導体装置200の表側(図5の上側)の部分のうち、第2配線層間膜2の開口2a及び第3配線層間膜3の開口3a(後述)の内側の部分がパッド9を構成している。
【0073】
第3バリアメタル層13は、例えば、第2配線層間膜2の一部分と、第1下層配線32においてプラグ6の直下に位置する部分と、を覆うように形成されている。第3バリアメタル層13のパターンの平面形状は、第2下層配線32と同様である。
【0074】
第2下層配線32は、パッド9の部分と、パッド9以外の部分とで、それぞれ所定のパターン形状に形成されている。第2下層配線32は、パッド9の部分では、図5に示すような凹凸形状とされている。なお、本実施形態の場合、第2下層配線32の凹凸形状は、上記の第1の実施形態における最上層配線5の凹凸形状と同様に、例えば、格子状の構造であっても良いし、或いは、溝とリブ状部とが交互に並んだような列構造であっても良い。
【0075】
ここで、パッド9の部分に位置する第2下層配線32の凹凸形状における凹部21の内径は、プローブ8(図3)の先端部8aよりも小径に設定されている。また、凹凸形状における凸部22の頂部は、平坦とされている。ここで言う「平坦」の定義は、上記の第1の実施形態と同様である。このように平坦な凹凸形状は、例えば、フォトリソグラフィを用いたパターニングにより、好適に形成することができる(詳細後述)。
【0076】
第4バリアメタル層14は、第2下層配線32の表側(図5の上側)の面と第3配線層間膜3との間に介在している。
【0077】
第3配線層間膜3は、パッド9以外の部分に形成されている第2下層配線32どうしの間隔に位置する第2配線層間膜2と、第4バリアメタル層14と、を覆うように形成されている。第3配線層間膜3には、第2配線層間膜2の開口2aに連なるような開口3aと、ビアホール41aと、が形成されている。ビアホール41aには、第5バリアメタル層15を介してプラグ41が埋め込まれている。
【0078】
本実施形態の場合、最上層配線33は、パッド9に位置する部分と、その周囲に位置する部分と、からなる。最上層配線33においてパッド9に位置する部分は、第2下層配線32においてパッド9に位置する部分に載るようにパターニングされている。なお、最上層配線33においてパッド9に位置する部分は、例えば、第2下層配線32においてパッド9に位置する部分よりも平面寸法が小さく設定されている。
【0079】
ここで、パッド9の部分に位置する最上層配線33の凹凸形状における凹部21の内径は、プローブ8(図3)の先端部8aよりも小径に設定されている。また、凹凸形状における凸部22の頂部は、平坦とされている。ここで言う「平坦」の定義は、上記の第1の実施形態と同様である。このように平坦な凹凸形状は、例えば、フォトリソグラフィを用いたパターニングにより、好適に形成することができる(詳細後述)。
【0080】
パッシベーション膜7は、第3配線層間膜3と、パッド9の周囲に位置する最上層配線33の表側の面の一部と、を覆うように形成されている。パッシベーション膜7には、第3配線層間膜3の開口3aに連なるような開口7aが形成されている。これら開口7a及び開口3aと、開口2aと、を介して、パッド9は半導体装置100の表側に臨まされている。
【0081】
第5バリアメタル層15は、パッド9に位置する最上層配線33と第2下層配線32との間、第3配線層間膜3の表側(図5の上側)の面と最上層配線33の裏側(図5の下側)の面との間、並びに、第3配線層間膜3の開口3aの内周壁と最上層配線33との間に、それぞれ介在している。
【0082】
更に、パッド9の周囲に位置する最上層配線33の表側(図5の上側)の面と、パッシベーション膜7との間には、第6バリアメタル層16が介在している。
【0083】
ここで、パッド9は、第1下層配線31、第2下層配線32、最上層配線33、第1バリアメタル層11、第3バリアメタル層13及び第5バリアメタル層15により構成されている。そして、本実施形態の場合、パッド9の表層部及び中層部には、凹凸形状が形成されている。この凹凸形状は、本実施形態の場合、例えば、最上層配線33、第5バリアメタル層15、第2下層配線32及び第3バリアメタル層13の4層構造となっている。本実施形態の場合、パッド9を構成する配線としては、第1下層配線31、第2下層配線32及び最上層配線33の3層の配線を備えるが、このうち最上層の配線から数えて2番目までの配線により凹凸形状が構成されている。すなわち、パッド9が複数層の配線(例えば、最上層配線33、第2下層配線32及び第1下層配線31の3層の配線)からなる積層構造をなし、この複数層の配線のうちの最上層の配線からn番目(nは2以上の整数)まで(本実施形態の場合、例えば、2番目まで)の配線により凹凸形状が構成されている。これにより、凹凸形状の高低差を十分に確保できるようになっている。
