説明

半導体集積回路のレイアウトデータ作成装置及びレイアウトデータ作成方法、半導体装置の製造方法

【課題】半導体集積回路の検証精度を向上し、高信頼性、高歩留まり且つ高集積の半導体装置を実現すること。
【解決手段】半導体集積回路の仕様の情報に基づき論理回路図を設計する論理回路図設計部と、論理回路図に基づきレイアウトデータを作成するレイアウトデータ作成部と、レイアウトデータから配線の抵抗の情報を抽出する抵抗情報抽出部と、回路シミュレーションを実行する回路シミュレーション実行部と、配線の抵抗の情報及び回路シミュレーションの実行結果に基づき配線における電流の向きを識別する電流方向識別部と、配線における電流の向きの情報に基づき配線のレイアウトデータが半導体集積回路の仕様の情報から抽出するデザインルールに違反しているか否かを検証してその検証結果を生成する検証部と、レイアウトデータを出力するデータ出力部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路のレイアウトデータを作成する過程においてエレクトロマイグレーション検証を実行するレイアウトデータ作成装置及びレイアウトデータ作成方法、これにより作成されたレイアウトデータを用いて製造する半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路の金属配線に大きな電流が流れた際などに、エレクトロマイグレーション(Electromigration)と呼ばれる金属原子が移動する現象が発生する場合がある。
【0003】
すなわち、エレクトロマイグレーションにおいては、半導体集積回路の金属配線に電流が流れた際に、流れる電子と金属原子とが衝突した際の運動量交換により、金属原子が電子の流れる方向に応力を受けて移動する。金属原子の飛び出した跡は原子空孔(ボイド)となり、電子流の上流で原子空孔(ボイド)が蓄積される。かかる原子空孔(ボイド)がある程度蓄積されると、金属配線の実行断面積が減少し、最終的には断線して配線の電気的な導通が失われたり、配線の抵抗が増加して信号の伝達に不具合が生じたりする等の問題が発生する。
【0004】
また、エレクトロマイグレーションは、配線の単位断面積あたりの電流(以下、「配線の電流密度」という。)と雰囲気温度によりその発生及び進行が左右されるとされている。例えば、配線寿命は、配線の電流密度の2〜3乗に比例するとされている。
【特許文献1】特開平7−153845号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなエレクトロマイグレーションは、半導体デバイスが故障する主要な原因の一つとなっている。特に、近年急速な発展が進む半導体分野においては、金属配線の微細化・薄膜化に伴って配線の電流密度も増大しており、エレクトロマイグレーションが発生する可能性が高まっている。
【0006】
そのため、エレクトロマイグレーションを防止すべく、半導体集積回路の設計段階においても、作成したレイアウトデータについてエレクトロマイグレーション検証等を実行し、半導体集積回路の信頼性の向上が図られている。
【0007】
そこで、本発明は、半導体集積回路のレイアウトデータを作成する過程において実行するエレクトロマイグレーション検証の検証精度が向上したレイアウトデータ作成装置及び作成方法、このレイアウトデータ作成装置及び作成方法により作成されたレイアウトデータを用いる半導体装置の製造方法を提供することにより、高信頼性、高歩留まり且つ高集積性の半導体集積回路を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態によると、半導体集積回路の仕様の情報に基づいて論理回路図を設計する論理回路図設計部と、設計した前記論理回路図に基づいてレイアウトデータを作成するレイアウトデータ作成部と、作成した前記レイアウトデータから配線の抵抗の情報を抽出する抵抗情報抽出部と、回路シミュレーションを実行する回路シミュレーション実行部と、抽出した前記配線の抵抗の情報及び前記回路シミュレーションの実行結果に基づいて前記配線における電流の向きを識別する電流方向識別部と、識別した前記配線における電流の向きの情報に基づいて前記配線のレイアウトデータが前記半導体集積回路の仕様の情報から抽出するデザインルールに違反しているか否かを検証してその検証結果を生成する検証部と、前記レイアウトデータ作成部により作成された前記レイアウトデータを出力するデータ出力部と、を有することを特徴とする半導体集積回路のレイアウトデータ作成装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一実施形態に係るレイアウトデータ作成装置によれば、配線における電流の向きの情報を考慮したエレクトロマイグレーション検証を自動的に実行することで検証精度が向上し且つ人的負担を軽減することができる。これにより半導体集積回路におけるエレクトロマイグレーションの発生を防止し、高信頼性、高歩留まりの半導体集積回路を実現できるという効果が得られる。また、本発明の一実施形態に係るレイアウトデータ作成装置によれば、配線における電流の向きを考慮したエレクトロマイグレーション検証を実行することで配線のレイアウトデータを許容最小線幅値でチェックすることができる。これにより、配線のオーバースペックを防止し、高集積性の半導体集積回路を実現できるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(本発明に至る経緯)
