説明

周波数シンセサイザ

【課題】ロックさせる周波数の制御精度と処理速度とを共に擬制にすることなく、PLL回路の構成を1つの半導体チップに集積できるようにする。
【解決手段】アップ/ダウンカウンタ5を用いた第1のロックループによって局部発振周波数の粗調整を行うとともに、S/H回路11を用いた第2のロックループによって局部発振周波数の微調整を行うことにより、位相差に応じてコンデンサに電荷をチャージしたりポンプしたりする動作を不要とし、大容量のコンデンサを用いるLPFを周波数シンセサイザから省略できるようにする。また、S/H回路11を用いた微調整によって局部発振周波数を精度良くロックさせることができるようにするとともに、ロックさせる周波数の制御精度を上げるためにアップ/ダウンカウンタ5のビット数を大きくする必要をなくし、局部発振周波数を所望の周波数に高速にロックさせることができるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は周波数シンセサイザに関し、特に、位相ロックループを用いた周波数シンセサイザに用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、無線通信機では、PLL(Phase Locked Loop)を用いた周波数シンセサイザが用いられる。図8は、PLLを用いた周波数シンセサイザの一般的な構成を示す図である。図8に示すように、周波数シンセサイザは、基準発生器101、プログラマブルカウンタ(PC)102、位相比較器103、チャージポンプ回路104、ローパスフィルタ(LPF)105および電圧制御発振器(VCO)106を備えて構成されている。
【0003】
基準発生器101は、基準周波数の基準信号を発生する。PC102は、VCO106の出力周波数を指定された分周比で分周し、その結果を可変周波数の比較信号として位相比較器103に出力する。位相比較器103は、基準発生器101から出力される基準信号と、PC102から出力される比較信号との位相差を検出し、その検出結果に応じて、論理「L」または「H」の制御信号をUp端子およびDown端子より出力する。
【0004】
チャージポンプ回路104は、位相比較器103のUp端子およびDown端子より出力される制御信号に基づいて、LPF105を構成するコンデンサのチャージ動作またはポンプ動作を行う。図9は、チャージポンプ回路104の構成例を示す図である。図9に示すように、チャージポンプ回路104は、電源とLPF105との間に接続された第1のスイッチ104aおよび、グランドとLPF105との間に接続された第2のスイッチ104bを備えており、位相比較器103のUp端子、Down端子より出力される制御信号に基づいて何れかのスイッチがONとなる。
【0005】
すなわち、比較信号の位相が基準信号の位相より遅れると、その位相差に応じたパルス幅を有する論理「H」の制御信号が位相比較器103のUp端子から出力される。このとき位相比較器103のDown端子には、論理「L」の制御信号が出力されている。これによってチャージポンプ回路104の第1のスイッチ104aがONとなり、LPF105のコンデンサに電荷が供給(チャージ)される。
【0006】
一方、比較信号の位相が基準信号の位相より進むと、その位相差に応じたパルス幅を有する論理「H」の制御信号が位相比較器103のDown端子から出力される。このとき位相比較器103のUp端子には、論理「L」の制御信号が出力されている。これによってチャージポンプ回路104の第2のスイッチ104bがONとなり、LPF105のコンデンサにチャージされていた電荷が放電(ポンプ)される。
【0007】
LPF105は、コンデンサと抵抗とを備えて構成されており、チャージポンプ回路104から出力される信号の高周波成分を除去してVCO106に出力する。VCO106は、LPF105から出力される信号の電圧に比例した周波数で発振し、局部発振信号として周波数シンセサイザの外部に出力するとともに、PC102に出力する。
【0008】
ここで、比較信号の位相が基準信号の位相より遅れることにより、チャージポンプ回路104がLPF105に電荷をチャージすると、VCO106の発振周波数は上昇する。このVCO106より出力される局部発振信号は、PC102に出力される。このとき、PC102より出力される比較信号の周波数は上昇し、基準信号との位相差が小さくなる。これにより、VCO106より出力される局部発振信号の周波数は、基準信号の周波数に比例した所望の周波数に近づいていく。
【0009】
一方、比較信号の位相が基準信号の位相より進むことによって、チャージポンプ回路104がLPF105の電荷を放電すると、VCO106の発振周波数は下降する。このVCO106より出力される局部発振信号は、PC102に出力される。このとき、PC102より出力される比較信号の周波数は下降し、基準信号との位相差が小さくなる。これにより、VCO106より出力される局部発振信号の周波数は、基準信号の周波数に比例した所望の周波数に近づいていく。
【0010】
このように、周波数シンセサイザは、比較信号の周波数(VCO106の出力周波数に比例した周波数)が基準信号の周波数より高くても低くても、最終的には、比較信号の周波数が基準信号の周波数に近づくように動作し、それによってVCO106の発振周波数は一定周波数にロックされる。このロック状態のときに、位相比較器103から出力される制御信号は、Up端子およびDown端子の両方とも論理「L」の信号とされる。
【0011】
