説明

半導体記憶装置

【課題】誤書込みやアクセス遅延等の発生しない半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】書込み制御回路30Aは、ドレイン駆動電位MCDを、制御信号 ̄PGMがHレベルのときに0.8Vとし、LレベルのときにVCC+2Vtn(6V)とし、ワード線駆動回路20,…は、選択すべきワード線の電位を制御信号 ̄PGMがHレベルのときにVCC(4V)とし、LレベルのときにVPP(10V)とし、データ書込み回路40C,…は、制御信号 ̄PGMがLレベルへ切り替わったときには、ソース駆動電位BLA,BLAを、データD1,D2が採るべき論理値に応じた電位とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的にデータを書込むことができる不揮発性メモリ(例えば、EPROM)のような半導体記憶装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図16は、従来のEPROMの構成を概略的に示す図である(例えば、特許文献1参照)。また、図17は、図16のEPROMにおける4個のメモリセルの構成を概略的に示す図である。さらに、図18及び図19は、図16のEPROMにおける問題点を説明するための図である。
【0003】
図16に示されるEPROMは、半導体基板に形成された複数のメモリセル11(個々を区別して説明する場合には、符号11a,11b,11c,11dをも用いる。)を備えたメモリアレイ10,…,10を有している。メモリアレイ10,…,10が形成された半導体基板上の領域には、互いに平行に配置された複数のワード線WL,…,WLと、ワード線WL,…,WLに直交して配置された複数のドレイン線DL,…,DL,DLと、ワード線WL,…,WLに直交して配置された複数のソース線SL,…,SL,SLとが備えられている。図17に示されるように、メモリセル11(11a,11b,11c,11d)は、ゲートGAと、ドレインDR,DRbc,DRと、ソースSOUab,SOUcdと、フローティングゲートFG,FG,FG,FGとを有する電界効果トランジスタで構成されている。複数のメモリセル11のゲートは、複数のワード線WL,…,WLの一つに接続されている。複数のメモリセル11のドレインのそれぞれは、複数のドレイン線DL,…,DLの一つに接続され、複数のメモリセル11のソースのそれぞれは、複数のソース線SL,…,SLの一つに接続されている。なお、実際のEPROMは、デコード信号DEC,…,DECを生成するためのアドレスデコーダ及びメモリセル11に記憶されたデータを読出すためのセンスアンプ等の回路を有するが、これらの構成は図示していない。
【0004】
各メモリアレイ10,…,10において、ドレイン線DL,…,DL,DLはそれぞれ、NMOSトランジスタ12,…,12y1(又は12y2,),12z1(又は12z2)を介して、ドレイン駆動電位(書込み制御信号)MCDが供給される書込み制御線13に接続されている。また、各メモリアレイ10,…,10において、偶数番目のNMOSトランジスタ12,12,…,12y1,12z1は、偶数選択信号SE,…,SEによりオン・オフ制御され、奇数番目のNMOSトランジスタ12,12,…,12y2,12z2は、奇数選択信号SO,…,SOによりオン・オフ制御される。また、各メモリアレイ10,…,10において、ソース線SL,…,SL,SLは、メモリアレイ選択信号SS,…,SSでオン・オフ制御されるNMOSトランジスタ14,…,14,14を介して、ビット線BL,…,BL,BLに接続されている。
【0005】
さらに、図16に示されるEPROMは、各ワード線WL,…,WLに駆動信号を供給するワード線駆動回路20,…,20と、書込み制御線13にドレイン駆動電位MCDを供給する書込み制御回路30と、ビット線BL,…,BL,BLに供給されるデータBLA,BLA(ただし、ビット線BL,BLに供給されるデータはBLA,BLAで示す。)を供給するデータ書込み回路40,40(ただし、ビット線BL,BLには、データ書込み回路40,40がデータBLA,BLAを供給する。)と、リセット信号RSTを遅延させてリセット信号RSTとして出力する遅延回路50とを有している。なお、データ書込み回路40,40の入力としてはハイレベル(Hレベル)である電源電位VCCが与えられる。
【0006】
ワード線駆動回路20,…,20は、互いに同一の構成を持つ。ワード線駆動回路20,…,20のそれぞれは、アドレスデコーダから与えられるデコード信号DEC,…,DECにしたがって、ワード線WL,…,WLに対するワード線選択信号(ワード線駆動電位)を生成して出力する。ワード線駆動回路20,…,20は、デコード信号DEC,…,DECが“非選択”を示すローレベル(Lレベル)のときは、ワード線WL,…,WLにワード線選択信号として接地電位GNDを出力する。また、ワード線駆動回路20,…,20は、デコード信号DEC,…,DECが“選択”を示すHレベルのときは、プログラムモード信号 ̄PGM(本明細書において、「 ̄PGM」は、上線(オーバーライン)付きの「PGM」を示し、信号PGMの反転信号を意味する。また、図においては、「 ̄PGM」を、上線付きの「PGM」で表す。)にしたがって動作する。ワード線駆動回路20,…,20はそれぞれ、データ書込み時に、ワード線選択信号としてプログラム電位VPP(例えば、10V)をワード線WL,…,WLに出力し、データ読出し時に、ワード線選択信号として電源電位VCCをワード線WL,…,WLに出力する。
【0007】
データ書込み時には、書込み制御回路30に入力されるリセット信号RSTはLレベルとされる。このとき、書込み制御回路30から出力されるドレイン駆動電位MCDは、プログラム電位VPPと制御電位VRによって定まり、電位VCC+2Vtn(ここで、Vtnは、NMOSトランジスタの閾値電圧であり、約1Vである。)とする。また、データ読出し時には、リセット信号RSTはHレベルとされる。このとき、書込み制御回路30から出力されるドレイン駆動電位MCDは、接地電位GNDとなる。
【0008】
データ書込み回路40,40,40,40は、互いに同一の構成を持つ。データ書込み回路40,40は、プログラムモード信号 ̄PGMをLレベルにしてデータ書込み動作が指定されたときに、入力データD,DのLレベル又はHレベルにしたがって、ノードN40から接地電位GND又は電源電位VCCの書込み信号BLA,BLAを出力する。また、プログラムモード信号 ̄PGMによって読出し動作が指定されているときは、データ書込み回路40,40のノードN40はハイインピーダンス状態となるように構成されている。
【0009】
