説明

半導体集積回路とその検査方法

【課題】 セキュリティを確保しながら、半導体集積回路の品質を向上させることができる半導体集積回路を提供することを目的とする。
【解決手段】 余分な外部テスト端子を設定せずに、チップ情報を出力するための制御回路107と駆動されて熱エネルギーを発生する抵抗106を設けて非接触に製造情報や検査情報を取り出せる半導体集積回路と、熱検知装置と組み合わせ、LSIテスタと連動したシステムにすることで、実際の半導体集積回路において、セキュリティを確保しながら、品質を向上させることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少ピンやセキュリティが強化された半導体集積回路の検査容易性に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ピン数制約・チップサイズ・セキュリティ等の事情から少ピンやセキュリティが強化された半導体集積回路においては、テスト回路の搭載が難しく、年々検査の情報を取得しにくい状況になってきている。
【0003】
従来の検査方法では半導体集積回路の完成度を実製品レベルで確認するために、別に設計した製品前の半導体集積回路にて検査情報を取得する手段や、あるいはテスト専用入出力端子を設け、かつテスト専用モードを設け、バウンダリスキャンテストに代表されるような、シリアルにテスト結果の検査情報を出力する手段が一般的である。
【0004】
また、実際の故障部位を特定するため、発熱や発光現象を捕らえるサーモトレーサやエミッション顕微鏡などの解析装置により、様々な不良内容を高精度に捕らえることが可能になっている。半導体デバイスが複雑になるに従って、不良内容の特定も難易度を増しているため、エミッション顕微鏡とLSIテスタを接続したシステムも出始めている。
【特許文献1】特公平6−87476号公報(図1)
【特許文献2】特開2000−311929号公報(図1)
【非特許文献1】集積回路の診断方法、エミッション顕微鏡ベンダーホームページ等 独立行政法人 理化学研究所 ”テラヘルツ波放射を用いた集積回路診断法の開発”[2004年9月1日検索]、インターネット<URL:http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2004/040122_2/>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら今後、少ピンやセキュリティが強化された半導体集積回路が多く要望されることが想定され、半導体デバイスがさらに複雑になるに従って、チップ情報が取得できない、あるいはスキャン回路を搭載できたとしても、チップ情報取得に多くの時間を必要となるなどの課題が発生すると推測される。また外部への出力ポートがあることでセキュリティの観点からも危険性が高まることが懸念される。
【0006】
本発明は、実際の故障部位の画像特定を目的とはせず、余分な外部テスト端子を設定せずに、セキュリティを確保しながら、半導体集積回路の品質を向上させることができる半導体集積回路とその検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1記載の半導体集積回路は、半導体基板に所定の入力信号によって活性化する制御回路と、前記制御回路の出力によってチップ情報を熱エネルギーまたは光信号または磁力線として出力する素子とを有することを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項2記載の半導体集積回路は、請求項1において、チップ情報が製造情報または試験情報であることを特徴とする。
本発明の請求項3記載の半導体集積回路は、請求項1において、素子を1次元に配置または2次元に配置したことを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項4記載の半導体集積回路は、請求項1において、素子の出力が可変量であることを特徴とする。
本発明の請求項5記載の半導体集積回路は、請求項1において、制御回路の活性化によって熱エネルギーまたは光信号または磁力線を複数回にわたって出力することを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項6記載の半導体集積回路は、請求項1において、制御回路が非活性時に、素子が任意の出力状態であることを特徴とする。
本発明の請求項7記載の半導体集積回路は、請求項6において、任意の出力状態が、全てが選択され熱エネルギーまたは光信号または磁力線を出力している状態であることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項8記載の半導体集積回路は、請求項6において、任意の出力状態が、全てが選択され熱エネルギーまたは光信号または磁力線を出力していない状態であることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項9記載の半導体集積回路は、請求項1において、素子に直列にヒューズを備え、チップ情報を出力後に前記ヒューズが切断されることを特徴とする。
本発明の請求項10記載の半導体集積回路は、請求項1において、素子に直列に不揮発メモリを備え、チップ情報を出力後に前記不揮発メモリのデータを非出力状態にすることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項11記載の熱検知装置は、チップ情報を熱エネルギーとして出力する半導体集積回路に対して読み取りに使用される熱検知装置であって、前記半導体集積回路からの熱エネルギーを赤外光として捕らえる光学装置部と、前記光学装置部で検出した情報をデータ変換してチップ情報を取り出す処理部とを備えたことを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項12記載の光検知装置は、チップ情報を光信号として出力する半導体集積回路に対して読み取りに使用される光検知装置であって、前記半導体集積回路からの発光を捕らえる光学装置部と、前記光学装置部で受光した情報をデータ変換してチップ情報を取り出す処理部とを備えたことを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項13記載の磁場検知装置は、チップ情報を磁力線として出力する半導体集積回路に対して読み取りに使用される磁場検知装置であって