【0084】
なお、本実施形態の場合、凹凸形状を構成する最上層配線5及び第2下層配線32は、第1下層配線31上に、絶縁層を介さずに、島状に配置され、このことによっても、凹凸形状の高低差を十分に確保することができるとともに、第2下層配線32と第1下層配線31との密着性を高め、これら両配線の電気的接続をより確実に行うことができる。よって、凸部22の間隔を高い自由度で設計することが可能となり、パッド9の凹凸形状をプロービングのための最適な間隔に設定することが可能となる。
【0085】
次に、本実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する。なお、上記の第1の実施形態と重複する記載は適宜に省略する。
【0086】
先ず、第1配線層間膜1上に、第1バリアメタル層11を構成する金属膜と、第1下層配線31を構成する金属膜と、第2バリアメタル層12を構成する金属膜と、をこの順に成膜する。
【0087】
次に、これら3層の金属膜に対し、一括して、フォトリソグラフィを用いたパターニングを行う。このパターニングは、パッド9が形成される範囲と、後に形成されるビアホール6aの下側及びその周囲とに、第1バリアメタル層11、第1下層配線31及び第2バリアメタル層12が残留するように行う。
【0088】
次に、第2配線層間膜2を成膜する。これにより、第2配線層間膜2が、第2バリアメタル層12、第1下層配線31及び第1バリアメタル層11のパターンと、このパターンから露出している第1配線層間膜1と、を覆った状態となる。
【0089】
次に、フォトリソグラフィを用いたパターニングによって、この第2配線層間膜2にビアホール6aと開口2aとを一括して形成する。なお、このパターニングにおけるエッチングでは、例えば、パッド9の部分、並びに、プラグ6の直下における第2バリアメタル層12の除去も併せて行う。
【0090】
次に、第3バリアメタル層13を構成する金属膜を成膜する。
【0091】
次に、ビアホール6a内が埋まるように金属膜を成膜することにより、該ビアホール6a内にプラグ6を形成し、全面エッチバックを行うことにより、この金属膜のうちプラグ6のみを残留させ、残りは除去する。
【0092】
次に、第2下層配線32を構成する金属膜(例えば、アルミ膜)を成膜する。これにより、第2下層配線32が第2配線層間膜2、プラグ6及び第3バリアメタル層13を覆った状態となる。次に、第4バリアメタル層14を構成する金属膜を第2下層配線32上に成膜する。
【0093】
次に、第2下層配線32に対し、フォトリソグラフィを用いたパターニングを行う。このパターニングでは、パッド9以外の部分の第2下層配線32と、パッド9の部分に位置する第2下層配線32と、をそれぞれ所定のパターン形状に加工する。つまり、パッド9以外の部分の第2下層配線32のパターニングと、パッド9の部分に位置する第2下層配線32のパターニングと、を一括して行う。なお、ここでのパターニングでは、第2下層配線32だけでなく、その下層に位置する第3バリアメタル層13と、第2下層配線32の上層に位置する第4バリアメタル層14についても、一括してパターニングする。なお、後述するように、パッド9の部分の第2バリアメタル層12を残留させる構造でも良く、その場合、ここでは、第2バリアメタル層12についても一括してパターニングする。
【0094】
ここで、パッド9の部分に位置する第2下層配線32のパターン形状は、最上層配線33のパターン形状(後述)と同様にする。ただし、具体的には、例えば、図5に示すように、第2下層配線32のパターン上に最上層配線33のパターンが確実に載るように、第2下層配線32のパターン形状は、最上層配線33のパターン形状よりも太く(平面寸法を大きく)する。換言すれば、第2下層配線32のパターン形状は、最上層配線33のパターン形状よりも、凸部が広く、凹部が狭くなるようにする。第2下層配線32のパターンの頂部がなるべく平坦となるように、フォトリソグラフィ条件を適宜に設定する。ここで言う「平坦」の定義も、上記の第1の実施形態と同様である。
【0095】
次に、第3配線層間膜3を成膜する。これにより、第3配線層間膜3が、第4バリアメタル層14、第2下層配線32及び第3バリアメタル層13からなるパターン(パッド9以外の部分)と、第4バリアメタル層14、第2下層配線32、第3バリアメタル層13及び第2バリアメタル層12からなるパターン(パッド9の部分)と、これらのパターンから露出している第1下層配線31と、を覆った状態となる。
【0096】
次に、フォトリソグラフィを用いたパターニングによってこの第3配線層間膜3にビアホール41a及び開口3aを形成する。
