説明

半導体装置

【課題】半導体装置の小型化及び軽量化が妨げることなく、異なる周波数帯の電磁波により電力の供給を確保することができる半導体装置を提供する。
【解決手段】無線通信可能な半導体装置に、アンテナより受信した電磁波の周波数を検知する周波数判定回路と、周波数判定回路の情報により自動でインピーダンスを調整する回路とを設け、一のアンテナで通信と電力の確保を行う。インピーダンスの調整には、インダクタンス若しくはキャパシタンスを変更することができる回路、又は長さが可変のアンテナを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信可能な半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線でデータの送受信が可能な半導体装置の開発が進められ、大きな注目を浴びている。無線通信可能な半導体装置は、RFID(Radio Frequency Identification)、RFチップ、RFタグ、ICチップ、ICタグ、無線チップ、無線タグ、電子チップ、電子タグ、無線プロセッサ、無線メモリ等と呼ばれ、在庫の管理等を目的として、一部の市場では導入され始めている。物品を管理するための半導体装置には、小型で軽量、使い勝手がよく、セキュリティが高く、且つ安価なものが求められている。また、このような無線通信可能な半導体装置は、例えばカード等に搭載され、様々な分野への応用が検討されている。
【0003】
現在実用化されている無線通信可能な半導体装置は、トランジスタ等から構成される回路を有する素子形成層及びアンテナ層を有している。このような無線通信可能な半導体装置は電磁波を介してリーダ/ライタと無線通信を行うことで、データをリーダ/ライタと送受信し、又は半導体装置の動作に必要な電源電力をリーダ/ライタから受信することにより動作させることができる。
【0004】
無線通信可能な半導体装置は、小型化及び軽量化が可能であるが、様々な要因によって通信距離や、供給される電力が変動する。そのため、むやみに小型化することが可能なわけではない。特に、アンテナの形状による影響は著しい。
【0005】
無線通信可能な半導体装置は、通信する周波数帯によりいくつかの種類に分けられる。これらはそれぞれに特長があり、用途に応じて使い分けられている。それぞれの周波数帯で通信距離と電力の確保をするには、アンテナの形状をその都度変更する、又は一つのチップに対して、複数のアンテナを設ける等を行えばよい。一つのチップに対して複数のアンテナを設ける例として、例えば特許文献1が挙げられる。
【0006】
また、現在実用化されている無線通信可能な半導体装置の多くは内部に電源を有さず、外部からの電力供給により動作する所謂パッシブ型が主流であるが、アクティブ型についても開発が進められ、実用化が検討されている。更には、無線通信により給電可能なバッテリーを有する、セミアクティブ型についても開発が進められている。
【特許文献1】特開2006−295729号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
複数の異なる周波数帯で通信又は電力の確保を行うために、その都度アンテナの形状を様々に変更することは実際には困難である。また、複数のアンテナを設けると、半導体装置の小型化及び軽量化を妨げることになる。
【0008】
本発明は、一のアンテナを有し、且つ複数の異なる周波数帯での通信及び電力の供給が可能な半導体装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の半導体装置は、一のアンテナを用いて、複数の異なる周波数帯での通信又は電力の確保を行う。具体的には、一のアンテナを有する無線通信可能な半導体装置であって、受信した電磁波の周波数を検知する検知手段と、検知手段の情報により自動でインピーダンスを合わせることのできるインピーダンス変更手段と、を有し、通信又は電力の確保を行うことができる半導体装置の提供を課題とする。
【0010】
インピーダンス変更手段としては、インダクタンス生成回路、整流回路又は復調回路を用いることができる。
【0011】
本発明の半導体装置は、受信した電磁波の周波数を検知する検知手段として、周波数判定回路を用いる。また、周波数判定回路の出力に応じてインピーダンスを変更する回路を有する。また、周波数判定回路の出力に応じてアンテナの長さを変えるため、制御用のスイッチが設けられていてもよい。
【0012】
周波数判定回路には、例えば、二つのコンパレータが設けられていればよい。なお、コンパレータの数は二に限定されず、必要に応じて三以上のコンパレータが設けられていても良い。
【0013】
周波数に応じてインピーダンスを変更するには、静電容量の異なる二つの容量素子を用いるか、又はコイルを用いればよい。
【0014】
更には、本発明の半導体装置は電源(蓄電部)を内蔵していることが好ましく、電源(蓄電部)は無線通信により給電可能なことが好ましい。
【0015】
なお、本明細書中に記載されている基準電位とは、回路全体の基準電位のことである。図面において、接地の図記号で示されているところは、回路全体の基準電位に接続されていることを表す。
【0016】
なお、本明細書中において、インピーダンスとは、交流回路における電圧と電流の比をいう。インピーダンスZはZ=R+j(ωL−1/ωC)で表すことができる。式中の、Zはインピーダンス、Rは抵抗成分、jは虚数単位、ωは交流の角振動数、Cは容量成分、Lはインダクタンスを表す。ここで、Rは抵抗成分なので、Rを大きくすると消費電力が増大する。そのため、Zを変更するには、CとLの変更により行うことが好ましい。
【0017】
なお、本明細書中において、リーダ/ライタとは、無線通信可能な半導体装置に対してデータを送信し、無線通信可能な半導体装置からデータを受信する機能を有する機器をいう。ただし、リーダ/ライタは必ずしも送受信する機能を有する必要はなく、無線通信可能な半導体装置に対してデータを送信する機能のみを有し、又は無線通信可能な半導体装置からデータを受信する機能を有するのみであってもよい。
【0018】
なお、本明細書中において、コイルとは、インダクタンスを調整するために設けられる所望の形状を有するように、導電膜等によりパターン形成された部分をいう。ただし、コイルは無線信号の送受信を目的として設けられたものではない。従って、アンテナとコイルとは巻き数等を異ならせ、又は形状を異ならせる等により異なるインダクタンスとする。例えば、半導体装置全体のインピーダンスが10+j100(Ω)のとき、周波数2.4GHzの電波の受信に適したアンテナのインダクタンスは約6.0(nH)、953MHzに適したアンテナのインダクタンスは約16(nH)、915MHzに適したアンテナのインダクタンスは約17(nH)となる。そのため、インダクタンスを調整するコイルは、受信する複数の周波数に応じたものを設けねばならず、設けるコイルの数は、一又は複数とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、一のアンテナによる複数の異なる周波数帯での通信及び電力の供給が可能になる。互いに異なる複数の周波数帯の電磁波を受信した場合には、自動でインピーダンスを調整して最適な周波数帯を用いて電力の供給を行うことが可能となる。
【0020】
本発明を用いた一のアンテナを有するチップは、複数のアンテナを設ける場合と比較して工程数が減るため、歩留まりが向上し、コストの削減が可能となる。また、複数のアンテナを有する場合と比較して、小型化し、軽量化することが可能になる。
【0021】
本発明の半導体装置のアンテナの数は一であるため、アンテナの圧着等を一回で行うことができ、複数のアンテナを有する場合と比較して、歩留まりよく作製することができる。
【0022】
本発明により、アンテナのインピーダンスを最適なものとすることができるため、無線通信を介した給電により、より大きな電力を確保することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0024】
(実施の形態1)
本発明の半導体装置について、図面を参照して説明する。図1は本発明の半導体装置を示す。図1に示す半導体装置100は、アンテナ回路103と、論理回路105と、メモリ回路104と、アナログ回路102と、を有する。アンテナ回路103はアナログ回路102に接続されている。アナログ回路102は論理回路105に接続されている。論理回路105はアナログ回路102とメモリ回路104に接続されている。
【0025】
半導体装置100は、リーダ/ライタ101と電磁波を介して無線でデータの送受信を行う。また、リーダ/ライタ101から送信される電磁波により半導体装置100に電力が供給される構成であってもよい。リーダ/ライタ101は、リーダ/ライタ101を制御するコンピュータに、通信回線を介して接続されていることが好ましい。
【0026】
アンテナ回路103は、アンテナ及び容量素子を有し、リーダ/ライタ101から送信される電磁波を受信し、受信して得られた信号をアナログ回路102が有する整流回路107と復調回路108に入力する。更には、アンテナ回路103は、アナログ回路102から搬送波を変調した信号を受信し、送信側の装置に応答信号として返信する。
【0027】
本発明に用いることのできるアンテナの形状については特に限定されない。そのため、半導体装置100が有するアンテナ回路103に適用する信号の伝送方式は、電磁結合方式、電磁誘導方式又は電波方式等を用いることができる。伝送方式は、実施者が使用用途を考慮して適宜選択すればよく、伝送方式に伴って最適な長さと形状を有するアンテナを設ければよい。
【0028】
伝送方式として、電磁結合方式又は電磁誘導方式(例えば、13.56MHz帯)を適用する場合には、電界密度の変化による電磁誘導を利用するため、アンテナとして機能する導電膜を輪状(例えば、ループアンテナ)又はらせん状(例えば、スパイラルアンテナ)に形成する。
【0029】
伝送方式として電波方式の一種であるマイクロ波方式(例えば、UHF帯(860〜960MHz帯)又は2.45GHz帯等)を適用する場合には、信号の伝送に用いる電磁波の波長を考慮して、アンテナとして機能する導電膜の長さや形状を適宜設定すればよい。アンテナとして機能する導電膜は、例えば、線状(例えば、ダイポールアンテナ)又は平坦な形状(例えば、パッチアンテナ)等に形成することができる。また、アンテナとして機能する導電膜の形状は線状に限られず、電磁波の波長を考慮して曲線状や蛇行形状又はこれらを組み合わせた形状で設けてもよい。
【0030】
ここで、アンテナ回路103に設けるアンテナの形状の一例を図24に示す。例えば図24(A)に示すように、信号処理回路が設けられたチップ150の周りに一面のアンテナ151を配した構造としても良い。また、図24(B)に示すように、信号処理回路が設けられたチップ152の周りに、細いアンテナ153を配してもよい。また、図24(C)に示すように、信号処理回路が設けられたチップ154に対して、高周波数の電磁波を受信するための形状を有するアンテナ155を配してもよい。また、図24(D)に示すように、信号処理回路が設けられたチップ156に対して、棒状に長く伸ばした形状を有するアンテナ157を配してもよい。また、アンテナ回路103はこれらの形状のアンテナを組み合わせて用いてもよい。また、アンテナ回路103は半導体装置100が有する薄膜トランジスタにより設けられた素子上に形成されたオンチップアンテナであってもよい。
【0031】
論理回路105は、アナログ回路102から定電圧回路109の出力である電源電圧と、発振回路111の出力信号と、リセット生成回路112の出力信号と、復調回路108の出力信号と、メモリ回路104の出力信号が入力される。論理回路105は、復調回路108の出力信号の状況に応じて動作して出力信号を変調回路113に送信する。例えば、復調回路108の出力信号の内容が「メモリ回路104のデータをリーダ/ライタ101に返信せよ」というものである場合には、メモリ回路104にアクセスしてデータを取得し、変調回路113に送信する。
【0032】
メモリ回路104には、少なくとも半導体装置100に固有のデータ(個体識別情報(ID))が記憶されている。メモリ回路104は、データの書き込みや読み出しを行う制御回路及び記憶素子を含む回路を有する。メモリ回路104は、有機メモリ、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)、マスクROM(Read Only Memory)、PROM(Programmable Read Only Memory)、EPROM(Electrically Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、及びフラッシュメモリから選択された一種又は複数種を有する。記憶内容が半導体装置100に固有のデータ(個体識別情報(ID)等)であれば、電源が供給されずとも記憶の保持が可能な不揮発性メモリを用いることが好ましい。半導体装置100が行う処理に際して一時的な記憶を保持するのであれば、揮発性メモリを用いてもよい。特に、半導体装置100が電池を有していない、所謂パッシブ型である場合には、不揮発性メモリを用いることが好ましい。更には、セキュリティ面から、半導体装置100に固有のデータ(個体識別情報(ID)等)を記憶する際には書き換え不可能なメモリを用いることが好ましい。不正な書き込みを防止するためである。
【0033】
次に、図1に示す半導体装置100が有するアナログ回路102について説明する。アナログ回路102は、変調回路113と、定電圧回路109と、発振回路111と、リセット生成回路112と、整流回路107と、復調回路108と、周波数判定回路110と、インダクタンス生成回路106と、を有する。インダクタンス生成回路106は、アンテナ回路103の出力部と整流回路107の間に接続されている。なお、アナログ回路102は、半導体装置100の動作を安定させるために、リミッタ回路等を適所に追加しても良い。
【0034】
変調回路113は、論理回路105からの出力信号に従い、搬送波に変調をかけた信号をアンテナ回路103に送る。
【0035】
定電圧回路109は整流回路107からの出力により一定の電圧を生成する。生成された一定の電圧は、発振回路111と、リセット生成回路112と、論理回路105に供給される。
【0036】
発振回路111には、定電圧回路109で生成された一定の電圧が入力されてクロック信号を生成し、論理回路105に供給する。
【0037】
リセット生成回路112は、定電圧回路109で生成された一定の電圧が入力されてリセット信号を生成し、論理回路105に供給する。
【0038】
図1に示す半導体装置100が有する整流回路107と復調回路108は、従来の整流回路及び復調回路とは構成が異なる。その具体的な構成を以下に説明する。
【0039】
図2は図1の半導体装置100が有する整流回路107を示す。整流回路107は、第1の入力部207と、第2の入力部208と、第1のスイッチ200と、第2のスイッチ201と、第1の容量素子202と、第2の容量素子203と、第1のダイオード204と、第2のダイオード205と、第3の容量素子206と、出力部209を有する。第1の入力部207は、インダクタンス生成回路106の出力部505に接続されている。第2の入力部208は、周波数判定回路110の出力部408に接続されている。出力部505は、定電圧回路109の入力部と、周波数判定回路110の第1の入力部406と、復調回路108の第2の入力部313に接続されている。第1のスイッチ200は、第1の入力部207と、第1の容量素子202の一方に接続され、第2の入力部208により、第1のスイッチ200がオンになるか、又はオフになるかが制御される。第2の容量素子203は、第2のスイッチ201と第1の容量素子202の他方に接続されている。第2のスイッチ201は、第1の入力部207と、第2の容量素子203の一方に接続され、第2の入力部208により、第2のスイッチ201がオンになるか、又はオフになるかが制御される。整流回路107によってアンテナ回路103の出力は平滑化され、電源電圧が生成される。電源電圧は基準電位と一定の電位差を有する安定な電位を維持するように、第1の容量素子202又は第2の容量素子203の充放電を利用して調整される。
【0040】
図3は図1の半導体装置100が有する復調回路108を示す。復調回路108は、第1の入力部312と、第2の入力部313と、第3の入力部314と、第1のスイッチ300と、第2のスイッチ301と、第1の容量素子302と、第2の容量素子303と、第1のダイオード304と、第2のダイオード306と、第3の容量素子305と、第1の抵抗素子307と、第2の抵抗素子308と、第4の容量素子309と、第1のトランジスタ310(p型)と、第2のトランジスタ311(n型)と、出力部315と、を有する。第1の入力部312は、インダクタンス生成回路106の出力部505に接続されている。第2の入力部313は、整流回路107の出力部209に接続されている。第3の入力部314は周波数判定回路110の出力部408に接続されている。出力部315は、論理回路105に接続されている。第1のスイッチ300は、第1の入力部312と、第1の容量素子302の一方に接続され、第3の入力部314により、第1のスイッチ300がオンになるか、又はオフになるかが制御される。第2のスイッチ301は、第1の入力部312と、第2の容量素子303の一方に接続され、第3の入力部314により、第2のスイッチ301がオンになるか、又はオフになるかが制御される。第2の容量素子303は、第2のスイッチ301と第1の容量素子302の他方に接続されている。第1のトランジスタ310(p型)と、第2のトランジスタ311(n型)は、インバータを構成している。復調回路108は、アンテナ回路103の出力信号のデータを復調する。
