説明

地図データ更新装置、地図データ更新方法、地図データ更新プログラムおよび記録媒体

【課題】地図データを効率的に更新すること。
【解決手段】地図データ更新装置100は、可搬型の情報処理端末110から位置情報を取得し、地図データ上の所定の範囲内に複数の情報処理端末110が位置する地点(以下、「多数地点」という)を検出する。そして、地図データ更新装置100は、多数地点に位置する情報処理端末110の数と所定の閾値との比較結果に基づいて、多数地点近傍の地図データを更新する。地図データ更新装置100は、たとえば、地図データ上の多数地点に地物がない場合、多数地点近傍の地図データを更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地図データを更新する地図データ更新装置、地図データ更新方法、地図データ更新プログラムおよび記録媒体に関する。ただし、この発明の利用は、上述した地図データ更新装置、地図データ更新方法、地図データ更新プログラムおよび記録媒体に限られない。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーション装置などで用いられている地図データが、実際の道路状況と異なる場合に、地図データを更新する技術が知られている。たとえば、A地点に新しくできた店の名前を、ユーザの操作によってナビゲーション装置に入力し、そのデータを地図情報サーバに送信する。そのとき、ナビゲーション装置は、ユーザが入力操作した場所の情報と時刻の情報も同時に自動で送信する。地図情報サーバは、送信されてきた入力操作の場所の情報と新しい店が存在するA地点とを比較し、場所があまり離れていないと判断すると、現地で確認されたとして、新しい店の名前に関するデータは信憑性があると判断する(たとえば、下記特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−184106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術では、地図データの更新がユーザの操作入力によっておこなわれるので、地図データの更新タイミングが遅くなったり、更新タイミングが不確定であるという問題点が一例として挙げられる。また、上記の従来技術では、ユーザの入力ミスなどによって、誤った情報が地図情報サーバに送信されてしまう可能性があるという問題点が一例として挙げられる。さらに、上記の従来技術では、道路状況などに変化があった地点にユーザが実際に行かなければ、その変化に気づくことができず、また、更新もおこなうことができないという問題点が一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかる地図データ更新装置は、地図データを更新する地図データ更新装置であって、可搬型の情報処理端末から当該情報処理端末の位置情報を取得する取得手段と、前記取得手段によって取得された前記位置情報に基づいて、前記地図データ上の所定の範囲内に複数の前記情報処理端末が位置する地点(以下、「多数地点」という)を検出する検出手段と、前記多数地点に位置する前記情報処理端末の数と所定の閾値との比較結果に基づいて、前記多数地点近傍の前記地図データを更新する更新手段と、を備えることを特徴とする。
【0006】
また、請求項7の発明にかかる地図データ更新方法は、地図データを更新する地図データ更新装置における地図データ更新方法であって、可搬型の情報処理端末から当該情報処理端末の位置情報を取得する取得工程と、前記取得工程で取得された前記位置情報に基づいて、前記地図データ上の所定の範囲内に複数の前記情報処理端末が位置する地点(以下、「多数地点」という)を検出する検出工程と、前記多数地点に位置する前記情報処理端末の数と所定の閾値との比較結果に基づいて、前記多数地点近傍の前記地図データを更新する更新工程と、を含んだことを特徴とする。
【0007】
また、請求項8の発明にかかる地図データ更新プログラムは、請求項7に記載の地図データ更新方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0008】
また、請求項9の発明にかかる記録媒体は、請求項8に記載の地図データ更新プログラムをコンピュータに読み取り可能な状態で記録したことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態にかかる地図データ更新装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図2】地図データ更新装置による地図データ更新処理の手順を示すフローチャートである。
【図3】実施例にかかる地図データ提供システムのシステム構成を示す説明図である。
【図4】ナビゲーション装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図5】ナビゲーション装置による地図データ更新処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】移動端末の位置情報を模式的に示す説明図である。
