説明

半導体装置

【課題】外部接続パッドが、半導体チップの外周部に沿って複数列のパッド列に配置された半導体装置において、ボンディングの容易性と電源の安定供給性を両立させる。
【解決手段】本発明の半導体装置では、外部接続パッドの全てもしくは一部が複数のパッド列に配置されている。少なくとも3つのIOセルがまとめられて、電源用もしくはグランド用のIOセルとして配置され、これに対応する電源用もしくはグランド用の外部接続パッドが、半導体チップの最も外側のパッド列の領域もしくは最も外側のパッド列の領域を含む領域に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部接続パッドが、半導体チップの外周部に沿って複数列のパッド列に配置された半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図14は、従来の半導体装置のレイアウト構造を表す概略図である。同図に示す半導体装置10は、内部回路が形成されるコア内部領域14が半導体チップ12の中央部に配置され、入力バッファや出力バッファなどのIO(入出力)セル20が形成されるIO領域16がコア内部領域14の各辺に沿って配置され、さらに、各々のIOセル20に対応する外部接続パッド22が形成されるパッド領域18がIO領域16の外側に配置されている。
【0003】
コア内部領域14には、多層配線構造の、例えば最上層の電源配線と最上層から2層目のグランド配線とが互いに直交するようにメッシュ状に形成され、その外周部に電源リング24およびグランドリング26が形成されている。これらメッシュ状の電源配線およびグランド配線と、それよりも下層の電源配線およびグランド配線とがビアホールを介して接続され、下地に形成されたトランジスタや抵抗などの回路素子に電源やグランドが供給される。
【0004】
図15に示すように、電源用のパッド22aは、引き込み線28aを介して電源用のIOセル20aに接続され、電源用のIOセル20a内の配線を通過して、さらに例えば最上層の引き込み線30aを介してコア内部領域14の最上層の電源リング24に接続されている。
【0005】
一方、グランド用のパッド22bは、引き込み線28bを介してグランド用のIOセル20bに接続され、グランド用のIOセル20b内の配線を通過し、そこからビアホールを介して最上層から2層目の引き込み線30bに接続され、この最上層から2層目の引き込み線30bを介してコア内部領域14の最上層から2層目のグランドリング26に接続されている。
【0006】
なお、図示を省略しているが、信号用のパッド22cも引き込み線28cを介して信号用のIOセル20cに接続されている。例えば、入力信号用のパッドは、最上層の引き込み線を介して入力信号用のIOセルに接続され、最上層よりも下層の配線層を介して入力信号用のIOセル内に形成されている入力バッファなどのIO回路に入力され、その出力がコア内部領域に形成されている内部回路に入力される。
【0007】
ところで、近年、半導体製造プロセスの微細化により、半導体チップに搭載可能な回路素子数が大幅に増加し、それに伴って、例えばASIC(特定用途向けLSI)の多ピン化が進んでいる。これにより、ワイヤボンディングやフリップチップ形成などを行うための多くの外部接続パッドが必要となるが、パッケージ実装におけるワイヤボンディング装置の制約などによりパッドピッチが制限されており、チップサイズの増大につながっている。
【0008】
これに対し、見かけ上のパッドピッチを狭くする手法として、外部接続パッド22を複数のパッド列に分けて配置する手法が広く用いられている。例えば、図14に示す例では、パッドが千鳥状に配置されている。これにより、内側のパッド列および外側のパッド列のパッドピッチを同一の2Pとすると、内側パッドと外側パッドとの間の見かけ上のパッドピッチを半分のPとすることができる。
【0009】
一方、回路素子の動作速度の高速化が進み、電源電圧も低電圧化されることにより、半導体装置10内での電源電圧に対する電圧降下の割合が大きくなる。この場合、半導体チップ12内のノイズ耐性や高周波特性を許容範囲内に保証するためには、パッド22からコア内部領域14までの間の電圧降下を極力抑えることが必要となる。このため、電源用およびグランド用のパッド22a、22bからの引き込み線28a、28bの長さを短く、かつそのトータルの幅(すべてのメタル配線層の幅の合計)を大きくすることが有効である。