、前記半導体集積回路からの磁力線を捕らえる磁場検知装置部と、前記磁場検知装置部で検出した情報をデータ変換してチップ情報を取り出す処理部とを備えたことを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項14記載の半導体集積回路の検査方法は、請求項11記載の熱検知装置または請求項12記載の光検知装置または請求項13に記載の磁場検知装置のうちの何れかとLSIテスタを連動させ、前記検知装置が読み取ったチップ情報をLSIテスタにより検査することを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項15記載の半導体集積回路の検査方法は、請求項11記載の熱検知装置または請求項12記載の光検知装置または請求項13に記載の磁場検知装置のうちの何れかとLSIテスタを連動させ、前記検知装置が読み取ったチップ情報をLSIテスタにより検査することを特徴とする。
【0018】
なお、この明細書で言う検査には、半導体集積回路の中身が基準にあっているかどうかを調べることはもとより、半導体集積回路の中身がどのようになっているのかを調べる解析も含まれている。
【0019】
本発明の請求項16記載の半導体集積回路の検査方法によると、請求項15において、チップ情報により検査フローを制御することを特徴とする。
本発明の請求項17記載の半導体集積回路の検査方法によると、請求項9または請求項10に記載の半導体集積回路を検査するに際し、請求項11記載の熱検知装置または請求項12記載の光検知装置または請求項13に記載の磁場検知装置のうちの何れかとLSIテスタを連動させ、出荷前の検査工程でヒューズを切断または不揮発メモリのデータを非出力状態にすることを特徴とする。
【0020】
本発明の請求項18記載の半導体集積回路の検査方法は、請求項10に記載の半導体集積回路を検査するに際し、請求項11記載の熱検知装置または請求項12記載の光検知装置または請求項13に記載の磁場検知装置のうちの何れかとLSIテスタを連動させ、出荷前の検査工程で不揮発メモリのデータを非出力状態とし、その後に前記不揮発メモリを再度接続状態に書き換えてチップ情報を再度出力できるようにすることを特徴とする。
【0021】
具体的には、製造情報や検査情報を出力するための素子は、発熱を促す抵抗、発光を促すダイオード、磁力線を促す配線コイル等で構成することにより、特別なプロセスを必要とせず、チップ機能とは別の活性化信号により、外部ポートを介さず半導体基板からチップ情報を非接触に出力されるため、目的使用以外ではセキュリティが確保され、チップの検査情報を取得することが可能となる。また非活性時には、前記素子からの出力を全てオンまたはオフとすることで、無意味なデータとすることができ、さらなるセキュリティを確保することができる。さらにヒューズや不揮発メモリを前記素子に直列に設けることで、目的使用以外は切断することでさらに一層のセキュリティが確保可能となる。不揮発メモリはさらに書き換えることで検査の必要が発生した場合においても、再度前記素子の機能を再生させることができ、セキュリティと検査容易性を兼ね備えることが可能になる。
【0022】
前記半導体回路が光学または磁場の検知装置と一体化され、LSIテスタと連動させ、チップの製造情報や検査情報を取得することにより、LSIテスタ側で検査シーケンスやチップ機能のトリミングやメモリ救済などに活用でき、少ピンで多機能の検査を実現できるメリットがある。
【0023】
また発熱よりも発光や磁力線は、検出感度が高く、速いため、検査時間として十分使用可能な範囲であると考えられる。
前記素子の配置は、電源や入出力のパッド部を除く余剰スペースに配置すればよく、制御回路と素子のチップ面積に対する影響を最小限度にとどめながら、余剰スペースに有効活用することが可能になる。出力されるパターンイメージは、設計する製品ごとに任意であり、規則はないが、1次元もしくは2次元にバーコード配置することで、効率的な検知が可能となる。また出力強度やクロック同期による連続出力を制御回路で工夫することにより、さらに出力データ量を増やせる効果がある。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、余分な外部テスト端子を設定せずに、チップ情報を出力するための制御回路と素子を設け、非接触に製造情報や検査情報を取り出せる半導体集積回路と、光学または磁場の検知装置とを組み合わせ、LSIテスタと連動したシステムにすることで、実際の製品において、セキュリティを確保しながら、半導体集積回路の品質を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の半導体集積回路を具体例に基づいて説明する。
(実施の形態1)
チップ情報を熱エネルギーとして出力する素子を備えた半導体集積回路Aと読み取り用の熱検知装置について図1〜図3に基づいて説明する。
【0026】
図1に示すように、目的とする機能を実現する回路が構築されている半導体集積回路Aの半導体基板100上には、自分自身が正常に動けるのか自己診断するBIST(Built In Self Test)回路部101と、素子105と発熱を促す抵抗106が構成されている。なお、この例ではレジスタ群103と素子105とによって、半導体基板に所定の入力信号によって活性化する制御回路107が構成されている。この例における半導体集積回路チップ情報は、BIST回路部101のレジスタ群103に格納されている自己診断結果の試験情報である。
【0027】
チップ情報を読み出す資格を有する検査者が、半導体集積回路の活性化信号102を所定の読み出し許可状態にセットした活性状態では、この所定の活性化信号102が印加されたレジスタ群103の出力104からは、チップ情報が読み出されて素子105へ出力され、このチップ情報により素子105のオンとオフを制御して抵抗106への通電が制御される。一方、活性化信号102が読み出し許可状態にセットされない非活性状態では、レジスタ群103からチップ情報の読み出しが行われない。
【0028】
この構成によると、活性化信号102を所定の読み出し許可状態にセットした活性状態において、発熱(赤外光)を捕らえることが可能な検知装置により抵抗106を観察することによって、電気経路を介さず非接触にBIST回路部101からチップ情報としての試験情報を読み出すことができる。素子105と抵抗106で構成される出力回路は、比較的少スペースで構造がシンプルであるため、余剰スペースを有効に活用できるレイアウト上のメリットがある。
