説明

半導体集積回路装置および半導体集積回路装置の製造方法

【課題】現在のLSI、すなわち、半導体集積回路装置の製造工程においては、デバイスの組み立て(たとえばレジン封止)後に、高温(たとえば摂氏85から130度程度)・高湿(たとえば湿度80%程度)の環境下での電圧印加試験(すなわち、高温・高湿試験)が広く行われている。これに関して、高温・高湿試験中に、正電圧が印加されるアルミニウム系ボンディング・パッドの上面端部において、封止レジン等を通して侵入した水分に起因する電気化学反応により、反射防止膜である窒化チタン膜が酸化されて膨張し、上部膜との剥がれや、膜クラックが発生することが、本願発明者等によって明らかにされた。
【解決手段】本願発明は、アルミニウム系ボンディング・パッドの周辺部において、パッド上の窒化チタン膜をリング・スリット状に除去するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路装置(または半導体装置)および半導体集積回路装置(または半導体装置)の製造方法におけるアルミニウム系のバンディング・パット等のパッド電極周辺技術に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
日本特開2006−303452号公報(特許文献1)または米国特許公開2006−0249845号公報(特許文献2)には、パッド部分における外来水分等による電池反応に起因するアルミニウム系パッドの溶出を防止するために、アルミニウム系ボンディング・パッドの上面周辺端部の窒化チタン膜等の反射防止膜の側面まで含めて窒化シリコン膜等で被覆する技術が開示されている。
【0003】
日本特開2007−103593号公報(特許文献3)には、パッド部分における水分等による局所電池効果に起因するアルミニウム系パッドの溶出を防止するために、アルミニウム系アルミニウム系ボンディング・パッドの上面周辺端部の窒化チタン膜等の反射防止膜の側面まで含めて窒化シリコン膜等で被覆する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−303452号公報
【特許文献2】米国特許公開2006−0249845号公報
【特許文献3】特開2007−103593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在のLSI(Large Scale Integration)、すなわち、半導体集積回路装置の製造工程においては、デバイスの組み立て(たとえばレジン封止)後に、高温(たとえば摂氏85から130度程度)・高湿(たとえば湿度80%程度)の環境下での電圧印加試験(すなわち、高温・高湿試験)が広く行われている。これに関して、高温・高湿試験中に、正電圧が印加されるアルミニウム系ボンディング・パッドの上面端部において、封止レジン等を通して侵入した水分に起因する電気化学反応により、反射防止膜である窒化チタン膜が酸化されて膨張し、上部膜との剥がれや、膜クラックが発生することが、本願発明者等によって明らかにされた。
【0006】
本願発明は、これらの課題を解決するためになされたものである。
【0007】
本発明の目的は、信頼性の高い半導体集積回路装置の製造プロセスを提供することにある。
【0008】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0010】
すなわち、本願の一つの発明は、アルミニウム系ボンディング・パッドの周辺部において、パッド上の窒化チタン膜をリング・スリット状に除去するものである。
【発明の効果】
【0011】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記のとおりである。
【0012】
すなわち、アルミニウム系ボンディング・パッドの周辺部において、パッド上の窒化チタン膜をリング・スリット状に除去することにより、チタン酸化の影響のパッド外への拡大を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本願の実施の形態1(実施の形態2から5についても同じ)の半導体集積回路装置のチップ内レイアウト(第1の主面)を示す模式平面図である。
【図2】図1のチップを封止したBGAパッケージの正断面図である。
【図3】本願の実施の形態1の半導体集積回路装置のチップ内レイアウト(第1の主面)の内、パッド周辺拡大部Rに対応するボンディング・パッド部周辺拡大平面図である。
【図4】図3に対応する部分のワイヤ・ボンディング後の状況を示すボンディング・パッド部周辺拡大平面図である。
【図5】図3のX−X’に対応するチップ断面図である。
【図6】図3のY−Y’に対応するチップ断面図である。
【図7】本願の実施の形態1の半導体集積回路装置の製造方法における図3のX−X’に対応するデバイス断面フロー図(補助絶縁膜成膜工程)である。
【図8】本願の実施の形態1の半導体集積回路装置の製造方法における図3のX−X’に対応するデバイス断面フロー図(窒化チタン膜除去部パターニング用レジスト膜形成工程)である。
【図9】本願の実施の形態1の半導体集積回路装置の製造方法における図3のX−X’に対応するデバイス断面フロー図(窒化チタン膜除去部形成工程)である。
【図10】本願の実施の形態1の半導体集積回路装置の製造方法における図3のX−X’に対応するデバイス断面フロー図(絶縁性表面保護膜成膜工程)である。
【図11】本願の実施の形態1の半導体集積回路装置の製造方法における図3のX−X’に対応するデバイス断面フロー図(パッド開口形成工程)である。
【図12】本願の実施の形態2の半導体集積回路装置のチップ内レイアウト(第1の主面)の内、パッド周辺拡大部Rに対応するボンディング・パッド部周辺拡大平面図である。
【図13】図12のX−X’に対応するチップ断面図である。
【図14】図12のA−A’に対応するチップ断面図である。
【図15】図12のY−Y’に対応するチップ断面図である。
【図16】本願の実施の形態3の半導体集積回路装置のチップ内レイアウト(第1の主面)の内、パッド周辺拡大部Rに対応するボンディング・パッド部周辺拡大平面図である。
【図17】図16のY−Y’に対応するチップ断面図である。
【図18】本願の実施の形態4の半導体集積回路装置のチップ内レイアウト(第1の主面)の内、パッド周辺拡大部Rに対応するボンディング・パッド部周辺拡大平面図である。
【図19】図18のX−X’に対応するチップ断面図である。
【図20】図18のY−Y’に対応するチップ断面図である。
【図21】本願の実施の形態4の半導体集積回路装置の製造方法における図18のX−X’に対応するデバイス断面フロー図(絶縁性表面保護膜成膜工程)である。
【図22】本願の実施の形態4の半導体集積回路装置の製造方法における図18のX−X’に対応するデバイス断面フロー図(窒化チタン膜除去部およびパッド開口パターニング用レジスト膜形成工程)である。
【図23】本願の実施の形態5の半導体集積回路装置のチップ内レイアウト(第1の主面)の内、パッド周辺拡大部Rに対応するボンディング・パッド部周辺拡大平面図である。
【図24】図23のX−X’に対応するチップ断面図である。
【図25】図23のY−Y’に対応するチップ断面図である。
【図26】本願の実施の形態5の半導体集積回路装置の製造方法における図23のX−X’に対応するデバイス断面フロー図(補助絶縁膜成膜工程)である。
【図27】本願の実施の形態5の半導体集積回路装置の製造方法における図23のX−X’に対応するデバイス断面フロー図(窒化チタン膜除去部パターニング用レジスト膜形成工程)である。
【図28】本願の実施の形態5の半導体集積回路装置の製造方法における図23のX−X’に対応するデバイス断面フロー図(窒化チタン膜除去部形成工程)である。
【図29】本願の実施の形態5の半導体集積回路装置の製造方法における図23のX−X’に対応するデバイス断面フロー図(絶縁性表面保護膜成膜工程)である。
【図30】本願の実施の形態5の半導体集積回路装置の製造方法における図23のX−X’に対応するデバイス断面フロー図(パッド開口形成工程)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔実施の形態の概要〕
先ず、本願において開示される代表的な発明の概要を説明する。
【0015】
1.以下を含む半導体集積回路装置:
(a)第1及び第2の主面を有する半導体チップ;
(b)前記半導体チップの前記第1の主面上に設けられたアルミニウム系メタル膜パターン;
(c)前記アルミニウム系メタル膜パターンの上面を覆う窒化チタン膜;
(d)前記窒化チタン膜の上面を含む前記半導体チップの前記第1の主面を覆う絶縁性表面保護膜;
(e)前記絶縁性表面保護膜に形成されたボンディング・パッド開口;
(f)前記窒化チタン膜に設けられたボンディング・パッド開口に対応する第1開口部;
(g)前記第1開口部の外部近傍の前記窒化チタン膜に設けられた第2開口部。
【0016】
2.前記1項の半導体集積回路装置において、前記アルミニウム系メタル膜パターンの前記第2開口部は、前記絶縁性表面保護膜で覆われている。
【0017】
3.前記2項の半導体集積回路装置において、前記絶縁性表面保護膜は、下層の酸化シリコン系膜と上層の窒化シリコン系膜を含む積層膜である。
【0018】
4.前記1または3項の半導体集積回路装置において、前記窒化チタン膜上は、前記絶縁性表面保護膜で覆われているが、前記第2開口部は、前記絶縁性表面保護膜で覆われていない。
【0019】
5.前記1から4項のいずれか一つの半導体集積回路装置において、前記第2開口部の前記アルミニウム系メタル膜パターン表面には、不導態膜が形成されている。
【0020】
6.前記1から5項のいずれか一つの半導体集積回路装置において、前記第2開口部の幅は、0.3マイクロ・メートルから10マイクロ・メートルである。
【0021】
7.前記1から6項のいずれか一つの半導体集積回路装置において、前記第1開口部の幅は、前記第2開口部の幅よりも広い。
【0022】
8.前記1かた7項のいずれか一つの半導体集積回路装置において、前記第2開口部は、前記第1開口部を取り囲むように、リング状に形成されている。
【0023】
9.前記1から8項のいずれか一つの半導体集積回路装置において、前記第1開口部は、ワイヤ・ボンディング領域とウエハ・テスト・プローブ・コンタクト領域を有する。
【0024】
10.前記1から9項のいずれか一つの半導体集積回路装置において、前記ウエハ・テスト・プローブ・コンタクト領域内の針跡部分においては、前記アルミニウム系メタル膜パターン表面の不導態膜が除去されている。
