説明

圧力センサ

【課題】耐環境性に優れ、高い圧力感度を有しつつもセンサ上の配線等による微小応力の影響を受けることのない圧力センサを提供する。
【解決手段】半導体でできたセンサチップ10の所定位置にダイアフラム11を形成し、少なくともこのダイアフラムを含んだセンサチップ上に差圧又は圧力検出用のセンサゲージ210を設け、このセンサゲージが協働してブリッジ回路を形成する複数のセンサゲージからなり、センサゲージ間は半導体抵抗220で接続され、かつ当該半導体抵抗及びセンサゲージは絶縁膜230で覆われ、絶縁膜の一部を貫通して形成され半導体抵抗に電気的に接続されたコンタクト250を形成するための電極取り出し用のコンタクト穴240の個数が、前記センサゲージの数以下となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶対圧やゲージ圧、差圧を測定するのに適した圧力センサに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体チップ上の一部にダイアフラムを形成し、このダイアフラム上にピエゾ抵抗素子をブリッジ状に配して被測定媒体の圧力に応じたダイアフラムの変位をピエゾ抵抗素子の抵抗値の変化に変えて被測定媒体の圧力を検出する圧力センサが広く用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
かかる特許文献1に記載のような半導体ピエゾ抵抗素子を有する圧力センサのセンサチップにおいて、特に抵抗素子でブリッジ回路を構成するものについては、その構造上アルミニウムなどの金属で配線すると共に、抵抗と配線のコンタクト箇所が抵抗数×2個存在するようになる。しかしながら、このような構造を有する圧力センサ自体に熱などが加わった場合、アルミニウム、絶縁膜、半導体抵抗相互の線膨張係数の違いに基づく熱変化に伴うストレス(熱応力)がこれらの各構成要素に発生し、センサ出力のゼロ点をシフトさせる要因となっている。
【特許文献1】特開2002−277337号公報(2頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、特開平9−126922号公報(以下、「特許文献2」とする)に記載された圧力センサは、厚さ300μmのシリコン基板の(110)面上に、熱拡散によりボロンを拡散することでピエゾ抵抗素子を形成すると共にピエゾ抵抗素子の形成方法と同様の方法で拡散抵抗からなる電極配線を形成している。そして、シリコン基板の(110)面上に電子ビーム蒸着法でアルミニウム層を形成し、このアルミニウム層をフォトリソグラフィ工程で所定形状にパターン化して電極パッドを形成している。また、シリコン基板の(110)面の裏面側には水酸化カリウムで異方性エッチングを行なうことによりダイアフラムを形成している。
【0005】
より具体的には、特許文献2に記載の圧力センサは、同文献の図面から明らかなように、ダイアフラムと拡散抵抗を形成するシリコン単結晶基板に(110)面のものを使用していると共に、ピエゾ抵抗素子の形成方向をシリコン基板の(110)面上の<111>方向と略同方向となるように配置している。また、拡散抵抗による配線はシリコン基板の(110)面上の<100>方向及び<110>方向に向けられているという構成のみを有している。そして、このような構成を有することで、配線に圧力感度を持たせて圧力感度を少しでも向上させるという課題のみを解決しようとしている。従って、特許文献2に記載の圧力センサは、高い圧力感度を有しつつもセンサ上の配線等による微小応力の影響を受けないようにするという課題を解決するための構成を有していない。
【0006】
これに加えて、特許文献2に記載された圧力センサは、半導体抵抗を絶縁膜で保護していないので、耐環境性が著しく悪くなると共に、センサ出力にドリフトなどのノイズ成分が大きく影響するため高精度を達成できない。
【0007】
本発明の目的は、耐環境性に優れ、高い圧力感度を有しつつもセンサ上の配線等による微小応力の影響を受けることのない圧力センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかる圧力センサは、
半導体でできたセンサチップの所定位置にダイアフラムを形成し、
少なくとも前記ダイアフラムを含んだセンサチップ上に差圧又は圧力検出用のセンサゲージを設けた圧力センサにおいて、
前記センサゲージが、協働してブリッジ回路を形成する複数のセンサゲージからなり、前記センサゲージ間は半導体抵抗で接続され、かつ当該半導体抵抗及びセンサゲージは絶縁膜で覆われ、