【0029】
図2は試験情報の具体例を示しており、レジスタ群103には、不良テスト番号、不良カテゴリ、不良アドレス、不良エリア等の試験情報108が格納されている。この試験情報を、電気経路を介さず非接触に試験情報を取り出すことにより、実際の故障部位でなく、故障内容の特定など検査用途でメリットがある。
【0030】
図3は非接触に試験情報を取り出すことができる熱検知装置を示す。
熱検知装置109は、赤外光を画像として捕らえる光学装置部110とその出力に接続された画像処理部111を有している。
【0031】
メタル配線層113を上側にして半導体集積回路Aをボード112上に固定し、半導体集積回路Aの上面に前記光学装置部110の受光窓を向けることによって、チップ情報に応じて前記抵抗106が発熱して発生した赤外線114が、光学装置部110にて画像として捕らえられる。これを画像処理部111によって検査できる。なお、画像処理部111は外部の記憶装置やディスプレイデバイスに出力できるように構成されている。
【0032】
なお、図3(b)に示すように、フリップチップタイプでメタル配線層113を下側にしてボード112に実装されているような半導体集積回路Aの場合には、光学装置部110からシリコン基板を透過する観測用赤外光116を半導体集積回路Aに対して照射して半導体集積回路Aでの反射光を光学装置部110で検出する。このとき、光学装置部110で検出される反射光は、チップ情報に応じて前記抵抗106が発熱して発生した赤外線114の干渉を受けているため、光学装置部110はチップ情報を読み取って同様に画像として捕らえることで検査できる。
【0033】
(実施の形態2)
上記の(実施の形態1)では、チップ情報はBIST回路部101の試験情報であったが、チップ情報は半導体集積回路の製造情報であっても図4に示すように同様に実施できる。
【0034】
図4では、目的とする機能を実現する回路が構築されている半導体集積回路の半導体基板100上には、ROM部116と、素子105と発熱を促す抵抗106が構成されている。ROM部116のメモリ117には、製品番号、ロット、スライス、製造工場等の製造情報118が格納されている。この例ではROM部116と素子105とによって、半導体基板に所定の入力信号によって活性化する制御回路107が構成されている。
【0035】
活性化信号102を所定の読み出し許可状態にセットした活性状態において、メモリ117の出力119から素子105へチップ情報が出力され、このチップ情報により素子105のオンとオフを制御して抵抗106への通電が制御される。
【0036】
この構成によると、発熱赤外光を捕らえることが可能な前記熱検知装置により抵抗106を観察することによって、電気経路を介さず非接触に製造情報を読み出すことができる。素子105と抵抗106で構成される出力回路は、比較的少スペースで構造がシンプルであるため、余剰スペースを有効に活用できるレイアウト上のメリットがある。
【0037】
(実施の形態3)
上記の各実施の形態では、素子106の出力レベルは切り換えることができなかったが、ここでは(実施の形態1)の場合を例に挙げて出力レベルを可変にした半導体集積回路Aを図5に基づいて説明する。同一の作用を成すものには同一の符号を付けて説明する。
【0038】
図5に示すように半導体基板100上には、形成サイズ(幅:W/長さ:L)の異なる選択トランジスタ120,121,122と、カレントミラー回路123と、素子124,125,126と、発熱を促す抵抗106などが設けられている。
【0039】
ここで選択トランジスタ120のサイズは4W/L,選択トランジスタ121のサイズは2W/L,選択トランジスタ122のサイズはW/Lであり、選択トランジスタ120の出力に直列に素子124が接続され、選択トランジスタ121の出力に直列に素子125が接続され、選択トランジスタ122の出力に直列に素子126が接続され、素子125〜126の一端は互いに接続されて前記抵抗106を介して接地されている。
【0040】
素子125〜126の入力は、同一半導体基板100上に構成されたBIST回路部101から得られるチップ情報が所定の活性化信号102によりレジスタ群103の出力104に出力された各ビット信号でスイッチングされている。
【0041】
このように構成したため、出力104の出力レベルにより、選択トランジスタ120〜122のうちの単数または複数を介して抵抗106に通電されて、出力104の出力レベルにより抵抗106の発熱量が変化する。ここではカレントミラー回路123により定電流性が確保されているため、異なる発熱を安定して発することが可能となる。
【0042】
したがって、図3(a)(b)で説明したような熱検知装置109の光学装置部の受光窓を半導体集積回路Aに向けることによって、BIST回路部101の試験結果を外部から非接触で読み取ることができる。輝度の変化の段数により情報量を増やせる効果がある。
【0043】
なお、ここでは試験情報に応じて抵抗106の発熱量を変化させたが、チップ情報は、製品番号、ロット、スライス、製造工場等の製造情報であっても同様に実施できる。
(実施の形態4)
上記の(実施の形態1)(実施の形態2)ではチップ情報のビット毎に抵抗106を設けてチップ情報を熱エネルギーとして出力し、(実施の形態3)では素子106の出力レベルを切り換えて単一の抵抗106によって複数ビットのチップ情報を出力したが、この(実施の形態4)では、チップ情報を熱エネルギーとして時分割でビット毎に複数回にわたって出力する点だけが異なっている。
【0044】
図6(a)に示すように、半導体基板100上に、カウンタ127、直列接続されたDフリップフロップ128,129・・・で構成されたシフトレジスタ130、素子105、発熱を促す抵抗106が設けられている。
【0045】
活性化信号133が所定の読み出し許可状態にセットされた活性状態では、同一半導体基板100上に構成されたBIST回路部101のレジスタ群103からは、カウンタ127の出力135によって切り換えの指示を受けるたびに出力ビットを切り換えて出力131にビット直列で出力される。
【0046】
図6(b)に示すように、クリア信号132によってカウンタ127とシフトレジスタ130のクリア動作を実行後に、活性化信号133が活性化状態にセットされると、クロック信号134に同期してカウンタ127の出力135に基づいて上記のようにレジスタ群103からシフトレジスタ130へ出力ビットを切り換えて出力され、シフトレジスタ130の出力からビット直列で出力されたチップ情報によって素子105をオン/オフして抵抗106への通電を制御している。
