説明

単一光子分光計

32チャネルPMTセンサーに基づくファイバー化された単一光子の鋭敏な分光計は、広い検出ダイナミックレンジに非常に鋭敏である。分光計は、複数の蛍光マーカー(例えば複数の蛍光染料によって放出された多色蛍光信号または放射の構成など)でラベルが付けられた生体サンプルの正確かつ高速な検出、同定および解析を可能にする。分光計のファイバー化された光入力は、分析された蛍光のファイバー集束に基づいた任意の測定システムへの容易および高効率な結合を可能にする。分光計は非常に正確なDNA塩基配列決定を提供する。32チャネルPMT単一光子検出器は、20ビット以上の検出ダイナミックレンジを有して、毎秒約3300のフレームのフレーム率を有している。検出器のピクセルのダイナミックレンジは、毎秒10の光子計数に達する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、センサーシステムに関し、特に、複数の蛍光マーカーから多色蛍光放射を検出し、複数の蛍光マーカーでラベル付された生体サンプルの解析のための単一光子センサーシステムおよび方法に関する。センサーシステムおよび検出方法は、光学スペクトル分離ユニットと、検出ユニットと、集められたデータに関する信号処理アルゴリズムと、を含んでいる。
【0002】
本出願は、2007年10月25日に提出された合衆国仮出願、シリアル番号61/000,320の優先権を主張する。
【0003】
本明細書で開示された発明は、国立ヒトゲノム研究所から資金源授与番号R21HG00371702の下の国庫補助でなされた。したがって、米国政府は本開示において一定の権利を持っている。
【背景技術】
【0004】
単一光子を登録することに基づいて、多くの蛍光検出技術は利用可能である。上記の技術は通常、単一光子検出(SPD)技術と呼ばれる。それらの複雑性と費用のために、バイオ医学の応用では、単一光子検出技術の多くは、時間分解蛍光分光法または単一蛍光性分子の検出に用いられる。
【0005】
図1のブロック図において示されるように、従来の単一光子検出器はこれまで、単一光子センサーまたは光電子増倍管(PMT)検出器、パルス増幅器、パルス整形器、カウンター、およびコンピューターを含むいくつかのモジュールから成っていた。単一光子検出器の性能を妨げる要因は従来、利用可能な光子計数デバイスの比較的狭い線型性ダイナミックレンジである。検出器のダイナミックレンジは、検出器が単一光子に応答するために必要とする応答時間(τRESPONSE)によって決定される。量τRESPONSEは、デバイスの全部のモジュールの応答時間に依存し、個別のモジュールの応答時間の和であると一般に考えられる。図2のグラフにおいて示されるように、実際上、現在利用可能な単一光子センサーにおける最短の応答時間は1nsである。しかしながら、あるτRESPONSEを有する従来の単一光子PMT検出器は、従来、毎秒10−10光子計数のダイナミックレンジに制限されている。
【0006】
生物学の応用では(特にDNA検出において)、DNA塩基配列決定システムは、従来、超高速DNA塩基配列決定法を処理し、検出することができない。実際、従来のDNA塩基配列決定装置は毎秒10−30フレームでの記録する配列決定処理に制限されている。さらに、従来のDNAマシンのダイナミックレンジは16ビットに制限されている。BigDye DNA塩基配列決定標準の連続希釈法のための従来の装置はこれまで、望ましいことよりも少なくとも10倍、相対的に鋭敏ではない。
【0007】
したがって、毎秒10光子計数を超える(例えば毎秒10光子計数まで)線型性範囲、毎秒10−30フレームを越えるDNA塩基配列決定処理性能、および非常に鋭敏なBigDye DNA塩基配列決定標準を有する光子計数器を有する単一光子検出器を含むセンサーの必要性がある。マルチチャネル単一光子検出器に基づいた(例えば32チャネルPMTセンサーに基づいた)分光計は、多色放射の極めて正確な高速検出を可能にするだろう。特に、上記の検出器は、蛍光性の成分の組み合わせの非常に正確で高速の認識、およびDNA塩基配列決定の高品質検出を実証するだろう。
【発明の概要】
【0008】
32チャネルPMTセンサーに基づいて、ファイバー化された(fiberized)単一光子の鋭敏な分光計は、広い検出ダイナミックレンジに非常に鋭敏である。分光計は、複数の蛍光マーカー(例えば複数の蛍光染料によって放出された多色蛍光信号または放射の構成など)でラベルが付けられた生体サンプルの正確かつ高速な検出、同定および解析を可能にする。分光計のファイバー化された光入力は、分析された蛍光のファイバー集束に基づいた任意の測定システムへの容易および高効率な結合を可能にする。分光計は非常に正確なDNA塩基配列決定を提供する。32チャネルPMT単一光子検出器は、20ビット以上の検出ダイナミックレンジを有して、毎秒約3300のフレームのフレーム率を有している。検出器のピクセルのダイナミックレンジは、毎秒10の光子計数に達する可能性があり、さらに10倍改良することができる。
【0009】
複数の蛍光性の成分の組み合わせの検出および認識を可能にするために、マルチチャネル検出器のダイナミックレンジを有効に増加させる信号処理方法が用いられる。一実施形態において、微細な量の複数の蛍光染料の混合物によって放出された単一光子放射を測定することができ、染料混合物における個別の染料の内容を非常に正確に決定することができる蛍光検知センサーは記述される。32チャネルPMT、パルス増幅器、コンパレータおよびカウンターを含む上記のセンサー(すなわち単一光子検出器)は、1nsに等しいかまたは1nsより小さい(例えば0.1ns、0.01ns)のτRESPONSE時間を有している可能性がある。個別の蛍光染料によって放出された蛍光信号の正確な分離を可能にする信号処理アルゴリズムが利用される。
【0010】
特に、ここで実施形態は以下を開示している。
【0011】
光スペクトル分離器に多色光を伝達する光ファイバー、
少なくとも1つのマルチチャネル光検出器(光検出器チャネルはそれぞれ、前記光スペクトル分離器から別個の光スペクトルを受け取り、かつ前記受信光スペクトルの単一光子に応じて電流パルスを生成するのに適した感光性ピクセルを有している)、
マルチチャネル増幅器(増幅器チャネルはそれぞれ、前記マルチチャネル光検出器の前記センサーチャネルの対応する1つからの光スペクトルに対応する前記電流パルスを受け取り、かつ前記電流パルスを増幅するのに適している)、および
マルチチャネル光子計数器(カウンターチャネルはそれぞれ前記マルチチャネル増幅器の前記増幅器チャネルの対応する1つから前記増幅された電流パルスを受け取るのに適していて、前記マルチチャネル光子計数器は所定の時間間隔上の各カウンターチャネルにおいて前記増幅された電流パルスを合計するのに適した積分器を有している)。
【0012】
次のステップを具備するDNA配列を同定する方法もまた開示される。
【0013】
蛍光染料で選択DNA断片にラベルを付けること、
前記DNA断片を光ファイバー分離キャピラリーへ入力すること、
前記DNA断片から蛍光スペクトルを生成するために、所定波長のレーザー光により前記光ファイバー分離キャピラリーにおいて前記ラベル付けされたDNA断片を照明すること、
前記DNA断片からの蛍光スペクトルにより光ファイバーを照明すること、
前記光ファイバーは前記蛍光スペクトルを光スペクトル分離器に伝え、
