地図データ作成方法及び経路探索方法並びに装置
【目的】探索した経路品位を保ち、かつ経路探索を高速化する「地図データ作成方法及び経路探索方法並びに装置」を提供することである。
【構成】詳細度に応じて複数のレベルを設けると共に各レベルにおけるメッシュを階層化し、各レベルのメッシュ毎の道路情報を有する地図データを作成するナビゲーション用の地図データ作成方法において、所定レベルにおける任意の2つのメッシュM1,M2の組み合わせ毎に、一方のメッシュから他方のメッシュに到る経路を探索する際に使用するメッシュを特定するデータを探索範囲情報として地図データに含める。ナビゲーション装置は経路探索に際してこの探索範囲情報を使用する。
【構成】詳細度に応じて複数のレベルを設けると共に各レベルにおけるメッシュを階層化し、各レベルのメッシュ毎の道路情報を有する地図データを作成するナビゲーション用の地図データ作成方法において、所定レベルにおける任意の2つのメッシュM1,M2の組み合わせ毎に、一方のメッシュから他方のメッシュに到る経路を探索する際に使用するメッシュを特定するデータを探索範囲情報として地図データに含める。ナビゲーション装置は経路探索に際してこの探索範囲情報を使用する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図データ作成方法及び経路探索方法並びに装置に係わり、特に詳細度に応じて複数のレベルを設けると共に各レベルにおけるメッシュを階層化し、各レベルのメッシュ毎の道路情報を有する地図データを作成するナビゲーション用の地図データ作成方法及び経路探索方法並びに該方法を実現する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーション装置は、車両の現在位置に応じた地図データをCD−ROM、DVD,HDDなどの地図記憶媒体から読み出してディスプレイ画面に描画すると共に、車両マークをディスプレイ画面の一定位置に固定表示し、走行に応じて地図をスクロ−ル表示する。また、ナビゲーション装置は以上に加えて、出発地から目的地に到る誘導経路あるいは出発地から指定された経由点を経由して目的地に到る誘導経路を探索し、該誘導経路を地図上に表示する経路誘導機能を備えている。かかる経路探索を高速に行う第1従来技術として、メッシュからメッシュへの専用のネットワークを地図データに格納し、該専用ネットワークを用いて探索枝数を減らし、探索の高速化を行なう方法がある(特許文献1)。又、第2の従来技術として、専用ネットワークを用いずに、階層化構造を有する地図データを用いて、階層型の探索を行う方法がある(特許文献2)。
【0003】
第1従来技術は、図15の(A)に示すように、詳細度に応じて5つのレベルを設け、各レベルの道路情報と専用ネットワーク情報により地図の道路情報を構成している。各レベルの基本部は該レベルに応じた領域に存在する道路の道路情報を特定する部分であり、レベル1及びレベル2の拡張部は高速探索用の情報部分である。専用ネットワークは、任意の2つのレベル2領域の組み合わせに対応させて、これら2つのレベル2領域間を接続ずる経路を探索する必要な経路情報(リンクやノード情報)を保持している。
図15の(B)に示すように出発地Sが特定されると、該出発地が含まれるレベル1領域A1と該レベル1領域A1が含まれるレベル2領域C1を特定する。同様に、目的地Eが特定されると、該目的地が含まれるレベル1領域A2と該レベル1領域A2が含まれるレベル2領域C2を特定する。専用ネットワーク情報は、これら2つのレベル2領域C1,C2の組み合わせに応じて設けられているから、該専用ネットワーク情報を用いて経路探索を行う。具体的には、出発地と目的地に対応する上位移行ノードP11,P12,P13;Q11,Q12,Q13を、レベル1の地図情報及び専用ネットワークの拡張情報を用いて抽出する。ついで、上位移行ノードに対応する上位ノードN11,N12,N13と上位ノード11,M12,M13間の複数の経路を専用ネットワーク情報(リンクやノード情報)を用いて探索し、最小コストの経路を誘導経路として決定する。
【0004】
第2従来技術は、図16に示すように地図をレベル1−4に階層化して道路情報を構成している。レベル1は誘導経路対象道路と非誘導経路対象道路(細街路)の地図情報を特定する部分、レベル2は誘導経路対象道路の道路情報を特定する部分、レベル3は主要道路の地図情報を特定する部分、レベル4は更に主要な道路(県道、国道、高速道路)の地図情報を特定する部分である。出発地Sおよび目的地Eが特定されると、レベル2において出発地Sからレベル3の上位ノードに移行するノードb10を求め、ついで、ノードb10からレベル4の上位ノードに移行するノードc10を求め、出発地Sから上位ノードc10に到る経路を求める。同様に、目的地Eより最上位レベル4の上位ノードC20に到る経路をもとめる。ついで、出発地側の上位ノードc10から目的地側の上位ノードc20へ到る経路をレベル4の道路情報を用いて探索し、最終的に出発地から目的地へ到るコスト最小の経路を探索する。
【特許文献1】特開2003−337034号公報
【特許文献2】特開2004−286524号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
第1従来技術では、専用ネットワークの数が非常に多いので、道路情報のデータサイズが大きくなる問題がある。ま地図データの更新を、差分データを作成して行う場合、専用ネットワーク情報の差分データ量が大きくなってしまい、該差分データを通信で取得するには通信時間が非常に長くなって通信コストが高くなり、また、地図更新時間が長くなる問題がある。
第2従来技術の階層化構造の探索では、ヒューリスティックコストをかけ、出来るだけ無駄に探索枝をのばさないで目的地までの最適解を得る方法が存在する。しかし、それでも余計に探索枝がのびてしまい、探索時間が長くなる問題がある。図17は、東京駅→大阪駅の経路探索における探索枝ののびかたを示すもので、塗りつぶし部分が探索枝がのびたところを示している。
以上から、本発明の目的は、探索した経路品位を保ち、かつ経路探索を高速化することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
・地図データ作成方法
上記課題は本発明によれば、詳細度に応じて複数のレベルを設けると共に各レベルにおけるメッシュを階層化し、各レベルのメッシュ毎の道路情報を有する地図データを作成するナビゲーション用の地図データ作成方法において、所定レベルにおける任意の2つのメッシュの組み合わせ毎に、一方のメッシュから他方のメッシュに到る経路を探索する際に使用する該レベルのメッシュを特定するデータを探索範囲情報として作成して地図データに含めることにより達成される。
前記探索範囲情報を作成するための第1の方法は、メッシュの道路情報を参照し、メッシュ毎に該メッシュから脱出する境界脱出リンクのリストと、該メッシュに進入する境界進入リンクのリストを作成するステップ、任意の2つのメッシュの組み合わせ毎に、一方のメッシュの各境界脱出リンクから他方のメッシュの各境界進入リンクに到る全経路を探索するステップ、探索された各経路を構成するリンクが属するメッシュを特定するデータにより前記探索範囲情報を作成するステップを有している。
前記探索範囲情報を作成するための第1の方法は、メッシュの道路情報を参照し、メッシュ毎に該メッシュから脱出する境界脱出リンクのリストと、該メッシュに進入する境界進入リンクのリストを作成するステップ、任意の第1メッシュの境界脱出リンクから探索が不可能となるまで探索を行い、探索終了後、探索結果を参照し、前記第1メッシュの境界脱出リンクから任意の第2メッシュの各境界進入リンクに到る全経路を求めるステップ、同様に、前記第1メッシュの各境界脱出リンクについて該境界脱出リンクから前記第2メッシュの各境界進入リンクに到る全経路を求めるステップ、前記各経路を構成するリンクが属するメッシュを特定することにより、前記第1、第2メッシュの組み合わせに応じた探索範囲情報を作成するステップを有している。
・経路探索方法
上記課題は本発明によれば、目的地までの経路を探索するナビゲーション装置の経路探索方法により達成される。本発明の経路探索方法は、(1)詳細度に応じて複数のレベルを設けると共に各レベルにおけるメッシュを階層化し、最上位レベルの次のレベル(準最上位レベル)における任意の2つのメッシュの組み合わせ毎に、一方のメッシュから他方のメッシュに到る経路を探索する際に使用するメッシュを特定するデータを探索範囲情報とし、該探索範囲情報を各レベルのメッシュ毎の道路情報と共に地図データに含め、更に、最上位レベルの道路情報を構成するリンクが前記準最上位レベルのメッシュをまたがらないようにすると共に該リンクのリンクレコードに該リンクが存在する前記準最上位レベルのメッシュの識別データを含ませるステップ、(2)最上位レベルのノード間の経路探索に際して、前記探索範囲情報により経路探索に使用するとされたメッシュのメッシュ識別データを有する最上レベルリンクを用いて経路探索を行うステップ、を有している。
【0007】
・地図データ作成装置、
また、上記課題は本発明によれば、詳細度に応じて複数のレベルを設けると共に各レベルにおけるメッシュを階層化し、各レベルのメッシュ毎の道路情報を有する地図データを作成するナビゲーション用の地図データ作成装置により達成される。
本発明の第1の地図データ作成装置は、メッシュの道路情報を参照し、メッシュ毎に該メッシュから脱出する境界脱出リンクのリストと、該メッシュに進入する境界進入リンクのリストを作成するリンクリスト作成部、任意の2つのメッシュの組み合わせ毎に、一方のメッシュの各境界脱出リンクから他方のメッシュの各境界進入リンクに到る全経路を探索する探索部、探索された各経路を構成するリンクが属するメッシュを特定するデータにより前記一方のメッシュから他方のメッシュに到る経路を探索する際に使用するメッシュを特定する探索範囲情報を作成する探索範囲情報作成部を備えている。
本発明の第2の地図データ作成装置は、メッシュの道路情報を参照し、メッシュ毎に該メッシュから脱出する境界脱出リンクのリストと、該メッシュに進入する境界進入リンクのリストを作成するリンクリスト作成部、任意の第1メッシュの境界脱出リンクから探索が不可能となるまで探索を行い、探索終了後、探索結果を参照して前記第1メッシュの境界脱出リンクから任意の第2メッシュの各境界進入リンクに到る全経路を求め、同様に、前記第1メッシュの各境界脱出リンクについて該境界脱出リンクから前記第2メッシュの各境界進入リンクに到る全経路を求める経路探索部、前記各経路を構成するリンクが属するメッシュを特定するデータにより、前記第1のメッシュから第2のメッシュに到る経路を探索する際に使用するメッシュを特定する探索範囲情報を作成する探索範囲情報作成部を備えている。
【0008】
・ナビゲーション装置、
