説明

可燃性原料供給装置、可燃性原料ガス化装置及び可燃性原料ガス化方法

可燃性廃棄物等の可燃性原料を流動床式の炉内に供給する供給系のシール機能を高め、且つ不定形な可燃性原料を安定的に供給でき、更に建設コスト等が安価となる可燃性原料供給装置、該可燃性原料供給装置を用いた可燃性原料ガス化装置及び可燃性原料ガス化方法を提供すること。流動床式のガス化炉又は燃焼炉20の流動層23上に可燃性原料102を供給する可燃性原料供給装置であって、水平面に対して20度以上80度以下の角度で下流側が上方になるように傾斜させたスクリューコンベヤ10を設け、該スクリューコンベヤ10のコンベヤケーシング11内に流動媒体101が流入し、コンベヤケーシング11内に充満するようにした。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は都市ごみや産業廃棄物、廃プラスチック、バイオマス(間伐材、木材チップ、建築廃材、汚泥など)、石炭、RDF、高含水分廃棄物等の可燃性原料をガス化又は焼却する設備にて使用される、可燃性原料を流動床式のガス化炉又は流動床式の燃焼炉に供給する可燃性原料供給装置、可燃性原料ガス化装置及び可燃性原料ガス化方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種廃棄物等の可燃性廃棄物の処理方法として、近年、ガス化溶融方法が用いられている。ガス化溶融方法では、可燃性廃棄物を一旦熱分解ガス化する。必要以上の酸素が供給されると、可燃性廃棄物が過度に燃焼し、炉の温度を上昇させる。このような場合、安定運転が阻害されることがある。そこで、供給する空気の量は厳密に管理することが望ましい。
【0003】
しかしながら、可燃性廃棄物の処理システムは、ガスの噴出を防止するため一般的には大気圧以下で運転されることが多い。それゆえ、可燃性廃棄物の処理システムは、可燃性廃棄物を炉内に供給する給塵システムからの空気の漏れ込みを防ぎきれず、問題となっている。シール弁等の機械的装置で空気の漏れ込みを防止する対策も採られているが、廃棄物が不定形であるので、シール部分への噛み込みやシール部分でのブリッジ形成等の問題がある。よって、安定した運転を実現できるシールシステムを採用することが困難であるのが実情である。
【0004】
以上のように、近年、可燃性廃棄物をガス化して完全燃焼させるのではなく、生成ガスを精製し、それを原料として活用しようとする試みがなされている。このような方式の場合、生成ガス側に不要な空気が流入するのは、生成ガスの品質を低下させることにもつながる。そのため、不定形な可燃性廃棄物を安定に供給でき、空気の漏れ込みを最低限に抑制できるシステムが望まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものである。そこで、可燃性廃棄物等の可燃性原料を流動床式の炉内に供給する供給系のシール機能を高め、不定形な可燃性原料を安定的に供給でき、更に建設コスト等が安価となる可燃性原料供給装置、該可燃性原料供給装置を用いた可燃性原料ガス化装置及び可燃性原料ガス化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、例えば図1に示すように、本発明の一局面は流動床式のガス化炉又は流動床式の燃焼炉20の流動層23の上部に可燃性原料102を供給する可燃性原料供給装置であって、可燃性原料102を貯留するホッパーと、水平面に対して20度以上80度以下に傾斜し、下流側が上方になるような可燃性原料102の流路を通じて、前記ホッパーからガス化炉又は燃焼炉20へ可燃性原料102を供給する機械式供給装置10とを備える。
【0007】
上記のように可燃性原料供給装置が、水平面に対して20度以上80度以下に傾斜し、下流側が上方になるような可燃性原料の流路を通じて、ホッパーからガス化炉又は燃焼炉へ可燃性原料を供給する機械式供給装置を備えるので、可燃性原料が供給される位置を下げることができる。例えばゴミクレーン等の原料供給手段の位置を低くできることから、可燃性原料供給装置を有する設備を収容する建物の建屋高さを低くできる。
【0008】
本発明の一局面によれば、例えば図1に示すように、機械式供給装置が螺旋羽根13を回転させて可燃性原料102を供給するよう構成された回転螺旋羽根13を有するコンベヤ10を備える。
【0009】
上記のように機械式原料供給装置を螺旋羽根を回転させる、所謂スクリューコンベヤ或いはスパイラルコンベヤとすることにより、可燃性原料が下方から上方に押上げられながら供給される。その結果、高いマテリアルシール機能、特にコンベヤケーシング内に流動媒体を充満させることにより、原料の解砕が促進され、炉内への空気リーク、炉内からのガスのリークを防止できる。
【0010】
本発明の別の局面によれば、例えば図6に示すように、コンベヤ10は概ね平行に配置された複数本の螺旋羽根13を具備する。
【0011】
上記のようにコンベヤが概ね平行に配置された複数本の螺旋羽根を具備するので原料の解砕、特にコンベヤケーシング内に流動媒体を充満させることにより、原料の解砕が促進される。
【0012】
本発明の他の局面によれば、例えば図3に示すように、可燃性原料供給装置が螺旋羽根13を収納するコンベアケーシング11を備え、コンベアケーシング11の内面に突起111を有し、突起111は搬送効率を維持するように構成されている。
【0013】
このように構成すると、可燃性原料が回転する螺旋羽根と一緒に回転することがなくなる。よって、可燃性原料は同じ位置に留まることがなくなり、確実に上方に押し上げられる。
【0014】
本発明の他の局面によれば、例えば図1に示すように、可燃性原料供給装置10は、機械式供給装置に媒体101を供給する媒体供給装置をさらに備え、機械式供給装置の内部は気体の流通を阻止する媒体101で充満される。
【0015】
このように構成すると、媒体供給装置により気体の流通を阻止する媒体が充満される。よって、可燃性原料の解砕が促進され、原料の供給量の変動を抑制できるとともに、高いマテリアルシール機能が発揮される。
【0016】
本発明の他の局面によれば、例えば図4に示すように、媒体供給装置が、可燃性原料102の流路とは別の、媒体101を供給する流路16をさらに備える。
【0017】
このように構成すると、媒体を供給するための流路を通じて媒体が確実に機械式原料供給装置に供給され、機械式原料供給装置に媒体を充満させることができる。
【0018】
本発明の局面によれば、例えば図8に示すように、可燃性原料102をガス化する可燃性原料ガス化装置は、可燃性原料供給装置10と、可燃性原料供給装置10からの可燃性原料102の供給を受ける流動床式のガス化炉30とを備える。
【0019】
上記のように可燃性原料供給装置を機械式原料供給装置とし、機械式原料供給装置を水平面に対して20度以上80度以下で下流側が上方になるように傾斜させた可燃性原料の流路を通じて、可燃性原料をホッパーから流動床式のガス化炉または流動床式の燃焼炉に供給するように構成したので、可燃性原料ガス化装置を収容する建物の建屋高さを低くできる。
【0020】
本発明の局面によれば、例えば図9に示すように、可燃性原料102をガス化するガス化装置は、可燃性原料102を供給するための供給装置10と、可燃性原料供給装置10から可燃性原料102の供給を受ける流動床式のガス化炉60と、可燃性原料供給装置10内で可燃性原料102から発生したガス103を、ガス化炉60をバイパスさせて導くバイパス配管とを備える。
【0021】
上記のように可燃性原料供給装置内で可燃性原料から発生したガスをガス化炉をバイパスさせてガス化炉の下流側に導くバイパス配管を設けたことにより、ガス化炉内でのガス発生量の変動を抑制できるとともに、可燃性原料供給装置内で発生したガスが外に漏れ出すことなく、確実に処理できる。
【0022】
本発明の他の局面によれば、例えば図8に示すように、可燃性原料ガス化装置は、前記の可燃性原料供給装置10と、可燃性原料102を供給する供給装置10と、可燃性原料102を供給する供給装置10によって供給された可燃性原料102をガス化する流動床式のガス化炉30とを備え、可燃性原料102を供給する供給装置10内で可燃性原料102から水分及び揮発分の少なくともいずれか一方を気化させる。
【0023】
上記のように、可燃性原料供給装置内で可燃性原料から水分や揮発分を気化させ、該水分や揮発分が気化した可燃性原料を流動床式のガス化炉内に供給するので、ガス化炉内でのガス発生量の変動を抑制できるとともに、ガス化炉内の水分の変動も抑制できる。
【0024】
本発明の一局面によれば、例えば図9に示すように、前記可燃性原料ガス化装置は、可燃性原料102の供給装置10内で気化した水分あるいは揮発分の少なくとも一方103を、ガス化炉60をバイパスさせてその下流側に導くバイパス配管をさらに備える。