【0047】
したがって、クロック信号134のタイミングでチップ情報が出力131に順次出力されるので、図3(a)(b)で説明したような熱検知装置109の光学装置部の受光窓を半導体集積回路Aに向けることによって、BIST回路部101の試験結果を外部から非接触で読み取ることができる。さらに時間軸により情報量を増やせる効果がある。
【0048】
なお、ここでは試験情報に応じて抵抗106の発熱量を変化させたが、チップ情報は、製品番号、ロット、スライス、製造工場等の製造情報であっても同様に実施できる。
(実施の形態5)
上記の各実施の形態では、抵抗106からはチップ情報だけが出力されていたが、この(実施の形態5)ではセキュリティの向上を目的としてチップ情報が非活性のビットに対して、抵抗106から任意の出力状態が出力される点だけが異なっている。
【0049】
図7に示すように、半導体基板上100上に、乱数発生回路136、マルチプレクサ137、シフトレジスタ138と、素子105と、抵抗106などが設けられている。
活性化信号133が所定の読み出し許可状態にセットされた活性状態では、同一半導体基板100上に構成されたBIST回路部101から得られるチップ情報が、レジスタ群103から読み出されて、クロック信号134に同期してマルチプレクサ137を介してシフトレジスタ138へ出力され、素子105をオン/オフして抵抗106への通電を制御している。図7では図6に見られたカウンタ127の図示が省略されている。
【0050】
一方、活性化信号133が非活性状態の場合には、乱数発生回路136による出力がマルチプレクサ137を介してシフトレジスタ138へ出力されるため、発熱を促す抵抗を備える素子106からは、無意味なチップ情報として出力され、セキュリティを向上させることが可能となる。
【0051】
具体的には、活性化信号133が活性状態と非活性状態にかかわらずに、素子106からは何らかの変化した情報が出力されているため、チップ情報を読み出す資格を有していない者が、前記活性状態にセットされた状態を不正に探し出そうとして、図3(a)(b)で説明したような熱検知装置109を使用して読み取りを実行しても、熱検知装置109の読み取り内容からだけでは活性化信号133の活性状態と非活性状態を判別することができない。
【0052】
一方、チップ情報を読み出す資格を有する検査者の場合には、半導体集積回路の活性化信号102を所定の読み出し許可状態にセットした活性状態にしてから熱検知装置109で読み取るか、あるいは熱検知装置109で読み取りながら活性化信号102を非活性状態から活性状態に切り換えて、熱検知装置109の読み取りのうちの活性化信号102が活性状態の期間の読み取り結果だけを有効なチップ情報として採用する。
【0053】
(実施の形態6)
図8は(実施の形態6)を示す。
(実施の形態5)では活性化信号102が非活性状態では乱数発生回路136の出力でシフトレジスタ138と素子105を介して抵抗106への通電を制御して不正な読み取りを攪乱したが、図8では、活性化信号133をインバータ139を介して前記シフトレジスタ138のクリア端子CLRに接続されている。したがって、活性化信号133が活性状態にセットされた状態では、BIST回路部101から得られるチップ情報が、レジスタ群103から読み出されて、前記クロック信号134に同期してシフトレジスタ138へ出力され、素子105をオン/オフして抵抗106への通電を制御している。なお、図8では図6に見られたカウンタ127の図示が省略されている。
【0054】
一方、活性化信号133が非活性状態の場合には、インバータ139を介してシフトレジスタ138がクリアされて、シフトレジスタ138の出力から繰り返し“0”が読み出されて、素子105を介して抵抗106が連続して通電される。つまり、活性化信号133が非活性状態である通常の運転モードでは、発熱を促す抵抗106からは無意味なチップ情報として出力され、チップ情報の読み出し機能を有した半導体集積回路かどうか判別することができず、簡易な制御でセキュリティを向上させることが可能となる。
【0055】
(実施の形態7)
図9は(実施の形態7)を示す。
(実施の形態6)では活性化信号133が非活性状態の場合には、抵抗106を連続して通電してセキュリティを向上させたが、この図9では活性化信号133がインバータ139を介して前記シフトレジスタ138のプリセット端子PRに接続されている点だけが図8とは異なっている。
【0056】
したがって、活性化信号133が活性状態にセットされた状態では、BIST回路部101から得られるチップ情報が、レジスタ群103から読み出されて、前記クロック信号134に同期してシフトレジスタ138へ出力され、素子105をオン/オフして抵抗106への通電を制御している。
【0057】
一方、活性化信号133が非活性状態の場合には、インバータ139を介してシフトレジスタ138が“1”にプリセットされて、シフトレジスタ138の出力から繰り返し“1”が読み出されて、素子105を繰り返しオフして抵抗106への通電が連続してオフされる。
【0058】
つまり、活性化信号133が非活性状態である通常の運転モードでは、チップ情報の読み出し機能を有した半導体集積回路かどうか判別することができず、簡易な制御でセキュリティを向上させることが可能となる。また、消費電流が低減できるメリットも生まれる。
【0059】
(実施の形態8)
図10は図1に示した別の実施の形態を示す。
図1では各抵抗106の一端は直接に接地されていたが、この図10の例では各抵抗106の一端は互いに接続してメタルヒューズ140を介して接地されている。
【0060】
このように構成した場合には、検査時のチップ情報取得後にレーザートリマ等によりメタルヒューズ140を切断することによって、抵抗106そのものの機能を停止させることで、セキュリティを大幅に向上させることが可能となる。
【0061】
ここでは(実施の形態1)の場合を例に挙げて説明したが、その他の実施の形態においても抵抗106と直列にメタルヒューズ140を挿入して同様に実施できる。
(実施の形態9)
図11は図10に示した別の実施の形態を示す。
【0062】
図10では各抵抗106の一端は直接にメタルヒューズ140が挿入されていたが、この実施の形態では電気ヒューズ141と切断用ドライバ回路部142が設けられている点だけが異なっている。143は切断用信号である。
