合成樹脂製の軸受用保持器、その製造方法および転がり軸受
【課題】高温下において高速回転での使用に適し、かつ、製作コストの低減を可能とした合成樹脂製の軸受用保持器を提供する。
【解決手段】 熱可塑性樹脂にポリベンゾイミダゾール(PBI)からなる粒子が混合されている材料を用いて、合成樹脂製の軸受用保持器を形成する。熱可塑性樹脂としては、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)とされる。
【解決手段】 熱可塑性樹脂にポリベンゾイミダゾール(PBI)からなる粒子が混合されている材料を用いて、合成樹脂製の軸受用保持器を形成する。熱可塑性樹脂としては、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)とされる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂製の軸受用保持器に関し、特に、高温下において高速回転で使用される転がり軸受に好適に用いられる軸受用保持器、その製造方法および転がり軸受に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、高温下において高速回転で使用される軸受、例えば工作機械主軸支持用の軸受や、過給機、発電機などのガスタービンの主軸支持用の軸受に備える保持器は、黄銅や航空機用特殊金属(AMS規格4616、AMS規格6414)などで形成されている。
【0003】
こうした保持器の材料を前述した金属材とする場合、軽量化に限界がある。この軽量化を考慮して、保持器を例えば綿布にフェノール樹脂を含浸させた材料とか、あるいは熱硬化性のポリイミド樹脂などの材料で形成した合成樹脂製の保持器が知られている。
【0004】
しかしながら、前者のフェノール樹脂を材料とする場合、そのフェノール樹脂が熱硬化性を有するために成形金型を用いた射出による成形ができないこと、ポケットを別加工で形成する必要があることなどの理由で、製作に手間がかかる結果、量産が困難でかつ製作コストが高くつくものとなっていた。
【0005】
一方、後者の熱硬化性のポリイミド樹脂を用いた保持器の場合、やはり旋削により製作する必要があるために製作コストが高くつくものとなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−21450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の課題は、高温下において高速回転での使用に適したものとしつつ、かつ、製作コストの低減を可能とした合成樹脂製の軸受用保持器を提供することである。
【0008】
本発明の他の課題は、成形金型を用いた射出による成形を可能とし、ポケットを別加工で形成することを不要とすることにより、製作に手間がかからず、旋削で製作する必要のない合成樹脂製の軸受用保持器を提供することである。
【0009】
本発明のさらに他の課題は、安価なコストで上述した合成樹脂製の軸受用保持器を製造することのできる方法を提供することである。
【0010】
本発明のさらに他の課題は、上述した合成樹脂製の軸受用保持器を備え、高温、高速回転用に適した転がり軸受を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の合成樹脂製の軸受用保持器は、合成樹脂として熱可塑性樹脂にポリべンゾイミダゾール(PBI)からなる粒子を混合した材料であって、前記熱可塑性樹脂がポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を用いていることによりその形成を射出成形で行うことが可能とされている。
【0012】
本発明の合成樹脂製の軸受用保持器は、好ましくは、前記材料にさらに強化繊維が混合された材料を用いることによりその形成を射出成形で行うことが可能とされている。
【発明の効果】
【0013】
熱可塑性樹脂は、射出成形できるものの、使用可能な上限温度が比較的低い。耐熱性樹脂は、使用可能な上限温度が比較的高いものの、射出成形が不可能であるから製造コストが高くつく旋削加工とせざるを得ない。
【0014】
このような状況を考慮して本発明の保持器は、材料に熱可塑性樹脂を含むから、耐熱性樹脂であるポリべンゾイミダゾール(PBI)を含んでいても射出成形によって形成することが可能である一方、耐熱性樹脂であるポリべンゾイミダゾール(PBI)を含むから、高温での使用に耐えられる。
【0015】
この場合、その材料にさらに強化繊維を混合すると、強度や耐熱性がさらに向上された保持器にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態の軸受用保持器の斜視図。
【図2】図1の保持器の成形金型を示す縦断面図。
