説明

印刷装置、コンピュータプログラム、及び、印刷方法

【課題】補正をするためのより適切な情報を得ることが可能な印刷装置を実現する。
【解決手段】特定濃度の画像を印刷するための画像データに基づいてノズルからインクを吐出させて印刷した特定濃度パターンを構成する各ドット列が形成された各列領域における、移動方向の中央部分の濃度の読み取り結果に基づいて、各々の列領域間の濃度ムラを抑制すべく補正するための補正情報を、取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像の濃度ムラを抑制する印刷装置、コンピュータプログラム、及び、印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
媒体としての用紙にインクを吐出して画像を形成する印刷装置として、インクジェットプリンタ(以下、プリンタという。)が知られている。このプリンタは、キャリッジの移動方向に移動する複数のノズルからインクを吐出して用紙にドットを形成するドット形成動作と、搬送ユニットにより前記用紙を前記移動方向と交差する交差方向(以下、搬送方向ともいう)に搬送する搬送動作とを交互に繰り返す。これにより、移動方向に沿う複数のドットから構成された複数のラスタラインが交差方向に複数形成され、画像が印刷される。(たとえば、特許文献1を参照)。このような、プリンタでは濃度ムラの発生を抑制するために、所定濃度にて印刷させた画像を読み取り、読み取った情報に基づいて印刷すべき画像の画像データを補正する場合がある。
【特許文献1】特開平6−166247号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のようなプリンタでは、用紙に吐出されたインクの滲み等により、画像の端部において、本来印刷すべき領域よりインクが広がってしまう畏れがある。このため、印刷された画像の領域は不明瞭であり、例えば、上記のように画像データを補正するために画像を読み取った際に、画像のエッジ部分において本来読み取られるべきでない領域まで読み取られることにより、補正をするための適切な情報が得られず、画像データを適切に補正することができない畏れがあるという課題があった。
【0004】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、補正をするためのより適切な情報を得ることが可能な印刷装置、コンピュータプログラム、及び、印刷方法を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
主たる発明は、所定方向に沿って複数設けられ、画像を印刷するための画像データに基づいて、前記所定方向と交差する移動方向に移動されつつインクを吐出して媒体にドット列を形成するためのノズルと、特定濃度の画像を印刷するための画像データに基づいて印刷された特定濃度パターンを構成する各ドット列における前記移動方向の中央部分の濃度の読み取り結果に基づいて補正情報を取得し、各々の前記ノズルにて前記移動方向に沿うドット列が形成された列領域間の濃度ムラを抑制すべく、前記補正情報に基づいて前記画像を印刷するための前記画像データを補正するためのコントローラと、を有することを特徴とする印刷装置である。
【0006】
本発明の他の特徴は、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。
【0008】
所定方向に沿って複数設けられ、画像を印刷するための画像データに基づいて、前記所定方向と交差する移動方向に移動されつつインクを吐出して媒体にドット列を形成するためのノズルと、特定濃度の画像を印刷するための画像データに基づいて前記ノズルからインクを吐出させて印刷した特定濃度パターンを構成する各ドット列が形成された各列領域における、前記移動方向の中央部分の濃度の読み取り結果に基づいて、各々の前記列領域間の濃度ムラを抑制すべく補正するための補正情報を、取得し、前記補正情報に基づいて画像を印刷するための画像データを補正するためのコントローラと、を有することを特徴とする印刷装置。
このような印刷装置によれば、補正情報を取得する際には、特定濃度パターンを構成する各ドット列が形成された列領域の移動方向における中央部分の濃度の読み取り結果のみが用いられるので、取得される補正情報には、特定濃度パターンのエッジ付近における濃度の読み取り結果が含まれない。このため、補正するためのより適切な濃度の読み取り結果に基づいて適切な補正情報を得ることが可能である。
【0009】
ここで、用紙等の媒体上に仮想的に定められた矩形状の領域を、印刷解像度に応じて大きさや形が定められる「単位領域」としたときに、「列領域」とは、移動方向に並ぶ複数の単位領域によって構成される領域のことをいう。例えば、「単位領域」は、印刷解像度が720dpi(移動方向)×720dpi(搬送方向)の場合、約35.28μm×35.28μm(≒1/720インチ×1/720インチ)の大きさの正方形状の領域になる。また、印刷解像度が360dpi×720dpiの場合、「単位領域」は、約70.56μm×35.28μm(≒1/360インチ×1/720インチ)の大きさの長方形状の領域になる。そして、理想的にインク滴が吐出された場合には、この単位領域の中心位置にインク滴が着弾し、その後インク滴が媒体上で広がって単位領域にドットが形成される。そして、「列領域」は、例えば印刷解像度が720dpi×720dpiの場合、搬送方向に約35.28μm(≒1/720インチ)の幅の帯状の領域となり、移動方向に移動するノズルから理想的にインク滴が断続的に吐出されると、この列領域にドット列が形成される。
【0010】
かかる印刷装置において、前記特定濃度パターンと、当該特定濃度パターンと濃度が異なる他の特定濃度パターンとが前記移動方向に並べられて前記媒体に印刷され、他の特定濃度パターンを構成する各ドット列が形成された各列領域における前記移動方向の中央部分の濃度の読み取り結果に基づいて、前記他の特定濃度パターンに対応する補正情報を取得することが望ましい。
このような印刷装置によれば、前記補正情報は、特定濃度パターン及び他の濃度パターン毎に取得されるので、複数の濃度に対応する補正情報に基づいて、画像データをより適切に補正することが可能である。
【0011】
かかる印刷装置において、前記特定濃度パターンと、前記他の特定濃度パターンとは隣接していることを特徴とする。
このような印刷装置によれば、特定濃度パターンと他の特定濃度パターンとを隣接させることにより、印刷される特定濃度パターン及び他の特定濃度パターンが媒体に占める領域を狭くすることが可能である。また、特定濃度パターンと他の特定濃度パターンとが隣接していても、補正情報を取得する際には、特定濃度パターン及び他の特定濃度パターンを構成する各ドット列の移動方向における中央部分の濃度の読み取り結果のみが用いられるので、より適切な補正情報を取得することが可能である。
【0012】
かかる印刷装置において、前記読み取り結果として、前記中央部分における互いに異なる部分の読取濃度の平均値を用いることが望ましい。
このような印刷装置によれば、補正情報を取得するための読み取り結果は、各ドット列の移動方向における中央部分の1つの濃度だけでなく、中央部分における互いに異なる部分の複数の濃度を読み取った複数の読取濃度の平均値なので、中央部分の濃度としてより正確な濃度に基づいて補正情報を取得することが可能である。
【0013】
かかる印刷装置において、前記特定濃度パターン及び前記他の特定濃度パターンは、前記特定濃度パターンと前記移動方向に間隔を隔てて配置された前記所定方向に沿う罫線とともに、補正用パターンとして媒体に印刷され、前記中央部分は前記罫線を基準として特定されることが望ましい。
このような印刷装置によれば、特定濃度パターン及び他の特定濃度パターンと同様に印刷された罫線を基準として、特定濃度パターン及び他の特定濃度パターンの位置を特定するので、媒体に対する印刷位置のずれ等を含むことなく正確に特定濃度パターン及び他の特定濃度パターンの位置を特定することが可能である。
【0014】
かかる印刷装置において、前記補正用パターンを読み取るための読取部を有し、前記画像データは、前記媒体に形成される単位領域毎の階調値を示しており、前記読取部は、前記特定濃度を示す階調値に基づいて印刷された特定濃度パターン及び他の前記特定濃度を示す階調値に基づいて印刷された前記他の特定濃度パターンが有する前記単位領域の濃度を、前記読取部における最小読取領域毎の濃度データとして読み取ることが望ましい。
このような印刷装置によれば、画像データに示された階調値にて印刷された補正用パターンの各単位領域における濃度を、濃度データとして読み取ることが可能である。このため、画像データに示された階調値と、この階調値に基づいて印刷された補正用パターンの濃度データとを対応付けることが可能である。
【0015】
かかる印刷装置において、前記コントローラは、前記罫線において前記移動方向に並ぶ前記最小読取領域の濃度データに基づいて、前記移動方向の濃度分布における重心位置を検出し、検出された前記濃度分布における重心位置に基づいて、前記移動方向における前記罫線の位置を検出することが望ましい。
このような印刷装置によれば、罫線において移動方向に並ぶ最小読取領域の濃度データに基づいて、移動方向の濃度分布における重心位置を検出することにより、罫線の位置を検出するので、個々の最小読取領域の濃度データのみから罫線の位置を検出する場合より、信頼性が高いため、確実かつ正確に罫線の位置を検出することが可能である。
【0016】
かかる印刷装置において、前記読取部の読取解像度は、前記補正用パターンが印刷される印刷解像度より高いことが望ましい。
このような印刷装置によれば、読取部の読取解像度は、補正用パターンが印刷される印刷解像度より高いので、印刷された罫線が例えば1ドットの幅の罫線であったとしても、交差方向に複数の最小読取領域に亘って濃度データが存在することになる。このため、罫線を読み取った際により正確な濃度データを取得することが可能である。
【0017】
また、所定方向に沿って複数設けられ、画像を印刷するための画像データに基づいて、前記所定方向と交差する移動方向に移動されつつインクを吐出して媒体にドット列を形成するためのノズルと、特定濃度の画像を印刷するための画像データに基づいて前記ノズルからインクを吐出させて印刷した特定濃度パターンを構成する各ドット列が形成された各列領域における、前記移動方向の中央部分の濃度の読み取り結果に基づいて、各々の前記列領域間の濃度ムラを抑制すべく補正するための補正情報を、取得し、前記補正情報に基づいて画像を印刷するための画像データを補正するためのコントローラと、を有し、前記特定濃度パターンと、当該特定濃度パターンと濃度が異なる他の特定濃度パターンとが前記移動方向に隣接されて前記媒体に印刷され、他の特定濃度パターンを構成する各ドット列が形成された各列領域における前記移動方向の中央部分の濃度の読み取り結果に基づいて、前記他の特定濃度パターンに対応する補正情報を取得し、前記読み取り結果として、前記中央部分における互いに異なる部分の読取濃度の平均値を用い、前記特定濃度パターン及び前記他の特定濃度パターンは、前記特定濃度パターンと前記移動方向に間隔を隔てて配置された前記所定方向に沿う罫線とともに、補正用パターンとして媒体に印刷され、前記中央部分は前記罫線を基準として特定され、前記補正用パターンを読み取るための読取部を有し、前記画像データは、前記媒体に形成される単位領域毎の階調値を示しており、前記読取部は、前記特定濃度を示す階調値に基づいて印刷された特定濃度パターン及び他の前記特定濃度を示す階調値に基づいて印刷された前記他の特定濃度パターンが有する前記単位領域の濃度を、前記読取部における最小読取領域毎の濃度データとして読み取り、前記コントローラは、前記罫線において前記移動方向に並ぶ前記最小読取領域の濃度データに基づいて、前記移動方向の濃度分布における重心位置を検出し、検出された前記濃度分布における重心位置に基づいて、前記移動方向における前記罫線の位置を検出し、前記読取部の読取解像度は、前記補正用パターンが印刷される印刷解像度より高いことを特徴とする印刷装置である。
このような印刷装置によれば、既述のほぼ全ての効果を奏するため、本発明の目的がより有効に達成される。
【0018】
また、所定方向に沿って複数設けられ、画像を印刷するための画像データに基づいて、前記所定方向と交差する移動方向に移動されつつインクを吐出して媒体にドット列を形成するためのノズルを有する印刷装置に、特定濃度の画像を印刷するための画像データに基づいて前記ノズルからインクを吐出させて印刷した特定濃度パターンを構成する各ドット列が形成された各列領域における、前記移動方向の中央部分の濃度の読み取り結果に基づいて、各々の前記列領域間の濃度ムラを抑制すべく補正するための補正情報を、取得させ、前記補正情報に基づいて画像を印刷するための画像データを補正させる機能を実現するためのコンピュータプログラムも実現可能である。
【0019】
また、所定方向に沿って複数設けられ、画像を印刷するための画像データに基づいて、前記所定方向と交差する移動方向に移動されつつインクを吐出して媒体にドット列を形成するためのノズルを用い、特定濃度の画像を印刷するための画像データに基づいて前記ノズルからインクを吐出させて印刷した特定濃度パターンを印刷させるステップと、前記特定濃度パターンを構成する各ドット列が形成された各列領域における、前記移動方向の中央部分の濃度の読み取り結果に基づいて、各々の前記列領域間の濃度ムラを抑制すべく補正するための補正情報を、取得するステップと、前記補正情報に基づいて画像を印刷するための画像データを補正するステップとを有すること、を特徴とする印刷方法も実現可能である。
【0020】
===印刷装置の構成===
本実施形態の印刷装置としての印刷システムの実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、印刷システムの外観構成を示した説明図、図2は印刷システムの主要部を説明するためのブロック図である。この印刷システム700は、印刷部としてのインクジェットプリンタ1(以下、単にプリンタ1という)と、読取部としてのスキャナ400と、コンピュータ720と、表示装置704と、入力装置708と、記録再生装置710とを備えている。プリンタ1は、用紙、布、フィルム等の媒体に画像を印刷することが可能である。なお、以下の説明では、代表的な媒体である用紙S(図5参照)を例に挙げて説明する。
【0021】
コンピュータ720は、プリンタ1及びスキャナ400と通信可能に接続され、アプリケーションプログラムやプリンタドライバ725(図10参照)等がインストールされており、プリンタ1に画像を印刷させるため、当該画像に応じた印刷データをプリンタ1に出力する。また、スキャナ400が有する操作部やコンピュータ720の操作によりスキャナ400から読み込んだ原稿の情報をコンピュータ720内のメモリに取り込んだり、取り込んだ情報を加工することも可能である。