【0063】
したがって、検査時のチップ情報の取得後に活性化信号133を非活性状態(活性化信号は、抵抗106の電流パスを遮断するトランスファゲートを制御しており、切断時はオフ状態になる)、および切断用信号143を活性状態にして、切断用ドライバ回路部142により、ミリアンペアオーダーの電流を電気ヒューズ141に通させることで、高抵抗状態を作り出すことになり、各抵抗106そのものの機能を停止することが可能となり、レーザートリマ等の特殊な装置を必要とせず、セキュリティを大幅に向上させることが可能となる。
【0064】
なお、切断用ドライバ回路部142は次のように動作する。
活性化信号133は、素子105への出力および抵抗106の通電・遮断をトランスファゲート142Aにて制御する役目をしている。活性状態で素子105への出力が行われ、トランスファゲート142Aがオンすることで、電流パスが確保され、所望の発熱114がなされる。また非活性状態では、素子105への出力が禁止され、トランスファゲート142Aがオフすることで、電流パスが遮断される。
【0065】
ここで活性化信号133を非活性状態にし、抵抗106の電流パスを遮断した状態で、切断用信号143を活性状態にすることで予めミリアンペアオーダーの駆動能力を確保した電気ヒューズ切断用ドライバ142Bをオンにすることで、素子105や抵抗106に影響されることなく、電気ヒューズ141が切断される。
【0066】
(実施の形態10)
図12は図10に示した別の実施の形態を示す。
図10では各抵抗106の一端は直接にメタルヒューズ140が挿入されていたが、この実施の形態ではフラッシュメモリ144とフラッシュメモリ制御回路部145が設けられている点だけが異なっている。フラッシュメモリ144は抵抗106に直列に接続されており、チップ情報の取得時にはフラッシュメモリ144のメモリセル電流が流れるオンの状態で使用する。
【0067】
チップ情報の取得後に活性化信号133を非活性状態、およびWE信号146を活性状態にして、フラッシュメモリ制御回路部145により、フラッシュメモリ144のデータを全てメモリセル電流が流れないオフの状態に書き換えて抵抗106の機能を停止する。また再度、検査の必要性が発生した場合には、フラッシュメモリ144の特徴を活かし、メモリセル電流が流れるオンの状態に書き換えることで抵抗106の機能を再生することができ、セキュリティと検査容易性を共存させることが可能となる。フラッシュメモリ144は活性状態では出力回路がオン、非活性状態では出力回路がオフ、前記書き換え後のフラッシュメモリ144は出力回路が常時オフ状態である。
【0068】
なお、フラッシュメモリ制御回路部145は次のように動作する。
活性化信号133は、素子105への出力、フラッシュメモリのオン状態制御および抵抗106の通電・遮断をトランスファゲート145Cにて制御する役目をしている。活性状態で素子105への出力が行われ、トランスファゲート145Cがオンし、かつフラッシュメモリ144のチャネルがオンすることで、電流パスが確保され、所望の発熱114がなされる。フラッシュメモリ144のオン状態は通常電源Vddをフラッシュメモリ144のゲートに印加されればよい。また非活性状態では、素子105への出力が禁止されトランスファゲート145Cがオフし、フラッシュメモリ144のチャネルがオフすることで、電流パスが遮断される。
【0069】
ここで活性化信号133を非活性状態にし、抵抗106の電流パスを遮断した状態で、書き換え許可信号146を活性状態にすることでフラッシュメモリ制御回路145Dからフラッシュメモリのデータ書き換えに必要な高電圧が発生され、フラッシュメモリ144のゲートと基板間に印加されることにより、素子105や抵抗106に影響されることなく、フラッシュメモリ144のチャネルを常時オフにさせることが可能になる。
【0070】
(実施の形態11)
図13(a)は上記各実施の形態における各素子105と各抵抗106の半導体基板100における具体的な配置例を示している。このように素子105と抵抗106の各ユニット147は、半導体基板100上の入出力バッファや電源を含むパッド部148を除く任意の余剰スペースに、直列に所定間隔で並べて横一列に配置されている。ここでは、前記熱検知装置109により読み取る際に検出エリアを限定できるように、半導体基板100の左右の端部に並べて配置されたパッド部148の列の間の半導体基板100の辺149に接近させて前記各ユニット147が並べられている。
【0071】
このように構成したため、前記活性化信号133を活性状態にしたチップ情報の読み取り状態では、図13(b)に仮想線で示すように半導体基板100の辺149の近傍で各ユニット147の抵抗106の位置150からチップ情報に応じて発熱した赤外線が発生する。したがって、前記熱検知装置109の光学装置部110の受光窓を辺149の近傍に向けて読み取ることができ、画像処理部111が読み取り結果をバーコード等の扱いで画像を処理することによって、CADレイアウトとの画像の重ね合わせなどを必要とせず、比較的シンプルな構成でチップ情報を特定して読み取ることができる。
【0072】
(実施の形態12)
図13では素子105と抵抗106の各ユニット147を一次元配置したが、この(実施の形態12)では2次元配置した別の具体例を示している。
【0073】
図14(a)に示すように、素子105と抵抗106の各ユニット147が、半導体基板100上の入出力バッファや電源を含むパッド部148を除く任意の余剰スペースに、直列に所定間隔で並べて横一列に配置され、さらにパッド部148の配列方向に縦方向にも並べられている。
【0074】
このように構成したため、前記活性化信号133を活性状態にしたチップ情報の読み取り状態では、図14(b)に仮想線で示すように各ユニット147の抵抗106の位置150からチップ情報に応じて発熱した赤外線が発生し、前記熱検知装置109の光学装置部110の受光窓を向けて読み取ることによって、2次元バーコード画像として効率的にチップ情報を出力することが可能となる。また1次元配置に対して、チップ情報量を増やせる効果がある。
【0075】
(実施の形態13)
図15は図14に示したようにチップ情報を2次元バーコード画像として出力できる半導体集積回路Aの具体的な検査方法を示している。
【0076】
