説明

原点位置設定装置、原点位置設定方法、リンク機構及び脚車輪型ロボット

【課題】関節部を介して回動自在に支持されたリンクの原点位置を設定するのに好適な原点位置設定装置、原点位置設定方法、リンク機構及び脚車輪型ロボットを提供する。
【解決手段】脚車輪型ロボット100は、回転関節14の回転軸周りに脚部12と共に回動する第1ドグ200及び第2ドグ202と、脚部12の基準回転角度位置へと回動した第1ドグ200を検出する基準位置検出センサ210と、脚部12の一方の回動方向の限界回転角度位置へと回動した第2ドグ202を検出する限界位置検出センサとを備え、回転関節14を回転して脚部12をその初期位置から最初に限界位置検出センサの配設位置方向に回動させると共に、仮の原点位置を検出する際の第1ドグ200の基準位置検出センサ210の検出位置への進入方向を揃え、更に、仮の原点位置と、その検出範囲と、エンコーダの発生するパルス信号とに基づき原点位置を設定する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、関節部を介して回動自在に支持されたリンクの原点位置を設定するのに好適な原点位置設定装置、原点位置設定方法、リンク機構及び脚車輪型ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、多関節ロボットに用いるモータは、通常、所望のトルクを得るために減速機を取り付けて使用する。そのため、関節軸(減速機出力軸)が1回転する間に、モータの軸は複数回回転することになり、モータに取り付けられた角度検出器の出力値をそのまま関節軸の出力角度として使用できないことが多い。従って、多関節ロボットの脚部などを構成する各リンクを正常に駆動するためには、最初に、各リンクの原点位置を定める必要がある。
【0003】
原点位置を決定する方法としては、例えば、特許文献1に記載のアーム位置検出方法などがある。
特許文献1のアーム位置検出方法は、アブソリュートエンコーダをアームに取付け、モータにインクリメンタルエンコーダを取付け、アームの原点位置からインクリメンタルエンコーダのゼロ点までの角度と、アームの原点位置からアブソリュートエンコーダのゼロ点までのオフセット値と、各アームが原点からモータが1回転毎にとるアームの角度とそれに対応して変化するアブソリュートエンコーダの出力の積分累積値とをテーブルにした対応テーブルを備え、該対応テーブルを用いて、制御系座標とアーム座標とを一致させアームの原点位置を決定するものである。
【特許文献1】特開昭64−31209号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の従来技術では、アーム位置の検出に比較的高価なアブソリュートエンコーダを用いるためコストが増加するという問題がある。
また、アブソリュートエンコーダを用いるために、パラレル出力型では配線が多くなってしまう。また、これを省配線化するためにシリアル出力するタイプでは、絶対角データのデコード、通信インターフェース等が必要となるため、装置構成が複雑になるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、このような従来の技術の有する未解決の課題に着目してなされたものであり、関節部を介して回動自在に支持されたリンクの原点位置を設定するのに好適な原点位置設定装置、原点位置設定方法、リンク機構及び脚車輪型ロボットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔発明1〕 上記目的を達成するために、発明1の原点位置設定装置は、
関節部を介して回動自在に支持されたリンクと該リンクを回動させる動力を付与するアクチュエータとを有するリンク機構における、前記リンクの原点位置を設定する原点位置設定装置であって、
前記リンクの回動に連動して少なくとも該リンクと同じ回動範囲を、該リンクと共に回動する部位又は該リンクに対して相対的に回動する部位に配設された第1被検出部及び第2被検出部と、前記リンクの原点位置の基準となる回転角度位置である基準回転角度位置へと回動した前記第1被検出部を検出する基準位置検出センサと、前記リンクの一方の回動方向の回動限界位置である限界回転角度位置又はその近傍へと回動した前記第2被検出部を検出する限界位置検出センサと、前記アクチュエータを制御して、前記リンクの初期位置からの最初の回動方向を前記リンクの一方の限界回転角度位置方向として、前記リンクを所定の回動パターンで回動させる回動制御手段と、前記リンクを前記所定の回動パターンで回動させたときの前記基準位置検出センサの検出結果に基づき前記原点位置を設定する原点位置設定手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
このような構成であれば、回動制御手段がアクチュエータを制御し、リンクをその初期位置から該リンクの一方の限界回転角度方向に回動すると、これと連動して第1被検出部及び第2被検出部が同じ軸周りにリンクと共に又はリンクに対して相対的に回動する。そして、第1被検出部が基準回転角度位置(リンクの原点位置の基準となる回転角度位置)へと回動したときは、基準位置検出センサによって第1被検出部が検出される。一方、第2被検出部が限界回転角度位置へと回動したときは、限界位置検出センサによって第2被検出部が検出される。原点位置設定手段は、基準位置検出センサにおいて第1被検出部が検出されると、該検出結果に基づき原点位置を設定する。
【0008】
以下、第1被検出部及び第2被検出部を、両者を区別する必要がない場合は、単に被検出部と称することとする。
ここで、リンクに対して相対的に回動するとは、例えば、被検出部がリンクを回動する軸と同じ軸心を有し且つリンクの回動に対して静止している軸などに設けられ、リンクが回動することで、静止した第1被検出部の位置とリンクの位置(回転角度位置)とが相対的に変化し、第1被検出部がリンクの回動範囲を回動しているのと同等の動作が行われることを意味する。以下、発明5の原点位置設定方法、発明6のリンク機構、発明7の脚車輪型ロボットにおいて同じである。
【0009】
また、リンク機構は、リンクが関節を介してロボットなどの基体に支持された構成、別のリンクに支持された構成(複数のリンクが関節を介して連結された構成)など、リンクが回動する構成を有したものであればどのような構成でも良い。以下、発明5の原点位置設定方法、発明6の脚車輪型ロボットにおいて同じである。
また、被検出部は、例えば、リンクを支持する部材(ロボットの基体など)、リンク、静止軸の軸周り、回転軸の軸周りなどに設けられ、例えば、基準位置検出センサ及び限界位置検出センサが光学式センサなどの非接触式のセンサであれば、そこから射出される検出波を遮断する形状(例えば、射出口を遮断する遮断板を有した形状)に形成される。また、例えば、基準位置検出センサ及び限界位置検出センサがマイクロスイッチなどの接触式のセンサであれば、その検出部(スイッチなど)を押下する形状(例えば、突状)に形成される。以下、発明5の原点位置設定方法、発明6の脚車輪型ロボットにおいて同じである。
【0010】
〔発明2〕 更に、発明2の原点位置設定装置は、発明1に記載の原点位置設定装置において、
前記所定の回動パターンは、前記リンクをその初期位置から前記一方の限界回転角度位置方向へと回動させ、この回動により、最初に前記基準位置検出センサにおいて前記第1被検出部が検出されると、前記リンクの回動を停止させる第1の回動パターンと、前記リンクをその初期位置から該リンクの前記一方の限界回転角度位置方向へと回動させ、この回動により、最初に前記限界位置検出センサにおいて前記第2被検出部が検出されると、前記第1被検出部が前記基準位置検出センサの検出位置を所定回転角度分通り過ぎる位置まで、前記リンクを該リンクの他方の前記限界回転角度位置方向へと回動させ、しかる後、前記リンクを前記一方の限界回転角度位置方向へと回動させ、この回動により、前記基準位置検出センサにおいて前記第1被検出部が検出されると、前記リンクの回動を停止させる第2の回動パターンとを含み、
前記原点位置設定手段は、前記リンクが前記一方の限界回転角度位置方向に回動しているときに前記基準位置検出センサにおいて検出された前記第1被検出部の検出位置に基づき、前記原点位置を設定することを特徴とする。
【0011】
このような構成であれば、回動制御手段がアクチュエータを制御し、まず、リンクをその初期位置から該リンクの一方の限界回転角度位置方向へと回動する。この回動により、例えば、第1被検出部及び第2被検出部が、リンクの他方の限界回転角度位置と、基準回転角度位置との間に位置しているときは、最初に基準位置検出センサにおいて第1被検出部が検出され、リンクの回動が停止される(第1の回動パターン)。一方、第1被検出部及び第2被検出部が、例えば、基準回転角度位置と、リンクの一方の限界回転角度位置との間に位置しているときは、最初に限界位置検出センサにおいて第2被検出部が検出され、上記第2の回動制御が行われる。つまり、リンクは他の限界回転角度位置方向(初期の回動方向とは逆方向)へと回動し、これにより第1被検出部及び第2被検出部は、基準回転角度位置方向へと回動する。回動制御手段は、第1被検出部を基準位置検出センサの検出位置(基準回転角度位置)を所定回転角度分通過した位置まで回動し、該位置まで回動すると、次に、リンクを、一方の限界回転角度位置方向(初期の回動方向と同じ方向)へと回動する。これにより、第1被検出部は、他の限界回転角度位置方向から回動して、基準位置検出センサの検出部へと進入し、該基準位置検出センサにおいて第1被検出部が検出される。そして、第1被検出部が検出されると、回動制御手段は、リンクの回動を停止させる(第2の回動パターン)。
ここで、所定回転角度は、第1被検出部が、基準位置検出センサの検出位置(範囲)を通り過ぎる最小の回転角度が望ましく、少なくともリンク及び第1被検出部及び第2被検出部が他方の限界回転角度位置又はその近傍へは到達しない角度範囲である。
【0012】
〔発明3〕 更に、発明3の原点位置設定装置は、発明1又は2に記載の原点位置設定装置において、