【0010】
また、高速での信号のやりとりが要求される半導体チップでは、特許文献1にも開示されているように、ノイズ対策として、パッケージ本体に多層構造を採用し、電源用およびグランド用の専用プレーンを設ける方法が広く用いられている。この場合、一般的に、半導体チップの周囲を囲むように、専用プレーン上に共通の電源リングとグランドリングが配置され、その周囲に個々の信号用のインナーリードが配置されている。
【0011】
ここで、特許文献1の段落0018やその図12,13にも記載されているように、電源用およびグランド用のパッドを内側に配置すると、電源用およびグランド用のパッドとパッケージ本体の電源リングおよびグランドリングとを接続するボンディングワイヤと、信号用のパッドと信号用のインナーリードとを接続するボンディングワイヤとが交差するため、ボンディングが困難になる。このため、ボンディングの容易性を考えれば、電源用およびグランド用のパッドを外側に配置するのが望ましい。
【0012】
しかし、例えば電源用のパッド22aを外側に配置すると、図15に示すように、例えば電源用のパッド22aから電源用のIOセル20aまでの間の引き込み線28aの幅が十分に確保できず、その長さも、内側のパッド22cと比べて長くなる。このため、外側の電源用のパッド22aの引き込み線28aの抵抗値が内側のパッド22cの引き込み線28cの抵抗値と比べて大きくなり、電圧降下がより大きくなる。グランド用のパッドの場合も同様である。
【0013】
このように、外部接続パッドを複数列のパッド列に配置した場合、電源用およびグランド用のパッドは、ボンディングを優先すると外側の配置が望ましいが、電圧降下を抑えて安定した電源を供給するためには内側の配置が望ましい。例えば、ボンディングを優先して電源用およびグランド用のパッドを外側に配置すると、その電圧降下分を補うために、より多くの電源用およびグランド用パッドが必要になる。
【0014】
また、非特許文献1に記載され、図10にも示すように、近年、チップサイズを縮小するために、外部接続パッドをIOセルの上層に配置する技術が用いられている。この場合、外側パッドからの引き込み線は、パッドよりも下層の配線層を使用してコア内部領域に引き込まれることになるが、同様に、引き込み線の長さは内側に配置した場合よりも長くなるため、電圧降下は大きくなる。
【0015】
【特許文献1】特開平11−87399号公報
【非特許文献1】大庭久芳、“90nm CMOSシステムLSI:CS101シリーズ”、[online]、雑誌FUJITSU 2004-5月号 VOL.55, NO.3, p.21-214、[平成17年5月10日検索]、インターネット<URL:http://magazine.fujitsu.com/vol55-3/2004_05.html, http://magazine.fujitsu.com/vol55-3/paper05.pdf>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、前記従来技術に基づく問題点を解消し、外部接続パッドが、半導体チップの外周部に沿って複数列のパッド列に配置された半導体装置において、ボンディングの容易性と電源の安定供給性を両立させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、本発明は、内部回路が形成されるコア内部領域が半導体チップの中央部に配置され、IOセルが形成されるIO領域が前記コア内部領域の各辺に沿って配置され、各々の前記IOセルに対応する外部接続パッドが形成されるパッド領域が前記IO領域の上層又は外側に配置された半導体装置であって、
前記外部接続パッドの全てもしくは一部が複数のパッド列に配置され、
少なくとも3つのIOセルがまとめられて、電源用もしくはグランド用のIOセルとして配置され、これに対応する電源用もしくはグランド用の外部接続パッドが、前記半導体チップの最も外側のパッド列の領域もしくは該最も外側のパッド列の領域を含む領域に配置されていることを特徴とする半導体装置を提供するものである。
【0018】