図15(a)に示したように、試験信号がLSIテスタ151からテストヘッド152に送られ、その電気信号をボード112で受け、半導体集積回路Aの前記半導体基板100に印加される。試験信号に応答して半導体集積回路Aの前記各ユニット147の抵抗106の発熱による赤外光114は、光学装置部110と画像処理部111により画像を意味のある検査データ153に変換される。具体的には、図15(b)に示すように光学装置部110を介して画像処理部111に入力された2次元バーコード画像154のパターンに応じてコード情報155が前記検査データ153として出力される。
【0077】
この検査データ153はLSIテスタ151に読み取られて前記試験信号に対する試験結果として対応付けて記憶された後に、LSIテスタ151のディスプレイ156上に具体的な試験結果の内容157を表示する。このようにLSIテスタ151のテストヘッド152を経由して試験結果を取得する必要がない。
【0078】
図16(a)はこの場合の具体的な検査フローを示している。
検査開始後、通常試験S1を実行し、例えばRAMの不良アドレス情報を読み出し、LSIテスタ151の記憶媒体に登録S2する。さらにLSIテスタ151に記憶された試験情報を読み出しS3、ヒューズや不揮発メモリにより冗長救済を実行S4し、検査を終了する。以上より、LSIテスタのテストヘッド側よりチップ情報を取得せずに、非接触にチップ情報を取り出し、プログラムのシーケンス変更、冗長救済、トリミング動作等の実行がLSIテスタと連動することで検査時に実行でき、高品質、高歩留の製品を提供できる。
【0079】
なお、図15では試験信号に応答して半導体集積回路Aから赤外光114で出力されディスプレイ156に表示したチップ情報が、フェイルアドレスの番地表示の場合であったが、同様にLSIテスタ151からテストヘッド152を介して半導体集積回路Aのチップ情報の製造情報を読み出すように指示して、半導体集積回路Aから赤外光114で製造情報を読み出す場合も同様である。図17(a)(b)はこの場合を示しており、LSIテスタ151のディスプレイ156上に製造番号,ロット番号,スライスなどの読み出し結果を表示している。さらに、この場合の検査フローを図16(b)に示す。この検査フローは、検査開始後、製造情報を読み出しS1、製造情報をLSIテスタ151の記憶媒体に登録S2する。さらに検査実行時にLSIテスタ151に記憶された製造情報をフラグとし、テストプログラムのシーケンスをソフトにて切り替えS3、通常試験S4を実行し、検査を終了する。例えば、製造情報により、多品種のプログラムやRAM容量のプログラム切り替えを汎用性の高い1本の検査プログラムにて実行することが可能となる。
【0080】
なお、この(実施の形態13)ではチップ情報を2次元バーコード画像として出力できる半導体集積回路Aの場合であったが、チップ情報を図13のように1次元バーコード画像として出力できる半導体集積回路Aの場合も同様である。
【0081】
(実施の形態14)
図18(a)は、図10,図11または図12に示したようにセキュリティ対策のためにメタルヒューズ140または電気ヒューズ141を有する半導体集積回路Aを、LSIテスタ151と組み合わせて検査する場合の具体的なフローを示している。この場合は、検査開始後、製造情報を読み出しS1、製造情報をLSIテスタの記憶媒体に登録S2する。さらに検査実行時、LSIテスタ151に記憶された製造情報をフラグとし、テストプログラムのシーケンスをソフトにて切り替えS3、通常試験S4を実行し、その後、ヒューズを切断S5して、検査を終了する。製造情報を出力する素子の機能を停止させるため、再度読み出すことが不可能になる。
【0082】
図18(b)は、図12に示したようにセキュリティ対策のためにフラッシュメモリ144とフラッシュメモリ制御回路部145を有する半導体集積回路Aを、LSIテスタ151と組み合わせて検査する場合の具体的なフローを示している。この場合は、検査開始後、通常試験S1を実行し、例えばRAMの不良アドレス情報を読み出しS2、LSIテスタ151の記憶媒体に登録S3する。さらにLSIテスタ151に記憶された試験情報に基づき、不揮発メモリとしてのフラッシュメモリ144により冗長救済を実行S4し、その後、不揮発メモリのデータをメモリセル電流が全て流れない状態に書き換えS5を行い、切断して検査を終了する。試験情報を出力する素子の機能を停止させるため、再度読み出すことが不可能になる。
【0083】
図18(c)はチップ情報を再出力可能な状態にする具体的なフローを示している。この場合は、検査開始後、チップ情報を出力する素子の機能を停止するために設けていた不揮発メモリのデータを書き換えて再度機能するよう書き換えS1、その後に製造情報を読み出しS2、製造情報登録S3する。解析試験を実施S4し、解析試験による試験情報を読み出しS5、その後試験情報を登録S6して解析試験を終了する。これにより出荷後に解析が必要になった場合でも、チップ情報を再出力可能にし、検査を容易にすることが可能となる。
【0084】
(実施の形態15)
上記の各実施の形態ではチップ情報を熱として出力する素子を備えた半導体集積回路Aの場合を例に挙げて説明したが、熱として出力する素子を光信号として出力する素子に置換した半導体集積回路Bの場合でも同様の効果を期待できる。
【0085】
図19に示すように、目的とする機能を実現する回路が構築されている半導体集積回路の半導体基板100上には、自分自身が正常に動けるのか自己診断するBIST(Built In Self Test)回路部101と、素子105と発光を促すダイオード158が構成されている。なお、この例ではレジスタ群103と素子105とによって、半導体基板に所定の入力信号によって活性化する制御回路107が構成されている。この例における半導体集積回路チップ情報は、BIST回路部101のレジスタ群103に格納されている自己診断結果の試験情報または製造情報である。
【0086】
チップ情報または製造情報を読み出す資格を有する検査者が、半導体集積回路の活性化信号102を所定の読み出し許可状態にセットした活性状態では、この所定の活性化信号102が印加されたレジスタ群103の出力104からは、チップ情報が読み出されて素子105へ出力され、このチップ情報により素子105のオンとオフを制御してダイオード158への通電が制御される。一方、活性化信号102が読み出し許可状態にセットされない非活性状態では、レジスタ群103からチップ情報の読み出しが行われない。
【0087】