以下、本発明に至る経緯について、図面を用いて説明する。
【0011】
図8を参照する。図8は、半導体集積回路のレイアウトデータを作成する過程においてエレクトロマイグレーション検証を実行するレイアウトデータ作成方法の一般的な動作を示したフローチャートである。
【0012】
図8で示すとおり、まず設計者が半導体集積回路の仕様を決定する(ステップS1001)。次に、この仕様の情報に基づいて、設計者が論理回路図を設計する(ステップS1002)。次に、設計者が設計された論理回路図に基づいてレイアウトデータを作成する(ステップS1003)。次に、設計者が、レイアウトデータを目視確認して、レイアウトデータの中から線幅値が広く且つ一定の長さを有する配線のレイアウトデータを選択する(ステップS1004)。
【0013】
次に、設計者が当該半導体集積回路について回路シミュレーションを実行し(ステップS1005)、選択した配線のレイアウトデータについてエレクトロマイグレーション検証を実行する(ステップS1006)。
【0014】
ステップS1006のエレクトロマイグレーション検証においては、まず、設計者がデバイススペック値を手計算で算出する。次に、設計者がこの算出したデバイススペック値と当該配線のレイアウトデータの線幅値とを比較対照し、当該配線のレイアウトデータの線幅値がデザインルールを満足しているか否かを検証する。ここで、デバイススペック値は、配線の電流密度、すなわち配線の単位断面積Smあたりに流れる電流I(A)であるI/S(A/m)で表される。つまり、電流が流れた際に配線にかかる負荷の大きさは、デバイススペック値の高さに比例する。そのため、デバイススペック値が高い配線については、エレクトロマイグレーションの発生を防止するためにレイアウトデータ上で配線の線幅値を広くとる必要がある。このようなデバイススペック値に対応した配線のレイアウトデータの線幅値の情報は、デザインルールとして半導体集積回路の仕様の情報に含まれている。
【0015】
エレクトロマイグレーション検証の結果、配線のレイアウトデータの線幅値がデザインルールを満足していない場合には、設計者はレイアウトデータにエラー箇所があると判定する。これに対し、配線のレイアウトデータの線幅値がデザインルールを満足している場合には、設計者はレイアウトデータにエラー箇所がないと判定する(ステップS1007)。
【0016】
このように、設計者がレイアウトデータの中から線幅値が広く且つ一定の長さを有する配線のレイアウトデータを選択してエレクトロマイグレーション検証を実行するのは、以下に述べる理由による。すなわち、ステップS1006のエレクトロマイグレーション検証において、デバイススペック値は、設計者により手計算で算出される。そのため、全ての配線のレイアウトデータについてエレクトロマイグレーション検証を実行したのでは、膨大な配線数を有する半導体集積回路にあって人的負担が大きく、また検証にも長時間を要することとなる。そこで、エレクトロマイグレーションが発生するおそれのある配線に限定して検証を実行する必要がある。
【0017】
上述したとおり、エレクトロマイグレーションは、大きい電流が流れる配線において発生する可能性が高い。大きい電流が流れる配線は、レイアウトデータにおいて線幅が広く書かれているのが通常である。ただ、線幅が広くても長さが短い配線では、大きい電流が流れても配線にかかる負荷は小さく、エレクトロマイグレーションが発生する可能性は低い。そこで、設計者は、上述のような基準に基づいて配線のレイアウトデータを選択し検証を実行する。
【0018】
次に、ステップS1007において、設計者がレイアウトデータにエラー箇所があると判定した場合には、設計者が当該箇所のレイアウトデータを修正する(ステップS1008)。そして、修正したレイアウトデータについて、設計者が再度ステップS1005〜ステップS1007の検証を実行する。ステップS1007においてエラー箇所が検出されなくなるまで、設計者はステップS1005〜ステップS1008を繰り返し実行する。
【0019】
これに対し、ステップS1007において設計者がレイアウトデータにエラー箇所がないと判定した場合には、設計者はレイアウトデータが完成したと判断する(ステップS1009)。
【0020】
以上が、半導体集積回路のレイアウトデータを作成する過程においてエレクトロマイグレーション検証を実行するレイアウトデータ作成方法の一般的な動作である。しかしながら、上述の検証は、設計者がレイアウトデータを目視確認して配線を選別し、手計算でデバイススペック値を計算するなど、人的負担が大きく、また人為的なミスによりエラー箇所の検証漏れなどが発生する可能性がある。そこで、エレクトロマイグレーション検証の検証精度の向上を図る手段の一つとして、以下で説明するような配線の選択作業の確実化・簡易化したレイアウト作成フローが考えられる。
【0021】
図9を参照する。図9は、図8に示すレイアウトデータ作成方法のフローの改善例である。図9と図8とは、図9のステップS1104〜ステップS1105を除き、その余の動作は同様である。そこで、以下ではステップS1104〜ステップS1105の動作について説明するにとどめる。
【0022】
