圧電デバイスの製造方法及び圧電デバイス
【課題】スルーホールを有しないベースで且つウエハ単位で製造できる圧電デバイス及びその製造方法を提供する。
【解決手段】圧電デバイス(100)は、一対の外部電極(125)が形成される第1面とその第1面の反対側で第1凹み部(121)及びその第1凹み部の周囲の第1接合面(M1)が形成される第2面と第1接合面から第1面と第2面とを結ぶ側面を介して外部電極と接続する一対の接続電極(124)とを有する矩形状のベース(12)と、接続電極と接続する一対の励振電極を有しベースに保持される圧電振動片(10)と、圧電振動片を覆う第2凹み部及びその第2凹み部(111)の周囲の第2接合面(M2)が形成されたリッド(11)と、第1接合面と第2接合面との間に環状に配置されベースとリッドとを封止する環状の封止材(LG)と、を備える。
【解決手段】圧電デバイス(100)は、一対の外部電極(125)が形成される第1面とその第1面の反対側で第1凹み部(121)及びその第1凹み部の周囲の第1接合面(M1)が形成される第2面と第1接合面から第1面と第2面とを結ぶ側面を介して外部電極と接続する一対の接続電極(124)とを有する矩形状のベース(12)と、接続電極と接続する一対の励振電極を有しベースに保持される圧電振動片(10)と、圧電振動片を覆う第2凹み部及びその第2凹み部(111)の周囲の第2接合面(M2)が形成されたリッド(11)と、第1接合面と第2接合面との間に環状に配置されベースとリッドとを封止する環状の封止材(LG)と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リッドウエハ又はベースウエハで形成されたパッケージに圧電振動片が個々に載置される圧電デバイスの製造方法及び圧電デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
表面実装用の圧電デバイスは、特許文献1に示されるように、一般にアルミナセラミックの絶縁性ベースとそのセラミックベースの開口部にガラス又はコバール合金のリッドが固着されている。セラミックベースとリッドとがキャビティを形成し、そのキャビティ内に圧電振動片が収納されている。
【0003】
また、特許文献2に示されるように、ベースがセラミックではなくコスト低減のためガラスを使用している表面実装用の圧電デバイスもある。そしてガラスベースとリッドとが低融点ガラスで固着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−333037号公報
【特許文献2】特開2005−057520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された圧電デバイスは、セラミックベースであり個々に製造する必要があるためコスト低減の観点からは好ましくない。特許文献2に開示された圧電デバイスは、ガラスベースを使用しているが個々に製造する必要があり量産に適していない。また、特許文献2に開示された圧電デバイスは、ガラスベースにスルーホールを形成する必要があった。さらに特許文献2に開示された圧電デバイスは、圧電振動片とガラスベースとが接触しないように、ガラスベースの主面に接続電極を30μm以上に厚く形成する必要があった。このため特許文献2の圧電デバイスはガラスベースを使用しても製造コストが高くなっていた。
【0006】
そこで、本発明は、スルーホールを有しないベースで且つウエハ単位で製造できる圧電デバイス及びその製造方法を提供する。また、接続電極はスパッタ又は真空蒸着で形成される厚さ(数百nm)の圧電デバイス及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1観点の圧電デバイスは、一対の外部電極が形成される第1面とその第1面の反対側で第1凹み部及びその第1凹み部の周囲の第1接合面が形成される第2面と第1接合面から第1面と第2面とを結ぶ側面を介して外部電極と接続する一対の接続電極とを有する矩形状のベースと、接続電極と接続する一対の励振電極を有しベースに保持される圧電振動片と、圧電振動片を覆う第2凹み部及びその第2凹み部の周囲の第2接合面が形成されたリッドと、第1接合面と第2接合面との間に環状に配置されベースとリッドとを封止する環状の封止材と、を備える。
【0008】
第2観点の圧電デバイスは、ベースからリッドへの方向から見ると、ベースの外周は矩形状であり、リッドの外周は矩形状である。また、圧電デバイスは、長方形の第1凹み部の少なくとも2つの角部は第1接合面と同じ高さで第1凹み部の中央側に突き出ており、角部に一対の接続電極が形成されている。さらに圧電デバイスは、第1凹み部の2つの角部は第1凹み部の同じ短辺側に形成され、引出電極が圧電振動片の同じ短辺に引き出されている。
【0009】
第3観点の圧電デバイスは、2つの角部は第1凹み部の向かい合う短辺にそれぞれ形成され、引出電極が圧電振動片の向かい合う短辺にそれぞれ引き出されている。また、圧電デバイスは、外部電極と接続電極とが、第1面と第2面とを結ぶ側面に形成されたキャスタレーションを介して電気的に接続されている。圧電デバイスは、音叉型圧電振動片及び周辺部よりも中央部が厚みを有するメサ型又はコンベックス型を含む振動片にも適用できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の製造方法によれば、ウエハ単位でコストを低減させて圧電デバイスを製造できる。また、圧電デバイス内に有害ガスや水分が含まれなく、大量生産が可能である。また本発明の圧電デバイスは有害ガスや水分が含まれないため安定して振動又は発振する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態の第1水晶振動子100の分解斜視図である。
【図2】第1水晶振動片10を第1ベース12に載置した後、且つリッド部11を第1ベース12に接合する前の第1実施形態の第1水晶振動子100の斜視図である。
【図3】(a)は、図1のA−A断面図である。 (b)は、第1水晶振動子100の底面図である。
【図4】第1実施形態の第1水晶振動子100の製造を示したフローチャートである。
【図5】水晶ウエハ10Wの平面図である。
【図6】リッドウエハ11Wの平面図である。
【図7】ベースウエハ12Wの平面図である。
【図8】第2実施形態の第2水晶振動子110の分解斜視図である。
【図9】(a)は、第2水晶振動子110のB−B断面図である。 (b)は、第2水晶振動子110の第2ベース板22の平面図である。
【図10】ベースウエハ22Wの平面図である。
【図11】第3実施形態の第3水晶振動子120の分解斜視図である。
【図12】ベースウエハ32Wの平面図である。
【図13】第4実施形態の第4水晶振動子130の分解斜視図である。
【図14】ベースウエハ42Wの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
<第1水晶振動子100の全体構成>
第1水晶振動子100の全体構成について、図1〜図3を参照しながら説明する。
図1は、第1水晶振動子100の分解斜視図である。図2は、第1水晶振動片10を第1ベース12に載置した後、且つリッド板11を第1ベース12に接合する前の第1実施形態の第1水晶振動子100の斜視図である。図3(a)は第1水晶振動子100のA−A断面図で、(b)は第1水晶振動子100の底面図である。
【0013】
圧電振動片としてATカットの第1水晶振動片10が使われている。つまり、ATカットの水晶振動片は、主面(YZ面)が結晶軸(XYZ)のY軸に対して、X軸を中心としてZ軸からY軸方向に35度15分傾斜されている。このため、第1実施形態ではATカットの水晶振動片の軸方向を基準とし、傾斜された新たな軸をY’軸及びZ’軸として用いる。すなわち、第1実施形態において第1水晶振動子100の長手方向をX軸方向、第1水晶振動子100の高さ方向をY’軸方向、X及びY’軸方向に垂直な方向をZ’として説明する。以下、第2実施形態から第4実施形態においても同様である。
【0014】
図1に示されたように、第1水晶振動子100はリッド凹部111を有するリッド板11と、ベース凹部121を有する第1ベース12と、第1ベース12に載置される第1水晶振動片10とを備える。
【0015】
第1水晶振動片10は、ATカットされた水晶片101により構成され、その水晶片101の中央付近の両主面に一対の励振電極102a、102bが対向して配置されている。また、励振電極102aには水晶片101の底面(−Y’側)の−X側まで伸びた引出電極103aが接続され、励振電極102bには水晶片101の底面(−Y’側)の+X側まで伸びた引出電極103bが接続されている。引出電極103a、103bは後述する接続電極124a、124bに合わせて、接続領域がZ‘軸方向に長く形成されている。
【0016】
第1水晶振動片10はX軸方向の長さL6が2400μm程度で、Z’軸方向の幅W6が1500μm程度で、Y’軸方向の高さH6は励振周波数によって決まってくる。また、励振電極102及び引出電極103は例えば下地としてのクロム層が用いられ、クロム層の上面に金層が用いられる。なお、クロム層の厚さは例えば0.05μm〜0.1μmで、金層の厚さは例えば0.2μm〜2μmである。
【0017】
