説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】信頼性の高い回路基板を低コストで供給する。
【解決手段】例えば、開口部101を介してチップ取り出し電極2を含む基板1の一部表面が露出するようメタルマスク100を基板1に被せ、イオン化された被着金属に、0.01eVから250eVの被着エネルギを与えるイオンプレーティング法により金属導体を形成した後、メタルマスク100を剥離することによって、基板1の一部表面に形成された金属導体からなる配線層21を形成する。これにより、フォトリソグラフィー法を用いることなく、基板上に配線層21を直接形成することができるため、生産性が高く低コストな回路基板を提供することが可能となる。更に、その回路基板とその他のチップとを積層して、それらをボンディングワイヤで絶縁基板に支持されないリードへ接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は回路基板及びその製造方法、それらを適用した半導体装置及びその製造方法並びにシステムに関する。さらには、ウエハレベルパッケージ構造およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータや移動体通信機器など半導体チップを用いた回路システムに対しては、小型化の要求が非常に高まっている。このような要求を満たすため、半導体チップはそのチップサイズに近いチップサイズパッケージ(CSP)に実装されることがある。
【0003】
CSPを実現する方法の一つとして、ウエハレベルパッケージ(WLP)と呼ばれるパッケージング方法が知られている(特許文献1,2参照)。WLPは、ダイシングにより個片化する前のシリコンウエハに対して外部端子電極などを形成する方法であり、ダイシングによる個片化は、WLPの後に行われる。WLPを用いれば、多数の半導体チップに対して外部端子電極などの形成を同時に行うことができるため、生産性を高めることができると期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−319792号公報
【特許文献2】特開2007−157879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、WLPは、内部端子電極を有する基板を製造する前工程以後の工程であり、ボンディングワイヤを用いた一般的なパッケージング方法とは異なり、基板を含む最終製品に仕上げる後工程において一般的にフォトリソグラフィー工程(レジスト塗布、露光、現像、レジスト剥離)が含まれるため、製造コストが高いという問題があった。例えば、特許文献1の図9には、フォトリソグラフィー法によって配線層(12)をパターニングし、さらに、フォトリソグラフィー法によって絶縁層(21)をパターニングした後、外部端子電極(31)を形成する方法が記載されている。また、特許文献2の図3〜図4にも、フォトリソグラフィー法によって配線層(13)をパターニングし、さらに、フォトリソグラフィー法によって絶縁層(15)をパターニングした後、外部端子電極(16)を形成する方法が記載されている。
【0006】
このような問題は半導体チップのWLPに限らず、微細な内部回路が形成された各種回路基板に外部端子電極を形成する他のケースにおいても生じる問題である。
【0007】
このため、微細な内部回路が形成された回路基板、特にシリコンウエハにウエハレベルで外部端子電極等を形成するより安価な方法が求められている。
【0008】
更に、本発明者らは、次のことにも気がついた。例えば、回路基板とその他の機能チップとを混載したシステムインパッケージ(SIP)の半導体装置を考える場合、その半導体装置のパッケージサイズにおいてもパッケージ内に含まれる半導体チップのサイズに近いパッケージ(CSP)に実装することが望ましい。例えば、回路基板に含まれる第1のチップとその第1のチップと通信する第2のチップは、チップサイズが異なり、それらチップを積層構造にするには、チップレベルでの実装技術が必要である。好ましくは、更なる小型化と価格の低減のためにウエハレベルで複数のチップを一つにパッケージングすることが求められている。
【0009】
また、例えば、複数の第1のチップで構成するウェハ上にそれぞれ対応する複数の第2のチップを積層してそれらをボンディングワイヤで接続する場合、例えば、ウェハ上にボンディングワイヤと接続する再配線(再配線層)を作成する必要があるが、一般に行われている下地金属をスパッタした後、アディティブ(ダマシン)めっきによって生成されたCu配線は、ボンディングワイヤと接続するには、濡れ性等の問題からあまり適切な金属ではなく、再配線であるCu配線層の上に更にAuめっきを施すことが求められ、よって多層構造で、製造コストの高い再配線層の構造となっている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、回路基板に外部端子電極を形成する安価な方法について鋭意研究を重ねた結果、上記課題の少なくとも一つを解決することを見出した。まず最初に、メタルマスクを介して回路基板上に金属材料をイオンプレーティングし、その後メタルマスクを剥離(リフトオフ)する方法を用いれば、フォトリソグラフィー工程を用いることなく、外部端子電極と接続するための配線層を形成できることを見いだした。イオンプレーティング法自体は広く知られた金属成膜方法であるが、イオンプレーティング法とリフトオフ法を組み合わせることによって、フォトリソグラフィー法を用いることなく配線層を直接形成する方法(イオンプリンティング)は、少なくとも半導体チップのWLPにおいては提案された例がない。その理由として、WLPにおいて膜厚の薄い配線層を形成する方法としては、フォトリソグラフィー法と蒸着やスパッタリングなどの非イオンスピーシーズによる物理被着を用いた方法が確立しており、WLPにおいて膜厚の厚い配線層を形成する方法としては、フォトリソグラフィー法とメッキ法を用いた方法が確立しているためであると考えられる。しかしながら、本発明者らの研究によれば、上記の方法、すなわちイオンプリンティングで回路基板上に配線層を形成する方が、フォトリソグラフィー法を用いた現在のプロセスよりも製造コストが低くなるばかりでなく、形成された配線層の特性も良好となることを見いだした。次に、その特徴を備えた配線層に対するボンディングワイヤの技術を適用し、複数のチップ間の接続を実施することにより製造コストが更に低下することを見出した。
【0011】
本発明は、このような技術的知見に基づきなされたものであって、本発明による回路基板とその回路基板を含む半導体装置の製造方法は、内部端子電極を有する第1の基板に、前記内部端子電極と前記第1の基板の外部とを電気的に接続する配線を形成する回路基板、及びその回路基板を含む半導体装置の製造方法であって、前記回路基板の製造工程は、前記内部端子電極を含む前記第1の基板の表面の一部が露出するような開口部を有する、陰極側に接続される金属性のメタルマスクを前記基板に被せるマスク工程と、前記基板に所定の電位を与え、前記所定の電位と異なる電位にイオン化された被着金属に、0.01eVから250eVの被着エネルギを与えることによって、前記基板の表面の一部及び前記メタルマスク上に、イオンプレーティング法により正の電荷を有するイオンの粒子から金属性の導体を形成する成膜工程と、前記メタルマスクを剥離することによって、前記基板の表面の一部に形成された前記内部端子電極と電気的に接続する金属性の導体からなる前記配線の配線層を残存させるリフトオフ工程と、を備え、前記半導体装置の製造工程は、内部端子電極を有する第2の基板を、前記回路基板の前記配線の側の面に積層する積層工程と、少なくとも、前記第2の基板の内部端子電極と前記回路基板上の前記配線との接続、及び、前記回路基板上の前記配線と、前記半導体装置の外部へ接続するリード部を含み絶縁基板に支持されない金属材料で作られたリードフレームの前記リード部との接続、のいずれか一方の接続を含む第1の接続工程と、を備える、ことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の一側面による半導体装置は、第1の電子回路が主面に描画され、第1の電子回路がそれぞれ第1の電子回路の外部と通信する第1と第2の内部端子電極を有する第1の基板と、第2の電子回路が主面に描画され、第2の電子回路がそれぞれ第2の電子回路の外部と通信する第3と第4の内部端子電極を有し、第1の基板に積層された第2の基板と、第1の基板の表面の一部に形成され、それぞれが第1及び第2のノードを有する第1及び第2の配線を含む配線層と、第3及び第4の内部端子電極と、それぞれ対応する第1及び第2の配線の第1のノードとを接続する第1と第2のボンディングワイヤと、少なくとも第1の基板の主面、第2の基板の主面及び第1と第2の基板のそれぞれの側面を封止する封止材と、封止材に覆われた第3のノード及び封止材の外部から接続できる第4のノードを有する絶縁基板に支持されない金属材料の第3の配線と、第2の配線の第2のノードと第3の配線の第3のノードとを接続する第3のボンディングワイヤと、を備え、第1乃至第3のボンディングワイヤは、それら断面が円状であり、配線層は、第1の基板の表面に垂直な方向から見たエッジ部を含み、第1の基板と接するエッジ部における配線層の第1の基板の表面と垂直な断面の角度が55°以下である、ことを特徴とする。
【0013】
本発明の好ましい実施形態においては、複数の半導体回路を形成した前工程完成ウエハ(基板)1の取り出し電極部(内部端子電極)2上とそれに繋がる面に金属を、メタルマスクを通してパターン被着して再配線パターンとなし、異なるチップをウェハ上に積層し、異なるチップが有する取り出し電極部と再配線パターンとをボンディングワイヤで接続し、ダイシングにより基本回路チップとなす構造を特徴とするウエハレベルパッケージの半導体装置であり、金属のパターン被着をイオンプレーティング法により形成したその金属膜の結晶状態が柱状結晶あるいは多結晶であることを特徴とする。
【0014】
金属のパターン被着は、イオンプレーティングのイオン化に高周波高電界によるプラズマ(被着対象イオンエネルギ0.1から1000eV)又は熱電子を利用し、イオン化した被着金属の被着エネルギの主要部分を25±10eV、分布を0.01eVから250eV(5%以下切捨て)の範囲に実質的に押さえることが好ましい。上記金属は、アルミを主成分とする材料が好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一つの効果によれば、メタルマスクを用いたイオンプレーティング法とリフトオフ法の組み合わせ(イオンプリンティング)によって基板上に配線層を直接形成していることから、フォトリソグラフィー工程を用いる必要がなくなる。更に、その配線層(再配線)と、回路基板上に積層されるチップの内部端子電極または回路基板を搭載する絶縁基板上の配線との接続をボンディングワイヤで実施することにより、特にWLPにおける製造コストを大幅に低減することが可能となる。
【0016】
しかも、イオンプリンティングによって形成される配線層のエッジ部は、角度が55°以下となることから、エッジ部における応力が緩和され、配線層と保護絶縁膜との密着性も向上することから、パッケージの信頼性が高められる。さらに、配線層が柱状結晶の集合体によって構成されることから、被着歪みが少なくなり、基板と配線層との密着性が高められる。
【0017】
これにより、信頼性の高い回路基板を低コストで供給することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の好ましい実施形態による回路基板(シリコンウエハ)の構造を示す模式的な断面図である。
【図2】シリコンウエハ10の主要部を拡大して示す断面図である。
【図3】(a)は配線層21の平面形状の一例を示す平面図であり、(b)は配線層22の平面形状の一例を示す平面図である。
【図4】図3(b)に示す直線Bに沿った拡大断面図である。
【図5】縁部22aの幅を説明するための模式図である。
【図6】図3(a)に示す直線Cに沿った拡大断面図である。
【図7】シリコンウエハ10の製造方法を説明するための工程図である。
【図8】シリコンウエハ10の製造方法を説明するための工程図である。
【図9】側面21sが基板に対して斜めとなる原理を説明するための模式図である。
【図10】アディティブ法を用いて形成された配線層21の形状を説明するための関連図である。
【図11】サブトラクティブ法を用いて形成された配線層21の形状を説明するための関連図である。
【図12】アディティブ法を用いて形成された配線層22の形状を説明するための関連図である。
【図13】サブトラクティブ法を用いて形成された配線層22の形状を説明するための関連図である。
【図14】イオンプレーティング法によって形成されたCuの断面を示す図である。
【図15】柱状の塊30の集合体が成長するメカニズムを説明するための図である。
【図16】イオンプレーティング法によって形成されたCu膜のX線回折測定の結果を示すグラフである。
【図17】本発明の変形例を示す図である。
【図18】本発明の変形例を示す別の図である。
【図19】本発明に係わる第1の半導体装置の例を示す上面から見た図である。
【図20】本発明に係わる第1の半導体装置及び電子システムに含まれるCPUとNANDフラッシュメモリ並びにNANDフラッシュメモリお制御するコントローラの接続例を示す図である。
【図21】本発明に係わる第1の半導体装置及び電子システムに含まれる第1のチップと第2のチップに係る第1の断面構造を示す図である。
【図22】本発明に係わる第1の半導体装置及び電子システムに含まれる第1のチップと第2のチップに係る第2の断面構造を示す図である。
【図23】本発明に係わる第1の半導体装置及び電子システムに含まれる第1のチップと第2のチップに係る第3の断面構造を示す図である。
【図24】本発明に係わる第1のチップ上の再配線を示す上面から見た図である。
【図25】本発明に係わる複数の第1のチップで構成する第1のウェハ上の再配線を示す上面から見た図である。
【図26】本発明に係わる第3のチップ上の再配線を示す上面から見た図である。
【図27】本発明に係わる第4のチップ上の再配線を示す上面から見た図である。
【図28】本発明の第1の製造方法に係わる複数の第3のチップで構成する第2のウェハ上の再配線上に第5のチップを積層した構成を示す上面から見た図である。
【図29】図28に係わる第3と第5のチップ間にボンディングワイヤを敷設した構成を示す上面から見た図である。
【図30】図29に係わるボンディングワイヤの領域の保護絶縁膜を示す上面から見た図である。
【図31】図30に係わる積層された第1乃至第5のチップを示す上面から見た図である。
【図32】絶縁基板50の上に積層された第1乃至第5のチップと絶縁基板上の配線51とのボンディングワイヤを示す上面から見た図である。
【図33】絶縁基板50の上に配置された第1乃至第7のチップの領域の保護膜を示す上面から見た図である。
