説明

印刷装置及び印刷物の製造方法

【課題】ワークと印刷パターンとのずれを容易に修正することができ、印刷物の生産効率の良い印刷装置及び印刷物の製造方法を提供する。
【解決手段】回転テーブル(22)の回転軸回りに定められた第1乃至第3位置にワーク(W)を順次移動する回転テーブル部(20)と、第1位置にて回転テーブルにワークを載置するワーク載置部(10)と、第2位置にて回転テーブル上のワークの位置を調整可能なワーク位置調整部(30)と、第3位置にてワークにスクリーン印刷を行うスクリーン印刷部(40)と、ワークに印刷されたパターンを観察する観察手段(70)と、観察された印刷パターンと予め記憶された基準パターンとを比較し、両パターンのずれが減少するようにワーク位置調整部(30)を動作させる制御部(60)と
を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印刷技術に関し、特に、回転テーブル(あるいは移動テーブル)と印刷装置とを組み合わせて、電子機器などの精密なパターン形成を効率的に行えるようにした印刷装置、印刷物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、スクリーン印刷においては、印刷すべきパターンを形成したフォトマスク原版(ガラス原版)を作成し、このフォトマスク原版からスクリーン版を作成する。また、1つの印刷対象体たるワークに対して複数種類の印刷パターンが重ね合わされる。精度の良い印刷を行うためには、ワークとスクリーン版との位置合せが重要である。例えば、特開平6−226958号公報には、カメラを用いて印刷パターンのずれを検出し、ワークを載置するXYθテーブル(ワークをX軸方向及びY軸方向に移動し、Z軸回りに回転できるテーブル)のパラメータを調整して印刷のずれを相殺するようにした印刷機の自動位置合せ装置の例が開示されている。また、特開平8−72221号公報にはスクリーン版の寸法を測定する機能を備えた印刷機によってパターンのずれを測定する例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−226958号公報
【特許文献2】特開平8−72221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、スクリーン印刷ではワークとスクリーン版との位置合せが重要であるが、ワーク上の印刷パターンがスクリーン版ののびに起因して徐々にずれる傾向がある。
【0005】
スクリーン印刷はスクリーン版に形成されたパターン(微小穴)からスキージによってインクを掻き出すことによってワークW上にパターンを転写する。スキージによってスクリーン版をこすることによってスクリーン版に微小なのびが発生する場合がある。例えば、ステンレス・メッシュのスクリーン版の場合、5〜15μm程度ののびが発生する傾向がある。この程度ののびは一般印刷(紙葉類印刷)では問題にはならないが、電子部品、表示パネル等の部材パターンをスクリーン印刷で形成する場合にはパターンが微細であるので上記の程度であっても不具合である。
【0006】
印刷途中でこの印刷パターンのずれを修正することは容易でなく、また、印刷を途中で中断することになるので印刷物の生産効率を低下させる。
【0007】
よって、本願は、ワークと印刷パターンとのずれを容易に修正することができ、印刷物の生産効率の良い印刷装置を提供することを目的とする。
【0008】
また、このために特に好適なワークを搬送する回転テーブル装置と位置調整装置とを提供することを目的とする。
【0009】
また、本願は、ワークと印刷パターンとのずれを容易に修正することができ、印刷物の生産効率の良い印刷物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明の印刷装置の態様は、回転テーブルを回転軸回りに定められた第1乃至第3位置に移動する回転テーブル部と、上記第1位置にて上記回転テーブル上にワークを載置するワーク載置部と、上記第2位置にて上記回転テーブル上の上記ワークの位置を調整可能なワーク位置調整部と、上記第3位置にて上記回転テーブル上の上記ワークにスクリーン印刷を行うスクリーン印刷部と、上記ワークに印刷されたパターンを観察する観察手段と、上記観察された印刷パターンと予め記憶された基準パターンとを比較し、両パターンのずれが減少するように前記ワーク位置調整部を動作させる制御部と、を備える。ここで、印刷パターンと予め記憶された基準パターンの比較には、パターン(図形)同士の比較のみならずパターンデータの比較をも含むものであり、特定の手法に限定されるものではない。
【0011】
かかる構成とすることによって、スクリーン版ののびによる印刷パターンのずれを回転テーブル上のワークの位置調整によって修正することができ、印刷の中断やスクリーン版の印刷機構への再セット(再度の位置合せ)などをする必要がないので具合がよい。
【0012】
更に、上記回転テーブルの回転軸回りに定められた第4位置を含み、上記第4位置にて上記ワークを上記回転デーブルの外に排出するワーク排出部を備える、ことが望ましい。それにより、印刷済みのワークを自動的に次工程等に送ることができ、印刷システムが自動化される。
【0013】
上記制御手段は、複数回の試し刷り印刷後に上記ワークに印刷されたパターンの基準位置からのずれに基づいて上記ワーク位置調整部を制御する、ことが望ましい。試し刷りによってずれを観察し、このずれ分でワーク位置を調整することによってワークと印刷パターンとを整合させることができる。
【0014】