前記絶縁膜の一部を貫通して形成され前記半導体抵抗に電気的に接続されたコンタクトを形成するための電極取り出し用のコンタクト穴の個数が、前記センサゲージの数以下であることを特徴としている。
【0009】
圧力センサがこのような構成を有することで、コンタクト穴に対応する領域であってそれぞれ線膨張係数の異なる金属と絶縁膜と半導体で構成される部分の個数を少なくすることができるので、センサ上の配線等による微小応力の影響を受け難くすることができる。また、半導体抵抗とセンサゲージが絶縁膜で覆われることで耐環境性に優れた圧力センサとすることができる。
【0010】
また、請求項2に記載の本発明にかかる圧力センサは、請求項1に記載の圧力センサにおいて、
前記センサチップがシリコンからなり、当該センサチップが(100)面に形成され、かつ前記センサゲージの方向が<110>方向に形成され、かつ前記半導体抵抗が<100>方向に形成されていることを特徴としている。
【0011】
センサチップがシリコンからなり、かつセンサゲージがダイアフラムに印加する圧力によって生じる応力に感度を有する<110>方向に形成され、半導体抵抗はこの応力に感度を有さない<100>方向に形成されていることで、より高い圧力感度を有しつつもセンサ上の配線等による微小応力の影響を受け難い耐環境性に優れた圧力センサとすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、耐環境性に優れ、高い圧力感度を有しつつもセンサ上の配線等による微小応力の影響を受けることのない圧力センサを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の第1の実施形態にかかる圧力センサ1について図面に基いて説明する。本発明の第1の実施形態にかかる圧力センサ1は、図1及び図2に示すように結晶面方位が(100)面のn型単結晶Siからなる正方形のセンサチップ10を有している。なお、本実施形態及びこれに続く第2の実施形態における説明では「圧力」の用語のみを用いるが、ダイアフラムの両面に異なる圧力が加わり、この差圧を測定する場合もこれらの実施形態に含まれることは言うまでもない。
【0014】
センサチップ10は、チップ表面の所定位置に形成された正方形のダイアフラム11と、センサチップ10の外周部を形成しダイアフラム11を取り囲む厚肉部12とからなる。そして、センサチップ10の裏面中央にはダイアフラム11の形成によって正方形の凹部13が形成され、厚肉部12が台座15に陽極接合されている。台座15は、パイレックス(登録商標)ガラスやセラミックス等によってセンサチップ10と略同一の大きさを有する角柱体に形成されている。また、台座15には、ダイアフラム11の裏側に被測定媒体の圧力を導く導圧路15aが形成されている。
【0015】
ダイアフラム11は、図2に示す平面視でその対角線がセンサチップ10の対角線と直交するようにセンサチップ10に対して略45°傾いた状態で形成されている(図2中の点線で示すダイアフラム11の縁部参照)。そして、ダイアフラム表面の周縁部付近にはピエゾ領域として作用し圧力を検出する4つの圧力検出用のセンサゲージ210(211〜214)がセンサチップ10の対角線に平行する位置に形成されている。即ち、これらのセンサゲージ211〜214は、センサチップ10の(100)面においてピエゾ抵抗係数が最大となる<110>方向に形成されている。
【0016】
また、ブリッジ回路を形成する複数のセンサゲージ210の各センサゲージ間は拡散抵抗配線(半導体抵抗)220(221〜224)で接続され、かつセンサゲージ210及び拡散抵抗配線220は後述する一部のコンタクト穴240(241〜244)を除いて図3に示す酸化膜(絶縁膜)230で覆われている。
【0017】
なお、拡散抵抗配線220は、図2に示すように幅が広く示され実際に抵抗値が低くなっていると共に、センサゲージ210は、図2において幅が狭く示され実際に抵抗値が高くなっている。これによって、拡散抵抗配線220とセンサゲージ210が協働してブリッジ回路を形成している。
【0018】
そして、これらセンサゲージ210と拡散抵抗配線220の組み合わせで形成されるブリッジ回路の各拡散抵抗配線221〜224のそれぞれの所定位置には、酸化膜230の一部を貫通して形成され拡散抵抗配線220からの電極取り出し用のコンタクト250(251〜254)を形成するためのコンタクト穴240(241〜244)が対応して形成されている。なお、本実施形態の場合、このコンタクト穴240はブリッジ回路への電力印加用の2つのコンタクト穴242,244と、ブリッジ回路からの出力取り出し用の2つのコンタクト穴241,243との合計4個のコンタクト穴からなっており、コンタクト穴240の個数がセンサゲージ211〜214の数(4個)以下となっている。