図9に示すとおり、ステップS1104において、設計者がステップS1103において作成されたレイアウトデータから配線の負荷容量の情報を抽出する。
【0023】
次に、抽出した配線の負荷容量の情報の中から、設計者が、負荷容量が大きく且つ回路の動作上重要と考える配線を選択する(ステップS1105)。すなわち、配線の負荷容量の大きな配線では大きい電流が流れ、エレクトロマイグレーションが発生する可能性が高い。また、半導体集積回路の信頼性を確保するためには、回路の動作上重要な配線において不具合の発生を防止する要請が高い。そこで、図9に示すレイアウトデータ作成フローにおいては、このような基準に基づいて配線を選別して検証を実行する。
【0024】
上述のレイアウトデータ作成フローによれば、検証すべき配線の選別作業の確実性・簡易性が増し、図8のレイアウトデータ作成フローよりも検証精度を向上することができる。しかし、図8及び図9のレイアウトデータ作成フローはいずれも人的作業に負うところが大きく、人為的なミスによるエラー箇所の検証漏れは避けられない。その結果、作業に多大な時間と労力を費やしたにもかかわらず、エラー箇所が見逃されたままレイアウトデータが作成され、半導体集積回路の信頼性及び歩留まりの低下を招く場合がある。
【0025】
このような状況下にあって、本発明者らは、配線における電流の向きすなわち電流が単一方向に流れる配線(以下、「単一方向電流の配線」という。)と電流が双方向に流れる配線(以下、「双方向電流の配線」という。)とでエレクトロマイグレーションが発生する確率が異なることを見出した。
【0026】
すなわち、上述したとおり、エレクトロマイグレーションは金属原子の移動によって起こることから、双方向電流の配線よりも単一方向電流の配線において金属原子の移動が起こりやすい。つまり、双方向電流の配線よりも単一方向電流の配線においてエレクトロマイグレーションが発生する可能性が高い。そのため、エレクトロマイグレーションを防止し半導体集積回路の高信頼性、高歩留まりを実現するためには、双方向電流の配線よりも単一方向電流の配線の方において配線の線幅値を広くとるようにレイアウトデータのデザインルールを定め、且つエレクトロマイグレーション検証においてもこのような配線における電流の向きに配慮したデザインルールを満足するか否かを検証することが望ましい。
【0027】
さらに、半導体集積回路の高集積化は、過剰な線幅値(以下、「オーバースペック」という。)の配線を削減したレイアウトデータを作成することをも要請する。
この点、本発明者らは、このような配線における電流の向きを考慮したエレクトロマイグレーション検証を行うことで半導体集積回路の高集積性をも実現できることを見出した。
【0028】
すなわち、単一方向電流の配線と双方向電流の配線とを問わず、同一の検証ルールで配線のレイアウトデータを検証したのでは、特に双方向電流の配線において、当該配線がエレクトロマイグレーションの発生を防止しうるだけの十分な線幅値を有しているにもかかわらず、設計者が当該配線の線幅値が不十分であると判定してしまい、レイアウトデータにオーバースペックの配線を書き込んでしまう場合がある。これに対し、配線における電流の向きを考慮したエレクトロマイグレーション検証を実行できれば、デザインルールにおいて電流の向きの異なる配線ごとに定めた許容最小線幅値で配線のレイアウトデータを検証することができる。その結果、レイアウトデータからオーバースペックの配線を削減し、半導体集積回路の高集積化を実現することができる。
【0029】
このように、本発明者らは、レイアウトデータの作成過程において、配線における電流の向きを考慮したエレクトロマイグレーション検証を自動的に実行することで検証精度が向上し、高信頼性、高歩留まり且つ高集積性の半導体装置を実現することが可能となることを見出した。
【0030】
以下、本発明の一実施形態に係る半導体集積回路のレイアウトデータ作成装置及び作成方法、半導体装置の製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の一例を示しており、本発明は、それら実施形態に限定されるわけではない。
【0031】
(実施形態1)
図1を参照する。図1は、本実施形態1に係る半導体集積回路のレイアウトデータ作成装置100の構成例を示すブロック図である。本実施形態1のレイアウトデータ作成装置100は、図1に示すとおり、半導体集積回路の仕様の情報10に基づいて論理回路図を設計する論理回路図設計部20と、論理回路図設計部30により設計された論理回路図の情報に基づいてレイアウトデータを作成するレイアウトデータ作成部30と、レイアウトデータから配線の抵抗の情報を抽出する抵抗情報抽出部40と、回路シミュレーションを実行する回路シミュレーション実行部50と、抽出した配線の抵抗の情報と回路シミュレーションの実行結果とに基づいて配線における電流の向きを識別する電流方向識別部60と、エレクトロマイグレーション検証を実行し、作成したレイアウトデータの中にデザインルールに違反するエラー箇所が有るか否かを検証しその検証結果を生成する検証部70と、作成したレイアウトデータを出力するデータ出力部80と、を有する。
【0032】