前記光スペクトル分離器からの出力は少なくとも1つのマルチチャネル光検出器上に入射し、
光検出器チャネルはそれぞれ、感光性ピクセルがある光検出器チャネルはそれぞれ、前記光スペクトル分離器から別個の光スペクトルを受け取り、かつ前記別個の光スペクトルのそれぞれ異なる波長の単一光子に応じて電流パルスを生成するために適合した複数の感光性ピクセルを有している。
【0014】
カラーコードされた微小粒子を検出する方法がさらに開示される。
【0015】
蛍光染料で微小粒子にラベルを付けること、
緩衝液で前記ラベルが付けられた微小粒子を懸濁すること、
所定の速度で光ファイバーキャピラリーに、前記ラベルが付けられた微小粒子を有する前記緩衝液を通すこと、
前記光ファイバーキャピラリー内の前記ラベルが付けられた微小粒子を、蛍光スペクトルをそこから生成するためにレーザー光で照明すること、
前記ラベルが付けられた微小粒子からの蛍光スペクトルにより光ファイバー照明すること、前記光ファイバーは、光スペクトル分離器に前記蛍光スペクトルを運び、前記光スペクトル分離器からの出力は少なくとも1つのマルチチャネル光検出器に入射し、光検出器チャネルはそれぞれ、前記光スペクトル分離器からの別個の光スペクトルを受け取り、前記別個の光スペクトルのそれぞれ異なる波長の単一光子に応じた電流パルスを生成することに適した感光性ピクセルを有している。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明のさらなる理解について、以下の図面への参照がなされてもよい。
【図1】図1は従来の単一光子センサーのブロック図である。
【図2】図2は商用の32チャネルPMTのうちの1つのチャネルから直接測定されたパルスを示すグラフである。
【図3】図3は単一光子感度があるセンサーのブロック図である。
【図4】図4はスペクトル分離モジュールの概略図である。
【図4A】図4Aは図4のスペクトル分離モジュールの斜視図である。
【図5】図5は2つの32チャネルPMT検出器を有する2重スペクトル分離モジュールの斜視図である。
【図6】図6は400MHz26dBの増幅器での増幅の後にSiPMダイオードから測定されたパルスを示す。
【図6A】図6Aは3段、2GHz、60dBのパルス増幅器の電子回路図である。
【図7】図7はPMTからの典型的な1ns電圧パルスを示す。
【図8】図8は32チャネル単一光子検出器に関する概略ブロック図である。
【図9】図9は32チャネルPMTの1つのチャネルからの増幅されたパルスのパルス波形と、PECLコンパレータ後のパルス波形を表す。
【図10】図10は2段のパルス増幅器の回路図である。
【図11】図11は単一光子検出器のチャネルクロストークを示すグラフである。
【図12】図12は高速光子計数器のブロック図である。
【図13】図13は単一光子検出器の1つのチャネルの光対光子計数特性を示すグラフである。
【図14】図14は、32チャネルPMTセンサーを有する分光計の、上のパネルではチャネル分解能を示し、下のパネルでは波長分解能を示す。
【図15】図15は単一光子検出器に関する光学系のブロック図である。
【図16】図16は、3つの波長に関して測定された図15の単一光子検出器の1つのチャネルの光対光子計数特性を示すグラフである。
【図17】図17は、光子検出モジュールの出力での光子計数分布のヒストグラムを示す。
【図18】図18は、単一レーンのDNA塩基配列決定装置の写真および概略図から成る。
【図19】図19は、DNA塩基配列決定データを処理するために用いられる、上のパネルではシステム行列Cを示し、下のパネルではカラーでコンボリューション行列を示すグラフから成る。
【図20】図20はDNA塩基配列決定の掃引線および品質スコアのグラフである。
【図21】図21は、カラーコードの認識およびカラー解読をシミュレートしたコンピューターの精度を示すグラフから成る。
【図22】図22はビーズ検出システムの概略図である。
【図23】図23は無作為に着色されたビーズの認識を示すグラフである。
【図24】図24は32チャネル高速大ダイナミックレンジの単一光子分光計のブロック図である。
【図25】図25は32チャネルパルス増幅器に関する概略回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図3を参照すると、微細な量の複数の蛍光染料の混合によって放出された放射を測定するための単一光子感度を持っているセンサー10のブロック図が示される。光学の入力ファイバー11は、その後、図4に概略的に示されるスペクトル分離モジュール12に通される多色の蛍光を収集する。モジュール12を通過した後に、分解された蛍光信号は、32チャネル光センサー13の感光性ピクセルを照明する。そのセンサーは、ほんの一例として(日本の会社であるHamamatsuによって製造される)32チャネルPMTアレイH7260−20でもよい。分離された波長の各々は、PMTの1つのチャネルによって検出され、PMTのチャネルはそれぞれ、約10nmの範囲の波長を検出することができる。受信光子は、増幅と光子計数を受ける極めて短い電流パルスを生成する。例えば、図7に示されるように、PMTが単光子計数法モードで動作しているときに、チャネルはそれぞれ、入射光子束に応じた短い約1nsの電流パルスのストリームを生成する。パルス振幅は8−12mVの対応するピーク電圧を有する0.4―0.6mAに及ぶ。パルスはパルス振幅より小さなしきい電圧で設定されるコンパレータによって数えられる。得られた光子計数は、記録とデータ処理のためにコンピューター14に転送される。
【0018】
一実施形態において、スペクトル分離モジュール12は、480nmから630nmまでの一連の波長内の多色の蛍光の分離および測定を行なう。図4および4Aを参照すると、多色の蛍光は、コリメーター17(その一例はニュージャージー州のThorlabs社に製造されるF810SMA−543コリメーターでもよい)に結合される光ファイバー入力16を介してスペクトル分離モジュールに提示される。コリメーター17は、直径約10mmの並列の多色のビームを生成する。コリメートされたまたは平行なビームは、レーザー除去フィルター18を通って、回折格子19(それはニュージャージー州のThorlabs社に製造される回折格子GR13−1850のような回折格子でもよい)によってその構成波長成分に分離される。一実施形態において、回折格子19は490nmから630nmまで波長の範囲内で、蛍光のスペクトルの分離および測定を行なうために調整されてもよい。
【0019】
分離された単色ビーム成分は、32チャネルPMT 13のピクセル上に集中する。上記の集束は球面集束ミラー21(それはニュージャージー州のThorlabs社に製造される球面鏡CM254−075−G01でもよい)および円柱レンズ(それはまたThorlabs社によって製造される円柱レンズLJ1095L2でもよい)によって遂行されてもよい。
【0020】
一実施形態において、スペクトル分離モジュールは、10nmだけ異なる波長を検出することができる。分離した波長はそれぞれ、PMTの1つのチャネルによって多くは検出される。
【0021】
PMTチャネルはそれぞれ、約10nmの範囲で波長を検出する。
【0022】
