反射防止膜の形成方法及び塗膜形成装置
【課題】 本発明は、反射防止膜の塗布膜厚のばらつきが生じることなく反射防止膜材料を塗布することができる反射防止膜の形成方法及びその方法を実施に適用される塗膜形成装置を提供するものである。
【解決手段】 本発明の反射防止膜の形成方法は、基板の段差を有する表面に反射防止膜を形成する反射防止膜の形成方法であって、前記基板の表面上に反射防止膜材料を滴下し、前記基板の回転による遠心力と前記基板表面に垂直な力とによって、前記反射防止膜材料を塗布して反射防止膜を形成することを特徴とする。
【解決手段】 本発明の反射防止膜の形成方法は、基板の段差を有する表面に反射防止膜を形成する反射防止膜の形成方法であって、前記基板の表面上に反射防止膜材料を滴下し、前記基板の回転による遠心力と前記基板表面に垂直な力とによって、前記反射防止膜材料を塗布して反射防止膜を形成することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射防止膜の形成方法及び塗膜形成装置、特にフォトリソグラフィ法で用いるフォトレジストの下層に塗布形成される反射防止膜の形成方法及びその方法の実施に適用される塗膜形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路の高集積化と高性能化に伴い、コンタクトや配線幅の微細化が進められている。この微細な加工をするために露光技術の向上が求められ、特にフォトリソグラフィ法における露光用光源の短波長化が進められている。この短波長の光源を用いて、段差表面を有する基板上のフォトレジスト層を精度よく露光するには、基板とフォトレジスト層の間に反射防止膜を形成することが行われている。一般的に基板上のフォトレジスト層及び反射防止膜を均一の膜厚となるように形成するために基板を回転させて塗布する図5に示す回転塗布装置101が用いられている。
【0003】
回転塗布装置101は、チャンバー102内に、反射防止膜材料(所要の粘度を有する液体)を塗布すべき基板すなわち被塗布基板、本例では、シリコン半導体基板121を保持する基板保持手段103と、反射防止膜材料を滴下する反射防止膜材料用ノズル104が設けられている。基板保持手段103は、半導体基板121を真空吸着で保持するための真空チャック105を有し、モータ106により回転可能に構成される。チャンバー102には、塗布時の反射防止膜材料の残液を排出する排液口107が設けられる。
【0004】
この回転塗布装置101を用いて反射防止膜を形成する場合には、搬出入口(図示せず)より塗布処理する被塗布基板121をチャンバー102内に搬送して、基板保持手段103の真空チャック105で基板121を保持する。図6Aに、このときの基板121を示す。この基板121は、シリコン基板122上に絶縁膜123、本例ではシリコン酸化膜を形成し、その上に第1の導体層(下層配線パターンに相当する)125と絶縁膜124、本例では後に述べる上層の配線とのコンタクトを取るための第1の導体層125と絶縁膜を酸化シリコンもしくは、窒化シリコンによる絶縁膜124を形成し、さらに絶縁膜126、層間絶縁膜127及び絶縁膜128を順に積層する。本例では、各絶縁膜126、128がシリコン酸化膜、絶縁膜128上には、パターニングされた粗密パターンを備える絶縁膜129が形成される。絶縁膜129はLow−k膜で形成される。絶縁膜129には、この後に形成されるべき、配線パターンに対応した開口130が形成される。符号142は粗パターン領域、符号143は密パターン領域である。
【0005】
次に、先ほどの回転塗布装置101のモータ106を用いて半導体基板121を回転させた状態で、粗密パターンの段差を有する絶縁膜129上に、反射防止膜材料用ノズル104から反射防止膜材料を滴下させる。反射防止膜材料を滴下した後、半導体基板121の回転力と遠心力により半導体基板121の中心部から周縁部に向けて渦巻き状に拡散することで塗布され、図6Bに示す反射防止膜131が形成される。
【0006】
これ以降、図6Cに示すように反射防止膜131上にフォトリソグラフィ法によりレジスト層132を形成する。次に、図6Dに示すように、このレジスト層132を露光現像してパターニングすることで反射防止膜131上に下層の第1の導体層125とのコンタクト部に対応する開口133を有するレジストマスク132Aを形成する。次に図7Eに示すようにレジストマスク132Aを介して、さらにエッチングすることで層間絶縁膜127上に達する開口134が形成される。次に、図7Fに示すようにレジスト層132を除去した後、パターニングされた絶縁膜129,128をマスクに選択エッチングを行って第1の導体層125に達する開口135を形成する。次に図7Gに示すように反射防止膜131を除去した後、開口130及び135内に金属膜、例えばCu膜を堆積させ平坦化処理して、第2の導体層(上層配線パターンに相当する)137と第1の導体層125及び第2の導体層137間を接続するコンタクト部136を形成する。
【0007】
特許文献1には、同様にフォトレジスト層の下に反射防止膜を形成す方法が開示されている。
【特許文献1】特開平11−194499号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように回転塗布装置101を用い反射防止膜の形成方法では、図8Aのように基板121上に段差を持つ絶縁膜129の粗密パターン(142,143)が形成されている場合、下地段差部の粗密パターンを反映して、粗パターン領域142の絶縁膜129上に厚く反射防止膜(膜厚h1)131が堆積し、密パターン領域143の絶縁膜129上に薄く反射防止膜(膜厚h2)131が堆積して、反射防止膜131の塗布膜厚にばらつきが生じてしまう。図8Bに示すように、不均一な膜厚の反射防止膜131上にフォトリソグラフィ法によりフォトレジスト132を形成した後、露光マスク140を用いて、絶縁膜129の各開口130a、130bに合わせて露光する。図8Cに示すように、露光現像して反射防止膜131をエッチングする際に、反射防止膜131の塗布膜厚のばらつきのまま、各開口134a、134bをエッチングすると、狭い開口134bでは、オーバーエッチングとなり、実線の位置まで大きくエッチングされることになる。有機膜の反射防止膜131とレジストマスク132Aとは、エッチング特性が同じであるのでレジストマスク132Aもオーバーエッチングされる。このため、本来必要としている破線の位置以上にエッチングされることとなり、線幅などの寸法変換差が生じてしまう。結果として歩留まりが低下する問題があった。
