可変動弁機構の制御装置
【課題】吸気弁の遅閉じ制御が行われる内燃機関において吸気通路内の負圧を適切に確保することのできる可変動弁機構の制御装置を提供する。
【解決手段】内燃機関1は、吸気バルブ9の閉弁時期を変更するバルブタイミング可変機構13を備えている。制御装置26は、吸気バルブ9の閉弁時期を吸気下死点よりも遅角側に設定する遅閉じ制御を行う。この遅閉じ制御の実行中において、スロットルバルブ29の動作異常があるときには、動作異常がないときに比して吸気バルブ9の閉弁時期を進角側に変更する進角処理を実行する。
【解決手段】内燃機関1は、吸気バルブ9の閉弁時期を変更するバルブタイミング可変機構13を備えている。制御装置26は、吸気バルブ9の閉弁時期を吸気下死点よりも遅角側に設定する遅閉じ制御を行う。この遅閉じ制御の実行中において、スロットルバルブ29の動作異常があるときには、動作異常がないときに比して吸気バルブ9の閉弁時期を進角側に変更する進角処理を実行する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変動弁機構の制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のように、車両のブレーキ装置では、吸気通路内の負圧をブレーキブースタに導入し、この負圧を利用して運転者のブレーキ踏み力を倍増させるようにしている。
また、ブレーキブースタを備える場合にあって吸気通路内の負圧が不足するときには、スロットルバルブの開度を小さくすることでブレーキブースタへの負圧を確保するといったスロットル制御も従来より行われている。ここで、スロットルバルブの開度を制御できない状態、つまりスロットルバルブの動作異常が生じている状態では、上述したようなスロットル制御を通じた負圧の確保が困難である。
【0003】
そこで、特許文献1に記載の装置では、スロットルバルブの動作異常が生じている状態で負圧の確保が必要なときには、排気弁の閉弁時期を遅角化させて吸気弁とのバルブオーバラップを形成するようにしている。このようにして排気弁の閉弁時期を遅角化させると排気行程での排気の圧縮が抑えられるため、吸気弁が開弁したときに、圧縮された排気が吸気通路に吹き返すことによる吸気通路内の負圧不足が抑えられるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−274822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年の内燃機関では、ピストンが吸気下死点に到達した後に吸気弁を閉じる、いわゆる吸気弁の遅閉じ制御を行うことで圧縮行程の実質的な開始を遅らせ、これにより圧縮比よりも高い膨張比を得ることのできるアトキンソンサイクルが実施されることがある。このアトキンソンサイクルでは、燃料の持つ熱エネルギーが膨張行程において十分に運動エネルギーに変換されるため、内燃機関の熱効率が向上するようになる。
【0006】
ここで、上記アトキンソンサイクルを実施する場合には、吸気弁が吸気下死点後に閉弁されることから、圧縮行程の初期段階において気筒内に吸入された吸気が吸気ポートに吹き返されてしまう。そのため吸気弁の遅閉じ制御を行う場合にも、吸気通路内の負圧が不足するおそれがある。なお、こうした圧縮行程の初期段階における吸気ポートへの吹き返しは、上記のような排気弁の閉弁時期の遅角化では抑えることができない。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、吸気弁の遅閉じ制御が行われる内燃機関において吸気通路内の負圧を適切に確保することのできる可変動弁機構の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、吸気弁の閉弁時期を変更する可変動弁機構を備える内燃機関に適用されて、前記閉弁時期を吸気下死点よりも遅角側に設定する遅閉じ制御を行う可変動弁機構の制御装置であって、前記遅閉じ制御の実行中において、スロットルバルブの動作異常があるときには、同スロットルバルブの動作異常がないときに比して前記閉弁時期を進角側に変更する進角処理を実行することをその要旨とする。
【0009】
同構成によれば、上記進角処理が実行されることにより、圧縮行程の初期段階において吸気ポートに吹き返される吸気の量が減少し、これにより吸気通路内の負圧が確保されるようになる。
【0010】
他方、上述した進角処理を行うと、吸気弁の遅閉じ制御による機関の熱効率の向上代が減少するため、そうした進角処理の実行頻度は極力少なくすることが望ましい。この点、同構成では、進角処理による負圧の確保を、スロットルバルブの動作異常があるとき、つまり上述したようなスロットル制御による負圧の確保が困難なときに行うようにしている。従って、負圧確保のために常に進角処理を行う場合と比較して、同進角処理の実行頻度を極めて低く抑えることができ、これにより吸気弁の遅閉じ制御による機関の熱効率の向上を十分に図ることも可能となる。
【0011】
なお、同構成におけるスロットルバルブの動作異常とは、スロットルバルブの開度を正常に制御できない状態のことをいう。
請求項2に記載の発明は、吸気弁の閉弁時期を変更する可変動弁機構を備える内燃機関に適用されて、前記閉弁時期を吸気下死点よりも遅角側に設定する遅閉じ制御を行う可変動弁機構の制御装置であって、前記遅閉じ制御の実行中において、前記内燃機関を搭載する車両の状態が減速中及び停車中のいずれか一方の状態であるときには、その状態になる前に比して前記閉弁時期を進角側に変更する進角処理を実行することをその要旨とする。
【0012】
同構成によれば、上記進角処理が実行されることにより、圧縮行程の初期段階において吸気ポートに吹き返される吸気の量が減少し、これにより吸気通路内の負圧が確保されるようになる。
【0013】
他方、上述した進角処理を行うと、吸気弁の遅閉じ制御による機関の熱効率の向上代が減少するため、そうした進角処理の実行頻度は極力少なくすることが望ましい。この点、同構成では、進角処理による負圧の確保を、車両の状態が減速中のとき、あるいは停車中のときに行うようにしている。つまりブレーキブースタに対して負圧を確実に供給する必要があるときに進角処理を行うようにしている。従って、車両の状態に依らず常に進角処理を行う場合と比較して、同進角処理の実行頻度を低く抑えることができ、これにより吸気弁の遅閉じ制御による機関の熱効率の向上を十分に図ることも可能となる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の可変動弁機構の制御装置において、前記進角処理は、吸気通路内の吸気圧が所定圧力以上のときに実行されることをその要旨とする。
【0015】
同構成によれば、吸気通路内の負圧が不足しているときに進角処理が実行されるようになるため、必要なときにのみ進角処理が実行されるようになる。従って、不要な進角処理の実行による上記熱効率の低下を抑えることができる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の可変動弁機構の制御装置において、前記所定圧力は、車速に基づいて可変設定されることをその要旨とする。
車両においては車速が高いときほど、より大きなブレーキ力が要求される。そこで、同構成によるように、上記進角処理の実行可否を判定する上記所定圧力を車速に基づいて可変設定することにより、車速に応じた要求負圧の変化に対応させて負圧を好適に確保することができる。なお、同構成においては、車速が高いほど上記所定圧力を低くすることが望ましい。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項3または4に記載の可変動弁機構の制御装置において、前記吸気圧と前記所定圧力との差が大きいときほど、前記進角処理実行時の進角量は大きくされることをその要旨とする。