【0022】
本実施形態のコントローラ100は、コンピュータ720とプリンタ1が有するプリンタコントローラ60と、スキャナ400が有するスキャナコントローラ103とを有し、各々インターフェースを介して接続されている。
【0023】
プリンタコントローラ60は、プリンタ1の制御を行うためのコントローラである。このプリンタコントローラ60は、インターフェース(不図示)を介してコンピュータ720接続されており、CPU、メモリ63、プリンタ1が有する各ユニットを制御するためのユニット制御回路64、を有している。また、プリンタコントローラ60は、コンピュータ720との間でデータの送受信を行うとともに、CPUは、メモリ63に格納されているプログラムに従って、ユニット制御回路64を介して各ユニット20,30,40を制御する。メモリ63は、実行するプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM、ROM等の記憶手段を有し、本実施形態では、メモリ63の一部領域に後述する補正情報としての補正値も記憶されている。
【0024】
スキャナコントローラ103は、スキャナ400の制御を行うためのコントローラである。このスキャナコントローラ103は、インターフェース(不図示)を介してコンピュータ720と接続されており、CPU、EEPROM、RAM、プログラムROM等からなるメモリ117と、スキャナ400が有するCCDイメージセンサ14を駆動するためのCCD駆動制御回路と、パルスモータ183を駆動するためのパルスモータ駆動制御回路と、露光ランプ7を制御するための露光ランプ制御回路とを有している。
【0025】
スキャナコントローラ103のCPUは、CCD駆動制御回路、パルスモータ駆動制御回路、露光ランプ制御回路、と各々電気的に接続され、コンピュータ720からの制御信号に基づいて各駆動制御回路を制御する。
【0026】
入力装置708は、例えばキーボード708Aやマウス708Bであり、アプリケーションプログラムの操作やプリンタドライバ725の設定等の入力に用いられる。記録再生装置710は、例えば、フレキシブルディスクドライブ装置710AやCD−ROMドライブ装置710Bが用いられる。
【0027】
プリンタドライバ725は、表示装置704に印刷条件等を設定するための画面等を表示させる機能を実現させるほか、アプリケーションプログラムから出力された画像データを印刷データに変換する機能を実現させるためのプログラムである。このプリンタドライバ725は、フレキシブルディスクやCD−ROMなどの記録媒体(コンピュータ読み取り可能な記録媒体)に記録されている。また、このプリンタドライバ725は、インターネットを介してコンピュータ720にダウンロードすることも可能である。そして、このプログラムは、各種の機能を実現するためのコードから構成されている。
【0028】
なお、ここでは「印刷装置」を、コンピュータと接続された印刷システムとしたが、プリンタ1単体、及び、プリンタ1とスキャナ400とがケーブルにて接続され形態やプリンタ1とスキャナ400とが単一の筐体に設けられている形態であって、単一のコントローラにて動作するものであっても良い。
【0029】
===スキャナの構成===
図3は、スキャナ400の構成を説明するための正面図、図4は、スキャナ400の構成を説明するための平面図である。尚、図4においては、説明の便宜上、原稿台カバー13を外している。
【0030】
スキャナ400は、原稿5が載置される原稿台ガラス12と、原稿台ガラス12に載置された原稿5の読み取り面を原稿台ガラス12側に押圧するための原稿台カバー13と、原稿台ガラス12を介して対向し原稿5と一定の間隔を保ちながら原稿5に沿って走査する読取キャリッジ16と、読取キャリッジ16を走査するための駆動部18と、読取キャリッジ16の移動方向を所定の方向に規制するための規制ガイド6と、読取キャリッジ16を支持するための支持レール4と、を有している。
【0031】
読取キャリッジ16は、原稿台ガラス12を介して原稿5に光を照射するための光源としての露光ランプ7と、原稿5による反射光を集光させるレンズ8と、原稿5による反射光をレンズ8に導くための4枚のミラー9と、レンズ8を透過した反射光を受光するCCDイメージセンサ14と、前記規制ガイド6と係合するガイド受け部15とを有している。
【0032】
CCDイメージセンサ14は、光信号を電気信号に変換するためのフォトダイオードが列状に配置されたリニアセンサで構成されている。CCDイメージセンサ14は、読取キャリッジ16の移動方向(以下、副走査方向という)にほぼ直交する方向(以下、主走査方向という)に沿わされて配置され、各フォトダイオードにより所定時間内に照射された光量が検出される。
【0033】
規制ガイド6及び支持レール4は、原稿読取領域を挟むように主走査方向に間隔を隔てるとともに、それらの長手方向が副走査方向に沿わされて設けられている。
規制ガイド6は、ステンレス製の円筒材で形成され、読取キャリッジ16の主走査方向における一方の端部側に2カ所設けられたスラスト軸受でなるガイド受け部15を貫通している。読取キャリッジ16に設けられた2カ所に設けられたガイド受け部15は、読取キャリッジ16を安定させて走査させるために、副走査方向に間隔が隔てられている。
支持レール4は、原稿台ガラス12と平行な支持面4aを有し、この支持面4aに読取キャリッジ16のガイド受け部15とは反対側の端部が載置されている。すなわち、読取キャリッジ16のCCDイメージセンサ14は、規制ガイド6と支持レール4とに支持された状態にて、原稿台ガラス12と平行になるように構成されている。
【0034】
駆動部18は、読取キャリッジ16に固定された環状のタイミングベルト181と、このタイミングベルト181と噛み合うプーリ182を備え、副走査方向における一方の端部側に配置されたパルスモータ183と、他方の端部側に配置されてタイミングベルト181に張力を付与するアイドラプーリ184とで構成されている。そして、読取キャリッジ16は、タイミングベルト181に主走査方向における一端16aが固定され、環状のタイミングベルト181がパルスモータ183により搬送されることにより規制ガイド6に沿って移動する。
【0035】
パルスモータ183は、コントローラ100のスキャナコントローラ103により駆動されるが、パルスモータ183の速度に応じて変更される読取キャリッジ16の走査速度により、読み取った画像を副走査方向に拡大及び縮小することが可能となる。
【0036】
また、スキャナ400は、原稿読取方向の上流側に読取キャリッジ16が、基準の位置(以下、ホームポジションという)に到達したことを検出するためのホームポジションセンサ2(以下、HPセンサという)を有している。HPセンサ2は、透過型光学センサであり、読取キャリッジ16を原稿読取方向と反対の方向に移動させた際に、読取キャリッジ16から突設された遮光板(不図示)が、HPセンサ2の光を遮ることにより、読取キャリッジ16がホームポジションに到達したことが検出される。読取キャリッジ16の位置は、このホームポジションを基準とし、HPセンサ2にて検出された後に、パルスモータに与えられたパルス数と1パルスによる読取キャリッジ16の移動量に基づいて、スキャナコントローラ103にて管理される。
【0037】
原稿台ガラス12の上面、すなわち原稿載置面12aには、読取キャリッジ16による原稿読取方向の上流側に原稿5の先端が突き当てられる原稿規制板11が設けられている。この原稿規制板11の原稿5が突き当てられる原稿突当部位11aの位置が、スキャナ400の原稿読取開始位置、すなわち、読み込んだデータの基準位置となる。
【0038】
そして、スキャナ400では、露光ランプ7の光を原稿5に照射し、その反射光を4枚のミラー9及びレンズ8を介してCCDイメージセンサ14上に結像させつつ、読取キャリッジ16を原稿5に沿って移動させる。このとき、CCDイメージセンサ14が受光した光量を示す電圧値を所定の周期で読み込むことにより、1周期の間に読取キャリッジ16が移動した距離分の画像をライン状のデータとして取り込んでいく。
【0039】
===プリンタの構成===
<プリンタの構成について>
図5は、本実施形態のプリンタ1の全体構成の概略図、図6は、本実施形態のプリンタ1の全体構成の側断面図、図7は、ヘッド41の下面におけるノズルの配列を示す説明図である。以下、これらの図を参照して、本実施形態のプリンタ1の基本的な構成について説明する。
【0040】
本実施形態のインクジェットプリンタ1は、搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40、センサ50、及びプリンタコントローラ60を有する。外部装置であるコンピュータ720から印刷データを受信したプリンタ1は、プリンタコントローラ60によって各ユニット(搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40)を制御する。プリンタコントローラ60は、コンピュータ720から受信した印刷データに基づいて、各ユニットを制御し、用紙Sに画像を印刷する。プリンタ1内の状況はセンサ50によって監視されており、センサ50は、検出結果をプリンタコントローラ60に出力する。プリンタコントローラ60は、センサ50から出力された検出結果及びコンピュータ720の指令信号等に基づいて、各ユニットを制御する。
【0041】
搬送ユニット20は、用紙Sを搬送する搬送機構として機能し、用紙Sを印刷可能な位置に搬送し、また、印刷時に所定の方向(以下では、搬送方向という)に所定の搬送量にて搬送させるためのものである。
【0042】
搬送ユニット20は、給紙ローラ21と、搬送モータ22(PFモータともいう)と、搬送ローラ23と、プラテン24と、排紙ローラ25とを有する。給紙ローラ21は、紙挿入口に挿入された用紙Sをプリンタ1内に給紙するためのローラである。給紙ローラ21はD形の断面形状をしており、円周部分の長さは、搬送ローラ23までの搬送距離よりも長く設定されている。このため、円周部分が用紙表面から離れた状態から給紙ローラを1回転させることにより、用紙Sを円周部分の長さだけ搬送させて用紙Sの先端を搬送ローラ23まで到達させることが可能である。搬送モータ22は、紙を搬送方向に搬送するためのモータであり、たとえばDCモータにより構成される。搬送ローラ23は、給紙ローラ21によって給紙された用紙Sを印刷可能な領域まで搬送するローラであり、搬送モータ22によって駆動される。プラテン24は、印刷中の用紙Sを、用紙Sの裏面側から支持する。排紙ローラ25は、プラテン24より搬送方向の下流側にて、用紙Sを搬送方向へ搬送するためのローラである。この排紙ローラ25は、搬送ローラ23と同期して回転する。
【0043】
キャリッジユニット30は、キャリッジ31とキャリッジモータ32(以下では、CRモータともいう。)とを備える。キャリッジモータ32は、キャリッジ31を所定の方向(以下では、キャリッジ移動方向という。)に往復移動させるためのモータであり、たとえばDCモータにより構成される。このキャリッジ31は、インクを収容するインクカートリッジ90を着脱可能に保持している。また、このキャリッジ31には、吐出部としてのノズルからインクを吐出するヘッド41が取り付けられている。このため、キャリッジ31の往復移動によって、ヘッド41及びノズルもキャリッジ移動方向(移動方向)に往復移動する。
【0044】
ヘッドユニット40は、用紙Sにインクを吐出するためのものである。このヘッドユニット40は、ヘッド41を有する。このヘッド41は、複数のノズルを有しており、各ノズルから断続的にインクを吐出する。そして、ヘッド41がキャリッジ移動方向に移動しつつ、ノズルからインクを断続的に吐出することにより、キャリッジ移動方向に沿ってドット列としてのラスタラインが用紙Sに形成される。なお、ノズルの配置、ヘッド41の構成、このヘッド41を駆動するための駆動回路、及びヘッド41の駆動方法については、後で説明する。
【0045】
センサ50には、リニア式エンコーダ51、ロータリー式エンコーダ52、紙検出センサ53、及び紙幅センサ54等が含まれる。リニア式エンコーダ51は、キャリッジ移動方向の位置を検出するためのものであり、キャリッジ移動方向に沿って架設された帯状のスリット板と、キャリッジ31に取り付けられ、スリット板に形成されたスリットを検出するフォトインタラプタを有する。ロータリー式エンコーダ52は、搬送ローラ23の回転量を検出するためのものであり、搬送ローラ23の回転に伴って回転する円盤状のスリット板と、スリット板に形成されたスリットを検出するフォトインタラプタを有する。
【0046】
紙検出センサ53は、印刷される用紙Sの先端位置を検出するためのものである。この紙検出センサ53は、給紙ローラ21が用紙Sを搬送ローラ23に向かって搬送する途中で、用紙Sの先端位置を検出できる位置に設けられている。なお、紙検出センサ53は、機械的な機構によって用紙Sの先端を検出するメカニカルセンサである。詳しく言うと、紙検出センサ53は紙搬送方向に回転可能なレバーを有し、このレバーは用紙Sの搬送経路内に突出するように配置されている。そして、用紙Sの搬送に伴い、用紙先端がレバーに接触し、レバーが回転させられる。このため、紙検出センサ53は、このレバーの動きをフォトインタラプタ等によって検出することで、用紙Sの先端位置及び用紙Sの有無を検出する。
【0047】
紙幅センサ54は、キャリッジ31に取り付けられている。本実施形態では、図7に示すように、搬送方向の位置に関して、一番上流側にあるノズルとほぼ同じ位置に取り付けられている。この紙幅センサ54は、反射型の光学センサであり、発光部から用紙Sに照射された光の反射光を受光部にて受光し、受光部での受光強度に基づいて用紙Sの有無を検出する。そして、紙幅センサ54は、キャリッジ31によって移動しながら用紙Sの端部の位置を検出し、用紙Sの幅を検出する。また、紙幅センサ54は、状況に応じて、用紙Sの先端も検出できる。
【0048】
<ノズルの配置及びヘッドの構成について>
図7に示すように、ヘッド41の下面には、ブラックインクノズル列Nkと、シアンインクノズル列Ncと、マゼンタインクノズル列Nmと、イエローインクノズル列Nyが形成されている。各ノズル列は、各色のインクを吐出するための吐出口であるノズルを、n個(例えば、n=180)備えている。各ノズル列の複数のノズルは、キャリッジ31の移動方向と交差する方向、すなわち用紙Sの搬送方向に沿って、一定の間隔(ノズルピッチ:k・D)でそれぞれ整列している。ここで、Dは、搬送方向における最小のドットピッチ、つまり、用紙Sに形成されるドットの最高解像度での間隔である。また、kは、1以上の整数である。例えば、ノズルピッチが180dpi(1/180インチ)であって、搬送方向のドットピッチが720dpi(1/720インチ)である場合、k=4である。図示の例において、各ノズル列のノズルは、下流側のノズルほど小さな数の番号が付されている(♯1〜♯n)。つまり、ノズル♯1は、ノズル♯nよりも搬送方向の下流側に位置している。そして、このようなノズル列をヘッド41に設けると、一回のドット形成動作でドットが形成される範囲が広くなり、印刷時間の短縮化が図れる。また、これらのノズル列は、インクの色毎に備えられているので、これらの各ノズル列から適宜インクを吐出させることで、多色印刷を行うことができる。