【0009】
本発明は、上述の点に鑑み、反射防止膜の塗布膜厚のばらつきが生じることなく反射防止膜材料を塗布することができる反射防止膜の形成方法及びその方法を実施に適用される塗膜形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の反射防止膜の形成方法は、基板の段差を有する表面に反射防止膜を形成する反射防止膜の形成方法であって、前記基板の表面上に反射防止膜材料を滴下し、前記基板の回転による遠心力と前記基板表面に垂直な力とによって、前記反射防止膜材料を塗布して反射防止膜を形成することを特徴とする。
【0011】
滴下した前記反射防止膜材料に、前記基板の回転による遠心力を与えながら前記基板表面に垂直な力を与えて、前記反射防止膜材料を塗布することが好ましい。
【0012】
前記反射防止膜材料に、前記基板の回転による遠心力を与えた後、前記基板表面に垂直な力を与えて、前記反射防止膜材料を塗布することが好ましい。
【0013】
前記基板表面に垂直な力は、前記基板表面を上向きにして前記基板を加速度をもって上昇したときに発生する力を用いることが好ましい。
【0014】
本発明に係る塗膜形成装置は、基板の段差を有する表面に塗膜を形成する塗膜形成装置であって、前記基板の表面に塗膜材料を滴下する手段と、滴下した前記塗膜材料に遠心力と与える基板回転手段と、前記基板表面の塗膜材料に前記基板表面に垂直な力を与える基板駆動手段とを備えていることを特徴とする。
【0015】
前記基板駆動手段は、基板表面を上向きにして前記基板を加速度をもって上昇させる昇降機構で構成されていることが好ましい。
【0016】
本発明の反射防止膜の形成方法では、段差を有する基板表面に滴下した反射防止膜材料に基板の回転による遠心力を与えることにより、反射防止膜材料が基板中心部から周縁部に向けて渦巻き状に拡散して塗布される。また、反射防止膜材料に基板表面に垂直な力が与えられることにより、反射防止膜材料の面が上から押しつけられ、膜厚むらが有ると厚い部分の反射防止膜材料が均される。これにより、基板上に反射防止膜を均一の膜厚で形成することができる。
【0017】
本発明の塗膜形成装置では、段差を有する基板表面に塗膜材料を滴下した後、基板回転手段を動作することにより、塗膜材料に回転と遠心力が与えられ、塗膜材料が基板中心部から周縁部に向けて渦巻き状に拡散して塗布される。また、基板駆動手段を動作することにより、基板表面に垂直な力が塗膜材料に与えられ、塗膜材料の面が上から押し付けられる状態になって、膜厚むらが有ると厚い部分の塗膜材料が均される。これによって基板上に塗膜、例えば反射防止膜材料を均一の膜厚に塗布することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の反射防止膜の形成方法によれば、反射防止膜材料を基板上に滴下した後、反射防止膜材料を、基板の回転による遠心力と、基板表面に垂直な力と、によって、塗布して反射防止膜を形成するため、基板上の下地段差パターンの粗密に依存せず、反射防止膜を均一の膜厚に塗布することができ、その後の選択エッチングによる寸法ばらつきが抑制でき、歩留まりが向上する。
【0019】
反射防止膜材料に基板の回転による遠心力を与えながら基板表面に垂直な力を与えことにより、基板上の下地段差の疎密に依存せず、反射防止膜材料を均一な膜厚で塗布することができる。
また、反射防止膜材料に基板の回転による遠心力を与えた後、基板表面に垂直な力を与えるときも、同様に基板上の下地段差の疎密に依存せず、反射防止膜材料を均一な膜厚で塗布することができる。
基板表面に垂直な力として、基板表面を上向きにして基板を加速度をもって上昇したときに発生する力を用いることにより、基板上の反射防止膜材料に対して、基板表面に垂直な力を適切に与えることができる。また、本方法を実施する装置を実用的な大きさにすることができる。
【0020】
本発明の塗膜形成装置によれば、塗膜材料を基板の表面に滴下する手段と、滴下した塗膜材料に遠心力を与える基板回転手段と、塗膜材料に基板表面に垂直な力を与える基板駆動手段とを備えることによって、基板上の下地段差パターンの粗密に依存せず、塗膜を均一に塗布することができる。したがって、本発明の塗膜形成装置を用いて段差を有する表面に反射防止膜を形成するときは、反射防止膜を均一に塗布することができる。
基板駆動手段を、基板表面を上向きにして基板を加速度をもって上昇させる昇降機構で構成することにより、基板表面に垂直な力を適切に与えることができ、本装置を実用的な大きさで構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0022】
図1は、本発明に係る塗膜形成装置の一実施の形態を示す構成図である。