【0018】
同構成によれば、負圧が不足しているときほど、進角処理実行時の進角量は大きくされる。このように進角量が大きくされていくと、吸気ポートに吹き返される吸気の量が減少していくため、吸気通路内の負圧は大きくなっていく(つまり吸気通路内の圧力は大気圧よりも低くなっていく)。従って、負圧の不足分に合わせて進角量を適切に設定することができる。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項3または4に記載の可変動弁機構の制御装置において、前記吸気圧と大気圧との差が小さいときほど、前記進角処理実行時の進角量は大きくされることをその要旨とする。
【0020】
同構成によれば、吸気圧と大気圧との差が小さいときほど、つまり吸気通路内の負圧が小さいときほど、進角処理実行時の進角量は大きくされる。このように進角量が大きくされていくと、吸気ポートに吹き返される吸気の量が減少していくため、吸気通路内の負圧は大きくなっていく(つまり吸気通路内の圧力は大気圧よりも低くなっていく)。従って、同構成によれば、吸気通路内の負圧の大きさに合わせて進角量を適切に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明にかかる可変動弁機構の制御装置を具体化した一実施形態にあって、これが適用される内燃機関の構造を示す模式図。
【図2】同実施形態における負圧回復処理の手順を示すフローチャート。
【図3】車速と判定圧との関係を示すグラフ。
【図4】圧力差と進角量との関係を示すグラフ。
【図5】負圧回復処理によるバルブタイミングの変化を示すタイミングチャート。
【図6】同実施形態の変形例における負圧回復処理の手順であってその一部を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明にかかる可変動弁機構の制御装置を具体化した一実施形態について、図1〜図5を参照して説明する。
図1に示すように、内燃機関1では、その燃焼室2に吸気通路3を通じて空気が吸入されるとともに、燃料噴射弁4から噴射された燃料が同燃焼室2に供給される。この空気と燃料とからなる混合気に対し点火プラグ5による点火が行われると、同混合気が燃焼してピストン6が往復移動し、内燃機関1の出力軸であるクランクシャフト7が回転する。このクランクシャフト7には、エアーコンディショナのコンプレッサ100やオルタネータ110等の機関出力によって駆動される補機が駆動連結されている。そして、燃焼後の混合気は排気として各燃焼室2から排気通路8に送り出される。
【0023】
内燃機関1の吸気通路3には、吸入空気量を調量するスロットルバルブ29が設けられている。このスロットルバルブ29は、電動モータによって開度が調整される。また、電動モータへの通電が行われないときのスロットルバルブ29の開度は、スプリングなどの付勢部材によって所定のオープナ開度に固定される。このオープナ開度としては、スロットルバルブ29に動作異常が生じて電動モータへの通電が中止されたときに、車両の待避走行等が行える適切な開度が設定されている。
【0024】
吸気通路3に繋がる吸気ポート3aと燃焼室2との間は吸気バルブ9の開閉動作によって連通・遮断され、排気通路8に繋がる排気ポート8aと燃焼室2との間は排気バルブ10の開閉動作によって連通・遮断される。これら吸気バルブ9及び排気バルブ10については、クランクシャフト7の回転が伝達される吸気カムシャフト11及び排気カムシャフト12の回転に伴い開閉動作する。
【0025】
内燃機関1は、吸気バルブ9のバルブ特性を可変する可変動弁機構として、吸気カムシャフト11に設けられたバルブタイミング可変機構(以下、VVTという)13を備えている。このVVT13は、クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト11の相対回転位相を調節して吸気バルブ9のバルブタイミングVTを変更することで、吸気バルブ9の開弁期間を一定に保持した状態で同吸気バルブ9の開弁時期IVO及び閉弁時期IVCを共に進角側又は遅角側に変更する。なお、バルブタイミングVTには、機関負荷や機関回転速度等の機関運転状態に基づいて目標値が設定され、この目標値とバルブタイミングVTの実値とが一致するようにVVT13の駆動は制御される。
【0026】
また、吸気通路3にあってスロットルバルブ29の下流には、負圧導入通路71を介してブレーキブースタ70が接続されている。このブレーキブースタ70は、吸気通路3内の負圧を利用して運転者のブレーキ踏み力を倍増させる。
【0027】
こうした内燃機関1の各種制御は、自動車に搭載された制御装置26によって行われる。制御装置26は、内燃機関1の制御にかかる演算処理を実行するCPU、その制御に必要なプログラムやデータの記憶されたROM、CPUの演算結果が一時的に記憶されるRAM、外部との間で信号を入・出力するための入・出力ポート等を備えて構成されている。
【0028】
制御装置26の入力ポートには、以下に示す各種センサやスイッチが接続されている。
・車両の運転者によって操作されるアクセルペダル27の操作量(アクセル操作量)を検出するアクセルポジションセンサ28。
【0029】
・車両の運転者によって踏み込み操作されるブレーキペダル40の踏み込みの有無を検出するブレーキスイッチ41。
・吸気通路3に設けられたスロットルバルブ29の開度(スロットル開度)を検出するスロットルポジションセンサ30。
【0030】
・吸気通路3を通じて燃焼室2に吸入される空気の量を検出するエアフロメータ32。
・スロットルバルブ29の下流側における吸気通路3内の圧力(吸気圧PM)を検出する圧力センサ50。
【0031】
・クランクシャフト7の回転角を検出するクランク角センサ34。
・カムシャフトの回転位置に対応した信号を出力することでバルブタイミングVTを検出するカムポジションセンサ35。
【0032】
・車両の車速Vを検出する車速センサ60。
制御装置26の出力ポートには、スロットルバルブ29の電動モータ、燃料噴射弁4、点火プラグ5、及びVVT13を駆動するアクチュエータなどの駆動回路が接続されている。
【0033】
そして、制御装置26は、上記各種センサやスイッチからの入力信号に基づいて機関運転状態を把握し、その把握した機関運転状態に応じて上記出力ポートに接続された各種駆動回路に指令信号を出力する。こうして燃料噴射弁4による燃料噴射量の制御、点火プラグ5の点火時期の制御、吸気バルブ9のバルブタイミングVTの制御、及びスロットルバルブ29の開度制御等が制御装置26を通じて実施される。
【0034】
本実施形態にかかる内燃機関1では、VVT13による吸気弁の遅閉じ制御、すなわち、ピストン6の吸気下死点よりも遅角側で吸気バルブ9を閉弁させる制御を行うことで前述したアトキンソンサイクルを実施するようにしている。このアトキンソンサイクルでは、吸気バルブ9の閉弁時期がピストン6の吸気下死点よりも遅くなるために、圧縮行程の初期では気筒内に吸入された吸気が吸気ポート3aに吹き返されるようになる。これにより、圧縮行程の実質的な開始が遅れるようになり、結果として実圧縮比を高めることなく高い膨張比を得ることが可能になっている。そして、このように膨張比を高めることができるアトキンソンサイクルでは、膨張行程での実質的なピストンストロークを長くすることができるため、燃料の持つ熱エネルギーを効率よく運動エネルギーに変換することができ、ひいては内燃機関1の熱効率を向上させることができる。
【0035】