また、上記課題は本発明によれば目的地までの経路を探索するナビゲーション装置により達成される。本発明のナビゲーション装置は、(1) 上位レベルの次のレベル(準最上位レベル)における任意の2つのメッシュの組み合わせ毎に、一方のメッシュから他方のメッシュに到る経路を探索する際に使用するメッシュを特定するデータを探索範囲情報とし、該探索範囲情報を各レベルのメッシュ毎の道路情報と共に地図データに含め、更に、最上位レベルの道路情報を構成するリンクが前記準最上位レベルのメッシュをまたがらないようにすると共に該リンクのリンクレコードに該リンクが存在する準最上位レベルのメッシュの識別データを含ませてなる地図データを記憶する地図データ記憶部、(2)目的地を設定する目的地設定部、(3)出発地側及び目的地側の最上位レベルのノードを求め、該ノード間の経路探索に際して、前記探索範囲情報により経路探索に際して使用するとされているメッシュのメッシュ番号を有する最上位レベルのリンクを用いて経路探索を行う経路探索部を備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、所定レベルにおける任意の2つのメッシュの組み合わせ毎に、一方のメッシュから他方のメッシュに到る経路を探索する際に使用する該レベルのメッシュを特定するデータを探索範囲情報として地図データに含めるようにしたから、該探索範囲情報を用いることにより探索範囲を狭めることができ、高速の経路探索が可能になった。
又、本発明によれば、探索範囲情報として探索すべきメッシュの識別データを保存するだけでよいため、該探索範囲情報のサイズを少なくでき、しかも、地図更新時における差分データサイズを小さくできる。
又、本発明によれば、任意の第1メッシュの境界脱出リンクから探索が不可能となるまで探索を行い、探索終了後、探索結果を参照し、前記第1メッシュの境界脱出リンクから任意の第2メッシュの各境界進入リンクに到る全経路を求め、同様に、前記第1メッシュの各境界脱出リンクについて該境界脱出リンクから前記第2メッシュの各境界進入リンクに到る全経路を求め、前記各経路を構成するリンクが属するメッシュを特定することにより、前記第1、第2メッシュの組み合わせに応じた探索範囲情報を作成するようにしたから、高速に探索範囲データを作成することができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
詳細度に応じて複数のレベルを設けると共に各レベルにおけるメッシュを階層化し、各レベルのメッシュ毎の道路情報を有する地図データを作成するナビゲーション用の地図データ作成方法において、所定レベルにおける任意の2つのメッシュの組み合わせ毎に、一方のメッシュから他方のメッシュに到る経路を探索する際に使用する該レベルのメッシュを特定するデータを探索範囲情報として地図データに含める。
この探索範囲情報は、以下のように作成する。第1の探索範囲情報作成方法では、(1) メッシュの道路情報を参照し、メッシュ毎に該メッシュから脱出する境界脱出リンクのリストと、該メッシュに進入する境界進入リンクのリストを作成し、(2)任意の2つのメッシュの組み合わせ毎に、一方のメッシュの各境界脱出リンクから他方のメッシュの各境界進入リンクに到る全経路を探索し、(3)探索された各経路を構成するリンクが属するメッシュを特定するデータにより前記探索範囲情報を作成する。
第2の探索範囲情報作成方法では、(1)任意の第1メッシュの境界脱出リンクから探索が不可能となるまで探索を行い、探索終了後、探索結果を参照し、前記第1メッシュの境界脱出リンクから任意の第2メッシュの各境界進入リンクに到る全経路を求め、(2)同様に、前記第1メッシュの各境界脱出リンクについて該境界脱出リンクから前記第2メッシュの各境界進入リンクに到る全経路を求め、(3)前記各経路を構成するリンクが属するメッシュを特定することにより、前記第1、第2メッシュの組み合わせに応じた探索範囲情報を作成する。
【実施例】
【0011】
(A)本発明の概要
図1は本発明の地図データに含まれる道路情報の説明図である。詳細度に応じて複数のレベル(レベル1〜レベル4)を設けると共に各レベルにおけるメッシュを階層化し、各レベルのメッシュ毎の道路情報RI1〜RI4と、経路探索に際して利用する探索範囲データSRDとで道路情報を構成する。
レベル1は誘導経路対象道路と非誘導経路対象道路の地図情報を特定する部分、レベル2は誘導経路対象道路の道路情報を特定する部分、レベル3は主要道路の地図情報を特定する部分、レベル4は更に主要な道路(県道、国道、高速道路)の地図情報を特定する部分である。
探索範囲データSRDは、図2に示すように、所定レベル(例えばレベル3)における任意の2つのメッシュM1,M2の組み合わせ毎に、一方のメッシュM1から他方のメッシュM2に到る経路を探索する際に使用するメッシュ(太枠線内のメッシュ)を特定するデータを探索範囲データとして地図データに含める。
この探索範囲データSRDは、例えば、以下のように作成する。(1)各メッシュの道路情報を参照し、メッシュ毎に該メッシュから脱出する境界脱出リンクのリストと、該メッシュに進入する境界進入リンクのリストを作成し、(2)任意の2つのメッシュの組み合わせ毎に、一方のメッシュの各境界脱出リンクから他方のメッシュの各境界進入リンクに到る全経路PT1,PT2,…を探索し、(3)探索された各経路を構成するリンクが属するメッシュを特定するデータにより、該2つのメッシュの組み合わせに応じた探索範囲データとし、全てのメッシュの組み合わせについて探索範囲データを作成する。
【0012】
図3はメッシュの一例の説明図である。地図はカバーするエリアの広さからレベル4のメッシュ,レベル3のメッシュ、レベル3のメッシュ、レベル2のメッシュ、レベル1のメッシュと階層化されている。レベル4のメッシュに相当する領域R4は、複数(図では4つ)のレベル3メッシュの領域R3で構成され、同様に、レベル3のメッシュに相当する領域R3は、4つのレベル2メッシュの領域R2で構成され、レベル2のメッシュに相当する領域R2は、4つのレベル1メッシュの領域R1で構成されている。
【0013】
図4は道路情報に含まれるリンクレコードの構成説明図である。リンクとは交差点から交差点までの道路部分であり、リンクレコードは、(A)に示すように(1)リンクID、(2)道路種別、(3)リンク距離、(4)車線数、(5)リンク形状を特定する形状情報(始点ノード、中間のノード、終点ノードの位置データ)を有している。各リンクレコードはメッシュ番号に対応させて地図に含まれており、リンクが属するメッシュのメッシュ番号がわかるようになっている。また、レベル4のリンクはレベル3領域R3をまたがらないように形成されており、該レベル4のリンクレコードには図4(B)に示すようにレベル3領域のメッシュ番号が含まれている。
図5はレベル4のリンクがレベル3領域をまたがらないように形成することを説明する説明図であり、交差点N1,N2を始点、終点とするリンクLKがレベル3領域R3a,R3bを横切っている。かかる場合、リンクLKをレベル3領域R3の境界線で二分し、二分された2つのリンクLK1(N1−NB),LK2(NB−N2)をレベル4のリンクとし、夫々についてリンクレコードを作成し、それぞれにレベル3領域R3a.R3bのメッシュ番号を持たせる。
【0014】
(B)探索データ作成
図6は本発明の地図作成装置の要部構成図、図7は本発明の地図作成処理説明図である。
リンクデータ入力部1はレベル3メッシュのリンクレコードをリスト作成部2と経路探索部3に入力する。リスト作成部2は、レベル3メッシュのリンクレコードを参照し、全レベル3メッシュについて、メッシュ毎に該メッシュから脱出する境界脱出リンクのリストと、該メッシュに進入する境界進入リンクのリストを作成する。図7(A)は、境界脱出リンクの説明図であり、レベル3メッシュの着目領域R3から隣接メッシュへ移動する際に通る境界リンクS1〜S6が境界脱出リンクである。図7(B)は、境界進入リンクの説明図であり、隣接メッシュからレベル3メッシュの着目領域R3へ進入する際に通る境界リンクE1〜E6が境界進入リンクである
経路探索部3は、任意の2つのレベル3メッシュの組み合わせ毎に、一方のメッシュの各境界脱出リンクS1〜S6から他方のメッシュの各境界進入リンクE1〜E6に到る全経路を所定の経路探索方法により、例えばダイクストラ法により探索する。すなわち、図7(C),(D)に示すように経路探索部3は、
・境界脱出リンクS1から各境界進入リンクE1〜E6に到る全経路、
・境界脱出リンクS2から各境界進入リンクE1〜E6に到る全経路、
・境界脱出リンクS3から各境界進入リンクE1〜E6に到る全経路、
・・・・・・・
・境界脱出リンクS6から各境界進入リンクE1〜E6に到る全経路、
を探索する。
【0015】
探索範囲データ作成部4は、経路探索部3により探索された上記の各経路を構成するレベル3リンクが属するレベル3メッシュのメッシュ番号を記憶することにより、任意の2つのレベル3メッシュの組み合わせに対応させて探索範囲データを作成してメモリ5に保存する。なお、探索範囲データを保存するために、任意の2つのメッシュの組み合わせに対応させてメモリ5にKバイトを用意し、Kバイトの各ビットにより上記経路を構成するリンクが所定のメッシュに含まれているか否かを記録する。すなわち、Kバイトの第1ビット〜第8×Kビットをメッシュ番号1〜メッシュ番号8×Kに対応させ、上記経路を構成するリンクが所定のメッシュに属する場合には、該メッシュに対応するビットに”1”を記入し、これにより探索範囲データを作成して保存する。全てのメッシュの組み合わせに対して上記処理を行って、探索範囲データをメモリ5に保存する。
地図データ作成部6は各レベルの道路情報および前記作成された探索範囲データを用いて道路レイヤ情報を作成してたとえばDVD 7に記録する。
【0016】
(C)経路探索法
・ダイクストラ法
図8はコストを距離とした場合のダイクストラ法の概略説明図で、道路を直線、交差点を直線の交点としてグラフ化したものである。各交差点間の距離は既知で、Psは出発点(自車位置)、Pdは目的地である。ダイクストラ法では、出発地Psに隣接する1次交差点A1〜A4を求め、各1次交差点A1〜A4に対応させて0次の交差点(出発点)及び出発点からの距離を記憶する。ついで、各1次交差点A1〜A4について2次交差点Bijを求め、各2次交差点に対応させて1次交差点を経由する出発点からの距離を求めて記憶する。例えば、1次交差点A1については3つの2次交差点B11,B12,B13が求まり、各2次交差点B11,B12,B13に対応させて、
B11:1次交差点A1を経由する出発点からの距離d11
B12:1次交差点A1を経由する出発点からの距離d12
B13:1次交差点A1を経由する出発点からの距離d13・・・・(a)
を記憶する。又、1次交差点A2について3つの2次交差点B21,B22,B23が求まり、各2次交差点B21,B22,B23に対応させて、
B21:1次交差点A2を経由する出発点からの距離d21 ・・・・(b)
