説明

印刷装置のトナーフィード制御方法

【課題】トナーホッパ内のトナーの堆積状況により、トナーの供給量を変化させずに安定してトナー供給を行える、信頼性の高い印刷装置のトナーフィード制御方法を提供する。
【解決手段】現像部7、トナーホッパ4、トナーカセット3、トナーフィードローラ6、トナー残量センサSe、トナーエンプティの報知手段、印刷停止手段、印刷濃度設定手段を備え、トナー残量センサの検出信号ら基づいてトナーホッパから現像部にトナー補給するトナーフィード制御方法で、低濃度印刷モードに設定中で、トナーエンプティに基づいて印刷を停止して、トナーホッパから現像部にトナー補給された場合、トナー補給後から所定時間、トナーフィードローラによる単位時間当たりにフィードするトナーの量を少なく制限することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真装置などの印刷装置に係り、特にそれの現像装置におけるトナーフィード制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図8は従来、特許3587327号公報(特許文献1)として提案された電子写真装置の概略構成図、図9はその電子写真装置の原理ブロック図である。
【0003】
図8に示すように、現像器101内で現像剤102を攪拌羽根103で攪拌し、マグネットローラ104を介して感光体105に形成された静電潜像に前記現像剤102を吸着させる。
【0004】
現像器101の上側にはトナーホッパ106が設けられ、トナーホッパ106の下側出口にはトナーフィードローラ107が配置されている。トナーホッパ106内に一時的に保管されているトナー108はトナーフィードローラ107の回転により前記現像器101内に補給される。また、トナーホッパ106へはトナーカセット116からトナーが補給される。
【0005】
前記現像器101の底部にはトナー濃度センサ109が設けられ、トナー濃度センサ109の出力状態はトナー補給制御手段110が監視しており、トナー濃度センサ109が濃度不足状態を示すと、モータドライバ111を介してモータ112を所定時間回転して、前記トナーフィードローラ107によりトナーホッパ106内のトナー108を前記現像器101に補給する。
【0006】
トナーホッパ106には、その中に保管されているトナーの量がエンプティ状態であることを検出する1つのトナー残量検出手段113が設けられている。
【0007】
このトナー残量検出手段113がトナーエンプティ状態を検出してから次のトナーエンプティ状態を検出するまでの間の前記トナー補給制御手段110によるトナー補給回数が補給回数カウンタ114で計数され、この補給回数カウンタ114の計数値が演算手段115に入力される。
【0008】
これにより演算手段115は、その計数値と、前記トナーエンプティ状態になったときにトナーカセット116からトナーホッパ106へ供給されるトナーの総供給量とにより、一回の補給当たりのトナー補給量を算出し、さらに、その一回の補給当たりのトナー補給量が適正でない場合には、その補給量が設定された所定範囲になるように前記トナーフィードローラ107の回転数及び/あるいは回転時間を変更するようになっている。適性値設定レジスタ117には、従前の適正トナー補給量が設定されている。
【0009】
低濃度印字の場合、トナー濃度の低下を防止する必要がある。そこで、回転数カウンタ118でマグネットローラ104または感光体105の回転数を計測するとともに、その回転数カウンタ118をトナー残量検出手段113がトナーホッパ106内のトナーエンプティ状態を確認したときリセットされるようにしておく。これによって、使用トナー量が少なくて、トナーホッパ106内のトナー量が空あるいは所定値以下になることが無い場合には、前記回転数カウンタ118の計数値は上がりっ放しになる。そのため、前記回転数カウンタ118の計数値が所定値に達すると、強制的に前記トナー補給制御手段110を作動させて、所定量のトナーを補給するようになっている。
【0010】
図8中の符号119は、感光体105に形成された画像の濃度を検出する画像濃度検出センサ、また、図9中の符号120は、電子写真装置である。
【0011】