また、コンプレッサ100が駆動されるときや、オルタネータ110の発電要求が高いときには補機の駆動負荷が高くなるため、その分、車両の駆動に利用される機関出力が減少してしまう。そのため、コンプレッサ100が駆動されている、あるいはオルタネータ110の要求発電量が所定値よりも高いとき等のように、補機の駆動負荷が高いときには、スロットルバルブ29の開度を増大補正して吸入空気量を増量し、機関出力を高める出力増大制御を行うことにより、補機駆動による機関出力の損失を補うようにしている。
【0036】
ところで、上述したようにアトキンソンサイクルを実施する場合には、吸気バルブ9が吸気下死点後に閉弁されることから、圧縮行程の初期段階において気筒内に吸入された吸気が吸気ポート3aに吹き返されてしまう。そのため吸気バルブ9の遅閉じ制御を行う場合には、吸気通路3内の負圧が不足してブレーキブースタ70に十分な負圧を供給できなくなる。そこで、本実施形態では、吸気圧PMが予め定められた判定圧PMd以上、つまり予め定められた負圧値未満であって吸気通路内の負圧が不足しているときには、スロットルバルブ29の開度を閉じ側に補正するスロットル制御を行って吸気圧PMを低下させることにより、ブレーキ力確保のために必要とされる負圧を確保するようにしている。
【0037】
ここで、スロットルバルブ29に動作異常が生じていると、上記スロットル制御による負圧確保が困難になる。そこで、本実施形態では、以下に説明する別の負圧回復処理をさらに行うことにより、遅閉じ制御が行われる内燃機関1において吸気通路3内の負圧を適切に確保するようにしている。なお、この負圧回復処理は、吸気バルブ9の遅閉じ制御の実行中(アトキンソンサイクルの実行中)において、制御装置26により所定周期毎に行われる。
【0038】
図2に示すように、この負圧回復処理が開始されるとまず、スロットルバルブ29に動作異常があるか、つまりスロットルバルブ29の開度を正常に制御できない状態であるか否かが判定される(S100)。この動作異常の判定は、本処理とは別の判定処理にて行われており、この判定処理では、スロットルバルブ29の実開度と目標開度との差が継続して大きい場合に動作異常ありと判定される。
【0039】
ステップS100にて、スロットルバルブ29に動作異常なしと判定されるときには(S100:NO)、本処理は一旦終了される。
一方、スロットルバルブ29に動作異常ありと判定されるときには(S100:YES)、現在の吸気圧PMが上述した判定圧PMd以上であるか否かが判定される(S110)。この判定圧PMdは、ブレーキブースタ70の倍力作用を適切に得るために必要な値が設定されている。また、図3に示すように、判定圧PMdは車速Vに基づいて可変設定される。より具体的には車速Vが高いときほど判定圧PMdは小さい値に設定される。
【0040】
ステップS110にて、吸気圧PMが判定圧PMdよりも小さいと判定されるときには(S110:NO)、吸気通路3内に十分な負圧が確保されているため、本処理は一旦終了される。
【0041】
一方、吸気圧PMが判定圧PMd以上であるときには(S110:YES)、吸気通路3内の負圧が不足していると判断されて、ステップS120以降の処理が行われる。
ステップS120では、VVT13に異常がないか否かが判定される。ここでの異常判定も本処理とは別の判定処理にて行われており、例えばバルブタイミングVTの実値と目標値との差が継続して大きい場合などに異常ありと判定される。
【0042】
そして、VVT13に異常がないときには(S120:YES)、負圧回復を行うために現在のバルブタイミングVTが進角量ADの分だけ進角されて(S130)、本処理は一旦終了される。このステップS120での進角処理において、進角量ADを算出するときには、まず現在の吸気圧PMと上記判定圧PMdとの圧力差ΔPMが算出される。そして、図4に示すように、その圧力差ΔPMが大きいほど、つまり判定圧PMdに対して吸気通路3内の負圧が不足しているときほど進角量ADは大きい値にされる。
【0043】
ステップS120にて、VVT13に異常があると判定されるときには(S120:YNO)、現在の補機の駆動負荷が高いか否かが判定される(S140)。ここでの判定は、コンプレッサ100が駆動されているとき、あるいはオルタネータ110の要求発電量が所定値よりも高いときに肯定判定される。
【0044】
そして、補機の駆動負荷が高いときには(S140:YES)、コンプレッサ100の駆動を停止したり、オルタネータ110の要求発電量を小さくしたりして補機の駆動負荷を低減させる(S150)。そして、本処理は一旦終了される。
【0045】
一方、補機の駆動負荷が高くないときには(S140:NO)、車速制限処理が実行されて(S160)、本処理は一旦終了される。この車速制限処理は、車両の車速が予め定められた制限速度VLTを超えないように制御するものであり、例えば以下のような処理を行えばよい。
【0046】
・スロットルバルブ29の最大開度を制限することで吸入空気量を制限する。
・車速Vが制限速度VLTに達したときには、車速Vがある程度低下するまで点火時期の遅角補正を行う。
【0047】
・車速Vが制限速度VLTに達したときには、車速Vがある程度低下するまで燃料噴射を停止する。
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0048】
遅閉じ制御の実行中において、スロットルバルブ29に動作異常があるときには(図2のS100:YES)、進角量ADが算出されてバルブタイミングVTが変更される(S130)。つまり図5に二点鎖線にて示すように、スロットルバルブ29に動作異常があるときには、動作異常がないときに比して吸気バルブ9の閉弁時期が進角量ADの分だけ進角側に変更される。このような進角処理が行われることにより、圧縮行程の初期段階において吸気ポート3aに吹き返される吸気の量が減少し、吸気通路3内の負圧が確保される。
【0049】
他方、上述した進角処理を行うと負圧を確保することができるものの、吸気バルブ9の遅閉じ制御による機関の熱効率の向上代が減少するため、そうした進角処理の実行頻度は極力少なくすることが望ましい。この点、本実施形態では、進角処理による負圧の確保を、スロットルバルブ29の動作異常があるとき、つまり上述したようなスロットル制御による負圧の確保が困難なときに行うようにしている。ここで、スロットルバルブ29の動作異常はその発生頻度が非常に少ないため、進角処理による負圧確保の実行機会は非常に少ない。従って、負圧確保のために常に進角処理を行う場合と比較して、同進角処理の実行頻度を極めて低く抑えることができ、これにより吸気バルブ9の遅閉じ制御による機関の熱効率の向上が十分に図られる。
【0050】
また、吸気圧PMが判定圧PMd以上のときに(図2のS110:YES)、上記進角処理は実行される(S130)。従って、吸気通路3内の負圧が不足しているときに進角処理が実行されるようになり、必要なときにのみ進角処理が実行される。従って、不要な進角処理の実行による上記熱効率の低下が抑えられる。
【0051】
また、車両においては車速Vが高いときほど、より大きなブレーキ力が要求される。そこで、本実施形態では、先の図3に示すように、進角処理の実行可否を判定する上記判定圧PMdを車速Vに基づいて可変設定するようにしている。より具体的には車速Vが高いときほど判定圧PMdを小さい値に設定するようにしている。そのため、大きなブレーキ力が要求されるときほど進角処理は実行されやすくなり、車速に応じた要求負圧の変化に対応させて吸気通路3内の負圧が好適に確保される。
【0052】
また、吸気圧PMと判定圧PMdとの圧力差ΔPMが大きいときほど、つまり必要とされている負圧が不足しているときほど、進角処理実行時の進角量ADを大きくしている。このように進角量ADが大きくされていくと、吸気ポート3aに吹き返される吸気の量が減少していくため、吸気通路3内の負圧は大きくなっていく(吸気通路3内の圧力は大気圧よりも低くなっていく)。従って、負圧の不足分に合わせて進角量ADが適切に設定すされる。