ここで、前記外部接続パッドの全てもしくは一部が複数列L(Lは2以上の整数)のパッド列に配置されているときには、全ての前記パッド列のパッドピッチが同一のL×Pとされ、各々の前記パッド列同士がそれぞれピッチPずつずらして配置されていることが好ましい。
【0019】
また、前記電源用もしくはグランド用の外部接続パッドから、これに対応する前記電源用もしくはグランド用のIOセルまでの引き込み線の幅は、他の外部接続パッドから、これに対応するIOセルまでの引き込み線の幅よりも太いことが好ましい。
【0020】
また、前記外部接続パッドが、外側のパッド列および内側のパッド列からなる千鳥状に配置され、
前記電源用もしくはグランド用の外部接続パッドが、その両側の、前記外側のパッド列の領域に配置された他の外部接続パッドの間もしくは前記内側のパッド列の領域に配置された他の外部接続パッド間に配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の半導体装置では、電源用もしくはグランド用のパッドが、常に、半導体チップの最も外側のパッド列の領域、もしくは最も外側のパッド列の領域を含む領域に配置されるので、ボンディングを容易に行うことができる。また、半導体装置が多ピン化された場合であっても、外部接続パッドが半導体チップの外周部に沿って複数列のパッド列に配置されるので、これに容易に対応することができる。
【0022】
また、本発明の半導体装置では、少なくとも3つのIOセルをまとめて1つの電源用もしくはグランド用のIOセルとするので、電源用もしくはグランド用のIOセル内を通過する配線の幅を従来よりも太くすることができ、その分だけ抵抗値を下げることができるし、電源用もしくはグランド用のパッドの引き込み線の幅も太くすることができるので、その抵抗値をさらに下げ、電源の電圧降下を小さくできる。
【0023】
また、外部接続パッドをIOセルの上層に配置する場合も、本発明の半導体装置であれば、電源用もしくはグランド用のパッドの引き込み線が、パッドと同じ最上層を使用して短い距離でコア内部領域の電源リングもしくはグランドリングに接続されるので、その抵抗値を低く抑えることができる。
【0024】
また、本発明の半導体装置では、全ての電源用のパッドおよびIOセル、ならびに、全てのグランド用のパッドおよびIOセルが同一形状なので、これらをどこのパッド間であっても配置することができ、自動配置配線でのレイアウトパターン生成を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の半導体装置を詳細に説明する。
【0026】
本発明の半導体装置では、少なくとも3つのIOセルがまとめられて、1つの電源用もしくはグランド用のIOセルとして配置され、これに対応する1つの電源用もしくはグランド用のパッドが、半導体チップの最も外側のパッド列の領域、もしくは最も外側のパッド列の領域を含む領域に配置される。これ以外の点は、図14に示す従来の半導体装置10と基本的に同じである。
【0027】
すなわち、本発明の半導体装置では、外部接続パッドが、半導体チップの外周部に沿って複数列のパッド列に配置される。外部接続パッドがL列に配置された場合、基本的に、全てのパッド列のパッドピッチは同一のL×Pとされ、各々のパッド列同士はそれぞれピッチPずつずらして配置される。すなわち、隣接するパッド同士の間のパッドピッチは見かけ上1/LのPとなる。
【0028】
上記の通り、本発明の半導体装置では、電源用もしくはグランド用のパッドが、常に、半導体チップの最も外側のパッド列の領域、もしくは最も外側のパッド列の領域を含む領域に配置されるので、ボンディングを容易に行うことができる。また、半導体装置が多ピン化された場合であっても、外部接続パッドを半導体チップの外周部に沿って複数列のパッド列に配置するので、これに容易に対応することができる。
【0029】
以下、外部接続パッドが千鳥状(2列)に配置され、電源用のパッドが外側のパッド列の領域に配置されている半導体装置を例に挙げて説明を行うが、3列以上のパッド列の配置の場合やグランド用のパッドの配置の場合も同様である。
【0030】
図1は、本発明の半導体装置のIO領域およびパッド領域の一部を表す第1の実施形態の概略図である。同図は、図14に示す従来の半導体装置10のIO領域16およびパッド領域18の一部に対して本発明を適用した例である。図1には、4つの方形のパッド22cと、これらに対応する4つのIOセル20cと、1つの縦長の長方形のパッド22aと、これに対応する3つのIO領域を有する1つのIOセル20aとが示されている。