この電子写真装置は前述のように、現像器101に設けられたトナー濃度センサ109の出力状態に基づいて、トナー補給制御手段110からトナー補給信号を出力して、トナーホッパ106内のトナー108を現像器101に補給するものであって、前記トナーホッパ106に設けられているトナー残量検出手段113は、図8に示しているように、前記補給回数カウンタ114に対して終了指示信号を出力したり、前記回転数カウンタ118に対してリセット信号を出力するためのものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前記特許3587327号公報(特許文献1)に記載されている電子写真装置は、現像器101に設けられたトナー濃度センサ109の出力状態をトナー補給制御手段110が監視しており、そのトナー濃度センサ109が濃度不足状態を示すと、モータドライバ111を介してモータ112を所定時間回転して、トナーフィードローラ107によりトナーホッパ106内のトナー108を現像器101に補給するシステムになっている。
【0013】
そのため、印刷中、特に、高濃度印刷モード中にトナー補給がなされて、印刷中にトナー残量に応じてトナー補給量を変化させてしまった場合、高濃度印刷にも関わらず、トナー残量によりトナーフィード量を制限することにより、印刷濃度が大きく変動する要因となる。つまり、トナーフィードモータによるトナー供給が、制御範囲外となってしまう可能性があり、印刷品質上に問題がある。
【0014】
また、特開2005−024622号公報(特許文献2)には、複数個のセンサをトナーホッパ内に設けた構成が記載されている。しかし、この印刷装置はエア搬送の構成であり、トナーホッパ内のトナー量の堆積状況による重さ等は特に考慮されておらず、さらに、複数個のセンサがあるホッパとは別に現像器の上に分離装置がある構成のため、トナー堆積による供給量変化が生じない。
【0015】
本発明の目的は、トナーホッパ内のトナーの堆積状況により、トナーの供給量を変化させずに安定してトナー供給を行える、印刷品質の高い印刷装置のトナーフィード制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記目的を達成するため、本発明は、
感光体上の静電潜像をトナーとキャリアからなる二成分現像剤で現像する現像部と、
前記トナーを一時的に保管するトナーホッパと、
印刷中でも前記トナーホッパへのトナー補給が可能な例えばトナーカセットなどのトナー補給手段と、
前記トナーホッパ内のトナーを前記現像部へ補給するためのトナーフィードローラと、
前記トナーホッパ内のトナー残量を検出するためにトナーホッパ内の深さ方向の異なる位置に配置された複数個のトナー残量センサと、
前記トナー残量センサの検出結果に基づいて前記トナーホッパ内のトナー残量が少ないことを報知するためのトナーエンプティエラー信号を出力する例えばオペレータパネルなどの報知手段と、
前記トナーエンプティエラー信号の出力に基づいて印刷動作を停止する例えば中央処理装置などの印刷停止手段と、
印刷濃度を設定する例えばオペレータパネルなどの印刷濃度設定手段を備え、
前記トナー残量センサの検出信号ら基づいて前記トナーフィードローラを回転させて、前記トナーホッパから前記現像部にトナー補給を行う印刷装置のトナーフィード制御方法を対象とするものである。
【0017】
そして本発明の第1の手段は、
前記印刷濃度設定手段により印刷濃度が低濃度印刷モードに設定中で、前記トナーエンプティエラー信号の出力に基づいて前記印刷停止手段により印刷動作が停止して、前記トナーフィードローラの回転により前記トナーホッパから前記現像部にトナー補給された場合、トナー補給後から所定時間、前記トナーフィードローラによる単位時間当たりにフィードするトナーの量を、前記所定時間経過後のトナーの量よりも少なく制限する構成になっていることを特徴とするものである。
【0018】
本発明の第2の手段は前記第1の手段において、
使用するトナーの品種を判別するトナー品種判別手段を備え、
前記トナー品種判別手段によって判別されたトナーの品種に基づいて、前記フィードトナー量を制限する割合が決定されることを特徴とするものである。
【0019】
本発明の第3の手段は前記第1または第2の手段において、
前記トナーエンプティエラー信号に基づいて前記印刷動作を停止して、前記トナーホッパから前記現像部にトナー補給して、印刷が再開するまでの放置時間に応じて、さらにフィードするトナーの量を少なく制限する構成になっていることを特徴とするものである。
【0020】
本発明の第4の手段は前記第1または第2の手段において、
前記フィードトナー量を制限する割合が変更可能になっていることを特徴とするものである。
【0021】
本発明の第5の手段は前記第1または第2の手段において、