【0053】
また、VVT13に異常があり(図2のS120:NO)、進角処理による負圧確保ができないときに、補機の駆動負荷が高い場合には(S140:YES)、補機の駆動負荷が低減される(S150)。このように補機の駆動負荷が低減されると、上述した出力増大制御によるスロットルバルブ29の開度増大が抑えられ、これにより吸気通路3内の圧力が低下して負圧が確保される。
【0054】
また、補機の駆動負荷が低く(S140:NO)、補機の駆動負荷の低減による負圧確保が難しいときには、車速制限処理が行われる(S160)。従って、ブレーキブースタ70に対して十分な負圧を供給できないときには、車速Vが制動能力に見合った速度に制限される。従って、車両の制動性能が確保される。
【0055】
以上説明したように、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)吸気バルブ9の閉弁時期を吸気下死点よりも遅角側に設定する遅閉じ制御の実行中において、スロットルバルブ29の動作異常があるときには、同スロットルバルブ29の動作異常がないときに比して吸気バルブ9閉弁時期を進角側に変更する進角処理を実行するようにしている。そのため、吸気通路3内の負圧を確保することができる。
【0056】
また、スロットルバルブ29の動作異常があるときに進角処理を行うようにしている。従って、負圧確保のために常に進角処理を行う場合と比較して、同進角処理の実行頻度を極めて低く抑えることができ、これにより遅閉じ制御による機関の熱効率の向上を十分に図ることができる。
【0057】
(2)上記進角処理は、吸気通路3内の吸気圧PMが所定の判定圧PMd以上のときに実行するようにしている。そのため、不要な進角処理の実行による上記熱効率の低下を抑えることができる。
【0058】
(3)上記判定圧PMdは、車速Vに基づいて可変設定するようにしている。そのため、車速Vに応じた要求負圧の変化に対応させて負圧を好適に確保することができる。
(4)吸気圧PMと判定圧PMdとの圧力差ΔPMが大きいときほど、進角処理実行時の進角量ADを大きくしている。そのため、負圧の不足分に合わせて進角量ADを適切に設定することができる。
【0059】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することもできる。
・先の図2に示したステップS120、ステップS140、ステップS150、ステップS160の各処理は適宜省略してもよい。この場合でも上記(1)〜(4)に記載の効果を得ることができる。
【0060】
・先の図2に示したステップS110の処理を省略してもよい。この場合でも上記(1)、(3)、及び(4)に記載の効果を得ることができる。
・判定圧PMdを固定値としてもよい。この場合でも、上記(1)、(2)、及び(4)に記載の効果を得ることができる。
【0061】
・進角量ADを固定値にしてもよい。この場合でも、上記(1)、(2)、及び(3)に記載の効果を得ることができる。
・吸気圧PMと判定圧PMdとの圧力差ΔPMに基づいて進角量ADを可変設定するようにした。この他、吸気圧PMと大気圧との圧力差を算出し、この圧力差が小さいときほど、進角処理実行時の進角量ADが大きくなるようにしてもよい。この場合には、吸気圧PMと大気圧との差が小さいときほど、つまり吸気通路3内の負圧が小さいときほど、進角処理実行時の進角量ADは大きくされる。このように進角量が大きくされていくと、上述したように吸気ポート3aに吹き返される吸気の量が減少していくため、吸気通路3内の負圧は大きくなっていく(吸気通路内の圧力は大気圧よりも低くなっていく)。従って、この変形例によれば、吸気通路3内の負圧の大きさに合わせて進角量ADを適切に設定することができる。
【0062】
・上記実施形態では、遅閉じ制御の実行中において、スロットルバルブ29の動作異常があるときに、吸気バルブ9の進角処理を実行するようにした。この他、遅閉じ制御の実行中において、内燃機関1を搭載する車両の状態が減速中及び停車中のいずれか一方の状態であるときには、その状態、つまり減速中及び停車中のいずれか一方の状態になる前に比べて、吸気バルブ9の閉弁時期を進角側に変更する進角処理を実行するようにしてもよい。
【0063】
この変形例は、先の図2に示したステップS100の処理を、図6に示すステップS200の処理に変更することによって実施できる。つまり、ステップS200にて車両が減速中(例えばアクセル操作量が「0」)、または停車中(例えば車速が「0」、あるいはブレーキスイッチ41が「ON」)であるか否かを判定し、減速中または停車中であるときには(S200:YES)、上述したステップS110以降の処理を実行する。一方、減速中または停車中ではないときには(S200:NO)、負圧回復処理の実行を一旦終了する。
【0064】
この変形例によっても、進角処理が実行されることにより、圧縮行程の初期段階において吸気ポート3aに吹き返される吸気の量が減少し、これにより吸気通路3内の負圧が確保されるようになる。
【0065】
他方、上述したように、吸気バルブ9の進角処理を行うと、吸気バルブ9の遅閉じ制御による機関の熱効率の向上代が減少するため、そうした進角処理の実行頻度は極力少なくすることが望ましい。この点、この変形例では、進角処理による負圧の確保が、車両の状態が減速中のとき、あるいは停車中のときに行われる。つまりブレーキブースタ70に対して負圧を確実に供給する必要があるときに進角処理が行われる。従って、車両の状態に依らず常に進角処理を行う場合と比較して、同進角処理の実行頻度を低く抑えることができ、これにより吸気バルブ9の遅閉じ制御による機関の熱効率の向上を十分に図ることができる。
【符号の説明】
【0066】
1…内燃機関、2…燃焼室、3…吸気通路、3a…吸気ポート、4…燃料噴射弁、5…点火プラグ、6…ピストン、7…クランクシャフト、8…排気通路、8a…排気ポート、9…吸気バルブ、10…排気バルブ、11…吸気カムシャフト、12…排気カムシャフト、13…バルブタイミング可変機構(VVT)、26…制御装置、27…アクセルペダル、28…アクセルポジションセンサ、29…スロットルバルブ、30…スロットルポジションセンサ、32…エアフロメータ、34…クランク角センサ、35…カムポジションセンサ、40…ブレーキペダル、41…ブレーキスイッチ、50…圧力センサ、60…車速センサ、70…ブレーキブースタ、71…負圧導入通路、100…コンプレッサ、110…オルタネータ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変動弁機構の制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のように、車両のブレーキ装置では、吸気通路内の負圧をブレーキブースタに導入し、この負圧を利用して運転者のブレーキ踏み力を倍増させるようにしている。
また、ブレーキブースタを備える場合にあって吸気通路内の負圧が不足するときには、スロットルバルブの開度を小さくすることでブレーキブースタへの負圧を確保するといったスロットル制御も従来より行われている。ここで、スロットルバルブの開度を制御できない状態、つまりスロットルバルブの動作異常が生じている状態では、上述したようなスロットル制御を通じた負圧の確保が困難である。
【0003】
