説明

回路構成体の接着剤注入装置および回路構成体の接着剤注入方法

【課題】回路構成体の接着剤注入領域への接着剤の注入を確実に行うことができるようにする。
【解決手段】接着剤注入領域50Aを有する回路構成体50が収納されたチャンバ10Aをパージして、回路構成体50から接着剤注入領域50Aに放出されたガスをチャンバ10Aから排出する。チャンバ10A内を減圧して、回路構成体50の接着剤注入領域50Aへの接着剤44aの注入を開始させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、回路構成体の接着剤注入装置および回路構成体の接着剤注入方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3次元半導体集積回路を形成する方法として、集積回路が形成された複数の半導体ウエハを、相互に間隙を設けて積層し、この間隙に接着剤を注入して、1つの3次元集積半導体ウエハを構成する方法が知られている。この方法により作成される3次元集積半導体ウエハは、隣接する半導体ウエハの間に、各半導体ウエハの集積回路に接続された接続用バンプを設け、隣接する半導体ウエハの接続用バンプ同士を接合して形成される。
【0003】
そして、積層半導体ウエハの間隙への接着剤の注入は、積層半導体ウエハをチャンバ内に配置し、チャンバ内を真空にした状態で、積層半導体ウエハの接着剤注入口を接着剤に浸し、チャンバ内を大気圧に戻すことにより行われる。
この場合、積層半導体ウエハの間隙の圧力は大気圧より低いので、チャンバ内を大気圧にすることにより、真空差圧と毛細管作用によって接着剤が積層半導体ウエハの間隙に注入されるのである(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−261001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、半導体ウエハは製造後の保管時に、周囲のガスを吸収する。このため、上記の方法で、積層半導体ウエハの間隙に接着剤を注入する工程において、各半導体ウエハから吸収されたガスが放出され、この放出ガスによって、積層半導体ウエハの間隙の圧力が上昇する。この積層半導体ウエハの間隙の圧力の上昇のために、接着剤を積層半導体ウエハの間隙の全領域に完全に注入することが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の回路構成体の接着剤注入装置は、接着剤注入領域を有する回路構成体および接着剤が収納された接着剤容器を収納するチャンバと、回路構成体から接着剤注入領域内に放出されたガスをチャンバの外部に導出する放出ガス排出手段と、チャンバ内を減圧する減圧手段と、回路構成体の接着剤注入領域への接着剤の注入を行う接着剤注入手段と、放出ガス排出手段によりチャンバ内ガスを排出し、減圧手段によりチャンバ内を減圧した後、回路構成体の接着剤注入領域への接着剤の注入を開始させる制御手段と、を具備することを特徴とする。
また、本発明の回路構成体の接着剤注入装置は、接着剤注入領域を有する回路構成体を収納するチャンバおよび回路構成体から接着剤注入領域内に放出されたガスをチャンバの外部に導出する放出ガス排出手段を有する排気室と、排気室から搬送された回路構成体の接着剤注入領域の少なくとも一部を接着剤に接触させて接着剤を注入する接着剤注入室と、を具備することを特徴とする。
【0007】
本発明の回路構成体の接着剤注入方法は、チャンバ内に配置された回路構成体の接着剤注入領域内を、チャンバ内と共に減圧した後、接着剤注入領域への接着剤の注入を開始する回路構成体の接着剤注入方法において、チャンバ内を減圧して接着剤の注入を開始する前の工程であって、回路構成体から接着剤注入領域内に放出されたガスをチャンバの外部に導出する放出ガス排出工程を備えていることを特徴とする。
また、本発明の回路構成体の接着剤注入方法は、回路構成体から接着剤注入領域に放出されたガスを第1のチャンバの外部に導出する工程と、第2のチャンバ内を減圧して回路構成体の接着剤注入領域の少なくとも一部に接着剤を接触する工程および第2のチャンバ内の圧力を上昇して回路構成体の接着剤注入領域に接着剤を注入する工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、回路構成体から接着剤注入領域内に放出されたガスがチャンバの外部に導出されるので、接着剤注入領域への接着剤の注入が確実になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の回路構成体の接着剤注入装置の第1実施形態を示し、接着剤の注入前の状態を示す断面図。
【図2】図1に示された回路構成体の接着剤注入装置において、接着剤を注入する状態を示す断面図。
【図3】図1に示された回路構成体の接着剤注入装置の回路ブロック図。
【図4】回路構成体を形成する方法を説明するための分解図。
【図5】回路構成体の断面図。
【図6】接着剤の注入完了状態を示す回路構成体の断面図。
【図7】回路構成体の周囲を封止した状態を示す、回路素子体の一部の平面図。
【図8】この発明の回路構成体の接着剤注入方法の第1実施形態を示すフローチャート。
【図9】チャンバ内圧力と時間の関係を示すチャンバ内圧力時間関係図。
【図10】チャンバ内圧力と時間の関係を示し、図9とは別の例を示すチャンバ内圧力時間関係図。
【図11】チャンバ内圧力と時間の関係を示し、図9とはさらに別の例を示すチャンバ内圧力時間関係図。
