説明

地図表示システム、地図表示装置および地図表示方法

【課題】 地下街地図などをタイミングよくダウンロードし、GPS測位が出来ないときに地図の切替えを効率良く行うようにする。
【解決手段】 携帯端末装置20は、測位手段203による測位ができるか否か判定し、測位手段203による測位ができないと判断された場合に、最後の測位位置周辺に詳細案内地図を有する特定領域があるか否か判定し、特定領域があると判断された場合に、表示手段に当該特定領域を選択可能な態様で表示させ、操作入力手段205により特定領域が選択されたか否か判定し、特定領域が選択されたと判断された場合に、表示手段204に詳細案内地図を表示させるとともに、最後の測位位置に関する情報も併せて表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図データベースに蓄積された地図情報に基づいて移動するユーザに対して所定の地図表示を行う地図表示システムに関するものであり、特に、地下街地図などをタイミングよくダウンロードし、GPS測位が出来ないときに地図の切替えを効率良く行うように構成した地図表示システム、地図表示装置および地図表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ユーザの所望する住所や施設名などの検索条件や携帯端末装置に具備されているGPS受信機能がGPS信号から取得した現在位置に従って地図検索を行い、地図検索によって求められた地図情報を現在位置とともに携帯端末装置の表示画面に表示したりする地図表示サービスが知られている。
【0003】
また、ナビゲーションサービスにおいては、ユーザの所望する出発地および目的地、時刻情報を含む探索条件に従って経路探索を行い、経路探索によって求められた推奨経路を表示するとともに、推奨経路に従って移動するユーザに対して、ユーザの有する端末装置に所定の案内情報を文字や音声などで表示したりしている。
【0004】
この案内情報の表示では、鉄道路線などの交通機関の乗り換え案内にととまらず、従来の車載用ナビゲーションシステムの機能を携帯電話などの携帯端末装置に提供する通信型のナビゲーションシステムも実現されている。このようなシステムによれば、自動車の運転者のみならず、歩行者に対するナビゲーションサービスを提供することができる。
【0005】
さらに、歩行者ナビゲーション装置においては、地下街や建物の内部まで案内するサービスが望まれているため、地下街や建物の内部に入った場合は、地下街の構内図や建物の案内図に切り替える技術が様々に提案されている。
【0006】
例えば、複数種類の地図情報を端末の位置情報や利用者からの指示に基づいて、切り替えて表示する技術が、下記の特許文献1(特開2007−57857号公報)に「地図情報表示方法および地図情報配信方法」として開示されている。この特許文献1には、位置情報を検知するGPSの電波が弱くなった場合は地下街地図情報をダウンロードし、地上地図情報から地下街地図情報に表示を切り替えることが開示されている。
【0007】
また、携帯端末で目的地までのナビゲーションを行う場合に、その位置情報などに基づいて、2次元表示/3次元表示の切り替えを行う技術が、例えば、下記の特許文献2(特開2007−71848号公報)に「携帯端末用ナビゲーションシステム」として開示されている。この特許文献2には、路上などの建造物の外部ではGPSによって位置情報を取得することが容易であるため3次元案内画面を表示し、建造物の内部を移動してGPSによって位置情報を取得できない場合には3次元表示から2次元表示に切り替えることによって、利用者の現在位置を分かりやすくすることが開示されている。
【0008】
さらに、この特許文献2には、建造物の内部に入った入り口を選択するガイダンスを表示させて、選択された入り口の建造物に関する詳細な情報(内部地図情報、店舗情報)を表示することが開示されている。
【0009】
【特許文献1】特開2007−57857号公報(図5、図6、段落[0069]〜段落[0074])
【特許文献2】特開2007−71848号公報(図5、図9、段落[0053]〜段落[0061])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記特許文献1のように、GPSの電波や携帯電話の通信電波が弱くなってから地下街地図をダウンロードしようとても通信が成立しないことがある。特に、地下街へ向かう入り口の階段やエレベータなどは良好な通信エリアではないため、地下街地図情報を容易にダウンロードできないという問題点があった。