【0025】
11.前記1から9項のいずれか一つの半導体集積回路装置において、前記アルミニウム系メタル膜パターンは、前記第1開口部を内部に含むボンディング・パッド部と、それに連結した配線部とを有し、前記第2開口部は、前記ボンディング・パッド部と前記配線部との境界近傍に設けられている。
【0026】
12.前記1から11項のいずれか一つの半導体集積回路装置において、更に、以下を含む:
(h)前記半導体チップの前記第1の主面、前記アルミニウム系メタル膜パターン、前記窒化チタン膜、前記第1開口部、および、前記第2開口部は、ハロゲン・フリー・レジンにより封止されている。
【0027】
更に、本願において開示されるその他の発明の概要を説明する。
【0028】
13.以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)半導体ウエハのデバイス面上の多層配線層上に形成された下層バリア・メタル膜、中層アルミニウム系メタル膜、上層バリア・メタル膜を含む金属複合膜をパターニングすることにより、金属複合膜パターンを形成する工程;
(b)前記金属複合膜パターンの上面を含む前記半導体ウエハの前記デバイス面上のほぼ全面に、絶縁性表面保護膜を成膜する工程;
(c)前記工程(b)の後であって前記工程(d)の前に、前記絶縁性表面保護膜にボンディング・パッド開口を形成する工程;
(d)前記上層バリア・メタル膜のボンディング・パッド開口に対応する部分に第1開口部を形成する工程;
(e)前記第1開口部の外部近傍の前記上層バリア・メタル膜に第2開口部を形成する工程。
【0029】
14.前記13項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(e)は、前記工程(b)および(d)よりも前に実行される。
【0030】
15.前記13項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(d)と(e)は、前記工程(b)および(c)よりも後であって、ほぼ同時に実行される。
【0031】
16.前記13項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記絶縁性表面保護膜は、下層の酸化シリコン系膜と上層の窒化シリコン系膜を含む積層膜である。
【0032】
17.前記15項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(d)と(e)は、前記絶縁性表面保護膜および前記上層バリア・メタル膜を同一のエッチング・マスクを用いて、連続的に加工することにより実行される。
【0033】
18.前記13から17項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記第2開口部の幅は、0.3マイクロ・メートルから10マイクロ・メートルである。
【0034】
19.前記13から18項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1開口部の幅は、前記第2開口部の幅よりも広い。
【0035】
20.前記13から19項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記第2開口部は、前記第1開口部を取り囲むように、リング状に形成される。
【0036】
21.前記13から20項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記金属複合膜パターンは、前記第1開口部を内部に含むボンディング・パッド部と、それに連結した配線部とを有し、前記第2開口部は、前記ボンディング・パッド部と前記配線部との境界近傍に設けられている。
【0037】
22.前記13から21項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、更に、以下の工程を含む:
(f)前記工程(a)、(d)及び(e)の後、前記中層アルミニウム系メタル膜の露出した表面部分に対して、不導態化処理を実施する工程。
【0038】
23.前記13から22項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、更に、以下の工程を含む:
(g)前記工程(a)から(e)の後、前記第1開口部の前記中層アルミニウム系メタル膜の表面にプローブ針を当て、表面の不導態膜を破ってコンタクトを取ることにより、ウエハ・プローブ検査を実行する工程。
【0039】
24.前記23項の半導体集積回路装置の製造方法において、更に、以下の工程を含む:
(h)前記工程(g)の後、前記金属複合膜上を、ハロゲン・フリー・レジンにより封止する工程。
【0040】
更に、本願において開示されるその他の発明の概要を説明する。
【0041】
25.以下を含む半導体集積回路装置:
(a)第1及び第2の主面を有する半導体チップ;
(b)前記半導体チップの前記第1の主面上に設けられたアルミニウム系の複数のボンディング・パッド;
(c)前記第1の主面上及び各ボンディング・パッドの周辺部を覆う絶縁性表面保護膜;
(d)各ボンディング・パッド上に設けられた前記絶縁性表面保護膜の第1の開口、
ここで、各ボンディング・パッド上には、窒化チタン膜がない。
【0042】
26.前記25項の半導体集積回路装置において、前記複数のボンディング・パッドは、前記チップ端部に沿って第1の方向に列を成すように配置されている。
【0043】
27.前記25または26項の半導体集積回路装置において、各ボンディング・パッドは、同層のアルミニウム系の配線と一体に連結されており、前記配線上には、窒化チタン膜が形成されている。
【0044】
28.前記25から27項のいずれか一つの半導体集積回路装置において、前記絶縁性表面保護膜は、前記窒化チタン膜の上面および側面を覆う。
【0045】
29.前記25から28項のいずれか一つの半導体集積回路装置において、各ボンディング・パッドは、ほぼ長方形形状を有しており、ボンディング・ワイヤが接続されるボンディング領域と、プローブ針をコンタクトさせるコンタクト領域を有している。
【0046】
30.前記25から29項のいずれか一つの半導体集積回路装置において、各ボンディング・パッドの露出部は、前記コンタクト領域の一部を除き、酸化アルミニウム系の不導態膜で覆われている。
【0047】
31.前記25から30項のいずれか一つの半導体集積回路装置において、更に、以下を含む:
(e)前記前記半導体チップの前記第1の主面、前記複数のボンディング・パッド、および絶縁性表面保護膜を覆うハロゲン・フリーである封止レジン部材。
【0048】
32.前記26から31項のいずれか一つの半導体集積回路装置において、前記第1の方向と直交する第2の方向において、前記配線の各ボンディング・パッドの近傍には、前記窒化チタン膜がなく、その他の部分には前記窒化チタン膜がある。
更に、本願において開示されるその他の発明の概要を説明する。
【0049】
33.以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)半導体ウエハの第1の主面上の第1の絶縁膜上に、アルミニウム系メタル膜を形成する工程;
(b)前記アルミニウム系メタル膜上に、窒化チタン膜を形成する工程;
(c)前記アルミニウム系メタル膜および前記窒化チタン膜を含む複合膜をパターニングすることによって、複数のボンディング・パッドとなるべき複合膜パターンを形成する工程;
(d)前記複合膜パターンから前記窒化チタン膜を除去することによって、各ボンディング・パッドの上面を露出させる工程;
(e)前記前記半導体チップの前記第1の主面、および、各ボンディング・パッド上に絶縁性表面保護膜を形成する工程;
(f)各ボンディング・パッド上の前記絶縁性表面保護膜に第1の開口を形成する工程。
【0050】
34.前記33項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記複数のボンディング・パッドは、前記チップ端部に沿って第1の方向に列を成すように配置される。
【0051】
35.前記33または34項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記複合膜パターンは、各ボンディング・パッドと同層のアルミニウム系の配線を含む。
【0052】
36.前記35項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記絶縁性表面保護膜は、前記窒化チタン膜の上面および側面を覆う。
【0053】
37.前記33から36項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、各ボンディング・パッドは、ほぼ長方形形状を有しており、ボンディング・ワイヤが接続されるボンディング領域と、プローブ針をコンタクトさせるコンタクト領域を有する。
【0054】
38.前記33から37項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、各ボンディング・パッドの露出部は、前記コンタクト領域の一部を除き、酸化アルミニウム系の不導態膜で覆われる。
【0055】
39.前記33から38項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、更に、以下を含む:
(g)前記工程(f)の後、前記前記半導体チップの前記第1の主面、前記複数のボンディング・パッド、および絶縁性表面保護膜上を覆うように、ハロゲン・フリー・レジン部材により封止する工程。
【0056】
40.前記33から39項のいずれか一つの半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(d)の後には、前記第1の方向と直交する第2の方向において、前記配線の各ボンディング・パッドの近傍には、前記窒化チタン膜がなく、その他の部分には前記窒化チタン膜がある。
【0057】
更に、本願において開示されるその他の発明の概要を説明する。
【0058】
1.以下を含む半導体集積回路装置:
(a)第1及び第2の主面を有する半導体チップ;
(b)前記半導体チップの前記第1の主面上に設けられた多層配線層;
(c)前記半導体チップの前記第1の主面に設けられたI/O回路領域;
(d)前記多層配線層上に設けられ、ボンディング・パッド部および、それと前記I/O回路領域を相互に連結する配線部を有するアルミニウム系メタル膜パターン;
