説明

圧電デバイス

【課題】ATカット振動素子と音叉振動素子の発振周波数の基準周波数からのずれを小さくすることができる圧電デバイスを提供する。
【解決手段】圧電デバイス100は、2個一対のATカット用搭載パッド117と2個一対の音叉用搭載パッド114が対角に設けられ、2個一対のATカット用搭載パッド117の一つがATカット用配線パターンと第一のビアホール導体を介して所定のATカット用集積回路素子搭載パッド118に接続され、残りのATカット用搭載パッド117が第二のビアホール導体163を介して所定のATカット用集積回路素子搭載パッド118に接続され、2個一対の音叉用搭載パッド114の一つが音叉用配線パターンと第三のビアホール導体を介して所定の音叉用集積回路素子搭載パッド115に接続され、残りの音叉用搭載パッド114が第四のビアホール導体164を介して所定の音叉用集積回路素子搭載パッド115に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器等に用いられる圧電デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯用の電子機器には、各種圧電デバイスが用いられている。
図5に示すように、従来の圧電デバイス200は、素子搭載部材210、ATカット振動素子222、音叉振動素子226、集積回路素子230、蓋体(図示せず)から主に構成されている。図5は、従来の圧電デバイス200の蓋体(図示せず)を除去した状態の上面図である。図5において、従来の圧電デバイス200は、素子搭載部材210を有する。この素子搭載部材210は、セラミックシートを複数層積層して形成したセラミックパッケージとなっている。
【0003】
そして、素子搭載部材210には、仕切り部214によって相互に仕切られた第一の凹部216と第二の凹部218とが設けられている。また、素子搭載部材210は、上端面に低融点ガラス220が設けてあり、この低融点ガラス220を介して図示しない蓋体を接合することにより、第一の凹部216、第二の凹部218を封止するようになっている。
第一の凹部216は、第二の凹部218より大きく形成している。そして、第一の凹部216には、周波数温度特性が三次曲線をなすATカット振動素子222と集積回路素子230とが収納されている。
ATカット振動素子222は、圧電性結晶である水晶のATカット振動片から形成されている。また、第二の凹部218には、周波数温度特性が二次曲線を示す音叉振動素子226が収納されている。
この音叉振動素子226は、水晶の音叉型振動片からなっている。ATカット振動素子222は、長手方向が素子搭載部材210の長手方向となっている。これに対して、音叉振動素子226は、長手方向が素子搭載部材210の幅方向となるように設けられている。
【0004】
ここで、素子搭載部材210は、素子搭載部材210を構成している各シート間などに配線パターンが形成されている。素子搭載部材210の上面には、第一の凹部216内の露出した部分に、2個一対のATカット用電極パターン264と2個一対の音叉用電極パターン266とが形成されている。2個一対のATカット用電極パターン264と2個一対の音叉用電極パターン266とは、集積回路素子230の両側にほぼ対称に設けられている。
【0005】
また、2個一対のATカット用電極パターン264は、素子搭載部材210の上面に形成された2個一対のATカット用配線パターン268と、導電性接着剤244とを介してATカット振動素子222の電極パターン(図示せず)に電気的に接続されている。
【0006】
同様に、2個一対の音叉用電極パターン266は、素子搭載部材210の上面に形成した2個一対の音叉用配線パターン270と、導電性接着剤262とを介して音叉振動素子226の電極パターン(図示せず)に電気的に接続されている。
第一の凹部216内に配置された集積回路素子230は、ATカット振動素子222用の発振回路272と音叉振動素子226用の発振回路274とを備えている。これらのATカット振動素子222用の発振回路272と音叉振動素子226用の発振回路274は、集積回路素子230内の幅方向両側に離間させて設けてあって、両者間において相互に影響を与えないように設けられている。