前記基準位置検出センサは、指向性を有する検出波を射出すると共に該射出した検出波に対する前記第1被検出部の干渉状態に基づき該第1被検出部を検出する構成の非接触式のセンサであり、前記限界位置検出センサは、指向性を有する検出波を射出すると共に該射出した検出波に対する前記第2被検出部の干渉状態に基づき前記第2被検出部を検出する構成の非接触式のセンサであり、
前記基準位置検出センサ及び前記限界位置検出センサを、前記リンクが支持される側の部材と前記リンク又は該リンクと共に回動する部位とのいずれか一方に設けると共に、前記第1被検出部及び前記第2被検出部を、前記リンクが支持される側の部材と前記リンク又は該リンクと共に回動する部位のいずれか他方に設け、
前記基準位置検出センサ及び前記第1被検出部を、前記リンクが前記基準回転角度位置にあるときに前記第1被検出部が前記基準位置検出センサから射出される前記検出波を遮断する位置関係に配設し、前記限界位置検出センサ及び前記第2被検出部を、前記リンクが前記限界回転角度位置又はその近傍の回転角度位置にあるときに前記第2被検出部が前記限界位置検出センサから射出される前記検出波を遮断する位置関係に配設したことを特徴とする。
【0013】
このような構成であれば、基準位置検出センサは、リンクの連動に応じて該リンクと共に又は該リンクに対して相対的に回動する第1被検出部によって、センサから射出された検出波が遮断されることで、反射波の変化、透過の有無などによって第1被検出部を検出することができる。また、限界位置検出センサは、リンクの連動に応じて該リンクと共に又は該リンクに対して相対的に回動する第2被検出部によって、センサから射出された検出波が遮断されることで、反射波の変化、透過の有無などによって第2被検出部を検出することができる。
ここで、非接触式のセンサとしては、フォトリフレクタ、フォトインタラプタ等の光学式のセンサや、超音波センサなどが該当する。
【0014】
〔発明4〕 更に、発明4の原点位置設定装置は、発明1又は2に記載の原点位置設定装置において、
前記基準位置検出センサは、検出部への前記第1被検出部の接触によって該第1被検出部を検出する構成の接触式のセンサであり、前記前記限界位置検出センサは、検出部への前記第2被検出部の接触によって該第2被検出部を検出する構成の接触式のセンサであり、
前記基準位置検出センサ及び前記限界位置検出センサを前記リンクが支持される側の部材と前記リンク又は該リンクと共に回動する部位とのいずれか一方に設けると共に、前記第1被検出部及び前記第2被検出部を、前記リンクが支持される側の部材と前記リンク又は該リンクと共に回動する部位のいずれか他方に設け、
前記基準位置検出センサ及び前記第1被検出部を、前記リンクの回転角度位置が前記基準回転角度位置になったときに前記第1被検出部が前記基準位置検出センサの前記接触部に接触する位置関係に配設し、前記限界位置検出センサ及び前記第2被検出部を、前記リンクの回転角度位置が前記限界回転角度位置又はその近傍の回転角度位置になったときに前記第2被検出部が前記限界位置検出センサの前記検出部に接触する位置関係に配設したことを特徴とする。
【0015】
このような構成であれば、基準位置検出センサは、リンクの連動に応じて該リンクと共に又は該リンクに対して相対的に回動する第1被検出部が検出部に接触することで、該接触による圧力の変化、該接触によるスイッチの押下などによって第1被検出部を検出することができる。また、限界位置検出センサは、リンクの連動に応じて該リンクと共に又は該リンクに対して相対的に回動する第2被検出部が検出部に接触することで、該接触による圧力の変化、該接触によるスイッチの押下などによって第2被検出部を検出することができる。
ここで、接触式のセンサとしては、マイクロスイッチ、圧力センサなどが該当する。
【0016】
〔発明5〕 一方、上記目的を達成するために、発明5の原点位置設定方法は、
関節部を介して回動自在に支持されたリンクと、該リンクを回動させる動力を付与するアクチュエータと、前記リンクの回動に連動して少なくとも該リンクと同じ回動範囲を、該リンクと共に回動する部位又は該リンクに対して相対的に回動する部位に配設された第1被検出部及び第2被検出部と、前記リンクの原点位置の基準となる回転角度位置である基準回転角度位置へと回動した前記第1被検出部を検出する基準位置検出センサと、前記リンクの一方の回動方向の回動限界位置である限界回転角度位置又はその近傍へと回動した前記第2被検出部を検出する限界位置検出センサとを備えたリンク機構に適用可能な、前記リンクの原点位置を設定する原点位置設定方法であって、
前記アクチュエータを制御して、前記リンクをその初期位置から前記一方の限界回転角度位置方向へと回動させる第1のステップと、
前記第1のステップにおける前記リンクの回動によって、最初に前記基準位置検出センサにおいて前記第1被検出部が検出されたときに、この検出位置に基づき前記原点位置を設定する第2のステップと、
前記第1のステップにおける前記リンクの回動によって、最初に前記限界位置検出センサにおいて前記第2被検出部が検出されたときに、前記アクチュエータを制御して、前記第1被検出部が前記基準位置検出センサの検出位置を所定回転角度分通り過ぎる位置まで、前記リンクを該リンクの他方の前記限界回転角度位置方向へと回動させる第3のステップと、
前記第3のステップにおいて前記リンクを回動後に、前記アクチュエータを制御して、前記リンクを前記一方の限界回転角度位置方向へと回動させる第4のステップと、
前記第4のステップにおける前記リンクの回動によって、前記基準位置検出センサにおいて前記第1被検出部が検出されたときに、この検出位置に基づき前記原点位置を設定する第5のステップとを含むことを特徴とする。
【0017】
〔発明6〕 また、上記目的を達成するために、発明6のリンク機構は、
関節部を介して回動自在に支持されたリンクと、該リンクを回動させる動力を付与するアクチュエータと、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の原点位置設定装置と、を備えることを特徴とする。
このような構成であれば、発明1〜発明4のいずれか1に記載の原点位置設定装置によって、リンクの原点位置を設定することができる。
【0018】
〔発明7〕 また、上記目的を達成するために、発明7の脚車輪型ロボットは、基体と、前記基体に対して関節を介して支持された複数の脚部と、各脚部に回転自在に設けられた車輪と、前記各脚部及び前記車輪を駆動する動力を付与するアクチュエータと、前記アクチュエータを制御する制御手段とを備え、環境に応じて前記脚部及び前記車輪の少なくとも一方を駆動することにより移動する脚車輪型ロボットであって、前記脚部は、複数のリンクを有すると共に、該複数のリンクが関節を介して回動自在に連結された構成を有し、発明1乃至発明4のいずれか1に記載の原点位置設定装置を備え、前記原点位置設定装置によって、前記脚部を構成する各リンクの原点位置を設定することを特徴とする。
【0019】
このような構成であれば、発明1〜発明4のいずれか1に記載の原点位置設定装置によって、脚車輪型ロボットの各脚部を構成する各リンクの原点位置を設定することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、発明1の原点位置設定装置、発明6のリンク機構、及び発明7の脚車輪型ロボットによれば、既存のリンク機構に対して、基準位置検出センサ、限界位置検出センサ、第1被検出部及び第2被検出部を設けるだけで、リンクの原点位置を設定することができるので、従来と比較して、低コスト且つ簡単な部品構成で装置を構成することができるという効果が得られる。また、リンクをその初期位置から最初に一方の限界回転角度位置方向へと回動させるようにしたので、リンクがどの回転角度位置にあっても、必ず基準位置検出センサ又は限界位置検出センサによって第1被検出部又は第2被検出部が検出されるため、安全に原点位置の設定を行うことができるという効果も得られる。例えば、一方の限界回転角度位置方向へと回動後に、最初に限界位置検出センサにおいて第2被検出部が検出された場合に、そこからリンクを逆方向へと回動させると、先に第1被検出部が必ず基準位置検出センサによって検出されるので、他方の限界回転角度位置に回動した第2被検出部を検出するセンサを設けなくても、安全性を損なうことがない。また、基準位置検出センサで第1被検出部を検出し、限界位置検出センサで第2被検出部を検出する構成としたので、基準位置検出センサ及び第1被検出部と、限界位置検出センサ及び第2被検出部との各組み合わせにおいて両者の位置関係を合わせられれば、これらを自由な位置に配設することができるという効果が得られる。
【0021】
また、発明2の原点位置設定装置、発明5の原点位置設定方法、発明6のリンク機構及び発明7の脚車輪型ロボットによれば、リンクの初期位置がどのような位置であっても(一方の限界回転角度位置又はその近傍にある場合を除く)、最初に、リンクを一方の限界回転角度位置方向(限界位置検出センサで第2被検出部が検出される方向)に回動させ、更に、第1被検出部が必ず一定の方向から基準位置検出センサの検出位置へと進入するようにリンクの回動を制御するので、回動方向の違いによる原点位置の誤差が発生するのを回避することができるという効果が得られる。更に、第1被検出部の基準位置検出センサの検出位置への進入方向を一定方向にする際にも、リンクを他方の限界回転角度位置方向には所定の回転角度分しか回動させないので、安全且つ確実に、第1被検出部を一定の方向から基準位置検出センサの検出位置へと進入させることができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。図1〜図11は、本発明に係る原点位置設定装置、原点位置設定方法、リンク機構及び脚車輪型ロボットの実施の形態を示す図である。
まず、図1に基づき、本発明に係る脚車輪型ロボットの概略構成を説明する。
図1は、本発明に係る脚車輪型ロボット100の正面図である。また、図2は、本発明に係る脚車輪型ロボット100の側面図である。
【0023】
脚車輪型ロボット100は、図1及び図2に示すように、基体10と、基体10に連結された4つの脚部12とを有して構成されている。
基体10の前方には、2本の脚部12が回転関節14を介して左右対称の位置に連結されている。また、基体10の後方には、2本の脚部12が回転関節14を介して左右対称の位置に連結されている。