この構成によると、活性化信号102を所定の読み出し許可状態にセットした活性状態において、発光を捕らえることが可能な検知装置によりダイオード158を観察することによって、電気経路を介さず非接触にBIST回路部101からチップ情報としての試験情報を読み出すことができる。素子105とダイオード158で構成される出力回路は、比較的少スペースで構造がシンプルであるため、余剰スペースを有効に活用できるレイアウト上のメリットがある。かつ抵抗106による熱エネルギーによるチップ情報の出力の場合よりもより高速に出力することが可能となる。
【0088】
図20は非接触に試験情報を取り出すことができる光検知装置を示す。
熱検知装置159は、ダイオード158の発光を画像として捕らえる光学装置部160とその出力に接続された画像処理部111を有している。
【0089】
メタル配線層113を上側にして半導体集積回路Aをボード112上に固定し、半導体集積回路Aの上面に前記光学装置部160の受光窓を向けることによって、チップ情報に応じた前記ダイオード158の発光161が、光学装置部160にて画像として捕らえられる。これを画像処理部111によって検査する。なお、画像処理部111は外部の記憶装置やディスプレイデバイスに出力できるように構成されている。
【0090】
なお、この図19と図20では図1と図3に対応して異なる点について説明したが、図4〜図18についても抵抗106をダイオード158に置換するだけで同様に実施することができる。
【0091】
(実施の形態16)
上記の図1〜図18ではチップ情報を熱として出力する素子を備えた半導体集積回路Aの場合を例に挙げて説明したが、熱として出力する素子を磁力線として出力する素子に置換した半導体集積回路Cの場合でも同様の効果を期待できる。
【0092】
図21に示すように、目的とする機能を実現する回路が構築されている半導体集積回路の半導体基板100上には、自分自身が正常に動けるのか自己診断するBIST(Built In Self Test)回路部101と、素子105と磁力線を促す配線コイル162が構成されている。なお、この例ではレジスタ群103と素子105とによって、半導体基板に所定の入力信号によって活性化する制御回路107が構成されている。この例における半導体集積回路チップ情報は、BIST回路部101のレジスタ群103に格納されている自己診断結果の試験情報または製造情報である。
【0093】
チップ情報または製造情報を読み出す資格を有する検査者が、半導体集積回路の活性化信号102を所定の読み出し許可状態にセットした活性状態では、この所定の活性化信号102が印加されたレジスタ群103の出力104からは、チップ情報が読み出されて素子105へ出力され、このチップ情報により素子105のオンとオフを制御して配線コイル162への通電が制御される。一方、活性化信号102が読み出し許可状態にセットされない非活性状態では、レジスタ群103からチップ情報の読み出しが行われない。
【0094】
この構成によると、活性化信号102を所定の読み出し許可状態にセットした活性状態において、磁力線を捕らえることが可能な検知装置により配線コイル162を観察することによって、電気経路を介さず非接触にBIST回路部101からチップ情報としての試験情報を読み出すことができる。
【0095】
図22(a)は非接触に試験情報を取り出すことができる磁場検知装置を示す。
磁場検知装置163は、配線コイル162の磁力線の分布を画像として捕らえる磁場検出部164とその出力に接続された画像処理部111を有している。
【0096】
メタル配線層113を上側にして半導体集積回路Cをボード112上に固定し、半導体集積回路Cの上面に前記磁場検出部164の検知窓を向けることによって、チップ情報に応じた前記配線コイル162の磁束165が、光学装置部160にて磁力線の分布画像として捕らえられる。これを画像処理部111によって検査する。なお、画像処理部111は外部の記憶装置やディスプレイデバイスに出力できるように構成されている。
【0097】
なお、先のように熱エネルギーや光エネルギーによるチップ情報の読み出しの場合、半導体集積回路の実装方法がフリップチップ実装の場合には、メタル配線層113によって一部が遮られてチップ情報を取得しにくいが、配線コイル162を備えた半導体集積回路Cの場合には、図22(b)に示すように、メタル配線層113を下側にしてボード112に実装されているような場合であっても、メタル配線層113を透過して得られる磁力線を磁場検出部164によって捕らえることで、フリップチップタイプのものでも、非常に短時間に検査を容易とする構成となっている。
【0098】
なお、この図21と図22では図1と図3に対応して異なる点について説明したが、図4〜図18についても抵抗106を、磁力線を促す配線コイル162に置換するだけで同様に実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明にかかる半導体集積回路および検査方法は、製造情報(チップID)や検査情報を物理的に取り出しにくい、多層SiP・フリップチップ等の製品分野や非接触ICカード等の用途にも適用できる。さらに今後、車載分野で強化される半導体のトレーサビリティにも十分対応が可能な技術である。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の(実施の形態1)のチップ情報を熱エネルギーとして出力する素子を備えた半導体集積回路Aの構成図
【図2】同実施の形態のチップ情報である試験情報の具体例を示す構成図
【図3】同実施の形態において使用する熱検知装置の構成図
【図4】本発明の(実施の形態2)のチップ情報としての製造情報を熱エネルギーとして出力する素子を備えた半導体集積回路Aの構成図
【図5】本発明の(実施の形態3)のチップ情報を熱エネルギーとして出力する素子を備えた半導体集積回路Aの構成図
【図6】本発明の(実施の形態4)のチップ情報を熱エネルギーとして出力する素子を備えた半導体集積回路Aの構成図
【図7】本発明の(実施の形態5)のチップ情報を熱エネルギーとして出力する素子を備えた半導体集積回路Aの構成図
【図8】本発明の(実施の形態6)のチップ情報を熱エネルギーとして出力する素子を備えた半導体集積回路Aの構成図
【図9】本発明の(実施の形態7)のチップ情報を熱エネルギーとして出力する素子を備えた半導体集積回路Aの構成図
【図10】本発明の(実施の形態8)のチップ情報を熱エネルギーとして出力する素子を備えた半導体集積回路Aの構成図