【図12】図8の回路構成体の接着剤注入方法に係る第1実施形態の変形例を示すフローチャート。
【図13】チャンバ内圧力と時間および加熱温度と時間の関係を示すチャンバ内圧力および加熱温度時間関係図。
【図14】チャンバ内圧力と時間および温度と時間の関係を示し、図13とは異なる他の例を示すチャンバ内圧力および加熱温度時間関係図。
【図15】この発明の回路構成体の接着剤注入方法の第2実施形態を示すフローチャート。
【図16】この発明の回路構成体の接着剤注入方法の第2実施形態の変形例に係り、チャンバ内圧力と時間および温度と時間の関係を示すチャンバ内圧力および加熱温度時間関係図。
【図17】図16とは別の例を示すチャンバ内圧力および加熱温度時間関係図。
【図18】この発明の回路構成体の接着剤注入方法の第2実施形態の変形例に係るフローチャート。
【図19】この発明の回路構成体の接着剤注入装置の構成を示す装置断面の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
チャンバ内を減圧して接着剤の注入を開始する前に、回路構成体からチャンバ内に放出されたガスをチャンバの外部に導出することにより実現した。
【0011】
(第1実施形態)
以下、この発明の回路構成体の接着剤注入装置および回路構成体の接着剤注入方法の第1実施形態について説明する。
図1および図2は、この発明の回路構成体の接着剤注入装置の第1実施形態を示す断面図であり、図1は、接着剤を注入する前の状態を示し、図2は接着剤を注入している状態を示す。
注入装置10は、壁部10Bを有し、壁部10Bに周囲を囲まれて外部と密閉することが可能なチャンバ10Aを有する。チャンバ10A内には、台11、軸12、昇降駆動部13からなる昇降機構15が設けられている。軸12は支持部12から繰出しおよび引込みが可能であり、軸12に一体に設けられた台11は、上昇および下降が可能である。また、チャンバ10A内には、ヒータ16が設けられている。
【0012】
注入装置10には、壁部10Bを貫通してチャンバ10A内を真空にする真空排気系20、チャンバ10A内にガスを導入するガス導入系30および接着剤を導入する接着剤導入系40が設けられている。
真空排気系20は、配管21、排気停止弁22、排気流量調整弁23および真空ポンプ24を備える。真空ポンプ24を駆動し、排気停止弁22、排気流量調整弁23を開くことにより、配管21を介してチャンバ10A内を減圧することができる。
ガス導入系30は、配管31、導入停止弁22、導入流量調整弁33を有する。導入停止弁32および導入流量調整弁33を開き、不活性ガスを外部よりチャンバ10A内に導入することができる。
【0013】
接着剤導入系40は、配管41、供給停止弁42、供給流量調整弁43を有する。
45は、接着剤44が収容された接着剤槽であり、接着剤導入系40の配管41の一端41aは、接着剤槽45に収容された接着剤44の中まで延出されている。配管41の他端41bは、チャンバ10A内に導入されている。
昇降機構15の台11上には、接着剤44aが収納された接着剤容器46が搭載されている。図示はしないが、配管41にはポンプ等の供給装置が接続されており、供給停止弁42および供給流量調整弁43を開いて、接着剤槽45に収容された接着剤44を、チャンバ10A内に配置された接着剤容器46内に供給することが可能である。
【0014】
接着剤容器46の上方には、回路構成体50が配置されている。回路構成体50は、ホルダ17により支持されている。ホルダ17は、図示しないが、注入装置10の壁面10Bに取付けられた固定部材によりチャンバ10A内の所定の位置に保持され、これにより、回路構成体10を昇降機構15の上方の所定の位置に保持する。
回路構成体50は、図7に、その一部を拡大した平面図に図示されるように、外周のほぼ全体にシール材52が設けられ、また、外周の一部にシール材52が設けられていない注入口51が形成されている。
【0015】
図4および図5は、回路構成体50の構造および形成方法を説明するための断面図である。
回路構成体50は、回路素子体53、54、55を積層して構成されている。回路素子体53は、シリコンウエハなどの半導体基板56を有し、その半導体基板56の上面側に、ゲートG、ドレインDおよびソースSを有するMOS型トランジスタ57および接続端子部57aを含む集積回路が形成されている。
回路素子体54および55は、それぞれ、シリコンウエハ等の半導体基板56A上にゲートG、ドレインDおよびソースSを有するMOS型トランジスタ57を含む集積回路が形成されている。また、回路素子体54および55には、半導体基板56Aの主面に垂直な方向に形成された複数の接続配線58が形成されている。各接続配線58は半導体基板56Aの底面より下方に突き出す接続端子部58aを有している。
【0016】
回路素子体54、55は、回路素子体53と同様に、半導体基板56上に集積回路を形成した後、半導体基板56の底面を研磨またはエッチング等、適宜な方法で除去し、接続配線58を形成して得られる。
そして、回路素子体53上に回路素子体54を、接続端子部57aと58aとを位置合わせして搭載して両端子部を接合し、また、回路素子体54上に回路素子体55を、両部材の接続端子部58aを位置合わせして接合する。
【0017】
このようにして、図5に図示されるように、回路構成体50は、回路素子体53―54の間および54−55の間に、接続端子部57aおよび接続端子部58aが介在されることに起因した間隙を有し、この間隙が、接着剤注入領域50Aとなる。