【0041】
図4は周波数判定回路110を示す。周波数判定回路110は、第1の入力部406と、第2の入力部407と、第1のコンパレータ400と、第2のコンパレータ401と、第1の抵抗素子402と、第2の抵抗素子403と、スイッチ404と、第3の抵抗素子405と、を有する。第1の入力部406は、整流回路107の出力部209に接続されている。第2の入力部407は、定電圧回路109に接続されている。出力部408は、インダクタンス生成回路106の第2の入力部504と、整流回路107の第2の入力部208と、復調回路108の第3の入力部314に接続されている。第1のコンパレータ400は、第1の入力部406と、第2の入力部407に接続されている。第2のコンパレータ401は、第1の入力部406と、第2の入力部407に接続されている。第1の抵抗素子402は第1のコンパレータ400の出力部と基準電位に接続されている。第2の抵抗素子403は第2のコンパレータ401の出力部と基準電位に接続されている。スイッチ404は、第2のコンパレータ401の出力と、出力部408に接続され、第1のコンパレータ400の出力により、スイッチ404がオンになるか、又はオフになるかが制御される。
【0042】
第1の入力部406に入力されている電位は参照電位であり、コンパレータに入力している第2の入力部407の電位の大小を決める基準となる。具体的には、第1の入力部406の電位が第2の入力部407の電位より大きい場合には、コンパレータは”0”を出力する。また、第1の入力部406の電位が第2の入力部407の電位より小さい場合には、コンパレータは”1”を出力する。
【0043】
なお、以下の”1”は電源電位と同じ電位状態を表す。”0”は基準電位と同じ電位状態を表す。
【0044】
第2のコンパレータ401に接続される第2の入力部407は、第3の抵抗素子405を用いて第2の入力部407の入力電圧を分圧した電圧が第2のコンパレータ401に入力される。例えば、第1のコンパレータ400に接続される第2の入力部407に対し、1/2又は1/4に分圧した電圧を第2のコンパレータ401に入力する。
【0045】
図5はインダクタンス生成回路106を示す。インダクタンス生成回路106は、第1のスイッチ500と、第2のスイッチ501と、コイル502と、第1の入力部503と、第2の入力部504と、出力部505と、を有する。第1の入力部503はアンテナ回路103に接続されている。第2の入力部504は周波数判定回路110が有する出力部408に接続されている。出力部505は、整流回路107の第1の入力部207及び復調回路108の第1の入力部312に接続されている。第1のスイッチ500は、第1の入力部503と、出力部505に接続され、第2の入力部504により、第1のスイッチ500がオンになるか、又はオフになるかが制御される。第2のスイッチ501は、第1の入力部503と、コイル502の一方に接続され、第2の入力部504により、第2のスイッチ501がオンになるか、又はオフになるかが制御される。コイル502は、第2のスイッチ501と、出力部505に接続されている。
【0046】
なお、コイル502は、インダクタンスを調整するために設けられた、所望の形状を有する導電膜等により形成された部分をいい、例えば所望の形状を有するように形成された導電膜により形成される。ただし、コイル502は無線信号の送受信を目的として設けられたものではない。従って、コイルとアンテナは本質的には大きな違いはないが、アンテナとコイルとは巻き数を異ならせ、又は形状を異ならせる等により異なるインダクタンスとすることが好ましい。
【0047】
なお、インダクタンス生成回路は図5に示す形態に限定されず、コイルを複数有していても良い。第1のスイッチ500がオンしているときのインピーダンスと、第2のスイッチ501がオンしているときのインピーダンスを異ならせることができる構成であればよい。
【0048】
次に、回路の動作について説明する。まず、スイッチについて説明する。スイッチが”0”でオンになる場合には、p型トランジスタを用いると良い。p型トランジスタのゲートに制御信号を入力する事により、オン又はオフを制御する。スイッチが”1”でオンになる場合には、n型トランジスタを用いると良い。n型トランジスタのゲートに制御信号を入力する事により、オン又はオフを制御する。
【0049】
図2に示す整流回路107の第1のスイッチ200は、制御信号が”0”のときにオンになり、制御信号が”1”のときにオフになる構成とする。例えば、p型トランジスタを用いればよい。第2のスイッチ201は、制御信号が”0”のときにオフになり、制御信号が”1”のときにオンになる構成とする。例えば、n型トランジスタを用いればよい。第1の容量素子202及び第2の容量素子203は、波形の振幅の中心(基準ライン)を補正する。更には、第1の容量素子202及び第2の容量素子203を有することで、インピーダンスZの変更が可能になる。
【0050】
図3に示す復調回路108の第1のスイッチ300は、制御信号が”0”のときにオンし、制御信号が”1”のときにオフする構成とする。例えばp型トランジスタを用いればよい。第2のスイッチ301には、制御信号が”0”のときにオフし、制御信号が”1”のときオンする構成とする。例えばn型トランジスタを用いればよい。第1の容量素子302及び第2の容量素子303は、波形の振幅の中心(基準ライン)を補正する。更には、第1の容量素子302及び第2の容量素子303を有することで、インピーダンスZの変更が可能になる。
【0051】
次に、図4に示す、周波数判定回路110が有する第1のコンパレータ400及び第2のコンパレータ401の動作について説明する。コンパレータの出力電位を図6に模式的に示す。コンパレータは、参照電位Vrefと、Vin1とVin2の電位を比較し、その結果に応じて”1”又は”0”を出力する。すなわち、Vref<Vin1、又はVref<Vin2のとき”1”を出力し、Vref>Vin1、又はVref>Vin2のとき”0”を出力する。
【0052】
ここで、Vref、Vin1、及びVin2について説明する。Vrefは、図4に示す第1の入力部406から入力される信号であり、第1のコンパレータ400と第2のコンパレータ401の動作時に用いる参照電位である。Vin1は、図4に示す第2の入力部407から入力される信号のことで、第1のコンパレータ400の動作時に参照電位と比較される信号である。Vin2は、図4に示す第2の入力部407から入力される信号を第3の抵抗素子405により分圧した信号であり、第2のコンパレータ401の動作時に参照電位と比較される信号である。
【0053】
第1のコンパレータ400及び第2のコンパレータ401が有する二つの入力部の一方にはVrefが入力され、第1のコンパレータ400の他方の入力部にはVin1が入力され、第2のコンパレータ401の他方の入力部にはVin2が入力される。Vin1>Vrefのとき、第1のコンパレータ400の出力は”1”になる。Vin2>Vrefのとき、第2のコンパレータ401の出力は”1”になる。Vin1<Vrefのとき、第1のコンパレータ400の出力は”0”になる。Vin2<Vrefのとき、第2のコンパレータ401の出力は”0”になる。第3の抵抗素子405はVin1とVin2の電位を異ならせるために設けられている。第1の抵抗素子402と第2の抵抗素子403は、出力電位が低い場合に、第1のコンパレータ400と第2のコンパレータ401の出力信号”0”を安定して供給する目的で接続されている。スイッチ404は、p型トランジスタを使用し制御信号が”0”の時にオンになり、”1”のときにオフになる。
【0054】
なお、周波数判定回路110の出力部408に容量素子を設けることで、周波数判定回路110の出力信号を安定させることができる。容量素子は出力部408とスイッチ404の間に設ければよい。
【0055】
図7は図4に示す周波数判定回路110の動作を表している。簡単のため、第1のコンパレータ400の出力をY(0)と表記し、第2のコンパレータ401の出力をY(1)と表記する。Y(0)の信号は、スイッチ404をオンし、又はオフにする制御信号として使用される。Y(1)の信号に応じてスイッチ404が制御される。
【0056】
図7を用いて、周波数判定回路110の入力に対する出力結果について説明する。受信する電磁波の周波数帯としては、950MHzと2.45GHzを考える。リーダ/ライタ101から受信した電磁波が950MHzで、回路のインピーダンスが950MHzに適しているときとリーダ/ライタ101からの電磁波が2.45GHzで回路のインピーダンスが2.45GHzに適しているとき、第1のコンパレータ400の電位はVref<Vin1であるから、第1のコンパレータ400の出力は”1”となる。第2のコンパレータ401の電位はVref<Vin2であるから、第2のコンパレータ401の出力は”1”となる。従って、スイッチ404はオフとなり、出力は”0”又は直前の電位に依存する。
【0057】
リーダ/ライタ101からの電磁波が2.45GHzで回路のインピーダンスが950MHzのときには、第1のコンパレータ400の電位はVref>Vin1となり、第1のコンパレータ400の出力は”0”となる。第2のコンパレータ401の電位はVref<Vin2であるから、第2のコンパレータ401の出力は”1”となる。このとき、スイッチ404はオンとなり、出力は”1”となる。
【0058】
電磁波が受信されなかったとき、又はリーダ/ライタ101からの電磁波が950MHzで回路側のインピーダンスが2.45GHzに適したインピーダンスのときには、第1のコンパレータ400の電位はVref>Vin1であるから、第1のコンパレータ400の出力は”0”となる。第2のコンパレータ401の電位はVref>Vin2であるから、第2のコンパレータ401の出力は”0”となる。このとき、スイッチ404はオンとなり、出力は”0”となる。
【0059】
図5にインダクタンス生成回路106を示す。第1のスイッチ500は、制御信号が”0”のときにオンし、”1”のときにオフする構成とする。例えば、p型トランジスタを用いる。第2のスイッチ501は、制御信号が”0”のときにオンとなり、”1”のときにオフとなる構成とする。例えば、n型トランジスタを用いる。第2のスイッチ501がオンすると、コイル502によりインダクタンスが生成される。従って、第1のスイッチ500と第2のスイッチ501がオンするか、又はオフでするかによって回路のL(インダクタンス)が変更される。このインダクタンス生成回路106を用いることで、インピーダンスZを表す式Z=R+j(ωL−1/ωC)におけるLの値を変更し、インピーダンスを制御することができる。
【0060】
以上の回路の動作をまとめると、リーダ/ライタ101からの電磁波が950MHzで回路側のインピーダンスが950MHzに適したインピーダンスの場合とリーダ/ライタ101からの電磁波が2.45GHzで回路側のインピーダンスに適したインピーダンスの場合には、周波数判定回路110で電磁波と回路のインピーダンスの整合がとれていると判断され、その電位を保持する。リーダ/ライタ101からの電磁波が2.45GHzで回路側のインピーダンスが950MHzに適したインピーダンスの場合には、又はリーダ/ライタ101からの電磁波が950MHzで回路側のインピーダンスが2.45GHzに適したインピーダンスの場合には、周波数判定回路110で電磁波と回路とのインピーダンスの整合がとれていないと判断され、整流回路107又は復調回路108で容量素子を変更し、又はインダクタンス生成回路106でL(インダクタンス)を変更して電磁波と回路のインピーダンスの整合がとれるように調整をする。
【0061】
以上、本実施の形態にて説明したように、本発明を用いることで、一のアンテナによる複数の異なる周波数帯での通信及び電力の供給が可能になる。また、互いに異なる複数の周波数帯の電磁波を受信した場合には、自動でインピーダンスを調整して最適な周波数帯を用いて電力の供給を行うことが可能となる。
【0062】
なお、本実施の形態にて説明した構成は一例であり、上記の説明に限定されない。例えば、整流回路又は復調回路が三以上の容量素子を有していても良いし、インダクタンス生成回路が二以上のコイルを有していても良い。または、整流回路又は復調回路に設ける容量素子を複数とせず、一の容量可変型の容量素子を設けるのみでもよい。
【0063】
本発明を用いた一のアンテナを有するチップは、複数のアンテナを設ける場合と比較して工程数が減るため、歩留まりが向上し、コストの削減が可能となる。また、複数のアンテナを有する場合と比較して、小型化し、軽量化することが可能になる。
【0064】
本発明の半導体装置のアンテナの数は一であるため、アンテナの圧着等を一回で行うことができ、複数のアンテナを有する場合と比較して、歩留まりよく作製することができる。
【0065】
本発明により、アンテナのインピーダンスを最適なものとすることができるため、無線通信を介した給電により、より大きな電力を確保することが可能となる。
【0066】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1とは異なる形態について説明する。本実施の形態に示す半導体装置では、アンテナの長さの調整によりインピーダンスを制御し、複数の周波数帯で通信距離や電源の確保を行う。便宜上、以下の説明では周波数帯が950MHzの場合と2.45GHzの場合について説明する。
【0067】
図8は本実施の形態の半導体装置600を示し、図9は本実施の形態の半導体装置600が有するアンテナ回路603を示す。半導体装置600はアンテナ回路603と、アナログ回路602と、論理回路605と、メモリ回路604と、を有する。アナログ回路602は、整流回路607と、復調回路608と、変調回路613と、定電圧回路609と、周波数判定回路610と、発振回路611と、リセット生成回路612と、を有する。半導体装置600は、リーダ/ライタ601と電磁波を介して無線でデータの送受信を行う。リーダ/ライタ601から送信される電磁波により半導体装置600に電力が供給される構成であってもよい。リーダ/ライタ601は、リーダ/ライタ601を制御するコンピュータに、通信回線を介して接続されていることが好ましい。
【0068】
図8に示す半導体装置600が有する整流回路607、復調回路608、変調回路613、定電圧回路609、発振回路611、リセット生成回路612、メモリ回路604、論理回路605の各々の回路構成は、実施の形態1にて説明した半導体装置100が有する整流回路107、復調回路108、変調回路113、定電圧回路109、発振回路111、リセット生成回路112、メモリ回路104、及び論理回路105等と同様のものを用いればよい。なお、整流回路607及び復調回路608は、各々の第1のスイッチ及び第2のスイッチと第2のスイッチに接続された容量素子を有していない、実施の形態1にて説明したものとは異なるものを用いても良い。なお、ここで用いることのできる整流回路及び復調回路の別形態を図27に示す。図27(A)は整流回路607を示し、図27(B)は復調回路608を示している。
【0069】
整流回路607の入力部はアンテナ回路603の出力部633に接続され、出力部は復調回路608の第2の入力部と、周波数判定回路610の第1の入力部621と、定電圧回路609の入力部に接続されている。復調回路608の第1の入力部はアンテナ回路603の出力部633に接続され、第2の入力部は整流回路607の出力部に接続され、出力部は論理回路605に接続されている。変調回路613は、アンテナ回路603と整流回路607の入力部と論理回路605に接続されている。定電圧回路609は、整流回路607と論理回路605に接続されている。発振回路611は、定電圧回路609の出力部と論理回路605に接続されている。リセット生成回路612は、定電圧回路609の出力部と論理回路605に接続されている。メモリ回路604は、定電圧回路609の出力部と論理回路605に接続されている。論理回路605は、復調回路608と、変調回路613と、メモリ回路604に接続されている。
【0070】
周波数判定回路610は、図1に示す周波数判定回路110と同様のものを用いればよい。周波数判定回路610の第1の入力部621は整流回路607の出力部に接続され、第2の入力部622は定電圧回路609の出力部に接続され、出力部623はアンテナ回路603の入力部630に接続されている。
【0071】
