説明

圧電デバイスおよびその製造方法

【課題】簡単な構成で、実装基板に対するパッケージの位置を所定位置とすることのできる圧電デバイスおよび圧電デバイスの製造方法を提供すること
【解決手段】圧電デバイス1は、圧電振動片2を収容したパッケージ3と、スペーサ51〜54を介してパッケージ3を支持する実装基板4と、実装基板4に設けられ、実装基板4に対するパッケージ3の面方向における少なくとも1方向の位置を定める位置規制部材7(金属ワイヤ71〜74)と、スペーサ51〜54により形成されたパッケージ3および実装基板4間の隙間に位置するように実装基板4上に設けられ、圧電振動片2を駆動するための電子部品6とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電デバイスおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
圧電デバイスとしては、支持基板上に水晶発振器回路を構成する電子部品を設けるとともに、この電子部品の上方に水晶振動子を位置させるように、水晶振動子をスペーサを介して前記支持基板に固定した構成のものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の圧電デバイス(圧電発振器)は、内部に圧電振動片を収容するパッケージと、パッケージを接続部材(スペーサ)を介して固定する回路基板と、接続部材により形成された回路基板とパッケージの間の空間に位置するように回路基板に搭載された集積回路(IC)とを有している。
【0004】
このような圧電デバイスでは、接続部材として、融点の高い球形部材の核の周囲に、融点の低い導電性部材(ハンダ)をコーティングしたハンダボールを用いており、これにより、核の周囲にコーティングされたハンダにて電気的接続を行いつつ、核によりパッケージを支持することができるようになっている。
【0005】
しかしながら、このような圧電デバイスでは、接続部材のハンダが溶融し、接続部材と回路基板および接続部材とパッケージが、それぞれ、接合するまでは、パッケージが回路基板に対して変位し易い。また、4つの接続部材の溶融が必ずしも同時に起こるわけではなく、これらの溶融開始時刻がずれると、最初に溶融した接続部材を軸として、パッケージがその面方向に変位する。
【0006】
以上より、特許文献1の圧電デバイスでは、パッケージの配設位置が所定位置に対してずれるという問題がある。このように、パッケージの配設位置が所定位置に対してずれると、例えば、回路基板と圧電振動片とを電気的に接続できなかったり、圧電デバイスの大型化(異形化)を招いたりしてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−104151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、簡単な構成で、実装基板に対するパッケージの位置を所定位置とすることのできる圧電デバイスおよび圧電デバイスの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
本発明の圧電デバイスは、圧電振動片を収容し、外底面を有するパッケージと、
部品実装面を有する実装基板と、
前記実装基板の前記部品実装面に設けられ、前記パッケージの前記外底面を支持するスペーサと、
前記スペーサにより形成された前記パッケージの前記外底面および前記実装基板の前記部品実装面間の隙間に配置され、前記圧電振動片を駆動する電子部品と、
前記実装基板に対する前記パッケージの位置を規制する位置規制部材であって、前記実装基板の前記部品実装面に設けられ、前記部品実装面を基準とした高さが前記外底面よりも高い位置規制部材とを有することを特徴とする。
これにより、簡単な構成で、実装基板に対するパッケージの位置を所定位置とすることのできる圧電デバイスを提供することができる。
【0010】
[適用例2]
本発明の圧電デバイスでは、前記位置規制部材は、前記実装基板の平面視にて、前記パッケージの周囲に設けられ、前記部品実装面を基準とした高さが前記外底面より高いループ形状を備えた金属ワイヤを有していることが好ましい。
このように、パッケージの周囲に配置された湾曲した金属ワイヤ、すなわち線材で位置規制部材を構成することにより、位置規制部材の構成を簡単なものとすることができる。さらに、位置規制部材の設置スペースを小さくすることができ、圧電デバイスの大型化を防止することができる。
【0011】
[適用例3]
本発明の圧電デバイスでは、前記金属ワイヤの両端部は、それぞれ、ワイヤボンディングにより前記実装基板の前記部品実装面に接合されていることが好ましい。
これにより、所定位置に、所定形状(所定高さ)をなす金属ワイヤを高精度にかつ簡単に形成することができる。
【0012】
[適用例4]
本発明の圧電デバイスでは、前記金属ワイヤは、前記実装基板の平面視にて、前記パッケージの周囲に沿って延在するように設けられていることが好ましい。
これにより、金属ワイヤの配置スペースを小さくすることができ、圧電デバイスの大型化を防止することができる。
【0013】
[適用例5]
本発明の圧電デバイスでは、前記金属ワイヤは、前記パッケージと離間していることが好ましい。
これにより、圧電デバイスの製造工程において、パッケージをスペーサ上に載置する際に、当該載置が金属ワイヤにより阻害されることを防止でき、圧電デバイスの製造が容易となる。
【0014】
[適用例6]
本発明の圧電デバイスでは、前記部品実装面を基準とした前記金属ワイヤの高さをT1とし、前記スペーサの高さをT2とし、前記パッケージの高さをT3としたとき、T2<T1<T3なる関係を有することが好ましい。
これにより、パッケージの面方向への変位を抑制することができる。そのため、パッケージの位置(実装基板に対する位置)を定めることができ、パッケージを所定位置に配置することができる。さらに、金属ワイヤが、パッケージの上面から突出することを防止でき、圧電デバイスの小型化を図ることができる。
【0015】
[適用例7]
本発明の圧電デバイスでは、前記パッケージは、前記実装基板の平面視にて、矩形状であり、
前記位置規制部材は、前記実装基板の平面視にて、前記パッケージの対向する一対の辺に対して配置された一対の金属ワイヤを有していることが好ましい。