この後、回路構成体50の周囲に、注入口51が開口されたシール材52を形成する。封止構造は、回路構成体50を樹脂中に浸漬した後、注入口51となる部分を除去して形成する、または、印刷、インクジェット法等により、注入口51を有するシール材52を形成する、あるいは、接着剤シールを貼り付ける等、適宜な方法で形成することができる。
【0018】
接着剤44aが収納された接着剤容器は、回路構成体50の下方に位置する図1に図示された状態から、昇降機構15により上昇して、図2に図示された回路構成体50の注入口51に接触することが可能であり、この状態で、回路構成体50の接着剤注入領域50A内に接着剤44aが注入される。
【0019】
図3は、図1に示された回路構成体の接着剤注入装置の回路ブロック図である。
制御部81は、真空排気系20の真空ポンプ24の駆動をする真空駆動部82の動作タイミングを制御する。さらに、排気停止弁22を開閉し、排気流量調整弁23の開閉量を調整する真空排気系83を制御してチャンバ10A内を所定の真空度にする。また、ガス導入系40の導入停止弁32を開閉し、導入流量調整弁33の開閉量を調整するガス導入系調整部84を制御する。また、制御部81は、ヒータ16による加熱温度を制御するヒータ温度制御部85を制御する。
【0020】
接着剤44を接着剤容器46に供給するためのポンプ(図示せず)を駆動する接着剤供給駆動部86aは接着剤供給駆動制御部86により駆動を制御され、接着剤供給駆動制御部86は制御部81により動作タイミングを制御される。昇降機構15を駆動する昇降機構駆動部87aは、昇降機構駆動制御部87により駆動を制御され、昇降機構駆動制御部87は制御部81により動作タイミングを制御される。
また、制御部81は、後述するが、真空排気系20の動作回数をカウントとするカウンタ91を駆動する。
【0021】
図8は、第1実施形態の回路構成体の接着剤注入手順を示すフローチャートであり、以下、図8のフローチャートと共に、その動作を説明する。
先ず、図1に図示されるように、チャンバ10A内には、昇降機構15の台11上に、接着剤44aが収納された接着剤容器46が搭載されている。この注入装置10の壁面10Bを開口して形成された導入口(図示せず)を開いて、チャンバ10A内に、回路構成体50を配置する(ステップS11)。ホルダ17を、チャンバ10A内に設置しておき、予め外周部にシール材52が形成された回路構成体50を該チャンバ10A内に設置されたホルダ17に取付けても良いし、チャンバ10Aの外部で回路構成体50をホルダ17に取り付け、チャンバ10A内で、ホルダ17を注入装置10の壁面10Bに固定された固定部材に取付けてもよい。
【0022】
ステップS12では、真空排気系20の排気停止弁22および排気流量調整弁23を開き、真空ポンプ24を駆動してチャンバ10A内を真空にする真空引きを開始する。ステップS13では、図示はしないが、真空引き回数Nを保持するカウンタ91を1つアップして、真空引き回数NをN+1に更新する。そして、ステップS14で、更新された真空引き回数Nが予め設定した所定値k以上であるか否かを判断し、NoであればステップS15の処理を、YesであればステップS21の処理を行う。
【0023】
更新された真空引き回数Nが所定値k未満であれば、ステップS15でチャンバ10A内の真空度が所定の低圧力に達したか否かを判断する。ステップS15でNoであれば真空引きを継続し、真空度が所定の低圧力、例えば、10Pa程度に達したらステップS16おいてパージを開始する。すなわち、ガス導入系30の導入停止弁32を開き、導入流量調整弁33の開度にて、チャンバ10A内にN2(窒素)ガス等の不活性ガスを導入する。この場合、真空排気系20の排気停止弁22および排気流量調整弁23は開いた状態にしておく。
【0024】
不活性ガスを導入するとチャンバ10A内の圧力が上昇する。このため、回路構成体50から接着剤注入領域50Aに放出されたガスは、この導入された不活性ガスにて希釈される。すなわち、パージが開始される。このパージは、ステップS17で、所定の高圧力に達したと判断されるまでパージ、真空排気を継続される。上記は、排気停止弁22および排気流量調整弁23が開けた状態での制御にすることもできる。
【0025】
ステップS18で所定の高圧力に達したと判断されると、ガス導入系30の導入停止弁32を閉じて、ステップS13に戻る。そして、ステップS13〜ステップS18の処理が繰り返される。ステップS15で更新された真空引き回数Nが所定値kに達したと判断されると、ステップS21において、接着剤44aの注入が開始される。すなわち、昇降機構15により接着剤容器46を上昇させて、回路構成体50の注入口51を接着剤44aに接触させる。
【0026】
図9は、チャンバ10A内の圧力と時間との関係を示すチャンバ内圧力時間関係図である。
ステップS12〜ステップS15の処理でチャンバ10A内の圧力が減圧される。ステップS15でチャンバ10A内の圧力が所定の圧力に達したと判断されると、ステップS16においてパージが開始され、チャンバ内圧力10Aが上昇し大気圧に近づく。チャンバ10A内の圧力が所定の高気圧に達したら、再び、減圧処理が開始され、以降、減圧とパージとが繰り返される。この作用により、回路構成体50から接着剤注入領域50Aに放出されたガスはチャンバ10Aの外部に排出される。
【0027】
