説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】自己整合的にバリア膜を形成する配線構造の信頼性を向上できるようにする。
【解決手段】半導体基板の上に酸素及び炭素を含む層間絶縁膜11を形成し、該層間絶縁膜11に溝部13を形成し、溝部13の底面上及び側壁上に所定の第1の金属元素及び第2の金属元素を含む補助膜14を形成し、熱処理を行い、銅を主成分とする配線本体層19を、溝部13の内部を埋め込むように形成する。熱処理を行うことにより、補助膜14中の第1の金属元素を補助膜14と対向する層間絶縁膜11に拡散させ、溝部13の底面及び側壁における層間絶縁膜11の上において、第1の金属元素と層間絶縁膜11の酸素元素との化合物を主成分とする第1のバリア膜15を形成させた後、補助膜14中の第2の金属元素が補助膜14と対向する層間絶縁膜11に拡散させ、第2の金属元素と層間絶縁膜11の炭素元素との化合物を主成分とする第2のバリア膜17を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関し、特に、ダマシン配線構造を有する半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、シリコン(Si)を用いた半導体集積回路において、高速化及び高集積化のために銅(Cu)と低誘電率絶縁膜とを用いた配線構造が開発されている。Cuを用いた配線構造の場合、集積回路の製造に用いられる種々の熱処理中に、Cu層(配線本体層)と周辺の絶縁膜とによる相互拡散が生じ易く、また、Cu層は酸素雰囲気において容易に酸素(O)と反応してCu酸化膜を形成する。このため、Cu層を形成する前に、タンタル(Ta)及び窒化タンタル(TaN)等からなるバリア膜を形成することが必要である。特に、ダマシン配線構造のように、層間絶縁膜の内部にCu層を埋め込む場合、Cuが層間絶縁膜の中に拡散することがより顕著となるため、拡散バリア膜の形成が必須である。
【0003】
Cuを用いた配線構造の信頼性を確保するために、現状のプロセス技術では、厚さが10nm以上のバリア膜が必要である。また、今後の配線幅の縮小化に伴う配線抵抗の低減をはかるために、バリア膜の厚さを世代毎に薄膜化することが要求されている。しかしながら、従来のバリア膜の形成方法では、バリア膜を配線溝及びビアホール(配線接続孔)の側壁に均一且つ均質に形成することが難しい。このため、バリア膜のバリア性、バリア膜とCu層との界面密着性及び界面拡散によるエレクトロマイグレーション耐性が確保できない等の配線構造の信頼性の問題が顕在化している。
【0004】
これらの問題を解決しつつ、バリア膜の厚さを小さくするための方法として、Cu層に添加した金属元素を熱処理によってCu層と絶縁膜との界面に拡散させ、絶縁膜と反応させて安定化合物を形成し、これをバリア膜とすることが提案されている。
【0005】
これまでにCu中における拡散速度が速く、且つ絶縁膜中の酸素と反応するマンガン(Mn)等の元素を用いてバリア膜を自己整合的に形成する方法が特許文献1等に提示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−277390号公報
【特許文献2】米国特許第6846515号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年の半導体開発においては、層間絶縁膜の低誘電率化が求められているため、層間絶縁膜を構成する元素に含まれる炭素(C)の割合が増加しており、原子%にして20%以上の炭素を含んでいる場合もある。これらの絶縁膜の中には局所的に酸素(O)濃度が低い領域が存在することが考えられ、前記のように金属元素を用いて自己整合的にバリア膜を形成する際に、形成されるバリア膜が薄くなること等が起こるため、均一な膜が形成されないおそれがある。また、超低誘電率膜といわれる膜には、炭素と水素(H)とを主成分とする揮発性が高い物質を添加しているものがある(例えば、特許文献2等を参照。)。このような物質が絶縁膜とCu層との界面に存在している場合、自己整合的にバリア膜を形成させることは極めて困難である。
【0008】
そこで、本発明は、前記従来の問題に鑑み、その目的は、炭素の含有量が大きい絶縁膜を使用する場合であっても、自己整合的にバリア膜を形成する配線構造の信頼性を向上できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するために、本発明は、バリア膜を少なくとも2種類の金属元素と層間絶縁膜の構成元素との化合物を主成分とする構成とする。
【0010】
具体的に、本発明に係る半導体装置は、半導体基板の上に形成され、溝部を有する層間絶縁膜と、溝部の底面上及び側壁上に形成されたバリア膜と、バリア膜の上に溝部を埋め込むように形成され、銅を主成分とする配線本体層とを備え、バリア膜は、少なくとも2種類の金属元素と層間絶縁膜の構成元素との化合物を主成分とすることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る半導体装置によると、炭素の含有量が大きい絶縁膜を有していながら、自己整合的に信頼性が高いバリア膜を得ることができるため、配線構造の信頼性を向上できる。