図8を用いて、本実施の形態の半導体装置600が搭載するアンテナ回路603について説明する。半導体装置600は、アンテナ回路603からの出力を用いて、電源電圧と復調信号を生成する。生成された電源電圧は、定電圧回路609により、一定となるように調整される。復調回路608と変調回路613は論理回路605に接続されている。一定に調整された電源電圧は論理回路605と、発振回路611と、リセット生成回路612に入力される。発振回路611の出力部は論理回路605に接続されている。リセット生成回路612の出力部は論理回路605に接続されている。なお、アナログ回路602は半導体装置600の動作を安定させるために、実施の形態1の半導体装置100と同様に、リミッタ回路等を適所に有しても良い。なお、アンテナ回路603は、アンテナ606及び容量素子を有する。容量素子は図示しないが、アンテナ主要部636と出力部633を接続する二の配線の間に設ければよい。
【0072】
図9はアンテナ回路603が有するアンテナ606の模式図を示す。アンテナ606は、出力部633と、アンテナ主要部636と、アンテナ端部634と、アンテナ端部635と、を有し、入力部630及び出力部633に接続されている。また、アンテナ主要部636と、アンテナ端部634及びアンテナ端部635とは、第1のスイッチ631及び第2のスイッチ632を介して接続されている。第1のスイッチ631及び第2のスイッチ632は、入力部630から出力される信号により、オンするか、又はオフするかが制御される。必要のない場合には、第2のスイッチ632及びアンテナ端部635は設けなくとも良い。
【0073】
図9のアンテナ606の動作について説明をする。第1のスイッチ631及び第2のスイッチ632は、制御信号が”0”のときにオンし、”1”のときにオフになる。第1のスイッチ631及び第2のスイッチ632は、例えばp型トランジスタを用いることができる。第1のスイッチ631及び第2のスイッチ632を周波数判定回路610の出力部623によりオンし、又はオフすることでアンテナの長さを変えて、アンテナのインピーダンスを調整することができる。第1のスイッチ631と第2のスイッチ632がともにオフである場合には、アンテナ主要部636と、アンテナ端部634及びアンテナ端部635とは接続されない。ここで、第1のスイッチ631がオンになるとアンテナ主要部636とアンテナ端部634が接続される。第2のスイッチ632がオンになるとアンテナ主要部636とアンテナ端部635が接続される。
【0074】
インピーダンスの整合がとれているときと、とれていないときの関係については実施の形態1と同様である。
【0075】
以上説明した回路の動作をまとめると、リーダ/ライタ601からの電磁波が950MHzでアンテナ606のインピーダンスが950MHzに適したインピーダンスの場合、又はリーダ/ライタ601からの電磁波が2.45GHzでアンテナ606側のインピーダンスが2.45GHzに適したインピーダンスの場合には、周波数判定回路610で電磁波と回路のインピーダンスの整合がとれていると判断され、その状態を保持する。リーダ/ライタ601からの電磁波が2.45GHzでアンテナ606側のインピーダンスが950MHzに適したインピーダンスの場合、又はリーダ/ライタ601からの電磁波が950MHzでアンテナ606側のインピーダンスが2.45GHzに適したインピーダンスの場合には、周波数判定回路610で電磁波と回路のインピーダンスの整合がとれていないと判断され、第1のスイッチ631と第2のスイッチ632がオン又はオフし、アンテナ606の長さを変更することで、リーダ/ライタ601からの電磁波とアンテナのインピーダンスが整合をとれるようにする。インピーダンスの調整は、アンテナ606が有するアンテナ主要部636と、アンテナ端部634又はアンテナ端部635の接続又は非接続を制御することにより行う。または、実施の形態1にて説明したように、整流回路607及び復調回路608の容量素子の切り替えを半導体装置600においても行っても良い。更には、実施の形態1にて説明したインダクタンス生成回路を半導体装置600にも設け、これを用いてインピーダンスの制御を行っても良い。
【0076】
また、アンテナ606は、半導体装置600が有する薄膜トランジスタにより設けられた素子上に形成された、オンチップアンテナであってもよい。アンテナ606がオンチップアンテナである場合を図25に示す。
【0077】
ここで、アンテナ606がオンチップアンテナである場合の形状の一例を図25に示す。例えば図25(A)に示すように、信号処理回路が設けられたチップ250の一面のアンテナ主要部251Aとアンテナ端部251Bからなるアンテナを配した構造としても良い。アンテナ主要部251Aとアンテナ端部251Bはスイッチ251Cを介して接続されており、スイッチ251Cがオン又はオフすることによりアンテナの大きさが変化し、インピーダンスが変化する。また、図25(B)に示すように、信号処理回路が設けられたチップ252の一面に、アンテナ主要部253Aとアンテナ端部253Bからなる細いアンテナをチップ252の周囲に配した構造としてもよい。図25(B)においては、アンテナ主要部253Aとアンテナ端部253Bはスイッチ253Cを介して接続されており、スイッチ253Cがオン又はオフすることによりアンテナの大きさが変化し、インピーダンスが変化する。また、図25(C)に示すように信号処理回路が設けられたチップ254を中央にして、H型形状のアンテナを配してもよい。図25(C)では、アンテナ主要部255Aとアンテナ端部255Bはスイッチ255Cを介して接続されており、スイッチ255Cがオン又はオフすることによりアンテナの大きさが変化し、インピーダンスが変化する。なお、図25(C)のアンテナは高周波数の電磁波の受信に適している。また、図25(D)に示すように、信号処理回路が設けられたチップ256に対して、棒状に長く伸ばした形状のアンテナを配してもよい。図25(D)では、アンテナ主要部257Aとアンテナ端部257Bはスイッチ257Cを介して接続されており、スイッチ257Cがオン又はオフすることによりアンテナの大きさが変化する。アンテナ606はこれらの形状のアンテナを組み合わせて用いてもよい。
【0078】
図25に示すようにオンチップアンテナを用いる場合には、通信距離を伸ばすための構成を有していることが好ましい。通信距離を伸ばすための構成を有するアンテナの一構成例を図26に示す。図26(A)は、半導体装置600とリーダ/ライタ601のアンテナの関係を示す回路図である。図26(A)に示す構成では、半導体装置600は、アンテナ606の他に第2のアンテナ263、第3のアンテナ264、容量素子265を有する。これらは、半導体装置600とは別に作製し、半導体装置600に貼付する等すればよい。
【0079】
リーダ/ライタ601からの通信信号を、第3のアンテナ264で受信すると、第3のアンテナ264では電磁誘導による誘導起電力が生じる。この誘導起電力により、第2のアンテナ263から、誘導電磁界が発生する。この誘導電磁界を、アンテナ606で受信することで、アンテナ606では、電磁誘導による誘導起電力が生じることになる。
【0080】
ここで、第3のアンテナ264のインダクタンスを大きくすることで、アンテナ606が受信する誘導電磁界を大きくすることができる。すなわち、アンテナ606のインダクタンスが小さくても、半導体装置600を動作させるのに十分な誘導電磁界を供給することができる。アンテナ606をオンチップアンテナとした場合には、半導体装置600の面積が小さいためにインダクタンスはあまり大きくできない。従って、アンテナ606のみ用いる場合には、半導体装置600の通信距離を伸ばすことは困難である。しかしながら、図26(A)の構成を適用することで通信距離を伸長することができる。
【0081】
図26(B)は、本実施の形態における半導体装置600に設けられるアンテナのレイアウトの一例を示す図である。図26(B)では、第3のアンテナ264Aの外部に第2のアンテナ263Aを有する。第1のスルーホール267と、第2のスルーホール268とは電気的に接続されており、第2のアンテナ263、第3のアンテナ264、及び容量素子265から外側のアンテナが形成される。容量素子265としては、チップコンデンサ又はフィルムコンデンサ等を用いることができる。図26(B)に示すレイアウトを採用することで、幅の狭いアンテナを形成することができる。そのため、半導体装置600の幅が狭いときに有効である。
【0082】
図26(C)は、本実施の形態における半導体装置600のアンテナのレイアウトの一例を示す図である。図26(C)では、第3のアンテナ264Bの内部に第2のアンテナ263Bを有する。第1のスルーホール269と、第2のスルーホール270とは電気的に接続されており、第2のアンテナ263B、第3のアンテナ264B、及び容量素子265から外側のアンテナが形成される。容量素子265には、チップコンデンサ又はフィルムコンデンサ等を用いることができる。図26(C)に示すレイアウトを採用することで、幅の狭いアンテナを形成することができる。そのため、半導体装置600の幅が狭いときに有効である。半導体装置600の通信距離を伸ばすことができる。
【0083】
なお、アンテナに接続されているスイッチ(例えば、第1のスイッチ631及び第2のスイッチ632)としては、トランジスタを用いることができる。アンテナに接続されるスイッチとなるトランジスタは、チップが有するトランジスタと同一の工程にて作製すればよい。
【0084】
以上、本実施の形態にて説明したように、本発明により、一のアンテナによる複数の異なる周波数帯での通信及び電力の供給が可能になる。また、互いに異なる複数の周波数帯の電磁波を受信した場合には、自動でインピーダンスを調整して最適な周波数帯を用いて電力の供給を行うことが可能となる。
【0085】
本発明を用いた一のアンテナを有するチップは、複数のアンテナを設ける場合と比較して工程数が減るため、歩留まりが向上し、コストの削減が可能となる。また、複数のアンテナを有する場合と比較して、小型化し、軽量化することが可能になる。
【0086】
本発明の半導体装置のアンテナの数は一であるため、アンテナの圧着等を一回で行うことができ、複数のアンテナを有する場合と比較して、歩留まりよく作製することができる。
【0087】
本発明により、アンテナのインピーダンスを最適なものとすることができるため、無線通信を介した給電により、より大きな電力を確保することが可能となる。
【0088】
また、本実施の形態の構成と、実施の形態1の構成を組み合わせても良い。
【0089】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の半導体装置であって、他の実施の形態にて説明したものとは異なる形態について説明する。具体的には、実施の形態1にて説明した半導体装置にバッテリーを設ける。
【0090】
図10には本実施の形態の半導体装置のブロック図を示す。本実施の形態の半導体装置1000は、リーダ/ライタ1001と電磁波により無線でデータの送受信を行う。リーダ/ライタ1001は、通信回線を介して制御装置に接続されていることが好ましい。該制御装置は、少なくともリーダ/ライタ1001と半導体装置1000との間の通信を制御する機能を有する。
【0091】
更には、半導体装置1000には、リーダ/ライタ1001から無線により電力が供給される。
【0092】
半導体装置1000は、アンテナ回路1003と、充放電回路1014と、バッテリー1015と、アナログ回路1002と、論理回路1005と、メモリ回路1004と、を有する。アナログ回路1002は、変調回路1013と、インダクタンス生成回路1006と、整流回路1007と、定電圧回路1009と、周波数判定回路1010と、発振回路1011と、リセット生成回路1012と、を有する。つまり、実施の形態1にて説明した半導体装置100に対して、充放電回路1014と、バッテリー1015を設けた構成である。
【0093】
半導体装置1000が有するアンテナ回路1003、アナログ回路1002、論理回路1005、及びメモリ回路1004は、実施の形態1及び実施の形態2にて説明したものと同様のものを用いればよい。また、本発明の半導体装置1000は、インダクタンス生成回路を有していても良いし、整流回路及び復調回路の構成は実施の形態1にて説明したものを用いても良い。更には、アンテナ回路1003が有するアンテナには、実施の形態2にて説明したように、長さが可変のものを用いても良いし、オンチップアンテナを用いてもよく、通信距離を伸ばすための外側のアンテナを有していても良い。
【0094】
なお、アンテナ回路1003に設けるアンテナの形状及び接続方法については実施の形態1の半導体装置100が有するアンテナである、図24に示されたものと同様のものを用いればよい。
【0095】
復調回路1008にて復調された信号は論理回路1005に入力され、論理回路1005によってメモリ回路1004内に記憶されている個体識別情報(ID)等が抽出され、抽出された情報は論理回路1005内にてエンコードされ、変調回路1013に入力される。変調回路1013は入力された信号に従って変調し、アンテナ回路1003からリーダ/ライタ1001に情報を送信する。リーダ/ライタ1001で受信された情報は制御装置に送信される。
【0096】
上記したように、図10に示す半導体装置1000は、図1に示す半導体装置100と比較して、バッテリー1015と、充放電回路1014を有する点が大きく異なる。バッテリー1015は、充放電回路1014に接続され、充放電回路1014は、整流回路1007の第2の出力部と、アナログ回路1002と、論理回路1005に接続されている。なお、充放電回路1014が接続されている第2の出力部は、図10に示すように第1の出力部とは別個に設けても良いし、第1の入力部と第2の入力部とを接続させて一つの出力部としてもよい。
【0097】
アンテナ回路1003に入力された電磁波は、整流回路1007を介してアンテナ回路1003から入力される外部の無線信号によりバッテリー1015を充電し、バッテリー1015に充電された電力によって充放電回路1014を介して各回路へ電力の供給を行うことができる。バッテリー1015に充電された電力を用いることにより、通信距離が伸びた際に半導体装置1000のアンテナ回路1003から十分な電力が得られない際にも半導体装置1000に電力を供給することができ、半導体装置1000を動作させることが可能になる。これにより、本発明の半導体装置の動作を安定に、より確実なものとすることができる。
【0098】
なお、バッテリーとは、充電することで連続使用時間を回復することができる電池のことをいう。バッテリーとしては、シート状に形成された電池を用いることが好ましく、例えばリチウム電池、好ましくはゲル状電解質を用いるリチウムポリマー電池又はリチウムイオン電池等を用いることで、小型化が可能である。勿論、充電可能な電池であればこれらに限定されるものではなく、ニッケル水素電池又はニカド電池等の充電及び放電が可能な電池であってもよいし、また大容量のコンデンサ等を用いても良い。無線により充電可能なバッテリーを用いることが特に好ましい。
【0099】
本実施の形態の半導体装置はバッテリーを有するため、電池の経時的な劣化に伴う個体情報の送受信を行うための電力の不足を補うことができる。特に、本発明の半導体装置はコンパレータを有し、コンパレータの消費電力は大きいため、本実施の形態で説明したようにバッテリーを設けることが非常に有効である。
【0100】
本実施の形態の半導体装置は、バッテリーに無線で電力を供給するために複数個のアンテナを有してもよい。そのため、充電器に直接接続することなく、半導体装置を駆動するための電力を供給するバッテリーの充電を、外部からの電磁波により行うことができる。その結果、従来のアクティブ型のRFIDタグのように電池の残存容量の確認や電池の交換をする必要がなく、長時間・長期間に渡って使用し続けることができる。加えて、半導体装置を駆動するための電力を常にバッテリー内に保持することにより、当該半導体装置が動作するための十分な電力が得られ、リーダ/ライタとの通信距離を伸ばすことができる。
【0101】
なお、本実施の形態では、蓄電部としてバッテリーを例示して説明したが、それに換えてコンデンサを用いて半導体装置を構成することもできる。コンデンサとしては様々なものを用いることができる。特に、小型で容量の大きい電気二重層コンデンサや積層セラミックコンデンサを用いることが好ましい。また、蓄電部としてバッテリーとコンデンサの両方を設けてもよい。
【0102】
以上説明したように、本発明により、一のアンテナによる複数の異なる周波数帯での通信及び電力の供給が可能になる。また、互いに異なる周波数帯の電磁波を受信した場合には、自動でインピーダンスを合わせて最適な周波数帯を調整して電力の供給を行うことが可能となる。
【0103】
本発明を用いた一のアンテナを有するチップは、複数のアンテナを設ける場合と比較して工程数が減るため、歩留まりが向上し、コストの削減が可能となる。また、複数のアンテナを有する場合と比較して、小型化し、軽量化することが可能になる。
【0104】
本発明の半導体装置のアンテナの数は一であるため、アンテナの圧着等を一回で行うことができ、複数のアンテナを有する場合と比較して、歩留まりよく作製することができる。