第1ベース12は、表面(+Y’側の面)にベース凹部121の周囲に形成された第1端面M1を有している。また、第1ベース12はX軸方向の両側にベース貫通孔BH1(図7を参照)を二分したベースキャスタレーション122a、122bが形成されている。ベース側面電極123a、123b(図3(a)を参照)がベースキャスタレーション122a、122bにそれぞれ形成されている。また、ベース側面電極123aと電気的に接続された接続電極124aが第1ベース12の第1端面M1の−X側に形成されている。同様に、ベース側面電極123bと電気的に接続された接続電極124bが第1ベース12の第1端面M1の+X側に形成されている。さらに、第1ベース12は実装面(水晶振動子の実装面)にベース側面電極123a、123bとそれぞれ電気的に接続された一対の実装端子125a、125bを有している(図3(b)を参照)。
【0018】
図2に示されたように、第1ベース12はX軸方向の長さL1が3200μm程度で、Z’軸方向の幅W1が2500μm程度で、Y’軸方向の高さH3は300μm程度である。ベースキャスタレーション122a、122bのZ’方向の長さW2は第1ベース12の幅W1の1/3〜1/2程度、すなわち約800〜1300μmである。接続電極124a、124bのZ’方向の長さW3はベースキャスタレーション122a、122bの長さW2と同程度から1/2程度、すなわち約700〜1300μmである。
【0019】
図3に示されたように、ベース凹部121のX軸方向の長さL5は第1水晶振動片10のX軸方向の長さL6より短く形成され、2210μm程度である。ベース凹部121の深さは、40μm程度である。さらに、ベース側面電極、接続電極及び実装端子は励振電極及び引出電極と同じ構成である。
【0020】
つまり、第1水晶振動子100において第1水晶振動片10の長さL6(2400μm)がベース凹部121の長さL5(2210μm)より大きい。このため、第1水晶振動片10を導電性接着剤13で第1ベース12に載置すると、第1水晶振動片10のX軸方向の両端が第1ベース12の第1端面M1に載置される。このとき、図3(a)に示されたように第1水晶振動片10の引出電極103a、103bが第1ベース12の接続電極124a、124bにそれぞれ電気的に接続される。これにより、実装端子125a、125bがベース側面電極123a、123b、接続電極124a、124b、導電性接着剤13及び引出電極103a、103bを介して励振電極102a、102bにそれぞれ電気的に接続される。つまり、実装端子125a、125bに交番電圧(正負を交番する電位)を印加したときに、第1水晶振動片10は厚みすべり振動する。
【0021】
また、第1ベース12の接続電極124a、124bがより幅広く(W3:700μm以上)形成されているので、第1水晶振動片10を第1ベース12に接着したとき引出電極103a、103bと接続電極124a、124bとがより広い領域で接続できる。このため、引出電極103a、103bと接続電極124a、124bとがより確実に電気的に接続され配線抵抗も小さい。
【0022】
さらに、図3(b)に示されたように第1ベース12の実装面の四隅には4つの実装端子125がそれぞれ形成されている。その中、実装端子125a、125bはベース側面電極123a、123bにそれぞれ電気的に接続され、別の2つの実装端子125はアースに使われる。
【0023】
図1〜図3に示されたように、第1水晶振動子100はリッド板11のリッド凹部111と第1ベース12のベース凹部121によって第1水晶振動片10を収納するキャビティCTを形成する。キャビティCTは、不活性ガスで満たされたり又は真空状態に気密されたりする。
【0024】
リッド板11はその−Y’側にリッド凹部111の周囲に形成された第2端面M2を有している。また、リッド板11の第2端面M2は例えば非導電性である低融点ガラスLGにより第1ベース12の第1端面M1に接続される。
【0025】
低融点ガラスLGは、350℃〜400℃で溶融する鉛フリーのバナジウム系ガラスを含む。バナジウム系ガラスはバインダーと溶剤とが加えられペースト状であり、溶融された後固化されることで他の部材と接着する。バナジウム系ガラスの融点は水晶材又はガラスなどで形成されたリッド板11及び第1ベース12の融点より低く、また、このバナジウム系ガラスは接着時の気密性と耐水性・耐湿性などの信頼性が高い。バナジウム系ガラスは空気中の水分がキャビティCT内に進入したりキャビティCT内の真空度を低下させたりすることを防止する。さらに、バナジウム系ガラスはガラス構造を制御することにより熱膨張係数も柔軟に制御できる。
【0026】
リッド板11は、第1ベース部12と同様にX軸方向の長さL1が3200μm程度で、Z’軸方向の幅W1が2500μm程度であるが、そのY’軸方向の高さH2は450μm程度である。また、リッド凹部111のX軸方向の長さL4は第1水晶振動片10のX軸方向の長さL6より長く形成され、2600μm程度である。リッド凹部111の深さは、250μm程度である。
【0027】
つまり、リッド凹部111の長さL4(2600μm)が第1水晶振動片10の長さL6(2400μm)及びベース凹部121の長さL5(2210μm)より大きい。このため、低融点ガラスLGは図1及び図3(a)に示されたように、第1ベース12の第1端面M1の外側(幅は300μm程度)でリッド板11と第1ベース12とを接合する。
【0028】
<第1水晶振動子100の製造方法>
図4は、第1水晶振動子100の製造を示したフローチャートである。図4において、第1水晶振動片10の製造ステップS10と、リッド板11の製造ステップS11と、第1ベース12の製造ステップS12とは別々に並行して行うことができる。また、図5は水晶ウエハ10Wの平面図で、図6はリッドウエハ11Wの平面図で、図7はベースウエハ12Wの平面図である。
【0029】
ステップS10では、第1水晶振動片10が製造される。ステップS10はステップS101〜S103を含んでいる。
ステップS101において、図5に示されたように、均一の水晶ウエハ10Wにエッチングにより複数の第1水晶振動片10の外形が形成される。ここで、各第1水晶振動片10は連結部104により水晶ウエハ10Wに連接されている。
【0030】
ステップS102において、まずスパッタリングまたは真空蒸着によって水晶ウエハ10Wの両面及び側面にクロム層及び金層が順に形成される。そして、金属層の全面にフォトレジストが均一に塗布される。その後、露光装置(図示しない)を用いて、フォトマスクに描かれた励振電極、引出電極のパターンが水晶ウエハ10Wに露光される。次に、フォトレジストから露出した金属層がエッチングされる。これにより、図5に示されたように水晶ウエハ10W両面には励振電極102a、102b及び引出電極103a、103bが形成される(図1を参照)。
【0031】
ステップS103において、第1水晶振動片10が個々に切断される。切断工程では、レーザーを用いたダイシング装置、または切断用ブレードを用いたダイシング装置などを用いて図5に示された一点鎖線のカットラインCLに沿って切断する。
【0032】
ステップS11では、リッド板11が製造される。ステップS11はステップS111及びS112を含んでいる。
ステップS111において、図6に示されたように、均一厚さの水晶平板のリッドウエハ11Wにリッド凹部111が数百から数千個形成される。リッドウエハ11Wには、ウェットエッチング又は機械加工によりリッド凹部111が形成され、リッド凹部111の周囲には第2端面M2が形成される。
【0033】
ステップS112において、図6に示されたように、スクリーン印刷でリッドウエハ11Wの第2端面M2に低融点ガラスLGが印刷される。その後、低融点ガラスLGを仮硬化することで、低融点ガラス膜がリッドウエハ11Wの第2端面M2に形成される。
【0034】
ステップS12では、第1ベース12が製造される。ステップS12はステップS121及びS122を含んでいる。
ステップS121において、図7に示されたように、均一厚さの水晶平板のベースウエハ12Wにベース凹部121が数百から数千個形成される。ベースウエハ12Wには、エッチング又は機械加工によりベース凹部121が形成され、ベース凹部121の周囲には第1端面M1が形成される。同時に、各第1ベース12のX軸方向の両辺にはベースウエハ12Wを貫通するように角丸長方形のベース貫通孔BH1が形成される。ベース貫通孔BH1が半分に分割されると1つのベースキャスタレーション122a、122b(図1を参照)になる。
【0035】
ステップS122では、ステップS102で説明されたスパッタ及びエッチング方法と同様な方法で図7に示されたように第1ベース12の実装面(水晶振動子の実装面)の四隅に実装端子125が形成される。同時に、ベース貫通孔BH1にはベース側面電極123a、123bが形成され、第1端面M1には接続電極124a、124bが形成される(図1を参照)。
【0036】
ステップS13では、ステップS10で製造された個々の第1水晶振動片10が導電性接着剤13で第1ベース12の第1端面M1に載置される。このとき、第1水晶振動片10の引出電極103a、103bと第1ベース12の第1端面M1に形成された接続電極124a、124bとの位置が合うように第1水晶振動片10が第1ベース12の第1端面M1に載置される。このとき、引出電極103a、103bと接続電極124a、124bとの接続面積が大きいのでより確実に電気的に接続することができる(図2を参照)。
【0037】
ステップS14では、1つ1つの第1水晶振動片10の振動周波数が測定される。
ステップS15では、第1水晶振動片10の励振電極102aの厚みを調整する。励振電極102aに金属をスパッタリングして質量を増加させて周波数を下げたり、逆スパッタリングして励振電極102aから金属を昇華させて質量を低減させて周波数を上げたりする。振動周波数の測定結果が所定範囲内であれば必ずしも振動周波数を調整する必要はない。