以上のように構成された周波数シンセサイザでは、位相比較器103で比較する周波数が低くなればなるほど、LPF105を構成するコンデンサとしては容量値の大きなものを使用しなければならなくなる。そのため、LPF105を半導体チップに集積化することが難しいという問題があった。これに対して、アップ/ダウンカウンタとD/A変換器とを用いてPLL回路を構成する技術が提供されている(例えば、特許文献1参照)。この技術を用いれば、大容量のコンデンサを用いるLPFをPLL回路から省略することができる。
【特許文献1】特開平9−152561号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、アップ/ダウンカウンタとD/A変換器とを用いてPLL回路を構成した場合は、ロックさせる周波数の制御精度と処理速度とがカウンタのビット数によって制約を受けてしまうという問題があった。すなわち、D/A変換器を使って定常状態に入ると、ロックループがオープンな状態となって或る期間は何も応答せず、そのような不感知範囲では発振周波数の制御がうまくできなくなってしまう。アップ/ダウンカウンタとD/A変換器のビット数を大きくすれば制御精度を上げることができるが、処理速度が遅くなってしまうし、回路規模も大きくなってしまう。逆に、ビット数を小さくすれば処理速度は速くなるが、制御精度が落ちてしまう。
【0013】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、ロックさせる周波数の制御精度と処理速度とを共に擬制にすることなく、PLL回路の構成を1つの半導体チップに集積できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記した課題を解決するために、本発明では、位相比較器から出力される発振制御用の信号に基づいてカウント動作を行うアップ/ダウンカウンタと、アップ/ダウンカウンタから出力されるカウント値をD/A変換することによって電圧値を得て、当該電圧値を局部発振回路に供給するD/A変換器とによって、局部発振周波数の粗調整を行う。また、電圧値が時間的に常に定周期で変化する波形の非定常信号を生成する非定常信号生成回路と、可変分周器から出力される比較信号に基づいてサンプリングパルスを生成するパルス生成回路と、サンプリングパルスによって非定常信号の電圧値をサンプルホールドし、ホールドした電圧値を局部発振回路に供給するサンプルホールド回路とによって、局部発振周波数の微調整を行う。
【0015】
また、本発明の他の態様では、局部発振回路から出力される局部発振信号の周波数と目標の周波数との大小を比較するとともに、局部発振回路がとり得る発振周波数の範囲をn(nは2以上の整数)分割した周波数範囲のうち、目標の周波数が属している周波数範囲の境界に当たる周波数と周波数カウンタでカウントされた局部発振信号の周波数との大小を比較する周波数比較器と、周波数比較器による比較の結果に基づいてスイッチの選択状態を切り替える制御回路とにより、局部発振回路を構成するバラクタダイオードの容量値を大きく変化させて最も粗く局部発振周波数の調整を行う。その後、上述ようにアップ/ダウンカウンタとD/A変換器とによって局部発振周波数の粗調整を行うとともに、非定常信号生成回路とパルス生成回路とサンプルホールド回路とによって局部発振周波数の微調整を行う。
【発明の効果】
【0016】
上記のように構成した本発明によれば、アップ/ダウンカウンタとD/A変換器とを用いて周波数シンセサイザを構成する方式をとっているので、基準信号と比較信号との位相差に応じてコンデンサに電荷をチャージしたりポンプしたりする動作は不要である。これにより、大容量のコンデンサを用いるLPFを周波数シンセサイザから省略することができ、1つの半導体チップ上に周波数シンセサイザを集積することができる。また、本発明によれば、アップ/ダウンカウンタを用いた局部発振周波数の調整は粗く行われ、局部発振周波数の微調整はサンプルホールド回路を用いて行われる。そのため、ロックさせる周波数の制御精度を上げるためにアップ/ダウンカウンタのビット数を大きくする必要がなく、局部発振周波数を所望の周波数に高速にロックさせることができる。しかも、サンプルホールド回路を用いた微調整によって、局部発振周波数を精度良くロックさせることができる。サンプルホールド回路用のコンデンサの容量は数pF(ピコ・ファラド)でよいので、半導体チップ上に容易に集積することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(第1の実施形態)
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、第1の実施形態による周波数シンセサイザの全体構成例を示す図である。図1に示すように、本実施形態の周波数シンセサイザは、水晶発振回路1、基準分周器2、プログラマブルカウンタ(PC)3、位相比較器4、アップ/ダウンカウンタ5、D/A変換器6、加算器7、電圧制御発振器(VCO)8、非定常波生成回路9、パルス生成回路10、サンプルホールド(S/H)回路11およびバッファ12を備えて構成されている。
【0018】
これらの各構成1〜12は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)プロセス、あるいはBiCMOS(Bipolar-CMOS)プロセスにて全て同じ半導体チップ上に集積されている。なお、本実施形態において、これら各構成1〜12の全てを1チップに集積することは必須でない。
【0019】