また、図1においては、本実施形態1に係る半導体集積回路のレイアウトデータ作成装置100において、論理回路図設計部20、レイアウトデータ作成部30、抵抗情報抽出部40、回路シミュレーション実行部50、電流方向識別部60、検証部70及びデータ出力部80におけるデータの流れを示している。なお、本実施形態1のレイアウトデータ作成装置100の構成及びデータの流れは、図1で示すものに限定されるものではない。例えば、データ出力部80は、レイアウトデータ作成部30により作成されたレイアウトデータに加え、検証部70による検証結果のデータをも出力するという構成をとることが可能である。
【0033】
次に、本実施形態1のレイアウトデータ作成装置100の動作フローについて、図面を参照して詳細に説明する。図2を参照する。図2は、本実施形態1のレイアウトデータ作成装置100の動作の一例を示すフローチャートである。
【0034】
図2で示すとおり、まず、設計者が半導体集積回路の仕様を決定する(半導体集積回路の仕様の情報10、ステップS101)。この半導体集積回路の仕様の情報10には、配線の線幅値等、レイアウトデータのデザインルールが含まれている。
【0035】
次に、設計者が、論理回路図設計部20を用いて半導体集積回路の仕様の情報10に基づき論理回路図を設計する(ステップS102)。
【0036】
図3を参照する。図3は、本実施形態1の論理回路図設計部20により設計される論理回路図の一例である。図3で示すように、本実施形態1の論理回路図設計部20により設計される論理回路図は、トランジスタTr_1〜Tr_4、トランジスタTr_1と配線L3とを図4において図示しないコンタクトC1、ビアV1を介して接続し且つ抵抗R1を有する配線L1、トランジスタTr_2と配線L3とを図4において図示しないコンタクトC2、ビアV1を介して接続し且つ抵抗R2を有する配線L2、配線L1及び配線L2と配線L4とを接続する配線L3、トランジスタTr_3の図4において図示しないゲート配線GC3及びトランジスタTr_4の図4において図示しないゲート配線GC4と配線L3とを図示しないビアV2、V3及びV4を介して接続し且つする配線L4、トランジスタTr_3とトランジスタTr_4と図4において図示しないコンタクトC3、C4を介して接続する配線L5を有する。
【0037】
次に、ステップS102において設計された論理回路図に基づいて、レイアウトデータ作成部30がレイアウトデータを作成する(ステップS103)。
【0038】
図4及び図5を参照する。図4は、本実施形態1のレイアウトデータ作成部30により作成されるレイアウトデータの一例である。図5は、図4で示すレイアウトデータの一部を拡大して示した図である。図4及び図5に示すように、レイアウトデータ作成部30は、ステップS102において設計された図3に示す論理回路図の情報に基づいて図4及び図5に示すように、トランジスタTr_1〜Tr_4、ゲート配線GC1〜GC4、配線L1〜L5、コンタクトC1〜V4、ビアV1〜V4を有するレイアウトデータを作成する。また、図4及び図5のレイアウトデータにおいては、レイアウトデータ作成部30によって、配線L1は線幅値をW1と定められ、配線L2は線幅値をW2と定められ、配線L3は線幅値をW3と定められている。
【0039】
次に、抵抗情報抽出部40が、ステップS103において作成されたレイアウトデータから配線の抵抗の情報を抽出する(ステップS104)。
【0040】
例えば、抵抗情報抽出部40は、ステップS103において作成された図4に示すレイアウトデータから配線の抵抗R1、R2、R3の情報を抽出する。
【0041】
次に、回路シミュレーション実行部50が、回路シミュレーションを実行し、回路を動作させる。続いて、電流方向識別部60は、抽出した配線の抵抗の情報及び回路シミュレーションの実行結果に基づいて一定時間内に各配線の抵抗に流れる電流値をモニタして、当該配線が単一方向電流の配線であるか双方向電流の配線であるかを識別する(ステップS105)。
【0042】
例えば、本実施形態1においては、回路シミュレーションの実行過程で抵抗R1、R2、R3に一定時間内に流れる電流Iの積分値Sと絶対値|A|(絶対値の積分値)とを比較して両者の値に差が生ずるか否か、具体的には両者の関係がS≒|A|となるか、S<|A|となるかを検証することで、当該配線が単一方向電流の配線であるか双方向電流の配線であるかを識別することが可能となる。
【0043】
すなわち、当該配線が単一方向電流の配線である場合、単一方向電流の配線の抵抗Rに流れる電流をIaとし、電流Iaはプラス方向の電流とすると、回路シミュレーションの実行過程において一定時間t1〜t2内に当該抵抗Rに流れる電流Iaの積分値S1は、下記の数式1で示されるとおりとなる。
(数式1)

【0044】
また、回路シミュレーションの実行過程において一定時間内に当該抵抗Rに流れる電流Iaの絶対値(絶対値の積分値)|A1|は、下記の数式2で示されるとおりとなる。
(数式2)

【0045】
したがって、当該配線が単一方向電流の配線である場合、積分値S1と絶対値(絶対値の積分値)|A1|との関係はS1≒|A1|となり、両者の値で大きな差は生じない。
【0046】
これに対し、当該配線が双方向電流の配線である場合、双方向電流の配線に流れる電流をIb、Icとし、電流Ibはプラス方向の電流とし、電流Icはマイナス方向の電流とすると、回路シミュレーションの実行過程において一定時間t1〜t2内に当該抵抗Rに流れる電流Ibの積分値とIcの積分値との和である積分値S2は、下記の数式3で示されるとおりとなる。すなわち、電流Ibの積分値が正の値となるのに対し、電流Icの積分値は負の値となる。そのため、積分値S2は、以下で説明する絶対値(絶対値の積分値)|A2|よりも低減した値となる。