【0024】
各脚部12は、第1股関節駆動部120と、第2股関節駆動部122と、第1リンク17と、第2リンク19と、第1リンク17及び第2リンク19を回動自在に連結する2つの回転関節16、18とから構成されている。
各脚部12の回転関節14は、モータと、第1股関節駆動部120と、減速機(例えば、ハーモニックドライブなど)とから構成されている。
【0025】
第1股関節駆動部120は、外部に突き出して設けられたモータ40と、ボックス形状のハウジング内に、軸受、回転軸、モータ40の回転駆動力を回転軸に伝達する伝達機構とから構成される第1回転駆動機構が収納された構成となっている。
第1股関節駆動部120のハウジング内に配設された回転軸と、外部の減速機とは同軸に連結されており、減速機の上端部は、第1股関節駆動部120のハウジングの下面に接合され、該下面に設けられた貫通穴を通って、回転軸が減速機の軸受内に挿通された構成となっている。
【0026】
回転関節14は、第1回転駆動機構から回転駆動力を得て、脚車輪型ロボット100の底面と直交する方向を軸方向として回転する。すなわち、ヨー軸回りに回転する。
各脚部12の回転関節16は、第2股関節駆動部122と、回転軸と、その軸受と、回転軸と同軸の減速機(例えば、ハーモニックドライブなど)とから構成されている。
第2股関節駆動部122は、モータ及び該モータの回転駆動力を回転軸に伝達する伝達機構から構成される第2回転駆動機構と、回転軸、軸受及び減速機を覆う関節フレーム部と第2回転駆動機構を収納するハウジングとが一体形成されたフレームとを備え、ハウジング内に第2回転駆動機構を収納した構成となっている。
【0027】
関節フレーム部の上面には、回転関節14を構成する減速機の下端部が接合され、回転関節16が回転関節14の回転方向に回転自在に支持されている。
各脚部12の第1リンク17は、その上端部が、回転関節16を介して、該回転関節16に対して、その回転方向に回動自在に連結されている。更に、第1リンク17の下端側には、回転関節18を回転駆動する第3回転駆動機構を収納するボックス形状のフレーム部(以下、第1のハウジングと称す)が一体形成されており、この第1のハウジングの内部には第3回転駆動機構が収納されている。第3回転駆動機構は、モータ、該モータの回転駆動力を回転関節18の回転軸に伝達する伝達機構などを含んで構成されている。
【0028】
各脚部12の第2リンク19は、その上端部が、回転関節18を介して、第1リンク17に対して回転関節18の回転方向に回動自在に連結されている。第2リンク19の下端側には、駆動輪20を回転駆動する車輪駆動機構を収納するボックス形状のフレーム部(以下、第2のハウジングと称す)が一体形成されており、第2のハウジングの内部には車輪駆動機構が収納されている。更に、第2リンク19の下端部には、回転関節16、18と軸方向を同一にして駆動輪20が回転自在に設けられている。車輪駆動機構は、モータ、該モータの回転駆動力を駆動輪20の回転軸に伝達する伝達機構、減速機などを含んで構成されている。
【0029】
回転関節14及び回転関節16は脚車輪型ロボット100の股関節を構成し、回転関節18は脚車輪型ロボット100の膝関節を構成している。
回転関節14は、下方を軸方向としてヨー軸周りに回転し、回転関節16に連結された各構成部(第1リンク17及び第1リンク17に連結された第2リンク19など)をヨー軸周りに回動させる。
【0030】
また、回転関節16、18は、回転関節14が図1の状態であるときは、脚車輪型ロボット100の側面と直交する方向を軸方向として回転する。すなわち、回転関節14が図1の状態であるときは、ピッチ軸回りに回転し、回転関節14が図1の状態から90度回転した状態であるときは、ロール軸回りに回転し、第1リンク17及び第2リンク18を各回転方向に回動させる。従って、脚部12は、それぞれ3自由度を有する。
【0031】
各脚部12の先端には、第2リンク19の下端側に形成された支持部を介して、回転関節16、18と軸方向を同一にして駆動輪20が回転自在に設けられている。
各脚部12の第2リンク19には、脚車輪型ロボット100の移動経路上に存在する物体までの距離を測定し、且つ接地面までの距離を測定する脚先センサ24が設けられている。
【0032】
一方、基体10の正面の上部中央には、水平面レーザ光を照射する水平レーザ26が設けられている。また、基体10の正面の中央左右には、垂直面レーザ光を照射する垂直レーザ28、30がそれぞれ設けられている。
基体10の正面の下部中央には、水平面レーザ光および垂直面レーザ光の反射光を含む画像を撮影するカメラ32が設けられている。
【0033】
水平レーザ26は、カメラ32で水平面レーザ光の反射光を含む画像が撮影できるように下方に所定角度傾けて設けられている。同様に、垂直レーザ28は、カメラ32で垂直面レーザ光の反射光を含む画像が撮影できるように右方に所定角度傾けて設けられ、垂直レーザ30は、左方に所定角度傾けて設けられている。
カメラ32の左右には、障害物を検出する障害物センサ34、36がそれぞれ設けられている。障害物センサ34、36は、指向性の低い超音波測距センサを複数アレイ状に配列して構成することができる。また、指向性の高い赤外線測距センサを複数アレイ状に配列して構成することもできる。アレイ状に配列する構成に限らず、単体で構成してもよい。また、超音波測距センサまたは赤外線測距センサを複数平面上に配列したエリアセンサで構成してもよい。これにより、脚車輪型ロボット100の移動経路上に存在する障害物を大まかに検出することができる。
【0034】
ここで、図3は、右前方の脚部12が限界位置まで回動しているときの脚車輪型ロボット100の正面図である。また、図4(a)は、右前方の脚部12が基準の原点位置にあるときの図3におけるA−A断面を見た図であり、(b)は、右前方の脚部12を基準の原点位置から限界位置まで回動させたときの図3におけるA−A断面を見た図である。
脚車輪型ロボット100には、脚部12の回転関節14に対する原点位置を設定するために、各脚部12の基準の回転角度位置(基準原点位置)を検出するセンサと、各脚部12の限界の回転角度位置を検出するセンサと、脚部12と共に回動する部位に設けられた前記各センサの被検出部とが設けられている。
【0035】
具体的には、図2に示すように、各第2股関節駆動部122のハウジングの上面に、L字を上下逆さまにした形状の遮光性を有する部材から形成された第1ドグ200及び第2ドグ202が、回転関節14の回転軸に対して径方向(ここでは、上面の長手方向の辺と平行な方向)に一直線状に並べて設けられている。なお、第1ドグ200及び第2ドグ202は、L字の短辺部の端部を外周方向に向けて設けられている。第2股関節駆動部122は、回転関節14の回転に連動してヨー軸周りに回動するので、回転関節14の回転と連動して第1ドグ200及び第2ドグ202も同じ軸周りに回動する。また、第1ドグ200及び第2ドグ202は径方向に一直線状に並べて配設されているので、両者の回転角度位置は同じとなる。
【0036】
更に、図2に示すように、各第1股関節駆動部120の下面には、脚車輪型ロボット100の脚部12が同図に示す姿勢のときに、第1ドグ200を検出する位置に、基準位置検出センサ210が設けられている。基準位置検出センサ210は、脚部12がその基準の原点位置となる回転角度位置に回動したことを検出するセンサであり、本実施の形態では、第1ドグ200が図2に示す回動位置にあるときに、この回転角度位置が脚部12の回転関節14に対する基準の原点位置となる。
【0037】
更に、図1、図3に示すように、基体10の下面前端部及び下面後端部(不図示)には、その中央付近に、回転関節14の回転によって、脚部12が回動限界位置となる回転角度位置に回動したときに、第2股関節駆動部122のハウジングの上面に設けられた第2ドグ202を検出する位置に限界位置検出センサ220が2つずつ(各脚部12に対して1つずつ)設けられている。つまり、本実施の形態では、脚部12(右前脚)の第2ドグ202が、図3に示す回転角度位置まで回動したときに、この回転角度位置が、右前脚の回転関節14に対する回動限界位置となる。
【0038】
本実施の形態において、基準位置検出センサ210及び限界位置検出センサ220は、フォトインタラプタであり、射出部と受光部とが対向して設けられた発光部と受光部とを有し、発光部から射出された光線を第1ドグ200又は第2ドグ202が遮断したか否かを検出することにより、第1ドグ200又は第2ドグ202を検出する構成となっている。具体的に、第1ドグ200及び第2ドグ202は、基準位置検出センサ210及び限界位置検出センサ220と対向したときに、発光部と受光部との間に外周方向に突き出たL字形状の短辺部が挟みこまれる位置関係に設けられている。つまり、この短辺部が発光部から射出される光線を遮断することで、第1ドグ200及び第2ドグ202が検出される。
【0039】
なお、基準位置検出センサ210及び限界位置検出センサ220は、フォトインタラプタに限らず、第1ドグ200及び第2ドグ202からの反射波の有無を検出するフォトリフレクタ、超音波の第1ドグ200及び第2ドグ202からの反射の有無を検出する超音波センサ、検出部への第1ドグ200及び第2ドグ202の接触の有無を検出するマイクロスイッチ、圧力センサなどを用いることも可能である。
【0040】
また、第1ドグ200及び第2ドグ202も、L字形状に限らず、センサの検出部の構成や、検出部の取り付け方向などに応じて、直線状のものなど様々な形状のものを用いることが可能である。
上記構成によって、脚車輪型ロボット100は、図4(a)に示すように、図3のA−A断面から見て、脚部12の回転関節14に対する回転角度位置が基準の原点位置にあるときは、第1ドグ200の短辺部が基準位置検出センサ210の発光部と受光部との間に挟まれて発光部から射出された光を遮断する。これにより、基準位置検出センサ210において第1ドグ200が検出される。
【0041】
一方、図4(b)に示すように、図3のA−A断面から見て、回転関節14が時計回り方向に回転して、脚部12の回転関節14に対する回転角度位置が回転限界位置に到達すると、第2ドグ202の短辺部が限界位置検出センサ220の光照射部と受光部との間に挟まれて発光部から射出された光を遮断する。これにより、限界位置検出センサ220において第2ドグ202が検出される。