【0019】
上述の通り、各コンタクト穴240に対応するように形成されたコンタクト250(251〜254)はアルミニウムでできている。そして、コンタクト250は、図3に示すようにその一部である埋め込み部250a(251a〜254a)がコンタクト穴を埋めるように形成され、その残部が酸化膜上にコンタクトパッド250b(251b〜254b)として形成されている。そして、このコンタクト250によって拡散抵抗配線220とコンタクトパッド250bがそれぞれ電気的に導通され、コンタクトパッド250bに図示しないワイヤボンディングを施すことでブリッジ回路に電力を供給したりブリッジ回路からの出力を取り出したりするようになっている。
【0020】
なお、図2に示す圧力センサ1においては、圧力センサチップの上面に、異形角型U字状を有する4つの幅広の拡散抵抗配線221〜224が配置され、この各拡散抵抗配線221〜224は、その各両端部が図中点線で示す菱形のダイアフラム11の上面縁部近傍にそれぞれ位置している。そして、各拡散抵抗配線221〜224の端部は隣接する各拡散抵抗配線221〜224の端部と僅かな距離だけ離間している。そして、この離間した間に幅狭の抵抗値の高いセンサゲージ211〜214が<110>方向に配置されている。
【0021】
しかしながら、この図2に示したブリッジ回路パターンは本発明の理解の容易化を図るために例示した平面視パターン構成の一例を示したものに過ぎず、センサチップが(100)面上に形成され、拡散抵抗配線がセンサチップ上面の<100>方向に配置され、センサゲージがセンサチップ上面の<110>方向に配置され、拡散抵抗配線とセンサゲージが酸化膜で覆われ、電極取出し用のコンタクト穴の個数がセンサゲージの個数以下であれば、必ずしも図2に示すようなセンサゲージと拡散抵抗配線の配置パターンには限定されないことは言うまでもない。
【0022】
続いて、かかる圧力センサ1の製造方法について説明する。この圧力センサ1を製造するにあたって、例えば厚さ300μmのシリコン基板の所定位置に特開2000−171318号公報の段落(0008)〜段落(0012)に記載されたような公知のプロセスでダイアフラム11を形成する。そして、図3に示すように、このシリコン基板の(100)面上に熱拡散によりボロンを拡散し、センサゲージ210を形成する。続いて、センサゲージ210を形成したのと同様の方法で拡散抵抗からなる拡散抵抗配線220を形成する。そして、これらセンサゲージ210及び拡散抵抗配線220が局所的に形成されたシリコン基板の(100)面上全体を酸化させてこの面上にSiO層からなる酸化膜230を形成する。そして、フォトリソグラフィ工程とエッチングにより所望の場所にコンタクト穴240を形成する。これに続いて、コンタクト250を形成する。このコンタクト250を形成するにあたって、アルミ蒸着を行うことでコンタクト穴240を埋めて埋め込み部250aを形成すると共にその周囲にボンディング用のコンタクトパッド250bを形成する。そして、必要に応じてコンタクトパッド250bにワイヤボンディングを行う。
【0023】
このような製造プロセスによって本実施形態にかかる圧力センサ1を製造することで、それぞれ線膨張係数の異なる金属でできたコンタクト250と酸化膜230と半導体でできた拡散抵抗配線220とで構成されるコンタクト穴240の部分の個数を少なくすることができる。その結果、センサ上の配線等による微小応力の影響を受け難くすることができる。また、拡散抵抗配線220とセンサゲージ210が酸化膜230で覆われることで、ゴミやコンタミ成分の付着に強い耐環境性に優れた圧力センサとすることができる。
【0024】
続いて、本発明の第2の実施形態にかかる圧力センサ2について説明する。なお、第1の実施形態と同等の構成については、対応する符号を付して詳細な説明を省略する。
【0025】
この第2の実施形態にかかる圧力センサ2は、図4及び図5に示すように、第1の実施形態に係る圧力センサ1に備わった圧力検出部と同等の構成の圧力検出部2Aに加えて、センサチップ10の厚肉部12の上面に静圧測定用の圧力検出部2Bを備えている。この静圧検出用の圧力検出部2Bは、上述したダイアフラム上に形成された圧力検出部2Aと同様の構成を有しているが、主に圧力検出部2Aの外側に配置されている。そして、圧力センサ2にかかる静圧をこの圧力検出部2Bで測定することで、圧力測定の補正に利用している。
【0026】