【0031】
図1の説明を行う前に、比較対照用として図2の従来例について説明すると、図2には、半導体チップの外周部の内側に配置された4つの方形のパッド22cと、これらに対応する4つのIOセル20cと、外側に配置された3つの方形のパッド22aと、これらに対応する3つのIOセル20aとが示されている。この例では、内側のパッド22cが、入力信号用の外部接続パッドであり、外側のパッド22aは電源用の外部接続パッドである。
【0032】
なお、図2では、入力信号用のパッド22cおよびIOセル20cと電源用のパッド22aおよびIOセル20aとの区別が容易となるように、電源用のIOセル20aがハッチングされている。本明細書内において説明する他の図面についても同様である。
【0033】
図2に示す従来例の場合、既に述べた通り、電源用のパッド22aが外側に配置されているのでボンディングは容易である。しかし、電源用のパッド22aから電源用のIOセル20aまでの引き込み線28aは、入力信号用のパッド22cから入力信号用のIOセル20cまでの引き込み線28cと比べて、その長さが長く、幅も細い。従って、電源用のパッド22aの引き込み線28aの抵抗値は入力信号用のパッド22cの引き込み線28cよりも高く、電源の電圧降下は大きくなる。
【0034】
続いて、図1の説明をすると、左側の2つの方形のパッド22cと右側の2つの方形のパッド22cを含む合計4つの方形のパッドは、入力信号用の外部接続パッドである。これら入力信号用のパッド22cは、それぞれ引き込み線28cを介して各々対応する入力信号用のIOセル20cに接続されている。なお、入力信号用のパッド22cおよびIOセル20cについては、背景技術において説明した通りである。
【0035】
図1に示す中央の縦長の長方形のパッド22aは、電源用の外部接続パッドである。電源用のパッド22aは、図2に示す3つの電源用のパッド22aが1箇所にまとめられ、外側の1つの方形のパッドとその両側の内側の2つの方形のパッドを含む合計3つの方形のパッドの領域を使用して外側のパッド列および内側のパッド列の領域にわたって配置されている。また、3つの電源用のIOセルがまとめられて1つの電源用のIOセル20aとして配置されている。この時、引き込み線28aのトータル幅をW、長さをL、また、従来例の引き込み線28aのトータル幅を1/3W、長さを3Lと仮にすると、引き込み線28aの抵抗値は、{3L/(1/3W)}/3:L/W=3:1となり、1/3とすることができ、電源の電圧降下を小さくできる。
【0036】
電源用のパッド22aは、引き込み線28aを介して電源用のIOセル20aに接続されている。図3の従来例に示すように、IOセル20(20a、20cを含む)同士の間には、IOセル20同士を分離するためのIOセル隣接境界領域32が設けられる。これに対し、図4に示すように、本実施形態の電源用のIOセル20aでは、その両側のIOセル20cとの間だけにしかIOセル隣接境界領域32を設ける必要がない。
【0037】
図3に示す従来例では、3つの電源用のIOセル20a内を各々通過する配線の幅はIOセル隣接境界領域32を除くIOセル20a内の領域に制限される。これに対し、図4に示す本実施形態では、1つの電源用のIOセル20a内を通過する配線は1本で、しかも、その幅は、従来の3本分の幅よりも、電源用のIOセル20a内がIOセル隣接領域32で分割されていない分だけ太くすることができ、その結果、抵抗値を下げて電源の電圧降下を小さくできる。
【0038】
次に、図5に示す例の場合も、電源用のパッド22aは、図2に示す3つの電源用のパッド22aが1箇所にまとめられ、内側の1つの方形のパッドとその両側の外側の2つの方形のパッドを含む合計3つの方形のパッドの領域を使用して外側のパッド列および内側のパッド列の領域にわたって配置されている。また同様に、3つの電源用のIOセルがまとめられて1つの電源用のIOセル20aとして配置されている。
【0039】
図1の例は、電源用のパッド22aを、外側パッド22cと外側パッド22cとの間に配置した例であったが、図5の例は、内側パッド22cと内側パッド22cとの間に配置した例である。図1と図5を見れば明らかなように、両者の電源用のパッド22aと電源用のIOセル20aは同一形状であり、どのパッド22の間にでも配置可能である。従って、自動配置配線でのレイアウトパターン生成を容易に行うことができる。