そして、更新された真空引き回数Nが予め設定した所定値kに達すると、例えば、図9に図示された例では、k=4とされているので、真空引きが4回実行されるとステップS21の接着剤44aの注入が開始される。
図9では、パージは、チャンバ10A内の圧力が大気圧(ATM)よりも低い状態で、真空引きに切り替えられるように図示されている。しかし、真空引きに切り替えるチャンバ10A内の圧力は、図10に図示されるように、大気圧とほぼ同じ圧力に設定したり、図11に図示されるように大気圧よりも高い圧力に設定したりすることができる。
【0028】
また、図9〜図11では、接着剤注入工程に移る前の真空引き回数の所定値kを、いずれの場合もk=4の場合で示しているが、この所定値kは、2以上であればよく、図9〜図11の○印に示すタイミング以降であれば任意に設定することができる。
【0029】
接着剤注入開始処理では、昇降機構15が駆動され、台11に搭載された接着剤容器46が上昇し、図2に図示されるように、回路構成体50に形成された注入口51を浸漬する。図2に図示された状態になると、ステップS22において、チャンバ10Aを大気に開放する。これにより、回路構成体50の接着剤注入領域50A内に接着剤44aが注入され始める。そして、適宜な手段、例えば、注入時間とか、回路構成体50への赤外線の照射による透視により、ステップS23において接着剤注入の完了を判断して終了する。
【0030】
図6は、回路構成体50への接着剤の注入が完了した状態の断面図を示す。回路素子体53−54間および54−55間の接着剤注入領域50Aの全体に接着剤44aが注入されている。
なお、図8に示すフローチャートにおいて、ステップS12〜ステップS23を制御部81で制御して行い、回路構成体50の外周部をシール材52により封止する工程は別途、行うこととした。しかし、後述するように、回路構成体50の外周部をシール材52により封止する封止処理およびステップS21〜ステップS23の接着剤注入領域50A内への接着剤の注入処理は、それぞれ、例えば、インライン型の装置(図19参照)を構成して行うようにしてもよい。
【0031】
上述した回路構成体の接着剤注入方法によれば、チャンバ10A内を真空引きして接着剤の注入を開始する前に、回路構成体50から接着剤注入領域50Aに放出されたガスをチャンバ10Aの外部に導出するので、接着剤注入領域50Aの圧力が十分に低い状態で接着剤を注入することが可能となり、確実性が向上する。この場合、接着剤注入領域50Aに圧力が高い箇所があると、その箇所にボイド(空泡)が発生するが、本発明では空泡の発生を防止することができる。また、接着剤注入の速度が大きくなるので、生産効率が向上する。
【0032】
(第1実施形態の変形例)
図12は、第1実施形態の変形例を示す接着剤注入手順のフローチャートである。変形例の回路構成体の接着剤注入手順では、先ず、ステップS31において、回路構成体50内のガス出しが行われる。
回路構成体50に吸収される成分のうち、水分等は加熱により水蒸気となって、他のガスと共に放出される。そこで、予め、注入装置10の外部で、あるいは別の装置内で回路構成体50を加熱し、ガス放出処理を行う。そして、回路構成体50の周囲が不活性ガスで覆われるようにカセット内に収納し、この状態で注入装置10のチャンバ10A内に導入する(ステップS32)。なお、回路構成体50を加熱し、ガスを放出させる処理は、図1における注入装置内のヒータ16を用いて行ってもよい。この場合には、ステップS32とステップS31の順序は逆になる。
【0033】
ステップS33において、真空引きを開始する。そして、チャンバ10A内が所定の圧力、例えば、10Pa程度になったら、図2に図示されるように、回路構成体50に形成された注入口51を接着剤44aに接触させる(ステップS34)。次に、チャンバ10Aを大気に開放する(ステップS35)ことにより、接着剤44aが回路構成体50の接着剤注入領域50A内に注入され始め、ステップS36において注入が完了することにより終了する。
【0034】
この変形例の場合には、回路構成体50から放出されるガスのガス出しを注入装置10の外部で行うので、タクト時間を小さくすることができる。また、注入装置10を簡素な構造にすることができる。
【0035】
(第2実施形態)
第1実施形態では、回路構成体から放出されるガスの放出をパージ及び真空排気によって注入装置の外部に導出するものであった。これに対し、第2実施形態では、回路構成体を加熱、真空排気することにより、回路構成体からの放出ガスを外部に導出する。
以下、図15のフローチャートに沿って、第2実施形態を説明する。
【0036】
ステップS41において、回路構成体10をチャンバ10A内に配置する。ステップS42において、真空引きを開始する。ステップS43では、回路構成体50の加熱が開始される。このステップ43は、図1に図示されたヒータ16を用いて行う。このヒータ16による加熱温度は、ステップS44において、回路構成体50から接着剤注入領域50A内にガスを放出するに適した温度範囲となるようにPID(Proportional Integral Derivative)制御等により制御される。接着剤注入領域50Aに注入される接着剤44aがエポキシ系樹脂の場合、ガスを放出するに適した温度範囲は、65℃よりも高く、95℃よりも低くする必要がある。温度が65℃よりも低い場合には、水分等を主とするガス放出の作用が殆ど無く、温度が95℃よりも高い場合には、接着剤44aの粘度が増大し、また、回路構成体50からのガス放出量の増大や、シール材52が熱損傷して注入に支障を生じる。
【0037】