分光計のスペクトル分離モジュールは1nmもの高いスペクトル分解能を提供することができる。約10nmのスペクトル分解能は、0.2mmの距離によって分離される0.8mm×7mm検出ゾーンを有する32チャネルPMTによって得られてもよい。光子受信ファイバーのアレイ(各アレイは単一光子センサーを照明するために接続されている)を使用することによって、センサーの全体のスペクトル分解能を向上させることができることを見出している。各光子センサーのファイバー束を有する分光計のスペクトル分解能は、約5nmであるとわかっている。実際、高いスペクトル分解能が必要な場合、受信ファイバーを、いくつかの応用においてバンドパスフィルターとして用いることができる。蛍光染料は広い光学スペクトルを有しているが、ファイバー束のいくつかのアレイは染料スペクトルを集め、かつ、より詳細に以下で記述されるように、分光計のいくつかのチャネルに及ぶために染料スペクトルを導くことに用いられてもよい。
【0023】
図5を参照すると、分光計の一実施形態はより広範囲の波長に適しているかもしれない。波長の範囲を増加させるために、2色性平板ビームスプリッター23が用いられてもよく、ほんの一例として、ニュージャージー州のEdmund Optics社によって製造されるビームスプリッターNT47−424でもよい。ビームスプリッターはまたニューヨーク州のSemrock社によって製造されるビームスプリッターFF650−Di01でもよい。入射放射線(すなわち光)がコリメートされた後、ビームスプリッター23はコリメート光を2つの部分に分割する。短波長(例えばEdmundのビームスプリッターに関して530−585nmまたはSemrockのビームスプリッターに関して500−640nm)は、1つの経路24に偏向される。同時に、より長波長(例えばEdmundのビームスプリッターに関して601−800nmおよびSemrockのビームスプリッターに関して660−825nm)は、第2の経路26に導かれる。長および短波長は、それによって分光計内におよそ90度で空間的に分離される。2色性平板ビームスプリッターの使用は、検出器装置の型に依存して、500−800nmおよび300−500nmの波長範囲内の分光計において、広範囲のスペクトルの分離およびよりよいスペクトル分解能を許す。商用検出器モデルH7620−20およびH7620−04は、上記の波長範囲に関してそれぞれ有用であることがわかっている。
【0024】
従来の技術における当業者は、センサーまたは分光計が2つの異なる型のマルチチャネル単一光子検出器を含んでもよいことを理解するだろう。例えば、この発明の要旨を逸脱しない範囲で、PMTは長波長に使用され、シリコン光電子増倍管(SiPM)ダイオード検波器は短波長に使用されてもよい。SiPMダイオードは、CMOS技術であり比較的安く、共通のシリコン基板上に並列に共に接続されているマトリクス状の個別のピクセルから成る。単一光子に応じて、SiPMは単一電圧のパルスを生成する。技術は、SiPMのアレイが同じチップ上に統合された駆動および読出電子回路で使用されてもよいようなものである。SiPMは(約10−10での)高い利得であり、比較的低電圧(例えば約20−70V)で動作する。それらの応答時間は1−20nsの範囲で変化する。図6を参照すると、約2ns単一光子パルスが、400MHz、26dBのパルス増幅器での増幅後、SiPMダイオードから得られてもよいことが理解される。SiPMダイオードと共に、1段か、2段か、または3段の2GHz、60dBのSiPMパルス増幅器が、単一光子計数領域での単一光子のための検出器として使用されうることが見出されている。図6Aは、3段、2GHz、60dBのパルス増幅器のための電子回路図を示す。SiPMアレイもまた、単一光子分光計のための単一光子センサーとして用いられてもよい。SiPMもまた、DNA塩基配列決定の検出に適応可能であるとわかっている。
【0025】
半透鏡が二色性のビームスプリッターの代わりに用いられてもよいことは、従来の技術における当業者によって理解されるだろう。半透鏡の使用は、分光計によって受け取られた全光子束が2つの単一光子検出器によって検出されるので、検出ダイナミックレンジを増加させる可能性がある。同様に、光子束はいくつかの束に分裂され、それぞれの束は専用の単一光子検出器によって検出される。また上記のアプローチもまた、光子検出システムのダイナミックレンジを増加させるために用いられうる。
【0026】
図8を参照すると、一実施形態では、検出器は、表面実装型デバイス技術に基づく32チャネルパルス増幅器27と、フィールドプログラムされたゲートアレイに基づく32チャネル光子計数器31と、からなる。検出器の増幅器部分は、32の同一パルス増幅チャネル28を含んでいる。そのチャネルのそれぞれは、一実施形態において、35−40dBの利得および1GHzの帯域幅を有している。検出器も、約2nsの増減時間を各々有する、32の高速のコンパレータ29が提供されるかもしれない。この配置は、最小パルス幅を近似的に4.5nsに制限し、10−50mVから、確実にコンパレータをトリガーすることができるレベルまで、PMT負パルスを増加させる。図9は、上部の掃引線で32チャネルPMTの1つのチャネルからの増幅されたパルスのパルス形状を示し、下部の掃引線でPECLコンパレータの後のパルス形状を示す。
【0027】
パルス増幅器のための電子回路の実施形態を表す図10を参照すると、2つのBGA 427増幅器32および33(すなわちそれぞれU57、U58)からなる2段増幅器を示す。増幅段はそれぞれ、2GHzの範囲において20デシベルの増幅を提供する。増幅された信号は、1nsのτRESPONSEを有するADCCMP553 LVPECLコンパレータ34へ入力される。負の増幅された信号パルスは、カウンター31へ入力されるコンパレータからPECLレベル出力パルスを生成する(図8)。
【0028】
ポテンショメータ36(すなわち、0から3.3ボルトまでのポテンショメータR9)を用いて、基準電圧を調整することができる。一実施形態においては、1.2V(増幅器の中間点)から増幅されたパルス高まで、基準電圧を設定することができる。雑音のレベル以上でとどまるがパルス底にできるだけ近づくために、しきい電圧を選択することができる。1段の増幅器がまたコンパレータ34をトリガーするための十分な利得を提供してもよいことが理解されるだろう。上記の実施形態では、キャパシタ37(すなわちキャパシタC35)を使用しなくてもよい。結果として生じる回路は、20dBの増幅を提供し、パルスの極性を一度だけ変化させる。示されるように、図9は、上部の掃引線ではコンパレータ34に入力される前に増幅されたパルスのパルス形状を示し、下部の掃引線ではコンパレータ34から出力されたパルスのパルス形状を示す。
【0029】
2つの主な型のクロストークが単一光子検出器に発生する可能性がある。1つの型は32チャネルPMTの内部での電子クロストークである。図11は、PMTの隣接のチャネル間の典型的なクロストークをグラフで表わす。上記のクロストークは、PMT内部の電子光学部品のある特徴によって発生する。32チャネルPMTにおけるチャネルクロストークは、光学および電子コンポーネントを含んでいる。光学クロストークは不完全な集光により隣接チャネルの照明から発生し、電子クロストークはPMTチャネル間の内部電子フラックスによって引き起こされる。約3パーセントのより小さいチャネルクロストークは、個別チャネルが光ファイバーによって照明される場合、既知の32チャネルPMT内で観測される可能性がある。
【0030】