【0011】
また、一般的に携帯電話のインストールされているナビゲーション用アプリケーション(ナビアプリ)からはGPSの電波レベルが分からないため、GPSの測位ができないことが分かった時点では、地下街地図情報をダウンロードできない状況になっていることがある。
【0012】
また、上記特許文献2のように、建物内に入ってGPSで測位できなくなった場合に、建物内の地図が3次元から2次元の地図に切り替った直後では、建物内に入った入り口を選択することはユーザにとって容易なことではないという問題点があった。
【0013】
本願の発明者は、上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、地下街地図などをタイミングよくダウンロードし、GPS測位が出来ないときに地図の切替えを効率良く行なうとともに、地図が切替わる直前までの測位情報を表示することにより、上記問題点を解消し得ることを想到して本発明を完成するに至ったものである。
【0014】
すなわち、本発明は上記の問題点を解消することを課題とし、GPS信号が届き難い地下街に入った場合でも、ユーザの所望するスポットの詳細な案内地図をシームレスに表示するとともに、ユーザが所望するスポットの選択のミスも防ぐことができるようにした地図表示システム、地図表示装置および地図表示方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、
地図配信サーバと地図表示装置とを備え、地図配信サーバは地図データベースに蓄積された地図情報を地図表示装置に送り、地図表示装置が受信した地図情報に基づいて移動するユーザに対して所定の地図表示を行う地図表示システムであって、
現在位置を測位する測位手段と、
前記測位手段により測位された測位位置を含む地図を表示する表示手段と、
地図上の所定領域を選択する操作入力手段と、
前記測位手段が測位できなくなったとき、最後の測位位置周辺に詳細案内地図を有する特定領域がある場合には、前記表示手段に当該特定領域を選択可能な態様で表示させ、
前記操作入力手段によって前記特定領域が選択された場合は、前記表示手段に前記詳細案内地図を表示させるとともに、前記最後の測位位置に関する情報も併せて表示させる表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0016】
本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる地図表示システムにおいて、前記最後の測位位置周辺とは、最後に測位された際に前記表示手段に表示された地図の表示範囲であることを特徴とする。
【0017】
本願の請求項3にかかる発明は、請求項1にかかる地図表示システムにおいて、前記最後の測位位置周辺とは、最後に測位された測位位置から所定の距離範囲内であることを特徴とする。
【0018】
本願の請求項4にかかる発明は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項にかかる地図表示システムにおいて、前記最後の測位位置に関する情報は、最後に測位された測位位置を示す位置マークであることを特徴とする。
【0019】
本願の請求項5にかかる発明は、請求項1ないし請求項4のいずれか1項にかかる地図表示システムにおいて、前記最後の測位位置に関する情報は、最後に測位された測位位置の方向を示す方向マークであることを特徴とする。
【0020】
本願の請求項6にかかる発明は、請求項1ないし請求項5のいずれか1項にかかる地図表示システムにおいて、前記詳細案内地図は、地下街の構内図あるいは建物の案内図であることを特徴とする。
【0021】
本願の請求項7にかかる発明は、請求項1ないし請求項6のいずれか1項にかかる地図表示システムにおいて、前記表示手段は、地図を表示する際に、これまで前記測位手段により測位された測位位置の履歴を表示することを特徴とする。
【0022】
本願の請求項8にかかる発明は、請求項1ないし請求項7のいずれか1項にかかる地図表示システムにおいて、前記測位位置を含む地図を地図データベースから取得する際に、前記詳細案内地図も同時に取得する取得手段を備えたことを特徴とする。
【0023】
また、本願の請求項9にかかる発明は、