本実施の形態に係る塗膜形成装置は、基板を回転させるいわゆる回転塗布機構と、基板を加速度をもって上昇させることができる昇降機構とを有して成る。すなわち、本実施の形態に係る塗膜形成装置1は、チャンバー2内に、塗膜材料を塗布すべき基板すなわち被塗布基板、本例では、シリコン半導体基板21を保持する基板保持手段3と、塗膜材料(所要の粘度を有する液体)を基板21の面に滴下する滴下手段である塗膜材料用ノズル4が設けられている。基板保持手段3は、半導体基板21を真空吸着で保持するための真空チャック5を有し、回転手段となるモータ6により回転可能に構成される。チャンバー2には、上下移動するためのスライダー8とスライダーを支えるレール9と図示しないが駆動源とからなる昇降機構が設けられる。この昇降機構は、基板21と共にチャンバー2を加速度をもって上昇させることが出来るように構成される。さらにチャンバー2には、塗布時の塗膜材料の残液を排出する排液口7が設けられる。
【0023】
次に、この塗膜形成装置1を用いて、本発明の一実施の形態に係る反射防止膜の形成方法を説明する。
【0024】
ここでは、図3の反射防止膜の形成工程を含む半導体装置の製造を参照して説明する。図3は、前述の図8に対応した断面図である。
【0025】
先ず、搬出入口(図示せず)より塗布処理する被塗布基板21をチャンバー2内に搬送して、基板保持手段3の真空チャック5で基板21を保持する。
【0026】
この被塗布基板21は、図3Aに示すように、半導体基板上に多層膜が形成された基体26上に、層間絶縁膜27及び絶縁膜28が積層され、さらに絶縁膜28上に第2の配線パターンに対応した開口30を有する絶縁膜29が形成されて成る。この開口30を有する絶縁膜29により、基板21の表面は疎密パターンの段差を有することになる。符号42は開口幅、開口間の幅が粗い粗パターン領域、符号43は開口幅、開口間の幅が狭い密パターン領域を示す。絶縁膜29は、例えば低誘電率膜(lowーK膜)で形成される。ここで、基体26は、前述の図6で説明したと同様に、半導体基板上に絶縁膜(例えばシリコン酸化膜)を介して第1の配線パターンに相当する導体層が形成され、導体層間を絶縁膜で埋込み、さらにその上に絶縁膜が形成された構造をなしている。
【0027】
被塗布基板21を基板保持手段3に保持した後、滴下手段である塗膜材料用ノズル4から反射防止膜材料を滴下し、その後、図2Aに示すように、モータ6を動作させて基板保持手段3と共に基板21を回転させながら、同時に昇降機構によりチャンバーを加速度をもって上昇させる。
【0028】
図2Bに示すようにノズル4から滴下された反射防止膜材料(所要の粘度を有する液体)31Aは、基板保持手段3の回転により、回転力と遠心力で基板21の中心部から周縁部に向けて渦巻き状に拡散することで塗布される。この回転力と遠心力での塗布では、段差の疎密パターンによって塗布厚にむらが発生し易い。しかし、同時にチャンバー2と共に基板21が加速度をもって上昇するので、この加速度による基板21に垂直な力が反射防止膜材料31Aの面を押し付けることになる。この加速度により発生する力で、反射防止膜材料が横方向へ移動し、塗布厚の厚い部分と薄い部分が均されて、基板全面に均一な膜厚の反射防止膜31が形成される。
【0029】
本例では、反射防止膜材料31Aの滴下量を1〜5cc、基板の回転数を2000〜4000rpm、チャンバーの上昇移動を初速0m/sから終速度5.4m/s、加速度9.8m/s2とした。さらに、反射防止膜31をベーク処理する。本例では、反射防止膜31をベーク 50〜250℃、30〜120秒のベーク処理を行う。
【0030】
このようにして、図3Bに示すように、上述した本実施の塗膜形成装置を用いて、粗密なパターンを有する絶縁膜29a、29b上に反射防止膜材料を吐出した後、回転シリコン酸化膜上24に塗膜形成装置で反射防止膜を形成した後、回転手段による回転力と遠心力で基板に塗布した後、加速度手段の上昇移動による加速度による力を段差を有する基板21の表面に均一な膜厚の反射防止膜31を形成する。密パターン領域43の絶縁膜29b上の反射防止膜31の膜厚h2と、粗パターン領域42の絶縁膜29a上の反射防止膜31の膜厚h1とは、同じ膜厚で形成される。
【0031】
次に、図1の塗膜形成装置1を用いて図3Cに示すように、反射防止膜31上にフォトレジスト層32を形成する。本例では、フォトレジスト液の滴下量を1〜5cc、基板保持手段3の回転数を2000〜4000rpmとする。また、フォトレジスト層のベーク処理としては、50〜250℃、30〜120秒とする。次いで、露光マスク14を介してフォトレジスト層32を露光する。この露光時の粗密パターンの段差を有する基板22であっても、反射防止膜31が均一な膜厚で形成されていることで、段差部で露光光Lが反射されず、フォトレジスト層32が精度よく露光される。
【0032】
次に図3Dに示すように、露光されたフォトレジスト層32を現像処理して下層の第1の配線パターンとのコンタクト部に対応した開口33を有するレジストマスク32Aを形成する。このレジストマスク32Aを介して反射防止膜31と絶縁膜28を選択エッチングする。オーバーエッチングされることなく、開口34を形成することができる。図示しないが、さらに、レジストマスク32A及び反射防止膜31を除去し、絶縁膜28をハードマスクにして下層の第1の配線パターン上まで選択エッチングして開口34に連続した開口を形成した後、開口30及び第1の配線パターンに達する開口34内に導体層を形成する。これにより、開口30内に第2の配線パターンが形成されると同時に、開口34内に第1及び第2の配線パターンを接続する金属プラグが形成される。
【0033】
本実施の形態に係る反射防止膜の形成方法によれば、塗膜材料用ノズル4から基板21上に反射防止膜材料31Aを滴下した後、基板21を回転されながら加速度をもって上昇移動させることで、均一な膜厚の反射防止膜31、すなわち、基板上の下地段差パターンの粗密に依存せず、塗布ムラを抑えた反射防止膜31を形成することができる。よって、その後の選択エッチング工程でのエッチング精度を良好にし、高精度の配線パターンを形成することができ、歩留まりの向上を図ることができる。
【0034】