例えば、データ書込み回路40は、入力データDが与えられるインバータ41と、このインバータ41の出力信号とプログラムモード信号 ̄PGMの否定的論理和を出力するNORゲート42と、NORゲート42の出力信号とプログラムモード信号 ̄PGMの否定的論理和を出力するNORゲート43と、ノードN40と接地電位GNDの間に接続されてNORゲート43の出力信号により制御されるNMOSトランジスタ44と、電源電位VCCとノードN40の間に接続されてNORゲート42の出力信号により制御されるNMOSトランジスタ45と、ノードN40と接地電位GNDの間に接続され、遅延回路50から出力されるリセット信号RSTにより制御されるNMOSトランジスタ46とを有している。
【0010】
データ書込み回路40,40から出力される書込み信号BLA,BLAは、コラム選択信号Y,Y,…で選択されるトランジスタ60a,60b等を介して隣接するビット線BL,BL等に与えられる。
【0011】
ワード線WL(iは0以上n以下の整数)、偶数選択信号SE又は奇数選択信号SO(jは0以上n以下の整数)、メモリアレイ選択信号SS、及びコラム選択信号Y(kは0以上の整数)で選択されたメモリセル11にデータとして論理値ロー(“L”と表記する。)を書込むときには、データ書込み回路40に入力されるデータDをLレベルにする。このとき、メモリセル11のゲート電位Vgは10V、ドレイン電位VdはVCC+2Vtn(=6V)、ソース電位Vsは0Vとなる。そのため、メモリセル11においてドレインからソースへ(例えば、図17において、ドレインDRからソースSOUabへ)大きな電流Ia1が流れ、この電流によって発生するアバランシェ・ホットキャリアによって、フローティングゲート(例えば、図17において、フローティングゲートFG)への電子注入が行われる。
【0012】
一方、ワード線WL、偶数選択信号SE又は奇数選択信号SO、メモリアレイ選択信号SS、及びコラム選択信号Yで選択されたメモリセル11にデータとして論理値ハイ(“H”と表記する。)を書込むときには、入力データDをHレベルにする。このとき、メモリセル11のゲート電位Vgは10V、ドレイン電位VdはVCC+2Vtn(=6V)、ソース電位VsはVCC−Vtn(=3V)となる。そのため、メモリセル11においてドレインからソースへ(例えば、図17において、ドレインDRからソースSOUcdへ)は比較的小さな電流Id1しか流れず、アバランシェ・ホットキャリアによるフローティングゲート(例えば、図17において、フローティングゲートFG)への電子注入は行われない。
【0013】
上記した従来のEPROMにおいては、コラム選択信号Yによって隣接する2本のビット線BL,BLk+1が同時に選択される。選択されたビット線BL,BLk+1に接続された2つのメモリセル11のそれぞれには、データ書込み回路(例えば、データ書込み回路40,40)から出力されたデータ(例えば、データBLA,BLA)が書込まれる。図16において、ワード線WL、偶数選択信号SE、メモリアレイ選択信号SS、及びコラム選択信号Yで選択されたメモリセル11a,11dには、それぞれデータBLA,BLAが同時に書込まれる。例えば、メモリアレイ選択信号SSによりメモリセル10が選択され、ワード線駆動回路20によりワード線WLが選択され、コラム選択信号Yによりビット線BL,BLが選択され、偶数選択信号SEによりドレイン線DL,DL,…が選択されたときに、ドレイン線DLから、メモリセル11a、ソース線SL、NMOSトランジスタ14、及びビット線BLを通して電流が流れ、その結果、メモリセル11aのフローティングゲートに電荷が蓄積され(論理値“L”の場合)又は蓄積されず(論理値“H”の場合)、ドレイン線DLから、メモリセル11d、ソース線SL、NMOSトランジスタ14、及びビット線BL通を通して電流が流れ、その結果、メモリセル11dのフローティングゲートに電荷が蓄積され(論理値“L”の場合)又は蓄積されない(論理値“H”の場合)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2000−331486号公報(図1、図3、及び段落0015ー0027)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上記した従来のEPROMにおいては、データ書込み回路40,40に入力されるプログラムモード信号 ̄PGMがHレベルであると、NORゲート42,43の出力はいずれもLレベルとなり、NMOSトランジスタ44,45はいずれもオフとなり、その結果、データ書込み回路40,40の出力(すなわち、ノードN40)はハイインピーダンス状態となる。このとき、メモリセル11a,11b,11c,11dから接地電位GNDへの電流パスが存在しないので、メモリセル11a,11b,11c,11dが論理値“H”の状態にある場合には、図18に示されるように、メモリセル11a,11b,11c,11dを介してドレイン線DL,DL,DL、ソース線SL,SL、及びビット線BL,BLは、ドレイン駆動電位MCD、すなわち、VCC+2Vtn(=6V)まで上昇する。
【0016】
ここで、メモリセル11aに論理値“L”を書込み、メモリセル11dに論理値“H”を書込むときには、データ書込み回路40,40に入力されるプログラムモード信号 ̄PGMをLレベルとし、データ書込み回路40から出力される書込み信号BLAをLレベルとし、データ書込み回路40から出力される書込み信号BLAをHレベルとする。すると、図19に示されるように、ビット線BL及びソースSOUabは、接地電位GND(=0V)となり、ビット線BL及びソースSOUcdは、電位VCC−Vtn(=3V)となる。このとき、矢印Ia2で示されるように、ドレインDRからGND電位のソースSOUabに電流が流れ、アバランシェ・ホットキャリアによって、フローティングゲートFGへの電子注入が行われ、メモリセル11aに論理値“L”が書き込まれる。また、ドレインDRから電位VCC−VtnのソースSOUcdには小さな電流Id2しか流れず、アバランシェ・ホットキャリアによって、フローティングゲートFGへの電子注入が行われず、メモリセル11dに論理値“H”が書き込まれる。
【0017】
しかしながら、図19に示されるようなメモリセル11a,11dへのデータ書込み前に(図18のときに)ビット線BL及びドレイン線DLに充電されていた電荷(電位VCC+2Vtn)が、データ書込みのときに、例えば、メモリセル11bを介して、GNDレベルのソース線SL及びビット線BLを通して放電される。この放電電流(例えば、図19における電流I)により、メモリセル11bのフローティングゲートFGへの電子注入が発生し、選択されていないメモリセル11bへのデータの誤書込みが生じる場合がある。また、フローティングゲートへの電子注入によりメモリセルの閾値電圧Vtが上昇した場合には、アクセス遅延や動作電源電位の範囲が変化するという不具合が発生することがある。
