説明

半導体装置

【課題】 オン抵抗を小さくさせつつ、耐圧を向上させることが可能な半導体装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 ドレイン領域41と、チャネル領域42と、ソース領域43と、トレンチ44内に第1の絶縁膜2を介して設けられる第1のゲート電極3と、トレンチ44内に第1の絶縁膜2を介して設けられると共に第1のゲート電極3の下方に第2の絶縁膜4を介して設けられる第2のゲート電極5とを備えて構成し、第1のゲート電極3に、ドレイン領域41とソース領域43との間に流れる電流を制御する第1のゲート信号を入力し、第2のゲート電極5に、少なくとも第1のゲート信号がローレベルのとき正の電圧である第2のゲート信号を入力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁ゲートによって生じる電界効果を有する半導体装置に関し、特には、チャネル領域よりも深く形成されたトレンチ内にゲート電極を備える構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図4は、既存の半導体装置を示す図である。
図4に示す半導体装置40は、nチャネルのMOSFETであって、n−型の半導体からなり不図示の基板上に設けられるドレイン領域41と、p−型の半導体からなりドレイン領域41上に設けられるチャネル領域42と、n+型の半導体からなりチャネル領域42の表面に形成されるソース領域43と、ソース領域43の表面から少なくともチャネル領域42を貫通してドレイン領域41まで達するように形成されるトレンチ44内に絶縁膜45を介して設けられるゲート電極46と、ゲート電極46内に絶縁膜47を介して設けられるフローティングゲート電極48とを備えて構成されている。なお、ドレイン領域41にはドレイン電極が配線され、ソース領域43にはソース電極が配線されるものとする。また、ゲート電極46とフローティングゲート電極48とが電気的に接続されていてもよい。
【0003】
上記半導体装置40は、いわゆる、縦型のMOSFETと呼ばれるものであって、集積度を上げることができ、オン抵抗を小さくすることができるというメリットがある。そして、この半導体装置40において、さらに、オン抵抗を小さくさせるために、例えば、トレンチ44をより深くすることが行われる。しかしながら、トレンチ44を深くし過ぎると、半導体装置40の耐圧が低下するという問題がある。
【0004】
また、半導体装置40がオフのとき、すなわち、ゲート電極46とソース電極との電位が同じになると共に、ドレイン電極とソース電極との間に電圧が印加されると、トレンチ44の底部の電界が強くなる。そのため、一般に、トレンチ内にゲート電極が設けられる半導体装置において、そのトレンチの底部の絶縁膜が薄いと、半導体装置がオフのとき、トレンチの底部、特にコーナ部分の電界が強くなり、半導体装置の耐圧が低下してしまうという問題がある。
【0005】
そこで、上記半導体装置40のように、トレンチ44の底部、特にコーナ部分の絶縁膜45を厚くすることにより、半導体装置40がオフのときのトレンチ44の底部のコーナ部分に集中する電界を抑え耐圧の低下を緩和させている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平4−229662号 (第3〜6頁、第1〜17図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記半導体装置40では、オン抵抗を小さくするためにトレンチ44を深くする場合において、トレンチ44を深くする前と後とで耐圧を維持するという程度の効果しか得られない。すなわち、上記半導体装置40は、オン抵抗を小さくさせつつ、耐圧を向上させるには至っていない。
【0007】
そこで、本発明では、オン抵抗を小さくさせつつ、耐圧を向上させることが可能な半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために本発明では、以下のような構成を採用した。