【図7】地図データの分割範囲を模式的に示す説明図である。
【図8】ナビゲーション装置による地図データ更新処理の他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる地図データ更新装置、地図データ更新方法、地図データ更新プログラムおよび記録媒体の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
(実施の形態)
図1は、実施の形態にかかる地図データ更新装置の機能的構成を示すブロック図である。実施の形態にかかる地図データ更新装置100は、取得部101、検出部102、記録部103、更新部104によって構成される。地図データ更新装置100は、たとえばナビゲーション装置などの情報処理端末内の記録装置などに記録されている地図データを更新する。
【0012】
取得部101は、可搬型の情報処理端末110から当該情報処理端末110の位置情報を取得する。可搬型の情報処理端末110とは、たとえば、移動体に搭載されたナビゲーション装置や携帯電話端末などである。情報処理端末110は可搬型であるため、その位置情報は刻々と変化する。取得部101は、たとえば無線通信網などを介して、情報処理端末110から位置情報を継続して取得する。
【0013】
検出部102は、取得部101によって取得された位置情報に基づいて、地図データ上の所定の範囲内に複数の情報処理端末110が位置する地点(以下、「多数地点」という)を検出する。検出部102は、たとえば、地図データを所定の範囲(以下、「所定範囲」という)に分割し、それぞれの範囲内に位置する情報処理端末110の数をカウントする。そして、1つの範囲内に複数の情報処理端末110が位置する地点を多数地点として検出する。なお、所定数以上の情報処理端末110が位置する地点を多数地点としてもよい。所定範囲の広さは任意であるが、たとえば、2つ以上の情報処理端末110が位置することができる程度の広さとすることができる。検出部102は、たとえば、地図データ上の道路から所定距離以上離れた所定範囲を検出対象とするようにしてもよい。これは、信号待ちや渋滞などによって道路上で停止している情報処理端末110を検出対象から外すためである。
【0014】
記録部103は、地図データ上の所定範囲内の情報処理端末110の数を継続して記録する。記録部103は、たとえば、検出部102によって検出対象となっているそれぞれの範囲に位置する情報処理端末110の数を継続して記録する。
【0015】
更新部104は、多数地点に位置する情報処理端末110の数と所定の閾値との比較結果に基づいて、多数地点近傍の地図データを更新する。所定の閾値とは、たとえば、ある時刻において所定範囲に位置する情報処理端末110の数や、所定範囲に位置する情報処理端末110の数の平均とある時刻において所定範囲に位置する情報処理端末110の数との差分(増加数など)である。地図データの更新は、たとえば、地図データ提供事業者などから更新データを取得して、現在利用している地図データに更新データを適用することによっておこなう。
【0016】
更新部104は、たとえば、地図データ上の多数地点に地物がない場合、多数地点近傍の地図データを更新する。これは、地物がない場所に多くの情報処理端末110が集まる可能性は低く、地図データと実際の状況とが異なっている可能性が高いためである。
【0017】
また、更新部104は、たとえば、多数地点に位置する情報処理端末110の数が所定数(第1の閾値)を超えた場合に多数地点近傍の地図データを更新したり、記録部103に記録されている過去の情報処理端末110の数の平均に対して、所定数(第2の閾値)を超えて情報処理端末110の数が変化した多数地点がある場合に、当該多数地点近傍の地図データを更新するようにしてもよい。なお、過去の情報処理端末110の数の平均に対して設定する変化量(第2の閾値)は、変化した情報処理端末110の数であってもよいし、平均の数から変化した割合(変化率)などであってもよい。また、情報処理端末110の数の平均は時間帯ごとに求めてもよい。さらに、過去の情報処理端末110の数の平均に対して、所定数を超えて情報処理端末110の数が減少した地点がある場合に、その地点近傍の地図データを更新するようにしてもよい。この場合、地図データ上の多数地点に地物がある場合、多数地点近傍の地図データを更新してもよい。これは、地物がなくなったことにより情報処理端末110の数が減少した可能性が高いためである。
【0018】
また、更新部104は、たとえば、多数地点における情報処理端末110の数が所定数(第1の閾値や第2の閾値)を超える状態が所定時間以上継続している場合に、多数地点近傍の地図データを更新するようにしてもよい。これは、たとえば、実際の状況には変化がないにも関わらず、何らかの偶発的な理由で一時的に情報処理端末110の数が増加した場合に地図データを更新するのを回避するためである。