【図34】本発明の第2の製造方法に係わる複数の第1乃至第5のチップを積層した構成を示す上面から見た図である。
【図35】本発明の第2の製造方法に係わる半導体装置を示す上面から見た図である。
【図36】本発明の第3の製造方法に係わる積層された第1乃至第5のチップを示す上面から見た図である。
【図37】本発明に係わる第1の半導体装置と電子システムの例を示す断面図である。
【図38】本発明に係わる第1の半導体装置と電子システムの製造フローである。
【図39】図34に係わる第1の半導体装置と電子システムの製造フローである。
【図40】図36に係わる第1の半導体装置と電子システムの製造フローである。
【図41】チップ間における一部の電気的接続をフリップチップ接続により行う例を示す模式図である。
【図42】積層されていない複数のチップ間における接続を説明するための模式図である。
【図43】本発明に係わる第2の半導体装置を示す鳥瞰図である。
【図44】図43に係わる半導体装置の製造フロー(本発明の第4の製造方法)である。
【図45】図43の半導体装置に係る部材を示す図である。
【図46】図45の部材の拡大図である。
【図47】本発明の第4の製造方法に係わる第1の製造工程における第2の半導体装置を示す鳥瞰図である。
【図48】本発明の第4の製造方法に係わる第2の製造工程における第2の半導体装置を示す鳥瞰図である。
【図49】本発明の第4の製造方法に係わる第3の製造工程における第2の半導体装置を示す鳥瞰図である。
【図50】本発明の第4の製造方法に係わる第4の製造工程における第2の半導体装置を示す鳥瞰図である。
【図51】本発明の第4の製造方法に係わる第5の製造工程における第2の半導体装置を示す鳥瞰図である。
【図52】本発明の第4の製造方法に係わる第6の製造工程における第2の半導体装置を示す鳥瞰図である。
【図53】本発明の第4の製造方法に係わる第7の製造工程における第2の半導体装置を示す鳥瞰図である。
【図54】本発明に係わる第2の半導体装置の変形例を示す断面図である。
【図55】本発明に係わる第3の半導体装置を示す断面図である。
【図56】本発明に係わる第4の半導体装置を示す断面図である。
【図57】本発明に係わる第5の半導体装置を示す断面図である。
【図58】本発明に係わる第6の半導体装置を示す断面図である。
【図59】本実施形態のイオンプレーティング時における被着金属イオンのエネルギの分布を示すグラフである。
【図60】図59を対数表示したグラフである。
【図61】一般的なイオンプレーティングおよび本実施形態におけるイオンプレーティングの被着エネルギの分布を比較するグラフである。
【図62】図61を対数表示したグラフである。
【図63】イオンプレーティング時の被着金属(Cu)の被着エネルギと、成膜されたCu結晶の構造との関係を示す実験結果である。
【図64】図5および図6にて説明した、配線層の断面形状を例示する実験結果である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。尚、図1乃至図18までは、第一章として回路基板の構造と製造方法について説明したものであり、図19乃至図58までは、第二章及び第三章としてその回路基板に関連した半導体装置及び電子システムの構造と製造方法を説明したものである。
【0020】
第一章を説明する。図1は、本発明の好ましい実施形態による回路基板(シリコンウエハを含む)の構造を示す模式的な断面図(第3の方向(Z))である。
【0021】
図1に示すように、本実施形態によるシリコンウエハ10は、ウエハ本体である基板1と、基板1の表面に形成されたチップ取り出し電極(内部端子電極)2と、チップ取り出し電極2に電気的に接続された半田ボール(外部端子電極)9とを備えている。基板1は、その後個片化される複数の半導体チップからなる集合基板である。これら半導体チップに形成されている回路は互いに同一である。
【0022】
基板1の表面は、チップ取り出し電極2が設けられた領域以外のほぼ全面が絶縁性のパッシベーション膜3(第2の絶縁膜)で覆われている。特に限定されるものではないが、チップ取り出し電極2は一般的にAlからなり、パッシベーション膜3は一般的に厚さ5μm程度のポリイミドからなる。チップ取り出し電極2には、後述する配線層と接する表面にメッキ(例えばNi+Au)があらかじめ施されていても構わない。尚、本明細書においては、「基板1」と言うときには、チップ取り出し電極2及びパッシベーション膜3を含むことがある。したがって、「基板1の表面」とは、チップ取り出し電極2の表面や、パッシベーション膜3の表面も指すことがある。
【0023】
これら基板1、チップ取り出し電極2及びパッシベーション膜3からなる部分は、いわゆる前工程(拡散工程)にて作製される部分である。前工程においては、ステッパーなどを用いた極めて高精度なフォトリソグラフィー法によって、極微細な内部配線などが基板上に形成される。これら内部配線の端子となる部分がチップ取り出し電極2である。本実施形態によるシリコンウエハ10は、その表面にウエハレベルで加工を施すことにより、図1に示す配線層21,22及び半田ボール9などを形成するものである。図1に示す破線Aはスクライブラインであり、シリコンウエハ10に対するウエハレベルでの加工(WLP工程)が完了した後、スクライブラインに沿ってシリコンウエハ10をダイシングすることにより、個々の半導体チップに個片化される。
【0024】
図2は、シリコンウエハ10の主要部を拡大して示す断面図である。図2においては、半田ボール9が形成された面を下側にして示している。
【0025】
図2に示すように、基板1の表面には、チップ取り出し電極2とパッシベーション膜3が設けられている。上述の通り、パッシベーション膜3は、基板1の表面のうちチップ取り出し電極2が設けられた領域以外のほぼ全面を覆っている。取り出し電極2は、バリア金属配線4及び銅配線5が積層されてなる第1の配線層21に接続されている。特に限定されるものではないが、バリア金属配線4の厚みとしては0.3μm程度、銅配線5の厚みとしては5μm程度とすればよい。
【0026】
第1の配線層21は、チップ取り出し電極2を覆う第1の端部21aと、第2の端部21bと、基板1の表面に沿って延在し端部21aと端部21bとを接続する再配線部21cとを有している。配線層21の平面形状(それは第1の方向(X)及び第2の方向(Y)で示される)の一例は図3(a)に示されており、特に限定されるものではないが、端部21a,21bの径よりも再配線部21cの幅が細く設計される。また、端部21aは、チップ取り出し電極2の全面を覆うよう、チップ取り出し電極2の径よりもやや大きく設計される。配線層21の上面のうち、配線層22によって覆われる部分以外は、全て保護絶縁膜8によって覆われる。本明細書においては、配線層21,22の上面のうち、保護絶縁膜8によって覆われていない部分を「第1の部分」と呼び、保護絶縁膜8によって覆われた部分を「第2の部分」と呼ぶことがある。したがって、配線層21は第1の部分を有していない。
【0027】
さらに、図2に示すように、配線層21の端部21bには、バリア金属配線6及び銅配線7が積層されてなる第2の配線層22に接続されている。特に限定されるものではないが、バリア金属配線6の厚みとしては0.3μm程度、銅配線7の厚みとしては10μm程度とすればよい。第2の配線層22は、半田ボール9の下地となるポスト電極として機能する配線層であり、基板1の表面に対して垂直に設けられている。換言すれば、再配線部21cのように基板1の表面に沿って延在する部分を有していない。配線層22の平面形状の一例は図3(b)に示されており、配線層21の端部21bよりも僅かに小さい径を有している。一方、図3(b)に示すように、配線層22は、半田ボール9の底面9aを全て覆うよう、半田ボール9の底面9aよりもやや大きく設計される。これらは、後述する図5を用いた説明にて詳細に理解できる。特に限定されるものではないが、半田ボール9の径が500μm程度であれば、配線層22の径は400μm程度とすればよい。
【0028】
バリア金属配線4,6としては、Ti、Cr、Ta又はPdからなる単層膜、或いは、TiとNiの積層膜などを用いることができる。本発明においてバリア金属配線4,6を設けることは必須でないが、一般に、パッシベーション膜3の表面に銅配線5を直接形成すると両者の密着性が不足し、一旦大気中に曝された銅配線5の表面に銅配線7を直接形成すると両者の密着性が不足するため、これらを設けることが好ましい。但し、本発明においては銅配線5,7をイオンプレーティング法によって形成するため、被着エネルギを制御することによって密着性や被着応力を調整することが可能である。したがって、本発明においては、従来のWLPに比べると、バリア金属配線4,6を設ける必然性は低い。
【0029】
図2に示すように、基板1の表面のうち半田ボール9が形成される領域を除く全面は、保護絶縁膜8で覆われている。保護絶縁膜8の材料については特に限定されないが、液状の有機絶縁材料をキュアなどで固化した材料を用いることが好ましい。
【0030】
かかる構造により、配線層21の表面のうち、配線層22によって覆われる部分以外は全て保護絶縁膜8によって覆われることになる。同様に、配線層22の表面のうち、半田ボール9の底面9aによって覆われる部分(第1の部分)以外は全て保護絶縁膜8によって覆われることになる(第2の部分)。図3(b)に示すように、配線層22の表面のうち、半田ボール9の底面9aによって覆われる部分は配線層22の中央部であることから、配線層22の表面のうち外周に沿った縁部22aは保護絶縁膜8によって覆われることになる。この様子は、図3(b)に示す直線Bに沿った拡大断面図である図4にも示されており、配線層22の縁部22aの表面が保護絶縁膜8で覆われていることが分かる。
【0031】
かかる構造により、保護絶縁膜8によって配線層22のエッジを含む縁部22aが保護されるため、剥離の発生などを防止することができる。エッジとは、基板1の表面に垂直な方向から見た端部を指す。また、配線層22の縁部22aが保護絶縁膜8によって覆われることにより、配線層22の脱落などが生じなくなる。これらにより、パッケージの信頼性を高めることが可能となる。
【0032】
ここで、配線層22の縁部22aの幅L(図3(b)参照)、つまり、保護絶縁膜8で覆われる幅については、特に限定されるものではないが、1μm以上に設定することが好ましい。これは、縁部22aの幅Lが1μm未満であると上記の効果が十分に得られないおそれがあるからである。縁部22aの幅Lの上限については特に限定されないが、30μm以下とすることが好ましい。これは、縁部22aの幅Lを30μm超としても、上記の効果はそれ以上向上しない反面、半田ボール9との接触面積が必要以上に小さくなるからである。半田ボール9との接触面積を十分に確保しつつ、上記の効果を十分に得るためには、縁部22aの幅Lを15μm程度とすることが好ましい。尚、縁部22aの幅Lとは、図5に示すように、配線層22の側面22sの平均的接線D1と配線層22の上面22uに沿った仮想線D2との交点Pから、保護絶縁膜8の端部8aまでの距離によって定義される。また、図5に示すように、保護絶縁膜8の基板1からの高さは、配線層22の上面22uの基板1からの高さよりも高い。図5に示すように、配線層22の側面22sは垂直ではなく斜めである。この点は配線層21についても同様であり、以下、配線層21を例にその断面構造について説明する。
【0033】
図6は、図3(a)に示す直線Cに沿った拡大断面図である。
【0034】
図6に示すように、配線層21の断面形状は、上面21uが基板1の表面に対してほぼ平行であるのに対し、側面21sは基板1の表面に対して斜めの角度を有している。つまり、配線層21のエッジ部21eが鋭角とされている。その角度θは55°以下であり、好ましくは20°以上40°以下であり、特に好ましくは25°以上35°以下である。本実施形態では配線層21のエッジ部21eがこのような角度を有しているため、エッジ部21eにおける応力が緩和される。しかも、配線層21と保護絶縁膜8との接触面積が増大することから、両者の密着性も向上する。さらに、エッジ部21eが保護絶縁膜8によって上方から覆われるため、配線層21とパッシベーション膜3との密着性も向上する。これらにより、パッケージの信頼性を高めることが可能となる。図5に示したように、上記の角度θを有するエッジ部21eは保護絶縁膜8によって覆われていることから、第1の部分(保護絶縁膜8によって覆われていない部分)とは、配線層21,22の表面のパターン形状から、角度θを有するエッジ部を構成する部分を除く内包領域となる。尚、図5に示したように、配線層21の側面21sは、その断面が必ずしも直線的ではなく、角度が徐々に変化する曲線である場合がある。このような場合における角度θとは、図5に示すエッジ部21e,22eにおける角度によって定義される。エッジ部21eは配線層21がパッシベーション膜3と接する起点であり、エッジ部22eは配線層22が配線層21と接する起点である。
【0035】
次に、本実施形態によるシリコンウエハ10の製造方法について説明する。
【0036】
図7〜図8は、本実施形態によるシリコンウエハ10の製造方法を説明するための工程図である。
【0037】
まず、前工程(拡散工程)が完了した基板1を用意し、図7(a)に示すように、その表面をメタルマスク100で覆う(マスク工程)。メタルマスク100(第1のメタルマスク)には配線層21の平面形状に対応する複数の開口部101が設けられており、基板1の表面のうち、配線層21を形成すべき領域が開口部101を介して露出するよう、メタルマスク100を被せる。配線層21を形成すべき領域とは、図7(a)に示すようにチップ取り出し電極2を含む領域である。メタルマスク100は、フィックスチャーを用いて位置合わせした後、基板1に密着させ、イオンプレーティング装置の陰極側に接続される。メタルマスク100は、温度や被着金属によるひずみによるそりが出ないよう、フィックスチャーの固定部で周辺に多少の張力がかかるように固定される。
【0038】
メタルマスク100の材料については特に限定されないが、金属性であり、好ましくはステンレスなどを用いることが好ましい。メタルマスク100は、フォトリソグラフィー法によってパターニングされたフォトレジストなどとは異なるリジッドなマスクであり、1枚のメタルマスク100をそのままの状態で基板1に被せることが可能であり、且つ、そのままの状態で基板1から剥離することが可能である。この点において、フォトレジストなどの有機マスクとは明確に区別される。
【0039】
次に、図7(b)に示すように、メタルマスク100を被せた状態で、イオンプレーティング法によってバリア金属材料4a及びCu5aをこの順に被着させる(成膜工程)。イオンプレーティング法とは、被着すべき金属材料を真空中で蒸発又は昇華させ、金属蒸気に正の電荷、被着基板に負の電荷を印加することによって、被着基板に金属材料を蒸着する方法である。したがって、図7(b)に示す工程は、基板1を真空チャンバーに収容し、気体状のバリア金属材料及びCuに正の電荷、基板1に負の電荷を印加することによって行う。
【0040】