上記試し刷り印刷の回数は、上記スクリーン印刷のスクリーン版ののびが収まる印刷回数である、ことが望ましい。試し刷りによってずれを安定させ、このずれ分でワーク位置を調整することによってワークと印刷パターンとを整合させることができる。
【0015】
上記回転テーブルは、上記ワークが載置されるべき位置に該ワークよりも小さい開口の貫通孔を有し、上記ワーク位置調整部は上記回転テーブルの下方に配置され、上記貫通孔を介して上記ワークに接触して移動可能な位置調整ピンを有する、ことが望ましい。それによって、回転テーブル上のワークの位置を調整することができる。ワーク位置調整部は、上記位置調整ピンを、例えば、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動させ、また、Z軸回りに回転させる機能を備える。ワーク位置調整部は、連続的に供給される各ワークの位置を逐次修正する。
【0016】
また、本発明の印刷物の製造方法の態様は、回転テーブルを用いて印刷部にワークを連続的に供給するようにした印刷物の製造方法において、上記回転テーブルの第1回転位置にワークを載置するワーク載置工程と、上記回転テーブルの第2回転位置にて上記ワークの載置位置を必要により調整するワーク位置調整工程と、上記回転テーブルの第3回転位置にて上記ワークにスクリーン印刷を行うスクリーン印刷工程と、を含み、上記ワーク位置調整工程が、複数回の試し刷り印刷後に上記ワークに印刷されたパターンの基準位置からのずれに基づいて上記ワークの位置を調整するものである。
【0017】
かかる構成とすることによって、スクリーン版ののびによる印刷パターンのずれを連続的に供給される各ワークの位置調整によって逐次修正することができ、印刷の中断やスクリーン版の印刷機構への再セット(再度の位置合せ)などをする必要がないので具合がよい。
【0018】
更に、上記スクリーン印刷工程の後に、上記回転テーブルの第4位置にて上記ワークを上記回転デーブルの外に排出するワーク排出工程を含む、ことが望ましい。それにより、印刷済みのワークを自動的に次工程等に送ることができ、印刷システムが自動化される。
【0019】
上記試し刷り印刷の回数が、上記スクリーン印刷のスクリーン版ののびが収まる印刷回数である、ことが望ましい。それにより、ずれを安定させ、このずれ分でワーク位置を調整することによってワークと印刷パターンとを整合させることができる。
【0020】
上記ワークの位置調整が、上記回転テーブルの貫通孔を介して上記ワークに下方から接触する位置調整ピンによって行われる、ことが望ましい。
【0021】
なお、回転テーブルは円形に限られるものではなく、多角形やプロセスに適当な形状のものであればよい。
【0022】
スクリーン印刷部は、回転テーブルに載置されたワークにパターンを転写するときに、その印刷機構を回転テーブル上(ワーク上)に移動させる。それにより、印刷機構が回転テーブルによるワークの搬送を妨げない。例えば、印刷機構は水平方向(回転テーブルの径方向)移動や垂直方向(回転テーブルの回転軸の延在方向)に移動する。また、開閉ドアのように、印刷機構の一端側を回転軸とし、他端側を上下動させる(円弧状軌跡)ものであってもよい。
【0023】
また、本発明の回転テーブル装置は、ワークを載置して周方向に設定された複数の作業位置に搬送する回転テーブルと、所定の作業位置において供給される指令信号に応じて上記ワークの載置位置を調整する位置調整手段と、を備え、上記回転テーブルは、上記ワークを載置すべき位置にテーブルの厚さ方向に貫通する貫通孔を有し、上記位置調整手段は、上記回転テーブルの下部に配置されて上記貫通孔を介して上記ワークの底面に接する位置調整ピンと、上記指令信号に応じて上記位置調整ピンの位置をX,Y,Z軸方向及びZ軸回りに移動可能な駆動機構と、備える。
【0024】
かかる構成によれば、回転テーブルでワークを連続的に搬送し、回転テーブル上を移動する各ワークに各作業位置で同時に複数の作業を行うことが出来、能率が上がる。例えば、ワークに印刷処理などを施す場合に、その前までの作業段階でワークの位置が調整されるのでワーク上の予定位置に正確に印刷パターンを形成することが可能となる。また、印刷途中で印刷パターンにずれが生じた場合、版側の調整ではなくワークの位置・向きを調整することによって対応するので一連の印刷処理を中断せずに済み、具合がよい。
【0025】
上記回転テーブルは、第1乃至第3の作業位置に停止し、第1の位置において上記ワークが載置され、第2の位置において上記位置調整手段によって上記ワークの位置調整が行われ、第3の位置において上記ワークに予め定められた処理が施される、ことが望ましい。
【0026】
かかる構成とすることによって、ワークに対する作業(載置、位置合せ、処理)を同時並行的に行うことが可能となる。
【0027】
上記回転テーブルは上記ワークを載置すべき位置に上記貫通孔を少なくとも3つ有し、上記位置調整ピンは上記貫通孔に対応して複数設けられ、上記駆動機構は、上記複数の位置調整ピンを同時に駆動する、ことが望ましい。それにより、複数の位置調整ピンの上にワークを(落下しないように)のせて移動し、ワークの位置・向きなどを調整することが出来て具合がよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の全体構成を説明する説明図である。
【図2】回転テーブル部を説明する説明図である。
【図3】回転テーブル部の第1位置を説明する説明図である。
【図4】回転テーブル部の第2位置への移動を説明する説明図である。
【図5】回転テーブル部の第2位置における処理を説明する説明図である。