B22:1次交差点A2を経由する出発点からの距離d22
B23:1次交差点A2を経由する出発点からの距離d23
を記憶し、他の1次交差点A3,A4についても同様に2次交差点を求めて所定のデータを記憶する。
ところで、交差点B13とB21は同一の交差点である。このように、データを記憶すべき交差点が重複すると、出発点からの距離d13とd21の大小を比較し、小さい方のデータのみを記憶する。たとえば、d13>d21であれば、交差点B13(=B21)のデータとして(b)のデータが最終的に記憶される。
以後、同様に、各2次交差点について3次交差点Cijを求め、各3次交差点に対応させて2次交差点を経由する出発点からの距離を求めて記憶し、一般に各第i次交差点について第(i+1)次交差点を求め、各第(i+1)次交差点に対応させて第i次交差点を経由する出発点からの累計距離を求めて記憶してゆけば、最終的に目的点Pdに到達する。以上はノードに着目してダイクストラ法を説明したがリンクに着目して説明することもできる。
【0017】
・ダイクストラ法を用いた経路探索処理
図9はダイクストラ法を用いた経路探索処理のフローであり、距離をコストとする場合であり、目的地が存在するメッシュを目的側メッシュ、出発地が存在するメッシュを出発側メッシュという。
所定の出発側メッシュの第j境界脱出リンクを選択し、該リンクの検索次数nを1にし(1→n、ステップ101)、第n次リンクに接続するリンクが存在するか調べる(ステップ102)。1次リンクは出発点Psに接続するリンクである。第次nリンクLnに接続するリンク(隣接リンクという)が存在すれば、出発点Psから第n次リンクLnを経由して隣接リンクLajの終端までの累計距離Dを計算する(ステップ103)。
出発点から第n次リンクの終点までの距離dnは後述するように、該第次nリンクに対応させて記憶に記憶してあり、また隣接リンクLajの距離dajはリンクレコードに記憶してあるから、次式
dn+daj→D
により出発点Psから隣接リンクLajの終点までの累計距離Dが求まる。
ついで、隣接リンクLajの検索次数が(n+1)かチェックし(ステップ104)、(n+1)でなければ、隣接リンクLajに対応させて、以下のデータ
(1) 現在着目している第n次リンクのシ−ケンシャル番号、
(2) 出発点から当該隣接リンクLajの終点までの累計距離D、
(3) 当該隣接リンクLaj の検索次数として(n+1)、
(4) メッシュ3番号
(5) リンクLajのリンク番号
を記憶部に記憶し(ステップ105)、以後、ステップ102に戻り、着目している第n次リンクに接続するリンクが、なお残存するか調べて以降の処理を繰り返す。
一方、ステップ104において、隣接リンクの次数が(n+1)の場合には、換言すれば、該隣接リンクが別の第n次リンクに隣接するリンクとして参照されていれば(ステップ105で既に上記(1)〜(5) のデータが記憶されていれば)、該隣接リンクに対応して記憶してある出発点からの距離D′とステップ103で求めた距離Dの大小を比較する(ステップ106)。D<D′であれば、当該隣接リンクLajに対応して記憶部に記憶してある、第n次リンクのシ−ケンシャル番号を現在着目している第n次リンクのシ−ケンシャル番号で置き換えると共に、累計距離D′をDで書き替え(D→D′,ステップ107)、以後、ステップ102に戻り、着目している第n次リンクに接続するリンクが、なお残存するか調べて以降の処理を繰り返す。又、D≧D′の場合には、当該隣接リンクに対応して記憶部に記憶してある内容を変更せずステップ102に戻る。
【0018】
ステップ102において、着目している第n次リンクに接続するリンクが存在しなくなれば、別の第n次リンクが存在するか調べ(ステップ108)、存在すれば、該別の第n次リンクを新たに第n次リンクとして(ステップ109)、ステップ102以降の処理を繰り返す。ステップ108において、別の第n次リンクが存在しなければ、目的側メッシュの進入リンクに到達したかチェックし(ステップ110)、到達していなければ検索次数を1つ歩進し(n+1→n,ステップ111)、ステップ102以降の処理を繰り返す。しかし、目的側メッシュの進入リンクに到達していれば、探索処理を終了する。以上では、距離をコストとみなした場合であるが、コストが距離以外の要素をも含む場合には距離の代わりにコストCを用いることができる。
以上により、探索処理が完了後、目的側メッシュにおける所定の境界進入リンクに着目し、
(1)該境界進入リンク(M次のリンクとする)→(2)該境界進入リンクに対応させて記憶してある(M−1)次のリンク→(3)該(M−1)次のリンクに対応させて記憶してある(M−2)次のリンク→・・・→(4)2次のリンクに対応させて記憶してある1次リンク(第i目的側メッシュの第j境界脱出リンク)
と順次接続することにより、1次リンクである第i目的側メッシュの第j境界脱出リンクから目的側メッシュにおける所定の境界進入リンクに到るコスト(距離)最小の経路をもとめることができる。
なお、後述する図10の探索範囲データ作成処理フローのステップ208では、上記求めた経路を構成するリンクのメッシュ3番号に対応するビットを“1”にして探索範囲データを作成する。
また、図11の第2の探索範囲データ作成処理フローのステップ303の探索処理では、上記ステップ110において探索枝を延ばせるか判別し、探索枝を延ばせれば検索次数を1つ歩進し(n+1→n,ステップ111)、ステップ102以降の処理を繰り返す。しかし、探索枝を延ばせず、探索が不可能になれば探索処理を終了する。
【0019】
(D)探索範囲データの作成処理
・第1の探索範囲データ作成処理
図10は本発明の第1の探索範囲データ作成処理フローである。
まず、レベル3メッシュのリンクレコードを参照し、全レベル3メッシュについて、メッシュ毎に該メッシュから隣接メッシュへ脱出する境界脱出リンクのリストを作成し(ステップ201)、ついで、該メッシュに隣接メッシュから進入する境界進入リンクのリストを作成する(ステップ202)。
ついで、出発側メッシュ番号を示すi、目的側メッシュ番号を示すk、出発側メッシュにおける境界脱出リンク番号を示すj、目的側メッシュにおける境界進入リンク番号を示すmをすべて1に初期化する(ステップ203〜206)。
ついで、第i出発側メッシュの第j境界脱出リンクから第k目的側メッシュの第m境界進入リンクまでの経路を探索する(ステップ207)。なお、i=kの場合にはステップ207以降の処理を行わない。
経路探索処理が終了すれば、第m境界進入リンクから逆方向にたどって第j境界脱出リンクに至る経路が通過するメッシュのメッシュ対応ビットを“1”にする(ステップ208)。しかる後、第k目的側メッシュの全境界進入リンクまでの経路探索が完了したかチェックし(ステップ209)、完了してなければmを歩進して(m=m+1,ステップ210)、ステップ207以降の処理を繰り返す。
ステップ209において、第k目的側メッシュの全境界進入リンクまでの経路探索が完了すれば、第i出発側メッシュの全境界脱出リンクからの経路探索が完了したかチェックし(ステップ211)、完了してなければjを歩進して(j=j+1,ステップ212)、ステップ206以降の処理を繰り返す。ステップ211において、第i出発側メッシュの全境界脱出リンクからの経路探索が完了すれば、メッシュ番号(i,k)の組み合わせに対応する探索範囲データの作成が完了する。
ついで、全目的側メッシュについて上記処理が終了したかチェックし(ステップ213)、終了してなければkを歩進して(k=k+1,ステップ214)、ステップ205以降の処理を繰り返す。ステップ213において、全目的側メッシュについて上記処理が終了すれば、第i出発側メッシュから他の全目的側メッシュに対する探索範囲データの作成が完了する。
しかる後、全出発側メッシュについて上記処理が終了したかチェックし(ステップ215)、終了してなければiを歩進して(i=i+1,ステップ216)、ステップ204以降の処理を繰り返す。ステップ215において、全出発側メッシュについて上記処理が終了すれば、探索範囲データの作成が完了する。
【0020】
・第2の探索範囲データ作成処理
図11は本発明の第2の探索範囲データ作成処理フローである。なお、各メッシュの境界脱出リンクおよび境界進入リンクのリストの作成は完了しているものとする。
まず、出発側メッシュ番号を示すi、出発側メッシュにおける境界脱出リンク番号を示すjを1に初期化する(ステップ301〜302)。
ついで、第i出発側メッシュの第j境界脱出リンクからダイクストラ法を用いて経路探索処理を探索が不可能となるまで、すなわち、探索枝を延ばせなくなるまで行う(ステップ303)。探索終了後、目的側メッシュ番号を示すk、目的側メッシュにおける境界進入リンク番号を示す番号mをそれぞれ1に初期化する(ステップ304〜305)。
ついで、第k目的側メッシュの第m境界進入リンクから逆方向にたどって第i出発側メッシュの第j境界脱出リンクに至る経路が通過するメッシュのメッシュ対応ビットを“1”にする(ステップ306)。しかる後、第k目的側メッシュの全境界進入リンクについてステップ306の処理が完了したかチェックし(ステップ307)、完了してなければmを歩進して(m=m+1,ステップ308)、ステップ306以降の処理を繰り返す。
ステップ307において、第k目的側メッシュの全境界進入リンクについてステップ306の処理が完了すれば、全目的側メッシュについて上記処理が終了したかチェックし(ステップ309)、終了してなければkを歩進して(k=k+1,ステップ310)、ステップ305以降の処理を繰り返す。
ステップ309において、全目的側メッシュについて上記処理が終了すれば、第i出発側メッシュの第j境界脱出リンクから全目的側メッシュの全境界脱出リンクに至る探索範囲データの作成が完了する。ついで、第i出発側メッシュの全境界脱出リンクについて上記処理が完了したかチェックし(ステップ311)、完了してなければjを歩進して(j=j+1,ステップ312)、ステップ303以降の処理を繰り返す。
ステップ311において、第i出発側メッシュの全境界脱出リンクからの経路探索が完了すれば、メッシュ番号iのメッシュと他のすべてのメッシュとの組み合わせに対応する探索範囲データの作成が完了する。
ついで、全出発側メッシュについて上記処理が終了したかチェックし(ステップ313)、終了してなければiを歩進して(i=i+1,ステップ314)、ステップ302以降の処理を繰り返す。ステップ313において、全出発側メッシュについて上記処理が終了すれば、探索範囲データの作成が完了する。
【0021】
(E)ナビゲーション装置
図12は本発明のナビゲーション装置の構成図である。