【図3】図2の(3)−(3)線断面の矢視図。
【図4】図1の保持器を備える転がり軸受の上半分の縦断面図。
【図5】図1の保持器を備える他の形態の転がり軸受の上半分の縦断面図。
【図6】本発明の第2の実施形態の軸受用保持器の斜視図。
【図7】本発明の第3の実施形態の軸受用保持器の斜視図。
【図8】本発明の第4の実施形態の軸受用保持器の斜視図。
【図9】図8の保持器を備える転がり軸受の上半分の縦断面図。
【図10】本発明の第5の実施形態の軸受用保持器の斜視図。
【図11】本発明の第6の実施形態の軸受用保持器の斜視図。
【図12】図4の転がり軸受の使用対象となる過給機の要部の縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の詳細を図1ないし図12に示す実施形態に基づいて説明する。
【0018】
図1ないし図4は本発明の一実施形態にかかり、図1は、合成樹脂製の軸受用保持器の斜視図、図2は、図1の保持器の成形金型を示す縦断面図、図3は、図2の(3)−(3)線断面の矢視図、図4は、図1の保持器を用いた転がり軸受の上半分の縦断面図である。
【0019】
まず、本発明の保持器の使用対象とする軸受として転がり軸受の構成を説明する。図4において、転がり軸受Aは、内輪1、外輪2、複数の玉からなる転動体3および保持器4を備える。転がり軸受Aは、保持器4を外輪2の内周面により案内する外輪案内形式になったアンギュラ玉軸受である。
【0020】
内輪1の外周面において一方側の肩部と外輪2の内周面の他方側の肩部それぞれには、カウンタボア5,9が設けられる。カウンタボア5,9は、内輪1の軌道溝に転動体3の引っ掛かり代を残す状態にテーパ状に面取りされている。外輪2は、内周面の軸方向中央
に軌道溝を有する。なお、図5に示すように、内輪1だけにカウンタボア5を設けてもよい。
【0021】
保持器4は、合成樹脂製であり、図1に示すように、いわゆるもみ抜き形と呼ばれ、その円周等配の数カ所に径方向に貫通されたポケット6・‥と、外周面の軸方向中央部分には周溝7とを有する。保持器4は、図2および図3に示すような複数の成形金型DlないしD4を用いて射出成形される。この成形後に成形金型D4・・・を放射方向に抜くときに、成形金型D4・・・それぞれの合わせ面によって筋状ばり8(パーティングライン)が形成されることになる。この筋状ばり8は、保持器4の案内面に位置すると外輪2内周面の潤滑油をかきとるように作用するので、それを防止するため、図1に示すように、筋状ばり8を保持器4の周溝7の底面においてポケット6間の領域に形成する。
【0022】
保持器4は、熱可塑性樹脂に耐熱性樹脂からなる粒子を混合した材料、あるいは熱可塑性樹脂に耐熱性樹脂からなる粒子および強化繊維を混合した材料を用いて射出成形される。
【0023】
以下に、前記材料について説明する。まず、熱可塑性樹脂としては、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を用いる。なお、参考例の熱可塑性樹脂としては、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアリルエーテルニトリル(PEN)、熱可塑性ポリイミド樹脂(TPI)のうちから少なくともいずれか1種が選択される。
【0024】
耐熱性樹脂としては、ポリべンゾイミダゾール(PBI)が挙げられる。
【0025】
強化繊維としては、カーボン繊維、ガラス繊維、ポロン繊維、アラミド繊維、ウィスカーの他、無機系材料(酸化けい素、炭化けい素、窒化けい素、アルミナなど)あるいは有機系材料(ポリエチレン、ポリアリレートなど)により繊維状に形成されるものなどが挙げられる。
【0026】
具体的には、熱可塑性樹脂としてポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を、耐熱性樹脂としてポリベンゾイミダゾール(PBI)を、強化繊維としてカーボン繊維を選択し、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を35wt%(±2%)、ポリべンゾイミダゾール(PBI)を35wt%、カーボン繊維を30wt%の配分にしたものを用いることができる。なお、ポリべンゾイミダゾール(PBI)としては、米国ヘキスト・セラニーズコーポレーション製の商品名セラゾールTF−60Cを用いることができる。このセラゾールTF−60Cの特性について下表1に示す。
【0027】
【表1】
以上、保持器4を高温、高速回転での使用に耐え得るようにし、同時に、製造コストの低減を図るために、上述したような素材を組み合わせる。参考として、上述の保持器4であれば、例えば摂氏200〜250℃にて連続使用が可能となり、また、短時間であれば300℃でも使用が可能となる。
【0028】