【図6】回転テーブル部の第3位置への移動を説明する説明図である。
【図7】回転テーブル部の第3位置における処理を説明する説明図である。
【図8】回転テーブル部の第4位置への移動を説明する説明図である。
【図9】回転テーブル部の第4位置における処理を説明する説明図である。
【図10】ワーク位置調整部(下降状態)を説明する説明図である。
【図11】ワーク位置調整部(上昇状態)を説明する説明図である。
【図12】試し刷り印刷を説明するフローチャートである。
【図13】本印刷を説明するフローチャートである。
【図14】印刷パターンのずれの例を説明する説明図である。
【図15】印刷パターンのずれの検出・修正を説明する説明図である。
【図16】他の実施例(印刷機構昇降タイプ)を説明する説明図である。
【図17】他の実施例(印刷機構開閉タイプ)を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の実施態様においては、印刷の対象となるワークを回転テーブルによって連続的に搬送する。この回転テーブル上の第1乃至第4位置(複数の位置)において、ワーク載置(ワーク位置調整)、アライメント調整(ワーク位置微調整)、印刷(スクリーン印刷)、ワーク排出がそれぞれ行われる。これ等の各処理が略同時並行的に行われることにより、全体の印刷処理時間が各処理工程を直列的に行う場合に比べて短縮される。
【0030】
また、スクリーン版ののびなどによる印刷パターンの固定的な微小なずれをワークの位置調整(アライメント調整)によって修正することができ、ワークの位置が修正された状態で印刷部に供給されるので印刷時間が短縮される。太陽電池、画像表示パネル、電子部品などの高精度を必要とする印刷の製造効率を向上することができる。
【0031】
また、実施形態のスクリーン印刷部は、回転テーブルに載置されたワークにパターンを転写するときに、その印刷機構を回転テーブル上(ワーク上)に移動させている。例えば、印刷機構は水平方向(回転テーブルの径方向)移動や上下方向(回転テーブルの回転軸の延在方向)に移動する。また、開閉ドアのように、印刷機構の一端側を回転軸とし、他端側を上下動させる開閉動(円弧状軌跡)によって移動する。それにより、印刷機構が回転テーブルによるワークの搬送を妨げないようになされている。
【0032】
また、実施形態の回転テーブル装置は、ワークを載置して周方向に設定された複数の作業位置に搬送する回転テーブルと、所定の作業位置において供給される指令信号に応じてワークの載置位置を調整する位置調整手段と、を備える。回転テーブルは、ワークを載置すべき位置にテーブルの厚さ方向に貫通する貫通孔を有し、位置調整手段は、回転テーブルの下部に配置されて貫通孔を介してワークの底面に接する位置調整ピンと、指令信号に応じて位置調整ピンの位置をX,Y,Z軸方向及びZ軸回りθ(三軸方向一軸回り)に移動可能な駆動機構と、備える。
【0033】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施例に係る印刷装置(印刷システム)の概略を説明する示す説明図(側面図)である。図2乃至図9は、印刷装置のワークWの流れを回転テーブルの回転軸回りの各停止位置において示している。各図において対応する部分には同一符号をしている。
【0034】
図1及び図2に示すように、印刷装置(印刷システム)は、大別して、ワーク載置部10、回転テーブル部20、ワーク位置調整部30、スクリーン印刷部40、ワーク排出部50、制御部60及び検出部70等によって構成されている。ワーク載置部10、ワーク位置調整部30、スクリーン印刷部40及びワーク排出部50は回転テーブル部20の回りに配置されている。
【0035】
制御部60は、コントローラ61、コントローラ61に接続された入力装置62、ネットワーク(LAN)等によって構成される。コントローラ61は、図示しない、CPU、ROM、RAM、入力インタフェース、出力インタフェース、ディスク記憶装置、外部通信インタフェース、LAN装置等によって構成されている。入力装置62は、図示しない、情報を表示するディスプレイ、キーボード、ポインティングデバイス(マウス)、カードキー、プリンタなどによって構成される。このようなコントローラ61や入力装置62は市販されているもので構成することができる。
【0036】
コントローラ61は、制御プログラムに従って印刷装置(印刷システム)の各部を制御する。また、各部に配置されたカメラによって画像データを入手し、ワーク位置、ワーク状態、印刷パターン等を観察して機構制御やデータ処理を行う。
【0037】
検出部70は、例えば、観察手段としての複数のカメラ71乃至75等(図示しないもの、例えば、ワークWに印刷後の印刷パターン観察するカメラを含む)によって構成される。カメラ71はワーク載置部10においてベルトコンベア上のワークWの位置を観察してロボットアームの制御に使用される。カメラ72は、回転テーブル22のワークWが載置されるべき基準位置及びワークWの状態を観察する。その画像情報は、ロボットアームのワークWの搬送・載置位置制御等に使用され、ワークWの所定の載置位置精度が保たれる。カメラ73、74はアライメント調整位置におけるワークの状態を観察する。カメラ75は回転テーブル22の印刷位置を観察する。その画像情報はワークWとスクリーン版の位置合せに使用される。具体的には、ワークW上のアライメントマークやワークWの外形を観察して画像を保持し、次にワークWの上に重なるスクリーン版のアライメントマーク等の画像を観察してスライド移動する印刷機構42の位置合せを行う。また、図示しないが、ワーク排出部50にもロボットアームの制御用にカメラが使用される。なお、所要の印刷システムの安定性、精度、信頼性等が得られていれば、必ずしも全て(あるいは一部)のカメラは必要ではない。
