説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】従来の半導体装置では、半導体基板が樹脂層により被覆されない構造のため、半導体基板端部が欠け易い問題があった。
【解決手段】本発明の半導体装置1では、シリコン基板2上面に配線層13が形成され、配線層13を被覆するように樹脂層14が形成される。配線層13上には樹脂層14の開口領域15を介してバンプ電極18が形成される。また、保護シート19は、シリコン基板2の裏面及びシリコン基板2の側面20の一部を被覆する。この構造により、シリコン基板2の裏面側では、保護シート19が緩衝材として機能し、シリコン基板2のチッピングが防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板のチッピングを防止する半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の半導体装置の製造方法の一実施例として下記の製法が知られている。図12(A)〜(D)は、従来のWLP(Wafer Level Package)の製造方法を説明する断面図である。
【0003】
先ず、図12(A)に示す如く、シリコン基板51(半導体ウエハ)を準備し、シリコン基板51に所定のトランジスタ構造を形成する。シリコン基板51上に層間絶縁膜52を形成し、層間絶縁膜52上にAlパッド53を形成する。そして、層間絶縁膜52上にカバー膜54を形成し、カバー膜54上にポリイミド膜55を形成する。
【0004】
次に、シリコン基板51上全面にシードメタル層56を形成し、シードメタル層56上にCuメッキ配線層57をパターン配置する。そして、シリコン基板51上にレジスト層58を形成した後、レジスト層58に開口領域59を形成する。例えば、電解メッキ法により開口領域59内をCuメッキ層にて埋設し、ポスト60を形成する。
【0005】
次に、図12(B)に示す如く、レジスト層58(図12(A)参照)を除去した後、シリコン基板51上を被覆する封止樹脂層61を形成する。そして、封止樹脂層61を表面側から研削し、ポスト60を露出させる。露出したポスト60上に半田バンプ62を形成する。
【0006】
次に、図12(C)に示す如く、ダイヤモンドソー63を用いてスクライブ領域64を切断し、図12(D)に示すように、一枚のシリコン基板51(半導体ウエハ)から半導体装置65が個片化される(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−165437号公報(第6−8頁、第7−20図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述したように、シリコン基板51(半導体ウエハ)を切断する工程では、シリコン基板51の裏面側にダイシングシート(図示せず)を貼り合わせた状態にて、スクライブ領域64の封止樹脂層61とシリコン基板51とを切断する。その後、ダイシングシート上にて個片化された半導体装置65は、ダイシングシート上から剥離される。このとき、半導体装置65は、シリコン基板51が露出した状態にて取り扱われるため、例えば、ダイシングシート上から剥離する際に、丸印66で示すシリコン基板51の端部が欠け、不良品となってしまう問題がある。また、半導体装置65は、例えば、吸着コレットにて封止樹脂層61側を吸引した状態にて搬送される。そのため、搬送や収納の際にシリコン基板51が、他の部材と接触し易く、同様にシリコン基板51の端部が欠け、不良品となってしまう問題がある。
【0009】
また、図示していないが、半導体装置65は、実装基板の導電パターン上に半田バンプ62を介して固着され、電子回路を構成する。半導体装置65の封止樹脂層61は、実装基板の導電パターン側に配置され、半導体装置65のシリコン基板51は、その反対面側に配置される。その結果、シリコン基板51が、実装基板の表面側に露出した状態となるため、ダイボンディング工程時に他の半導体装置と接触することやワイヤーボンディング工程時にキャピラリ等と接触することでシリコン基板51の端部が欠けてしまう問題がある。また、半導体装置65をダイボンディングする際には、シリコン基板51側を、例えば、吸着コレットにて吸引するため、吸着コレットとの接触によりシリコン基板51の端部が欠けてしまう問題がある。
【0010】