地図配信サーバから地図データベースに蓄積された地図情報を受信し、受信した地図情報に基づいて移動するユーザに対して所定の地図表示を行う地図表示装置であって、
現在位置を測位する測位手段と、
前記測位手段により測位された測位位置を含む地図を表示する表示手段と、
地図上の所定領域を選択する操作入力手段と、
前記測位手段が測位できなくなったとき、最後の測位位置周辺に詳細案内地図を有する特定領域がある場合には、前記表示手段に当該特定領域を選択可能な態様で表示させ、
前記操作入力手段によって前記特定領域が選択された場合は、前記表示手段に前記詳細案内地図を表示させるとともに、前記最後の測位位置に関する情報も併せて表示させる表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0024】
本願の請求項10にかかる発明は、請求項9にかかる地図表示装置において、前記最後の測位位置周辺とは、最後に測位された際に前記表示手段に表示された地図の表示範囲であることを特徴とする。
【0025】
本願の請求項11にかかる発明は、請求項9にかかる地図表示装置において、前記最後の測位位置周辺とは、最後に測位された測位位置から所定の距離範囲内であることを特徴とする。
【0026】
本願の請求項12にかかる発明は、請求項9ないし請求項11のいずれか1項にかかる地図表示装置において、前記最後の測位位置に関する情報は、最後に測位された測位位置を示す位置マークであることを特徴とする。
【0027】
本願の請求項13にかかる発明は、請求項9ないし請求項11のいずれか1項にかかる地図表示装置において、前記最後の測位位置に関する情報は、最後に測位された測位位置の方向を示す方向マークであることを特徴とする。
【0028】
本願の請求項14にかかる発明は、請求項9ないし請求項13のいずれか1項にかかる地図表示装置において、前記詳細案内地図は、地下街の構内図あるいは建物の案内図であることを特徴とする。
【0029】
本願の請求項15にかかる発明は、請求項9ないし請求項14のいずれか1項にかかる地図表示装置において、前記表示手段は、地図を表示する際に、これまで前記測位手段により測位された測位位置の履歴を表示することを特徴とする。
【0030】
本願の請求項16にかかる発明は、請求項9ないし請求項15のいずれか1項にかかる地図表示装置において、前記測位位置を含む地図を地図データベースから取得する際に、前記詳細案内地図も同時に取得する取得手段を備えたことを特徴とする。
【0031】
さらに、本願の請求項17にかかる発明は、
地図配信サーバから地図データベースに蓄積された地図情報を受信し、受信した地図情報に基づいて移動するユーザに対して所定の地図表示を行う地図表示装置における地図表示方法であって、
現在位置を測位する測位手段と、
前記測位手段により測位された測位位置を含む地図を表示する表示手段と、
地図上の所定領域を選択する操作入力手段と、
前記測位手段が測位できなくなったとき、最後の測位位置周辺に詳細案内地図を有する特定領域がある場合には、前記表示手段に当該特定領域を選択可能な態様で表示させ、
前記操作入力手段によって前記特定領域が選択された場合は、前記表示手段に前記詳細案内地図を表示させるとともに、前記最後の測位位置に関する情報も併せて表示させる表示制御手段と、
を備え、
前記測位手段による測位ができるか否か判定するステップと、
前記測位手段による測位ができないと判断された場合に、最後の測位位置周辺に詳細案内地図を有する特定領域があるか否か判定するステップと、
前記特定領域があると判断された場合に、前記表示手段に当該特定領域を選択可能な態様で表示させるステップと、
前記操作入力手段により前記特定領域が選択されたか否か判定するステップと、
前記特定領域が選択されたと判断された場合に、前記表示手段に前記詳細案内地図を表示させるとともに、前記最後の測位位置に関する情報も併せて表示させるステップと、
を有することを特徴とする。
【0032】
本願の請求項18にかかる発明は、請求項17にかかる地図表示方法において、前記表示手段に地図を表示する際に、これまで前記測位手段により測位された測位位置の履歴を表示させるステップを含むことを特徴とする。
【0033】
本願の請求項19にかかる発明は、請求項17または請求項18にかかる地図表示方法において、前記測位位置を含む地図を地図データベースから取得する際に、前記詳細案内地図も同時に取得するステップを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0034】