【0038】
ワーク載置部10は搬送装置12及び搬送ロボット14を含んでいる。搬送装置12はベルトコンベア等によって構成され、印刷システムの外部にあるトレイやカセットなどから取り出された、あるいは前工程から送られてきたワークWを回転テーブル部20の外周部の所定位置、例えば、回転テーブル22の回転軸の0度の位置(図2参照)に搬送する。
【0039】
ワークWは、所定の印刷を施すべき対象体であり、例えば、太陽電池のウエハ、液晶表示パネル、有機EL表示パネル、電気泳動表示パネル等の電子装置部材が該当するが、これに限定されるものではない。印刷はワークW上に配線、端子、半田パターン等を形成するペースト状のインク材料を印刷スクリーンのパターンを介して付与することによって行われる。
【0040】
搬送ロボット14は、例えば、移動するアームの先端にバキュームの吸引口を備えており、ワークWを吸着して搬送装置12から回転テーブル22上の所定位置に搬送する。
【0041】
実施例では、図2に示すように、ワークWは2列の集合W(A1,B1,A2,B2,A3,B3,…)で表され、前工程からベルトコンベアで2つずつ供給される。図2にワークWが載置(配置)されるべき回転テーブル22上の位置が2点鎖線の四角形で示されている。ワークWの位置、状態は、カメラ71及び72によって観察されている。この画像情報は制御部60のコントローラ61に送られる。
【0042】
図3に示すように、回転テーブル22の0度の回転位置(作業位置)において、搬送ロボット14は後述のコントローラ61によって制御されて、ワークW(A1,B1)を回転テーブル22上の予めカメラで把握した基準位置に合致するように載置する。
【0043】
回転テーブル部20は、図示しない、パルスモータ、減速機構、バックラッシュ除去機構、ワークを吸着するバキューム機構、位置検出センサなどの精密な機構を備え、コントローラ61によって回転テーブル22の回転量(回転角度)、停止位置等が正確に制御され、回転軸回りに任意の回転角度位置で停止可能である。実施例では、本印刷モードでは回転軸回りの0、90、180、270度の4つの位置(90度間隔)で停止するようになされている。これ等の位置は第1乃至第4の作業位置となっている。
【0044】
尤も、回転停止位置はこれ等の停止位置(回転角度)に限定されるものではない。例えば、60度間隔、や120度間隔、不揃いな間隔であっても良い。また、回転を逆転させても良い。例えば、試し刷り等の場合には、印刷後に回転テーブル22を任意回転角度に制御して所定のカメラ位置にワークWを移動してカメラで印刷状態を検査することができる。そのようにすれば高価な検査カメラの数を減らすことができる利点がある。
【0045】
ワークWは図示しない保持手段としてのバキューム機構によって回転テーブル22上に吸着され、回転テーブル22の回転(ワークWの移動・搬送)中や印刷時にワークWが移動しないようになされている。
【0046】
図4に示すように、ワークW(A1,B1)は回転テーブル22の移動によって回転軸の時計回り方向90度の位置に搬送される。回転テーブル22の90度回転位置にはワーク位置調整部30が配置されている。ワーク位置調整部30は、回転テーブル22上の2つのワークW(A1,B1)をそれぞれX方向、Y方向、Z方向に移動し、また、ワークWを回転(回転角度θ)することにより、ワークW(A1,B1)の各位置を(微)調整する機能を有する。後述のように、位置調整は必要により行われる。例えば、スクリーン版ののびの発生に対応して行われる。
【0047】
図10は、ワーク位置調整部30の構成例を示している。図10(A)は、回転テーブル22の上方からワーク位置を見た状態を示しており、2つのワークWを2点鎖線で示している。ワークWの上にはカメラ73、74が配置されている(図1参照)。
【0048】
図10(B)は、ワーク位置調整部30を側面から見た状態を概略的に示しており、回転テーブル22が断面図で示されている。この例では、ワーク位置調整部30は回転テーブル22の下側の回転テーブル部20のの図示しないフレームに設けられている。
【0049】
図10(B)に示すように、ワーク位置調整部30は、Z軸モータ31、ねじ型の昇降機構32によって台33を昇降するZ軸方向移動機構を備えている。台33には、X軸モータ35、ねじ型の移動機構34等からなるX軸方向移動機構が2組設けられている。X軸方向の移動機構34にはY軸モータ36及びねじ型の移動機構37等からなるY軸方向移動機構が設けられている。移動機構37には、回転可能な台39と台39をZ軸回りに回転させるθモータ38等からなるθ回転機構が設けられている。台39には、上方に延在する4つの位置調整ピン301が設けられている。位置調整ピン301の配置は回転テーブル22の4つの貫通孔24の中心位置に対応している。ワーク位置調整部30はコントローラ61によって制御される。
【0050】
なお、貫通孔24及び位置調整ピン301の数及び配置は実施例のものに限定されない。例えば、ワークWの載置位置に貫通孔24及び位置調整ピン301が三角形状に3個配置されていればワークWを落下させずに支持することが出来る。また、位置調整ピン301の形状(例えば、大径)やメカニズムに工夫が為されていれば(例えば、ピン先端部でのワーク吸着メカニズム等)、貫通孔24及び位置調整ピン301がそれぞれ1個であってもよい。また、実施例では、位置調整ピン301はスクリーンののびによる印刷パターンのずれ修正の為に使用されるが、ずれは小さいため(ミクロンオーダー)、貫通孔24の開口形状はワークWの底面(下部)形状よりも、十分に小さいものとなっている。貫通孔24の開口形状は実施例のもに限られず、ワークWの大きさや位置調整の目的に応じて適宜に設定される。