【0038】
ベースウエハ12Wには数百から数千個の第1水晶振動片10が載置されている。ステップS14で1つの第1水晶振動片10の振動周波数を測定した後、ステップS15で1つの第1水晶振動片10の振動周波数を調整してもよい。このステップの繰り返しをベースウエハ12W上のすべての第1水晶振動片10に対して行う。また、ステップS14でベースウエハ12W上のすべての第1水晶振動片10の振動周波数を測定した後、ステップS15で1つずつ第1水晶振動片10の振動周波数を調整してもよい。
【0039】
ステップS16では、低融点ガラスLGを加熱させリッドウエハ11Wとベースウエハ12Wとが加圧される。そして低融点ガラスLGが室温まで冷却される。これによりリッドウエハ11Wとベースウエハ12Wとが低融点ガラスLGにより接合される。
【0040】
ステップS17では、接合されたリッドウエハ11Wとベースウエハ12Wとが個々に切断される。切断工程では、レーザーを用いたダイシング装置、または切断用ブレードを用いたダイシング装置などを用いて図6及び図7に示された一点鎖線のスクライブラインSLに沿って第1水晶振動子100を単位として個片化する。これにより、数百から数千の第1水晶振動子100が製造される。
【0041】
(第2実施形態)
<第2水晶振動子110の全体構成>
第2水晶振動子110の全体構成について、図8〜図10を参照しながら説明する。
図8は、第2実施形態の第2水晶振動子110の分解斜視図であり、図9(a)は、第2水晶振動子110のB−B断面図であり、(b)は、第2水晶振動子110の第2ベース板22の平面図であり、図10は、ベースウエハ22Wの平面図である。第2水晶振動子110と第1水晶振動子100との違いは、第1水晶振動片10に代わり、引出電極の形状が異なる第2水晶振動片20を装着している点である。また、第1ベース12に代わり第2ベース板22を備えている。第1実施形態と同じ構成要件には同じ符号を付し説明を省略し相違点について説明する。
【0042】
図8に示されたように、第2水晶振動子110は、リッド凹部111を有するリッド板11と、ベース凹部221を有する第2ベース板22と、第2ベース板22に載置されATカットの第2水晶振動片20とを備える。
【0043】
第2水晶振動片20は、ATカットされた水晶片201により構成され、その水晶片201の中央付近の両主面に一対の励振電極202a、202bが対向して配置されている。また、励振電極202aには水晶片201の底面(−Y’側)の−X側まで伸びた引出電極203aが接続され、励振電極202bには水晶片201の底面(−Y’側)の+X側まで伸びた引出電極203bが接続されている。引出電極203a、203bは後述する接続電極224a、224bに合わせて、その接続領域がほぼ正方形に形成されている。また、後述する台座226a,226cが形成されているため、第2水晶振動片20は第1水晶振動片10よりもX軸方向に短くできる。例えば、第2水晶振動片20のX軸方向の長さL6はベース凹部221のX軸方向の長さL5と同等でよい。
【0044】
第2ベース板22は、表面(+Y’側の面)にベース凹部221の周囲に形成された第1端面M1を有している。ベース凹部221は、2つの角部に台座226a,226cを備える。台座226a、226cは第1端面M1と同じ高さでベース凹部221の中央側に突き出ている。台座226a、226cはY‘軸方向から見てほぼ正方形である。その台座226a、226cの大きさは、Y‘軸方向から第2水晶振動片20の励振電極202と重なり合わない程度の大きさである。そして、台座226a、226cの表面(+Y’軸側)に一対の接続電極224がほぼ正方形に形成されている。
【0045】
第2ベース板22は四隅に円形のベース貫通孔BH2(図10を参照)を形成した後、その円形のベース貫通孔BH2が4分割されたベースキャスタレーション222a、222b、222c、222dが形成されている。ベース側面電極223a、223b(図8、図9(b)を参照)がベースキャスタレーション222a、222cにそれぞれ形成されている。また、ベース側面電極223aと電気的に接続された接続電極224aが第2ベース板22の第1端面M1の−X側の台座226aに形成されている。同様に、ベース側面電極223bと電気的に接続された接続電極224bが第2ベース板22の第1端面M1の+X側の台座226cに形成されている。さらに、第2ベース板22は水晶振動子の実装面にベース側面電極223a、223bとそれぞれ電気的に接続された一対の実装端子225a、225b(図9を参照)を有している。
【0046】
図9(a)に示されたように第2水晶振動片20の引出電極203a、203bが第2ベース22の接続電極224a、224bに導電性接着剤13を介してそれぞれ電気的に接続される。台座226a、226cが形成されているために、第2水晶振動片20の引出電極203a、203bと接続電極224a、224bとが接する面積は、第1実施形態の第1水晶振動片10よりも小さくなる。このため、第2水晶振動片20は平板状のATカットだけでなく、中央が曲線状に厚くなったコンベックス型であってもよく、中央が階段状に厚くなったメサ型であっても配置しやすくなる。
【0047】
また、誤って導電性接着剤13が多く塗布された場合でも、余分な導電性接着剤13は台座226a、226cからベース凹部221に流れ込み、第2水晶振動片20の励振電極202bに接することがない。
【0048】
<第2水晶振動子110の製造方法>
第2水晶振動子110の製造方法は、第1実施形態で説明されたフローチャートと実質的に同じである。第2水晶振動子110の第2水晶振動片20と第2ベース板22とを図4に示したフローチャートを用い追加説明する。
【0049】
ステップS10では、第2水晶振動片20が製造される。まず、水晶ウエハ(図示せず)にエッチングにより複数の第2水晶振動片20の外形が形成される。図8に示されたように水晶ウエハ両面には励振電極202a、202b及び引出電極203a、203bが形成される。その後、レーザーを用いたダイシング装置、または切断用ブレードを用いたダイシング装置などを用いて第2水晶振動片20が個々に切断される。
【0050】
ステップS12では、第2ベース板22が製造される。まず、図10に示されたように均一厚さの水晶平板のベースウエハ22Wにベース凹部221が数百から数千個形成される。同時に、第2ベース板22は、ベース凹部221の周囲に第1端面M1形成されベース凹部221の2つの角部に台座226a,226cが形成される。各第2ベース板22の四隅にはベースウエハ22Wを貫通するように丸形のベース貫通孔BH2(図10を参照)が形成される。ベース貫通孔BH2が四分割されると1つのベースキャスタレーション222a、222b、222c、222d(図8を参照)になる。その後、図4のステップS102で説明されたスパッタ及びエッチング方法によってベース貫通孔BH2にベース側面電極223a、223bが形成され、第1端面M1の台座226a、226cに接続電極224a、224bが形成される(図8を参照)。第2ベース板22は、図9(a)及び(b)に示されたように第2ベース板22の実装面(水晶振動子の実装面)の四隅に実装端子225が形成される。
【0051】
ステップS13では、ステップS10で製造された第2水晶振動片20が導電性接着剤13で第2ベース板22の台座226a,226cに載置される。以後の工程は第1実施形態で説明されたフローチャート(図4を参照)と実質的に同じである。
【0052】
(第3実施形態)
<第3水晶振動子120の全体構成>
第3水晶振動子120の全体構成について、図11及び図12を参照しながら説明する。
図11は、第3実施形態の第3水晶振動子120の分解斜視図であり、図12は、ベースウエハ32Wの平面図である。第3水晶振動子120と第2水晶振動子110との違いは、第2水晶振動子110の第2ベース板22に代わり第3ベース板32を備えている。第2実施形態と同じ構成要件には同じ符号を付し説明を省略し相違点について説明する。
【0053】
第3ベース板32は、表面(+Y’側の面)にベース凹部321の周囲に形成された第1端面M1を有している。ベース凹部321は、4つの角部に台座226a,226b、226c,226dを備える。台座226a、226b,226c,226dは第1接合面と同じ高さで第1端面M1の中央側に突き出ており、台座226a、226cに一対の接続電極224が形成されている。台座226b,226dには接続電極が形成されていない。
【0054】
また、第3ベース板32は四隅にベース貫通孔BH2(図12を参照)を形成した際のベースキャスタレーション222a、222b、222c、222dが形成されている。ベース側面電極223a、223b(図11、図12を参照)がベースキャスタレーション222a、222cにそれぞれ形成されている。また、ベース側面電極223aと電気的に接続された接続電極224aが第3ベース板32の第1端面M1の−X側の台座226aに形成されている。同様に、ベース側面電極223bと電気的に接続された接続電極224bが第3ベース板32の第1端面M1の+X側の台座226cに形成されている。さらに、第3ベース板32は水晶振動子の実装面にベース側面電極223a、223bとそれぞれ電気的に接続された一対の実装端子225a(図11を参照)、225b(未図示)を有している。
【0055】