請求項1にかかる発明においては、測位手段による測位ができるか否か判定し、測位手段による測位ができないと判断された場合に、最後の測位位置周辺に詳細案内地図を有する特定領域があるか否か判定し、特定領域があると判断された場合に、表示手段に当該特定領域を選択可能な態様で表示させ、操作入力手段により特定領域が選択されたか否か判定し、特定領域が選択されたと判断された場合に、表示手段に詳細案内地図を表示させるとともに、最後の測位位置に関する情報も併せて表示させるように構成した。
【0035】
このような構成によれば、測位手段による測位ができない場所へ移動した場合でも、最後の測位位置周辺にあるユーザが所望する特定領域の詳細な案内地図をシームレスに表示することが可能となる。また、最後の測位位置に関する情報も併せて表示するので、ユーザが所望する特定領域の選択のミスも防ぐことも可能になる。
【0036】
請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかる地図表示システムにおいて、前記最後の測位位置周辺とは、最後に測位された際に前記表示手段に表示された地図の表示範囲であるように構成した。
【0037】
このような構成によれば、測位手段による測位ができない場所へ移動した場合でも、最後に測位された際に表示手段に表示された地図の表示範囲にあるユーザが所望する特定領域の詳細な案内地図をシームレスに表示することが可能となる。また、最後の測位位置に関する情報も併せて表示するので、ユーザが所望する特定領域の選択のミスも防ぐことも可能になる。
【0038】
請求項3にかかる発明においては、請求項1にかかる地図表示システムにおいて、前記最後の測位位置周辺とは、最後に測位された測位位置から所定の距離範囲内であるように構成した。
【0039】
このような構成によれば、測位手段による測位ができない場所へ移動した場合でも、最後に測位された測位位置から所定の距離範囲内にあるユーザが所望する特定領域の詳細な案内地図をシームレスに表示することが可能となる。また、最後の測位位置に関する情報も併せて表示するので、ユーザが所望する特定領域の選択のミスも防ぐことも可能になる。
【0040】
請求項4にかかる発明においては、請求項1ないし請求項3のいずれか1項にかかる地図表示システムにおいて、前記最後の測位位置に関する情報は、最後に測位された測位位置を示す位置マークであるように構成した。
【0041】
このような構成によれば、測位手段による測位ができない場所へ移動した場合でも、最後の測位位置周辺にあるユーザが所望する特定領域の詳細な案内地図をシームレスに表示することが可能となる。また、最後に測位された測位位置を示す位置マークも併せて表示するので、ユーザが所望する特定領域の選択のミスも防ぐことも可能になる。
【0042】
請求項5にかかる発明においては、請求項1ないし請求項4のいずれか1項にかかる地図表示システムにおいて、前記最後の測位位置に関する情報は、最後に測位された測位位置の方向を示す方向マークであるように構成した。
【0043】
このような構成によれば、測位手段による測位ができない場所へ移動した場合でも、最後の測位位置周辺にあるユーザが所望する特定領域の詳細な案内地図をシームレスに表示することが可能となる。また、最後に測位された測位位置の方向を示す方向マークも併せて表示するので、ユーザが所望する特定領域の選択のミスも防ぐことも可能になる。
【0044】
請求項6にかかる発明において、請求項1ないし請求項5のいずれか1項にかかる地図表示システムにおいて、前記詳細案内地図は、地下街の構内図あるいは建物の案内図であるように構成した。
【0045】
このような構成によれば、測位手段による測位ができない場所へ移動した場合でも、最後の測位位置周辺にあるユーザが所望する地下街の構内図あるいは建物の案内図をシームレスに表示することが可能となる。また、最後の測位位置に関する情報も併せて表示するので、ユーザが所望する地下街の構内図あるいは建物の案内図の選択のミスも防ぐことも可能になる。
【0046】
請求項7にかかる発明において、請求項1ないし請求項6のいずれか1項にかかる地図表示システムにおいて、前記表示手段は、地図を表示する際に、これまで前記測位手段により測位された測位位置の履歴を表示するように構成した。
【0047】