【0012】
本発明に係る半導体装置は、配線本体層の下側に形成され、配線本体層の一部と接続される接続部を有する導電層をさらに備え、バリア膜は、導電層と配線本体層との接続部には介在しないことが好ましい。
【0013】
本発明に係る半導体装置において、バリア膜は、配線本体層の上面にも形成されていることが好ましい。
【0014】
本発明に係る半導体装置において、少なくとも2種類の金属元素は、シリコン、酸素及び炭素と化合物を作りやすい第1の金属元素と、シリコン、酸素及び炭素と化合物を作りやすく且つ銅の中における拡散が第1の金属元素よりも遅い第2の金属元素を含むことが好ましい。
【0015】
この場合、第1の金属元素の酸化物及び第2の金属元素の炭化物は、銅に対する拡散バリア性を有することが好ましい。
【0016】
さらに、この場合、第2の金属元素は、第1の金属元素との間に金属間化合物を作らない元素であることが好ましい。
【0017】
さらに、この場合、第1の金属元素は、マンガン、ニオブ、ジルコニウム、クロム、バナジウム、イットリウム、テクネチウム及びレニウムからなる群から選択された少なくとも1つの元素であり、
第2の金属元素は、タンタル又はチタンの少なくとも1つの元素であることが好ましい。
【0018】
本発明に係る半導体装置において、層間絶縁膜は、シリコン及び酸素を主成分とし、炭素を原子%にして20%以上含む低誘電率膜であり、局所的に炭素の濃度が高い部分を有する膜であることが好ましい。
【0019】
本発明に係る半導体装置において、層間絶縁膜は、シリコン及び酸素を主成分とする空孔を有する低誘電率膜であり、且つ空孔を形成するために炭素を主成分とする揮発性の化合物を含むことが好ましい。
【0020】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板の上に酸素及び炭素を含む層間絶縁膜を形成し、該層間絶縁膜に溝部を形成する工程(a)と、溝部の底面上及び側壁上に所定の第1の金属元素及び第2の金属元素を含む補助膜を形成する工程(b)と、工程(b)よりも後に、銅を主成分とする配線本体層を、溝部を埋め込むように形成する工程(c)と、工程(b)よりも後に、補助膜に対して熱処理を行う工程(d)とを備え、工程(d)において、補助膜中の第1の金属元素を補助膜と対向する層間絶縁膜に拡散させ、溝部の底面及び側壁における層間絶縁膜の上において、第1の金属元素と層間絶縁膜の酸素元素との化合物を主成分とする第1のバリア膜を形成した後、補助膜中の第2の金属元素が補助膜と対向する層間絶縁膜に拡散させ、第2の金属元素と層間絶縁膜の炭素元素との化合物を主成分とする第2のバリア膜を形成することを特徴とする。
【0021】
本発明に係る半導体装置の製造方法によると、炭素の含有量が大きい絶縁膜を形成しても、自己整合的に信頼性が高いバリア膜を形成することができるため、配線構造の信頼性を向上できる。
【0022】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、工程(c)の後に、配線本体層の上に上側絶縁膜を形成する工程(e)をさらに備え、工程(e)の後に工程(d)を行って、補助膜中の第1の金属元素及び第2の金属元素を配線本体層の上部にも拡散させて、第1の金属元素及び第2の金属元素と上側絶縁膜の構成元素との化合物を主成分とする反応生成物からなる膜を配線本体層の上部に形成することが好ましい。
【0023】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、工程(c)の後に、酸素を含む雰囲気内において工程(d)を行って、補助膜中の第1の金属元素及び第2の金属元素を配線本体層の上部にも拡散させ、第1の金属元素の酸化物及び第2の金属元素の酸化物を主成分とする反応生成物からなる膜を配線本体層の上部に形成することが好ましい。
【0024】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、第1の金属元素及び第2の金属元素は、補助膜にのみ含まれていることが好ましい。
【0025】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、補助膜は、第1の金属元素及び第2の金属元素を含む単層膜、又は第1の金属元素を含み且つ第2の金属元素を含まない膜と第1の金属元素を含まないで且つ第2の金属元素を含む膜との積層膜により構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る半導体装置及びその製造方法によると、自己整合的に信頼性が高いバリア膜を形成することができるため、配線構造の信頼性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】(a)〜(d)は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図2】(a)〜(c)は、本発明の第1の実施形態の一変形例に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図3】(a)〜(c)は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図4】本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の構造を示す断面図である。
