説明

固体撮像素子の検査装置及び検査方法

【課題】本発明は、電気的画素欠陥検査と、画像分析による画素欠陥検査を行うことができ、歩留まりを向上させる固体撮像素子の検査装置及び検査方法を提供する。
【解決手段】本発明の固体撮像素子検査装置は、複数の画素が形成された固体撮像素子2に対して電気的欠陥検査を行う接触型のプローブ121bを備えるテスタ11と、テスタ11による欠陥画素の検出結果に基づき、欠陥画素が検出された固体撮像素子を撮像する撮像部123、及び、撮像部123からの出力画像を基に異物の有無を検出する画像分析部(例えば、画像分析部112)を備えるプローバ12とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像素子の画質検査を行うための検査装置及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ウエハ状態にある固体撮像素子を検査するための治具として、プローブカードが広く用いられている。プローブカードを用いたウエハテストは、集積回路上に形成された電極にプローブ(探針)を接触させることにより行われるが、この際、集積回路の一部がプローブにより削られて屑(ダスト)を生じることがある。この屑が飛散して集積回路に付着すると、付着した部位によっては集積回路の検査を阻害するという問題を生じる。
【0003】
例えば、ウエハ状態にある固体撮像素子に対しプローブカードを用いて検査する場合、固体撮像素子に形成された画素領域に屑が付着すると、正しい画質検査を行うことができない。このため、画素領域が正常に形成されているにも関わらず、画質検査において不良と判断される固体撮像素子が生じ、歩留まりが低下する。
【0004】
従来のプローブカードを用いて固体撮像素子を検査するときに発生する屑について、図7を参照してもう少し詳しく説明する。図7は、プローブカード100及び固体撮像素子200の構成例を示す断面図である。図に示すように、プローブカード100は、基板101、並びに、基板101に取り付けられたプローブ102を備えている。また、固体撮像素子200は、集積回路基板201上にパッド(電極)202が装着されている構成を有している。
【0005】
ここで、図7(a)は、プローブカード100と固体撮像素子200と接触した際の様子を示している。また、図7(b)は、図7(a)に示す状態で、矢印Aが示すように、固体撮像素子200を載置した検査装置のステージ(図示せず)を上方に移動させた際の様子を示している。この時、固体撮像素子200を基準として説明すると、プローブカード100のプローブ102は、固体撮像素子200のパッド202上をスライドし、プローブカード100の基板101の側に倒れ込みながら矢印Bが示す方向に移動する。このため、プローブ102の先端によって固体撮像素子200のパッド202の表面が削られて屑203が発生する。
【0006】
また、図7(c)は、図7(b)に示す状態で、矢印A’が示すように、固体撮像素子200を載置した検査装置のステージ(図示せず)を下方に移動させた際の様子を示している。この時、固体撮像素子200を基準として説明すると、プローブカード100のプローブ102は、固体撮像素子200のパッド202上をスライドし、プローブカード100の基板101の側から立ち上がりながら矢印B’が示す方向に移動する。このため、プローブ102の先端によって固体撮像素子200のパッド202の表面が削られて屑203が発生する。
【0007】
そして、発生した屑203は、固体撮像素子200の周辺に向かって飛散し、固体撮像素子200の画質検査に誤りを生じさせることになる。
【0008】
そこで、特許文献1では、図8に示すように、発生した屑の飛散を防止するために、プローブカード100の基板101に、プローブ102を含み基板101に垂直な面と交わるように、障壁103を取り付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−250804号公報(公開日:2009年10月29日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記の従来技術では、障壁に粘着性をもたせて、プローブカードが移動中でも屑がウエハ上に落下しない工夫をこらしてはいるが、その程度で落下防止できるとは、甚だ考えにくい。また、プロービング中に発生する屑以外の環境ダストに関しては、全く考慮されていない。