具体的には、センサチップの(100)面上に形成されたダイアフラム11の<110>方向に圧力検出用の4つのセンサゲージ310(311〜314)が形成されると共に、これら4つのセンサゲージ間を電気的に接続する拡散抵抗配線320(321〜324)がセンサチップの(100)面上に形成されている。また、厚肉部12の<110>方向に静圧検出用の4つのセンサゲージ360(361〜364)が形成されるとともに、これら4つのセンサゲージ間を電気的に接続する拡散抵抗配線370(371〜374)がセンサチップの(100)面上に形成されている。
【0027】
なお、静圧検出用の拡散抵抗配線370(371〜374)の形状は、図5においては圧力検出部2Aの拡散抵抗配線320(321〜324)と同等の図中幅広の異形角型U字状に示しており、かつ所定の部分にダイアフラムに向かって延在部が形成され、実際に抵抗値が小さくなっている。なお、本実施形態では、拡散抵抗配線372と322は、静圧測定用の拡散抵抗配線372の一部に圧力測定用の拡散抵抗配線322がダイアフラム11に向かって突出した一体構造をなし、拡散抵抗配線374と324は、静圧測定用の拡散抵抗配線374の一部に圧力測定用の拡散抵抗配線324がダイアフラムに向かって突出した一体構造をなしている。
【0028】
そして、図中上下に示す2つのコンタクト穴342,344に対応して形成されたコンタクト352,354がそれぞれ電源用のコンタクトを構成し、図中内側の左右に示す2つのコンタクト穴341,343に対応して形成されたコンタクト351,353がそれぞれ圧力検出用のコンタクトを構成し、図中左右の外側に示す2つのコンタクト穴345,346に対応して形成されたコンタクト355,356が静圧検出用のコンタクトを示している。
【0029】
即ち、本実施形態では、コンタクト穴341,343とこれらにそれぞれ対応して形成されたコンタクト351,353が圧力検出用のコンタクト穴及びコンタクトをなし、コンタクト穴345,346とこれらにそれぞれ対応して形成されたコンタクト355,356が静圧検出用のコンタクト穴及びコンタクトをなしている。一方、コンタクト穴342,344とこれらにそれぞれ対応して形成されたコンタクト352,354が圧力検出用と静圧検出用の電源コンタクト穴及び電源コンタクトとして共用されている。
【0030】
しかしながら、上述した実施形態のブリッジ回路パターンは、第1の実施形態にかかるブリッジ回路パターンと同様に、本発明の理解の容易化を図るために例示した平面視パターン構成の一例を示したものに過ぎず、センサチップが(100)面上に形成され、圧力測定用及び静圧測定用の拡散抵抗配線が共にセンサチップ(100)面上の<100>方向に配置され、圧力測定用及び静圧測定用のセンサゲージが共にセンサチップ(100)面上の<110>方向に配置されていれば、必ずしも図5に示すようなセンサゲージと拡散抵抗配線の配置パターンには限定されるものでないことは言うまでもない。
【0031】
なお、圧力センサ2の製造方法は、第1の実施形態における圧力センサ1の製造方法と同様であるので、ここではその詳細な説明を省略する。
【0032】
このような圧力検出部2Aと静圧検出部2Bを一体に設けた圧力センサ2においても上述した条件即ち、電極取り出し用のコンタクト穴の個数が、センサゲージの数以下であることが成立する。即ち、センサゲージの数が8個でコンタクト穴の数が6個であるので、コンタクト穴の個数がセンサゲージの総数以下となり、上述した条件を満たし、第1の実施形態と同等の作用効果を発揮する。具体的には、それぞれ線膨張係数の異なる金属でできたコンタクト350と酸化膜330と半導体でできた拡散抵抗配線320又は拡散抵抗配線370とで構成されるコンタクト穴340の部分の個数を少なくすることができる。その結果、センサ上の配線等による微小応力の影響を受け難くできる。また、拡散抵抗配線320,370とセンサゲージ310,360が絶縁膜で覆われることで耐環境性に優れた圧力センサとすることができる。
【0033】
続いて、従来例に比べて本発明が特有の作用効果を奏することを確認する評価試験を行ったので、この評価試験結果について説明する。
【0034】
図6は、いわゆるサーマルヒス比較という温度サイクル印加試験における圧力センサの繰り返し出力特性を示す評価試験結果である。なお、ここで、横軸は加熱と冷却を繰り返した時間軸を示し、縦軸は一定圧力が加えられた状態での横軸の加熱特性曲線に対応する圧力センサの出力を示している。同図において、従来型の圧力センサ(以下、これを「比較例」とする)の出力特性を4回測定し、その出力特性をB(b1〜b4)として示すと共に、本発明の上述した第2の実施形態における圧力センサ(以下、「本実施例」とする)の出力特性を4回測定し、その出力特性をA(a1〜a4)として示した。