このような構成によれば、測位手段による測位ができない場所へ移動した場合でも、最後の測位位置周辺にあるユーザが所望する特定領域の詳細な案内地図をシームレスに表示することが可能となる。また、測位手段により測位された測位位置の履歴も併せて表示するので、ユーザが所望する特定領域の選択のミスも防ぐことも可能になる。
【0048】
請求項8にかかる発明において、請求項1ないし請求項7のいずれか1項にかかる地図表示システムにおいて、前記測位位置を含む地図を地図データベースから取得する際に、前記詳細案内地図も同時に取得する取得手段を備えるように構成した。
【0049】
このような構成によれば、測位手段による測位ができない場所へ移動した場合でも、最後の測位位置周辺にあるユーザが所望する特定領域の詳細な案内地図をシームレスに表示することが可能となる。また、最後の測位位置に関する情報も併せて表示するので、ユーザが所望する特定領域の選択のミスも防ぐことも可能になる。
【0050】
また、請求項9ないし請求項16にかかる発明においては、それぞれ請求項1ないし請求項8にかかる地図表示システムを構成する地図表示装置を提供することができ、請求項17ないし請求項19にかかる発明においては、それぞれ請求項1、請求項7ないし請求項8にかかる地図表示システムを実現するための地図表示方法を提供することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例においては本発明の技術思想を具体化するためのナビゲーションシステム、地図表示方法および携帯端末装置を例示するものであって、本発明をこのナビゲーションシステム、地図表示方法および携帯端末装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の地図表示システム、地図表示方法および地図表示装置にも等しく適用し得るものである。
【実施例1】
【0052】
図1は、本発明の実施例にかかる携帯端末装置20を含むナビゲーションシステム10の構成を示すブロック図である。本発明の実施例にかかる携帯端末装置10は、携帯電話などを用いることができ、図1に示すように、ネットワーク12を介して地図配信サーバ30に接続され、通信型のナビゲーションシステム10を構成している。
【0053】
図1に示す地図配信サーバ30は、地図データベース31、経路探索用ネットワークデータベース32を備え、携帯端末装置20から地図検索要求があると、地図データベース31を参照して現在位置などを含む所定場所の地図を配信する地図配信サービス機能と、携帯端末装置20から経路探索要求があると、経路探索用ネットワークデータベース32を参照して経路探索を行い、推奨経路とその案内情報を携帯端末装置20に送信するナビゲーション機能を有している。
【0054】
経路探索用ネットワークデータベース32は、徒歩や自動車による移動経路を探索するための道路ネットワークデータと公共交通機関を利用した移動経路を探索するための交通ネットワークデータを蓄積したデータベースである。具体的には、道路ネットワークデータは、道路(経路)をその結節点、屈曲点の位置をノードとし、各ノードを結ぶ経路をリンクとし、ノードデータ、リンクデータ、全てのリンクのコスト情報(距離や所要時間)であるリンクコストデータから構成され、データベース化されたものである。交通ネットワークデータも駅をノードとし、駅と駅を結ぶリンクと、リンクとなる電車などの各交通機関の時刻表データ(発車時刻、到着時刻、所要時間)をリンクコストデータとして蓄積したものである。
【0055】
携帯端末装置20から出発地、目的地、時刻情報を含む経路探索条件を設定した経路探索要求があると、地図配信サーバ30は経路探索用ネットワークデータベース32を参照して出発地から目的地までの最適経路を含む推奨経路を探索する。このような経路探索の手法としてはラベル確定法あるいはダイクストラ法と言われる手法が用いられる。地図配信サーバ30は探索した推奨経路の概要を携帯端末装置20に送り、携帯端末装置20から指定された推奨経路についての詳細データの配信要求があると、地図データベース31を参照して指定された推奨経路を含む地図情報およびその案内情報からなる経路案内データを携帯端末装置20に配信する。
【0056】
経路案内データには、地図配信サーバ30で探索された推奨経路上の出発地、経路の屈曲点、交差点、乗り換え駅、目的地などのガイダンスポイントが設定され、それらのガイダンスポイントの位置座標(緯度・経度)、各ガイダンスポイントに関連する案内情報(直進や右左折のガイダンス情報)が含まれる。