また、本実施に係る塗膜形成装置によれば、塗膜材料用ノズル4から基板21上へ塗膜材料を滴下した後、基板21の回転と、基板21の上昇を同時に行うように駆動させることにより、基板上の下地段差パターンの粗密に依存せず、塗布ムラを抑えて均一な膜厚の塗膜を形成することができる。特に、基板21を加速度をもって上方に移動させることにより、塗膜材料が横方向に移動し易くなり、下地段差の粗密パターンに影響されることなく、均一に塗布することができる。
本発明の反射防止膜の形成方法の他の実施の形態としては、図1の塗膜形成装置1を用い、基板保持手段3の回転動作と、チャンバー2の上昇動作を個別に行うようにして塗布することができる。すなわち、基板21に反射防止膜材料31Aを滴下し、基板21を回転させて通常の塗布を行った後、直ちに基板21をチャンバー2と共に加速度をもって上昇させて反射防止膜材料の膜厚を均すようにして、反射防止膜を形成する。
この実施の形態に係る反射防止膜の形成方法においても、上述の実施の形態と同様に、基板21上の下地段差パターンの疎密に依存せずに均一な膜厚の反射防止膜を形成することができる。よって、その後の選択エッチング工程でのエッチング精度を良好にし、高精度の配線パターンを形成することができ、歩留りの向上を図ることができる。
【0035】
図4は、本発明に係る塗膜形成装置の他の実施の形態を示す模式的な構成図である。
本実施の形態に係る塗膜形成装置11は、被塗布基板21を保持して自転させるための基板自転機構と、被塗布基板21を公転させるための回転ドラム12を有する基板公転機構と、被塗布基板21の表面上に塗布材料を滴下するためのノズル13とを備えて成る。この基板自転機構と基板公転機構は、同時に駆動させる、あるいは個別に駆動させることができるように構成される。
この塗膜形成装置11では、基板自転機構により被塗布基板21が自転することにより、ノズル13から被塗布基板21の表面に滴下した塗膜材料に回転力と遠心力が与えられる。この回転力と遠心力とによって塗膜材料は基板中心部から周縁部に向けて渦巻き状に拡散して塗布される。また、公転機構により被塗布基板21が回転ドラム12と共に公転すると、公転による遠心力で基板表面に垂直な力が塗膜面に与えられる。この公転による遠心力で塗布むらの塗膜材料は均一な膜厚になる。
【0036】
本発明の反射防止膜の形成方法は、図4の塗膜形成装置を用いて反射防止膜を形成するようにしても良い。この場合も、基板上の下地段差パターンの粗密に依存することなく、塗布ムラを抑えた反射防止膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る塗膜形成装置の一実施の形態を示す構成図である。
【図2】A 本発明に係る塗膜形成装置の動作説明図である。 B 本発明に係る塗膜形成装置を用いて反射防止膜材料の塗布状態を示す断面図である。
【図3】A〜D 本発明に係る塗膜形成装置を用いて反射防止膜を形成する工程を有する半導体装置の製造工程図である。
【図4】本発明に係る塗膜形成装置の他の実施の形態を示す模式的な構成図である。
【図5】従来の回転塗布装置の構成図である。
【図6】A〜D 従来の反射防止膜の形成方法を用いてコンタクト部を形成する工程図である。
【図7】E〜G 従来の反射防止膜の形成方法を用いてコンタクト部を形成する工程図である。
【図8】A〜C 従来の回転塗布装置で形成した反射防止膜を用いてエッチングを行う工程図である。
【符号の説明】
【0038】
1、11・・塗膜形成装置、2・・チャンバー、3・・基板保持手段、4・・塗膜材料液用ノズル、5・・真空チャック、6・・モータ、7・・排液口、8・・スライダー、9・・レール、12・・回転ドラム、13・・ノズル、14・・露光マスク、21・・基板、27・・層間絶縁膜、28,29・・絶縁膜、30、34、・・開口、31・・反射防止膜、32・・フォトレジスト層、42,43・・開口幅、101・・回転塗布装置、102・・チャンバー、103・・基板保持手段、104・・反射防止膜材料用ノズル、105・・真空チャック、106・・モータ、107・・排液口、121・・半導体基板、122・・基板、123、124、126、128,129・・絶縁膜、125・・第1の導体層、127・・層間絶縁膜、130、133、134、135・・開口、131・・反射防止膜、132A・・レジストマスク、132・・フォトレジスト層、136・・コンタクト部、137・・第2の導体層
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射防止膜の形成方法及び塗膜形成装置、特にフォトリソグラフィ法で用いるフォトレジストの下層に塗布形成される反射防止膜の形成方法及びその方法の実施に適用される塗膜形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路の高集積化と高性能化に伴い、コンタクトや配線幅の微細化が進められている。この微細な加工をするために露光技術の向上が求められ、特にフォトリソグラフィ法における露光用光源の短波長化が進められている。この短波長の光源を用いて、段差表面を有する基板上のフォトレジスト層を精度よく露光するには、基板とフォトレジスト層の間に反射防止膜を形成することが行われている。一般的に基板上のフォトレジスト層及び反射防止膜を均一の膜厚となるように形成するために基板を回転させて塗布する図5に示す回転塗布装置101が用いられている。
【0003】
回転塗布装置101は、チャンバー102内に、反射防止膜材料(所要の粘度を有する液体)を塗布すべき基板すなわち被塗布基板、本例では、シリコン半導体基板121を保持する基板保持手段103と、反射防止膜材料を滴下する反射防止膜材料用ノズル104が設けられている。基板保持手段103は、半導体基板121を真空吸着で保持するための真空チャック105を有し、モータ106により回転可能に構成される。チャンバー102には、塗布時の反射防止膜材料の残液を排出する排液口107が設けられる。