【0011】
また、固体撮像素子の欠陥には、上記のように、屑などの異物が付着しなされる擬似の欠陥の以外、固体撮像素子の画素自体の問題でなされる真性の欠陥(実際の欠陥)もある。通常、検査装置にて特定される欠陥には、上記両方ともが含まれる。真性の欠陥が生じた場合は、補正不可なら固体撮像素子を不良品として処分するしかないが、擬似の欠陥が生じた場合は、実は、画素自体には欠陥がないので、不良品として処分することは、無駄を招来する。
【0012】
そこで、本発明は、固体撮像素子の画質検査において、画素の欠陥有無を判断できるだけではなく、欠陥を発生した原因も正確に判断できる固体撮像素子検査装置及び検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の固体撮像素子検査装置は、複数の画素が形成された固体撮像素子に対して電気的欠陥検査を行う接触型のプローブを備える第1の検査ユニット、及び、上記第1の検査ユニットによる欠陥画素の検出結果に基づき、欠陥画素が検出された固体撮像素子を撮像する撮像ユニットと、撮像ユニットからの出力画像を基に異物の有無を検出する画像分析部とを備える第2の検査ユニット、を含むことを特徴とする。
【0014】
また、上記目的を達成するために、本発明の固体撮像素子検査方法は、接触型のプローブにより、複数の画素が形成された固体撮像素子に対して電気的欠陥検査を行う欠陥画素検査ステップと、上記欠陥画素検査ステップによる欠陥画素の検出結果に基づき、欠陥画素が検出された固体撮像素子を撮像する撮像ステップと、撮像ステップによる出力画像を基に異物の有無を検出する画像分析ステップと、を含むことを特徴とする。
【0015】
上記構成によれば、電気的画素欠陥検査と、画像分析による画素欠陥検査を行うことができる。つまり、固体撮像素子の欠陥画素を検出することだけではなく、欠陥画素が発生した原因も検出することができる。ここで、欠陥画素を検出するとは、固体撮像素子の画素自体の問題による真性の欠陥画素と、固体撮像素子上に屑などの異物が付着して生じた擬似の欠陥画素との、両方を検出することを指す。本発明の説明を理解し易くするため、欠陥画素を、その原因によって、真性欠陥画素と擬似欠陥画素とに分けて説明する。単に欠陥画素と称する場合は、両方ともを指す。
【0016】
このため、欠陥画素を有し不良品と判定された固体撮像素子は、欠陥画素が発生した原因によっては処分しなくてもよい場合もある。つまり、真性欠陥画素を有する固体撮像素子に対しては、補正不可であれば、処分するしかないが、擬似欠陥画素を有する固体撮像素子に対しては、異物を除去することで、良品に補正することが可能となる。これにより、歩留まりを向上させる。
【0017】
上記固体撮像素子検査装置において、上記第1の検査ユニットは、上記プローブが検出した上記欠陥画素の固体撮像素子上における位置情報を特定する欠陥画素位置情報検出部を備えることが好ましい。
【0018】
上記構成によれば、電気的画素欠陥位置を特定することができる。したがって、画像分析による画素欠陥検査をより効率的に行うことができ、特定された位置情報によって固体撮像素子のウエハを移動量の調整制御を効率的に行うことができる。
【0019】
上記固体撮像素子検査装置において、上記第2の検査ユニットが備える上記画像分析部は、上記異物を検出したときに、上記固体撮像素子上における当該異物の位置情報を特定することが好ましい。
【0020】
上記構成によれば、電気的画素欠陥の位置と、画像分析による画素欠陥の位置とが一致すれば、異物が原因と特定できる。したがって、異物の除去動作が確実に行われる。
【0021】
上記固体撮像素子検査装置において、上記第2の検査ユニットは、固体撮像素子上の異物有無の検出に用いられる光源を有することが好ましい。さらに、上記光源は、上記固体撮像素子に対し、上記複数の画素が形成された面の水平方向から光を照射することが好ましい。
【0022】
上記構成によれば、カメラなどの撮像ユニットにて欠陥画素及びその近辺部を観察することができ、光源からの光を固体撮像素子に照射することにより、屑など異物の存在を簡単に検出することができる。例えば、固体撮像素子上に異物が無い場合は、固体撮像素子上に光を照射しても、その光は撮像ユニットに到達しないので、異物無しと判断することができる。逆に、固体撮像素子上に異物が有る場合は、固体撮像素子に光を照射すると、光は異物を介して撮像ユニットに到達する。これにより、異物が存在すると判定できる。