前記フィードトナー量の制限時間の長さが変更可能になっていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明は前述のような構成になっており、トナーホッパ内のトナーの堆積状況により、トナーの供給量を変化させずに、安定してトナー供給を行える、印刷品質の高い印刷装置のトナーフィード制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に係る電子写真方式の印刷装置の全体構成を示す概略構成図である。
【図2】その印刷装置に用いられている現像装置の全体構成を示す概略構成図である。
【図3】その印刷装置の主な構成を示すブロック図である。
【図4】その印刷装置におけるトナーエンプティエラー前後のトナーホッパ内のトナー残量とトナーフィード量の関係を示す特性図である。
【図5】その印刷装置におけるトナーエンプティエラー前後のトナー残量補給係数の変化を示す特性図である。
【図6】その印刷装置のトナー補給による放置時間と帯電量変化の関係を示す特性図である。
【図7】その印刷装置のトナー補給による放置時間と放置時間補給係数の関係を示す特性図である。
【図8】従来提案された電子写真装置の概略構成図である。
【図9】その電子写真装置の原理ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は後述するように、トナーホッパ内のトナー量検出結果を、現像器内のトナー濃度よりも優先するように制御することを特徴とするものである。
【0025】
次に本発明の実施形態を図面とともに説明する。
図1は本発明の実施形態に係る電子写真方式の印刷装置の全体構成を示す概略構成図、図2はその印刷装置に用いられている現像装置の全体構成を示す概略構成図、図3は印刷装置の主な構成を示すブロック図である。
【0026】
まず、本発明の実施形態に係る印刷装置Pの全体構成を図1とともに説明する。
この電子写真方式の印刷装置Pにおいて、まず、感光体ドラム15に対して帯電器16より電荷が付与され、次に露光装置17より印刷データに基づく露光パターンが照射され、感光体ドラム15に静電潜像が形成される。感光体ドラム15の静電潜像は現像装置1により現像され、感光体ドラム15上にトナー像が形成される。
【0027】
現像剤として、トナーとキャリアからなる二成分現像剤が用いられる。トナー像の形成条件は、トナー付着量センサ18の出力に応じて補正される。前記感光体ドラム15、帯電器16、露光装置17、現像装置1などによって、ウェブWに画像を形成するための印写部が構成されている。
【0028】
前記ウェブWには、通常、連続紙が用いられ、ウェブ搬送部19により転写部に搬送され、転写器20によりウェブW上にトナー像が転写される。ウェブW上のトナー像は、プレヒータ21を通過時に、トナーを構成する合成樹脂のガラス転移温度付近まで加熱された後、ヒータを内蔵したヒートロール22と加圧ローラ23からなる定着器によりウェブWに溶融固着される。
【0029】
印刷装置Pでのウェブ搬送は、上流に位置するウェブ搬送部19が基準となる速度でウェブWを搬送し、下流に位置する定着搬送部24のヒートロール22がバッファ量センサ25の出力に応じて回転制御を行い、基準となる速度に追従するようにヒートロール22と、それに圧着して従動回転する加圧ローラ23により、ウェブW上のトナー像を加熱・加圧定着しながら搬送される。このようにして画像を形成したウェブWは、印刷装置Pから機外に排出される。
【0030】
次に印刷装置Pの現像部7へトナーを補給するトナー補給機構2について、図2及び図3を用い説明する。
図2に示すように、現像部7の直上にトナー補給機構2が設置されている。このトナー補給機構2は、トナーが装填されたトナーカセット3と、そのトナーカセット3から供給されたトナーを一時的に保管するトナーホッパ4と、そのトナーホッパ4内のトナーが湿度等の環境条件により固化するのを防ぐために攪拌動作をするトナーキャリーシャフト5と、前記トナーホッパ4内のトナーを現像部7の攪伴室8に補給するトナーフィードローラ6と、前記トナーホッパ4内のトナー残量を検出するトナーエンプティセンサSe1、Se2、Se3から構成されている。
【0031】
前記トナーカセット3をトナーホッパ4の上部に設置し、トナーカセット3に装填されているトナーをトナーホッパ4へ補給する。さらに、現像部7内のトナー濃度はトナー濃度センサSdにより検出され、センサ情報は図3に示す中央処理装置9に送信される。中央処理装置9は、受信したセンサ情報に基づいて、予め目標トナー濃度毎に、トナー濃度センサSdの出力に応じたトナー補給時間が設定されたトナーフィードテーブル10から、トナー濃度センサSdの出力結果に基づいて、必要なトナー補給時間を選択する。