また、半導体装置65が、半田バンプ62を介して実装基板上に実装されることで、半田バンプ62を含む実装領域は、線膨張係数の異なるシリコン基板51と実装基板間に配置される。そして、構成部材の線膨張係数の違いにより発生する熱応力や外気温等の外的要因により、半田バンプ62を含む実装領域での実装信頼性が低下する問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の半導体装置では、少なくとも半導体基板の一主面側が樹脂層により被覆され、前記半導体基板の一主面と他の主面の間に位置する側面がスクライブ面となり、前記樹脂層表面にはバンプ電極が形成される半導体装置において、前記半導体基板の他の主面側及び少なくとも前記他の主面側と連続する前記半導体基板の側面の一部は、保護シートにより被覆されることを特徴とする。従って、本発明では、保護シートが緩衝材として機能し、半導体基板が他部材と接触し、欠けることを防止できる。
【0012】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、複数の素子形成領域を有し、前記素子形成領域毎にその周囲がスクライブ領域にて囲まれる半導体基板に半導体素子を形成し、前記半導体基板の一主面上に前記半導体素子と電気的に接続する配線層を形成する工程と、前記半導体基板の一主面上に前記配線層を被覆する樹脂層を形成し、前記配線層上の前記樹脂層に開口領域を形成した後、前記開口領域から露出する前記配線層上にバンプ電極を形成する工程と、第1のスクライブ幅を有するスクライブブレードにより前記素子形成領域毎に前記半導体基板を個片化し、前記半導体基板の他の主面側に保護テープを貼り合わせ、前記第1のスクライブ幅よりも狭い第2のスクライブ幅を有するスクライブブレードにより前記保護テープを前記素子形成領域毎に切断し、前記素子形成領域毎に前記保護シートが貼り合わせられた半導体装置を形成する工程とを有することを特徴とする。従って、本発明では、保護シートを半導体基板よりも大きく切断し、半導体基板の裏面側及びその近傍領域を保護シートで被覆することで、半導体基板の欠けを防止できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、半導体基板の裏面側に保護シートを貼り合わせることで、保護シートが緩衝材として機能し、半導体基板が他部材と接触し、欠けることを防止できる。
【0014】
また、本発明では、半導体装置の側面に位置精度確認マークを露出させ、その露出形状を確認することで、スクライブ後の品質検査ができる。
【0015】
また、本発明では、異なる幅のスクライブブレードを用いることで、半導体基板の側面まで保護シートにて保護することができる。
【0016】
また、本発明では、保護テープにて被覆された半導体基板を吸引することで、機材との接触による半導体基板の欠けを防止できる。
【0017】
また、本発明では、スクライブ後に切断面に露出した位置精度確認マークを用いてスクライブ面の判定を行うことで、半導体装置の製品品質が向上される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態における半導体装置を説明する(A)断面図、(B)断面図である。
【図2】本発明の実施の形態における半導体装置を説明する(A)断面図、(B)断面図である。
【図3】本発明の実施の形態における半導体装置を説明する(A)平面図、(B)斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態における半導体装置を説明する(A)断面図、(B)断面図、(C)断面図、(D)断面図である。
【図5】本発明の実施の形態における半導体装置の製造方法を説明する断面図である。
【図6】本発明の実施の形態における半導体装置の製造方法を説明する断面図である。
【図7】本発明の実施の形態における半導体装置の製造方法を説明する断面図である。
【図8】本発明の実施の形態における半導体装置の製造方法を説明する断面図である。
【図9】本発明の実施の形態における半導体装置の製造方法を説明する断面図である。
【図10】本発明の実施の形態における半導体装置の製造方法を説明する断面図である。
【図11】本発明の実施の形態における半導体装置の製造方法を説明する断面図である。
【図12】従来の実施の形態における半導体装置の製造方法を説明する(A)断面図、(B)断面図、(C)断面図、(D)断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の実施の形態である半導体装置について説明する。図1(A)及び(B)は、半導体装置を説明する断面図である。図2(A)及び(B)は、半導体装置を説明する断面図である。図3(A)は、半導体装置を説明する平面図である。図3(B)は、位置精度確認マークを説明する斜視図である。図4(A)〜(D)は、半導体装置の切断面(側面)を説明する断面図である。
【0020】