【0019】
図2は、地図データ更新装置による地図データ更新処理の手順を示すフローチャートである。図2のフローチャートにおいて、地図データ更新装置100は、情報処理端末110の位置情報を取得し(ステップS201)、多数地点を検出する(ステップS202)。つぎに、地図データ更新装置100は、地図データ上の多数地点に地物があるか否かを判断し(ステップS203)、地物がない場合は(ステップS203:No)、ステップS206に移行する。
【0020】
一方、多数地点に地物がある場合(ステップS203:Yes)、地図データ更新装置100は、多数地点に位置する情報処理端末110の数が第1の閾値を超えているか否かを判断する(ステップS204)。第1の閾値を超えている場合(ステップS204:Yes)、地図データ更新装置100は、ステップS206に移行する。一方、第1の閾値を超えていない場合(ステップS204:No)、地図データ更新装置100は、多数地点に位置する情報処理端末110の数が、過去の情報処理端末110の数の平均に対して第2の閾値を超えて増加しているか否かを判断する(ステップS205)。
【0021】
第2の閾値を超えて増加している場合(ステップS205:Yes)、地図データ更新装置100は、多数地点近傍の地図データを更新して(ステップS206)、本フローチャートによる処理を終了する。なお、ステップS204およびステップS205の判断において、各閾値を超えた状態が所定時間以上継続しているか否かを判断してもよい。一方、ステップS205において、第2の閾値を超えて増加していない場合は(ステップS205:No)、地図データの更新をおこなわず、そのまま本フローチャートによる処理を終了する。
【0022】
以上説明したように、実施の形態にかかる地図データ更新装置100は、多数地点における地物の有無に基づいて地図データを更新する。これにより、地図データの更新対象地域を地図データ内の情報が変化した地域に絞り込むことができ、効率的に地図データの更新をおこなうことができる。また、地図データ更新装置100は、所定の閾値との比較結果に基づいて自動的に地図データを更新するので、ユーザの操作によって地図データを更新するのと比較して、より迅速に地図データを最新の状態にすることができるとともに、ユーザが煩わしい作業をおこなう必要がなく利便性を向上させることができる。
【0023】
また、地図データ更新装置100において、過去の情報処理端末110の数の平均との差分に基づいて地図データを更新するようにすれば、あらたな地物ができた場合のみならず、地物がなくなった場合や他の地物に変更された場合などでも、地図データを更新することができる。また、地図データ更新装置100において、所定時間以上継続して情報処理端末110の数が所定数を超えている場合に地図データを更新することによって、一時的なイベントなどで情報処理端末110が集まっている場合を除外することができ、地図データを更新する必要がある地域をより精度良く特定することができる。同様に、地図データ上の道路から所定距離以上離れた範囲を多数地点の検出対象とすることによって、渋滞や信号待ちなどで情報処理端末110が集まっている場合を除外することができ、地図データを更新する必要がある地域をより精度良く特定することができる。
【実施例】
【0024】
以下に、本発明の実施例について説明する。本実施例では、ナビゲーション装置に記録されている地図データの更新に本発明を適用した場合について説明する。より詳細には、実施の形態における地図データ更新装置100に対応するナビゲーション装置をナビゲーション装置310、可搬型の情報処理端末110に対応するナビゲーション装置や携帯電話端末などを移動端末320として、本発明を適用した場合の一例について説明する。
【0025】
図3は、実施例にかかる地図データ提供システムのシステム構成を示す説明図である。地図データ提供システム300は、車両に搭載されたナビゲーション装置310、ナビゲーション装置や携帯電話端末などの可搬型情報処理端末である移動端末320、地図データ管理サーバ330、ネットワーク340によって構成される。
【0026】
ナビゲーション装置310は、車両に搭載され、ユーザから指定された目的地点までの経路探索や、目的地点までの経路誘導などをおこなう。ナビゲーション装置310は、後述するように磁気ディスクなどの記録媒体を搭載しており、この記録媒体に記録された地図データを用いて経路探索や経路誘導などをおこなう。ナビゲーション装置310に記録されている地図データは、地図データ管理サーバ330から提供される更新データを用いて随時更新が可能である。
【0027】
移動端末320は、ナビゲーション装置や携帯電話端末、ノートパソコンなどの可搬型情報処理端末である。移動端末320は、GPSユニットなどの位置検出機構を備えており、自装置の位置(緯度経度など)を検出可能である。また、移動端末320は、通信I/Fなどを備えており、ネットワーク340を介してナビゲーション装置310と通信(具体的には、位置情報の送信)が可能である。