【0042】
次に、脚車輪型ロボット100の駆動制御システムを説明する。
図5は、脚車輪型ロボット100の駆動制御システムを示すブロック図である。
各脚部12の回転関節14、16、18には、図5に示すように、回転関節14、16、18を回転駆動する駆動機構として関節モータ40がそれぞれ設けられている。各関節モータ40には、関節モータ40の回転角度位置を検出するエンコーダ42と、モータ指令信号およびエンコーダ42の出力信号に基づいて関節モータ40の駆動を制御するドライバ44が設けられている。
【0043】
本実施の形態において、エンコーダ42は、インクリメンタルエンコーダであり、関節モータ40の回転に応じて、位相が90°異なるA相パルス信号及びB相パルス信号を出力すると共に、エンコーダの1回転毎にZ相(原点相)のパルス信号(以下、Z相パルス信号と称す)を出力する。更に、A相及びB相のパルス信号を4逓倍カウントするパルスカウンタを内蔵しており、4逓倍カウントパルス信号によって回転角度位置を検出する。
【0044】
また、関節モータ40の出力軸には不図示の減速機が設けられており、所定の減速比でモータ40の回転速度を減速して、該減速されたモータの回転力(トルク)を回転関節14、16、18の各回転軸に伝えることで所望のトルクを得るようにしている。
各脚部12の駆動輪20の回転軸には、該駆動輪20を回転駆動する車輪モータ50がそれぞれ接続されている。各車輪モータ50には、車輪モータ50の回転角度位置を検出するエンコーダ52と、モータ指令信号およびエンコーダ52の出力信号に基づいて車輪モータ50の駆動を制御するドライバ54が設けられている。
【0045】
脚車輪型ロボット100は、更に、CPU60と、脚車輪型ロボット100の姿勢を検出する3軸姿勢センサ70と、カメラ32の画像信号を処理するビジョンプロセッサ72と、外部のPC等と無線通信を行う無線通信部74と、ビジョンプロセッサ72および無線通信部74とCPU60の入出力を中継するハブ76と、警告音等を出力するスピーカ78とを有して構成される。
【0046】
3軸姿勢センサ70は、ジャイロ若しくは加速度センサ、またはその両方を有し、地軸に対して脚車輪型ロボット100の姿勢の傾きを検出する。
CPU60は、モータ指令出力I/F61を介してドライバ44、54にモータ指令信号を出力し、角度取込I/F62を介してエンコーダ42、52の出力信号を入力する。また、センサ入力I/F63を介して、脚先センサ24、障害物センサ34、3軸姿勢センサ70、基準位置検出センサ210及び限界位置検出センサ220からそれぞれセンサ信号を入力する。また、通信I/F64を介してハブ76と信号の入出力を行い、サウンド出力I/F65を介してスピーカ78に音声信号を出力する。
【0047】
次に、CPU60で実行される処理を説明する。
CPU60は、ROM等の所定領域に格納されている制御プログラムを起動させ、その制御プログラムに従って、仮原点位置検出処理、原点位置設定処理、車輪走行制御処理、昇降制御処理などを実行する。
仮原点位置検出処理は、脚車輪型ロボット100の各脚部12の回転関節14に対する原点位置を設定するための処理であって、基準位置検出センサ210の検出結果に基づき、各脚部12の回転関節14に対する仮の原点位置(以下、単に脚部12の仮の原点位置という)を検出する処理である。
【0048】
また、原点位置設定処理は、モータのバックラッシュ、センサのバラツキ、制御のバラツキなどによる仮の原点位置のバラツキを補正し、該補正後の位置を脚部12の回転関節14に対する原点位置(以下、単に脚部12の原点位置という)として設定する処理である。具体的に、仮原点位置検出処理で検出された仮の原点位置と、仮の原点位置の検出範囲(バラツキの幅)と、エンコーダの発生する各種パルス信号とに基づき、仮の原点位置のバラツキを補正する。
【0049】
なお、仮原点位置検出処理及び原点位置設定処理は、脚車輪型ロボット100の電源が投入される毎に実行するようにしても良いし、一度設定した原点位置を記憶保持しておき、初期の電源投入時以外は行わないようにしても良いし、センサなどの経年劣化等を考慮して、定期的に実行するようにしても良い。ここで、原点位置の情報を記憶保持する場合には、脚車輪型ロボット100を、データの書き換えが可能で且つ電源の供給無しでもデータを保持できるフラッシュメモリ等の記憶媒体を備えた構成とする。
【0050】
また、不慮の事故などで原点位置の情報が消えてしまったり、壊れてしまったりした場合には、情報の有無や破壊の有無を自動で検知して仮原点位置検出処理及び原点位置設定処理を実行させるか、または、別途設定指令を発行して、これらの処理を実行させるようにする。
また、車輪走行制御処理は、駆動輪20を用いた移動を制御する処理であり、昇降制御処理は、脚部12を用いて段差等の障害物を昇降する移動を制御する処理である。なお、本発明は、脚部12の原点位置を設定する処理に特徴があり、また、車輪走行制御処理及び昇降制御処理については従来の脚車輪型ロボットと同様となるので、これらの処理については説明を省略する。
【0051】
まず、図6に基づき、仮原点位置検出処理を説明する。
ここで、図6は、仮原点位置検出処理を示すフローチャートである。なお、図6のフローチャートは、各脚部12に共通した仮原点位置検出処理を示すものであり、同様の処理を各脚部12に対して順番に又は同時に行うこととなる。
CPU60において仮原点位置検出処理が実行されると、まず、図6に示すように、ステップS100に移行する。
【0052】
ステップS100では、CPU60において、センサ入力I/F63を介して入力される限界位置検出センサ220のセンサ出力信号に基づき、該当する脚部12の限界位置検出センサ220によって、第2ドグ202が検出されたか否かを判定し、検出されたと判定した場合(Yes)は、ステップS102に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS116に移行する。
【0053】
ステップS102に移行した場合は、CPU60において、モータ指令出力I/F61を介して、該当する回転関節14の関節モータ40のドライバ44に対して指令を与えて関節モータ40を駆動して回転関節14を回転し、脚部12を、その初期位置から基準回転角度位置の方向(本実施の形態においては、右前脚及び左後脚の場合は反時計回り方向、左前脚及び右後脚の場合は時計回り方向)に所定の回動速度で回動させて、ステップS104に移行する。つまり、脚部12の回転関節14に対する初期位置が限界回転角度位置(限界位置検出センサ220の配設位置)の近傍であった場合は、それ以上、限界位置検出センサ220の配設位置方向(本実施の形態においては、右前脚及び左後脚の場合は時計回り方向、左前脚及び右後脚の場合は反時計回り方向)へと回動させるのは危険であるため、例外として、初期の回動方向を基準回転角度位置方向(基準位置検出センサ210の配設位置方向)とする。
【0054】
ステップS104では、CPU60において、センサ入力I/F63を介して入力される基準位置検出センサ210のセンサ出力信号に基づき、該当する脚部12の基準位置検出センサ210によって、第1ドグ200が検出されたか否かを判定し、検出されたと判定した場合(Yes)は、ステップS106に移行し、そうでない場合(No)は、検出されるまで判定処理を繰り返す。
【0055】
ステップS106に移行した場合は、CPU60において、モータ指令出力I/F61を介して、該当する回転関節14の関節モータ40のドライバ44に対して指令を与えて関節モータ40の回転速度を減速し、脚部12を、引き続き同じ回動方向に所定回転角度分回動させて、ステップS108に移行する。本実施の形態において、この所定回転角度は、第1ドグ200が基準位置検出センサ210の検出範囲外に出るまでの角度である。
【0056】
ステップS108では、CPU60において、モータ指令出力I/F61を介して、該当する回転関節14の関節モータ40のドライバ44に対して指令を与えて関節モータ40を駆動し、脚部12を、該当する限界位置検出センサ220の配設位置方向に回動させて、ステップS110に移行する。
ステップS110では、CPU60において、センサ入力I/F63を介して入力される基準位置検出センサ210のセンサ出力信号に基づき、該当する脚部12の基準位置検出センサ210によって、第1ドグ200が検出されたか否かを判定し、検出されたと判定した場合(Yes)は、モータ指令出力I/F61を介して、該当する回転関節14の関節モータ40のドライバ44に対して指令を与えて関節モータ40の動作を停止して、ステップS112に移行し、そうでない場合(No)は、検出されるまで判定処理を繰り返す。
【0057】
ステップS112に移行した場合は、CPU60において、ステップS110で第1ドグ200が検出された位置(本実施の形態では、センサ出力信号の立上がり位置)を、仮の原点位置として検出して、ステップS114に移行する。
ステップS114では、CPU60において、ステップS112で検出した仮の原点位置の情報を、RAM(不図示)に記憶すると共に、後述する検出範囲の算出用に、不図示のフラッシュメモリに記憶して、一連の処理を終了し元の処理に復帰させる。ここで、本実施の形態においては、仮の原点位置に対して、該原点位置を検出後に(センサ出力信号の立上がりに対して)最初にエンコーダ42の発生する、カウントパルス信号、Z相パルス信号、該Z相パルス信号の検出後の最初のカウントパルス信号の各位置情報についてもRAMに記憶する。
【0058】
また、ステップS100において、限界位置検出センサ220で第2ドグ202が検出されずにステップS116に移行した場合は、CPU60において、モータ指令出力I/F61を介して、該当する回転関節14の関節モータ40のドライバ44に対して指令を与えて関節モータ40を駆動して回転関節14を回転し、脚部12を、その初期位置から該当する限界位置検出センサ220の配設位置方向に所定の回動速度で回動させて、ステップS118に移行する。
【0059】