【0004】
この回転塗布装置101を用いて反射防止膜を形成する場合には、搬出入口(図示せず)より塗布処理する被塗布基板121をチャンバー102内に搬送して、基板保持手段103の真空チャック105で基板121を保持する。図6Aに、このときの基板121を示す。この基板121は、シリコン基板122上に絶縁膜123、本例ではシリコン酸化膜を形成し、その上に第1の導体層(下層配線パターンに相当する)125と絶縁膜124、本例では後に述べる上層の配線とのコンタクトを取るための第1の導体層125と絶縁膜を酸化シリコンもしくは、窒化シリコンによる絶縁膜124を形成し、さらに絶縁膜126、層間絶縁膜127及び絶縁膜128を順に積層する。本例では、各絶縁膜126、128がシリコン酸化膜、絶縁膜128上には、パターニングされた粗密パターンを備える絶縁膜129が形成される。絶縁膜129はLow−k膜で形成される。絶縁膜129には、この後に形成されるべき、配線パターンに対応した開口130が形成される。符号142は粗パターン領域、符号143は密パターン領域である。
【0005】
次に、先ほどの回転塗布装置101のモータ106を用いて半導体基板121を回転させた状態で、粗密パターンの段差を有する絶縁膜129上に、反射防止膜材料用ノズル104から反射防止膜材料を滴下させる。反射防止膜材料を滴下した後、半導体基板121の回転力と遠心力により半導体基板121の中心部から周縁部に向けて渦巻き状に拡散することで塗布され、図6Bに示す反射防止膜131が形成される。
【0006】
これ以降、図6Cに示すように反射防止膜131上にフォトリソグラフィ法によりレジスト層132を形成する。次に、図6Dに示すように、このレジスト層132を露光現像してパターニングすることで反射防止膜131上に下層の第1の導体層125とのコンタクト部に対応する開口133を有するレジストマスク132Aを形成する。次に図7Eに示すようにレジストマスク132Aを介して、さらにエッチングすることで層間絶縁膜127上に達する開口134が形成される。次に、図7Fに示すようにレジスト層132を除去した後、パターニングされた絶縁膜129,128をマスクに選択エッチングを行って第1の導体層125に達する開口135を形成する。次に図7Gに示すように反射防止膜131を除去した後、開口130及び135内に金属膜、例えばCu膜を堆積させ平坦化処理して、第2の導体層(上層配線パターンに相当する)137と第1の導体層125及び第2の導体層137間を接続するコンタクト部136を形成する。
【0007】
特許文献1には、同様にフォトレジスト層の下に反射防止膜を形成す方法が開示されている。
【特許文献1】特開平11−194499号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように回転塗布装置101を用い反射防止膜の形成方法では、図8Aのように基板121上に段差を持つ絶縁膜129の粗密パターン(142,143)が形成されている場合、下地段差部の粗密パターンを反映して、粗パターン領域142の絶縁膜129上に厚く反射防止膜(膜厚h1)131が堆積し、密パターン領域143の絶縁膜129上に薄く反射防止膜(膜厚h2)131が堆積して、反射防止膜131の塗布膜厚にばらつきが生じてしまう。図8Bに示すように、不均一な膜厚の反射防止膜131上にフォトリソグラフィ法によりフォトレジスト132を形成した後、露光マスク140を用いて、絶縁膜129の各開口130a、130bに合わせて露光する。図8Cに示すように、露光現像して反射防止膜131をエッチングする際に、反射防止膜131の塗布膜厚のばらつきのまま、各開口134a、134bをエッチングすると、狭い開口134bでは、オーバーエッチングとなり、実線の位置まで大きくエッチングされることになる。有機膜の反射防止膜131とレジストマスク132Aとは、エッチング特性が同じであるのでレジストマスク132Aもオーバーエッチングされる。このため、本来必要としている破線の位置以上にエッチングされることとなり、線幅などの寸法変換差が生じてしまう。結果として歩留まりが低下する問題があった。
【0009】
本発明は、上述の点に鑑み、反射防止膜の塗布膜厚のばらつきが生じることなく反射防止膜材料を塗布することができる反射防止膜の形成方法及びその方法を実施に適用される塗膜形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の反射防止膜の形成方法は、基板の段差を有する表面に反射防止膜を形成する反射防止膜の形成方法であって、前記基板の表面上に反射防止膜材料を滴下し、前記基板の回転による遠心力と前記基板表面に垂直な力とによって、前記反射防止膜材料を塗布して反射防止膜を形成することを特徴とする。
【0011】
滴下した前記反射防止膜材料に、前記基板の回転による遠心力を与えながら前記基板表面に垂直な力を与えて、前記反射防止膜材料を塗布することが好ましい。
【0012】
前記反射防止膜材料に、前記基板の回転による遠心力を与えた後、前記基板表面に垂直な力を与えて、前記反射防止膜材料を塗布することが好ましい。
【0013】
前記基板表面に垂直な力は、前記基板表面を上向きにして前記基板を加速度をもって上昇したときに発生する力を用いることが好ましい。
【0014】
本発明に係る塗膜形成装置は、基板の段差を有する表面に塗膜を形成する塗膜形成装置であって、前記基板の表面に塗膜材料を滴下する手段と、滴下した前記塗膜材料に遠心力と与える基板回転手段と、前記基板表面の塗膜材料に前記基板表面に垂直な力を与える基板駆動手段とを備えていることを特徴とする。
【0015】
前記基板駆動手段は、基板表面を上向きにして前記基板を加速度をもって上昇させる昇降機構で構成されていることが好ましい。
【0016】