【0025】
上記のように可燃性原料供給装置内で気化した水分及び揮発分を流動床式のガス化炉をバイパスして該流動床式のガス化炉の下流側に導くので、可燃性原料供給装置内で発生したガスが外に漏れ出すことなく、確実に処理できる。
【0026】
本発明の他の局面によれば、例えば図9に示すように、可燃性原料102を流動床式のガス化炉または流動床式の燃焼炉60内でガス化する方法は、可燃性原料102をホッパー40で貯留する工程と、ホッパー40から流動床式のガス化炉または流動床式の燃焼炉60へ可燃性原料102を上向きに機械式供給装置で供給し、流動床62を構成する媒体101を内部に充満させて、装置のマテリアルシール機能を高める工程と、機械式供給装置により流動床式のガス化炉または流動床式の燃焼炉60に供給された可燃性原料102をガス化する工程とを備える。
【0027】
上記のように、可燃性原料が機械式供給装置で上方に供給され、流動媒体で機械式供給装置の内部を充満させることにより、可燃性原料の解砕が促進され原料の供給量の変動を抑制できる。さらに高いマテリアルシール機能を発揮させながら、可燃性原料をガス化させることができる。
【0028】
本発明の他の局面によれば、例えば図1に示すように、流動床式のガス化炉または流動床式の燃焼炉20に可燃性原料102を供給する供給装置10は、可燃性原料102を貯留するホッパーと、下流側が上方になるような可燃性原料の流路を通じて、ホッパーから流動床式のガス化炉または流動床式の燃焼炉20に可燃性原料102を供給する機械式供給装置とを備え、可燃性原料102を機械式供給装置を通じての気体の流通を阻止する媒体101とともに供給する。
【0029】
上記のように、下流側が上方になるように可燃性原料供給装置により気体の流通を阻止する媒体とともに可燃性原料を供給するので、気体の流通を阻止する媒体と可燃性原料が混在して移送されることになり、マテリアルシール機能の高い可燃性原料供給装置となる。
【0030】
この出願は、日本国で2003年4月30日に出願された特許出願、出願番号:特願2003−125695に基づいており、その内容は、ここで、その一部として取り込む。
【発明の効果】
【0031】
本書で説明したように、本発明によれば、可燃性廃棄物等の可燃性原料を流動床式の炉内に供給する供給系のシール機能を高め、且つ不定形な可燃性原料を安定的に供給でき、更に建設コスト等が安価となる可燃性原料供給装置、可燃性原料ガス化装置及び可燃性原料ガス化方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
上記のおよび他の本発明の目的、特徴および利点は、例示としての本発明の好ましい実施の形態を説明する添付の図面と共に考慮したときに、下記の説明により明らかとなるであろう。
【0033】
図1は本発明に係る可燃性原料供給装置の例を示す構成図である。図1では、説明を簡単にするため、ホッパーは省略している。符号20は流動床式のガス化炉又は燃焼炉のような炉を示している。炉20は、炉体ケーシング21と、炉体ケーシング21内に配列された耐火材層22と、内部に流動媒体101が流動する流動層23を具備する。符号10は可燃性廃棄物等の可燃性原料を炉20内に供給するための可燃性原料供給装置としてのスクリューコンベヤである。可燃性原料としては、都市ごみ、産業廃棄物、廃プラスチック、バイオマス(間伐材、木材チップ、建築廃材、汚泥など)、石炭、RDF、高含水分廃棄物などがあり、バイオマスや高含水分廃棄物は、マテリアルシール機能が乏しいものとして知られている。しかし、本発明による可燃性原料供給装置によれば、他の可燃性原料と同様に、バイオマスや高含水分廃棄物のマテリアルシール機能を高めることができる。
【0034】
スクリューコンベヤ10は、円筒状のコンベヤケーシング11と、円筒状のコンベヤケーシング11内に配置されたスクリュー14と、コンベヤケーシング11の周囲の蒸気ジャケット15とを有する。スクリュー14は、回転軸12と、回転軸12に取り付けた螺旋羽根13を有する。スクリューコンベヤ10は水平面に対して20度以上80度以下の角度で傾斜し、可燃性原料の流路がスクリューコンベヤ10と同じ角度で下流側が上方になる。よって、スクリューコンベヤ10により上向きに搬送される。コンベヤケーシング11の先端が炉20の原料供給口24に連結されている。スクリュー14の先端は原料供給口24内に入っている。
【0035】
原料供給口24は流動層23の上部、即ち濃厚流動層表面の上部に位置する。スクリューコンベヤ10のスクリュー14を回転することにより、可燃性原料102は原料供給口24を通って濃厚流動層表面の上部で炉20に供給される。流動層23から吹き上がった高温の流動媒体101が原料供給口24を通ってスクリューコンベヤ10のコンベヤケーシング11内に流入し、コンベヤケーシング11内には高温の流動媒体101が充満する。特に、スクリュー14とコンベヤケーシング11とのクリアランスにおいて、コンベヤケーシング11内全体に高温の流動媒体101が充填される。
【0036】
上記のように可燃性原料102と流動媒体101がコンベヤケーシング11内に充填するので、マテリアルシール機能が発揮される。すなわち、可燃性原料102より細かな粒子である流動媒体101が可燃性原料102の隙間に入り込み、マテリアルシール機能が高まる。なお、マテリアルシール機能とは、可燃性原料102と流動媒体101が気体の流通を阻止することであり、必ずしも気密でなく、多少の気体の流通があっても、流通しにくい状態になっていることをいう。なおここでいう気体には、空気、水蒸気、可燃ガス、燃焼ガスなどを含む。気体の流通を阻止する媒体としては、流動媒体101のような、例えば平均粒径が1mm以下の、細かな粒状態、あるいは、水分を含む泥状態の物質などがある。細かな粒状態の物質としては、流動層23を形成する流動媒体101がよい。流動媒体101を用いることにより、流動床23に異なる物質が混入することがなくなり、また、気体の流通を阻止する媒体として他の物質を備える必要もなくなる。流動媒体101は、流動層23から原料供給口24を通じて導いてもよく、あるいは、後述するようにコンベアケーシング11に流動媒体供給口16(図4参照)を設ける場合には、流動層23から直接導いても、不燃物抜き出し装置51(図8参照)から流動媒体101の流路としての配管を介して導いてもよい。不燃物抜き出し装置51(図8参照)から導くことにより、温度の低下した流動媒体101が導かれる。更に、不燃物抜き出し装置51(図8参照)からコンベアケーシング11に至る流路に流動媒体101の温度を低下させる装置を備えてもよい。また、細かな粒状態の物質としては、排ガスを処理したときに回収される飛灰55(図8参照)を用いてもよい。飛灰55は、一般的に粒子が細かいので、マテリアルシール機能を更に高めることができる。あるいは、系外から、珪砂などを供給してもよい。また、泥状態の物質としては、下水処理場でのスラッジなどを用いることができる。スラッジを気体の流通を阻止する媒体として用いることにより、可燃性原料供給装置10のマテリアルシール機能を高めると共に、スラッジの処理を行うことができる。
【0037】
大き目の可燃性原料の隙間に小さめの可燃性原料(混燃料等)が入り込むようにして、大き目の可燃性原料と小さめの可燃性原料とのマテリアルシール機能を高めることもできる。例えば、大き目の可燃性原料として、例えば往復動式破砕機により約直径30cm程度に破砕された可燃性原料や、回転式破砕機により約直径15cmに破砕された可燃性原料を供給し、小さ目の可燃性原料としては、おおよそ直径5cm程度以下のバイオマス(チップ、籾殻、木材ペレット、粒造汚泥など)、RDF、その他圧縮成型された廃棄物などを供給することで、上記のマテリアルシール機能を実現できる。
【0038】
スクリューコンベヤ10を水平面に対して20度以上80度以下の角度でスクリューコンベヤ10による搬送が上向きとなるように傾斜させることにより、コンベヤケーシング11内に流動媒体101が流入する。そこで、コンベヤケーシング11の充満率が高まる。そのため、ガスの流通抵抗が増し、炉20への可燃性原料供給系であるスクリューコンベヤ10からのガスリークを防止できる。特に、炉の外部から炉の内部への空気のリークを防止できる。なお、スクリューコンベヤ10の角度は、好ましくは30度以上、更に好ましくは40度以上とする。このように、角度を増すことにより、充満率が高まり、マテリアルシール機能が更に高まる。また、スクリューコンベヤ10の角度は、好ましくは60度以下、更に好ましくは50度以下とする。このように、極端に大きくならないようにスクリューコンベヤ10の角度を抑えることにより、スクリューコンベア10と炉体ケーシング21とで干渉を起こすことがない。更に、スクリューコンベヤ10での搬送効率の低下を防ぐことができる。ただし、マテリアルシール機能を高めるのを目的に流動媒体101が充満される場合に、スクリューコンベヤ10を上記の範囲外の所定の角度とすることもある。