台座226a、226b,226c,226dはY‘軸方向から見てほぼ正方形である。その台座226a、226cの大きさは、Y’軸方向から第2水晶振動片20の励振電極202と重なり合わない程度の大きさである。仮に台座226a〜226dが形成されていないと、ベースキャスタレーション222a〜222dからベース凹部321の角部までの距離が短くなり、第1端面M1の幅(X軸方向又はZ’軸方向)が狭くなる。しかし、
台座226a〜226dが形成されているため、第1端面M1の幅を広くすることができ、第3ベース板32の強度が増す。また低融点ガラスLGの幅も広く形成することができ、第3水晶振動子120はより気密に形成される。
【0056】
第2水晶振動片20は平板状のATカットだけでなく、中央が曲線状に厚くなったコンベックス型であってもよく、中央が階段状に厚くなったメサ型であっても配置しやすくなる。また第2水晶振動片20のX軸方向の長さL6はベース凹部321のX軸方向の長さL5と同等でよい。
【0057】
<第3水晶振動子120の製造方法>
第3水晶振動子120の製造方法は、第1実施形態で説明されたフローチャート(図4を参照)と実質的に同じである。図12は第3ベース板32が数百から数千個形成に示されたベースウエハ32Wである。第3ベース板32は、ベース凹部321の周囲に第1端面M1形成されベース凹部321の4つの角部に台座226a,226b、226c、226dが形成されている。ベース側面電極223a(図11参照)と電気的に接続された接続電極224aが第3ベース板32の第1端面M1の−X側の台座226aに形成される。同様に、ベース側面電極223bと電気的に接続された接続電極224bが第3ベース板32の第1端面M1の+X側の台座226cに形成される。
【0058】
(第4実施形態)
<第4水晶振動子130の全体構成>
第4水晶振動子130の全体構成について、図13及び図14を参照しながら説明する。
図13は、第4実施形態の第4水晶振動子130の分解斜視図であり、図14は、ベースウエハ42Wの平面図である。第4水晶振動子130と第2水晶振動子110との違いは、第2水晶振動片20に代えて片持ちタイプの第3水晶振動片30を装着している。また、第2ベース板22に代わり第4ベース板42を備えている。第2実施形態と同じ構成要件には同じ符号を付し説明を省略し相違点について説明する。
【0059】
第3水晶振動片30は、ATカットの水晶片301により構成され、その水晶片301の中央付近の両主面に、一対の励振電極302a,302bが対向して配置されている。また、励振電極302aにはATカットの水晶片301底面の−Y’側の一端まで伸びた引出電極303aが接続され、励振電極301bにはATカットの水晶片301底面の同一方向の−Y’側の他隅まで伸びた引出電極303bが接続されている。引出電極303a、303bはX軸方向の一端に形成されている。第3水晶振動片30の引出電極303a、303bは、導電性接着剤13(未図示)により第4ベース板42の接続電極224a及び接続電極224bに接着される。
【0060】
第4ベース板42は、表面(+Y’側の面)にベース凹部421の周囲に形成された第1端面M1を有している。ベース凹部421は、2つの角部に台座226a,226bを備える。台座226a、226bは第1接合面と同じ高さで第1端面M1の中央側に突き出ており、台座226a、226bに一対の接続電極が形成されている。
【0061】
第4ベース板42の四隅にはベース貫通孔BH2(図14を参照)を形成した際のベースキャスタレーション222a、222b、222c、222dが形成されている。ベース側面電極223a、223b(図13を参照)がベースキャスタレーション222a、222cにそれぞれ形成されている。また、ベース側面電極223aと電気的に接続された接続電極224aが第2ベース板22の第1端面M1の−X側の台座226aに形成されている。同様に、第1端面M1の−X側の台座226bに接続電極424を介しベース側面電極223bと電気的に接続された接続電極224bが形成されている。さらに、第4ベース板42は水晶振動子の実装面にベース側面電極223a、223bとそれぞれ電気的に接続された一対の実装端子225a、225b(未図示)を有している。
【0062】
第3水晶振動片30は平板状のATカットだけでなく、中央が曲線状に厚くなったコンベックス型であってもよく、中央が階段状に厚くなったメサ型であっても配置しやすくなる。また第3水晶振動片30のX軸方向の長さL6はベース凹部421のX軸方向の長さL5と同等でよい。
【0063】
<第4水晶振動子130の製造方法>
第4水晶振動子130の製造方法は、第1実施形態で説明されたフローチャート(図4を参照)と実質的に同じである。図14に示されたようにベースウエハ42Wに第4ベース板42が数百から数千個形成される。第4ベース板42は、ベース凹部421の周囲に第1端面M1形成されベース凹部421の2つの角部に台座226a,226bが形成される。ベース側面電極223a(図13参照)と電気的に接続された接続電極224aが第4ベース板42の第1端面M1の−X側の台座226aに形成される。同様に、第1端面M1の−X側の台座226bに接続電極224b及びベース側面電極223bと電気的に接続された接続電極424が形成される。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上、本発明の最適な実施形態について詳細に説明したが、当業者に明らかなように、本発明はその技術的範囲内において実施形態に様々な変更・変形を加えて実施することができる。
【0065】
第1実施形態から第4実施形態において、リッド部とベース部とは非導電性接着剤である低融点ガラスLGにより接合されているが、低融点ガラスLGの代わりにポリイミド樹脂を用いられてもよい。ポリイミド樹脂が用いられる場合においては、スクリーン印刷でもよいし、感光性のポリイミド樹脂を全面に塗布した後に露光することもできる。また、実装端子はベース部の底面の四隅に形成されているが、X軸方向の両側に形成された一対の実装端子でもよい。このとき、アース用の実装端子が形成されていない。
【0066】
また、各実施形態では水晶振動片が使用されたが、水晶以外にタンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウムなどの圧電材料を利用することができる。さらに圧電デバイスとして、発振回路を組み込んだICなどをパッケージ内に配置させた圧電発振器にも本発明は適用できる。各実施形態では平板のATカットの水晶振動片が一対の振動腕を有する音叉型水晶振動片を使用してもよい。さらに、本発明では1枚のウエハに複数の水晶振動片が同時に形成されているが、個々の水晶片に対して研磨、エッチング及び電極形成が行われてもよい。
【符号の説明】
【0067】
10、20、30 … 第1水晶振動片10W … 水晶ウエハ
11 … リッド板11W … リッドウエハ
12、22,32,42 … ベース
12W、22W、32W,42W … ベースウエハ
13 … 導電性接着剤
100、110、120,130 … 水晶振動子
101,201,301 … 水晶片
102a、102b、202a、202b、302a、302b … 励振電極
103a、103b、203a、203b、303a、303b … 引出電極
104 … 連結部
111 … リッド凹部
121,221,321,421 … ベース凹部
122a、122b、222(a,b,c,d) … キャスタレーション
123a、123b、223a、223b … 側面電極
124a、124b、224a、224b,424 … 接続電極
125、125a、125b、225、225a、225b … 実装端子
226a、226b、226c、226d … 台座
BH1,BH2 … 貫通孔
CT … キャビティ
LG … 低融点ガラス
SL … スクライブライン
【技術分野】
【0001】
本発明は、リッドウエハ又はベースウエハで形成されたパッケージに圧電振動片が個々に載置される圧電デバイスの製造方法及び圧電デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
表面実装用の圧電デバイスは、特許文献1に示されるように、一般にアルミナセラミックの絶縁性ベースとそのセラミックベースの開口部にガラス又はコバール合金のリッドが固着されている。セラミックベースとリッドとがキャビティを形成し、そのキャビティ内に圧電振動片が収納されている。
【0003】
また、特許文献2に示されるように、ベースがセラミックではなくコスト低減のためガラスを使用している表面実装用の圧電デバイスもある。そしてガラスベースとリッドとが低融点ガラスで固着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−333037号公報
【特許文献2】特開2005−057520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された圧電デバイスは、セラミックベースであり個々に製造する必要があるためコスト低減の観点からは好ましくない。特許文献2に開示された圧電デバイスは、ガラスベースを使用しているが個々に製造する必要があり量産に適していない。また、特許文献2に開示された圧電デバイスは、ガラスベースにスルーホールを形成する必要があった。さらに特許文献2に開示された圧電デバイスは、圧電振動片とガラスベースとが接触しないように、ガラスベースの主面に接続電極を30μm以上に厚く形成する必要があった。このため特許文献2の圧電デバイスはガラスベースを使用しても製造コストが高くなっていた。