すなわち、本発明の半導体装置は、第1の半導体領域と、前記第1の半導体領域と反対の導電型からなり前記第1の半導体領域の一方面側の所定領域に形成される第2の半導体領域と、前記第2の半導体領域と同じ導電型からなり前記第1の半導体領域の他方面側に設けられる第3の半導体領域と、前記第2の半導体領域の表面から少なくとも前記第1の半導体領域を貫通して前記第3の半導体領域まで達するように形成されるトレンチ内に第1の絶縁膜を介して設けられた第1のゲート電極と、前記トレンチ内に前記第1の絶縁膜を介して設けられると共に前記第1のゲート電極の下方に、かつ前記第1の半導体領域と前記第3の半導体領域との境界面より下方に設けられた第2の絶縁膜と、前記トレンチ内に前記第1の絶縁膜を介して設けられると共に前記第1のゲート電極の下方に前記第2の絶縁膜を介して設けられた第2のゲート電極とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の半導体装置は、第1の半導体領域と、前記第1の半導体領域と反対の導電型からなり前記第1の半導体領域の一方面側の所定領域に形成される第2の半導体領域と、前記第2の半導体領域と同じ導電型からなり前記第1の半導体領域の他方面側に設けられる第3の半導体領域と、前記第2の半導体領域の表面から少なくとも前記第1の半導体領域を貫通して前記第3の半導体領域まで達するように形成されるトレンチ内に第1の絶縁膜を介して設けられ、前記第2の半導体領域と前記第3の半導体領域との間に流れる電流を制御するための第1のゲート信号が入力される第1のゲート電極と、前記トレンチ内に前記第1の絶縁膜を介して設けられると共に前記第1のゲート電極の下方に第2の絶縁膜を介して設けられ、少なくとも前記第1のゲート信号がローレベルで前記第2の半導体領域と前記第3の半導体領域との間に電流が流れないとき正の電圧である第2のゲート信号が入力される、または、少なくとも前記第1のゲート信号がハイレベルで前記第2の半導体領域と前記第3の半導体領域との間に電流が流れないとき負の電圧である第2のゲート信号が入力される第2のゲート電極とを備えることを特徴とする。
【0010】
このように、第1のゲート信号がローレベルのとき正の電圧、または、第1のゲート信号がハイレベルのとき負の電圧である第2のゲート信号を第2のゲート電極に入力することにより、半導体装置がオフのときのトレンチの底部のコーナ部分周辺の電位を第2のゲート信号の電圧とすることができるので、トレンチの底部のコーナ部分全体の電界集中を第1のゲート電極と第2のゲート電極とにより分散させることができる。これにより、トレンチの深さに関係無く、トレンチの底部のコーナ部分に集中する電界を抑えることができるので、半導体装置がオフのときの耐圧を向上させることができる。そのため、たとえ、オン抵抗を小さくするためにトレンチの底部を下げても、トレンチの底部のコーナ部分に集中する電界を抑えることができ半導体装置がオフのときの耐圧を向上させることができる。
【0011】
また、上記半導体装置の第2のゲート信号は、前記第1のゲート信号がハイレベルで前記第2の半導体領域と前記第3の半導体領域との間に電流が流れるときも正の電圧、または、前記第1のゲート信号がローレベルのときで前記第2の半導体領域と前記第3の半導体領域との間に電流が流れるときも負の電圧となるように構成してもよい。
【0012】
また、上記導体装置は、プラス端子が前記第2のゲート電極に接続される直流電源と、前記直流電源から供給される電力により駆動し、入力される信号に基づいて前記第1のゲート信号を出力するドライブ回路とを備えるように構成してもよい。
【0013】
また、上記半導体装置の第2のゲート信号は、前記第1のゲート信号がローレベルのときハイレベルとなり、第1のゲート信号がハイレベルのときローレベルとなるように構成してもよい。
【0014】
また、上記半導体装置は、MOSFETとし、前記第2の半導体領域を、前記MOSFETのソース領域とし、前記第3の半導体領域を、前記MOSFETのドレイン領域として構成してもよい。
【0015】
また、上記半導体装置は、前記第1の半導体領域と同じ導電型からなり前記第3の半導体領域の前記第1の半導体領域の反対側に設けられる第4の半導体領域を備える、IGBTとして構成してもよい。
【0016】
また、上記半導体装置の第2のゲート信号は、前記第1のゲート電極に印加される電圧よりも大きくなるように構成してもよい。
また、上記半導体装置の第2のゲート電極は、2以上のゲート電極が前記トレンチの長手方向に対して互いに重なるように形成されることにより構成され、前記2以上のゲート電極に入力される各ゲート信号は、互いに異なる信号となるように構成してもよい。
【0017】
また、上記半導体装置の2以上のゲート電極は、前記第1のゲート電極から遠くに形成されるものほど印加される電圧が大きくなるように構成してもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、オン抵抗を小さくさせつつ、半導体装置がオフのときの耐圧を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
図1(a)は、本発明の実施形態の半導体装置を示す図である。なお、図1(a)において、図4に示す構成と同じ構成には同じ符号を付している。