また、ATカット振動素子222用の発振回路272と音叉振動素子226用の発振回路274は、集積回路素子230の表面に設けた2個一対のATカット用励振用パッド278と、2個一対の音叉用励振用パッド280とに電気的に接続されている。そして、2個一対のATカット用励振用パッド278と2個一対のATカット用搭載パッド264、および2個一対の音叉用励振用パッド280と2個一対の音叉用電極パターン266とは、2個一対のワイヤ282によって接続されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−120073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の圧電デバイス200は、ATカット振動素子222から2個一対のATカット用配線パターン268と2個一対のATカット用電極パターン264と2個一対のワイヤ282を介して集積回路素子230と接続される配線と、音叉振動素子226から2個一対の音叉用配線パターン270と2個一対の音叉用電極パターン266と2個一対のワイヤ282を介して、集積回路素子230と接続される配線が長いために、それぞれの配線間に生じる浮遊容量が大きくなっていた。
配線間に生じる浮遊容量が大きい場合は、ATカット振動素子222と音叉振動素子226の発振周波数が基準周波数からずれ、例えば音叉振動素子226の発振周波数は時計用の基準周波数として用いられているため、発振周波数がずれると時計の精度が悪くなるという不具合があった。また、配線間に生じる浮遊容量が大きい場合は、圧電デバイス200の発振開始時間が遅くなることがあった。
【0009】
そこで、本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、ATカット振動素子と音叉振動素子の発振周波数の基準周波数からのずれを小さくすることができる圧電デバイスを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の圧電デバイスは、基板部と第一の枠部によって基板部の一方の主面に形成された第一の凹部と、前記基板部と第二の枠部によって前記基板部の他方の主面に形成された第二の凹部が設けられた素子搭載部材と、前記第一の凹部内に露出した基板部の一方の主面に設けられた2個一対のATカット用搭載パッドに搭載されているATカット振動素子と、前記第一の凹部内に露出した基板部の一方の主面に設けられた2個一対の音叉用搭載パッドに搭載されている音叉振動素子と、前記第二の凹部内に露出した基板部の他方の主面に設けられたATカット用集積回路素子搭載パッドに搭載されているATカット用集積回路素子と、前記第二の凹部内に露出した基板部の他方の主面に設けられた音叉用集積回路素子搭載パッドに搭載されている音叉用集積回路素子と、前記第一の凹部を気密封止する蓋体とを備え、前記素子搭載部材が、前記2個一対のATカット用搭載パッドの一つに接続されているATカット用配線パターンと、前記ATカット用配線パターンに一方が接続され、他方が所定のATカット用集積回路素子搭載パッドに接続される第一のビアホール導体と、残りのATカット用搭載パッドに一方が接続され、他方が所定のATカット用集積回路素子搭載パッドに接続される第二のビアホール導体と、前記2個一対の音叉用搭載パッドの一つに接続されている音叉用配線パターンと、前記音叉用配線パターンに一方が接続され、他方が所定の音叉用集積回路素子搭載パッドに接続される第三のビアホール導体と、残りの音叉用搭載パッドに一方が接続され、他方が所定の音叉用集積回路素子搭載パッドに接続される第四のビアホール導体とを備え、
前記2個一対のATカット用搭載パッドと前記2個一対の音叉用搭載パッドが対角に設けられ、前記2個一対のATカット用搭載パッドの一つがATカット用配線パターンと第一のビアホール導体を介して所定のATカット用集積回路素子搭載パッドに接続され、残りのATカット用搭載パッドが第二のビアホール導体を介して所定のATカット用集積回路素子搭載パッドに接続され、
前記2個一対の音叉用搭載パッドの一つが音叉用配線パターンと第三のビアホール導体を介して所定の音叉用集積回路素子搭載パッドに接続され、残りの音叉用搭載パッドが第四のビアホール導体を介して所定の音叉用集積回路素子搭載パッドに接続されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の圧電デバイスは、2個一対のATカット用搭載パッドの一つがATカット用配線パターンと第一のビアホール導体を介して所定のATカット用集積回路素子搭載パッドに接続され、残りのATカット用搭載パッドが第二のビアホール導体を介して所定のATカット用集積回路素子搭載パッドに接続されていることから、2個一対のATカット用搭載パッドから所定のATカット用集積回路素子搭載パッドに接続される配線を短くできる。