【0028】
地図データ管理サーバ330は、地図データ提供事業者などが設置しているサーバであり、ナビゲーション装置310が利用する地図データを管理する。地図データには、道路およびその周辺に位置する地物に関する情報が含まれているが、実際の道路やその周辺に位置する地物は刻々と変化する。地図データを提供する地図データ提供事業者などは、実際の道路などの変化に合わせて地図データを適宜更新する。地図データ管理サーバ330には、最新の地図データが記録されており、ナビゲーション装置310に記録された地図データを最新の内容に更新する更新データを、ナビゲーション装置310からの要求に応じて提供する。
【0029】
なお、本実施例において、地図データ管理サーバ330が管理する地図データおよびナビゲーション装置310が記録する地図データは、所定の範囲(たとえば100m×100mごとなど)に分割されているものとする。ナビゲーション装置310で地図データを更新する場合、更新したい範囲を指定して、その範囲に対応する更新データを地図データ管理サーバ330に要求する。地図データ管理サーバ330は、指定された範囲の更新データをナビゲーション装置310に送信する。そして、ナビゲーション装置310は、受信した更新データを用いて、自装置に記憶されている地図データの一部(指定した範囲)を更新する。
【0030】
(ナビゲーション装置310のハードウェア構成)
つぎに、ナビゲーション装置310のハードウェア構成について説明する。図4は、ナビゲーション装置のハードウェア構成を示すブロック図である。図4において、ナビゲーション装置310は、CPU401と、ROM402と、RAM403と、磁気ディスクドライブ404と、磁気ディスク405と、光ディスクドライブ406と、光ディスク407と、音声I/F(インターフェース)408と、マイク409と、スピーカ410と、入力デバイス411と、映像I/F412と、ディスプレイ413と、通信I/F414と、GPSユニット415と、各種センサ416と、カメラ417と、を備えている。各構成部401〜417は、バス420によってそれぞれ接続されている。
【0031】
まず、CPU401は、ナビゲーション装置310の全体の制御を司る。ROM402は、ブートプログラム、データ更新プログラムなどのプログラムを記録している。また、RAM403は、CPU401のワークエリアとして使用される。すなわち、CPU401は、RAM403をワークエリアとして使用しながら、ROM402に記録された各種プログラムを実行することによって、ナビゲーション装置310の全体の制御を司る。
【0032】
磁気ディスクドライブ404は、CPU401の制御にしたがって磁気ディスク405に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。磁気ディスク405は、磁気ディスクドライブ404の制御で書き込まれたデータを記録する。磁気ディスク405としては、たとえば、HD(ハードディスク)やFD(フレキシブルディスク)を用いることができる。
【0033】
また、光ディスクドライブ406は、CPU401の制御にしたがって光ディスク407に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。光ディスク407は、光ディスクドライブ406の制御にしたがってデータが読み出される着脱自在な記録媒体である。光ディスク407は、書き込み可能な記録媒体を利用することもできる。着脱可能な記録媒体として、光ディスク407のほか、MO、メモリカードなどを用いることができる。
【0034】
磁気ディスク405および光ディスク407に記録される情報の一例として、地図データやコンテンツデータが挙げられる。地図データは、カーナビゲーションシステムにおいて用いられ、建物、河川、地表面などの地物(フィーチャ)をあらわす背景データ、道路の形状をあらわす道路形状データなどを含んでいる。本実施例では、地図データは適宜更新されるため、書き込み可能な記録媒体に記録されているものとする。また、コンテンツデータは、たとえばカーAVシステムにおいて再生される楽曲データや静止画データ、動画データなどである。
【0035】
音声I/F408は、音声入力用のマイク409および音声出力用のスピーカ410に接続される。マイク409に受音された音声は、音声I/F408内でA/D変換される。マイク409は、たとえば、車両のダッシュボード部などに設置され、その数は単数でも複数でもよい。スピーカ410からは、所定の音声信号を音声I/F408内でD/A変換した音声が出力される。
【0036】
入力デバイス411は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えたリモコン、キーボード、タッチパネルなどが挙げられる。入力デバイス411は、リモコン、キーボード、タッチパネルのうちいずれか1つの形態によって実現されてもよいが、複数の形態によって実現することも可能である。