【0057】
携帯端末装置20は、地図配信サーバ30から経路案内データを受信すると、ユーザの案内開始指示に従って所定の経路案内動作を開始し、経路探索サーバ30から受信した地図および推奨経路を表示し、ユーザの移動する位置情報に従ってガイダンスポイントに到着するタイミングで推奨経路に基づいた案内情報を表示または音声で出力する。
【0058】
ここで、地図配信サーバ30は、推奨経路を含む地図情報を携帯端末装置20に配信する際に、携帯端末装置20の現在位置に基づき、地図データベース31に蓄積されている所定の単位地図データ毎に配信する。
【0059】
地図データベース31は、所定の緯度範囲、経度範囲で区分されたメッシュ状の単位地図データから構成されているベクトル地図データを蓄積しており、このベクトル地図データは、広域図、中域図、詳細図、市街地図といった各階層の地図データに分かれている。さらに、本発明では、地下街の構内図や建物の案内図などの詳細な案内地図も併せて蓄積している。
【0060】
地図配信サーバ30は、携帯端末装置20から要求された地図データを地図データベース31から読み出して要求元の携帯端末装置20に配信する。一般的には、携帯端末装置20の現在位置を中心に、上下、左右、斜め方向のメッシュに相当する単位地図9枚分の地図データを配信する。また、携帯端末装置20が移動して地図データが不足する場合は、携帯端末装置20の移動方向を判別して地図配信サーバ30は不足分の単位地図データを配信する。
【0061】
携帯端末装置20は、地図配信サーバ30から配信された地図データをダウンロードするが、本発明の地図配信サーバ30は、市街地図を読み出して要求元の携帯端末装置20に配信する際に、この市街地図に含まれる地下街の構内図や建物の案内図などの詳細な案内地図も併せて地図データベース31から読み出して配信する。このため、本発明では、携帯端末装置20によって市街地図と同時に詳細な案内地図がダウンロードされることになる。
【0062】
携帯端末装置20は、図1に示すように、制御手段201、送受信手段202、測位手段203、表示手段204、操作入力手段205、配信要求手段206、配信データ記憶手段207、測位データ記憶手段208、測位判定手段209、表示制御手段210などを備えて構成されている。なお、本発明の実施例にかかる携帯端末装置20は携帯電話である他に、PDAや音楽プレイヤーや携帯ゲーム機などの携帯機器、あるいは、携帯型パーソナルコンピュータ(PC)などの地図を表示する機能を有する地図表示装置であってもよい。
【0063】
携帯端末装置20において、制御手段201は、図示してはいないがRAM、ROM、プロセッサを有するマイクロプロセッサであり、ROMに格納された制御プログラムにより各部の動作を制御する。送受信手段202は、ネットワーク12を介して地図配信サーバ30などと通信データを送受信するためのインターフェースである。
【0064】
測位手段203は、GPS衛星からの信号を受信して携帯端末装置20の現在位置を緯度,経度で測位する衛星航法手段により位置情報を取得するものである。位置情報(緯度,経度)の取得可能の有無は、後述するように、地下街の構内図や建物の案内図を有する特定領域を選択可能な態様で表示するタイミングの位置データとして利用される。また、地図配信サーバ30に送信されて、地図データを検索する際や、地図データを表示するとともに現在位置を特定する際に利用することができる。
【0065】
表示手段204は、液晶表示ユニットなどから構成され、地図配信サーバ30から配信された地図などの表示を行う。また、表示手段204には携帯端末装置20の操作のためのメニュー画面が表示され、プルダウンメニューなどの操作により経路探索条件などを選定することができる。したがって、表示手段204は操作入力手段205の一部としても機能する。
【0066】
表示手段204に地図を表示する場合、一般的には、測位手段203で取得した地図表示装置20の現在位置を含む一定の縮尺、一定の範囲の地図に、案内経路や地図表示装置20の現在位置を示すマークを重ね合わせて該現在位置マークが表示画面の中心になるように表示する。取得した位置情報には誤差が含まれるため、現在位置が案内経路からずれている場合には現在位置を案内経路上に補正するルートマッチング処理が行われる。
【0067】