そこで、特許文献1に記載の装置では、スロットルバルブの動作異常が生じている状態で負圧の確保が必要なときには、排気弁の閉弁時期を遅角化させて吸気弁とのバルブオーバラップを形成するようにしている。このようにして排気弁の閉弁時期を遅角化させると排気行程での排気の圧縮が抑えられるため、吸気弁が開弁したときに、圧縮された排気が吸気通路に吹き返すことによる吸気通路内の負圧不足が抑えられるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−274822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年の内燃機関では、ピストンが吸気下死点に到達した後に吸気弁を閉じる、いわゆる吸気弁の遅閉じ制御を行うことで圧縮行程の実質的な開始を遅らせ、これにより圧縮比よりも高い膨張比を得ることのできるアトキンソンサイクルが実施されることがある。このアトキンソンサイクルでは、燃料の持つ熱エネルギーが膨張行程において十分に運動エネルギーに変換されるため、内燃機関の熱効率が向上するようになる。
【0006】
ここで、上記アトキンソンサイクルを実施する場合には、吸気弁が吸気下死点後に閉弁されることから、圧縮行程の初期段階において気筒内に吸入された吸気が吸気ポートに吹き返されてしまう。そのため吸気弁の遅閉じ制御を行う場合にも、吸気通路内の負圧が不足するおそれがある。なお、こうした圧縮行程の初期段階における吸気ポートへの吹き返しは、上記のような排気弁の閉弁時期の遅角化では抑えることができない。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、吸気弁の遅閉じ制御が行われる内燃機関において吸気通路内の負圧を適切に確保することのできる可変動弁機構の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、吸気弁の閉弁時期を変更する可変動弁機構を備える内燃機関に適用されて、前記閉弁時期を吸気下死点よりも遅角側に設定する遅閉じ制御を行う可変動弁機構の制御装置であって、前記遅閉じ制御の実行中において、スロットルバルブの動作異常があるときには、同スロットルバルブの動作異常がないときに比して前記閉弁時期を進角側に変更する進角処理を実行することをその要旨とする。
【0009】
同構成によれば、上記進角処理が実行されることにより、圧縮行程の初期段階において吸気ポートに吹き返される吸気の量が減少し、これにより吸気通路内の負圧が確保されるようになる。
【0010】
他方、上述した進角処理を行うと、吸気弁の遅閉じ制御による機関の熱効率の向上代が減少するため、そうした進角処理の実行頻度は極力少なくすることが望ましい。この点、同構成では、進角処理による負圧の確保を、スロットルバルブの動作異常があるとき、つまり上述したようなスロットル制御による負圧の確保が困難なときに行うようにしている。従って、負圧確保のために常に進角処理を行う場合と比較して、同進角処理の実行頻度を極めて低く抑えることができ、これにより吸気弁の遅閉じ制御による機関の熱効率の向上を十分に図ることも可能となる。
【0011】
なお、同構成におけるスロットルバルブの動作異常とは、スロットルバルブの開度を正常に制御できない状態のことをいう。
請求項2に記載の発明は、吸気弁の閉弁時期を変更する可変動弁機構を備える内燃機関に適用されて、前記閉弁時期を吸気下死点よりも遅角側に設定する遅閉じ制御を行う可変動弁機構の制御装置であって、前記遅閉じ制御の実行中において、前記内燃機関を搭載する車両の状態が減速中及び停車中のいずれか一方の状態であるときには、その状態になる前に比して前記閉弁時期を進角側に変更する進角処理を実行することをその要旨とする。
【0012】
同構成によれば、上記進角処理が実行されることにより、圧縮行程の初期段階において吸気ポートに吹き返される吸気の量が減少し、これにより吸気通路内の負圧が確保されるようになる。
【0013】
他方、上述した進角処理を行うと、吸気弁の遅閉じ制御による機関の熱効率の向上代が減少するため、そうした進角処理の実行頻度は極力少なくすることが望ましい。この点、同構成では、進角処理による負圧の確保を、車両の状態が減速中のとき、あるいは停車中のときに行うようにしている。つまりブレーキブースタに対して負圧を確実に供給する必要があるときに進角処理を行うようにしている。従って、車両の状態に依らず常に進角処理を行う場合と比較して、同進角処理の実行頻度を低く抑えることができ、これにより吸気弁の遅閉じ制御による機関の熱効率の向上を十分に図ることも可能となる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の可変動弁機構の制御装置において、前記進角処理は、吸気通路内の吸気圧が所定圧力以上のときに実行されることをその要旨とする。
【0015】
同構成によれば、吸気通路内の負圧が不足しているときに進角処理が実行されるようになるため、必要なときにのみ進角処理が実行されるようになる。従って、不要な進角処理の実行による上記熱効率の低下を抑えることができる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の可変動弁機構の制御装置において、前記所定圧力は、車速に基づいて可変設定されることをその要旨とする。
車両においては車速が高いときほど、より大きなブレーキ力が要求される。そこで、同構成によるように、上記進角処理の実行可否を判定する上記所定圧力を車速に基づいて可変設定することにより、車速に応じた要求負圧の変化に対応させて負圧を好適に確保することができる。なお、同構成においては、車速が高いほど上記所定圧力を低くすることが望ましい。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項3または4に記載の可変動弁機構の制御装置において、前記吸気圧と前記所定圧力との差が大きいときほど、前記進角処理実行時の進角量は大きくされることをその要旨とする。
【0018】
同構成によれば、負圧が不足しているときほど、進角処理実行時の進角量は大きくされる。このように進角量が大きくされていくと、吸気ポートに吹き返される吸気の量が減少していくため、吸気通路内の負圧は大きくなっていく(つまり吸気通路内の圧力は大気圧よりも低くなっていく)。従って、負圧の不足分に合わせて進角量を適切に設定することができる。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項3または4に記載の可変動弁機構の制御装置において、前記吸気圧と大気圧との差が小さいときほど、前記進角処理実行時の進角量は大きくされることをその要旨とする。
【0020】
同構成によれば、吸気圧と大気圧との差が小さいときほど、つまり吸気通路内の負圧が小さいときほど、進角処理実行時の進角量は大きくされる。このように進角量が大きくされていくと、吸気ポートに吹き返される吸気の量が減少していくため、吸気通路内の負圧は大きくなっていく(つまり吸気通路内の圧力は大気圧よりも低くなっていく)。従って、同構成によれば、吸気通路内の負圧の大きさに合わせて進角量を適切に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明にかかる可変動弁機構の制御装置を具体化した一実施形態にあって、これが適用される内燃機関の構造を示す模式図。
【図2】同実施形態における負圧回復処理の手順を示すフローチャート。
【図3】車速と判定圧との関係を示すグラフ。
【図4】圧力差と進角量との関係を示すグラフ。
【図5】負圧回復処理によるバルブタイミングの変化を示すタイミングチャート。
【図6】同実施形態の変形例における負圧回復処理の手順であってその一部を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明にかかる可変動弁機構の制御装置を具体化した一実施形態について、図1〜図5を参照して説明する。