【0049】
また、各ノズルはインクを収容したインクカートリッジ90と連通するインク流路を有しており、インク流路の途中には圧力室(図示せず)が設けられている。各圧力室は、各ノズルからインク滴を吐出させるために設けられた駆動素子としてのたとえばピエゾ素子(図示せず)により、その容積が収縮、膨張するように構成されている。
【0050】
<ヘッドの駆動について>
図8は、ヘッド41の駆動回路の説明図である。この駆動回路は、前述のユニット制御回路64内に設けられている。図示するように、駆動回路は、原駆動信号発生部644Aと、駆動信号整形部644Bとを備えている。本実施形態では、この駆動回路が、ノズル列毎、即ち、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の各色のノズル列ごとに各々設けられ、ノズル列ごとに個別にピエゾ素子の駆動が行われるようになっている。図中に各信号名の最後に付されたかっこ内の数字は、その信号が供給されるノズルの番号を示している。
【0051】
前述したピエゾ素子は、駆動パルスW1,W2(図9を参照)が供給される毎に変形して圧力室内のインクに圧力変動を生じさせる。即ち、ピエゾ素子は、その両端に設けられた電極間に所定時間幅の電圧が印加されると、電圧の印加時間に応じて変形し、圧力室の一部を区画する弾性膜(側壁)を変形させる。このピエゾ素子の変形に応じて圧力室の容積が変化し、圧力室の容積変化によって圧力室内のインクに圧力変動が生じる。そして、インクに生じた圧力変動により、対応するノズル♯1〜♯nからインク滴が吐出される。
【0052】
原駆動信号発生部644Aは、各ノズル♯1〜♯nに共通して用いられる原駆動信号ODRVを生成する。本実施形態における原駆動信号ODRVは、印刷解像度に対応する一単位領域分の距離をキャリッジ31が移動する時間内に、2種類の駆動パルスW1,W2を1回ずつ出力する信号である。
駆動信号整形部644Bには、原信号発生部から原駆動信号ODRVとともに、印刷信号PRT(i)が入力される。印刷信号PRT(i)は、前記した2ビットの印刷データに基づいてレベルが変化する信号である。駆動信号整形部644Bは、印刷信号PRT(i)のレベルに応じて、原駆動信号ODRVを整形し、駆動信号DRV(i)として各ノズル♯1〜♯nのピエゾ素子に向けて出力する。各ノズル♯1〜♯nのピエゾ素子は、駆動信号整形部644Bからの駆動信号DRVに基づき駆動される。
【0053】
<ヘッドの駆動信号について>
図9は、各信号を説明するタイミングチャートである。すなわち、同図には、原駆動信号ODRVと、印刷信号PRT(i)と、駆動信号DRV(i)の各信号のタイミングチャートが示されている。
【0054】
原駆動信号ODRVは、ノズル♯1〜♯nに対して共通に用いられる信号であり、原駆動信号発生部644Aから駆動信号整形部644Bに出力される。本実施形態の原駆動信号ODRVは、印刷解像度に対応する一単位領域分の距離をキャリッジ31が移動する時間(以下、一単位領域区間という。)内において、第1パルスW1と第2パルスW2との2つのパルスを有している。そして、第1パルスW1はノズルから小サイズのインク滴(以下、小インク滴という。)を吐出させるための駆動パルスである。また、第2パルスW2はノズルから中サイズのインク滴(以下、中インク滴という。)を吐出させるための駆動パルスである。すなわち、第1パルスW1をピエゾ素子に供給することで、ノズルからは小インク滴が吐出される。そして、この小インク滴が用紙Sに着弾すると、小サイズのドット(小ドット)が形成される。同様に、第2パルスW2をピエゾ素子に供給することで、ノズルからは中インク滴が吐出される。そして、この中インク滴が用紙Sに着弾すると、中サイズのドット(中ドット)が形成される。
【0055】
印刷信号PRT(i)は、コンピュータ等から転送された印刷データにおいて各単位領域に対して割り当てられている各単位領域データに対応した信号である。つまり、印刷信号PRT(i)は、印刷データに含まれる単位領域データに応じた信号である。本実施形態の印刷信号PRT(i)は、一単位領域に対して2ビットの情報を有する信号になる。なお、この印刷信号PRT(i)の信号レベルに応じて、駆動信号整形部644Bは、原駆動信号ODRVを整形し、駆動信号DRV(i)を出力する。
【0056】
この駆動信号DRVは、印刷信号PRTのレベルに応じて原駆動信号ODRVを遮断することによって得られる信号である。すなわち、印刷データが「1」のとき、印刷信号PRTはHighレベルとなり、駆動信号整形部644Bは、原駆動信号ODRVの対応する駆動パルスをそのまま通過させて駆動信号DRV(i)とする。一方、印刷データが「0」のとき、印刷信号PRTがLowレベルとなり、駆動信号整形部644Bは、原駆動信号ODRVの対応する駆動パルスを遮断する。そして、駆動信号整形部644Bからの駆動信号DRV(i)は、対応するピエゾ素子に対し、個別に供給される。また、ピエゾ素子は、供給された駆動信号DRV(i)に応じて駆動される。
【0057】
印刷信号PRT(i)が2ビットデータ「01」に対応しているとき、第1パルスW1のみが一単位領域区間の前半で出力される。これにより、ノズルから小さいインク滴が吐出され、用紙Sには小ドットが形成される。また、印刷信号PRT(i)が2ビットデータ「10」に対応しているとき、第2パルスW2のみが一単位領域区間の後半で出力される。これにより、ノズルから中インク滴が吐出され、用紙Sに中ドットが形成される。また、印刷信号PRT(i)が2ビットデータ「11」に対応しているとき、第1パルスW1と第2パルスW2とが一単位領域区間で出力される。これにより、ノズルから小インク滴と中インク滴とが続けて吐出され、用紙Sには大サイズのドット(大ドット)が形成される。すなわち、プリンタ1は、複数種類(ここでは3種類)のサイズのドットを形成可能である。また、印刷信号PRT(i)が2ビットデータ「00」に対応しているとき、第1パルスW1及び第2パルスW2のいずれも一単位領域区間で出力されない。これにより、ノズルからはいずれのサイズのインク滴も吐出されず、用紙Sにはドットが形成されない。
【0058】
以上説明したとおり、一単位領域区間における駆動信号DRV(i)は、印刷信号PRT(i)の4つの異なる値に応じて互いに異なる4種類の波形を有するように整形されている。
【0059】
===プリンタドライバ===
<プリンタドライバについて>
図10は、プリンタドライバ725が行う基本的な処理の概略的な説明図である。なお、既に説明した構成要素については、同じ符号を付して説明は省略する。
コンピュータ720では、コンピュータ720に搭載されたオペレーティングシステムの下、ビデオドライバ722、アプリケーションプログラム721、プリンタドライバ725などのコンピュータプログラムが動作している。
ビデオドライバ722は、アプリケーションプログラム721やプリンタドライバ725からの表示命令に従って、所定の画面を表示装置704に表示する機能を有する。
【0060】
アプリケーションプログラム721は、例えば、画像編集などを行う機能を有し、画像に関するデータ(画像データ)を作成するためのプログラムである。ユーザーは、アプリケーションプログラム721のユーザーインタフェースを介して、アプリケーションプログラム721により編集した画像を印刷する指令を与えることができる。アプリケーションプログラム721は、印刷指令を受けると、プリンタドライバ725に画像データを出力したりする。
【0061】
プリンタドライバ725は、アプリケーションプログラム721から画像データを受け取り、受け取った画像データを印刷可能な印刷データに変換し、変換した印刷データをプリンタ1に出力する。画像データは、印刷される画像の各単位領域に対応するデータとして単位領域データを有している。そして、各単位領域データは、RGB又はCMYK等の色ごとの階調値にて表現されており、後述する各処理の段階に応じて、階調値等が変換され、最終的に前記印刷データの段階では、用紙上に形成されるドットに対応する印刷データ(ドットの色や大きさ等のデータ)に変換される。ここで、画像データが示している各単位領域に対応する階調値は、各単位領域が当該階調値にて設定された濃度であることを示しており、例えば、ブラックインクにて印刷する場合では、濃度0(白色)を示す階調値は「0」であり、濃度100%(黒色)を示す階調値は「255」が設定されている。
【0062】
印刷データは、プリンタ1が解釈できる形式のデータであって、前記単位領域データと、各種のコマンドデータとを有するデータである。コマンドデータとは、プリンタ1に特定の動作の実行を指示するためのデータであり、例えば搬送量を示すデータである。
【0063】
プリンタドライバ725は、アプリケーションプログラム721から出力された画像データや、スキャナ400にて読み取られた画像データを印刷データに変換するため、解像度変換処理、色変換処理、画像データ補正処理、ハーフトーン処理、ラスタライズ処理などを行う。以下、プリンタドライバ725が行う各種の処理について説明する。
【0064】
解像度変換処理は、アプリケーションプログラム721から出力された画像データ(テキストデータ、イメージデータなど)やを、用紙Sに画像を印刷する際の解像度(印刷するときのドットの間隔であり、印刷解像度ともいう)に変換する処理である。例えば、印刷解像度が720×720dpiに指定されている場合には、アプリケーションプログラム721から受け取った画像データを720×720dpiの解像度の画像データに変換する。
【0065】
この変換方法としては、単位領域データの補間や間引きなどがある。例えば、画像データの解像度が指定された印刷解像度よりも低い場合には、線形補間等を行って隣り合う単位領域データ同士の間に新たな単位領域データを生成する。逆に、画像データの解像度が印刷解像度よりも高い場合には、一定の割合で単位領域データを間引く等して、画像データの解像度を前記印刷解像度に揃える。
【0066】
また、この解像度変換処理においては、画像データを、印刷する印刷領域(実際にインクが吐出される領域をいう。)のサイズに対応させて加工するサイズ調整も行う。
なお、アプリケーションプログラム721から出力された画像データ中の各単位領域データは、RGB色空間により表される多段階(例えば256段階)の階調値である。以下、RGBの階調値を示す単位領域データのことをRGB単位領域データと言い、また、RGB単位領域データから構成される画像データをRGB画像データと言う。
【0067】
色変換処理は、前記RGB画像データの各RGB単位領域データを、CMYK色空間により表される多段階(例えば256段階)の階調値を示すデータに変換する処理である。ここでCMYKとは、プリンタ1が有するインクの色である。すなわち、Cはシアンを、Mはマゼンタを、Yはイエローを、Kはブラックをそれぞれ意味する。以下、CMYKの階調値を示す単位領域データのことをCMYK単位領域データといい、CMYK単位領域データから構成される画像データのことをCMYK画像データという。色変換処理は、RGBの階調値とCMYKの階調値とを対応づけたテーブル(色変換ルックアップテーブルLUT)をプリンタドライバ725が参照することによって行われる。
【0068】
画像データ補正処理は、多色印刷された画像中の列領域間の濃度ムラを抑制するために、列領域毎に実行される処理である。画像データ補正処理については後で詳述する。
【0069】
ハーフトーン処理は、多段階の階調値を有するCMYK単位領域データを、プリンタ1が表現可能な、少段階の階調値を有するCMYK単位領域データに変換する処理である。例えば、ハーフトーン処理により、256段階の階調値を示すCMYK単位領域データが、4段階の階調値を示す2ビットのCMYK単位領域データに変換される。この2ビットのCMYK単位領域データは、各色について、例えば、「ドットの形成なし」(2進数の値として「00」)、「小ドットの形成」(同じく「01」)、「中ドットの形成」(同じく「10」)、「大ドットの形成」(同じく「11」)を示すデータである。
【0070】
このようなハーフトーン処理には、例えばディザ法等が利用され、プリンタ1がドットを分散して形成できるような2ビットのCMKY単位領域データを作成する。また、このハーフトーン処理に用いる方法は、ディザ法に限るものではなく、γ補正法や誤差拡散法等を利用しても良い。
【0071】
ラスタライズ処理は、前記ハーフトーン処理がなされたCMYK画像データを、プリンタ1に転送すべきデータ順に変更する処理である。ラスタライズ処理されたデータは、前記印刷データとしてプリンタ1に出力される。
【0072】
尚、このプリンタドライバ725の各処理は、スキャナ400にて読み取られた画像データに対しても実行可能であり、たとえば、スキャナ400にて読み取られたRGBの各成分の画像データに対し、解像度変換処理、色変換処理、画像データ補正処理、ハーフトーン処理、ラスタライズ処理を実行することにより、印刷データを生成し、スキャナ400にて読み取られた画像データに基づいてプリンタ1にて用紙等に画像を印刷することが可能である。
【0073】
===印刷動作について===
図11は、印刷時の動作のフローチャートである。以下に説明される各動作は、プリンタコントローラ60が、メモリ内に格納されたプログラムに従って、各ユニットを制御することにより実行される。このプログラムは、各動作を実行するためのコードを有する。
【0074】
印刷命令受信(S001):プリンタコントローラ60は、インターフェースを介してコンピュータ720から印刷命令を受信する。この印刷命令は、コンピュータ720から送信される印刷データのヘッダに含まれている。そして、プリンタコントローラ60は、受信した印刷データに含まれる各種コマンドの内容を解析し、各ユニットを用いて、以下の給紙動作、搬送動作、ドット形成動作等を行う。
【0075】
給紙動作(S002):プリンタコントローラ60は、給紙動作を行う。給紙動作とは、印刷対象となる用紙Sを移動させて、印刷開始位置(所謂、頭出し位置)に位置決めする処理である。すなわち、プリンタコントローラ60は、給紙ローラ21を回転させ、印刷すべき用紙Sを搬送ローラ23まで送る。続いて、プリンタコントローラ60は、搬送ローラ23を回転させ、給紙ローラ21から送られてきた用紙Sを印刷開始位置に位置決めする。なお、用紙Sが印刷開始位置に位置決めされたとき、ヘッド41の少なくとも一部のノズルは、用紙Sと対向している。
【0076】