本発明の反射防止膜の形成方法では、段差を有する基板表面に滴下した反射防止膜材料に基板の回転による遠心力を与えることにより、反射防止膜材料が基板中心部から周縁部に向けて渦巻き状に拡散して塗布される。また、反射防止膜材料に基板表面に垂直な力が与えられることにより、反射防止膜材料の面が上から押しつけられ、膜厚むらが有ると厚い部分の反射防止膜材料が均される。これにより、基板上に反射防止膜を均一の膜厚で形成することができる。
【0017】
本発明の塗膜形成装置では、段差を有する基板表面に塗膜材料を滴下した後、基板回転手段を動作することにより、塗膜材料に回転と遠心力が与えられ、塗膜材料が基板中心部から周縁部に向けて渦巻き状に拡散して塗布される。また、基板駆動手段を動作することにより、基板表面に垂直な力が塗膜材料に与えられ、塗膜材料の面が上から押し付けられる状態になって、膜厚むらが有ると厚い部分の塗膜材料が均される。これによって基板上に塗膜、例えば反射防止膜材料を均一の膜厚に塗布することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の反射防止膜の形成方法によれば、反射防止膜材料を基板上に滴下した後、反射防止膜材料を、基板の回転による遠心力と、基板表面に垂直な力と、によって、塗布して反射防止膜を形成するため、基板上の下地段差パターンの粗密に依存せず、反射防止膜を均一の膜厚に塗布することができ、その後の選択エッチングによる寸法ばらつきが抑制でき、歩留まりが向上する。
【0019】
反射防止膜材料に基板の回転による遠心力を与えながら基板表面に垂直な力を与えことにより、基板上の下地段差の疎密に依存せず、反射防止膜材料を均一な膜厚で塗布することができる。
また、反射防止膜材料に基板の回転による遠心力を与えた後、基板表面に垂直な力を与えるときも、同様に基板上の下地段差の疎密に依存せず、反射防止膜材料を均一な膜厚で塗布することができる。
基板表面に垂直な力として、基板表面を上向きにして基板を加速度をもって上昇したときに発生する力を用いることにより、基板上の反射防止膜材料に対して、基板表面に垂直な力を適切に与えることができる。また、本方法を実施する装置を実用的な大きさにすることができる。
【0020】
本発明の塗膜形成装置によれば、塗膜材料を基板の表面に滴下する手段と、滴下した塗膜材料に遠心力を与える基板回転手段と、塗膜材料に基板表面に垂直な力を与える基板駆動手段とを備えることによって、基板上の下地段差パターンの粗密に依存せず、塗膜を均一に塗布することができる。したがって、本発明の塗膜形成装置を用いて段差を有する表面に反射防止膜を形成するときは、反射防止膜を均一に塗布することができる。
基板駆動手段を、基板表面を上向きにして基板を加速度をもって上昇させる昇降機構で構成することにより、基板表面に垂直な力を適切に与えることができ、本装置を実用的な大きさで構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0022】
図1は、本発明に係る塗膜形成装置の一実施の形態を示す構成図である。
本実施の形態に係る塗膜形成装置は、基板を回転させるいわゆる回転塗布機構と、基板を加速度をもって上昇させることができる昇降機構とを有して成る。すなわち、本実施の形態に係る塗膜形成装置1は、チャンバー2内に、塗膜材料を塗布すべき基板すなわち被塗布基板、本例では、シリコン半導体基板21を保持する基板保持手段3と、塗膜材料(所要の粘度を有する液体)を基板21の面に滴下する滴下手段である塗膜材料用ノズル4が設けられている。基板保持手段3は、半導体基板21を真空吸着で保持するための真空チャック5を有し、回転手段となるモータ6により回転可能に構成される。チャンバー2には、上下移動するためのスライダー8とスライダーを支えるレール9と図示しないが駆動源とからなる昇降機構が設けられる。この昇降機構は、基板21と共にチャンバー2を加速度をもって上昇させることが出来るように構成される。さらにチャンバー2には、塗布時の塗膜材料の残液を排出する排液口7が設けられる。
【0023】
次に、この塗膜形成装置1を用いて、本発明の一実施の形態に係る反射防止膜の形成方法を説明する。
【0024】
ここでは、図3の反射防止膜の形成工程を含む半導体装置の製造を参照して説明する。図3は、前述の図8に対応した断面図である。
【0025】
先ず、搬出入口(図示せず)より塗布処理する被塗布基板21をチャンバー2内に搬送して、基板保持手段3の真空チャック5で基板21を保持する。
【0026】
この被塗布基板21は、図3Aに示すように、半導体基板上に多層膜が形成された基体26上に、層間絶縁膜27及び絶縁膜28が積層され、さらに絶縁膜28上に第2の配線パターンに対応した開口30を有する絶縁膜29が形成されて成る。この開口30を有する絶縁膜29により、基板21の表面は疎密パターンの段差を有することになる。符号42は開口幅、開口間の幅が粗い粗パターン領域、符号43は開口幅、開口間の幅が狭い密パターン領域を示す。絶縁膜29は、例えば低誘電率膜(lowーK膜)で形成される。ここで、基体26は、前述の図6で説明したと同様に、半導体基板上に絶縁膜(例えばシリコン酸化膜)を介して第1の配線パターンに相当する導体層が形成され、導体層間を絶縁膜で埋込み、さらにその上に絶縁膜が形成された構造をなしている。
【0027】
被塗布基板21を基板保持手段3に保持した後、滴下手段である塗膜材料用ノズル4から反射防止膜材料を滴下し、その後、図2Aに示すように、モータ6を動作させて基板保持手段3と共に基板21を回転させながら、同時に昇降機構によりチャンバーを加速度をもって上昇させる。
【0028】