【0020】
図1(a)に示すように、半導体装置1は、nチャネルのMOSFETであって、ドレイン領域41(第3の半導体領域)と、チャネル領域42(第1の半導体領域)と、ソース領域43(第2の半導体領域)と、トレンチ44内に第1の絶縁膜2を介して設けられる第1のゲート電極3と、トレンチ44内に第1の絶縁膜2を介して設けられると共に第1のゲート電極3の下方に第2の絶縁膜4を介して設けられる第2のゲート電極5とを備えて構成されている。なお、ドレイン領域41にはドレイン電極が配線され、ソース領域43にはソース電極が配線されるものとする。なお第2の絶縁膜4はドレイン領域41と、チャネル領域42との境界より下側にあるのが好ましい。
【0021】
上記第1のゲート電極3は、ドレイン領域41とソース領域43との間に流れる電流を制御する第1のゲート信号が入力される。
上記第2のゲート電極5は、少なくとも第1のゲート信号がローレベルのとき正の電圧である第2のゲート信号が入力される。
【0022】
図1(b)は、図1(a)に示すA1−A2断面を示す図である。
図1(b)に示すように、第1のゲート電極3は、第1のゲート信号が入力される第1のゲート端子6に接続されている。
【0023】
また、第2のゲート電極5は、第2のゲート信号が入力される第2のゲート端子7に接続されている。
次に、第1のゲート電極3及び第2のゲート電極5の形成方法の一例を説明する。なお、トレンチ44が形成された後の形成方法を説明する。
【0024】
まず、熱酸化によりトレンチ44内の側面及び底面に第1の絶縁膜2を形成する。
次に、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により第1の絶縁膜2内にシリコンを埋め込む。
【0025】
次に、エッチングによりシリコンの表面側の一部を除去し第2のゲート電極5を形成する。
次に、熱酸化により第2のゲート電極5の表面に第2の絶縁膜4を形成する。
【0026】
次に、CVD法により第2の絶縁膜4内にシリコンを埋め込む。
そして、エッチングによりシリコンの表面側の一部を除去し第1のゲート電極3を形成する。
【0027】
なお、第1の絶縁膜2は、トレンチ44の側面部とトレンチ44の底面部とにおいて、同じ工程で製造されるので、トレンチ44の側面から底面にかけて略均一の厚さに形成される。
【0028】
また、図1(c)は、半導体装置1の等価回路を示す図である。なお、図1(c)において、図1(b)に示す構成と同じ構成には同じ符号を付している。
図1(c)に示すように、半導体装置1は、第1のゲート電極3により構成されるトランジスタ8と、第2のゲート電極5により構成されるトランジスタ9と、第2の絶縁膜4により構成されるコンデンサ10と、第1の絶縁膜2により構成されるコンデンサ11とにより構成される。
【0029】
また、トランジスタ8のドレインはトランジスタ9のソースに接続されている。また、コンデンサ10の一方端はトランジスタ8のゲートに接続され、コンデンサ10の他方端はトランジスタ9のゲートに接続されている。また、コンデンサ11の一方端はトランジスタ9のゲートに接続され、コンデンサ11の他方端はトランジスタ9のドレインに接続されている。
【0030】
また、図1(c)に示す半導体装置1では、トランジスタ9のゲートに常に正の電圧である第2のゲート信号が入力されるか、または、トランジスタ8のゲートにローレベルの第1のゲート信号が入力されるときにトランジスタ9のゲートに正の電圧である第2のゲート信号が入力される。
【0031】
また、図1(c)に示す半導体装置1は、第1のゲート端子6にハイレベルの第1のゲート信号が入力されると、トランジスタ8及び9のそれぞれのドレイン−ソース間に電流が流れオンする。また、半導体装置1は、第1のゲート端子6にローレベルの第1のゲート信号が入力されると、トランジスタ8及び9のそれぞれのドレイン−ソース間に電流が流れずオフする。そのため、第2のゲート電極5に印加される正の電圧を第1のゲート電極3に印加される正の電圧よりも大きくしても、第1のゲート端子6に入力される第1のゲート信号に基づいて半導体装置1のオン、オフを制御することができる。
【0032】
このように、第2のゲート電極5に印加される正の電圧を第1のゲート電極3に印加される正の電圧よりも大きくする場合は、第2のゲート電極5に印加する正の電圧を大きくする分トレンチ44の底部付近の電位を上げることができる。これにより、第2のゲート電極5の底部付近の電界を第2のゲート電極5に印加する正の電圧に応じて強めたり弱めたりすることができるので、半導体装置1がオフのときのドレイン領域41とソース領域43との間の耐圧を積極的に向上させることができる。