【0039】
ここで、図2に可燃性原料供給装置10の傾斜角度と搬送効率の関係のグラフを示す。図2は、被搬送物として砂を用い、螺旋羽根13(図1参照)の外縁とコンベアケーシング11内面とのクリアランスを変えて、スクリューコンベヤ10の水平面からの傾斜角を変化させたときの搬送効率を測定した結果を表すグラフである。傾斜角度が45度くらいまでは、搬送効率の低下は少ない。傾斜角度が45度を越えると、特に60度を超えると、搬送効率の低下が大きくなる。75度を超えると0に近づいてくる。傾斜角度を大きくするときの搬送効率の低下は、スクリューコンベヤ10の角度を大きくすると被搬送物とコンベヤケーシング11内面との間の摩擦が減少し、螺旋羽根13の回転と一緒に被搬送物が回転するためで、被搬送物が軸方向に押し出されなくなるためと考えられる。
【0040】
そこで、図3に示すように、スクリューコンベア10の螺旋羽根13を収納する殻であるコンベアケーシング11の内面に突起111を設け、可燃性原料102および流動媒体101が螺旋羽根13に同伴して回転することを防止する。被搬送物(可燃性原料102および流動媒体101)の螺旋羽根13に同伴しての回転は、突起111により妨害され、あるいは、螺旋羽根13と突起111との間に形成されたクリアランスが小さくなる。そのため、被搬送物の螺旋羽根回転軸12廻りの回転(いわゆる共廻り)が妨害される。よって、螺旋羽根13の回転に同伴する被搬送物の回転を防ぐので、被搬送物は螺旋羽根13により軸方向に移動させられ、確実に上方に押し上げられ、その結果、搬送効率が維持される。すなわち、搬送効率の低下を防ぐ。ここで、螺旋羽根13と突起111とのクリアランスは、50mm以下とするのがよく、好ましくは20mm以下、更に好ましくは5mm以下とする。なお、突起111は、コンベアケーシング11の長手方向に連続した直線状とするのが制作上、また、搬送方向の抵抗も小さいので好ましい。突起111は、短い突起を間隔をあけて配列してもよい。突起111は、螺旋状あるいはランダムに配置してもよい。図3では、2本の突起111が示されているが、突起は1本でも3本以上でもよい。
【0041】
また、上記のように、スクリューコンベヤ10のコンベヤケーシング11の先端が連通する原料供給口24は濃厚流動層表面の上部に位置するので、流動層23から吹き上げられた流動媒体101は原料供給口24を通じてコンベヤケーシング11内に流入する。しかし、スクリューコンベヤ10内には流動層23の圧力がかからない。よって、炉20内のガスがスクリューコンベヤ10内を逆流すること、および炉20から外に漏れ出すことが防止できる。
【0042】
また、原料供給口24の高さ、開口角度、流動層23の高さ、および流動層23の流動化状態は、適切に設定され、流動層23の流動化によって吹き上げられた流動媒体101がコンベヤケーシング11に流入し易い。よって、原料供給口は、流動媒体101をコンベヤケーシング11内に輸送する、媒体供給装置の一部として用いられる。
【0043】
ここで、流動層23の構成について説明する。流動層23は、その鉛直方向下方部にある、流動化ガスにより流動化状態に置かれている流動媒体101(例えば珪砂)を濃厚に含む濃厚層と、その濃厚層の鉛直方向上方部にあるスプラッシュゾーンとからなる。スプラッシュゾーンでは、流動媒体が勢いよくはねあがっている。流動層23の上方即ちスプラッシュゾーンの上方には流動媒体101をほとんど含まずガスを主体とするフリーボード部がある。
【0044】
原料供給口24を静止層(流動化を停止したときに流動媒体101が存在する範囲)に設置すると、流動媒体101の重量により生ずる圧力(逆圧という)がスクリューコンベヤ10内に作用する。よって、スクリューコンベヤ10は逆圧を受けながら可燃性原料を搬送することになり、供給により多くのエネルギが必要になり、あるいは、可燃性原料102や流動媒体101が逆流することがある。しかし、流動媒体101が原料供給口24付近に多く存在し、掻取り効果が高いので、原料供給口24からの可燃性原料102が定量的に炉体ケーシング21内に供給される。また、スクリューコンベヤ10内に飛び込む多くの流動媒体101により、スクリューコンベヤ10は満たされる。なお、スクリューコンベヤ10に流動媒体101が飛び込む開口角度を有するスクリューコンベヤ10を、例えば図1に示すように傾斜させることにより、より多くの流動媒体101が飛び込み、スクリューコンベヤ10内に落下する。傾斜角度は、運転状態によっても異なるが、30度以上60度以下とすることが好ましい。
【0045】
原料供給口24をスプラッシュゾーンより上部、すなわち流動媒体101が存在しないフリーボード33(図8参照)に設置すると、負圧領域であるので、逆圧は存在しないが、流動媒体101が存在しないため、掻取り効果やスクリューコンベヤ10内への流動媒体101の飛び込みはほとんど望めない。
【0046】
原料供給口24を濃厚層上部に設置すると、逆圧は少なく、スクリューコンベヤ10内に多くの流動媒体101が飛び込む。また、流動媒体101が炉20内で旋回していれば、高い掻取り効果が見込め、原料供給口24からの可燃性原料102が定量的に炉体ケーシング21内に供給される。また、原料供給口24をスプラッシュゾーンに設置すると、逆圧はなくなり、スクリューコンベヤ10内に多くの流動媒体101が飛び込む。
【0047】
スクリューコンベヤ10は湿潤且つ還元雰囲気で、厳しい腐食環境となる。従ってコンベヤケーシング11、スクリュー14の加温による温度保持は必須である。図示の例では、コンベヤケーシング11の外周に設けた蒸気ジャケット15に蒸気を通し、コンベヤケーシング11、スクリュー14の温度を維持する。そして、コンベヤケーシング11内面の結露を防止し、低温腐食を防止する。また、スクリュー14の先端は、交換可能なものとしたり、必要に応じて溶射等の表面処理を施すのが好ましい。
【0048】
スクリューコンベヤ10のコンベヤケーシング11内では、可燃性原料102と高温の流動媒体101が接触し、可燃性原料の解砕が進行する。それにつれ、可燃性原料102の炉20内へのドカ落ちを防止できる。したがって、可燃性原料102の供給量および炉20内の圧力の変動が抑制される。可燃性原料102と高温の流動媒体101とが接触すると可燃性原料102中の水分が蒸発したり揮発分が熱分解したりして、蒸気や熱分解ガス103が発生する。この水蒸気や熱分解ガス103のうち一部は、原料供給口24から炉20内に流入し、流動層23上部に位置するフリーボード部を通って下流側に流れる。可燃性原料102と高温の流動媒体101が接触しガスを発生するのは、高温の流動媒体101が飛び込む原料供給口24の近くである。上述のように、可燃性原料102と流動媒体101がマテリアルシール機能を備えているので、発生したガスはスクリューコンベヤ10の上流側に通り抜けずに、炉20内に流れる。
【0049】
また、コンベヤケーシング11の上流部分(原料供給口24より上流側)で発生した水蒸気や熱分解ガス103は逆流を防止するため引き抜いて、熱回収前のガス流路に導入するのが好ましい。これにより、水蒸気や熱分解ガス103はスクリューコンベヤ10から外に漏れ出すことなく、確実に処理される。
【0050】
この改変を、本発明に係る可燃性原料供給装置の例を示す構成図である、図4に示す。図4において、図1と類似または同一の部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。図4に示すように、本可燃性原料供給装置は、スクリューコンベヤ10のコンベヤケーシング11に、後に詳述する流動媒体循環ラインから流動媒体101を供給する流動媒体供給口16と水蒸気や熱分解ガス103を引き抜くガス引き抜き口17とを設けている。ガス引き抜き口17は流動媒体供給口16より上流側に設けている。これにより、コンベヤケーシング11内で発生した水蒸気や熱分解ガス103の逆流を防止し、熱回収前のガス流路に導入することが可能となる。よって、水蒸気や熱分解ガス103はスクリューコンベヤ10から外に漏れ出すことなく、確実に処理される。
【0051】