ガス放出がなされるとステップS45において、図2に図示されるように、回路構成体50に形成された注入口51が接着剤44aに接触され、ステップS46において、チャンバ10Aを大気に開放して接着剤注入領域10Aに接着剤44aが注入され、ステップS47において注入が完了すると終了する。
【0038】
図13は、チャンバ内圧力と時間および加熱温度と時間の関係を示すチャンバ内圧力および加熱温度時間関係図である。
チャンバ内圧力は、ステップS42の処理により減圧されて真空状態に維持される。ステップS43の処理によって、回路構成体50の温度(またはヒータ16の温度)は、65℃〜95℃の範囲になるように制御され、回路構成体50から接着剤注入領域50Aに放出されたガスは、真空排気系20によりチャンバ10Aから排出される。
【0039】
そして、回路構成体50からのガス放出が十分に行われた時間が経過すると、接着剤注入領域10Aへの接着剤の注入が開始される。
図13では、加熱の開始が、ステップS42の真空引き工程の後工程となっている。しかし、図14に示されるように、加熱の開始をステップS42の真空引き工程の前工程としてもよい。
また、図13および図14では、加熱による回路構成体50の温度は直線的に上昇するように図示されているが、PID制御とすれば、初期は急峻で、到達温度付近では緩やかな曲線になる。
【0040】
第2実施形態の場合にも、第1実施形態の場合と同様な効果が得られる。加えて、第1実施形態の変形例と同様、回路構成体50から放出されるガスのガス排出を加熱のみで行うので、注入装置10を簡素な構造にすることができる。
【0041】
(第2実施形態の変形例)
図18は、第2実施形態の変形例のフローチャートを示す。この変形例は、ガスの排出を、繰り返しパージと加熱の両方で行う方法である。
以下、第2実施形態の変形例の方法を説明する。
ステップS51で、回路構成体50をチャンバ10A内に配置する。ステップS52で真空引きが開始される。
【0042】
ステップS52の処理が開始されて、所定の時間が経過した時点で、ステップS53において、ヒータ16により回路構成体50を加熱する。ヒータ16の加熱温度は、ステップS54において、回路構成体50から接着剤注入領域50A内にガスを放出するに適した温度範囲となるようにPID(Proportional Integral Derivative)制御等により制御される。
【0043】
ステップS55では、パージが開始される。すなわち、チャンバ10A内に不活性ガスが導入され、チャンバ10A内の圧力が上昇する。これにより、回路構成体50から接着剤注入領域50Aに放出されたガスは、チャンバ10Aの外部に導出される。パージが開始されると、ステップS56において、カウント値MがM+1に更新される。
【0044】
ステップS57では、更新されたカウント値Mが所定値l以上か否か判断され、所定値l未満であれば、ステップS52の処理に戻る。そして、ステップS52〜ステップS57の処理が繰り返される。更新されたカウント値Mが所定値l以上であれば、ステップS58で回路構成体50に設けられた注入口51に接着剤44aが接触して、接着剤44aの注入が開始され、ステップS59でチャンバ10Aを大気に開放し、ステップS60で接着剤44aの注入が完了したら終了する。ステップS58〜ステップS60は、第1実施形態におけるステップS21〜ステップS23と同様の処理である。
【0045】
図16は、第2実施形態に係り、チャンバ内圧力と時間および加熱温度と時間の関係を示すチャンバ内圧力および加熱温度時間関係図である。
チャンバ10Aの減圧とパージが繰り返し行われ、同時にヒータ16より回路構成体50の加熱が行われる。この場合、パージ回数の設定値M=3とされている。減圧とパージとがそれぞれM回行われた後(図16では3回目以降)は、チャンバ10A内を真空引きして、接着剤44aの注入を開始することができる。つまり、図中、○印以降は、接着剤の注入の開始を任意に設定することができる。
図16では、加熱開始のタイミングを最初の真空引きの後工程としている。しかし、図17の如く、加熱開始のタイミングを最初の真空引きの前工程とすることもできる。
【0046】
(第3実施形態)
図19に示す第3実施形態は、図1に示す注入装置100をインライン方式としたものである。注入装置100は、前処理室105、シール塗布室110、シール硬化室120、排気室130、第1注入室140、接着剤脱泡室150、第2注入室160、接着剤段取室170、拭取室180、接着剤硬化室185の各室を備えている。各室の境界は、出入口弁101で仕切られている。
【0047】
前処理室105では、回路構成体50およびホルダ17をロードする。この室には、図示はしないが、静電除去イオナイザが備えられている。シール塗布室110では、回路構成体50の外周にシール材52を塗布する。この室には、シール材52を塗布するためのローラ111および、ローラ111を回転可能に支持する支持板112が設けられている。シール硬化室120では、回路構成体50に塗布された封止材を硬化する。この室には、ヒータ121が備えられている。
【0048】
排気室130では、回路構成体50からガスを排出させ、チャンバ内の排気(パージ)を行う。この室には、回路構成体50を周囲から加熱するヒータ131が備えられている。また、この排気室130に対しては、制御弁138および導入流量調整弁136を有するガス導入系135が設置され、また、真空ポンプ132およびターボ分子ポンプ133が、それぞれ、制御弁134、136を介して真空引き可能に設置されている。