また、本発明の圧電デバイスは、2個一対の音叉用搭載パッドの一つが音叉用配線パターンと第三のビアホール導体を介して所定の音叉用集積回路素子搭載パッドに接続され、残りの音叉用搭載パッドが第四のビアホール導体を介して所定の音叉用集積回路素子搭載パッドに接続されていることから、2個一対の音叉用搭載パッドから所定の音叉用集積回路素子搭載パッドに接続される配線を短くできる。よって、本発明の圧電デバイスは、配線間に生じる浮遊容量を小さくできるので、ATカット振動素子と音叉振動素子の発振周波数の基準周波数からのずれを小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る圧電デバイスの一例を示した断面図である。
【図2】本発明の圧電デバイスの蓋体を除去した状態の上面図である。
【図3】本発明の圧電デバイスの基板部の他方の主面を示した平面図である。
【図4】本発明の圧電デバイスの基板部の他方の主面の集積回路素子の配置を示した平面図である。
【図5】従来の圧電デバイスの蓋体を除去した状態の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の圧電デバイスを、添付図面に基づいて詳細に説明する。図1に示すように、圧電デバイス100は、素子搭載部材110、ATカット振動素子122、音叉振動素子126、ATカット用集積回路素子132、音叉用集積回路素子136、蓋体150とで主に構成されている。
【0014】
素子搭載部材110は、基板部111、第一の枠部112、第二の枠部113とから主に構成される。
素子搭載部材110を構成する基板部111と、第一の枠部112と、第二の枠部113は、例えば、ガラス−セラミックス、アルミナセラミックス等のセラミック材料からなる。
【0015】
基板部111の一方の主面には、図2に示すように、ATカット振動素子122を搭載するための2個一対のATカット用搭載パッド117と、音叉振動素子126を搭載するための2個一対の音叉用搭載パッド114が対角に設けられている。
また、基板部111の他方の主面には、図3に示すように、ATカット用集積回路素子132を搭載するための所定のATカット用集積回路素子搭載パッド118と、音叉用集積回路素子136を搭載するための所定の音叉用集積回路素子搭載パッド115が設けられている。尚、所定のATカット用集積回路素子搭載パッド118は、2個一対のATカット用搭載パッド117の反対側に位置するように設けられる。同様に所定の音叉用集積回路素子搭載パッド115は、2個一対の音叉用搭載パッド114の反対側に位置するように設けられる。
【0016】
また、基板部111の内部には、図2に示すように、ATカット用配線パターン168、音叉用配線パターン170、第一のビアホール導体161、第二のビアホール導体163、第三のビアホール導体162、第四のビアホール導体164が形成されている。基板部111の内部に設けられたATカット用配線パターン168は、一方が2個一対のATカット用搭載パッド117の一つと接続され、他方が第一のビアホール導体161を介して所定のATカット用集積回路素子搭載パッド118と接続されている。また、基板部111の内部に設けられた第二のビアホール導体163は、一方が残りのATカット用搭載パッド117と接続され、他方が所定のATカット用集積回路素子搭載パッド118と接続されている。
【0017】
また、基板部111の内部に設けられた音叉用配線パターン170は、一方が2個一対の音叉用搭載パッド114の一つと接続され、他方が第三のビアホール導体162を介して所定の音叉用集積回路素子搭載パッド115と接続されている。また、基板部111の内部に設けられた第四のビアホール導体164は、一方が残りの音叉用搭載パッド114と接続され、他方が所定の音叉用集積回路素子搭載パッド115と接続されている。
【0018】
また、2個一対のATカット用搭載パッド117は、図3に示すように、素子搭載部材110の長辺側の輪郭に近い、残りのATカット用搭載パッド117と、残りのATカット用搭載パッド117と素子搭載部材110の短辺側の輪郭に沿って並んで設けられるATカット用搭載パッド117の一つが設けられている。
また、2個一対の音叉用搭載パッド114は、図3に示すように、素子搭載部材110の反対側の長辺側の輪郭において、素子搭載部材110の輪郭に近い、残りの音叉用搭載パッド114と、残りの音叉用搭載パッド114と素子搭載部材110の短辺側の輪郭に沿って並んで設けられる音叉用搭載パッド114の一つが設けられている。従って、ATカット用配線パターン168と音叉用配線パターン170とは、交差することなく設けることができる。
【0019】
また、基板部111の他方の主面の所定のATカット用集積回路素子搭載パッド118は、例えば2行4列に8個設けられている。また、基板部111の他方の主面の所定の音叉用集積回路素子搭載パッド115は、例えば3行2列に6個設けられている。