別の型のクロストークは、増幅器での増幅チャネルとカウンターでのチャネルとの間の電子クロストークである。一般に、増幅器のチャネルと32チャネル光子計数器のチャネルの間の電子クロストークは観測されていない。しかし、センサーにおいて非常に小さなチャネルクロストークでさえ、例えば色素混合の解析、特に異なる色素成分の組成が数桁だけ異なっている場合、曖昧さを引き起こす可能性がある。光学のクロストークを最小限にするために、単一のPMTチャネルは、商用の532nmのNdYAGレーザーからのビームをそれらに集中させることにより照明されてもよい。以上のように、チャネルクロストーク全体は数パーセントポイントに制限され、それはメインチャンネルで測定された信号に比べて線型である。
【0031】
図8を再び参照すると、増幅の後、増幅器27の各々のチャネルからの出力は、32チャネル高速光子計数器31へ入力される。カウンター31は、チャンネル入力に到達するパルスを合計する。積分時間間隔はカウンター31内のシンクロジェネレーター(図示せず)によって提供される。一実施形態において、最小の積算時間は約0.3msである。
【0032】
図12を参照すると、ブロック図は、高速カウンター31(図8)の実施形態の詳細を提供する。この実施形態では、高速カウンターは1対の同一の計数回路38および38Aを具備する。計数回路はそれぞれ、3バイトのPECLカウンター39および39A、それぞれ3つのPECLからTTLへの3状態バッファー41A−Cおよび41D−F、およびそれぞれ3つのANDゲート42A−Cおよび42D−Fからなる。計数回路はそれぞれ、固定値同期化バイトユニット44、同期化ブロック2バイトカウンター46、3つの3状態バッファー47A−Cおよび3つのANDゲート48A−Cから成る同期化回路へ入力される。
【0033】
高速カウンターはまた、水晶振動子51、14段のバイナリリップルカウンター52、およびそれぞれがカウンター52の段に対応する複数のスイッチ53から成る制御回路49を含んでいる。制御回路49はまた、バイトカウンター54を含んでいて、その出力はブロックカウンター56へ入力される。バイトカウンター54およびブロックカウンター56は各々、ANDゲート42A−Fおよび48A−Cに接続される。バイトカウンター54の出力も、1対の付加的なANDゲート57Aおよび57Bへ入力され、それぞれのゲートは4つのTTLからPECLへの変換器58A−Dに接続する。ノットゲート59はブロックカウンター56、およびANDゲート42A−Fおよび48A−Cに接続される。制御回路は、4つのTTLからPECLへの変換器58A−Dの各々に接続されるフリップフロップを含んでいる。LPT出力コントロール回路62は、時間遅延ユニット63、ORゲート64およびフリップフロップから成る。
【0034】
高速増幅器27からのパルスは、3バイトのPECLカウンター39および39Aの入力に同時に提供される。これらのカウンターのうちの1つは常に計数モードにあり一方、他方は保留にされている。蓄積されたデータは、バイト単位で、バイト数に対応するPECLからTTLへの3状態バッファーを介して、LTPポート67へ転送される。
【0035】
3バイトのPECLカウンター39および39Aの状態は、対応するTTLからPECLへの変換器58A−Dによって変換される制御回路信号によって決定される。一例として、TTLからPECLへの変換器58Bからの出力信号は、保持モードで3バイトのPECLカウンター39を保持し、同時に、3バイトのPECLカウンター39Aを計数モードに設定する。TTLからPECLへの変換器58Cからの出力信号は、3バイトのPECLカウンター39Aを保持モードに設定し保持し、そして3バイトのPECLカウンター39を計数モードに設定する。変換器58Aおよび58Cからの出力信号は、そのデータがLPTポート67へ転送された後、対応する3バイトのPECLカウンターをリセットする。
【0036】
各伝送された102バイト後に、同期化回路43からの3つのシンクロバイトが開始される。第1のバイトは、図11に示されるように、00010001の固定値を持っていて、第2と第3番のバイトは、同期化ブロック2バイトカウンター46のそのときの現在状況を表わす。カウンター46のシンクロバイト出力は、対応する3状態バッファー47A−Cを通して、システム出力67に渡される。
【0037】
制御回路49の水晶振動子51は、14段のバイナリリップルカウンター52に渡される2MHzクロックパルスを生成する。カウンター52は、参照数字68によって概して示される14本の出力ピンを有している。各ピンはクッロクパルスを出力し、その初期周波数は2から16386までの係数で割られる。スイッチ53は、1−14から適切なピンを選び、かつそれによって全回路のためにクロック周波数を設定するために用いられる。この実施形態では、スイッチは、LPTポート67へのデータの伝送速度を、毎秒122から1,000,000バイトまで設定することができる。
【0038】
クロックパルスはバイトカウンター54に渡される。各クロックパルスを受け取った後に、バイトカウンター54は連続して、図11の「バイト」数字1、2、3として示される3つの出力のそれぞれの信号を生成する。上記の信号はそれぞれ、対応するデータバイトを伝送し、データバイトはそれぞれ計数回路38および38Aの両方へ渡される。データ信号もそれぞれ、対応するANDゲート48A−Cを通じて同期化回路43に提示される。
【0039】
バイトカウンター54からの第4番目の出力上でのハイ(high)は、カウンターをリセットし、伝送された3バイトワード数をカウントするブロックカウンター56に渡される。34番目の3バイトワード(それは102データバイトと等しい)を数える際、ブロックカウンター56は、35番目の3バイトワードに関する信号を生成する。この信号は、同期化回路のデータがLPT出力67に提示されることを可能にするANDゲート48A−Cに提示される。同時に、35番目の3バイトワードに関する信号は、計数回路38および38Aの出力を阻む。36番目の3バイトのワードに対応するブロックカウンター56からの出力信号は、図12に示すように、カウンターをリセットし、105バイトのシーケンス数をカウントするために同期化ブロック2バイトカウンター46をクロックする。同期化ブロック2バイトカウンター46は、65536の値が達せられた後、リセットする。
【0040】
フリップフロップ61は、バイトカウンター54からの全ての第1のバイトパルスによってトリガーされる。フリップフロップ61によって生成された信号は、3バイトPECLカウンター39および39Aを交互にカウントまたはホールドモードにする。上記の信号はまた、カウンターの出力を有効にするか無効にし、ANDゲート57Aおよび57Bを通じてカウンターへのリセットパルスの伝送を許容するかブロックする。図13は、図12に表されたカウンターの型の1つのチャネルの、典型的な光対光子計数特性を示すグラフを表す。
【0041】
図7を再び参照すると、典型的な電圧パルスは、パルス増幅器の実施形態の出力および入力において表される。増幅されたパルスの幅は、近似的に、入力パルスの幅より約5つの谷間だけ長い5nsである。検出器のダイナミックレンジ(暗騒音に対する最大の光子計数の比)は、−20ビットである。データ記録ソフトウェアの使用によって、2ns未満のパルス持続時間は、パルス振幅−1.5Vでのカウンターによって解明されるかもしれない。
【0042】