【0006】
そこで、本発明は、スルーホールを有しないベースで且つウエハ単位で製造できる圧電デバイス及びその製造方法を提供する。また、接続電極はスパッタ又は真空蒸着で形成される厚さ(数百nm)の圧電デバイス及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1観点の圧電デバイスは、一対の外部電極が形成される第1面とその第1面の反対側で第1凹み部及びその第1凹み部の周囲の第1接合面が形成される第2面と第1接合面から第1面と第2面とを結ぶ側面を介して外部電極と接続する一対の接続電極とを有する矩形状のベースと、接続電極と接続する一対の励振電極を有しベースに保持される圧電振動片と、圧電振動片を覆う第2凹み部及びその第2凹み部の周囲の第2接合面が形成されたリッドと、第1接合面と第2接合面との間に環状に配置されベースとリッドとを封止する環状の封止材と、を備える。
【0008】
第2観点の圧電デバイスは、ベースからリッドへの方向から見ると、ベースの外周は矩形状であり、リッドの外周は矩形状である。また、圧電デバイスは、長方形の第1凹み部の少なくとも2つの角部は第1接合面と同じ高さで第1凹み部の中央側に突き出ており、角部に一対の接続電極が形成されている。さらに圧電デバイスは、第1凹み部の2つの角部は第1凹み部の同じ短辺側に形成され、引出電極が圧電振動片の同じ短辺に引き出されている。
【0009】
第3観点の圧電デバイスは、2つの角部は第1凹み部の向かい合う短辺にそれぞれ形成され、引出電極が圧電振動片の向かい合う短辺にそれぞれ引き出されている。また、圧電デバイスは、外部電極と接続電極とが、第1面と第2面とを結ぶ側面に形成されたキャスタレーションを介して電気的に接続されている。圧電デバイスは、音叉型圧電振動片及び周辺部よりも中央部が厚みを有するメサ型又はコンベックス型を含む振動片にも適用できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の製造方法によれば、ウエハ単位でコストを低減させて圧電デバイスを製造できる。また、圧電デバイス内に有害ガスや水分が含まれなく、大量生産が可能である。また本発明の圧電デバイスは有害ガスや水分が含まれないため安定して振動又は発振する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態の第1水晶振動子100の分解斜視図である。
【図2】第1水晶振動片10を第1ベース12に載置した後、且つリッド部11を第1ベース12に接合する前の第1実施形態の第1水晶振動子100の斜視図である。
【図3】(a)は、図1のA−A断面図である。 (b)は、第1水晶振動子100の底面図である。
【図4】第1実施形態の第1水晶振動子100の製造を示したフローチャートである。
【図5】水晶ウエハ10Wの平面図である。
【図6】リッドウエハ11Wの平面図である。
【図7】ベースウエハ12Wの平面図である。
【図8】第2実施形態の第2水晶振動子110の分解斜視図である。
【図9】(a)は、第2水晶振動子110のB−B断面図である。 (b)は、第2水晶振動子110の第2ベース板22の平面図である。
【図10】ベースウエハ22Wの平面図である。
【図11】第3実施形態の第3水晶振動子120の分解斜視図である。
【図12】ベースウエハ32Wの平面図である。
【図13】第4実施形態の第4水晶振動子130の分解斜視図である。
【図14】ベースウエハ42Wの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
<第1水晶振動子100の全体構成>
第1水晶振動子100の全体構成について、図1〜図3を参照しながら説明する。
図1は、第1水晶振動子100の分解斜視図である。図2は、第1水晶振動片10を第1ベース12に載置した後、且つリッド板11を第1ベース12に接合する前の第1実施形態の第1水晶振動子100の斜視図である。図3(a)は第1水晶振動子100のA−A断面図で、(b)は第1水晶振動子100の底面図である。
【0013】
圧電振動片としてATカットの第1水晶振動片10が使われている。つまり、ATカットの水晶振動片は、主面(YZ面)が結晶軸(XYZ)のY軸に対して、X軸を中心としてZ軸からY軸方向に35度15分傾斜されている。このため、第1実施形態ではATカットの水晶振動片の軸方向を基準とし、傾斜された新たな軸をY’軸及びZ’軸として用いる。すなわち、第1実施形態において第1水晶振動子100の長手方向をX軸方向、第1水晶振動子100の高さ方向をY’軸方向、X及びY’軸方向に垂直な方向をZ’として説明する。以下、第2実施形態から第4実施形態においても同様である。
【0014】
図1に示されたように、第1水晶振動子100はリッド凹部111を有するリッド板11と、ベース凹部121を有する第1ベース12と、第1ベース12に載置される第1水晶振動片10とを備える。
【0015】
第1水晶振動片10は、ATカットされた水晶片101により構成され、その水晶片101の中央付近の両主面に一対の励振電極102a、102bが対向して配置されている。また、励振電極102aには水晶片101の底面(−Y’側)の−X側まで伸びた引出電極103aが接続され、励振電極102bには水晶片101の底面(−Y’側)の+X側まで伸びた引出電極103bが接続されている。引出電極103a、103bは後述する接続電極124a、124bに合わせて、接続領域がZ‘軸方向に長く形成されている。
【0016】
第1水晶振動片10はX軸方向の長さL6が2400μm程度で、Z’軸方向の幅W6が1500μm程度で、Y’軸方向の高さH6は励振周波数によって決まってくる。また、励振電極102及び引出電極103は例えば下地としてのクロム層が用いられ、クロム層の上面に金層が用いられる。なお、クロム層の厚さは例えば0.05μm〜0.1μmで、金層の厚さは例えば0.2μm〜2μmである。
【0017】
第1ベース12は、表面(+Y’側の面)にベース凹部121の周囲に形成された第1端面M1を有している。また、第1ベース12はX軸方向の両側にベース貫通孔BH1(図7を参照)を二分したベースキャスタレーション122a、122bが形成されている。ベース側面電極123a、123b(図3(a)を参照)がベースキャスタレーション122a、122bにそれぞれ形成されている。また、ベース側面電極123aと電気的に接続された接続電極124aが第1ベース12の第1端面M1の−X側に形成されている。同様に、ベース側面電極123bと電気的に接続された接続電極124bが第1ベース12の第1端面M1の+X側に形成されている。さらに、第1ベース12は実装面(水晶振動子の実装面)にベース側面電極123a、123bとそれぞれ電気的に接続された一対の実装端子125a、125bを有している(図3(b)を参照)。
【0018】
図2に示されたように、第1ベース12はX軸方向の長さL1が3200μm程度で、Z’軸方向の幅W1が2500μm程度で、Y’軸方向の高さH3は300μm程度である。ベースキャスタレーション122a、122bのZ’方向の長さW2は第1ベース12の幅W1の1/3〜1/2程度、すなわち約800〜1300μmである。接続電極124a、124bのZ’方向の長さW3はベースキャスタレーション122a、122bの長さW2と同程度から1/2程度、すなわち約700〜1300μmである。
【0019】
図3に示されたように、ベース凹部121のX軸方向の長さL5は第1水晶振動片10のX軸方向の長さL6より短く形成され、2210μm程度である。ベース凹部121の深さは、40μm程度である。さらに、ベース側面電極、接続電極及び実装端子は励振電極及び引出電極と同じ構成である。
【0020】
つまり、第1水晶振動子100において第1水晶振動片10の長さL6(2400μm)がベース凹部121の長さL5(2210μm)より大きい。このため、第1水晶振動片10を導電性接着剤13で第1ベース12に載置すると、第1水晶振動片10のX軸方向の両端が第1ベース12の第1端面M1に載置される。このとき、図3(a)に示されたように第1水晶振動片10の引出電極103a、103bが第1ベース12の接続電極124a、124bにそれぞれ電気的に接続される。これにより、実装端子125a、125bがベース側面電極123a、123b、接続電極124a、124b、導電性接着剤13及び引出電極103a、103bを介して励振電極102a、102bにそれぞれ電気的に接続される。つまり、実装端子125a、125bに交番電圧(正負を交番する電位)を印加したときに、第1水晶振動片10は厚みすべり振動する。
【0021】
また、第1ベース12の接続電極124a、124bがより幅広く(W3:700μm以上)形成されているので、第1水晶振動片10を第1ベース12に接着したとき引出電極103a、103bと接続電極124a、124bとがより広い領域で接続できる。このため、引出電極103a、103bと接続電極124a、124bとがより確実に電気的に接続され配線抵抗も小さい。
【0022】
さらに、図3(b)に示されたように第1ベース12の実装面の四隅には4つの実装端子125がそれぞれ形成されている。その中、実装端子125a、125bはベース側面電極123a、123bにそれぞれ電気的に接続され、別の2つの実装端子125はアースに使われる。
【0023】
図1〜図3に示されたように、第1水晶振動子100はリッド板11のリッド凹部111と第1ベース12のベース凹部121によって第1水晶振動片10を収納するキャビティCTを形成する。キャビティCTは、不活性ガスで満たされたり又は真空状態に気密されたりする。