【0018】
そこで、本発明は、上記したような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、データの誤書込みやアクセス遅延等の発生しない半導体記憶装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の半導体記憶装置は、
複数のワード線と、
複数のドレイン線と、
複数のソース線と、
ゲート、ドレイン、ソース、及びフローティングゲートを有する電界効果トランジスタで構成されたメモリセルを複数有し、前記複数のメモリセルのゲートのそれぞれは前記複数のワード線の一つに接続され、前記複数のメモリセルのドレインのそれぞれは前記複数のドレイン線の一つに接続され、前記複数のメモリセルのソースのそれぞれは前記複数のソース線の一つに接続されたメモリアレイと、
制御信号及び書込みデータが入力され、前記メモリセルへのデータ書込みに際して、前記書込みデータに基づくソース駆動電位を前記ソース線に供給するデータ書込み回路と、
前記制御信号が入力され、前記メモリセルへのデータ書込みに際して、前記制御信号に基づくドレイン駆動電位を前記ドレイン線に供給する書込み制御回路と、
アドレス信号及び前記制御信号が入力され、前記メモリセルへのデータ書込みに際して、前記制御信号に基づくワード線駆動電位を前記アドレス信号に基づき選択されたワード線に供給するワード線駆動回路とを有し、
前記書込み制御回路は、前記制御信号でデータ書込み動作が指示されたときに、前記ワード線駆動回路により選択されたメモリセルに前記ドレイン線を介してデータ書込み用の高レベルのドレイン駆動電位を出力し、前記制御信号でデータ書込み動作が指示されていないときには、前記ドレイン駆動電位を低レベルにして出力し、
前記データ書込み回路は、前記制御信号でデータ書込み動作が指示されたときに、前記選択されたメモリセルに書込むべきデータの論理値に対応した書込み電位を前記書込み制御回路から出力される前記ドレイン駆動電位を用いて生成し、前記選択されたメモリセルに前記ソース線を介して前記ソース駆動電位として与えるものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、データ書込み対象でないメモリセルのドレインとソースの間に高電位が印加されることがなくなり、誤書込みやメモリセルの閾値電圧の変動の原因をなくすことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るEPROMの構成を概略的に示す図である。
【図2】第1の実施形態に係るEPROMのデータ書込み動作を説明するための信号波形図である。
【図3】第1の実施形態に係るEPROMのデータ書込み動作を説明するための図(その1)である。
【図4】第1の実施形態に係るEPROMのデータ書込み動作を説明するための図(その2)である。
【図5】第1の実施形態に係るEPROMのデータ書込み動作を説明するための図(その3)である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るEPROMの構成を概略的に示す図である。
【図7】第2の実施形態に係るEPROMのデータ書込み動作を説明するための信号波形図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係るEPROMの構成を概略的に示す図である。
【図9】第3の実施形態に係るEPROMの制御信号生成回路の構成を示す回路図である。
【図10】本発明の第4の実施形態に係るEPROMの構成を概略的に示す図である。
【図11】第4の実施形態に係るEPROMのデータ書込み回路の構成を示す回路図である。
【図12】第4の実施形態に係るEPROMのデータ書込み動作を説明するための信号波形図である。
【図13】第4の実施形態に係るEPROMのデータ書込み動作を説明するための図(その1)である。
【図14】第4の実施形態に係るEPROMのデータ書込み動作を説明するための図(その2)である。
【図15】第4の実施形態に係るEPROMのデータ書込み動作を説明するための図(その3)である。
【図16】従来のEPROMの構成を概略的に示す図である。
【図17】従来のEPROMのメモリセルの構成を概略的に示す図である。
【図18】従来のEPROMの問題点を説明するための図(その1)である。
【図19】従来のEPROMの問題点を説明するための図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
第1の実施形態
図1は、本発明の第1の実施形態に係る半導体記憶装置であるEPROMの構成を概略的に示す図である。図1において、図16に示される構成と同一又は対応する構成には、同じ符号を付す。また、図2は、第1の実施形態に係るEPROMのデータ書込み動作を説明するための信号波形図である。さらに、図3乃至図5は、第1の実施形態に係るEPROMのデータ書込み動作を説明するための図(その1〜3)である。
【0023】
第1の実施形態に係るEPROMは、半導体基板に形成された複数のメモリセル11(個々を区別して説明する場合には、符号11a,11b,11c,11dをも用いる。)を備えたメモリアレイ10,…,10を有している。メモリアレイ10,…,10が形成された半導体基板上の領域には、複数のワード線WL,…,WLと、複数のドレイン線DL,…,DL,DLと、複数のソース線SL,…,SL,SLとが備えられている。
【0024】
メモリセル11(11a,11b,11c,11d)は、ゲート(例えば、図3のゲートGA)と、ドレイン(例えば、図3のドレインDR,DRbc,DR)と、ソース(例えば、図3のソースSOUab,SOUcd)と、フローティングゲート(例えば、図3のFG,FG,FG,FG)とを有する電界効果トランジスタで構成されている。
【0025】
複数のメモリセル11のゲートは、複数のワード線WL,…,WLの一つに接続されている。複数のメモリセル11のドレインのそれぞれは、複数のドレイン線DL,…,DL,DLの一つに接続され、複数のメモリセル11のソースのそれぞれは、複数のソース線SL,…,SLの一つに接続されている。なお、EPROMは、デコード信号DEC,…,DECを生成するためのアドレスデコーダ及びメモリセル11に記憶されたデータを読出すためのセンスアンプ等の回路を有するが、これらの構成は図示していない。
【0026】