ドット形成動作(S003):プリンタコントローラ60は、ドット形成動作を行う。ドット形成動作とは、キャリッジ移動方向に沿って移動するヘッド41からインクを断続的に吐出させ、用紙Sにドットを形成する動作である。このときプリンタコントローラ60は、キャリッジモータ32を駆動し、キャリッジ31をキャリッジ移動方向に移動させる。また、プリンタコントローラ60は、キャリッジ31が移動している間に、印刷データに基づいてヘッド41からインクを吐出させる。そして、ヘッド41から吐出されたインクが用紙S上に着弾すれば、前述したように、用紙S上にドットが形成される。このとき、キャリッジ31を移動させつつノズルからインクを吐出させると、用紙S上に移動方向に沿ったラスタライン(ドット列)が形成される。
【0077】
搬送動作(S004):プリンタコントローラ60は、搬送動作を行う。搬送動作とは、用紙Sを、ヘッド41に対し、搬送方向に沿って相対的に移動させる処理である。プリンタコントローラ60は、搬送モータ22を駆動し、搬送ローラ23を回転させて用紙Sを搬送方向に搬送する。この搬送動作により、ヘッド41は、前記したドット形成動作によって既に形成されたドットの位置とは異なる位置に、ドットを形成することが可能になる。
【0078】
排紙判断(S005):プリンタコントローラ60は、印刷中の用紙Sについて排紙の判断を行う。この判断時において、印刷中の用紙Sに印刷するためのデータが残っていれば、排紙は行われない。そして、プリンタコントローラ60は、印刷するためのデータがなくなるまでドット形成動作と搬送動作とを交互に繰り返し、ドットから構成される画像を徐々に用紙Sに印刷する。印刷中の用紙Sに印刷するためのデータがなくなったならば、プリンタコントローラ60は、その用紙Sを排出する。すなわち、プリンタコントローラ60は、排紙ローラ25を回転させることにより、印刷した用紙Sを外部に排出する。なお、排紙を行うか否かの判断は、印刷データに含まれる排紙コマンドに基づいて行っても良い。
【0079】
印刷終了判断(S006):プリンタコントローラ60は、印刷を続行するか否かの判断を行う。次の用紙Sに印刷を行う場合には、給紙動作(S002)により新たな用紙を給紙し印刷を続行し、印刷を続行する。次の用紙Sに印刷を行わない場合には、印刷動作を終了する。
【0080】
===画像中の濃度ムラの発生原因について===
CMYKのインクを用いて多色印刷された画像中に生じる濃度ムラは、基本的には、その各インク色でそれぞれに生じる濃度ムラが原因である。このため、各インク色の濃度ムラをそれぞれ別々に抑制することによって、多色印刷された画像中の濃度ムラを抑制することとする。
【0081】
そこで、以下では、いずれかの色のインクにて単色印刷された画像中に生じる濃度ムラの発生原因について説明する。図12は、単色印刷された画像中において用紙Sの搬送方向に生じる濃度ムラを説明するための図である。
【0082】
図12に例示した搬送方向の濃度ムラは、キャリッジ移動方向に沿って平行な横縞状に見えている。このような横縞状の濃度ムラは、たとえば、ノズル毎のインク吐出量のばらつきによって発生するが、ノズルの加工精度のばらつきによっても発生する。すなわち、ノズルの加工精度のばらつきにより、ノズルが吐出するインクの飛行方向もばらつく。この飛行方向のばらつきにより、用紙Sに着弾したインクによるドット形成位置が、目標形成位置に対して搬送方向にずれる場合がある。この場合には、必然的に、これらドットが構成するラスタラインの形成位置も搬送方向に関して目標形成位置からずれてしまう。このため、搬送方向に隣り合うラスタライン同士の間隔が、周期的に空いたり詰まったりした状態となる。これを巨視的に見ると横縞状の濃度ムラとなって見えてしまうのである。すなわち、隣り合うラスタライン同士の間隔が相対的に広がったり狭くなったりすることにより、列領域内に本来形成されるドットより多くのドット又はドットの一部が形成された列領域は巨視的に濃く見え、列領域内に本来形成されるべきドットやドットの一部が隣接する列領域に形成されてしまった場合には、その列領域は巨視的に薄く見えるのである。ここで、ラスタラインとは、キャリッジ31を移動させつつインクを断続的に吐出することによって、キャリッジ移動方向に沿って形成されるドット列を示している。
【0083】
なお、濃度ムラの発生原因は、他のインク色に関しても当てはまることである。そして、CMYKのうちの1色でもこの傾向があれば、多色印刷の画像中には濃度ムラが顕れてしまう。
【0084】
===本実施形態に係る画像の印刷方法について==
図13は、本実施形態に係る画像の印刷方法に関連する工程等の流れを示すフローチャートである。以下、このフローチャートを参照して、各工程の概略を説明する。まず、製造ラインにおいてプリンタ1が組み立てられる(S110)。次に、いくつかの特定濃度に対応づけられ、列領域毎に濃度を補正するための調整情報としての補正値が設定され、プリンタ1に記憶されている処理が検査担当の作業者などにより実行される(S120)。この補正値は、印刷すべき画像のデータとして供給された各単位領域に対応する階調値を補正するためにラスタラインが形成される列領域毎に設定される値である。
【0085】
本実施形態においては、5種類の特定濃度に対応付けられた階調値に基づいて印刷されるサブパターンを有する補正用パターンをインク色毎に印刷し、印刷された補正用パターンの各サブパターンを構成するラスタラインが形成された列領域の濃度を各々検出し、列領域毎に検出された濃度の平均値を算出し、算出された濃度の平均値を目標濃度として、各列領域の濃度が目標濃度になるように、画像データの階調値を補正することにより、各列領域間における濃度ムラを抑える。このため、まず、5種類の特定濃度のうちのいくつかの特定濃度を示す階調値を補正するための補正値を求める。すなわち、補正用パターンは特定濃度のみ印刷され、実際に印刷した補正用パターンの濃度を読み取った読取濃度データに基づいて、印刷された特定濃度のうちのいずれかの特定濃度に対応する補正値を求める。そして、補正値に対応する特定濃度以外の他の濃度については、補正値に基づいて得られた特定濃度の補正後の階調値を線形補間することにより各濃度に対応する補正後の階調値を求めることとする。
【0086】
次に、プリンタ1が出荷される(S130)。そして、このプリンタ1を購入したユーザーによって画像の本印刷が行われるが、本印刷の際には、プリンタ1は、記憶されている列領域毎の補正値に基づいて画像データの濃度を補正し、補正した画像データに基づいて画像を用紙Sに印刷する(S140)。ここで本印刷とは、補正用パターン等の所定のテストパターンの印刷に対し、ユーザー等が行う自然画等、所望の画像の印刷をいう。本実施形態に係る補正値の設定(ステップS120)について詳述する。
【0087】
<ステップS120:濃度ムラを抑制するための補正値の設定>
図14は、補正値を設定する処理の手順を示すフローチャートである。以下、このフローチャートを参照し、補正値の設定手順について説明する。
【0088】
補正値を設定する方法は、まず補正値を設定する対象となるプリンタにて補正用パターンCPを印刷するステップ(S200)、補正用パターンを読み取るためのスキャナを初期設定するステップ(S210)、印刷された補正用パターンCPを読み取るステップ(S220)、読み取ったデータの傾きを検出するステップ(S230)、読み取ったデータの傾きを調整するステップ(S240)、傾き調整したデータにおける所望の領域の最も端のラスタラインの位置を検出するステップ(S250)、副走査方向における補正用パターンのエッジを検出するステップ(S260)、検出した最端ラスタライン間に相当するデータと列領域を対応付けるためにデータを変換するステップ(S270)、変換されたデータに基づいて各列領域の濃度の平均値を算出するステップ(S280)、算出された濃度の平均値に基づいて特定濃度の補正値を算出するステップ(S290)、算出された補正値をメモリに記憶するステップ(S300)を有する。以下、各ステップについて説明する。本実施形態においては、補正用パターンとして印刷する特定濃度を示す特定階調値を、例えば濃度10%、30%、50%、70%、100%に相当する5種類の階調値とする。ここで、設定可能な濃度範囲は濃度0から濃度100%であり、濃度0に対応する階調値は、最低値の「0」であり、濃度100%に対応する階調値は最高値の「255」である。
【0089】
(1)ステップS200:補正用パターンCPの印刷
ステップS200において、インク色毎に補正用パターンCPを用紙Sに印刷する。ここでは、検査担当などの作業者は、検査ラインに設置されたコンピュータ720にプリンタ1を通信可能な状態に接続し、このプリンタ1によって補正用パターンCPを印刷する。すなわち、作業者は、コンピュータ720のユーザーインタフェースを介し、補正用パターンCPを印刷させる操作をする。この操作により、コンピュータ720は、メモリに格納されている補正用パターンCPの印刷データをプリンタ1に出力する。プリンタ1は、印刷データに基づいて用紙Sに補正用パターンCPを印刷する。なお、この補正用パターンCPを印刷するプリンタ1は、補正値の設定対象となるプリンタ1である。つまり、補正値の設定は、プリンタ1毎に行われる。
【0090】
<<補正用パターン>>
図15は、印刷された補正用パターンCPの一例を説明するための図である。図示するように、本実施形態の補正用パターンCPは1枚の用紙に色毎に4つ印刷される。各補正用パターンCPは互いに濃度が異なる複数のサブパターンSPを有し、インク色毎にそれぞれに印刷される。この例では、インク色毎に上述した5種類の特定濃度を示す特定階調値に基づいてサブパターンSPがそれぞれ印刷されている。ここで5種類の特定濃度のうち、いずれかの特定濃度示す特定階調値に基づいてサブパターンSPが特定濃度パターンであり、その他のサブパターンSPが、この特定濃度パターンと濃度が異なる他の特定濃度パターンに相当する。
【0091】
補正用パターンCPの各サブパターンSPを印刷するための印刷データは、各濃度に相当する特定階調値が、用紙上に1つのドットを形成するための仮想領域、すなわち単位領域のすべてに割り付けられたCMYK画像データを想定し、想定したCMYK画像データを、プリンタドライバにてハーフトーン処理及びラスタライズ処理した場合に生成される印刷データである。このため、メモリに格納されている補正用パターンCPの印刷データは、各濃度を示す階調値に基づいて、理想的なプリンタにて帯形状の各サブパターンSPが印刷された際に、それぞれ均一な濃度になるように設定されている。すなわち、理想的なプリンタにて印刷された各サブパターンSPは、それぞれに、搬送方向に沿って、ほぼ一定の濃度で印刷されることになる。ここで、理想的なプリンタとは、設計通りに加工・製造されたプリンタであり、ノズルから吐出されたインク滴により目標位置にドットが形成されるプリンタを示している。図15では、説明の便宜上、補正用パターンCP毎に印刷されたインク色を示す文字が印刷されているが、インク色を示す文字は印刷されている必要はない。また、以下の説明において、補正用パターンは最初に印刷されるラスタライン側、すなわち印刷された用紙の搬送時における先端側を補正用パターンにおいても先端側と称し、最後に印刷されるラスタライン側、すなわち印刷された用紙の搬送時における後端側を補正用パターンにおいても後端側と称する。
【0092】
5つのサブパターンSPを有するインク色毎の補正用パターンCP同士の相違点は、基本的にインク色だけである。このため、以下では、4つの補正用パターンCPを代表して、ブラック(K)の5つのサブパターンSPを有する補正用パターンCPkについて説明する。
【0093】
本実施形態の補正用パターンCPは、図15に示すように、1枚の用紙にK,C,M,Yの色毎に4つ印刷されている。そして、各補正用パターンCPは、上記5種類の特定階調値に基づいて、5種類の濃度にて各々、用紙の搬送方向に長い帯形状のサブパターンSPが印刷され、5つのサブパターンSPは、キャリッジ移動方向に並べられ、互いに隣接させて配置されている。すなわち、各補正用パターンCPは5つのサブパターンSPからなるサブパターン群を有している。
【0094】
また、前述したように、多色印刷における濃度ムラの抑制は、その多色印刷に用いられるインク色毎にそれぞれ行われるが、それぞれ抑制に用いられる方法は同じである。このため、以下の説明は、ブラック(K)に代表させて行い、以下の説明においては、ブラック(K)の一色についてだけ記載している箇所も有るが、その他のC,M,Yのインク色についても同様である。
【0095】
ブラック(K)の補正用パターンCPkは、5種類の濃度のサブパターンSPka,SPkb,SPkc,SPkd,SPkeがキャリッジ移動方向に沿って並べられている。すなわち、各サブパターンSPka,SPkb,SPkc,SPkd,SPkeは、キャリッジ移動方向に沿って形成された複数のラスタライン(ドット列)が、キャリッジ移動方向と交差する方向となる搬送方向に沿って複数並べられて構成されている。そして、各サブパターンSPka,SPkb,SPkc,SPkd,SPkeにて搬送方向の同じ位置に形成されたドットにて構成されるラスタラインは、キャリッジ31の同一の移動動作の際に同じノズルからインクが吐出されて形成されている。
【0096】
ところで、プリンタ1は、画像を印刷する際にインクを吐出しつつキャリッジ31を移動させる動作と、用紙を搬送させる動作とを交互に繰り返す。このため、用紙の搬送量及び使用ノズル数により決定される所定幅のブロック毎に、設定されたノズルにて印刷されることになる。すなわち、画像は基本的に所定幅の複数のブロックが搬送方向につなげられて形成されることになり、1枚の用紙に画像を印刷する際には各ノズルにて形成されたドットが同じように配置されるブロックが複数存在する。このため、補正用パターンCPは、各ラスタラインが互いに異なるノズルにて形成される前記ブロックが少なくとも1つ含まれるように設定されている。
【0097】
また、色毎に形成された補正用パターンCPにおいては、用紙の搬送方向に沿って複数並べられたラスタラインのうち最も端に位置する最端ラスタラインが、キャリッジ移動方向において、他のラスタラインより広い領域に亘って延出された1ドット幅の延出部Lを有している。この延出部Lは、補正用パターンCPの先端側に位置する最端ラスタラインLsと、後端側に位置する最端ラスタラインLeが、他のラスタラインより長く延出され、濃度100%の濃度にて形成されている。ここで、先端側の最端ラスタラインLs及び後端側の最端ラスタラインLeにおいて、延出部Lと、5つのサブパターンSPにて構成されている部分(以下、主要部という)Mとは必ずしも繋がっている必要はなく、主要部Mを印刷する際におけるキャリッジ31の移動動作と同一の移動動作において、最端ラスタラインを形成するノズルからインクが吐出されて延出部Lが形成されていればよい。すなわち、延出部Lは各補正用パターンCPの傾きを検出するためにキャリッジ31の移動方向に沿って形成された罫線であって、本実施形態では、各補正用パターンCPの先端側の最端ラスタラインLsの延出部Lが、画像の傾きを検出するための被検出部に相当する。