【0023】
上記固体撮像素子検査装置において、上記固体撮像素子のウエハを搭載する移動ユニットをさらに備え、当該移動ユニットにより、上記固体撮像素子のウエハを、上記第1の検査ユニットと上記第2の検査ユニットとの間で移動させることが好ましい。
【0024】
上記構成によれば、移動ユニットの移動量を調整することで、固体撮像素子のウエハを上記各ユニットの間で移動させることができる。なお、移動ユニットの移動量は、欠陥画素の位置情報または異物の位置情報に基づいて行えばよい。
【0025】
上記固体撮像素子検査装置において、上記固体撮像素子上の異物を除去する異物除去ユニットをさらに備えることが好ましい。さらに、上記異物除去ユニットが、異物を吸引するハケ付きノズルを有することが好ましい。
【0026】
上記構成によれば、上記固体撮像素子上の異物を完全に除去することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、電気的画素欠陥検査と、画像分析による画素欠陥検査を行うことができる。つまり、固体撮像素子に対して、欠陥画素の存在を検出するのみではなく、欠陥画素が発生した原因も検出することができる。これにより、不良品と判定された固体撮像素子に対して、その不良を生じた原因によって適切に補正することができる。つまり、異物の付着による擬似欠陥画素を有する、不良品としての固体撮像素子に対して、異物を除去することで良品になるように補正することが可能となり、歩留まりを向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る固体撮像素子検査装置の構成例を示す概略図である。
【図2】本発明に係る固体撮像素子検査方法を説明するフローチャートである。
【図3】固体撮像素子の電気的検査の構成例を示す概略図である。
【図4】異物が存在する固体撮像素子の電気的検査の構成例を示す概略図である。
【図5】撮像ユニットにて、固体撮像素子が載置されているウエハ表面上の異物を観測する様子を示す概略図である。
【図6】異物除去ユニットによりウエハ表面上の異物を除去する様子を示す概略図である。
【図7】プローブカード及び固体撮像素子の構成例を示す断面図であり、(a)〜(c)は、プローブカード及び固体撮像素子のそれぞれ異なる位置関係を示している。
【図8】従来の異物除去手段を有するプローブカード及び固体撮像素子の構成例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。もちろん、本発明はこれに限定されるものではなく、この実施形態に記載されている構成部品の形状、その相対配置などは、特に限定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
【0030】
図1は、本発明の実施の形態に係る固体撮像素子検査装置の構成例を示す概略図である。固体撮像素子検査装置1は、ウエハ上に形成されている個々の固体撮像素子(以下、ウエハ状態の固体撮像素子2と称する)に対して、画素検査を行うための装置であって、図1に示すように、固体撮像素子検査装置1は、光源10と、テスタ11と、プローバ12とから構成される。
【0031】
プローバ12は、プローブカード121と、ウエハ状態の固体撮像素子2を載置するためのステージ122と、撮像部123と、異物除去部124と、これら各構成の制御部と、テスタ11との通信に用いられるGPIB通信部125とを備えている。
【0032】
プローブカード121は、ウエハ状態の固体撮像素子2の電気的特性を検査するための装置であって、基板121a、並びに、基板121aに取り付けられたプローブ121b(接触型)を備えている。プローブカード121による検査の原理及びフローは、上記プローブカード100と同じであり、公知の何れのプローブカードを用いてもよい。
【0033】