本実施形態の32チャネル単一光子検出器の感度および線型性により、毎秒5×10計数と同様の高い光子計数率を記録することができる。実際、検出器の線型性は、例えば、毎秒2×10光子計数を超える非常に広範囲の線型の光子計数を可能にする。2x10と同じくらいの光子カウントも観測されている。これらの計数範囲は、任意の既知の商用の単一光子検出器の検出ダイナミックレンジを超えるだろう。本実施形態の検出器と、利用可能な商用の単一光子検出器(例えばモデルSPCM−AQR−12−FC)との光子検出効率の比較は、490nmで、本実施形態の32チャネルPMT検出器の光子検出効率が、先の商用のSPCMの光子検出効率の約20%であったし、それは610nmで5%まで減少したことを示す。
【0043】
図8および12を参照して、カウンター31によって収集されたデータは、標準IEEE 1284パラレルポートインターフェース67を用いて、PCに転送される。データは、バイナリフォーマットを用いて105バイトのフレームにおいて転送される。データフレームは、それぞれの32検出チャネル(チャネル当たり3バイト)のために得られる複数のカウント値から成る。フレームはそれぞれ、次のフィールドを含んでいる6バイトのヘッダーで始まる。ミリ秒で測定される2バイトカウント期間長、1バイトカウンター型、および2バイトフレーム番号。フレーム番号は、現在のフレーム数を含んでいる。数は、オーバーフローにより増加するシーケンスをこのように形成する各次のフレームのために1だけインクリメントされる。フレーム番号は、同期マークとして機能し、連続データストリームでデータフレームを見つけるために、データ処理ソフトウェアによって用いられる。フレーム番号はまた、データ保全の検証のため、および伝送線路に干渉によって導入されたエラーを見つけるために用いられる。特別のソフトウェアパッケージは、カウンターによって転送されたデータのオンライン視覚化、および録音を行なう。
【0044】
蛍光スペクトルを処理する際に、信号処理の主な課題は、別個で知られている蛍光性のスペクトルを有するn染料からできている染料混合によって生成される蛍光信号への個別の蛍光染料の寄与の決定である。混合における個別の染料の寄与は、もし分光計が検出された蛍光に対する線型応答を生成すれば、分光計のN独立チャネルにおいて測定される蛍光の分解によって見つけられうる。
【0045】
一例として、分析された蛍光染料数n<N(例えばDNA塩基配列決定に関しては≪=4)ならば、既知のシステム行列手法H(Nxn) = (h,h...,h)を用いて、ここでh = (h1i...hNi,(1≦i≦n)は、分析された染料混合における蛍光染料のスペクトルを表わすN−成分ベクトルである、個別の蛍光染料hiに関するスペクトル応答より先にシステムを較正することによりシステム行列Hを得ることは可能である。r=(r..rが染料混合の測定された蛍光性のスペクトルであり、s = (s,s,...,sが、個別の蛍光染料の濃度を表わす成分ウェイトのベクトルである場合、ノイズω = {ω...ωがある状態における、測定スペクトルrは次のとおりである:
r=Hs+ω (1)
式(1)の最適解sは、雑音成分ωの分布特性に依存する。単純化された仮定はωが独立していて、同一に分布している通常のランダム値を仮定し、よく知られ計算上効率的な最小分散の、以下の
【数1】

【0046】
を推定するための公平な解決法が、1993年にKayによって実現された(Fundamentals of Statistical Signal Processing. Estimation Theory のp. 97)。
【数2】

【0047】
光子計数において、個別率観察rは、等しい平均と分散を有するポアソン分布を有している。より高い光子計数率(1つの観察期間当たり50以上のカウント)については、観測された率は、「真実の」平均率rと、以下のように平均率に依存する分散を有するガウス雑音ωとの重ね合せによってよく近似される。
【0048】
【数3】

より正確な解決法は、独立した非同一に分布した正規なランダム変数gによって得られ得る。式(1)の一般解は、上記の1993年にケイによってこれまでに導かれた以下である。
【数4】

【0049】
ここでCは成分ωの共分散行列である。ωの独立により、行列Cは対角である:
【数5】

【0050】
ここでσはωの分散である。実際上、平均率
【数6】

【0051】
は未知であり、観測された率rは、分散の計算のための用いられる:
【数7】

【0052】
分散σは各測定のために推定される。σとrとを関連づける関数は、rを得るために用いられる、前処理するそれぞれの方法に関して特殊である。例えば、rがサンプリング周期の間光子の計数によって直接得られる場合、σ=rである。バックグラウンドbが計数観測の結果から引かれる場合、σ=r+bとなる。rがkサンプリング周期にわたる計数観測を平均化することによって得られる場合、σ=r/kである。式(3)の推定量は、より正確だが式(2)の推定量より多くの計算上のリソースを要する。
【0053】
以上記述された信号処理技術は、クロストーク除去の段階でバックグラウンド減算を可能にする。これは、バックグラウンドを表わす付加的なスペクトル(行列Hにおける列)を生成することにより実現される。新規の行列Hの式(2)および(3)の推定量は、他のスペクトル成分からバックグラウンドを分けるだろう。
【0054】
図15を参照して、単一光子検出器の特性化のために用いられた測定構成のブロック図が示される。構成では、(モノクロメーターまたは532nmのレーザーであってもよい)光源69からの光は、1セットの中性光学フィルター71を通して渡され、GRINレンズ72で終端されるファイバーに結合される。GRINレンズからの光は32チャネルPMTの32の光電陰極のうちの1つの上に集中する。光源69としてモノクロメーターを有する図15に示される構成を用いて、単一光子検出器用に測定された光子計数および光特性は、図16に表される。理解されるように、3つの測定波長すべてについては、検出器の出力は毎秒10光子計数までは線型のままであり、検出器のダイナミックレンジは、毎秒2x10光子計数を超える。絶対的な計数率における有意差は、630nmと比較して、488nmと530nmの波長に関して示される。600nmより長い波長ではPMTの量子効率の減少がある。
【0055】
本実施形態の光子計数システムにおけるノイズは、光子計数の一時的な分布によって決定される。正しく操作する光子計数器は、光子計数率推定の分散(例えば積分周期の間に数えられた光子数)がその平均値と等しいポアソン分布を利用する。これは光子検出器の信号対雑音比に関するより低い境界を設定する。図17は、4つの異なる照明レベルに関する光子検出モジュールの出力で光子計数分布のヒストグラムを示す。光子計数は25msの区間中に収集され、照明レベルごとに約30分に関するデータ記録ソフトウェアを用いて記録された。図17は、すべての4つの照明レベルに関して平均値と分散との間のよい一致を示す。これは、測定されたノイズが、検出器によって検出された光子束の確率的な本質によって引き起こされただけであることを示し、検出器自体が付加的なノイズを少しも生成しないことを示す。
【0056】
一実施形態において、いくつかの既知の蛍光染料からできている混合の認識および鋭敏な検出を必要とする応用に、単一光子分光計を用いることができる。特に、本明細書で記述された分光計は、商用のArイオンおよびNd−YAGレーザーによる蛍光励起を用いる単一の融解石英キャピラリーにおいて電気泳動によって行なわれるDNA塩基配列決定の検出のために、光センサーとして用いられてもよい。レーザー波長を抑えるために、ArイオンおよびNd−YAGレーザーのためのそれぞれ50D 522nmおよび538nmのレーザーエッジフィルター(522AELP、538AELP、オメガオプティカル社、バーモント州、USA)が用いられてもよい。