(e)前記アルミニウム系メタル膜パターンの上面を覆う窒化チタン膜;
(f)前記多層配線層、前記アルミニウム系メタル膜パターン、および窒化チタン膜の上面を覆うように形成された絶縁性表面保護膜;
(g)前記ボンディング・パッド部の内部に対応するように、前記窒化チタン膜および前記絶縁性表面保護膜を貫通して設けられたボンディング・パッド開口;
(h)前記アルミニウム系メタル膜パターンの上面であって、前記ボンディング・パッド開口以外の部分の一部に設けられた窒化チタン膜除去部、
ここで、前記ボンディング・パッド開口と前記窒化チタン膜除去部は相互に連結していない。
【0059】
2.前記1項の半導体集積回路装置において、前記窒化チタン膜除去部は、前記ボンディング・パッド部内において前記ボンディング・パッド開口を取り巻くようにリング状に設けられた第1窒化チタン膜除去部を有する。
【0060】
3.前記1項の半導体集積回路装置において、前記窒化チタン膜除去部は、前記ボンディング・パッド部と前記回路部との境界近傍に設けられた第2窒化チタン膜除去部を有する。
【0061】
4.前記1項の半導体集積回路装置において、前記窒化チタン膜除去部は、前記ボンディング・パッド部内において前記ボンディング・パッド開口を取り巻くようにリング状に設けられ第1窒化チタン膜除去部と、前記ボンディング・パッド部と前記回路部との境界近傍に設けられ第2窒化チタン膜除去部を有する。
【0062】
5.前記1から4項のいずれか一つの半導体集積回路装置において、前記窒化チタン膜除去部は、前記絶縁性表面保護膜で覆われている。
【0063】
6.前記1から4項のいずれか一つの半導体集積回路装置において、前記窒化チタン膜除去部は、前記絶縁性表面保護膜で覆われていない。
【0064】
7.前記1から6項のいずれか一つの半導体集積回路装置において、前記絶縁性表面保護膜は、下層の酸化シリコン系膜と上層の窒化シリコン系膜を含む積層膜である。
【0065】
8.前記2、および4から7項のいずれか一つの半導体集積回路装置において、前記第1窒化チタン膜除去部の幅は、0.3マイクロ・メートルから2マイクロ・メートルである。
【0066】
9.前記3から8項のいずれか一つの半導体集積回路装置において、前記第2窒化チタン膜除去部の幅は、0.3マイクロ・メートルから10マイクロ・メートルである。
【0067】
10.前記1から9項のいずれか一つの半導体集積回路装置において、前記ボンディング・パッド部の幅は、前記窒化チタン膜除去部の幅よりも広い。
【0068】
11.前記1から10項のいずれか一つの半導体集積回路装置において、前記ボンディング・パッド開口は、長方形を呈している。
【0069】
12.前記11項の半導体集積回路装置において、前記ボンディング・パッド開口は、ワイヤ・ボンディング領域とウエハ・テスト・プローブ・コンタクト領域を有する。
【0070】
13.前記12項の半導体集積回路装置において、更に、
(i)前記ウエハ・テスト・プローブ・コンタクト領域の前記アルミニウム系メタル膜パターンの前記上面に形成されたプローブ痕。
【0071】
14.前記12または13項の半導体集積回路装置において、更に、
(j)前記ワイヤ・ボンディング領域に接続されたボンディング・ワイヤ。
【0072】
15.前記1から14項のいずれか一つの半導体集積回路装置において、更に、
(k)前記半導体チップの前記第1の主面側を覆う封止レジン部材。
【0073】
16.前記15項の半導体集積回路装置において、前記封止レジン部材は、実質的にハロゲン・フリーである。
【0074】
17.前記13項の半導体集積回路装置において、前記アルミニウム系メタル膜パターンの露出部は、前記プローブ痕の部分を除き、不導態膜で覆われている。
【0075】
18.以下を含む半導体集積回路装置:
(a)第1及び第2の主面を有する半導体チップ;
(b)前記半導体チップの前記第1の主面上に設けられた多層配線層;
(c)前記半導体チップの前記第1の主面に設けられたI/O回路領域;
(d)前記多層配線層上に設けられ、ボンディング・パッド部および、これと前記I/O回路領域を相互に連結する配線部を有する複数のアルミニウム系メタル膜パターン;
(e)各アルミニウム系メタル膜パターンの上面を覆う窒化チタン膜;
(f)前記多層配線層、前記アルミニウム系メタル膜パターン、および窒化チタン膜の上面を覆うように形成された絶縁性表面保護膜;
(g)前記ボンディング・パッド部の内部に対応するように、前記窒化チタン膜および前記絶縁性表面保護膜を貫通して設けられたボンディング・パッド開口;
(h)各アルミニウム系メタル膜パターンの上面の一部であって、前記ボンディング・パッド開口以外のボンディング・パッド部の全域を含むように設けられた窒化チタン膜除去部、
ここで、前記ボンディング・パッド開口は、その全周において前記窒化チタン膜除去部と相互に連結している。
【0076】
19.前記18項の半導体集積回路装置において、前記ボンディング・パッド部は、前記チップ端部に沿って第1の方向に列を成すように配置されている。
【0077】
20.前記18または19項の半導体集積回路装置において、少なくとも前記配線部の前記I/O回路領域に近い側の各アルミニウム系メタル膜パターンの前記上面は、前記窒化チタン膜に被覆されている。
【0078】
21.前記18から20項のいずれか一つの半導体集積回路装置において、前記窒化チタン膜除去部は、前記絶縁性表面保護膜で覆われている。
【0079】
22.前記18から21項のいずれか一つの半導体集積回路装置において、前記絶縁性表面保護膜は、下層の酸化シリコン系膜と上層の窒化シリコン系膜を含む積層膜である。
【0080】
23.前記18から22項のいずれか一つの半導体集積回路装置において、前記ボンディング・パッド開口は、長方形を呈している。
【0081】
24.前記23項の半導体集積回路装置において、前記ボンディング・パッド開口は、ワイヤ・ボンディング領域とウエハ・テスト・プローブ・コンタクト領域を有する。
【0082】
25.前記24項の半導体集積回路装置において、更に、
(i)各アルミニウム系メタル膜パターンの前記ウエハ・テスト・プローブ・コンタクト領域の前記上面に形成されたプローブ痕。
【0083】
26.前記24または25項の半導体集積回路装置において、更に、
(j)前記ワイヤ・ボンディング領域に接続されたボンディング・ワイヤ。
【0084】
27.前記18から26項のいずれか一つの半導体集積回路装置において、更に、
(k)前記半導体チップの前記第1の主面側を覆う封止レジン部材。
【0085】
28.前記27項の半導体集積回路装置において、前記封止レジン部材は、実質的にハロゲン・フリーである。
【0086】
29.前記25項の半導体集積回路装置において、前記アルミニウム系メタル膜パターンの露出部は、前記プローブ痕の部分を除き、不導態膜で覆われている。
【0087】
〔本願における記載形式・基本的用語・用法の説明〕
1.本願において、実施の態様の記載は、必要に応じて、便宜上複数のセクションに分けて記載する場合もあるが、特にそうでない旨明示した場合を除き、これらは相互に独立別個のものではなく、単一の例の各部分、一方が他方の一部詳細または一部または全部の変形例等である。また、原則として、同様の部分は繰り返しを省略する。また、実施の態様における各構成要素は、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、必須のものではない。
【0088】
更に、本願において、「半導体集積回路装置」というときは、主に、各種トランジスタ(能動素子)を中心に、抵抗、コンデンサ等を半導体チップ等(たとえば単結晶シリコン基板)上に集積したものをいう。ここで、各種トランジスタの代表的なものとしては、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)に代表されるMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)を例示することができる。このとき、集積回路構成の代表的なものとしては、Nチャネル型MISFETとPチャネル型MISFETを組み合わせたCMOS(Complemetary Metal Oxide Semiconductor)型集積回路に代表されるCMIS(Complemetary Metal Insulator Semiconductor)型集積回路を例示することができる。
【0089】
今日の半導体集積回路装置、すなわち、LSI(Large Scale Integration)のウエハ工程は、通常、原材料としてのシリコンウエハの搬入からプリ・メタル(Premetal)工程(M1配線層下端とゲート電極構造の間の層間絶縁膜等の形成、コンタクト・ホール形成、タングステン・プラグ、埋め込み等からなる工程)あたりまでのFEOL(Front End of Line)工程と、M1配線層形成から始まり、アルミニウム系パッド電極上のファイナル・パッシベーション膜へのパッド開口の形成あたりまで(ウエハ・レベル・パッケージ・プロセスにおいては、当該プロセスも含む)のBEOL(Back End of Line)工程に大別できる。FEOL工程の内、ゲート電極パターニング工程、コンタクト・ホール形成工程等は、特に微細な加工が要求される微細加工工程である。一方、BEOL工程においては、ビアおよびトレンチ形成工程、特に、比較的下層のローカル配線(たとえば銅系ダマシン方式6層程度の構成の埋め込み配線では、M1からM4あたりまでの微細埋め込み配線)等において、特に微細加工が要求される。なお、「MN(通常N=1から15程度)」で、下から第N層配線を表す。M1は第1層配線であり、M3は第3層配線である。ここで説明する例では、アルミニウム系パッド電極層およびその直下のタングステン・ビア層の下に6層のメタル配線層がある。
【0090】
2.同様に実施の態様等の記載において、材料、組成等について、「AからなるX」等といっても、特にそうでない旨明示した場合および文脈から明らかに、そうでない場合を除き、A以外の要素を主要な構成要素のひとつとするものを排除するものではない。すなわち、成分についていえば、「Aを主要な成分として含むX」等の意味である。具体的には、銅配線、金ワイヤ、窒化チタン、アルミニウム層、ポリイミド膜等について同様である。
【0091】