図1に示すように、基板部111の他方の主面に設けられた所定のATカット用集積回路素子搭載パッド118は、ATカット用集積回路素子132の電極パッド(図示せず)が金バンプ130と半田131を介して接合されている。また、基板部111の他方の主面に設けられた所定の音叉用集積回路素子搭載パッド115は、音叉用集積回路素子136の電極パッド(図示せず)が金バンプ130と半田131を介して接合されている。
【0020】
また、所定のATカット用集積回路素子搭載パッド118の一部は、第二の枠部113の内部に設けられたビアホール導体(図示せず)を介して第二の枠部113の四隅に形成されたATカット用外部電極端子116と接続されている。また、所定の音叉用集積回路素子搭載パッド115の一部は、第二の枠部113の内部に設けられたビアホール導体(図示せず)を介して第二の枠部113の長辺に形成された音叉用外部電極端子120と接続されている。
【0021】
また、基板部111の一方の主面には、第一の枠部112が形成され、基板部111と第一の枠部112とで第一の凹部K1が形成される。また、第一の凹部K1には、ATカット振動素子122と音叉振動素子126が収容される。ATカット振動素子122と音叉振動素子126が収容される第一の凹部K1は、第一の枠部112と蓋体150とで気密封止されている。
【0022】
また、基板部111の他方の主面には、第二の枠部113が形成され、基板部111と第二の枠部113とで第二の凹部K2が形成される。また、第二の凹部K2には、ATカット用集積回路素子132と音叉用集積回路素子136が収容される。また、第二の枠部113の四隅は、ATカット用外部電極端子116を備える構成となっている。また、第二の枠部113の四隅に形成されたATカット用外部電極端子116は、ATカット振動素子122用の外部端子となり、ATカット振動素子122による圧電デバイス100の例えば所定のVCC端子、VCON端子、OUT端子、グランド端子として機能している。
【0023】
また、音叉振動素子126用の外部端子は、図4に示すように、第二の枠部113の四隅に形成されたATカット用外部電極端子116の間に所定の音叉用外部電極端子120が設けられている。音叉用外部電極端子120は、音叉振動素子126による圧電デバイス100の例えば所定のVCC端子、OUT端子、イネーブルディセーブル端子等として機能している。
【0024】
蓋体150は、基板部111と第一の枠部112で形成された第一の凹部K1を気密封止している。また、蓋体150の材質は、42アロイやコバール、リン青銅等からなる。
【0025】
ATカット振動素子122は、圧電素板の両主面に励振用電極(図示せず)と接続用電極(図示せず)を備える構造となっている。また、ATカット振動素子122の接続用電極(図示せず)は、導電性接着剤121を介して基板部111の一方の主面に設けられた2個一対のATカット用搭載パッド117に接続されている。また、ATカット振動素子122は、所定の結晶軸でカットした圧電素板に外部からの変動電圧が一対の接続用電極と励振用電極を介して圧電素板に印加されると、所定の周波数で厚みすべり振動を起こすようになっている。また、圧電素板としては、例えば水晶が用いられる。
【0026】
音叉振動素子126は、細長い音叉状の圧電素板の主面に励振用電極(図示せず)と接続用電極(図示せず)を備える構造となっている。また、音叉振動素子126の接続用電極(図示せず)は、導電性接着剤121を介して基板部111の一方の主面に設けられた2個一対の音叉用搭載パッド114に接続されている。また、音叉振動素子126は、所定の結晶軸でカットした圧電素板に外部からの変動電圧が一対の接続用電極と励振用電極を介して圧電素板に印加されると、所定の周波数で音叉振動を起こすようになっている。また、圧電素板としては、例えば水晶が用いられる。
【0027】
ATカット用集積回路素子132は、少なくとも発振回路を備える構成となっている。また、同様に音叉用集積回路素子136は、少なくとも発振回路を備える構成となっている。
また、図1に示すようにATカット用集積回路素子132と基板部111の他方の主面に設けられた所定のATカット用集積回路素子搭載パッド118の間には、樹脂140が充填されている。また、同様に音叉用集積回路素子136と基板部111の他方の主面に設けられた所定の音叉用集積回路素子搭載パッド115の間には、樹脂140が充填されている。
【0028】
ここで本発明の圧電デバイス100は、基板部111の一方の主面に設けられた2個一対のATカット用搭載パッド117の一つが、ATカット用配線パターン168と第一のビアホール導体161を介して、基板部111の他方の主面に設けられた所定のATカット用集積回路素子搭載パッド118に接続され、残りのATカット用搭載パッド117が第二のビアホール導体163を介して基板部111の他方の主面に設けられた所定のATカット用集積回路素子搭載パッド118に接続されている。