各メモリアレイ10,…,10において、ドレイン線DL,…,DL,DLはそれぞれ、NMOSトランジスタ12,…,12y1(又は12y2,),12z1(又は12z2)を介して、ドレイン駆動電位MCDが供給される書込み制御線13に接続されている。また、各メモリアレイ10,…,10において、偶数番目のNMOSトランジスタ12,12,…,12y1,12z1はそれぞれ、偶数選択信号SE,…,SEによりオン・オフ制御され、奇数番目のNMOSトランジスタ12,12,…,12y2,12z2はそれぞれ、奇数選択信号SO,…,SOによりオン・オフ制御される。また、各メモリアレイ10,…,10において、ソース線SL,…,SLはそれぞれ、メモリアレイ選択信号SS,…,SSでオン・オフ制御されるNMOSトランジスタ14,…,14,14を介して、ビット線BL,…,BL,BLに接続されている。
【0027】
さらに、第1の実施形態に係るEPROMは、各ワード線WL,…,WLに駆動信号を供給するワード線駆動回路20,…,20と、書込み制御線13にドレイン駆動電位MCDを供給する書込み制御回路30Aと、ビット線BL,…,BL,BLに供給されるデータBLA,BLA(ただし、ビット線BL,BLに供給されるデータはBLA,BLAで示す。)を供給するデータ書込み回路40A,40A(ただし、ビット線BL,BLには、データ書込み回路40A,40AがデータBLA,BLAを供給する。)とを有している。
【0028】
ワード線駆動回路20,…,20は、互いに同一の構成を持つ。ワード線駆動回路20,…,20のそれぞれは、アドレスデコーダから与えられるデコード信号DEC,…,DECにしたがって、ワード線WL,…,WLに対するワード線選択信号を生成して出力する。ワード線駆動回路20,…,20は、デコード信号DEC,…,DECが“非選択”を示すLレベルのときは、ワード線WL,…,WLにワード線選択信号として接地電位GNDを出力する。また、ワード線駆動回路20,…,20は、デコード信号DEC,…,DECが“選択”を示すHレベルのときは、プログラムモード信号 ̄PGMにしたがって動作する。ワード線駆動回路20,…,20はそれぞれ、データ書込み時に、プログラム電位VPP(例えば、10V)をワード線WL,…,WLに出力し、データ読出し時に、電源電位VCC(例えば、4V)をワード線WL,…,WLに出力する。
【0029】
書込み制御回路30Aは、基準電位発生部31を有しており、ワード線駆動回路20,…,20に入力される制御信号と同じ制御信号CONによって制御される。データ書込み時には、書込み制御回路30Aに入力される制御信号CONはLレベルとされる。書込み制御回路30Aは、制御信号CONがLレベルのときに、電位VCC+2Vtn(ここで、Vtnは、NMOSトランジスタの閾値電圧であり、約1Vである。)のドレイン駆動電位MCD(例えば、6V)を出力し、制御信号CONがHレベルのときには、例えば、0.8Vのドレイン駆動電位MCDを出力する。
【0030】
データ書込み回路40A,40A,40A,40Aは、互いに同一の構成を持つ。データ書込み回路40A,40A,40A,40Aは、プログラムモード信号 ̄PGMをLレベルにしてデータ書込み動作が指定されたときに、入力データD,DのLレベル又はHレベルにしたがって(ただし、データ書込み回路40A,40Aの入力データはVCCである。)、ノードN40から接地電位GND又は電源電位VCCの書込み信号BLA,BLA(又はBLA,BLA)を出力する。また、プログラムモード信号 ̄PGMをHレベルにして読出し動作が指定されているときは、データ書込み回路40A,40A,40A,40AのノードN40はハイインピーダンス状態となるように構成されている。
【0031】
例えば、データ書込み回路40Aは、入力データDが与えられるインバータ41と、このインバータ41の出力信号とプログラムモード信号 ̄PGMの否定的論理和を出力するNORゲート42と、NORゲート42の出力信号とプログラムモード信号 ̄PGMの否定的論理和を出力するNORゲート43と、ノードN40と接地電位GNDの間に接続されてNORゲート43の出力信号により制御されるNMOSトランジスタ44と、電源電位VCCとノードN40の間に接続されてNORゲート42の出力信号により制御されるNMOSトランジスタ45とを有している。
【0032】
データ書込み回路40A,40Aから出力される書込み信号BLA,BLAは、コラム選択信号Y,Y,…で選択されるトランジスタ60a,60b等を介して隣接するビット線BL,BL等に与えられる。
【0033】
ワード線WL、偶数選択信号SE又は奇数選択信号SO、メモリアレイ選択信号SS、及びコラム選択信号Yで選択されたメモリセル11にデータとして論理値“L”を書込むときには、データ書込み回路40Aに入力されるデータDをLレベルにする。このとき、メモリセル11のゲート電位Vgは10V、ドレイン電位VdはVCC+2Vtn(=6V)、ソース電位Vsは0Vとなる。そのため、メモリセル11においてドレインからソースへ(例えば、図5において、ドレインDRからソースSOUcdへ)大きな電流Id3が流れ、この電流によって発生するアバランシェ・ホットキャリアによって、フローティングゲート(例えば、図5において、フローティングゲートFG)への電子注入が行われる。
【0034】
一方、ワード線WL、偶数選択信号SE又は奇数選択信号SO、メモリアレイ選択信号SS、及びコラム選択信号Yで選択されたメモリセル11にデータとして論理値“H”を書込むときには、入力データDをHレベルにする。このとき、メモリセル11のゲート電位Vgは10V、ドレイン電位VdはVCC+2Vtn(=6V)、ソース電位VsはVCC−Vtn(=3V)となる。そのため、メモリセル11においてドレインからソースへ(例えば、図5において、ドレインDRからソースSOUabへ)は比較的小さな電流しか流れず、アバランシェ・ホットキャリアによるフローティングゲート(例えば、図5において、フローティングゲートFG)への電子注入は行われない。
【0035】
上記した第1の実施形態に係るEPROMにおいては、コラム選択信号Yによって隣接する2本のビット線BL,BLk+1が同時に選択される。選択されたビット線BL,BLk+1に接続された2つのメモリセル11のそれぞれには、データ書込み回路(例えば、データ書込み回路40A,40A)から出力されたデータ(例えば、データBLA,BLA)が書込まれる。図1において、ワード線WL、偶数選択信号SE、メモリアレイ選択信号SS、及びコラム選択信号Yで選択されたメモリセル11a,11dには、それぞれデータBLA,BLAが同時に書込まれる。例えば、メモリアレイ選択信号SSによりメモリセル10が選択され、ワード線駆動回路20によりワード線WLが選択され、コラム選択信号Yによりビット線BL,BLが選択され、偶数選択信号SEによりドレイン線DL,DL,…が選択されたときに、ドレイン線DLから、メモリセル11a、ソース線SL、NMOSトランジスタ14、及びビット線BL通を通して電流が流れ、その結果、メモリセル11aのフローティングゲートに電荷が蓄積され(論理値“L”の場合)又は蓄積されず(論理値“H”の場合)、ドレイン線DLから、メモリセル11d、ソース線SL、NMOSトランジスタ14、及びビット線BL通を通して電流が流れ、その結果、メモリセル11dのフローティングゲートに電荷が蓄積され(論理値“L”の場合)又は蓄積されない(論理値“H”の場合)。