また、「シリコン部材」等といっても、純粋なシリコンに限定されるものではなく、SiGe合金やその他シリコンを主要な成分とする多元合金、その他の添加物等を含む部材も含むものであることはいうまでもない。同様に、「酸化シリコン膜」、「酸化シリコン系絶縁膜」等と言っても、比較的純粋な非ドープ酸化シリコン(Undoped Silicon Dioxide)だけでなく、FSG(Fluorosilicate Glass)、TEOSベース酸化シリコン(TEOS-based silicon oxide)、SiOC(Silicon Oxicarbide)またはカーボンドープ酸化シリコン(Carbon-doped Silicon oxide)またはOSG(Organosilicate glass)、PSG(Phosphorus Silicate Glass)、BPSG(Borophosphosilicate Glass)等の熱酸化膜、CVD酸化膜、SOG(Spin ON Glass)、ナノ・クラスタリング・シリカ(Nano-Clustering Silica:NSC)等の塗布系酸化シリコン、これらと同様な部材に空孔を導入したシリカ系Low-k絶縁膜(ポーラス系絶縁膜)、およびこれらを主要な構成要素とする他のシリコン系絶縁膜との複合膜等を含むことは言うまでもない。
【0092】
また、酸化シリコン系絶縁膜と並んで、半導体分野で常用されているシリコン系絶縁膜としては、窒化シリコン系絶縁膜がある。この系統の属する材料としては、SiN,SiCN,SiNH,SiCNH等がある。ここで、「窒化シリコン」というときは、特にそうでない旨明示したときを除き、SiNおよびSiNHの両方を含む。同様に、「SiCN」というときは、特にそうでない旨明示したときを除き、SiCNおよびSiCNHの両方を含む。
【0093】
なお、SiCは、SiNと類似の性質を有するが、SiONは、むしろ、酸化シリコン系絶縁膜に分類すべき場合が多い。
【0094】
窒化シリコン膜は、SAC(Self−Aligned Contact)技術におけるエッチ・ストップ膜として、多用されるほか、SMT(Stress Memorization Technique)における応力付与膜としても使用される。
【0095】
3.同様に、図形、位置、属性等に関して、好適な例示をするが、特にそうでない旨明示した場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、厳密にそれに限定されるものではないことは言うまでもない。
【0096】
4.さらに、特定の数値、数量に言及したときも、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、その特定の数値を超える数値であってもよいし、その特定の数値未満の数値でもよい。
【0097】
5.「ウエハ」というときは、通常は半導体集積回路装置(半導体装置、電子装置も同じ)をその上に形成する単結晶シリコンウエハを指すが、エピタキシャルウエハ、SOI基板、LCDガラス基板等の絶縁基板と半導体層等の複合ウエハ等も含むことは言うまでもない。以下の実施の形態で使用するウエハについても同様である。
【0098】
〔実施の形態の詳細〕
実施の形態について更に詳述する。各図中において、同一または同様の部分は同一または類似の記号または参照番号で示し、説明は原則として繰り返さない。
【0099】
また、添付図面においては、却って、煩雑になる場合または空隙との区別が明確である場合には、断面であってもハッチング等を省略する場合がある。これに関連して、説明等から明らかである場合等には、平面的に閉じた孔であっても、背景の輪郭線を省略する場合がある。更に、断面でなくとも、空隙でないことを明示するために、ハッチングを付すことがある。
【0100】
1.本願の実施の形態1の半導体集積回路装置および半導体集積回路装置の製造方法の説明(主に図1から図11)
ここでは、90nmテクノロジ・ノードの高信頼性CMIS LSIデバイスを例にとり説明する。先ず、本願発明のデバイス構造の要部であるパッド周辺構造が適用されるLSIデバイスのレイアウトおよび同LSIデバイスを組み込んだパッケージ構造の概要について、以下のサブ・セクション(1−1)において説明する。
【0101】
なお、本実施の形態1のパッド周辺構造の特徴は、ファイナル・パッシベーション膜の下において、各ボンディング・パッド部のボンディング・パッド開口の周辺にスペースを置いて、上層バリア・メタル層を除去したリング状の領域を設けるところにある。なお、全周に設けるのは、チタンの酸化が発生する起点は、ボンディング・パッド開口との境界であるから全起点を押さえるためである。すなわち、ボンディング・パッド開口の外周のどの点からチタンの異常酸化が開始したとしても、その全長が短ければ応力も弱く無機パッシベーション膜等(補助絶縁膜等の含む)のクラックに至らないからである。
【0102】
また、セクション2に示すように、チタンの異常酸化に特に敏感なのは、ボンディング・パッドの配線部側であるから、リング状窒化チタン膜除去部は必ずしも全周に閉じた図形として形成する必要はない。たとえば、境界近傍領域32(図3等)部分のみ、または、その部分を中心とした部分に線状パターンとして設けてもよい。しかし、ボンディング・パッドの配線側でない部分において発生したチタン異常酸化も、それに起因して無機系絶縁膜のクラックが発生すると、そのクラックに水分が結露して新たな異常発生源となる可能性があるので、更に信頼性を上げるには、全周に閉じた図形として形成することが好適である。
【0103】
ここでは、リング状窒化チタン膜除去部として一体のリング状図形(閉じた図形)を例示したが、分割されたリング(たとえばリング状に配列されたドットの集合図形)であってもよい。
ただし、一体の方が、無機系パッシベーション膜等のクラックに至るチタン異常酸化の経路を遮断する能力は大きくなる。
【0104】
なお、ボンディング・パッド開口の外周側面をその外部から内部に渡って、耐湿性の無機絶縁膜で覆う方法が考えられるが、エッチング回数が多くなり、アルミニウム系メタル上面の荒れ等の問題がある。
【0105】
1−1.本願の実施の形態1から5に共通の半導体集積回路装置のチップ内レイアウトおよびの例示(主に図1及び図2)
図1は、本願の実施の形態1(実施の形態2から5についても同じ)の半導体集積回路装置のチップ内レイアウト(第1の主面)を示す模式平面図である。図2は、図1のチップを封止したBGAパッケージの正断面図である。
【0106】
先ず、本願の実施の形態1(実施の形態2から5についても同じ)の半導体集積回路装置のチップ内レイアウトの概要を説明する。図1に示すように、たとえば、シリコン系の半導体チップ2の第1の主面2a(裏面または第2の主面2bに対向する面)上の中心部にコア回路領域9が設けられ、それを取り巻くように環状電源Vdd幹配線8(たとえばアルミニウム・パッド層で構成されている)、環状電源Vss幹配線7(たとえばアルミニウム・パッド層で構成されている)、および多数のI/O回路が配置されたI/O回路領域6が設けられている。I/O回路領域6の外側のチップ2の周辺部には、各辺に沿って複数のボンディング・パッド(ボンディング・パッド部)4から構成されたボンディング・パッド列5がそれぞれ設けられている。なお、ボンディング・パッド4は、アルミニウム・パッド層で構成されている。ボンディング・パッド列5の外側のチップ2の周辺エッジ部には、ガード・リング3がチップ2の周辺を取り囲むように設けられている。ガード・リング3の最上層メタル層は、たとえば、アルミニウム・パッド層で構成されている。パッド周辺拡大部Rについては、図3等で説明する。なお、ここで例示するボンディング・パッド4は、ほぼ長方形(コーナ部にラウンド部があってもよい。また、周辺部に目印等の変形部があってもよい)であるが、正方形等の矩形や斜め線または曲線を含む図形であってもよい。なお、ここでは、I/O回路領域6をコア回路領域9とボンディング・パッド列5が設けられた領域の間に配置する例を示したが、コア回路領域9とガード・リング3の間の領域に設けるようにしてもよい。この場合は、ボンディング・パッド列5の下にもI/O回路を配置することができるので、更にスペースを有効活用することができる。一方、I/O回路領域6をコア回路領域9とボンディング・パッド列5が設けられた領域の間に配置する例では、ボンディング・パッド4とI/O回路領域6の間に距離が取れるので、信頼性を向上することができる。
【0107】
図2に、このチップの最終的な利用形態の一例であるBGAパッケージ11の断面を示す。なお、最終的な利用形態としては、BGAパッケージのほか、WLP(Wafer Level Package)その他のパッケージ形式でもよい。図2に示すように、配線基板(インターポーザ、単層または多層配線基板)12は、たとえばガラス・エポキシ系の有機系配線基板コア材14にスルーホール(ビア)17が設けられている。有機系配線基板コア材14の上面12aおよび下面12bには、バンプ・ランド15、基板上配線19、外部リード21等が設けられており、それらの上には必要に応じて、ソルダー・レジスト膜18が形成されている。バンプ・ランド15上には、パッケージ接続用の半田バンプ16が設けられている。配線基板12の上面12aには、たとえばDAF(Die Attach Film)等の接着剤層22を介して半導体チップ2がダイ・ボンディングされている。半導体チップ2の表面2aの各ボンディング・パッド4は、たとえば、金を主要な成分とする金ボンディング・ワイヤ23によって、外部リード21と接続されている。この配線基板12の上面12aは、たとえばエポキシ系の樹脂を主要な樹脂成分として含む封止レジン24によって、チップ2の上面2aやワイヤ23を内部に封止するように樹脂封止されている。
【0108】
なお、個々で使用する封止レジンは、環境対策等から難燃剤にハロゲン系物質(主に臭素)を含まない「ハロゲン・フリー・レジン」が望ましいが、封止の信頼性の面から見ると、ハロゲン・フリー・レジンは通常のレジンよりも、塩素等の他のハロゲン元素を多く含む傾向がある。すなわち、WEEE(Waste Electrical and Electronic Equipment)指令を踏まえ、半導体チップのパッケージ材料へのハロゲン・フリー化(レジン:塩素(Cl) 含有率:0.09wt%以下 2.臭素(Br) 含有率:0.09wt%以下 3.アンチモン(Sb)含有率:0.09wt%以下)の要求が増大している。しかし、パッケージ材料の変更により、従来は顕在化していなかった、製品組み立て後の高温及び高湿環境の電圧印加試験にて、正電圧印加パッド部側壁よりアルミニウム上窒化チタン膜が酸化し、窒化チタン膜とその上部膜との剥がれや、窒化チタン膜が酸化することによる体積膨張によるクラック起因のチップ破壊不良が発生しやすいことが判明した。