【0040】
次に、図6に示す例は、図5に示す例において、電源用のパッド22aの引き込み線28aの幅を、電源用のIOセル20aの幅に対応させて太くしたものである。電源用のパッド22aの引き込み線28aの幅は、レイアウトルール上、隣接する同一配線層の配線28cとの間のスペースX’が、図2の隣接する同一配線層の配線28c同士の間のスペースXと同一の距離まで太くできる。これにより、電源用のパッド22aの引き込み線28aの抵抗値をさらに下げることが可能である。
【0041】
なお、図示しないが、図1に示す例においても同様に、電源用のパッド22aから電源用のIOセル20aまでの間の引き込み線28aの幅を太くすることが可能である。
【0042】
次に、図7は、図6に示す例において、長方形の電源用のパッド22aを、他の外側パッド22cと同一形状の方形のパッドにしたものである。図7の例では、図6の例の場合と比べて、電源用のパッド22aの引き込み線28aの長さが長くなるが、その幅は同じ太さなので、抵抗値は従来よりも下げることができる。また、別途長方形のパッド22aを使用することなく、他の外側パッド22cと同一形状の方形のパッドを使用できるというメリットもある。
【0043】
次に、図8の例は、図7の例とは逆に、外側の1つの方形のパッドとその両側の内側の2つの方形のパッドを含む合計3つの方形のパッドの領域を使用して電源用のパッド22aを配置したものである。図7と図8を見れば明らかなように、両者の電源用のパッド22aと電源用のIOセル20aは同一形状なので、どのパッド20の間にでも配置可能であり、自動配置配線でのレイアウトパターン生成を容易に行うことができる。
【0044】
次に、図9の例は、図10に示す従来例に対して本発明を適用したものである。図10の従来例は、背景技術においても述べたように、外部接続パッド22をIOセル20の上層に配置したものである。この場合、外側パッドの引き込み線は、パッドよりも下層の配線層を使用してコア内部領域に接続されるので、その長さは、内側パッドの引き込み線よりも長くなり、電圧降下は大きくなる。
【0045】
これに対し、図9の例は、電源用のIOセル20aの上層で、かつ、外側の1つの方形のパッドとその両側の内側の2つの方形のパッドを含む合計3つの方形のパッドの領域を使用して縦長の長方形の電源用のパッド22aを配置したものである。この場合、電源用のパッド22aの引き込み線28aは、パッド22aと同じ最上層を使用して短い距離でコア内部領域の電源リングに接続されるので、その抵抗値を低く抑えることができる。
【0046】
次に、図11の例は、図9の例とは逆に、電源用のIOセル20aの上層で、かつ、内側の1つの方形のパッドとその両側の外側の2つの方形のパッドを含む合計3つの方形のパッドの領域を使用して電源用のパッド22aを配置したものである。同様に、両者の電源用のパッド22aと電源用のIOセル20aは同一形状なので、どのパッド22の間にでも配置可能であり、自動配置配線でのレイアウトパターン生成を容易に行うことができる。
【0047】
次に、図12の例は、図9に示す例において、電源用のパッド22aの引き込み線28aの幅を、電源用のIOセル20aの幅に対応させて太くしたものである。図12の例の場合、電源用のパッド22aの引き込み線28aの幅は、隣接する同一配線層の配線28cとの間のスペースX’が図2のスペースXと同じレイアウトルールを満足する距離まで太くできる。これにより、電源用のパッド22aの引き込み線28aの抵抗値をさらに下げることが可能である。
【0048】
次に、図13は、図12に示す例において、長方形の電源用のパッド22aを、他の外側パッド22cと同一形状の方形のパッドにしたものである。この場合、図12の例の場合と比べて、電源用のパッド22aの引き込み線28aの長さは長くなるが、その幅は同じ太さなので、抵抗値は従来よりも下げることができる。また、別途長方形のパッド22aを使用することなく、他の外側パッド22cと同一形状の方形のパッドを使用できるというメリットもある。
【0049】