図1(A)及び(B)に示す如く、WLP(Wafer Level Package)構造の半導体装置1では、素子形成領域W1の周囲にスクライブ領域W2の一部が一環状に配置される。これは、スクライブ領域W2の幅(図3(A)参照)は、スクライブブレード38(図8参照)よりも幅広に形成されるため、前述したように、スクライブ後の素子形成領域W1の周囲にはスクライブ領域W2の一部が配置される。そして、図示していないが、素子形成領域W1には、拡散領域によりトランジスタ等の半導体素子が形成される。
【0021】
先ず、図1(A)は、半導体装置1のバンプ電極18が配置される断面を示す。シリコン基板2上には、絶縁処理用の絶縁層3が形成される。絶縁層3としては、例えば、シリコン酸化膜、NSG(Nondoped Silicate Glass)膜、BPSG(Boron Phospho Silicate Glass)膜等の少なくとも1層が選択される。尚、シリコン基板2としては、単結晶基板でなるもの、単結晶基板上にエピタキシャル層が形成されるものが考えられる。また、シリコン基板2の代わりに、化合物半導体基板であってもよい。
【0022】
配線層4が、絶縁層3上に形成される。配線層4は、3層構造から成り、バリアメタル膜上に金属膜が形成され、その金属膜上に反射防止膜が形成される。そして、バリアメタル膜は、例えば、チタン(Ti)やチタンナイトライド(TiN)等の高融点金属から成る。また、金属膜は、例えば、アルミニウム(Al)膜やアルミニウム−シリコン−銅(Al−Si−Cu)膜等のAlを主体とする合金膜から成る。また、反射防止膜は、例えば、TiN、チタンタングステン(TiW)等の高融点金属から成る。そして、配線層4の膜厚は、例えば、0.4〜3.0μmである。尚、配線層4は、前述した半導体素子と電気的に接続する。また、配線層4は、銅を主材料として形成される場合でも良い。
【0023】
そして、素子形成領域W1には、シールリング層5が、スクライブ領域W2と同様に、素子形成領域W1の最外周に一環状に配置される。シールリング層5は、絶縁層3を貫通するスルーホール6内及びその上面に配線層4を構成する金属層7が配置され形成される。そして、シールリング層5は、半導体ウエハ(図示せず)から個々の半導体装置1へと個片化する際に、スクライブ領域W2から素子形成領域W1へとクラックが入ることを防止する。また、絶縁層3が切断時に捲くれ上がった場合に、シールリング層5が、素子形成領域W1までその捲き上がりが進行することを防止する。
【0024】
シールド層8が、配線層4上を含め、絶縁層3上に形成される。シールド層8はシリコン窒化膜により形成され、絶縁層3内への水分の浸入を防止し、配線層4等の腐食を防止する。そして、開口領域9が、配線層4上のシールド層8に形成される。
【0025】
樹脂膜10が、例えば、スピンコート法によりシールド層8上面に形成される。樹脂膜10は、例えば、ポリベンズオキサゾール(PBO)膜またはポリイミド樹脂膜等から成る。そして、PBO膜は、感光性樹脂であり、高耐熱性、高機械特性及び低誘電性等の特性を有する膜である。更に、PBO膜は、湿気等の外部環境から半導体素子の劣化を防止し、半導体素子の表面を安定化させる。
【0026】
開口領域11が、配線層4上の樹脂膜10に形成され、開口領域9の内側に形成される。そして、メッキ用金属層12が、開口領域11内を含め、樹脂膜10上にパターン配置される。メッキ用金属層12は、開口領域11内では配線層4と直接接続する。
【0027】
このメッキ用金属層12は、二つのタイプの膜が積層して形成される。一つ目の膜は、高融点金属膜であり、例えば、クロム(Cr)層、Ti層またはTiW層であり、スパッタリング法により形成される。一つ目の膜は、メッキ用金属層12上にメッキ層を形成する際のシード層として用いられる。更に、この一つ目の膜の上には二つ目の膜として、Cu層が、例えば、スパッタリング法により形成される。二つ目の膜は、メッキ用金属層12上にメッキ層を形成する際の種として用いられる。
【0028】
Cu配線層13が、メッキ用金属層12上面に、例えば、電解メッキ法により形成される。そして、Cu配線層13のシート抵抗値は、2.0μΩ・cm程度であり、Al配線層のシート抵抗値は、3.0μΩ・cm程度である。Cu配線層13を用いることで配線抵抗値が低減される。更に、Cu配線層13の膜厚は、例えば、8.0〜10.0μmであり、その膜厚によっても配線抵抗値が低減される。
【0029】
樹脂膜14が、樹脂膜10上面に、例えば、スピンコート法により形成される。樹脂膜14は、樹脂膜10と同様に、例えば、ポリベンズオキサゾール(PBO)膜またはポリイミド樹脂膜等から成る。そして、Cu配線層13上の樹脂膜14には、開口領域15が形成される。
【0030】