【0105】
本発明を用いることで、アンテナのインピーダンスを最適なものとすることができるため、無線通信を介した給電により、より多くの電力を確保することが可能となる。特に、本実施の形態における半導体装置1000が有するバッテリー1015として、無線により充電可能なバッテリーを用いる場合には、受信する周波数に応じた最適なインピーダンスに調整することが可能なため、充電効率が向上する。
【0106】
なお、本実施の形態は、本明細書中の他の実施の形態と組み合わせて実施することが可能である。すなわち、上記の説明では実施の形態1の半導体装置100にバッテリーを搭載した場合について説明したが、実施の形態2の半導体装置600にバッテリーを搭載した形態であってもよい。
(実施の形態4)
【0107】
本実施の形態では、実施の形態1にて説明した半導体装置の作製方法の一例について、図面を参照して説明する。本実施の形態においては、半導体装置におけるアンテナ、バッテリー、信号処理回路を同一基板上に薄膜トランジスタを用いて設ける構成について説明する。なお、一の基板上にアンテナ、バッテリー、信号処理回路を形成することで、小型化を図ることができる。また、バッテリーとしては薄膜の二次電池を用いた例について説明する。
【0108】
まず、基板701の一表面に絶縁膜702を介して剥離層703を形成し、続けて下地膜として機能する絶縁膜704と、非晶質半導体膜705(例えば、非晶質シリコンを含む膜)と、を積層して形成する(図11(A)を参照)。なお、絶縁膜702、剥離層703、絶縁膜704及び非晶質半導体膜705は、連続して形成することができる。なお、剥離層703は、剥離する必要のない場合には形成しなくても良い。
【0109】
基板701は、ガラス基板、石英基板、金属基板(例えばセラミック基板またはステンレス基板など)及びSi基板等の半導体基板等から選択されるものである。他にも、プラスチック基板である、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、アクリル等の基板を用いても良い。なお、本工程では、剥離層703は、絶縁膜702を介して基板701の全面に設けているが、必要に応じて、基板701の全面に剥離層を設けた後に、フォトリソグラフィ法によりパターンを形成してもよい。
【0110】
絶縁膜702及び絶縁膜704は、CVD法又はスパッタリング法等を用いて、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン(SiO)(x>y>0)又は窒化酸化シリコン(SiN)(x>y>0)等の絶縁材料を用いて形成する。例えば、絶縁膜702及び絶縁膜704を2層の積層構造とする場合、第1層目の絶縁膜として窒化酸化シリコン膜を形成し、第2層目の絶縁膜として酸化窒化シリコン膜を形成するとよい。また、第1層目の絶縁膜として窒化シリコン膜を形成し、第2層目の絶縁膜として酸化シリコン膜を形成してもよい。絶縁膜702は、基板701から剥離層703又はその上に形成される素子への不純物元素の混入を防ぐブロッキング層として機能し、絶縁膜704は基板701及び剥離層703からその上に形成される素子に不純物元素が混入するのを防ぐブロッキング層として機能する。このように、ブロッキング層として機能する絶縁膜702及び絶縁膜704を形成することによって、基板701に含まれるナトリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属、及び剥離層703に含まれる不純物元素がこの上に形成される素子に悪影響を与えることを防ぐことができる。なお、基板701として石英を用いるような場合には絶縁膜702及び絶縁膜704を省略してもよい。石英基板にはアルカリ金属及びアルカリ土類金属が含まれないからである。
【0111】
剥離層703は、金属膜又は金属膜と金属酸化膜とを積層した積層構造等を用いることができる。金属膜としては、タングステン、モリブデン、チタン、タンタル、ニオブ、ニッケル、コバルト、ジルコニウム、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムから選択された元素あるいはこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料からなる膜を単層又は積層して形成する。また、これらの材料は、スパッタ法又はプラズマCVD法等の各種CVD法等を用いて形成することができる。金属膜と金属酸化膜との積層構造としては、上述した金属膜を形成した後に、酸素雰囲気下またはNO雰囲気下におけるプラズマ処理、酸素雰囲気下またはNO雰囲気下における加熱処理を行うことによって、金属膜表面に当該金属膜の酸化物または酸化窒化物を形成することで設けることができる。例えば、金属膜としてスパッタ法又はCVD法等によりタングステン膜を設けた場合、タングステン膜にプラズマ処理を行うと、タングステン膜の表面にタングステン酸化物からなる金属酸化膜を形成することができる。他にも、例えば、金属膜(例えば、タングステン膜)を形成した後に、当該金属膜上にスパッタリング法により酸化シリコン(SiO)等からなる絶縁膜を設けると共に、金属膜上に金属酸化物(例えば、タングステン膜上にタングステン酸化物膜)を形成してもよい。また、プラズマ処理として、例えば上述した高密度プラズマ処理を行ってもよい。また、金属酸化膜の他に、金属窒化物又は金属酸化窒化物を用いてもよい。この場合、金属膜に窒素雰囲気下又は窒素と酸素の混合雰囲気下でプラズマ処理や加熱処理を行えばよい。
【0112】
非晶質半導体膜705は、スパッタリング法、LPCVD法又はプラズマCVD法等により、10nm以上200nm以下(好ましくは30nm以上150nm以下)の厚さで形成する。
【0113】
次に、非晶質半導体膜705にレーザー光を照射して結晶化を行う。なお、レーザー光の照射と、RTA(Rapid Thermal Annealing)又はファーネスアニール炉を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法と、を組み合わせた方法等により非晶質半導体膜705を結晶化してもよい。その後、得られた結晶質半導体膜を所望の形状にエッチングして、結晶質半導体膜705a〜705fを形成し、結晶質半導体膜705a〜705fを覆うようにゲート絶縁膜706を形成する(図11(B)参照)。なお、結晶質半導体膜の端部はテーパ形状を有するようにエッチングすることが好ましい。テーパ形状とすることで、ゲート絶縁膜を良好に形成することができるためである。
【0114】
ゲート絶縁膜706は、CVD法又はスパッタリング法等を用いて、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン(SiO)(x>y>0)、窒化酸化シリコン(SiN)(x>y>0)等の絶縁材料により形成する。例えば、ゲート絶縁膜706を2層の積層構造とする場合、第1層目の絶縁膜として酸化窒化シリコン膜を形成し、第2層目の絶縁膜として窒化酸化シリコン膜を形成するとよい。また、第1層目の絶縁膜として酸化シリコン膜を形成し、第2層目の絶縁膜として窒化シリコン膜を形成してもよい。
【0115】
次に、結晶質半導体膜705a〜705fの作製工程の一例を以下に簡単に説明する。まず、プラズマCVD法を用いて、膜厚が50nm〜60nmの非晶質半導体膜を形成する。次に、結晶化を助長する金属元素であるニッケルを含む溶液を非晶質半導体膜上に保持させた後、非晶質半導体膜に脱水素化の処理(500℃、1時間)と、熱結晶化の処理(550℃、4時間)と、を行って結晶質半導体膜を形成する。その後、レーザー光を照射し、フォトリソグラフィ法を用いてエッチングを行うことよって結晶質半導体膜705a〜705fを形成する。なお、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化を行わずに、レーザー光の照射だけで非晶質半導体膜の結晶化を行ってもよい。なお、上記で形成される多結晶半導体膜に限定されず、単結晶半導体膜であってもよい。
【0116】
結晶化に用いるレーザー発振器としては、連続発振型のレーザービーム(CWレーザービーム)又はパルス発振型のレーザービーム(パルスレーザービーム)を用いることができる。ここで用いることができるレーザービームは、Arレーザー、Krレーザー、エキシマレーザー等の気体レーザー、単結晶のYAG、YVO、フォルステライト(MgSiO)、YAlO、GdVO若しくは多結晶(セラミック)のYAG、Y、YVO、YAlO、GdVOに、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち一種又は複数種が添加されているものを媒質とするレーザー、ガラスレーザー、ルビーレーザー、アレキサンドライトレーザー、Ti:サファイアレーザー、銅蒸気レーザー又は金蒸気レーザーのうち一種又は複数種から発振されるものを用いることができる。このようなレーザービームの基本波、及びこれらの基本波の第2高調波から第4高調波のレーザービームを照射することで、大粒径の結晶を得ることができる。例えば、Nd:YVOレーザー(基本波1064nm)の第2高調波(532nm)又は第3高調波(355nm)を用いることができる。このときレーザーのパワー密度は0.01〜100MW/cm程度(好ましくは0.1以上10MW/cm以下)が必要である。そして、走査速度を10〜2000cm/sec程度として照射する。なお、単結晶のYAG、YVO、フォルステライト(MgSiO)、YAlO、GdVO、若しくは多結晶(セラミック)のYAG、Y、YVO、YAlO、GdVOに、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち一種又は複数種が添加されているものを媒質とするレーザー、Arイオンレーザー、又はTi:サファイアレーザーは、連続発振をさせることが可能であり、Qスイッチ動作やモード同期等を行うことによって10MHz以上の発振周波数でパルス発振をさせることも可能である。10MHz以上の発振周波数でレーザービームを発振させると、半導体膜がレーザーによって溶融してから固化するまでの間に、次のパルスのレーザーが半導体膜に照射される。従って、発振周波数が低いパルスレーザーを用いる場合と異なり、半導体膜中において固液界面を連続的に移動させることができ、走査方向に向かって連続的に成長した結晶粒を得ることができる。
【0117】
また、ゲート絶縁膜706は、結晶質半導体膜705a〜705fに対し前述の高密度プラズマ処理を行い、表面を酸化又は窒化することで形成しても良い。例えば、He、Ar、Kr又はXe等の希ガスと、酸素、酸化窒素、アンモニア、窒素、又は水素等の混合ガスを導入したプラズマ処理で形成する。この場合のプラズマの励起は、マイクロ波の導入により行うと、低電子温度で高密度のプラズマを生成することができる。この高密度プラズマで生成された酸素ラジカル(OHラジカルを含む場合もある)や窒素ラジカル(NHラジカルを含む場合もある)によって、半導体膜の表面を酸化又は窒化することができる。
【0118】
このような高密度プラズマを用いた処理により、1nm以上20nm以下、代表的には5nm以上10nm以下の絶縁膜が半導体膜上に形成される。この場合の反応は、固相反応であるため、当該絶縁膜と半導体膜との界面準位密度はきわめて低くすることができる。このような、高密度プラズマ処理は、半導体膜(結晶性シリコン或いは多結晶シリコン)を直接酸化(若しくは窒化)するため、形成される絶縁膜の厚さについて、理想的には、ばらつきをきわめて小さくすることができる。加えて、結晶性シリコンの結晶粒界でも強く酸化されることがないため、非常に好ましい状態となる。すなわち、ここで示す高密度プラズマ処理で半導体膜の表面を固相酸化することにより、結晶粒界において異常な酸化反応をさせることなく、均一性が良く、界面準位密度が低い絶縁膜を形成することができる。
【0119】
ゲート絶縁膜は、高密度プラズマ処理によって形成される絶縁膜のみを用いても良いし、それにプラズマや熱反応を利用したCVD法で酸化シリコン、酸窒化シリコン又は窒化シリコン等の絶縁膜を堆積し、積層して形成しても良い。いずれにしても、高密度プラズマで形成した絶縁膜をゲート絶縁膜の一部又は全部に含んで形成されるトランジスタは、特性のばらつきを小さくすることができる。
【0120】
また、半導体膜に対し、連続発振レーザー若しくは10MHz以上の周波数で発振するレーザービームを照射しながら一方向に走査して結晶化させて得られた結晶質半導体膜705a〜705fは、そのレーザービームの走査方向に結晶を成長させることができる。走査方向をチャネル長方向(チャネル形成領域が形成されたときにキャリアが流れる方向)に合わせてトランジスタを配置し、上記ゲート絶縁層を組み合わせることで、特性のばらつきが小さく、且つ電界効果移動度が高い薄膜トランジスタを得ることができる。
【0121】
次に、ゲート絶縁膜706上に、第1の導電膜と第2の導電膜とを積層して形成する。ここでは、第1の導電膜は、CVD法又はスパッタリング法等により、20nm以上100nm以下の厚さで形成する。第2の導電膜は、100nm以上400nm以下の厚さで形成する。第1の導電膜と第2の導電膜は、タンタル、タングステン、チタン、モリブデン、アルミニウム、銅、クロム、ニオブ等から選択された元素又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で形成する。または、リン等の不純物元素をドーピングして導電性を付加した多結晶シリコン等の半導体材料により形成してもよい。第1の導電膜と第2の導電膜の組み合わせの例を挙げると、窒化タンタル膜とタングステン膜、窒化タングステン膜とタングステン膜、及び窒化モリブデン膜とモリブデン膜等が挙げられる。タングステンや窒化タンタルは、耐熱性が高いため、第1の導電膜と第2の導電膜を形成した後に、熱活性化を目的とした加熱処理を行うことができる。また、2層の積層構造ではなく、3層の積層構造の場合には、アルミニウム膜をモリブデン膜により挟んだ積層構造を採用するとよい。
【0122】
次に、フォトリソグラフィ法を用いてレジストからなるマスクを形成し、ゲート電極とゲート線を形成するためのエッチング処理を行って、結晶質半導体膜705a〜705fの上方にゲート電極707を形成する。ここでは、ゲート電極707として、第1の導電膜707aと第2の導電膜707bを積層して設けた例を示している。
【0123】
次に、ゲート電極707をマスクとして結晶質半導体膜705a〜705fに、イオンドープ法又はイオン注入法により、N型を付与する不純物元素を低濃度に添加し、その後、フォトリソグラフィ法によりレジストからなるマスクを選択的に形成して、P型を付与する不純物元素を高濃度に添加する。N型を示す不純物元素としては、リン又はヒ素等を用いることができる。P型を示す不純物元素としては、ボロン、アルミニウム又はガリウム等を用いることができる。ここでは、N型を付与する不純物元素としてリンを用い、1×1015〜1×1019/cmの濃度で含まれるように結晶質半導体膜705a〜705fに選択的に導入し、N型を示す不純物領域708を形成する。また、P型を付与する不純物元素としてボロンを用い、1×1019〜1×1020/cmの濃度で含まれるように選択的に結晶質半導体膜705c、705eに導入し、P型を示す不純物領域709を形成する(図11(C)参照)。
【0124】
続いて、ゲート絶縁膜706とゲート電極707を覆うように、絶縁膜を形成する。絶縁膜は、プラズマCVD法又はスパッタリング法等により、シリコン、シリコンの酸化物若しくはシリコンの窒化物の無機材料を含む膜、又は有機樹脂等の有機材料を含む膜を、単層又は積層して形成する。次に、絶縁膜を、垂直方向を主体とした異方性エッチングにより選択的にエッチングして、ゲート電極707の側面に接する絶縁膜710(サイドウォールともよばれる)を形成する。絶縁膜710は、LDD(Lightly Doped Drain)領域を形成する際のドーピング用のマスクとして用いる。
【0125】
続いて、フォトリソグラフィ法により形成したレジストからなるマスクと、ゲート電極707及び絶縁膜710をマスクとして用いて、結晶質半導体膜705a、結晶質半導体膜705b、結晶質半導体膜705d及び結晶質半導体膜705fにN型を付与する不純物元素を高濃度に添加し、N型を示す不純物領域711を形成する。ここでは、N型を付与する不純物元素としてリンを用い、1×1019〜1×1020/cmの濃度で含まれるように結晶質半導体膜705a、結晶質半導体膜705b、結晶質半導体膜705d及び結晶質半導体膜705fに選択的に導入し、不純物領域708より高濃度のN型を示す不純物領域711を形成する。
【0126】
以上の工程により、nチャネル型の薄膜トランジスタ700a、700b、700d、700fとpチャネル型の薄膜トランジスタ700c、700eが形成される(図11(D)参照)。
【0127】