これにより、メタルマスク100の開口部101を介して露出している基板の表面、並びに、メタルマスク100の上面に、バリア金属材料4a及びCu5aが堆積した状態となる。この時、開口部101を介して露出している部分に形成されるバリア金属材料4a及びCu5aは、図9に示すように、上面21uが基板1の表面に対してほぼ平行となるのに対し、側面21sは基板1の表面に対して斜めとなる。これは、ある程度厚みのあるメタルマスクを介してイオンプレーティングを行った場合の特徴であり、開口部101を介して露出した領域のうち、メタルマスク100の側面100sに近い部分は単位時間当たりの被着量が少なくなるからである。
【0041】
その理由は、基板1に引き寄せられる金属蒸気のうち進行方向がやや斜めである成分は、開口部101の中央においてはメタルマスク100に阻害されることなく基板1に被着する一方(矢印31参照)、開口部101の端部においてはメタルマスク100に阻害されて基板1に到達しないからである(矢印32参照)。また、図9に示すように、メタルマスク100の側面100sにも金属材料がオーバーハング状に被着するため、これがマスクとなって開口部101の端部における被着量が減少する。このような原理により、上面21uについては基板1に対してほぼ平行となるのに対し、側面21sについては基板1に対して斜めとなる。従って、メタルマスクの厚みは被着する金属層の厚みの5倍から100倍程度の厚みを有することが望ましく、被着金属の配線幅の2倍から1/5倍が望ましい。かかる構造によって得られる効果については既に説明したとおりである。
【0042】
これに対し、WLPにおける配線層の一般的な形成方法であるメッキ法(アディティブ法)を用いた場合、図10に示すように、フォトリソグラフィー法によってパターニングされたフォトレジスト41の開口部内に、配線層42が選択的に形成される。この場合、フォトレジスト41の開口部の内壁41sは、フォトリソグラフィー法によってパターニングされた結果、実質的に基板1の表面に対してほぼ垂直であることから、開口部内に形成される配線層42の側面も実質的にほぼ垂直となる。
【0043】
また、WLPにおける配線層の一般的な形成方法ではないが、サブトラクティブ法を用いた場合、図11(a)に示すように、基板の全面に形成された金属導体51の表面にフォトリソグラフィー法によってパターニングされたフォトレジスト52が形成される。そして、図11(b)に示すように、フォトレジスト52をマスクとして金属導体51をパターニングすると、形成される配線層53の側面は基板1の表面に対して実質的にほぼ垂直となる。
【0044】
このように、フォトリソグラフィー法を用いた場合には、形成される配線層の側面は実質的にほぼ垂直となることから、上述した効果を得ることはできない。
【0045】
本願の特徴の説明に戻り、このようにしてバリア金属材料4a及びCu5aをこの順に被着させた後、図7(c)に示すように、メタルマスク100を基板1から剥離する(リフトオフ工程)。これにより、開口部101内のバリア金属材料4a及びCu5aが残存することから、フォトリソグラフィー法を用いることなく、リフトオフ法によってバリア金属配線4及び銅配線5からなる第1の配線層21がパターニングされることになる。このように、本発明では、イオンプレーティングとリフトオフプロセスによって、フォトリソグラフィー法を用いることなく配線層21を直接形成することができる。本明細書においては、このような手法をイオンプリンティングと呼ぶことがある。
【0046】
第1の配線層21を形成した後は、引き続き第2の配線層22を形成する。第2の配線層22の形成方法は第1の配線層21の形成方法と同じであり、図8(a)に示すように、配線層22の平面形状に対応する開口部201が設けられたメタルマスク200(第2のメタルマスク)を用意し、基板1の表面のうち、配線層22を形成すべき領域が開口部201を介して露出するよう、メタルマスク200を被せる(マスク工程)。配線層22を形成すべき領域とは、図3(b)に示すように第1の配線層21の端部21bを含む領域である。メタルマスク200の材料については、メタルマスク100と同じ材料を用いればよい。
【0047】
次に、メタルマスク200を被せた状態で、イオンプレーティング法によってバリア金属材料6a及びCu7aをこの順に被着させる(成膜工程)。これにより、メタルマスク200の開口部201を介して露出している基板1の表面(正確には銅配線5の表面)、並びに、メタルマスク200の上面に、バリア金属材料6a及びCu7aが堆積した状態となる。この場合も、開口部201を介して露出している部分に形成されるバリア金属材料6a及びCu7aは、図9に示すように、上面22uが基板に対してほぼ平行となるのに対し、側面22sが基板に対して斜めとなる。
【0048】
そして、図8(b)に示すように、メタルマスク200を基板1から剥離すれば(リフトオフ工程)、フォトリソグラフィー法を用いることなく、バリア金属配線6及び銅配線7からなる第2の配線層22が形成される。
【0049】
次に、図8(c)に示すように、半田ボール9を形成すべき部分を除く基板1の表面に、流動性を有する絶縁材料を選択的に供給し、キュアを行うことにより固化する(保護絶縁膜形成工程)。絶縁材料の選択的な供給は、スクリーン印刷法を用いることが好ましい。絶縁材料を選択的に供給すると、配線層21の全面と配線層22の側面22sが保護絶縁膜8によって覆われることになる。絶縁材料を供給する前の段階では、配線層22が基板から最も突出していることから、配線層22を避けるように絶縁材料を選択的に供給すれば、配線層22の側面によって絶縁材料が堰き止められるため、配線層22の上面の全体が絶縁材料によって覆われることはない。但し、配線層22の上面が絶縁材料によって全く覆われないわけではなく、拡大図である図5に示したように、表面張力によって配線層22の縁部22aが覆われる。かかる構造によって得られる効果については既に説明したとおりである。
【0050】
これに対し、WLPにおける配線層の一般的な形成方法であるメッキ法(アディティブ法)を用いた場合、図12に示すように、フォトリソグラフィー法によってパターニングされた保護絶縁膜60の開口部61内に、ポスト電極となる配線層62が選択的に形成される。この場合、配線層62が保護絶縁膜60よりも後に形成されることから、配線層62の縁部62aが保護絶縁膜60によって覆われることはない。
【0051】
また、サブトラクティブ法を用いた場合も、図13に示すように、保護絶縁膜70の全面に形成された金属導体がパターニングされることになる。この場合も、配線層71が保護絶縁膜70よりも後に形成されることから、配線層71の縁部71aが保護絶縁膜70によって覆われることはない。
【0052】
このように、フォトリソグラフィー法を用いた場合には、配線層62,71の縁部62a,71aが保護絶縁膜60,70で覆われることがないため、上述した効果を得ることはできない。
【0053】
本願の特徴の説明に戻り、その後は、配線層22の露出部分に半田を供給しこれを溶融させれば、図1に示すように半田ボール9が形成される(電極形成工程)。以上により、一連のWLP工程が完了する。その後は、スクライブラインに沿って基板1をダイシングすれば、個々の半導体チップに個片化することができる(切断工程)。尚、基板1のダイシングは、保護絶縁膜8を形成した後、半田ボール9を形成する前に行っても構わない。
【0054】
以上説明したように、本実施形態によるシリコンウエハ10の製造方法によれば、2回のイオンプリンティングによって、フォトリソグラフィー工程(レジストの塗布、露光、現像、及びレジストの剥離を含む一連の工程)を経ることなく配線層21,22が直接形成される。このため、従来の一般的な方法を用いた場合と比べて、工程数が1/3〜1/4に減少する。しかも、メタルマスク100は安価に大量生産可能であるとともに、被着した金属をエッチングにより除去すれば、クリーニングされたメタルマスク及びそのエッチングされた金属材料をそれぞれ繰り返し使用することが可能である。本発明者らの実験によれば、5回程度繰り返して使用しても、形成される配線層21,22に品質の低下は見られなかった。これらにより、生産性が高く低コストなシリコンウエハ10を提供することが可能となる。
【0055】
尚、配線層21,22に含まれる銅配線5,7は、膜厚が比較的厚いため(上記の例ではそれぞれ5μm及び10μm)、応力の発生原因となる。しかしながら、上述の通り配線層21,22のエッジが鋭角であり、その角度θが55°以下であることから、エッジ部における応力が緩和される。応力をより緩和するためには、イオンプレーティング時における基板1の温度を低温化するとともに、被着原子エネルギを低い状態とすることによって、ひずみの少ない成膜条件に制御することが好ましい。
【0056】
より具体的には、イオンプレーティング時における被着原子エネルギを5〜100eVの範囲に設定することが好ましい。これは、被着原子エネルギが高すぎると、界面破壊が生じるからである。これに対し、被着原子エネルギを上記の範囲に設定すれば、セカンダリマイグレーションが活発となる結果、被着金属は成長方向に伸びる柱状結晶の集合体となる。
【0057】
図14は、イオンプレーティング法によって形成されたCuの断面を示す図である。
【0058】
図14に示すように、Cuをイオンプレーティング法によって形成すると、Cuは成長方向に伸びる柱状の塊30の集合体となる。柱状の塊30とは、典型的には配線層を構成する金属材料(Cu)の結晶体であり、この場合、隣接する2つの塊30の境界部分は結晶界面となる。また、これら柱状の塊30の少なくとも一部は、互いに結晶方位が異なることがある。柱状の塊30の成長方向は、基板1の表面方向とは異なる方向であり、典型的には基板の表面に対してほぼ垂直な方向である。したがって、イオンプレーティング法によって形成される配線層21,22は、典型的には、基板1の表面に対してほぼ垂直に伸びる柱状結晶の集合体によって構成されることになる。このため、面方向に対しては細分化されたグレインとなることから、被着ひずみが少なく且つ界面においては強固な接着力を得ることが可能となる。
【0059】
図15は、柱状の塊30の集合体が成長するメカニズムを説明するための図である。
【0060】
まず、真空中でイオン化されたスピーシーズ32がクーロン力により基板31に向かって運動し、基板31に付着する(図15(a))。基板31に付着したスピーシーズ32aは、セカンダリマイグレーションによって基板31の表面を移動し、これによって移動したスピーシーズ32b同士が合体する(図15(b))。これを繰り返すことにより、基板31の表面には、スピーシーズの核32cが形成される(図15(c))。図15(d)はスピーシーズの核32cを平面方向から見た図である。イオンプレーティングが進むにつれて、核32cは平面方向及び高さ方向に成長し、島状の塊32dとなる(図15(e))。島状の塊32dは、イオンプレーティングが進むにつれてさらに成長し、基板31の表面が隙間なく島状の塊32dで覆い尽くされた後は、高さ方向に成長を進め、柱状の塊30となる(図15(f))。このようなメカニズムにより柱状の塊30の集合体が成長することから、早期に島状の塊32dが形成された箇所においては柱状の塊30の高さが高くなり、他の箇所においては柱状の塊30の高さがやや低くなる。このため、柱状の塊30の基板31からの高さは互いに僅かに異なることになり、その結果、配線層21,22の表面には、細かな凹凸が現れることになる。
【0061】
使用するイオンプレーティング装置としては、市販のイオンプレーティング装置を用いることができるが、被着金属イオンのエネルギを制御することによって、密着力を確保しつつひずみの発生しにくい成膜条件とすることができる。イオン源は電子ビーム法で蒸発させ、蒸発した金属原子を高周波コイルの中で発生しているArプラズマに浸入させ、イオン化させる。イオン化された金属原子はマイナス電極に設置されたウエハにクーロン力で引き付けられ、被着する。
【0062】
その被着エネルギはイオンの平均自由工程と電圧に関与する。イオンの有効面積をσ2とすると、平均自由工程λ[m]はArガス温度T[K]およびガス圧P[Pa]で決まり、次式で表すことができる。
【数1】

【0063】
また、イオン質量をm[g]とすると、加速される速度vは、次式で表すことができる。
【数2】

【0064】
したがって、イオン加速エネルギUは、次式で表すことができる。
【数3】

【0065】
当然、平均自由工程λはボルツマン分布をしているため、0から1000倍以上という広がりを持つが、平均自由行程で被着層の性質が異なることになる。
【0066】
上式から明らかなようにイオン加速エネルギUは平均自由工程λと同一次元であるため、ボルツマン分布をする。図59は、本実施形態のイオンプレーティング時における被着金属イオンのエネルギの分布を示すグラフである。図60は図59を対数表示したグラフである。エネルギ分布を視認しやすい図60を用いて説明すると、本実施形態のイオンプレーティングでは、主要部分を25±10eVとする0.01eVから250eVの被着エネルギを与える。
【0067】
ここで「主要部分」とは、ボルツマン分布する被着エネルギのピークを意味する。図59に示すように、本実施形態では、被着エネルギのピークは25±10eV、すなわち15eV〜35eVの範囲にあればよい。図59では15eV、25eV、35eVをそれぞれピークとする3通りのエネルギ分布f1(u)、f2(u)、f3(u)を例示している。
【0068】
次に、ピークを中心とした被着エネルギの範囲(上下限)を上記の0.01eVから250eVと定めた理由について説明する。本来、ボルツマン分布する被着エネルギに上下限はない。しかし、本実施形態の被着エネルギを一般的なイオンプレーティングのそれと差別化するため、図60の縦軸に示す、頻度が5%(値0.05)以下の、ほとんど利用されないエネルギ値を一応の目安として切り捨てた。するとエネルギの範囲0.8〜250eVが得られる。ただし本実施形態では下限値をより小さくし、被着エネルギの範囲を0.01〜250eVとした。これは、被着エネルギが低い分子・原子は空間を飛程中に衝突し易く、これによってエネルギが減少すると見たからである。
【0069】
図61は一般的なイオンプレーティングおよび本実施形態におけるイオンプレーティングの被着エネルギの分布を比較するグラフである。図62は図61を対数表示したグラフである。本実施形態におけるイオンプレーティングの特徴は、被着エネルギのピーク(図62に代表として示すエネルギ分布f1(u)のピーク15eV)が、一般的なイオンプレーティングの被着エネルギのピーク(図62のエネルギ分布f0(u)のピーク1keV)より格段に小さく、2桁もの差があることである。
【0070】