【0037】
映像I/F412は、ディスプレイ413に接続される。映像I/F412は、具体的には、たとえば、ディスプレイ413全体を制御するグラフィックコントローラと、即時表示可能な画像情報を一時的に記録するVRAM(Video RAM)などのバッファメモリと、グラフィックコントローラから出力される画像データに基づいてディスプレイ413を制御する制御ICなどによって構成される。
【0038】
ディスプレイ413には、アイコン、カーソル、メニュー、ウインドウ、あるいは文字や画像などの各種データが表示される。ディスプレイ413としては、たとえば、TFT液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどを用いることができる。
【0039】
通信I/F414は、無線を介してネットワークに接続され、ナビゲーション装置310およびCPU401のインターフェースとして機能する。通信I/F414は、さらに、無線を介してインターネットなどの通信網に接続され、この通信網とCPU401とのインターフェースとしても機能する。
【0040】
通信網には、公衆回線網や携帯電話網、DSRC(Dedicated Short Range Communication)、LAN、WANなどがある。具体的には、通信I/F414は、たとえば、公衆回線用接続モジュールやETC(ノンストップ自動料金支払いシステム)ユニット、FMチューナー、VICS(Vehicle Information and Communication System)/ビーコンレシーバなどである。
【0041】
GPSユニット415は、GPS衛星からの電波を受信し、車両の現在位置を示す情報を出力する。GPSユニット415の出力情報は、後述する各種センサ416の出力値とともに、CPU401による車両の現在位置の算出に際して利用される。現在位置を示す情報は、たとえば緯度・経度、高度などの、地図データ上の1点を特定する情報である。
【0042】
各種センサ416は、車速センサ、加速度センサ、角速度センサなどの、車両の位置や挙動を判断するための情報を出力する。各種センサ416の出力値は、CPU401による車両の現在位置の算出や、速度や方位の変化量の算出に用いられる。
【0043】
カメラ417は、車両内部あるいは外部の映像を撮影する。映像は静止画あるいは動画のどちらでもよく、たとえば、カメラ417によって車両外部を撮影し、撮影した画像をCPU401において画像解析したり、映像I/F412を介して磁気ディスク405や光ディスク407などの記録媒体に出力したりする。
【0044】
図1に示した地図データ更新装置100の取得部101、検出部102、記録部103、更新部104は、上述したナビゲーション装置310におけるROM402、RAM403、磁気ディスク405、光ディスク407などに記録されたプログラムやデータを用いて、CPU401が所定のプログラムを実行し、ナビゲーション装置310における各部を制御することによってその機能を実現する。
【0045】
(ナビゲーション装置310による地図データ更新処理)
つづいて、ナビゲーション装置310による地図データ更新処理の詳細について説明する。上述のように、ナビゲーション装置310は、地図データ管理サーバ330から提供される更新データを用いて自装置内に記録されている地図データを更新する。より詳細には、ナビゲーション装置310は、移動端末320から位置情報を受信し、移動端末320が多数集まっている地点(多数地点)を検出する。そして、自装置内に記録されている地図データを参照し、多数地点における地物の有無を判断する。多数地点に地物がない場合、地図データが古くなっている可能性があるので、ナビゲーション装置310は、多数地点近傍の更新データを地図データ管理サーバ330に要求し、地図データを更新する。
【0046】
図5は、ナビゲーション装置による地図データ更新処理の一例を示すフローチャートである。図5のフローチャートにおいて、ナビゲーション装置310は、まず、ネットワークを介して移動端末320の位置情報を受信する(ステップS501)。このとき、所定の地域を指定して、その地域に位置する移動端末320から詳細な位置情報を受信するようにしてもよい。所定の地域とは、たとえば、ナビゲーション装置310に対して設定されている目的地点や経路となっている道路の近傍などにすることができる。
【0047】
つぎに、ナビゲーション装置310は、受信した位置情報を元にして、複数の移動端末320が位置する地点(多数地点)を検出する(ステップS502)。多数地点には複数の移動端末320が位置するだけの広さが必要なため、多数地点は、実際にはある程度の広さを有する範囲となる。ナビゲーション装置310は、所定の範囲に複数(2台以上)の移動端末320が位置する地点を多数地点として検出してもよいし、所定数以上の移動端末320が位置する地点を多数地点として検出してもよい。