nチャネル型の薄膜トランジスタ700aは、ゲート電極707と重なる結晶質半導体膜705aの領域にチャネル形成領域が形成され、ゲート電極707及び絶縁膜710と重ならない領域にソース領域又はドレイン領域を形成する不純物領域711が形成され、絶縁膜710と重なる領域であってチャネル形成領域と不純物領域711の間にLDD領域が形成されている。また、nチャネル型の薄膜トランジスタ700b、700d、700fも同様にチャネル形成領域、LDD領域及び不純物領域711が形成されている。
【0128】
pチャネル型の薄膜トランジスタ700cは、ゲート電極707と重なる結晶質半導体膜705cの領域にチャネル形成領域が形成され、ゲート電極707と重ならない領域にソース領域又はドレイン領域を形成する不純物領域709が形成されている。また、pチャネル型の薄膜トランジスタ700eも同様にチャネル形成領域及び不純物領域709が形成されている。なお、ここでは、pチャネル型の薄膜トランジスタ700c、700eには、LDD領域を設けていないが、pチャネル型の薄膜トランジスタにLDD領域を設けてもよいし、nチャネル型の薄膜トランジスタにLDD領域を設けない構成としてもよい。
【0129】
次に、結晶質半導体膜705a〜705f及びゲート電極707等を覆うように、絶縁膜を単層または積層して形成し、当該絶縁膜上に薄膜トランジスタ700a〜700fのソース領域又はドレイン領域を形成する不純物領域709及び不純物領域711と電気的に接続される導電膜713を形成する(図12(A)を参照)。絶縁膜は、CVD法、スパッタ法、SOG法、液滴吐出法又はスクリーン印刷法等により、シリコンの酸化物若しくはシリコンの窒化物等の無機材料、ポリイミド、ポリアミド、ベンゾシクロブテン、アクリル若しくはエポキシ等の有機材料又はシロキサン材料等により、単層又は積層して形成する。ここでは、当該絶縁膜を2層で設け、第1層目の絶縁膜712aとして窒化酸化シリコン膜で形成し、第2層目の絶縁膜712bとして酸化窒化シリコン膜で形成する。また、導電膜713は、薄膜トランジスタ700a〜700fのソース電極又はドレイン電極を形成する。
【0130】
なお、絶縁膜712a及び絶縁膜712bを形成する前、または絶縁膜712a、712bのうちの1つ又は複数の薄膜を形成した後に、半導体膜の結晶性の回復や半導体膜に添加された不純物元素の活性化、半導体膜の水素化を目的とした加熱処理を行うとよい。加熱処理としては、熱アニール法、レーザーアニール法又はRTA法等を適用するとよい。
【0131】
導電膜713は、CVD法又はスパッタリング法等により、アルミニウム、タングステン、チタン、タンタル、モリブデン、ニッケル、白金、銅、金、銀、マンガン、ネオジム、炭素若しくはシリコンから選択された元素、又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料により、単層又は積層して形成する。アルミニウムを主成分とする合金材料とは、例えば、アルミニウムを主成分としニッケルを含む材料、又はアルミニウムを主成分とし、ニッケルと、炭素及びシリコンの一方又は両方と、を含む合金材料が相当する。積層の導電膜713としては、例えば、バリア膜とシリコンを含むアルミニウム膜とバリア膜の積層構造、バリア膜とシリコンを含むアルミニウム膜と窒化チタン膜とバリア膜との積層構造を採用するとよい。なお、バリア膜は、チタン、チタンの窒化物、モリブデン又はモリブデンの窒化物からなる薄膜により設けられる。アルミニウムやシリコンを含むアルミニウムは抵抗値が低く、安価であるため、導電膜713を形成する材料として最適である。また、上層と下層にバリア層を設けると、アルミニウムやシリコンを含むアルミニウムにおけるヒロックの発生を防止することができる。また、還元性の高い元素であるチタンからなるバリア膜を形成すると、半導体膜上に薄い自然酸化膜ができていたとしても、この自然酸化膜を還元することができるため自然酸化膜が除去され、半導体膜と良好なコンタクトをとることができる。
【0132】
次に、導電膜713を覆うように、絶縁膜714を形成し、当該絶縁膜714上に、薄膜トランジスタ700a及び薄膜トランジスタ700fのソース電極又はドレイン電極を形成する導電膜713とそれぞれ電気的に接続される、導電膜715a及び導電膜715bを形成する。また、薄膜トランジスタ700b及び薄膜トランジスタ700eのソース電極又はドレイン電極を形成する導電膜713とそれぞれ電気的に接続される導電膜716を形成する。なお、導電膜715a、導電膜715b及び導電膜716は同一の材料で同一の工程で形成してもよい。導電膜715a、導電膜715b及び導電膜716は、上述した導電膜713の材料として示した、いずれかの材料を用いて形成することができる。
【0133】
続いて、導電膜716にアンテナとして機能する導電膜717が電気的に接続されるように形成する(図12(B)を参照)。
【0134】
絶縁膜714は、CVD法又はスパッタリング法等により、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸化窒化シリコン(SiO)(x>y)若しくは窒化酸化シリコン(SiN)(x>y)等の酸素若しくは窒素を有する絶縁膜、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)等の炭素を含む膜、エポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルフェノール、ベンゾシクロブテン、アクリル等の有機材料又はシロキサン樹脂等のシロキサン材料からなる膜を単層で、又は積層して設けることができる。なお、シロキサン材料とは、Si−O−Si結合を含む材料に相当する。シロキサンは、シリコンと酸素との結合で骨格構造が構成される。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えば、アルキル基又は芳香族炭化水素)が用いられる。置換基としてフルオロ基を用いることもできる。または置換基として少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基と、を用いてもよい。
【0135】
導電膜717は、CVD法、スパッタリング法、スクリーン印刷若しくはグラビア印刷等の印刷法、液滴吐出法、ディスペンサ法又はメッキ法等を用いて、導電性材料により形成する。導電性材料は、アルミニウム、チタン、銀、銅、金、白金、ニッケル、パラジウム、タンタル若しくはモリブデンから選択された元素、又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で、単層で又は積層して形成する。
【0136】
例えば、スクリーン印刷法を用いてアンテナとして機能する導電膜717を形成する場合には、粒径が数nmから数十μmの導電体粒子を有機樹脂に溶解又は分散させた導電性のペーストを選択的に印刷することによって設けることができる。導電体粒子としては、銀、金、銅、ニッケル、白金、パラジウム、タンタル、モリブデン及びチタン等のいずれか一以上の金属粒子、ハロゲン化銀の微粒子又は分散性ナノ粒子を用いることができる。また、導電性ペーストに含まれる有機樹脂は、金属粒子のバインダー、溶媒、分散剤及び被覆材として機能する有機樹脂から選ばれた一又は複数を用いることができる。代表的には、エポキシ樹脂及びシリコーン樹脂等の有機樹脂が挙げられる。また、導電性のペーストを押し出した後に焼成を行うことが好ましい。例えば、導電性のペーストの材料として、銀を主成分とする微粒子(例えば粒径1nm以上100nm以下)を用いる場合、約150〜300℃で焼成することにより硬化させて導電膜を得ることができる。また、はんだ又は鉛フリーのはんだを主成分とする微粒子を用いてもよく、この場合は粒径20μm以下の微粒子を用いることが好ましい。はんだや鉛フリーのはんだは、低コストであるという利点を有している。
【0137】
また、導電膜715a及び導電膜715bは、後の工程において本発明の半導体装置に含まれる二次電池と電気的に接続される配線として機能する。また、アンテナとして機能する導電膜717を形成する際に、導電膜715a及び導電膜715bに電気的に接続するように別途導電膜を形成し、当該導電膜を二次電池に接続する配線として利用してもよい。
【0138】
次に、導電膜717を覆うように絶縁膜718を形成し、薄膜トランジスタ700a〜700f及び導電膜717等を含む層(以下、「素子形成層719」という。)を基板701から剥離する。ここでは、レーザー光(例えば、UV光)を照射することによって、薄膜トランジスタ700a〜700fを避けた領域に開口部を形成し(図12(C)を参照)、物理的な力を用いて基板701から素子形成層719を剥離することができる。また、基板701から素子形成層719を剥離する前に、形成した開口部にエッチング剤を導入して、剥離層703を選択的に除去してもよい。エッチング剤は、フッ化ハロゲン若しくはハロゲン間化合物を含む気体又は液体を使用する。例えば、フッ化ハロゲンを含む気体として三フッ化塩素を使用する。そうすると、素子形成層719は、基板701から剥離された状態となる。なお、剥離層703は全てを除去するのではなく、一部分を残存させてもよい。一部を残存させて除去することによって、エッチング剤の消費量を抑え剥離層の除去に要する処理時間を短縮することが可能となる。そのため、スループットが向上し、コストが向上する。また、剥離層703の除去を行った後にも、基板701上に素子形成層719を保持しておくことが可能となる。また、剥離された基板701を再利用することによって、コストの削減をすることができる。
【0139】
絶縁膜718は、CVD法又はスパッタリング法等により、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸化窒化シリコン(SiO)(x>y)、窒化酸化シリコン(SiN)(x>y)等の酸素若しくは窒素を有する絶縁膜、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)等の炭素を含む膜、エポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルフェノール、ベンゾシクロブテン、アクリル等の有機材料又はシロキサン樹脂等のシロキサン材料からなる膜を単層で、または積層して設けることができる。
【0140】
本実施の形態では、レーザー光の照射により素子形成層719に開口部を形成した後に、当該素子形成層719の一方の面(絶縁膜718の露出した面)に第1のシート材720を貼り合わせ、基板701から素子形成層719を剥離する(図13(A)を参照)。
【0141】
次に、素子形成層719の他方の面(剥離により露出した面)に、第2のシート材721を貼り合わせ、加熱処理と加圧処理の一方又は両方を行って、第2のシート材721を貼り合わせる(図13(B)を参照)。第1のシート材720及び第2のシート材721として、ホットメルトフィルム等を用いることができる。
【0142】
また、第1のシート材720及び第2のシート材721として、静電気等を防止する帯電防止対策を施したフィルム(以下、帯電防止フィルムと記す)を用いることもできる。帯電防止フィルムとしては、帯電防止可能な材料を樹脂中に分散させたフィルム又は帯電防止可能な材料が貼り付けられたフィルム等が挙げられる。帯電防止可能な材料が設けられたフィルムは、片面にのみ帯電防止可能な材料を設けたフィルムであってもよいし、両面に帯電防止可能な材料を設けたフィルムであってもよい。更には、片面に帯電防止可能な材料が設けられたフィルムは、帯電防止可能な材料が設けられた面をフィルムの内側になるように貼り付けてもよいし、フィルムの外側になるように貼り付けてもよい。なお、帯電防止可能な材料はフィルムの全面又は一部の面に設ければよい。ここで帯電防止可能な材料としては、導電性材料である金属、インジウムと錫の酸化物(ITO)又は両性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤若しくは非イオン性界面活性剤等の界面活性剤を用いることができる。また、他にも帯電防止材料として、側鎖にカルボキシル基及び4級アンモニウム塩基をもつ架橋性共重合体高分子を含む樹脂材料等を用いることができる。これらの材料をフィルムに貼り付け、練り込み、又は塗布することによって帯電防止フィルムとすることができる。帯電防止フィルムで封止を行うことによって、商品として取り扱う際に、外部からの静電気等によって半導体素子に悪影響が及ぶことを防止することができる。
【0143】
なお、電源回路の保持容量素子は、薄膜の二次電池を導電膜715a、715bに接続して形成されるが、二次電池との接続は、基板701から素子形成層719を剥離する前(図12(B)又は図12(C)の段階)に行ってもよいし、基板701から素子形成層719を剥離した後(図13(A)の段階)に行ってもよいし、素子形成層719を第1のシート材及び第2のシート材で封止した後(図13(B)の段階)に行ってもよい。以下に、素子形成層719と二次電池とを接続して形成する構成の一例を図14及び図15を用いて説明する。
【0144】
図12(B)において、アンテナとして機能する導電膜717と同時に導電膜715a及び導電膜715bにそれぞれ電気的に接続される導電膜731a及び導電膜731bを形成する。続けて、導電膜717、導電膜731a、導電膜731bを覆うように絶縁膜718を形成した後、導電膜731a及び導電膜731bの表面が露出するように開口部732a及び開口部732bを形成する。その後、レーザー光の照射により素子形成層719に開口部を形成し、当該素子形成層719の一方の面(絶縁膜718の露出した面)に第1のシート材720を貼り合わせ、基板701から素子形成層719を剥離する(図14(A)を参照)。
【0145】
次に、素子形成層719の他方の面(剥離により露出した面)に第2のシート材721を貼り合わせ、素子形成層719を第1のシート材720から剥離する。従って、ここでは第1のシート材720として粘着力が弱いものを用いる。続けて、開口部732a及び開口部732bを介して導電膜731a及び導電膜731bとそれぞれ電気的に接続される導電膜734a及び導電膜734bを選択的に形成する(図14(B)を参照)。
【0146】
導電膜734a及び導電膜734bは、CVD法、スパッタリング法、スクリーン印刷若しくはグラビア印刷等の印刷法、液滴吐出法、ディスペンサ法又はメッキ法等を用いて、導電性材料により形成する。導電性材料は、アルミニウム、チタン、銀、銅、金、白金、ニッケル、パラジウム、タンタル若しくはモリブデンから選択された元素、又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料により、単層で又は積層して形成する。
【0147】
なお、ここでは、基板701から素子形成層719を剥離した後に導電膜734a及び導電膜734bを形成する例を示しているが、導電膜734a及び導電膜734bを形成した後に基板701から素子形成層719の剥離を行ってもよい。
【0148】
次に、基板上に複数の素子を形成している場合には、素子形成層719を素子ごとに分断する(図15(A)を参照)。分断は、レーザー照射装置、ダイシング装置又はスクライブ装置等を用いることができる。ここでは、レーザー光を照射することによって1枚の基板に形成された複数の素子を各々分断する。
【0149】
次に、分断された素子を二次電池と電気的に接続する(図15(B)を参照)。本実施の形態においては、電源回路の保持容量素子としては薄膜の二次電池が用いられ、集電体薄膜、負極活物質層、固体電解質層、正極活物質層及び集電体薄膜の薄膜層が順次積層される。
【0150】
導電膜736a及び導電膜736bは、CVD法、スパッタリング法、スクリーン印刷若しくはグラビア印刷等の印刷法、液滴吐出法、ディスペンサ法又はメッキ法等を用いて、導電性材料により形成する。導電性材料は、アルミニウム、チタン、銀、銅、金、白金、ニッケル、パラジウム、タンタル、モリブデンから選択された元素、又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料により、単層で、又は積層して形成する。導電性材料には、負極活物質と密着性がよく、抵抗が小さいことが求められ、特にアルミニウム、銅、ニッケル、バナジウム等が好適である。
【0151】
薄膜の二次電池の構成について更に詳述すると、導電膜736a上に負極活物質層781を形成する。一般には酸化バナジウム(V)等が用いられる。次に負極活物質層781上に固体電解質層782を形成する。一般にはリン酸リチウム(LiPO)等が用いられる。次に、固体電解質層782上に正極活物質層783を形成する。一般には、マンガン酸リチウム(LiMn)等が用いられる。コバルト酸リチウム(LiCoO)又はニッケル酸リチウム(LiNiO)を用いても良い。次に、正極活物質層783上に電極となる集電体薄膜784を形成する。集電体薄膜784は正極活物質層783と密着性がよく、抵抗が低いことが必要であり、アルミニウム、銅、ニッケル、バナジウム等を用いることができる。
【0152】
上述の負極活物質層781、固体電解質層782、正極活物質層783及び集電体薄膜784の各薄膜層はスパッタ技術を用いて形成しても良いし、蒸着技術を用いても良い。各層の厚さは0.1μm〜3μmが望ましい。