これにより、パッケージがスペーサ上に載置された状態(ただし、パッケージが、スペーサに対して変位可能な状態)にて、パッケージの変位(一対の金属ワイヤの対向方向への変位)を抑制することができ、パッケージの位置を定めることができる。
【0016】
[適用例8]
本発明の圧電デバイスでは、前記位置規制部材は、前記実装基板の平面視にて、前記対向する一対の辺とは異なる一対の辺に対して配置された一対の金属ワイヤを有していることが好ましい。
これにより、パッケージがスペーサ上に載置された状態(ただし、パッケージが、スペーサに対して変位可能な状態)にて、パッケージの変位(面方向への変位)を抑制することができ、パッケージの位置を定めることができる。
【0017】
[適用例9]
本発明の圧電デバイスでは、前記パッケージは、前記実装基板の平面視にて、矩形状であり、
前記位置規制部材は、前記実装基板の平面視にて、前記パッケージの少なくとも一辺に対して複数配置された金属ワイヤを有し、
前記一辺に対して配置された複数の前記金属ワイヤは、少なくとも2つの金属ワイヤの互いの頂部が前記一辺の延在方向にずれるよう設けられていることが好ましい。
これにより、より多くの箇所で、パッケージの位置を定めることができる(パッケージの変位を規制することができる)ため、パッケージの位置決めがより高精度となる。
【0018】
[適用例10]
本発明の圧電デバイスの製造方法は、圧電振動片を収容したパッケージと、部品実装面を有する実装基板と、前記実装基板の前記部品実装面に設けられ、前記パッケージの前記外底面を支持するスペーサと、前記実装基板に対する前記パッケージの位置を規制する位置規制部材と、前記スペーサにより形成された前記パッケージの前記外底面および前記実装基板の前記部品実装面間の隙間に配置され、前記圧電振動片を駆動する電子部品とを有する圧電デバイスの製造方法であって、
前記実装基板の前記部品実装面に前記位置規制部材を設ける位置規制部材設置工程と、
前記位置規制部材によって前記パッケージの位置を定めつつ、前記スペーサを介して前記パッケージを前記実装基板に実装するパッケージ実装工程とを有していることを特徴とする。
これにより、簡単な構成で、実装基板に対するパッケージの位置を所定位置とすることのできる圧電デバイスの製造方法を提供することができる。
【0019】
[適用例11]
本発明の圧電デバイスの製造方法では、前記位置規制部材設置工程では、前記部品実装面を基準とした高さが前記外底面より高いループ形状を備えた金属ワイヤを前記実装基板の前記部品実装面に設けることにより前記位置規制部材を形成することが好ましい。
これにより、位置規制部材の構成を簡単なものとすることができる。さらに、位置規制部材の設置スペースを小さくすることができ、圧電デバイスの大型化を防止することができる。
【0020】
[適用例12]
本発明の圧電デバイスの製造方法では、前記位置規制部材設置工程では、ワイヤボンディングにより、前記金属ワイヤの両端部を前記実装基板の前記部品実装面に接合することにより前記位置規制部材を形成することが好ましい。
これにより、所定位置に、所定形状(所定高さ)をなす金属ワイヤを高精度にかつ簡単に形成することができる。
【0021】
[適用例13]
本発明の圧電デバイスの製造方法では、前記実装基板には端子が形成されており、
前記位置規制部材設置工程では、前記位置規制部材の形成は、前記端子と前記電子部品とをワイヤボンディングにより接続する際に合わせて行われることが好ましい。
これにより、圧電デバイスの製造工程の簡易化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の圧電デバイスの第1実施形態を示す断面図である。
【図2】図1に示す圧電デバイスが備えるパッケージの上面図および下面図である。
【図3】図1に示す圧電デバイスが備えるスペーサを示す断面図である。
【図4】図1に示す圧電デバイスが備える位置規制部材を示す斜視図である。
【図5】図1に示す圧電デバイスの上面図である。
【図6】図1に示す圧電デバイスをモールドした状態を示す断面図である。
【図7】図6に示す圧電デバイスの製造方法を説明する断面図である。
【図8】図6に示す圧電デバイスの製造方法を説明する断面図である。
【図9】図6に示す圧電デバイスの製造方法を説明する断面図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る圧電デバイスのxy平面図である。
【図11】図10に示す圧電デバイスのxz平面図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係る圧電デバイスのxy平面図である。
【図13】図12中のA−A線断面図である。
【図14】本発明の他の実施形態に係る圧電デバイスのxy平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の圧電デバイスを添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の圧電デバイスの第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の圧電デバイスの第1実施形態を示す断面図、図2は、図1に示す圧電デバイスが備えるパッケージの上面図および下面図、図3は、図1に示す圧電デバイスが備えるスペーサを示す断面図、図4は、図1に示す圧電デバイスが備える位置規制部材を示す斜視図、図5は、図1に示す圧電デバイスの上面図、図6は、図1に示す圧電デバイスをモールドした状態を示す断面図、図7ないし図9は、それぞれ、図6に示す圧電デバイスの製造方法を説明する断面図である。
【0024】
なお、以下の説明では、図1中互いに直交する3つの軸をx軸、y軸およびz軸とする。このうち、実装基板4の上面(パッケージ側の面)に平行な面をxy平面とする。また、3軸の交点からx軸の一方側(図1中矢印側)に向かう方向に平行な方向を「+x軸方向」と言い、他方側に向かう方向に平行な方向を「−x軸方向」と言いう。また、「+x軸方向」および「−x軸方向」の両者を合わせて「x軸方向」とも言う。y軸、z軸についてもこれと同様である。また、図1、図3、図4、図6〜図8中の上側を「上」、下側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言う。