【図5】(a)〜(d)は、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図6】(a)〜(c)は、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す断面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態の一変形例に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法について、図1(a)〜(d)を参照しながら説明する。
【0029】
まず、図1(a)に示すように、局所的に炭素(C)の濃度が大きい領域である炭素高濃度領域12を含む、炭素含有酸化シリコン(SiOC)からなる層間絶縁膜11に配線溝13を形成する。次に、この配線溝13の底面上及び側壁上並びに配線溝13の周辺の層間絶縁膜11の上に銅(Cu)、マンガン(Mn)及びタンタル(Ta)からなる合金補助膜14を形成する。合金補助膜14は、例えばスパッタ法により厚さを5nm〜100nm程度に形成する。合金補助膜14におけるMnの含有量は、原子%にして約0.05%〜20%であり、Taの含有量は、原子%にして約0.05%〜5%である。合金補助膜14は、後述するCu層19を電解めっき法を行う際のシード層として機能する。また、合金補助膜14はCuとMnとの合金からなる膜とCuとTaとの合金からなる膜の積層膜でもよい。
【0030】
次に、図1(b)に示すように、約100℃〜400℃で5分〜30分程度、例えば300℃で5分の熱処理を行う。これにより、合金補助膜14中のMn及びTaはCuの中から排出される方向の力を受ける。Mnの方がTaよりもCu中の拡散速度が速いため、まず、合金補助膜14中のMnが、合金補助膜14と対向する層間絶縁膜11に拡散する。このようにして合金補助膜14から供給されたMnが、層間絶縁膜11の構成元素のうちの1つである酸素(O)と反応する。その結果、厚さが約5nm以下、例えば2nmの極めて安定な化合物である酸化マンガン(MnO)を主成分とする第1のバリア膜15が、配線溝13の底面上及び側壁上並びに配線溝13の周辺の層間絶縁膜11の上に自己整合的に形成される。一方、炭素高濃度領域12の付近では第1のバリア膜15の形成が阻害される。また、第1のバリア膜15が形成されると共に、合金補助膜14における層間絶縁膜11と反対側の部分は、CuとTaとの合金膜16となる。
【0031】
続いて、図1(c)に示すように、合金膜16中のTaが、合金膜16と対向する層間絶縁膜11に拡散する。第1のバリア膜15の形成が阻害された領域では層間絶縁膜11の構成元素のうちの1つである炭素と反応する。その結果、厚さが約5nm以下、例えば2nmの極めて安定な化合物である炭化タンタル(TaC)を主成分とする第2のバリア膜17が、第1のバリア膜15の形成が阻害された領域に自己整合的に形成される。なお、合金膜16における層間絶縁膜11と反対側の部分は、Mn及びTaの含有量の少ないCu膜18となる。
【0032】
次に、図1(d)に示すように、電解めっき法により配線本体層となるCu層19を形成することにより、配線溝13にCu層19を埋め込む。これ以降は図示しないが、化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing:CMP)法等の平坦化処理によって配線溝13の外部のCu層19を研磨除去することにより、Cu層19である低抵抗の配線本体層を配線溝13に形成する。
【0033】
本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法によると、炭素の含有量が大きい絶縁膜を形成しても、自己整合的に信頼性が高いバリア膜を形成できるため、配線構造の信頼性を向上することができる。
【0034】
(第1の実施形態の一変形例)
本発明の第1の実施形態の一変形例に係る半導体装置の製造方法について、図2(a)〜(c)を参照しながら説明する。層間絶縁膜11〜合金補助膜14の製造方法は、第1の実施形態における図1(a)と同一であるため、説明を省略する。
【0035】
まず、図2(a)に示すように、電解めっき法により配線本体層となるCu層19を形成し、配線溝13にCu層19を埋め込む。
【0036】
次に、図2(b)に示すように、約100℃〜400℃で5分〜30分程度、例えば300℃で5分の熱処理を行う。これにより、合金補助膜14中のMn及びTaはCuの中から排出される方向の力を受ける。Mnの方がTaよりもCu中の拡散速度が速いため、まず、合金補助膜14中のMnが、合金補助膜14と対向する層間絶縁膜11に拡散する。このようにして合金補助膜14から供給されたMnが、層間絶縁膜11の構成元素のうちの1つである酸素と反応する。その結果、厚さが約5nm以下、例えば2nmの極めて安定な化合物である酸化マンガン(MnO)を主成分とする第1のバリア膜15が、配線溝13の底面上及び側壁上並びに配線溝13の周辺の層間絶縁膜11の上に自己整合的に形成される。一方、炭素高濃度領域12の付近では第1のバリア膜15の形成が阻害される。また、第1のバリア膜15が形成されると共に、合金補助膜14における層間絶縁膜11と反対側の部分は、CuとTaとの合金膜16となる。