図2Bに示すようにノズル4から滴下された反射防止膜材料(所要の粘度を有する液体)31Aは、基板保持手段3の回転により、回転力と遠心力で基板21の中心部から周縁部に向けて渦巻き状に拡散することで塗布される。この回転力と遠心力での塗布では、段差の疎密パターンによって塗布厚にむらが発生し易い。しかし、同時にチャンバー2と共に基板21が加速度をもって上昇するので、この加速度による基板21に垂直な力が反射防止膜材料31Aの面を押し付けることになる。この加速度により発生する力で、反射防止膜材料が横方向へ移動し、塗布厚の厚い部分と薄い部分が均されて、基板全面に均一な膜厚の反射防止膜31が形成される。
【0029】
本例では、反射防止膜材料31Aの滴下量を1〜5cc、基板の回転数を2000〜4000rpm、チャンバーの上昇移動を初速0m/sから終速度5.4m/s、加速度9.8m/s2とした。さらに、反射防止膜31をベーク処理する。本例では、反射防止膜31をベーク 50〜250℃、30〜120秒のベーク処理を行う。
【0030】
このようにして、図3Bに示すように、上述した本実施の塗膜形成装置を用いて、粗密なパターンを有する絶縁膜29a、29b上に反射防止膜材料を吐出した後、回転シリコン酸化膜上24に塗膜形成装置で反射防止膜を形成した後、回転手段による回転力と遠心力で基板に塗布した後、加速度手段の上昇移動による加速度による力を段差を有する基板21の表面に均一な膜厚の反射防止膜31を形成する。密パターン領域43の絶縁膜29b上の反射防止膜31の膜厚h2と、粗パターン領域42の絶縁膜29a上の反射防止膜31の膜厚h1とは、同じ膜厚で形成される。
【0031】
次に、図1の塗膜形成装置1を用いて図3Cに示すように、反射防止膜31上にフォトレジスト層32を形成する。本例では、フォトレジスト液の滴下量を1〜5cc、基板保持手段3の回転数を2000〜4000rpmとする。また、フォトレジスト層のベーク処理としては、50〜250℃、30〜120秒とする。次いで、露光マスク14を介してフォトレジスト層32を露光する。この露光時の粗密パターンの段差を有する基板22であっても、反射防止膜31が均一な膜厚で形成されていることで、段差部で露光光Lが反射されず、フォトレジスト層32が精度よく露光される。
【0032】
次に図3Dに示すように、露光されたフォトレジスト層32を現像処理して下層の第1の配線パターンとのコンタクト部に対応した開口33を有するレジストマスク32Aを形成する。このレジストマスク32Aを介して反射防止膜31と絶縁膜28を選択エッチングする。オーバーエッチングされることなく、開口34を形成することができる。図示しないが、さらに、レジストマスク32A及び反射防止膜31を除去し、絶縁膜28をハードマスクにして下層の第1の配線パターン上まで選択エッチングして開口34に連続した開口を形成した後、開口30及び第1の配線パターンに達する開口34内に導体層を形成する。これにより、開口30内に第2の配線パターンが形成されると同時に、開口34内に第1及び第2の配線パターンを接続する金属プラグが形成される。
【0033】
本実施の形態に係る反射防止膜の形成方法によれば、塗膜材料用ノズル4から基板21上に反射防止膜材料31Aを滴下した後、基板21を回転されながら加速度をもって上昇移動させることで、均一な膜厚の反射防止膜31、すなわち、基板上の下地段差パターンの粗密に依存せず、塗布ムラを抑えた反射防止膜31を形成することができる。よって、その後の選択エッチング工程でのエッチング精度を良好にし、高精度の配線パターンを形成することができ、歩留まりの向上を図ることができる。
【0034】
また、本実施に係る塗膜形成装置によれば、塗膜材料用ノズル4から基板21上へ塗膜材料を滴下した後、基板21の回転と、基板21の上昇を同時に行うように駆動させることにより、基板上の下地段差パターンの粗密に依存せず、塗布ムラを抑えて均一な膜厚の塗膜を形成することができる。特に、基板21を加速度をもって上方に移動させることにより、塗膜材料が横方向に移動し易くなり、下地段差の粗密パターンに影響されることなく、均一に塗布することができる。
本発明の反射防止膜の形成方法の他の実施の形態としては、図1の塗膜形成装置1を用い、基板保持手段3の回転動作と、チャンバー2の上昇動作を個別に行うようにして塗布することができる。すなわち、基板21に反射防止膜材料31Aを滴下し、基板21を回転させて通常の塗布を行った後、直ちに基板21をチャンバー2と共に加速度をもって上昇させて反射防止膜材料の膜厚を均すようにして、反射防止膜を形成する。
この実施の形態に係る反射防止膜の形成方法においても、上述の実施の形態と同様に、基板21上の下地段差パターンの疎密に依存せずに均一な膜厚の反射防止膜を形成することができる。よって、その後の選択エッチング工程でのエッチング精度を良好にし、高精度の配線パターンを形成することができ、歩留りの向上を図ることができる。
【0035】
図4は、本発明に係る塗膜形成装置の他の実施の形態を示す模式的な構成図である。
本実施の形態に係る塗膜形成装置11は、被塗布基板21を保持して自転させるための基板自転機構と、被塗布基板21を公転させるための回転ドラム12を有する基板公転機構と、被塗布基板21の表面上に塗布材料を滴下するためのノズル13とを備えて成る。この基板自転機構と基板公転機構は、同時に駆動させる、あるいは個別に駆動させることができるように構成される。
この塗膜形成装置11では、基板自転機構により被塗布基板21が自転することにより、ノズル13から被塗布基板21の表面に滴下した塗膜材料に回転力と遠心力が与えられる。この回転力と遠心力とによって塗膜材料は基板中心部から周縁部に向けて渦巻き状に拡散して塗布される。また、公転機構により被塗布基板21が回転ドラム12と共に公転すると、公転による遠心力で基板表面に垂直な力が塗膜面に与えられる。この公転による遠心力で塗布むらの塗膜材料は均一な膜厚になる。
【0036】