【0025】
図1に示す圧電デバイス1は、圧電振動片2を収容するパッケージ3と、スペーサ51〜54を介してパッケージ3を実装(固定・支持)する実装基板4と、パッケージ3と実装基板4の間に位置するように実装基板4上に設けられた電子部品6と、パッケージ3のずれを抑制する位置規制部材7とを有している。以下、これらについて、順次、詳細に説明する。
【0026】
まず、圧電振動片2について説明する。
本実施形態では、圧電振動片2は、弾性表面波素子である。図2に示すように、弾性表面波素子2は、長手形状をなす圧電体基板21と、圧電体基板21上に設けられたIDT(櫛歯電極)22と、IDT22の両側に配置された一対の反射器23a、23bとを有している。
【0027】
圧電体基板21は、水晶で構成されている。圧電体基板21を水晶で構成することにより優れた温度特性を発揮することができる。なお、圧電体基板21は、例えば、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、ホウ酸リチウム等の水晶以外の圧電材料で構成されていてもよい。
IDT22は、圧電体基板21の中央部に設けられている。このIDT22は、一対の電極22a、22bで構成されている。一対の電極22a、22bは、電極22aの電極指221aと、電極22bの電極指221bとが噛み合うように配置されている。一対の電極22a、22b間に電圧を印加すると、圧電体基板21の圧電効果によって、電極指221a、221b間に周期的なひずみが生じ、弾性表面波が励起される。励起した弾性表面波は、電極指221a、221bの連続方向(すなわち、圧電体基板21の長手方向)に沿って伝搬する。
【0028】
一対の反射器23a、23bは、前述した弾性表面波の伝搬方向において、IDT22を挟んでその両側に配置されている。このような反射器23a、23bは、圧電体基板21に伝搬する弾性表面波を反射して、反射器23aと反射器23bとの間に封じ込める機能を有する。
このようなIDT22および反射器23a、23bは、全体的に、圧電体基板21の長手方向の一端側(図2中右側の端側)にずれて形成されている。そして、圧電体基板21の他端側(図2中左側の端側)には、一対の引出電極24a、24bが形成されている。引出電極24a、24bは、それぞれ、圧電体基板21の上面(IDT22が形成されている面)から側面を介して下面に回り込むように形成されている。また、引出電極24aは、電極22aと電気的に接続されており、引出電極24bは、電極22bと電気的に接続されている。
【0029】
このようなIDT22、反射器23a、23bおよび引出電極24a、24bは、それぞれ、アルミニウム、アルミニウム合金等の導電性の優れた金属材料により形成することができる。
このような弾性表面波素子2を備えることにより、圧電デバイス1は、SAW共振子やSAW発振器等のSAWデバイスを構成することができる。
【0030】
次いで、弾性表面波素子2を収容・固定するパッケージ3について説明する。
パッケージ3は、平面視(xy平面視)にて、略矩形状である。より具体的には、パッケージ3は、その平面視(xy平面視)にて、略長方形状をなしており、その長辺および短辺が、それぞれ、x軸方向およびy軸方向と平行となっている。
【0031】
図1に示すように、このようなパッケージ3は、板状のベース基板31と、枠状の枠部材32と、板状の蓋部材33とを有している。ベース基板31と、枠部材32と、蓋部材33とは、実装基板4側からこの順で積層している。ベース基板31と枠部材32および枠部材32と蓋部材33は、それぞれ、例えば、接着剤やロウ材を介して接合されている。そして、パッケージ3は、ベース基板31、枠部材32および蓋部材33で画成された内部空間Sに弾性表面波素子2を収容している。
このようなベース基板31の構成材料としては、絶縁性(非導電性)を有しているものが好ましく、例えば、各種ガラス、酸化物セラミックス、窒化物セラミックス、炭化物系セラミックス等の各種セラミックス、ポリイミド等の各種樹脂材料などを用いることができる。
【0032】
また、枠部材32および蓋部材33の構成材料としては、例えば、ベース基板31と同様の構成材料、Al、Cu等の各種金属材料、各種ガラス材料などを用いることができる。特に、蓋部材33の構成材料として、ガラス材料等の光透過性を有するものを用いた場合には次のような効果を発揮することができる。すなわち、まず、圧電体基板21に、予め金属被覆部(図示せず)を形成しておく。これにより、弾性表面波素子2をパッケージ3内に収容した後であっても、蓋部材33を介して前記金属被覆部にレーザを照射し、前記金属被覆部を除去して圧電体基板21の質量を減少させることにより(質量削減方式により)、弾性表面波素子2の周波数調整を行うことができる。
【0033】
図1および図2に示すように、ベース基板31の上面には、一対の内部端子34a、34bが内部空間Sに露出するように形成されている。この内部端子34a、34bの上には、それぞれ、エポキシ系、ポリイミド系等の導電性接着剤39a、39bが塗布されて(盛られて)おり、さらに、この導電性接着剤39a、39b上に、前述した弾性表面波素子2がIDT22等が形成された面を上側(蓋部材33側)にして載置されている。そして、導電性接着剤39a、39bを硬化することにより、弾性表面波素子2を内部端子34a、34b(ベース基板31)に固定する。
【0034】
なお、この固定は、導電性接着剤39aが引出電極24aに接触するとともに、導電性接着剤39bが引出電極24bに接触するようにして行われる。これにより、導電性接着剤39a、39bを介して、弾性表面波素子2がベース基板31に固定されるとともに、導電性接着剤39aを介して引出電極24aおよび内部端子34aが電気的に接続され、導電性接着剤39bを介して引出電極24bおよび内部端子34bが電気的に接続される。
また、図1および図2に示すように、ベース基板31の下面には、その四隅(角)付近に位置するように4つの外部端子35a、35b、35c、35dが設けられている。これら外部端子35a〜35dは、それぞれ、実装基板4上に設けられた後述する4つの接続端子41a〜41dに対向するように位置する。
【0035】