Cuメッキ層16が、開口領域15から露出するCu配線層13上面に形成される。詳細は図3(A)を用いて後述するが、Cuメッキ層16は、Cu配線層13を形成する際の給電線30、31を利用して形成され、電解メッキ法により形成される。そして、Cuメッキ層16上面には、例えば、Ni、Pd、Au等の無電解メッキ層17が形成され、無電解メッキ層17上には半田から成るバンプ電極18が形成される。
【0031】
保護シート19が、シリコン基板2の裏面を被覆し、更に、シリコン基板2の側面20の一部を被覆する。保護シート19は、例えば、エポキシ系樹脂から形成されるシートやエポキシ系樹脂とアクリル系樹脂とを混合して形成されるシートから成る。そして、保護シート19を加熱した状態にてシリコン基板2を押圧することで、保護シート19はシリコン基板2へと貼り合わせられる。丸印21にて示すように、シリコン基板2裏面側の端部は、外部部材と接触し易く、欠け易い領域となるが、その端部が、保護シート19にて被覆されることで、シリコン基板2のチッピングを防止し、製品不良となることを防止する。
【0032】
次に、図1(B)は、半導体装置1の位置精度確認マーク22が形成される断面を示す。尚、図1(B)では、図1(A)に示す構成部材と同一の部材には同一の符番を付し、重複した説明を省略する。
【0033】
位置精度確認マーク22が、樹脂膜10上面の素子形成領域W1とスクライブ領域W2の境界領域近傍に形成される。位置精度確認マーク22は、例えば、Cu配線層13を形成する工程にて形成されるため、メッキ用金属層12上面にCuメッキ層を積層して形成される。詳細は図4を用いて後述するが、半導体装置1の側面23から露出する位置精度確認マーク22の形状により、スクライブ領域を判定することが可能となる。尚、位置精度確認マーク22は半導体装置1の側面23から露出するが、位置精度確認マーク22は、Cu配線層13と連続して形成されることはなく、位置精度確認マーク22が酸化した場合でもCu配線層13が酸化することはない。更に、位置精度確認マーク22は、耐湿性に優れた樹脂膜10、14により周囲を覆われることで、位置精度確認マーク22の界面から湿気が入り込んだ場合でも、位置精度確認マーク22の周囲のみで留まり、配線層4等が腐食することはない。また、位置精度確認マーク22は、Cu配線層13と同一工程にて形成され、位置精度確認マーク22の厚みT1を確認することで、Cu配線層13の膜厚を検査することもできる。
【0034】
次に、図2(A)に示す如く、半導体装置1は、実装基板24の導電パターン25上へ固着され、電子回路を構成する。半導体装置1は、樹脂層14側に配置されたバンプ電極18を介して固着されるため、シリコン基板2側が、実装基板24の上面側へと配置される。そして、半導体装置1はWLP構造であり、シリコン基板2は、樹脂層10、14により被覆されないため、シリコン基板2は実装基板24上に露出した状態にて配置される。そこで、保護シート19によりシリコン基板2の裏面と側面20の一部を被覆することで、前述した露出状態を改善することができる。そして、実装基板24上へのダイボンド時やワイヤーボンディング時等にシリコン基板2が他の部材と接触した場合でも、保護シート19が緩衝材として機能することで、シリコン基板2のチッピングを防止できる。
【0035】
次に、図2(B)に示す如く、Cu配線層13上面にCuメッキ層16を形成し、実装領域の構造を応力緩和構造とすることで、実装信頼性が向上される。図示したように、バンプ電極18を含む実装領域は、シリコン基板2と実装基板24との間に配置され、それぞれの線膨張係数は異なる。具体的には、シリコン基板2の線膨張係数は3.0×10−6/Kであり、その厚みは、例えば、650μm程度である。また、実装基板24としてプリント基板を用いた場合、実装基板24の線膨張係数は70×10−6/Kであり、その厚みは、例えば、1000μm程度である。また、バンプ電極18を構成する半田の線膨張係数は21.8×10−6/Kであり、その厚みは、例えば、60〜100μm程度である。そして、前述した電子回路が駆動することでの温度サイクルや外部環境による温度サイクルに応じて、シリコン基板2、実装基板24及びバンプ電極18は、それぞれ熱膨張、熱収縮を繰り返す。その結果、バンプ電極18を含む実装領域は、線膨張係数が大きく異なるシリコン基板2と実装基板24との間に配置されることで、前述した熱応力が集中し、半導体装置1の実装信頼性が低下し易くなる。
【0036】