水晶発振回路1は、所定の周波数の信号を発生する。基準分周器2は、水晶発振回路1から出力される信号の周波数を固定の分周比で分周し、基準周波数の基準信号fを発生する。この水晶発振回路1および基準分周器2によって、本発明の基準発生器が構成されている。PC3は、本発明の可変分周器に相当するものであり、VCO8から出力される局部発振信号の周波数を指定された分周比で分周し、その結果を可変周波数の比較信号fとして位相比較器4に出力する。
【0020】
位相比較器4は、基準分周器2から出力される基準信号fと、PC3から出力される比較信号fとの位相差を検出し、検出した位相差に応じて、VCO8の発振制御用の信号をUp端子およびDown端子より出力する。Up端子およびDown端子より出力される発振制御用の信号は、論理「L」または「H」の信号である。
【0021】
すなわち、比較信号fの位相が基準信号fの位相より遅れると、位相比較器4は、その位相差に応じたパルス幅を有する論理「H」の制御信号をUp端子から出力する。このとき位相比較器4は、Down端子から論理「L」の制御信号を出力する。一方、比較信号fの位相が基準信号fの位相より進むと、位相比較器4は、その位相差に応じたパルス幅を有する論理「H」の制御信号をDown端子から出力する。このとき位相比較器4は、Up端子から論理「L」の制御信号を出力する。また、比較信号fの位相と基準信号fの位相とが同期すると、位相比較器4は、Up端子およびDown端子の双方から論理「L」の制御信号を出力する。
【0022】
アップ/ダウンカウンタ5は、位相比較器4のUp端子およびDown端子から出力される論理「H」の御用信号に基づいてカウント動作を行う。すなわち、位相比較器4のUp端子から論理「H」の制御信号が出力されている間は、アップ/ダウンカウンタ5はカウントアップ動作を行う。一方、位相比較器4のDown端子から論理「H」の制御信号が出力されている間は、アップ/ダウンカウンタ5はカウントダウン動作を行う。なお、本実施形態のアップ/ダウンカウンタ5は、発振周波数の制御精度を良くすることを目的としてビット数を大きなものとする必要はない。
【0023】
D/A変換器6は、アップ/ダウンカウンタ5から出力されるカウント値をD/A変換することによって電圧値を得て、得られた電圧値を、加算器7を介してVCO8に供給する。VCO8は、本発明の局部発振回路に相当するものであり、加算器7から供給される電圧値に比例した周波数で発振し、その結果得られる局部発振周波数の信号を局部発振信号fとして周波数シンセサイザの外部に出力するとともに、PC3に出力する。
【0024】
非定常波生成回路9は、本発明の非定常信号生成回路に相当するものであり、例えば図2(a)に示すように、基準分周器2より出力される基準信号fを積分して、三角波を生成する。ここで生成する三角波は、電圧値が時間的に常に一定の割合で変化する波形の非定常信号である。
【0025】
なお、本実施形態では三角波を生成する例について説明しているが、電圧値が時間的に常に定周期で変化する波形の信号であれば、これ以外の波形の信号であってもよい。例えば、図2(b)に示すようにのこぎり波を生成するようにしても良い。また、本実施形態では基準信号fを積分することによって非定常信号を生成しているが、非定常信号の生成法はこれに限定されるものではない。
【0026】
パルス生成回路10は、PC3から出力される比較信号fと、VCO8から出力される局部発振信号fとに基づいて、S/H回路11をサンプルホールドするためのサンプリングパルスSPを生成する。図3は、パルス生成回路10の一構成例を示す図である。また、図4は、図3のように構成したパルス生成回路10の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【0027】
図3(a)に示すように、パルス生成回路10は、例えば、D型フリップフロップ21とAND回路22とを備えて構成されている。D型フリップフロップ21は、データ入力端子DにPC3からの比較信号fを入力し、クロック端子CKにVCO8からの局部発振信号fを入力する。図4に示すように、局部発振信号fは、比較信号fに比べて周期の短い信号であり、これをD型フリップフロップ21の動作クロックとして用いる。これにより、データ入力端子Dに入力された比較信号fは、局部発振信号fの1周期だけ遅れて正の出力端子Qから出力される。また、その反転信号が負の出力端子Qバーから出力される。AND回路22は、PC3から出力される比較信号fと、D型フリップフロップ21の負の出力端子Qバーから出力される信号との論理積をとることにより、比較信号fが「H」の期間中において局部発振信号fの周期で只1回のみ論理「H」となるワンショットのサンプリングパルスSPを発生する。
【0028】
なお、ここではD型フリップフロップ21の動作クロックとして局部発振信号fを用いる例について説明したが、これに限定されない。比較信号fに同期していて、当該比較信号fよりも周期の短い信号であれば、局部発振信号f以外の信号を用いても良い。例えば、そのような信号を別のタイミング発生回路(図示せず)で生成するようにしても良い。
【0029】
また、パルス生成回路10は、PC3から出力される比較信号fと、VCO8から出力される局部発振信号fをPC3で分周している途中の信号(例えば、PC3が備える1/nプリスケーラ(nは16,32,64など)の出力信号)とに基づいてサンプリングパルスSPを生成するようにしても良い。PC3での分周比が大きいと、サンプリングパルスSPのデューティが大きくなり、パルス幅がヒゲのように極めて細くなる。そのため、パルス信号が見えなくなってしまうこともあるので、分周比が小さい段階のプリスケーラ出力を用いることで、サンプリングパルスSPのパルス幅をある程度大きくすることができる。