【0051】
図11は、ワーク位置調整部30の動作例を示している。Z軸方向移動機構は、コントローラ61から供給される駆動信号によって台33を上昇させる。それによって位置調整ピン301が上昇し、停止している回転テーブル22の貫通孔24を抜けてワークWの底部に接触し、ワークWを回転テーブル22の上面から予め定められた高さまで持ち上げる。コントローラ61は、X軸方向移動機構、Y軸方向移動機構、θ回転機構等を制御してワークWを移動し、ワークWの回転テーブル22上の位置(X,Y,θ)を調整する。調整後はZ軸方向移動機構を動作させて台33を下降し、ワークWを回転テーブル上に載置する。
【0052】
後述するように、コントローラ61はワークWに形成される印刷パターンの基準位置からのずれを解消するために、ずれ量に対応したワークWの位置調整を行う。例えば、スクリーン版ののびに起因する印刷位置のずれ量はミクロン(μm)オーダーなので貫通孔24内の位置調整ピン301の移動量で十分に足りる。
【0053】
なお、図5に示すように、ワーク載置部10は、ワーク位置調整部30のワークW(A1,B1)の位置調整と同時並行的に次のワークW(A2,B2)を回転テーブルの所定位置に載置する。
【0054】
図6に示すように、ワークWの位置調整後、回転テーブル22は90度回転し、ワークW(A1,B1)を回転テーブル22の回転軸回りの180度の位置に搬送する。180度の位置にはスクリーン印刷部40が配置されている。スクリーン印刷部40は回転テーブル22によって印刷位置に搬送されたワークW(A1,B1)に対して所定のパターンを転写する。この実施例では、スクリーン印刷部40は同時に2つのワークに対して印刷を行うことができる印刷機構42を備えている。スクリーン印刷部40はコントローラ61によって制御されている。
【0055】
図7に示すように、回転テーブル22によって移動したワークWが所定位置に停止すると、2つのスクリーン版を含む印刷機構42が回転テーブル22のワークW(A1,B1)上に移動する。コントローラ61がカメラ75で先に確認したワークWの基準位置とスクリーン版の基準位置との合致を確認すると、スキージを移動して印刷を行う。
【0056】
なお、この印刷工程と同時並行的に、ワーク載置部10においてワークW(A3,B3)の回転テーブル22への載置、ワーク位置調整部30においてワークW(A2,B2)の位置調整が(必要により)行われる。
【0057】
図8に示すように、ワークWの印刷終了後、回転テーブル22は90度回転し、ワークW(A1,B1)を回転テーブル22の回転軸回りの270度の位置(第4位置)に搬送する。270度の位置にはワーク排出部50が配置されている。ワーク排出部50は、例えば、図示しない、次工程に繋がるベルトコンベアと、ロボットアームと、カメラ等を備えており、コントローラ61によって制御される。この位置(例えば、回転テーブル22のワークW上)に配置されたカメラによってワークWに印刷されたパターンを観察し、画像データを得ることが出来る。画像データをコントローラ61に送ることにより、処理(例えば、印刷パターンのずれ調整)の自動化を図ることができる。なお、ワークWに印刷されたパターンの観察は、後続工程やオフラインでも行うことが出来る。
【0058】
図9に示されるように、ワークWはロボットアームによって回転テーブル22上からベルトコンベアに運ばれ、次工程に搬送される。次工程は、例えば、インクを乾燥・焼成する工程等であるが、これに限定されるものではない。
【0059】
なお、このワーク排出工程と同時並行的に、ワーク載置部10においてワークW(A4,B4)の回転テーブル22への載置、ワーク位置調整部30においてワークW(A3,B3)の位置調整(必要により)、印刷部40においてワークW(A2,B2)への印刷が行われる。
【0060】
以下、回転テーブルの移動に同期してワーク載置、ワークアライメント調整、スクリーン印刷、ワーク排出が連続的に行われて所要数のワーク印刷物が製造される。
【0061】
(印刷物の製造方法)
図12及び図13は、実施例の印刷装置(印刷システム)に好適な印刷プロセスを説明するフローチャートである。好ましい実施例では、図12に示すように、試し刷り印刷(疑似印刷)によってスクリーン版ののびを収束(安定)させ、収束状態におけるのび(ずれ)を測定する。そして、本印刷では、図13に示すように、計測したずれに基づいて各ワークWの位置をスクリーン版のパターンに対して微調整し、パターンずれを相殺して所要数のワークWの印刷を行う。
【0062】
(試し刷り印刷)
スクリーン印刷はスクリーン版に形成されたパターン(微小穴)からスキージによってインクを掻き出すことによってワークW上にパターンを転写する。スキージによるこすれによってスクリーン版に微小なのび、例えば、5〜15μm程度ののびが発生する場合がある。そして、こののびはある程度の数を印刷すると収束する(伸びが止まる)傾向がある。この程度ののびは一般印刷では特に問題にはならないが、電子部品、表示パネル等の構造物の微細パターンを印刷で形成する場合にはパターン寸法とずれ量が近接するので具合が悪い。
【0063】
図14は、スクリーン版ののびによるパターンのずれを説明する説明図であり、同図において実線はスクリーン版の原パターンの例、点線はのびたスクリーン版によりワークWに印刷(転写)されたパターンの例を示している。なお、図示の例では、ずれ・歪みは誇張して描かれており、最大で15μm程度のずれである。