【0098】
さらに、各色の補正用パターンCPには、先端側の延出部Lと後端側の延出部Lとの間を繋ぎ、サブパターンSPと平行に配置され、ドットが1列に配置されて構成される罫線としての単ドットラインJが、サブパターンSPと間隔を隔てて設けられている。
【0099】
本実施形態においては、色毎に形成される4つ補正用パターンCPが1枚の用紙に印刷された例を示したが、補正用パターンCPは、インターレース方式やバンド送り方式といった各印刷方式に応じて、用紙搬送量及び各ノズルのインク吐出タイミングを異ならせて印刷方式毎に1枚の用紙に印刷される。すなわち、これらインターレース方式、バンド送り方式等により印刷された画像のラスタラインと、各ラスタラインを形成するノズルは、印刷方式により互いに異なるため、ラスタラインが形成されるべき列領域毎の濃度ムラを抑制するための補正用パターンは、本印刷にて実際に用いられる用紙搬送量及び各ノズルのインク吐出タイミング、すなわち各印刷方式及び各印刷処理モードにて印刷されることが望ましい。例えば、バンド送り方式であれば、ノズル列の長さ分だけ用紙を搬送し、ノズルピッチと同じピッチのラスタラインを形成する印刷処理モードにて少なくとも1ブロック分印刷する。インターレース方式であれば、本印刷にて用紙の先端及び後端部分を印刷する、微少量だけ用紙を搬送して特定の僅かなノズルにて印刷する処理モードと、先端及び後端以外の部分を印刷する、用紙を定量的に搬送しつつ可及的に多くのノズルを用いてラスタラインを形成する印刷処理モードとを少なくとも1ブロック分ずつ印刷する。また、用紙に余白無く印刷する所謂フチ無し印刷の場合には、プラテン24に設けられた溝24a(図6参照)と対向するノズルのみにて、用紙の先端及び後端部分と同様に印刷するモードと、先端及び後端以外の部分にて、用紙を定量的に搬送しつつ可及的に多くのノズルを用いてラスタラインを形成する印刷処理モードとを、少なくとも1ブロック分ずつ印刷する。このように本印刷と同じ用紙搬送量及び各ノズルのインク吐出タイミングにて印刷する各印刷モードにて、印刷された各補正用パターンに基づいて得られる補正値を用いて濃度補正することにより補正の精度が向上し、濃度ムラを確実に抑制することが可能である。
【0100】
本実施形態においては、各色5種類の特定濃度に対応する階調値に基づいて印刷した補正用パターンを用いる例について説明したが、各色の特定濃度、すなわち、階調値の種類は5種類に限らない。階調値の種類を多くすると、より適切な濃度補正を行うことができるが、補正用パターンを印刷する工程、補正パターン読み取って補正値を設定する工程、及び補正処理等に費やす時間が増大し、一方、階調値の種類を少なくすると、適切な補正がなされない畏れがあるため、特定濃度の階調値は5種類程度とすることが望ましい。
【0101】
(2)ステップS210:スキャナを初期設定するステップ
印刷した補正用パターンCPを読み取るためのスキャナ400では初期設定動作が実行される。初期設定動作は、スキャナ400の電源が投入された際に実行されていても良い。スキャナ400は、読取キャリッジ16を所定方向に移動させて、読取キャリッジ16の位置を検出する。また、露光ランプ7を点灯させて発光量を安定させると共に、基準濃度の原稿を読み込みCCDイメージセンサ14の出力を検出して必要光量の確認及びゲインの調整を実行する。そして、読取キャリッジ16をホームポジションに移動させて待機状態とする。このようなスキャナ400の初期設定処理は、プリンタ1にて補正用パターンCPを印刷する際に並行して行ってもよい。
【0102】
(3)ステップS220:補正用パターンCPを読み取るステップ
図15に示す各補正用パターンの濃度はスキャナ400にて読み取る。
本実施形態のスキャナ400の読取解像度は、プリンタ1の印刷解像度より高く、印刷された補正用パターンにおける単位領域の副走査方向における幅は、CCDイメージセンサ14が有する1つのフォトダイオードにて読み取る幅の約4倍に設定されている。すなわち、理想的なラスタラインは、スキャナ400にて読み取ることが可能な最小単位である最小読取領域の副走査方向における幅の約4つ分に相当する。
【0103】
図16は、補正用パターンを読み取る際の読取基準位置及び読取領域を説明するための図である。
補正用パターンを読み取る際には、プリンタ1にて補正用パターンCPが印刷された用紙(以下、補正用原稿という)の先端部を、原稿規制板11の原稿突当部位11aに突き当てるとともに、主走査方向の基準位置に補正用原稿の先端における一方の角部を位置させて、補正用原稿を原稿台ガラス12上に載置する。ここで、補正用原稿の先端における一方の角部が位置決めされる位置を絶対基準位置Pとする。
【0104】
そして、読取キャリッジ16を副走査方向に移動させつつ、各補正用パターンを含む所定サイズの領域におけるCCDイメージセンサ14の出力を位置情報と共にメモリ117に記憶する。本実施形態では、シアンの補正用パターンは絶対基準位置Pに対し、主走査方向に距離SX1副走査方向に距離SY1の位置を、マゼンタの補正用パターンは絶対基準位置Pに対し、主走査方向に距離SX2副走査方向に距離SY1の位置を、イエローの補正用パターンは、絶対基準位置Pに対し、主走査方向に距離SX1副走査方向に距離SY1の位置を、ブラックの補正用パターンは、絶対基準位置Pに対し、主走査方向に距離SX1副走査方向に距離SY1の位置を、各補正用パターンを読み取る際の基準位置(以下、読取基準位置という)Pc、Pm、Py、Pkとして、それぞれ主走査方向に幅SW1副走査方向に長さSH1の領域の画像を読み取るように設定されている。すなわち、スキャナ400は、読取キャリッジ16を副走査方向に移動させ、CCDイメージセンサ14に結像される画像の位置(読み取り位置)が原稿突当部位11aとなる位置に読取キャリッジ16が到達した後、距離SY1だけ移動したときにCCDイメージセンサ14の出力を取り込み始める。このとき、読取基準位置Pcから主走査方向に幅SW1の範囲に配置されているフォトダイオードの出力がシアンの補正用パターンCPcの測定値としての読取濃度データとして、また、読取基準位置Pmから主走査方向に幅SW1の範囲に配置されているフォトダイオードの出力がマゼンタの補正用パターンCPmの測定値としての読取濃度データとして、周期的に読み取られ各最小読取領域の位置情報と対応付けられてメモリ117に記憶される。シアンとマゼンタとの補正用パターンCPc、CPmの読み取りは、読取キャリッジ16が読取基準位置Pc及び読取基準位置Pmから長さSH1移動する間継続して実行される。
【0105】
そして、読取キャリッジ16が絶対基準位置Pから距離SY2だけ移動したときにCCDイメージセンサ14の出力を再び取り込み始める。このとき、読取基準位置Pyから主走査方向に幅SW1の範囲に配置されているフォトダイオードの出力がイエローの補正用パターンCPyの測定値としての読取濃度データとして、また、読取基準位置Pkから主走査方向に幅SW1の範囲に配置されているフォトダイオードの出力がブラックの補正用パターンCPkの測定値としての読取濃度データとして、周期的に読み取られ各最小読取領域の位置情報と対応付けられてメモリ117に記憶される。イエローとブラックとの補正用パターンCPy、CPkの読み取りは、読取キャリッジ16が読取基準位置Py及び読取基準位置Pkから長さSH1移動する間継続して実行される。このようにして、各補正用パターンCPを含む領域のデータが、CCDイメージセンサ14が有するフォトダイオードのサイズ、読取キャリッジ16の移動速度、光学系における投影倍率、及び、CCDイメージセンサ14の読み込み速度にて規定される最小読取領域毎の読取濃度データとして、各最小読取領域の位置情報と対応付けられてメモリ117に記憶される。本実施形態では、スキャナ400の読取解像度を例えば2880dpiとし、最小読取領域を一辺が1/2880インチの領域としている。
【0106】
このとき読み取られた読取濃度データは、各インク色においてフォトダイオードの出力の最大値(白レベル)が読取濃度「0」に対応付けられ、出力の最小値(最高濃度レベル)が読取濃度「255」として記憶される。
【0107】
(4)ステップS230:読み取ったデータの傾きを検出するステップ
補正用パターンCPは、プリンタ1にて印刷されたパターンであるため、プリンタ1の用紙搬送特性により、必ずしも用紙に傾くことなく印刷されているとは限らない。また、正確に搬送された用紙に傾くことなく補正用パターンが印刷されたとしても、原稿台ガラス上に載置されたときに正確に配置されていない場合などは、補正用パターンが傾いた状態にて読み取られてしまう畏れがある。
【0108】
ところで、補正用パターンCPの読取濃度データに基づいて生成される補正値により実行される補正は、ラスタラインが形成された列領域間の濃度ムラを抑制するための補正であり、補正値は列領域毎に生成される。このため、傾いた状態の補正用パターンCPをスキャナ400にて読み取ると、副走査方向に沿って1つの列領域を読み取ったつもりであっても、複数の異なる列領域に跨って読取濃度データが読み取られる畏れがあり、誤った読取濃度データが1列領域の読取濃度データとして扱われて、正しい補正値が得られない畏れがある。
【0109】
このため、ステップS220にて読み取ったブラックの補正用パターンCPkの読取濃度データを用いて、ブラックの補正用パターンCPkの傾きを検出し、傾きがなくなるように調整する。
【0110】
図17は、ブラックの補正用パターンの傾きを検出する処理を説明するための図である。
図示するようにブラックの補正用パターンCPkが、傾いて読み取られたとする。図中の一点鎖線は、読み取られた領域全体を示している。
【0111】
本実施形態では、補正用パターンの傾きを検出する際に、各補正用パターンを構成するラスタラインのうち副走査方向において最も端に位置する最端ラスタラインの延出部Lを検出する。延出部Lは、副走査方向において他のラスタラインが印刷されていない部位に印刷されているので、副走査方向の読取濃度データにて濃度分布における重心位置を延出部Lの位置として検出することが可能である。ここでは、副走査方向において補正用原稿の先端側に位置する最端ラスタラインの位置を、主走査方向において間隔を隔てた2カ所にて検出し、検出された2カ所の位置の相違により傾きを検出する。すなわち、CCDイメージセンサ14が有し、間隔を隔てた2つのフォトダイオードにて読み取られた読取濃度データを抽出し、抽出された2カ所の読取濃度データの、副走査方向における読取基準位置Pkと、副走査方向の濃度分布において重心位置との距離を比較して傾きを検出する。
【0112】
補正用パターンの傾きを検出する処理は、スキャナ400に接続されているコンピュータ720にて実行される所定のプログラムにより行われる。
【0113】
コンピュータ720にて補正用パターンの傾きを検出するプログラムが実行されると、スキャナ400のメモリ117に記憶されている、ステップS220にて読み取られた読取濃度データが参照され、読取基準位置Pkから主走査方向に距離KX1、及び、距離KX2の位置に配置されているフォトダイオードにて読み取られた読取濃度データを、読取基準位置Pkから副走査方向にKY0の距離分だけ抽出する。
【0114】
このとき、図17のように補正用パターンが傾いて読み取られていると、距離KX1の位置に相当するフォトダイオードと、距離KX2の位置に相当するフォトダイオードとにより読み取られた読取濃度データにおいて、副走査方向における読取基準位置Pkと、副走査方向の濃度分布における重心位置までの距離が相違する。
【0115】
図18は、距離KX1と距離KX2とにおける読取基準位置Pkから副走査方向の濃度分布における重心位置までの距離の相違を説明するための図である。
距離KX1の位置と、距離KX2の位置とに相当するフォトダイオードによりそれぞれ読み取られた読取濃度データは、図18に示すようなグラフとなり、それらの読取基準位置Pkから副走査方向の濃度分布における重心位置までの距離は相違する。
【0116】
すなわち、主走査方向の距離(KX2―KX1)に対し、副走査方向の濃度分布における重心位置は、距離(KY1−KY2)だけ相違することになる。このため、補正用パターンの傾き角度θは(式1)にて求められる。
θ=tan―1{(KY1−KY2)/(KX2―KX1)}…(式1)
このとき、コンピュータ720は、読み取られた補正パターンは、角度θだけ傾いていることを検出する。
【0117】
(5)ステップ240:読み取ったデータの傾きを調整するステップ
読み取られた読取濃度データが傾いていることを検出したコンピュータ720は、メモリ117に記憶されている読取濃度データを、検出した角度θに基づいて、傾きをなくすように、読取濃度データに対応付けられた位置情報に基づいて、画像を回転させるイメージにてデータを加工する所謂、画像データの回転処理を実行する。
図19は、検出された傾きに基づいて画像データの回転処理を実行した後の読取濃度データのイメージを示す図である。
図示するように、読み取られた読取濃度データについて画像データ回転処理を実行することにより、読み取った画像データに基づく画像を回転させたように、補正用パターンの傾きを調整することが可能である。このように、傾きを調整した読取濃度データは、補正パターンを構成する各ラスタラインの方向と、読み取られた読取濃度データにおいて対応するラスタラインが形成されるべき列領域に相当するデータにて形成されるラスタラインの方向とが一致することになる。
【0118】
(6)傾き調整したデータの所望領域のデータを取り出す処理
傾き調整したデータ、すなわち、傾くことなく補正用パターンCPが正しく配置された状態にて読み取られたと相当される読取濃度データには、補正用パターンの読取濃度データ以外に余白部分の読取濃度データも含まれており、補正用パターンを構成する列領域の位置が明確でない。また、印刷された補正用パターンにおける列領域の副走査方向の幅は、スキャナ400の最小読取領域(読取解像度)の4倍であるため、読取濃度データにおける副走査方向のデータ数と、補正用パターンにおける列領域の数とは一致しない。さらに、スキャナ400にて読み取られた補正用パターンは印刷されたものなので、インクの滲み等により、ラスタラインの副走査方向における幅が理想的な幅に印刷されているとは限らない。また、補正用原稿を読み取る際の読取キャリッジの速度や、CCDイメージセンサ14のデータ取り込みタイミングの誤差等により、補正用パターンを読み取ったときの最小読取領域の4倍に相当する幅が、ラスタラインの副走査方向の幅と一致するとは限らない。このため、傾き調整された読取濃度データにおける補正用パターンCPの主要部Mに相当する読取濃度データを抽出し、抽出された読取濃度データと、補正用パターンCPを構成する各列領域とを対応付ける処理を実行する。