【0037】
続いて、図2(c)に示すように、合金膜16中のTaが、合金膜16と対向する層間絶縁膜11に拡散する。第1のバリア膜15の形成が阻害された領域では層間絶縁膜11の構成元素のうちの1つである炭素と反応する。その結果、厚さが約5nm以下、例えば2nmの極めて安定な化合物である炭化タンタル(TaC)を主成分とする第2のバリア膜17が、第1のバリア膜15の形成が阻害された領域に自己整合的に形成される。なお、合金膜16における層間絶縁膜11と反対側の部分は、Mn及びTaの含有量が少なくなり、実質的にCu層19である配線本体層と一体となる。
【0038】
これ以降は図示しないが、CMP法等によって配線溝13の外部のCu層19を研磨除去することにより、Cu層19である低抵抗の配線本体層を配線溝13に形成する。
【0039】
本発明の第1の実施形態の一変形例に係る半導体装置の製造方法によると、炭素の含有量が大きい絶縁膜を形成しても、自己整合的に信頼性が高いバリア膜を形成できるため、配線構造の信頼性を向上することができる。
【0040】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法について、図3(a)〜(c)を参照しながら説明する。層間絶縁膜11〜合金補助膜14の製造方法は、第1の実施形態における図1(a)と同一であるため、説明を省略する。
【0041】
図3(a)に示すように、電解めっき法により配線本体層となるCu層19を形成し、配線溝13にCu層19を埋め込む。続いて、層間絶縁膜11の外部のCu層19及び合金補助膜14をCMP法等により研磨除去し、Cu層19である低抵抗の配線本体層を配線溝13に形成する。次に、層間絶縁膜11、合金補助膜14及びCu層19を覆うように、炭素を含む、例えば、炭化シリコン(SiC)、窒素含有炭化シリコン(SiCN)又は窒化シリコン(SiN)からなる上側絶縁膜20を形成する。
【0042】
次に、図3(b)に示すように、約100℃〜400℃で5分〜30分程度、例えば300℃で5分の熱処理を行う。これにより、合金補助膜14中のMn及びTaはCuの中から排出される方向の力を受ける。Mnの方がTaよりもCu中の拡散速度が速いため、まず、合金補助膜14中のMnが、合金補助膜14と対向する層間絶縁膜11に拡散する。このようにして合金補助膜14から供給されたMnが、層間絶縁膜11の構成元素のうちの1つである酸素と反応する。その結果、厚さが約5nm以下、例えば2nmの極めて安定な化合物である酸化マンガン(MnO)を主成分とする第1のバリア膜15が、配線溝13の底面上及び側壁上に自己整合的に形成される。一方、炭素高濃度領域12の付近では第1のバリア膜15の形成が阻害される。また、第1のバリア膜15が形成されると共に、合金補助膜14における層間絶縁膜11と反対側の部分はCuとTaとの合金膜16となる。
【0043】
続いて、図3(c)に示すように、合金膜16中のTaが、合金膜16と対向する層間絶縁膜11に拡散すると共に、Cu層19の上面にも拡散する。Taは第1のバリア膜15の形成が阻害された領域では層間絶縁膜11の構成元素の1つである炭素と反応する。また、Taは上側絶縁膜20の構成元素のうちの1つである炭素とも反応する。その結果、厚さが約5nm以下、例えば2nmの極めて安定な化合物である炭化タンタル(TaC)を主成分とする第2のバリア膜17が、第1のバリア膜15の形成が阻害された領域及びCu層19の上面に自己整合的に形成される。なお、合金膜16における層間絶縁膜11と反対側の部分は、Mn及びTaの含有量が少なくなり、実質的にCu層19である配線本体層と一体となる。
【0044】
本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法によると、炭素の含有量が大きい絶縁膜を形成しても、自己整合的に信頼性が高いバリア膜を形成できるため、配線構造の信頼性を向上することができる。
【0045】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る半導体装置について、図4を参照しながら説明する。
【0046】
図4に示すように、例えばSIOCからなり、溝部を有する下部層間絶縁膜21の溝部の底面上及び側壁上には下部バリア膜22が形成されている。下部バリア膜22の上には、下部層間絶縁膜21の溝部を埋め込むように導電層である下部Cu層(下部配線本体層)23が形成されている。さらに、下部層間絶縁膜21、下部バリア膜22及び下部Cu層23の上に下部拡散防止膜(上側絶縁膜)24が形成されており、下部拡散防止膜24の上には、溝部を有し、局所的に炭素の濃度が高い炭素高濃度領域26を含む上部層間絶縁膜25が形成されている。上部層間絶縁膜25の溝部の底面には、下部拡散防止膜24を貫通し、下部Cu層23に達する配線接続孔27aが形成されている。上部層間絶縁膜25の溝部の底面上及び側壁上並びに配線接続孔27aの側壁には、第1の上部バリア膜29及び第2の上部バリア膜31が形成されており、第1の上部バリア膜29及び第2の上部バリア膜31の上には、配線接続孔27a及び上部層間絶縁膜25の溝部を埋め込むように上部Cu層(上部配線本体層)33が形成されている。下部拡散防止膜24と接する領域及び炭素高濃度領域26付近の領域における第2の上部バリア膜31は、TaCからなり、上部層間絶縁膜25と接する領域における第1の上部バリア膜29は、MnOからなる。さらに、上部層間絶縁膜25、第1の上部バリア膜29及び上部Cu層33を覆うように上部拡散防止膜(上側絶縁膜)34が形成されている。