(数式3)

【0047】
また、回路シミュレーションの実行過程において一定時間内に当該抵抗Rに流れる電流Ibの絶対値(絶対値の積分値)とIcの絶対値(絶対値の積分値)の和|A2|は、下記の数式4で示されるとおりとなる。すなわち、絶対値(絶対値の積分値)|A2|は、積分値S2のように電流の向きは考慮されず、それぞれの向きの電流について算出される積分値の絶対値(絶対値の積分値)の総和により算出される。
(数式4)

【0048】
したがって、当該配線が相方向に電流が流れる配線である場合、積分値S2と絶対値(絶対値の積分値)|A2|との関係は、S2<|A2|となり、両者の値で差が生じる。
【0049】
このように、積分値と絶対値(絶対値の積分値)とを比較して両者の値で一定値以上の差が生ずるか否かを検証することで、当該配線に流れる電流Iの向きを識別することが可能となる。例えば、本実施形態1においては、以上のような検証によって、図4及び図5に示す配線L1及びL2は単一方向電流の配線であることが判明し、配線L3は双方向電流の配線であることが判明したとする。図5において、各配線における電流I1〜I4の向きを示す。
【0050】
次に、検証部70が、エレクトロマイグレーション検証を実行し(ステップS106)、半導体集積回路の配線のレイアウトデータの中にデザインルールを満足しないエラー箇所が存する否かを検証する(ステップS107)。
【0051】
具体的には、まず、検証部70が、当該配線のデバイススペック値を算出する。次に、検証部70は、算出したデバイススペック値と当該配線の線幅値とを比較対照し、当該配線の線幅値がデザインルールを満足しているか否かを検証する。本実施形態1のデザインルールにおいては、デバイススペック値の低い配線よりもデバイススペック値の高い配線において配線の線幅が広くなるように定めるほか、双方向電流の配線よりも単一方向電流の配線において線幅が広くなるように定めることによりエレクトロマイグレーションを防止している。その一方で、本実施形態1のデザインルールにおいては、配線の許容最小線幅値についても定められ、配線のオーバースペックを防止している。本実施形態1においては、半導体集積回路の仕様の情報10において定められたこのようなデザインルールに基づいて、検証部70がステップS106〜ステップS107の検証を実行することにより、半導体集積回路の高信頼性、高歩留まり且つ高集積性を実現することを可能にする。
【0052】
例えば、検証部70は、図5に示す配線L1の線幅値W1、配線L2の線幅値W2、配線L3の線幅値W3について、デザインルールに違反していないか否か、具体的には、各配線についてデバイススペック値に応じた配線の線幅値を満足しているか否か、また、双方向電流の配線L3の線幅値W3よりも単一方向電流の配線L1の線幅値W1、配線L2の線幅値W2の線幅値が広くなっているか否か、W1、W2、W3が許容最小線幅値となっているか否かを検証する。
【0053】
このような検証を実行した結果、当該配線の線幅値がデザインルールを満足していない場合は、検証部70はレイアウトデータにエラー箇所があると判定する。これに対し、当該配線の線幅値がデザインルール満足している場合は、検証部70はレイアウトデータにエラー箇所がないと判定する。そして、検証部70は、これらの判定結果をレイアウトデータ作成部30に与える(ステップS108)。
【0054】
ステップS107において検証部70がエラー箇所を検出した場合には、エレクトロマイグレーション検証70からのレポートに基づいて、レイアウトデータ作成部30が当該エラー検出箇所のレイアウトデータを修正する(ステップS109)。そして、修正したレイアウトデータについて、レイアウトデータ作成装置100が再度ステップS104〜ステップS107の検証を実行する。レイアウトデータ作成装置100は、ステップS107においてエラー箇所が検出されなくなるまでステップS104〜ステップS107及びこれに続くステップS108〜ステップS109のレイアウトデータ修正作業を繰り返し実行する。
【0055】
これに対し、ステップS107において検証部70がエラー箇所を検出しなかった場合には、検証部70は、回路の全ての配線についてステップS104〜ステップS109の検証が行われたか否かを検証する(ステップS110)。そして、検証部70が、全ての配線について検証を実行していないと判定した場合は、レイアウトデータ作成装置100は、検証の行われていない配線についてステップS109〜ステップS109の検証を実行する。これに対し、検証部70が、全ての配線について検証を実行したと判定した場合には、検証部70は、その判定結果をレイアウトデータ作成部30に与える。レイアウトデータ作成部30は、その判定結果を受けてレイアウトデータが完成したと判定し(ステップS111)、完成したレイアウトデータをデータ出力部80に与える。データ出力部80は、完成したレイアウトデータを出力する(ステップS112)。
【0056】