【0064】
転写パターンのびに対しては、予めスクリーン版ののびの分を考慮して原盤(スクリーン版のパターン)を作成することで修正可能であるが、転写パターンの傾斜(ミクロンオーダー)については、修正が容易でない。実施例では、この転写パターンの微小な傾斜の修正をワーク位置調整部30による各ワーク位置の微小な調整機能によって行っている。
【0065】
(1) 試し刷り工程
まず、図12に示すように、疑似印刷(試し刷り)によってスクリーン版のエージングを行う。入力装置62からコントローラ61に疑似印刷を指令すると、コントローラ61はワークW(又は試し刷り用のワーク)を回転テーブル22の基準位置に載置し、セットされたスクリーン版により印刷機構42で所定回数の試し刷りを行う。この回数は、例えば、コントローラ61が入力装置62から入力されたスクリーンの種類(番号)と予めスクリーンの種類(スクリーンの材質、パターン等による分類)毎に実験的に求められているのびのデータベース(スクリーンの種類毎ののびが収束する印刷回数のデータ)を参照し、試し刷りの印刷回数を設定することによって行われる。データベースはコントローラ61内の記憶装置に保持される(ステップS12)。
【0066】
(2) ずれの測定工程
次に、コントローラ61はワークW上に印刷されたパターンのずれを測定する(S14)。このずれは、例えば、ワークWのアライメントマーク(例えば、ワークW上の位置合せの目印やワークWの特定の形状部分等)と印刷されたパターンとの対比によって行うことができる。対比は、例えば、既述した回転テーブル22の第4位置のカメラによって撮影された画像データに基づいて行われる。なお、このカメラに限定されるものではない。
【0067】
図15は、ずれの測定例を説明する説明図であり、同図(A)は、ワークWに正常に印刷された例を示している。
【0068】
同図(B)は、正常に印刷された場合には、ワークWのセンターO1とパターンのセンターO2が一致し、パターンに傾きがないことを示す。例えば、ワークWのセンターO1の位置O1(x,y)は、四角形のワークWの対向する頂点(切り欠き部分)P1とP3とを結ぶ線分P13と対向する頂点P2とP4とを結ぶ線分P24との交差点として求められる。同様に、印刷パターンのセンターO2の位置O2(x,y)は、印刷パターンの特徴点Q1とQ3とを結ぶ線分Q13と特徴点Q2とQ4とを結ぶ線分Q24との交差点として求められる。また、線分P24と線分Q24とがなす角度Q4・O1・P4は角度θとして求められる。
【0069】
図15(C)は、ワークWへの印刷パターンにずれがある場合を示している。画像データより、ワークWのセンターO1の位置はO1(x,y)であるのに対して印刷パターンのセンターO2の位置はO2(x+Δx,y+Δy)であり、また、線分P24と線分Q24とがなす角度は角度(θ+Δθ)となっている。ワークWと印刷パターンとのずれは、Δx,Δy,Δθとなる(S14)。
【0070】
(3) ずれの収束判別工程
試し刷りを繰り返し、前回の試し刷りのずれ(Δxn,Δyn,Δθn)と、今回の試し刷りのずれ(Δxn+1,Δyn+1,Δθn+1)とを比較し、ずれが収束したか(差分が予め定められた値以下となったか)を判別する(S16)。
【0071】
ずれが収束しない場合には(S16:NO)、ステップS12〜S16を繰り返して試し刷りを繰り返す。ずれが収束した場合には(S16:YES)、スクリーン版ののびが収まったと判断してスクリーン版のエージングを終了し、本印刷に移行する(S18)。ここで測定されたずれのパラメータΔx,Δy,Δθはコントローラ61内の記憶部に記憶され、本印刷において位置ずれの修正に利用される。既述したワーク位置調整部30において、ワークWの位置をΔx,Δy,Δθで(微)調整することによって印刷パターンとワークWとのずれが解消される。
【0072】
なお、上述のようにデータベースを参照してある程度の数(経験値、実験値)を印刷してからずれ測定を行う方がスクリーン版のエージング時間をエージング工程全体として短縮でき、効率的であるが、試し刷りの各回毎にずれの測定を行ってずれの収束を判別しても良い。このようにすると、相対的に作業時間がかかるが、試し刷り回数を減らせる場合がある。
【0073】
(本印刷)
次に、本印刷について説明する。図13は、本印刷(量産印刷)を説明するフローチャートである。上述したように、試し刷り印刷によってワークWと印刷パターンとのずれΔx,Δy,Δθが計測されると、本印刷に移行する(S20)。なお、回転テーブル22によるワークWの搬送等は図3乃至図9を参照して説明済みであるので、該当図を示して説明を簡略にする。
【0074】
(1) ワーク導入(載置)工程
まず、コントローラ61は、ワーク導入工程を行う(S22、図3)。コントローラ61はワーク載置部10に指令信号を供給してベルトコンベア12から搬送ロボット14のロボットアームによってワークWを回転テーブルの第1位置の基準位置に載置する。実施例では、第1位置は回転テーブル22の回転軸の0度位置である。
【0075】
(2) ワーク移動工程
コントローラ61は、回転テーブル部20に指令信号を供給して回転テーブル22を所定角度回転させ、ワークWを第2位置(例えば、90度位置)に移動し、ワークWを位置調整部30の基準位置に搬送する(S24、図4)。
【0076】
(3) ワーク位置(アライメント)調整工程