【0030】
また、PC3での分周途中の信号を用いる代わりに、図3(b)に示すように、複数のD型フリップフロップ21を縦続接続するようにしても良い。このようにした場合も、サンプリングパルスSPのパルス幅をある程度大きくすることができる。PC3での分周途中の信号を用いる場合は、サンプリングパルスSPのパルス幅が分周比によって変わるので、パルス幅の安定化という点ではD型フリップフロップ21を多段接続する構成の方が好ましい。ただし、パルス幅が分周比によって変わるといっても、周波数範囲が狭いので、パルス幅の変化量は殆ど無視できる。
【0031】
S/H回路11は、パルス生成回路10により生成されたサンプリングパルスSPによって、非定常波生成回路9により生成された三角波信号の電圧値をサンプルホールドし、ホールドした電圧値を、バッファ12および加算器7を介してVCO8に供給する。加算器7は、D/A変換器6から供給される電圧値と、S/H回路11からバッファ12を介して供給される電圧値とを加算し、加算した結果の電圧値をVCO8に供給する。
【0032】
以上のような周波数シンセサイザにおいて、位相比較器4、アップ/ダウンカウンタ5およびD/A変換器6を経由するループによって第1のロックループが形成される。また、非定常波生成回路9、パルス生成回路10およびS/H回路11を経由するループによって第2のロックループが形成される。
【0033】
次に、上記のように構成した第1の実施形態による周波数シンセサイザの動作を説明する。図5は、第1の実施形態による周波数シンセサイザの動作を説明するための図であり、図5(a)は第1のロックループによる動作を示し、図5(b)は第2のロックループによる動作を示している。
【0034】
第1のロックループにおいて、位相比較器4は、基準分周器2から出力される基準信号fと、PC3から出力される比較信号fとの位相差を検出する。比較信号fの位相が基準信号fの位相より遅れると、その位相差に応じたパルス幅を有する論理「H」の制御信号が位相比較器4のUp端子から出力される。このとき位相比較器4のDown端子には、論理「L」の制御信号が出力されている。
【0035】
位相比較器4のUp端子から出力された論理「H」の制御信号と、Down端子から出力された論理「L」の制御信号は、アップ/ダウンカウンタ5に入力される。アップ/ダウンカウンタ5は、位相比較器4のUp端子から入力される論理「H」の制御信号に同期して、カウントアップ動作を行う。そして、カウントアップされたカウント値がD/A変換器6によりD/A変換され、これによって得られた電圧値が加算器7を介してVCO8に出力される。
【0036】
このようなアップ/ダウンカウンタ5のカウントアップ動作によって、D/A変換器6から出力される電圧値が上昇すると、それに伴ってVCO8の発振周波数は上昇する。そのため、VCO8からPC3にフィードバックされる局部発振信号fの周波数が上昇し、これを分周した比較信号fの周波数も上昇する。これにより、基準信号fの周波数よりも低かった比較信号fの周波数が、当該基準信号fの周波数に近づいていく。その結果、VCO8より出力される局部発振信号fの周波数は、基準信号fの周波数に比例した所望の周波数に近づいていく。
【0037】
一方、比較信号fの位相が基準信号fの位相より進むと、その位相差に応じたパルス幅を有する論理「H」の制御信号が位相比較器4のDown端子から出力される。このとき位相比較器4のUp端子には、論理「L」の制御信号が出力されている。
【0038】
位相比較器4のUp端子から出力された論理「L」の制御信号と、Down端子から出力された論理「H」の制御信号は、アップ/ダウンカウンタ5に入力される。アップ/ダウンカウンタ5は、位相比較器4のDown端子から入力される論理「H」の制御信号に同期して、カウントダウン動作を行う。そして、カウントダウンされたカウント値がD/A変換器6によりD/A変換され、これによって得られた電圧値が加算器7を介してVCO8に出力される。
【0039】
このようなアップ/ダウンカウンタ5のカウントダウン動作によって、D/A変換器6から出力される電圧値が下降すると、それに伴ってVCO8の発振周波数は下降する。そのため、VCO8からPC3にフィードバックされる局部発振信号fの周波数が下降し、これを分周した比較信号fの周波数も下降する。これにより、基準信号fの周波数よりも高かった比較信号fの周波数が、当該基準信号fの周波数に近づいていく。その結果、VCO8より出力される局部発振信号fの周波数は、基準信号fの周波数に比例した所望の周波数に近づいていく。
【0040】
このように、周波数シンセサイザは、図5(a)に示すように、比較信号fの周波数が基準信号fの周波数より高くても低くても、比較信号fの周波数が基準信号fの周波数に近づくように動作する。そして、最終的には位相比較器4から出力される制御信号は、Up端子およびDown端子の両方とも論理「L」となり、アップ/ダウンカウンタ5のカウント動作が停止して、一定のカウント値が出力されることとなる。
【0041】
ただし、本実施形態においてアップ/ダウンカウンタ5のビット数はそれほど大きくなく、周波数の分解能があまり高くない。そのため、発振周波数調整の処理速度は速くできるものの、比較信号fの周波数を基準信号fの周波数に精度よく一致させることは難しい。本実施形態では、比較信号fの周波数を基準信号fの周波数に精度よく一致させるために、S/H回路11を用いた第2のロックループで発振周波数の微調整を行っている。