ステップS118では、CPU60において、センサ入力I/F63を介して入力される基準位置検出センサ210のセンサ出力信号に基づき、該当する脚部12の基準位置検出センサ210によって、第1ドグ200が検出されたか否かを判定し、検出されたと判定した場合(Yes)は、モータ指令出力I/F61を介して、該当する回転関節14の関節モータ40のドライバ44に対して指令を与えて関節モータ40の動作を停止して、ステップS120に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS124に移行する。
【0060】
ステップS120に移行した場合は、CPU60において、ステップS118で第1ドグ200が検出された位置(本実施の形態では、センサ出力信号の立上がり位置)を、仮の原点位置として検出して、ステップS122に移行する。
ステップS122では、CPU60において、ステップS120で検出した仮の原点位置の情報を、RAM(不図示)に記憶すると共に、後述する検出範囲の算出用に、不図示のフラッシュメモリに記憶して、一連の処理を終了し元の処理に復帰させる。ここで、本実施の形態においては、仮の原点位置に対して、該原点位置を検出後に(センサ出力信号の立上がりに対して)最初にエンコーダ42の発生する、カウントパルス信号、Z相パルス信号、該Z相パルス信号の検出後の最初のカウントパルス信号の各位置情報についてもRAMに記憶する。
【0061】
また、ステップS118において、基準位置検出センサ210において第1ドグ200が検出されずに、ステップS124に移行した場合は、CPU60において、センサ入力I/F63を介して入力される限界位置検出センサ220のセンサ出力信号に基づき、該当する脚部12の限界位置検出センサ220によって、第2ドグ202が検出されたか否かを判定し、検出されたと判定した場合(Yes)は、モータ指令出力I/F61を介して、該当する回転関節14の関節モータ40のドライバ44に対して指令を与えて関節モータ40の動作を停止して、ステップS126に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS118に移行する。
【0062】
ステップS126に移行した場合は、CPU60において、モータ指令出力I/F61を介して、該当する回転関節14の関節モータ40のドライバ44に対して指令を与えて関節モータ40を駆動して回転関節14を回転し、脚部12を、基準回転角度位置方向に所定の回動速度で回動させて、ステップS104に移行する。
【0063】
次に、図7に基づき、原点位置設定処理を説明する。
ここで、図7は、原点位置設定処理を示すフローチャートである。なお、図7のフローチャートは、各脚部12に共通した原点位置を設定する処理を示すものであり、同様の処理を各脚部12に対して順番に又は同時に行うこととなる。
CPU60において原点位置設定処理が実行されると、まず、図7に示すように、ステップS200に移行する。
【0064】
ステップS200では、CPU60において、不図示のフラッシュメモリから、仮の原点位置の検出範囲の情報を読み出し、ステップS202に移行する。
本実施の形態において、仮の原点位置の検出範囲については、原点位置設定処理の前に、上記仮原点位置検出処理を複数回行った結果を用いて算出し、RAMやフラッシュメモリなどに記憶保持しておく。具体的には、脚部12の回転関節14毎に複数回検出された仮の原点位置(回転角度)のうち、最小値と最大値との差分値を算出する。この差分値が、仮の原点位置のバラツキの範囲である検出範囲となる。
【0065】
ステップS202では、CPU60において、不図示のフラッシュメモリから、エンコーダ42の4逓倍カウントパルス信号のパルスの情報(1周期のパルスに対応する回転角度幅(分解能))を読み出し、ステップS204に移行する。なお、このパルスの情報も、予め不図示のフラッシュメモリに記憶保持しておく。
ステップS204では、CPU60において、ステップS200で読み出した検出範囲と、ステップS202で読み出したパルスの情報とを比較して、ステップS206に移行する。
【0066】
ステップS206では、CPU60において、ステップS204の比較結果から、検出範囲(バラツキの幅)が、4逓倍カウントパルス信号の1周期のパルスに対応する回転角度幅の範囲内に収まっているか否かを判定し、且つ、仮の原点位置の情報の最小値、最大値ともカウントパルスの立ち上がりと次のパルスの立ち上がりとの間に存在するか否かを判定し、範囲内に収まると判定され且つ間に存在すると判定された(条件を満たしていると判定された)場合(Yes)は、ステップS208に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS214に移行する。
【0067】
ステップS208に移行した場合は、CPU60において、同期モードが設定されているか否かを判定し、設定されていると判定された場合(Yes)は、ステップS210に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS212に移行する。ここで、同期モードとは、4逓倍カウントパルス信号と同期して原点位置を設定するモードである。この他にも、半同期モード及び非同期モードがある。半同期モードでは、エンコーダ42のZ相パルス信号と同期して原点位置を設定する。また、非同期モードでは、4逓倍カウントパルス信号及びZ相パルス信号とは非同期に原点位置を設定する。本実施の形態においては、これらのモードを、例えば、外部のPC等を介して、ユーザが予め設定することができるようになっている。
【0068】
ステップS210に移行した場合は、CPU60において、RAMに記憶された、仮の原点位置を特定するセンサ出力信号(立上がり)の検出後に、最初にエンコーダ42の発生する4逓倍カウントパルス信号の立上がり位置で特定される回転角度位置を、該当する脚部12の原点位置として設定して、一連の処理を終了し元の処理に復帰させる。
一方、ステップS208において、非同期モードが設定されており、ステップS212に移行した場合は、CPU60において、RAMに記憶された、仮の原点位置を、該当する脚部12の原点位置として設定して、一連の処理を終了し元の処理に復帰させる。
【0069】
また、ステップS206において、検出範囲が、4逓倍カウントパルス信号の1周期の回転角度範囲に収まってなく、ステップS214に移行した場合は、CPU60において、同期モードが設定されているか否かを判定し、設定されていると判定した場合(Yes)は、ステップS216に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS218に移行する。
ステップS216に移行した場合は、CPU60において、RAMに記憶された、仮の原点位置を特定するセンサ出力信号(立上がり)の検出後における、最初にエンコーダ42の発生するZ相パルス信号の検出後で、且つ最初にエンコーダ42の発生する4逓倍カウントパルス信号の立上がり位置で特定される回転角度位置を、該当する脚部12の原点位置として設定して、一連の処理を終了し元の処理に復帰させる。
【0070】
一方、ステップS218に移行した場合は、CPU60において、RAMに記憶された、仮の原点位置を特定するセンサ出力信号(立上がり)の検出後に、最初にエンコーダ42の発生するZ相パルス信号の立上がり位置で特定される回転角度位置を、該当する脚部12の原点位置として設定して、一連の処理を終了し元の処理に復帰させる。
次に、図8〜図11に基づき、本実施の形態の動作を説明する。
【0071】
ここで、図8(a)及び(b)は、図3のA−A断面から見た、脚部12の回転関節14に対する原点位置を検出する際の第1の回動パターンを示す図である。また、図9(a)〜(d)は、図3のA−A断面から見た、脚部12の回転関節14に対する仮の原点位置を検出する際の第2の回動パターンを示す図である。また、図10(a)及び(b)は、検出範囲が1周期の範囲内に収まるときの同期モード及び非同期モードにおける原点位置を示す図である。また、図11(a)及び(b)は、検出範囲が1周期の範囲内に収まらないときの半同期モード及び同期モードにおける原点位置を示す図である。
【0072】
脚車輪型ロボット100は、電源が投入されると、まず、原点位置設定処理で用いる検出範囲の算出処理を実行する。検出範囲の算出処理が開始されると、CPU60は、まず、フラッシュメモリに記憶されている、過去に検出された仮の原点位置の情報を読み出す。ここで、工場出荷後に初めて電源が投入されたときなど、フラッシュメモリに過去の仮の原点位置の情報が記憶されていない場合は、まず、仮原点位置検出処理を複数回実行する。ここでは、フラッシュメモリに過去の複数回分の仮の原点位置の情報が記憶されているとして説明を行う。
【0073】
CPU60は、複数の仮の原点位置の情報(回転角度)のうち、最小値と最大値を読み出し、これらの差分値を算出する。この差分値が検出範囲となる。検出範囲は、全ての脚部12に対して算出し、各脚部12に対して設定する。なお、検出範囲の算出処理は、仮原点位置検出処理が終了する毎に行っても良い。この場合は、仮の原点位置の最新の検出結果に基づき、原点位置の設定処理に用いる検出範囲を算出することができる。
【0074】
検出範囲が算出されると、CPU60は、次に、原点位置の設定対象の脚部12に対する仮原点位置検出処理を実行する。
仮原点位置検出処理が実行されると、CPU60は、センサ入力I/F63を介して入力される、原点位置の設定対象である脚部12に対する限界位置検出センサ220のセンサ出力信号に基づき、設定対象の脚部12に対する第2ドグ202が限界位置検出センサ220において検出されたか否かを判定する(ステップS100)。
【0075】
基体10の前端部又は後端部に設けられた、該当する脚部12に対応する第2ドグ202が、限界位置検出センサ220において検出されなかった場合(ステップS100の「No」の分岐)は、CPU60は、モータ指令出力I/F61を介して、脚部12の回転関節14を駆動する関節モータ40のドライバ44に対して指令を与え、脚部12を、限界位置検出センサ220によって位置検出が行われる限界回転角度位置の方向に、所定の回動速度で回動させる(ステップS116)。この回動速度は、基準位置検出センサ210及び限界位置検出センサ220の検出速度及びCPU60の演算速度などを考慮し、例えば、仮原点位置検出処理及び原点位置設定処理を最速で完了することができる速度であることが望ましい。