【0029】
また、本発明の圧電デバイス100は、基板部111の一方の主面に設けられた2個一対の音叉用搭載パッド114の一つが、音叉用配線パターン170と第三のビアホール導体162を介して、基板部111の他方の主面に設けられた所定の音叉用集積回路素子搭載パッド115に接続され、残りの音叉用搭載パッド114が第四のビアホール導体164を介して基板部111の他方の主面に設けられた所定の音叉用集積回路素子搭載パッド115に接続されている。
【0030】
以上より、本発明の圧電デバイス100は、図2、図3に示すように、2個一対のATカット用搭載パッド117の一つが、ATカット用配線パターン168と第一のビアホール導体161を介して所定のATカット用集積回路素子搭載パッド118に接続され、残りのATカット用搭載パッド117が第二のビアホール導体163を介して所定のATカット用集積回路素子搭載パッド118に接続されていることから、2個一対のATカット用搭載パッド117から所定のATカット用集積回路素子搭載パッド118までの配線長さを従来よりも短くすることができる。
【0031】
つまり、従来の圧電デバイス200は、図5に示すように、ATカット振動素子222から2個一対のATカット用配線パターン268と2個一対のATカット用電極パターン264と2個一対のワイヤ282を介して集積回路素子230に接続されていることから、ATカット振動素子222から集積回路素子230への配線が折れ曲がった経路になり配線が長くなっている。
これに対し、本発明の圧電デバイス100は、図2に示すように2個一対のATカット用搭載パッド117の一つがATカット用配線パターン168と第一のビアホール導体161を介して所定のATカット用集積回路素子搭載パッド118に接続され、他の一つが第二のビアホール導体163を介して所定のATカット用集積回路素子搭載パッド118に接続されている。これにより、本発明の圧電デバイス100は、2個一対のATカット用搭載パッド117から所定のATカット用集積回路素子搭載パッド118までの配線を最短経路とすることができる。
【0032】
また、同様に本発明の圧電デバイス100は、図2、図3に示すように、2個一対の音叉用搭載パッド114の一つが、音叉用配線パターン170と第三のビアホール導体162を介して所定の音叉用集積回路素子搭載パッド115に接続され、残りの音叉用搭載パッド114が第四のビアホール導体164を介して所定の音叉用集積回路素子搭載パッド115に接続されていることから、2個一対の音叉用搭載パッド114から所定の音叉用集積回路素子搭載パッド115までの配線長さを従来よりも短くすることができる。
【0033】
つまり、従来の圧電デバイス200は、図5に示すように音叉振動素子226から2個一対の音叉用配線パターン270と2個一対の音叉用電極パターン266と2個一対のワイヤ282を介して集積回路素子230に接続されていることから、音叉振動素子226から集積回路素子230への配線が折れ曲がった経路になり配線が長くなっている。
これに対し、本発明の圧電デバイス100は、図2に示すように、2個一対の音叉用搭載パッド114の一つが、音叉用配線パターン170と第三のビアホール導体162を介して所定の音叉用集積回路素子搭載パッド115に接続され、残りの音叉用搭載パッド114が第四のビアホール導体164を介して所定の音叉用集積回路素子搭載パッド115に接続されている。これにより、本発明の圧電デバイス100は、2個一対の音叉用搭載パッド114から所定の音叉用集積回路素子搭載パッド115までの配線を最短経路とすることができる。
【0034】
よって、本発明の圧電デバイス100は、ATカット振動素子122からATカット用集積回路素子132に接続される配線を短くできるので配線間の浮遊容量を小さくでき、ATカット振動素子122の発振周波数の基準周波数からのずれを小さくすることができる。
また、同様に本発明の圧電デバイス100は、音叉振動素子126から音叉用集積回路素子136に接続される配線を短くできるので配線間の浮遊容量を小さくでき、音叉振動素子126の発振周波数の基準周波数からのずれを小さくすることができる。
【0035】
さらに、本発明の圧電デバイス100は、図2に示すように、基板部111の一方の主面に設けられた2個一対のATカット用搭載パッド117と、2個一対の音叉用搭載パッド114が対角に配置されている。
また、本発明の圧電デバイス100は、図4に示すように、基板部111の他方の主面に設けられたATカット用集積回路素子132と音叉用集積回路素子136とが別個に配置されている。