【0057】
図18を参照して、単一レーンのDNA塩基配列決定装置の実施形態の写真および概略図が示される。DNAサンプルは、写真に示される単一のキャピラリー分離モジュールにおける電気泳動の分離を受ける。モジュールは、内蔵の電圧計および電流計を有する小型の高電圧供給73(15kV以内)、ポリマー置換システム74、温度制御システム76(25−70℃±0.01℃)、DNAサンプルおよび流動バッファーのためのチューブチェンジャー回転荷台77、および精密光学系78から成る。図18の概略図を参照すると、蛍光性にラベルが付けられたDNA断片が、光学系78を通過する場合、それらは、ユニフェイズ、カリフォルニア州によって作られたArイオンレーザ(488および514nm、20mW)のような(しかしこれに限定されない)ファイバー化されたレーザー、またはCrystaLaser、ネバダ州によって作られたNd:YAGレーザー(532nm、25mW、GCL−025−S)によって照明される。レーザー励起蛍光は(200mkmコア径があってもよい)ファイバー81によって収集され、スペクトル分離モジュール12(図3)に送られる。一実施形態において、オメガオプティカル社(VT)によって作られた5OD 522nmおよび538nmのレーザーエッジフィルター(522AELP、および538AELP)は、ArイオンおよびNd−YAGレーザーのレーザー波長をそれぞれ抑制するために用いられてもよい。
【0058】
アプライド・バイオシステムズ(フォスターシティー、カリフォルニア州)から得られたBigDyeターミネーターv1.1シーケンシング標準とラベルが付けられたDNAサンプルは、25μlのフォルムアミドにおいて変性して、注入の直前にHPLC等級水において1から5まで希釈された。DNA分離は、40cm(35cmの分離長さ)のコーティングされていない(50μmの内径および365μm外径を有して、50℃においてPOP−7分離媒体で満たされている)キャピラリーにおいて150V/cmで行われた。この例において、流動バッファーが用いられた。
【0059】
A、C、GおよびTターミネーターのラベル付けために用いられた4つの染料によって生成された蛍光強度を推定するための少なくとも2つの有効なアプローチがある。このような1つのアプローチは上記の式(3)にしたがって測定スペクトルを分解することである。全測定スペクトルの分解に関して、各染料を記述するスペクトル成分cは、染料ごとに分離して放射された蛍光を測定することによって、および光子計数率の測定されたベクトルを正規化することによって実験的に得られる。混合における個別の染料の濃度s[n]の決定は、時刻フレームごとに行なわれる。染料濃度の得られた配列は、4つの塩基配列決定の掃引線(sequencing traces)を形成し、これらはさらに塩基呼び出し(base calling)にも用いられる。
【0060】
別のアプローチは仮想フィルターの応用である。仮想フィルターの方法は、成分スペクトルが十分に分離される場合、用いられてもよい。空間的に十分に分離された波長を有するスペクトルを含んでいる入射光は、選択された受け入れ角度を有するファイバー束の入力端を照射する。有限の受け入れ角度のために、特定のファイバーは特定の波長からのみ信号を収集し、光検出器の特定チャネルに信号を送る。一例として、仮想フィルターは、3つのPMTチャネルを選択することにより形成されてもよく、その結果、各染料の蛍光の各々の3つの異なる波長のそれぞれが、3つのPMTチャネルのうちの1つによって捕獲され、したがって割り当てられたチャネルでの測定に最大のものを寄与し、他のチャネルでの最小の応答を提供する。上記のシステムは、マルチカラーの蛍光の検出のための帯域フィルターを不必要にする。別の例では、特定の染料のかつ特定の波長を有している空間的に広いスペクトルは、いくつかの(例えば3つの)ファイバーまたはファイバー束のグループによって同時に捕獲される。上記の処理によって、システムの信号対雑音比での減少のないダイナミックレンジでの著しい増加が可能になる。
【0061】
一実施形態において、狭いエミッションスペクトルを有するスペクトルに関する線型性の高ダイナミックレンジは、実現されてもよい。そこで、各染料の蛍光の各々のいくつかの波長は、PMTチャネルのうちの1つによって捕獲され、したがって割り当てられたチャネルでの測定に最大のものを寄与し、他のチャネルでの最小の応答を提供する。ファイバーは特定の波長を1xN光検出器内の対応する検出器へ通過させる。そこから、信号は空間的に分離されたスペクトルを収集するためのMxN光検出器に渡される。投影光学系はMxN光検出器のN番目の列にN番目の波長を投影するために用いられてもよい。したがって、特定の波長の信号は、M個の単一光子光検出器によって同時に収集される。この処理はまた、システムに関する高い信号対雑音比および線型性の高ダイナミックレンジを実現する。
【0062】
記述された実施形態に関するデータ処理アプローチでは、4つの塩基配列決定の掃引線は、ノイズフィルタリングまたはスムージング、基線減算、クロストーク除去、モビリティシフト補正、ピーク高さ、および間隔等価を含む標準処理を受ける。ピーク当たり7−15ポイントまで再サンプリング後、トレースは.SCFフォーマットで記憶され、標準ベースコールPHREDソフトウェアによって処理される。処理の結果は、それらの位置と品質のスコアを有する基本呼び出しの配列として返される。
【0063】
以上示されるように、DNA塩基配列決定データの処理への少なくとも2つのアプローチがある。図19(それはシステム行列グラフ82と、ArイオンおよびNd−YAGレーザーに関するカラーデコンボリューション行列83および84とをそれぞれ示す)を参照すると、単純化されたデータ処理アプローチは、PMTの、チャネル18(546nm)、チャネル15(568nm)、チャネル11(589nm)およびチャネル5(610nm)から得られた信号を用いるだろう。チャネル18、15、11および5はそれぞれ、G、A、TおよびCに対応する。ArイオンおよびNdYAGレーザーに関する導かれたカラーデコンボリューション行列83および84は、図19の下部においてスプレッドシートフォーマットで示される。一方、システムの行列Hの決定のためのスペクトル成分hは、各染料によって別々に放出された蛍光の測定によって、および図19の上部のグラフ82において示される光子計数率の測定されたベクトルを正規化することによって、実験的に得られてもよい。
【0064】
塩基配列決定データの処理への前述したアプローチは、同様な塩基配列決定の掃引線および塩基呼び出し品質をもたらす。しかしながら、小さな信号対雑音比によって特徴付けられる測定に関しては、全測定スペクトラムの分解は、それは、分光計の4つだけの選択されたチャネルで得られる蛍光だけよりも各染料によって放射される蛍光についての全情報を使用するので、よりよい結果を与える。染料から得られる蛍光スペクトラム全体を用いることの別の利点は、検出ダイナミックレンジの著しい増加である。実際、本明細書で説明された32チャネル光検出器において、チャネルは毎秒2×10光子計数まで線型応答を有していて、もし測定された蛍光染料が広域スペクトラムを有していれば、この染料に関する検出の線型範囲はセンサーの同時に照明されるチャネル数に比例するだろう。