【0024】
リッド板11はその−Y’側にリッド凹部111の周囲に形成された第2端面M2を有している。また、リッド板11の第2端面M2は例えば非導電性である低融点ガラスLGにより第1ベース12の第1端面M1に接続される。
【0025】
低融点ガラスLGは、350℃〜400℃で溶融する鉛フリーのバナジウム系ガラスを含む。バナジウム系ガラスはバインダーと溶剤とが加えられペースト状であり、溶融された後固化されることで他の部材と接着する。バナジウム系ガラスの融点は水晶材又はガラスなどで形成されたリッド板11及び第1ベース12の融点より低く、また、このバナジウム系ガラスは接着時の気密性と耐水性・耐湿性などの信頼性が高い。バナジウム系ガラスは空気中の水分がキャビティCT内に進入したりキャビティCT内の真空度を低下させたりすることを防止する。さらに、バナジウム系ガラスはガラス構造を制御することにより熱膨張係数も柔軟に制御できる。
【0026】
リッド板11は、第1ベース部12と同様にX軸方向の長さL1が3200μm程度で、Z’軸方向の幅W1が2500μm程度であるが、そのY’軸方向の高さH2は450μm程度である。また、リッド凹部111のX軸方向の長さL4は第1水晶振動片10のX軸方向の長さL6より長く形成され、2600μm程度である。リッド凹部111の深さは、250μm程度である。
【0027】
つまり、リッド凹部111の長さL4(2600μm)が第1水晶振動片10の長さL6(2400μm)及びベース凹部121の長さL5(2210μm)より大きい。このため、低融点ガラスLGは図1及び図3(a)に示されたように、第1ベース12の第1端面M1の外側(幅は300μm程度)でリッド板11と第1ベース12とを接合する。
【0028】
<第1水晶振動子100の製造方法>
図4は、第1水晶振動子100の製造を示したフローチャートである。図4において、第1水晶振動片10の製造ステップS10と、リッド板11の製造ステップS11と、第1ベース12の製造ステップS12とは別々に並行して行うことができる。また、図5は水晶ウエハ10Wの平面図で、図6はリッドウエハ11Wの平面図で、図7はベースウエハ12Wの平面図である。
【0029】
ステップS10では、第1水晶振動片10が製造される。ステップS10はステップS101〜S103を含んでいる。
ステップS101において、図5に示されたように、均一の水晶ウエハ10Wにエッチングにより複数の第1水晶振動片10の外形が形成される。ここで、各第1水晶振動片10は連結部104により水晶ウエハ10Wに連接されている。
【0030】
ステップS102において、まずスパッタリングまたは真空蒸着によって水晶ウエハ10Wの両面及び側面にクロム層及び金層が順に形成される。そして、金属層の全面にフォトレジストが均一に塗布される。その後、露光装置(図示しない)を用いて、フォトマスクに描かれた励振電極、引出電極のパターンが水晶ウエハ10Wに露光される。次に、フォトレジストから露出した金属層がエッチングされる。これにより、図5に示されたように水晶ウエハ10W両面には励振電極102a、102b及び引出電極103a、103bが形成される(図1を参照)。
【0031】
ステップS103において、第1水晶振動片10が個々に切断される。切断工程では、レーザーを用いたダイシング装置、または切断用ブレードを用いたダイシング装置などを用いて図5に示された一点鎖線のカットラインCLに沿って切断する。
【0032】
ステップS11では、リッド板11が製造される。ステップS11はステップS111及びS112を含んでいる。
ステップS111において、図6に示されたように、均一厚さの水晶平板のリッドウエハ11Wにリッド凹部111が数百から数千個形成される。リッドウエハ11Wには、ウェットエッチング又は機械加工によりリッド凹部111が形成され、リッド凹部111の周囲には第2端面M2が形成される。
【0033】
ステップS112において、図6に示されたように、スクリーン印刷でリッドウエハ11Wの第2端面M2に低融点ガラスLGが印刷される。その後、低融点ガラスLGを仮硬化することで、低融点ガラス膜がリッドウエハ11Wの第2端面M2に形成される。
【0034】
ステップS12では、第1ベース12が製造される。ステップS12はステップS121及びS122を含んでいる。
ステップS121において、図7に示されたように、均一厚さの水晶平板のベースウエハ12Wにベース凹部121が数百から数千個形成される。ベースウエハ12Wには、エッチング又は機械加工によりベース凹部121が形成され、ベース凹部121の周囲には第1端面M1が形成される。同時に、各第1ベース12のX軸方向の両辺にはベースウエハ12Wを貫通するように角丸長方形のベース貫通孔BH1が形成される。ベース貫通孔BH1が半分に分割されると1つのベースキャスタレーション122a、122b(図1を参照)になる。
【0035】
ステップS122では、ステップS102で説明されたスパッタ及びエッチング方法と同様な方法で図7に示されたように第1ベース12の実装面(水晶振動子の実装面)の四隅に実装端子125が形成される。同時に、ベース貫通孔BH1にはベース側面電極123a、123bが形成され、第1端面M1には接続電極124a、124bが形成される(図1を参照)。
【0036】
ステップS13では、ステップS10で製造された個々の第1水晶振動片10が導電性接着剤13で第1ベース12の第1端面M1に載置される。このとき、第1水晶振動片10の引出電極103a、103bと第1ベース12の第1端面M1に形成された接続電極124a、124bとの位置が合うように第1水晶振動片10が第1ベース12の第1端面M1に載置される。このとき、引出電極103a、103bと接続電極124a、124bとの接続面積が大きいのでより確実に電気的に接続することができる(図2を参照)。
【0037】
ステップS14では、1つ1つの第1水晶振動片10の振動周波数が測定される。
ステップS15では、第1水晶振動片10の励振電極102aの厚みを調整する。励振電極102aに金属をスパッタリングして質量を増加させて周波数を下げたり、逆スパッタリングして励振電極102aから金属を昇華させて質量を低減させて周波数を上げたりする。振動周波数の測定結果が所定範囲内であれば必ずしも振動周波数を調整する必要はない。
【0038】
ベースウエハ12Wには数百から数千個の第1水晶振動片10が載置されている。ステップS14で1つの第1水晶振動片10の振動周波数を測定した後、ステップS15で1つの第1水晶振動片10の振動周波数を調整してもよい。このステップの繰り返しをベースウエハ12W上のすべての第1水晶振動片10に対して行う。また、ステップS14でベースウエハ12W上のすべての第1水晶振動片10の振動周波数を測定した後、ステップS15で1つずつ第1水晶振動片10の振動周波数を調整してもよい。
【0039】
ステップS16では、低融点ガラスLGを加熱させリッドウエハ11Wとベースウエハ12Wとが加圧される。そして低融点ガラスLGが室温まで冷却される。これによりリッドウエハ11Wとベースウエハ12Wとが低融点ガラスLGにより接合される。
【0040】
ステップS17では、接合されたリッドウエハ11Wとベースウエハ12Wとが個々に切断される。切断工程では、レーザーを用いたダイシング装置、または切断用ブレードを用いたダイシング装置などを用いて図6及び図7に示された一点鎖線のスクライブラインSLに沿って第1水晶振動子100を単位として個片化する。これにより、数百から数千の第1水晶振動子100が製造される。
【0041】
(第2実施形態)
<第2水晶振動子110の全体構成>
第2水晶振動子110の全体構成について、図8〜図10を参照しながら説明する。
図8は、第2実施形態の第2水晶振動子110の分解斜視図であり、図9(a)は、第2水晶振動子110のB−B断面図であり、(b)は、第2水晶振動子110の第2ベース板22の平面図であり、図10は、ベースウエハ22Wの平面図である。第2水晶振動子110と第1水晶振動子100との違いは、第1水晶振動片10に代わり、引出電極の形状が異なる第2水晶振動片20を装着している点である。また、第1ベース12に代わり第2ベース板22を備えている。第1実施形態と同じ構成要件には同じ符号を付し説明を省略し相違点について説明する。
【0042】
図8に示されたように、第2水晶振動子110は、リッド凹部111を有するリッド板11と、ベース凹部221を有する第2ベース板22と、第2ベース板22に載置されATカットの第2水晶振動片20とを備える。
【0043】
第2水晶振動片20は、ATカットされた水晶片201により構成され、その水晶片201の中央付近の両主面に一対の励振電極202a、202bが対向して配置されている。また、励振電極202aには水晶片201の底面(−Y’側)の−X側まで伸びた引出電極203aが接続され、励振電極202bには水晶片201の底面(−Y’側)の+X側まで伸びた引出電極203bが接続されている。引出電極203a、203bは後述する接続電極224a、224bに合わせて、その接続領域がほぼ正方形に形成されている。また、後述する台座226a,226cが形成されているため、第2水晶振動片20は第1水晶振動片10よりもX軸方向に短くできる。例えば、第2水晶振動片20のX軸方向の長さL6はベース凹部221のX軸方向の長さL5と同等でよい。
【0044】