【0032】
続けて中央処理装置9は、選択されたトナー補給時間の期間、トナーフィードローラ6を回転駆動するトナーフィードモータ11を起動して、トナーフィードローラ6を一定速度で回転させ、一定量のトナーをトナーホッパ4から現像部7の攪伴室8へ補給するシステムになっている。
【0033】
前記トナーホッパ4内にはそれの深さ方向の異なる位置に複数個(本実施形態では3個)のトナーエンプティセンサSe1、Se2、Se3が設置され、トナーホッパ4内のトナー残量を検出している。本実施形態の場合、トナーエンプティセンサSe1がトナーホッパ4内の最も深い位置に配置され、トナーエンプティセンサSe2はトナーホッパ4内の中間位置に配置され、トナーエンプティセンサSe3はトナーホッパ4内の上側位置に配置されている。図3に示すように、各トナーエンプティセンサSe1、Se2、Se3の検出信号は中央処理装置9に入力される。
【0034】
中央処理装置9では前記トナーエンプティセンサSe1、Se2、Se3の検出結果に基づいて、トナーホッパ4内のトナーが無くなる直前に、アラーム出力要請信号を印刷制御装置Cへ出力する。そして印刷制御装置Cからはオペレータ26に対して、トナーホッパ4内のトナー残量が少ないことを報知するトナーエンプティプレアラーム27を出力して、オペレータ26へトナーカセット3によるトナー補給を促す。
【0035】
トナーカセット3は印刷中でもトナーホッパ4へのトナー補給が可能な構成となっている。そのため、印刷中にトナーエンプティプレアラーム27が発生した場合でも、新品のトナーカセット3を装着して、トナーホッパ4へトナーを補給すれば、印刷が停止することなく、トナーエンプティプレアラーム27の出力状態が自動的に解除でき、スループットの低下を防止することができる。
【0036】
このように印刷中にトナー補給されることで、トナーエンプティセンサSe1、Se2、Se3が、補給されたトナーの量に応じて、トナーエンプティセンサ情報を変化し、トナー残量を把握する。また、トナー補給されることで、トナーホッパ4内のトナー重量が重くなり、または密度も高くなり、トナーフィードローラ6の回転量が同じでも、トナーフィードローラ6の単位時間当たりのトナーフィード量が増える。
【0037】
しかし、印刷中にトナーを補給する場合、現像部7による攪拌動作が継続しており、現像剤とトナーの帯電量が高い状態であることで、トナー重量が増加したことによる単位時間当たりのトナーフィード量が増えても、急激に印刷濃度が変化する現象が発生しない。そのため、トナーエンプティプレアラームによるトナー補給前後では、トナーフィード量は変化させる必要がない。
【0038】
同様に、印刷中でトナーエンプティプレアラームが発生していない状態で、トナー補給された場合でも、トナー補給前後では、トナーフィード量は変化させる必要がない。
【0039】
次に、トナーエンプティプレアラーム27が出力された後も、オペレータ26によるトナー補給が実施されない場合について説明する。
【0040】
印刷中に、トナーエンプティプレアラーム27が発生しても、オペレータ26がそれに気付かず、印刷が継続した場合、印刷装置Pはトナーエンプティエラーにより印刷動作を自動的に停止する。
【0041】
中央処理装置9は、印刷停止から、オペレータが印刷装置Pの印刷停止に気付き、トナー補給がされ、再度印刷が開始するまでの時間を計測する。印刷開始時に、コントラスト設定や付着量設定などの印刷濃度情報から、低濃度印刷モードと判断できる場合、トナーフィードローラ6の単位時間当たりのトナーフィード量に対して、補給係数をかけ、トナーフィード量を減らす。
【0042】
次に、その補給係数の算出方法について説明する。
図4にトナーエンプティエラー前後のトナーホッパ4内のトナー残量とトナーフィード量の関係を示す。また、図5にトナーエンプティエラー前後のトナー残量補給係数の変化を示す。
【0043】
図4に示すように、トナーエンプティエラー発生後にトナー補給がされてトナーホッパ4内のトナー残量は増加し(t1)、トナーホッパ4内のトナー重量、または密度が高くなる。そのため、トナー補給後からあるトナーフィード量Fdが、補給されるまでの期間、トナーフィードローラ6のトナーフィード量に対して、図5に示すようなトナー残量補給係数をかけ、補給量を減少させる。トナー残量補給係数は、トナー品種および、トナーホッパ4の形状が同じで有れば、再現性が有り、実験により知ることが可能であることから、予め実験によりトナー残量補給係数を決定しておく。