【0033】
また、図2(a)は、第1及び第2のゲート信号を出力する出力回路の一例を示す図である。
図2(a)に示す出力回路20は、直流電源21と、ドライブ回路22とを備えて構成されている。
【0034】
また、直流電源21のプラス端子は、図1(b)に示す第2のゲート電極5の第2のゲート端子7に接続されている。
また、ドライブ回路22は、直流電源21から供給される電力により駆動し、入力される信号に基づいて第1のゲート信号を出力する。すなわち、ドライブ回路22の第1のゲート信号を出力する端子は、図1(b)に示す第1のゲート電極3の第1のゲート端子6に接続されている。
【0035】
このように、半導体装置1に出力回路20を備えることにより、第2のゲート電極5に常に正の電圧を印加させることができる。
また、図2(b)は、第1及び第2のゲート信号を出力する出力回路の他の例を示す図である。
【0036】
図2(b)に示す出力回路23は、入力信号とドライブ回路24から出力される第1のゲート信号GS1を反転しその反転した信号を第2のゲート信号GS2として出力する反転回路25とを備えて構成されている。
【0037】
ここで、図2(c)は、図2(b)に示す出力回路23から出力される信号を示す図である。なお、図2(c)に示すグラフの縦軸は各信号の電圧[v]を示し、横軸は時間[t]を示している。また、図2(c)に示すグラフの最上段の信号は第1のゲート信号GS1を示し、2段目の信号は第2のゲート信号GS2を示している。
【0038】
このように、半導体装置1に出力回路23を備えることにより、図1(c)のトランジスタ8のゲートにローレベルの第1のゲート信号GS1が入力されるときに図1(c)のトランジスタ9のゲートにハイレベルの第2のゲート信号GS2が入力され、トランジスタ8のゲートにハイレベルの第1のゲート信号GS1が入力されるときにトランジスタ9のゲートにローレベルの第2のゲート信号GS2が入力されるように構成することができる。
【0039】
また、図3(a)は、トレンチ44内に第1のゲート電極3のみを備える半導体装置において、その半導体装置がオフしたときのトレンチ44周囲の電界の強さを示す電界分布図である。また、図3(b)は、トレンチ44内に第1のゲート電極3及び第2のゲート電極5を備える半導体装置1において、その半導体装置1がオフしたときのトレンチ44周囲の電界の強さを示す電界分布図である。なお、図3(a)に示す半導体装置において、ドレイン電極とソース電極との間に80Vの電圧が印加され、第1のゲート電極3がソース電極とショートし第1のゲート電極3の電位がグランドになっているものとする。また、図3(b)に示す半導体装置1において、ドレイン電極とソース電極との間に80Vの電圧が印加され、第1のゲート電極3がソース電極とショートし第1のゲート電極3の電位がグランドになり、第2のゲート電極5に16Vの電圧が印加されているものとする。また、図3(a)及び図3(b)に示す各曲線は、等電界強度面を示している。
【0040】
図3(a)に示すように、トレンチ44内に第2のゲート電極5が設けられていない半導体装置は、トレンチ44の底部のコーナ部分のみに電界が集中している。
一方、図3(b)に示すように、トレンチ44内に第1のゲート電極3と第2のゲート電極5とが設けられている半導体装置1は、第1のゲート電極3の底部付近に電界が集中し、さらに、第2の電極5の底部付近にも電界が集中している。
【0041】
このように、図3(b)に示す半導体装置1は、トレンチ44の底部のコーナ部分に集中する電界を第1のゲート電極3及び第2のゲート電極5の2つのゲート電極により分散させることができるので、トレンチ44の底部のコーナ部分に集中する電界を抑え半導体装置1のオフのときのドレイン−ソース間の耐圧を向上させることができる。
【0042】
このように、半導体装置1では、少なくとも第1のゲート信号がローレベルのとき正の電圧である第2のゲート信号を第2のゲート電極5に入力する構成であるので、第1のゲート信号がローレベルのとき、すなわち、半導体装置1がオフのときのトレンチ44底部のコーナ部分の電位を第2のゲート信号の電圧に上げることができ、トレンチ44の底部のコーナ部分全体の電界集中を第1のゲート電極3と第2のゲート電極5とにより分散させることができる。これにより、トレンチ44の底部の深さに関係無く、トレンチ44の底部のコーナ部分に集中する電界を抑えることができ半導体装置1がオフのときの耐圧を向上させることができる。そのため、たとえ、オン抵抗を小さくするためにトレンチ44の底部を下げても、トレンチ44の底部のコーナ部分に集中する電界を抑えることができ半導体装置1がオフのときの耐圧を向上させることができるので、オン抵抗を小さくさせつつ、半導体装置1がオフのときの耐圧を向上させることができる。