【0048】
つづいて、ナビゲーション装置310は、自装置に記録されている地図データ上を参照し、地物がない地点に多数地点があるか否かを判断する(ステップS503)。一般に、多くの移動端末320(より詳細にはその保有者)が集まる場所には、何らかの地物が存在する場合が多い。このため、地図データ上で地物がない場所に移動端末320が集まっている場合には、その場所にあらたに地物ができた可能性が高く、地図データを更新する必要がある可能性が高い。
【0049】
地物がない地点に多数地点がない場合は(ステップS503:No)、ステップS501に戻り、以降の処理を継続する。一方、地物がない地点に多数地点がある場合は(ステップS503:Yes)、その多数地点が道路から所定距離以上離れているか否かを判断する(ステップS504)。道路上や道路の周辺では、渋滞や信号待ちの影響などによって、一時的に移動端末320が密集する場合がある。このような場合は、あらたに地物ができたのではないため、地図データは更新する必要がない。ただし、道路上や道路周辺における移動端末320の移動状況が従来と著しく異なる、または従来と異なる状態が継続している場合には、道路上にあらたな地物(信号機や横断歩道など)ができた可能性があるため、地図データの更新をおこなってもよい。
【0050】
多数地点が道路から所定距離以上離れていない場合(ステップS504:No)、ナビゲーション装置310は、ステップS501に戻り、以降の処理を継続する。一方、多数地点が道路から所定距離以上離れている場合(ステップS504:Yes)、ナビゲーション装置310は、多数地点内に複数の移動端末320が位置している状態が所定時間以上継続しているか否かを判断する(ステップS505)。地物がない場所であっても、何らかの理由(たとえば、混雑回避のため抜け道に利用されている場合など)で一時的に移動端末320が密集する場合がある。このような場合は、ステップS504と同様に、あらたに地物ができたのではないため、地図データを更新する必要がない。なお、所定時間の長さは任意であるが、移動端末320の滞在時間の長さだけでなく、多数地点において移動端末320が所定数以上になる状態が数日間継続しているか否かを判断してもよい。これは、一時的なイベントなどによって、移動端末320が集まっているのを判別するためである。
【0051】
多数地点内に複数の移動端末320が位置している状態が所定時間以上継続していない場合(ステップS505:No)、ナビゲーション装置310は、ステップS501に戻り、以降の処理を継続する。一方、多数地点内に複数の移動端末320が位置している状態が所定時間以上継続している場合(ステップS505:Yes)、ナビゲーション装置310は、多数地点近傍の地図データを更新するための更新データを取得する(ステップS506)。より詳細には、ナビゲーション装置310は、地図データ管理サーバ330に多数地点近傍の更新データの送信要求を送信する。地図データ管理サーバ330は、ナビゲーション装置310からの送信要求に基づいて更新データを返信し、ナビゲーション装置310は、地図データ管理サーバ330から返信された更新データを受信する。なお、更新データの送信要求に、ナビゲーション装置310で記録している地図データのバージョンや最終更新日時などの情報を含ませてもよい。この場合、地図データ管理サーバ330は、更新データの有無を判断し、更新データがない場合には、更新データの送信をおこなわないようにしてもよい。
【0052】
そして、ナビゲーション装置310は、ステップS506で取得した更新データを用いて地図データを更新して(ステップS507)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0053】
図6は、移動端末の位置情報を模式的に示す説明図である。図6では、移動端末320としての携帯電話端末(網掛け)およびナビゲーション装置(白丸)の位置を、地図データM1上に示している。道路Rは車道であり、車両に搭載されたナビゲーション装置が所々に位置していることがわかる。また、道路Rの周辺は歩道であり、歩行者が保持している携帯電話端末が所々に位置していることがわかる。施設Aおよび施設Bには多くの携帯電話端末が位置しており、これらの携帯電話の保有者が施設を利用していることがわかる。また、駐車場Cには多くのナビゲーション装置が位置しており、これらのナビゲーション装置を搭載した車両が駐車されていることがわかる。
【0054】
一方、施設Bの左側に位置する領域Dには多くの携帯電話端末が位置している(多数地点である)が、地図データM1上では領域Dの範囲に地物はない。このような場合、ナビゲーション装置310では、領域Dにあらたな地物ができた可能性が高いものとして、地図データ管理サーバ330に対して領域Dを含む範囲について更新データを要求する。
【0055】