ところで、上記転がり軸受Aを高温、高速回転での使用を前提に考えると、内輪1、外輪2および転動体3についても、高炭素クロム軸受鋼(JIS親格SUJ2など)の他、下記するような耐熱材料あるいはセラミックスで形成するのが好ましい。
【0029】
耐熱材料としては、マルテンサイト系ステンレス鋼(JIS規格SUS440C,SUS420Cなど)、耐熱・耐食合金(AISI規格M−50、JIS規格高速度工具鋼SKH4など)、特開平3−253542号公報などに示される耐熱軸受用鋼などの金属が挙げられ、必要に応じて適当な硬化処理(焼入れ、焼戻しなど)が施される。前述の耐熱軸受用鋼は、具体的に、C(0.8wt%以上、1.5wt%以下)、Si(0.5wt%以上、2.Owt%以下)、Mn(0.3wt%以上、2.Owt%以下)、Cr(1.3wt%以上、2.1wt%以下)、Mo(0.3wt%以上、1.Owt%以下)を有し、SiとMoの合計が1.Owt%以上を満足する範囲で含有し、残部は鉄および不可避不純物の組成になるものである。
【0030】
セラミックスとしては、窒化けい素(Si3N4)を主体とし、それに焼結助剤として、
イットリア(Y203)およびアルミナ(Al203)、その他、適宜、窒化アルミ(AIN)、酸化チタン(TiO2)を混合したものや、アルミナ(Al203)や炭化けい素(SiC)、ジルコニア(ZrO2)、窒化アルミ(AIN)などを用いたものが挙げられる。
【0031】
なお、本発明は上述した実施形態のみに限定されるものではなく、種々な応用や変形が考えられる。
【0032】
例えば、上記実施形態では、転がり軸受Aをアンギュラ玉軸受とした例を挙げているが、軸受形式は特に限定されない。例えば深溝型玉軸受などの玉軸受の他に、円筒ころ軸受、針状ころ軸受、円錐ころ軸受、球面ころ軸受などでもよい。これらの軸受形式に応じて、保持器4の形状としては、図6や図7に示すようないわゆる冠形とすることができる。
【0033】
さらに、本発明の実施形態としては、図8、図9に示すようなものとすることができる。すなわち、図8の転がり軸受においては、内輪11の外周面と外輪12の内周面とには、それぞれ軌道溝15,16が軸方向中央から偏った位置に設けられている。内輪11の外周面において幅広側の肩部と外輪12の内周面の幅狭側の肩部とには、それぞれカウンタボア(肩おとし)17,18が設けられている。このカウンタポア17,18は、内・外輪11,12の軌道溝15.16に玉13の引っ掛かり代を残す状態にテーパ状に面取りされることで形成されている。
【0034】
また、図9に示すように、冠形保持器40は、環状本体部41と、環状本体部41の円周数カ所から軸方向一側へ突出する突片42と、周方向で隣り合う各突片42間に設けられる玉収容用のポケット43とを備えている。環状本体部41は、外輪12の幅広側の肩部で案内されるようになっている。突片42の自由端側の外径面は、回転遠心力でもって径方向外向きに撓んでも、外輪12に対して接触しないようにするために、自由端へ向けて斜降するテーパ状に形成されており、また、各突片42の自由端側の周方向偏Wは、玉13が抜け落ちない玉13の直径よりも若干小さく設定され、さらに玉13をポケット43に入れやすくするために、先端部にC(カット)面取りまたは角度面取りが形成されている。さらに、ポケット43の内面は、径方向に沿ってストレートに形成されている。
【0035】
なお、冠形保持器40の強度を考慮して、肉厚や軸方向幅が設定される。このような冠形保持器40を内・外輪11,12の軸方向幅内に収めるために、内・外輪11,12の軌道溝15,16の形成位置を偏らせている。
【0036】
また、保持器40の形態としては、図9に示したものの他に、図10、図11に示すように、冠形保持器50,60の複数の突片52,62の径方向の厚さと環状本体部51,61の径方向の厚さよりも薄くしたものとしてもよい。このようにすると、各突片52,62が軽量化され、回転遠心力の影響を受けにくくなるため、回転遠心力によって各突片52,62が外側へ変形し、ポケット53,63の内周面と玉が干渉して転がり軸受の回転性能に悪影響を与えるといったことが防止できる。
【0037】
ところで、上述した実施形態の転がり軸受Aは、例えば自動車エンジンの過給機あるいはガスタービンの他、工作機械などに用いることができる。具体的に、上記転がり軸受Aを用いた過給機を図12に示す。図中、20はハウジング、21はタービン軸である。タービン軸21の一端にはタービン羽根車22が、タービン軸21の他端にはコンプレッサ羽根車23がそれぞれ取り付けられている。このタービン軸21は、ハウジング20の貫通孔24に対して、図4に示す二つの転がり軸受A,Aおよびスリーブ25を介して回転自在に支持されている。
【0038】
前述の過給機において、二つの転がり軸受Aの組み込み形態を説明する。内輪1,1は