【0076】
以下、右前脚(後左脚も同様)を例に挙げて動作を説明する。
ここで、右前脚に対応する第1ドグ200及び第2ドグ202の初期位置が、図8(a)に示すように、基準位置検出センサ210よりも手前に位置する場合は、図8(b)に示すように、脚部12が限界位置検出センサ220の配設方向(右前脚の場合は、時計回り方向)に回動するのに連動して、第1ドグ200及び第2ドグ202が時計回りに回動し、最初に第1ドグ200が基準位置検出センサ210の検出位置へと到達する。第1ドグ200が検出位置に到達すると、基準位置検出センサ210を構成するフォトインタラプタの発光部から射出された光線を第1ドグ200が遮断し、これによって、光線が受光部へと到達しなくなるためセンサ出力信号が変化(ここではローレベルからハイレベルへと変化)する(ステップS118の「Yes」の分岐)。CPU60は、このセンサ出力信号の変化位置(信号の立上がり位置)によって特定される回転角度位置を、角度取込I/Fを介してエンコーダ42から取得し、該取得した回転角度位置を仮の原点位置とする(ステップS120)。更に、CPU60は、仮の原点位置が検出されると、モータ指令出力I/F61を介して、回転関節14の関節モータ40のドライバ44に対して指令を与え、脚部12の回動を停止する。また、CPU60は、検出した仮の原点位置の情報を、RAMに記憶すると共に、フラッシュメモリにも記憶する(ステップS122)。
【0077】
更に、CPU60は、仮の原点位置を特定するセンサ出力信号の立上がり後に、最初に発生する4逓倍カウントパルス信号の立上がり位置によって特定される回転角度位置、仮の原点位置を特定するセンサ出力信号の立上がり後に、最初に発生するZ相パルス信号の立上がり位置によって特定される回転角度位置、仮の原点位置を特定するセンサ出力信号の立上がり後に最初に発生するZ相パルス信号の立上がり後に、最初に発生する4逓倍カウントパルス信号の立上がり位置によって特定される回転角度位置の情報をRAMに記憶する。
【0078】
一方、第1ドグ200及び第2ドグ202の初期位置が、図9(a)に示すように、基準位置検出センサ210と、限界位置検出センサ220との間に位置する場合は、図9(b)に示すように、脚部12が時計回りに回動することに連動して、第1ドグ200及び第2ドグ202が時計回りに回動し、最初に第2ドグ202が限界位置検出センサ220の検出位置へと到達する。これにより、限界位置検出センサ220を構成するフォトインタラプタの発光部から射出された光線が第2ドグ202に遮断され、センサ出力信号がローレベルからハイレベルへと変化する(ステップS124の「Yes」の分岐)。CPU60は、このセンサ出力信号の変化に応じて、モータ指令出力I/F61を介して、回転関節14の関節モータ40のドライバ44に対して指令を与え、図9(c)に示すように、脚部12を基準回転角度位置方向(半時計回り方向)に回動させる(ステップS126)。これにより、該当する脚部12に対応する第1ドグ200は、やがて基準位置検出センサ210の検出位置へと到達し、該センサ210のセンサ出力信号をローレベルからハイレベルへと変化させる(ステップS104の「Yes」の分岐)。CPU60は、このセンサ出力信号の変化に応じて、モータ指令出力I/F61を介して、回転関節14の関節モータ40のドライバ44に対して指令を与え、脚部12の回動速度を現在の速度から減速する。更に、図9(c)に示すように、基準位置検出センサ210の検出範囲から第1ドグ200が出るまで(センサ出力信号がローレベルに変化するまで)、脚部12を同じ方向(半時計回り方向)に減速させた状態で回動させる(ステップS106)。つまり、この回動分の回転角度が所定の回転角度となる。
【0079】
第1ドグ200が所定の回転角度分、反時計回り方向に回動した位置にくると(センサ出力信号がローレベルに変化すると)、CPU60は、このセンサ出力信号の変化に応じて、モータ指令出力I/F61を介して、回転関節14の関節モータ40のドライバ44に対して指令を与え、図9(d)に示すように、脚部12を上記検出範囲から出るまでと同じ減速状態で時計回り方向に回動させる(ステップS108)。これにより、該当する脚部12に対応する第1ドグ200は、再び基準位置検出センサ210の検出位置へと到達し、該センサ210のセンサ出力信号をローレベルからハイレベルへと変化させる(ステップS110の「Yes」の分岐)。CPU60は、このセンサ出力信号の変化位置(信号の立上がり位置)によって特定される回転角度位置を、角度取込I/Fを介してエンコーダ42から取得し、該取得した回転角度位置を仮の原点位置とする(ステップS112)。更に、CPU60は、仮の原点位置が検出されると、モータ指令出力I/F61を介して、回転関節14の関節モータ40のドライバ44に対して指令を与え、脚部12の回動を停止する。また、CPU60は、検出した仮の原点位置の情報を、RAMに記憶すると共に、フラッシュメモリにも記憶する(ステップS114)。
【0080】
更に、CPU60は、仮の原点位置を特定するセンサ出力信号の立上がり後に、最初に発生する4逓倍カウントパルス信号の立上がり位置によって特定される回転角度位置、仮の原点位置を特定するセンサ出力信号の立上がり後に、最初に発生するZ相パルス信号の立上がり位置によって特定される回転角度位置、仮の原点位置を特定するセンサ出力信号の立上がり後に最初に発生するZ相パルス信号の立上がり後に、最初に発生する4逓倍カウントパルス信号の立上がり位置によって特定される回転角度位置の情報をRAMに記憶する。
【0081】
このようにして仮の原点位置が検出されると、CPU60は、次に、原点位置設定処理を実行する。原点位置設定処理が実行されると、上記算出した検出範囲の情報をRAMから読み出すと共に(ステップS200)、エンコーダ42の4逓倍カウントパルスのパルスの情報をROM又はフラッシュメモリから読み出す(ステップS202)。
次に、CPU60は、読み出した検出範囲(回転角度幅)とパルスの情報(パルスの1周期に対する回転角度幅)とを比較する(ステップS204)。
【0082】
例えば、検出範囲が0.5[°]で、パルス周期が1.0[°]である場合は、検出範囲はパルスの1周期の角度範囲内に収まっているので、これに加えて、仮の原点位置の情報の最小値、最大値とも、カウントパルスの立ち上がりと次のカウントパルスの立ち上がりとの間に存在することが満たされれば(ステップS206の「Yes」の分岐)、CPU60は、次に、非同期モード及び同期モードのうち設定されたモードに応じて仮の原点位置を補正し、該補正した位置を該当する脚部12の原点位置として設定する。
【0083】
非同期モードが設定されている場合(ステップS208の「No」の分岐)は、図10(a)に示すように、基準位置検出センサ210の検出位置(立上がり位置)によって特定される回転角度位置を、原点位置として設定する。つまり、検出範囲がエンコーダの分解能の範囲内である場合は、仮の原点位置のバラツキが無視できる大きさであるため、センサ出力信号によって特定される回転角度位置をそのまま原点位置として設定する(ステップS212)。つまり、この場合は無補正となる。
【0084】
一方、同期モードが設定されている場合(ステップS208の「Yes」の分岐)は、図10(b)に示すように、仮の原点位置を示すセンサ出力信号の立上がり後、最初の4逓倍カウントパルス信号の立上がり位置によって特定される回転角度位置を、該当する脚部12の原点位置として設定する。つまり、検出範囲がエンコーダの分解能の範囲内である場合は、仮の原点位置のバラツキが無視できる大きさであるため、仮の原点位置を、4逓倍カウントパルス信号に同期させた位置に補正し、該補正した位置を原点位置として設定する(ステップS210)。
【0085】
また、例えば、検出範囲が1.5[°]で、パルス周期が1.0[°]である場合は、検出範囲はパルスの1周期の角度範囲内に収まっていないので(ステップS206の「No」の分岐)、半同期モード及び同期モードのうち設定されたモードに応じて仮の原点位置を補正し、該補正した位置を該当する脚部12の原点位置として設定する。
半同期モードが設定されている場合(ステップS214の「No」の分岐)は、図11(a)に示すように、仮の原点位置を示すセンサ出力信号の立上がり後、最初のZ相パルス信号の立上がり位置によって特定される回転角度位置を、該当する脚部12の原点位置として設定する。つまり、検出範囲がエンコーダの分解能の範囲内に収まっていない場合は、仮の原点位置のバラツキが無視できない大きさのため、仮の原点位置を、Z相パルス信号に同期させた位置に補正し、該補正した位置を該当する脚部12の原点位置として設定する(ステップS218)。
【0086】
一方、同期モードが設定されている場合(ステップS214の「Yes」の分岐)は、図11(b)に示すように、仮の原点位置を示すセンサ出力信号の立上がり後の最初のZ相パルス信号の立上がり後で、且つ最初の4逓倍カウントパルス信号の立上がり位置によって特定される回転角度位置を、該当する脚部12の原点位置として設定する。つまり、検出範囲がエンコーダの分解能の範囲内に収まっていない場合は、仮の原点位置のバラツキが無視できない大きさのため、仮の原点位置を、Z相パルス信号の立上がり後における、4逓倍カウントパルス信号に同期させた位置に補正し、該補正した位置を該当する脚部12の原点位置として設定する(ステップS216)。
【0087】
本実施の形態において、上記した仮の原点位置の補正処理は、予めRAMに記憶されている上記各モードに対応した回転角度位置情報を用いて行う。つまり、RAMには、各モードに対応した補正後の回転角度位置の情報が記憶されているので、モードに応じた回転角度位置を選択して、該選択した回転角度位置を原点位置として設定する。
上記の仮原点位置検出処理及び原点位置設定処理を、脚車輪型ロボット100の各脚部12に対して行うことで、各脚部12の回転関節14に対する原点位置の設定が完了する。
【0088】