そこで、開口領域15から露出するCu配線層13上面に、同じ電解メッキ法から形成されるCuメッキ層16を形成する。そして、Cu配線層13とCuメッキ層16とは、同じ電解メッキ法により形成されることで両者間の密着性は向上し、バンプ電極18下面のCuメッキ領域26の膜厚を厚くできる。この構造により、バンプ電極18を含む実装領域では、Cuメッキ領域26の膜厚により前述したシリコン基板2や実装基板24の熱応力に対抗し、バンプ電極18へのクラックの発生を防止できる。その結果、バンプ電極18が断線し、半導体装置1が実装基板24から離脱し難くなり、また、接続抵抗値が増大することもなく、半導体装置1の実装信頼性が向上される。
【0037】
次に、図3(A)では、実線27が半導体装置1の外形として規格されたラインを示す。点線28、29により囲まれた領域が、シールリング層5の形成領域となる。隣接する半導体装置1間の点線28に挟まれた領域が、スクライブ領域W2(図1(A)参照)となり、例えば、70μmの幅を有する。スクライブ領域W2は、マトリックス状に配置された複数の素子形成領域W1の周囲に碁盤目状に配置され、スクライブ領域W2には、給電線30、31が配置される。そして、給電線30、31は、前述したメッキ用金属層12を形成する際にパターニングされ、Cu配線層13、位置精度確認マーク22やCuメッキ層16を電解メッキ法により形成する際に利用される。尚、Cuメッキ層16上に示す一点鎖線の丸印が、バンプ電極18の形成領域を示す。
【0038】
また、スクライブ領域W2には、そのセンターを挟んで対向するように、2つの位置精度確認マーク22が配置される。この構造により、スクライブ後の半導体装置1の側面には、それぞれ位置精度確認マーク22が露出する。尚、位置精度確認マーク22は、必ずしもスクライブ領域W2内に対向して配置される必要はなく、片方のみに配置される場合でも良い。例えば、ウエハ内の各素子形成領域W1の位置を座標管理し、隣接する一方の素子形成領域W1の位置精度確認マーク22の位置判定が良品と判定された場合には、もう一方の素子形成領域W1のスクライブ位置判定も良品と判定される。前述したように、スクライブ領域W2は、スクライブブレード38(図8参照)よりも幅広に形成されるからである。
【0039】
次に、図3(B)に示す如く、位置精度確認マーク22は、例えば、4つのエリア33〜36から構成される。そして、位置精度確認マーク22は、例えば、その厚みT1が5μmであり、それぞれのエリア33〜36の幅W3が10μmであり、切断箇所に応じてその切断面が異なる。また、エリア33は、X1×W3×T1の直方体から成り、エリア34は、X2×W3×T1の直方体から成り、エリア35は、X3×W3×T1の直方体から成り、エリア36は、X4×W3×T1の直方体から成る。そして、位置精度確認マーク22は、それぞれのエリア33〜36の一側辺側を一致して並べた形状となる。
【0040】
尚、位置精度確認マーク22の厚みT1や幅W3は、使用される用途に応じて任意の設計変更が可能である。例えば、位置精度確認マーク22の幅W3を広げることで、更にその視認性が向上される。また、位置精度確認マーク22のエリアの数も使用される用途に応じて任意の設計変更が可能である。例えば、位置精度確認マーク22は、5つ以上のエリアから構成されることで、更なる位置精度が向上される。また、位置精度確認マーク22の4つのエリア33〜36が、連続して形成される場合について説明したが、この場合に限定するものではない。例えば、4つのエリア33〜36が、それぞれ離れて配置される場合でも良い。
【0041】
次に、図4(A)は、半導体装置1の側面(切断面)23を示し、その側面23からは、若干、切断時にだれるが、幅W3、厚みT1の位置精度確認マーク22のエリア36が露出する。この場合には、スクライブ領域W2(図3(A)参照)のセンター及びその周囲にてスクライブが行われ、良品と判定される。
【0042】
次に、図4(B)では、図4(A)の場合よりもスクライブ領域W2のセンターから少し素子形成領域W1(図3(A)参照)側にずれた領域をスクライブした場合を示す。具体的には、側面23からは、若干、切断時にだれるが、幅W3×2、厚みT1のエリア35、36が露出する。この場合には、スクライブ領域W2内の適した範囲にてスクライブが行われ、良品と判定される。
【0043】
次に、図4(C)では、図4(B)の場合よりもスクライブ領域W2のセンターから少し素子形成領域W1(図3(A)参照)側にずれた領域をスクライブした場合を示す。具体的には、側面23からは、若干、切断時にだれるが、幅W3×3、厚みT1のエリア34〜36が露出する。この場合には、スクライブ領域W2内の適した範囲にてスクライブが行われ、良品と判定される。
【0044】