【0065】
図20は、ArイオンおよびNdYAGレーザーを用いて、本明細書に記述された分光計の実施形態で得られた、2つのDNA塩基配列決定の掃引線およびベースコール品質スコアを示す。2つのレーザーで記録された塩基配列決定の掃引線は、極めて類似したように見え、品質スコアはほとんど同一である。得られたQ20シーケンス読み出し長は、約650の塩基対と同様な長さである。その読み出し長は、(Applied Biosystems社からのモデルABI−3730のような)商用のDNAシーケンサーでの同様なキャピラリー長に関して得られた読み出し長と極めてよく一致する。
【0066】
一実施形態において、単一光子分光計はカラーコードを認識し正確に解読してもよい。図21を参照すると、上部は、強くオーバーラップするスペクトルを有する3つの型のQDを含んでいる混合の解読と測定とを示す。図21の中央部は、QD2の内容混合が0%から15%まで変わる場合、予混されかつ解読される濃度のほぼ完全な一致を実現することができることを示す。図21の下部での曲線は、単一光子分光計によって行なわれた測定のコンピューターシミュレーションに関して得られた解読結果と同様に、QD混合(1測定当たり約10,000光子)ごとに数千の測定を行なうことにより得られた解読統計を示す。
【0067】
一実施形態において、単一光子分光計はカラーコード化された微小粒子を検出してもよい。図22を参照すると、ビーズポンプシステム86の中に保持された緩衝液において個別のビーズが懸濁されるビーズリーダシステムが示される。ビーズは、キャピラリー87を介して高速でそれらを押すことにより測定される。励起ビーム88は、ビーズにおいて蛍光を励起する。蛍光は、光ファイバー化された検出器89によって検出され、適切な分光計または光学反射系91を介して単一光子検出器92に提示される。検出された信号は、コンピューター(図示せず)によって記録され、記録されたデータは適切に処理される。一実施形態において、ポンプ装置86はプログラマブルなマイクロポンプであり、キャピラリー87は25μmのIDキャピラリーである。励起ビーム88によってキャピラリーの均一照明を確保するために、キャピラリーは光ヘッド(図示せず)に挿入される。ビーム88は適切にファイバー化されたレーザー源(図示せず)によって生成される。ビーズがレーザー光線を通過する場合、それらは、ファイバー化されたミクロな対物鏡89によって収集される蛍光を放出する。収集された蛍光は分光計91に送られ、それは(この実施形態では高速マルチチャネル検出器である)単一光子検出器92によって検出される。
【0068】
図23を参照すると、図22のビーズリーダはランダムに有色のビーズの測定を行なうために用いられてもよい。一実施形態において、測定は量子ドットで色がつけられたポリスチレンビーズでなされた。100の上記のビーズに関して得られた解読結果は図23に示され、ここでx軸はビーズリーダによって検出された順にビーズ番号を示し、y軸は1に規格化されたビーズコードを示す。
【0069】
先のビーズの検出システムの主な特性は、単位時間当たりに検出され、かつ要求された精度で解読されうるビーズの数である。一般に、解読精度は、ビーズの検出時間中に収集された光子数によって決定される。量子ドットの商用セットについては、ビーズから収集された全光子数が10より大きくなる場合、99パーセントと同様の高い解読精度をうることができる。ビーズの検出が発生する率は、光子検出器のダイナミックレンジに依存する。図24のブロック図を参照すると、一実施形態では毎秒10もの高いビーズの検出率は、スペクトル分離モジュール93、32チャネルPMT 94、32チャネルFPGA 96、高速USBマイクロコントローラ97、およびコンピューター98から成る光子検出器で得られる。上記のようなシステムは、チャネル当たり毎秒10の光子計数の線型範囲、および毎秒32MBのデータ転送速度を有する。図24におけるブロック図において示されるシステムの32チャネルパルス増幅器の1つのチャネルの回路図は、図25に示される。
【0070】
種々の実施形態は、ある程度の特殊性または精度で、または1以上の個々の実施形態を参照して上に記述されているが、当業者は、ここでクレームされた発明の精神または範囲から外れずに、開示された実施形態への多数の変更を行うことができる。上記の詳細な説明に含まれており、添付図面において示される主題は、特定の実施形態のみを例証するが制限しない解釈されることが意図される。詳細または構成の変更は、以下のクレームにおいて定義されるような発明の要素から外れずに行なわれてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのマルチチャネル光検出器と、
各光検出器チャネルは、別個の光スペクトルを受け取り、かつ前記受け取られた光スペクトルの単一光子に応じて電流パルスを生成するのに適した感光性ピクセルを有し、
マルチチャネル増幅器と、
各増幅器チャネルは、前記マルチチャネル光検出器の前記センサーチャネルのうちの対応する1つから光スペクトルに対応する前記電流パルスを受け取り、かつ前記電流パルスを増幅するのに適していて、
マルチチャネル光子計数器と、
各カウンターチャネルは、前記マルチチャネル増幅器の前記増幅器チャネルのうちの対応する1つから前記増幅された電流パルスを受け取るのに適していて、前記マルチチャネル光子計数器は、所定の時間間隔上の各カウンターチャネルにおいて前記増幅された電流パルスを合計するのに適した積分器を有している、
を具備する単一光子センサー。
【請求項2】
光スペクトル分離器に多色光を伝達する光ファイバーを具備する請求項1の単一光子センサー。
【請求項3】
前記少なくとも1つのマルチチャネル光検出器は、複数のチャネルを有する線型な光電子増倍管アレイを具備し、前記チャネルはそれぞれ前記光スペクトル分離器から別個の光スペクトルを受け取る請求項2の単一光子センサー。
【請求項4】
前記線型な光電子増倍管アレイは、4以上チャネル、8以上のチャネル、16以上のチャネル、および32以上のチャネルを有する複数の線型な光電子増倍管アレイから成るグループから選択される請求項3の単一光子センサー。
【請求項5】
前記線型な光電子増倍管アレイは、32チャネルを含んでいる請求項4の単一光子センサー。
【請求項6】
前記マルチチャネル増幅器は、32のパルス増幅チャネルを具備し、前記パルス増幅チャネルのそれぞれは、前記線型な光電子増倍管アレイの32チャネルのうちの対応する1つから前記電流パルスを受け取るのに適している請求項5の単一光子センサー。
【請求項7】
前記少なくとも1つのマルチチャネル光検出器の各チャネルによって生成された前記電流パルスのそれぞれは、2ナノ秒未満の持続時間τPULSEを有している請求項1の単一光子センサー。
【請求項8】
前記少なくとも1つのマルチチャネル光検出器の各チャネルによって生成された前記電流パルスのそれぞれは、1ナノ秒未満の持続時間τPULSEを有している請求項1の単一光子センサー。
【請求項9】
前記少なくとも1つのマルチチャネル光検出器の各チャネルによって生成された前記電流パルスのそれぞれは、0.1ナノ秒未満の持続時間τPULSEを有している請求項1の単一光子センサー。
【請求項10】