図7は、地図データの分割範囲を模式的に示す説明図である。図7の地図データM2は、ナビゲーション装置310が記録している地図データの一部である。地図データM2は、エリアa1〜e5の25エリアに分割されている。たとえば、図6に示す領域Dがエリアc3に含まれている場合(図7の領域D1)、ナビゲーション装置310は、エリアc3の更新データを地図データ管理サーバ330に要求する。また、たとえば領域Dが複数のエリアにまたがっている場合(図7の領域D2)、ナビゲーション装置310は、たとえば、領域Dがまたがった全てのエリアの更新データを地図データ管理サーバ330に要求する。図7の例では、領域D2はエリアb2,b3,c2,c3にまたがっているため、ナビゲーション装置310は、エリアb2,b3,c2,c3の更新データを地図データ管理サーバ330に要求する。
【0056】
上述した説明では、地図データ上の地物の有無に基づいて更新をおこなうか否かを判断したが、これに限らず、たとえば、所定の地点に位置する移動端末320の平均値に基づいて更新をおこなうか否かを判断してもよい。これにより、地物があらたにできた時のみならず、地物がなくなった場合などにも、迅速に地図データを更新することができる。
【0057】
図8は、ナビゲーション装置による地図データ更新処理の他の例を示すフローチャートである。図8のフローチャートにおいて、ナビゲーション装置310は、所定地域における移動端末320の位置情報を受信し(ステップS801)、受信した位置情報を記録する(ステップS802)。ナビゲーション装置310は、ステップS801およびS802に示すように、所定地域における移動端末320の位置情報を継続的に受信し、その情報を記録している。そして、記録した位置情報を元にして、所定地域内の各地点に位置する移動端末320の平均値を算出する。なお、平均値は時間帯ごとや曜日ごとなどで集計してもよい。
【0058】
つぎに、ナビゲーション装置310は、ステップS801で受信した位置情報に基づいて、所定地域内の各地点に現在位置する移動端末320の数を求め、同じ地点における過去の移動端末320の数の平均値と比較する(ステップS803)。そして、ナビゲーション装置310は、平均値との差分が所定値以上の地点(以下、「差分地点」という)があるか否かを判断する(ステップS804)。平均値との差分はプラスであっても、マイナスであってもよい。
【0059】
差分地点がある場合(ステップS804:Yes)、その場所にあらたに地物ができたり、元々あった地物がなくなったり、他の地物に変わっている可能性が高く、地図データを更新する必要がある可能性が高い。このため、ナビゲーション装置310は、差分地点近傍の地図データを更新するための更新データを取得して(ステップS805)、更新データを用いて地図データを更新して(ステップS806)、本フローチャートによる処理を終了する。一方、差分地点がない場合は(ステップS804:No)、ステップS801に戻り、以降の処理を継続する。
【0060】
このように、所定の地点に位置する移動端末320の平均値と現在の移動端末320の数を比較することによって、地物があらたにできた時のみならず、地物がなくなった場合であっても、迅速に地図データを更新することができる。また、ある地物が他の地物に変更されたり、営業時間の変更などがおこなわれたりした場合には、移動端末320が集まる時間帯が変化する可能性が高い。このため、時間帯別や曜日別に移動端末320の平均値を集計することによって、地物が変化した場合でも迅速に地図データを更新することができる。また、たとえば移動端末320の位置情報とともにユーザの属性情報などを取得できれば、所定の地点に集まる人の属性の変化に基づいて地物の変化を推定して、地図データを更新することができる。
【0061】
なお、本実施例では、ナビゲーション装置310に記録された地図データの更新について説明したが、地図データ管理サーバ330に記録された地図データの更新に際して、本発明を適用してもよい。具体的には、たとえば、地図データ管理サーバ330において、ナビゲーション装置310や移動端末320の位置情報を継続して取得し、自装置で記録している地図データと照合する。そして、地図データ上で地物がない地点に多数のナビゲーション装置310や移動端末320が位置している場合には、その地点(更新候補地点)に何らかの地物が新設された可能性が高いと判断する。その後、地図データ管理サーバ330は、たとえば更新候補地点を地図データ管理事業者に報知して地図データ更新のための調査を促したり、更新候補地点に位置するナビゲーション装置310や移動端末320に、その地点に関する情報の送信を促したりする。これにより、地図データの更新が必要な地点を自動的に抽出することができ、地図データ更新作業におけるコストを低減することができる。
【0062】