【0042】
すなわち、基準分周器2より出力される基準信号fが非定常波生成回路9により積分されて、三角波信号が生成される。また、パルス生成回路10により、比較信号fに同期したサンプリングパルスSPが生成される。そして、図5(b)に示すように、パルス生成回路10により生成されたサンプリングパルスSPによって、非定常波生成回路9により生成された三角波信号の電圧値がS/H回路11によりサンプルホールドされ、ホールドされた電圧値が、バッファ12をおよび加算器7を介してVCO8に供給される。
【0043】
このようなサンプルホールド動作によって、バッファ12から出力される電圧値が例えば上昇すると、それに伴ってVCO8の発振周波数は上昇する。そのため、VCO8からPC3にフィードバックされる局部発振信号fの周波数が上昇し、これを分周した比較信号fの周波数も上昇する。これにより、基準信号fの周波数よりも低かった比較信号fの周波数が、当該基準信号fの周波数に近づいていく。その結果、VCO8より出力される局部発振信号fの周波数は、基準信号fの周波数に比例した所望の周波数に近づいていく。
【0044】
また、バッファ12から出力される電圧値が下降すると、それに伴ってVCO8の発振周波数は下降する。そのため、VCO8からPC3にフィードバックされる局部発振信号fの周波数が下降し、これを分周した比較信号fの周波数も下降する。これにより、基準信号fの周波数よりも高かった比較信号fの周波数が、当該基準信号fの周波数に近づいていく。その結果、VCO8より出力される局部発振信号fの周波数は、基準信号fの周波数に比例した所望の周波数に近づいていく。
【0045】
実際は、アップ/ダウンカウンタ5からD/A変換器6を介して供給される電圧値と、S/H回路11からバッファ12を介して供給される電圧値とが加算器7にて加算され、加算した結果の電圧値がVCO8に供給される。すなわち、アップ/ダウンカウンタ5によって粗調整された電圧値に対して、S/H回路11によって微調整された電圧値が加算され、その加算結果の電圧値によってVCO8の発振周波数が制御される。
【0046】
そして、最終的に比較信号fの位相は基準信号fの位相と完全に同期して、VCO8の発振周波数は一定周波数にロックされる。非ロック状態のときは、比較信号fの周期毎にサンプルホールドされる電圧値V,V,V,・・・は異なる値となっているが、ロック状態になると、この電圧値が一定となる。また、サンプリングパルスSPの時間間隔も一定となる。
【0047】
以上詳しく説明したように、第1の実施形態では、アップ/ダウンカウンタ5を用いて第1のロックループを形成するとともに、S/H回路11を用いて第2のロックループを形成する。そして、第1のロックループによって局部発振周波数の粗調整を行うとともに、第2のロックループによって局部発振周波数の微調整を行うようにした。このように、アップ/ダウンカウンタ5を用いて周波数シンセサイザを構成する方式をとっているので、基準信号frと比較信号fとの位相差に応じてコンデンサに電荷をチャージしたりポンプしたりする動作が不要で、大容量のコンデンサを用いるLPFを周波数シンセサイザから省略することができる。
【0048】
また、第1の実施形態によれば、ロックさせる局部発振周波数の制御精度を上げるためにアップ/ダウンカウンタ5のビット数を大きくする必要がなく、局部発振周波数を所望の周波数に高速にロックさせることができる。しかも、S/H回路11を用いた微調整によって、局部発振周波数を精度良くロックさせることができる。以上より、ロックさせる局部発振周波数の制御精度と処理速度とを共に擬制にすることなく、周波数シンセサイザの構成を1つの半導体チップに集積することができる。
【0049】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図6は、第2の実施形態による周波数シンセサイザの全体構成例を示す図である。なお、この図6において、図1に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。なお、図6に示す構成は全て、例えばCMOSプロセス、あるいはBiCMOSプロセスにて同じ半導体チップ上に集積されている。ただし、本実施形態において、図6に示す構成の全てを1チップに集積することは必須でない。
【0050】
第2の実施形態において、VCO8には、容量値の異なる複数のバラクタダイオード31−1〜31−8と、当該複数のバラクタダイオード31−1〜31−8の何れかを選択する複数のスイッチ32−1〜32−8と、容量値の異なる複数の共振コンデンサ33−1〜33−8と、当該複数の共振コンデンサ33−1〜33−8の何れかを選択する複数のスイッチ34−1〜34−8と、共振コイル35と、バッファ36とが接続されている。
【0051】
複数のバラクタダイオード31−1〜31−8は、複数のスイッチ32−1〜32−8からスイッチSW1を介して加算器7に接続されるとともに、スイッチSW2を介して固定電圧の電源40に接続されている。スイッチSW1とスイッチSW2は、後述する制御回路39の制御によって、必ず一方がオンのときは他方がオフとなるように制御される。すなわち、スイッチSW1がオンのときにスイッチSW2はオフ、スイッチSW2がオンのときにスイッチSW1はオフとなる。
【0052】