【0119】
まず、傾き調整された読取濃度データから、補正用パターンCPの主要部Mの読取濃度データを抽出する。
【0120】
<補正用パターンの主要部に相当する読取濃度データの抽出>
傾き調整された読取濃度データから、補正用パターンCPの主要部Mに相当する読取濃度データを抽出する際には、補正用パターンCPの主要部Mにおいて副走査方向におけるエッジを2カ所検出し、このエッジ間に相当する読取濃度データを補正用パターンCPの主要部Mの読取濃度データとして抽出する。補正用パターンCPの主要部Mにおけるエッジの検出は、傾き調整された読取濃度データから、補正用パターンCPの主要部Mにおいて副走査方向の最も端に位置する最端ラスタラインのエッジを検出することにより実現される。本実施形態においては、最端ラスタラインのエッジを、補正用パターンの最端ラスタラインの延出部Lを用いて検出する。
【0121】
[第1実施例]
・ステップS250:最端ラスタラインの位置を検出するステップ
図20は、補正用パターンの最端ラスタラインの延出部を用いてエッジを検出する処理の第1実施例を説明するための図である。
【0122】
最端ラスタラインの位置を検出する処理は、例えば図19に示すように、傾き調整された読取濃度データにおいて、読取基準位置Pkから主走査方向に距離KX1、及び、距離KX2の位置に相当するフォトダイオードにて読み取られた読取濃度データを用いて実行される。ここで、補正用パターンは、副走査方向に2本の最端ラスタラインを有するため、最端ラスタラインの位置の検出は、各最端ラスタラインについて行われる。すなわち、補正用原稿の先端側の最端ラスタラインLsの位置を検出するための読取濃度データとして、読取基準位置Pkから副走査方向に距離KY0分に相当する読取濃度データが抽出され、補正用原稿の後端側の最端ラスタラインLeの位置を検出するための読取濃度データとして、読取基準位置Pkに対し副走査方向に距離KY3だけ離れた位置から副走査方向に距離KY0分に相当する読取濃度データが抽出される。
【0123】
図20の中央部分に、距離KX1、及び、距離KX2の位置に相当するフォトダイオードにて読み取られた最端ラスタラインL周辺の読取濃度データのイメージを示し、その左側には、距離KX1における読取濃度データのイメージをグラフにて示しており、右側には、距離KX2における読取濃度データのイメージをグラフにて示している。
【0124】
図20の例では、最端ラスタライン周辺の読取濃度データのなかに、余白部分とは異なり濃度を有する最小読取領域rが副走査方向に8つ検出されている。延出部Lは1本のラスタライン(1つの列領域に形成されるラスタライン)なので、本来は、副走査方向に並ぶ4つの最小読取領域として検出されるはずである。すなわち、濃度が検出された8つの最小読取領域r1〜r8のうち、4つの最小読取領域rは延出部Lを示すデータであり、残りの4つの最小読取領域rは本来存在しないはずである。このため、延出部Lを示す4つの最小読取領域を特定し、それら4つの最小読取領域のうち、補正用パターンCPの外側に位置する最小読取領域の外側のエッジを補正用パターンCPの主要部Mにおけるエッジとして検出する。以下の説明においては、先端側の最端ラスタラインのエッジを検出する処理を中心に説明し、先端側の最端ラスタラインと後端側の最端ラスタラインとで処理が相違する点については、各々説明する。
【0125】
コンピュータ720には、補正用パターンを印刷した際の印刷解像度と、印刷された補正用パターンをスキャナ400にて読み取った際の読取解像度とを示す情報が記憶されている。コンピュータ720は、記憶されている印刷解像度と読取解像度とに基づいて、延出部Lの副走査方向における幅に含まれる、連続する最小読取領域の数を算出する。本実施形態では、「4」が算出される。また、算出された最小読取領域の数が偶数の場合には、延出部Lの副走査方向における幅の中央からエッジまでの距離を求めるために、算出された最小読取領域の数の半数も算出する。本実施形態では、「2」が算出される。
【0126】
コンピュータ720は、主走査方向に距離KX1、及び、距離KX2に位置する最小読取領域における、読取基準位置Pkから副走査方向に距離KY0分に相当する読取濃度データ(以下、先端側読取濃度データという)、及び、読取基準位置Pkに対し副走査方向に距離KY3だけ離れた位置から副走査方向に距離KY0分に相当する読取濃度データ(以下、後端側読取濃度データという)を抽出する。
【0127】
抽出した先端側読取濃度データに基づいて、副走査方向の濃度分布における重心位置を、距離KX1、及び、距離KX2についてそれぞれ検出する。図20の例では、距離KX1の副走査方向の濃度分布における重心位置として、第4最小読取領域r4の中心より下端側の位置g1が検出され、距離KX2の副走査方向の濃度分布における重心位置として、第5最小読取領域r5の中心より上端側の位置g2が検出される。
【0128】
副走査方向の濃度分布における2つの重心位置が検出されると、コンピュータ720は、それらの中央の位置を検出する。図20の例では、第4最小読取領域r4と第5最小読取領域r5との境界部分が、最端ラスタラインLの中央の位置として検出される。このとき、最端ラスタラインLの中央の位置として検出された位置が、2つの最小読取領域の境界部分でない場合、例えば、第5最小読取領域r5の中心より下端側の位置g3が検出された場合には、位置g3を含む最小読取領域の位置g3に近い側のエッジ、すなわち第5最小読取領域r5と第6最小読取領域r6との境界部分が、最端ラスタラインLの中央の位置として検出されるように設定されている。
【0129】
・ステップ260:副走査方向における補正用パターンのエッジを検出するステップ
コンピュータ720は、検出された2つの最小読取領域r4,r5の境界部分の位置情報と、算出された延出部Lの副走査方向における幅内に含まれる最小読取領域の数の半数「2」から、補正用パターンCPの主要部Mにおけるエッジを検出する。
例えば、図20の場合では、濃度が検出された8つの最小読取領域r1〜r8のうち、副走査方向の先端側から第4最小読取領域r4と第5最小読取領域r5の境界部分が、最端ラスタラインLの中央の位置、すなわち延出部Lの中央として検出されているので、この延出部Lの中央から補正用パターンCPの2つ外側の最小読取領域のエッジを補正用パターンCPのエッジとして検出する。
【0130】
そして、図20が補正用パターンの先端側に位置する延出部Lを読み取った際の読取濃度データであれば、最端ラスタラインLsの中央の位置として検出された第4最小読取領域r4と第5最小読取領域r5の境界部分より補正用パターンCPの外側方向の2つ目に位置する第3最小読取領域r3の先端側のエッジを補正用パターンCPの先端側のエッジとして検出する。そして、第3最小読取領域r3より外側の最小読取領域列のデータを補正用パターンCPに対応する読取濃度データから削除するトリミング処理を行う。
【0131】
また、図20が補正用パターンの後端側に位置する延出部Lを読み取った際の読取濃度データであれば、最端ラスタラインLeの中央の位置として検出された第4最小読取領域r4と第5最小読取領域r5の境界部分より補正用パターンCPの外側方向の2つ目に位置する第6最小読取領域r6の後端側のエッジを補正用パターンCPの後端側のエッジとして検出する。そして、第6最小読取領域r6より外側の最小読取領域列のデータを補正用パターンCPに対応する読取濃度データから削除するトリミング処理を行う。
【0132】
次に、副走査方向における延出部の幅に含まれる、連続する最小読取領域の数が奇数の場合に、延出部を用いてエッジを検出する処理を説明する。
算出された副走査方向における延出部の幅に含まれる、連続する最小読取領域の数が奇数の場合には、算出された最小読取領域の数より1小さい数の半数を算出する。例えば、算出された延出部の副走査方向における幅に含まれる、連続する最小読取領域の数が「3」の場合には、「1」が算出される。そして、距離KX1の副走査方向の濃度分布における重心位置、及び、距離KX2の副走査方向の濃度分布における重心位置に基づいて、最端ラスタラインLの中央の位置が、図20に示す位置g1と検出されたとする(ステップ:S250)。この場合には、検出された最端ラスタラインLの中央の位置g1が含まれる最小読取領域、すなわち、第4最小読取領域r4が延出部において、副走査方向の中央に位置する中央最小読取領域として検出される。
【0133】
そして、コンピュータ720は、検出された中央最小読取領域r4の位置情報と、算出された「1」とから、補正用パターンCPの主要部Mにおけるエッジとして、最小読取領域r3の先端側のエッジ、及び、最小読取領域r5の後端側のエッジを検出する(ステップ:S260)。
【0134】
[第2実施例]
・ステップS250:最も端のラスタラインの位置を検出するステップ
図21は、補正用パターンの最端ラスタラインの延出部を用いてエッジを検出する処理の第2実施例を説明するための図である。
図21の左側のグラフは、傾き調整された読取濃度データにおいて、CCDイメージセンサ14における1つのフォトダイオードにて読み取られたデータのうち、最端ラスタライン周辺の読取濃度データのイメージをグラフにて示している。また、図21の右側の図は、左側のグラフのような濃度を示す読取濃度データであったときに、読み取られた画像における延出部Lのイメージを示す図である。図21では、最端ラスタライン周辺の読取濃度データとして、読取基準位置Pkから主走査方向に距離KX1の位置に相当するフォトダイオードにて読み取られた読取濃度データであって、読取基準位置Pkから副走査方向に距離KY0分に相当する読取濃度データを示している。
【0135】
コンピュータ720には、補正用パターンを印刷した際の印刷解像度と、印刷された補正用パターンをスキャナ400にて読み取った際の読取解像度とを示す情報が記憶されており、コンピュータ720が記憶されている印刷解像度と読取解像度とに基づいて、延出部Lの副走査方向における幅に含まれる、連続する最小読取領域の数「4」、及び、その半数「2」を算出することは、第1実施例と同じである。
【0136】
コンピュータ720は、読取基準位置Pkから副走査方向に距離KY0分に相当する読取濃度データ、及び、読取基準位置Pkに対し副走査方向に距離KY3だけ離れた位置から副走査方向に距離KY0分に相当する読取濃度データから、濃度がピークとなる最小読取領域を検出し、その位置情報を記憶する。このとき、延出部Lの副走査方向における幅に含まれる、連続する最小読取領域の数が偶数である場合には、濃度がピークとなる最小読取領域は、濃度が高い側から2つの最小読取領域を検出し、その位置情報を記憶する。すなわち、検出された2つの最小読取領域の中間である境界部分が延出部Lの中央であることが検出される。図21の例では、濃度がピークとなる最小読取領域として、第4、第5最小読取領域r4,r5が検出され、その位置情報が記憶される。そして検出された最小読取領域r4,r5の中間が延出部Lの中央であることが検出される。
【0137】
以下、ステップ260において、検出された2つの最小読取領域の境界部分の位置情報と、算出された延出部Lの副走査方向における幅内に含まれる最小読取領域の数の半数「2」とから、補正用パターンCPの主要部Mにおけるエッジを検出する処理は、第1実施例と同じである。
【0138】
次に、副走査方向における延出部の幅に含まれる、連続する最小読取領域の数が奇数の場合に、延出部を用いてエッジを検出する処理を説明する。
算出された副走査方向における延出部の幅に含まれる、連続する最小読取領域の数が奇数の場合に、濃度がピークとなる最小読取領域として、濃度が最も高い最小読取領域、例えば第4最小読取領域r4が検出されたとする。この場合には、濃度が最も高い第4最小読取領域r4が、延出部Lにおいて副走査方向の中央に位置する中央最小読取領域として検出される。
そして、コンピュータ720は、検出された中央最小読取領域r4の位置情報と、算出された「1」とから、補正用パターンCPの主要部Mにおけるエッジを、最小読取領域r3の先端側のエッジ、及び、最小読取領域r5の後端側のエッジとして検出する(ステップ:S260)。
【0139】
第2実施例の場合には、位置の検出を最小読取領域単位で行うため、エッジを検出するための処理は容易であるが、検出される位置の精度は低くなる。また、延出部の中央の位置を濃度のピークとなる最小読取領域にて特定するため、読み取る位置により濃度のばらつきの影響が大きくなり、また、ごみ等による誤検知も生じ易いため、濃度分布における重心位置により延出部の中央の位置を特定する第1実施例の方がより安定した結果を得ることが可能である。
【0140】
(7)ステップ270:補正用パターンが有するラスタラインの数に対応すべくデータを変換するステップ(検出した最端ラスタライン間に相当するデータと列領域を対応付けるためにデータを変換するステップ)
コンピュータ720は、検出された補正用パターンCPの先端側のエッジを有する最小読取領域の読取濃度データから後端側のエッジを有する最小読取領域の読取濃度データを補正用パターンCPの読取濃度データとして抽出する。
次にコンピュータ720は、補正用パターンの読取濃度データとして抽出したデータと、補正用パターンCPが有するラスタライン数とに基づいて、各列領域に対応する読取濃度データに変換する。すなわち、補正用パターンCPの読取濃度データとして抽出したデータをすべて用いて、例えばバイキュービック法等により、各列領域に1つの読取濃度データが対応するように変換する。このとき、主走査方向においては、4つの読取濃度データが1つの単位領域に対応する単位領域データとして変換される。変換された後の読取濃度データは、補正用パターンCPを構成する各単位領域に対応する濃度を示す単位領域濃度データである。
【0141】
(8)ステップ280:変換されたデータに基づいて各列領域の濃度の平均値を算出するステップ
次にコンピュータ720は、変換されたデータの補正用パターンCPの主要部Mに相当する単位領域濃度データから、補正パターンCPの主要部Mを構成するラスタラインが形成されるべき列領域において、濃度毎のサブパターンSPに含まれる列領域毎に複数の単位領域の単位領域濃度データを抽出して平均値を算出する。
【0142】
コンピュータ720のメモリには、補正用パターンCPの単ドットラインJと、各サブパターンSPとの主走査方向における距離を示す位置情報が記憶されている。
【0143】
コンピュータ720は、変換されたデータの所定の列領域、例えば副走査方向における中央の列領域が有する単位領域の単位領域濃度データを抽出し、主走査方向において読取基準位置側から単位領域濃度データを参照し、濃度分布における重心位置を検出することにより、単ドットラインJの中央の位置を検出する。単ドットラインJの中央の検出方法は、補正用パターンCPの副走査方向における延出部Lの中央の検出方法と、方向のみが異なり他は同様である。
【0144】