ステージ122は、上表面にウエハ状態の固体撮像素子2を載置して、それを水平方向及び昇降方向に移動させるための装置である。ステージ122は、ステージ制御部122aにてステージ水平移動機構122x及びステージ昇降移動機構122yを制御することにより、プローブカード121に対して、ウエハ状態の固体撮像素子2を水平方向及び昇降方向に移動する。プローブカード121による電気的特性の検査は、ウエハ状態の固体撮像素子2を載置したステージ122を上昇させて各固体撮像素子上の電極(図示せず)とプローブ121bとを接触させることによって行われる。
【0034】
撮像部123は、プローブカード121を用いた、ウエハ状態の固体撮像素子2に対する電気的検査の結果に基づいて、ウエハの特定表面上に異物などがあるかを観測するために用いられる。撮像部123にて観測される画像は、撮像画像入力部123aに形成され、一時記憶される。本実施形態において、撮像部123としてカメラを用いているが、ウエハ状態の固体撮像素子2の表面状態を明瞭に観測し、撮像できれば、撮像手段として、カメラ以外の装置を用いてもよい。
【0035】
異物除去部124は、撮像画像入力部123aの分析結果に基づいて位置が判断された、ウエハ状態の固体撮像素子2上の異物を除去するために用いられる。異物除去部124の動作は、異物除去制御部124aにより制御する。本実施形態において、異物除去部124の先端にはハケ付きノズルが装着されており、吸引力により、ハケ付きノズルからウエハ表面上の異物を除去することができる。もちろん、固体撮像素子上の異物を除去することができれば、他の装置を用いてもよい。
【0036】
光源10は、プローブカード121にて、ウエハ状態の固体撮像素子2の電気的特性検査を行うとき、ウエハ状態の固体撮像素子2に光を照射するために用いられる。通常、光源10は、検査しようとするウエハ状態の固体撮像素子2の上方位置に設置される。
【0037】
テスタ11は、プローブカード121を介して、検査しようとするウエハ状態の固体撮像素子2と電気的に接続され、光源10からの光の強度に応じた電気信号に基づいて、ウエハ状態の固体撮像素子2の画質良否を判断する。テスタ11には、光源10の光強度または起動などを制御するための光源制御部110と、上記電気信号を記憶するための撮像信号入力部111と、撮像信号入力部111中の電気信号を分析して、検査を受けた固体撮像素子の画質が正常であるか否か即ち固体撮像素子が良品であるか不良品であるかを判断するための画像分析部112と、プローバ12との通信に用いられるGPIB通信部113とを備えている。
【0038】
以上のように、固体撮像素子検査装置1の各構成について説明したが、各構成の動作については、固体撮像素子検査方法を説明する際にさらに詳しく説明する。
【0039】
以下、図1〜6を参照して、固体撮像素子検査装置1による検査方法を説明する。説明を理解し易くするため、ウエハ状態の固体撮像素子2における一つの固体撮像素子2を検査対象とした検査方法及び検査フローを説明する。
【0040】
図2は、固体撮像素子検査装置1にて行う検査方法を説明するためのフローチャートである。まず、複数の固体撮像素子2が形成されているウエハをステージ122に設置し(ステップS401)、プローバ12の操作部(図示せず)を介して、テスタ11及びステージ制御部122aに検査の実行を指示する。そして、ステージ制御部122aは、ステージ水平移動機構122xとステージ昇降移動機構122yを駆動して、固体撮像素子2とプローブカード121との位置を合わせる(ステップS402)。そして、テスタ11の光源制御部110は、光源10から光を固体撮像素子2の上表面(パッドが形成されている面)に照射し、固体撮像素子2に対して、異常な画素(欠陥画素)の検査を含む電気的検査を開始する(ステップS403)。なお、プローブカード121の動作については、上記のように、プローブカード100の動作を参照すればよい。
【0041】
電気的検査において、光源10から光を照射すると、光の強度に応じた固体撮像素子2からの電気信号(出力信号)は、プローブカード121を介して固体撮像素子2と電気的に接続されたテスタ11、詳しくは、撮像信号入力部111に伝送され、記憶される。このように、固体撮像素子2の全ての画素に対して、上記と同じ検査を繰り返して実行する(ステップS404)。
【0042】
そして、テスタ11の画像分析部112は、撮像信号入力部111中の電気信号を元に、正常な画像が形成されている否かを分析し、すなわち、固体撮像素子2に欠陥画素が存在するかを分析して、固体撮像素子2が良品か不良品かを判断する(ステップS405)。