4つの外部端子35a〜35dのうち、外部端子35a、35bは、それぞれ、ベース基板31に形成されたビアホールを介して内部端子34a、34bに電気的に接続されたホット端子である。他の2つの外部端子35c、35dは、それぞれ、パッケージ3を実装基板4に実装するときの接合強度(スペーサ51〜54とパッケージ3の接合強度)を高めるためのダミー端子である。
このような内部端子34a、34bおよび外部端子35a〜35dは、それぞれ、例えば、タングステンおよびニッケルメッキの下地層に、金メッキを施すことで形成することができる。
【0036】
次いで、上記のようなパッケージ3を実装(固定する)する実装基板4について説明する。図3に示すように、実装基板4は、その平面視(xy平面視)にて、略長方形状をなしており、その長辺および短辺が、それぞれ、x軸方向およびy軸方向と平行となっている。また、実装基板4は、前述したパッケージ3のベース基板31よりも若干大きく形成されている。
【0037】
実装基板4は、リジッド基板、フレキシブル基板あるいはリジッドフレキシブル基板のいずれでもよい。また、実装基板4の構成材料としては、絶縁性(非導電性)を有しているものが好ましく、例えば、各種ガラス、酸化物セラミックス、窒化物セラミックス、炭化物系セラミックス等の各種セラミックス、ポリイミド等の各種樹脂材料などを用いることができる。
【0038】
図2および図3に示すように、実装基板4の上面(パッケージ3側の面)には、4つの接続端子41a、41b、41c、41dと、配線パターン42とが形成されている。4つの接続端子41a〜41dは、それぞれ、パッケージ3の外部端子35a〜35dと対向するように、実装基板4の角部付近に形成されている。また、これら接続端子41a〜41dのうち、外部端子(ホット端子)35a、35bに対応する接続端子41a、41bは、それぞれ、配線パターン42と電気的に接続されている。
【0039】
一方、図1に示すように、実装基板4の下面には、例えば、圧電デバイス1を実装する回路基板(図示しない)と電気的、機械的に接続される実装端子43が複数形成されている。各実装端子43は、実装基板4に形成されたビアホールを介して配線パターン42と電気的に接続されている。
なお、実装基板4の下面には、必要に応じて、電子部品(後述するIC)6の特性検査や、電子部品6内部の各種情報(例えば、圧電デバイス1の温度補償情報)の書き換え(調整)を行うための書込端子を形成してもよい。
【0040】
実装基板4の上面(部品実装面)の中央部には、電子部品6が搭載(載置)されている。電子部品6は、弾性表面波素子2を駆動するための回路素子としての例えば集積回路素子(以下、単に「IC」とも言う)である。図1に示すように、IC6は、絶縁性(非導電性)の接着剤や、接着シート等の接着部材44により実装基板4に固定されており、さらに、金属ワイヤ(ボンディングワイヤ)45により、配線パターン42と電気的に接続されている。これにより、各端子(接続端子41a、41bおよび実装端子43)とIC6とが配線パターン42を介して電気的に接続される。
【0041】
実装基板4は、その上面側にて、スペーサ51〜54を介してパッケージ3を固定している。スペーサ51〜54は、IC6の周囲に配置されており、実装基板4の上面とパッケージ3の外底面との間に、IC6等を搭載するための隙間を形成する機能を有している。これにより、パッケージ3とIC6とを圧電デバイス1の高さ方向に重ねる(積層する)ことができるため、圧電デバイス1の小型化を図ることができる。
スペーサ51は、実装基板4の接続端子41a上に形成されている。これと同様に、スペーサ52、53、54は、それぞれ、実装基板4の接続端子41b、41c、41d上に形成されている。
【0042】
以下、スペーサ51〜54の構成について具体的に説明するが、これらスペーサ51〜54は、それぞれに同様の構成であるため、スペーサ51について代表して説明し、スペーサ52〜54については、その説明を省略する。
スペーサ51は、球状をなしている。図3(a)に示すように、スペーサ51は、球状の核511と、核511の表面にコーティングされた半田(導電性材料層)512とで構成されている。また、核511は、半田512の融点よりも高い融点を有している。核511の構成材料としては、半田512の融点より高い材料であれば、特に限定されず、例えば、金、銀、銅等の各種金属材料を用いることができる。
【0043】
スペーサ51を半田512の融点以上かつ核511の融点以下に加熱し、半田512を溶融させることにより、図3(b)に示すように、核511にスペーサとしての機能(すなわち、パッケージ3と実装基板4との間にIC6を設けるための隙間を形成する機能)を発揮させつつ、スペーサ51と外部端子35aおよびスペーサ51と接続端子41aをそれぞれ半田512を介して接合することができる。そのため、比較的簡単に、パッケージ3をスペーサ51を介して実装基板4に実装(固定)することができる。さらに、半田512を介して外部端子35aと接続端子41aとを電気的に接続することができ、圧電デバイス1の部品点数(製造コスト)を削減できる。
【0044】
次いで、位置規制部材7について説明する。
位置規制部材7は、パッケージ3をスペーサ51〜54上に載置する際に、パッケージ3のxy平面方向での位置(配置)を定める機能、すなわち、パッケージ3のx軸方向およびy軸方向への変位を抑制する機能を有する。
【0045】
図4に示すように、位置規制部材7は、実装基板4に設けられた金属ワイヤ71〜74を有している。このような各金属ワイヤ71〜74は、その両端部が実装基板4に接合されており、実装基板4の上面を基準とした高さがパッケージ3の外底面より高いアーチ状に湾曲したループ形状を備えている(パッケージ3側に向けて凸となるように撓んでいる)。また、これら金属ワイヤ71〜74は、実装基板4の平面視にて、パッケージ3の外周を囲むように設けられている。このように、パッケージ3の周囲に配置された金属ワイヤ71〜74、すなわち線材を位置規制部材7を構成することにより、位置規制部材7の構成を簡単なものとすることができる。また、位置規制部材7の設置スペースを小さくすることができ、圧電デバイス1の大型化を防止することができる。
【0046】