以上、本実施の形態の脚車輪型ロボット100は、脚部12の回転関節14に対する基準の原点位置を検出する基準位置検出センサ210を、第1股関節駆動部120のハウジングの下面に設け、基準位置検出センサ210の検出対象である第1ドグ200を、第2股関節駆動部122のハウジングの上面における基準位置検出センサ210と基準の原点位置において対向する位置に設けた構成とした。
【0089】
更に、本実施の形態の脚車輪型ロボット100は、限界位置検出センサ220の検出対象である第2ドグ202を、第2股関節駆動部122のハウジングの上面に第1ドグ200に対して径方向に一直線状に並べて設け、脚部12の回転関節14に対する時計回り方向又は半時計回り方向の限界回転角度位置を検出する限界位置検出センサ220を、第2股関節駆動部122のハウジングの上面に設けられた第2ドグ202が限界回転角度位置まで回動したときに対向する、基体10の前端部及び後端部の下面中央付近の位置に設けた構成とした。
【0090】
また、本実施の形態の脚車輪型ロボット100は、回転関節14を回転して脚部12を回動することで、第1ドグ200及び第2ドグ202をその初期位置から最初に限界位置検出センサ220の配設位置方向に回動させ、最初に基準位置検出センサ210で第1ドグ200が検出された場合は、その検出位置を仮の原点位置とすることが可能である。また、回転関節14を回転して脚部12を回動することで、第1ドグ200及び第2ドグ202をその初期位置から最初に限界位置検出センサ220の配設位置方向に回動させ、最初に限界位置検出センサ220で第2ドグ202が検出された場合は、基準位置検出センサ210の検出位置を所定回転角度分通過するまで基準の原点位置方向に第1ドグ200及び第2ドグ202を回動し、しかる後、再び限界位置検出センサ220の配設位置方向に第1ドグ200及び第2ドグ202を回動させ、これにより、基準位置検出センサ210で第1ドグ200が検出された場合は、その検出位置を仮の原点位置とすることが可能である。
【0091】
以上より、各脚部12に対して、基準位置検出センサ210及び限界位置検出センサ220を1つずつと、各センサにそれぞれ対応するドグ(第1ドグ200及び第2ドグ202(第1被検出部及び第2被検出部))とを設けた簡単な構成で安全に仮の原点位置を検出することができる。また、第1ドグ200が限界位置検出センサ220の配設位置方向に回動しているときに、該第1ドグ200が基準位置検出センサ210で検出されたときにのみ、その検出位置を仮の原点位置とするようにしたので、仮原点位置検出処理において、毎回、基準位置検出センサ210の検出位置への第1ドグ200の進入方向を揃えることができ、進入方向の違いによる仮の原点位置のズレの発生を防止することができる。
【0092】
また、各センサに対して専用のドグを設ける構成としたので、各センサ及び各センサに対応するドグの組を任意の位置に配設することが可能である。例えば、2つのセンサに対して共通の1つのドグを用いた場合に、ドグが基準の原点位置にあるときにこれと対応する位置に基準位置検出センサを設けることができても、このドグが限界回転角度位置に回動したときに、これと対応する位置に限界位置検出センサを設けることができない状況が発生しうる。例えば、ドグの上方にセンサを設ける部材が無いなど。本発明は、このような場合に、各センサに対してそれぞれ専用のドグを設けるようにしたので、センサとドグの組を適切な位置に設けることができる。
【0093】
更に、本実施の形態の脚車輪型ロボット100は、仮の原点位置を検出後に、該仮の原点位置の検出範囲、エンコーダ42の4逓倍カウントパルス信号の1周期のパルスの情報、及びエンコーダ42の発生する各種パルス信号に基づき、仮の原点位置を補正し、該補正後の位置を原点位置として設定することが可能である。
これにより、モータのバックラッシュ、センサのバラツキ、制御のバラツキなどによる仮の原点位置のバラツキを補正することができるので、安定した原点位置の設定を行うことができる。
【0094】
また、本実施の形態の脚車輪型ロボット100は、過去に行われた複数回の仮原点位置検出処理の検出結果を用いて、仮の原点位置の検出範囲を算出することが可能である。
これにより、過去の最新の検出結果の反映された検出範囲に基づき、原点位置設定処理を実行することができるので、適切な原点位置の設定を行うことができる。また、検出範囲の算出を行うことができるので、複数回分の新たな仮の原点位置の検出結果を用いて、定期的に検出範囲を更新することで、センサや制御系の経年劣化に対応することができる。
【0095】
上記実施の形態において、脚車輪型ロボット100は、発明7の脚車輪型ロボットに対応し、脚部12は、発明6のリンク機構又は発明7の脚部に対応する。
また、上記実施の形態において、関節モータ40は、発明1、5、6及び7のアクチュエータに対応し、車輪モータ50は、発明7のアクチュエータに対応する。
また、上記実施の形態において、第1ドグ200は、発明1乃至5の第1被検出部に対応し、第2ドグ202は、発明1乃至5の第2被検出部に対応し、基準位置検出センサ210は、発明1乃至5の基準位置検出センサに対応し、限界位置検出センサ220は、発明1乃至5の限界位置検出センサに対応する。
【0096】
また、上記実施の形態において、ステップS100〜S110、S116〜S120、S124、S126は、発明1の回動制御手段に対応し、ステップS112、S114、S120、S122、並びにステップS200〜S218は、発明1又は2の原点位置設定手段に対応する。
また、上記実施の形態において、ステップS116は、発明5の第1のステップに対応し、ステップS118〜S122、並びにステップS200〜S218は、発明5の第2のステップに対応し、ステップS124〜S126は、並びにステップS104〜S106は、発明5の第3のステップに対応し、ステップS108は、発明5の第4のステップに対応し、ステップS110〜S114、並びにステップS200〜S218は、発明5の第5のステップに対応する。
【0097】
なお、上記実施の形態においては、脚部12の回転関節14に対する原点位置を設定するために、第1ドグ200、第2ドグ202、基準位置検出センサ210及び限界位置検出センサ220を設けた構成としたが、回転関節14だけに限らず、回転関節16や第1リンク17などに第1ドグ200、第2ドグ202、基準位置検出センサ210及び限界位置検出センサ220を設け、第1リンク17の回転関節16に対する基準の原点位置、限界回転角度位置を検出し、第1リンク17の回転関節16に対する原点位置を設定できる構成とすることも可能である。同様に、回転関節18や第2リンク19などに第1ドグ200、第2ドグ202、基準位置検出センサ210及び限界位置検出センサ220を設け、第2リンク19の回転関節18に対する基準の原点位置、限界回転角度位置を検出し、第2リンク19の回転関節18に対する原点位置を設定できる構成とすることも可能である。
【0098】
また、上記実施の形態においては、図2や図3に示すように、脚部12の回転関節14に対する仮原点位置を検出するために、第1ドグ200及び第2ドグ202を、径方向に一直線状に並べて配設する構成としたが、これに限らず、図12(a)に示すように、径方向に加えて、周方向にも、第1ドグ200及び第2ドグ202の位置を任意の位置にずらして配設する構成としても良い。また、径方向にずらす距離についても、センサがぶつからない範囲であれば、例えば、図12(b)に示すように、図2や図3に示す構成よりも第1ドグ200及び第2ドグ202の距離を近づけるなど、任意の距離を空けて配設することが可能である。また、図12に示す配設例に限らず、例えば、基準位置検出センサ210及び限界位置検出センサ220を配設する高さ位置を互いに異なる位置にできる場合は、これらの高さ位置にそれぞれ被検出部分を有する互いに異なる高さの第1ドグ200及び第2ドグ202を周方向に並べて配設することも可能である。また、前述のように、第1ドグ200及び第2ドグ202の高さを変えてこれらを周方向に並べて配設する場合に、例えば、第1ドグ200及び第2ドグ202が図2や図3に示すような形状を有している場合に、これらの被検出部分(短辺部)の高さ位置に加え両者の長さを異ならせることで、基準位置検出センサ210及び限界位置検出センサ220を、高さ方向に加え径方向にずらして配設することが可能である。
【0099】
ここで、図12(a)及び(b)は、第1ドグ200及び第2ドグ202の他の配設位置の例を示す図である。
また、上記実施の形態においては、右前脚(及び後左脚)については、時計回り方向の限界回転角度位置の近傍に回動した第2ドグ202を検出するように、限界位置検出センサ220を設ける構成としたが、これに限らず、反時計回り方向の限界回転角度位置の近傍に回動した第2ドグ202を検出するように、限界位置検出センサ220を設ける構成としても良い。
【0100】
また、上記実施の形態においては、検出範囲がパルスの1周期の回転角度幅の範囲内に収まるか否かの判定処理を、原点位置設定処理を行う毎に実行する構成としたが、これに限らず、例えば、検出範囲の情報が定期的に更新されるような場合は、その周期に対して1度だけ処理を行い、その処理結果をフラッシュメモリ等に記憶保持する構成など、他の構成としても良い。
【0101】
また、上記実施の形態においては、エンコーダ42を、4逓倍カウントでカウントするパルスカウンタを有する構成としたが、これに限らず、逓倍なし、2逓倍、8逓倍など他のカウント方法でカウントするパルスカウンタを有する構成としても良い。
また、上記実施の形態においては、仮の原点位置を検出する際に、第1ドグ200の基準位置検出センサ210の検出位置への進入方向を揃える構成としたが、これに限らず、進入方向に関係なく、基準位置検出センサ210の検出結果を仮の原点位置として検出する構成としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明に係る脚車輪型ロボット100の正面図である。
【図2】本発明に係る脚車輪型ロボット100の側面図である。
【図3】右前方の脚部12が限界位置まで回動しているときの脚車輪型ロボット100の正面図である。