【0109】
1−2.本願の実施の形態1の半導体集積回路装置のパッド周辺構造および半導体集積回路装置の製造方法の説明(主に図3から図11)
図3は、本願の実施の形態1の半導体集積回路装置のチップ内レイアウト(第1の主面)の内、パッド周辺拡大部Rに対応するボンディング・パッド部周辺拡大平面図である。図4は、図3に対応する部分のワイヤ・ボンディング後の状況を示すボンディング・パッド部周辺拡大平面図である。図5は、図3のX−X’に対応するチップ断面図である。図6は、図3のY−Y’に対応するチップ断面図である。
【0110】
本願の実施の形態1の半導体集積回路装置のチップ内レイアウト(第1の主面)の内、パッド周辺拡大部Rに対応するボンディング・パッド部周辺部の平面構造を説明する。図3(無機系ファイナル・パッシベーションへのボンディング・パッド開口形成完了時点)または図4(ワイヤ・ボンディング完了時点)に示すように、アルミニウム系メタル膜パターン25(アルミニウム・パッド層に対応する)は、ボンディング・パッド部4およびボンディング・パッド部4とI/O回路領域6を連結する配線部26に分けられる。その境界31の近傍を境界近傍領域32とする。ボンディング・パッド部4の中央部は、ボンディング・パッド開口27(図5,6の窒化チタン膜の第1開口部28)であり、その周りのボンディング・パッド部4の周辺部にボンディング・パッド開口27とスペースを置いて、環状の第1窒化チタン膜除去部29a(リング状窒化チタン膜除去部または第2開口部28)が設けられている。ここで、ボンディング・パッド部の幅T1は、たとえば、50マイクロ・メートル程度(長辺の長さは、たとえば、80マイクロ・メートル程度)であり、リング状窒化チタン膜除去部の幅T2は、たとえば、0.9マイクロ・メートル程度(0.3から2マイクロ・メートル程度を好適な範囲として例示することができる)である。なお、リング状窒化チタン膜除去部29aの内側のスペースの幅は、たとえば、0.9マイクロ・メートル程度(0.3から2マイクロ・メートル程度を好適な範囲として例示することができる)であり、外側のスペースの幅は、たとえば、0.7マイクロ・メートル程度(0.3から2マイクロ・メートル程度を好適な範囲として例示することができる)である。
【0111】
なお、ワイヤ・ボンディング完了時点においては、図4に示すように、ボンディング・パッド開口27(図3)のウエハ・テスト・プローブ・コンタクト領域34には、複数個のプローブ痕36があり、ワイヤ・ボンディング領域33にはボンディング・ワイヤ接合部35が形成されている。このように領域を分けることは必須ではないが、分けることにより、ワイヤ・ボンディング特性を向上させることができる。
【0112】
また、本実施の形態のように、ボンディング・パッド部4にワイヤ・ボンディング領域33とウエハ・テスト・プローブ・コンタクト領域34とを設けた場合には、ウエハ・テスト・プローブ・コンタクト領域34に形成される複数個のプローブ痕36によって、後述する不導態化処理によるアルミニウム系メタル膜53の表面のアルミナ膜が削り取られる。そうすると、ウエハ・テスト・プローブ・コンタクト領域34ではアルミニウム系メタル膜53が削られた状態で露出することになり、アルミニウム系メタル膜53が外部から侵入する水分に起因する電気化学反応が発生する可能性が高くなる。更に、ウエハ・テスト・プローブ・コンタクト領域34に近いバリア・メタル膜54は影響を受けやすくなり、チタン異常酸化の経路となりやすい。ここで、ウエハ・テスト・プローブ・コンタクト領域34は、ワイヤ・ボンディング領域33よりもI/O回路領域6に近い位置であるため、本実施の形態のような対策を行うことが、より効果的である。 なお、ボンディング・パッド部4にワイヤ・ボンディング領域33とウエハ・テスト・プローブ・コンタクト領域34を設ける構成については、他の実施の形態でも同様に用いて良い。
【0113】
次に、図3のX−X’断面について説明する。図5に示すように、たとえば、各種の不純物ドープ領域が設けられたシリコン単結晶基板2(たとえばP型シリコン基板)の上面2a側に多層配線層51(ここでは、一例として、銅系ダマシン配線の6層配線が想定されており、最上層はM6配線上のタングステン・ビア層である)がある。アルミニウム・パッド層30(金属複合膜)は、たとえば、下層のバリア・メタル膜52、アルミニウム系メタル膜53、上層のバリア・メタル膜54(反射防止膜)等から構成されている。下層のバリア・メタル膜52は、たとえば、下層のチタン膜(たとえば、厚さ10nm程度)と上層の窒化チタン膜(たとえば、厚さ60nm程度)等から構成されている。中層のアルミニウム系メタル膜53は、たとえば厚さ1000nm程度のアルミニウムを主要な成分とするメタル膜である。一般に、添加物として、銅等を数パーセント程度含む。バリア・メタル材料としては、ここに例示したほか、チタン、窒化チタン、チタン・タングステンおよびこれらの複合膜が使用される。なお、上層のバリア・メタル膜54についても、下層のバリア・メタル膜52同様に積層構造とすることもできる。アルミニウム・パッド層30上には、加工用の補助絶縁膜55(たとえば、厚さ200nm程度のプラズマCVDによる酸化シリコン系膜)が設けられている。この補助絶縁膜55には、無機系ファイナル・パッシベーション膜56(絶縁性表面保護膜)が設けられており、たとえば、下層の酸化シリコン系保護膜56a(たとえば、厚さ200nm程度のプラズマCVDによる酸化シリコン系膜)、上層の窒化シリコン系保護膜56b(たとえば、厚さ600nm程度のプラズマCVDによる窒化シリコン系膜)等から成る積層無機系ファイナル・パッシベーション膜を例示することができる。なお、無機系ファイナル・パッシベーション膜56としては、積層に限らず、窒化シリコン系膜等による単層膜でもよい。また、無機系ファイナル・パッシベーション膜56の上に、更に、ポリイミド系樹脂膜等の有機系ファイナル・パッシベーション膜を形成してもよい。
【0114】
図5に示すように、ボンディング・パッドの中心部には、無機系ファイナル・パッシベーション膜56、補助絶縁膜55、上層のバリア・メタル膜54等を貫通するボンディング・パッド開口27がある。ここで、ボンディング・パッド開口27の上層のバリア・メタル膜54は、ワイヤ・ボンディング特性およびプローブ特性を確保するために除去されており、その開口部28は、この場合、ボンディング・パッド開口27と平面的に一致している。このボンディング・パッド開口27の部分のアルミニウム系メタル膜53の表面は、不導態化処理(酸化処理)されており、表面は緻密で薄いアルミナ系の膜で保護されている。ボンディング・パッド開口27の周辺部には、先に説明した窒化チタン膜除去部29(第2開口部または第1窒化チタン膜除去部29a)が設けられている。この例においては、第1窒化チタン膜除去部29aは、無機系ファイナル・パッシベーション膜56によって被覆されている。すなわち、開口部29は、開口27とボンディングパッド部4の端部の間に位置するように設けられており、無機系ファイナル・パッシベーション膜56によって被覆されている。
【0115】
続いて、図3のY−Y’断面について説明する。図6に示すように、図5の断面と異なり、Y’側に配線部26が延びている。
【0116】
図7は、本願の実施の形態1の半導体集積回路装置の製造方法における図3のX−X’に対応するデバイス断面フロー図(補助絶縁膜成膜工程)である。図8は、本願の実施の形態1の半導体集積回路装置の製造方法における図3のX−X’に対応するデバイス断面フロー図(窒化チタン膜除去部パターニング用レジスト膜形成工程)である。図9は、本願の実施の形態1の半導体集積回路装置の製造方法における図3のX−X’に対応するデバイス断面フロー図(窒化チタン膜除去部形成工程)である。図10は、本願の実施の形態1の半導体集積回路装置の製造方法における図3のX−X’に対応するデバイス断面フロー図(絶縁性表面保護膜成膜工程)である。図11は、本願の実施の形態1の半導体集積回路装置の製造方法における図3のX−X’に対応するデバイス断面フロー図(パッド開口形成工程)である。これらに基づいて、実施の形態1の半導体集積回路装置の製造方法における要部プロセスを説明する。
【0117】
図7に示すように、たとえば、300φのP型シリコン単結晶ウエハ1(200φでも450ファイでもよい)によるフロント・エンド・プロセスおよびバック・エンド・プロセスにおいて多層配線層51上のアルミニウム・パッド層(金属複合膜)30のパターニングが完了したウエハを準備する。後に説明するように、通常、アルミニウム系のメタル膜をドライ・エッチング等により加工した後には、露出したメタルの表面を不動態化する処理を実行する。続いて、ウエハ1のデバイス面1a上のほぼ全面に、補助絶縁膜55として、たとえば厚さ200nm程度のプラズマCVDによる酸化シリコン膜を成膜する。成膜条件としては、たとえばガス流量比:SiH/N=0.5/10程度、処理圧力360パスカル程度、ウエハ・ステージ温度摂氏400度程度を例示することができる。
【0118】
次に、図8に示すように、ウエハ1のデバイス面1a上に、レジスト膜57を塗布し、通常のリソグラフィにより、レジスト膜57にリング状窒化チタン膜除去部29aをパターニングするためのレジスト膜開口58を開口する。
【0119】
次に、図9に示すように、このレジスト膜パターン57をマスクとして、ドライ・エッチング(すなわち気相プラズマ・エッチング、以下同じ)を実行することにより、補助絶縁膜55および上層のバリア・メタル膜54を貫通する開口、すなわち、第1窒化チタン膜除去部(リング状窒化チタン膜除去部)29aまたは第2開口部(窒化チタン膜除去部)29を形成する。このドライ・エッチングは、酸化シリコン膜のエッチングと窒化チタン膜のエッチングに分かれる。酸化シリコン膜のエッチング条件としては、たとえばガス流量CF/CHF/O/Ar=150/30/40/650sccm,処理圧力27パスカル程度、ウエハ・ステージ温度摂氏60度程度を例示することができる。窒化チタン膜のエッチングのエッチング条件としては、たとえばガス流量Cl2/Ar=30/300sccm,処理圧力0.7パスカル程度、ウエハ・ステージ温度摂氏65度程度を例示することができる。この工程の後、不要になったレジスト膜57を除去する。
【0120】