【0153】
次に、樹脂膜をスピンコート法等により形成し、層間膜をエッチングすることでコンタクトホールを形成する。層間膜は樹脂には限定されず、CVD法により形成された酸化膜等の他の膜であっても良いが、平坦性の観点から樹脂膜が望ましい。また、感光性樹脂を用いることで、エッチングを行うことなくコンタクトホールを形成することができる。次に、層間膜上に配線層786を形成し、導電膜734bと接続することにより、二次電池の電気的な接続を確保する。
【0154】
ここでは、素子形成層719に設けられた導電膜734a及び導電膜734bと、薄膜の二次電池789の接続端子となる導電膜736a及び導電膜736bと、をそれぞれ接続する。ここで、導電膜734aと導電膜736aとの接続、又は導電膜734bと導電膜736bとの接続は、異方導電性フィルム(ACF(Anisotropic Conductive Film))又は異方導電性ペースト(ACP(Anisotropic Conductive Paste))等の接着性を有する材料を介して圧着させることにより電気的に接続する場合を示している。ここでは、接着性を有する樹脂737に含まれる導電性粒子738を介して接続される例を示している。また、他にも、銀ペースト、銅ペースト若しくはカーボンペースト等の導電性接着剤又は半田接合等を用いて接続を行うことも可能である。
【0155】
なお、トランジスタの構成は、様々な形態をとることができる。本実施の形態で示した特定の構成に限定されない。例えば、ゲート電極が2個以上になっているマルチゲート構造を用いてもよい。マルチゲート構造にすると、チャネル領域が直列に接続される構成となるため、複数のトランジスタが直列に接続された構成となる。マルチゲート構造にすることによりオフ電流を低減し、トランジスタの耐圧を向上させて信頼性を向上させ、また、飽和領域での動作時にドレイン電極とソース電極との間の電圧が変化しても、ドレイン電極とソース電極との間の電流の変化が小さく、フラットな特性にすること等ができる。また、チャネルの上下にゲート電極が配置されている構成でもよい。チャネルの上下にゲート電極を配置することでチャネル領域が増えるため、電流値を大きくし、空乏層ができやすくなってサブスレッショルド係数を小さくすることができる。チャネルの上下にゲート電極が配置されると、複数のトランジスタが並列に接続された構成となる。
【0156】
また、本発明に用いるトランジスタは、チャネル形成領域上にゲート電極が配置されている構成でもよく、チャネル形成領域下にゲート電極が配置されている構成でもよい。または、正スタガ構造であってもよく、逆スタガ構造でもよい。チャネル形成領域が複数の領域に分かれていてもよく、並列に接続されていてもよく、直列に接続されていてもよい。また、チャネル形成領域(もしくはその一部)にソース電極やドレイン電極が重なっていてもよい。または、チャネル形成領域(もしくはその一部)にソース電極やドレイン電極が重なっている構造にすると、チャネル形成領域の一部に電荷が蓄積され、動作が不安定になることを防ぐことができる。また、LDD(Lightly Doped Drain)領域があってもよい。LDD領域を設けることにより、オフ電流を低減し、トランジスタの耐圧を向上させて信頼性を向上させ、飽和領域での動作時に、ドレイン電極とソース電極の間の電圧が変化しても、ドレイン電極とソース電極との間の電流の変化が小さく、フラットな特性にすることができる。
【0157】
本実施の形態の半導体装置の作製方法は、本明細書に記載した半導体装置に適用することができる。すなわち、本実施の形態によれば、一のアンテナを用いて複数の周波数帯での通信、又は電力の供給を行うことが可能な半導体装置を作製することができる。
(実施の形態5)
【0158】
本実施の形態では、上記の実施の形態で示した半導体装置の作製方法の一例に関して、図面を参照して説明する。本実施の形態においては、半導体装置が有するアンテナ、バッテリー及び信号処理回路を同一基板上に設ける構成について説明する。なお、一の単結晶基板上に、チャネル形成領域が形成されたトランジスタを用いて一度にアンテナ、バッテリー及び信号処理回路を形成する。単結晶基板上にトランジスタを形成することで、電気的特性のばらつきが少ないトランジスタにより半導体装置を構成することができるため好適である。また、バッテリーとしては薄膜二次電池を用いた例について説明する。
【0159】
まず、半導体基板800に素子領域を分離して、領域804及び領域806を形成する(図16(A)を参照)。半導体基板800に設けられた領域804及び領域806は、それぞれ絶縁膜802(フィールド酸化膜ともいう)によって分離されている。また、ここでは、半導体基板800としてN型の導電型を有する単結晶Si基板を用い、半導体基板800の領域806にpウェル807を設けた例を示している。
【0160】
また、半導体基板800は、半導体基板であれば特に限定されない。例えば、N型又はP型の導電型を有する単結晶Si基板、化合物半導体基板(GaAs基板、InP基板、GaN基板、SiC基板、サファイア基板、ZnSe基板等)、貼り合わせ法又はSIMOX(Separation by Implanted Oxygen)法を用いて作製されたSOI(Silicon on Insulator)基板等を用いることができる。
【0161】
領域804及び領域806は、選択酸化法(LOCOS(Local Oxidation of Silicon)法)又はトレンチ分離法等を適宜用いることで形成することができる。
【0162】
また、半導体基板800の領域806に形成されたpウェルは、半導体基板800にP型を付与する不純物元素を選択的に導入することによって形成することができる。P型を付与する不純物元素としては、ボロン、アルミニウム又はガリウム等を用いることができる。
【0163】
なお、本実施の形態では、半導体基板800としてN型の導電型を有する半導体基板を用いているため、領域804には不純物元素の導入を行っていないが、N型を付与する不純物元素を導入することにより、領域804にnウェルを形成してもよい。N型を付与する不純物元素としては、リン又はヒ素等を用いることができる。一方、P型の導電型を有する半導体基板を用いる場合には、領域804にN型を示す不純物元素を導入してnウェルを形成し、領域806には不純物元素の導入を行わない構成としてもよい。
【0164】
次に、領域804及び領域806を覆うように絶縁膜832及び絶縁膜834をそれぞれ形成する(図16(B)を参照)。
【0165】
絶縁膜832及び絶縁膜834は、例えば、熱処理により半導体基板800に設けられた領域804及び領域806の表面を酸化させることにより酸化シリコン膜で絶縁膜832及び絶縁膜834を形成することができる。また、熱酸化法により酸化シリコン膜を形成した後に窒化処理を行うことによって、酸化シリコン膜の表面を窒化させ、酸化シリコン膜と、酸素と窒素を有する膜(酸化窒化シリコン膜)と、を積層して形成してもよい。
【0166】
他にも、上述したように、プラズマ処理により絶縁膜832及び絶縁膜834を形成してもよい。例えば、半導体基板800に設けられた領域804及び領域806の表面に高密度プラズマ処理を行うことで、表面を酸化又は窒化して、絶縁膜832及び絶縁膜834として酸化シリコン膜又は窒化シリコン膜を形成することができる。また、高密度プラズマ処理により領域804及び領域806の表面に酸化処理を行い、再度高密度プラズマ処理を行うことで窒化してもよい。この場合、領域804及び領域806の表面に接して酸化シリコン膜が形成され、当該酸化シリコン膜上に酸化窒化シリコン膜が形成され、絶縁膜832及び絶縁膜834は酸化シリコン膜と酸窒化シリコン膜とが積層された膜となる。また、熱酸化法により領域804及び領域806の表面に酸化シリコン膜を形成し、高密度プラズマ処理により表面を酸化又は窒化してもよい。
【0167】
また、半導体基板800の領域804及び領域806に形成された絶縁膜832及び絶縁膜834は、後に完成するトランジスタにおいてゲート絶縁膜として機能する。
【0168】
次に、領域804及び領域806の上方に形成された絶縁膜832及び絶縁膜834を覆うように導電膜を形成する(図16(C)を参照)。ここでは、導電膜として、導電膜836と導電膜838を順に積層して形成した例を示している。もちろん、導電膜は、単層で又は3層以上を積層して形成してもよい。
【0169】
導電膜836及び導電膜838としては、タンタル、タングステン、チタン、モリブデン、アルミニウム、銅、クロム、若しくはニオブ等から選択された元素又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で形成することができる。また、これらの元素を窒化した金属窒化膜で形成することもできる。他にも、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコンに代表される半導体材料により形成することもできる。
【0170】
ここでは、導電膜836として窒化タンタル膜を形成し、その上に導電膜838としてタングステン膜を形成する。または、導電膜836として、窒化タングステン膜、窒化モリブデン膜若しくは窒化チタン膜を単層で、又は積層して形成し、導電膜838として、タンタル膜、モリブデン膜若しくはチタン膜を単層で、又は積層して形成することができる。
【0171】
次に、積層して設けられた導電膜836及び導電膜838を選択的にエッチングして除去することで、領域804及び領域806上の所望の位置に導電膜836及び導電膜838を残存させ、ゲート電極840及びゲート電極842を形成する(図17(A)を参照)。
【0172】
次に、領域804を覆うようにレジストマスク848を選択的に形成し、レジストマスク848及びゲート電極842をマスクとして領域806の所望の位置に不純物元素を導入し、不純物領域を形成する(図17(B)を参照)。不純物元素としては、N型を付与する不純物元素又はP型を付与する不純物元素を用いる。N型を付与する不純物元素としては、リン又はヒ素等を用いることができる。P型を付与する不純物元素としては、ボロン、アルミニウム又はガリウム等を用いることができる。ここでは、不純物元素として、リンを用いる。
【0173】
図17(B)においては、不純物元素を導入することで、領域806にソース領域及びドレイン領域を形成する不純物領域852と、チャネル形成領域850と、が形成される。
【0174】
次に、領域806を覆うようにレジストマスク866を選択的に形成し、レジストマスク866及びゲート電極840をマスクとして領域804に不純物元素を導入し、不純物領域を形成する(図17(C)を参照)。不純物元素としては、N型を付与する不純物元素又はP型を付与する不純物元素を用いる。N型を示す不純物元素としては、リン又はヒ素等を用いることができる。P型を示す不純物元素としては、ボロン、アルミニウム又はガリウム等を用いることができる。ここでは、図17(B)で領域806に導入した不純物元素と異なる導電型を付与する不純物元素(例えば、ボロン)を導入する。その結果、領域804にソース領域及びドレイン領域を形成する不純物領域870と、チャネル形成領域868と、が形成される。
【0175】
次に、絶縁膜832、絶縁膜834、ゲート電極840及びゲート電極842を覆って絶縁膜872を形成し、絶縁膜872上に領域804及び領域806にそれぞれ形成された不純物領域852及び不純物領域870と電気的に接続される配線874を形成する(図18(A)を参照)。
【0176】
第2の絶縁膜872は、CVD法又はスパッタリング法等により、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸化窒化シリコン(SiO)(x>y)、窒化酸化シリコン(SiN)(x>y)等の酸素若しくは窒素を有する絶縁膜、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)等の炭素を含む膜、エポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルフェノール、ベンゾシクロブテン、アクリル等の有機材料又はシロキサン樹脂等のシロキサン材料からなる膜を単層で、又は積層して設けることができる。なお、シロキサン材料とは、Si−O−Si結合を含む材料に相当する。シロキサンは、シリコンと酸素との結合で骨格構造が構成される。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基又は芳香族炭化水素)が用いられる。置換基として、フルオロ基を用いることもできる。または置換基として、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基と、を用いてもよい。
【0177】
配線874は、CVD法又はスパッタリング法等により、アルミニウム、タングステン、チタン、タンタル、モリブデン、ニッケル、白金、銅、金、銀、マンガン、ネオジム、炭素、シリコンから選択された元素、又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料の膜を、単層で、又は積層して形成する。アルミニウムを主成分とする合金材料とは、例えば、アルミニウムを主成分とし、ニッケルを含む材料、またはアルミニウムを主成分とし、ニッケルと、炭素及びシリコンの一方又は両方と、を含む合金材料に相当する。配線874は、例えば、バリア膜とシリコンを含むアルミニウム膜とバリア膜との積層構造、バリア膜とシリコンを含むアルミニウム膜と窒化チタン膜とバリア膜との積層構造を採用するとよい。なお、バリア膜とは、チタン、チタンの窒化物、モリブデン又はモリブデンの窒化物からなる薄膜に相当する。アルミニウム及びシリコンを含むアルミニウムは低抵抗であり、且つ安価であるため、配線874の材料として最適である。また、上層と下層にバリア膜を設けると、アルミニウム及びシリコンを含むアルミニウムにヒロックが発生することを防止できる。また、還元性の高い元素であるチタンによりバリア膜を形成すると、結晶質半導体膜上に薄い自然酸化膜ができていたとしても、この自然酸化膜を還元し、結晶質半導体膜と良好なコンタクトをとることができる。
【0178】
なお、本発明にて適用するトランジスタの構造は図示した構造に限定されない。例えば、逆スタガ構造、フィンFET構造等であってもよい。フィンFET構造とすることで、トランジスタサイズの微細化に伴う短チャネル効果を抑制することができるため好適である。
【0179】
また、本発明の半導体装置においては、信号処理回路に電力を供給する、電力を蓄積できるバッテリーを具備することを特徴とする。バッテリーとしては、電気二重層コンデンサ等のコンデンサ又は薄膜の二次電池を用いることが好ましい。そこで本実施の形態においては、トランジスタと薄膜の二次電池との接続について説明する。
【0180】
本実施の形態において二次電池は、トランジスタに接続された配線874上に積層して形成される。二次電池は、集電体薄膜、負極活物質層、固体電解質層、正極活物質層及び集電体薄膜の薄膜層が順次積層される(図18(B)を参照)。そのため、二次電池の集電体薄膜と兼用される配線874の材料には、負極活物質と密着性がよく、抵抗が低いものが求められ、特にアルミニウム、銅、ニッケル及びバナジウム等が好適である。
【0181】
次に、薄膜二次電池の構成について詳述する。まず、配線874上に負極活物質層891を形成する。一般には酸化バナジウム(V)等が用いられる。次に、負極活物質層891上に固体電解質層892を形成する。一般にはリン酸リチウム(LiPO)等が用いられる。次に、固体電解質層892上に正極活物質層893を形成する。一般にはマンガン酸リチウム(LiMn)等が用いられる。コバルト酸リチウム(LiCoO)又はニッケル酸リチウム(LiNiO)を用いても良い。次に、正極活物質層893上に電極となる集電体薄膜894を形成する。集電体薄膜894には正極活物質層893と密着性がよく、抵抗が低いものが求められ、アルミニウム、銅、ニッケル、バナジウム等を用いることができる。
【0182】
上述の負極活物質層891、固体電解質層892、正極活物質層893及び集電体薄膜894の各薄膜層はスパッタリング技術を用いて形成しても良いし、蒸着技術を用いて形成しても良い。また、それぞれの層の厚さは0.1μm〜3μmが望ましい。
【0183】
次に、樹脂膜をスピンコート法等により形成する。そして、この樹脂膜をエッチングしてコンタクトホールを形成し、層間膜896を形成する。層間膜896は樹脂膜には限定されず、CVD法により形成した酸化膜等の他の膜であっても良いが、平坦性の観点から樹脂であることが望ましい。また、感光性樹脂を用いると、エッチングを行うことなくコンタクトホールを形成することができる。次に、層間膜896上に配線層895を形成し、配線897と接続させることで、二次電池を電気的に接続させる。
【0184】
以上のような構成にすることにより、本発明の半導体装置においては、単結晶基板上にトランジスタを形成し、その上に薄膜二次電池を有する構成を採ることができる。従って、本実施の形態の構成を適用することで、他のバッテリーを搭載する場合よりも薄く、且つ小型の半導体装置を作製することができる。