【図4】(a)は、右前方の脚部12が基準の原点位置にあるときの図3におけるA−A断面を見た図であり、(b)は、右前方の脚部12を基準の原点位置から限界位置まで回動させたときの図3におけるA−A断面を見た図である。
【図5】脚車輪型ロボット100の駆動制御システムを示すブロック図である。
【図6】仮原点位置検出処理を示すフローチャートである。
【図7】原点位置設定処理を示すフローチャートである。
【図8】(a)及び(b)は、図3のA−A断面から見た、脚部12の回転関節14に対する原点位置を検出する際の第1の回動パターンを示す図である。
【図9】(a)〜(d)は、図3のA−A断面から見た、脚部12の回転関節14に対する仮の原点位置を検出する際の第2の回動パターンを示す図である。
【図10】(a)及び(b)は、検出範囲が1周期の範囲内に収まるときの同期モード及び非同期モードにおける原点位置を示す図である。
【図11】(a)及び(b)は、検出範囲が1周期の範囲内に収まらないときの半同期モード及び同期モードにおける原点位置を示す図である。
【図12】(a)及び(b)は、第1ドグ200及び第2ドグ202の他の配設位置の例を示す図である。
【符号の説明】
【0103】
100 脚車輪型ロボット
200 第1ドグ
202 第2ドグ
210 基準位置検出センサ
220 限界位置検出センサ
120 第1股関節駆動部
122 第2股関節駆動部
10 基体
12 脚部
14、16、18 回転関節
17 第1リンク
19 第2リンク
20 車輪
24 脚先センサ
26 水平レーザ
28、30 垂直レーザ
32 カメラ
34、36 障害物センサ
40 関節モータ
50 車輪モータ
42、52 エンコーダ
44、54 ドライバ
60 CPU
62 角度取込I/F
64 通信I/F
70 3軸姿勢センサ
76 ハブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
関節部を介して回動自在に支持されたリンクと該リンクを回動させる動力を付与するアクチュエータとを有するリンク機構における、前記リンクの原点位置を設定する原点位置設定装置であって、
前記リンクの回動に連動して少なくとも該リンクと同じ回動範囲を、該リンクと共に回動する部位又は該リンクに対して相対的に回動する部位に配設された第1被検出部及び第2被検出部と、前記リンクの原点位置の基準となる回転角度位置である基準回転角度位置へと回動した前記第1被検出部を検出する基準位置検出センサと、前記リンクの一方の回動方向の回動限界位置である限界回転角度位置又はその近傍へと回動した前記第2被検出部を検出する限界位置検出センサと、前記アクチュエータを制御して、前記リンクの初期位置からの最初の回動方向を前記リンクの一方の限界回転角度位置方向として、前記リンクを所定の回動パターンで回動させる回動制御手段と、前記リンクを前記所定の回動パターンで回動させたときの前記基準位置検出センサの検出結果に基づき前記原点位置を設定する原点位置設定手段と、を備えることを特徴とする原点位置設定装置。
【請求項2】
前記所定の回動パターンは、前記リンクをその初期位置から前記一方の限界回転角度位置方向へと回動させ、この回動により、最初に前記基準位置検出センサにおいて前記第1被検出部が検出されると、前記リンクの回動を停止させる第1の回動パターンと、前記リンクをその初期位置から該リンクの前記一方の限界回転角度位置方向へと回動させ、この回動により、最初に前記限界位置検出センサにおいて前記第2被検出部が検出されると、前記第1被検出部が前記基準位置検出センサの検出位置を所定回転角度分通り過ぎる位置まで、前記リンクを該リンクの他方の前記限界回転角度位置方向へと回動させ、しかる後、前記リンクを前記一方の限界回転角度位置方向へと回動させ、この回動により、前記基準位置検出センサにおいて前記第1被検出部が検出されると、前記リンクの回動を停止させる第2の回動パターンとを含み、
前記原点位置設定手段は、前記リンクが前記一方の限界回転角度位置方向に回動しているときに前記基準位置検出センサにおいて検出された前記第1被検出部の検出位置に基づき、前記原点位置を設定することを特徴とする請求項1に記載の原点位置設定装置。
【請求項3】
前記基準位置検出センサは、指向性を有する検出波を射出すると共に該射出した検出波に対する前記第1被検出部の干渉状態に基づき該第1被検出部を検出する構成の非接触式のセンサであり、前記限界位置検出センサは、指向性を有する検出波を射出すると共に該射出した検出波に対する前記第2被検出部の干渉状態に基づき前記第2被検出部を検出する構成の非接触式のセンサであり、
前記基準位置検出センサ及び前記限界位置検出センサを、前記リンクが支持される側の部材と前記リンク又は該リンクと共に回動する部位とのいずれか一方に設けると共に、前記第1被検出部及び前記第2被検出部を、前記リンクが支持される側の部材と前記リンク又は該リンクと共に回動する部位のいずれか他方に設け、
前記基準位置検出センサ及び前記第1被検出部を、前記リンクが前記基準回転角度位置にあるときに前記第1被検出部が前記基準位置検出センサから射出される前記検出波を遮断する位置関係に配設し、前記限界位置検出センサ及び前記第2被検出部を、前記リンクが前記限界回転角度位置又はその近傍の回転角度位置にあるときに前記第2被検出部が前記限界位置検出センサから射出される前記検出波を遮断する位置関係に配設したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の原点位置設定装置。
【請求項4】
前記基準位置検出センサは、検出部への前記第1被検出部の接触によって該第1被検出部を検出する構成の接触式のセンサであり、前記前記限界位置検出センサは、検出部への前記第2被検出部の接触によって該第2被検出部を検出する構成の接触式のセンサであり、
前記基準位置検出センサ及び前記限界位置検出センサを前記リンクが支持される側の部材と前記リンク又は該リンクと共に回動する部位とのいずれか一方に設けると共に、前記第1被検出部及び前記第2被検出部を、前記リンクが支持される側の部材と前記リンク又は該リンクと共に回動する部位のいずれか他方に設け、
前記基準位置検出センサ及び前記第1被検出部を、前記リンクの回転角度位置が前記基準回転角度位置になったときに前記第1被検出部が前記基準位置検出センサの前記接触部に接触する位置関係に配設し、前記限界位置検出センサ及び前記第2被検出部を、前記リンクの回転角度位置が前記限界回転角度位置又はその近傍の回転角度位置になったときに前記第2被検出部が前記限界位置検出センサの前記検出部に接触する位置関係に配設したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の原点位置設定装置。
【請求項5】
関節部を介して回動自在に支持されたリンクと、該リンクを回動させる動力を付与するアクチュエータと、前記リンクの回動に連動して少なくとも該リンクと同じ回動範囲を、該リンクと共に回動する部位又は該リンクに対して相対的に回動する部位に配設された第1被検出部及び第2被検出部と、前記リンクの原点位置の基準となる回転角度位置である基準回転角度位置へと回動した前記第1被検出部を検出する基準位置検出センサと、前記リンクの一方の回動方向の回動限界位置である限界回転角度位置又はその近傍へと回動した前記第2被検出部を検出する限界位置検出センサとを備えたリンク機構に用いられる、前記リンクの原点位置を設定する原点位置設定方法であって、
前記アクチュエータを制御して、前記リンクをその初期位置から前記一方の限界回転角度位置方向へと回動させる第1のステップと、
前記第1のステップにおける前記リンクの回動によって、最初に前記基準位置検出センサにおいて前記第1被検出部が検出されたときに、この検出位置に基づき前記原点位置を設定する第2のステップと、
前記第1のステップにおける前記リンクの回動によって、最初に前記限界位置検出センサにおいて前記第2被検出部が検出されたときに、前記アクチュエータを制御して、前記第1被検出部が前記基準位置検出センサの検出位置を所定回転角度分通り過ぎる位置まで、前記リンクを該リンクの他方の前記限界回転角度位置方向へと回動させる第3のステップと、
前記第3のステップにおいて前記リンクを回動後に、前記アクチュエータを制御して、前記リンクを前記一方の限界回転角度位置方向へと回動させる第4のステップと、
前記第4のステップにおける前記リンクの回動によって、前記基準位置検出センサにおいて前記第1被検出部が検出されたときに、この検出位置に基づき前記原点位置を設定する第5のステップとを含むことを特徴とする原点位置設定方法。
【請求項6】
関節部を介して回動自在に支持されたリンクと、該リンクを回動させる動力を付与するアクチュエータと、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の原点位置設定装置と、を備えることを特徴とするリンク機構。
【請求項7】
基体と、前記基体に対して関節を介して支持された複数の脚部と、各脚部に回転自在に設けられた車輪と、前記各脚部及び前記車輪を駆動する動力を付与するアクチュエータと、前記アクチュエータを制御する制御手段とを備え、環境に応じて前記脚部及び前記車輪の少なくとも一方を駆動することによって移動する脚車輪型ロボットであって、
前記脚部は、複数のリンクを有すると共に、該複数のリンクが関節を介して回動自在に連結された構成を有し、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の原点位置設定装置を備え、
前記原点位置設定装置によって、前記脚部を構成する各リンクの原点位置を設定することを特徴とする脚車輪型ロボット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−50937(P2009−50937A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−218647(P2007−218647)
【出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ハーモニックドライブ
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】