地図記録媒体(CD-ROM、DVDなど)11には図6の地図作成装置が作成した地図データが記録されており、必要に応じて読み取られるようになっている。操作部12はナビゲーション制御装置10を操作するものでリモコン、操作用のハードキーなどを有している。GPS受信機13はGPS衛星から送られてくるGPS信号を受信し、車両の絶対的現在位置(GPS位置)や進行方向を算出し、自立航法センサー部14は、所定時間毎に進行方向変化および走行距離を検出してナビゲーション制御装置10に入力する。
タッチパネル式ディスプレイ装置15はナビゲーション制御装置10からの指示に従って車両周辺地図、誘導経路、メニュー、車両位置マーク等を表示する。また、タッチパネル式ディスプレイ装置15は、スクリーンに表示したソフトキーが押下されたとき所定のコマンドをナビゲーション制御装置10に入力するようになっている。
ナビゲーション制御装置10において、位置推定制御部20はGPS受信機13及び自立航法センサー部14からの信号に基づいて車両位置を推定してナビゲーション制御部22に入力する。地図バッファ21は地図記録媒体から読み取った地図データを保存する。ナビゲーション制御部22は、図示しないが、入力される各種情報、コマンドに基づいて、車両位置周辺の地図データを地図バッファ21に読み出す地図読み出し制御部、誘導経路探索制御及び経路誘導制御を実行する誘導経路制御部、各種操作画面、車両マークの発生制御を実行する操作画面発生制御部などを有している。
地図描画部23は地図バッファ21に読み出された地図データを用いて地図画像を生成してVRAM 24に書込み、画像読み出し部25は制御部22からの指示に従ってVRAM 24から所定の画像部分を切り取って画像合成部26に入力する。
誘導経路メモリ27は、制御部22の誘導経路制御部により探索された目的地までの誘導経路情報、すなわち、誘導経路を構成する全リンクデータを出発地から目的地まで記録する。誘導経路描画部28は誘導経路情報を用いて誘導経路画像を発生して画像合成部26に入力し、描画地図上に強調表示する。操作画面発生部29は各種メニュー画面(操作画面)を生成して画像合成部26に入力し、マーク発生部30は車両位置マークやカーソル等の各種マークを生成して画像合成部26に入力する。画像合成部26は、VRAM 24から読み出した地図画像に各種マークや誘導経路画像を重ね合わせてスクリーン全体に表示する。
【0022】
(F)誘導経路探索
図13は出発地と目的地が特定された際の本発明の誘導経路探索処理フローである。
レベル1メッシュの出発地からレベル4のメッシュのリンクまでの経路を探索する(ステップ401)。同様に、レベル1メッシュの目的地からレベル4のメッシュのリンクまでの経路を探索する(ステップ402)。ついで、レベル4メッシュの出発側リンクおよびレベル4メッシュの目的側リンクがそれぞれ存在するレベル3メッシュ番号を求める(ステップ403)。この求めたレベル3メッシュの組み合わせにより、経路探索に際してどの探索範囲データを使用するかがわかる。
しかる後、該探索範囲データを参照しつつ、レベル4の道路情報(リンクレコード)を用いて出発地から目的地までの経路を探索する(ステップ404)。すなわち、経路探索に際して、レベル4リンクのリンクレコードに含まれるレベル3メッシュ番号に対応する探索範囲データのビット位置を参照し(図14参照)、“1”(オン)であれば、該レベル4リンクは経路探索対象リンクであるとみなして該リンクを用いて経路探索処理を行い、“0”(オフ)であれば、該レベル4リンクは経路探索対象リンクでないとみなして経路探索に使用しない。
ステップ401においてレベル1の出発地からレベル4メッシュのリンクまでの経路は複数見つかるから、夫々について出発地から目的地までの経路を探索し、最小コストの経路を誘導経路として取得する(ステップ405)。
以上本発明によれば階層型探索において、探索範囲を経路品位に影響する事無く絞り込む事が出来て、探索時間を削減する事が出来る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の地図データに含まれる道路情報の説明図である。
【図2】探索範囲データSRDの説明図である。
【図3】図3はメッシュの一例説明図である。
【図4】道路情報に含まれるリンクレコードの構成説明図である。
【図5】レベル4のリンクがレベル3領域をまたがらないように形成することを説明する説明図である。
【図6】本発明の地図作成装置の要部構成図である。
【図7】本発明の地図作成処理説明図である。
【図8】コストを距離とした場合のダイクストラ法の概略説明図である。
【図9】ダイクストラ法を用いた経路探索処理のフローである。
【図10】本発明の第1の探索範囲データ作成処理フローである。
【図11】本発明の第2の探索範囲データ作成処理フローである。
【図12】本発明のナビゲーション装置の構成図である。
【図13】出発地と目的地が入力された際の本発明の誘導経路探索処理フローである。
【図14】レベル4リンクを経路探索に使用するか否かを判断する説明図である。
【図15】第1従来技術説明図である。
【図16】第2従来技術説明図である。
【図17】第2従来技術の問題点説明図である。
【符号の説明】
【0024】
1 リンクデータ入力部
2 リスト作成部
3 経路探索部
4 探索範囲データ作成部
5 メモリ
6 地図データ作成部
7 DVD
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図データ作成方法及び経路探索方法並びに装置に係わり、特に詳細度に応じて複数のレベルを設けると共に各レベルにおけるメッシュを階層化し、各レベルのメッシュ毎の道路情報を有する地図データを作成するナビゲーション用の地図データ作成方法及び経路探索方法並びに該方法を実現する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーション装置は、車両の現在位置に応じた地図データをCD−ROM、DVD,HDDなどの地図記憶媒体から読み出してディスプレイ画面に描画すると共に、車両マークをディスプレイ画面の一定位置に固定表示し、走行に応じて地図をスクロ−ル表示する。また、ナビゲーション装置は以上に加えて、出発地から目的地に到る誘導経路あるいは出発地から指定された経由点を経由して目的地に到る誘導経路を探索し、該誘導経路を地図上に表示する経路誘導機能を備えている。かかる経路探索を高速に行う第1従来技術として、メッシュからメッシュへの専用のネットワークを地図データに格納し、該専用ネットワークを用いて探索枝数を減らし、探索の高速化を行なう方法がある(特許文献1)。又、第2の従来技術として、専用ネットワークを用いずに、階層化構造を有する地図データを用いて、階層型の探索を行う方法がある(特許文献2)。
【0003】
第1従来技術は、図15の(A)に示すように、詳細度に応じて5つのレベルを設け、各レベルの道路情報と専用ネットワーク情報により地図の道路情報を構成している。各レベルの基本部は該レベルに応じた領域に存在する道路の道路情報を特定する部分であり、レベル1及びレベル2の拡張部は高速探索用の情報部分である。専用ネットワークは、任意の2つのレベル2領域の組み合わせに対応させて、これら2つのレベル2領域間を接続ずる経路を探索する必要な経路情報(リンクやノード情報)を保持している。
図15の(B)に示すように出発地Sが特定されると、該出発地が含まれるレベル1領域A1と該レベル1領域A1が含まれるレベル2領域C1を特定する。同様に、目的地Eが特定されると、該目的地が含まれるレベル1領域A2と該レベル1領域A2が含まれるレベル2領域C2を特定する。専用ネットワーク情報は、これら2つのレベル2領域C1,C2の組み合わせに応じて設けられているから、該専用ネットワーク情報を用いて経路探索を行う。具体的には、出発地と目的地に対応する上位移行ノードP11,P12,P13;Q11,Q12,Q13を、レベル1の地図情報及び専用ネットワークの拡張情報を用いて抽出する。ついで、上位移行ノードに対応する上位ノードN11,N12,N13と上位ノード11,M12,M13間の複数の経路を専用ネットワーク情報(リンクやノード情報)を用いて探索し、最小コストの経路を誘導経路として決定する。
【0004】
第2従来技術は、図16に示すように地図をレベル1−4に階層化して道路情報を構成している。レベル1は誘導経路対象道路と非誘導経路対象道路(細街路)の地図情報を特定する部分、レベル2は誘導経路対象道路の道路情報を特定する部分、レベル3は主要道路の地図情報を特定する部分、レベル4は更に主要な道路(県道、国道、高速道路)の地図情報を特定する部分である。出発地Sおよび目的地Eが特定されると、レベル2において出発地Sからレベル3の上位ノードに移行するノードb10を求め、ついで、ノードb10からレベル4の上位ノードに移行するノードc10を求め、出発地Sから上位ノードc10に到る経路を求める。同様に、目的地Eより最上位レベル4の上位ノードC20に到る経路をもとめる。ついで、出発地側の上位ノードc10から目的地側の上位ノードc20へ到る経路をレベル4の道路情報を用いて探索し、最終的に出発地から目的地へ到るコスト最小の経路を探索する。
【特許文献1】特開2003−337034号公報
【特許文献2】特開2004−286524号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
第1従来技術では、専用ネットワークの数が非常に多いので、道路情報のデータサイズが大きくなる問題がある。ま地図データの更新を、差分データを作成して行う場合、専用ネットワーク情報の差分データ量が大きくなってしまい、該差分データを通信で取得するには通信時間が非常に長くなって通信コストが高くなり、また、地図更新時間が長くなる問題がある。
第2従来技術の階層化構造の探索では、ヒューリスティックコストをかけ、出来るだけ無駄に探索枝をのばさないで目的地までの最適解を得る方法が存在する。しかし、それでも余計に探索枝がのびてしまい、探索時間が長くなる問題がある。図17は、東京駅→大阪駅の経路探索における探索枝ののびかたを示すもので、塗りつぶし部分が探索枝がのびたところを示している。
以上から、本発明の目的は、探索した経路品位を保ち、かつ経路探索を高速化することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
・地図データ作成方法
上記課題は本発明によれば、詳細度に応じて複数のレベルを設けると共に各レベルにおけるメッシュを階層化し、各レベルのメッシュ毎の道路情報を有する地図データを作成するナビゲーション用の地図データ作成方法において、所定レベルにおける任意の2つのメッシュの組み合わせ毎に、一方のメッシュから他方のメッシュに到る経路を探索する際に使用する該レベルのメッシュを特定するデータを探索範囲情報として作成して地図データに含めることにより達成される。
前記探索範囲情報を作成するための第1の方法は、メッシュの道路情報を参照し、メッシュ毎に該メッシュから脱出する境界脱出リンクのリストと、該メッシュに進入する境界進入リンクのリストを作成するステップ、任意の2つのメッシュの組み合わせ毎に、一方のメッシュの各境界脱出リンクから他方のメッシュの各境界進入リンクに到る全経路を探索するステップ、探索された各経路を構成するリンクが属するメッシュを特定するデータにより前記探索範囲情報を作成するステップを有している。