【0185】
本実施の形態の半導体装置の作製方法は、本明細書に記載した半導体装置に適用することができる。すなわち、本実施の形態によれば、一のアンテナを用いて複数の周波数帯での通信、又は電力の供給を行うことが可能な半導体装置を作製することができる。
(実施の形態6)
【0186】
本実施の形態では、上記の実施の形態とは異なる半導体装置の作製方法の一例に関して、図面を参照して説明する。
【0187】
まず、基板900上に絶縁膜を形成する。ここでは、N型の導電型を有する単結晶シリコン基板を基板900として用いて、基板900上に絶縁膜902及び絶縁膜904を形成する(図19(A)を参照)。例えば、基板900に熱処理を行うことにより絶縁膜902として酸化シリコン膜を形成し、絶縁膜902上にCVD法を用いて窒化シリコン膜を形成する。
【0188】
また、基板900は、半導体基板であればシリコン基板に限定されない。例えば、N型又はP型の導電型を有する単結晶Si基板、化合物半導体基板(GaAs基板、InP基板、GaN基板、SiC基板、サファイア基板若しくはZnSe基板等)又は貼り合わせ法若しくはSIMOX(Separation by IMplanted OXygen)法を用いて作製されたSOI(Silicon on Insulator)基板等を用いることができる。
【0189】
また、絶縁膜904は、絶縁膜902を形成した後に高密度プラズマ処理により絶縁膜902を窒化することにより設けてもよい。なお、基板900上に設ける絶縁膜は単層で、又は3層以上に積層して設けてもよい。
【0190】
次に、絶縁膜904上に選択的にレジストマスク906のパターンを形成し、レジストマスク906をマスクとして選択的にエッチングを行うことによって、基板900に選択的に凹部908を形成する(図19(B)を参照)。基板900、絶縁膜902及び絶縁膜904のエッチングは、プラズマを利用したドライエッチングにより行うことができる。
【0191】
次に、レジストマスク906のパターンを除去した後、基板900に形成された凹部908を充填するように絶縁膜910を形成する(図19(C)を参照)。
【0192】
絶縁膜910は、CVD法又はスパッタリング法等を用いて、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン(SiO)(x>y>0)又は窒化酸化シリコン(SiN)(x>y>0)等の絶縁材料を用いて形成する。ここでは、絶縁膜910として、常圧CVD法又は減圧CVD法を用いて、TEOS(テトラエチルオルソシリケート)ガスにより酸化シリコン膜を形成する。
【0193】
次に、研削処理、研磨処理又はCMP(Chemical Mechanical Polishing)処理を行うことによって、基板900の表面を露出させる。ここでは、基板900の表面を露出させることにより、基板900の凹部908に形成された絶縁膜911間に領域912及び領域913が設けられる。なお、絶縁膜911は、基板900の表面に形成された絶縁膜910が研削処理、研磨処理又はCMP処理により除去されることにより得られたものである。続いて、P型の導電型を付与する不純物元素を選択的に導入することによって、基板900の領域913にpウェル915を形成する(図20(A)を参照)。
【0194】
P型を付与する不純物元素としては、ボロン、アルミニウム又はガリウム等を用いることができる。ここでは、不純物元素として、ボロンを領域913に導入する。
【0195】
なお、本実施の形態では、基板900としてN型の導電型を有する半導体基板を用いているため、領域912には不純物元素の導入を行っていないが、N型を示す不純物元素を導入することにより領域912にnウェルを形成してもよい。N型を示す不純物元素としては、リン又はヒ素等を用いることができる。
【0196】
一方、P型の導電型を有する半導体基板を用いる場合には、領域912にN型を付与する不純物元素を導入してnウェルを形成し、領域913には不純物元素の導入を行わない構成としてもよい。
【0197】
次に、基板900の領域912及び領域913の表面に絶縁膜932及び絶縁膜934をそれぞれ形成する(図20(B)を参照)。
【0198】
絶縁膜932及び絶縁膜934は、例えば、熱処理を行って基板900に設けられた領域912及び領域913の表面を酸化させることにより、酸化シリコン膜で絶縁膜932及び絶縁膜934を形成することで設けることができる。また、熱酸化法により酸化シリコン膜を形成し、窒化処理を行うことによって酸化シリコン膜の表面を窒化させ、酸化シリコン膜と、酸素及び窒素を有する膜(酸窒化シリコン膜)と、を積層して形成してもよい。
【0199】
他にも、上述したように、プラズマ処理により絶縁膜932及び絶縁膜934を形成してもよい。例えば、基板900に設けられた領域912及び領域913の表面に高密度プラズマ処理を行って、表面を酸化又は窒化することにより、絶縁膜932及び絶縁膜934として酸化シリコン膜又は窒化シリコン膜を形成することができる。また、高密度プラズマ処理により領域912及び領域913の表面に酸化処理を行い、再度高密度プラズマ処理を行うことによって窒化してもよい。この場合、領域912及び領域913の表面に接して酸化シリコン膜が形成され、この酸化シリコン膜上に酸化窒化シリコン膜が形成され、絶縁膜932及び絶縁膜934は酸化シリコン膜と酸窒化シリコン膜とが積層された膜となる。また、熱酸化法により領域912及び領域913の表面に酸化シリコン膜を形成した後に高密度プラズマ処理を行って、表面を酸化又は窒化してもよい。
【0200】
なお、基板900の領域912及び領域913に形成された絶縁膜932及び絶縁膜934は、後に完成するトランジスタにおいてゲート絶縁膜として機能する。
【0201】
次に、基板900に設けられた領域912及び領域913上に形成された絶縁膜932及び絶縁膜934を覆うように導電膜を形成する(図20(C)を参照)。ここでは、導電膜として、導電膜936と導電膜938とを順に積層して形成した例を示している。もちろん、導電膜は、単層で、又は3層以上に積層して形成してもよい。
【0202】
導電膜936及び導電膜938としては、タンタル、タングステン、チタン、モリブデン、アルミニウム、銅、クロム、若しくはニオブ等から選択された元素又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で形成することができる。また、これらの元素を窒化した金属窒化膜で形成することもできる。他にも、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコンに代表される半導体材料により形成することもできる。
【0203】
ここでは、導電膜936として窒化タンタル膜を形成し、その上に導電膜938としてタングステン膜を形成して積層構造で設ける。また、導電膜936として、窒化タンタル、窒化タングステン、窒化モリブデン又は窒化チタンから選ばれた材料からなる膜を単層で、又は積層して形成した膜を用い、導電膜938として、タングステン、タンタル、モリブデン、チタンから選ばれた材料からなる膜を単層で、又は積層して形成することができる。
【0204】
次に、積層して設けられた導電膜936及び導電膜938を選択的にエッチングして除去することによって、基板900の領域912及び領域913上の一部に導電膜936及び導電膜938を残存させ、それぞれゲート電極として機能する導電膜940及び導電膜942を形成する(図21(A)を参照)。また、ここでは、基板900において、導電膜940及び導電膜942と重ならない領域912及び領域913の表面を露出させる。
【0205】
具体的には、基板900の領域912において、導電膜940の下方に形成された絶縁膜932のうち導電膜940と重ならない部分を選択的に除去し、導電膜940と絶縁膜932の端部が概ね一致するように形成する。また、基板900の領域913において、導電膜942の下方に形成された絶縁膜934のうち導電膜942と重ならない部分を選択的に除去し、導電膜942と絶縁膜934の端部が概ね一致するように形成する。
【0206】
この場合、導電膜940及び導電膜942の形成と同時に重ならない部分の絶縁膜等を除去してもよいし、導電膜940及び導電膜942を形成後残存したレジストマスク又は導電膜940及び導電膜942をマスクとして重ならない部分の絶縁膜等を除去してもよい。
【0207】
次に、基板900の領域912及び領域913に不純物元素を選択的に導入する(図21(B)を参照)。ここでは、領域913に導電膜942をマスクとしてN型を付与する不純物元素を選択的に導入し、領域912に導電膜940をマスクとしてP型を付与する不純物元素を選択的に導入する。N型を付与する不純物元素としては、リン又はヒ素等を用いることができる。P型を付与する不純物元素としては、ボロン(B)、アルミニウム又はガリウム等を用いることができる。
【0208】
次に、導電膜940及び導電膜942の側面に接するサイドウォール954を形成する。具体的には、プラズマCVD法又はスパッタリング法等により、シリコン、シリコンの酸化物若しくはシリコンの窒化物等の無機材料を含む膜又は有機樹脂等の有機材料を含む膜を、単層で、又は積層して形成する。そして、この絶縁膜を、垂直方向を主体とした異方性エッチングにより選択的にエッチングすることで、導電膜940及び導電膜942の側面に接するように形成することができる。なお、サイドウォール954は、LDD(Lightly Doped drain)領域を形成する際のドーピング用のマスクとして用いる。また、ここでは、サイドウォール954は、導電膜940及び導電膜942の下方に形成された絶縁膜の側面にも接するように形成される。
【0209】
続いて、サイドウォール954、導電膜940及び導電膜942をマスクとして基板900の領域912及び領域913に不純物元素を導入することによって、ソース領域又はドレイン領域として機能する不純物領域を形成する(図21(C)を参照)。ここでは、基板900の領域913にサイドウォール954と導電膜942をマスクとしてLDD領域よりも高濃度にN型を付与する不純物元素を導入し、領域912にサイドウォール954と導電膜940をマスクとしてLDD領域よりも高濃度にP型を付与する不純物元素を導入する。
【0210】
その結果、基板900の領域912には、ソース領域及びドレイン領域を形成する不純物領域958と、LDD領域960と、チャネル形成領域956と、が形成される。また、基板900の領域913には、ソース領域及びドレイン領域を形成する不純物領域964と、LDD領域966と、チャネル形成領域962と、が形成される。
【0211】
なお、本実施の形態では、導電膜940及び導電膜942と重ならない基板900の領域912及び領域913を露出させた状態で不純物元素の導入を行っている。従って、基板900の領域912及び領域913にそれぞれ形成されるチャネル形成領域956及びチャネル形成領域962は導電膜940及び導電膜942と自己整合的に形成することができる。
【0212】
次に、基板900の領域912及び領域913上に設けられた絶縁膜及び導電膜等を覆うように絶縁膜を形成し、この絶縁膜に開口部978を形成することで、絶縁膜977を形成する(図22(A)を参照)。
【0213】
絶縁膜977は、CVD法又はスパッタリング法等により、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸化窒化シリコン(SiO)(x>y)、窒化酸化シリコン(SiN)(x>y)等の酸素若しくは窒素を有する絶縁膜、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)等の炭素を含む膜、エポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルフェノール、ベンゾシクロブテン若しくはアクリル等の有機材料又はシロキサン樹脂等のシロキサン材料からなる膜を単層で、または積層して設けることができる。なお、シロキサン材料とは、Si−O−Si結合を含む材料に相当する。シロキサンは、シリコンと酸素との結合で骨格構造が構成される。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)が用いられる。置換基として、フルオロ基を用いることもできる。または置換基として、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基と、を用いてもよい。
【0214】
次に、CVD法等を用いて開口部978に導電膜980を形成し、当該導電膜980と電気的に接続されるように絶縁膜977上に導電膜982a〜982dを選択的に形成する(図22(B)を参照)。
【0215】
導電膜980及び導電膜982a〜982dは、CVD法やスパッタリング法等により、アルミニウム、タングステン、チタン、タンタル、モリブデン、ニッケル、白金、銅、金、銀、マンガン、ネオジム、炭素若しくはシリコンから選択された元素又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料により、単層で、又は積層して形成する。アルミニウムを主成分とする合金材料とは、例えば、アルミニウムを主成分としニッケルを含む材料、又は、アルミニウムを主成分とし、ニッケルと、炭素及びシリコンの一方又は両方と、を含む合金材料に相当する。導電膜980及び導電膜982a〜982dは、例えば、バリア膜とシリコンを含むアルミニウム膜とバリア膜との積層構造、バリア膜とシリコンを含むアルミニウム膜と窒化チタン膜とバリア膜との積層構造を採用するとよい。なお、バリア膜とは、チタン、チタンの窒化物、モリブデン又はモリブデンの窒化物からなる薄膜に相当する。アルミニウム及びシリコンを含むアルミニウムは低抵抗であり、且つ安価であるため、導電膜980を形成する材料として最適である。また、上層と下層にバリア膜を設けると、アルミニウム及びシリコンを含むアルミニウムに発生しうるヒロックを防止することができる。また、還元性の高い元素であるチタンからなるバリア膜を形成すると、結晶質半導体膜上に薄い自然酸化膜ができていたとしても、この自然酸化膜を還元し、結晶質半導体膜と良好なコンタクトをとることができる。ここでは、導電膜980はCVD法によりタングステンを選択成長することにより形成することができる。
【0216】
以上の工程により、基板900の領域912に形成されたP型のトランジスタと、領域913に形成されたN型のトランジスタとを得ることができる。
【0217】
なお、本発明の半導体装置を構成するトランジスタの構造は図示した構造に限定されるものではないことを付記する。例えば、逆スタガ構造又はフィンFET構造等を採りうる。フィンFET構造を採ることでトランジスタサイズの微細化に伴う短チャネル効果を抑制することができるため好適である。
【0218】
また、本発明における半導体装置においては、信号処理回路に電力を蓄積できるバッテリーを具備することを特徴とする。バッテリーとしては、電気二重層コンデンサ又は薄膜の二次電池を用いることが好ましい。そこで本実施の形態においては、トランジスタと、薄膜の二次電池との接続について説明する。
【0219】
本実施の形態において二次電池は、トランジスタに接続された導電膜982d上に積層して形成される。二次電池は、集電体薄膜、負極活物質層、固体電解質層、正極活物質層及び集電体薄膜の薄膜層が順次積層される(図22(B)を参照)。そのため、二次電池の集電体薄膜と兼用される導電膜982dの材料には、負極活物質と密着性がよく、抵抗が低いことが求められ、特にアルミニウム、銅、ニッケル及びバナジウム等が好適である。
【0220】
薄膜二次電池の構成について詳述する。導電膜982d上に負極活物質層991を形成する。一般には酸化バナジウム(V)等が用いられる。次に、負極活物質層991上に固体電解質層992を形成する。一般には、リン酸リチウム(LiPO)等が用いられる。次に、固体電解質層992上に正極活物質層993を形成する。一般には、マンガン酸リチウム(LiMn)等が用いられる。コバルト酸リチウム(LiCoO)又はニッケル酸リチウム(LiNiO)を用いても良い。次に、正極活物質層993上に電極となる集電体薄膜994を形成する。集電体薄膜994は正極活物質層993と密着性がよく、抵抗が低いことが求められ、アルミニウム、銅、ニッケル及びバナジウム等を用いることができる。
【0221】
上述の負極活物質層991、固体電解質層992、正極活物質層993及び集電体薄膜994の各薄膜層はスパッタリング技術を用いて形成しても良いし、蒸着技術を用いても良い。また、それぞれの層の厚さは0.1μm〜3μmが望ましい。
【0222】
次に樹脂膜をスピンコート法により形成する。そして、この樹脂膜をエッチングしてコンタクトホールを形成し、層間膜996を形成する。層間膜996は樹脂には限定されず、CVD法により形成された酸化膜等であっても良いが、平坦性の観点から樹脂膜であることが望ましい。また、感光性樹脂を用いると、エッチングを行うことなくコンタクトホールを形成することができる。次に、層間膜996上に配線層995を形成し、配線997と接続させることにより、薄膜二次電池の電気的な接続を行う。