ピークにこれだけ明確な差がありながら、既に述べたように上下限のないボルツマン分布同士であるために、本実施形態におけるイオンプレーティングと一般的なイオンプレーティングの被着エネルギの分布曲線は、ほとんど使用されない裾野の部分(0.05=5%以下の部分)でオーバーラップしている。そこで一般的なイオンプレーティングについても、本実施形態と同様に頻度が5%以下のエネルギ値を一応の目安として切り捨てる。これによって本実施形態の被着エネルギの範囲0.01〜250eVは、一般的なイオンプレーティングの被着エネルギの範囲とオーバーラップしなくなる。したがって両者を明確に差別化することができる。
【0071】
なお、イオンプレーティングの被着原子エネルギの範囲を上記の0.01〜250eVからさらに限定し、5〜100eVにすることが好ましいことは既に述べた通りである。
【0072】
図5および図6に示した、配線層21、22のエッジ部21e、22eの角度が55°以下となる構造、および、図14に示した、Cuが柱状の塊30の集合体となる構造は、本実施形態に特有の構造である。すなわち、ある程度の厚みのメタルマスクを用い、主要部分を25±10eVとする0.01eVから250eVの被着エネルギでイオンプレーティングを行うことにより、かかる構造の配線層が得られる。
【0073】
ボルツマン分布からCu2+イオンの粒子エネルギの平均値15.5eVとすると、分布はおおむね200eV(0.01%以下を切捨て)で収まる。この値は原子結合エネルギの約5から10倍であり、被着後再配列するエネルギを持っているが、被着された状態を乱す値ではないことから、被着膜の応力が発生しない条件である。この条件で被着したCu膜のX線回折によるピークを圧延銅箔と比較した測定結果を図16に示す。図16は、上記の件で被着したCu膜80と、標準Cu板81とを比較した図である。最大ピーク(2θ=69°)と2θ=33°のピークはSUS板に貼り付けたための、SUSを表すピークであり、これを除外してみる必要があるが、全体として強度が強い方が標準Cu板81であり、それと同じ場所にピーク値が一致していることから、ひずみのないCu結晶となっていることが分かる。
【0074】
以上の説明で明らかなように、ひずみの少ない厚いCu配線をフォトリソグラフィー法を用いることなく形成することができる。
【0075】
図63はイオンプレーティング時の被着金属(Cu)の被着エネルギと、成膜されたCu結晶の構造との関係を示す実験結果である。同図は結晶をFIB(Focused Ion Beam)で切断した断面である。バイアス電圧およびCuイオンエネルギは4通りに変化させている。その値は図63(a)においてバイアス10V、Cuイオンエネルギ1.825eV+α(条件1)、図63(b)においてバイアス55V、Cuイオンエネルギ10.038eV+α(条件2)、図63(c)においてバイアス200V、Cuイオンエネルギ36.503eV+α(条件3)および図63(d)においてバイアス300V、Cuイオンエネルギ54.754eV+α(条件4)である。それぞれ被着エネルギに「+α」としているのは、これらの被着エネルギの値には、原料基板へのイオンビーム加熱の運動エネルギ(1〜5eV)を加算すべきだからである。
【0076】
条件1〜条件4は、すべて、0.01eVから250eVという本発明が推奨する範囲の被着エネルギの範囲にある。したがって、Cuの大部分が柱状結晶となっていて、図15で説明したセカンダリマイグレーションが起こっている良好な結果と見える。条件1〜4の柱状結晶の成長の様子の相違を、以下、考察する。
【0077】
図63(b)に示す条件2、すなわち被着エネルギが10.038eV+α=11〜15eVの場合が、4条件のなかで、最も、全体にわたって微細できれいな柱状結晶ができていることが分かる。条件2における被着エネルギは、上記の0.01eVから250eVという範囲のなかでも本発明が主要部分としてとりわけ推奨する25±10eVに最も近い値である。
【0078】
図63(a)に示す条件1、すなわち低い被着エネルギ1.825eV+α=2.8〜6.8eVの場合は、領域A1に示すように、粗大結晶になってしまっている領域がある。これは、図15で説明したセカンダリマイグレーションが不足し、安定して成長していない柱状結晶が、隣で成長している柱状結晶からの侵食を受けたためと考えられる。したがって柱状にならず、横の広がりができ、上記のような粗大結晶ができている。また、その他の3つの領域A2、A3、A4にも見られるように、かかる侵食は、柱状結晶の途中でも起こっている。条件1よりさらに低エネルギにした場合には、かかる粗大化が顕著になり、さらに低エネルギにすれば、結晶はアモルファスに近付くと考えられる。
【0079】
図63(c)に示す条件3、すなわち被着エネルギを高くした36.503eV+α=37〜41eVの場合、被着当初(おおよそラインL1より下方の層)は、微細柱状結晶の傾向が見られる。しかしおおよそラインL1より上の中盤以降、スピーシーズ衝突時に既に生成した結晶の乱れが生じ、セカンダリー・サーダリマイグレーションで柱状結晶の連続性が阻害される傾向にあり、結晶粒が次第に粗大化されて成長してゆく。
【0080】
図63(d)に示す条件4、すなわち被着エネルギをさらに高くした54.754eV+α=55〜60eVの場合、おおよそラインL2より上の層において、条件3と同様の粗大化成長とともに、さらに柱状結晶の連続性がなくなり、乱れが大きくなっている。そのきっかけは、既結晶の乱れによる枝別れの箇所が多いことから判断できる。さらに本実験結果には含まれていない以内が、被着エネルギを100eVレベルにすると、柱状結晶ではなく、粒状結晶が生じてくる可能性が示唆される。
【0081】
以上の条件1〜4の比較をまとめると、最も柱状結晶の成長が理想的なものから順に、条件2>条件3>条件1>条件4の順位が付けられる。概ね、本発明がとりわけ推奨する25±10eVの被着エネルギに近い値でイオンプレーティングを行ったものから順番に良好な柱状結晶を形成している。
【0082】
なお条件1より低い被着エネルギや条件4より高いエネルギなど、より広範囲の被着エネルギを用いて実験すれば、結晶の成長の差がより顕著に現れたと考えられる。
【0083】
原子の並びが500〜800個程度という超微細な柱状結晶(ほぼ50nm径)では粒界が極端に多いことから、粒界の変位能の高さから成膜ひずみが小さくなり、被着厚みが厚くても、残留応力の小さな安定膜が形成される。
【0084】
イオンプレーティングによる被着金属は、通常の金属結合エネルギの数倍のエネルギで被着するため、界面接着強度も大きく、ひずみが小さいことから柱状結晶は最適な成膜条件である。
【0085】
図64は、図5および図6にて説明した、配線層21の断面形状を例示する実験結果である。図64(a)は成膜された配線層21の結晶構造を示している。図64(b)は、配線層21の成膜時における配線層21とメタルマスク100との位置関係を模式的に示す図である。図64(c)は、図64(a)と比較対象となる、図10に示したメッキ法にて配線層42を形成した場合の実験結果を例示する図である。図64(a)では、メタルマスクを用いたイオンプレーティングによって配線層(Cu)を成膜していて、その被着エネルギは18.25eV(バイアス100v)である。
【0086】
図64(a)には、図64(b)で位置関係を模式的に示したメタルマスク100の影響でエネルギが弱く、柱状結晶がうまくできていない領域A5があるものの、エッジ部の角度が55°以下となる配線層21が形成されている。
【0087】
一方、図64(c)に比較例として示すメッキ法にて配線層を形成した場合には、エッジ部A6の形状が基板1に対してほぼ90°になっていて、エッジ部A6の応力は緩和されないし、配線層42と保護絶縁膜との密着性も向上させることができず、パッケージの信頼性が高められない。
【0088】
以上、本発明の好ましい回路基板に関する実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0089】
例えば、本発明において基板上に2層の配線層21,22を設けることは必須でなく、模式図である図17に示すように、チップ取り出し電極2の上部に配線層22を直接形成しても構わない。つまり、再配線部を有する配線層21を省略することも可能である。このような構造は、チップ取り出し電極2の電極ピッチが十分に広く、再配線を行う必要がないケースにおいて好適である。この場合、図18に示すように、配線層22の側面22sは斜め(55°以下)であり、配線層22の上面22uのうち外周に沿った縁部22aは保護絶縁膜8によって覆われる。
【0090】
また、上記実施形態においては、配線層21,22をバリア金属配線と銅配線の2層構造としたが、本発明がこれに限定されるものではない。したがって、バリア金属配線を省略しても構わないし、銅を主成分とする銅配線の代わりに他の金属材料からなる配線を用いても構わない。Cu以外の好ましい他の金属材料(主金属)の主成分としては、Al、Ti、Cr及びNiを挙げることができる。好ましくは、主成分は、50パーセント以上である。その他の材料(副金属)の副成分は10パーセント以下である。特に、Alは一般的なWLPにて用いられるメッキ法では形成することができない金属材料であるが、イオンプレーティング法によれば、金属の種類にかかわらず成膜可能である。また、銅配線の代わりにAl配線を用いた場合、Al自身の活性度が高いためバリア金属配線は不要である。Alは金属特性が塑性変形しやすく応力緩和されやすいため、厚く被着しても応力が発生しない利点を有する。さらに、銅配線の代わりに、複数の金属材料からなる多元合金を含む配線を用いても構わない。多元合金は、その種類によってはメッキ法で形成することが困難であるが、イオンプレーティング法によれば、任意の種類の金属を任意の比率で混合させることが可能となる。多元合金を使用したイオンプレーティング法によって、さらに製造コストが低減できる。
【0091】
また、上記実施形態においては、おなじメタルマスクを用いてバリア金属配線(第1の金属性の導体)と銅配線(第2の金属性の導体)の複数の配線層を連続的に形成している(一回のマスク工程、連続する複数回の成膜工程、及び一回のマスク工程に対応する一回のリフトオフ工程からなる一連の工程群)が、本発明がこれに限定されるものではなく、メタルマスクを用いてバリア金属配線を形成した後このメタルマスクを剥離し、別のメタルマスクを用いて銅配線を形成しても構わない。
【0092】
さらに、本発明の対象がシリコンウエハに限定されるものではなく、種々の回路基板に適用することが可能である。
【0093】
さらに、本願の権利対象である回路基板が、シリコンウエハ及び半導体チップに限定されるものではなく、シリコンウエハ、半導体チップを封止した最終製品としての電子デバイス(単一の半導体チップまたは複数の半導体チップがモールディング等で封止された半導体装置、単一または複数の半導体装置を含むカード、単一または複数の半導体チップを含むカード、コンピュータや移動体通信機器などの電子機器に含まれるシステムとしてのマザーボード等)とすることが可能である。この場合、回路基板の外部端子電極は、最終製品が有する外部端子電極となる。本願の一つの技術思想(フォトリソグラフィー工程を経て作成された基板に、フォトリソグラフィー工程を使用せずにメタルマスクを基板に被せるマスク工程、イオンプレーティング法により金属性の導体を形成する成膜工程、及びメタルマスクを剥離するリフトオフ工程、並びに外部端子電極を形成する電極形成工程)と何ら矛盾するものではない。
【0094】
尚、これまでの技術思想においては、後工程においてボンディングワイヤを敷設することを排除するものではないし、回路基板又は最終製品がボンディングワイヤを含むことを何ら制約するものでもない。配線層21、22がAl金属である場合、ボンディングワイヤの設置には好都合である。前述のように、例えば、バリア金属配線は不要であり、更に厚く被着しても応力が発生しない利点(塑性変形しやすく応力緩和されやすい)を有するからである。よって、実施形態における半田ボール9に替えてボンディングワイヤまたはTAB(tape automated bonding)を外部端子電極に含めてもよい。
【0095】
次に、第二章を説明する。本実施形態による第1の半導体装置、第6の半導体装置及び電子システムの構造、並びにそれらの製造方法について説明する。図19乃至図42までは、その回路基板に関連した第1の半導体装置及び電子システムの構造と製造方法を説明したものである。図58は、その回路基板に関連した第6の半導体装置を説明したものである。
【0096】
図19は、本発明の好ましい実施形態による第1の半導体装置(複数のチップを含む)の構造を示す模式的な構造図を上から見た図である。尚、第二章の説明において、第1の半導体装置を単に半導体装置と呼ぶ場合がある。
【0097】
図19に示すように、本実施形態による半導体装置は、絶縁基板50(第4の基板)の上に複数の機能素子である複数の半導体チップ(第1乃至第7チップ)が搭載される。絶縁基板50は、周知の材料及び製法で構成される。絶縁基板上には、それぞれが複数の配線層51(絶縁基板配線)が形成される複数の配線を含む。配線層51は、周知の材料及び製法で構成される。配線層51は、10〜20μmの厚さである。半導体装置は、外部と通信する外部端子群1、2を有する。外部端子群は、配線層51と同一構造である。外部端子群1、2は、絶縁基板50の上面(第1乃至第7チップが搭載されている側の面)に形成されている必要はなく、絶縁基板50の裏面又は側面、及びそれらの組み合わせの面に形成されていても構わない。図19においては外部端子群1、2を破線で示しており、これは、外部端子群1、2が絶縁基板50の裏面に形成されていることを意味する。この点は、図32,33,35,37においても同様である。
【0098】
本実施形態による半導体装置は、第1、2及び第6のチップで構成された第1のシステム、並びに第3、4、5及び第7のチップで構成された第2のシステムを有する。第1のチップ(第1の基板)と第2のチップ(第2の基板)は積層される。第3、4及び第5のチップは、積層される。第1のチップ、第3のチップ(第1の基板)及び第4のチップ(第5の基板)は、前述した回路基板である。第3のチップと第4のチップは、同一の機能を有する半導体チップである。第6のチップ(第3の基板)は、第1及び第2のチップ並びに外部端子群1を介して半導体装置の外部とそれぞれ通信する。第7のチップ(第3の基板)は、第3乃至第5のチップ並びに外部端子群2を介して半導体装置の外部とそれぞれ通信する。第3、4、5及び第7のチップで構成された第2のシステムの電気的な接続構成は、図20に示される。第1、2及び第6のチップで構成された第1のシステムの電気的な接続構成は、不図示であるが、第2のシステムと同様である。故に、この半導体装置は、2つのシステムを有する例である。
【0099】
図20に示すように、本実施形態による第2のシステムは、CPU(プロセッサ:第7チップ)の命令信号をNANDフラッシュメモリ(第3、第4チップ)の動作信号に変換するための制御回路チップ(第5チップ)との接続状態を示した一例である。それぞれの記号は表1に示すとおりである。なお、Other-a,-bは非公開の特別な信号である(不図示)。
【表1】

【0100】