【0097】
次に、第5バリアメタル層15を構成する金属膜(例えば、チタン、又は窒化チタンからなる)を成膜する。
【0098】
次に、ビアホール41a内が埋まるように金属膜を成膜することにより、該ビアホール41a内にプラグ41を形成し、全面エッチバックを行うことにより、この金属膜のうちプラグ41となる部分のみを残留させ、残りは除去する。
【0099】
次に、最上層配線33を構成する金属膜(例えば、アルミ膜)を成膜する。これにより、最上層配線33が第3配線層間膜3、プラグ41及び第5バリアメタル層15を覆った状態となる。次に、第6バリアメタル層16を構成する金属膜(例えば、チタン、又は窒化チタンからなる)を最上層配線33上に成膜する。
【0100】
次に、最上層配線33に対し、フォトリソグラフィを用いたパターニングを行う。このパターニングでは、パッド9以外の部分の最上層配線33と、パッド9の部分に位置する最上層配線33と、をそれぞれ所定のパターン形状に加工する。つまり、パッド9以外の部分の最上層配線33のパターニングと、パッド9の部分に位置する最上層配線33のパターニングと、を一括して行う。なお、ここでのパターニングでは、最上層配線33だけでなく、その下層に位置する第5バリアメタル層15と、最上層配線33の上層に位置する第6バリアメタル層16についても、一括してパターニングする。
【0101】
ここで、パッド9の部分に位置する最上層配線33のパターン形状は、例えば図5に示すように、上記の第1の実施形態の場合においてパッド9の部分に位置する最上層配線5のパターン形状と同様となるようにする。
【0102】
次に、パッシベーション膜7を成膜する。次に、フォトリソグラフィを用いたパターニングにより、パッド9の部分に位置するパッシベーション膜7に開口7aを形成する。
【0103】
次に、この開口7aを介してエッチングすることにより、該開口7a内に位置する第6バリアメタル層16を除去する。
【0104】
これにより、図5に示す半導体装置200が得られる。
【0105】
次に、動作を説明する。
【0106】
半導体装置200の電気的特性の検査を、上記の第1の実施形態と同様に行う。すなわち、例えば、先ず、半導体装置200と、検査装置(全体図示略)のプローブ8(図3)と、の位置合わせを行った後、プローブ8を半導体装置200に対して相対的に下降させる。その結果、プローブ8の先端部8aが半導体装置200のパッド9に接触した状態となる。このように接触した状態で、プローブ8をオーバードライブさせる。
【0107】
これにより、上記の第1の実施形態と同様に、プローブ8の先端部8aがパッド9の表面に沿って滑動する際に、該先端部8aでこの絶縁物を掻き取るようにして剥がすことができる。よって、プローブ8とのパッド9とを低抵抗で電気的に接続させることが可能となり、半導体装置200の電気的特性の検査を適切に行うことができる。
【0108】
また、本実施形態の場合、パッド9の凹凸形状は、複数層の配線(例えば、最上層配線33及び第2下層配線32の2層の配線)からなるので、凹凸形状の高低差を十分に確保することができる。すなわち、第2下層配線32の膜厚は、半導体装置200の使用時(検査装置による検査時ではなく)に該第2下層配線32に流す電流の大きさに応じて適宜に設定されているが、この第2下層配線32の膜厚では凹凸形状の高低差が不足する場合に、この第2下層配線32上に更に最上層配線33を設けることにより、凹凸形状の高低差を十分に確保することができる。
【0109】
なお、念のために言及すると、図5では、主にパッド9の層構造を説明できるような示し方をしており、パッド9の表層部における凹凸の数を極端に少なくしている。実際には、パッド9には、例えば多数の凹凸が形成されており、このパッド9上でプローブ8を不都合無くオーバードライブできるようになっている。
【0110】
以上のような第2の実施形態によれば、上述の第1の実施形態と同様の効果が得られる他に、以下の効果が得られる。
【0111】
すなわち、第2の実施形態によれば、パッド9は複数層の配線(本実施形態の場合、例えば、最上層配線33、第2下層配線32及び第1下層配線31の3層の配線)からなる積層構造をなし、複数層の配線のうちの最上層の配線からn番目(nは2以上の整数)までの配線(本実施形態の場合、例えば、最上層配線33及び第2下層配線32の2層の配線)により凹凸形状が構成されているので、1層の配線では凹凸形状の高低差が不足する場合に、その高低差を十分に確保することができる。
【0112】
なお、第2の実施形態では、凹凸形状を2層の配線により構成する例を説明したが、3層以上の配線により構成しても良い。
【0113】