コントローラ61はワーク位置調整部30に指令信号を送り、回転テーブル22の基準位置に載置されているワークWを基準状態の位置から、印刷後パターンのずれ量の分だけΔx,Δy,Δθで位置を(微)調整する(S26、図5)。
【0077】
(4) ワーク移動工程
コントローラ61は回転テーブル22を所定角度回転してワークWを第3位置(例えば、180度位置)に移動し、ワークWを印刷ステージに移動する(S28、図6)。
【0078】
(5) ワーク印刷工程
コントローラ61は印刷部40に指令信号を送り、ワークWに印刷を行わせる。既述の試し刷りによってエージングされたスクリーン版がセットされた印刷機構42が回転テーブル22の所定位置に移動し、ワークW上にオーバーラップする。ワークWは前工程で位置修正されており、スキージを移動させてスクリーン版のパターンをワークW上に転写する(S30、図7)。
【0079】
(6) ワーク移動工程
コントローラ61は回転テーブル22を所定角度回転してワークWを第4位置(例えば、270度位置)に移動し、印刷されたワークWを排出ステージに搬送する(S32、図8)。
【0080】
(7) ワーク排出工程
コントローラ61はワーク排出部50に指令信号を供給し、ロボットアームによって回転テーブル22上のワークWをベルトコンベアに搬送させる。既述のように、ワークWは次工程に搬送される。(S34、図9)
【0081】
(8) 印刷終了
ワークWが予め設定された印刷数に達したかどうかを判断する(S36)。達していない場合(S36:NO)には、ステップS22乃至S36を繰り返す。なお、ワークWは回転テーブルで連続的に搬送され、各回転位置で処理が同時並行的に行われる。印刷されたワークWの数が所定数に達した場合には(S36:YES)、予定数のワークWの印刷が終了したので本印刷を終了する(S38)。
【0082】
このように、本発明の実施例によれば、回転テーブルを利用して各工程を同時並行的に行うので、XYθテーブルにワークを載置してアライメント調整と印刷とを一箇所(印刷装置)で行う場合に比べて印刷処理効率が高い。
【0083】
図16は、本発明の他の実施例(印刷機降昇校タイプ)に係る印刷装置(印刷システム)の概略を説明する示す説明図(側面図)である。同図において図1と対応する部分には同一符号を付し、かかる部分の説明は省略する。
【0084】
同図に示す実施例では、印刷装置は、スクリーン印刷部40の印刷機構42を回転テーブル22上に位置するように配置し、印刷機構42が回転テーブル22上において上下方向(回転テーブル回転軸の延在方向)、すなわち、回転テーブル22面上の降下位置とテーブル面から離間した上昇位置に移動するように構成されている。コントローラ61は、このような印刷機構42の2つの位置相互間を移動する構成を使用して、回転テーブル22を移動(回転)させるときに、スクリーン印刷部40に指令信号を発して印刷機構42を上昇させて回転テーブル22の上面から離間させ、テーブル面やワークWとの接触を回避する。また、ワークWに印刷を行う場合、コントローラ61は、回転テーブル22を移動させてワークWを搬送して印刷位置に位置決めすると、スクリーン印刷部40に指令を発してワークW上に印刷機構42を降下させ、ワークWへの印刷処理を実行させる。他の構成は図1の例と同様である。
【0085】
かかる構成とすることによって、回転テーブルとスクリーン印刷装置とを組み合わせて、回転テーブル上でスクリーン印刷を行うことを可能とした印刷装置(システム)が得られて好都合である。
【0086】
図17は、本発明の他の実施例(印刷機構開閉タイプ)に係る印刷装置(印刷システム)の概略を説明する示す説明図(側面図)である。同図において図1と対応する部分には同一符号を付し、かかる部分の説明は省略する。
【0087】
同図に示す実施例では、印刷装置は、スクリーン印刷部40の印刷機構42を回転テーブル22上に位置するように配置し、ドアを開閉するような構造で印刷機構42を回転テーブル22面上の位置とこれから離間した位置に移動するように構成されている。すなわち、印刷機構42の一端側(印刷部40側)を回転軸とし、他端側(回転テーブル側)を上下方向に移動可能とすることによって他端側を円弧状の軌跡で移動(開閉スクリーン動)可能にしている。コントローラ61は、このような印刷機構42の2つの位置相互間を移動する構成を使用して、回転テーブル22を移動(回転)させるときに、スクリーン印刷部40に指令信号を発して印刷機構42を回転テーブル22から離間(傾斜)させて回転テーブル面やワークWとの接触を回避する。また、ワークWに印刷を行う場合、コントローラ61は、回転テーブル22を移動させてワークWを搬送し、印刷位置に位置決めすると、スクリーン印刷部40に指令信号を発してワークW上に印刷機構42を降下させ、ワークWへの印刷処理を実行させる。他の構成は図1の例と同様である。
【0088】
かかる構成とすることによって、回転テーブルとスクリーン印刷装置とを組み合わせて、回転テーブル上でスクリーン印刷を行うことを可能とした印刷装置(システム)が得られて好都合である。
【0089】
なお、印刷部40の筐体を逆L字型の構造とし、回転テーブル22上にオバーラップする印刷機構42を回転テーブル22上にオーバーラップする筐体で機械構造的に支えるように構成しても良い。このような構成とした場合には、印刷精度を向上させることが可能となって具合がよい。
【0090】
また、実施例では、ワーク位置調整部30を回転テーブル22の下側に設け、位置調整ピンを昇降させ、位置調整ピン301の先端にワークWを乗せる構成としているが、ワーク位置調整部30を回転テーブル22の上側に設けてもよい。この場合、ワーク位置調整部30を上下逆向きとして位置調整ピン301の先端を下向きとし、位置調整ピン301の先端部(下端部)てワークWを吸着し、昇降移動する構成とする。吸着は静電力、負圧などによって行うことが可能である。また、いわゆるロボットアームを使用することとしてもよい。