操作入力手段205は、数字キーやアルファベットキー、その他の機能キー、選択キー、スクロールキー(上下左右の矢印キー)などからなる操作、入力のためのものであり、出力手段である表示手段204に表示されるメニュー画面から所望のメニューを選択し、あるいは、キーを操作して経路探索条件の設定やカーソルの移動など種々の入力操作を行うものである。
【0068】
配信要求手段206は、操作入力手段205や表示手段204に表示されたメニュー画面の操作によって設定された経路探索条件に基づいて編集された配信要求を地図配信サーバ30に送受信手段202を介して送信する。また、携帯端末装置20が移動して表示するための地図データが不足する場合には、地図データの配信要求も地図配信サーバ30に送信される。
【0069】
配信データ記憶手段207は、地図配信サーバ30から配信された経路案内データや地図データなどを一時保存するメモリであり、各種地図データが、例えば、市街地図データ記憶領域207a、地下街構内図データ記憶領域207b、建物案内図データ記憶領域207cなどにそれぞれ記憶されている。この配信データ記憶手段207に記憶されたデータは必要に応じて読み出され、表示手段204に表示される。
【0070】
測位データ記憶手段208は、測位手段203による測位結果を一時保存するメモリである。この測位データ記憶手段208に記憶されたデータは必要に応じて読み出され、測位履歴として表示手段204に表示される。
【0071】
測位判定手段209は、測位手段203による測位結果に基づいて、GPS測位が通常どおり行なわれたか否かについて判定し、表示モードの切り替えを制御する。具体的には、GPS測位が通常どおり行なえた場合には、通常の市街地図データを表示する通常案内モードをそのまま継続させる、あるいは他のモードからこの通常案内モードへ移行させる。一方、GPSの現在位置取得に所定の時間がかかったり、位置取得を所定回数失敗したりしている場合には、表示手段204に現在表示されている市街地図に地下街の構内図や建物の案内図などの詳細な案内地図が含まれているか否か判定する。
【0072】
この詳細な案内地図が市街地図に含まれているか否かの判定は、表示されている市街地図に案内地図が含まれていれば地図配信サーバ30からこの市街地図をダウンロードした際に同時に配信データ記憶手段207にダウンロードされているので、配信データ記憶手段207の地下街構内図データ記憶領域207bや建物案内図データ記憶領域207cに用意されているかチェックすればよく、携帯端末装置10側で行なうことが可能である。
【0073】
測位判定手段209は、現在表示されている市街地図に詳細な案内地図が含まれている場合には、案内地図モードに表示モードを移行させる。一方、詳細な案内地図が含まれていない場合には、現在位置を測位することができず、表示できる案内地図もないため、エラー表示モードへ移行させる。
【0074】
表示制御手段210は、測位判定手段209により移行された表示モード基づいて、地図配信サーバ30から配信された所定の地図データを所定の表示態様で表示手段204に表示する制御を行う。携帯端末装置20は案内動作中に所定の間隔で現在位置の測位動作を行うので、表示制御手段210は、測位手段203の測位結果と測位判定手段209の判定結果に応じて表示手段204に表示される表示内容を更新する。
【0075】
例えば、測位判定手段209が通常案内モードであると判定した場合、表示制御手段210によって表示手段203に表示される内容は、後述するように、地図配信サーバ30から配信された市街地図と、測位手段203によって取得した現在位置と、地図配信サーバ30から受信した推奨経路によって案内される地図ルートと、これまで測位手段203によって取得されて測位データ記憶手段208に記憶されている測位位置の履歴が含まれている。
【0076】
また、測位判定手段209が案内地図モードであると判定した場合には、表示制御手段210によって表示手段203に表示される内容は、まず、表示手段203に表示されている市街地図の中で地下街の構内図や建物の案内図などの詳細な案内地図が用意されている場所(特定領域)をユーザにより視認できるような態様に表示変更させるとともに、操作入力手段205からのユーザ操作により表示画面上を移動させて所定位置を指定するためにクリックできるようにカーソルを表示させる。
【0077】