本発明の反射防止膜の形成方法は、図4の塗膜形成装置を用いて反射防止膜を形成するようにしても良い。この場合も、基板上の下地段差パターンの粗密に依存することなく、塗布ムラを抑えた反射防止膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る塗膜形成装置の一実施の形態を示す構成図である。
【図2】A 本発明に係る塗膜形成装置の動作説明図である。 B 本発明に係る塗膜形成装置を用いて反射防止膜材料の塗布状態を示す断面図である。
【図3】A〜D 本発明に係る塗膜形成装置を用いて反射防止膜を形成する工程を有する半導体装置の製造工程図である。
【図4】本発明に係る塗膜形成装置の他の実施の形態を示す模式的な構成図である。
【図5】従来の回転塗布装置の構成図である。
【図6】A〜D 従来の反射防止膜の形成方法を用いてコンタクト部を形成する工程図である。
【図7】E〜G 従来の反射防止膜の形成方法を用いてコンタクト部を形成する工程図である。
【図8】A〜C 従来の回転塗布装置で形成した反射防止膜を用いてエッチングを行う工程図である。
【符号の説明】
【0038】
1、11・・塗膜形成装置、2・・チャンバー、3・・基板保持手段、4・・塗膜材料液用ノズル、5・・真空チャック、6・・モータ、7・・排液口、8・・スライダー、9・・レール、12・・回転ドラム、13・・ノズル、14・・露光マスク、21・・基板、27・・層間絶縁膜、28,29・・絶縁膜、30、34、・・開口、31・・反射防止膜、32・・フォトレジスト層、42,43・・開口幅、101・・回転塗布装置、102・・チャンバー、103・・基板保持手段、104・・反射防止膜材料用ノズル、105・・真空チャック、106・・モータ、107・・排液口、121・・半導体基板、122・・基板、123、124、126、128,129・・絶縁膜、125・・第1の導体層、127・・層間絶縁膜、130、133、134、135・・開口、131・・反射防止膜、132A・・レジストマスク、132・・フォトレジスト層、136・・コンタクト部、137・・第2の導体層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の段差を有する表面に反射防止膜を形成する反射防止膜の形成方法であって、
前記基板の表面上に反射防止膜材料を滴下し、
前記基板の回転による遠心力と前記基板表面に垂直な力とによって、前記反射防止膜材料を塗布して反射防止膜を形成する
ことを特徴とする反射防止膜の形成方法。
【請求項2】
滴下した前記反射防止膜材料に、前記基板の回転による遠心力を与えながら前記基板表面に垂直な力を与えて、前記反射防止膜材料を塗布する
ことを特徴とする請求項1記載の反射防止膜の形成方法。
【請求項3】
前記反射防止膜材料に、前記基板の回転による遠心力を与えた後、前記基板表面に垂直な力を与えて、前記反射防止膜材料を塗布する
ことを特徴とする請求項1記載の反射防止膜の形成方法。
【請求項4】
前記基板表面に垂直な力は、前記基板表面を上向きにして前記基板を加速度をもって上昇したときに発生する力を用いる
ことを特徴とする請求項1記載の反射防止膜の形成方法。
【請求項5】
基板の段差を有する表面に塗膜を形成する塗膜形成装置であって、
前記基板の表面に塗膜材料を滴下する手段と、
滴下した前記塗膜材料に遠心力と与える基板回転手段と、
前記基板表面の塗膜材料に前記基板表面に垂直な力を与える基板駆動手段とを備えている
ことを特徴とする塗膜形成装置。
【請求項6】
前記基板駆動手段は、基板表面を上向きにして前記基板を加速度をもって上昇させる昇降機構で構成されている
ことを特徴とする請求項5記載の塗膜形成装置。
【請求項1】
基板の段差を有する表面に反射防止膜を形成する反射防止膜の形成方法であって、
前記基板の表面上に反射防止膜材料を滴下し、
前記基板の回転による遠心力と前記基板表面に垂直な力とによって、前記反射防止膜材料を塗布して反射防止膜を形成する
ことを特徴とする反射防止膜の形成方法。
【請求項2】
滴下した前記反射防止膜材料に、前記基板の回転による遠心力を与えながら前記基板表面に垂直な力を与えて、前記反射防止膜材料を塗布する
ことを特徴とする請求項1記載の反射防止膜の形成方法。
【請求項3】
前記反射防止膜材料に、前記基板の回転による遠心力を与えた後、前記基板表面に垂直な力を与えて、前記反射防止膜材料を塗布する
ことを特徴とする請求項1記載の反射防止膜の形成方法。
【請求項4】
前記基板表面に垂直な力は、前記基板表面を上向きにして前記基板を加速度をもって上昇したときに発生する力を用いる
ことを特徴とする請求項1記載の反射防止膜の形成方法。
【請求項5】
基板の段差を有する表面に塗膜を形成する塗膜形成装置であって、
前記基板の表面に塗膜材料を滴下する手段と、
滴下した前記塗膜材料に遠心力と与える基板回転手段と、
前記基板表面の塗膜材料に前記基板表面に垂直な力を与える基板駆動手段とを備えている
ことを特徴とする塗膜形成装置。
【請求項6】
前記基板駆動手段は、基板表面を上向きにして前記基板を加速度をもって上昇させる昇降機構で構成されている
ことを特徴とする請求項5記載の塗膜形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2006−32496(P2006−32496A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−206376(P2004−206376)
【出願日】平成16年7月13日(2004.7.13)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月13日(2004.7.13)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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