複数のスイッチ32−1〜32−8は、制御回路39の制御によって、その何れかが選択的にオンとされる。ここで、スイッチ32−1とスイッチ32−5、スイッチ32−2とスイッチ32−6、スイッチ32−3とスイッチ32−7、スイッチ32−4とスイッチ32−8の組は各々同期してオンまたはオフとなる。同様に、複数の共振コンデンサ33−1〜33−8とグランドとの間に接続されたスイッチ34−1とスイッチ34−5、スイッチ34−2とスイッチ34−6、スイッチ34−3とスイッチ34−7、スイッチ34−4とスイッチ34−8の組は各々同期してオンまたはオフとなる。
【0053】
第2の実施形態では、容量値の異なる複数のバラクタダイオード31−1〜31−8の中からスイッチ32−1〜32−8により何れかを選択するとともに、選択したバラクタダイオードの容量値を加算器7からの印加電圧によって変化させることで、VCO8の局部発振周波数が変化するように構成している。具体的には、まず複数のバラクタダイオード31−1〜31−8の中から適当な容量値のものを選択することによりVCO8の局部発振周波数を粗調整する。その後、その選択したバラクタダイオードの容量値を加算器7からの印加電圧によって変化させることで、VCO8の局部発振周波数を細かく調整していく。
【0054】
複数のバラクタダイオード31−1〜31−8の中から何れかを選択する際は、スイッチSW2をオンとする。スイッチSW2がオンのときは、スイッチ32−1〜32−8を介してバラクタダイオード31−1〜31−8に供給される電圧は電源40の固定電圧となるが、複数のスイッチ32−1〜32−8の何れかを選択的にオンとすることにより、VCO8に繋がるバラクタダイオードの容量値を可変とすることができる。これにより、VCO8の局部発振周波数が変化する。
【0055】
また、複数のバラクタダイオード31−1〜31−8の中から何れかを選択した後は、スイッチSW1をオンとする。スイッチSW1がオンになっていると、加算器7から出力された電圧がスイッチ32−1〜32−8を介してバラクタダイオード31−1〜31−8に対して逆方向にかけられ、ダイオードの持っているコンデンサ容量(接合容量)が変化する。ここで、ロック時以外は、加算器7から出力される電圧値は変化している。この電圧の変化によってバラクタダイオード31−1〜31−8の容量値を可変とし、VCO8の発振周波数を変化させることができる。
【0056】
第2の実施形態では、第1の実施形態で説明したアップ/ダウンカウンタ5を用いた第1のロックループと、S/H回路11を用いた第2のロックループに加えて、次のような第3のロックループを備えている。第3のロックループは、周波数カウンタ37と、周波数比較器38と、制御回路39とを備えている。
【0057】
周波数カウンタ37は、VCO8からバッファ36を介して出力される局部発振信号fの周波数(以下、局部発振周波数fと記す)をカウントする。周波数比較器38は、周波数カウンタ37でカウントされた局部発振周波数fと、周波数シンセサイザで最終的に収束させたい目標の周波数fとの大小を比較し、その比較結果を制御回路39に伝える。ここで、目標の周波数fは、図示しないマイコンあるいはDSP(Digital Signal Processor)から周波数比較器38に供給される。
【0058】
また、周波数比較器38は、VCO8がとり得る発振周波数の範囲をn(nは2以上の整数)分割した周波数範囲のうち、目標の周波数fが属している周波数範囲の境界に当たる周波数fmin,fmaxと、周波数カウンタ37でカウントされた局部発振周波数fとの大小を比較し、その比較結果を制御回路39に伝える。ここで、目標の周波数fが属している周波数範囲の境界に当たる周波数fmin,fmaxも、図示しないマイコンあるいはDSPから周波数比較器38に供給される。
【0059】
例えば、本実施形態の周波数シンセサイザをFMラジオ受信機に適用する場合には、図7に示すように、FMの受信周波数範囲(76〜108MHz)を4つの周波数範囲f〜fに4等分する。ここで、目標の周波数fが85MHzであったとすると、周波数比較器38は、局部発振周波数fと目標の周波数f(=85MHz)との大小を比較し、その比較結果を制御回路39に伝える。また、周波数比較器38は、当該目標の周波数fが属している周波数範囲fの境界に当たる周波数fmin(=84MHz),fmax(=92MHz)と局部発振周波数fとの大小を比較し、その比較結果を制御回路39に伝える。
【0060】
制御回路39は、周波数比較器38から供給される比較結果の信号に基づいて、スイッチ32−1〜32−8,34−1〜34−8,SW1,SW2の選択状態を切り替える。最初は、制御回路39はスイッチSW2をオンにするとともに、例えばスイッチ32−1,32−5,34−1,34−5をオンとし、その他のスイッチをオフとする。この状態は、最も低い周波数範囲fを選択した状態である。
【0061】
この状態で、周波数比較器38は、局部発振周波数fと目標の周波数f(=85MHz)との大小を比較するとともに、目標の周波数fが属する周波数範囲fの境界に当たる周波数fmin(=84MHz),fmax(=92MHz)と局部発振周波数fとの大小を比較し、その比較結果を制御回路39に伝える。ここで、制御回路39は、fmin<f<fmaxの条件が成り立つかどうかを判定し、成り立たないときは、スイッチSW2はオンにしたまま、局部発振周波数fと目標の周波数fとの大小関係に応じてスイッチ32−1〜32−8,34−1〜34−8の選択状態を切り替える。
【0062】
ここでは、f<fとなるので、局部発振周波数fを大きくして目標の周波数fに近づけるために、スイッチ32−1,32−5,34−1,34−5をオフにしてスイッチ32−2,32−6,34−2,34−6をオンに切り替える。この切り替え後の状態は、2番目の周波数範囲fを選択した状態である。これにより、VCO8に繋がるバラクタダイオードの容量値が大きく変化し、VCO8の局部発振周波数fが大きく変化する。