次に、図10に示すように、ウエハ1のデバイス面1a上のほぼ全面を無機系ファイナル・パッシベーション膜56で被覆する。この無機系ファイナル・パッシベーション膜56を前記のように、2層膜とした場合は、成膜プロセスは、プラズマCVD酸化シリコン膜の成膜とプラズマCVD窒化シリコン膜の成膜の2段階と成る。プラズマCVD酸化シリコン膜の成膜条件としては、たとえばガス流量比:SiH/N=0.5/10程度、処理圧力360パスカル程度、ウエハ・ステージ温度摂氏400度程度を例示することができる。プラズマCVD窒化シリコン膜の成膜条件としては、たとえばガス流量比:SiH/NH/N=1.1/0.5/18程度、処理圧力600パスカル程度、ウエハ・ステージ温度摂氏400度程度を例示することができる。
【0121】
次に、図11に示すように、通常のリソグラフィにより、無機系ファイナル・パッシベーション膜56にボンディング・パッド開口27を形成する。このドライ・エッチングは、窒化シリコン膜/酸化シリコン膜(複合無機表面保護膜)の連続エッチング処理と窒化チタン膜のエッチング処理の2段階と成る。複合無機表面保護膜のドライ・エッチング条件としては、たとえばガス流量CF/CHF/O/Ar=150/30/40/650sccm,処理圧力27パスカル程度、ウエハ・ステージ温度摂氏60度程度を例示することができる。窒化チタン膜のエッチング処理の条件としては、たとえばガス流量Cl2/Ar=30/300sccm,処理圧力0.7パスカル程度、ウエハ・ステージ温度摂氏65度程度を例示することができる。
【0122】
なお、上層のバリア・メタル膜54の各ドライ・エッチング等のようにアルミニウム系のメタルの表面が露出する処理の後、残留ハロゲンによるアルミニウム系メタル膜の腐食防止のため、酸素を主要な成分とするガス雰囲気中でプラズマ処理(不導態化処理)が施される。不導態化処理の条件の一例として、酸素雰囲気中、処理圧力100パスカル程度、ウエハ温度摂氏250度程度、処理時間2分程度を例示することができる。これによって、アルミニウム系メタル膜53の表面に薄いアルミナ膜(酸化アルミニウム膜)が形成される。
【0123】
ボンディング・パッド開口27形成後、必要であれば、ウエハ1のデバイス面1a上のほぼ全面に、感光性有機系ファイナル・パッシベーション膜を塗布して、それをパターニングして、再度、ボンディング・パッド開口部を形成する。この場合、感光性有機系ファイナル・パッシベーション膜の開口部は、無機系ファイナル・パッシベーション膜56上に設けられ、開口部27よりも広い開口部となる。更に、通常の半導体プロセスの流れに従って、ウエハ・プローブ検査、バック・グラインディング、ダイシング等による分割工程、配線基板12へのダイ・ボンディング、ワイヤ・ボンディング、封止、パッケージ・テスト、最終テスト等を経て出荷に至る。
【0124】
なお、ここではエッチング補助層として、補助絶縁膜55を使用する例を示したが、この膜は必須のものではない。しかし、この膜を使用することによって、アルミニウム系メタル膜表面の荒れ等を回避することができる。
【0125】
2.本願の実施の形態2の半導体集積回路装置および半導体集積回路装置の製造方法の説明(主に図12から図15)
本実施の形態2のパッド周辺構造の特徴は、ファイナル・パッシベーション膜の下において、各ボンディング・パッド部の近傍の配線部にボンディング・パッド開口とスペースを置いて、上層バリア・メタル層を除去したスリット状の領域を設けるところにある。
【0126】
なお、この例では、スリット状窒化チタン膜除去部は配線の内部にあるが、配線部を横断するように形成してもよい。横断させた場合は、ボンディング・パッドからI/O回路領域に向かうチタン異常酸化の経路を完全に遮断することができる。ただし、セクション5と同様に、下地絶縁膜にエッチング溝等ができる可能性がある。
【0127】
また、ここでは、一体のスリットを示したが、セクション1で示したように、複数の図形の集合体であってもよい。ただし、一体の方が、ボンディング・パッドからI/O回路領域に向かうチタン異常酸化の経路を遮断する能力は大きくなる。
【0128】
図12は、本願の実施の形態2の半導体集積回路装置のチップ内レイアウト(第1の主面)の内、パッド周辺拡大部Rに対応するボンディング・パッド部周辺拡大平面図である。図13は、図12のX−X’に対応するチップ断面図である。図14は、図12のA−A’に対応するチップ断面図である。図15は、図12のY−Y’に対応するチップ断面図である。
【0129】
この例は、図12、図14および図15に示すように、第2開口部(窒化チタン膜除去部)29をアルミニウム系メタル膜パターン25のボンディング・パッド部と配線部26の境界31の近傍、すなわち、境界近傍領域32内に第2窒化チタン膜除去部(スリット状窒化チタン膜除去部)29bとして、設けたことを特徴としている。従って、図13に示すように、X−X’は、通常のボンディング・パッドと同様である。一方、Y−Y’断面およびA−A’断面は図14および図15に示すように、第2窒化チタン膜除去部(スリット状窒化チタン膜除去部)29bでは、上層のバリア・メタル膜54が除去されるとともに、その上を無機系ファイナル・パッシベーション膜56が被覆している。この例では、境界31の配線部26側にスリット状窒化チタン膜除去部29bを設けているが、ボンディング・パッド部4側に設けてもよい。スリット状窒化チタン膜除去部29bを境界31の配線部26側に設けるメリットは、ボンディング・パッド部4の面積を消費しないことと、比較的小さな面積で、I/O回路領域6に向かう部分へのチタン酸化物の成長・拡大を有効に阻止できるところにある。ここで、この部分の配線部の広さを40マイクロ・メートル程度とすると、スリット状窒化チタン膜除去部29bの幅T3は5マイクロ・メートル程度であり、その広さは35マイクロ・メートル程度である。スリット状窒化チタン膜除去部29bの幅T3の好適な範囲としては、0.3から10マイクロ・メートル程度を例示することができる。
【0130】
また、図14に示すように、本実施の形態では第2窒化チタン膜除去部29bの形状をスリット状としているが、これを全て除去してしまっても構わない。すなわち、アルミニウム系メタル膜53の端部上に第2窒化チタン膜54の一部を残しているが、これをA−A’断面に沿って全て除去してしまっても良い。このとき、アルミニウム系メタル膜53の端部上には、補助絶縁膜55も除去された形状となり、無機系ファイナル・パッシベーション膜56が直接形成される形状となる。この場合、ボンディング・パッドからI/O回路領域に向かうチタン異常酸化の経路を、より確実に遮断することができる。
【0131】
なお、製法については、開口部27のマスクパターン以外は、基本的にセクション1に示したところと同じである。
【0132】
3.本願の実施の形態3の半導体集積回路装置および半導体集積回路装置の製造方法の説明(主に図16および図17)
本実施の形態3のパッド周辺構造の特徴は、ファイナル・パッシベーション膜の下において、前記リング状の領域(セクション1)とスリット状の領域(セクション2)の両方を設けるところにある。
【0133】
図16は、本願の実施の形態3の半導体集積回路装置のチップ内レイアウト(第1の主面)の内、パッド周辺拡大部Rに対応するボンディング・パッド部周辺拡大平面図である。図17は、図16のY−Y’に対応するチップ断面図である。
【0134】
この例では、図16および図17に示すように、第1窒化チタン膜除去部(リング状窒化チタン膜除去部)29aと第2窒化チタン膜除去部(スリット状窒化チタン膜除去部)29bの両方を設けている。従って、ボンディング・パッド開口27(第1開口部28)の周辺部で発生した酸化チタン膜が、この種の異常部に鋭敏なI/O回路領域6へ向けて成長することを有効に阻止することができる。
【0135】
リング状窒化チタン膜除去部29aおよび第2窒化チタン膜除去部(スリット状窒化チタン膜除去部)29bの寸法や位置については、セクション1または2と同じである。
【0136】
また、スリット状窒化チタン膜除去部29bについては、実施の形態3と同様に、A−A’断面に沿って、アルミニウム系メタル膜53の端部上の第2窒化チタン膜54及び補助絶縁膜55を全て除去してしまっても良い。
【0137】
なお、製法については、開口部27のマスクパターン以外は、基本的にセクション1に示したところと同じである。
【0138】
4.本願の実施の形態4の半導体集積回路装置および半導体集積回路装置の製造方法の説明(主に図18から図22)
本実施の形態4のパッド周辺構造の特徴は、前記リング状の領域(セクション1)、スリット状の領域(セクション2)等の上部のファイナル・パッシベーション膜を除去することで、製造容易な構造としたところにある。
【0139】
図18は、本願の実施の形態4の半導体集積回路装置のチップ内レイアウト(第1の主面)の内、パッド周辺拡大部Rに対応するボンディング・パッド部周辺拡大平面図である。図19は、図18のX−X’に対応するチップ断面図である。図20は、図18のY−Y’に対応するチップ断面図である。
【0140】
図18、図19、および図20に示すように、構造的には、第1窒化チタン膜除去部(リング状窒化チタン膜除去部)29a上に無機系絶縁性表面保護膜56がないことが特徴と成っている。無機系絶縁性表面保護膜56がない状態であっても、当該部分のアルミニウム系メタル膜53の表面は、不導態化処理されており、数nm程度の薄いアルミナ膜で被覆されているので、通常の状態では腐食されることはない。しかし、耐湿性当を向上させるためには、チップ2の上面2aを先に説明したように、有機系ファイナル・パッシベーション膜で被覆することが望ましい。
【0141】
ここでは、リング状窒化チタン膜除去部29aのみを設けた例を示したが、それに加えて、又は、それに代えて、スリット状窒化チタン膜除去部29bを設けてもよい。また、スリット状窒化チタン膜除去部29bについては、実施の形態3と同様に、A−A’断面に沿って、アルミニウム系メタル膜53の端部上の第2窒化チタン膜54及び補助絶縁膜55を全て除去してしまっても良い。
【0142】
窒化チタン膜除去部29、すなわち、リング状窒化チタン膜除去部29aおよび第2窒化チタン膜除去部(スリット状窒化チタン膜除去部)29bの寸法や位置については、セクション1、2または3と同じである。
【0143】
図21は、本願の実施の形態4の半導体集積回路装置の製造方法における図18のX−X’に対応するデバイス断面フロー図(絶縁性表面保護膜成膜工程)である。図22は、本願の実施の形態4の半導体集積回路装置の製造方法における図18のX−X’に対応するデバイス断面フロー図(窒化チタン膜除去部およびパッド開口パターニング用レジスト膜形成工程)である。製法については、セクション1と異なる部分のみを説明する。