図1に示すように、内燃機関1では、その燃焼室2に吸気通路3を通じて空気が吸入されるとともに、燃料噴射弁4から噴射された燃料が同燃焼室2に供給される。この空気と燃料とからなる混合気に対し点火プラグ5による点火が行われると、同混合気が燃焼してピストン6が往復移動し、内燃機関1の出力軸であるクランクシャフト7が回転する。このクランクシャフト7には、エアーコンディショナのコンプレッサ100やオルタネータ110等の機関出力によって駆動される補機が駆動連結されている。そして、燃焼後の混合気は排気として各燃焼室2から排気通路8に送り出される。
【0023】
内燃機関1の吸気通路3には、吸入空気量を調量するスロットルバルブ29が設けられている。このスロットルバルブ29は、電動モータによって開度が調整される。また、電動モータへの通電が行われないときのスロットルバルブ29の開度は、スプリングなどの付勢部材によって所定のオープナ開度に固定される。このオープナ開度としては、スロットルバルブ29に動作異常が生じて電動モータへの通電が中止されたときに、車両の待避走行等が行える適切な開度が設定されている。
【0024】
吸気通路3に繋がる吸気ポート3aと燃焼室2との間は吸気バルブ9の開閉動作によって連通・遮断され、排気通路8に繋がる排気ポート8aと燃焼室2との間は排気バルブ10の開閉動作によって連通・遮断される。これら吸気バルブ9及び排気バルブ10については、クランクシャフト7の回転が伝達される吸気カムシャフト11及び排気カムシャフト12の回転に伴い開閉動作する。
【0025】
内燃機関1は、吸気バルブ9のバルブ特性を可変する可変動弁機構として、吸気カムシャフト11に設けられたバルブタイミング可変機構(以下、VVTという)13を備えている。このVVT13は、クランクシャフト7に対する吸気カムシャフト11の相対回転位相を調節して吸気バルブ9のバルブタイミングVTを変更することで、吸気バルブ9の開弁期間を一定に保持した状態で同吸気バルブ9の開弁時期IVO及び閉弁時期IVCを共に進角側又は遅角側に変更する。なお、バルブタイミングVTには、機関負荷や機関回転速度等の機関運転状態に基づいて目標値が設定され、この目標値とバルブタイミングVTの実値とが一致するようにVVT13の駆動は制御される。
【0026】
また、吸気通路3にあってスロットルバルブ29の下流には、負圧導入通路71を介してブレーキブースタ70が接続されている。このブレーキブースタ70は、吸気通路3内の負圧を利用して運転者のブレーキ踏み力を倍増させる。
【0027】
こうした内燃機関1の各種制御は、自動車に搭載された制御装置26によって行われる。制御装置26は、内燃機関1の制御にかかる演算処理を実行するCPU、その制御に必要なプログラムやデータの記憶されたROM、CPUの演算結果が一時的に記憶されるRAM、外部との間で信号を入・出力するための入・出力ポート等を備えて構成されている。
【0028】
制御装置26の入力ポートには、以下に示す各種センサやスイッチが接続されている。
・車両の運転者によって操作されるアクセルペダル27の操作量(アクセル操作量)を検出するアクセルポジションセンサ28。
【0029】
・車両の運転者によって踏み込み操作されるブレーキペダル40の踏み込みの有無を検出するブレーキスイッチ41。
・吸気通路3に設けられたスロットルバルブ29の開度(スロットル開度)を検出するスロットルポジションセンサ30。
【0030】
・吸気通路3を通じて燃焼室2に吸入される空気の量を検出するエアフロメータ32。
・スロットルバルブ29の下流側における吸気通路3内の圧力(吸気圧PM)を検出する圧力センサ50。
【0031】
・クランクシャフト7の回転角を検出するクランク角センサ34。
・カムシャフトの回転位置に対応した信号を出力することでバルブタイミングVTを検出するカムポジションセンサ35。
【0032】
・車両の車速Vを検出する車速センサ60。
制御装置26の出力ポートには、スロットルバルブ29の電動モータ、燃料噴射弁4、点火プラグ5、及びVVT13を駆動するアクチュエータなどの駆動回路が接続されている。
【0033】
そして、制御装置26は、上記各種センサやスイッチからの入力信号に基づいて機関運転状態を把握し、その把握した機関運転状態に応じて上記出力ポートに接続された各種駆動回路に指令信号を出力する。こうして燃料噴射弁4による燃料噴射量の制御、点火プラグ5の点火時期の制御、吸気バルブ9のバルブタイミングVTの制御、及びスロットルバルブ29の開度制御等が制御装置26を通じて実施される。
【0034】
本実施形態にかかる内燃機関1では、VVT13による吸気弁の遅閉じ制御、すなわち、ピストン6の吸気下死点よりも遅角側で吸気バルブ9を閉弁させる制御を行うことで前述したアトキンソンサイクルを実施するようにしている。このアトキンソンサイクルでは、吸気バルブ9の閉弁時期がピストン6の吸気下死点よりも遅くなるために、圧縮行程の初期では気筒内に吸入された吸気が吸気ポート3aに吹き返されるようになる。これにより、圧縮行程の実質的な開始が遅れるようになり、結果として実圧縮比を高めることなく高い膨張比を得ることが可能になっている。そして、このように膨張比を高めることができるアトキンソンサイクルでは、膨張行程での実質的なピストンストロークを長くすることができるため、燃料の持つ熱エネルギーを効率よく運動エネルギーに変換することができ、ひいては内燃機関1の熱効率を向上させることができる。
【0035】
また、コンプレッサ100が駆動されるときや、オルタネータ110の発電要求が高いときには補機の駆動負荷が高くなるため、その分、車両の駆動に利用される機関出力が減少してしまう。そのため、コンプレッサ100が駆動されている、あるいはオルタネータ110の要求発電量が所定値よりも高いとき等のように、補機の駆動負荷が高いときには、スロットルバルブ29の開度を増大補正して吸入空気量を増量し、機関出力を高める出力増大制御を行うことにより、補機駆動による機関出力の損失を補うようにしている。
【0036】
ところで、上述したようにアトキンソンサイクルを実施する場合には、吸気バルブ9が吸気下死点後に閉弁されることから、圧縮行程の初期段階において気筒内に吸入された吸気が吸気ポート3aに吹き返されてしまう。そのため吸気バルブ9の遅閉じ制御を行う場合には、吸気通路3内の負圧が不足してブレーキブースタ70に十分な負圧を供給できなくなる。そこで、本実施形態では、吸気圧PMが予め定められた判定圧PMd以上、つまり予め定められた負圧値未満であって吸気通路内の負圧が不足しているときには、スロットルバルブ29の開度を閉じ側に補正するスロットル制御を行って吸気圧PMを低下させることにより、ブレーキ力確保のために必要とされる負圧を確保するようにしている。
【0037】
ここで、スロットルバルブ29に動作異常が生じていると、上記スロットル制御による負圧確保が困難になる。そこで、本実施形態では、以下に説明する別の負圧回復処理をさらに行うことにより、遅閉じ制御が行われる内燃機関1において吸気通路3内の負圧を適切に確保するようにしている。なお、この負圧回復処理は、吸気バルブ9の遅閉じ制御の実行中(アトキンソンサイクルの実行中)において、制御装置26により所定周期毎に行われる。
【0038】
図2に示すように、この負圧回復処理が開始されるとまず、スロットルバルブ29に動作異常があるか、つまりスロットルバルブ29の開度を正常に制御できない状態であるか否かが判定される(S100)。この動作異常の判定は、本処理とは別の判定処理にて行われており、この判定処理では、スロットルバルブ29の実開度と目標開度との差が継続して大きい場合に動作異常ありと判定される。
【0039】
ステップS100にて、スロットルバルブ29に動作異常なしと判定されるときには(S100:NO)、本処理は一旦終了される。
一方、スロットルバルブ29に動作異常ありと判定されるときには(S100:YES)、現在の吸気圧PMが上述した判定圧PMd以上であるか否かが判定される(S110)。この判定圧PMdは、ブレーキブースタ70の倍力作用を適切に得るために必要な値が設定されている。また、図3に示すように、判定圧PMdは車速Vに基づいて可変設定される。より具体的には車速Vが高いときほど判定圧PMdは小さい値に設定される。