以上に説明したとおり、本実施形態1のレイアウトデータ作成装置100によれば、配線における電流の向きの情報を考慮したエレクトロマイグレーション検証を自動的に実行することで検証精度が向上し且つ人的負担を軽減することができる。これにより半導体集積回路におけるエレクトロマイグレーションの発生を防止し、高信頼性、高歩留まりの半導体集積回路を実現できるという効果が得られる。また、本実施形態1のレイアウトデータ作成装置100によれば、配線における電流の向きを考慮したエレクトロマイグレーション検証を実行することで配線のレイアウトデータを許容最小線幅値でチェックすることができる。これにより、配線のオーバースペックを防止し、高集積性の半導体集積回路を実現できるという効果が得られる。
【0057】
次に、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法は、本実施形態1により作成されたレイアウトデータに基づきパターンが形成されたマスクを用いて基板上にパターン転写を行うリソグラフィ工程又は電子ビーム等を用いる加工装置によりレイアウトデータを基板上にパターンを直接描画するリソグラフィ工程を含むものである。すなわち、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法は、本実施形態1により作成されたレイアウトデータに基づいてパターンをマスクに形成し、このマスクを用いて露光により基板上にパターンを形成する。あるいは、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法は、当該レイアウトデータを電子ビーム等の加工装置によりレイアウトデータを基板上に直接描画してパターンを形成するようにしてもよい。
【0058】
本実施形態に係る工程で用いる基板(半導体基板やSOI(Silicon On Insulator)基板等)には、通常、トランジスタ、ダイオードなどの機能素子が予め形成されている。また、本実施形態において、上記のパターン転写を行う工程または電子ビーム等を用いる加工の前又は後に、ポリシリコン、タングステンなどの金属配線層を形成しておくようにしてもよい。この配線層を前記のパターン転写を行う工程または電子ビーム等を用いる加工によって加工することで所望の金属配線が得られる。通常このような金属配線層を複数層、上記の工程を繰り返しながら形成する。それらの各金属配線層間には通常、絶縁膜を設ける。また、その絶縁膜を挟む両側の配線層は、絶縁膜の所望の箇所に接続導電体を形成することによって相互の電気的接続を得る。
【0059】
これにより、信頼性の向上したレイアウトデータに基づいてパターンを基板上に形成できる。ひいては、半導体装置の内部に組み込まれる各種の微細な半導体素子などを高い精度で形成することができる。したがって、この半導体装置の製造方法によれば、半導体装置の信頼性及び歩留まりを向上することが可能となる。
【0060】
(実施形態2)
上記実施形態1のレイアウトデータ作成装置100においては、半導体集積回路の配線全てについてエレクトロマイグレーション検証を実行した。これに対し、本実施形態2のレイアウトデータ作成装置100においては、半導体集積回路の特定の配線を選択してエレクトロマイグレーション検証を実行する。
【0061】
本実施形態2のレイアウトデータ作成装置100のブロック図である図1については、実施形態1と同様であるため、本実施形態2においては説明を省略する。
【0062】
図6は、本実施形態2のレイアウトデータ作成装置100の動作フローである。図6に示す本実施形態2のレイアウトデータ作成装置100の動作フローのステップS200〜ステップS204の動作と図2に示す動作フローのステップS100〜103の動作とは同様であるため、本実施形態2においては、ステップS200〜ステップS203についての説明を省略する。
【0063】
ステップS204において、レイアウトデータ作成装置100は、ステップS203において作成されたレイアウトデータの中から、設計者が予めレイアウトデータ作成装置100に与えた条件にしたがって1つ又は複数の配線を選択する。なお、本実施形態2のレイアウトデータ作成装置100は、レイアウトデータのうち特定のエリアを選択して、そのエリアに限定してレイアウトデータの検証を実行することも可能である。
【0064】
本実施形態2のステップS205以降の動作については、実施形態1のステップS104以降の動作と同様であるため、本実施形態2においては説明を省略する。なお、複数の配線を選択して検証を実行する場合は、選択した各配線について順次又は同時に平行して検証を実行することが可能である。
【0065】
以上に説明したとおり、本実施形態2のレイアウトデータ作成装置100によれば、配線を個別に選択してエレクトロマイグレーション検証を実行することができ、これによりエレクトロマイグレーション検証に要する時間を短縮することが可能となる。また、本実施形態2のレイアウトデータ作成装置100によれば、配線における電流の向きの情報を考慮したエレクトロマイグレーション検証を自動的に実行することで検証精度が向上し且つ人的負担を軽減することができる。これにより半導体集積回路におけるエレクトロマイグレーションの発生を防止し、高信頼性、高歩留まりの半導体集積回路を実現できるという効果が得られる。また、本実施形態2のレイアウトデータ作成装置100によれば、配線における電流の向きを考慮したエレクトロマイグレーション検証を実行することで配線のレイアウトデータを許容最小線幅値でチェックすることができる。これにより、配線のオーバースペックを防止し、高集積性の半導体集積回路を実現できるという効果が得られる。