各金属ワイヤ71〜74の実装基板4への接合は、それぞれ、ワイヤボンディングによりなされる。これにより、所定位置に、所定形状(所定高さ)をなす金属ワイヤ71〜74をそれぞれ高精度にかつ簡単に形成することができる。なお、実装基板4と金属ワイヤ71〜74との接合強度を高めるために、例えば、実装基板4上面の金属ワイヤ71〜74の両端を接合する部位に、金属材料で構成された薄膜を形成し、当該薄膜上に金属ワイヤ71〜74の両端を接合してもよい。
【0047】
各金属ワイヤ71〜74の頂部は、z軸方向においてパッケージ3に包含されるように位置している(図1参照)。すなわち、実装基板4の上面を基準とした各金属ワイヤ71〜74の高さをT1とし、各スペーサ51〜54の高さをT2とし、パッケージ3の高さをT3としたとき、T1は、T2<T1<T3なる関係を満足する。
各金属ワイヤ71〜74の高さを上記範囲とすることにより、パッケージ3がスペーサ51〜54上に載置された状態(ただし、半田512によりパッケージ3とスペーサ51〜54とが接合されておらず、パッケージ3が、スペーサ51〜54に対して変位可能な状態。以下同様)にて、パッケージ3のx軸方向およびy軸方向への変位を抑制することができる。そのため、パッケージ3の位置(実装基板4に対する位置)を定めることができ、パッケージ3を所定位置に配置することができる。さらに、z軸方向にて、各金属ワイヤ71〜74の頂部がパッケージ3の上面から突出することを防止でき、圧電デバイス1の小型化を図ることができる。
【0048】
なお、各金属ワイヤ71〜74の高さは、上記範囲に限定されず、その頂部が、パッケージ3のベース基板31の下面(実装基板4と対向する面)よりも上側(蓋部材33側)に位置していればよい。これにより、パッケージ3がスペーサ51〜54上に載置された状態における、パッケージ3のx軸方向およびy軸方向への変位を抑制することができ、パッケージ3の位置を定めることができる。
【0049】
本実施形態では、金属ワイヤ71〜74は、xy平面視にて、パッケージ3の各辺(すなわち、4つの辺)に対して設けられている。すなわち、金属ワイヤ71は、図5中下側の辺に対して設けられており、金属ワイヤ72は、図5中上側の辺に対して設けられており、金属ワイヤ73は、図5中右側の辺に対して設けられており、金属ワイヤ74は、図5中左側の辺に対して設けられている。これにより、パッケージ3がスペーサ51〜54上に載置された状態にて、パッケージ3のx軸方向およびy軸方向の変位を抑制することができ、パッケージ3の位置を定めることができる(パッケージ3を所定位置に配置することができる)。
【0050】
より具体的に説明すれば、パッケージ3がスペーサ51〜54上に載置された状態にて、パッケージ3が+x軸方向に変位するのを金属ワイヤ74が抑制し、−x軸方向に変位するのを金属ワイヤ73が抑制する。同様に、パッケージ3が+y軸方向に変位するのを金属ワイヤ71が抑制し、−y軸方向に変位するのを金属ワイヤ72が抑制する。これにより、パッケージ3のx軸方向およびy軸方向の変位を抑制することができ、パッケージ3の位置を定めることができる。
【0051】
また、各金属ワイヤ71〜74は、xy平面視にて、パッケージ3の対応する辺と平行な方向に延在するように形成されている。すなわち、金属ワイヤ71、72は、それぞれ、x軸方向に延在し、金属ワイヤ73、74は、それぞれ、y軸方向に延在している。これにより、各金属ワイヤ71〜74の配置スペースを小さくすることができる。
また、図5に示すように、各金属ワイヤ71〜74は、それぞれ、パッケージの対応する辺と離間している。言い換えれば、xy平面視にて、y軸方向に対向する金属ワイヤ71、72の離間距離は、パッケージ3の短辺の長さ(y軸方向の長さ)よりも大きく、x軸方向に対向する金属ワイヤ73、74の離間距離は、パッケージ3の長辺の長さ(x軸方向の長さ)よりも大きい。各金属ワイヤ71〜74と、それに対応する辺との離間距離dとしては、特に限定されないが、10μm〜30μm程度であることが好ましく、20μm程度であることがより好ましい。
【0052】
これにより、圧電デバイス1の製造工程において、パッケージ3をスペーサ51〜54上に載置する際に、当該載置が金属ワイヤ71〜74により阻害されることを防止でき、圧電デバイス1の製造が容易となる。さらに、パッケージ3がスペーサ51〜54上に載置された状態では、パッケージのx軸方向およびy軸方向への変位をほとんど生じさせないため、パッケージ3の位置を高精度に定めることができる。
【0053】
各金属ワイヤ71〜74の径(直径)としては、特に限定されないが、10μm〜30μm程度であるのが好ましい。これにより、位置規制部材7の機械的強度を、その目的を達成するのに十分なもの(パッケージ3との接触により破損しない程度の強さ)とすることができるとともに、金属ワイヤ71〜74の設置スペースを小さくすることができ、圧電デバイス1の大型化を防止することができる。
各金属ワイヤ71〜74の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、金、銅等の各種金属、またはこれらのうちの少なくとも1種を含む合金等が挙げられる。
【0054】
以上、本実施形態の圧電デバイス1について説明したが、図6に示すように、このような圧電デバイス1に流動性のある樹脂で構成されたモールド材8を流し込み、パッケージ3の蓋部材33の上面および実装基板4の下面がそれぞれ外部に露出するように、圧電デバイス1全体をモールド材8で覆ってもよい。
【0055】
次いで、圧電デバイス1の製造方法(本発明の圧電デバイスの製造方法)について説明する。
圧電デバイス1の製造方法は、[1]接続端子41a〜41d、配線パターン42および実装端子43が形成された実装基板4上にIC6を搭載する第1の工程と、[2]ワイヤボンディングによりIC6と配線パターン42とを電気的に接続するとともに、ワイヤボンディングにより金属ワイヤ71〜74をアーチ状となるように実装基板4に接合して位置規制部材7を形成する第2の工程と、[3]位置規制部材7によってパッケージ3の位置を定めつつ、パッケージ3をIC6を介して実装基板4と対向するようにスペーサ51〜54を介して実装基板4に実装する第3の工程と、[4]パッケージ3と実装基板4の間の隙間にモールド材8を充填する第4の工程とを有している。以下、これら工程を詳細に説明する。