【0043】
なお、上記実施形態では、nチャネルのMOSFETを半導体装置1とする構成であるが、pチャネルのMOSFETを半導体装置1として構成してもよい。このとき、第2のゲート電極5に入力される第2のゲート信号は常に負の電圧であってもよい。また、少なくとも第1のゲート電極3にハイレベルの第1のゲート信号が入力したときに負の電圧である第2のゲート信号が第2のゲート電極5に入力されるように構成してもよい。このように構成しても、オン抵抗を小さくさせつつ、半導体装置1がオフのときの耐圧を向上させることができる。
【0044】
また、上記実施形態では、第2のゲート電極5を1つのゲート電極により構成しているが、第2のゲート電極5を2以上のゲート電極により構成し、それら2以上のゲート電極がトレンチ44の長手方向に対して互いに重なるように構成してもよい。このとき、2以上のゲート電極に入力される各ゲート信号は互いに異なっているものとする。このように、第2のゲート電極5を2以上のゲート電極で構成することによりトレンチ44の底部に集中する電界をさらに複数に分散させることができるので、半導体装置1がオフのときの耐圧をより向上させることができる。なお、第2の電極5を構成する2以上のゲート電極は、第1のゲート電極3から遠くに形成されるものほど印加される電圧が徐々に大きくなるように構成してもよい。
【0045】
また、上記実施形態では、トレンチ44内に第1のゲート電極3及び第2のゲート電極5を備えるMOSFETを半導体装置1とする構成であるが、トレンチ44内に第1のゲート電極3及び第2のゲート電極5を備えるIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を半導体装置1として構成してもよい。すなわち、図1(a)に示す半導体装置1において、ドレイン領域41のチャネル領域42の反対側にp型の半導体領域(第4の半導体領域)を設けるように構成してもよい。
【0046】
また、上記半導体装置1は、ドレイン−ソース間に印加される電圧があまり変動しない装置に適用されることが望ましいが、ドレイン−ソース間に印加される電圧が多少変動する装置、例えば、モータの駆動制御用のインバータのスイッチング素子として適用されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】(a)は、本発明の実施形態の半導体装置を示す図である。(b)は、(a)に示すA1−A2断面を示す図である。(c)は、本実施形態の半導体装置の等価回路を示す図である。
【図2】(a)は、第1及び第2のゲート信号を出力する出力回路の一例を示す図である。(b)は、第1及び第2のゲート信号を出力する出力回路の他の例を示す図である。(c)は、(b)に示す出力回路から出力される信号を示す図である。
【図3】(a)は、トレンチ内に第2のゲート電極を設けない半導体装置のトレンチ周囲の電界分布図である。(b)は、トレンチ内に第2のゲート電極を設けている半導体装置のトレンチ周囲の電界分布図である。
【図4】既存の半導体装置を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
1 半導体装置
2 第1の絶縁膜
3 第1のゲート電極
4 第2の絶縁膜
5 第2のゲート電極
6 第1のゲート端子
7 第2のゲート端子
8 トランジスタ
9 トランジスタ
10 コンデンサ
11 コンデンサ
20 出力回路
21 直流電源
22 ドライブ回路
23 出力回路
24 ドライブ回路
25 反転回路
40 半導体装置
41 ドレイン領域
42 チャネル領域
43 ソース領域
44 トレンチ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の半導体領域と、
前記第1の半導体領域と反対の導電型からなり前記第1の半導体領域の一方面側の所定領域に形成される第2の半導体領域と、
前記第2の半導体領域と同じ導電型からなり前記第1の半導体領域の他方面側に設けられる第3の半導体領域と、
前記第2の半導体領域の表面から少なくとも前記第1の半導体領域を貫通して前記第3の半導体領域まで達するように形成されるトレンチ内に第1の絶縁膜を介して設けられた第1のゲート電極と、
前記トレンチ内に前記第1の絶縁膜を介して設けられると共に前記第1のゲート電極の下方に、かつ前記第1の半導体領域と前記第3の半導体領域との境界面より下方に設けられた第2の絶縁膜と、