【0040】
ステップS110にて、吸気圧PMが判定圧PMdよりも小さいと判定されるときには(S110:NO)、吸気通路3内に十分な負圧が確保されているため、本処理は一旦終了される。
【0041】
一方、吸気圧PMが判定圧PMd以上であるときには(S110:YES)、吸気通路3内の負圧が不足していると判断されて、ステップS120以降の処理が行われる。
ステップS120では、VVT13に異常がないか否かが判定される。ここでの異常判定も本処理とは別の判定処理にて行われており、例えばバルブタイミングVTの実値と目標値との差が継続して大きい場合などに異常ありと判定される。
【0042】
そして、VVT13に異常がないときには(S120:YES)、負圧回復を行うために現在のバルブタイミングVTが進角量ADの分だけ進角されて(S130)、本処理は一旦終了される。このステップS120での進角処理において、進角量ADを算出するときには、まず現在の吸気圧PMと上記判定圧PMdとの圧力差ΔPMが算出される。そして、図4に示すように、その圧力差ΔPMが大きいほど、つまり判定圧PMdに対して吸気通路3内の負圧が不足しているときほど進角量ADは大きい値にされる。
【0043】
ステップS120にて、VVT13に異常があると判定されるときには(S120:YNO)、現在の補機の駆動負荷が高いか否かが判定される(S140)。ここでの判定は、コンプレッサ100が駆動されているとき、あるいはオルタネータ110の要求発電量が所定値よりも高いときに肯定判定される。
【0044】
そして、補機の駆動負荷が高いときには(S140:YES)、コンプレッサ100の駆動を停止したり、オルタネータ110の要求発電量を小さくしたりして補機の駆動負荷を低減させる(S150)。そして、本処理は一旦終了される。
【0045】
一方、補機の駆動負荷が高くないときには(S140:NO)、車速制限処理が実行されて(S160)、本処理は一旦終了される。この車速制限処理は、車両の車速が予め定められた制限速度VLTを超えないように制御するものであり、例えば以下のような処理を行えばよい。
【0046】
・スロットルバルブ29の最大開度を制限することで吸入空気量を制限する。
・車速Vが制限速度VLTに達したときには、車速Vがある程度低下するまで点火時期の遅角補正を行う。
【0047】
・車速Vが制限速度VLTに達したときには、車速Vがある程度低下するまで燃料噴射を停止する。
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0048】
遅閉じ制御の実行中において、スロットルバルブ29に動作異常があるときには(図2のS100:YES)、進角量ADが算出されてバルブタイミングVTが変更される(S130)。つまり図5に二点鎖線にて示すように、スロットルバルブ29に動作異常があるときには、動作異常がないときに比して吸気バルブ9の閉弁時期が進角量ADの分だけ進角側に変更される。このような進角処理が行われることにより、圧縮行程の初期段階において吸気ポート3aに吹き返される吸気の量が減少し、吸気通路3内の負圧が確保される。
【0049】
他方、上述した進角処理を行うと負圧を確保することができるものの、吸気バルブ9の遅閉じ制御による機関の熱効率の向上代が減少するため、そうした進角処理の実行頻度は極力少なくすることが望ましい。この点、本実施形態では、進角処理による負圧の確保を、スロットルバルブ29の動作異常があるとき、つまり上述したようなスロットル制御による負圧の確保が困難なときに行うようにしている。ここで、スロットルバルブ29の動作異常はその発生頻度が非常に少ないため、進角処理による負圧確保の実行機会は非常に少ない。従って、負圧確保のために常に進角処理を行う場合と比較して、同進角処理の実行頻度を極めて低く抑えることができ、これにより吸気バルブ9の遅閉じ制御による機関の熱効率の向上が十分に図られる。
【0050】
また、吸気圧PMが判定圧PMd以上のときに(図2のS110:YES)、上記進角処理は実行される(S130)。従って、吸気通路3内の負圧が不足しているときに進角処理が実行されるようになり、必要なときにのみ進角処理が実行される。従って、不要な進角処理の実行による上記熱効率の低下が抑えられる。
【0051】
また、車両においては車速Vが高いときほど、より大きなブレーキ力が要求される。そこで、本実施形態では、先の図3に示すように、進角処理の実行可否を判定する上記判定圧PMdを車速Vに基づいて可変設定するようにしている。より具体的には車速Vが高いときほど判定圧PMdを小さい値に設定するようにしている。そのため、大きなブレーキ力が要求されるときほど進角処理は実行されやすくなり、車速に応じた要求負圧の変化に対応させて吸気通路3内の負圧が好適に確保される。
【0052】
また、吸気圧PMと判定圧PMdとの圧力差ΔPMが大きいときほど、つまり必要とされている負圧が不足しているときほど、進角処理実行時の進角量ADを大きくしている。このように進角量ADが大きくされていくと、吸気ポート3aに吹き返される吸気の量が減少していくため、吸気通路3内の負圧は大きくなっていく(吸気通路3内の圧力は大気圧よりも低くなっていく)。従って、負圧の不足分に合わせて進角量ADが適切に設定すされる。
【0053】
また、VVT13に異常があり(図2のS120:NO)、進角処理による負圧確保ができないときに、補機の駆動負荷が高い場合には(S140:YES)、補機の駆動負荷が低減される(S150)。このように補機の駆動負荷が低減されると、上述した出力増大制御によるスロットルバルブ29の開度増大が抑えられ、これにより吸気通路3内の圧力が低下して負圧が確保される。
【0054】
また、補機の駆動負荷が低く(S140:NO)、補機の駆動負荷の低減による負圧確保が難しいときには、車速制限処理が行われる(S160)。従って、ブレーキブースタ70に対して十分な負圧を供給できないときには、車速Vが制動能力に見合った速度に制限される。従って、車両の制動性能が確保される。
【0055】
以上説明したように、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)吸気バルブ9の閉弁時期を吸気下死点よりも遅角側に設定する遅閉じ制御の実行中において、スロットルバルブ29の動作異常があるときには、同スロットルバルブ29の動作異常がないときに比して吸気バルブ9閉弁時期を進角側に変更する進角処理を実行するようにしている。そのため、吸気通路3内の負圧を確保することができる。
【0056】
また、スロットルバルブ29の動作異常があるときに進角処理を行うようにしている。従って、負圧確保のために常に進角処理を行う場合と比較して、同進角処理の実行頻度を極めて低く抑えることができ、これにより遅閉じ制御による機関の熱効率の向上を十分に図ることができる。
【0057】
(2)上記進角処理は、吸気通路3内の吸気圧PMが所定の判定圧PMd以上のときに実行するようにしている。そのため、不要な進角処理の実行による上記熱効率の低下を抑えることができる。
【0058】
(3)上記判定圧PMdは、車速Vに基づいて可変設定するようにしている。そのため、車速Vに応じた要求負圧の変化に対応させて負圧を好適に確保することができる。
(4)吸気圧PMと判定圧PMdとの圧力差ΔPMが大きいときほど、進角処理実行時の進角量ADを大きくしている。そのため、負圧の不足分に合わせて進角量ADを適切に設定することができる。
【0059】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することもできる。