次に、図4(D)では、シールリング層5が配置された素子形成領域W1上をスクライブした場合を示す。具体的には、側面23からは、若干、切断時にだれるが、幅W3×4、厚みT1のエリア33〜36が露出する。更に、エリア33〜36の下方には、側面23からシールリング層5も露出する。この場合には、先ず、側面23から露出するシールリング層5は湿気により腐食し易くなる。更に、シールリング層5とシールド層8の界面から半導体装置1内へ湿気が入り込み、配線層4(図1(A)参照)やCu配線層13(図1(A)参照)等を腐食させる。つまり、側面23からシールリング層5が露出することで、製品品質が劣化するため、不良品と判定される。尚、位置精度確認マーク22とシールリング層5とは必ずしも関連付ける必要はなく、例えば、切断面からエリア33が露出した場合には不良品として判定する場合でも良い。
【0045】
尚、本実施の形態では、WLP構造の半導体装置について説明したがこの場合に限定するものではない。例えば、MAP(Mold Array Package)構造においても、スクライブ領域に位置精度確認マーク22を配置することで同様な効果を得ることができる。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【0046】
次に、本発明の実施の形態である半導体装置の製造方法について、図5〜図11を参照し説明する。図5〜図11は、本実施の形態における半導体装置の製造方法を説明する断面図である。尚、本実施の形態では、図1(A)に示す構造の製造方法を説明するため、同一の構成部材には同一の符番を付している。また、図1(B)に示す位置精度確認マークも形成されるが、図5〜図11では、図1(A)に示す断面にて説明を行う。
【0047】
先ず、図5に示す如く、シリコン基板(ウエハ)2を準備し、シリコン基板2上に絶縁層3を形成する。尚、シリコン基板2(エピタキシャル層が形成されている場合には、エピタキシャル層も含む)には、拡散領域により半導体素子が形成される。また、絶縁層3としては、シリコン酸化膜、NSG膜、BPSG膜等の少なくとも1層が選択される。
【0048】
次に、絶縁層3上に配線層4を形成し、絶縁層3にシールリング層5を形成する。具体的には、シリコン基板2上に、例えば、スパッタリング法により、バリアメタル膜、金属膜及び反射防止膜を積層する。その後、前述したバリアメタル膜、金属膜及び反射防止膜をパターニングし、配線層4を形成する。また、スクライブ領域W2近傍の素子形成領域W1では、絶縁層3を貫通するスルーホール6の形成し、前述したバリアメタル膜、金属膜及び反射防止膜により埋設し、シールリング層5を形成する。
【0049】
次に、絶縁層3上面にシールド層8を形成する。シールド層8としては、例えば、シリコン窒化膜を3000〜10000Å程度堆積する。その後、シリコン窒化膜をパターニングし、開口領域9を形成する。
【0050】
次に、図6に示す如く、シールド層8上面に、例えば、スピンコート法により樹脂膜10を形成する。材料としては、PBO膜、ポリイミド樹脂膜等が用いられる。そして、樹脂膜10をパターニングし、開口領域11を形成する。
【0051】
次に、樹脂膜10上面に、例えば、スパッタリング法により、メッキ用金属層12を形成する。前述したように、メッキ用金属層12としてはTi層とCu層とを堆積する。その後、Cu配線層13及び位置精度確認マーク22(図示せず)の形成領域を除いた部分にフォトレジスト層(図示せず)を形成する。そして、フォトレジスト層をマスクとして用い、電解メッキ法によりCu配線層13及び位置精度確認マーク22(図示せず)を形成する。その後、フォトレジスト層を取り除き、Cu配線層13及び位置精度確認マーク22(図示せず)をマスクとして用い、ウエットエッチングによりメッキ用金属層12を選択的に除去する。この電解メッキ法を行う際には、図3(A)に示すように、スクライブ領域W2に配置された給電線30、31を利用して、半導体ウエハに配置された複数のCu配線層13や位置精度確認マーク22(図示せず)が同じ工程にて形成される。
【0052】
次に、図7に示す如く、樹脂膜10上面に、例えば、スピンコート法により、樹脂膜14を形成する。材料としては、PBO膜、ポリイミド樹脂膜等が用いられる。そして、樹脂膜14をパターニングし、開口領域15を形成する。そして、給電線30、31(図3(A)参照)を利用することで、樹脂膜14をマスクとして用い、開口領域15から露出するCu配線層13上にCuメッキ層16を形成する。つまり、Cuメッキ層16を形成する際、既存の給電線30、31を利用することで、新たにCuメッキ層16を形成するための給電線を形成する必要がなく、マスク枚数等の材料コストも抑え、製造コストを低減できる。そして、Cu配線層13とCuメッキ層16とは、電解メッキ法により形成され、両者間の密着性が向上し、膜厚が厚くなることで、前述したように実装信頼性に優れた構造を実現できる。
【0053】