流動媒体供給口16から供給する媒体としては、炉20内から供給される流動媒体101が好ましい。温度が300℃以上の流動媒体101は、水分を蒸発し揮発分を熱分解して、水蒸気や熱分解ガスを発生する。より確実にガスを発生するので、350℃以上の流動媒体が好ましい。また、100℃以上の温度の流動媒体であれば、水蒸気を発生する。このように、スクリューコンベア10内で可燃性原料102から水分や揮発分を気化させ、水分や揮発分が気化された可燃性原料102を炉20内に供給する。したがって、炉20内で可燃性原料102が供給されることにより発生するガス量の急激な増加が抑制され、すなわちガス発生量の変動が抑制されるとともに、炉20内の水分も抑制できる。更に、スクリューコンベア10内で発生したガスをガス引き抜き口17より引き抜いてガス圧の変動に対して強い後段機器に直接搬送し、炉20をバイパスさせることにより、炉20内のガス量の変動を抑え、炉20の運転を安定化させることができる。なお、媒体としては、流動媒体101以外であっても、高温に耐える不燃性を有していればよい。
【0052】
流動媒体供給口16から供給する媒体は高温でなくてもよい。そのときには、水分を蒸発することも揮発分を熱分解することもなく、水蒸気や熱分解ガスは発生しない。しかし、高温の流動媒体と同じ力学的効果を有し、気体の流通を阻止する媒体としての機能、すなわちマテリアルシール機能を有する。また、媒体の存在により、可燃性原料102の螺旋羽根13等への絡まりや付着が抑制され、媒体との間のせん断力により可燃性原料102がかき混ぜられ、搬送される可燃性原料の定量性が向上する。水蒸気や熱分解ガスが発生しないので、流動媒体供給口16だけを設けて、ガス引き抜き口17を設けなくてもよい。また、媒体としては、不燃性の砂等ではなく、混燃燃料あるいは補助燃料等の粒状物を用い、炉20内で燃焼してもよい。
【0053】
図5に示すように、流動媒体供給口16をガス引き抜き口17より上流側に設けてもよい。このように設置すると、スクリューコンベヤ10の上流側端部である、可燃性原料供給口(不図示)からガス引き抜き口17への空気の流入が起こりにくいので好適である。ただし、流動媒体101が高温である場合に、流動媒体供給口16から供給された流動媒体101が可燃性原料102と接触することによりガスが発生し、発生したガスが可燃性原料供給口(不図示)を通じて外部に流出する恐れがある。そこで、流動媒体供給口16とガス引き抜き口17との間隔を短くして、発生したガスを確実にガス引き抜き口17に導くことが好ましい。
【0054】
図4に示すように、ガス引き抜き口17を流動媒体供給口16より上流側に設けた場合に、流動媒体供給口16から供給された流動媒体101が可燃性原料102と接触することによりガスが発生しても、可燃性原料供給口(不図示)よりも手前のガス引き抜き口17に導かれるので好適である。したがって、可燃性原料供給口(不図示)からガス引き抜き口17への空気の流入が起こり易いので、可燃性原料供給口(不図示)とガス引き抜き口17との間の距離を長くして、空気が流入しないようにすることが好ましい。
【0055】
上記の可燃性原料供給装置の実施の形態では、スクリューコンベヤ10は回転軸12を含むスクリュー14と、スクリュー14に取り付けた螺旋羽根13を有するが、スクリューコンベヤ10はこれに限定されるものではない。図6に示すように、スクリューコンベヤ10は、スクリュー14を2本概ね平行に配置した構成でもよい。あるいは、スクリューコンベヤ10は、3本以上の複数本のスクリューを概ね平行に配置した構成のものでもよい。複数本のスクリュー14を配置することにより、スクリューコンベヤ10は、大形の原料を搬送することができ、且つ可燃性原料102の解砕は促進される。
【0056】
また、上記の実施の形態では可燃性原料供給装置はコンベヤケーシング11内に配置したスクリュー14を有しているが、可燃性原料供給装置はこれに限定されるものではない。例えば図7に示すように、可燃性原料供給装置は、コンベヤケーシング11内に配置した回転軸12と、回転軸12の端部に取り付けた螺旋羽根13を有するスパイラルコンベヤ18のような機械式供給装置でもよい。この場合、螺旋羽根13をそれぞれ有する複数本の回転軸12をコンベヤケーシング11内で概ね平行に配列してもよい。
【0057】
図8は本発明に係る可燃性原料102の供給装置10と流動床式の焼却炉を具備する焼却設備の例を示す構成図である。図8において、符号30は流動床式焼却炉の焼却炉であり、流動床式焼却炉30は、スクリューコンベヤ10のコンベヤケーシング11の先端が接続される原料供給口31を有する。コンベヤケーシング11の他端には可燃性原料102を投入する原料ホッパ40が接続されている。原料ホッパ40の底部にはプッシャ41が配置され、原料ホッパ40内の可燃性原料102をコンベヤケーシング11の後端部に押し込む。スクリューコンベヤ10が水平に設置されている場合には、スクリューコンベア10の軸に直交して、スクリューコンベヤ10の上部に原料ホッパを接続することで、可燃性原料102は重力の作用により供給される。スクリューコンベヤ10を傾斜させて設置することにより、原料ホッパから供給される可燃性原料の流れが鉛直方向から水平方向に近づき、重力の作用のみでは適切に供給されにくくなる。そこで、プッシャ41により可燃性原料102をスクリューコンベヤ10内に押し込むことにより可燃性原料102を供給するのが好ましい。
【0058】
スクリューコンベヤ10のスクリュー14を回転すると、上記プッシャ41で押し込まれた可燃性原料102は下流側に移動し、焼却炉30の原料供給口31から流動層32の上部(濃厚流動層表面上部)に供給される。供給された可燃性原料は流動層32内で燃焼し、燃焼ガス104となる。燃焼ガス104は、焼却炉30のフリーボード33を通って、熱回収装置50に流れる。また、可燃性原料102中の不燃物105は流動媒体101に伴って流動層32の底部から排出され、不燃物抜き出し装置51に送られる。不燃物抜き出し装置51で流動媒体101から不燃物105が抜き出される(分離される)。
【0059】
スクリューコンベヤ10のコンベヤケーシング11内には流動層32の流動媒体101の流動化により、流動媒体(主に硅砂)101が原料供給口31を通って流入する。同時に、不燃物抜き出し装置51で不燃物105から分離された流動媒体101がスクリューコンベヤ10の流動媒体供給口16(図4参照)からコンベヤケーシング11内に供給される。このように原料供給口31を通って流入する流路とは別に、コンベヤケーシング11内への流動媒体101の流路を備えることにより、コンベヤケーシング11には流動媒体101が充満する。よって、流動媒体101と可燃性原料102の混合体による高いマテリアルシール機能で、外部の空気がスクリューコンベヤ10を通って焼却炉30内にリークしたり、焼却炉30内で発生した燃焼ガス104がスクリューコンベヤ10を通って外部にリークすることがない。なお、不燃性粒子が流動媒体として用いられる。
【0060】
なお、不燃物抜き出し装置51で分離された流動媒体101をスクリューコンベヤ10のコンベヤケーシング11に供給することにより、不燃物抜き出し装置51で分離した流動媒体101を流動層32に戻す流動媒体循環ラインを省略できる。
【0061】
また、スクリューコンベヤ10のコンベヤケーシング11内では可燃性原料102と高温の流動媒体101とが接触することにより、可燃性原料102中の水分が蒸発し、可燃性原料102が熱分解され、水蒸気や熱分解ガス103が発生する。このコンベヤケーシング11内で発生した水蒸気や熱分解ガス103の一部は原料供給口31からフリーボード33内に流入し、その他はガス引き抜き口17(図4参照)から引き抜かれフリーボード33内に供給される。
【0062】
熱回収装置50には、蒸気52を得る廃熱ボイラや、予熱空気53を得る空気予熱器が設けられており、予熱空気53は焼却炉30に送る流動空気や燃焼空気に用いられる。熱回収装置50で熱が回収され、燃焼ガス104は温度が低下する。それから燃焼ガス104はバグフィルタ等に送られ飛灰55が除去される。その後、燃焼ガス104は脱塩装置56及び脱硝装置57を経て、脱塩及び脱硝処理された後、排ガス106となって煙突(図示せず)から大気中に放出される。
【0063】
図9は本発明に係る可燃性原料供給装置と、ガス化炉を具備する流動床式のガス化炉を有する、ガス化装置のモデルとしての、ガス化溶融設備の例を示す構成図である。図9において、図8と類似または同一の部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。可燃性原料102は、スクリューコンベヤ10により、ガス化炉60の原料供給口61から流動層62の上部(濃厚流動層表面上部)に供給される。可燃性原料102は、流動層62内で熱分解ガス化され、ガス107を生成する。生成ガス107は、ガス化炉60のフリーボード63を通って、灰溶融装置70に流れる。該灰溶融装置70で生成ガス107はそれに含まれるチャー(固定炭素)とともに高温燃焼し、生成ガス107中の灰分は溶融してスラグ71となり、系外に排出される。灰分の除去された燃焼ガス107’は完全燃焼装置72に送られる。