第2ベース板22は、表面(+Y’側の面)にベース凹部221の周囲に形成された第1端面M1を有している。ベース凹部221は、2つの角部に台座226a,226cを備える。台座226a、226cは第1端面M1と同じ高さでベース凹部221の中央側に突き出ている。台座226a、226cはY‘軸方向から見てほぼ正方形である。その台座226a、226cの大きさは、Y‘軸方向から第2水晶振動片20の励振電極202と重なり合わない程度の大きさである。そして、台座226a、226cの表面(+Y’軸側)に一対の接続電極224がほぼ正方形に形成されている。
【0045】
第2ベース板22は四隅に円形のベース貫通孔BH2(図10を参照)を形成した後、その円形のベース貫通孔BH2が4分割されたベースキャスタレーション222a、222b、222c、222dが形成されている。ベース側面電極223a、223b(図8、図9(b)を参照)がベースキャスタレーション222a、222cにそれぞれ形成されている。また、ベース側面電極223aと電気的に接続された接続電極224aが第2ベース板22の第1端面M1の−X側の台座226aに形成されている。同様に、ベース側面電極223bと電気的に接続された接続電極224bが第2ベース板22の第1端面M1の+X側の台座226cに形成されている。さらに、第2ベース板22は水晶振動子の実装面にベース側面電極223a、223bとそれぞれ電気的に接続された一対の実装端子225a、225b(図9を参照)を有している。
【0046】
図9(a)に示されたように第2水晶振動片20の引出電極203a、203bが第2ベース22の接続電極224a、224bに導電性接着剤13を介してそれぞれ電気的に接続される。台座226a、226cが形成されているために、第2水晶振動片20の引出電極203a、203bと接続電極224a、224bとが接する面積は、第1実施形態の第1水晶振動片10よりも小さくなる。このため、第2水晶振動片20は平板状のATカットだけでなく、中央が曲線状に厚くなったコンベックス型であってもよく、中央が階段状に厚くなったメサ型であっても配置しやすくなる。
【0047】
また、誤って導電性接着剤13が多く塗布された場合でも、余分な導電性接着剤13は台座226a、226cからベース凹部221に流れ込み、第2水晶振動片20の励振電極202bに接することがない。
【0048】
<第2水晶振動子110の製造方法>
第2水晶振動子110の製造方法は、第1実施形態で説明されたフローチャートと実質的に同じである。第2水晶振動子110の第2水晶振動片20と第2ベース板22とを図4に示したフローチャートを用い追加説明する。
【0049】
ステップS10では、第2水晶振動片20が製造される。まず、水晶ウエハ(図示せず)にエッチングにより複数の第2水晶振動片20の外形が形成される。図8に示されたように水晶ウエハ両面には励振電極202a、202b及び引出電極203a、203bが形成される。その後、レーザーを用いたダイシング装置、または切断用ブレードを用いたダイシング装置などを用いて第2水晶振動片20が個々に切断される。
【0050】
ステップS12では、第2ベース板22が製造される。まず、図10に示されたように均一厚さの水晶平板のベースウエハ22Wにベース凹部221が数百から数千個形成される。同時に、第2ベース板22は、ベース凹部221の周囲に第1端面M1形成されベース凹部221の2つの角部に台座226a,226cが形成される。各第2ベース板22の四隅にはベースウエハ22Wを貫通するように丸形のベース貫通孔BH2(図10を参照)が形成される。ベース貫通孔BH2が四分割されると1つのベースキャスタレーション222a、222b、222c、222d(図8を参照)になる。その後、図4のステップS102で説明されたスパッタ及びエッチング方法によってベース貫通孔BH2にベース側面電極223a、223bが形成され、第1端面M1の台座226a、226cに接続電極224a、224bが形成される(図8を参照)。第2ベース板22は、図9(a)及び(b)に示されたように第2ベース板22の実装面(水晶振動子の実装面)の四隅に実装端子225が形成される。
【0051】
ステップS13では、ステップS10で製造された第2水晶振動片20が導電性接着剤13で第2ベース板22の台座226a,226cに載置される。以後の工程は第1実施形態で説明されたフローチャート(図4を参照)と実質的に同じである。
【0052】
(第3実施形態)
<第3水晶振動子120の全体構成>
第3水晶振動子120の全体構成について、図11及び図12を参照しながら説明する。
図11は、第3実施形態の第3水晶振動子120の分解斜視図であり、図12は、ベースウエハ32Wの平面図である。第3水晶振動子120と第2水晶振動子110との違いは、第2水晶振動子110の第2ベース板22に代わり第3ベース板32を備えている。第2実施形態と同じ構成要件には同じ符号を付し説明を省略し相違点について説明する。
【0053】
第3ベース板32は、表面(+Y’側の面)にベース凹部321の周囲に形成された第1端面M1を有している。ベース凹部321は、4つの角部に台座226a,226b、226c,226dを備える。台座226a、226b,226c,226dは第1接合面と同じ高さで第1端面M1の中央側に突き出ており、台座226a、226cに一対の接続電極224が形成されている。台座226b,226dには接続電極が形成されていない。
【0054】
また、第3ベース板32は四隅にベース貫通孔BH2(図12を参照)を形成した際のベースキャスタレーション222a、222b、222c、222dが形成されている。ベース側面電極223a、223b(図11、図12を参照)がベースキャスタレーション222a、222cにそれぞれ形成されている。また、ベース側面電極223aと電気的に接続された接続電極224aが第3ベース板32の第1端面M1の−X側の台座226aに形成されている。同様に、ベース側面電極223bと電気的に接続された接続電極224bが第3ベース板32の第1端面M1の+X側の台座226cに形成されている。さらに、第3ベース板32は水晶振動子の実装面にベース側面電極223a、223bとそれぞれ電気的に接続された一対の実装端子225a(図11を参照)、225b(未図示)を有している。
【0055】
台座226a、226b,226c,226dはY‘軸方向から見てほぼ正方形である。その台座226a、226cの大きさは、Y’軸方向から第2水晶振動片20の励振電極202と重なり合わない程度の大きさである。仮に台座226a〜226dが形成されていないと、ベースキャスタレーション222a〜222dからベース凹部321の角部までの距離が短くなり、第1端面M1の幅(X軸方向又はZ’軸方向)が狭くなる。しかし、
台座226a〜226dが形成されているため、第1端面M1の幅を広くすることができ、第3ベース板32の強度が増す。また低融点ガラスLGの幅も広く形成することができ、第3水晶振動子120はより気密に形成される。
【0056】
第2水晶振動片20は平板状のATカットだけでなく、中央が曲線状に厚くなったコンベックス型であってもよく、中央が階段状に厚くなったメサ型であっても配置しやすくなる。また第2水晶振動片20のX軸方向の長さL6はベース凹部321のX軸方向の長さL5と同等でよい。
【0057】
<第3水晶振動子120の製造方法>
第3水晶振動子120の製造方法は、第1実施形態で説明されたフローチャート(図4を参照)と実質的に同じである。図12は第3ベース板32が数百から数千個形成に示されたベースウエハ32Wである。第3ベース板32は、ベース凹部321の周囲に第1端面M1形成されベース凹部321の4つの角部に台座226a,226b、226c、226dが形成されている。ベース側面電極223a(図11参照)と電気的に接続された接続電極224aが第3ベース板32の第1端面M1の−X側の台座226aに形成される。同様に、ベース側面電極223bと電気的に接続された接続電極224bが第3ベース板32の第1端面M1の+X側の台座226cに形成される。
【0058】
(第4実施形態)
<第4水晶振動子130の全体構成>
第4水晶振動子130の全体構成について、図13及び図14を参照しながら説明する。
図13は、第4実施形態の第4水晶振動子130の分解斜視図であり、図14は、ベースウエハ42Wの平面図である。第4水晶振動子130と第2水晶振動子110との違いは、第2水晶振動片20に代えて片持ちタイプの第3水晶振動片30を装着している。また、第2ベース板22に代わり第4ベース板42を備えている。第2実施形態と同じ構成要件には同じ符号を付し説明を省略し相違点について説明する。
【0059】
第3水晶振動片30は、ATカットの水晶片301により構成され、その水晶片301の中央付近の両主面に、一対の励振電極302a,302bが対向して配置されている。また、励振電極302aにはATカットの水晶片301底面の−Y’側の一端まで伸びた引出電極303aが接続され、励振電極301bにはATカットの水晶片301底面の同一方向の−Y’側の他隅まで伸びた引出電極303bが接続されている。引出電極303a、303bはX軸方向の一端に形成されている。第3水晶振動片30の引出電極303a、303bは、導電性接着剤13(未図示)により第4ベース板42の接続電極224a及び接続電極224bに接着される。
【0060】
第4ベース板42は、表面(+Y’側の面)にベース凹部421の周囲に形成された第1端面M1を有している。ベース凹部421は、2つの角部に台座226a,226bを備える。台座226a、226bは第1接合面と同じ高さで第1端面M1の中央側に突き出ており、台座226a、226bに一対の接続電極が形成されている。
【0061】