よって、本発明の圧電デバイス100は、2個一対のATカット用搭載パッド117と2個一対の音叉用搭載パッド114が遠ざけて設けられ、ATカット用集積回路素子132と音叉用集積回路素子136とを別個に設けることで、ATカット振動素子122の発振回路と音叉振動素子126の発振回路の相互干渉を抑えることができるのでATカット振動素子122と音叉振動素子126が安定した発振周波数を得ることができる。
【0036】
また、前記した実施形態以外にも、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。例えば、前記実施形態に示した圧電デバイス100の第一の凹部K1に搭載される素子として、ATカット振動素子122と音叉振動素子126を示したが、これに限定することなく、例えば、音叉振動素子と弾性表面波素子の組み合わせを用いても構わない。
【符号の説明】
【0037】
100・・・圧電デバイス
110・・・素子搭載部材
111・・・基板部
112・・・第一の枠部
113・・・第二の枠部
114・・・音叉用搭載パッド
115・・・音叉用集積回路素子搭載パッド
116・・・ATカット用外部電極端子
117・・・ATカット用搭載パッド
118・・・ATカット用集積回路素子搭載パッド
120・・・音叉用外部電極端子
121・・・導電性接着剤
122・・・ATカット振動素子
126・・・音叉振動素子
130・・・金バンプ
131・・・半田
132・・・ATカット用集積回路素子
136・・・音叉用集積回路素子
140・・・樹脂
150・・・蓋体
161・・・第一のビアホール導体
162・・・第三のビアホール導体
163・・・第二のビアホール導体
164・・・第四のビアホール導体
168・・・ATカット用配線パターン
170・・・音叉用配線パターン
K1・・・第一の凹部
K2・・・第二の凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板部と第一の枠部によって基板部の一方の主面に形成された第一の凹部と、前記基板部と第二の枠部によって前記基板部の他方の主面に形成された第二の凹部が設けられた素子搭載部材と、
前記第一の凹部内に露出した基板部の一方の主面に設けられた2個一対のATカット用搭載パッドに搭載されているATカット振動素子と、
前記第一の凹部内に露出した基板部の一方の主面に設けられた2個一対の音叉用搭載パッドに搭載されている音叉振動素子と、
前記第二の凹部内に露出した基板部の他方の主面に設けられたATカット用集積回路素子搭載パッドに搭載されているATカット用集積回路素子と、
前記第二の凹部内に露出した基板部の他方の主面に設けられた音叉用集積回路素子搭載パッドに搭載されている音叉用集積回路素子と、
前記第一の凹部を気密封止する蓋体とを備え、
前記素子搭載部材が、前記2個一対のATカット用搭載パッドの一つに接続されているATカット用配線パターンと、
前記ATカット用配線パターンに一方が接続され、他方が所定のATカット用集積回路素子搭載パッドに接続される第一のビアホール導体と、
残りのATカット用搭載パッドに一方が接続され、他方が所定のATカット用集積回路素子搭載パッドに接続される第二のビアホール導体と、
前記2個一対の音叉用搭載パッドの一つに接続されている音叉用配線パターンと、
前記音叉用配線パターンに一方が接続され、他方が所定の音叉用集積回路素子搭載パッドに接続される第三のビアホール導体と、
残りの音叉用搭載パッドに一方が接続され、他方が所定の音叉用集積回路素子搭載パッドに接続される第四のビアホール導体とを備え、
前記2個一対のATカット用搭載パッドと前記2個一対の音叉用搭載パッドが対角に設けられ、前記2個一対のATカット用搭載パッドの一つがATカット用配線パターンと第一のビアホール導体を介して所定のATカット用集積回路素子搭載パッドに接続され、残りのATカット用搭載パッドが第二のビアホール導体を介して所定のATカット用集積回路素子搭載パッドに接続され、
前記2個一対の音叉用搭載パッドの一つが音叉用配線パターンと第三のビアホール導体を介して所定の音叉用集積回路素子搭載パッドに接続され、残りの音叉用搭載パッドが第四のビアホール導体を介して所定の音叉用集積回路素子搭載パッドに接続されていることを特徴とする圧電デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−119853(P2012−119853A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266662(P2010−266662)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000104722)京セラキンセキ株式会社 (870)
【Fターム(参考)】