CPUは、汎用のI/O制御信号(GPIO)ピン、アドレス指定ピンA0〜An、読み出し/書き込みピンRD/_WRなどの制御ピンで構成されている。しかし、NANDフラッシュメモリは読み出しや書き込みをシーケンシャルに実行するため、CPU命令とは異なったステップで実行しなければならず、制御回路(第5チップ)が必要である。メモリにアクセスするには、まず所定のコマンドを投入してから、メモリのアドレスを必要サイクル分投入する。そのうえで必要なデータの読み出しや書き込みが実行できる。制御回路がNANDフラッシュメモリを適切に実行させ、CPUの命令に従ったNANDメモリのタスクを実行する。これで分かることは、CPUとNANDフラッシュメモリ間の接続配線a、CPUと制御回路間の接続配線b、及び制御回路とNANDフラッシュメモリ間の接続配線c、並びにCPU、制御回路、NANDフラッシュメモリの3者間で共有する接続配線dがある。
【0101】
図19に戻り、接続配線a、接続配線b及び接続配線dは、それぞれ複数の配線層51(a、b−1乃至b−3、d−1、d−2、e−1)で示される。接続配線c(c−1乃至c−7)は、前述の配線層21若しくはボンディングワイヤ、またはそれらの組み合わせで示される。尚、図面の紙上、それら配線本数は少なく表現している。よって、対応するそれぞれのチップに含まれるチップ取り出し電極(内部端子電極)2の数も実際の製品の数よりも少なく表記している。複数の内部端子電極2は、図19においては、白枠で示されるD1乃至D10、E1乃至E10及びF1乃至F12で示される。尚、配線層21は、第1の端部21a、第2の端部21b及び再配線部21cを含む。図19においては、第1の端部21aと第2の端部21bはグレーの枠で示されるGとHの符号で示され、再配線部21cは点線または一点鎖線で示される。再配線部21cは、第1の端部21aと第2の端部21b、若しくは第1の端部21a同士、または第2の端部21b同士を接続する。第3のチップと第4のチップのそれぞれの表面に形成する配線層21は同一のパターンである。ボンディングワイヤについて、内部端子電極2間を接続する、または内部端子電極2及び第1の端部21a、第2の端部21bをそれぞれ接続するボンディングワイヤは、細い線と太い線のいずれかで示される。
【0102】
第1のチップと第2のチップ間との接続、及びそれらと配線層51との接続について詳述する。第1のチップは、複数のチップ取り出し電極(内部端子電極)2を有する。それらは、白枠で示されるA1乃至A5で示される。第1のチップの表面には、第1の端部21a(第2のノード)、第2の端部21b(第1のノード)及び再配線部21c(第1または第2の配線)を含む再配線が形成される。第2のチップは、複数のチップ取り出し電極(内部端子電極)2を有する。それらは、白枠で示されるB1乃至B6で示される。取り出し電極(内部端子電極)2(A1)は、図2の様に第1の端部21a(C2)と接続する。図面の都合上、白枠とグレーの枠を少しずらして表現している。第1の構造形式として、取り出し電極(内部端子電極)2(B1)は、第2の端部21b(C1;第1のノード)とボンディングワイヤ(第1のボンディングワイヤ)で接続する。以降、図面上においては、曲線で描画された実線のシンボルがボンディングワイヤを示している。尚、細い実線と太い実線とがあるが、その意味は後述する。取り出し電極(内部端子電極)2(A1)は、第1の端部21a(C2;第2のノード)と接続する。取り出し電極(内部端子電極)2(A5)は、第1の端部21a(C12)と接続する。取り出し電極(内部端子電極)2(B6)は、第2の端部21b(C11)と接続する。これらについて、X−1からX−2のラインで表現した断面図を図21で示す。ボンディングワイヤ40は、周知の材料、構造(その断面は円形、円状)、手法で形成される。第1と第2のチップ間には、接着剤42が形成される。絶縁膜43は、ボンディングワイヤ40を保護する。これは、後の第1のチップで構成される第1のウェハがスクライブライン41でダイシングする工程に必要な保護膜である。保護絶縁膜8は、不図示である。再配線は、前述のメタルマスクとイオンプレーティング及びメタルマスクのリフトオフによって形成され、特殊な構造を有する。それらは、第1のチップの表面に垂直な方向から見たエッジ部を含み、第1のチップと接するエッジ部における再配線である配線層の第1のチップの表面と垂直な断面の角度が55°以下である。例えば、スクライブライン41側の配線層21の終端の形状で示される。さらに、配線層21は、第1のチップの表面方向とは異なる方向に伸びる柱状の塊の集合体によって構成されている。尚、配線層21は、好ましくはアルミAlを主成分とする金属であり、Si、Ti、Cuなどの副金属が少量混入し、パシベーション膜への接着力を高めると共に大電流によるエレクトロマイグレーション耐性、耐食性を高めた。Alの金属性が確保された範囲の副金属の混入範囲である。特に、Alは一般的なWLPにて用いられるメッキ法では形成することができない金属材料であるが、イオンプレーティング法によれば、金属の種類にかかわらず成膜可能である。また、一例として、配線層21の厚さは、0.5〜2ミクロンメータとするが、前述のように0.2〜10ミクロンメータでもよい。接着剤は、一例として、ダイボンディング剤(ペースト状)である金属粉末などの混入されたエポキシ、あるいはシリコーン樹脂である。尚、本発明において「主成分」とは、重量比で最も比率の多い材料を指し、好ましくは、重量比が50%以上である材料を指す。
【0103】
図19に戻り、第2の構造形式として、取り出し電極(内部端子電極)2(B2)は、第2の端部21b(C3)とボンディングワイヤ(第2のボンディングワイヤ)で接続する。第1の配線層51(絶縁基板配線;f)は、第2の端部21b(C4)とボンディングワイヤ(第3のボンディングワイヤ)で接続する。これらについて、X−3からX−4のラインで表現した断面図を図22で示す。
【0104】
第3の構造形式として、取り出し電極(内部端子電極)2(A3)は、第1の端部21a(C9)と接続する。第2の配線層51(絶縁基板配線;f)は、第2の端部21b(C6)と接続する。これらについて、X−5からX−6のラインで表現した断面図を図23で示す。配線層21は、第1のチップと第2のチップ間に配置され、第1の端部21a(C9)と第2の端部21b(C6)と接続する。これらについて、X−5からX−6のラインで表現した断面図を図23で示す。
【0105】
第4の構造形式として、第3の配線層51(絶縁基板配線;f)は、取り出し電極(内部端子電極)2(A2)、第2の端部21b(C7)及び第2の端部21b(C8)を介して取り出し電極(内部端子電極)2(B3)と接続する。
【0106】
第5の構造形式として、第4の配線層51(絶縁基板配線;f)は、第2の端部21b(C5)と接続する。取り出し電極(内部端子電極)2(B4)は、第2の端部21b(C10)を介して第2の端部21b(C5)と接続する。これは、第2と第3の構造形式の応用である。
【0107】
第3のチップ、第4のチップ及び第5のチップ間の接続、及びそれらと配線層51との接続について詳述する。基本的には、第1と第2のチップ間の接続と同様であるが、それらに開示されていない部分を詳述する。
【0108】
第6の構造形式として、第5の配線層51(絶縁基板配線;d−1)は、第2の端部21b(G5)、取り出し電極(内部端子電極)2(E1)と接続する。取り出し電極(内部端子電極)2(D1)は、第1の端部21a(G6)を介して第2の端部21b(G5)と接続する。取り出し電極(内部端子電極)2(F2)は、第2の端部21b(G2)を介して第2の端部21b(G5)と接続する。尚、第4のチップは、第3のチップ同様に配線層21と2つの第2の端部21b(G2)(G5)を有するが、それらは使用されない。第4のチップが有する取り出し電極(内部端子電極)2(E1)は、実質的に第4のチップの第2の端部21b(G6;不図示)に接続する。
【0109】
第7の構造形式として、第6の配線層51(絶縁基板配線;d−2)は、第2の端部21b(G7)、取り出し電極(内部端子電極)2(D2)及び取り出し電極(内部端子電極)2(E2)と接続する。取り出し電極(内部端子電極)2(F3)は、第2の端部21b(G3)を介して第2の端部21b(G7)と接続する。第4のチップは、第3のチップ同様に配線層21と2つの第2の端部21b(G3(H3))(G7(H7))を有するが、それらは使用しない。以下同様である。
【0110】
第8の構造形式として、2つの取り出し電極(内部端子電極)2(D5)(E4)は、第2の端部21b(G10)及び第2の端部21b(G9)を介して取り出し電極(内部端子電極)2(F4)と接続する。これらは、接続配線c(c−1)で示される。
【0111】
第9の構造形式として、2つの取り出し電極(内部端子電極)2(F5)(E5)間は、第2の端部21b(G11)及び第2の端部21b(G12)を介して接続する。これらは、接続配線c(c−2)で示される。F5とG11は、ボンディングワイヤ(第5のボンディングワイヤ)で接続する。E5とD5は、ボンディングワイヤ(第6のボンディングワイヤ)で接続する。
【0112】
第10の構造形式として、2つの取り出し電極(内部端子電極)2(F6)(D6)間は、第2の端部21b(G13)及び第2の端部21b(G14)を介して接続する。これらは、接続配線c(c−3)で示される。
【0113】
第11の構造形式として、2つの取り出し電極(内部端子電極)2(E10)(D10)は、それぞれ対応する第1の端部21a(H16)(G16)及び第1の端部21a(H15)(G15)を介して取り出し電極(内部端子電極)2(F11)に接続する。2つの取り出し電極(内部端子電極)2(E9)(D9)は、それぞれ対応する第1の端部21a(H15)(G15)を介して取り出し電極(内部端子電極)2(F11)に接続する。これらは、接続配線c(c−7)で示される。2つの第1の端部21a(H15)(H16)間は、第4のチップの表面に形成された再配線部21c(一点鎖線)によって、接続される。その再配線部21c(一点鎖線)は、第3のチップと第4のチップ間に配置する。2つの第1の端部21a(G15)(G16)間は、第3のチップの表面に形成された再配線部21c(点線)によって、接続される。その再配線部21c(点線)は、第3のチップと第5のチップ間に配置する。第12の構造形式として、配線層51(絶縁基板配線;a)は、取り出し電極(内部端子電極)2(E3)とボンディングワイヤ(第7のボンディングワイヤ)で接続し、また、配線層51(絶縁基板配線;a)は、取り出し電極(内部端子電極)2(D3)とボンディングワイヤで接続する。配線層51(絶縁基板配線;b−3)は、取り出し電極(内部端子電極)2(F10)とボンディングワイヤ(第4のボンディングワイヤ)で接続する。
【0114】
第1のチップについて、図24、図25で詳述する。図24は、第1のチップの表面に形成された第1の端部21a、第2の端部21b及び再配線部21cを含む再配線の上面図である。図25は、それぞれ再配線が形成された複数の第1のチップで構成するウェハ(第1のウェハ)状態の上面図である。これらの構造、及び製造方法の特徴は、前述のとおりである。よって、図24で示される一つの第1のチップは、第1のウェハにおける状態において一つの第1のチップを拡大した図である。
【0115】
第3と第4のチップについて、図26、図27で詳述する。図26と図27は、それぞれ第3のチップと第4のチップの表面に形成された第1の端部21a、第2の端部21b及び再配線部21cを含む再配線の上面図である。この実施例においては、同一機能のチップとしているので、それらの再配線は同一のレイアウトパターンであり、符号が異なるのみである。図26で示される第3のチップ(第4のチップ)は、第1のウェハ(図25)同様に再配線が形成された複数の第3のチップで構成するウェハ(第2のウェハ)であり、一つの第3のチップを拡大したものである。図27も同様である。ダイシング工程にて、一つの第2のウェハからダイシングされたチップを、第3と第4のチップと定義してもよい。
【0116】
第1の製造方法に係わる第3と第5のチップについて、図28、図29及び図30で詳述する。図28は、第3のチップに第5のチップを接着剤で積層に形成した上面図である。正確には、第3のチップの表面に形成された再配線の上に接着剤を介して第5のチップが積層する。これら図28、図29及び図30においても、第3のチップは、第2のウェハにおける状態において一つの第3のチップを拡大したものであることに注意が必要である。図29は、第3のチップと第5のチップ間をボンディングワイヤで接続した上面図である。8か所において、それぞれボンディングワイヤリングしている。この実施例の説明において、ボンディングワイヤは、名称として単一名詞で扱っている。またボンディングワイヤは、ワイヤボンディングと呼ぶことがある。図30は、8か所のボンディングワイヤを絶縁膜(網掛け)で保護した上面図である。第2のウェハをダイシングする工程、または試験工程においてボンディングワイヤの欠損を防止する。この後、複数の第5のチップが積層された第2のウェハは、ダイシングされ、積層された一つの個別チップとなる。
【0117】
第1のチップ乃至第5のチップについて、図31で詳述する。第4のチップの上に第3のチップが積層される。第3のチップの上に、それぞれ第1のチップと第5のチップが積層される。第1のチップの上に第2のチップが積層される。正確には、第3のチップと第5のチップがボンディングワイヤでワイヤリングされて積層された一つの第1の個別チップが、第4のチップに積層される。第1のチップと第2のチップがボンディングワイヤでワイヤリングされて積層された一つの第2の個別チップが、第3のチップに積層される。尚、第4のチップは、第1の端部21a、第2の端部21b及び再配線部21cを含む再配線が表面に形成された第2のウェハをダイシングして得られた個別のチップである。さらに、その後の工程において、第3と第4のチップは積層する。第3のチップは、少なくとも一部の第4のチップの取り出し電極(内部端子電極)2、第1の端部21a及び第2の端部21bが露出するように、第4のチップに積層される。その露出の意義は、絶縁基板配線51、その他のチップの取り出し電極(内部端子電極)2、第1の端部21a及び第2の端部21bの少なくとも一つとの接続のためである。
【0118】
半導体装置について、図32及び図33で詳述する。図32においては、第4のチップ(正確には、積層された第1のチップ乃至第5のチップ)が、絶縁基板50の上に搭載される。それぞれのチップまたはそれぞれのチップに関連する複数の再配線が、複数の絶縁基板配線51と複数のボンディングワイヤ(太い実線)で接続される。第4のチップまたは第4のチップに関連する再配線が、第3及び第5のチップと複数のボンディングワイヤ(太い実線)で接続される。図33においては、第1のチップ乃至第7のチップが、それぞれ絶縁膜(網掛け)で保護されている。
【0119】