、タービン軸21に対してタービン軸21の段部26および間座27を介して軸方向に位置決めされた状態で中間嵌めにて外嵌されており、外輪2,2は、スリーブ25の内周面段部に対してすきま嵌めにて嵌合されているとともに、軸方向に間座を介在させている。そして、両側の外輪2,2においてカウンタボア9,9の存在する側の肩部が、それぞれタービン羽根車22、コンプレッサ羽根車23の側に配置される。つまり、転がり軸受Aが図4に示す状態で図12のコンプレッサ羽根車23の側に配置され、タービン羽根車22の側では転がり軸受Aが図4に示す状態を左右反対にした状態で配置される。これらの外輪2,2は、コイルバネ28によって間座を介して軸方向で互いに引き離される向きに弾発付勢されている。
【0039】
このような形態により、二つの転がり軸受A,Aが定圧予定を付与された状態になっており、これによりラジアル隙間を有する転がり軸受A,Aの転動体3が内・外輪1,2に対して斜接するように設定されている。このときの転動体3の接触角は、例えば15°±5°となるようにラジアル隙間が管理されている。
【0040】
スリーブ25は、ハウジング20の貫通孔24に対して所要の隙間を介して嵌入されるような外径寸法に設定されている。さらにスリーブ25の外周面の軸方向数箇所には、前述の隙間を可及的に大きく設定するために、周溝29が形成されている。この隙間には、ハウジング20に設けられる通路30を介して潤滑油が供給されるようになっており、この隙間の潤滑油はタービン軸21の振動を減衰するダンパとして機能するようになっている。
【0041】
なお、この隙間に供給される潤滑油は、スリーブ25および間座に設けてある小孔31から二つの転がり軸受A,Aへ向けて噴射されるようになっている。この小孔31から供給される潤滑油は、二つの転がり軸受A,Aの内輪1,1のカウンタボア5,5により受け入れられてから、軸受内部を通過して転がり軸受A,Aの潤滑と冷却とを行うようになっている。
【0042】
このような過給機では、タービン軸21が10万rpm以上の高速回転となり、連続使用で200〜300℃と高温になり、二つの転がり軸受A,Aにとっては苛酷な条件となるが、この転がり軸受A,Aは、各構成要素の素材を特別に選定しているから、優れた耐焼付性および、タービン軸21の優れた回転安定性を発揮させることができるようになる。
【0043】
なお、上記過給機において、タービン側のはうがコンプレッサ側よりも高温となるので、過給機のコンプレッサ側の転がり軸受を上記実施形態で説明した構成とし、タービン側の転がり軸受については、上記実施形態で説明した保持器4よりもさらに耐熱性に優れた旋削品からなる保持器を用いる構成にすれば、過給機の耐久性をより優れたものとすることができる。
【符号の説明】
【0044】
A 転がり軸受
1 内輪
2 外輪
3 転動体(玉)
4 保持器
D1〜D4 成形金型
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂製の軸受用保持器に関し、特に、高温下において高速回転で使用される転がり軸受に好適に用いられる軸受用保持器、その製造方法および転がり軸受に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、高温下において高速回転で使用される軸受、例えば工作機械主軸支持用の軸受や、過給機、発電機などのガスタービンの主軸支持用の軸受に備える保持器は、黄銅や航空機用特殊金属(AMS規格4616、AMS規格6414)などで形成されている。
【0003】
こうした保持器の材料を前述した金属材とする場合、軽量化に限界がある。この軽量化を考慮して、保持器を例えば綿布にフェノール樹脂を含浸させた材料とか、あるいは熱硬化性のポリイミド樹脂などの材料で形成した合成樹脂製の保持器が知られている。
【0004】
しかしながら、前者のフェノール樹脂を材料とする場合、そのフェノール樹脂が熱硬化性を有するために成形金型を用いた射出による成形ができないこと、ポケットを別加工で形成する必要があることなどの理由で、製作に手間がかかる結果、量産が困難でかつ製作コストが高くつくものとなっていた。
【0005】
一方、後者の熱硬化性のポリイミド樹脂を用いた保持器の場合、やはり旋削により製作する必要があるために製作コストが高くつくものとなっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−21450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の課題は、高温下において高速回転での使用に適したものとしつつ、かつ、製作コストの低減を可能とした合成樹脂製の軸受用保持器を提供することである。
【0008】