前記探索範囲情報を作成するための第1の方法は、メッシュの道路情報を参照し、メッシュ毎に該メッシュから脱出する境界脱出リンクのリストと、該メッシュに進入する境界進入リンクのリストを作成するステップ、任意の第1メッシュの境界脱出リンクから探索が不可能となるまで探索を行い、探索終了後、探索結果を参照し、前記第1メッシュの境界脱出リンクから任意の第2メッシュの各境界進入リンクに到る全経路を求めるステップ、同様に、前記第1メッシュの各境界脱出リンクについて該境界脱出リンクから前記第2メッシュの各境界進入リンクに到る全経路を求めるステップ、前記各経路を構成するリンクが属するメッシュを特定することにより、前記第1、第2メッシュの組み合わせに応じた探索範囲情報を作成するステップを有している。
・経路探索方法
上記課題は本発明によれば、目的地までの経路を探索するナビゲーション装置の経路探索方法により達成される。本発明の経路探索方法は、(1)詳細度に応じて複数のレベルを設けると共に各レベルにおけるメッシュを階層化し、最上位レベルの次のレベル(準最上位レベル)における任意の2つのメッシュの組み合わせ毎に、一方のメッシュから他方のメッシュに到る経路を探索する際に使用するメッシュを特定するデータを探索範囲情報とし、該探索範囲情報を各レベルのメッシュ毎の道路情報と共に地図データに含め、更に、最上位レベルの道路情報を構成するリンクが前記準最上位レベルのメッシュをまたがらないようにすると共に該リンクのリンクレコードに該リンクが存在する前記準最上位レベルのメッシュの識別データを含ませるステップ、(2)最上位レベルのノード間の経路探索に際して、前記探索範囲情報により経路探索に使用するとされたメッシュのメッシュ識別データを有する最上レベルリンクを用いて経路探索を行うステップ、を有している。
【0007】
・地図データ作成装置、
また、上記課題は本発明によれば、詳細度に応じて複数のレベルを設けると共に各レベルにおけるメッシュを階層化し、各レベルのメッシュ毎の道路情報を有する地図データを作成するナビゲーション用の地図データ作成装置により達成される。
本発明の第1の地図データ作成装置は、メッシュの道路情報を参照し、メッシュ毎に該メッシュから脱出する境界脱出リンクのリストと、該メッシュに進入する境界進入リンクのリストを作成するリンクリスト作成部、任意の2つのメッシュの組み合わせ毎に、一方のメッシュの各境界脱出リンクから他方のメッシュの各境界進入リンクに到る全経路を探索する探索部、探索された各経路を構成するリンクが属するメッシュを特定するデータにより前記一方のメッシュから他方のメッシュに到る経路を探索する際に使用するメッシュを特定する探索範囲情報を作成する探索範囲情報作成部を備えている。
本発明の第2の地図データ作成装置は、メッシュの道路情報を参照し、メッシュ毎に該メッシュから脱出する境界脱出リンクのリストと、該メッシュに進入する境界進入リンクのリストを作成するリンクリスト作成部、任意の第1メッシュの境界脱出リンクから探索が不可能となるまで探索を行い、探索終了後、探索結果を参照して前記第1メッシュの境界脱出リンクから任意の第2メッシュの各境界進入リンクに到る全経路を求め、同様に、前記第1メッシュの各境界脱出リンクについて該境界脱出リンクから前記第2メッシュの各境界進入リンクに到る全経路を求める経路探索部、前記各経路を構成するリンクが属するメッシュを特定するデータにより、前記第1のメッシュから第2のメッシュに到る経路を探索する際に使用するメッシュを特定する探索範囲情報を作成する探索範囲情報作成部を備えている。
【0008】
・ナビゲーション装置、
また、上記課題は本発明によれば目的地までの経路を探索するナビゲーション装置により達成される。本発明のナビゲーション装置は、(1) 上位レベルの次のレベル(準最上位レベル)における任意の2つのメッシュの組み合わせ毎に、一方のメッシュから他方のメッシュに到る経路を探索する際に使用するメッシュを特定するデータを探索範囲情報とし、該探索範囲情報を各レベルのメッシュ毎の道路情報と共に地図データに含め、更に、最上位レベルの道路情報を構成するリンクが前記準最上位レベルのメッシュをまたがらないようにすると共に該リンクのリンクレコードに該リンクが存在する準最上位レベルのメッシュの識別データを含ませてなる地図データを記憶する地図データ記憶部、(2)目的地を設定する目的地設定部、(3)出発地側及び目的地側の最上位レベルのノードを求め、該ノード間の経路探索に際して、前記探索範囲情報により経路探索に際して使用するとされているメッシュのメッシュ番号を有する最上位レベルのリンクを用いて経路探索を行う経路探索部を備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、所定レベルにおける任意の2つのメッシュの組み合わせ毎に、一方のメッシュから他方のメッシュに到る経路を探索する際に使用する該レベルのメッシュを特定するデータを探索範囲情報として地図データに含めるようにしたから、該探索範囲情報を用いることにより探索範囲を狭めることができ、高速の経路探索が可能になった。
又、本発明によれば、探索範囲情報として探索すべきメッシュの識別データを保存するだけでよいため、該探索範囲情報のサイズを少なくでき、しかも、地図更新時における差分データサイズを小さくできる。
又、本発明によれば、任意の第1メッシュの境界脱出リンクから探索が不可能となるまで探索を行い、探索終了後、探索結果を参照し、前記第1メッシュの境界脱出リンクから任意の第2メッシュの各境界進入リンクに到る全経路を求め、同様に、前記第1メッシュの各境界脱出リンクについて該境界脱出リンクから前記第2メッシュの各境界進入リンクに到る全経路を求め、前記各経路を構成するリンクが属するメッシュを特定することにより、前記第1、第2メッシュの組み合わせに応じた探索範囲情報を作成するようにしたから、高速に探索範囲データを作成することができるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
詳細度に応じて複数のレベルを設けると共に各レベルにおけるメッシュを階層化し、各レベルのメッシュ毎の道路情報を有する地図データを作成するナビゲーション用の地図データ作成方法において、所定レベルにおける任意の2つのメッシュの組み合わせ毎に、一方のメッシュから他方のメッシュに到る経路を探索する際に使用する該レベルのメッシュを特定するデータを探索範囲情報として地図データに含める。
この探索範囲情報は、以下のように作成する。第1の探索範囲情報作成方法では、(1) メッシュの道路情報を参照し、メッシュ毎に該メッシュから脱出する境界脱出リンクのリストと、該メッシュに進入する境界進入リンクのリストを作成し、(2)任意の2つのメッシュの組み合わせ毎に、一方のメッシュの各境界脱出リンクから他方のメッシュの各境界進入リンクに到る全経路を探索し、(3)探索された各経路を構成するリンクが属するメッシュを特定するデータにより前記探索範囲情報を作成する。
第2の探索範囲情報作成方法では、(1)任意の第1メッシュの境界脱出リンクから探索が不可能となるまで探索を行い、探索終了後、探索結果を参照し、前記第1メッシュの境界脱出リンクから任意の第2メッシュの各境界進入リンクに到る全経路を求め、(2)同様に、前記第1メッシュの各境界脱出リンクについて該境界脱出リンクから前記第2メッシュの各境界進入リンクに到る全経路を求め、(3)前記各経路を構成するリンクが属するメッシュを特定することにより、前記第1、第2メッシュの組み合わせに応じた探索範囲情報を作成する。
【実施例】
【0011】
(A)本発明の概要
図1は本発明の地図データに含まれる道路情報の説明図である。詳細度に応じて複数のレベル(レベル1〜レベル4)を設けると共に各レベルにおけるメッシュを階層化し、各レベルのメッシュ毎の道路情報RI1〜RI4と、経路探索に際して利用する探索範囲データSRDとで道路情報を構成する。
レベル1は誘導経路対象道路と非誘導経路対象道路の地図情報を特定する部分、レベル2は誘導経路対象道路の道路情報を特定する部分、レベル3は主要道路の地図情報を特定する部分、レベル4は更に主要な道路(県道、国道、高速道路)の地図情報を特定する部分である。
探索範囲データSRDは、図2に示すように、所定レベル(例えばレベル3)における任意の2つのメッシュM1,M2の組み合わせ毎に、一方のメッシュM1から他方のメッシュM2に到る経路を探索する際に使用するメッシュ(太枠線内のメッシュ)を特定するデータを探索範囲データとして地図データに含める。
この探索範囲データSRDは、例えば、以下のように作成する。(1)各メッシュの道路情報を参照し、メッシュ毎に該メッシュから脱出する境界脱出リンクのリストと、該メッシュに進入する境界進入リンクのリストを作成し、(2)任意の2つのメッシュの組み合わせ毎に、一方のメッシュの各境界脱出リンクから他方のメッシュの各境界進入リンクに到る全経路PT1,PT2,…を探索し、(3)探索された各経路を構成するリンクが属するメッシュを特定するデータにより、該2つのメッシュの組み合わせに応じた探索範囲データとし、全てのメッシュの組み合わせについて探索範囲データを作成する。
【0012】
図3はメッシュの一例の説明図である。地図はカバーするエリアの広さからレベル4のメッシュ,レベル3のメッシュ、レベル3のメッシュ、レベル2のメッシュ、レベル1のメッシュと階層化されている。レベル4のメッシュに相当する領域R4は、複数(図では4つ)のレベル3メッシュの領域R3で構成され、同様に、レベル3のメッシュに相当する領域R3は、4つのレベル2メッシュの領域R2で構成され、レベル2のメッシュに相当する領域R2は、4つのレベル1メッシュの領域R1で構成されている。
【0013】
図4は道路情報に含まれるリンクレコードの構成説明図である。リンクとは交差点から交差点までの道路部分であり、リンクレコードは、(A)に示すように(1)リンクID、(2)道路種別、(3)リンク距離、(4)車線数、(5)リンク形状を特定する形状情報(始点ノード、中間のノード、終点ノードの位置データ)を有している。各リンクレコードはメッシュ番号に対応させて地図に含まれており、リンクが属するメッシュのメッシュ番号がわかるようになっている。また、レベル4のリンクはレベル3領域R3をまたがらないように形成されており、該レベル4のリンクレコードには図4(B)に示すようにレベル3領域のメッシュ番号が含まれている。
図5はレベル4のリンクがレベル3領域をまたがらないように形成することを説明する説明図であり、交差点N1,N2を始点、終点とするリンクLKがレベル3領域R3a,R3bを横切っている。かかる場合、リンクLKをレベル3領域R3の境界線で二分し、二分された2つのリンクLK1(N1−NB),LK2(NB−N2)をレベル4のリンクとし、夫々についてリンクレコードを作成し、それぞれにレベル3領域R3a.R3bのメッシュ番号を持たせる。