【0043】
分析の結果、固体撮像素子2に欠陥画素が存在する場合は、その画素の位置を特定する(ステップS406)。欠陥画素の位置の特定方法は、公知技術により行えばよい。
【0044】
例えば、図3は、固体撮像素子2の電気的検査の構成例を示す概略図である。光源10が固体撮像素子2の上方から光を照射すると、固体撮像素子2は、その上表面に設けられている複数の集光レンズ20を介して、照射される光を集光し、それぞれ複数の集光レンズ20に対応する複数の画素に送る。固体撮像素子2の画素は、光源10からの光を受け、光の強度に応じて電気信号を出力する。図3(a)において、固体撮像素子2の画素中、画素21からある規定値以上の電圧の電気信号が出力されたとすると、画素21は正常な画素と判断される。逆に、画素22から上記規定値以下の電圧の電気信号が出力されたとすると、画素22は欠陥画素と判断される。これを全ての画素について実施し、欠陥画素の位置(座標位置)を特定する。図3(b)の場合は、(X,Y)=(3,3)と(4,3)の位置と特定できる。
【0045】
また、図4は、アルミ屑などの異物3が存在する固体撮像素子2の電気的検査の構成例を示す概略図である。この場合、異常のある画素(ここでは、真性欠陥画素)は存在しないが、異物3下の画素23への光が遮断されるため、画素23からの出力は規定値以下となり、欠陥画素として判断されてしまう。欠陥画素の位置情報は、図3と同様になる。
【0046】
一方、分析の結果、固体撮像素子2による画像が正常で、すなわち、欠陥画素が存在しない場合は、固体撮像素子2が良品と判断し、検査を終了する。
【0047】
以上のように、固体撮像素子2の含む全ての固体撮像素子に対して、同じ電気的検査を行う(ステップS407、ステップS415)。つまり、検査から漏れた固体撮像素子が存在する場合は、ステップS401〜ステップS405、またはステップS401〜ステップS406を繰り返して実行する。
【0048】
通常であれば固体撮像素子に対する検査(欠陥画素検出ステップ)は、固体撮像素子が良品か不良品かを判断することで終了される。但し、上記説明したように、固体撮像素子の異常な画像に起因する欠陥には、補正不可の真性の欠陥(画素自体の欠陥が原因)と、補正が可能な擬似の欠陥(異物などの存在が原因)がある。異常を招く原因に関わらず、不良品と判断された固体撮像素子を全部同じく処分すると、歩留まりが低下する。
【0049】
そこで、本発明は、引き続いて、以下のようなステップを実行して、不良品と判断された固体撮像素子に対して更なる検査(異物検出ステップ)を行う。
【0050】
つまり、固体撮像素子2が不良品(画像異常が有り)と判断された場合、テスタ11は、画像分析部112による異常な画素の位置情報(座標位置情報)を、GPIB通信部113を介してプローバ12のGPIB通信部125に送信する。その位置情報を元に、ステージ制御部122aは、ステージ水平移動機構122xとステージ昇降移動機構122yを駆動して、固体撮像素子2を撮像部123の下に移動する(ステップS408)。
【0051】
プローバ12の図示しない操作部を操作して、撮像部123にて、画像分析部112による位置情報に該当する位置及びその近辺部を観測し、撮像する(ステップS409)。そして、撮像画像入力部123aには、撮像部123による撮像画像が形成される。
【0052】
異物有無の観測・撮像のため、固体撮像素子2の上表面(パッドが形成されている面)に水平方向から光を照射する光源10’を設けることが好ましい。例えば、固体撮像素子2の上表面に異物が付着している場合は、光源10’からの光は、異物により反射されて撮像部123に入射される。つまり、撮像部123に光が入射される場合は、異物があると判断でき、撮像画像入力部123aには撮像画像が形成される(ステップS410)。
【0053】
そして、撮像画像入力部123aは、GPIB通信部125及びテスタ11のGPIB通信部113を介して、撮像画像をテスタ11の画像分析部112に送信する。画像分析部112は、受信した画像を分析して、異物の位置情報を確定する。(ステップS411)。
【0054】