【0064】
スクリューコンベヤ10のコンベヤケーシング11内には図8の場合と同様、流動媒体101が充満しており、流動媒体101と可燃性原料102の混合体による高いマテリアルシール機能で外部の空気がスクリューコンベヤ10を通ってガス化炉60内にリークしたり、ガス化炉60内で生成した生成ガス107がスクリューコンベヤ10を通ってガス化炉60の外部にリークすることがない。
【0065】
また、スクリューコンベヤ10のコンベヤケーシング11内では、可燃性原料102と高温の流動媒体101とが接触することにより、可燃性原料102中の水分が蒸発したり可燃性原料102が熱分解して、水蒸気や熱分解ガス103が発生する。水蒸気や熱分解ガス103の一部は原料供給口61からフリーボード63内に流入し、その他はガス引き抜き口17(図4参照)から引き抜かれ、完全燃焼装置72に送られ、水蒸気や熱分解ガス103は灰溶融装置70からの燃焼ガス107’とともに完全燃焼する。
【0066】
完全燃焼装置72で完全燃焼して発生した燃焼ガス109は、熱回収装置50で熱回収される。そして、燃焼ガス109は、脱塵装置54に運ばれ飛灰55が除去され、その後、脱塩装置56で脱塩され、脱硝装置57で脱硝された後、排ガス206となって煙突(図示せず)から大気中に放出される。
【0067】
図10は本発明に係る可燃性原料供給装置を有する、ガス化装置のモデルとしての、ガス化改質設備の例を示す構成図である。図10において、図8及び図9と類似または同一の部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。可燃性原料102は、スクリューコンベヤ10により、ガス化炉60の原料供給口61から流動層62の上部(濃厚流動層表面上部)に供給される。可燃性原料102は、流動層62内で熱分解ガス化され、ガス107を生成する。生成ガス107はガス化炉60のフリーボード63を通って、ガス改質&灰溶融装置74に送られる。ガス改質&灰溶融装置74で生成ガス107は改質されるとともに、一部を高温燃焼させることにより灰分は溶融してスラグ71となり、系外に排出される。生成ガス107はガス改質&灰溶融装置74から熱回収装置50に排出される。
【0068】
生成ガス107は熱回収装置50で熱回収され、温度が低下する。その後、生成ガス107はガス洗浄&脱塵装置75に送られ、そこで生成ガス107に水噴射してガス洗浄をし、排水76、灰分(飛灰)77の除去が行なわれる。洗浄された生成ガス107は、ガス精製装置78へ送られ、製品ガス108を生ずる。
【0069】
スクリューコンベヤ10のコンベヤケーシング11内には図8及び図9の場合同様、流動媒体101が充満しており、流動媒体101と可燃性原料102の混合体による高いマテリアルシール機能で、外部の空気がスクリューコンベヤ10を通ってガス化炉60内にリークしたり、ガス化炉60内の生成ガス107がスクリューコンベヤ10を通ってガス化炉60から外部にリークすることがない。
【0070】
スクリューコンベヤ10のコンベヤケーシング11内では可燃性原料102と高温の流動媒体101とが接触することにより、中の水分が蒸発したり可燃性原料102が熱分解され、水蒸気や熱分解ガス103が発生する。水蒸気や熱分解ガス103の一部は原料供給口61からフリーボード63内に流入し、その他はガス引き抜き口17(図4参照)から引き抜かれ、フリーボード63に供給される。
【0071】
図11は本発明に係る可燃性原料供給装置を有する、ガス化装置のモデルとしての、低温ガス化改質設備の例を示す構成図である。図11において、図8乃至図10と類似または同一の部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。可燃性原料102は、スクリューコンベヤ10により、ガス化炉60の原料供給口61から流動層62の上部(濃厚流動層表面上部)に供給される。可燃性原料102は、流動層62内で熱分解ガス化され、ガス107を生成する。生成ガス107はガス化炉60のフリーボード63を通って、ガス改質装置80に送られ、生成ガス107は改質される。生成ガス107は熱回収装置50に送られ、熱回収装置50で熱回収され生成ガス107は温度が低下する。生成ガス107は、ガス洗浄&脱塵装置75に送られる。ガス洗浄&脱塵装置75で、生成ガス107は水噴射されガス洗浄され、排水76および灰分77が除去される。洗浄された生成ガス107はガス精製装置78へ送られ、製品ガス108を生ずる。
【0072】
スクリューコンベヤ10のコンベヤケーシング11内には図8乃至図10の場合と同様、流動媒体101が充満しており、流動媒体101と可燃性原料102の混合体による高いマテリアルシール機能で外部の空気がスクリューコンベヤ10を通ってガス化炉60内にリークしたり、ガス化炉60内で生成した生成ガス107がスクリューコンベヤ10を通ってガス化炉60から外部にリークすることがない。
【0073】
スクリューコンベヤ10のコンベヤケーシング11内では、可燃性原料102と高温の流動媒体101とが接触することにより、可燃性原料102中の水分が蒸発したり可燃性原料102が熱分解して、水蒸気や熱分解ガス103が発生する。水蒸気や熱分解ガス103の一部は原料供給口61からフリーボード63内に流入し、その他はガス引き抜き口17(図4参照)から引き抜かれ、フリーボード63に供給される。
【0074】
図12は本発明に係る可燃性原料供給装置と統合型流動床ガス化炉を具備する、ガス化装置のモデルとしての、ガス改質設備の例を示す構成図である。統合型流動床ガス化炉とは、1つの流動層ガス化炉90の内部に、熱分解・ガス化が行われるガス化室91と、熱分解により発生したチャーを燃焼させる燃焼室92があり、それら2室91、92の相互間で流動媒体101を自在に循環させるガス化装置である。ガス化室91の流動層91bは、蒸気などの酸素を含まないガスにより流動化され、燃焼室92から循環してくる流動媒体により、約600〜850℃の温度に維持される。ガス化室91に供給された可燃性原料102は、熱分解・ガス化される。燃焼室92の流動層92bは空気等の含酸素ガスにより流動化される。ガス化室91から移送されてきた熱分解残渣は燃焼室92で完全燃焼される。燃焼室92内の流動媒体92bは、この燃焼反応により発生する燃焼熱によって加熱される。燃焼室92内の流動層92bは、ガス化室91の流動層91bの温度より高い温度、約700〜950℃に保たれる。図12において、類似または同一の部分には図5乃至図8と同一符号を付し、重複する説明は省略する。統合型流動床ガス化炉90は原料供給口93を備える。スクリューコンベヤ10のコンベヤケーシング11の先端は、ガス化室91の原料供給口93に接続され、コンベヤケーシング11の他端には可燃性原料102を投入する原料ホッパ40が接続されている。原料ホッパ40の底部にはプッシャ41が配置され、原料ホッパ40内の可燃性原料102をコンベヤケーシング11の他端に押し込む。
【0075】
可燃性原料102は、スクリューコンベヤ10により、統合型流動床ガス化炉90のガス化室91から流動層91bの上部(濃厚流動層表面上部)に供給される。可燃性原料102は、流動層91b内で熱分解ガス化され、ガス107を生成する。生成ガス107はガス化室91のフリーボード91aを通って、ガス改質装置80に送られ、そこで、生成ガス107は改質される。次に、生成ガス107は熱回収装置50に送られ、熱回収装置50で熱回収され温度が低下する。生成ガス107は次に洗浄&脱塵装置75に送られる。洗浄&脱塵装置75で、生成ガス107は、水噴射によるガス洗浄、排水76及び灰分77の除去が行なわれる。洗浄された生成ガス107はガス精製装置78を経て製品ガス108を生成する。
【0076】
ガス化室91の流動層91bと燃焼室92の流動層92bは隔壁94の下端下方で連通しており、ガス化室91の流動層91bから流動媒体とチャーが燃焼室92に移動する。燃焼室92でチャーが燃焼し、燃焼ガス104を生成する。燃焼ガス104は熱回収装置50に送られ、熱回収され温度が低下する。燃焼ガス104は次に脱塵装置54に送られ、飛灰55が除去される。その後、燃焼ガス104は脱塩装置56へ送られ、脱塩され、脱硝装置57へ送られ、脱硝され、それから排ガス106として煙突(不図示)から大気中に放出される。
【0077】