検出した単ドットラインJの位置、及び、メモリに記憶されている単ドットラインJと各サブパターンSPka、SPkb、SPkc、SPkd、SPkeとの主走査方向における距離を示す位置情報とに基づいて、各サブパターンSPka、SPkb、SPkc、SPkd、SPkeを構成しているラスタラインが形成されるべき各列領域が有する複数の単位領域の単位領域濃度データを抽出し、抽出した複数の単位領域濃度データの平均値を求め、各列領域の濃度データとする。
【0145】
図22は、各サブパターンを構成している各列領域が有する単位領域の単位領域濃度データを抽出する処理を説明するための図である。ここでは、補正用パターンCPにおいて最も単ドットラインJに近い側に配置されているサブパターンSPka(濃度10%のサブパターン)を例に説明する。
【0146】
コンピュータ720は、列領域毎に、単ドットラインJの中央の位置を検出した後に、コンピュータ720のメモリに記憶されている位置情報に基づいて、検出した単ドットラインJの中央の位置を基準として、主走査方向にX2だけ離れた位置から幅W3の領域に存在する濃度10%のサブパターンの中央部分における互いに異なる部分としての複数の単位領域の単位領域濃度データを抽出する。すなわち、濃度10%のサブパターンうち、主走査方向における両側の幅W4に存在する単位領域を除く、中央部分の複数の単位領域の単位領域濃度データを抽出する。そして、例えば抽出した中央部分に含まれるすべての単位領域濃度データの平均値を算出して、濃度10%のサブパターンにおける当該列領域の濃度データとする。このようにして濃度10%のサブパターンSPkaが有する列領域毎の濃度データを、補正用パターンの先端側の列領域から後端側の列領域まで求める。
【0147】
また、単ドットラインJの中央を検出した位置を基準として主走査方向にX2+W3だけ離れた位置から幅W3の領域に存在する濃度30%のサブパターンSPkb、単ドットラインJの中央を検出した位置を基準として主走査方向にX2+W3×2だけ離れた位置から幅W3の領域に存在する濃度50%のサブパターンSPkc、単ドットラインJの中央を検出した位置を基準として主走査方向にX2+W3×3だけ離れた位置から幅W3の領域に存在する濃度70%のサブパターンSPkd、単ドットラインJを検出した位置を基準として主走査方向にX2+W3×4だけ離れた位置から幅W3の領域に存在する濃度100%のサブパターンSPkeについても同様である。
【0148】
すなわち、各サブパターンSPkb、SPkc、SPkd、SPkeの幅W3のうち、主走査方向の両側から幅W4を除く中央部分における互いに異なる複数の単位領域の単位領域濃度データを抽出し、抽出した複数の単位領域濃度データに基づいて列領域毎の単位領域濃度データの平均値を算出する。算出された単位領域濃度データの平均値を、読取濃度値とする。ここで、読取濃度値は、スキャナ400にて読み取られた読取濃度データに基づく単位領域濃度データの平均値を算出しただけなので、読取濃度データと同じように、濃度が最も低い白色レベルの場合に「0」、濃度が最も高い最高濃度レベルの場合に「255」として表現する。
【0149】
本実施形態においては、各サブパターンSPの中央部分に含まれるすべての単位領域の単位領域濃度データの平均値を求める例について説明したが、必ずしも中央部分に含まれるすべての単位領域の平均値でなくても良い。しかしながら、特に濃度が低いサブパターンSPの場合には、ドットが形成されていない単位領域が多くなり、単位領域毎の単位領域濃度データの相違が大きくなるため、できるだけ多くの単位領域の単位領域濃度データの平均値を求めることが望ましい。
【0150】
(9)ステップ290:読取濃度値に基づいて特定濃度の補正値を算出するステップ
算出した読取濃度値に基づいて2つの特定濃度における補正値を算出する。
本実施形態では、サブパターンSPが有する列領域の濃度の平均値をサブパターンSPに対応付けられた特定濃度の目標濃度値とし、各列領域の濃度が目標濃度値になるように、印刷データの階調値を補正することにより、各列領域間における濃度ムラを抑えることとしている。このため、まず特定濃度毎に各サブパターンSPを構成する列領域の濃度の平均値を算出する。算出された濃度の平均値が、各特定濃度における目標濃度値である。
【0151】
次に、算出した目標濃度値に基づいて各列領域の補正値を求める。ここで、補正値は必ずしもすべての特定濃度にて求める必要はなく、いくつかの特定濃度に対応する補正値を求めておけばよい。本実施形態では、2つの特定濃度、特定濃度30%、及び特定濃度50%について、補正値を算出することとする。
【0152】
図23は、特定濃度における補正値の求め方の概念を説明するための図である。
図示するように、特定濃度3における所定の列領域の読取濃度値と目標濃度値とを比較し、列領域Aのように、列領域Aの読取濃度値が目標濃度値より大きい場合には、特定濃度3より濃度が低い特定濃度(ここでは濃度1)における列領域Aの読取濃度値を用い、列領域Bのように読取濃度値が目標濃度値より小さい場合には、特定濃度3より濃度が高い特定濃度(ここでは濃度5)における列領域Bの読取濃度値を用いて補正値を求める。
【0153】
例えば、特定濃度50%における所定の列領域の読取濃度値と目標濃度値とを比較し、読取濃度値が目標濃度値より大きい場合には、特定濃度10%における同一列領域の読取濃度値を用い、読取濃度値が目標濃度値より小さい場合には、特定濃度100%における同一列領域の読取濃度値を用いて補正値を求める。これは、所定の列領域における目標濃度値に当該所定の列領域を印刷するために指定すべき階調値は、特定濃度50%における当該所定の列領域の読取濃度値が目標濃度値より大きい場合には、特定濃度50%の読取濃度値と特定濃度10%の読取濃度値との間に存在し、特定濃度50%における当該所定の列領域の読取濃度値が、目標濃度値より小さい場合には、特定濃度50%の読取濃度値と特定濃度100%の読取濃度値との間に存在するからである。
【0154】
そして、特定濃度50%における補正値α50は(式2)(式3)にて求められる。
特定濃度50%の読取濃度値が目標濃度値より大きい場合
α50=(C50−C10)×(T−Z50)/{(Z10−Z50)×C50
…(式2)
T :目標濃度値
50:補正前の濃度50%における階調値
10:補正前の濃度10%における階調値
50:濃度50%の読取濃度値
10:濃度10%の読取濃度値
特定濃度50%の読取濃度値が目標濃度値より小さい場合
α50=(C100−C50)×(T−Z50)/{(Z100−Z50)×C50
…(式3)
100:補正前の濃度100%における階調値
100:濃度100%の読取濃度値
【0155】
上記実施形態においては、特定濃度50%における補正値α50を求める際に、特定濃度10%及び100%の読取濃度値を用いる例について説明したが、使用する特定濃度は、求めようとする特定濃度値を挟む2つの特定濃度値であれば構わない。しかしながら、指定する階調値の変化に対し、出力される濃度ができるだけリニアに変化するように補正値が設定できるように、使用する特定濃度を決定することが望ましい。
【0156】
本実施形態においては、5種類の特定濃度のうち、特定濃度50%と濃度30%とについて補正値αを求めることとする。濃度30%における補正値α30を求める際には、例えば濃度10%の読取濃度値と、濃度70%の読取濃度値を用い(式4)(式5)にて求めることとする。
特定濃度30%の読取濃度値が目標濃度値より大きい場合
α30=(C30−C10)×(T−Z30)/{(Z10−Z30)×C30
…(式4)
T :目標濃度値
30:補正前の濃度30%における階調値
10:補正前の濃度10%における階調値
30:濃度30%の読取濃度値
10:濃度10%の読取濃度値
特定濃度30%の読取濃度値が目標濃度値より小さい場合
α30=(C70−C30)×(T−Z30)/{(Z70−Z30)×C30
…(式5)
70:補正前の濃度70%における階調値
70:濃度70%の読取濃度値
このようにして、各列領域に対する補正値が2種類の特定濃度ごとに求められメモリに記憶される(S300)。
【0157】
求められた補正値α50は、印刷すべき画像の画像データとして与えられた階調値に基づいて印刷すると、列領域間にて濃度ムラが発生するため、この濃度ムラを抑えるために、与えられた階調値を補正すべき割合を、列領域毎に示したものである。本実施形態では、画像データは階調値0〜255にて各単位領域の濃度を示しており、階調値0〜255により濃度0〜100%を256階調にて表現するように設定されている。すなわち、画像データにて指定される階調値の変化率と印刷されるべき濃度を示す階調値の変化率は等しい。このため、画像データにより濃度50%を指定する階調値、例えば「128」が指定された際には、補正後の階調値は、「128×(1+α50)」となる。また、濃度30%の場合には、画像データにより濃度30%を指定する階調値、例えば「77」が指定された際には、補正後の階調値は、「77×(1+α30)」となる。
【0158】
濃度30%、濃度50%以外の濃度に対する補正後の階調値は、求められた濃度30%、濃度50%の補正値に基づいて補正された濃度30%及び濃度50%の階調値、濃度0及び濃度100%の階調値を補間して求める。このとき、濃度0を指定する階調値は「0」、濃度100%を指定する階調値は「255」であり、それぞれ階調値の極値であるため補正しない。すなわち、濃度0及び濃度100%における補正値α,α100は、いずれも「0」である。
【0159】
図24は、算出された補正値に基づいて画像データを補正する処理の概念を説明するための図である。
図示するように、例えば画像データとして階調値Fが与えられた場合には、濃度0の階調値「0」と濃度30%の補正後の階調値「77×(1+α30)」との間で一次補間されて求められた補正後の階調値F′に変換される。画像データとして階調値Gが与えられた場合には、濃度30%の補正後の階調値「77×(1+α30)」と、濃度50の補正後の階調値「128×(1+α50)」との間で一次補間されて求められた補正後の階調値G′に変換される。画像データとして階調値Hが与えられた場合には、濃度50の補正後の階調値「128×(1+α50)」と濃度100%の階調値「255」との間で一次補間されて求められた補正後の階調値H′に変換される。
【0160】
そして、プリンタドライバは、印刷すべき画像データとともに印刷指令を検出すると、まず、前述した解像度変換処理、色変換処理を実行する。そして、色変換処理された画像データの各単位領域の階調値を列領域毎及びインクの色毎に、記憶されている2つの補正値に基づいて補正後の階調値を求め、求められた新たな階調値の画像データに変換する。変換された画像データにハーフトーン処理、ラスタライズ処理を実行し印刷データとしてプリンタ1に出力する。そして、プリンタ1では、入力された印刷データに基づいて画像を印刷する。
【0161】
本実施形態の印刷システム700によれば、補正値を取得する際には、特定濃度パターンとしてのサブパターンSPを構成する各ラスタラインが形成された列領域の移動方向における中央部分のみの濃度の読み取り結果が用いられるので、取得される補正値には、特定濃度パターンのエッジ付近における濃度の読み取り結果が含まれない。このため、補正をするためのより適切な濃度の読み取り結果に基づいて適切な補正値を得ることが可能である。特に、本実施形態では、補正用パターンCPが有する複数のサブパターンSPの読み取り結果に基づいて、複数の補正値が取得されるので、複数濃度に対応する補正値に基づいて、画像データをより適切に補正することが可能である。
【0162】
また、本実施形態の補正用パターンCPは、特定濃度のサブパターンSPと、このサブパターンSPと濃度が異なる他の特定濃度のサブパターンSPとが隣接しているので、印刷される補正用パターンCPが用紙Sに占める領域を狭くすることが可能である。また、濃度が互いに異なるサブパターンSP同士が隣接していても、補正値を取得する際には、各サブパターンSPを構成する各ラスタラインが形成された列領域の、移動方向における中央部分のみの濃度の読み取り結果が用いられるので、隣接するサブパターンSPの濃度が互いの読取濃度データに影響を及ぼす畏れがない。このため、より適切な補正値を取得することが可能である。
【0163】
さらに、補正値を取得するための読み取り結果は、各ラスタラインが形成された列領域の、移動方向における中央部分の1つ単位領域の濃度だけでなく、中央部分における互いに異なる部分の複数の単位領域の濃度を読み取った複数の読取濃度データの平均値なので、中央部分の濃度としてより正確な濃度に基づいて補正値を取得することが可能である。
【0164】
また、各サブパターンSPと同様に印刷された単ドットラインの中央の位置を基準として、各サブパターンSPの位置を特定するので、用紙に対する印刷位置のずれ等を含むことなく正確に各々のサブパターンSPの位置を特定することが可能である。このため、各サブパターンSPが印刷された各列領域に対応する正確な単位領域濃度データに基づいて適切な補正値を取得することが可能である。
【0165】
また、スキャナ400は、特定濃度を示す階調値に基づいて印刷された各サブパターンSPが有する単位領域の濃度を、スキャナ400における最小読取領域毎の濃度データとして読み取るので、画像データに示された階調値にて印刷された補正用パターンCPの各単位領域における濃度を、濃度データとして読み取ることが可能である。このため、画像データに示された階調値と、この階調値に基づいて印刷された補正用パターンCPの濃度データとを対応付けることが可能である。
【0166】
また、罫線において移動方向に並ぶ最小読取領域の濃度データに基づいて、移動方向の濃度分布における重心位置を検出することにより、罫線の位置を検出するので、個々の最小読取領域の濃度データのみから罫線の位置を検出する場合より、信頼性が高いため、確実かつ正確に罫線の位置を検出することが可能である。
【0167】
さらに、本実施形態にではスキャナ400の読取解像度は、補正用パターンCPが印刷される印刷解像度より高いこととしたので、印刷された罫線が例えば1ドットの幅の罫線であったとしても、交差方向(主走査方向)に複数の最小読取領域に亘って濃度データが存在することになる。このため、罫線を読み取った際により正確な濃度データを取得することが可能である。
【0168】
===その他の実施の形態===
上記の実施形態は、主として印刷システムについて記載されているが、その中には、プリンタ1、印刷装置、印刷方法等の開示が含まれていることは言うまでもない。
また、一実施形態としての印刷システム等を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
また、本実施形態においては、用紙搬送方向に発生する濃度ムラを補正する印刷システム及び印刷方法について説明したが、上記補正により、例えばヘッドが搭載されたキャリッジの移動に伴う振動などプリンタ1を構成する機構に起因して、搬送方向に沿う方向に発生する縦縞状の濃度ムラにも適用可能である。