例えば、図5は、撮像部123(例えば、カメラ)にて、固体撮像素子2が載置されているウエハ表面(ステージ122と背向する側の表面)上の異物3を観測する様子を示す概略図である。図5(a)に示すように、ウエハ上の異物3は、固体撮像素子2が載置されたウエハ面の水平方向から、光源10’が照射した光を受ける。ここで、光源10’は、異物3の反射光が撮像部123に入射されるように、撮像部123の周辺部に設けられる。光照射は1方向よりも、2方向以上の方が、より鮮明に異物3の画素を捕らえることができる。なお、図5(b)では、固体撮像素子2が載置されたウエハ面の4水平方向に位置している四つの光源10’から光を照射する様子を示している。もちろん、光源10’は、固体撮像素子2が載置されたウエハ面に対し水平方向ではなく、垂直方向から照射してもよい。これにより、ウエハ表面の構造パターンに影響を受けることなく、異物3を観測することができる。
【0055】
上記のように、撮像部123による異物存在の検査において、異物3が存在しない場合は、撮像部123に光(異物による反射光)が到達しないので、異物なしと判断できる。異物なしと観測されたら、該当位置に相当する固体撮像素子2の異常な画素は、真性欠陥画素であると判断できる。すなわち、上記図3に示す画素22に相当する。異常な画像を生じた原因が、真性欠陥画素が存在しているからであれば、固体撮像素子2を不良品として処分する。そして、異物なしと判断された場合は、検査を終了する。
【0056】
一方、撮像部123に光が入射され、撮像画像入力部123aに画像が形成された場合は、異物3が存在すると判断でき、その撮像画像を、撮像画像入力部123aに一時記憶する。そして、GPIB通信部125及びテスタ11のGPIB通信部113を介して、テスタ11の画像分析部112に送信する。画像分析部112は受信した画像を分析し、上記ウエハ表面(固体撮像素子2上)に存在する異物3の位置を特定する。画像分析部112により特定された異物の位置情報は、テスタ11のGPIB通信部113を介して、さらにプローバ12のGPIB通信部125に送信される。
【0057】
このように、固体撮像素子2含む、不良品と判断されたウエハ表面上の全ての固体撮像素子に対して、上記のような異物検査を実行する(ステップS412)。
【0058】
続いて、ステージ制御部122aはGPIB通信部125からの異物の位置情報を元に、ステージ水平移動機構122xとステージ昇降移動機構122yを駆動して、固体撮像素子2を、異物除去部124の下に移動する(ステップS413)。そして、異物除去制御部124aを操作して異物除去動作を実行する(ステップS414)。
【0059】
図6は、異物除去部124により、ウエハ表面上(固体撮像素子2上)の異物を除去する様子を示す概略図である。異物除去部124として、ハケ付きノズル124bを用いた吸引装置124’を採用している。詳しくは、例えば、ハケ付きノズル124bの先端をウエハ表面上の異物3に軽く接触させた状態で、ステージ122を、図中矢印C−C’が示す方向にゆっくり揺する。そして、吸引力にて吸引装置124’の収納空間(図示せず)に異物3を吸引しておくことで、異物除去動作を完了する。
【0060】
異物除去後、ステージ122をプローブカード121下に移動し、不良品として判断された固体撮像素子2に対し再度電気的検査を行い、固体撮像素子2が正常に機能していることを確認する。
【0061】
以上説明したように、本発明によれば、不良品と判定された固体撮像素子について、その不良を発生した原因を検出して、良品になるように、適切な補正を行うことができる。
【0062】
なお、上記では、欠陥画素検出ステップ及び異物の有無を検出するための画像分析ステップにおいて、画像分析部112を両ステップでの画像分析部として用いた場合を説明している。もちろん、各ステップに対応する画像分析部をそれぞれ設けることもできる。
【0063】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、固体撮像素子の画質検査を行うための検査装置に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0065】
1 固体撮像素子検査装置
2 固体撮像素子
3 異物
10 光源(第1の検査ユニット)
10’ 光源(第2の検査ユニット)
11 テスタ(第1の検査ユニット)
110 光源制御部(第1の検査ユニット)
111 撮像信号入力部(撮像ユニット、第1の検査ユニット)
112 画像分析部(第2の検査ユニット)