【0047】
本発明の第3の実施形態に係る半導体装置によると、炭素の含有量が大きい絶縁膜を有しながら、自己整合的に信頼性が高いバリア膜を得ることができるため、配線構造の信頼性を向上することができる。
【0048】
次に、本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法について、図5(a)〜(d)及び図6(a)〜(c)を参照しながら説明する。本実施形態に係る半導体装置の製造方法は、第1の実施形態をデュアルダマシン配線構造の製造方法に適用したものである。
【0049】
まず、図5(a)に示すように、例えばSiOC膜からなる下部層間絶縁膜21に配線溝を形成し、この配線溝の底面上及び側壁上に、下部バリア膜22を形成し、下部バリア膜22を覆って且つ配線溝を埋め込むように下部Cu層(下部配線本体層)23を形成する。なお、下部バリア膜22及び下部Cu層23は、第1の実施形態、第1の実施形態の一変形例及び第2の実施形態に係る方法によって形成でき、ここでは、説明を省略する。続いて、下部層間絶縁膜21、下部バリア膜22及び下部Cu層23を覆うように、SiN又はSiCN等からなる下部拡散防止膜24を形成する。
【0050】
次に、図5(b)に示すように、下部拡散防止膜24の上にSiOCからなり、局所的に炭素の濃度が大きい領域である炭素高濃度領域26を含み、厚さが100nm〜600nm程度である上部層間絶縁膜25を形成する。続いて、上部層間絶縁膜25に配線溝27bを形成し、さらに、下部拡散防止膜24を貫通し、下部Cu層23を露出する配線接続孔27aを形成する。
【0051】
次に、図5(c)に示すように、配線接続孔27aの底面上及び側壁上、配線溝27bの底面上及び側壁上並びに配線溝27bの周辺の上部層間絶縁膜25の上に、例えば化学気相成長(Chemical Vapor Deposition:CVD)法により厚さ5nm〜100nm程度のCu、Mn及びTaの合金補助膜28を形成する。ここで、合金補助膜28は、CVD法に限らず、物理気相成長(Physical Vapor Deposition:PVD)法又は無電解めっき法等の方法によっても形成することができる。CVD法の場合にはMn及びTaを含む原料ガスを用い、無電解めっき法の場合にはMn及びTaを含むめっき液を用いる。Cu、Mn及びTaの合金補助膜28は、原子%にしてMnを約0.05%〜20%、Taを約0.05%〜5%含むことが望ましい。Mn及びTaを上部層間絶縁膜25にまで拡散させる熱処理は、約50℃〜400℃の温度で、60分以下程度で行うことが望ましい。
【0052】
次に、図5(d)に示すように、約100℃〜400℃で5分〜30分程度、例えば300℃で5分の熱処理を行う。これにより、合金補助膜28中のMn及びTaはCuの中から排出される方向の力を受ける。Mnの方がTaよりもCu中の拡散速度が速いため、まず、合金補助膜28中のMnが、合金補助膜28と対向する上部層間絶縁膜25に拡散する。このようにして合金補助膜28から供給されたMnが、上部層間絶縁膜25の構成元素のうちの1つである酸素と反応する。その結果、厚さが約5nm以下、例えば2nmの極めて安定な化合物である酸化マンガン(MnO)を主成分とする第1の上部バリア膜29が、配線接続孔27aの側壁における上部層間絶縁膜25と接する部分、配線溝27bの底面上及び側壁上並びに配線溝27bの周辺の上部層間絶縁膜25の上に自己整合的に形成される。一方、炭素高濃度領域26の付近では第1の上部バリア膜29の形成が阻害される。また、第1の上部バリア膜29が形成されると共に、合金補助膜28における上部層間絶縁膜25と反対側の部分はCuとTaとの合金膜30となる。
【0053】
続いて、図6(a)に示すように、合金膜30中のTaが、合金膜30と対向する上部層間絶縁膜25及び下部拡散防止膜24に拡散する。これにより拡散されたTaが、配線接続孔27aの側壁における下部拡散防止膜24と接する領域及び第1の上部バリア膜29の形成が阻害された領域において、下部拡散防止膜24及び上部層間絶縁膜25の構成元素の1つである炭素と反応する。その結果、厚さが約5nm以下、例えば2nmの極めて安定な化合物である炭化タンタル(TaC)を主成分とする第2の上部バリア膜31が、配線接続孔27aの側壁における下部拡散防止膜24と接する領域及び第1の上部バリア膜29の形成が阻害された領域に自己整合的に形成される。なお、合金膜30における上部層間絶縁膜25及び下部拡散防止膜24と反対側の部分は、Mn及びTaの含有量の少ないCu膜32となる。このとき、配線接続孔27aの底面には、下部拡散防止膜24及び上部層間絶縁膜25が形成されていないため、第1の上部バリア膜29及び第2の上部バリア膜31は形成されず、Cu膜32のみが形成される。従って、後に形成される上部Cu層(上部配線本体層)33は、下部Cu層(下部配線本体層)23に対して、第1の上部バリア膜29及び第2の上部バリア膜31を介することなく実質的に直接に接続することとなる。