可燃性原料102中の不燃物105は、流動媒体101とともに燃焼室92の流動層92bの底部から不燃物抜き出し装置51へ排出される。不燃物抜き出し装置51で流動媒体101から不燃物105が除去される。流動媒体101はスクリューコンベヤ10の流動媒体供給口17(図4参照)からコンベヤケーシング11内に供給される。また、図8乃至図11の場合と同様、コンベヤケーシング11内には流動層91bからの流動媒体101も流入する。これによりコンベヤケーシング11内には流動媒体101が充満しており、流動媒体101と可燃性原料102の混合体による高いマテリアルシール機能で外部の空気がスクリューコンベヤ10を通ってガス化室91内にリークしたり、ガス化室91内で生成した生成ガス107がスクリューコンベヤ10を通って外部にリークすることがない。
【0078】
また、スクリューコンベヤ10のコンベヤケーシング11内では可燃性原料102と高温の流動媒体101とが接触することにより、可燃性原料102中の水分が蒸発したり可燃性原料102が熱分解して、水蒸気や熱分解ガス103が発生する。この水蒸気や熱分解ガス103の一部は原料供給口93からフリーボード91a内に流入し、その他はガス引き抜き口17(図4参照)から引き抜かれ、燃焼室92のフリーボード92a内に供給される。
【0079】
ガス化室91のフリーボード91aの圧力を燃焼室92のフリーボード92aの圧力よりも高く設定することが好ましい。その場合には、コンベヤケーシング11内で発生した水蒸気や熱分解ガス103を確実に燃焼室92内に流入させることができ、爆発や中毒の危険性を低減させることができる。更に、スクリューコンベヤ10と燃焼室92を極力接近させることで、水蒸気や熱分解ガス103の導入ダクト内のトラブルも防止できる。
【0080】
図13は本発明に係る可燃性原料供給装置と統合型ガス化炉を含むガス化溶融炉とを備える、ガス化設備のモデルとしての、アドバンストガス化溶融設備の例を示す構成図である。アドバンストガス化溶融設備は、統合型ガス化炉90と灰の溶融及び完全燃焼装置(灰溶融炉)81を組合せた廃棄物処理設備である。アドバンストガス化溶融設備では、ガス化室91からの生成ガス107のみを高温化するので、灰溶融炉81や排ガス処理設備50、54、56、57が従来型ガス化溶融炉に比べて小型化できる。図13において、図5乃至図9と類似または同一の部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。スクリューコンベヤ10によりガス化室91に可燃性原料102が供給される。可燃性原料102は熱分解ガス化され、ガス107を生成する。生成ガス107は、ガス化室91のフリーボード91aを通って、灰溶融&完全燃焼装置81に送られる。灰溶融&完全燃焼装置81で生成ガス107中の灰分は溶融されスラグ71となり、系外に排出されるとともに、生成ガス107は完全燃焼する。完全燃焼した燃焼ガス110は、熱回収装置50、脱塵装置54、脱塩装置56、脱硝装置57を経た後、排ガス106として大気中に放出される。
【0081】
また、図12の場合と同様、スクリューコンベヤ10のコンベヤケーシング11内では可燃性原料102と高温の流動媒体101とが接触することにより、可燃性原料102中の水分が蒸発したり可燃性原料102が熱分解して、水蒸気や熱分解ガス103が発生する。この水蒸気や熱分解ガス103の一部は原料供給口93からフリーボード91a内に流入し、その他はガス引き抜き口17(図4参照)から引き抜かれ、燃焼室92のフリーボード92a内に供給される。
【0082】
図8乃至図13に示す各設備では、可燃性原料供給装置としてのスクリューコンベヤ10がコンベヤケーシング11内に1本のスクリュー14を有するが、スクリューコンベヤ10はこれに限定されるものではない。図6に示すようにスクリューコンベヤ10は概ね平行に配置したスクリュー14を2本、又は2本以上有していてもよい。あるいは、図7に示すように、コンベヤケーシング11内に配置された回転軸12と、回転軸12の端部に取り付けた螺旋羽根13とを有するスパイラルコンベヤ18を用いてもよい。この場合に、コンベヤケーシング11内に、螺旋羽根13をそれぞれ有する複数本の回転軸12を平行に配置してもよい。また、他の機械式原料供給装置でもよい。また、スクリューコンベア10に供給する流動媒体101が図示のようにガス引き抜き口17の下流側に位置しているが、図5に示すように、ガス引き抜き口17の上流側であってもよい。
【0083】
上記のように、機械式原料供給装置、例えばスクリューコンベヤ10を水平面に対して20度以上80度以下の角度で、スクリューコンベヤ10の可燃性原料の搬送で下流側が上方になるように傾斜させるた結果、原料供給位置を下げられ、原料が高温流動媒体と予め混合され、炉の原料供給口のシール機能が高まる。したがって、図14に示すように、下記のような効果が得られる。
【0084】
(S1)原料供給位置、即ち原料ホッパ40の位置を下げることができることにより、下記のような効果が得られる。
【0085】
原料ホッパ40に廃棄物等の可燃性原料を供給するゴミクレーン高さを低くできるから(S1−1)、建屋高さを低くでき(S1−2)、建設コストを抑制できる(S1−3)。
【0086】
(S2)原料が高温媒体と予め混合、即ちスクリューコンベヤ10内で可燃性原料と高温の流動媒体とが予め混合されることにより、下記の効果が得られる。
【0087】
可燃性原料がほぐされ(S2−1)、原料を炉内へ供給する前に均質化ができ(S2−2)、原料の供給量変動を抑制できる(S2−3)。このことから、ガス量変動を抑制でき(S2−4)、ガス系設備の余裕度を小さくできる(S2−5)。
【0088】
可燃性原料が炉内に投入される前に熱分解される。特に炉内に投入される前に、可燃性原料が高温の流動媒体と接触することにより、可燃性原料が熱分解され、揮発分が得られる(S2−6)。これにより炉内での可燃性原料からの揮発分の放出が抑制されるから(S2−7)、上記(S2−4)と同様にガス発生量の変動を抑制できる(S2−8)。炉内圧力変動を抑制できる(S2−9)。これにより炉内圧力を高めに設定できることから(S2−10)、(S3−1)で後述するように炉内への空気リークを抑制できる。
【0089】
原料の水分が蒸発する、即ち可燃性原料が炉に投入される前に高温の流動媒体と接触することによりその水分が蒸発する(S2−11)から、炉内での水分蒸発を抑制でき(S2−12)、その結果炉内への水分供給量を抑制でき、そして(S3−3)で後述するように、ガス化溶融炉の場合、助燃用燃料の消費量を抑制できる(S2−13)。
【0090】
(S3)炉の原料供給口のシール機能が高まる。即ち、スクリューコンベヤ10のコンベヤケーシング11内に流動媒体が充満し、そのマテリアルシール機能が高まることから、下記の効果が得られる。
【0091】
炉内への空気リークを抑制できる(S3−1)。これにより炉内への制御不能なガスの流入を抑制できるから(S3−2)、ガス化溶融炉の場合、助燃用燃料の消費量を抑制できる(S3−3)。
【0092】
炉内ガスの噴出しが抑制できる(S3−4)。これにより逆火リスクを低減できるとともに(S3−5)、中毒リスクを低減できる(S3−6)。その結果、安全性が高くなり(S3−7)、安全対策コストを抑制できる(S3−8)。
【0093】
(S4)上記(S1−3)の「建設コストを抑制できる」こと、(S2−5)の「ガス系設備の余裕度を小さくできる」こと、及び(S3−8)の「安全対策コストを抑制できる」ことから、イニシャルコストを抑制できるという効果が得られる。
(S5)(S3−3)の「ガス化溶融炉の場合、助燃用燃料の消費量を抑制できる」ことから、ランニングコストが抑制できるという効果が得られる。
(S6)全体として顧客満足度を高めることが可能となる。
【0094】
また、本発明の第1の実施の形態として、水平面に対して所定の角度以上で可燃性原料を上方に向けて搬送する機械式原料供給手段を設けたことを特徴とする、流動床式のガス化炉又は流動床式の燃焼炉の流動層上部に可燃性原料を供給する可燃性原料供給装置としてもよい。
【0095】
上記のように可燃性原料供給装置を機械式原料供給手段とし、水平面に対して所定の角度以上で可燃性原料を上方に向けて搬送するようにしたことにより、原料供給位置を下げることができる。例えば廃棄物等の可燃性原料を搬送するクレーン等の原料供給手段の位置を低くできることから、設備を収容する建物の建屋高さを低くできる。
【0096】
また、本発明の第2の実施の形態として、機械式原料供給手段が螺旋羽根を回転させて可燃性原料を供給するコンベヤを備えた、本発明の第1の実施の形態の可燃性原料供給装置としてもよい。
【0097】
上記のように機械式原料供給手段を螺旋羽根を回転させる、所謂スクリューコンベヤ或いはスパイラルコンベヤとすることにより、可燃性原料が下方から上方に押上げられながら供給される。よって、高いマテリアルシール機能が発揮でき、特にコンベヤケーシング内に流動媒体を充満させることにより、原料の解砕を伴い、炉内への空気リーク、炉内からのガスのリークを防止できる。
【0098】