本発明の他の課題は、成形金型を用いた射出による成形を可能とし、ポケットを別加工で形成することを不要とすることにより、製作に手間がかからず、旋削で製作する必要のない合成樹脂製の軸受用保持器を提供することである。
【0009】
本発明のさらに他の課題は、安価なコストで上述した合成樹脂製の軸受用保持器を製造することのできる方法を提供することである。
【0010】
本発明のさらに他の課題は、上述した合成樹脂製の軸受用保持器を備え、高温、高速回転用に適した転がり軸受を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の合成樹脂製の軸受用保持器は、合成樹脂として熱可塑性樹脂にポリべンゾイミダゾール(PBI)からなる粒子を混合した材料であって、前記熱可塑性樹脂がポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を用いていることによりその形成を射出成形で行うことが可能とされている。
【0012】
本発明の合成樹脂製の軸受用保持器は、好ましくは、前記材料にさらに強化繊維が混合された材料を用いることによりその形成を射出成形で行うことが可能とされている。
【発明の効果】
【0013】
熱可塑性樹脂は、射出成形できるものの、使用可能な上限温度が比較的低い。耐熱性樹脂は、使用可能な上限温度が比較的高いものの、射出成形が不可能であるから製造コストが高くつく旋削加工とせざるを得ない。
【0014】
このような状況を考慮して本発明の保持器は、材料に熱可塑性樹脂を含むから、耐熱性樹脂であるポリべンゾイミダゾール(PBI)を含んでいても射出成形によって形成することが可能である一方、耐熱性樹脂であるポリべンゾイミダゾール(PBI)を含むから、高温での使用に耐えられる。
【0015】
この場合、その材料にさらに強化繊維を混合すると、強度や耐熱性がさらに向上された保持器にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態の軸受用保持器の斜視図。
【図2】図1の保持器の成形金型を示す縦断面図。
【図3】図2の(3)−(3)線断面の矢視図。
【図4】図1の保持器を備える転がり軸受の上半分の縦断面図。
【図5】図1の保持器を備える他の形態の転がり軸受の上半分の縦断面図。
【図6】本発明の第2の実施形態の軸受用保持器の斜視図。
【図7】本発明の第3の実施形態の軸受用保持器の斜視図。
【図8】本発明の第4の実施形態の軸受用保持器の斜視図。
【図9】図8の保持器を備える転がり軸受の上半分の縦断面図。
【図10】本発明の第5の実施形態の軸受用保持器の斜視図。
【図11】本発明の第6の実施形態の軸受用保持器の斜視図。
【図12】図4の転がり軸受の使用対象となる過給機の要部の縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の詳細を図1ないし図12に示す実施形態に基づいて説明する。
【0018】
図1ないし図4は本発明の一実施形態にかかり、図1は、合成樹脂製の軸受用保持器の斜視図、図2は、図1の保持器の成形金型を示す縦断面図、図3は、図2の(3)−(3)線断面の矢視図、図4は、図1の保持器を用いた転がり軸受の上半分の縦断面図である。
【0019】
まず、本発明の保持器の使用対象とする軸受として転がり軸受の構成を説明する。図4において、転がり軸受Aは、内輪1、外輪2、複数の玉からなる転動体3および保持器4を備える。転がり軸受Aは、保持器4を外輪2の内周面により案内する外輪案内形式になったアンギュラ玉軸受である。
【0020】
内輪1の外周面において一方側の肩部と外輪2の内周面の他方側の肩部それぞれには、カウンタボア5,9が設けられる。カウンタボア5,9は、内輪1の軌道溝に転動体3の引っ掛かり代を残す状態にテーパ状に面取りされている。外輪2は、内周面の軸方向中央
に軌道溝を有する。なお、図5に示すように、内輪1だけにカウンタボア5を設けてもよい。
【0021】
保持器4は、合成樹脂製であり、図1に示すように、いわゆるもみ抜き形と呼ばれ、その円周等配の数カ所に径方向に貫通されたポケット6・‥と、外周面の軸方向中央部分には周溝7とを有する。保持器4は、図2および図3に示すような複数の成形金型DlないしD4を用いて射出成形される。この成形後に成形金型D4・・・を放射方向に抜くときに、成形金型D4・・・それぞれの合わせ面によって筋状ばり8(パーティングライン)が形成されることになる。この筋状ばり8は、保持器4の案内面に位置すると外輪2内周面の潤滑油をかきとるように作用するので、それを防止するため、図1に示すように、筋状ばり8を保持器4の周溝7の底面においてポケット6間の領域に形成する。
【0022】
保持器4は、熱可塑性樹脂に耐熱性樹脂からなる粒子を混合した材料、あるいは熱可塑性樹脂に耐熱性樹脂からなる粒子および強化繊維を混合した材料を用いて射出成形される。
【0023】