【0035】
このサーマルヒス特性図から、比較例は温度変化に追従して出力がかなり変動するのに対し、本実施例では出力が一定の出力範囲内に収まって温度変化の影響をさほど受けることなく安定した出力特性を示していることが明らかになった。
【0036】
以上説明したように本発明に係る圧力センサは、半導体でできたセンサチップの所定位置にダイアフラムを形成し、少なくともこのダイアフラムを含んだセンサチップ上に差圧又は圧力検出用のセンサゲージを設け、このセンサゲージが、協働してブリッジ回路を形成する複数のセンサゲージからなり、これらセンサゲージ間は拡散抵抗配線(半導体抵抗)で接続され、かつこれら拡散抵抗配線及びセンサゲージは酸化膜(絶縁膜)で覆われ、酸化膜の一部を貫通して形成され半導体抵抗に電気的に接続されたコンタクトを形成するための電極取り出し用のコンタクト穴の個数が、センサゲージの数以下であることで、コンタクト穴に対応する領域であってそれぞれ線膨張係数の異なる金属と絶縁膜と半導体で構成される部分の個数を少なくすることができる。その結果、センサ上の配線等による微小応力の影響を受け難くできる。また、半導体抵抗とセンサゲージが絶縁膜で覆われることで耐環境性に優れた圧力センサとすることができる。
【0037】
また、好ましくは、本発明にかかる圧力センサは、センサチップがシリコンからなり、当該センサチップが(100)面に形成され、かつセンサゲージの方向が<110>方向に形成され、かつ半導体抵抗が<100>方向に形成されていることで、より高い圧力感度を有しつつもセンサ上の配線等による微小応力の影響を受け難い耐環境性に優れた圧力センサとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1の実施形態かかる圧力センサの概略構成を示す断面図である。
【図2】図1に示した圧力センサを示す平面図である。
【図3】図1に示した圧力センサのコンタクト穴近傍領域を示す断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態における圧力センサの概略構成を示す断面図である。
【図5】図4に示した圧力センサを示す平面図である。
【図6】第2の実施形態における本実施例と比較例の評価試験結果を示す出力特性図である。
【符号の説明】
【0039】
1,2 圧力センサ
2A 圧力検出部
2B 静圧検出部
10 センサチップ
11 ダイアフラム
12 厚肉部
13 凹部
15 台座
15a 導圧路
210(211〜214) センサゲージ
220(221〜224) 拡散抵抗配線(半導体抵抗)
230 酸化膜(絶縁膜)
240(241〜244) コンタクト穴
250(251〜254) コンタクト
250a(251a〜254a) 埋め込み部
250b(251b〜254b) コンタクトパッド
310(311〜314) ゲージ抵抗
320(321〜324) 拡散抵抗配線
330 酸化膜
340(341〜344) コンタクト穴
350(351〜356) コンタクト
360(361〜364) ゲージ抵抗
370(371〜374) 拡散抵抗配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体でできたセンサチップの所定位置にダイアフラムを形成し、
少なくとも前記ダイアフラムを含んだセンサチップ上に差圧又は圧力検出用のセンサゲージを設けた圧力センサにおいて、
前記センサゲージが、協働してブリッジ回路を形成する複数のセンサゲージからなり、前記センサゲージ間は半導体抵抗で接続され、かつ当該半導体抵抗及びセンサゲージは絶縁膜で覆われ、
前記絶縁膜の一部を貫通して形成され前記半導体抵抗に電気的に接続されたコンタクトを形成するための電極取り出し用のコンタクト穴の個数が、前記センサゲージの数以下であることを特徴とする圧力センサ。
【請求項2】
前記センサチップがシリコンからなり、当該センサチップが(100)面に形成され、かつ前記センサゲージの方向が<110>方向に形成され、かつ前記半導体抵抗が<100>方向に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の圧力センサ。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−215892(P2008−215892A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−50822(P2007−50822)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】