【0014】
(B)探索データ作成
図6は本発明の地図作成装置の要部構成図、図7は本発明の地図作成処理説明図である。
リンクデータ入力部1はレベル3メッシュのリンクレコードをリスト作成部2と経路探索部3に入力する。リスト作成部2は、レベル3メッシュのリンクレコードを参照し、全レベル3メッシュについて、メッシュ毎に該メッシュから脱出する境界脱出リンクのリストと、該メッシュに進入する境界進入リンクのリストを作成する。図7(A)は、境界脱出リンクの説明図であり、レベル3メッシュの着目領域R3から隣接メッシュへ移動する際に通る境界リンクS1〜S6が境界脱出リンクである。図7(B)は、境界進入リンクの説明図であり、隣接メッシュからレベル3メッシュの着目領域R3へ進入する際に通る境界リンクE1〜E6が境界進入リンクである
経路探索部3は、任意の2つのレベル3メッシュの組み合わせ毎に、一方のメッシュの各境界脱出リンクS1〜S6から他方のメッシュの各境界進入リンクE1〜E6に到る全経路を所定の経路探索方法により、例えばダイクストラ法により探索する。すなわち、図7(C),(D)に示すように経路探索部3は、
・境界脱出リンクS1から各境界進入リンクE1〜E6に到る全経路、
・境界脱出リンクS2から各境界進入リンクE1〜E6に到る全経路、
・境界脱出リンクS3から各境界進入リンクE1〜E6に到る全経路、
・・・・・・・
・境界脱出リンクS6から各境界進入リンクE1〜E6に到る全経路、
を探索する。
【0015】
探索範囲データ作成部4は、経路探索部3により探索された上記の各経路を構成するレベル3リンクが属するレベル3メッシュのメッシュ番号を記憶することにより、任意の2つのレベル3メッシュの組み合わせに対応させて探索範囲データを作成してメモリ5に保存する。なお、探索範囲データを保存するために、任意の2つのメッシュの組み合わせに対応させてメモリ5にKバイトを用意し、Kバイトの各ビットにより上記経路を構成するリンクが所定のメッシュに含まれているか否かを記録する。すなわち、Kバイトの第1ビット〜第8×Kビットをメッシュ番号1〜メッシュ番号8×Kに対応させ、上記経路を構成するリンクが所定のメッシュに属する場合には、該メッシュに対応するビットに”1”を記入し、これにより探索範囲データを作成して保存する。全てのメッシュの組み合わせに対して上記処理を行って、探索範囲データをメモリ5に保存する。
地図データ作成部6は各レベルの道路情報および前記作成された探索範囲データを用いて道路レイヤ情報を作成してたとえばDVD 7に記録する。
【0016】
(C)経路探索法
・ダイクストラ法
図8はコストを距離とした場合のダイクストラ法の概略説明図で、道路を直線、交差点を直線の交点としてグラフ化したものである。各交差点間の距離は既知で、Psは出発点(自車位置)、Pdは目的地である。ダイクストラ法では、出発地Psに隣接する1次交差点A1〜A4を求め、各1次交差点A1〜A4に対応させて0次の交差点(出発点)及び出発点からの距離を記憶する。ついで、各1次交差点A1〜A4について2次交差点Bijを求め、各2次交差点に対応させて1次交差点を経由する出発点からの距離を求めて記憶する。例えば、1次交差点A1については3つの2次交差点B11,B12,B13が求まり、各2次交差点B11,B12,B13に対応させて、
B11:1次交差点A1を経由する出発点からの距離d11
B12:1次交差点A1を経由する出発点からの距離d12
B13:1次交差点A1を経由する出発点からの距離d13・・・・(a)
を記憶する。又、1次交差点A2について3つの2次交差点B21,B22,B23が求まり、各2次交差点B21,B22,B23に対応させて、
B21:1次交差点A2を経由する出発点からの距離d21 ・・・・(b)
B22:1次交差点A2を経由する出発点からの距離d22
B23:1次交差点A2を経由する出発点からの距離d23
を記憶し、他の1次交差点A3,A4についても同様に2次交差点を求めて所定のデータを記憶する。
ところで、交差点B13とB21は同一の交差点である。このように、データを記憶すべき交差点が重複すると、出発点からの距離d13とd21の大小を比較し、小さい方のデータのみを記憶する。たとえば、d13>d21であれば、交差点B13(=B21)のデータとして(b)のデータが最終的に記憶される。
以後、同様に、各2次交差点について3次交差点Cijを求め、各3次交差点に対応させて2次交差点を経由する出発点からの距離を求めて記憶し、一般に各第i次交差点について第(i+1)次交差点を求め、各第(i+1)次交差点に対応させて第i次交差点を経由する出発点からの累計距離を求めて記憶してゆけば、最終的に目的点Pdに到達する。以上はノードに着目してダイクストラ法を説明したがリンクに着目して説明することもできる。
【0017】
・ダイクストラ法を用いた経路探索処理
図9はダイクストラ法を用いた経路探索処理のフローであり、距離をコストとする場合であり、目的地が存在するメッシュを目的側メッシュ、出発地が存在するメッシュを出発側メッシュという。
所定の出発側メッシュの第j境界脱出リンクを選択し、該リンクの検索次数nを1にし(1→n、ステップ101)、第n次リンクに接続するリンクが存在するか調べる(ステップ102)。1次リンクは出発点Psに接続するリンクである。第次nリンクLnに接続するリンク(隣接リンクという)が存在すれば、出発点Psから第n次リンクLnを経由して隣接リンクLajの終端までの累計距離Dを計算する(ステップ103)。
出発点から第n次リンクの終点までの距離dnは後述するように、該第次nリンクに対応させて記憶に記憶してあり、また隣接リンクLajの距離dajはリンクレコードに記憶してあるから、次式
dn+daj→D
により出発点Psから隣接リンクLajの終点までの累計距離Dが求まる。
ついで、隣接リンクLajの検索次数が(n+1)かチェックし(ステップ104)、(n+1)でなければ、隣接リンクLajに対応させて、以下のデータ
(1) 現在着目している第n次リンクのシ−ケンシャル番号、
(2) 出発点から当該隣接リンクLajの終点までの累計距離D、
(3) 当該隣接リンクLaj の検索次数として(n+1)、
(4) メッシュ3番号
(5) リンクLajのリンク番号
を記憶部に記憶し(ステップ105)、以後、ステップ102に戻り、着目している第n次リンクに接続するリンクが、なお残存するか調べて以降の処理を繰り返す。
一方、ステップ104において、隣接リンクの次数が(n+1)の場合には、換言すれば、該隣接リンクが別の第n次リンクに隣接するリンクとして参照されていれば(ステップ105で既に上記(1)〜(5) のデータが記憶されていれば)、該隣接リンクに対応して記憶してある出発点からの距離D′とステップ103で求めた距離Dの大小を比較する(ステップ106)。D<D′であれば、当該隣接リンクLajに対応して記憶部に記憶してある、第n次リンクのシ−ケンシャル番号を現在着目している第n次リンクのシ−ケンシャル番号で置き換えると共に、累計距離D′をDで書き替え(D→D′,ステップ107)、以後、ステップ102に戻り、着目している第n次リンクに接続するリンクが、なお残存するか調べて以降の処理を繰り返す。又、D≧D′の場合には、当該隣接リンクに対応して記憶部に記憶してある内容を変更せずステップ102に戻る。
【0018】
ステップ102において、着目している第n次リンクに接続するリンクが存在しなくなれば、別の第n次リンクが存在するか調べ(ステップ108)、存在すれば、該別の第n次リンクを新たに第n次リンクとして(ステップ109)、ステップ102以降の処理を繰り返す。ステップ108において、別の第n次リンクが存在しなければ、目的側メッシュの進入リンクに到達したかチェックし(ステップ110)、到達していなければ検索次数を1つ歩進し(n+1→n,ステップ111)、ステップ102以降の処理を繰り返す。しかし、目的側メッシュの進入リンクに到達していれば、探索処理を終了する。以上では、距離をコストとみなした場合であるが、コストが距離以外の要素をも含む場合には距離の代わりにコストCを用いることができる。
以上により、探索処理が完了後、目的側メッシュにおける所定の境界進入リンクに着目し、
(1)該境界進入リンク(M次のリンクとする)→(2)該境界進入リンクに対応させて記憶してある(M−1)次のリンク→(3)該(M−1)次のリンクに対応させて記憶してある(M−2)次のリンク→・・・→(4)2次のリンクに対応させて記憶してある1次リンク(第i目的側メッシュの第j境界脱出リンク)
と順次接続することにより、1次リンクである第i目的側メッシュの第j境界脱出リンクから目的側メッシュにおける所定の境界進入リンクに到るコスト(距離)最小の経路をもとめることができる。
なお、後述する図10の探索範囲データ作成処理フローのステップ208では、上記求めた経路を構成するリンクのメッシュ3番号に対応するビットを“1”にして探索範囲データを作成する。
また、図11の第2の探索範囲データ作成処理フローのステップ303の探索処理では、上記ステップ110において探索枝を延ばせるか判別し、探索枝を延ばせれば検索次数を1つ歩進し(n+1→n,ステップ111)、ステップ102以降の処理を繰り返す。しかし、探索枝を延ばせず、探索が不可能になれば探索処理を終了する。
【0019】
(D)探索範囲データの作成処理
・第1の探索範囲データ作成処理
図10は本発明の第1の探索範囲データ作成処理フローである。
まず、レベル3メッシュのリンクレコードを参照し、全レベル3メッシュについて、メッシュ毎に該メッシュから隣接メッシュへ脱出する境界脱出リンクのリストを作成し(ステップ201)、ついで、該メッシュに隣接メッシュから進入する境界進入リンクのリストを作成する(ステップ202)。
ついで、出発側メッシュ番号を示すi、目的側メッシュ番号を示すk、出発側メッシュにおける境界脱出リンク番号を示すj、目的側メッシュにおける境界進入リンク番号を示すmをすべて1に初期化する(ステップ203〜206)。
ついで、第i出発側メッシュの第j境界脱出リンクから第k目的側メッシュの第m境界進入リンクまでの経路を探索する(ステップ207)。なお、i=kの場合にはステップ207以降の処理を行わない。
経路探索処理が終了すれば、第m境界進入リンクから逆方向にたどって第j境界脱出リンクに至る経路が通過するメッシュのメッシュ対応ビットを“1”にする(ステップ208)。しかる後、第k目的側メッシュの全境界進入リンクまでの経路探索が完了したかチェックし(ステップ209)、完了してなければmを歩進して(m=m+1,ステップ210)、ステップ207以降の処理を繰り返す。