【0054】
次に、図6(b)に示すように、電解めっき法により全面に厚さ0.8μm〜1μmの上部Cu層を堆積し、配線接続孔27a及び配線溝27bの内部を上部Cu層33により埋め込む。
【0055】
次に、図6(c)に示すように、配線溝27bの外部の上部Cu層33をCMP法により除去して表面を平坦化する。続いて、上部層間絶縁膜25及び上部Cu層33を覆うようにSiC、SiCN、又はSiN等からなる上部拡散防止膜34を形成する。
【0056】
本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法によると、上部配線本体層となる上部Cu層33とSiOCからなる上部層間絶縁膜25との界面に、MnOを主成分とする第1の上部バリア膜29及びTaCを主成分とする第2の上部バリア膜31がそれぞれ自己整合的に形成される。また、上部配線本体層となる上部Cu層33と下部配線本体層となる下部Cu層23とは第1の上部バリア膜29及び第2の上部バリア膜31を介在することなく実質的に直接接触しているため、これらの配線層間のコンタクト抵抗を低くすることができる。従って、配線の電気抵抗を上昇させることなく、バリア膜の自己形成プロセスによりCu配線を形成することができ、配線構造の信頼性の向上及び低抵抗化を可能とする。
【0057】
なお、本実施形態では、第1の実施形態を利用したが、第1の実施形態の一変形例及び第2の実施形態を利用しても同様の効果が得られる。
【0058】
(第3の実施形態の一変形例)
本発明の第3の実施形態の一変形例に係る半導体装置の製造方法について、図7を参照しながら説明する。
【0059】
本変形例は、第1の実施形態をシングルダマシン配線構造に適用したものである。この装置の基本的な製造方法は、第3の実施形態と概ね同一であるが、以降に異なる点について説明する。
【0060】
まず、第3の実施形態と同様に、図5(a)に示す構造を形成する。
【0061】
次に、図7に示すように、下部拡散防止膜24の上にSiOCからなり、炭素高濃度領域36を含む中部層間絶縁膜35を堆積し、中部層間絶縁膜35に下部Cu層23との接続のための配線接続孔37を形成する。次に、配線接続孔37の側壁上に、例えばCVD法により厚さが約5nm〜100nmのCu、Mn及びTaからなる合金膜を形成する。次に、熱処理を行うことにより、配線接続孔37の側壁にMnOからなる第1の中部バリア膜38及びTaCからなる第2の中部バリア膜39を形成する。次に、第1の中部バリア膜38及び第2の中部バリア膜39を覆って且つ配線接続孔37を埋め込むように中部Cu層40を形成し、配線接続孔37の外部の中部Cu層40をCMP法により除去する。
【0062】
次に、前記と同様の工程を行って、炭素高濃度領域42を含む上部層間絶縁膜41、上部配線溝43及びMnOからなる第1の上部バリア膜44及びTaCからなる第2の上部バリア膜45を形成し、上部配線溝43に上部Cu層46を埋め込む。ここで、第1の上部バリア膜44及び第2の上部バリア膜45は、中部Cu層40の上には形成せず、上部Cu層46と中部Cu層40とは接続される。次に、配線溝の外部の上部Cu層46をCMP法により除去した後に、上部層間絶縁膜41、第1の上部バリア膜44及び上部Cu層46を覆うように上部拡散防止膜(上側絶縁膜)47を形成する。
【0063】
このような構成においても、配線接続孔37及び上部配線溝43に埋め込まれた中部Cu層40及び上部Cu層46と中部層間絶縁膜35及び上部層間絶縁膜41との間にはMnOからなる第1の中部バリア膜38及び第1の上部バリア膜44並びにTaCからなる第2の中部バリア膜39及び第2の上部バリア膜45が形成される。また、下部Cu層23と接続プラグである中部Cu層40とが直接に接続し、中部Cu層40と上部配線本体層である上部Cu層46とが直接に接続する。従って、第3の実施形態の一変形例においても第3の実施形態と同様の効果が得られる。
【0064】
なお、本変形例では、第1の実施形態を利用したが、第1の実施形態の一変形例及び第2の実施形態を利用しても同様の効果が得られる。
【0065】
以上の第1の実施形態〜第3の実施形態の一変形例において、配線本体層としてCuを用いた場合を例示しているが、配線本体層は、Cuを主成分(すなわち、50%以上を含む。)とする、例えば、一般に配線として用いられるCu合金からなる場合も、上述と同様の効果が得られる。
【0066】
バリア膜を形成する際に、Cu中の拡散速度が速く酸素と反応する金属元素(第1の金属元素)は、Mnに限るものではなく、Mn、ニオブ(Nb)、ジルコニウム(Zr)、クロム(Cr)、バナジウム(V)、イットリウム(Y)、テクネチウム(Tc)、及びレニウム(Re)からなる群から選択された少なくとも1つの元素を備えていても構わない。
【0067】