また、第2の実施形態では、パッドが複数層の配線からなる積層構造をなし、これら複数層の配線のうちの最上層の配線からn番目(nは2以上の整数)までの配線により凹凸形状を構成するようにしたが、パッドがm層(mは3以上の整数)の配線からなる積層構造をなし、これらm層の配線のうちの最上層の配線からn番目(nは2以上、且つ、m−1以下の整数)までの配線により凹凸形状を構成するようにしても良い。
【0114】
上記の各実施形態では、フォトリソグラフィを用いたパターニングによって、凹凸形状を形成する例を説明したが、凸部の頂部を平坦にできれば、その他の方法によって凹凸形状を形成しても良い。
【0115】
また、凹凸形状における凸部22の断面形状は、頂部が平坦であればよく、例えば、図6(a)に示すような台形状であっても良いし、或いは、図6(b)に示すように、凸部22の側面が曲線的なテーパー状になっていても良い。ただし、図6(a)、図1及び図5に示すように、頂部と側面との境界に角がある方が、より確実に絶縁物を剥がすことができるため好ましい。
【0116】
また、パッド9の部分及びプラグ6の直下における第2バリアメタル層12を除去する例を説明したが、これらの部分の第2バリアメタル層12を残留させても良い。また、第1の実施形態では、プラグ6と最上層配線5との間にバリアメタル層が存在していても良い。また、第2の実施形態では、第2下層配線32とプラグ41との間、プラグ41と最上層配線33との間にも、それぞれバリアメタル層が存在していても良い。
【符号の説明】
【0117】
1 第1配線層間膜
2 第2配線層間膜
2a 開口
3 第3配線層間膜
3a 開口
4 下層配線(配線)
5 最上層配線(配線)
6 プラグ
6a ビアホール
7 パッシベーション膜
7a 開口
8 プローブ
8a 先端部
9 パッド
11 第1バリアメタル層
12 第2バリアメタル層
13 第3バリアメタル層
14 第4バリアメタル層
15 第5バリアメタル層
16 第6バリアメタル層
21 凹部
22 凸部
31 第1下層配線(配線)
32 第2下層配線(配線)
33 最上層配線
41 プラグ
41a ビアホール
100 半導体装置
200 半導体装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的特性の検査を行う検査装置のプローブが接触されるパッドを備え、
前記パッドの少なくとも表層部には、凹部の内径が前記プローブの先端部よりも小径であり、凸部の頂部が平坦である凹凸形状が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記パッドの前記凹凸形状は、フォトリソグラフィを用いたパターニングにより形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記パッドは複数層の配線からなる積層構造をなし、前記複数層の配線のうちの最上層の配線により前記凹凸形状が構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記パッドは複数層の配線からなる積層構造をなし、前記複数層の配線のうちの最上層の配線からn番目(nは2以上の整数)までの配線により前記凹凸形状が構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記複数層の配線には、前記凹凸形状を構成する配線と、その下層の配線と、が含まれ、
前記凹凸形状を構成する配線は、前記下層の配線上に、絶縁層を介さずに、島状に配置されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の半導体装置。
【請求項6】
電気的特性の検査を行う検査装置のプローブが接触されるパッドを形成する工程を備え、
前記工程は、前記パッドの少なくとも表層部に、凹部の内径が前記プローブの先端部よりも小径であり、凸部の頂部が平坦である凹凸形状を形成する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
電気的特性の検査を行う検査装置のプローブが接触されるパッドを形成する工程を備え、
前記工程は、前記パッドの少なくとも表層部に、凹部の内径が前記プローブの先端部よりも小径である凹凸形状を、フォトリソグラフィを用いたパターニングにより形成する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−192618(P2010−192618A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−34448(P2009−34448)
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】