以上説明したように、実施例にかかるナビゲーション装置310は、多数地点における地物の有無に基づいて地図データを更新する。これにより、地図データの更新対象地域を地図データ内の情報が変化した地域に絞り込むことができ、効率的に地図データの更新をおこなうことができる。また、ナビゲーション装置310は、所定の閾値との比較結果に基づいて自動的に地図データを更新するので、ユーザの操作によって地図データを更新するのと比較して、より迅速に地図データを最新の状態にすることができる。
【0063】
また、ナビゲーション装置310において、過去の移動端末320の数の平均との差分に基づいて地図データを更新するようにすれば、あらたな地物ができた場合のみならず、地物がなくなった場合や他の地物に変更された場合などでも、地図データを更新することができる。また、ナビゲーション装置310において、所定時間以上継続して移動端末320の数が所定数を超えている場合に地図データを更新することによって、一時的なイベントなどで移動端末320が集まっている場合を除外することができ、地図データを更新する必要がある地域をより精度良く特定することができる。同様に、地図データ上の道路から所定距離以上離れた範囲を多数地点の検出対象とすることによって、渋滞や信号待ちなどで移動端末320が集まっている場合を除外することができ、地図データを更新する必要がある地域をより精度良く特定することができる。
【0064】
なお、本実施の形態で説明した地図データ更新方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【符号の説明】
【0065】
100 地図データ更新装置
101 取得部
102 検出部
103 記録部
104 更新部
110 情報処理端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データを更新する地図データ更新装置であって、
可搬型の情報処理端末から当該情報処理端末の位置情報を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された前記位置情報に基づいて、前記地図データ上の所定の範囲内に複数の前記情報処理端末が位置する地点(以下、「多数地点」という)を検出する検出手段と、
前記多数地点に位置する前記情報処理端末の数と所定の閾値との比較結果に基づいて、前記多数地点近傍の前記地図データを更新する更新手段と、
を備えることを特徴とする地図データ更新装置。
【請求項2】
前記更新手段は、前記地図データ上の前記多数地点に地物がない場合、前記多数地点近傍の前記地図データを更新することを特徴とする請求項1に記載の地図データ更新装置。
【請求項3】
前記更新手段は、前記多数地点に位置する前記情報処理端末の数が所定数を超えた場合、前記多数地点近傍の前記地図データを更新することを特徴とする請求項1または2に記載の地図データ更新装置。
【請求項4】
前記地図データ上の前記所定の範囲内の前記情報処理端末の数を継続して記録する記録手段をさらに備え、
前記更新手段は、前記記録手段に記録されている過去の前記情報処理端末の数の平均に対して所定数を超えて前記情報処理端末の数が変化した前記多数地点がある場合、当該多数地点近傍の前記地図データを更新することを特徴とする請求項1または2に記載の地図データ更新装置。
【請求項5】
前記更新手段は、所定時間以上継続して前記情報処理端末の数が前記所定数を超えている場合、前記多数地点近傍の前記地図データを更新することを特徴とする請求項3または4に記載の地図データ更新装置。
【請求項6】
前記検出手段は、前記地図データ上の道路から所定距離以上離れた前記所定の範囲を検出対象とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の地図データ更新装置。
【請求項7】
地図データを更新する地図データ更新装置における地図データ更新方法であって、
可搬型の情報処理端末から当該情報処理端末の位置情報を取得する取得工程と、
前記取得工程で取得された前記位置情報に基づいて、前記地図データ上の所定の範囲内に複数の前記情報処理端末が位置する地点(以下、「多数地点」という)を検出する検出工程と、
前記多数地点に位置する前記情報処理端末の数と所定の閾値との比較結果に基づいて、前記多数地点近傍の前記地図データを更新する更新工程と、
を含んだことを特徴とする地図データ更新方法。
【請求項8】
請求項7に記載の地図データ更新方法をコンピュータに実行させることを特徴とする地図データ更新プログラム。
【請求項9】
請求項8に記載の地図データ更新プログラムを記録したことを特徴とするコンピュータに読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−22004(P2011−22004A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−167275(P2009−167275)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】