第2の製造方法に係わる第1のチップ乃至第5のチップについて、図34、図35で詳述する。図34においては、それぞれのウェハからダイシングされた第1のチップ乃至第5のチップが、積層される。当然、第1、第3及び第4のチップのそれぞれの表面には、再配線が形成されている。第1の製造方法が、再配線を含むウェハの状態で異なるチップを積層してボンディングワイヤを敷設し、その後ダイシングするのに対して、第2の製造方法では、まず最初にそれぞれ再配線を含むウェハをダイシングして、それぞれの異なるチップを積層している。
【0120】
図35(半導体装置)においては、第4のチップ(正確には、積層された第1のチップ乃至第5のチップ)が、絶縁基板50の上に搭載され、それぞれ複数の絶縁基板配線51と複数のボンディングワイヤで接続される。第1のチップ乃至第5のチップ間は、それぞれ複数のボンディングワイヤで接続される。すべてのボンディングワイヤが太い実線であることに注意が必要である。それは、すべてのボンディングワイヤが、一工程にて敷設されるからである。第1のチップ乃至第7のチップが、それぞれ絶縁膜で保護されている。
【0121】
第3の製造方法に係わる第1のチップ乃至第5のチップについて、図36で詳述する。図36においては、最初に、それぞれのウェハからダイシングされた第1のチップ乃至第5のチップが、積層される。当然、第1、第3及び第4のチップのそれぞれの表面には、再配線が形成されている。第1のチップと第2のチップ間が、ボンディングワイヤ(細い実線)で接続される。さらに、第3のチップと第5のチップ間が、ボンディングワイヤ(細い実線)で接続される。それらボンディングワイヤは、絶縁膜(網掛け)で保護される。第2の製造方法が、第4のチップ(正確には、積層された第1のチップ乃至第5のチップ)を絶縁基板50の上に搭載し、それぞれ複数の絶縁基板配線51と複数のボンディングワイヤで接続するのに対して、第3の製造方法では、第4のチップ(正確には、積層された第1のチップ乃至第5のチップ)を絶縁基板50の上に搭載する前に一部のボンディンワイヤを敷設し、保護膜を設けている。この一部のボンディングワイヤを敷設した状態において、第4のチップ(正確には、積層された第1のチップ乃至第5のチップ)を試験した後、良品のみを絶縁基板50に搭載する。
【0122】
図37は、本発明の好ましい実施形態による複数の半導体装置(それぞれ複数のチップを含む)と電子システムの構造を示す模式的な構造図を上から見た図である。電子システムは、3つの半導体装置(それぞれ半導体装置1,2,3)を含む。半導体装置1は、それぞれ絶縁基板52に敷設された外部端子群1、2を介して半導体装置2,3と通信する。半導体装置2、3は、それぞれ絶縁基板50に敷設された外部端子群3,4を介して外部と通信する。外部端子群1、2の一部分は、絶縁基板52の裏面または側面、それらの側面の組み合わせに敷設してもよい。図19で示される半導体装置が一つの部品として顧客に提供されるのに対して、図37で示される半導体装置1が一つの部品として顧客に提供される。例えば、顧客は異なる供給元からそれぞれ購入した半導体装置1,2,3を一つのシステムとして製造し、電子部品の最終製品としてエンドユーザに提供される。半導体装置2、半導体装置3も半導体装置1と同様な本願の特徴を適用することができる。よって、電子システムにおいても、それは本願の特徴を含む。
【0123】
次に、本実施形態による半導体装置及び電子システムの製造方法について説明する。図38は第1の製造方法、図39は第2の製造方法、図40は第3の製造方法である。第1乃至第3の製造法方法において、図24乃至図27は、共通である。
【0124】
第1の製造方法(図38)は、図28乃至図33に対応する。ステップ201にて、ウェハに電子回路を形成する。この工程は、前述のようにフォトリソグラフィー法(レジスト塗布、露光、現像、レジスト剥離)により形成される。これは異なるベンダーから購入する場合がある。ステップ202にて、前述した本願の特徴であるウェハ上に再配線等を形成する。ステップ203にて、異なるチップを再配線が形成されたウェハ(回路基板)に接着材等で積層する。ダイボンディング剤(ペースト状)である金属粉末などの混入されたエポキシ、あるいはシリコーン樹脂を印刷法でウエハ上に形成した後、異なるチップを搭載し、樹脂硬化させる。ステップ204(第1のボンディングワイヤ工程)にて、積層されたチップとウェハとをボンディングワイヤ(ワイヤボンディング)で接続する。ステップ205(第1のボンディングワイヤ保護膜形成工程)にて、そのボンディングワイヤの領域を保護膜で覆う。その保護膜は、有機系の被覆剤をポッティング等で行い、硬化させる。ステップ206にて、ウェハをダイシングして複数の積層したチップに分離する。ステップ207にて、半導体装置の絶縁基板50に接着剤等で接続する。接着剤は、一例として、ダイボンディング剤(ペースト状)である金属粉末などの混入されたエポキシ、あるいはシリコーン樹脂である。ステップ208(第2のボンディングワイヤ工程)にて、絶縁基板上の配線51と積層したチップとをボンディングワイヤで接続する。ステップ209(第2のボンディングワイヤ保護膜形成工程)にて、少なくともそのボンディングワイヤの領域を保護膜で覆う。その保護膜は、有機系の被覆剤をポッティング等で行い、硬化させる。好ましくは、積層されたチップを含む領域を保護膜で覆う。ステップ210にて、外観検査等を行い半導体装置(半導体回路)が完成する。ボンディングワイヤ工程は2工程、ボンディングワイヤを覆う絶縁膜は2つ存在することに注意が必要である。試験工程においては、好ましくは3つの試験工程を適用するのが好ましい。第1の試験工程(試験1)では、ウェハに描画された電子回路を試験する。第1の試験工程は、ステップ202の後に実施してもよい。或いは、ステップ201の後に試験を行い、さらに、ステップ202の後に試験を行っても構わない。これによれば、ステップ202において形成された再配線に不良があるか否かを判別することが可能となる。第2の試験工程(試験2)においては、積層された複数の電子回路を試験する。第2の試験工程は、ステップ204後に実施してもよい。これは、試験結果によって、ボンディングワイヤを修正(リペア)もしくは冗長なボンディングワイヤ(不図示)を敷設することがあるからである。第3の試験工程(試験3)においては、半導体装置全体として試験する。第3の試験工程は、ステップ208の後に実施してもよい。これは、試験結果によって、ボンディングワイヤを修正(リペア)もしくは冗長なボンディングワイヤ(不図示)を敷設することがあるからである。これらの一連の工程において、ボンディングワイヤの意義は、第1乃至第5のチップの取り出し電極(内部端子電極)2の座標が設計変更等により異なっても、ボンディングワイヤの長さにより調整が可能な柔軟な接続が実現できる。
【0125】
第2の製造方法(図39)は、図34乃至図35に対応する。第1の製造方法所なる点のみを詳述する。ステップ202の後、ステップ206が適用される。ステップ206の後、ステップ211が適用される。ステップ211の後、ステップ212及びステップ213が順次適用される。つまり、ステップ202の後、ステップ203乃至ステップ205を排除し、ステップ206を適用している。ステップ211は、図34の様に絶縁基板50の上にすべてのチップを積層する。ステップ212(第3のボンディングワイヤ工程)は、絶縁基板上の配線51と積層したすべてのチップ、及びそれらチップ同士を一回のボンディングワイヤの工程で接続する。ステップ213(第3のボンディングワイヤ保護膜形成工程)は、少なくともそのボンディングワイヤの領域を保護膜で覆う。これら複数の工程によって、第1の製造方法の工程数よりも少ない工程数で半導体装置が実現できる。尚、試験工程について、第2の製造方法は2つの試験工程に削減されていることに注意が必要である。但し、本例においても、ステップ201の後に試験を行い、さらに、ステップ202の後に試験を行っても構わない。これによれば、ステップ202において形成された再配線に不良があるか否かを判別することが可能となる。また、ステップ212において全てのボンディングワイヤを形成することは必須でなく、複数の工程に分けてボンディングワイヤを形成しても構わない。例えば、まずチップ同士を接続するボンディングワイヤを形成し、その後、別の工程にて絶縁基板上の配線51とチップとを接続するボンディングワイヤを形成しても構わない。
【0126】
第3の製造方法(図40)は、図36に対応する。第1の製造方法と異なる点のみを詳述する。ステップ202の後、ステップ206が適用される。ステップ206の後、ステップ214、ステップ215が順次適用される。つまり、ウェハをダイシングするステップ206の工程を、第1の製造方法より前の工程に移行させている。これにより、ボンディングワイヤに関するボンダー装置をウェハのサイズに対応した高価で大きなボンダー装置に比べてチップのサイズに対応した安価で小さなボンダー装置を使用することができる。尚、ステップ214は、それぞれのウェハからダイシングされた複数のチップを積層する。ステップ215は、それらチップ間をボンディングワイヤで接続する。更に、第1の試験工程(試験1)は、ステップ206の後に実施してもよい。
【0127】
第1乃至第3の製造方法は、それぞれ異なる長所を有する。半導体装置の製造業者は、第1乃至第7のチップをすべて製造する訳ではない。更に、再配線も異なる業者が行う場合がある。第1乃至第3の製造方法は、これらの複数の製造業者が関連する多様な製造方法を提供する。例えば、試験1乃至試験3のそれぞれが、異なる業者が関連する受け渡しの責任と理解することもできる。
【0128】
以上、本発明の好ましい第1の半導体装置と電子ステムに関する実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0129】
例えば、第2の端部21bは、図2、図3(b)の様に配線層22(第2の配線層)を含んでいてもよい。半田ボール9に変わるボンディングワイヤの製造条件をリラックスできる場合がある。第2の端部21bが二層(第一及び第二の配線層)であれば、ボンディング時のボンダー装置からのメカニカルストレスを緩和できる。言い換えれば、ボンダー装置がワイヤリングする時の圧力の設定値に余裕を持たせることができる。
【0130】
また、第6のチップと第7のチップが、それぞれ配線層51と接続する構造は、問わない。図2の構造であれば、絶縁基板50にフリップチップとして接続する構造である。また、図2の配線6,7及び半田ボール9を除く構造であれば、本願の半導体装置の製造工程(接着工程、ボンディングワイヤ工程)に含むことが可能である。
【0131】
また、絶縁基板50から第1乃至第7のチップにそれぞれ供給する電源供給線は、これまで本願が開示した再配線の特徴を準用して適用することができる。
【0132】
また、半導体装置は、第1、2及び第6のチップで構成された第1のシステムのみでよい、並びに第3、4、5及び第7のチップで構成された第2のシステム、又は第3、5及び第7のチップで構成された第2のシステムのみでもよい、ことは当然のことである。半導体装置の外観、形状、機能は、問わない。よって、第1のシステムではNANDフラッシュメモリに関するシステムについて例示したが、不揮発性に限られず揮発性のメモリ、またはそれらの組み合わせ、さらにはメモリの機能に限られない。
【0133】
また、半導体装置は、第1のシステムと第2のシステムが相互に関連するデータ処理を行う機能であってもよい。例えば、第3のチップの表面に形成された再配線を介して、第1及び第2のチップとボンディングワイヤで接続される、又は第1のチップの表面に形成された再配線と、第3のチップの表面に形成された再配線、第3、4、5のチップとが、ボンディングワイヤで接続される、等の多様な構造が考えられる。
【0134】
例えば、第6の半導体装置は、図58に示される。第13の構造形式として、取り出し電極(内部端子電極)2(F13)は、ボンディングワイヤ1を介して第2の端部21b(G18)に接続する。第2の端部21b(G18)は、再配線部21cを介して第2の端部21b(G19)に接続する。第2の端部21b(G19)は、ボンディングワイヤ2を介して第2の端部21b(G20)に接続する。第2の端部21b(G20)は、再配線部21cを介して第2の端部21b(G21)に接続する。第2の端部21b(G21)は、ボンディングワイヤ3を介して絶縁基板配線51(e−1)に接続する。絶縁基板配線51(e−1)は、後述するリードフレームのリード部に替えることができる。ボンディングワイヤ2は、再配線層間を接続するジャンピングワイヤである。取り出し電極(内部端子電極)2(F13)は、第3のチップの取り出し電極(内部端子電極)2でもよい。この場合、第2の端部21b(G18)は、第1の端部21a(G18)に置き換わる。ジャンピングワイヤは、前述の第1の構造形式から第12の構造形式のいずれかに組み込むことが可能である。
【0135】
また、上記実施形態では、チップ間における電気的な接続を全てボンディングワイヤによって行っているが、本発明がこれに限定されるものではなく、チップ間における一部の電気的接続をフリップチップ接続により行っても構わない。チップ間における一部の電気的接続をフリップチップ接続により行う例を図41に示す。図41に示す例では、チップChip−Aの上にチップChip−Bが搭載され、さらに、チップChip−Bの上にチップChip−Cが搭載されている。このうち、チップChip−AとチップChip−Bについては上方が主面となるようフェースアップ方式で搭載され、チップChip−Cについては下方が主面となるようフェースダウン方式で搭載されている。そして、チップChip−Aと配線51との間、チップChip−Bと配線51との間、並びに、チップChip−AとチップChip−Bとの間は、ボンディングワイヤ40によって電気的に接続されている。一方、チップChip−BとチップChip−Cとの間は、半田ボール9を用いたフリップチップ接続によって電気的に接続されている。本発明はこのような態様も包含しうる。チップChip−B及びチップChip−Cの少なくともいずれかは、チップの表面に形成された本願の特徴である再配線層を有する。チップChip−Cの構造は、図2で示される。チップChip−Bの構造は、例えば、図23で示される第1チップの表面に敷設する配線42である。半田ボール9は、配線42に接続する。少なくともいずれかのチップに本願の特徴を適用することで、大幅なコストダウンが実現できる。
【0136】
さらに、上記実施形態では、積層された複数のチップ間における接続について説明したが、積層されていない複数のチップ間における接続にも本発明の技術思想を応用することが可能である。例えば、図42に示すように、絶縁基板50の上面にチップChip−DとチップChip−Eが搭載され、チップChip−Dと配線51との間、チップChip−Eと配線51との間、並びに、チップChip−DとチップChip−Eとの間をボンディングワイヤ40によって電気的に接続することも可能である。本発明はこのような態様も包含しうる。チップChip−DとチップChip−Eは、少なくともいずれかのチップの表面に形成された本願の特徴である再配線層を有する。ボンディングワイヤ40は、少なくともチップChip−DとチップChip−Eのいずれかの再配線に接続する。例えば、ボンディングワイヤ40は、チップChip−Dの表面に形成された再配線層とチップChip−Eの表面に形成された再配線層間を接続する。チップChip−Dの表面に形成された再配線層とチップChip−Eのチップ取出し電極(内部端子電極)間を接続する。ボンディングワイヤ40は、チップChip−Dの表面に形成された複数の再配線層間を接続してもよい。