以下に、前記材料について説明する。まず、熱可塑性樹脂としては、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を用いる。なお、参考例の熱可塑性樹脂としては、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアリルエーテルニトリル(PEN)、熱可塑性ポリイミド樹脂(TPI)のうちから少なくともいずれか1種が選択される。
【0024】
耐熱性樹脂としては、ポリべンゾイミダゾール(PBI)が挙げられる。
【0025】
強化繊維としては、カーボン繊維、ガラス繊維、ポロン繊維、アラミド繊維、ウィスカーの他、無機系材料(酸化けい素、炭化けい素、窒化けい素、アルミナなど)あるいは有機系材料(ポリエチレン、ポリアリレートなど)により繊維状に形成されるものなどが挙げられる。
【0026】
具体的には、熱可塑性樹脂としてポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を、耐熱性樹脂としてポリベンゾイミダゾール(PBI)を、強化繊維としてカーボン繊維を選択し、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を35wt%(±2%)、ポリべンゾイミダゾール(PBI)を35wt%、カーボン繊維を30wt%の配分にしたものを用いることができる。なお、ポリべンゾイミダゾール(PBI)としては、米国ヘキスト・セラニーズコーポレーション製の商品名セラゾールTF−60Cを用いることができる。このセラゾールTF−60Cの特性について下表1に示す。
【0027】
【表1】
以上、保持器4を高温、高速回転での使用に耐え得るようにし、同時に、製造コストの低減を図るために、上述したような素材を組み合わせる。参考として、上述の保持器4であれば、例えば摂氏200〜250℃にて連続使用が可能となり、また、短時間であれば300℃でも使用が可能となる。
【0028】
ところで、上記転がり軸受Aを高温、高速回転での使用を前提に考えると、内輪1、外輪2および転動体3についても、高炭素クロム軸受鋼(JIS親格SUJ2など)の他、下記するような耐熱材料あるいはセラミックスで形成するのが好ましい。
【0029】
耐熱材料としては、マルテンサイト系ステンレス鋼(JIS規格SUS440C,SUS420Cなど)、耐熱・耐食合金(AISI規格M−50、JIS規格高速度工具鋼SKH4など)、特開平3−253542号公報などに示される耐熱軸受用鋼などの金属が挙げられ、必要に応じて適当な硬化処理(焼入れ、焼戻しなど)が施される。前述の耐熱軸受用鋼は、具体的に、C(0.8wt%以上、1.5wt%以下)、Si(0.5wt%以上、2.Owt%以下)、Mn(0.3wt%以上、2.Owt%以下)、Cr(1.3wt%以上、2.1wt%以下)、Mo(0.3wt%以上、1.Owt%以下)を有し、SiとMoの合計が1.Owt%以上を満足する範囲で含有し、残部は鉄および不可避不純物の組成になるものである。
【0030】
セラミックスとしては、窒化けい素(Si3N4)を主体とし、それに焼結助剤として、
イットリア(Y203)およびアルミナ(Al203)、その他、適宜、窒化アルミ(AIN)、酸化チタン(TiO2)を混合したものや、アルミナ(Al203)や炭化けい素(SiC)、ジルコニア(ZrO2)、窒化アルミ(AIN)などを用いたものが挙げられる。
【0031】
なお、本発明は上述した実施形態のみに限定されるものではなく、種々な応用や変形が考えられる。
【0032】
例えば、上記実施形態では、転がり軸受Aをアンギュラ玉軸受とした例を挙げているが、軸受形式は特に限定されない。例えば深溝型玉軸受などの玉軸受の他に、円筒ころ軸受、針状ころ軸受、円錐ころ軸受、球面ころ軸受などでもよい。これらの軸受形式に応じて、保持器4の形状としては、図6や図7に示すようないわゆる冠形とすることができる。
【0033】
さらに、本発明の実施形態としては、図8、図9に示すようなものとすることができる。すなわち、図8の転がり軸受においては、内輪11の外周面と外輪12の内周面とには、それぞれ軌道溝15,16が軸方向中央から偏った位置に設けられている。内輪11の外周面において幅広側の肩部と外輪12の内周面の幅狭側の肩部とには、それぞれカウンタボア(肩おとし)17,18が設けられている。このカウンタポア17,18は、内・外輪11,12の軌道溝15.16に玉13の引っ掛かり代を残す状態にテーパ状に面取りされることで形成されている。
【0034】