【0223】
以上のような構成にすることにより、本発明の半導体装置においては、単結晶基板上にトランジスタを形成し、その上に薄膜二次電池を有する構成を採りうる。従って、本発明により、極薄及び小型の半導体装置を作製することができる。
【0224】
本実施の形態の半導体装置の作製方法は、本明細書に記載した半導体装置に適用することができる。すなわち、本実施の形態によれば、一のアンテナを用いて複数の周波数帯での通信、又は電力の供給を行うことが可能な半導体装置を作製することができる。
【0225】
(実施の形態7)
上記の実施の形態を適用して作製した、本発明の半導体装置2000は、電磁波の送信と受信ができるという機能を活用して、様々な物品やシステムに用いることができる。物品とは、例えば、鍵(図23(A)参照)、紙幣、硬貨、有価証券類、無記名債券類、証書類(運転免許証や住民票等、図23(B)参照)、書籍類、容器類(シャーレ等、図23(C)参照)、包装用容器類(包装紙やボトル等、図23(E)(F)参照)、記録媒体(ディスクやビデオテープ等)、乗物類(自転車等)、装身具(鞄や眼鏡等、図23(D)参照)、食品類、衣類、生活用品類、電子機器(液晶表示装置、EL表示装置、テレビジョン装置、携帯端末等)等である。本発明の半導体装置は、上記のような様々な形状の物品の表面に貼り付けたり、埋め込んだりして、固定される。また、システムとは、物品管理システム、認証機能システム、流通システム等である。
【0226】
例えば、鍵に無線通信可能な半導体装置を搭載することで、必要な鍵を携帯し忘れることを防ぐ物品管理システムとすることができる。または、証書類に無線通信可能な半導体装置を搭載することで、偽造を防ぐ認証機能システムとすることができる。または、包装容器類に本発明の半導体装置を搭載することで、在庫の管理が可能な流通システムとすることができる。
【0227】
本実施の形態の半導体装置は、一のアンテナを用いて複数の周波数帯での通信又は電力の確保ができる。また、異なる周波数帯の電磁波を受信した場合であっても、自動でインピーダンスを合わせて最適な周波数帯を用いて電力の供給を行うことが可能である。そのため、上記のようなシステムに本発明の半導体装置を搭載することで、小型化を妨げず、効率よく電力の供給を行うことができ、システムの信頼性を向上させることができる。更には半導体装置が高機能化し、消費電力が増大した場合であっても、必要な電力を供給することができるため、システムを高付加価値化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0228】
【図1】本発明の半導体装置の一例を説明する図。
【図2】本発明の半導体装置が有する整流回路の一例を説明する図。
【図3】本発明の半導体装置が有する復調回路の一例を説明する図。
【図4】本発明の半導体装置が有する周波数判定回路の一例を説明する図。
【図5】本発明の半導体装置が有するインダクタンス生成回路の一例を説明する図。
【図6】本発明の半導体装置が有するコンパレータの一例について説明する図。
【図7】本発明の半導体装置が有する周波数判定回路の出力について説明する図。
【図8】本発明の半導体装置の一例を説明する図。
【図9】本発明の半導体装置が有するアンテナの一例を説明する図。
【図10】本発明の半導体装置の一例を説明する図。
【図11】本発明の半導体装置の作製工程を説明する図。
【図12】本発明の半導体装置の作製工程を説明する図。
【図13】本発明の半導体装置の作製工程を説明する図。
【図14】本発明の半導体装置の作製工程を説明する図。
【図15】本発明の半導体装置の作製工程を説明する図。
【図16】本発明の半導体装置の作製工程を説明する図。
【図17】本発明の半導体装置の作製工程を説明する図。
【図18】本発明の半導体装置の作製工程を説明する図。
【図19】本発明の半導体装置の作製工程を説明する図。
【図20】本発明の半導体装置の作製工程を説明する図。
【図21】本発明の半導体装置の作製工程を説明する図。
【図22】本発明の半導体装置の作製工程を説明する図。
【図23】本発明の半導体装置の搭載例。
【図24】本発明のアンテナの形状の一例を説明する図。
【図25】本発明のアンテナの形状の一例を説明する図。
【図26】本発明のアンテナの構成の一例を説明する図。
【図27】本発明の整流回路と復調回路の一例を説明する図。
【符号の説明】
【0229】
100 半導体装置
101 リーダ/ライタ
102 アナログ回路
103 アンテナ回路
104 メモリ回路
105 論理回路
106 インダクタンス生成回路
107 整流回路
108 復調回路
109 定電圧回路
110 周波数判定回路
111 発振回路
112 リセット生成回路
113 変調回路
150 チップ
151 アンテナ
152 チップ
153 アンテナ
154 チップ
155 アンテナ
156 チップ
157 アンテナ
200 スイッチ
201 スイッチ
202 容量素子
203 容量素子
204 ダイオード
205 ダイオード
206 容量素子
207 入力部
208 入力部
209 出力部
250 チップ
251A アンテナ主要部
251B アンテナ端部
251C スイッチ
252 チップ
253A アンテナ主要部
253B アンテナ端部
253C スイッチ
254 チップ
255A アンテナ主要部
255B アンテナ端部
255C スイッチ
256 チップ
257A アンテナ主要部
257B アンテナ端部
257C スイッチ
263 アンテナ
263A アンテナ
263B アンテナ
264A アンテナ
264B アンテナ
264 アンテナ
265 容量素子
267 スルーホール
268 スルーホール
269 スルーホール
270 スルーホール
300 スイッチ
301 スイッチ
302 容量素子
303 容量素子
304 ダイオード
305 容量素子
306 ダイオード
307 抵抗素子
308 抵抗素子
309 容量素子
310 トランジスタ
311 トランジスタ
312 入力部
313 入力部
314 入力部
315 出力部
400 コンパレータ
401 コンパレータ
402 抵抗素子
403 抵抗素子
404 スイッチ
405 抵抗素子
406 入力部
407 入力部
408 出力部
500 スイッチ
501 スイッチ
502 コイル
503 入力部
504 入力部
505 出力部
600 半導体装置
601 リーダ/ライタ
602 アナログ回路
603 アンテナ回路
604 メモリ回路
605 論理回路
606 アンテナ
607 整流回路
608 復調回路
609 定電圧回路
610 周波数判定回路
611 発振回路
612 リセット生成回路
613 変調回路
621 入力部
622 入力部
623 出力部
630 入力部
631 スイッチ
632 スイッチ
633 出力部
634 アンテナ端部
635 アンテナ端部
636 アンテナ主要部
700a 薄膜トランジスタ
700b 薄膜トランジスタ
700c 薄膜トランジスタ
700e 薄膜トランジスタ
700f 薄膜トランジスタ
701 基板
702 絶縁膜
703 剥離層
704 絶縁膜
705 非晶質半導体膜
705a 結晶質半導体膜
705b 結晶質半導体膜
705c 結晶質半導体膜
705d 結晶質半導体膜
705f 結晶質半導体膜
706 ゲート絶縁膜
707 ゲート電極
707a 導電膜
707b 導電膜
708 不純物領域
709 不純物領域
710 絶縁膜
711 不純物領域
712a 絶縁膜
712b 絶縁膜
713 導電膜
714 絶縁膜
715a 導電膜
715b 導電膜
716 導電膜
717 導電膜
718 絶縁膜
719 素子形成層
720 シート材
721 シート材
731a 導電膜
731b 導電膜
732a 開口部
732b 開口部
734a 導電膜
734b 導電膜
736a 導電膜
736b 導電膜
737 樹脂
738 導電性粒子
781 負極活物質層
782 固体電解質層
783 正極活物質層
784 集電体薄膜
786 配線層
789 二次電池
800 半導体基板
802 絶縁膜
804 領域
806 領域
807 pウェル
832 絶縁膜
834 絶縁膜
836 導電膜
838 導電膜
840 ゲート電極
842 ゲート電極
848 レジストマスク
850 チャネル形成領域
852 不純物領域
866 レジストマスク
868 チャネル形成領域
870 不純物領域
872 絶縁膜
874 配線
891 負極活物質層
892 固体電解質層
893 正極活物質層
894 集電体薄膜
895 配線層
896 層間膜
897 配線
900 基板
902 絶縁膜
904 絶縁膜
906 レジストマスク
908 凹部
910 絶縁膜
911 絶縁膜
912 領域
913 領域
914 領域
915 pウェル
932 絶縁膜
934 絶縁膜
936 導電膜
938 導電膜
940 導電膜
942 導電膜
954 サイドウォール
956 チャネル形成領域
958 不純物領域
960 LDD領域
962 チャネル形成領域
964 不純物領域
966 LDD領域
977 絶縁膜
978 開口部
980 導電膜
982a 導電膜
982d 導電膜
991 負極活物質層
992 固体電解質層
993 正極活物質層
994 集電体薄膜
995 配線層
996 層間膜
997 配線
1000 半導体装置
1001 リーダ/ライタ
1002 アナログ回路
1003 アンテナ回路
1004 メモリ回路
1005 論理回路
1006 インダクタンス生成回路
1007 整流回路
1008 復調回路
1009 定電圧回路
1010 周波数判定回路
1011 発振回路
1012 リセット生成回路
1013 変調回路
1014 充放電回路
1015 バッテリー
2000 半導体装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インダクタンス生成回路と、周波数判定回路と、アンテナと、を有し、
前記インダクタンス生成回路の入力部は第1及び第2のスイッチに電気的に接続され、
前記第1のスイッチは前記インダクタンス生成回路の出力部に電気的に接続され、
前記第2のスイッチは前記インダクタンス生成回路が有するコイルに電気的に接続され、
前記周波数判定回路の入力部は前記アンテナに電気的に接続され、
前記周波数判定回路は前記アンテナが受信した電波の周波数に応じて前記第1のスイッチ及び前記第2のスイッチを制御することを特徴とする無線通信可能な半導体装置。
【請求項2】
第1及び第2の容量素子を有する復調回路と、周波数判定回路と、アンテナと、を有し、
前記復調回路の入力部は第1及び第2のスイッチに電気的に接続され、
前記第1のスイッチは前記第1の容量素子に電気的に接続され、
前記第2のスイッチは前記第2の容量素子に電気的に接続され、
前記周波数判定回路の入力部は前記アンテナに電気的に接続され、
前記周波数判定回路は前記アンテナが受信した電波の周波数に応じて前記第1のスイッチ及び前記第2のスイッチを制御し、
前記第1の容量素子と前記第2の容量素子の静電容量は異なる大きさを有することを特徴とする無線通信可能な半導体装置。
【請求項3】
第1及び第2の容量素子を有する整流回路と、周波数判定回路と、アンテナと、を有し、
前記整流回路の入力部は第1及び第2のスイッチに電気的に接続され、
前記第1のスイッチは前記第1の容量素子に電気的に接続され、
前記第2のスイッチは前記第2の容量素子に電気的に接続され、
前記周波数判定回路の入力部は前記アンテナに電気的に接続され、
前記周波数判定回路は前記アンテナが受信した電波の周波数に応じて前記第1のスイッチ及び前記第2のスイッチを制御し、
前記第1の容量素子と前記第2の容量素子の静電容量は異なる大きさを有することを特徴とする無線通信可能な半導体装置。
【請求項4】
第1及び第2の容量素子を有する整流回路と、第3及び第4の容量素子を有する復調回路と、周波数判定回路と、アンテナと、を有し、
前記整流回路の入力部は第1及び第2のスイッチに電気的に接続され、
前記第1のスイッチは前記第1の容量素子に電気的に接続され、
前記第2のスイッチは前記第2の容量素子に電気的に接続され、
前記復調回路の入力部は第3及び第4のスイッチに電気的に接続され、
前記第3のスイッチは前記第3の容量素子に電気的に接続され、
前記第4のスイッチは前記第4の容量素子に電気的に接続され、
前記周波数判定回路の入力部は前記アンテナに電気的に接続され、
前記周波数判定回路は前記アンテナが受信した電波の周波数に応じて前記第1乃至第4のスイッチを制御し、
前記第1の容量素子と前記第2の容量素子の静電容量は異なる大きさを有し、
前記第3の容量素子と前記第4の容量素子の静電容量は異なる大きさを有することを特徴とする無線通信可能な半導体装置。
【請求項5】
第1及び第2の容量素子を有する整流回路と、インダクタンス生成回路と、周波数判定回路と、アンテナと、を有し、
前記インダクタンス生成回路の入力部は第1及び第2のスイッチに電気的に接続され、
前記整流回路の入力部は第3及び第4のスイッチに電気的に接続され、
前記第1のスイッチは前記インダクタンス生成回路の出力部に電気的に接続され、
前記第2のスイッチは前記インダクタンス生成回路が有するコイルに電気的に接続され、
前記第3のスイッチは前記第1の容量素子に電気的に接続され、
前記第4のスイッチは前記第2の容量素子に電気的に接続され、
前記周波数判定回路の入力部は前記アンテナに電気的に接続され、
前記周波数判定回路は前記アンテナが受信した電波の周波数に応じて前記第1乃至第4のスイッチを制御することを特徴とする無線通信可能な半導体装置。
【請求項6】
第1及び第2の容量を有する復調回路と、インダクタンス生成回路と、周波数判定回路と、アンテナと、を有し、
前記インダクタンス生成回路の入力部は第1及び第2のスイッチに電気的に接続され、
前記復調回路の入力部は第3及び第4のスイッチに電気的に接続され、
前記第1のスイッチは前記インダクタンス生成回路の出力部に電気的に接続され、
前記第2のスイッチは前記インダクタンス生成回路が有するコイルに電気的に接続され、
前記第3のスイッチは前記第1の容量素子に電気的に接続され、
前記第4のスイッチは前記第2の容量素子に電気的に接続され、
前記周波数判定回路の入力部は前記アンテナに電気的に接続され、
前記周波数判定回路は前記アンテナが受信した電波の周波数に応じて前記第1乃至第4のスイッチを制御することを特徴とする無線通信可能な半導体装置。
【請求項7】
第1及び第2の容量素子を有する整流回路と、第3及び第4の容量素子を有する復調回路と、インダクタンス生成回路と、周波数判定回路と、アンテナと、を有し、
前記整流回路の入力部は第1及び第2のスイッチに電気的に接続され、
前記第1のスイッチは前記第1の容量素子に電気的に接続され、
前記第2のスイッチは前記第2の容量素子に電気的に接続され、
前記復調回路の入力部は第3及び第4のスイッチに電気的に接続され、
前記第3のスイッチは前記第3の容量素子に電気的に接続され、
前記第4のスイッチは前記第4の容量素子に電気的に接続され、
前記インダクタンス生成回路の入力部は第5及び第6のスイッチに電気的に接続され、
前記第5のスイッチは前記インダクタンス生成回路の出力部に電気的に接続され、
前記第6のスイッチは前記インダクタンス生成回路が有するコイルに電気的に接続され、
前記周波数判定回路の入力部は前記アンテナに電気的に接続され、
前記周波数判定回路は前記アンテナが受信した電波の周波数に応じて前記第1乃至第6のスイッチを制御し、
前記第1の容量素子と前記第2の容量素子の静電容量は異なる大きさを有し、
前記第3の容量素子と前記第4の容量素子の静電容量は異なる大きさを有することを特徴とする無線通信可能な半導体装置。
【請求項8】
アンテナと、周波数判定回路と、を有する無線通信可能な半導体装置であって、
前記アンテナは主要部及び端部を有し、
前記主要部と前記端部はスイッチを介して電気的に接続され、
前記周波数判定回路の入力部は前記アンテナに電気的に接続され、
前記周波数判定回路は前記アンテナが受信した電波の周波数に応じて前記スイッチを制御することを特徴とする無線通信可能な半導体装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか一において、
前記スイッチはトランジスタであることを特徴とする無線通信可能な半導体装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか一において、
前記半導体装置は無線により充電可能なバッテリーを有することを特徴とする無線通信可能な半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2008−218989(P2008−218989A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−22364(P2008−22364)
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】