【0066】
そして、このようにして信頼性、歩留まりが向上したレイアウトデータに基づいて半導体装置を製造することにより、高信頼性、高歩留まりの半導体装置を実現することが可能となる。半導体装置の具体的な製造方法については、実施形態1と同様であるため、本実施形態2においては説明を省略する。
【0067】
(実施形態3)
上述したように、エレクトロマイグレーションは、単一方向電流の配線において発生する可能性が高い。そこで、本実施形態3においては、半導体集積回路を構成する配線のうち、単一方向電流の配線についてのみエレクトロマイグレーション検証を実行する。
【0068】
本実施形態3のレイアウトデータ作成装置100のブロック図である図1については、実施形態1と同様であるため、本実施形態3においては説明を省略する。
【0069】
図7は、本実施形態3のレイアウトデータ作成装置100の動作フローである。図7に示す本実施形態3のレイアウトデータ作成装置100の動作フローのステップS300〜ステップS305と図2に示す実施形態1のレイアウトデータ作成装置100の動作フローのステップS100〜105とでその動作は同様である。そのため、本実施形態3においては、ステップS300〜ステップS305についての説明を省略する。
【0070】
ステップS306において、検証部70は、ステップS305において電流方向識別部60によって識別された配線における電流の向きの情報に基づいて、半導体集積回路の配線の中から単一方向電流の配線の情報を抽出する。
【0071】
次に、この抽出した単一方向電流の配線について、検証部70がエレクトロマイグレーション検証を実行する(ステップS307)。
【0072】
ステップS307〜ステップS310の動作については、実施形態1のステップS106〜ステップS109の動作と同様であるため、本実施形態3においては説明を省略する。
【0073】
次に、ステップS308において検証部70がエラー箇所を検出しなかった場合には、検証部70は、ステップS306で抽出した全ての単一方向電流の配線についてステップS307〜ステップS310の検証が行われたか否かを検証する(ステップS311)。
【0074】
ステップS311において、検証部70が、全ての単一方向電流の配線について検証を実行していないと判定した場合は、レイアウトデータ作成装置100は、検証の行われていない配線についてステップS307〜ステップS308の検証及びこれに続くステップS309〜ステップS310のレイアウトデータ修正を実行する。
【0075】
これに対し、ステップS311において、検証部70が、全ての単一方向電流の配線について検証を実行したと判定した場合には、検証部70はその判定結果をレイアウトデータ作成部30に与える。レイアウトデータ作成部30は、この判定結果を受けて、レイアウトデータが完成したと判定し(ステップS312)、完成したレイアウトデータをデータ出力部80に与える。このデータ出力部80は、表示装置又はプリンタで構成され、完成したレイアウトデータを表示装置に表示し又はプリントアウトして、前記判定結果を出力する(ステップS313)。
【0076】
なお、本実施形態3のレイアウトデータ作成装置100においては、単一方向電流の配線についてのみエレクトロマイグレーション検証を実行したが、ステップS306において双方向電流の配線を抽出として、双方向電流の配線についてのみステップS307以降の検証を実行することも可能である。
【0077】
以上に説明したとおり、本実施形態3のレイアウトデータ作成装置100においては、特定の配線についてエレクトロマイグレーション検証を実行することができるため、エレクトロマイグレーション検証に要する時間を短縮することが可能となる。また、本実施形態3のレイアウトデータ作成装置100によれば、配線における電流の向きの情報を考慮したエレクトロマイグレーション検証を自動的に実行することで検証精度が向上し且つ人的負担を軽減することができる。これにより半導体集積回路におけるエレクトロマイグレーションの発生を防止し、高信頼性、高歩留まりの半導体集積回路を実現できるという効果が得られる。また、本実施形態3のレイアウトデータ作成装置100によれば、配線における電流の向きを考慮したエレクトロマイグレーション検証を実行することで配線のレイアウトデータが適正な幅か否かをチェックすることができる。これにより、配線のオーバースペックを防止し、高集積性の半導体集積回路を実現できるという効果が得られる。
【0078】
そして、このようにして信頼性、歩留まりが向上したレイアウトデータに基づいて半導体装置を製造することにより、高信頼性、高歩留まりの半導体装置を実現することが可能となる。半導体装置の具体的な製造方法については、実施形態1と同様であるため、本実施形態3においては説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の一実施形態に係るレイアウトデータ作成装置の一例を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るレイアウトデータ作成装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態に係るレイアウトデータ作成装置により設計される論理回路図の一例を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るレイアウトデータ作成装置により作成されるレイアウトデータの一例を示す図である。