【0036】
データ書込み回路40A,40Aに入力されるプログラムモード信号 ̄PGMをHレベルにすると、NORゲート42,43の出力はいずれもLレベルとなり、NMOSトランジスタ44,45はいずれもオフとなり、その結果、データ書込み回路40A,40Aの出力(すなわち、ノードN40)はハイインピーダンス状態となる。このとき、メモリセル11a,11b,11c,11dから接地電位GNDへの電流パスが存在しないので、メモリセル11a,11b,11c,11dが論理値“H”の状態にある場合、メモリセル11a,11b,11c,11dを介してドレイン線DL,DL,DL、ソース線SL,SL、及びビット線BL,BLは、ドレイン駆動電位MCD、すなわち、VCC+2Vtnまで上昇する。
【0037】
ここで、メモリセル11aに論理値“H”を書込み、メモリセル11dに論理値“L”を書込むときには、データ書込み回路40,40に入力されるプログラムモード信号 ̄PGMをLレベルとし、データ書込み回路40から出力される書込み信号BLAをHレベルとし、データ書込み回路40から出力される書込み信号BLAをLレベルとする。すると、ビット線BLの電位は、VCC−Vtnとなり、ビット線BLの電位は、GNDとなる。このとき、図5に矢印Id3で示されるように、ドレインDRからGND電位のソースSOUcdに電流が流れ、アバランシェ・ホットキャリアによって、フローティングゲートFGへの電子注入が行われ、メモリセル11dに論理値“L”が書き込まれる。また、ドレインDRから電位(VCC−Vtn)のソースSOUabに小さな電流しか流れず、アバランシェ・ホットキャリアによって、フローティングゲートFGへの電子注入が行われず、メモリセル11aに論理値“H”が書き込まれる。
【0038】
次に、図2乃至図5を用いて、は、第1の実施形態に係るEPROMのデータ書込み動作を説明する。
【0039】
まず、図2における時刻tにおいて、プログラムモード信号 ̄PGMと制御信号CONは、共にHレベルに設定されている。時刻tにおいて、アドレスデコーダ(図示せず)に書込み対象のアドレスを指定するアドレス信号ADRが与えられる。アドレス信号ADRを受け取ったアドレスデコーダは、書込み対象のアドレスを含むメモリアレイ(すなわち、メモリアレイ10,…,10のいずれか)を選択するためのメモリアレイ選択信号(すなわち、メモリアレイ選択信号SS,…,SSのいずれか)を選択する(すなわち、Hレベルにする)。また、アドレス信号ADRを受け取ったアドレスデコーダは、選択されたメモリアレイ(例えば、メモリアレイ10)における1つのワード線(例えば、ワード線WL)を選択する(すなわち、Hレベルにする)ためのデコード信号(例えば、デコード信号DEC)をワード線駆動回路(例えば、ワード線駆動回路20)に与える。
【0040】
メモリアレイ選択信号SSが選択される(すなわち、Hレベルになる)と、選択されたメモリアレイ10のNMOSトランジスタ14,…,14がオンになり、選択されたメモリアレイ10のソース線SL,…,SLはそれぞれ、NMOSトランジスタ14,…,14を介してビット線BL,…,BLに接続される。一方、選択されていないメモリアレイ10,…,10は、ビット線BL,…,BLから電気的に切り離される。
【0041】
また、ワード線駆動回路20は、選択されたワード線WLにワード線選択信号(ワード線駆動電位)として電源電位VCC(例えば、4V)を供給し、これによって、ワード線WLに接続されたメモリセル11のコントロールゲートに電源電位VCCが共通に印加される。なお、選択されていないワード線WL,…,WLnー1の電位は、接地電位GNDとなる。
【0042】
さらに、書込み制御回路30Aは、選択されたメモリセル11のドレインに、ドレイン駆動電位MCDとして、例えば、0.8Vの駆動電位を印加する。
【0043】
また、時刻tにおいては、プログラムモード信号 ̄PGMはHレベルであり、データ書込み回路40A,40A,40A,40Aからの出力ノードN40の電位BLA,BLA,BLA,BLAはハイインピーダンス(H.I.)状態であり、ノードN40に接続されたビット線(例えば、ビット線BL,BL)及びソース線(例えば、ビット線SL,SL)もハイインピーダンス(H.I.)状態である。
【0044】
時刻tにおいて、プログラムモード信号 ̄PGMがHレベルからLレベルに切り替えられる。このとき、制御信号CONは、Hレベルのままである。プログラムモード信号 ̄PGMがLレベルになると、データ書込み回路40A,40Aの出力側は、ハイインピーダンス状態ではなくなり、論理値“H”又は“L”のいずれかを示す入力データD,Dに対応して、接地電位GND又はドレイン駆動電位MCD(=0.8V)を出力する。ただし、この時点では、データ書込み回路40A,40Aはデータバスに接続されていないので、入力データD,DはプルアップされてHレベルを呈し、書込み信号BLA,BLAはドレイン駆動電位MCDと同じ0.8Vとなる(図3参照)。したがって、書込み対象のメモリセル11a,11dだけでなく、これらに隣接するメモリセル11b,11cも、ドレインとソースの電位が接地電位GNDに近い電位となる。
【0045】
時刻tにおいて、入出力バッファ(図示せず)を通して、書込みの対象となる入力データD(例えば、Hレベル),D(例えば、Lレベル)が、それぞれデータ書込み回路40A,40Aに与えられる。Hレベルの入力データDが与えられたデータ書込み回路40Aの書込みデータ信号BLAは、ドレイン駆動電位MCDのままである。Lレベルの入力データDが与えられたデータ書込み回路40Aの書込みデータ信号BLAは、接地電位GNDとなる(図4参照)。
【0046】
時刻tにおいて、制御信号CONがLレベルになる。このとき、ワード線駆動回路20内のNMOSトランジスタ21がオフになり、ワード線駆動回路20からワード線WLに出力されるワード線選択信号は、電位VCC(=4V)から、プログラム電位VPP(=10V)に切り替わる。また、書込み制御回路30Aから出力されるドレイン駆動電位MCDは、基準電位発生部31により0.8Vから電位VCC+2Vtn(=6V)に上昇し、このドレイン駆動電位MCDが選択されたメモリセル11a,11dのドレインと、データ書込み回路40A,40Aに与えられる(図5参照)。したがって、データ書込み回路40A,40Aからビット線BL,BLにそれぞれ出力される書込み電位BLA,BLAは、入力データD,Dに対応して、それぞれドレイン駆動電位MCD(すなわち、VCC+2Vtn)及び接地電位GNDとなる。