【0144】
図7の状態から図8および図9の処理をスキップして、直接、図21(図10に対応)に示すように、無機系絶縁性表面保護膜56(セクション1と同様に積層膜を仮定している)の成膜に移る。
【0145】
次に、図22に示すように、ボンディング・パッド開口27形成用のレジスト膜57に、通常のリソグラフィにより、ボンディング・パッド開口形成用開口58aとリング状窒化チタン膜除去部形成用開口58bの両方を形成する。そして、それらを有するレジスト膜57をマスクとして、破線部分に対応して無機系絶縁性表面保護膜56(窒化シリコン膜/酸化シリコン膜)、補助絶縁膜55、および上層のバリア・メタル膜54を貫通する開口59,60をドライ・エッチングにより、形成する。このドライ・エッチング工程は、無機系絶縁性表面保護膜56および補助絶縁膜55をエッチングする工程と上層のバリア・メタル膜54をエッチングする工程からなる。無機系絶縁性表面保護膜56および補助絶縁膜55をエッチングする工程のドライ・エッチング条件としては、たとえばガス流量CF/CHF/O/Ar=150/30/40/650sccm,処理圧力27パスカル程度、ウエハ・ステージ温度摂氏60度程度を例示することができる。上層のバリア・メタル膜54をエッチングする工程のドライ・エッチング条件としては、たとえばガス流量Cl2/Ar=30/300sccm,処理圧力0.7パスカル程度、ウエハ・ステージ温度摂氏65度程度を例示することができる。
【0146】
5.本願の実施の形態5の半導体集積回路装置および半導体集積回路装置の製造方法の説明(主に図23から図30)
この例は、セクション1から4のような酸化チタン領域拡大・成長阻止構造では不十分な場合に有効であり、ボンディング・パッド部4の全域の上層のバリア・メタル膜54を除去したところを特徴とする。
【0147】
図23は、本願の実施の形態5の半導体集積回路装置のチップ内レイアウト(第1の主面)の内、パッド周辺拡大部Rに対応するボンディング・パッド部周辺拡大平面図である。図24は、図23のX−X’に対応するチップ断面図である。図25は、図23のY−Y’に対応するチップ断面図である。
【0148】
図23に示すように、平面的には、この例は、通常のボンディング・パッド及びその周辺と同様であるが、ボンディング・パッド部4の外部周辺にエッチング溝37があるのが特徴となる。なお、この溝は上層のバリア・メタル膜54を除去するときにできるもので、必須の要素ではない。この例の構造的特徴は、第2開口部29が第1開口部28とその全周において、連結しているところにある。
【0149】
また、図25に示すように、配線部26上には、通常の配線構造と同様に上層のバリア・メタル膜54があるので、ボンディング・パッド部4のみを改変するのみで、効果が得られるメリットがある。また、ボンディング・パッド部4に複雑な構造を持ち込まないので、ボンディング・パッド開口27の面積を有効に確保することができる。
【0150】
なお、この例は、ボンディング・パッド部4のボンディング・パッド開口27の全周において、第2開口部(窒化チタン膜除去部)28が連結していればよいので、必ずしも、ボンディング・パッド部4の全域において、上層のバリア・メタル膜54を除去する必要はない。ただし、ボンディング・パッド部4の全域において、上層のバリア・メタル膜54を除去した方がパッド部の有効活用の点では有利であり、信頼性も向上する。また、第2開口部(窒化チタン膜除去部)28は配線部26に及んでもよい。
【0151】
図26は、本願の実施の形態5の半導体集積回路装置の製造方法における図23のX−X’に対応するデバイス断面フロー図(補助絶縁膜成膜工程)である。図27は、本願の実施の形態5の半導体集積回路装置の製造方法における図23のX−X’に対応するデバイス断面フロー図(窒化チタン膜除去部パターニング用レジスト膜形成工程)である。図28は、本願の実施の形態5の半導体集積回路装置の製造方法における図23のX−X’に対応するデバイス断面フロー図(窒化チタン膜除去部形成工程)である。図29は、本願の実施の形態5の半導体集積回路装置の製造方法における図23のX−X’に対応するデバイス断面フロー図(絶縁性表面保護膜成膜工程)である。図30は、本願の実施の形態5の半導体集積回路装置の製造方法における図23のX−X’に対応するデバイス断面フロー図(パッド開口形成工程)である。製法については、セクション1と異なる部分のみを説明する。
【0152】
図26は図7と同じであり、ここまでのプロセスはセクション1とまったく同じである。
【0153】
次に、図27に示すように、ボンディング・パッド部4より、若干広めの開口部58を有するレジスト膜57を通常のリソグラフィにより形成する。
【0154】
次に、図28に示すように、このレジスト膜57をマスクとして、ドライ・エッチングにより、補助絶縁膜55および上層のバリア・メタル膜54を除去する。これにより、多層配線層51の最上層、すなわち、タングステン・ビア層の層間絶縁膜(酸化シリコン膜系絶縁膜)にエッチング溝37が形成される。補助絶縁膜55をドライ・エッチングする条件としては、たとえばガス流量CF/CHF/O/Ar=150/30/40/650sccm,処理圧力27パスカル程度、ウエハ・ステージ温度摂氏60度程度を例示することができる。上層のバリア・メタル膜54をドライ・エッチングする条件としては、たとえばガス流量Cl2/Ar=30/300sccm,処理圧力0.7パスカル程度、ウエハ・ステージ温度摂氏65度程度を例示することができる。なお、この後、先に説明したように、不導態化処理が必要である。
【0155】
次に、図29に示すように、ウエハ1のデバイス面1a上のほぼ全面を無機系ファイナル・パッシベーション膜56で被覆する。このプロセスは、セクション1とまったく同じである。
【0156】
次に、図30に示すように、通常のリソグラフィにより、無機系ファイナル・パッシベーション膜56にボンディング・パッド開口27を形成する。この場合、無機系ファイナル・パッシベーション膜56のボンディング・パッド開口27下の補助絶縁膜55および上層のバリア・メタル膜54はすでに除去されているので、改めて除去する必要がない。従って、このプロセスは、窒化シリコン膜/酸化シリコン膜(無機系積層ファイナル・パッシベーション膜)のみのドライ・エッチング工程となる。無機系積層ファイナル・パッシベーション膜のドライ・エッチング条件としては、たとえばガス流量CF/CHF/O/Ar=150/30/40/650sccm,処理圧力27パスカル程度、ウエハ・ステージ温度摂氏60度程度を例示することができる。
【0157】
6.サマリ
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0158】
例えば、前記実施の形態では、多層配線層として、銅系のダマシン配線(埋め込み配線)について具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、銀系またはタングステン系のダマシン配線(埋め込み配線)やアルミニウム系の非埋め込み配線の例にも適用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0159】
1 半導体ウエハ(ウエハの半導体基板部)
1a (半導体ウエハの)デバイス面
1b (半導体ウエハの)裏面
2 半導体チップ(チップの半導体基板部)
2a (半導体チップの)第1の主面
2b (半導体チップの)第2の主面
3 ガード・リング
4 ボンディング・パッド(ボンディング・パッド部)
5 ボンディング・パッド列
6 I/O回路領域
7 環状Vss電源幹配線
8 環状Vdd電源幹配線
9 コア回路領域
11 BGAパッケージ
12 インターポーザ(配線基板)
12a 配線基板表面(上面)
12b 配線基板裏面(下面)
14 有機系配線基板コア材
15 バンプ・ランド
16 半田バンプ
17 スルーホール(ビア)
18 ソルダー・レジスト膜
19 基板上配線
21 外部リード
22 接着剤層(DAF)
23 ボンディング・ワイヤ
24 封止レジン
25 アルミニウム系メタル膜パターン
26 配線部
27 ボンディング・パッド開口
28 (窒化チタン膜の)第1開口部
29 (窒化チタン膜の)第2開口部(窒化チタン膜除去部)
29a 第1窒化チタン膜除去部(リング状窒化チタン膜除去部)
29b 第2窒化チタン膜除去部(スリット状窒化チタン膜除去部)
30 アルミニウム・パッド層(金属複合膜)
31 境界
32 境界近傍領域
33 ワイヤ・ボンディング領域
34 ウエハ・テスト・プローブ・コンタクト領域
35 ボンディング・ワイヤ接合部
36 プローブ痕
37 エッチング溝
51 多層配線層
52 下層のバリア・メタル膜
53 アルミニウム系メタル膜
54 上層のバリア・メタル膜
55 補助絶縁膜
56 絶縁性表面保護膜
56a 酸化シリコン系保護膜
56b 窒化シリコン系保護膜
57 レジスト膜
58 レジスト膜開口
58a ボンディング・パッド開口形成用開口
58b リング状窒化チタン膜除去部形成用開口
59,60 エッチング予定部
R パッド周辺拡大部
T1 ボンディング・パッド部の幅
T2 リング状窒化チタン膜除去部の幅
T3 スリット状窒化チタン膜除去部の幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む半導体集積回路装置:
(a)第1及び第2の主面を有する半導体チップ;
(b)前記半導体チップの前記第1の主面上に設けられたアルミニウム系メタル膜パターン;
(c)前記アルミニウム系メタル膜パターンの上面を覆う窒化チタン膜;
(d)前記窒化チタン膜の上面を含む前記半導体チップの前記第1の主面を覆う絶縁性表面保護膜;
(e)前記絶縁性表面保護膜に形成されたボンディング・パッド開口;
(f)前記窒化チタン膜に設けられたボンディング・パッド開口に対応する第1開口部;
(g)前記第1開口部の外部近傍の前記窒化チタン膜に設けられた第2開口部。
【請求項2】
前記1項の半導体集積回路装置において、前記アルミニウム系メタル膜パターンの前記第2開口部は、前記絶縁性表面保護膜で覆われている。
【請求項3】
前記2項の半導体集積回路装置において、前記絶縁性表面保護膜は、下層の酸化シリコン系膜と上層の窒化シリコン系膜を含む積層膜である。
【請求項4】