【図5】図4のレイアウトデータの一部を示した図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るレイアウトデータ作成装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態に係るレイアウトデータ作成装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図8】半導体集積回路のレイアウトデータを作成する過程においてエレクトロマイグレーション検証を実行するレイアウトデータ作成方法の一般的な動作を示したフローチャートである。
【図9】図8に示すレイアウトデータ作成方法のフローチャートの改善例である。
【符号の説明】
【0080】
10 半導体集積回路の仕様の情報
20 論理回路図設計部
30 レイアウトデータ作成部
40 抵抗情報抽出部
50 回路シミュレーション実行部
60 電流方向識別部
70 検証部
80 データ出力部
100 レイアウトデータ作成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体集積回路の仕様の情報に基づいて論理回路図を設計する論理回路図設計部と、
設計した前記論理回路図に基づいてレイアウトデータを作成するレイアウトデータ作成部と、
作成した前記レイアウトデータから配線の抵抗の情報を抽出する抵抗情報抽出部と、
回路シミュレーションを実行する回路シミュレーション実行部と、
抽出した前記配線の抵抗の情報及び前記回路シミュレーションの実行結果に基づいて前記配線における電流の向きを識別する電流方向識別部と、
識別した前記配線における電流の向きの情報に基づいて前記配線のレイアウトデータが前記半導体集積回路の仕様の情報から抽出するデザインルールに違反しているか否かを検証してその検証結果を生成する検証部と、
前記レイアウトデータ作成部により作成された前記レイアウトデータを出力するデータ出力部と、を有することを特徴とする半導体集積回路のレイアウトデータ作成装置。
【請求項2】
前記電流方向識別部は、前記回路シミュレーションの実行過程において前記抵抗に流れる前記電流の積分値と絶対値の積分値とを計算して前記積分値と前記絶対値の積分値とを比較し、前記積分値と前記絶対値の積分値との間で一定値以上の差が生ずる場合に前記配線は前記電流が双方向に流れる配線であると判定し、前記積分値と前記絶対値の積分値との間で一定値以上の差が生じない場合に前記配線は前記電流が単一方向に流れる配線であると判定して、前記配線における前記電流の向きを識別することを特徴とする請求項1に記載のレイアウトデータ作成装置。
【請求項3】
前記半導体集積回路を構成する配線のレイアウトデータのうち、1つ又は特定の配線のレイアウトデータを選択し、
前記検証部が、識別した前記配線における電流の向きの情報に基づいて前記半導体集積回路の仕様の情報から前記デザインルールを抽出し、さらに前記配線の単位断面積あたりの電流値を計算して前記配線の単位断面積あたりの電流値と前記配線の線幅値とを比較し、前記配線の線幅値が前記デザインルールに違反しているか否かを検証することを特徴とする請求項1に記載の半導体集積回路のレイアウトデータ検証装置。
【請求項4】
半導体集積回路の仕様の情報に基づいて論理回路図を設計し、
設計した前記論理回路図に基づいてレイアウトデータを作成し、
作成した前記レイアウトデータから配線の抵抗の情報を抽出して回路シミュレーションを実行し、
抽出した前記配線の抵抗の情報及び前記回路シミュレーションの実行結果に基づいて前記配線における電流の向きを識別し、
識別した前記配線における電流の向きの情報に基づいて前記半導体集積回路の仕様の情報から抽出するデザインルールに前記配線のレイアウトデータが違反しているか否かを検証してその検証結果を生成し、
作成した前記レイアウトデータを出力することを特徴とするレイアウトデータ作成方法。
【請求項5】
半導体集積回路の仕様の情報に基づいて論理回路図を設計し、
設計した前記論理回路図に基づいてレイアウトデータを作成し、
作成した前記レイアウトデータから配線の抵抗の情報を抽出して回路シミュレーションを実行し、
抽出した前記配線の抵抗の情報及び前記回路シミュレーションの実行結果に基づいて前記配線における電流の向きを識別し、
識別した前記配線における電流の向きの情報に基づいて前記半導体集積回路の仕様の情報から抽出するデザインルールに前記配線のレイアウトデータが違反しているか否かを検証してその検証結果を生成し、
作成した前記レイアウトデータに基づき基板上に前記パターンを描画することを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−134845(P2008−134845A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−320746(P2006−320746)
【出願日】平成18年11月28日(2006.11.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】