【0056】
[1]第1の工程
まず、図7(a)に示すように、上面に接続端子41a〜41dおよび配線パターン42が形成され、下面にビアホールを介して配線パターン42と導通する実装端子43が形成された実装基板4を用意する。接続端子41a〜41dおよび配線パターン42は、例えば、実装基板4の上面に導電性膜(金属膜)をスパッタリング等により形成し、エッチングにより前記導電性膜の不要な部分(接続端子41a〜41dおよび配線パターン42に対応しない部分)を除去することにより形成することができる。実装端子43についても同様にして形成することができる。
【0057】
次いで、図7(b)に示すように、実装基板4の上面に、接着剤である接着部材44を介してIC6を載置し、接着部材44を固化することにより、IC6を実装基板4に固着(固定)する。
[2]第2の工程(位置規制部材設置工程)
まず、図7(c)に示すように、ワイヤボンディング(ボンディングワイヤ45)により、IC6と配線パターン42とを電気的に接続する。また、これとともに、図7(d)に示すように、ワイヤボンディングにより、アーチ状に湾曲するように、金属ワイヤ71〜74の両端をそれぞれ接続端子41a上に接合する。これにより、実装基板4に位置規制部材7が形成される。
【0058】
このように、ワイヤボンディングにより位置規制部材7を形成することにより、位置規制部材7を所望位置に高精度かつ簡単に形成することができる。また、位置規制部材7を金属ワイヤ71〜74により構成することより、IC6と配線パターン42とをワイヤボンディングする際に、あわせて、位置規制部材7を形成することができる。そのため、圧電デバイス1の製造工程の簡易化を図ることができる。
なお、位置規制部材7を形成する際に用いるワイヤボンディングとしては、特に限定されず、例えば、ボールボンディング、ウェッジボンディング等の各種ボンディングを用いることができる。例えば、ボールボンディングを用いた場合には、次のようにして金属ワイヤ71〜74を形成することができる。
【0059】
図8(a)に示すように、キャピラリー101の先端に確保された金属ワイヤ102の先端に高電圧をかけて火花を飛ばし、金属ワイヤ102の先端を溶かすと、溶けた部分が表面張力により球状に固まる。これにより、金属ワイヤ102の先端にボール(FAB)が形成される。この状態で、ワイヤクランプ103を開けてキャピラリー101を降下する。
図8(b)に示すように、金属ワイヤ102の先端に形成されたボールが実装基板4に接触すると、ボールに熱、加重、超音波を与えることにより第1ボンド104を形成する。
【0060】
次いで、図8(c)に示すように、キャピラリー101を一定の高さまで上昇させた後、第2ボンディングの位置まで移動する。この際、第1ボンド位置から第2ボンド位置までのキャピラリー101の軌道を適宜設定することにより、金属ワイヤ102を所望の形状とすることができる。
図8(d)に示すように、再びキャピラリー101を下降し、金属ワイヤ102を実装基板4に押し付け、金属ワイヤ102に熱、加重、超音波を与える。これにより、第2ボンド105を形成する。
【0061】
最後に、図8(e)に示すように、金属ワイヤ102を残したままキャピラリー101を上昇させ、キャピラリー101の先端に一定の長さを金属ワイヤ102を確保した後、ワイヤクランプ103を閉じ、第2ボンド105の位置で金属ワイヤ102を切断する(引きちぎる)。
以上のようにして、金属ワイヤ71を形成することができる。
【0062】
[3]第3の工程(パッケージ実装工程)
次いで、図9(a)に示すように、半田ボールからなるスペーサ51〜54を実装基板4の接続端子41a〜41d上に載置する。
次いで、図9(b)に示すように、圧電振動片2を収容したパッケージ3の位置を位置規制部材7により定めつつ、パッケージ3を実装基板4の上方からスペーサ51〜54上に載置する。この時、パッケージ3の外部端子35a〜35dが、それぞれ、スペーサ51〜54と接触するようにパッケージ3を載置する。この状態で、半田512の融点以上かつ核511の融点以下に加熱し、半田512を溶融することにより、スペーサ51〜54と外部端子35a〜35dおよびスペーサ51〜54と接続端子41a〜41dを接合する。これにより、パッケージ3がスペーサ51〜54を介して実装基板4に実装(固着)される。
【0063】
[4]第4の工程
次いで、図9(c)に示すように、パッケージ3と実装基板4との間の隙間(空間)にモールド材8を充填し固化することにより、パッケージ3と実装基板4とが接近した状態が維持される。これにより、圧電デバイス1の小型化(薄型化)を図ることができる。
以上のようにして圧電デバイス1を製造することができる。
【0064】
<第2実施形態>
次に、本発明の圧電デバイスの第2実施形態について説明する。
図10は、本発明の第2実施形態に係る圧電デバイスのxy平面図、図11は、図10に示す圧電デバイスのxz平面図である。
以下、第2実施形態の圧電デバイスについて、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0065】
本発明の第2実施形態にかかる圧電デバイスは、位置規制部材7の構成が異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
図10に示すように、位置規制部材7Aは、xy平面視にて、パッケージ3の各辺に対して2本ずつ設けられた金属ワイヤ71A〜78Aを有している。具体的には、図10下側の辺に対して金属ワイヤ71A、75Aが形成されており、図10上側の辺に対して金属ワイヤ72A、76Aが形成されており、図10左側の辺に対して金属ワイヤ73A、77Aが形成されており、図10右側の辺に対して金属ワイヤ74A、78Aが形成されている。
【0066】
なお、金属ワイヤ71A、75Aの組、金属ワイヤ72A、76Aの組、金属ワイヤ73A、77Aの組および金属ワイヤ74A、78Aの組は、それぞれ、同様の構成をなしているため、以下では、金属ワイヤ71A、75Aの組について説明し、その他の組については、その説明を省略する。