なお、上記各実施形態において、4つ以上のIOセルをまとめて1つの電源用のIOセルを構成してもよい。より具体的には、パッド列数+1のIOセルをまとめて1つの電源用のIOセルとするのが好ましい。また、外部接続パッドからIOセルまでの引き込み線、IOセル内部の配線、IOセルから電源リング、グランドリング、内部回路までの引き込み線は何層目の配線層を使用してもよい。
【0050】
本発明は、基本的に以上のようなものである。
以上、本発明の半導体装置について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の半導体装置のIO領域およびパッド領域の一部を表す第1の実施形態の概略図である。
【図2】従来の半導体装置のIO領域およびパッド領域の一部を表す概略図である。
【図3】従来の半導体装置のIOセルの構造を表す概略図である。
【図4】本発明の半導体装置の電源用のIOセルの構造を表す概略図である。
【図5】本発明の半導体装置のIO領域およびパッド領域の一部を表す第2の実施形態の概略図である。
【図6】本発明の半導体装置のIO領域およびパッド領域の一部を表す第3の実施形態の概略図である。
【図7】本発明の半導体装置のIO領域およびパッド領域の一部を表す第4の実施形態の概略図である。
【図8】本発明の半導体装置のIO領域およびパッド領域の一部を表す第5の実施形態の概略図である。
【図9】本発明の半導体装置のIO領域およびパッド領域の一部を表す第6の実施形態の概略図である。
【図10】従来の半導体装置のIO領域およびパッド領域の一部を表す概略図である。
【図11】本発明の半導体装置のIO領域およびパッド領域の一部を表す第7の実施形態の概略図である。
【図12】本発明の半導体装置のIO領域およびパッド領域の一部を表す第8の実施形態の概略図である。
【図13】本発明の半導体装置のIO領域およびパッド領域の一部を表す第9の実施形態の概略図である。
【図14】従来の半導体装置のレイアウト構造を表す概略図である。
【図15】図14に示す半導体装置のIO領域およびパッド領域の一部を表す概略図である。
【符号の説明】
【0052】
10 半導体装置
12 半導体チップ
14 コア内部領域
16 IO領域
18 パッド領域
20 IOセル
22 外部接続パッド
24 電源リング
26 グランドリング
28、30 引き込み線
32 IOセル隣接境界領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部回路が形成されるコア内部領域が半導体チップの中央部に配置され、IOセルが形成されるIO領域が前記コア内部領域の各辺に沿って配置され、各々の前記IOセルに対応する外部接続パッドが形成されるパッド領域が前記IO領域の上層又は外側に配置された半導体装置であって、
前記外部接続パッドの全てもしくは一部が複数のパッド列に配置され、
少なくとも3つのIOセルがまとめられて、電源用もしくはグランド用のIOセルとして配置され、これに対応する電源用もしくはグランド用の外部接続パッドが、前記半導体チップの最も外側のパッド列の領域もしくは該最も外側のパッド列の領域を含む領域に配置されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記電源用もしくはグランド用の外部接続パッドから、これに対応する前記電源用もしくはグランド用のIOセルまでの引き込み線の幅は、他の外部接続パッドから、これに対応するIOセルまでの引き込み線の幅よりも太いことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記外部接続パッドが、外側のパッド列および内側のパッド列からなる千鳥状に配置され、
前記電源用もしくはグランド用の外部接続パッドが、その両側の、前記外側のパッド列の領域に配置された他の外部接続パッドの間もしくは前記内側のパッド列の領域に配置された他の外部接続パッド間に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−339335(P2006−339335A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−161085(P2005−161085)
【出願日】平成17年6月1日(2005.6.1)
【出願人】(501285133)川崎マイクロエレクトロニクス株式会社 (449)
【Fターム(参考)】