前記少なくとも1つのマルチチャネル光検出器の各チャネルによって生成された前記電流パルスのそれぞれは、0.01ナノ秒未満の持続時間τPULSEを有している請求項1の単一光子センサー。
【請求項11】
前記マルチチャネル光子計数器の線型の光子計数の範囲は、毎秒少なくとも10光子計数までである請求項1の単一光子センサー。
【請求項12】
前記マルチチャネル光子計数器の線型の光子計数の範囲は、毎秒10光子計数である請求項1の単一光子センサー。
【請求項13】
前記マルチチャネル光子計数器の線型の光子計数の範囲Rが、R≧1/τRESPONSEであり、τRESPONSEは単一光子に応答する単一光子計数器によって必要とされる時間である請求項1の単一光子センサー。
【請求項14】
前記マルチチャネル光検出器は、シリコン光電子増倍管を具備し、シリコン光電子増倍管のチャネルのそれぞれはマトリクス状の個別のピクセルを具備し、前記チャネルは共通のシリコン基板上で並列に共に接続される請求項1の単一光子センサー。
【請求項15】
1対の前記マルチチャネル光検出器と、入射多色光を受け取り、かつ前記多色光の2本の別個のビームを生成するのに適した光ビームスプリッターと、を具備し、光の前記ビームは1対の前記光スペクトル分離器のうちの1つに入力する請求項2の単一光子センサー。
【請求項16】
それぞれの前記1対のマルチチャネル光検出器のセンサーチャネルはそれぞれ、前記1対の光スペクトル分離器のそれぞれから別個の光スペクトルを受け取り、かつそれらに応じて電流パルスを生成するのに適した感光性ピクセルを有している請求項15の単一光子センサー。
【請求項17】
前記光ビームスプリッターは2色性ミラー(dichroic mirror)を具備する請求項15の単一光子センサー。
【請求項18】
前記光ビームスプリッターは半透鏡を具備する請求項15の単一光子センサー。
【請求項19】
前記多色光は、複数の蛍光染料によって形成された混合物によって生成された蛍光性スペクトルから成る請求項1の単一光子センサー。
【請求項20】
入射多色光の単一波長を受け取り、かつ光の前記単一波長を、マルチチャネル光検出器の1以上のチャネルを定義する感光性ピクセルに伝達するのに適した光ファイバーを具備する単一光子センサー。
【請求項21】
前記入射多色光は、複数の蛍光染料によって形成された混合物によって生成された蛍光性スペクトルから成る請求項20の単一光子センサー。
【請求項22】
前記光ファイバーが入射蛍光性スペクトルの単一波長に対応する光の受理の所定の角度を定義する入力終了を具備する、クレーム21の単一光子センサー。
【請求項23】
前記光ファイバーのそれぞれは、前記光ファイバーの他のものによって受け取られる入射蛍光性スペクトルの波長とは異なる前記入射蛍光性スペクトルの単一波長を受け取り、入射蛍光性スペクトルの前記単一波長を、前記マルチチャネル光検出器のチャネルのうちの対応する1つに伝達するのに適している請求項22の単一光子センサー。
【請求項24】
所定の複数の前記光ファイバーは、前記入射蛍光スペクトルの単一波長を受け取るのに適し、かつ入射蛍光スペクトルの前記単一波長を、前記マルチチャネル光検出器の複数の対応する前記チャネルに伝達するのに適している請求項22の単一光子センサー。
【請求項25】
DNA配列を同定する方法であって、
蛍光染料で選択されたDNA断片をラベル付け、
前記DNA断片を光ファイバー分離キャピラリーへ入力し、
前記DNA断片から蛍光スペクトルを生成するために、前記光ファイバー分離キャピラリーにおいて所定の波長のレーザー光で前記ラベル付されたDNA断片を照明し、
前記DNA断片からの蛍光スペクトルで光ファイバーを照明する、前記光ファイバーは前記蛍光スペクトルを光スペクトル分離器に運び、前記光スペクトル分離器からの出力は少なくとも1つのマルチチャネル光検出器に入射し、光検出器チャネルはそれぞれ、前記光スペクトル分離器からの別個の光スペクトルを受け取りかつ前記別個の光スペクトルのそれぞれ異なる波長の単一光子に応答する電流パルスを生成するのに適した感光性ピクセルを有している、ステップを具備する方法。
【請求項26】
前記レーザー光は、ArイオンおよびNd:YAGレーザーのグループから選択されたレーザーによって生成され、前記レーザーの波長は488nmから532nmまでの範囲内である請求項25の方法。
【請求項27】
前記所定の波長は、488nm、514nmおよび532nmのうちの一つである請求項25の方法。
【請求項28】
前記光ファイバー分離キャピラリーは約200マイクロメーターのコア径を有している請求項25の方法。
【請求項29】
前記光ファイバー分離キャピラリーにおいて前記DNA断片を電気泳動的に分離するステップを具備する請求項25の方法。
【請求項30】
前記少なくとも1つのマルチチャネル光検出器が32チャネルの線型な光電子増倍管アレイを具備する請求項25の方法。
【請求項31】
カラーコードされた微小粒子を検出する方法であって、
蛍光染料で微小粒子にラベルを付け、
緩衝液で前記ラベルが付けられた微小粒子を懸濁し、
所定の速度で光ファイバーキャピラリーに、前記ラベルが付けられた微小粒子を有する前記緩衝液を通し、
前記光ファイバーキャピラリー内の前記ラベルが付けられた微小粒子を、蛍光スペクトルをそこから生成するためにレーザー光で照明し、
前記ラベルが付けられた微小粒子からの前記蛍光スペクトルで光ファイバー照明すること、前記光ファイバーは、光スペクトル分離器に前記蛍光スペクトルを運び、前記光スペクトル分離器からの出力は少なくとも1つのマルチチャネル光検出器に入射し、光検出器チャネルはそれぞれ、前記光スペクトル分離器からの別個の光スペクトルを受け取り、前記別個の光スペクトルのそれぞれ異なる波長の単一光子に応じた電流パルスを生成することに適した感光性ピクセルを有している方法。
【請求項32】
請求項1の前記単一光子カウンターにより前記別個の光スペクトルのそれぞれ異なる波長の前記光子を計数するステップを具備する請求項31の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図4A】
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【図5】
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【図6】
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【図6A】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公表番号】特表2011−501189(P2011−501189A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−531041(P2010−531041)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【国際出願番号】PCT/US2008/012087
【国際公開番号】WO2009/055012
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(508263877)ザ・リサーチ・ファウンデーション・オブ・ステイト・ユニバーシティー・オブ・ニューヨーク (1)
【住所又は居所原語表記】35 State Street, Albany, New York 12201−0009, U.S.A.
【Fターム(参考)】