【0137】
さらに、上記実施形態では、絶縁基板50に複数の半導体チップを搭載した例を挙げたが、半導体チップを搭載する基板としては絶縁性の基板に限定されるものではなく、リードフレームなどの導電性基板であっても構わない。本発明はこのような態様も包含しうる。
【0138】
次に、第三章を説明する。本実施形態による第2の半導体装置乃至第5の半導体装置、及びそれらの製造方法について説明する。図43乃至図57までは、その回路基板に関連した第2乃至第5の半導体装置の構造と製造方法を説明したものである。
【0139】
図43は、本発明の好ましい実施形態による第2の半導体装置(複数のチップを含む)の構造を示す模式的な構造図の鳥観図である。尚、第三章の説明において、第2の半導体装置を単に半導体装置と呼ぶ。第1の半導体装置と同一な部分は第2の半導体装置の説明において説明を省略し、図面の簡素化のために符号も省略する。
【0140】
図43に示すように、本実施形態による半導体装置300は、前述の半導体装置1に含まれる第1乃至第第5のチップ及びそれらに関連する複数のボンディングワイヤを含む。第1の半導体装置と異なる点は、第6及び第7のチップ、絶縁基板50,52(半導体装置の基板、システム基板)、及び複数の絶縁基板配線51、a、b、d、e、f、gを含まない。第2の半導体装置は、第1乃至第第5のチップを搭載する金属性のステージ301、複数のボンディングワイヤと接続するステージと同一な材質の金属性の複数のリード302、及びそれらを封止する封止材303を有する。図54の様に、封止材303は、ステージの裏面(複数のチップが搭載される主面と対向する反対の面)及びリードの裏面(ボンディングワイヤが接する主面と対向する面)を覆っていないことに注意が必要である。リードの裏面の一部(好ましくは、チップのエッジと反対側である封止材のエッジ側)は、第2の半導体装置の外部端子として利用される。この第2の半導体装置をシステムであるマザーボード上のメタライズド配線等に実装する場合、その裏面の一部が半田等で接続される接点となる。リードの外部端子のノードとボンディングワイヤが接するリードのノードの長さは、任意である。封止材の一辺に配置されることは必須ではない。ステージも必須ではない。尚、図54は、第2の半導体装置の変形例であり、第1と第2のチップに関する部分の断面図である。この断面図において、第1チップの内部端子電極(チップ取出し電極)と再配線との接続等は、開示されていないが、図21、図23、後述する図55と同様である。図54において、半導体装置の外部端子であるリードが2辺に存在する。4辺に存在してもよい。リードは底辺と側面の一部に露出する。ステージ301は、その裏面(底面)がシステムのマザーボードと接し、ヒートシンクに役割をなす。ステージ301と第1チップ間の接着剤が導電性の場合、第1チップの基板電位をマザーボードから印加することも可能である。マザーボードと電気的、熱的な接続を望まない場合、ステージ301の裏面に絶縁処理を施してもよい。
【0141】
図44に第2の半導体装置の製造フロー(第4の製造方法)を示す。第4の製造方法は、図47乃至図53に対応する。図39(第2の製造方法)と異なる点について述べる。ステップ206の後、ステップ214乃至218が順次適用される。リードフレーム(ステージ)に複数のチップを積層して接着するステップ214は、図47乃至図51に対応する。複数のチップ間及びリードフレームの配線(リード)とチップをボンディングワイヤで接続するステップ215は、図52に対応する。樹脂で封止するステップ216は、図53に対応する。リードフレームを切断するするステップ217は、不図示である。リードフレームを成形(リードフォーミング)するステップ218は、図56に対応する。形成とは、封止材の外部に露出するリードを、マザーボード等の様々なシステムに装填する製造方法に合わせた顧客が希望する所定形状にベンドされる。尚、図43、図54、図55のそれぞれの半導体装置の場合においては、ステップ218は省略されるステップである。
【0142】
ステップ214について述べる。図47は、ステージ301に接着剤等で第4のチップを搭載した図である。図48は、第4のチップに接着剤等で第3のチップを積層した図である。図49は、第3のチップに接着剤等で第5のチップを積層した図である。図50は、第3のチップに接着剤等で第1のチップを積層した図である。図51は、第1のチップに接着剤等で第2のチップを積層した図である。尚、第1乃至第5のチップを予め積層してからステージに搭載することも可能である。更に、後述する図56、図57のそれぞれの半導体装置の場合においては、ステップ214を省略することも可能である。この場合、後のボンディングワイヤでの接続工程において、ステージの代わりに製造装置の治具等で行う。治具はフィルムであってもよい。
【0143】
ステップ215について述べる。図52は、複数のリード302と、再配線のノード及び各チップの内部端子電極(チップパッド)の少なくともいずれかをボンディングワイヤ40で接続する。
【0144】
ステップ216について述べる。図53は、ワイヤボンディングが敷設された後、モールディングして半導体装置としての外形を形成する。少なくともリード302の一部の裏面は、封止されない。
【0145】
図46は、一つの半導体装置に対応する金属材料である。例えば、カード状の最終製品の半導体装置である。金属材料は、半導体装置が外部と通信するために必要なインタフェースである。インタフェースには、電源も含む。金属材料は、ステージ301、複数のリード302、これらを支持するリードフレーム304、ステージ及びリード並びにリードフレームを接続するステージ連結部306、リード連結部305を含む。金属材料は、通常、コバール、42合金(42%Ni‐鉄)、銅系合金等の導電性に優れた材料で組成される。厚さは、ミニマム100μm以上が好ましい。第2乃至第5の半導体装置は、リードで半導体装置全体の剛性を担う一部であるからである。更に、後述する第3乃至第5の半導体装置(図55乃至図57)においては、複数のチップを支持するからである。必要な部分にメッキをおこなう場合もある。メカニカル強度が大きい金属材料の板を、フオトリソグラフイー技術を用いたエッチング加工方法やスタンピング法等により図45の様に加工される。図45は、行列として24個の半導体装置のための第1の金属材料である。第1の金属材料は、前述のステップ214において適用される。24個の第4のチップが、第1の金属材料に一括処理として積層される。ステップ215においても、24個のチップとそれぞれ対応する複数のリードとが、ボンディングワイヤによって接続される。ステップ216においても同様に、24個の第4のチップが、一括処理される。
【0146】
ステップ217について述べる。24個の半導体装置が、第1の金属材料に対してステップ214乃至216の製造工程を経た後、複数個所のステージ連結部306及び複数個所のリード連結部305が、パンチング等によって切断され、24個の第2の半導体装置が完成する。
【0147】
第3乃至第5の半導体装置について述べる。第3乃至第5の半導体装置のそれぞれの断面図は、図55乃至図57に対応する。第2の半導体装置と異なる点について述べる。第3の半導体装置(図55)は、第1チップの上に接着剤等の絶縁材を介してリード302の少なくとも一部が配置される。ステージ301は必須ではなく、この場合、前述のようにステージ301の代わりに製造装置の治具等(フィルム)等に粘着された第1チップ(第1チップには、既に第2チップが積層されている)をリード302に接着する工程の後、ボンディングワイヤで接続する。フィルムは、封止工程前に剥離されてもよい。リード302は、第2チップの上に接着されていてもよい。第1チップ及び第2チップのそれぞれの上に接着されていてもよい。第4の半導体装置(図56)は、リード302の少なくとも一部の上に接着剤等の絶縁材を介してチップが配置される。ステージ301は存在しない。第1チップの裏面にステージ301を設けてもよい。第5の半導体装置(図57)は、第1及び第2のチップの上(電子回路が描画された表面側)にそれぞれリードの一部を接着し、それらリードからボンディングワイヤで第1のチップの表面に形成された回路基板(再配線))を介して第1のチップの内部端子電極(チップ取出し電極)に、電気的に接続する。リードの外部端子は様々な形状、封止材の場所から露出させることができる。第1乃至第5の半導体装置のそれぞれの特徴の組み合わせにより、図示しない様々な内部構造、外部端子の露出方法が得られる。
【0148】
以上、本発明の好ましい第2乃至第5の半導体装置に関する実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0149】
例えば、第4の製造方法(図44)は、以下のように変形できる。第1の製造方法(図38)におけるステップ203(チップをウェハ上に接着)を、第4の製造方法におけるステップ202とステップ206の間に挿入する。そして、第4の製造方法におけるステップ114においては、既に積層された2つのチップ(第1チップ及び第2チップ)を一つの単位基板(単位チップ)をリードフレームのステージ301を含まない半導体装置(図56、図57)においては、前述のように、ステージ301の代わりに製造装置の治具等(フィルム)等を用いる。
【産業上の利用可能性】
【0150】
本発明は、回路基板及びその製造方法、それらを適用した半導体装置及びその製造方法並びにシステムに利用することができる。さらには、ウエハレベルパッケージ構造およびその製造方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0151】
1 基板
2 チップ取り出し電極(内部端子電極)
3 パッシベーション膜
4,6 バリア金属配線
4a,6a バリア金属材料
5,7 銅配線
8 保護絶縁膜
8a 保護絶縁膜の端部
9 半田ボール
9a 半田ボールの底面
10 シリコンウエハ
21 配線層(第1の配線層)
22 配線層(第2の配線層)
21a 第1の端部
21b 第2の端部
21c 再配線部
21e,22e エッジ部
21s,22s 側面
21u,22u 上面
22a 縁部
30 柱状の塊
31 基板
32,32a,32b スピーシーズ
32c スピーシーズの核
32d 島状の塊
40 ボンディングワイヤ
41 スクライブライン
42 接着剤
43、44 絶縁膜
50、52 絶縁基板(半導体装置の基板、システム基板)
51、a、b、d、e、f、g 絶縁基板配線
100,200 メタルマスク
101,201 開口部
300 第2の半導体装置
301 ステージ
302 リード
303 封止材
304 リードフレーム
305 リード連結部
306 ステージ連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電子回路が主面に描画され、前記第1の電子回路がそれぞれ前記第1の電子回路の外部と通信する第1と第2の内部端子電極を有する第1の基板と、
第2の電子回路が主面に描画され、前記第2の電子回路がそれぞれ前記第2の電子回路の外部と通信する第3と第4の内部端子電極を有し、前記第1の基板に積層された第2の基板と、
前記第1の基板の表面の一部に形成され、それぞれが第1及び第2のノードを有する第1及び第2の配線を含む配線層と、
前記第3及び第4の内部端子電極と、それぞれ対応する前記第1及び第2の配線の第1のノードとを接続する第1と第2のボンディングワイヤと、
少なくとも前記第1の基板の主面、第2の基板の主面及び前記第1と第2の基板のそれぞれの側面を封止する封止材と、
前記封止材に覆われた第3のノード及び前記封止材の外部から接続できる第4のノードを有する絶縁基板に支持されない金属材料の第3の配線と、
前記第2の配線の第2のノードと前記第3の配線の第3のノードとを接続する第3のボンディングワイヤと、を備え、
前記第1乃至第3のボンディングワイヤは、それら断面が円状であり、
前記配線層は、前記第1の基板の表面に垂直な方向から見たエッジ部を含み、前記第1の基板と接する前記エッジ部における前記配線層の前記第1の基板の表面と垂直な断面の角度が55°以下である、ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第3の配線は、少なくとも6面を有し、少なくとも前記封止材が接しない面を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第4のノードは、前記封止材が接しない前記面である、ことを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記封止材に覆われた前記第3の配線の一部は、前記第1の基板に積層する、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記封止材に覆われた前記第3の配線の一部は、前記第2の基板に積層する、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第3の配線の一部は、前記第1の基板を前記第2の基板と挟むように前記第1の基板の下に配置する、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
更に、前記第3の配線の一部と前記第1の基板の主面と反対の裏面との間に、前記第3の配線と前記第1の基板を接続する接着剤を備える、ことを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記接着剤は、電気的に絶縁である、ことを特徴とする請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記封止材は、前記第4のノードの面を除く前記第3の配線のすべての面を覆う、ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項10】
更に、前記第1の基板の主面と反対の裏面の少なくとも一部の領域に、前記第1の基板を搭載する前記金属材料と同一のステージを備える、ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記ステージの一部は、前記封止材の外部から接続できるノードを有する、ことを特徴とする請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第1の配線の第2のノードが前記第1の内部端子電極を覆うことによって、前記第1の配線の第2のノードと前記第1の内部端子電極とを接続する、ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項13】