また、図9に示すように、冠形保持器40は、環状本体部41と、環状本体部41の円周数カ所から軸方向一側へ突出する突片42と、周方向で隣り合う各突片42間に設けられる玉収容用のポケット43とを備えている。環状本体部41は、外輪12の幅広側の肩部で案内されるようになっている。突片42の自由端側の外径面は、回転遠心力でもって径方向外向きに撓んでも、外輪12に対して接触しないようにするために、自由端へ向けて斜降するテーパ状に形成されており、また、各突片42の自由端側の周方向偏Wは、玉13が抜け落ちない玉13の直径よりも若干小さく設定され、さらに玉13をポケット43に入れやすくするために、先端部にC(カット)面取りまたは角度面取りが形成されている。さらに、ポケット43の内面は、径方向に沿ってストレートに形成されている。
【0035】
なお、冠形保持器40の強度を考慮して、肉厚や軸方向幅が設定される。このような冠形保持器40を内・外輪11,12の軸方向幅内に収めるために、内・外輪11,12の軌道溝15,16の形成位置を偏らせている。
【0036】
また、保持器40の形態としては、図9に示したものの他に、図10、図11に示すように、冠形保持器50,60の複数の突片52,62の径方向の厚さと環状本体部51,61の径方向の厚さよりも薄くしたものとしてもよい。このようにすると、各突片52,62が軽量化され、回転遠心力の影響を受けにくくなるため、回転遠心力によって各突片52,62が外側へ変形し、ポケット53,63の内周面と玉が干渉して転がり軸受の回転性能に悪影響を与えるといったことが防止できる。
【0037】
ところで、上述した実施形態の転がり軸受Aは、例えば自動車エンジンの過給機あるいはガスタービンの他、工作機械などに用いることができる。具体的に、上記転がり軸受Aを用いた過給機を図12に示す。図中、20はハウジング、21はタービン軸である。タービン軸21の一端にはタービン羽根車22が、タービン軸21の他端にはコンプレッサ羽根車23がそれぞれ取り付けられている。このタービン軸21は、ハウジング20の貫通孔24に対して、図4に示す二つの転がり軸受A,Aおよびスリーブ25を介して回転自在に支持されている。
【0038】
前述の過給機において、二つの転がり軸受Aの組み込み形態を説明する。内輪1,1は
、タービン軸21に対してタービン軸21の段部26および間座27を介して軸方向に位置決めされた状態で中間嵌めにて外嵌されており、外輪2,2は、スリーブ25の内周面段部に対してすきま嵌めにて嵌合されているとともに、軸方向に間座を介在させている。そして、両側の外輪2,2においてカウンタボア9,9の存在する側の肩部が、それぞれタービン羽根車22、コンプレッサ羽根車23の側に配置される。つまり、転がり軸受Aが図4に示す状態で図12のコンプレッサ羽根車23の側に配置され、タービン羽根車22の側では転がり軸受Aが図4に示す状態を左右反対にした状態で配置される。これらの外輪2,2は、コイルバネ28によって間座を介して軸方向で互いに引き離される向きに弾発付勢されている。
【0039】
このような形態により、二つの転がり軸受A,Aが定圧予定を付与された状態になっており、これによりラジアル隙間を有する転がり軸受A,Aの転動体3が内・外輪1,2に対して斜接するように設定されている。このときの転動体3の接触角は、例えば15°±5°となるようにラジアル隙間が管理されている。
【0040】
スリーブ25は、ハウジング20の貫通孔24に対して所要の隙間を介して嵌入されるような外径寸法に設定されている。さらにスリーブ25の外周面の軸方向数箇所には、前述の隙間を可及的に大きく設定するために、周溝29が形成されている。この隙間には、ハウジング20に設けられる通路30を介して潤滑油が供給されるようになっており、この隙間の潤滑油はタービン軸21の振動を減衰するダンパとして機能するようになっている。
【0041】
なお、この隙間に供給される潤滑油は、スリーブ25および間座に設けてある小孔31から二つの転がり軸受A,Aへ向けて噴射されるようになっている。この小孔31から供給される潤滑油は、二つの転がり軸受A,Aの内輪1,1のカウンタボア5,5により受け入れられてから、軸受内部を通過して転がり軸受A,Aの潤滑と冷却とを行うようになっている。
【0042】
このような過給機では、タービン軸21が10万rpm以上の高速回転となり、連続使用で200〜300℃と高温になり、二つの転がり軸受A,Aにとっては苛酷な条件となるが、この転がり軸受A,Aは、各構成要素の素材を特別に選定しているから、優れた耐焼付性および、タービン軸21の優れた回転安定性を発揮させることができるようになる。
【0043】
なお、上記過給機において、タービン側のはうがコンプレッサ側よりも高温となるので、過給機のコンプレッサ側の転がり軸受を上記実施形態で説明した構成とし、タービン側の転がり軸受については、上記実施形態で説明した保持器4よりもさらに耐熱性に優れた旋削品からなる保持器を用いる構成にすれば、過給機の耐久性をより優れたものとすることができる。
【符号の説明】
【0044】
A 転がり軸受
1 内輪
2 外輪