【0049】
第1注入室140では、接着剤44aを回路構成体50の注入口51に接触して、接着剤44aの注入を開始する。第1注入室140には、真空ポンプ142が制御弁143を介して真空引きするように設けられている。
接着剤脱泡室150には、昇降機構15が設けられ、昇降機構15の台11にヒータ151が設けられている。また、台11上には接着剤44aが収納された接着剤容器46が搭載されている。また、接着剤脱泡室150には、真空ポンプ155が真空引きするように設けられている。真空ポンプ155により、制御弁156を介して接着剤脱泡室150を真空にして、接着剤44a内に含有されているガスを脱泡した後、出入口弁101を開いて昇降機構15により、接着剤容器46を上昇させて第1注入室140内に搬送する。
【0050】
第2注入室160内は大気圧とされており、第1注入室140での接着剤注入処理に引き続いて接着剤注入処理を継続し、接着剤44aの注入を完了する。接着剤44aの注入が完了すると、出入口弁101を開き、昇降機構15を下降して、接着剤44aが収容された接着剤容器46が接着剤段取室170に搬送される。
【0051】
接着剤段取室170は、接着剤容器46に収容された接着剤44aの量をセンサで監視し、量が不足すると、接着剤槽45内に収容された接着剤44を、図示しないポンプ等により、接着剤容器46内に補充する。接着剤44aの量に限らず、接着剤44aの粘度を監視し、溶媒を補充するようにしてもよい。
【0052】
拭取室180は、回路構成体50にノズル181から洗浄液を照射して、回路構成体50に付着した接着剤を除去する。吸引式による接着剤除去や吸着布ワイプによる物理的除去にすることもできる。また、接着剤硬化室185は、回路構成体50の接着剤注入領域50A内に注入された接着剤44aを硬化する室であり、ヒータ186を備えている。
【0053】
以下、注入装置100による、接着剤の注入処理について説明する。
先ず、図5に図示された回路構成体50が、前処理室105にロードされて、ホルダ17に回転可能に軸支される。静電除去イオナイザを用いて、静電気除去を行った後、出入口弁101を開いて、回路構成体50およびホルダ17は、シール塗布室110に搬送される。
【0054】
シール塗布室110では、図示しない駆動機構により、回路構成体50を回転させながら、封止材が被着されたローラ111を回路構成体50の外周に接触させて回路構成体50の外周にシール材52を塗布する。この場合、図7に図示されるように、シール材52が注入口51に転写されないように、回路構成体50の回転を制御する。
【0055】
シール材52が回路構成体50に形成されると、出入口弁101を開いて、回路構成体50はシール硬化室120に搬送される。シール硬化室120では、ヒータ121により、回路構成体50に塗布されたシール材52が硬化される。シール材52が硬化された回路構成体50は、出入口弁101を開いて排気室130に搬送される。
【0056】
排気室130では、真空ポンプ132およびターボ分子ポンプ133によりチャンバ内が真空にされる。ターボ分子ポンプ133を備えているため、排気室130の真空引きは、高速に且つ高真空度に達するように行われる。これにより、回路構成体50から、接着剤注入領域50A内にガスが放出される。真空引きの後、ガス導入系136からチャンバ内に不活性ガスを導入する。この場合、制御弁136を開放しておき、回路構成体50から放出されたガスをチャンバの外部に排出する。制御弁136を閉じた状態で制御することも可能である。
減圧およびパージは図8のステップS12〜ステップS17のように複数回繰り返される。但し、回路構成体50から放出されるガスが少ない場合には、それぞれ、一度ずつ行うようにしてもよい。次に、出入口弁101を開放して回路構成体50が第1注入室140に搬送される。搬送時の状況は、真空状態を保った搬送とするが大気圧に戻した状況にて搬送することもできる。
【0057】
第1注入室140内は、制御弁143を介して真空ポンプ142により減圧されており、この第1注入室140では、接着剤44aが収納された接着剤容器46が、昇降機構15により上昇され、回路構成体50の注入口51に接触する。その後、図8のステップS21〜S22にて接着剤44aが回路構成体50の接着剤注入領域50A内に注入される。ただし、この注入は、回路構成体50の接着剤注入領域50A内の一部に注入された状態で終了する。次に、接着剤注入領域50A内の一部に注入された回路構成体50は、接着剤容器46内の接着剤44aに接触した状態で第2注入室160に搬送される。
【0058】
第2注入室160のチャンバ内は大気圧に開放されている。このため、第1注入室における接着剤44aの注入に引き続いて、回路構成体50の接着剤注入領域50A内への接着剤44aの注入が行われ、この接着剤44aの注入は、回路構成体50の接着剤注入領域50A内の全体に接着剤44aが注入されるまで行われる。すなわち、接着剤44aの回路構成体50の接着剤注入領域50A内への注入が完了する。
【0059】
接着剤の注入が完了すると、出入口弁101を開いて、回路構成体50が拭取室180に搬送される。また、第2注入室160の接着剤段取室170側の出入口弁101を開いて、接着剤容器46が昇降機構15により下降され、接着剤段取室170に移動する。
なお、接着剤注入領域50Aへの接着剤44aの注入を、第1注入室140と第2注入室160とにおいて分担して行う実施形態としているが、接着剤注入領域50Aへの接着剤44aの注入を1つの注入室で行うようにすることもできる。