更に、前記第2の基板は、前記第2の電子回路が前記第2の電子回路の外部と通信する第8の内部端子電極を有し、
更に、前記半導体装置は、
前記封止材に少なくとも3つの面が接し、前記封止材に覆われた第5のノード及び前記封止材の外部から接続できる第6のノードを有する前記金属材料と同一の第4の配線と、
前記第8の内部端子電極と前記第4の配線の第5のノードとを接続する第4のボンディングワイヤと、を備える、ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項14】
更に、前記第1の基板は、前記第1の電子回路が前記第1の電子回路の外部と通信する第9の内部端子電極を有し、
更に、前記半導体装置は、
前記封止材に少なくとも3つの面が接し、前記封止材に覆われた第7のノード及び前記封止材の外部から接続できる第8のノードを有する前記金属材料と同一の第5の配線と、
前記第9の内部端子電極と前記第5の配線の第7のノードとを接続する第5のボンディングワイヤと、を備える、ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項15】
更に、前記第1の基板は、前記第1の電子回路が前記第1の電子回路の外部と通信する第10の内部端子電極を有し、
更に、前記第2の基板は、前記第2の電子回路が前記第2の電子回路の外部と通信する第11の内部端子電極を有し、
更に、前記配線層は、第9、第10及び第11のノードを有する第6の配線を有し、
更に、前記半導体装置は、
前記封止材に少なくとも3つの面が接し、前記封止材に覆われた第12のノード及び前記封止材の外部から接続できる第13のノードを有する前記金属材料と同一の第7の配線と、
前記第11の内部端子電極と前記第6の配線の第9のノードとを接続する第6のボンディングワイヤと、
前記第6の配線の第10のノードと前記第7の配線の第12のノードとを接続する第7のボンディングワイヤと、を備える、ことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記第6の配線の第11のノードが前記第10の内部端子電極を覆うことによって、前記第10の配線の第11のノードと前記第10の内部端子電極とを接続する、ことを特徴とする請求項15に記載の半導体装置。
【請求項17】
少なくとも前記第1及び第2の配線のいずれかの配線の一部は、前記第1と第2の基板の間に配置する、ことを特徴とする請求項1乃至16のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記配線層は、前記第1の基板の表面方向とは異なる方向に伸びる柱状の塊の集合体によって構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項19】
前記集合体に含まれる複数の柱状の塊の少なくとも一部は、前記第1の基板の表面からの高さが互いに異なる、ことを特徴とする請求項18に記載の半導体装置。
【請求項20】
前記集合体に含まれる複数の柱状の塊は、前記配線層を構成する金属材料の結晶体である、ことを特徴とする請求項18又は19に記載の半導体装置。
【請求項21】
前記集合体に含まれる複数の柱状の塊の少なくとも一部は、互いに結晶方位が異なる、ことを特徴とする請求項20に記載の半導体装置。
【請求項22】
更に、少なくとも前記第1のノードの領域を除く前記配線層を覆う第1の絶縁膜を備え、
前記第1の絶縁膜の表面の前記第1の基板からの高さは、前記第1と第2のボンディングワイヤがそれぞれ接する前記配線層の表面の前記第1の基板からの高さよりも高い、ことを特徴とする請求項1、18乃至21のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項23】
前記配線層は、Cu、Al、Ti、Cr及びNiからなる群より選ばれた金属を主成分として含む、ことを特徴とする請求項1、18乃至21のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項24】
前記配線層の主成分がAlである、ことを特徴とする請求項23に記載の半導体装置。
【請求項25】
更に、前記第1の基板の表面に接し且つ少なくとも前記第1と第2の内部端子電極の領域を除く前記第1の基板を覆う第2の絶縁膜とを備え、
前記配線層は、前記第2の絶縁膜に直接被着する、ことを特徴とする請求項24に記載の半導体装置。
【請求項26】
前記配線層は、複数の金属材料からなる多元合金を含む、ことを特徴とする請求項1、18乃至21のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項27】
前記第1乃至第4の内部端子電極は、その表面にメッキが施されている層を含む、ことを特徴とする請求項1乃至26のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項28】
少なくとも前記第1及び第2の内部端子電極は、Alからなり、
前記配線層は、Alを主成分として含む、ことを特徴とする請求項1乃至26のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項29】
前記第1の基板は、前記第1の電子回路が主面に描画される半導体の基板と、前記半導体の基板の表面に接し且つ少なくとも前記第1と第2の内部端子電極の領域を除く前記半導体の基板を覆う第2の絶縁膜とを含む、ことを特徴とする請求項1、18乃至28のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項30】
前記配線層は前記第2の絶縁膜の表面に接し且つ前記第2の絶縁膜の一部を覆う、ことを特徴とする請求項29に記載の半導体装置。
【請求項31】
内部端子電極を有する第1の基板に、前記内部端子電極と前記第1の基板の外部とを電気的に接続する配線を形成する回路基板、及びその回路基板を含む半導体装置の製造方法であって、
前記回路基板の製造工程は、
前記内部端子電極を含む前記第1の基板の表面の一部が露出するような開口部を有する、陰極側に接続される金属性のメタルマスクを前記基板に被せるマスク工程と、
前記基板に所定の電位を与え、前記所定の電位と異なる電位にイオン化された被着金属に、0.01eVから250eVの被着エネルギを与えることによって、前記基板の表面の一部及び前記メタルマスク上に、イオンプレーティング法により正の電荷を有するイオンの粒子から金属性の導体を形成する成膜工程と、
前記メタルマスクを剥離することによって、前記基板の表面の一部に形成された前記内部端子電極と電気的に接続する金属性の導体からなる前記配線の配線層を残存させるリフトオフ工程と、を備え、
前記半導体装置の製造工程は、
内部端子電極を有する第2の基板を、前記回路基板の前記配線の側の面に積層する積層工程と、
少なくとも、前記第2の基板の内部端子電極と前記回路基板上の前記配線との接続、及び、前記回路基板上の前記配線と、前記半導体装置の外部へ接続するリード部を含み絶縁基板に支持されない金属材料で作られたリードフレームの前記リード部との接続、のいずれか一方の接続を含む第1の接続工程と、を備える、
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項32】
前記イオン化された被着金属に、5〜100eVの被着エネルギを与えることを特徴とする請求項31に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項33】
前記積層工程は、それぞれが一つのセットである複数の前記第1の基板及びそれぞれ対応する複数の前記回路基板を含み、それらのセットの一方を他方に積層することを含む、ことを特徴とする請求項31に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項34】
前記積層工程は、少なくとも、前記他方の第1の基板の内部端子電極及びそれに対応する前記前記第1の接続工程で接続されるノードである前記回路基板の前記配線の一部のいずれか一方が、前記一方の前記第1の基板と重ならない様に積層する、ことを特徴とする請求項33に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項35】
前記第1の接続工程は、少なくとも、前記第1の基板の内部端子電極と前記リード部との接続及び前記第2の基板の内部端子電極と前記リード部との接続のいずれか一方の接続を含む、ことを特徴とする請求項31乃至34のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項36】
前記第1の接続工程は、ボンディングワイヤによって接続する工程である、ことを特徴とする請求項31乃至35のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項37】
前記第1の基板は、同一の回路が繰り返し形成された集合基板であり、
前記半導体装置の製造工程は、更に、
前記回路基板の製造工程の後、前記第1の基板を含む前記集合基板を切断して、複数の単位基板を取り出す第1の切断工程を備える、ことを特徴とする請求項31乃至36のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項38】
前記集合基板は半導体ウエハであり、前記単位基板は半導体チップであることを特徴とする請求項37に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項39】
前記リードフレームは、少なくともフレーム部、前記リード部を前記フレーム部と接続するリード連結部を含み、
前記半導体装置の製造工程は、更に、
前記第1の接続工程の後、前記フレーム部、前記リード連結部を除き、少なくとも前記第1の基板、前記回路基板、及び前記リード部らの前記第1の接続工程が行われる上面を、絶縁材で覆う封止工程と、
前記封止工程の後、前記リード連結部を切断する第2の切断工程と、を備える請求項31乃至38のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項40】
前記封止工程は、更に、前記上面と反対側を示す前記リード部の一部の裏面を除き、前記第1の基板、前記回路基板、及び前記リード部らのすべての面を絶縁材で覆う、請求項39のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項41】
前記封止工程は、更に、前記上面と反対側を示す前記リード部の一部の裏面を除き、前記第1の基板、前記回路基板、及び前記リード部らのすべての面を絶縁材で覆う、請求項39のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項42】
前記第1の基板は、フォトリソグラフィー法により形成され前記内部端子電極に電気的に接続された内部配線を有する、ことを特徴とする請求項31に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項43】
前記リフトオフ工程を行った後、前記積層工程および前記第1の切断工程を行う前に、前記回路基板の内部端子電極を除く前記基板の表面に流動性を有する絶縁材料を選択的に供給する絶縁膜形成工程をさらに備えることを特徴とする請求項37乃至39のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項44】
前記絶縁膜形成工程においては、前記配線層の上面の周縁部を前記絶縁材料で覆うことを特徴とする請求項43に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項45】
一回の前記マスク工程、連続する複数回の前記成膜工程、及び前記一回のマスク工程に対応する一回の前記リフトオフ工程からなる一連の工程群によって、複数の前記配線層を形成することを特徴とする請求項31乃至44のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項46】
前記連続する複数回の成膜工程は、第1の前記金属性の導体を形成する第1の前記成膜工程と、第2の前記金属性の導体を形成する第2の前記成膜工程を含むことを特徴とする請求項45に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項47】
第1の前記メタルマスクを使用した前記マスク工程、少なくとも一回の前記成膜工程、及び前記マスク工程に対応する前記リフトオフ工程からなる第1の工程群と、
更に、前記回路基板に前記回路基板の外部と電気的に接続接続すべき第1の領域が露出するような開口部を有する金属性の第2のメタルマスクを前記基板に被せる第2のマスク工程、
前記第1の領域及び前記第2のメタルマスク上に、イオンプレーティング法により前記金属性の導体を形成する少なくとも一回の第2の成膜工程、及び
前記第2のメタルマスクを剥離することによって、前記第1の領域に形成された前記金属性の導体からなる第2の配線層を残存させる第2のリフトオフ工程からなる第2の工程群を備え、
前記第1と第2の工程群により、複数の配線層を形成する、ことを特徴とする請求項31乃至46のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項48】
前記配線層の形成に関連して、レジストの塗布、露光、現像、及び前記レジストの剥離の各工程を含まない、ことを特徴とする請求項31乃至47のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項49】
前記成膜工程は、Cu、Al、Ti、Cr及びNiからなる群より選ばれた金属を主成分として前記金属性の導体を形成する、ことを特徴とする請求項31乃至48のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項50】
前記成膜工程は、Alを主成分として前記金属性の導体を形成する、ことを特徴とする請求項49に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項51】
少なくとも前記第1の基板は、半導体基板である、ことを特徴とする請求項31乃至50のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項52】
前記被着エネルギは、主要部分を25±10eVとする、ことを特徴とする請求項31乃至51のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【公開番号】特開2011−211149(P2011−211149A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−181467(P2010−181467)
【出願日】平成22年8月13日(2010.8.13)
【出願人】(709006507)株式会社SKLink (14)
【Fターム(参考)】