また、バリア膜を形成する際に、Cu中の拡散速度が遅く炭素と反応する金属元素(第2の金属元素)は、Taに限るものではなく、Ta又はTi(チタン)の少なくとも1つの元素を備えていても構わない。
【0068】
第2の金属元素として上に挙げた金属元素を加えることによって、従来の第1の金属元素のみにより構成される構造と比べて、次のような利点を有する。
【0069】
第1の金属元素はCu中における拡散が速くて且つ酸化物を形成しやすく、その酸化物は安定なバリア膜として機能する。一方、層間絶縁膜の構成元素の中で炭素の占める割合が大きく(すなわち、原子%にして20%以上を含む。)なると、局所的に酸素が存在しない領域又は酸素が非常に少ない領域が存在する。その領域では第1の金属元素の酸化物を主成分とするバリア膜は形成されないため、配線の信頼性を確保することが難しくなる。第2の金属元素はCu中における拡散が遅く、炭化物を形成しやすい。第2の金属元素を追加することにより、第1の金属元素による酸化物の形成を阻害することなく、さらに、酸化物が形成されていない領域においては第2の金属元素による炭化物を形成することができる。その炭化物はバリア膜として機能する。
【0070】
また、層間絶縁膜の材料としては必ずしもSiOCに限らず、酸素及び炭素を含む種々の絶縁膜を用いることができ、原子%にして炭素の割合は20%以上である。具体的には、層間絶縁膜の材料として、SiO又はSiO等を挙げることができる。また、バリア膜は、α、αβ、αSi、αβSi、β及びβからなる群から選択された材料を主成分とすることができる。ここで、α及びβは上述の所定の第1の金属元素及び第2の金属元素を表し、w、x、y及びzは正の実数を表す。説明を簡単にするために、本発明のそれぞれの実施形態においては、配線本体層の材料としてCuを、炭素を原子%にして20%以上含む層間絶縁膜としてSiOCを、バリア膜用の第1の金属元素としてMnを、バリア膜としてMnO及びTaCをそれぞれ用いる。
【0071】
Cu膜を配線溝等に埋め込む方法は、電解めっき法に限るものではなく、CVD法、PVD法、無電解めっき法又は臨界液体を用いた製膜法等を用いることもできる。いずれの方法を用いても、層間絶縁膜に形成した配線溝及び配線接続孔にCuの埋め込みが可能であれば、上述と同様な効果が得られる。
【0072】
また、上述の実施形態は、多層配線構造において、半導体基板の上の最下位置の配線から最上位置の配線の全てに対して適用することができる。すなわち、第3の実施形態及び第3の実施形態の一変形例においては、第2段目の配線に対して各実施形態を適用した場合について説明しているが、第1段目の配線に対しても同様に構成することができる。
【0073】
また、第3の実施形態及び第3の実施形態の一変形例において、デュアルダマシン及びシングルダマシン配線構造を例示しているが、本発明はダマシン配線構造以外の種々の埋め込み配線構造にも適用することができる。
【0074】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、種々の変形例及び修正例に想到し得るものであり、それら変形例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明に係る半導体装置及びその製造方法は、自己整合的にバリア膜を形成する配線構造の信頼性を向上することができ、特に、ダマシン配線構造を有する半導体装置及びその製造方法等に有用である。
【符号の説明】
【0076】
11 層間絶縁膜
12 炭素高濃度領域
13 配線溝
14 合金補助膜
15 第1のバリア膜
16 合金膜
17 第2のバリア膜
18 銅(Cu)膜
19 銅(Cu)層(配線本体層)
20 上側絶縁膜
21 下部層間絶縁膜
22 下部バリア膜
23 下部銅(Cu)層(導電層、下部配線本体層)
24 下部拡散防止膜(上側絶縁膜)
25 上部層間絶縁膜
26 炭素高濃度領域
27a 配線接続孔
27b 配線溝
28 合金補助膜
29 第1の上部バリア膜
30 合金膜
31 第2の上部バリア膜
32 銅(Cu)膜
33 上部銅(Cu)層(上部配線本体層)
34 上部拡散防止膜(上側絶縁膜)
35 中部層間絶縁膜
36 炭素高濃度領域
37 配線接続孔
38 第1の中部バリア膜
39 第2の中部バリア膜
40 中部銅(Cu)層(接続プラグ)
41 上部層間絶縁膜
42 炭素高濃度領域
43 上部配線溝
44 第1の上部バリア膜
45 第2の上部バリア膜
46 上部銅(Cu)層(上部配線本体層)
47 上部拡散防止膜(上側絶縁膜)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の上に形成され、溝部を有する層間絶縁膜と、
前記溝部の底面上及び側壁上に形成されたバリア膜と、
前記バリア膜の上に前記溝部を埋め込むように形成され、銅を主成分とする配線本体層とを備え、
前記バリア膜は、少なくとも2種類の金属元素と前記層間絶縁膜の構成元素との化合物を主成分とすることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記配線本体層の下側に形成され、前記配線本体層の一部と接続される接続部を有する導電層をさらに備え、