【0060】
拭取室180に搬送された、回路構成体50は、ノズル181から射出される洗浄液によって接着剤を除去される。除去は、吸引式に夜接着剤除去や吸着ワイプによる物理的除去にすることもできる。そして、出入口弁101を開いて、回路構成体50は、接着剤硬化室185に搬送される。接着剤硬化室185において、ヒータ186により回路構成体50の接着剤注入領域50A内に注入された接着剤が硬化される。
【0061】
一方、接着剤段取室170に移動された接着剤容器46に収納された接着剤44aは、センサにより、その量が測定される。接着剤44aの量が十分であれば、接着剤容器46は接着剤脱泡室150に搬送される。接着剤44aの量が不足していれば、接着剤槽45内に収容された接着剤44が、接着剤容器46内に補充される。
【0062】
接着剤脱泡室150に搬送された接着剤44aは、脱泡される。真空ポンプ155により、接着剤脱泡室15のチャンバ内が真空引きされ、これと共に、台11に設けられたヒータ151により加熱されることにより、接着剤44a内に封入されていた空気などを含むガスが膨張してチャンバ内に放出され、真空ポンプ155によって外部に排出される。すなわち、接着剤44aの脱泡が行われる。また、接着剤44aの粘度制御も行い、注入時間を短縮することも可能である。
脱泡された接着剤44aが収納された接着剤容器46は、出入口弁101を開き、昇降機構15によって上昇されて第1注入室140に移動され、排気室130から搬送される回路構成体50の注入口51に接触する。
接着剤44aを収納した接着剤容器46は、このように、接着剤段取室170−接着剤脱泡室150−第1注入室140−第2注入室160を循環する。
【0063】
第3実施形態の回路構成体の接着剤注入方法においても、第1実施形態と同様に、回路構成体50から接着剤注入領域50Aに放出されたガスをチャンバの外部に導出するので、接着剤注入領域50Aの圧力が十分に低い状態で接着剤を注入することが可能となり、確実性が向上する。加えて、インライン方式であるので、タクト時間を短くすることができ、生産効率を大幅に向上することができる。
【0064】
回路構成体50を構成する回路素子体53〜55は、集積回路が形成された半導体ウエハを例としたが、ガラス板、セラミック板等の絶縁性基板上に、薄膜トランジスタ等の回路素子を設けた場合にも適用が可能である。
また、積層回路基板により、多層配線基板を形成する場合にも適用が可能である。
【0065】
その他、本発明の回路構成体の接着剤注入装置は、発明の趣旨の範囲内において、種々、変形して構成することが可能であり、要は、接着剤注入領域を有する回路構成体および接着剤が収納された接着剤容器を収納するチャンバと、回路構成体から前記接着剤注入領域内に放出されたガスをチャンバの外部に導出する放出ガス排出手段と、チャンバ内を減圧する減圧手段と、回路構成体の接着剤注入領域への接着剤の注入を行う接着剤注入手段と、放出ガス排出手段によりチャンバ内ガスを排出し、減圧手段によりチャンバ内を減圧した後、回路構成体の接着剤注入領域への接着剤の注入を開始させる制御手段と、を具備するものであればよい。
【0066】
また、本発明の回路構成体の接着剤注入装置は、接着剤注入領域を有する回路構成体を収納するチャンバおよび回路構成体から接着剤注入領域内に放出されたガスをチャンバの外部に導出する放出ガス排出手段を有する排気室と、排気室から搬送された回路構成体の接着剤注入領域の少なくとも一部を接着剤に接触させて接着剤を注入する接着剤注入室と、具備するものであればよい。
【0067】
また、本発明の回路構成体の接着剤注入方法は、チャンバ内に配置された回路構成体の接着剤注入領域内を、チャンバ内と共に減圧した後、接着剤注入領域への接着剤の注入を開始する回路構成体の接着剤注入方法において、チャンバ内を減圧して接着剤の注入を開始する前の工程であって、回路構成体から接着剤注入領域内に放出されたガスをチャンバの外部に導出する放出ガス排出工程を備えているものであればよい。
【0068】
また、本発明の回路構成体の接着剤注入方法は、回路構成体から接着剤注入領域に放出されたガスを第1のチャンバの外部に導出する工程と、第2のチャンバ内を減圧して回路構成体の接着剤注入領域の少なくとも一部に接着剤を接触する工程および第2のチャンバ内の圧力を上昇して前記回路構成体の接着剤注入領域に接着剤を注入する工程と、を含むものであればよい。
【符号の説明】
【0069】
10、100 注入装置
15 昇降機構
16 ヒータ
20 真空排気系
30 ガス導入系
40 接着剤導入系
44、44a 接着剤樹脂層
46 接着剤容器
50 回路構成体
50A 接着剤注入領域
51 注入口
52 シール材
53〜55 回路素子体
81 制御部
105 前処理室
110 シール塗布室
120 シール硬化室
130 排気室
140 第1注入室
150 接着剤脱泡室
160 第2注入室
170 接着剤段取室
180 拭取室
185 接着剤硬化室


【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着剤注入領域を有する回路構成体および接着剤が収納された接着剤容器を収納するチャンバと、
前記回路構成体から前記接着剤注入領域内に放出されたガスをチャンバ内から外部に導出する放出ガス排出手段と、
前記チャンバ内を減圧する減圧手段と、