更に、既存の給電線30、31を利用し、Cuメッキ層16を形成することで、バンプ電極18形成用の開口領域15に対してマスクずれなく、位置精度良くCuメッキ層16が形成される。前述したように、確実にバンプ電極18下面のCuメッキ領域26(図2(B)参照)の膜厚を厚くでき、その膜厚により熱応力に対抗し、バンプ電極18が断線等することを防止し、バンプ電極18が実装基板から離脱することを防止できる。
【0054】
その後、無電解メッキ法により、Cuメッキ層16上面に、Ni、Pd、Au等のバンプ電極18形成用の無電解メッキ層17を形成する。
【0055】
次に、図8に示す如く、無電解メッキ層17上面に半田をスクリーン印刷した後、リフローすることでバンプ電極18を形成する。そして、例えば、粘着シート37の周囲をステンレス製のリング状の金属枠(図示せず)で固定し、シリコン基板2(半導体ウエハ)側を粘着シート37上面に貼り付け、その金属枠をスクライブ装置へ設置する。そして、シリコン基板2のスクライブ領域W2を位置認識した後、スクライブブレード38を用いスクライブ領域W2を切削し、シリコン基板2を貫通しない溝39を形成する。このとき、溝39の深さは、次工程のバックグラインド工程にてシリコン基板2が個片化される程度である。その後、スクライブ装置から金属枠を取り外し、粘着シート37からシリコン基板2を剥離する。尚、このスクライブ工程にて、スクライブ領域W2に配置された給電線30、31(図3(A)参照)が除去され、半導体装置1の側面(切断面)からは位置精度確認マーク22(図1(B)参照)が露出する。
【0056】
次に、図9に示す如く、粘着シート40の周囲を金属枠(図示せず)で固定し、バンプ電極18が配置された樹脂膜14側を粘着シート40上面に貼り付け、その金属枠をバックグラインド装置のテーブル41上へ設置する。そして、シリコン基板2(半導体ウエハ)裏面側に処理水を供給しながら、バックグラインド用砥石42を回転させ、シリコン基板2裏面側を研磨する。そして、シリコン基板2が所望の膜厚になるまで研磨し、溝39の形成領域までシリコン基板2を研磨することで、個々の半導体装置1へと個片化される。その後、バックグラインド装置から金属枠を取り外し、シリコン基板2等に付着した水を除去する。
【0057】
次に、図10に示す如く、PET等の基材43上に、例えば、紫外線(UV)硬化型接着材により保護シート19が貼り合わされたシート44を準備する。そして、例えば、シート44の周囲をステンレス製のリング状の金属枠(図示せず)で固定し、シリコン基板2(半導体ウエハ)側を保護シート19上面に熱圧着により貼り付ける。そして、樹脂層14側に貼り付けられた粘着シート40(図9参照)を剥がし、その金属枠をスクライブ装置へ設置する。その後、シリコン基板2のスクライブ領域W2を位置認識し、溝39から露出する保護シート19と基材43の一部をスクライブブレード45にて切断する。このとき、スクライブブレード45の刃幅は、溝37形成時のスクライブブレード38(図8参照)よりも狭いため、丸印46にて示すように、保護シート19は、個片化されたシリコン基板2の面積よりも大きく切断される。尚、基材43は、その一部分のみが切断されることで、シート44としては金属枠内に支持され、個片化された半導体装置1はシート44上に維持される。
【0058】
次に、図11に示す如く、シート44上維持された半導体装置1の樹脂層14側を吸着コレット47にて吸引した状態にて、シート44の基材43側からUVを照射し、基材43と保護シート19との剥離を促進させる。その結果、半導体装置1のシリコン基板2の裏面側には保護シート19が貼り合わせられた状態にて、シート44上から半導体装置1を剥離する。このとき、保護シート19は張力を受けた状態にて金属枠に支持されていたため、基材43から剥離することで保護シート19の外周端部側は、シリコン基板2の側面20へと貼り付く。前述したように、丸印21にて示すシリコン基板2の端部は、保護シート19にて被覆され、後工程にてチッピングすることが防止される。尚、シート42上から半導体装置1を剥離した後、保護シート19に熱処理を加えることで、シリコン基板2の側面と保護シート19との密着性を向上させる場合でも良い。
【0059】
最後に、図4(A)〜(D)を用いて前述したように、個片化された半導体装置1の側面(切断面)に露出する位置精度確認マーク22によりスクライブ領域の検査を行い、良品と判定された半導体装置1をパッケージングし、納品する。そして、図2(A)に示すように、半導体装置1は、実装基板24の導電パターン25上へ固着されるが、ダイボンド時やワイヤーボンディング時等に保護シート19が緩衝材として機能することで、シリコン基板2のチッピングを防止できる。
【0060】