【0047】
これにより、アドレス信号ADRで選択され、Lレベルの入力データDを書込むように指定されたメモリセル11dには、コントロールゲートにプログラム電位VPP(=10V)、ドレインにドレイン駆動電位MCD(=6V)、ソースに接地電位GND(=0V)が、それぞれ印加される。このメモリセル11dでは、コントロールゲートとソースの間の電位が高電位(10V)、かつ、ドレインとソースの間の電位が高電位(6V)になるので、ドレインとソースの間に流れる電子(図5の電流Id3)の一部が、その高電界によって加速されてエネルギーを獲得し、ゲート絶縁膜のエネルギー障壁を越えてフローティングゲートに注入される。
【0048】
一方、アドレス信号ADRで選択され、Hレベルの入力データDを書込むように指定されたメモリセル11aには、コントロールゲートにプログラム電位VPP(=10V)、ドレインにドレイン駆動電位MCD(=6V)、及びソースに電位VCC−Vtn(=3V)が、それぞれ印加される。この場合、コントロールゲートとソースの間の電位は7V、かつ、ドレインとソースの間の電位は3Vとなるので、ドレインとソースの間に流れる電子のエネルギーは小さく、この電子がフローディングゲートに注入されることはない。
【0049】
また、時刻t(図4)においてドレイン線DLの電位は0.8Vであり帯電電荷がわずかであるので、時刻t〜t(図5)において、ドレイン線DLから大きな電流が流れ出ることはなく、選択されていないメモリセル(例えば、11b)に対する誤書込みは生じない。
【0050】
時刻tにおいて、データ書込みに必要な時間が経過すると、プログラムモード信号 ̄PGMがLレベルからHレベルになり、制御信号CONがLレベルからHレベルになる。また、アドレス信号ADRは、他のアドレスに切替えられる。制御信号CONがHレベルになると、書込み制御回路30Aの出力電位は、0.8Vとなる。これにより、書込み制御線13上に蓄積されていた電荷の放電が開始され、ドレイン駆動電位MCDは一定の時定数にしたがって低下する。ドレイン駆動電位MCDが低下すると、これに伴ってデータ書込み回路40A,40Aの出力電位も低下し、ビット線BLの電位も低下する。
【0051】
以上説明したように、第1の実施形態に係るEPROMは、外部から与えられるプログラムモード信号 ̄PGM及び制御信号CONによって、ワード線駆動回路20,…,20から出力されるワード線の選択信号WL,…,WLと、書込み制御回路30Aから出力されるドレイン駆動電位MCDの電位の切り替わりタイミングを制御することにより、書込み対象のメモリセル11a,11dにデータを書込む(書込み対象のメモリセルのソースとドレイン間に高電位を印加する)前に、隣接するメモリセル11b,11cのドレインとソースの電位を接地電位GNDに近い電位にするようにしている。これにより、データ書込み時に書込み対象となっていないメモリセル11b,11cのドレインとソース間に高電位が印加されることがなくなり、放電電流が流れることに起因するデータの誤書込みが発生したり、メモリセルの閾値電圧Vtが上昇してアクセス遅延や動作電源電位の範囲が変化するという不具合を回避することができる。
【0052】
第2の実施形態
図6は、本発明の第2の実施形態に係る半導体記憶装置であるEPROMの構成を概略的に示す図である。図6において、図1又は図16と同一又は対応する構成には、同じ符号を付す。また、図7は、第2の実施形態に係るEPROMのデータ書込み動作を説明するための信号波形図である。
【0053】
第2の実施形態に係るEPROMは、遅延回路50を設け、この遅延回路50によってプログラムモード信号 ̄PGMを遅延させ、その遅延させた信号を制御信号CONとして、ワード線駆動回路20,…,20及び書込み制御回路30Aに与えるようにしている点が、上記第1の実施形態に係るEPROMと相違する。遅延回路50は、抵抗、キャバシタ、バッファ等で構成され、その遅延量は、図2における時刻tから時刻tまでに相当する時間に設定されている。図6に示されるように、遅延回路50は、例えば、インバータ51a及び51b、抵抗52、キャパシタ53、インバータ54a及び54bから構成される。ただし、遅延回路50の構成は、図示のものに限定されない。
【0054】
図7に示されるように、第2の実施形態に係るEPROMのデータ書込み動作時の信号波形は、図2の制御信号CONを制御信号CONと読み替えればほぼ同様である。ただし、制御信号CONは、時刻t14においてHレベルにならず、所定の遅延時間の後にHレベルとなる。
【0055】
なお、プログラムモード信号 ̄PGMがLレベルになったときに一定時間遅れて制御信号CONをLレベルにし、このプログラムモード信号 ̄PGMがHレベルのときには常にHレベルの制御信号CONを出力するような論理回路を追加することにより、図7の制御信号CONと同じタイミングの制御信号を生成することもできる。
【0056】
以上説明したように、第2の実施形態に係るEPROMは、プログラムモード信号 ̄PGMを遅延させて制御信号CONを生成する遅延回路50を有しているので、外部の制御信号CONを必要とせずに、第1の実施形態に係るEPROMと同様の利点を得ることができる。なお、第2の実施形態において、上記以外の点は、上記第1の実施形態の場合と同じである。
【0057】
第3の実施形態
図8は、本発明の第3の実施形態に係る半導体記憶装置であるEPROMの構成を概略的に示す図である。図8において、図1、図6、又は図16と同一又は対応する構成には、同じ符号を付す。また、図9は、第3の実施形態に係るEPROMの制御信号生成回路70の構成を示す回路図である。
【0058】
第3の実施形態に係るEPROMは、制御信号生成回路70を設け、この制御信号生成回路70によって制御信号CONを生成して、ワード線駆動回路20,…,20及び書込み制御回路30Aに与えるようにしている点が、上記第1の実施形態に係るEPROMと相違する。制御信号生成回路70は、データ書込み回路40A,40A内の信号を用いて、ワード線駆動回路20,…,20と書込み制御回路30Aに与えるための制御信号CONを生成する。
【0059】
図9に示されるように、制御信号生成回路70は、データ書込み回路40A,40Aの内部のNORゲート43から出力される信号S43の論理和の否定をとるNORゲート71と、このNORゲート71の出力側に接続されたインバータ72及び73(これらで遅延回路を構成している。)とを有している。そして、この遅延回路から制御信号CONが出力される。
【0060】