【0063】
この状態で、周波数比較器38は、局部発振周波数fと目標の周波数fとの大小を比較するとともに、周波数範囲fの境界に当たる周波数fmin,fmaxと局部発振周波数fとの大小を比較し、その比較結果を制御回路39に伝える。ここで、制御回路39は、fmin<f<fmaxの条件が成り立つかどうかを判定する。ここでは、この条件が成り立つので、スイッチ32−2,32−6,34−2,34−6をオンにしたまま、スイッチSW2をオフ、スイッチSW1をオンに切り替える。これにより、バラクタダイオード31−2,31−6が選択された状態となる。
【0064】
スイッチSW1がオンになってバラクタダイオード31−2,31−6が選択された状態では、加算器7から出力された電圧がスイッチSW1,32−2,32−6を介してバラクタダイオード31−2,31−6に印加される。これにより、加算器7から出力される電圧の変化によってバラクタダイオード31−2,31−6の容量値が変化し、VCO8の局部発振周波数fが少しずつ変化していく。
【0065】
なお、ここでは、最も低い周波数範囲fから大きい周波数範囲f,f,fへと順に切り替えていく例について説明したが、この切り替えの順番は単なる一例に過ぎない。また、ここではFMの受信周波数範囲を4つの周波数範囲f〜fに4等分しているが、必ずしも等分でなくても良い。
【0066】
以上のように構成した第2の実施形態による周波数シンセサイザでは、周波数カウンタ37、周波数比較器38および制御回路39を用いた第3のロックループによって、最も粗く局部発振周波数の調整を行う。すなわち、4等分した周波数範囲f〜fの何れかを特定し、その特定した周波数範囲内でVCO8が発振するように、複数のバラクタダイオード31−1〜31−8の中から何れかをスイッチ32−1〜32−8により選択する。
【0067】
そして、アップ/ダウンカウンタ5を用いた第1のロックループによって、第3のロックループで選択したバラクタダイオードの接合容量をおおまかに変化させることによって局部発振周波数fの粗調整(第3のロックループによる調整よりは細かい調整)を行うとともに、S/H回路11を用いた第2のロックループによって、第3のロックループで選択したバラクタダイオードの接合容量を細かく変化させることによって局部発振周波数fの微調整を行う。
【0068】
以上詳しく説明したように、第2の実施形態によれば、アップ/ダウンカウンタ5や周波数カウンタ37を用いて周波数シンセサイザを構成する方式をとっているので、基準信号frと比較信号fとの位相差に応じてコンデンサに電荷をチャージしたりポンプしたりする動作が不要で、大容量のコンデンサを用いるLPFを周波数シンセサイザから省略することができる。
【0069】
また、第2の実施形態によれば、ロックさせる局部発振周波数の制御精度を上げるためにカウンタ5,37のビット数を大きくする必要がなく、局部発振周波数を所望の周波数に高速にロックさせることができる。第2の実施形態では、第3のロックループで局部発振周波数のおおまかな範囲を特定し、その範囲内に絞って第1のロックループで局部発振周波数を粗調整しているので、第1の実施形態に比べて更に高速にロックさせることができる。しかも、S/H回路11を用いた第2のロックループによる微調整によって、局部発振周波数を精度良くロックさせることができる。
【0070】
以上より、ロックさせる局部発振周波数の制御精度と処理速度とを共に擬制にすることなく、周波数シンセサイザの構成を1つの半導体チップに集積することができる。特に、第2の実施形態では、バラクタダイオードを用いて局部発振周波数の調整を行う形式の周波数シンセサイザに関して、バラクタダイオードを含む周波数シンセサイザの構成を1つの半導体チップに集積することができる。
【0071】
なお、ここでは周波数を4分割する例について説明したが、これは単なる一例に過ぎない。分割数が1の場合(分割しない場合)は実質的に第1の実施形態と同様となるので、分割数は2以上とするが、第3のロックループでは第1のロックループよりも粗く周波数の調整を行う趣旨に鑑みて、分割数はあまり多くし過ぎないようにするのが好ましい。
【0072】
また、VCO8に対して容量値の異なる複数のバラクタダイオード31−1〜31−8を接続し、何れか一対のバラクタダイオードをスイッチ32−1〜32−8により選択する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。バラクタダイオード31−1〜31−8の容量値は全て同じであっても良い。この場合は、スイッチ32−1〜32−8により何れか一対のみのバラクタダイオードを選択するのではなく、一対または複数対のバラクタダイオードを選択することにより、VCO8に繋がるバラクタダイオードの総容量値を可変とすることができる。
【0073】
同様に、VCO8に対して接続される複数の共振コンデンサ33−1〜33−8に関しても、その容量値を全て同じとし、一対または複数対の共振コンデンサを選択することにより、VCO8に繋がる共振コンデンサの総容量値を可変とすることができる。このようにすれば、1つ1つのバラクタダイオードや共振コンデンサの容量値を大きくしなくても、VCO8に繋がる総容量値を大きくすることも可能となるので、半導体チップ上に容易に集積することができる。
【0074】