また、本発明の第3の実施の形態として、コンベヤが概ね平行に配置された2本以上の前記螺旋羽根を具備することを特徴とする、本発明の第2の実施の形態の可燃性原料供給装置としてもよい。
【0099】
上記のようにコンベヤが概ね平行に配置された2本以上の螺旋羽根を具備するので、特にコンベヤケーシング内に流動媒体を充満させることにより、原料の解砕が促進される。
【0100】
また、本発明の第4の実施の形態として、流動床式のガス化炉と、該ガス化炉に可燃性原料を供給する可燃性原料供給手段を具備し、該可燃性原料供給手段により流動層上部に供給された可燃性原料をガス化する可燃性原料ガス化装置としては、可燃性原料供給手段は、水平面に対して所定の角度以上で可燃性原料を上方に向けて搬送するように傾斜させた機械式原料供給手段であり、機械式原料供給手段内に流動式ガス化炉の流動層を構成する流動媒体を充満させる流動媒体供給手段を設けたことを特徴とする可燃性原料ガス化装置としてもよい。
【0101】
上記のように可燃性原料供給手段を機械式原料供給手段とし、該機械式原料供給手段を水平面に対して所定の角度以上で可燃性原料を上方に向けて搬送するように傾斜させて配置し、流動媒体供給手段を設けたので、流動媒体供給手段により流動媒体供給手段内に高温の流動媒体を充満させることにより、可燃性原料の解砕が促進され原料の供給量の変動を抑制できるとともに、高いマテリアルシール機能が発揮される。
【0102】
また、本発明の第5の実施の形態として、流動床式のガス化炉と、該ガス化炉に可燃性原料を供給する可燃性原料供給手段を具備し、流動層上部に供給された可燃性原料をガス化する可燃性原料ガス化装置において、可燃性原料供給手段は、水平面に対して所定の角度以上で可燃性原料を上方に向けて搬送するように傾斜させた機械式原料供給手段であり、該機械式原料供給手段内に流動床式のガス化炉の流動層を構成する流動媒体を充満させる流動媒体供給手段を設けるとともに、該機械式原料供給手段内で可燃性原料と流動媒体とが接触したことにより発生するガスをガス化炉をバイパスさせてその下流側に導くバイパス手段を設けたことを特徴とする可燃性原料ガス化装置としてもよい。
【0103】
上記のように機械式原料供給手段内で発生したガスをガス化炉をバイパスさせてその下流側に導くバイパス手段を設けたことにより、上記本発明の第4の実施の形態が有する効果に加え、ガス化炉内でのガス発生量の変動を抑制できるとともに、機械式原料供給手段内で発生したガスが外に漏れ出すことなく、確実に処理できる。
【0104】
また、本発明の第6の実施の形態として、可燃性原料を流動床式のガス化炉内に供給し、可燃性原料をガス化する可燃性原料ガス化方法において、水平面に対して所定の角度以上で可燃性原料を上方向きに搬送するように傾斜させた機械式原料供給手段で可燃性原料を供給し、機械式原料供給手段を流動床式のガス化炉の流動層を構成する流動媒体で充満させて、原料供給系のマテリアルシール機能を高めながら可燃性原料を流動床式のガス化炉内に供給し、可燃性原料をガス化することを特徴とする可燃性原料ガス化方法としてもよい。
【0105】
上記のように可燃性原料を水平面に対して所定の角度以上で可燃性原料を上方向けて搬送するように傾斜させた機械式原料供給手段で供給し、該機械式原料供給手段を流動媒体で充満することにより、可燃性原料の解砕が促進され、原料の供給量の変動を抑制できるとともに、ガス化において高いマテリアルシール機能を発揮することができる。
【0106】
また、本発明の第7の実施の形態として、可燃性原料を流動床式のガス化炉内に供給し、該可燃性原料をガス化する可燃性原料ガス化方法において、可燃性原料を水平面に対して所定の角度以上で可燃性原料を上方向きに搬送するように傾斜させた機械式原料供給手段で供給し、該機械式原料供給手段の内部に流動層を構成する流動媒体を充満させて、原料供給系のマテリアルシール機能を高めるとともに可燃性原料を流動床式のガス化炉に供給し、機械式原料供給手段内で可燃性原料と高温の流動媒体を積極的に接触させ、該可燃性原料中の水分や揮発分を蒸発させ、該水分や揮発分の除去された可燃性原料を流動床式のガス化炉内に供給し、可燃性原料をガス化することを特徴とする可燃性原料ガス化方法としてもよい。
【0107】
上記のように、可燃性原料と高温の流動媒体を積極的に接触させ、該可燃性原料中の水分や揮発分を蒸発させ、水分や揮発分の除去された可燃性原料を流動床式のガス化炉内に供給するので、ガス化炉内でのガス発生量の変動を抑制できるとともに、ガス化炉内の水分の発生量の変動も抑制できる。
【0108】
また、本発明の第8の実施の形態として、可燃性原料を流動床式のガス化炉内に供給し、該可燃性原料をガス化する可燃性原料ガス化方法において、可燃性原料を水平面に対して所定の角度以上で可燃性原料を上方向きに搬送するように傾斜させた機械式原料供給手段で供給し、該機械式原料供給手段の内部に流動床式のガス化炉の流動層を構成する流動媒体を充満させて、原料供給系のマテリアルシール機能を高めるとともに可燃性原料を流動床式のガス化炉に供給し、機械式原料供給手段内で可燃性原料と流動媒体を積極的に接触させ、該可燃性原料中の水分や揮発分を蒸発させ、発生した蒸気及び揮発分を流動床式のガス化炉をバイパスして該流動床式のガス化炉の下流側に流入させるとともに、該水分や揮発分の除去された可燃性原料を前記流動床式のガス化炉内に供給し、可燃性原料をガス化することを特徴とする可燃性原料ガス化方法としてもよい。
【0109】
上記のように機械式原料供給手段内で発生した蒸気及び揮発分を前記流動床式のガス化炉をバイパスして該流動床式のガス化炉内の下流側に流入させるので、本発明の第7の実施の形態が有する効果に加え、機械式原料供給手段内で発生したガスが外に漏れ出すことなく、確実に処理できる。
【0110】
更に、本発明の第9の実施の形態として、不燃性粒子とともに可燃性原料を供給する可燃性原料供給装置であって、水平面に対して所定角度以上で可燃性原料を上方向きに搬送するように傾斜させた機械式原料供給手段を設けたことを特徴とする可燃性原料供給装置としてもよい。
【0111】
上記のように水平面に対して所定角度以上で可燃性原料を上方向きに搬送するように傾斜させた機械式原料供給手段で、不燃性粒子とともに可燃性原料を供給するので、不燃性粒子と可燃性原料が混在して移送されることになり、マテリアルシール機能の高い可燃性原料供給装置となる。
【0112】
第1の実施の形態によれば、可燃性原料供給装置を機械式原料供給手段とし、水平面に対して所定の角度以上で可燃性原料を上方向きに搬送するように傾斜して配置する。原料供給位置を下げることができるから、設備を収容する建物の建屋高さを低くでき、設備全体の建築コストを抑制できる可燃性原料供給装置を提供できる。
【0113】
第2の実施の形態によれば、機械式原料供給手段を螺旋羽根を回転させる、所謂スクリューコンベヤ或いはスパイラルコンベヤとし、可燃性原料が上方へ押上げられながら供給されるから、第1の実施の形態の効果に加え、炉内への空気リーク、炉内からのガスのリークを防止でき、特にコンベヤケーシング内に流動媒体を充満させることにより、原料の解砕を伴い、高い安全性と高いマテリアルシール機能を有する可燃性原料供給装置を提供できる。
【0114】
第3の実施の形態によれば、コンベヤが概ね平行に配置された2本以上の螺旋羽根を具備するので、第1の実施の形態及び第2の実施の形態が有する効果に加え、特にコンベヤケーシング内に流動媒体を充満させることにより、原料の解砕を促進させることができ、可燃性原料供給の供給量の変動を抑制できる可燃性原料供給装置を提供できる。
【0115】
第4の実施の形態によれば、可燃性原料供給手段を機械式原料供給手段とし、該機械式原料供給手段を所定の角度以上で下流側が上方になるように傾斜させて配置し、流動媒体供給手段を設けたので、流動媒体供給手段により可燃性媒体供給手段内に高温の流動媒体を充満させることにより、可燃性原料の解砕が促進され原料の供給量の変動を抑制できるとともに、高い安全性と高いマテリアルシール機能を有する可燃性原料ガス化装置を提供できる。
【0116】
第5の実施の形態によれば、機械式原料供給手段内で可燃性原料から発生したガスをガス化炉をバイパスさせて、ガス化炉の下流側に導くバイパス手段を設けたので、本発明の第4の実施の形態が有する効果に加え、ガス化炉内でのガス発生量の変動を抑制できるとともに、機械式原料供給手段内で発生したガスが外に漏れ出すことなく、確実に処理でき、高い安全性と高いマテリアルシール機能を有する可燃性原料ガス化装置を提供できる。
【0117】
第6の実施の形態によれば、可燃性原料を水平面に対して所定の角度以上で可燃性原料を上方向きに搬送するように傾斜させた機械式原料供給手段で供給し、該機械式原料供給手段の内部に流動媒体を充満させることにより、可燃性原料の解砕が促進され原料の供給量の変動を抑制できるとともに、ガス化において高いマテリアルシール機能を発揮できる可燃性原料ガス化方法を提供できる。