金属ワイヤ71A、75Aは、それぞれ、アーチ状に湾曲している。また、金属ワイヤ71A、75Aは、それぞれ、xy平面視にて、x軸方向に延在して設けられている。すなわち、xy平面視して、金属ワイヤ71A、75Aは、それぞれ、パッケージ3の対応する辺とほぼ同じ方向に延在している。
【0067】
また、図11に示すように、金属ワイヤ71Aの頂部と、金属ワイヤ75Aの頂部とは、x軸方向(すなわち、金属ワイヤ71A、75Aの延在方向)にずれている。このように、金属ワイヤ71A、75Aの頂部の位置をx軸方向にずらすことにより、xy平面視して、パッケージ3の1辺に対して2か所でパッケージ3の位置を定めることができる(パッケージ3の変位を規制することができる)。そのため、より高精度に、パッケージ3の位置を定めることができる。特に本実施形態では、パッケージ3の各辺それぞれに対して2か所ずつ、計8か所でパッケージ3の位置を定めているため、より高精度にパッケージ3の位置を定めることができる。
【0068】
なお、金属ワイヤ71A、75Aの頂部をx軸方向にずらす方法としては、特に限定されないが、例えば、金属ワイヤ71A、75Aをともにボールボンディングにより形成する場合には、金属ワイヤ71Aの第1ボンド位置と金属ワイヤ75Aの第2ボンド位置とをy軸方向に並べるようにし、金属ワイヤ71Aの第2ボンド位置と金属ワイヤ75Aの第1ボンド位置とをy軸方向に並べるようにすればよい。これにより、簡単に、頂部のずれた金属ワイヤ71A、75Aを形成することができる。
このような第2実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0069】
<第3実施形態>
次に、本発明の圧電デバイスの第3実施形態について説明する。
図12は、本発明の第3実施形態に係る圧電デバイスのxy平面図、図13は、図12中のA−A線断面図である。
以下、第3実施形態の圧電デバイスについて、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0070】
本発明の第3実施形態にかかる圧電デバイスは、各スペーサ(4つのスペーサ)の形状が異なる以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、前述した第1実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
親基板120(実装基板4となる基板)上に、複数のIC6およびパッケージ3を実装し、複数の圧電デバイス1を一括して製造する場合には、位置規制部材7Bは、図1および図13に示すような構成であってもよい。
【0071】
図12に示すように、位置規制部材7Bは、隣り合う圧電デバイス1の境界部を跨ぐように形成された金属ワイヤ71B〜78Bを有している。金属ワイヤ71B、75Bは、図12中の中央に位置する圧電デバイス1aと、その下側に位置する圧電デバイス1bとの境界を跨ぐように形成されている。同様に、金属ワイヤ72B、76Bは、圧電デバイス1aと、その上側に位置する圧電デバイス1cとの境界を跨ぐように形成され、金属ワイヤ73B、77Bは、圧電デバイス1aと、その左側に位置する圧電デバイス1dとの境界を跨ぐように形成され、金属ワイヤ74B、78Bは、圧電デバイス1aと、その右側に位置する圧電デバイス1eとの境界を跨ぐように形成されている。
【0072】
なお、金属ワイヤ71B、75Bの組、金属ワイヤ72B、76Bの組、金属ワイヤ73B、77Bの組および金属ワイヤ74B、78Bの組は、それぞれ、同様の構成をなしているため、以下では、金属ワイヤ71B、75Bの組について説明し、その他の組については、その説明を省略する。
金属ワイヤ71B、75Bは、それぞれ、アーチ状に湾曲している。また、金属ワイヤ71B、75Bは、xy平面視にて、x軸方向に並設されており、それぞれ、y軸方向に延在している。すなわち、xy平面視して、金属ワイヤ71A、75Aは、それぞれ、パッケージ3の対応する辺とほぼ直交する方向に延在している。
【0073】
また、図13に示すように、金属ワイヤ71Aの頂部と、金属ワイヤ75Aの頂部とは、y軸方向(すなわち、金属ワイヤ71A、75Aの延在方向)にずれている。具体的には、金属ワイヤ71Bの頂部は、圧電デバイス1aの領域内に位置しており、金属ワイヤ72Bの頂部は、圧電デバイス1bの領域内に位置している。そのため、金属ワイヤ71Bは、主に、圧電デバイス1aにおけるパッケージ3の位置を定める機能を有し、金属ワイヤ75Bは、主に、圧電デバイス1bにおけるパッケージ3の位置を定める機能を有しする。
【0074】
なお、金属ワイヤ71B、75Bを第1実施形態で述べたようなボールボンディングにより形成する場合には、金属ワイヤ71Bの第1ボンド位置を圧電デバイス1aの領域内とし、第2ボンド位置を圧電デバイス1bの領域内とすることにより、上述のような、圧電デバイス1aの領域内に頂部が位置する金属ワイヤ71Bを簡単に形成することができる。これと反対に、金属ワイヤ75Bは、第1ボンド位置を圧電デバイス1bの領域内とし、第2ボンド位置を圧電デバイス1aの領域内とすればよい。
【0075】
なお、親基板120上に形成された複数の圧電デバイスは、最終的に、隣り合う圧電デバイスの境界に沿って切断され、分離した個々の圧電デバイスとなるが、当該切断の際には、金属ワイヤ71B〜78Bも切断されることとなる。しかしながら、既に、パッケージ3の位置決めが完了しているため、金属ワイヤ71B〜78Bが切断されても問題は生じない。特に、圧電デバイスがモールド材8によりモールドされている場合には、切断された金属ワイヤ71B〜78Bが揺れ動くことを効果的に防止することができる。
このような第3実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。なお、金属ワイヤ71B〜78Bの配置としては、図14に示すようにしてもよい。
【0076】
以上、本発明の圧電デバイスおよび圧電デバイスの製造方法を図示の各実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、他の任意の構成物や、工程が付加されていてもよい。また、本発明の圧電デバイスは、前記各実施形態のうち、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0077】