第4ベース板42の四隅にはベース貫通孔BH2(図14を参照)を形成した際のベースキャスタレーション222a、222b、222c、222dが形成されている。ベース側面電極223a、223b(図13を参照)がベースキャスタレーション222a、222cにそれぞれ形成されている。また、ベース側面電極223aと電気的に接続された接続電極224aが第2ベース板22の第1端面M1の−X側の台座226aに形成されている。同様に、第1端面M1の−X側の台座226bに接続電極424を介しベース側面電極223bと電気的に接続された接続電極224bが形成されている。さらに、第4ベース板42は水晶振動子の実装面にベース側面電極223a、223bとそれぞれ電気的に接続された一対の実装端子225a、225b(未図示)を有している。
【0062】
第3水晶振動片30は平板状のATカットだけでなく、中央が曲線状に厚くなったコンベックス型であってもよく、中央が階段状に厚くなったメサ型であっても配置しやすくなる。また第3水晶振動片30のX軸方向の長さL6はベース凹部421のX軸方向の長さL5と同等でよい。
【0063】
<第4水晶振動子130の製造方法>
第4水晶振動子130の製造方法は、第1実施形態で説明されたフローチャート(図4を参照)と実質的に同じである。図14に示されたようにベースウエハ42Wに第4ベース板42が数百から数千個形成される。第4ベース板42は、ベース凹部421の周囲に第1端面M1形成されベース凹部421の2つの角部に台座226a,226bが形成される。ベース側面電極223a(図13参照)と電気的に接続された接続電極224aが第4ベース板42の第1端面M1の−X側の台座226aに形成される。同様に、第1端面M1の−X側の台座226bに接続電極224b及びベース側面電極223bと電気的に接続された接続電極424が形成される。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上、本発明の最適な実施形態について詳細に説明したが、当業者に明らかなように、本発明はその技術的範囲内において実施形態に様々な変更・変形を加えて実施することができる。
【0065】
第1実施形態から第4実施形態において、リッド部とベース部とは非導電性接着剤である低融点ガラスLGにより接合されているが、低融点ガラスLGの代わりにポリイミド樹脂を用いられてもよい。ポリイミド樹脂が用いられる場合においては、スクリーン印刷でもよいし、感光性のポリイミド樹脂を全面に塗布した後に露光することもできる。また、実装端子はベース部の底面の四隅に形成されているが、X軸方向の両側に形成された一対の実装端子でもよい。このとき、アース用の実装端子が形成されていない。
【0066】
また、各実施形態では水晶振動片が使用されたが、水晶以外にタンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウムなどの圧電材料を利用することができる。さらに圧電デバイスとして、発振回路を組み込んだICなどをパッケージ内に配置させた圧電発振器にも本発明は適用できる。各実施形態では平板のATカットの水晶振動片が一対の振動腕を有する音叉型水晶振動片を使用してもよい。さらに、本発明では1枚のウエハに複数の水晶振動片が同時に形成されているが、個々の水晶片に対して研磨、エッチング及び電極形成が行われてもよい。
【符号の説明】
【0067】
10、20、30 … 第1水晶振動片10W … 水晶ウエハ
11 … リッド板11W … リッドウエハ
12、22,32,42 … ベース
12W、22W、32W,42W … ベースウエハ
13 … 導電性接着剤
100、110、120,130 … 水晶振動子
101,201,301 … 水晶片
102a、102b、202a、202b、302a、302b … 励振電極
103a、103b、203a、203b、303a、303b … 引出電極
104 … 連結部
111 … リッド凹部
121,221,321,421 … ベース凹部
122a、122b、222(a,b,c,d) … キャスタレーション
123a、123b、223a、223b … 側面電極
124a、124b、224a、224b,424 … 接続電極
125、125a、125b、225、225a、225b … 実装端子
226a、226b、226c、226d … 台座
BH1,BH2 … 貫通孔
CT … キャビティ
LG … 低融点ガラス
SL … スクライブライン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の外部電極が形成される第1面と、その第1面の反対側で第1凹み部及びその第1凹み部の周囲の第1接合面が形成される第2面と、前記第1接合面に前記外部電極と接続する一対の接続電極と、を有する長方形状のベースと、
一対の励振電極と前記一対の励振電極から引き出される引出電極とを有し、前記引出電極が接続電極に導電性接着剤によって固定される長方形状の圧電振動片と、
前記圧電振動片を覆い、第2凹み部及びその第2凹み部の周囲の第2接合面が形成されたリッドと、
前記第1接合面と前記第2接合面との間に環状に配置され、前記ベースと前記リッドとを封止する環状の封止材と、
を備える圧電デバイス。
【請求項2】
前記第1凹み部を前記第2面の法線方向から見た場合に、前記第1凹み部は長方形状であり、
前記第2凹み部を前記第2面の法線方向から見た場合に、前記第2凹み部は長方形状である請求項1に記載の圧電デバイス。
【請求項3】
前記第1凹み部の長方形の少なくとも2つの角部は前記第1接合面と同じ高さで前記第1凹み部の中央側に突き出ており、前記角部に前記一対の接続電極が形成される請求項2に記載の圧電デバイス。
【請求項4】
前記2つの角部は前記第1凹み部の同じ短辺側に形成され、前記引出電極は前記圧電振動片の同じ短辺に引き出されている請求項3に記載の圧電デバイス。
【請求項5】
前記2つの角部は前記第1凹み部の向かい合う短辺にそれぞれ形成され、前記引出電極は前記圧電振動片の向かい合う短辺にそれぞれ引き出されている請求項3に記載の圧電デバイス。
【請求項6】
前記外部電極と前記接続電極とは、前記第1面と前記第2面とを結ぶ側面に形成されたキャスタレーションを介して電気的に接続されている請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の圧電デバイス。
【請求項7】
前記圧電振動片は、周辺部よりも中央部が厚みを有するメサ型又はコンベックス型を含む請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の圧電デバイス。
【請求項1】
一対の外部電極が形成される第1面と、その第1面の反対側で第1凹み部及びその第1凹み部の周囲の第1接合面が形成される第2面と、前記第1接合面に前記外部電極と接続する一対の接続電極と、を有する長方形状のベースと、
一対の励振電極と前記一対の励振電極から引き出される引出電極とを有し、前記引出電極が接続電極に導電性接着剤によって固定される長方形状の圧電振動片と、
前記圧電振動片を覆い、第2凹み部及びその第2凹み部の周囲の第2接合面が形成されたリッドと、
前記第1接合面と前記第2接合面との間に環状に配置され、前記ベースと前記リッドとを封止する環状の封止材と、
を備える圧電デバイス。
【請求項2】
前記第1凹み部を前記第2面の法線方向から見た場合に、前記第1凹み部は長方形状であり、
前記第2凹み部を前記第2面の法線方向から見た場合に、前記第2凹み部は長方形状である請求項1に記載の圧電デバイス。
【請求項3】
前記第1凹み部の長方形の少なくとも2つの角部は前記第1接合面と同じ高さで前記第1凹み部の中央側に突き出ており、前記角部に前記一対の接続電極が形成される請求項2に記載の圧電デバイス。
【請求項4】
前記2つの角部は前記第1凹み部の同じ短辺側に形成され、前記引出電極は前記圧電振動片の同じ短辺に引き出されている請求項3に記載の圧電デバイス。
【請求項5】
前記2つの角部は前記第1凹み部の向かい合う短辺にそれぞれ形成され、前記引出電極は前記圧電振動片の向かい合う短辺にそれぞれ引き出されている請求項3に記載の圧電デバイス。
【請求項6】
前記外部電極と前記接続電極とは、前記第1面と前記第2面とを結ぶ側面に形成されたキャスタレーションを介して電気的に接続されている請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の圧電デバイス。
【請求項7】
前記圧電振動片は、周辺部よりも中央部が厚みを有するメサ型又はコンベックス型を含む請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の圧電デバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−257158(P2012−257158A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130175(P2011−130175)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(000232483)日本電波工業株式会社 (1,148)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(000232483)日本電波工業株式会社 (1,148)
【Fターム(参考)】
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