第3の実施形態に係るEPROMにおいては、有効な入力データD,Dが与えられるまで、すなわち、図2における時刻t〜tの間は、各データ書込み回路40A,40Aから出力される信号S43はLレベルである。したがって、NORゲート71から出力される信号S71と制御信号CONはHレベルとなる。
【0061】
時刻tにおいて、有効な入力データD,Dが与えられ、かつ、その入力データD,Dの内の少なくとも一方がLレベルである場合には、NORゲート71から出力される信号S71がLレベルとなる。そして、信号S71はインバー夕72及び73で遅延され、時刻tに制御信号CONがLレベルとなって出力される。第3の実施形態に係るEPROMにおいて、上記以外の動作は、上記第2の実施形態の場合と同様である。
【0062】
なお、有効な入力データD,Dが共にHレベルの場合は、制御信号CONはHレベルのままで、Lレベルにはならない。したがって、この場合はメモリセルに対する書込み動作(すなわち、フローティングゲートに対する電荷注入による論理値“L”のデータの書込み動作)は行われない。しかし、メモリセルに電荷が注入されないことは、論理値“H”のデータが書込まれることを意味する。
【0063】
以上説明したように、第3の実施形態に係るEPROMにおいては、入力データD,Dの内の少なくとも一方がLレベルであるときに、データ入力から所定の時間だけ遅れて制御信号CONを出力するように構成している。これにより、入力データがすべてHレベルの場合にはデータ書込み動作が行われない。このため、第3の実施形態に係るEPROMにおいては、第2の実施形態と同様の利点に加えて、無駄な書込み電位の印加がなくなり、メモリセルのストレスが減少するという利点がある。
【0064】
第4の実施形態
図10は、本発明の第4の実施形態に係る半導体記憶装置であるEPROMの構成を概略的に示す図である。図10において、図1、図6、図8、又は図16と同一又は対応する構成には、同じ符号を付す。また、図11は、第4の実施形態に係るEPROMのデータ書込み回路40Cの構成を示す回路図である。
【0065】
第4の実施形態に係るEPROMは、データ書込み回路40Cの構成が、上記第1の実施形態に係るEPROMと相違する。第4の実施形態におけるデータ書込み回路40Cは、図1に示されるデータ書込み回路40AのノードN40と接地電位GNDの間に、NMOSトランジスタ45よりも相互コンダクタンスgmが十分に小さなNMOSトランジスタ47を接続し、このNMOSトランジスタ47のゲートにNORゲート42の出力信号を与えるように構成したものである。
【0066】
なお、このデータ書込み回路40Cを用いたEPROMでは、ワード線駆動回路20,…,20と書込み制御回路30Aへ与える制御信号CONに代えて、プログラムモード信号 ̄PGMが用いられる。
【0067】
図12は、第4の実施形態に係るEPROMのデータ書込み動作を説明するための信号波形図である。また、図13乃至図15は、第4の実施形態に係るEPROMのデータ書込み動作を説明するための図(その1〜3)である。
【0068】
データ書込み動作が行われていないときには、プログラムモード信号 ̄PGMは、Hレベルに設定されている。
【0069】
データ書込み動作が開始されると、図12の時刻t20において、書込み対象のアドレスを指定するアドレス信号ADRがアドレスデコーダに与えられ、このアドレスデコーダから、例えば、メモリアレイ選択信号SSと偶数選択信号SEがメモリアレイ10に与えられ、ワード線WLを選択するデコード信号DECがワード線駆動回路20に与えられる。これにより、選択されたメモリアレイ10がビット線BL,…,BL,BLに接続され、選択されていないメモリアレイ10,…10は、このビット線BL,…,BL,BLから電気的に切り離される。また、選択されたワード線WLに接続されたメモリセル11のコントロールゲートに、ワード線駆動回路20から電源電位VCCの選択信号が共通に印加される。さらに、選択されたメモリセル11のドレインには、ドレイン駆動電位MCDが印加され、ソースはソース線SL,…,SL,SLとビット線BL,…,BL,BLを介してデータ書込み回路40Cに接続される(図13参照)。
【0070】
時刻t21において、プログラムモード信号 ̄PGMがLレベルとなり、データ書込み動作が開始される。データ書込み回路40Cの出力側は、ハイインピーダンス状態ではなくなり、入力データD,Dに対応して、接地電位GND又はドレイン駆動電位MCD(この時点では、0.8V)となる。ただし、この時点では、データ書込み回路40Cはデータバスに接続されていないので、入力データD,DはHレベルを呈する。
【0071】
一方、ワード線駆動回路20からワード線WLに出力されるワード線選択信号は、プログラム電位VPP(=10V)まで上昇する。また、書込み制御回路30Aから出力されるドレイン駆動電位MCDは、0.8Vから電位VCC+2Vtn(=6V)まで上昇し、このドレイン駆動電位MCDが選択されたメモリセル11a,11dのドレインDR,DRと、データ書込み回路40Cに与えられる。
【0072】
このとき、データ書込み回路40Cでは、NMOSトランジスタ47がオンとなっているので、ノードN40の電位は、このNMOSトランジスタ47とNMOSトランジスタ45との相互コンダクタンスgm比により、電位VCC−Vtn(=3V)に設定される。したがって、データ書込み回路40Cからビット線BL,BLに出力される書込み電位BLA,BLAは、電位VCC−Vtnまでしか上昇しない(図14参照)。
【0073】
時刻t22において、図示しない入出力バッファを通してデータバスから、書込みの対象となる入力データD(例えば、Lレベル),D(例えば、Hレベル)が、それぞれデータ書込み回路40Cに与えられる。これにより、Lレベルの入力データDが与えられたデータ書込み回路40Cの書込みデータ信号BLAは、接地電位GNDとなる。一方、Hレベルの入力データDが与えられたデータ書込み回路40Cの書込みデータ信号BLAは、電位VCC−Vtnのままである。この状態で、電流Id4によりフローティングゲートFGに電荷が注入されて、メモリセル11dに論理値“L”が書き込まれ、フローティングゲートFGに電荷が注入されずに、メモリセル11aに論理値“H”が書込まれる(図15参照)。
【0074】
時刻t23において、データ書込みに必要な時間が経過すると、プログラムモード信号 ̄PGMがHレベルとなり、アドレス信号ADRは他のアドレスに切り替えられ、データ書込み動作が終了する。
【0075】
以上説明したように、第4の実施形態に係るEPROMにおいては、ノードN40と接地電位GND間にNMOSトランジスタ47を追加し、書込みデータ信号BLAが電位VCC−Vtn以上に上昇しないように構成しているので、書込み対象のメモリセル11a,11dにデータを書込む前に、隣接するメモリセル11b,11cのドレインとソースの電位を電源電位VCC以下にすることができる。これにより、データ書込み時に書込み対象となっていないメモリセル11b,11cのドレインとソース間に高電位が印加されることがなくなり、第2の実施形態と同様の利点を得ることができる。