前記トレンチ内に前記第1の絶縁膜を介して設けられると共に前記第1のゲート電極の下方に前記第2の絶縁膜を介して設けられた第2のゲート電極と、
を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
第1の半導体領域と、
前記第1の半導体領域と反対の導電型からなり前記第1の半導体領域の一方面側の所定領域に形成される第2の半導体領域と、
前記第2の半導体領域と同じ導電型からなり前記第1の半導体領域の他方面側に設けられる第3の半導体領域と、
前記第2の半導体領域の表面から少なくとも前記第1の半導体領域を貫通して前記第3の半導体領域まで達するように形成されるトレンチ内に第1の絶縁膜を介して設けられ、前記第2の半導体領域と前記第3の半導体領域との間に流れる電流を制御するための第1のゲート信号が入力される第1のゲート電極と、
前記トレンチ内に前記第1の絶縁膜を介して設けられると共に前記第1のゲート電極の下方に第2の絶縁膜を介して設けられ、少なくとも前記第1のゲート信号がローレベルで前記第2の半導体領域と前記第3の半導体領域との間に電流が流れないとき正の電圧である第2のゲート信号が入力される、または、少なくとも前記第1のゲート信号がハイレベルで前記第2の半導体領域と前記第3の半導体領域との間に電流が流れないとき負の電圧である第2のゲート信号が入力される第2のゲート電極と、
を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体装置であって、
前記第2のゲート信号は、前記第1のゲート信号がハイレベルで前記第2の半導体領域と前記第3の半導体領域との間に電流が流れるときも正の電圧、または、前記第1のゲート信号がローレベルのときで前記第2の半導体領域と前記第3の半導体領域との間に電流が流れるときも負の電圧である、
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項2に記載の半導体装置であって、
プラス端子が前記第2のゲート電極に接続される直流電源と、
前記直流電源から供給される電力により駆動し、入力される信号に基づいて前記第1のゲート信号を出力するドライブ回路と、
を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項2に記載の半導体装置であって、
前記第2のゲート信号は、前記第1のゲート信号がローレベルのときハイレベルとなり、第1のゲート信号がハイレベルのときローレベルとなる、
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載の半導体装置であって、
当該半導体装置は、MOSFETであり、
前記第2の半導体領域は、前記MOSFETのソース領域であり、
前記第3の半導体領域は、前記MOSFETのドレイン領域である、
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項1〜5の何れか1項に記載の半導体装置であって、
前記第1の半導体領域と同じ導電型からなり前記第3の半導体領域の前記第1の半導体領域の反対側に設けられる第4の半導体領域を備える、IGBTである、
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項2〜5の何れか1項に記載の半導体装置であって、
前記第2のゲート信号は、前記第1のゲート電極に印加される電圧よりも大きい、
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項1〜5の何れか1項に記載の半導体装置であって、
前記第2のゲート電極は、2以上のゲート電極が前記トレンチの長手方向に対して互いに重なるように形成されることにより構成され、
前記2以上のゲート電極に入力される各ゲート信号は、互いに異なる信号である、
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項9に記載の半導体装置であって、
前記2以上のゲート電極は、前記第1のゲート電極から遠くに形成されるものほど印加される電圧が大きくなる、
ことを特徴とする半導体装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−210535(P2006−210535A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−18952(P2005−18952)
【出願日】平成17年1月26日(2005.1.26)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】