ステップ209において、第k目的側メッシュの全境界進入リンクまでの経路探索が完了すれば、第i出発側メッシュの全境界脱出リンクからの経路探索が完了したかチェックし(ステップ211)、完了してなければjを歩進して(j=j+1,ステップ212)、ステップ206以降の処理を繰り返す。ステップ211において、第i出発側メッシュの全境界脱出リンクからの経路探索が完了すれば、メッシュ番号(i,k)の組み合わせに対応する探索範囲データの作成が完了する。
ついで、全目的側メッシュについて上記処理が終了したかチェックし(ステップ213)、終了してなければkを歩進して(k=k+1,ステップ214)、ステップ205以降の処理を繰り返す。ステップ213において、全目的側メッシュについて上記処理が終了すれば、第i出発側メッシュから他の全目的側メッシュに対する探索範囲データの作成が完了する。
しかる後、全出発側メッシュについて上記処理が終了したかチェックし(ステップ215)、終了してなければiを歩進して(i=i+1,ステップ216)、ステップ204以降の処理を繰り返す。ステップ215において、全出発側メッシュについて上記処理が終了すれば、探索範囲データの作成が完了する。
【0020】
・第2の探索範囲データ作成処理
図11は本発明の第2の探索範囲データ作成処理フローである。なお、各メッシュの境界脱出リンクおよび境界進入リンクのリストの作成は完了しているものとする。
まず、出発側メッシュ番号を示すi、出発側メッシュにおける境界脱出リンク番号を示すjを1に初期化する(ステップ301〜302)。
ついで、第i出発側メッシュの第j境界脱出リンクからダイクストラ法を用いて経路探索処理を探索が不可能となるまで、すなわち、探索枝を延ばせなくなるまで行う(ステップ303)。探索終了後、目的側メッシュ番号を示すk、目的側メッシュにおける境界進入リンク番号を示す番号mをそれぞれ1に初期化する(ステップ304〜305)。
ついで、第k目的側メッシュの第m境界進入リンクから逆方向にたどって第i出発側メッシュの第j境界脱出リンクに至る経路が通過するメッシュのメッシュ対応ビットを“1”にする(ステップ306)。しかる後、第k目的側メッシュの全境界進入リンクについてステップ306の処理が完了したかチェックし(ステップ307)、完了してなければmを歩進して(m=m+1,ステップ308)、ステップ306以降の処理を繰り返す。
ステップ307において、第k目的側メッシュの全境界進入リンクについてステップ306の処理が完了すれば、全目的側メッシュについて上記処理が終了したかチェックし(ステップ309)、終了してなければkを歩進して(k=k+1,ステップ310)、ステップ305以降の処理を繰り返す。
ステップ309において、全目的側メッシュについて上記処理が終了すれば、第i出発側メッシュの第j境界脱出リンクから全目的側メッシュの全境界脱出リンクに至る探索範囲データの作成が完了する。ついで、第i出発側メッシュの全境界脱出リンクについて上記処理が完了したかチェックし(ステップ311)、完了してなければjを歩進して(j=j+1,ステップ312)、ステップ303以降の処理を繰り返す。
ステップ311において、第i出発側メッシュの全境界脱出リンクからの経路探索が完了すれば、メッシュ番号iのメッシュと他のすべてのメッシュとの組み合わせに対応する探索範囲データの作成が完了する。
ついで、全出発側メッシュについて上記処理が終了したかチェックし(ステップ313)、終了してなければiを歩進して(i=i+1,ステップ314)、ステップ302以降の処理を繰り返す。ステップ313において、全出発側メッシュについて上記処理が終了すれば、探索範囲データの作成が完了する。
【0021】
(E)ナビゲーション装置
図12は本発明のナビゲーション装置の構成図である。
地図記録媒体(CD-ROM、DVDなど)11には図6の地図作成装置が作成した地図データが記録されており、必要に応じて読み取られるようになっている。操作部12はナビゲーション制御装置10を操作するものでリモコン、操作用のハードキーなどを有している。GPS受信機13はGPS衛星から送られてくるGPS信号を受信し、車両の絶対的現在位置(GPS位置)や進行方向を算出し、自立航法センサー部14は、所定時間毎に進行方向変化および走行距離を検出してナビゲーション制御装置10に入力する。
タッチパネル式ディスプレイ装置15はナビゲーション制御装置10からの指示に従って車両周辺地図、誘導経路、メニュー、車両位置マーク等を表示する。また、タッチパネル式ディスプレイ装置15は、スクリーンに表示したソフトキーが押下されたとき所定のコマンドをナビゲーション制御装置10に入力するようになっている。
ナビゲーション制御装置10において、位置推定制御部20はGPS受信機13及び自立航法センサー部14からの信号に基づいて車両位置を推定してナビゲーション制御部22に入力する。地図バッファ21は地図記録媒体から読み取った地図データを保存する。ナビゲーション制御部22は、図示しないが、入力される各種情報、コマンドに基づいて、車両位置周辺の地図データを地図バッファ21に読み出す地図読み出し制御部、誘導経路探索制御及び経路誘導制御を実行する誘導経路制御部、各種操作画面、車両マークの発生制御を実行する操作画面発生制御部などを有している。
地図描画部23は地図バッファ21に読み出された地図データを用いて地図画像を生成してVRAM 24に書込み、画像読み出し部25は制御部22からの指示に従ってVRAM 24から所定の画像部分を切り取って画像合成部26に入力する。
誘導経路メモリ27は、制御部22の誘導経路制御部により探索された目的地までの誘導経路情報、すなわち、誘導経路を構成する全リンクデータを出発地から目的地まで記録する。誘導経路描画部28は誘導経路情報を用いて誘導経路画像を発生して画像合成部26に入力し、描画地図上に強調表示する。操作画面発生部29は各種メニュー画面(操作画面)を生成して画像合成部26に入力し、マーク発生部30は車両位置マークやカーソル等の各種マークを生成して画像合成部26に入力する。画像合成部26は、VRAM 24から読み出した地図画像に各種マークや誘導経路画像を重ね合わせてスクリーン全体に表示する。
【0022】
(F)誘導経路探索
図13は出発地と目的地が特定された際の本発明の誘導経路探索処理フローである。
レベル1メッシュの出発地からレベル4のメッシュのリンクまでの経路を探索する(ステップ401)。同様に、レベル1メッシュの目的地からレベル4のメッシュのリンクまでの経路を探索する(ステップ402)。ついで、レベル4メッシュの出発側リンクおよびレベル4メッシュの目的側リンクがそれぞれ存在するレベル3メッシュ番号を求める(ステップ403)。この求めたレベル3メッシュの組み合わせにより、経路探索に際してどの探索範囲データを使用するかがわかる。
しかる後、該探索範囲データを参照しつつ、レベル4の道路情報(リンクレコード)を用いて出発地から目的地までの経路を探索する(ステップ404)。すなわち、経路探索に際して、レベル4リンクのリンクレコードに含まれるレベル3メッシュ番号に対応する探索範囲データのビット位置を参照し(図14参照)、“1”(オン)であれば、該レベル4リンクは経路探索対象リンクであるとみなして該リンクを用いて経路探索処理を行い、“0”(オフ)であれば、該レベル4リンクは経路探索対象リンクでないとみなして経路探索に使用しない。
ステップ401においてレベル1の出発地からレベル4メッシュのリンクまでの経路は複数見つかるから、夫々について出発地から目的地までの経路を探索し、最小コストの経路を誘導経路として取得する(ステップ405)。
以上本発明によれば階層型探索において、探索範囲を経路品位に影響する事無く絞り込む事が出来て、探索時間を削減する事が出来る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の地図データに含まれる道路情報の説明図である。
【図2】探索範囲データSRDの説明図である。
【図3】図3はメッシュの一例説明図である。
【図4】道路情報に含まれるリンクレコードの構成説明図である。
【図5】レベル4のリンクがレベル3領域をまたがらないように形成することを説明する説明図である。
【図6】本発明の地図作成装置の要部構成図である。
【図7】本発明の地図作成処理説明図である。
【図8】コストを距離とした場合のダイクストラ法の概略説明図である。
【図9】ダイクストラ法を用いた経路探索処理のフローである。
【図10】本発明の第1の探索範囲データ作成処理フローである。
【図11】本発明の第2の探索範囲データ作成処理フローである。
【図12】本発明のナビゲーション装置の構成図である。
【図13】出発地と目的地が入力された際の本発明の誘導経路探索処理フローである。
【図14】レベル4リンクを経路探索に使用するか否かを判断する説明図である。
【図15】第1従来技術説明図である。
【図16】第2従来技術説明図である。
【図17】第2従来技術の問題点説明図である。
【符号の説明】
【0024】
1 リンクデータ入力部
2 リスト作成部
3 経路探索部
4 探索範囲データ作成部
5 メモリ
6 地図データ作成部
7 DVD
【特許請求の範囲】
【請求項1】
詳細度に応じて複数のレベルを設けると共に各レベルにおけるメッシュを階層化し、各レベルのメッシュ毎の道路情報を有する地図データを作成するナビゲーション用の地図データ作成方法において、
所定レベルにおける任意の2つのメッシュの組み合わせ毎に、一方のメッシュから他方のメッシュに到る経路を探索する際に使用する該レベルのメッシュを特定するデータを探索範囲情報として地図データに含めることを特徴とする地図データ作成方法。
【請求項2】
メッシュの道路情報を参照し、メッシュ毎に該メッシュから脱出する境界脱出リンクのリストと、該メッシュに進入する境界進入リンクのリストを作成し、
任意の2つのメッシュの組み合わせ毎に、一方のメッシュの各境界脱出リンクから他方のメッシュの各境界進入リンクに到る全経路を探索し、探索された各経路を構成するリンクが属するメッシュを特定するデータにより前記探索範囲情報を作成する、
ことを特徴とする請求項1記載の地図データ作成方法。
【請求項3】
メッシュの道路情報を参照し、メッシュ毎に該メッシュから脱出する境界脱出リンクのリストと、該メッシュに進入する境界進入リンクのリストを作成し、
任意の第1メッシュの境界脱出リンクから探索が不可能となるまで探索を行い、探索終了後、探索結果を参照し、前記第1メッシュの境界脱出リンクから任意の第2メッシュの各境界進入リンクに到る全経路を求め、
同様に、前記第1メッシュの各境界脱出リンクについて該境界脱出リンクから前記第2メッシュの各境界進入リンクに到る全経路を求め、
前記各経路を構成するリンクが属するメッシュを特定することにより、前記第1、第2メッシュの組み合わせに応じた探索範囲情報を作成する、
ことを特徴とする請求項1記載の地図データ作成方法。
【請求項4】