【図11】本発明の(実施の形態9)のチップ情報を熱エネルギーとして出力する素子を備えた半導体集積回路Aの構成図
【図12】本発明の(実施の形態10)のチップ情報を熱エネルギーとして出力する素子を備えた半導体集積回路Aの構成図
【図13】本発明の(実施の形態11)のチップ情報を熱エネルギーとして出力する素子を備えた半導体集積回路Aの構成図
【図14】本発明の(実施の形態12)のチップ情報を熱エネルギーとして出力する素子を備えた半導体集積回路Aの構成図
【図15】本発明の(実施の形態13)の試験情報の検査方法の説明図
【図16】同実施の形態のフローチャート
【図17】同実施の形態の製造情報の検査方法の説明図
【図18】本発明の(実施の形態14)の半導体集積回路Aにおいてセキュリティを向上させる場合のフローチャート図
【図19】本発明の(実施の形態15)のチップ情報を光エネルギーとして出力する素子を備えた半導体集積回路Bの構成図
【図20】同実施の形態において使用する光検知装置の構成図
【図21】本発明の(実施の形態16)のチップ情報を磁気エネルギーとして出力する素子を備えた半導体集積回路Cの構成図
【図22】同実施の形態において使用する磁場検知装置の構成図
【符号の説明】
【0101】
A,B,C 半導体集積回路
100 半導体基板
101 BIST(Built In Self Test)回路部
102 活性化信号
103 レジスタ群
105 素子
106 発熱を促す抵抗
107 制御回路
108 試験情報
109 熱検知装置
110 光学装置部
111 画像処理部
114 赤外線
118 製造情報
140 メタルヒューズ
141 電気ヒューズ
144 フラッシュメモリ
145 フラッシュメモリ制御回路部
151 LSIテスタ
158 発光を促すダイオード
159 光検知装置
161 発光
160 光学装置部
162 磁力線を促す配線コイル
163 磁場検知装置
164 磁場検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板に所定の入力信号によって活性化する制御回路と、
前記制御回路の出力によってチップ情報を熱エネルギーまたは光信号または磁力線として出力する素子と
を有する半導体集積回路。
【請求項2】
チップ情報が製造情報または試験情報であることを特徴とする
請求項1記載の半導体集積回路。
【請求項3】
素子を1次元に配置または2次元に配置したことを特徴とする
請求項1記載の半導体集積回路。
【請求項4】
素子の出力が可変量であることを特徴とする
請求項1記載の半導体集積回路。
【請求項5】
制御回路の活性化によって熱エネルギーまたは光信号または磁力線を複数回にわたって出力することを特徴とする
請求項1記載の半導体集積回路。
【請求項6】
制御回路が非活性時に、素子が任意の出力状態であることを特徴とする
請求項1記載の半導体集積回路。
【請求項7】
任意の出力状態が、全てが選択され熱エネルギーまたは光信号または磁力線を出力している状態であることを特徴とする
請求項6記載の半導体集積回路。
【請求項8】
任意の出力状態が、全てが選択され熱エネルギーまたは光信号または磁力線を出力していない状態であることを特徴とする
請求項6記載の半導体集積回路。
【請求項9】
素子に直列にヒューズを備え、チップ情報を出力後に前記ヒューズが切断されることを特徴とする
請求項1記載の半導体集積回路。
【請求項10】
素子に直列に不揮発メモリを備え、チップ情報を出力後に前記不揮発メモリのデータを非出力状態にすることを特徴とする
請求項1記載の半導体集積回路。
【請求項11】
チップ情報を熱エネルギーとして出力する半導体集積回路に対して読み取りに使用される熱検知装置であって、
前記半導体集積回路からの熱エネルギーを赤外光として捕らえる光学装置部と、
前記光学装置部で検出した情報をデータ変換してチップ情報を取り出す処理部と
を備えた熱検知装置。
【請求項12】
チップ情報を光信号として出力する半導体集積回路に対して読み取りに使用される光検知装置であって、
前記半導体集積回路からの発光を捕らえる光学装置部と、
前記光学装置部で受光した情報をデータ変換してチップ情報を取り出す処理部と
を備えた光検知装置。
【請求項13】
チップ情報を磁力線として出力する半導体集積回路に対して読み取りに使用される磁場検知装置であって、
前記半導体集積回路からの磁力線を捕らえる磁場検知装置部と、
前記磁場検知装置部で検出した情報をデータ変換してチップ情報を取り出す処理部と
を備えた磁場検知装置。
【請求項14】
請求項11記載の熱検知装置または請求項12記載の光検知装置または請求項13に記載の磁場検知装置のうちの何れかとLSIテスタを連動させ、前記検知装置が読み取ったチップ情報をLSIテスタにより解析する
半導体集積回路の検査方法。
【請求項15】
請求項11記載の熱検知装置または請求項12記載の光検知装置または請求項13に記載の磁場検知装置のうちの何れかとLSIテスタを連動させ、前記検知装置が読み取ったチップ情報をLSIテスタにより検査する
半導体集積回路の検査方法。
【請求項16】
チップ情報により検査フローを制御することを特徴とする
請求項15記載の半導体集積回路の検査方法。
【請求項17】
請求項9または請求項10に記載の半導体集積回路を検査するに際し、
請求項11記載の熱検知装置または請求項12記載の光検知装置または請求項13に記載の磁場検知装置のうちの何れかとLSIテスタを連動させ、出荷前の検査工程でヒューズを切断または不揮発メモリのデータを非出力状態にする
半導体集積回路の検査方法。
【請求項18】
請求項10に記載の半導体集積回路を検査するに際し、
請求項11記載の熱検知装置または請求項12記載の光検知装置または請求項13に記載の磁場検知装置のうちの何れかとLSIテスタを連動させ、出荷前の検査工程で不揮発メモリのデータを非出力状態とし、その後に前記不揮発メモリを再度接続状態に書き換えてチップ情報を再度出力できるようにする
半導体集積回路の検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2006−229087(P2006−229087A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−43293(P2005−43293)
【出願日】平成17年2月21日(2005.2.21)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】