【0044】
図5に示すように本実施形態の場合、トナー残量補給係数は、トナーエンプティエラー発生前までは基準値(例えばトナー残量補給係数=1)になっており、トナー補給が開始されてから印刷が再開されるまでの間(時間t1〜t2)、トナー残量補給係数は前記基準値よりも低い一定の値となっている。印刷が再開されてから時間t3に至るまでの間(時間t2〜t3)は、トナー残量補給係数は徐々に増加し、時間t3に到達すると基準値に戻る。このような時間tの経過に伴うトナー残量補給係数の変化は、諸種の実験結果に基づいてテーブル化されてメモリに記憶されている。
【0045】
図6にトナー補給による放置時間と帯電量変化の関係を示す。また、図7にトナー補給による放置時間と放置時間補給係数の関係を示す。
【0046】
図6に示すように、トナー補給のために印刷動作が停止し、現像部7による攪拌動作の停止状態が続くことで、一定期間(時間t1〜t2)、トナーの帯電量はカーブDwのように徐々に低下し、この帯電量の低下により、印刷濃度が濃くなる現象が発生する。
【0047】
この現象は、トナー付着量目標が光学濃度1.0 O.D.(反射率10%程度)以下に設定された、低濃度印刷モードを行った場合、特に顕著に現れやすく、問題となっている。
【0048】
そのため、印刷再開時(時間t2)は、トナーフィードローラ6のトナーフィード量に対して、印刷を再開するまでの放置時間に応じた放置時間補給係数をかけ、補給量を減少させる。
【0049】
放置時間補給係数は、図7に示すように、放置時間によって低下する帯電量と類似したカーブdwのように変化させる。
【0050】
印刷再開後は、図6に示すように、印刷による攪拌動作時間に応じて、帯電量はカーブUpのように上昇する。また、放置時間補給係数は図7に示すように、攪拌動作によって上昇する帯電量と類似したカーブupのように変化させる。
【0051】
トナー帯電量の低下傾向および、攪拌動作による上昇傾向は、トナー品種により異なることから、予め実験により、現像部7による攪拌動作の停止期間に応じて、放置時間補給係数を決定して、それをテーブル化しておく。
【0052】
トナーエンプティエラーによってトナー補給がされ、かつ低濃度印刷モードであった場合、前述したように、現像部7内のトナー濃度センサSdのセンサ情報に基づいて、決定されるトナーフィードローラ6による現像部7へのトナーフィード量に対して、トナー残量補給係数と放置時間補給係数から求められる補給量にて、トナーフィード量制御を実施する。
【0053】
また、印刷モードの切り替えが実施されても、各印刷モードに適したトナーフィード制御を実施するため、図4のトナー補給後からあるトナーフィード量Fdが補給されるまでの期間を、トナーフィード量調整モードとして設定する。
【0054】
このトナーフィード量調整モードに設定されたデータは、印刷モードに関係なく、トナーフィードローラ6の動作時間更新契機で、トナーフィードローラ6の動作時間に準じて減算し、減算結果が0以下となった時点で無効とすることで、前記トナーフィード量調整モードの実施期間を知ることができる。そのため、低濃度印刷モードおよび通常濃度印刷モードの切り替えが実施されても、各印刷モードに適したトナー補給制御を実施することが可能となる。
【0055】
前記トナーフィード量調整モードは、トナー品種および、トナーホッパ4の形状が同じであれば再現性が有り、実験により知ることが可能であることから、予め実験によりトナーフィード量調整モードを決定する。
【0056】
また、同品種のトナーでも、動作環境等の外的要因により、トナーの流動性が変わることが考えられる。前記動作環境等の外的要因の代表例としては、例えば動作環境下での温度や湿度の変化がある。そのため、図3に示す印刷制御装置CやオペレータパネルOpなどの外部入力装置から、基準となるトナー残量補給係数と放置時間補給係数および、トナーフィード量調整モードの実施期間を変更可能とすることにより、動作環境等の外的要因による、トナー流動性の影響を受けることなく、安定したトナー補給制御を実施することが可能となる。
【0057】
さらに、トナー品種が異なれば、トナーの流動性や単位体積当りの重量も変わる。さらにまた、放置時間によるトナー帯電量の低下や、攪拌によるトナー帯電量の立ち上がりも変わる。
【0058】
そのため、現像部7に設けられたトナー品種判別手段Sw(図3参照)により、トナー品種情報を入手し、入手したトナー品種に応じて、基準となるトナー残量補給係数と放置時間補給係数および、トナーフィード量調整モードの実施期間を設定とする。これにより、トナー品種の違いによる、トナーの流動性の影響を受けることなく、安定したトナー補給制御を実施することが可能となる。