前記1項の半導体集積回路装置において、前記窒化チタン膜上は、前記絶縁性表面保護膜で覆われているが、前記第2開口部は、前記絶縁性表面保護膜で覆われていない。
【請求項5】
前記4項の半導体集積回路装置において、前記第2開口部の前記アルミニウム系メタル膜パターン表面には、不導態膜が形成されている。
【請求項6】
前記4項の半導体集積回路装置において、前記第2開口部の幅は、0.3マイクロ・メートルから10マイクロ・メートルである。
【請求項7】
前記1項の半導体集積回路装置において、前記第1開口部の幅は、前記第2開口部の幅よりも広い。
【請求項8】
前記1項の半導体集積回路装置において、前記第2開口部は、前記第1開口部を取り囲むように、リング状に形成されている。
【請求項9】
前記1項の半導体集積回路装置において、前記第1開口部は、ワイヤ・ボンディング領域とウエハ・テスト・プローブ・コンタクト領域を有する。
【請求項10】
前記9項の半導体集積回路装置において、前記ウエハ・テスト・プローブ・コンタクト領域内の針跡部分においては、前記アルミニウム系メタル膜パターン表面の不導態膜が除去されている。
【請求項11】
前記1項の半導体集積回路装置において、前記アルミニウム系メタル膜パターンは、前記第1開口部を内部に含むボンディング・パッド部と、それに連結した配線部とを有し、前記第2開口部は、前記ボンディング・パッド部と前記配線部との境界近傍に設けられている。
【請求項12】
前記1項の半導体集積回路装置において、更に、以下を含む:
(h)前記半導体チップの前記第1の主面、前記アルミニウム系メタル膜パターン、前記窒化チタン膜、前記第1開口部、および、前記第2開口部は、ハロゲン・フリー・レジンにより封止されている。
【請求項13】
以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)半導体ウエハのデバイス面上の多層配線層上に形成された下層バリア・メタル膜、中層アルミニウム系メタル膜、上層バリア・メタル膜を含む金属複合膜をパターニングすることにより、金属複合膜パターンを形成する工程;
(b)前記金属複合膜パターンの上面を含む前記半導体ウエハの前記デバイス面上のほぼ全面に、絶縁性表面保護膜を成膜する工程;
(c)前記工程(b)の後であって前記工程(d)の前に、前記絶縁性表面保護膜にボンディング・パッド開口を形成する工程;
(d)前記上層バリア・メタル膜のボンディング・パッド開口に対応する部分に第1開口部を形成する工程;
(e)前記第1開口部の外部近傍の前記上層バリア・メタル膜に第2開口部を形成する工程。
【請求項14】
前記13項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(e)は、前記工程(b)および(d)よりも前に実行される。
【請求項15】
前記13項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(d)と(e)は、前記工程(b)および(c)よりも後であって、ほぼ同時に実行される。
【請求項16】
前記13項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記絶縁性表面保護膜は、下層の酸化シリコン系膜と上層の窒化シリコン系膜を含む積層膜である。
【請求項17】
前記15項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(d)と(e)は、前記絶縁性表面保護膜および前記上層バリア・メタル膜を同一のエッチング・マスクを用いて、連続的に加工することにより実行される。
【請求項18】
前記13項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第2開口部の幅は、0.3マイクロ・メートルから10マイクロ・メートルである。
【請求項19】
前記13項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1開口部の幅は、前記第2開口部の幅よりも広い。
【請求項20】
前記13項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第2開口部は、前記第1開口部を取り囲むように、リング状に形成される。
【請求項21】
前記13項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記金属複合膜パターンは、前記第1開口部を内部に含むボンディング・パッド部と、それに連結した配線部とを有し、前記第2開口部は、前記ボンディング・パッド部と前記配線部との境界近傍に設けられている。
【請求項22】
前記13項の半導体集積回路装置の製造方法において、更に、以下の工程を含む:
(f)前記工程(a)、(d)及び(e)の後、前記中層アルミニウム系メタル膜の露出した表面部分に対して、不導態化処理を実施する工程。
【請求項23】
前記13項の半導体集積回路装置の製造方法において、更に、以下の工程を含む:
(g)前記工程(a)から(e)の後、前記第1開口部の前記中層アルミニウム系メタル膜の表面にプローブ針を当て、表面の不導態膜を破ってコンタクトを取ることにより、ウエハ・プローブ検査を実行する工程。
【請求項24】
前記23項の半導体集積回路装置の製造方法において、更に、以下の工程を含む:
(h)前記工程(g)の後、前記金属複合膜上を、ハロゲン・フリー・レジンにより封止する工程。
【請求項25】
以下を含む半導体集積回路装置:
(a)第1及び第2の主面を有する半導体チップ;
(b)前記半導体チップの前記第1の主面上に設けられたアルミニウム系の複数のボンディング・パッド;
(c)前記第1の主面上及び各ボンディング・パッドの周辺部を覆う絶縁性表面保護膜;
(d)各ボンディング・パッド上に設けられた前記絶縁性表面保護膜の第1の開口、
ここで、各ボンディング・パッド上には、窒化チタン膜がない。
【請求項26】
前記25項の半導体集積回路装置において、前記複数のボンディング・パッドは、前記チップ端部に沿って第1の方向に列を成すように配置されている。
【請求項27】
前記26項の半導体集積回路装置において、各ボンディング・パッドは、同層のアルミニウム系の配線と一体に連結されており、前記配線上には、窒化チタン膜が形成されている。
【請求項28】
前記27項の半導体集積回路装置において、前記絶縁性表面保護膜は、前記窒化チタン膜の上面および側面を覆う。
【請求項29】
前記26項の半導体集積回路装置において、各ボンディング・パッドは、ほぼ長方形形状を有しており、ボンディング・ワイヤが接続されるボンディング領域と、プローブ針をコンタクトさせるコンタクト領域を有している。
【請求項30】
前記29項の半導体集積回路装置において、各ボンディング・パッドの露出部は、前記コンタクト領域の一部を除き、酸化アルミニウム系の不導態膜で覆われている。
【請求項31】
前記26項の半導体集積回路装置において、更に、以下を含む:
(e)前記前記半導体チップの前記第1の主面、前記複数のボンディング・パッド、および絶縁性表面保護膜を覆うハロゲン・フリーである封止レジン部材。
【請求項32】
前記27項の半導体集積回路装置において、前記第1の方向と直交する第2の方向において、前記配線の各ボンディング・パッドの近傍には、前記窒化チタン膜がなく、その他の部分には前記窒化チタン膜がある。
【請求項33】
以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)半導体ウエハの第1の主面上の第1の絶縁膜上に、アルミニウム系メタル膜を形成する工程;
(b)前記アルミニウム系メタル膜上に、窒化チタン膜を形成する工程;
(c)前記アルミニウム系メタル膜および前記窒化チタン膜を含む複合膜をパターニングすることによって、複数のボンディング・パッドとなるべき複合膜パターンを形成する工程;
(d)前記複合膜パターンから前記窒化チタン膜を除去することによって、各ボンディング・パッドの上面を露出させる工程;
(e)前記前記半導体チップの前記第1の主面、および、各ボンディング・パッド上に絶縁性表面保護膜を形成する工程;
(f)各ボンディング・パッド上の前記絶縁性表面保護膜に第1の開口を形成する工程。
【請求項34】
前記33項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記複数のボンディング・パッドは、前記チップ端部に沿って第1の方向に列を成すように配置される。
【請求項35】
前記34項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記複合膜パターンは、各ボンディング・パッドと同層のアルミニウム系の配線を含む。
【請求項36】
前記35項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記絶縁性表面保護膜は、前記窒化チタン膜の上面および側面を覆う。
【請求項37】
前記34項の半導体集積回路装置の製造方法において、各ボンディング・パッドは、ほぼ長方形形状を有しており、ボンディング・ワイヤが接続されるボンディング領域と、プローブ針をコンタクトさせるコンタクト領域を有する。
【請求項38】
前記37項の半導体集積回路装置の製造方法において、各ボンディング・パッドの露出部は、前記コンタクト領域の一部を除き、酸化アルミニウム系の不導態膜で覆われる。
【請求項39】
前記34項の半導体集積回路装置の製造方法において、更に、以下を含む:
(g)前記工程(f)の後、前記前記半導体チップの前記第1の主面、前記複数のボンディング・パッド、および絶縁性表面保護膜上を覆うように、ハロゲン・フリー・レジン部材により封止する工程。
【請求項40】
前記35項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記工程(d)の後には、前記第1の方向と直交する第2の方向において、前記配線の各ボンディング・パッドの近傍には、前記窒化チタン膜がなく、その他の部分には前記窒化チタン膜がある。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2010−251537(P2010−251537A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−99689(P2009−99689)
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】