3 転動体(玉)
4 保持器
D1〜D4 成形金型
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも熱可塑性樹脂にポリベンゾイミダゾール(PBI)からなる粒子が混合されている材料を用いて形成され、
前記熱可塑性樹脂が、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)とされていることを特徴とする合成樹脂製の軸受用保持器。
【請求項2】
前記材料にさらに強化繊維が混合されて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の合成樹脂製の軸受用保持器。
【請求項3】
前記形成が射出成形により行われていることを特徴とする請求項1または2に記載の合成樹脂製の軸受用保持器。
【請求項4】
合成樹脂を軸受用保持器の材料としかつ成形金型を用いて射出成形により前記保持器を製造する方法において、
前記材料として少なくとも熱可塑性樹脂にポリベンゾイミダゾール(PBI)からなる粒子が混合され、
前記熱可塑性樹脂が、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を用いることを特徴とする軸受用保持器の製造方法。
【請求項5】
内輪と、外輪と、前記内輪と外輪との間に配置される複数の転動体と、前記転動体を前記内輪と外輪との間に保持する保持器とを備え、前記保持器が、請求項1ないし3のいずれか一つに記載の合成樹脂製の軸受用保持器であることを特徴とする転がり軸受。
【請求項6】
過給機に使用される請求項5に記載の転がり軸受。
【請求項7】
ガスタービンの主軸支持に使用される請求項5に記載の転がり軸受。
【請求項8】
工作機械の主軸支持に使用される請求項5に記載の転がり軸受。
【請求項9】
200〜250℃の高温下で使用される請求項5ないし8のいずれか一つに記載の転がり軸受。
【請求項1】
少なくとも熱可塑性樹脂にポリベンゾイミダゾール(PBI)からなる粒子が混合されている材料を用いて形成され、
前記熱可塑性樹脂が、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)とされていることを特徴とする合成樹脂製の軸受用保持器。
【請求項2】
前記材料にさらに強化繊維が混合されて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の合成樹脂製の軸受用保持器。
【請求項3】
前記形成が射出成形により行われていることを特徴とする請求項1または2に記載の合成樹脂製の軸受用保持器。
【請求項4】
合成樹脂を軸受用保持器の材料としかつ成形金型を用いて射出成形により前記保持器を製造する方法において、
前記材料として少なくとも熱可塑性樹脂にポリベンゾイミダゾール(PBI)からなる粒子が混合され、
前記熱可塑性樹脂が、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を用いることを特徴とする軸受用保持器の製造方法。
【請求項5】
内輪と、外輪と、前記内輪と外輪との間に配置される複数の転動体と、前記転動体を前記内輪と外輪との間に保持する保持器とを備え、前記保持器が、請求項1ないし3のいずれか一つに記載の合成樹脂製の軸受用保持器であることを特徴とする転がり軸受。
【請求項6】
過給機に使用される請求項5に記載の転がり軸受。
【請求項7】
ガスタービンの主軸支持に使用される請求項5に記載の転がり軸受。
【請求項8】
工作機械の主軸支持に使用される請求項5に記載の転がり軸受。
【請求項9】
200〜250℃の高温下で使用される請求項5ないし8のいずれか一つに記載の転がり軸受。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−185439(P2011−185439A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90976(P2011−90976)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【分割の表示】特願2009−184485(P2009−184485)の分割
【原出願日】平成10年6月29日(1998.6.29)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【分割の表示】特願2009−184485(P2009−184485)の分割
【原出願日】平成10年6月29日(1998.6.29)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】
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