前記回路構成体の接着剤注入領域への前記接着剤の注入を行う接着剤注入手段と、
前記放出ガス排出手段によりチャンバ内から前記ガスを排出し、前記減圧手段によりチャンバ内を減圧した後、前記回路構成体の接着剤注入領域への前記接着剤の注入を開始させる制御手段と、
を具備することを特徴とする回路構成体の接着剤注入装置。
【請求項2】
請求項1に記載の回路構成体の接着剤注入装置において、前記放出ガス排出手段は、前記チャンバ内に不活性ガスを導入して前記回路構成体から前記接着剤注入領域内に放出されたガスをパージするパージ手段を含むことを特徴とする回路構成体の接着剤注入装置。
【請求項3】
請求項1に記載の回路構成体の接着剤注入装置において、前記放出ガス排出手段は、前記回路構成体を加熱する加熱手段および前記加熱手段を、前記回路構成体が前記前記接着剤注入領域内にガスを放出するに適した温度範囲に制御する温度制御手段を含むことを特徴とする回路構成体の接着剤注入装置。
【請求項4】
請求項1に記載の回路構成体の接着剤注入装置において、前記放出ガス排出手段は、前記チャンバ内に不活性ガスを導入して前記回路構成体からチャンバ内に放出されたガスをパージするパージ手段と、前記回路構成体を加熱する加熱手段および前記加熱手段を、前記回路構成体が前記接着剤注入領域内にガスを放出するに適した温度範囲に制御する温度制御手段と、を含むことを特徴とする回路構成体の接着剤注入装置。
【請求項5】
請求項3または4のいずれか1項に記載の回路構成体の接着剤注入装置において、前記温度制御手段により制御する温度範囲は、65℃よりも高く、95℃よりも低く設定されていることを特徴とする回路構成体の接着剤注入装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の回路構成体の接着剤注入装置において、
前記制御手段は、少なくとも、前記減圧手段によるチャンバ内の減圧と、前記放出ガス排出手段によるチャンバ内ガスの排出とのいずれかを複数回実行した後、前記回路構成体の接着剤注入領域への前記接着剤の注入を開始させる手段を含むことを特徴とする回路構成体の接着剤注入装置。
【請求項7】
接着剤注入領域を有する回路構成体を収納するチャンバおよび前記回路構成体から前記接着剤注入領域内に放出されたガスを前記チャンバの外部に導出する放出ガス排出手段を有する排気室と、
前記排気室から搬送された前記回路構成体の接着剤注入領域の少なくとも一部を接着剤に接触させて接着剤を注入する接着剤注入室と、
を具備することを特徴とする回路構成体の接着剤注入装置。
【請求項8】
請求項7に記載の回路構成体の接着剤注入装置において、前記接着剤注入室は、
前記回路構成体の接着剤注入領域の少なくとも一部を接着剤に接触させて注入を開始する第1の接着剤注入室と、第1の接着剤注入室における接着剤の注入処理に引き続いて前記接着剤注入領域の未注入領域への接着剤注入を行う第2の接着剤注入室を含むことを特徴とする回路構成体の接着剤注入装置。
【請求項9】
請求項7に記載の回路構成体の接着剤注入装置において、さらに、前記接着剤を脱泡し、脱泡後に前記接着剤を前記接着剤注入室に搬送するための接着剤脱泡室を備えていることを特徴とする回路構成体の接着剤注入装置。
【請求項10】
請求項9に記載の回路構成体の接着剤注入装置において、さらに、前記接着剤が収納された容器に、接着剤を供給して前記接着剤脱泡室に搬送するための接着剤段取室を備えていることを特徴とする回路構成体の接着剤注入装置。
【請求項11】
チャンバ内に配置された回路構成体の接着剤注入領域内を、チャンバ内と共に減圧した後、接着剤注入領域への接着剤の注入を開始する回路構成体の接着剤注入方法において、
チャンバ内を減圧して接着剤の注入を開始する前の工程であって、回路構成体から前記接着剤注入領域内に放出されたガスをチャンバの外部に導出する放出ガス排出工程を備えていることを特徴とする回路構成体の接着剤注入方法。
【請求項12】
請求項11に記載の回路構成体の接着剤注入方法において、前記放出ガス排出工程は、前記チャンバ内に不活性ガスを導入して前記回路構成体から前記接着剤注入領域内に放出されたガスをパージするパージ工程を含むことを特徴とする回路構成体の接着剤注入方法。
【請求項13】
請求項12に記載の回路構成体の接着剤注入方法において、前記パージ工程の前の工程であって、前記チャンバ内を減圧する減圧工程を備えていることを特徴とする回路構成体の接着剤注入方法。
【請求項14】
請求項11に記載の回路構成体の接着剤注入方法において、前記放出ガス排出工程は、前記回路構成体を前記接着剤注入領域内にガスを放出するに適した温度範囲に加熱する加熱工程を含むことを特徴とする回路構成体の接着剤注入方法。
【請求項15】
回路構成体から接着剤注入領域に放出されたガスを第1のチャンバの外部に導出する工程と、
第2のチャンバ内を減圧して前記回路構成体の接着剤注入領域の少なくとも一部に接着剤を接触する工程および前記第2のチャンバ内の圧力を上昇して前記回路構成体の接着剤注入領域に接着剤を注入する工程と、
を含むことを特徴とする回路構成体の接着剤注入方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−43979(P2012−43979A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183957(P2010−183957)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】