尚、本実施の形態では、保護シート19が、シリコン基板2の側面20の一部まで被覆する場合について説明したが、この場合に限定するものではない。例えば、保護シート19は、少なくともシリコン基板2の外周端部を覆っていればよく、保護シート19とシリコン基板2の側面20とは必ずしも接着されている必要はない。
【0061】
また、Cuメッキ層16上面に無電解メッキ法によりNi、Pd、Au等の無電解メッキ層17を形成する場合について説明したが、この場合に限定するものではない。例えば、給電線30、31を利用し、樹脂膜14をマスクとして用い電解メッキ法により、バンプ電極形成用のメッキ層をCuメッキ層16上面に形成する場合でも良い。
【0062】
また、位置精度確認マーク22は、Cu配線層13と同一工程にて形成される場合について説明したが、この場合に限定するものではない。例えば、位置精度確認マーク22は、Cuメッキ層16と同一工程にて形成されることで、位置精度確認マーク22の厚みT1を確認することで、Cuメッキ層16の膜厚を検査することもできる。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 半導体装置
13 Cu配線層
15 開口領域
16 Cuメッキ層
18 バンプ電極
19 保護シート
22 位置精度確認マーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも半導体基板の一主面側が樹脂層により被覆され、前記半導体基板の一主面と他の主面の間に位置する側面がスクライブ面となり、前記樹脂層表面にはバンプ電極が形成される半導体装置において、
前記半導体基板の他の主面側及び少なくとも前記他の主面側と連続する前記半導体基板の側面の一部は、保護シートにより被覆されることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記保護シートから露出する前記スクライブ面には、前記半導体基板の一部及び前記樹脂層の他に前記スクライブ面の位置精度を確認する位置精度確認マークが露出することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
複数の素子形成領域を有し、前記素子形成領域毎にその周囲がスクライブ領域にて囲まれる半導体基板に半導体素子を形成し、前記半導体基板の一主面上に前記半導体素子と電気的に接続する配線層を形成する工程と、
前記半導体基板の一主面上に前記配線層を被覆する樹脂層を形成し、前記配線層上の前記樹脂層に開口領域を形成した後、前記開口領域から露出する前記配線層上にバンプ電極を形成する工程と、
第1のスクライブ幅を有するスクライブブレードにより前記素子形成領域毎に前記半導体基板を個片化し、前記半導体基板の他の主面側に保護テープを貼り合わせ、前記第1のスクライブ幅よりも狭い第2のスクライブ幅を有するスクライブブレードにより前記保護テープを前記素子形成領域毎に切断し、前記素子形成領域毎に前記保護シートが貼り合わせられた半導体装置を形成する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記半導体基板の他の主面側に貼り合わせられた保護テープを吸引し、前記半導体装置の前記バンプ電極を実装基板の導電パターン上に固着させる工程とを有することを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記保護テープは前記半導体基板よりも広いシート材上に貼り合わせられ、前記第2のスクライブ幅を有するスクライブブレードでは、前記保護シートを切断する際に前記シート材の一部を切断し、
前記保護シートと前記シート材とを剥離し、前記半導体装置に前記保護シートを貼り合わせることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記半導体基板上に前記素子形成領域から前記スクライブ領域へと位置精度確認マークを形成する工程と、
前記半導体基板のスクライブ領域を前記第1のスクライブ幅を有するスクライブブレードにより切断し、前記個片化された半導体装置のスクライブ面に露出した前記位置精度確認マークを確認し、前記半導体装置のスクライブ面の適否を判定する工程とを有することを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−35140(P2011−35140A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−179541(P2009−179541)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(506227884)三洋半導体株式会社 (1,155)
【Fターム(参考)】