113 GPIB通信部(第1の検査ユニット)
12 プローバ
121 プローブカード(第1の検査ユニット)
122 ステージ(移動ユニット)
123 撮像部(撮像ユニット、第2の検査ユニット)
124 異物除去部(異物除去ユニット、第2の検査ユニット)
125 GPIB通信部(第2の検査ユニット)
20 集光レンズ
21 画素
22 画素
23 画素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素が形成された固体撮像素子に対して電気的欠陥検査を行う接触型のプローブを備える第1の検査ユニット、及び、
上記第1の検査ユニットによる欠陥画素の検出結果に基づき、欠陥画素が検出された固体撮像素子を撮像する撮像ユニットと、撮像ユニットからの出力画像を基に異物の有無を検出する画像分析部とを備える第2の検査ユニット、を含むことを特徴とする固体撮像素子の検査装置。
【請求項2】
上記第1の検査ユニットは、上記プローブが検出した上記欠陥画素の固体撮像素子上における位置情報を特定する欠陥画素位置情報検出部を備えることを特徴とする請求項1に記載の固体撮像素子の検査装置。
【請求項3】
上記第2の検査ユニットが備える上記画像分析部は、上記異物を検出したときに、上記固体撮像素子上における当該異物の位置情報を特定することを特徴とする請求項1又は2に記載の固体撮像素子の検査装置。
【請求項4】
上記第2の検査ユニットは、固体撮像素子上の異物有無の検出に用いられる光源を有することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の固体撮像素子の検査装置。
【請求項5】
上記光源は、上記固体撮像素子に対し、上記複数の画素が形成された面の水平方向から光を照射することを特徴とする請求項4に記載の固体撮像素子の検査装置。
【請求項6】
上記固体撮像素子のウエハを搭載する移動ユニットをさらに備え、当該移動ユニットにより、上記固体撮像素子のウエハを、上記第1の検査ユニットと上記第2の検査ユニットとの間で移動させることを特徴する請求項1〜5の何れか一項に記載の固体撮像素子の検査装置。
【請求項7】
上記固体撮像素子上の異物を除去する異物除去ユニットをさらに備えることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の固体撮像素子の検査装置。
【請求項8】
上記異物除去ユニットが、異物を吸引するハケ付きノズルを有することを特徴とする請求項7に記載の固体撮像素子の検査装置。
【請求項9】
接触型のプローブにより、複数の画素が形成された固体撮像素子に対して電気的欠陥検査を行う欠陥画素検査ステップと、
上記欠陥画素検査ステップによる欠陥画素の検出結果に基づき、欠陥画素が検出された固体撮像素子を撮像する撮像ステップと、
撮像ステップによる出力画像を基に異物の有無を検出する画像分析ステップと、を含むことを特徴とする固体撮像素子の検査方法。
【請求項10】
上記撮像ステップを行う前に、上記欠陥画素検査ステップにより検出された欠陥画素の固体撮像素子上における位置情報を特定する欠陥画素位置情報特定ステップをさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の固体撮像素子の検査方法。
【請求項11】
上記画像分析ステップにより異物が検出されたときに、上記固体撮像素子上における当該異物の位置情報を特定する異物位置情報特定ステップをさらに含むことを特徴とする請求項9または10に記載の固体撮像素子の検査方法。
【請求項12】
上記異物位置情報特定ステップにより特定された異物の位置情報に基づき、上記固体撮像素子上における異物を除去する異物除去ステップをさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の固体撮像素子の検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−226826(P2011−226826A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−94430(P2010−94430)
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】