前記バリア膜は、前記導電層と前記配線本体層との接続部には介在しないことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記バリア膜は、前記配線本体層の上面にも形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
少なくとも2種類の前記金属元素は、シリコン、酸素及び炭素と化合物を作りやすい第1の金属元素と、シリコン、酸素及び炭素と化合物を作りやすく且つ銅の中における拡散が前記第1の金属元素よりも遅い第2の金属元素を含むことを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1の金属元素の酸化物及び前記第2の金属元素の炭化物は、銅に対する拡散バリア性を有することを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2の金属元素は、前記第1の金属元素との間に金属間化合物を作らない元素であることを特徴とする請求項4又は5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1の金属元素は、マンガン、ニオブ、ジルコニウム、クロム、バナジウム、イットリウム、テクネチウム及びレニウムからなる群から選択された少なくとも1つの元素であり、
前記第2の金属元素は、タンタル又はチタンの少なくとも1つの元素であることを特徴とする請求項4〜6のうちのいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記層間絶縁膜は、シリコン及び酸素を主成分とし、炭素を原子%にして20%以上含む低誘電率膜であり、局所的に炭素の濃度が高い部分を有する膜であることを特徴とする請求項1〜7のうちのいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記層間絶縁膜は、シリコン及び酸素を主成分とする空孔を有する低誘電率膜であり、且つ前記空孔を形成するために炭素を主成分とする揮発性の化合物を含むことを特徴とする請求項1〜8のうちのいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項10】
半導体基板の上に酸素及び炭素を含む層間絶縁膜を形成し、該層間絶縁膜に溝部を形成する工程(a)と、
前記溝部の底面上及び側壁上に所定の第1の金属元素及び第2の金属元素を含む補助膜を形成する工程(b)と、
前記工程(b)よりも後に、銅を主成分とする配線本体層を、前記溝部を埋め込むように形成する工程(c)と、
前記工程(b)よりも後に、前記補助膜に対して熱処理を行う工程(d)とを備え、
前記工程(d)において、前記補助膜中の前記第1の金属元素を前記補助膜と対向する前記層間絶縁膜に拡散させ、前記溝の底面及び側壁における前記層間絶縁膜の上において、前記第1の金属元素と前記層間絶縁膜の酸素元素との化合物を主成分とする第1のバリア膜を形成した後、前記補助膜中の前記第2の金属元素が前記補助膜と対向する前記層間絶縁膜に拡散させ、前記第2の金属元素と前記層間絶縁膜の炭素元素との化合物を主成分とする第2のバリア膜を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記工程(c)の後に、前記配線本体層の上に上側絶縁膜を形成する工程(e)をさらに備え、
前記工程(e)の後に前記工程(d)を行って、前記補助膜中の前記第1の金属元素及び第2の金属元素を前記配線本体層の上部にも拡散させて、前記第1の金属元素及び第2の金属元素と前記上側絶縁膜の構成元素との化合物を主成分とする反応生成物からなる膜を前記配線本体層の上部に形成することを特徴とする請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記工程(c)の後に、酸素を含む雰囲気内において前記工程(d)を行って、前記補助膜中の前記第1の金属元素及び第2の金属元素を前記配線本体層の上部にも拡散させ、前記第1の金属元素の酸化物及び第2の金属元素の酸化物を主成分とする反応生成物からなる膜を前記配線本体層の上部に形成することを特徴とする請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記第1の金属元素及び第2の金属元素は、前記補助膜にのみ含まれていることを特徴とする請求項10〜12のうちのいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記補助膜は、前記第1の金属元素及び第2の金属元素を含む単層膜、又は前記第1の金属元素を含み且つ前記第2の金属元素を含まない膜と前記第1の金属元素を含まないで且つ前記第2の金属元素を含む膜との積層膜により構成されていることを特徴とする請求項10〜13のうちのいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−283103(P2010−283103A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−134742(P2009−134742)
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】