・先の図2に示したステップS120、ステップS140、ステップS150、ステップS160の各処理は適宜省略してもよい。この場合でも上記(1)〜(4)に記載の効果を得ることができる。
【0060】
・先の図2に示したステップS110の処理を省略してもよい。この場合でも上記(1)、(3)、及び(4)に記載の効果を得ることができる。
・判定圧PMdを固定値としてもよい。この場合でも、上記(1)、(2)、及び(4)に記載の効果を得ることができる。
【0061】
・進角量ADを固定値にしてもよい。この場合でも、上記(1)、(2)、及び(3)に記載の効果を得ることができる。
・吸気圧PMと判定圧PMdとの圧力差ΔPMに基づいて進角量ADを可変設定するようにした。この他、吸気圧PMと大気圧との圧力差を算出し、この圧力差が小さいときほど、進角処理実行時の進角量ADが大きくなるようにしてもよい。この場合には、吸気圧PMと大気圧との差が小さいときほど、つまり吸気通路3内の負圧が小さいときほど、進角処理実行時の進角量ADは大きくされる。このように進角量が大きくされていくと、上述したように吸気ポート3aに吹き返される吸気の量が減少していくため、吸気通路3内の負圧は大きくなっていく(吸気通路内の圧力は大気圧よりも低くなっていく)。従って、この変形例によれば、吸気通路3内の負圧の大きさに合わせて進角量ADを適切に設定することができる。
【0062】
・上記実施形態では、遅閉じ制御の実行中において、スロットルバルブ29の動作異常があるときに、吸気バルブ9の進角処理を実行するようにした。この他、遅閉じ制御の実行中において、内燃機関1を搭載する車両の状態が減速中及び停車中のいずれか一方の状態であるときには、その状態、つまり減速中及び停車中のいずれか一方の状態になる前に比べて、吸気バルブ9の閉弁時期を進角側に変更する進角処理を実行するようにしてもよい。
【0063】
この変形例は、先の図2に示したステップS100の処理を、図6に示すステップS200の処理に変更することによって実施できる。つまり、ステップS200にて車両が減速中(例えばアクセル操作量が「0」)、または停車中(例えば車速が「0」、あるいはブレーキスイッチ41が「ON」)であるか否かを判定し、減速中または停車中であるときには(S200:YES)、上述したステップS110以降の処理を実行する。一方、減速中または停車中ではないときには(S200:NO)、負圧回復処理の実行を一旦終了する。
【0064】
この変形例によっても、進角処理が実行されることにより、圧縮行程の初期段階において吸気ポート3aに吹き返される吸気の量が減少し、これにより吸気通路3内の負圧が確保されるようになる。
【0065】
他方、上述したように、吸気バルブ9の進角処理を行うと、吸気バルブ9の遅閉じ制御による機関の熱効率の向上代が減少するため、そうした進角処理の実行頻度は極力少なくすることが望ましい。この点、この変形例では、進角処理による負圧の確保が、車両の状態が減速中のとき、あるいは停車中のときに行われる。つまりブレーキブースタ70に対して負圧を確実に供給する必要があるときに進角処理が行われる。従って、車両の状態に依らず常に進角処理を行う場合と比較して、同進角処理の実行頻度を低く抑えることができ、これにより吸気バルブ9の遅閉じ制御による機関の熱効率の向上を十分に図ることができる。
【符号の説明】
【0066】
1…内燃機関、2…燃焼室、3…吸気通路、3a…吸気ポート、4…燃料噴射弁、5…点火プラグ、6…ピストン、7…クランクシャフト、8…排気通路、8a…排気ポート、9…吸気バルブ、10…排気バルブ、11…吸気カムシャフト、12…排気カムシャフト、13…バルブタイミング可変機構(VVT)、26…制御装置、27…アクセルペダル、28…アクセルポジションセンサ、29…スロットルバルブ、30…スロットルポジションセンサ、32…エアフロメータ、34…クランク角センサ、35…カムポジションセンサ、40…ブレーキペダル、41…ブレーキスイッチ、50…圧力センサ、60…車速センサ、70…ブレーキブースタ、71…負圧導入通路、100…コンプレッサ、110…オルタネータ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気弁の閉弁時期を変更する可変動弁機構を備える内燃機関に適用されて、前記閉弁時期を吸気下死点よりも遅角側に設定する遅閉じ制御を行う可変動弁機構の制御装置であって、
前記遅閉じ制御の実行中において、スロットルバルブの動作異常があるときには、同スロットルバルブの動作異常がないときに比して前記閉弁時期を進角側に変更する進角処理を実行する
ことを特徴とする可変動弁機構の制御装置。
【請求項2】
吸気弁の閉弁時期を変更する可変動弁機構を備える内燃機関に適用されて、前記閉弁時期を吸気下死点よりも遅角側に設定する遅閉じ制御を行う可変動弁機構の制御装置であって、
前記遅閉じ制御の実行中において、前記内燃機関を搭載する車両の状態が減速中及び停車中のいずれか一方の状態であるときには、その状態になる前に比して前記閉弁時期を進角側に変更する進角処理を実行する
ことを特徴とする可変動弁機構の制御装置。
【請求項3】
前記進角処理は、吸気通路内の吸気圧が所定圧力以上のときに実行される
請求項1または2に記載の可変動弁機構の制御装置。
【請求項4】
前記所定圧力は、車速に基づいて可変設定される
請求項3に記載の可変動弁機構の制御装置。
【請求項5】
前記吸気圧と前記所定圧力との差が大きいときほど、前記進角処理実行時の進角量は大きくされる
請求項3または4に記載の可変動弁機構の制御装置。
【請求項6】
前記吸気圧と大気圧との差が小さいときほど、前記進角処理実行時の進角量は大きくされる
請求項3または4に記載の可変動弁機構の制御装置。
【請求項1】
吸気弁の閉弁時期を変更する可変動弁機構を備える内燃機関に適用されて、前記閉弁時期を吸気下死点よりも遅角側に設定する遅閉じ制御を行う可変動弁機構の制御装置であって、
前記遅閉じ制御の実行中において、スロットルバルブの動作異常があるときには、同スロットルバルブの動作異常がないときに比して前記閉弁時期を進角側に変更する進角処理を実行する
ことを特徴とする可変動弁機構の制御装置。
【請求項2】
吸気弁の閉弁時期を変更する可変動弁機構を備える内燃機関に適用されて、前記閉弁時期を吸気下死点よりも遅角側に設定する遅閉じ制御を行う可変動弁機構の制御装置であって、
前記遅閉じ制御の実行中において、前記内燃機関を搭載する車両の状態が減速中及び停車中のいずれか一方の状態であるときには、その状態になる前に比して前記閉弁時期を進角側に変更する進角処理を実行する
ことを特徴とする可変動弁機構の制御装置。
【請求項3】
前記進角処理は、吸気通路内の吸気圧が所定圧力以上のときに実行される
請求項1または2に記載の可変動弁機構の制御装置。
【請求項4】
前記所定圧力は、車速に基づいて可変設定される
請求項3に記載の可変動弁機構の制御装置。
【請求項5】
前記吸気圧と前記所定圧力との差が大きいときほど、前記進角処理実行時の進角量は大きくされる
請求項3または4に記載の可変動弁機構の制御装置。
【請求項6】
前記吸気圧と大気圧との差が小さいときほど、前記進角処理実行時の進角量は大きくされる
請求項3または4に記載の可変動弁機構の制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2013−29045(P2013−29045A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164444(P2011−164444)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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