【符号の説明】
【0076】
10,10,…,10 メモリアレイ、
11,11a,11b,11c,11d メモリセル、
12,12,…,12y1,12z1 偶数番目のドレイン線に接続されたMOSトランジスタ、
12,12,…,12y2,12z2 奇数番目のドレイン線に接続されたMOSトランジスタ、
13 書込み制御線、
14,14,…,14,14 ソース線に接続されたNMOSトランジスタ、
20,20,…,20 ワード線駆動回路、
30A 書込み制御回路、
31 基準電位発生部、
40A,40A,40A,40A,40C データ書込み回路、
41 インバータ、
42,43 NORゲート、
44,45 NMOSトランジスタ、
50 遅延回路、
70 制御信号生成回路、
N40 データ書込み回路の出力ノード、
BL,BL,…,BL,BL ビット線、
DL,DL,…,DL,DL ドレイン線、
SL,SL,…,SL,SL ソース線、
WL,WL,…,WL ワード線、
GA ゲート、
DR,DRbc,DR ドレイン、
SOUab,SOUcd ソース、
FG,FG,FG,FG フローティングゲート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のワード線と、
複数のドレイン線と、
複数のソース線と、
ゲート、ドレイン、ソース、及びフローティングゲートを有する電界効果トランジスタで構成されたメモリセルを複数有し、前記複数のメモリセルのゲートのそれぞれは前記複数のワード線の一つに接続され、前記複数のメモリセルのドレインのそれぞれは前記複数のドレイン線の一つに接続され、前記複数のメモリセルのソースのそれぞれは前記複数のソース線の一つに接続されたメモリアレイと、
制御信号及び書込みデータが入力され、前記メモリセルへのデータ書込みに際して、前記書込みデータに基づくソース駆動電位を前記ソース線に供給するデータ書込み回路と、
前記制御信号が入力され、前記メモリセルへのデータ書込みに際して、前記制御信号に基づくドレイン駆動電位を前記ドレイン線に供給する書込み制御回路と、
アドレス信号及び前記制御信号が入力され、前記メモリセルへのデータ書込みに際して、前記制御信号に基づくワード線駆動電位を前記アドレス信号に基づき選択されたワード線に供給するワード線駆動回路とを有し、
前記書込み制御回路は、前記制御信号でデータ書込み動作が指示されたときに、前記ワード線駆動回路により選択されたメモリセルに前記ドレイン線を介してデータ書込み用の高レベルのドレイン駆動電位を出力し、前記制御信号でデータ書込み動作が指示されていないときには、前記ドレイン駆動電位を低レベルにして出力し、
前記データ書込み回路は、前記制御信号でデータ書込み動作が指示されたときに、前記選択されたメモリセルに書込むべきデータの論理値に対応した書込み電位を前記書込み制御回路から出力される前記ドレイン駆動電位を用いて生成し、前記選択されたメモリセルに前記ソース線を介して前記ソース駆動電位として与える
ことを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項2】
前記データ書込み回路は、
前記書込み制御回路の出力側と前記書込み電位を出力する出力ノードとの間に接続され、前記データの論理値に応じた信号で導通状態が制御される第1のトランジスタと、
接地電位と前記出力ノードとの間に接続され、前記データとは逆の論理値に応じた信号で導通状態が制御される第2のトランジスタと、
接地電位と前記出力ノードとの間に接続され、前記データの論理値に応じた信号で導通状態が制御される第3のトランジスタと
を有することを特徴とする請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
複数のワード線と、
複数のドレイン線と、
複数のソース線と、
ゲート、ドレイン、ソース、及びフローティングゲートを有する電界効果トランジスタで構成されたメモリセルを複数有し、前記複数のメモリセルのゲートのそれぞれは前記複数のワード線の一つに接続され、前記複数のメモリセルのドレインのそれぞれは前記複数のドレイン線の一つに接続され、前記複数のメモリセルのソースのそれぞれは前記複数のソース線の一つに接続されたメモリアレイと、
第1の制御電位又は第2の制御電位に設定される制御信号、及び、第1又は第2の論理値に対応する書込みデータが入力され、前記メモリセルへのデータ書込みに際して、前記書込みデータに基づくソース駆動電位を前記ソース線に供給するデータ書込み回路と、
前記制御信号が入力され、前記メモリセルへのデータ書込みに際して、前記制御信号に基づくドレイン駆動電位を前記ドレイン線に供給する書込み制御回路と、
アドレス信号及び制御信号が入力され、前記メモリセルへのデータ書込みに際して、前記制御信号に基づくワード線駆動電位を前記アドレス信号に基づき選択されたワード線に供給するワード線駆動回路とを有し、
前記メモリセルへのデータ書込みに際して、
前記制御信号は第1の制御電位から第2の制御電位に切り替わり、
前記書込み制御回路は、前記ドレイン駆動電位を、前記制御信号が第1の制御電位のときに第1の駆動電位とし、前記制御信号が第2の制御電位になると第1の駆動電位より高い第2の駆動電位とし、
前記ワード線駆動回路は、選択されたワード線を、前記制御信号が第1の制御電位のときに第3の駆動電位とし、前記制御信号が第2の制御電位になると第3の駆動電位より高い第4の駆動電位とし、
前記データ書込み回路は、前記制御信号の第2の制御電位への切り替わったときには、前記選択されたメモリセルに書込むべきデータの論理値に対応した書込み電位を前記書込み制御回路から出力される前記ドレイン駆動電位を用いて生成し、前記選択されたメモリセルに前記ソース線を介して前記ソース駆動電位として与える
ことを特徴とする半導体記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−198731(P2010−198731A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−135229(P2010−135229)
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【分割の表示】特願2004−338766(P2004−338766)の分割
【原出願日】平成16年11月24日(2004.11.24)
【出願人】(308033711)OKIセミコンダクタ株式会社 (898)
【出願人】(591049893)株式会社 沖マイクロデザイン (127)
【Fターム(参考)】