【0091】
このような構成とした場合には、回転テーブル22に貫通孔24を設ける必要がなく具合がよい。また、貫通孔24の径による位置調整範囲の制限がなくなるので、スクリーンののび以上のより広範囲のワークの配置位置調整が可能となる。
【0092】
また、ワーク観察用のカメラは、必要数を必要な場所(観察位置)に配置することができる。プロセスが安定した場合には、カメラは必要限度に減らすことができる。
【0093】
また、実施例では同時に2ライン(A,B)の印刷を行っているが、これに限定されるものではなく、1ラインでも、3ライン以上でも良い。
【0094】
また、実施例では、ワーク位置調整部30は回転テーブル22の90度回転位置に配置されているが、回転テーブル22の各ワーク載置位置毎にワーク位置調整部30を設けて回転テーブル22と共に回転する構造とすることも出来る。こうした場合には、回転テーブル22の停止位置(貫通孔24の位置)を支持ピン301の基準位置に正確に合わせる必要がなくなって都合がよい。
【0095】
また、実施例では、印刷装置としてスクリーン印刷装置を一例として説明しているが、上述したようなワーク搬送機構としての回転テーブルと他の種類の印刷装置、例えば、謄写版刷装置等の他の種類の孔版印刷装置と組み合わせても良い。また、構造的に許容されれば、スタンプ印刷、箔押し印刷、パッド印刷などの印刷装置であっても良い。
【符号の説明】
【0096】
10 ワーク載置部、20 回転テーブル部、30 ワーク位置調整部、301 位置調整ピン、40 スクリーン印刷部、50 ワーク排出部、60 制御部、61 コントローラ、62 入力装置、70 検出部(観察手段)、71〜75 カメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転テーブルを回転軸回りに定められた第1乃至第3位置に移動する回転テーブル部と、
前記第1位置にて前記回転テーブル上にワークを載置するワーク載置部と、
前記第2位置にて前記回転テーブル上の前記ワークの位置を調整可能なワーク位置調整部と、
前記第3位置にて前記回転テーブル上の前記ワークにスクリーン印刷を行うスクリーン印刷部と、
前記ワークに印刷されたパターンを観察する観察手段と、
前記観察された印刷パターンと予め記憶された基準パターンとを比較し、両パターンのずれが減少するように前記ワーク位置調整部を動作させる制御部と、
を備える印刷装置。
【請求項2】
更に、前記回転テーブルの回転軸回りに定められた第4位置を含み、
前記第4位置にて前記ワークを前記回転デーブルの外に排出するワーク排出部を備える、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記制御手段は、複数回の試し刷り印刷後に前記ワークに印刷されたパターンの基準位置からのずれに基づいて前記ワーク位置調整部を制御する、請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記試し刷り印刷の回数は、前記スクリーン印刷のスクリーン版ののびが収まる印刷回数である、請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記回転テーブルは、前記ワークが載置されるべき位置に該ワークよりも小さい開口の貫通孔を有し、
前記ワーク位置調整部は前記回転テーブルの下方に配置され、前記貫通孔を介して前記ワークに接触して移動可能な位置調整ピンを有する、請求項1乃至4のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項6】
回転テーブルを用いて印刷部にワークを連続的に供給するようにした印刷物の製造方法であって、
前記回転テーブルの第1回転位置にワークを載置するワーク載置工程と、
前記回転テーブルの第2回転位置にて前記ワークの載置位置を必要により調整するワーク位置調整工程と、
前記回転テーブルの第3回転位置にて前記ワークにスクリーン印刷を行うスクリーン印刷工程と、を含み、
前記ワーク位置調整工程が、複数回の試し刷り印刷後に前記ワークに印刷されたパターンの基準位置からのずれに基づいて前記ワークの位置を調整するものである、印刷物の製造方法。
【請求項7】
更に、前記スクリーン印刷工程の後に、前記回転テーブルの第4回転位置にて前記ワークを前記回転テーブルの外に排出するワーク排出工程を含む、請求項6に記載の印刷物の製造方法。
【請求項8】
前記試し刷り印刷の回数が、前記スクリーン印刷のスクリーン版ののびが収まる印刷回数である、請求項6又は7に記載の印刷物の製造方法。
【請求項9】
前記ワークの位置調整が、前記回転テーブルの貫通孔を介して前記ワークに下方から接触する位置調整ピンによって行われる、請求項6乃至8のいずれかに記載の印刷物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−56761(P2011−56761A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−208409(P2009−208409)
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【出願人】(593039856)マイクロ・テック株式会社 (21)
【Fターム(参考)】