前記メッシュのレベルは最上位レベルの次のレベル(準最上位レベル)であり、最上位レベルの道路情報を構成するリンクは前記準最上位レベルのメッシュをまたがらないようにし、かつ、該リンクのリンクレコードに該リンクが存在する前記準最上位レベルのメッシュの識別データを含ませることを特徴とする請求項1乃至3記載の地図データ作成方法。
【請求項5】
目的地までの経路を探索するナビゲーション装置の経路探索方法において、
詳細度に応じて複数のレベルを設けると共に各レベルにおけるメッシュを階層化し、最上位レベルの次のレベル(準最上位レベル)における任意の2つのメッシュの組み合わせ毎に、一方のメッシュから他方のメッシュに到る経路を探索する際に使用するメッシュを特定するデータを探索範囲情報とし、該探索範囲情報を各レベルのメッシュ毎の道路情報と共に地図データに含め、更に、最上位レベルの道路情報を構成するリンクが前記準最上位レベルのメッシュをまたがらないようにすると共に該リンクのリンクレコードに該リンクが存在する前記準最上位レベルのメッシュの識別データを含ませ、
最上位レベルのノード間の経路探索に際して、前記探索範囲情報により経路探索に使用するとされたメッシュのメッシュ識別データを有する最上レベルリンクを用いて経路探索を行う、
ことを特徴とする経路探索方法。
【請求項6】
詳細度に応じて複数のレベルを設けると共に各レベルにおけるメッシュを階層化し、各レベルのメッシュ毎の道路情報を有する地図データを作成するナビゲーション用の地図データ作成装置において、
メッシュの道路情報を参照し、メッシュ毎に該メッシュから脱出する境界脱出リンクのリストと、該メッシュに進入する境界進入リンクのリストを作成するリンクリスト作成部、
任意の2つのメッシュの組み合わせ毎に、一方のメッシュの各境界脱出リンクから他方のメッシュの各境界進入リンクに到る全経路を探索する探索部、
探索された各経路を構成するリンクが属するメッシュを特定するデータにより前記一方のメッシュから他方のメッシュに到る経路を探索する際に使用するメッシュを特定する探索範囲情報を作成する探索範囲情報作成部、
を備えたことを特徴とする地図データ作成装置。
【請求項7】
詳細度に応じて複数のレベルを設けると共に各レベルにおけるメッシュを階層化し、各レベルのメッシュ毎の道路情報を有する地図データを作成するナビゲーション用の地図データ作成装置において、
メッシュの道路情報を参照し、メッシュ毎に該メッシュから脱出する境界脱出リンクのリストと、該メッシュに進入する境界進入リンクのリストを作成するリンクリスト作成部、
任意の第1メッシュの境界脱出リンクから探索が不可能となるまで探索を行い、探索終了後、探索結果を参照して前記第1メッシュの境界脱出リンクから任意の第2メッシュの各境界進入リンクに到る全経路を求め、同様に、前記第1メッシュの各境界脱出リンクについて該境界脱出リンクから前記第2メッシュの各境界進入リンクに到る全経路を求める経路探索部、
前記各経路を構成するリンクが属するメッシュを特定するデータにより、前記第1のメッシュから第2のメッシュに到る経路を探索する際に使用するメッシュを特定する探索範囲情報を作成する探索範囲情報作成部、
を備えたことを特徴とする地図データ作成装置。
【請求項8】
目的地までの経路を探索するナビゲーション装置において、
上位レベルの次のレベル(準最上位レベル)における任意の2つのメッシュの組み合わせ毎に、一方のメッシュから他方のメッシュに到る経路を探索する際に使用するメッシュを特定するデータを探索範囲情報とし、該探索範囲情報を各レベルのメッシュ毎の道路情報と共に地図データに含め、更に、最上位レベルの道路情報を構成するリンクが前記準最上位レベルのメッシュをまたがらないようにすると共に該リンクのリンクレコードに該リンクが存在する準最上位レベルのメッシュの識別データを含ませてなる地図データを記憶する地図データ記憶部、
目的地を設定する目的地設定部、
出発地側及び目的地側の最上位レベルのノードを求め、該ノード間の経路探索に際して、前記探索範囲情報により経路探索に際して使用するとされているメッシュのメッシュ番号を有する最上位レベルのリンクを用いて経路探索を行う経路探索部、
を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項1】
詳細度に応じて複数のレベルを設けると共に各レベルにおけるメッシュを階層化し、各レベルのメッシュ毎の道路情報を有する地図データを作成するナビゲーション用の地図データ作成方法において、
所定レベルにおける任意の2つのメッシュの組み合わせ毎に、一方のメッシュから他方のメッシュに到る経路を探索する際に使用する該レベルのメッシュを特定するデータを探索範囲情報として地図データに含めることを特徴とする地図データ作成方法。
【請求項2】
メッシュの道路情報を参照し、メッシュ毎に該メッシュから脱出する境界脱出リンクのリストと、該メッシュに進入する境界進入リンクのリストを作成し、
任意の2つのメッシュの組み合わせ毎に、一方のメッシュの各境界脱出リンクから他方のメッシュの各境界進入リンクに到る全経路を探索し、探索された各経路を構成するリンクが属するメッシュを特定するデータにより前記探索範囲情報を作成する、
ことを特徴とする請求項1記載の地図データ作成方法。
【請求項3】
メッシュの道路情報を参照し、メッシュ毎に該メッシュから脱出する境界脱出リンクのリストと、該メッシュに進入する境界進入リンクのリストを作成し、
任意の第1メッシュの境界脱出リンクから探索が不可能となるまで探索を行い、探索終了後、探索結果を参照し、前記第1メッシュの境界脱出リンクから任意の第2メッシュの各境界進入リンクに到る全経路を求め、
同様に、前記第1メッシュの各境界脱出リンクについて該境界脱出リンクから前記第2メッシュの各境界進入リンクに到る全経路を求め、
前記各経路を構成するリンクが属するメッシュを特定することにより、前記第1、第2メッシュの組み合わせに応じた探索範囲情報を作成する、
ことを特徴とする請求項1記載の地図データ作成方法。
【請求項4】
前記メッシュのレベルは最上位レベルの次のレベル(準最上位レベル)であり、最上位レベルの道路情報を構成するリンクは前記準最上位レベルのメッシュをまたがらないようにし、かつ、該リンクのリンクレコードに該リンクが存在する前記準最上位レベルのメッシュの識別データを含ませることを特徴とする請求項1乃至3記載の地図データ作成方法。
【請求項5】
目的地までの経路を探索するナビゲーション装置の経路探索方法において、
詳細度に応じて複数のレベルを設けると共に各レベルにおけるメッシュを階層化し、最上位レベルの次のレベル(準最上位レベル)における任意の2つのメッシュの組み合わせ毎に、一方のメッシュから他方のメッシュに到る経路を探索する際に使用するメッシュを特定するデータを探索範囲情報とし、該探索範囲情報を各レベルのメッシュ毎の道路情報と共に地図データに含め、更に、最上位レベルの道路情報を構成するリンクが前記準最上位レベルのメッシュをまたがらないようにすると共に該リンクのリンクレコードに該リンクが存在する前記準最上位レベルのメッシュの識別データを含ませ、
最上位レベルのノード間の経路探索に際して、前記探索範囲情報により経路探索に使用するとされたメッシュのメッシュ識別データを有する最上レベルリンクを用いて経路探索を行う、
ことを特徴とする経路探索方法。
【請求項6】
詳細度に応じて複数のレベルを設けると共に各レベルにおけるメッシュを階層化し、各レベルのメッシュ毎の道路情報を有する地図データを作成するナビゲーション用の地図データ作成装置において、
メッシュの道路情報を参照し、メッシュ毎に該メッシュから脱出する境界脱出リンクのリストと、該メッシュに進入する境界進入リンクのリストを作成するリンクリスト作成部、
任意の2つのメッシュの組み合わせ毎に、一方のメッシュの各境界脱出リンクから他方のメッシュの各境界進入リンクに到る全経路を探索する探索部、
探索された各経路を構成するリンクが属するメッシュを特定するデータにより前記一方のメッシュから他方のメッシュに到る経路を探索する際に使用するメッシュを特定する探索範囲情報を作成する探索範囲情報作成部、
を備えたことを特徴とする地図データ作成装置。
【請求項7】
詳細度に応じて複数のレベルを設けると共に各レベルにおけるメッシュを階層化し、各レベルのメッシュ毎の道路情報を有する地図データを作成するナビゲーション用の地図データ作成装置において、
メッシュの道路情報を参照し、メッシュ毎に該メッシュから脱出する境界脱出リンクのリストと、該メッシュに進入する境界進入リンクのリストを作成するリンクリスト作成部、
任意の第1メッシュの境界脱出リンクから探索が不可能となるまで探索を行い、探索終了後、探索結果を参照して前記第1メッシュの境界脱出リンクから任意の第2メッシュの各境界進入リンクに到る全経路を求め、同様に、前記第1メッシュの各境界脱出リンクについて該境界脱出リンクから前記第2メッシュの各境界進入リンクに到る全経路を求める経路探索部、
前記各経路を構成するリンクが属するメッシュを特定するデータにより、前記第1のメッシュから第2のメッシュに到る経路を探索する際に使用するメッシュを特定する探索範囲情報を作成する探索範囲情報作成部、
を備えたことを特徴とする地図データ作成装置。
【請求項8】
目的地までの経路を探索するナビゲーション装置において、
上位レベルの次のレベル(準最上位レベル)における任意の2つのメッシュの組み合わせ毎に、一方のメッシュから他方のメッシュに到る経路を探索する際に使用するメッシュを特定するデータを探索範囲情報とし、該探索範囲情報を各レベルのメッシュ毎の道路情報と共に地図データに含め、更に、最上位レベルの道路情報を構成するリンクが前記準最上位レベルのメッシュをまたがらないようにすると共に該リンクのリンクレコードに該リンクが存在する準最上位レベルのメッシュの識別データを含ませてなる地図データを記憶する地図データ記憶部、
目的地を設定する目的地設定部、
出発地側及び目的地側の最上位レベルのノードを求め、該ノード間の経路探索に際して、前記探索範囲情報により経路探索に際して使用するとされているメッシュのメッシュ番号を有する最上位レベルのリンクを用いて経路探索を行う経路探索部、
を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2007−199575(P2007−199575A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−20436(P2006−20436)
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【出願人】(500230347)株式会社エムビーエイ (22)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【出願人】(500230347)株式会社エムビーエイ (22)
【Fターム(参考)】
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