また、前述した実施形態では、xy平面視にて、パッケージの各辺に対して金属ワイヤが形成されている構成について説明したが、これに限定されず、1つの辺に対してのみ金属ワイヤが形成されていてもよいし、対向する2つの辺に対してのみ金属ワイヤが形成されていてもよい。これによっても、パッケージのx軸方向およびy軸方向のいずれかの位置を定めることができる。
また、前述した実施形態では、圧電振動片として表面弾性波素子を用いた構成について説明したが、圧電振動片としては、これに限定されず、例えば、厚みすべり型振動片または音叉型振動片等の振動片や、水晶等の圧電体を用いたジャイロセンサであってもよい。
【符号の説明】
【0078】
1、1a〜1e……圧電デバイス 2……圧電振動片(弾性表面波素子) 21……圧電体基板 22……IDT 22a、22b……電極 221a、221b……電極指 23a、23b……反射器 24a、24b……引出電極 3……パッケージ 31……ベース基板 32……枠部材 33……蓋部材 34a、34b……内部端子 35a〜35d……外部端子 39a、39b……導電性接着剤 4……実装基板 41a〜41d……接続端子 42……配線パターン 43……実装端子 44……接着部材 45……ボンディングワイヤ 51〜54……スペーサ 6……電子部品(IC) 7、7A、7B……位置規制部材 71〜74、71A〜78A、71B〜78B……金属ワイヤ 8……モールド材 511……核 512……半田 101……キャピラリー 102……金属ワイヤ 103……ワイヤクランプ 104……第1ボンド 105……第2ボンド 120……親基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電振動片を収容し、外底面を有するパッケージと、
部品実装面を有する実装基板と、
前記実装基板の前記部品実装面に設けられ、前記パッケージの前記外底面を支持するスペーサと、
前記スペーサにより形成された前記パッケージの前記外底面および前記実装基板の前記部品実装面間の隙間に配置され、前記圧電振動片を駆動する電子部品と、
前記実装基板に対する前記パッケージの位置を規制する位置規制部材であって、前記実装基板の前記部品実装面に設けられ、前記部品実装面を基準とした高さが前記外底面よりも高い位置規制部材とを有することを特徴とする圧電デバイス。
【請求項2】
前記位置規制部材は、前記実装基板の平面視にて、前記パッケージの周囲に設けられ、前記部品実装面を基準とした高さが前記外底面より高いループ形状を備えた金属ワイヤを有している請求項1に記載の圧電デバイス。
【請求項3】
前記金属ワイヤの両端部は、それぞれ、ワイヤボンディングにより前記実装基板の前記部品実装面に接合されている請求項2に記載の圧電デバイス。
【請求項4】
前記金属ワイヤは、前記実装基板の平面視にて、前記パッケージの周囲に沿って延在するように設けられている請求項2または3に記載の圧電デバイス。
【請求項5】
前記金属ワイヤは、前記パッケージと離間している請求項2ないし4のいずれかに記載の圧電デバイス。
【請求項6】
前記部品実装面を基準とした前記金属ワイヤの高さをT1とし、前記スペーサの高さをT2とし、前記パッケージの高さをT3としたとき、T2<T1<T3なる関係を有する請求項2ないし5のいずれかに記載の圧電デバイス。
【請求項7】
前記パッケージは、前記実装基板の平面視にて、矩形状であり、
前記位置規制部材は、前記実装基板の平面視にて、前記パッケージの対向する一対の辺に対して配置された一対の金属ワイヤを有している請求項2ないし6のいずれかに記載の圧電デバイス。
【請求項8】
前記位置規制部材は、前記実装基板の平面視にて、前記対向する一対の辺とは異なる一対の辺に対して配置された一対の金属ワイヤを有している請求項7に記載の圧電デバイス。
【請求項9】
前記パッケージは、前記実装基板の平面視にて、矩形状であり、
前記位置規制部材は、前記実装基板の平面視にて、前記パッケージの少なくとも一辺に対して複数配置された金属ワイヤを有し、
前記一辺に対して配置された複数の前記金属ワイヤは、少なくとも2つの金属ワイヤの互いの頂部が前記一辺の延在方向にずれるよう設けられている請求項2ないし8のいずれかに記載の圧電デバイス。
【請求項10】
圧電振動片を収容したパッケージと、部品実装面を有する実装基板と、前記実装基板の前記部品実装面に設けられ、前記パッケージの前記外底面を支持するスペーサと、前記実装基板に対する前記パッケージの位置を規制する位置規制部材と、前記スペーサにより形成された前記パッケージの前記外底面および前記実装基板の前記部品実装面間の隙間に配置され、前記圧電振動片を駆動する電子部品とを有する圧電デバイスの製造方法であって、
前記実装基板の前記部品実装面に前記位置規制部材を設ける位置規制部材設置工程と、
前記位置規制部材によって前記パッケージの位置を定めつつ、前記スペーサを介して前記パッケージを前記実装基板に実装するパッケージ実装工程とを有していることを特徴とする圧電デバイスの製造方法。
【請求項11】
前記位置規制部材設置工程では、前記部品実装面を基準とした高さが前記外底面より高いループ形状を備えた金属ワイヤを前記実装基板の前記部品実装面に設けることにより前記位置規制部材を形成する請求項10に記載の圧電デバイスの製造方法。
【請求項12】
前記位置規制部材設置工程では、ワイヤボンディングにより、前記金属ワイヤの両端部を前記実装基板の前記部品実装面に接合することにより前記位置規制部材を形成する請求項11に記載の圧電デバイスの製造方法。
【請求項13】
前記実装基板には端子が形成されており、
前記位置規制部材設置工程では、前記位置規制部材の形成は、前記端子と前記電子部品とをワイヤボンディングにより接続する際に合わせて行われる請求項12に記載の圧電デバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−206504(P2010−206504A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−49559(P2009−49559)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(000003104)エプソントヨコム株式会社 (1,528)
【Fターム(参考)】