【符号の説明】
【0059】
1・・現像装置、2・・トナー補給機構、3・・トナーカセット、4・・トナーホッパ、5・・トナーキャリーシャフト、6・・トナーフィードローラ、7・・現像部、8・・攪伴室、9・・中央処理装置、10・・トナーフィードテーブル、11・・トナーフィードモータ、15・・感光体ドラム、16・・帯電器、17・・・露光装置、18・・トナー付着量センサ、19・・ウェブ搬送部、20・・転写器、21・・プレヒータ、22・・ヒートロール、23・・加圧ローラ、24・・定着搬送部、25・・バッファ量センサ、26・・オペレータ、27・・トナーエンプティプレアラーム、Sd・・トナー濃度センサ、Se1,Se2,Se3・・トナーエンプティセンサ、M・・不揮発性メモリ、Sw・・トナー品種判別手段、Op・・オペレータパネル、P・・印刷装置、C・・印刷制御装置。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0060】
【特許文献1】特許第3587327号公報
【特許文献2】特開2005−024622号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体上の静電潜像をトナーとキャリアからなる二成分現像剤で現像する現像部と、
前記トナーを一時的に保管するトナーホッパと、
印刷中でも前記トナーホッパへのトナー補給が可能なトナー補給手段と、
前記トナーホッパ内のトナーを前記現像部へ補給するためのトナーフィードローラと、
前記トナーホッパ内のトナー残量を検出するためにトナーホッパ内の深さ方向の異なる位置に配置された複数個のトナー残量センサと、
前記トナー残量センサの検出結果に基づいて前記トナーホッパ内のトナー残量が少ないことを報知するためのトナーエンプティエラー信号を出力する報知手段と、
前記トナーエンプティエラー信号の出力に基づいて印刷動作を停止する印刷停止手段と、
印刷濃度を設定する印刷濃度設定手段を備え、
前記トナー残量センサの検出信号ら基づいて前記トナーフィードローラを回転させて、前記トナーホッパから前記現像部にトナー補給を行う印刷装置のトナーフィード制御方法において、
前記印刷濃度設定手段により印刷濃度が低濃度印刷モードに設定中で、前記トナーエンプティエラー信号の出力に基づいて前記印刷停止手段により印刷動作が停止して、前記トナーフィードローラの回転により前記トナーホッパから前記現像部にトナー補給された場合、トナー補給後から所定時間、前記トナーフィードローラによる単位時間当たりにフィードするトナーの量を、前記所定時間経過後のトナーの量よりも少なく制限する構成になっていることを特徴とする印刷装置のトナーフィード制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置のトナーフィード制御方法において、
使用するトナーの品種を判別するトナー品種判別手段を備え、
前記トナー品種判別手段によって判別されたトナーの品種に基づいて、前記フィードトナー量を制限する割合が決定されることを特徴とする印刷装置のトナーフィード制御方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の印刷装置のトナーフィード制御方法において、
前記トナーエンプティエラー信号に基づいて前記印刷動作を停止して、前記トナーホッパから前記現像部にトナー補給して、印刷が再開するまでの放置時間に応じて、さらにフィードするトナーの量を少なく制限する構成になっていることを特徴とする印刷装置のトナーフィード制御方法。
【請求項4】
請求項1または2に記載の印刷装置のトナーフィード制御方法において、
前記フィードトナー量を制限する割合が変更可能になっていることを特徴とする印刷装置のトナーフィード制御方法。
【請求項5】
請求項1または2に記載の印刷装置のトナーフィード制御方法において、
前記フィードトナー量の制限時間の長さが変更可能になっていることを特徴とする印刷装置のトナーフィード制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−181335(P2012−181335A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−43919(P2011−43919)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】