【0169】
<プリンタについて>
前述の実施形態では、印刷部としてプリンタ1が説明されていたが、これに限られるものではない。例えば、カラーフィルタ製造装置、染色装置、微細加工装置、半導体製造装置、表面加工装置、三次元造形機、液体気化装置、有機EL製造装置(特に高分子EL製造装置)、ディスプレイ製造装置、成膜装置、DNAチップ製造装置などのインクジェット技術を応用した各種の記録装置に、本実施形態と同様の技術を適用しても良い。また、これらの方法や製造方法も応用範囲の範疇である。
【0170】
<インクについて>
前述の実施形態は、プリンタ1のノズルから染料インク又は顔料インクをノズルから吐出していた。しかし、ノズルから吐出するインクは、このようなインクに限られるものではない。
【0171】
<ノズルについて>
前述の実施形態では、圧電素子を用いてインクを吐出していた。しかし、インクを吐出する方式は、これに限られるものではない。例えば、熱によりノズル内に気泡を発生させる方式など、他の方式を用いてもよい。
【0172】
<インクを吐出するキャリッジ移動方向について>
前述の実施形態では、キャリッジ31の往方向の移動時にのみインクを吐出する単方向印刷を例に説明したが、これに限るものではなく、キャリッジ31の往復たる双方向移動時にインクを吐出する所謂双方向印刷を行っても良い。
【0173】
<印刷に用いるインク色について>
前述の実施形態では、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色のインクを用紙S上に吐出してドットを形成する多色印刷を例に説明したが、インク色はこれに限るものではない。例えばこれらインク色に加えて、ライトシアン(薄いシアン、LC)及びライトマゼンタ(薄いマゼンタ、LM)等のインクを用いても良い。
また、逆に、上記4つのインク色のいずれか一つだけを用いて単色印刷を行っても良い。
【図面の簡単な説明】
【0174】
【図1】印刷システムの外観構成を示した説明図である。
【図2】印刷システムの主要部を説明するためのブロック図である。
【図3】スキャナの構成を説明するための正面図である。
【図4】スキャナの構成を説明するための平面図である。
【図5】本実施形態のプリンタの全体構成の概略図である。
【図6】本実施形態のプリンタの全体構成の側断面図である。
【図7】ヘッドの下面におけるノズルの配列を示す説明図である。
【図8】ヘッドの駆動回路の説明図である。
【図9】各信号を説明するタイミングチャートである。
【図10】プリンタドライバが行う基本的な処理の概略的な説明図である。
【図11】印刷時の動作のフローチャートである。
【図12】単色印刷された画像中において用紙の搬送方向に生じる濃度ムラを説明するための図である。
【図13】本実施形態に係る画像の印刷方法に関連する工程等の流れを示すフローチャートである。
【図14】補正値を設定する処理の手順を示すフローチャートである。
【図15】印刷された補正用パターンCPの一例を説明するための図である。
【図16】補正用パターンを読み取る際の読取基準位置及び読取領域を説明するための図である。
【図17】ブラックの補正用パターンの傾きを検出する処理を説明するための図である。
【図18】距離KX1と距離KX2とにおける読取基準位置Pkから副走査方向の濃度分布における重心位置までの距離の相違を説明するための図である。
【図19】検出された傾きに基づいて画像データの回転処理を実行した後の読取濃度データのイメージを示す図である。
【図20】補正用パターンの最端ラスタラインの延出部を用いてエッジを検出する処理を説明するための図である。
【図21】副走査方向に奇数の最小読取領域がラスタラインの幅に相当する際に延出部を用いてエッジを検出する処理を説明するための図である。
【図22】各サブパターンを構成している各列領域が有する単位領域の単位領域濃度データを抽出する処理を説明するための図である。
【図23】特定濃度における補正値の求め方の概念を説明するための図である。
【図24】算出された補正値に基づいて画像データを補正する処理の概念を説明するための図である。
【符号の説明】
【0175】
1 プリンタ(インクジェットプリンタ),2 HPセンサ、4 支持レール、
4a 支持面、5 原稿、6 規制ガイド、7 露光ランプ、8 レンズ、9 ミラー、
11 原稿規制板、11a 原稿突当部位、12 原稿台ガラス、
12a 原稿載置面、13 原稿台カバー、14 CCDイメージセンサ、
15 ガイド受け部、16 読取キャリッジ、16a 読取キャリッジの一端、
18 駆動部、20 搬送ユニット,21 給紙ローラ,22 搬送モータ、
23 搬送ローラ,24 プラテン,24a 溝、25 排紙ローラ、
30 キャリッジユニット,31 キャリッジ,40 ヘッドユニット,41 ヘッド、
50 センサ、51 リニア式エンコーダ、52 ロータリー式エンコーダ、
53 紙検出センサ、54 紙幅センサ、60 プリンタコントローラ、
63 メモリ、64 ユニット制御回路、644A 原駆動信号発生部、
644B 駆動信号整形部、
90 インクカートリッジ、100 コントローラ、103 スキャナコントローラ、
117 メモリ、181 タイミングベルト、182 プーリ,183 パルスモータ、
184 アイドラプーリ,400 スキャナ、700印刷システム、
704 表示装置、708 入力装置、708A キーボード、708B マウス、
710 記録再生装置、710A フレキシブルディスクドライブ装置、
710B CD−ROMドライブ装置、720 コンピュータ、
721 アプリケーションプログラム、722 ビデオドライバ、
725 プリンタドライバ、CP 補正用パターン、
CPc シアンの補正用パターン、CPk ブラックの補正用パターン、
CPm マゼンタの補正用パターン、CPy イエローの補正用パターン、L 延出部、
Ls 先端側の最端ラスタライン、Le 後端側の最端ラスタライン、
M 補正用パターンの主要部、Nc シアンインクノズル列、
Nk ブラックインクノズル列、Nm マゼンタインクノズル列、
Ny イエローインクノズル列、J 単ドットライン、P 絶対基準位置、
Pc シアンの読取基準位置、Pk ブラックの読取基準位置、
Pm マゼンタの読取基準位置、Py イエローの読取基準位置、
R1〜R4 最小読取領域列、r1〜r8 最小読取領域、S 用紙、
SP サブパターン、SPka〜SPke サブパターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に沿って複数設けられ、画像を印刷するための画像データに基づいて、前記所定方向と交差する移動方向に移動されつつインクを吐出して媒体にドット列を形成するためのノズルと、
特定濃度の画像を印刷するための画像データに基づいて前記ノズルからインクを吐出させて印刷した特定濃度パターンを構成する各ドット列が形成された各列領域における、前記移動方向の中央部分の濃度の読み取り結果に基づいて、各々の前記列領域間の濃度ムラを抑制すべく補正するための補正情報を、取得し、
前記補正情報に基づいて画像を印刷するための画像データを補正するためのコントローラと、
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置において、
前記特定濃度パターンと、当該特定濃度パターンと濃度が異なる他の特定濃度パターンとが前記移動方向に並べられて前記媒体に印刷され、
他の特定濃度パターンを構成する各ドット列が形成された各列領域における前記移動方向の中央部分の濃度の読み取り結果に基づいて、前記他の特定濃度パターンに対応する補正情報を取得することを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項2に記載の印刷装置において、
前記特定濃度パターンと、前記他の特定濃度パターンとは隣接していることを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の印刷装置において、
前記読み取り結果として、前記中央部分における互いに異なる部分の読取濃度の平均値を用いることを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の印刷装置において、
前記特定濃度パターン及び前記他の特定濃度パターンは、前記特定濃度パターンと前記移動方向に間隔を隔てて配置された前記所定方向に沿う罫線とともに、補正用パターンとして媒体に印刷され、
前記中央部分は前記罫線を基準として特定されることを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項5に記載の印刷装置において、
前記補正用パターンを読み取るための読取部を有し、
前記画像データは、前記媒体に形成される単位領域毎の階調値を示しており、
前記読取部は、前記特定濃度を示す階調値に基づいて印刷された特定濃度パターン及び他の前記特定濃度を示す階調値に基づいて印刷された前記他の特定濃度パターンが有する前記単位領域の濃度を、前記読取部における最小読取領域毎の濃度データとして読み取ることを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
請求項6に記載の印刷装置において、
前記コントローラは、前記罫線において前記移動方向に並ぶ前記最小読取領域の濃度データに基づいて、前記移動方向の濃度分布における重心位置を検出し、検出された前記濃度分布における重心位置に基づいて、前記移動方向における前記罫線の位置を検出することを特徴とする印刷装置。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載の印刷装置において、
前記読取部の読取解像度は、前記補正用パターンが印刷される印刷解像度より高いことを特徴とする印刷装置。
【請求項9】
所定方向に沿って複数設けられ、画像を印刷するための画像データに基づいて、前記所定方向と交差する移動方向に移動されつつインクを吐出して媒体にドット列を形成するためのノズルと、
特定濃度の画像を印刷するための画像データに基づいて前記ノズルからインクを吐出させて印刷した特定濃度パターンを構成する各ドット列が形成された各列領域における、前記移動方向の中央部分の濃度の読み取り結果に基づいて、各々の前記列領域間の濃度ムラを抑制すべく補正するための補正情報を、取得し、
前記補正情報に基づいて画像を印刷するための画像データを補正するためのコントローラと、
を有し、
前記特定濃度パターンと、当該特定濃度パターンと濃度が異なる他の特定濃度パターンとが前記移動方向に隣接されて前記媒体に印刷され、
他の特定濃度パターンを構成する各ドット列が形成された各列領域における前記移動方向の中央部分の濃度の読み取り結果に基づいて、前記他の特定濃度パターンに対応する補正情報を取得し、
前記読み取り結果として、前記中央部分における互いに異なる部分の読取濃度の平均値を用い、
前記特定濃度パターン及び前記他の特定濃度パターンは、前記特定濃度パターンと前記移動方向に間隔を隔てて配置された前記所定方向に沿う罫線とともに、補正用パターンとして媒体に印刷され、
前記中央部分は前記罫線を基準として特定され、
前記補正用パターンを読み取るための読取部を有し、
前記画像データは、前記媒体に形成される単位領域毎の階調値を示しており、
前記読取部は、前記特定濃度を示す階調値に基づいて印刷された特定濃度パターン及び他の前記特定濃度を示す階調値に基づいて印刷された前記他の特定濃度パターンが有する前記単位領域の濃度を、前記読取部における最小読取領域毎の濃度データとして読み取り、
前記コントローラは、前記罫線において前記移動方向に並ぶ前記最小読取領域の濃度データに基づいて、前記移動方向の濃度分布における重心位置を検出し、検出された前記濃度分布における重心位置に基づいて、前記移動方向における前記罫線の位置を検出し、
前記読取部の読取解像度は、前記補正用パターンが印刷される印刷解像度より高く、
前記読取解像度と前記印刷解像度とを示す情報をそれぞれ有し、
前記コントローラは、前記読取解像度と前記印刷解像度とに基づいて、前記罫線の前記移動方向の幅内に含まれる、連続する前記最小読取領域の数を算出し、
算出された前記連続する前記最小読取領域の数が偶数の場合には、
検出された前記ピークとなる2つの前記濃度データを有する最小読取領域の中間を、前記移動方向における前記罫線の位置として検出し、
算出された前記連続する前記最小読取領域の数が奇数の場合には、
検出された前記ピークとなる前記濃度データを有する最小読取領域を、前記移動方向における前記罫線の位置として検出することを特徴とする印刷装置。
【請求項10】
所定方向に沿って複数設けられ、画像を印刷するための画像データに基づいて、前記所定方向と交差する移動方向に移動されつつインクを吐出して媒体にドット列を形成するためのノズルを有する印刷装置に、
特定濃度の画像を印刷するための画像データに基づいて前記ノズルからインクを吐出させて印刷した特定濃度パターンを構成する各ドット列が形成された各列領域における、前記移動方向の中央部分の濃度の読み取り結果に基づいて、各々の前記列領域間の濃度ムラを抑制すべく補正するための補正情報を、取得させ、
前記補正情報に基づいて画像を印刷するための画像データを補正させる機能を実現するためのコンピュータプログラム。
【請求項11】
所定方向に沿って複数設けられ、画像を印刷するための画像データに基づいて、前記所定方向と交差する移動方向に移動されつつインクを吐出して媒体にドット列を形成するためのノズルを用い、特定濃度の画像を印刷するための画像データに基づいて前記ノズルからインクを吐出させて印刷した特定濃度パターンを印刷させるステップと、
前記特定濃度パターンを構成する各ドット列が形成された各列領域における、前記移動方向の中央部分の濃度の読み取り結果に基づいて、各々の前記列領域間の濃度ムラを抑制すべく補正するための補正情報を、取得するステップと、
前記補正情報に基づいて画像を印刷するための画像データを補正するステップと、
を有することを特徴とする印刷方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図18】
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【図23】
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【図24】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2006−305958(P2006−305958A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−133703(P2005−133703)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】