【0118】
第7の実施の形態によれば、機械式原料供給手段内で可燃性原料と高温の流動媒体を積極的に接触させ、可燃性原料中の水分や揮発分を蒸発させ、水分や揮発分の除去された可燃性原料を流動床式のガス化炉内に供給するので、第6の実施の形態が有する効果に加え、ガス化炉内でのガス発生量の変動を抑制できるとともに、ガス化炉内の水分も抑制できる可燃性原料ガス化方法を提供できる。
【0119】
第8の実施の形態によれば、機械式原料供給手段内で発生した蒸気及び揮発分をガス化炉をバイパスして流動床式のガス化炉内の下流側に流入させるので、本発明の第7の実施の形態が有する効果に加え、機械式原料供給手段内で発生したガスが外に漏れ出すことなく、確実に処理できる可燃性原料ガス化方法を提供できる。
【0120】
第9の実施の形態によれば、水平面に対して所定角度以上で可燃性原料を上方向きに搬送するように傾斜させた機械式原料供給手段で、不燃性粒子とともに可燃性原料を供給するので、不燃性粒子と可燃性原料が混在して移送されることになり、マテリアルシール機能の高い可燃性原料供給装置を提供できる。
【0121】
以上の詳細な説明と特定の例は、本発明を説明する目的だけのための、好ましい実施の形態である。当業者にとって、本発明の範囲と精神内において種々の方法で改変し変形できることが明らかであり、出願人は、記載された実施の形態のいずれをも公衆に献上する意図はなく、開示された改変、代替案のうち、特許請求の範囲内に文言上含まれないかもしれないものも、均等論下での発明の一部とする。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】本発明に係る可燃性原料供給装置の例を示す構成図である。
【図2】スクリューコンベアの傾斜角度と搬送効率の関係例を表すグラフである。
【図3】螺旋羽根を収納するコンベアケーシングの内面に、搬送効率を維持するため、突起を設けた例を示す図である。
【図4】本発明に係る可燃性原料供給装置の例を示す構成図である。
【図5】本発明に係る可燃性原料供給装置の例を示す構成図である。
【図6】本発明に係る可燃性原料供給装置に用いるスクリューコンベヤの例を示す図である。
【図7】本発明に係る可燃性原料供給装置に用いるスパイラルコンベヤの例を示す図である。
【図8】本発明に係る可燃性原料供給装置と流動床焼却炉とを有する焼却設備の例を示す構成図である。
【図9】本発明に係る可燃性原料供給装置と流動床式のガス化炉とを有するガス化溶融設備の例を示す構成図である。
【図10】本発明に係る可燃性原料供給装置を有するガス化改質設備の例を示す構成図である。
【図11】本発明に係る可燃性原料供給装置を有する低温ガス化改質設備の例を示す構成図である。
【図12】本発明に係る可燃性原料供給装置と統合型流動床式のガス化炉とを有するガス化改質設備の例を示す構成図である。
【図13】本発明に係る可燃性原料供給装置を有するアドバンストガス化溶融設備の例を示す構成図である。
【図14】本発明の効果を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0123】
10 スクリューコンベヤ
11 コンベヤケーシング
12 回転軸
13 螺旋羽根
14 スクリュー
15 蒸気ジャケット
16 流動媒体供給口
17 ガス引き抜き口
18 スパイラルコンベヤ
20 ガス化炉又は燃焼炉
21 炉体ケーシング
22 耐火材層
23 流動層
24 原料供給口
30 焼却炉
31 原料供給口
32 流動層
33 フリーボード
40 原料ホッパ
41 プッシャ
50 熱回収装置
51 不燃物抜き出し装置
52 蒸気
53 予熱空気
54 脱塵装置
55 飛灰
56 脱塩装置
57 脱硝装置
60 ガス化炉
61 原料供給口
62 流動層
63 フリーボード
70 灰溶融装置
71 スラグ
72 完全燃焼装置
74 ガス改質&灰溶融装置
75 ガス洗浄&脱塵装置
76 排水
77 灰分
78 ガス精製装置
80 ガス改質装置
81 灰溶融&完全燃焼装置
90 統合型流動床ガス化炉
91 ガス化室
92 燃焼室
93 原料供給口
94 隔壁
111 突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動床式のガス化炉又は流動床式の燃焼炉の流動層上部に可燃性原料を供給する可燃性原料供給装置であって、
可燃性原料を貯留するホッパーと;
水平面に対して20度以上80度以下で下流側が上方になるように傾斜させた前記可燃性原料の流路を通じて、可燃性原料を前記ホッパーから前記流動床式のガス化炉又は前記流動床式の燃焼炉に供給する機械式供給装置とを備える;
可燃性原料供給装置。
【請求項2】
前記機械式供給装置が螺旋羽根を回転させて前記可燃性原料を供給するよう構成された回転螺旋羽根を有するコンベヤを備える;
請求項1に記載の可燃性原料供給装置。
【請求項3】
前記コンベヤは概ね平行に配置された複数本の螺旋羽根を具備する;
請求項2に記載の可燃性原料供給装置。
【請求項4】
前記螺旋羽根を収納するコンベヤケーシングをさらに備え、該コンベヤケーシングはコンベヤケーシングの内面に突起を有し、該突起は搬送効率を維持するように構成された;
請求項2又は請求項3に記載の可燃性原料供給装置。
【請求項5】
前記機械式供給装置に媒体を供給する媒体供給装置をさらに備え、前記機械式供給装置内に気体の流通を阻止する前記媒体を充満させる;
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の可燃性原料供給装置。
【請求項6】
前記媒体供給装置が、前記可燃性原料の前記流路とは別の、前記媒体の流路をさらに備える;
請求項5に記載の可燃性原料供給装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の可燃性原料供給装置と;
前記可燃性原料供給装置から可燃性原料の供給を受ける流動床式のガス化炉とを備える;
可燃性原料ガス化装置。
【請求項8】
請求項5又は請求項6に記載の可燃性原料供給装置と;
前記可燃性原料供給装置によって供給された前記可燃性原料をガス化する流動床式のガス化炉と;
前記可燃性原料供給装置内で前記可燃性原料から発生したガスを、前記ガス化炉をバイパスさせて導くバイパス配管とを備える;
可燃性原料ガス化装置。
【請求項9】
請求項5又は請求項6に記載の可燃性原料供給装置と;
前記可燃性原料供給装置によって供給された前記可燃性原料をガス化する流動床式のガス化炉とを備え;
前記可燃性原料供給装置内で前記可燃性原料から水分及び揮発分の少なくともいずれか一方を気化させる;
可燃性原料ガス化装置。
【請求項10】
前記可燃性原料供給装置内で気化した水分および揮発分の少なくともいずれか一方を、前記ガス化炉をバイパスさせて前記ガス化炉の下流側に導くバイパス配管をさらに備える;
請求項9に記載の可燃性原料ガス化装置。
【請求項11】
可燃性原料を流動床式のガス化炉または流動床式の燃焼炉内でガス化する可燃性原料ガス化方法であって、
前記可燃性原料をホッパーで貯留する工程と;
前記ホッパーから前記流動床式のガス化炉または前記流動床式の燃焼炉へ前記可燃性原料を上向きに機械的供給装置で供給し、流動層を構成する媒体を内部に充満させて、前記装置のマテリアルシール機能を高める工程と;
前記機械的供給装置により前記流動床式のガス化炉または前記流動床式の燃焼炉に供給された前記可燃性原料をガス化する工程とを備える;
可燃性原料ガス化方法。
【請求項12】
流動床式のガス化炉又は流動床式の燃焼炉に可燃性原料を供給する可燃性原料供給装置であって、
可燃性原料を貯留するホッパーと;
下流側が上方になるような可燃性原料の流路を通じて、前記ホッパーから前記流動床式のガス化炉又は前記流動床式の燃焼炉に可燃性原料を供給する機械式供給装置とを備え;
前記可燃性原料を前記機械式供給装置を通じて気体の流通を阻止する媒体とともに供給する;
可燃性原料供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2007−528479(P2007−528479A)
【公表日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507725(P2006−507725)
【出願日】平成16年4月28日(2004.4.28)
【国際出願番号】PCT/JP2004/006192
【国際公開番号】WO2004/097296
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】