また、上記第1および第2の実施形態では、VCO8に供給される電圧が上昇するとVCO8の発振周波数が上昇し、VCO8に供給される電圧が下降するとVCO8の発振周波数が下降する周波数シンセサイザの例について説明したが、これとは逆に、VCO8に供給される電圧が上昇するとVCO8の発振周波数が下降し、VCO8に供給される電圧が下降するとVCO8の発振周波数が上昇する周波数シンセサイザにも本発明を適用することが可能である。
【0075】
その他、上記第1および第2の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、位相ロックループを用いた周波数シンセサイザに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】第1の実施形態による周波数シンセサイザの全体構成例を示す図である。
【図2】非定常波生成回路により基準信号から三角波信号を生成することを説明するための波形図である。
【図3】パルス生成回路の一構成例を示す図である。
【図4】図3のように構成したパルス生成回路の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図5】第1の実施形態による周波数シンセサイザの動作を説明するための図であり、図5(a)は第1のロックループによる動作を示し、図5(b)は第2のロックループによる動作を示す図である。
【図6】第2の実施形態による周波数シンセサイザの全体構成例を示す図である。
【図7】第2の実施形態による第3のロックループで使用する周波数の分割例を示す図である。
【図8】従来の周波数シンセサイザの全体構成例を示す図である。
【図9】チャージポンプ回路の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0078】
1 水晶発振回路
2 基準分周器
3 プログラムカウンタ(PC)
4 位相比較器
5 アップ/ダウンカウンタ
6 D/A変換器
7 加算器
8 電圧制御発振器(VCO)
9 非定常波生成回路
10 パルス生成回路
11 S/H回路
12 バッファ
31−1〜31−8 バラクタダイオード
32−1〜32−8 スイッチ
37 周波数カウンタ
38 周波数比較器
39 制御回路
40 電源
SW1,SW2 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
局部発振周波数の局部発振信号を出力する局部発振回路と、
上記局部発振回路から出力される局部発振信号を指定された分周比で分周する可変分周器と、
上記可変分周器から出力される可変周波数の比較信号と基準発生器から出力される基準周波数の基準信号との位相差を検出し、検出した位相差に応じて、上記局部発振回路の発振制御用の信号を出力する位相比較器と、
上記位相比較器から出力される上記発振制御用の信号に基づいてカウント動作を行うアップ/ダウンカウンタと、
上記アップ/ダウンカウンタから出力されるカウント値をD/A変換することによって電圧値を得て、当該電圧値を上記局部発振回路に供給するD/A変換器と、
電圧値が時間的に常に定周期で変化する波形の非定常信号を生成する非定常信号生成回路と、
上記可変分周器から出力される上記比較信号に基づいて、サンプリングパルスを生成するパルス生成回路と、
上記パルス生成回路により生成された上記サンプリングパルスによって、上記非定常信号生成回路により生成された上記非定常信号の電圧値をサンプルホールドし、ホールドした電圧値を上記局部発振回路に供給するサンプルホールド回路とを備えたことを特徴とする周波数シンセサイザ。
【請求項2】
上記非定常信号生成回路は、上記基準信号を用いて上記非定常信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の周波数シンセサイザ。
【請求項3】
上記パルス生成回路は、上記可変分周器から出力される上記比較信号と、上記局部発振回路から出力される上記局部発振信号あるいは上記可変分周器による分周途中の信号に基づいて、上記サンプリングパルスを生成することを特徴とする請求項1に記載の周波数シンセサイザ。
【請求項4】
上記局部発振回路は、複数のバラクタダイオードと、上記複数のバラクタダイオードの何れかを選択するスイッチとを備え、上記複数のバラクタダイオードの何れか1つまたは複数を選択してその容量値を変化させることによって上記局部発振周波数が変化するように成された回路であり、
上記局部発振回路から出力される上記局部発振信号の周波数をカウントする周波数カウンタと、
上記周波数カウンタでカウントされた上記局部発振信号の周波数と目標の周波数との大小を比較するとともに、上記局部発振回路がとり得る発振周波数の範囲をn(nは2以上の整数)分割した周波数範囲のうち、上記目標の周波数が属している周波数範囲の境界に当たる周波数と上記周波数カウンタでカウントされた上記局部発振信号の周波数との大小を比較する周波数比較器と、
上記周波数比較器による比較の結果に基づいて、上記スイッチの選択状態を切り替える制御回路とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の周波数シンセサイザ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−142791(P2007−142791A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−333677(P2005−333677)
【出願日】平成17年11月18日(2005.11.18)
【出願人】(503084059)有限会社ニューロソリューション (20)
【Fターム(参考)】