そして、操作入力手段205によって特定領域の一つの場所がカーソル指定されてクリック選択されると、その選択された場所にある地下街の構内図や建物の案内図などの詳細な案内地図が表示手段204に表示される。このとき、これまでに測位手段203によって取得されて測位データ記憶手段208に記憶されている測位位置の履歴も併せて表示画面に表示されるほうが好ましい。このように案内地図にも測位手段203の取得位置の履歴が表示されると、地下街や建物のどちらの方向からユーザが入ってきたか分かりやすくなる。
【0078】
図3ないし図6は、本発明の実施例にかかる携帯端末装置の表示画面の一例を示す図である。図3は経路案内動作中に通常案内モードで表示された案内画面の一例を示している。図4は図3に示す案内画面を表示した後に案内地図モードで表示された案内画面の一例を示し、所望の特定領域を選択する様子を示している。図5は図4に示す案内画面を表示した後に案内地図モードで表示された案内画面の一例を示し、指定された特定領域の詳細な案内地図が表示されている様子を示している。図6は図4に示す案内画面を表示した後に案内地図モードで表示された案内画面のその他の例を示している。
【0079】
図3に示すように、通常案内モードにおいて、携帯端末装置20の表示手段204に設けられた表示画面51には、測位手段203によってGPS信号から取得した携帯端末装置20の現在位置を示すカーソル52と、これまでに測位手段203によって取得されてきた測位位置の履歴53a〜53eを含む地図54と、が表示されている。地図54は、道路55とPOI(Point of Interest:興味対象場所)を示す建物アイコン56a〜56fが含まれている市街地図である。なお、この地図上には、地図配信サーバ30から受信した推奨経路によって案内されるルート(図示せず)や、ルート上の交差点や分岐点などのガイダンスポイント(図示せず)が表示されてあってもよい。
【0080】
また、表示画面51の下端部には、表示画面51の表示内容に応じて操作機能が割り当てられる各種ソフトキーボタンが表示されるソフトキーボタン欄61が設けられている。図3においては、表示画面51に表示された地図54を拡大するための「ZOOM+(ズームアップ)」キー62と地図54を縮小するための「ZOOM−(ズームバック)」キー63とが表示されている。
【0081】
そして、図3に示す表示状態中に測位手段203が測位動作を所定回数失敗し、測位判定手段209が、図3に示す表示画面51に表示されている地図54に含まれている建物アイコン56a〜56fの中に詳細な案内地図(地下街の構内図や建物の案内図)を有する建物が含まれていると判定すると、表示制御手段210は、図4に示すように、表示手段204に案内地図モードで地図を表示するように制御する。
【0082】
図4に示すように、案内地図モードにおいて、携帯端末装置20の表示手段204に設けられた表示画面51には、操作入力手段205からのユーザ操作により表示画面上を移動させて所定位置を指定するためのカーソル52と、これまでに測位手段203によって取得されてきた測位位置の履歴53c〜53fを含む地図57と、が表示されている。ここで、測位位置の履歴53fの位置は、図3に示された携帯端末装置20の現在位置を示すカーソル52の位置に対応している。
【0083】
地図57には、図3と同じく道路55とPOIを示す建物アイコンが含まれているが、その建物アイコンの中で、詳細な案内地図を有する建物アイコン(ここでは56a,56c,56d)を他の建物アイコンと区別して視認できるように、太線で縁取りされた態様で強調表示されている。そして、カーソル52が、所望の建物アイコンを選択するために、操作入力手段205からのユーザ操作によって建物アイコン56dまで移動させられた状態を示している。
【0084】
また、図4に示す表示画面51には、ユーザによる操作を促すためのメッセージが地図57上に重畳して表示されている。ここでは、「建物または地下街を選択してください」というメッセージ71が表示されている。さらに、表示画面51の下端部に設けられたソフトキーボタン欄61には、図3と同じく「ZOOM+」キー62と[ZOOM−」キー63に加えて、カーソルによって指定された所定位置を確定するためのクリック用の「OK」キー64が表示されている。
【0085】
そして、図4において、所望の建物アイコン(ここでは56d)が選択されると、表示制御手段210は、図5に示すように、表示手段204に案内地図モードで詳細な案内地図を表示するように制御する。
【0086】
図5に示すように、案内地図モードにおいて、携帯端末装置20の表示手段204に設けられた表示画面51には、図4において指定された建物アイコン56dの有する詳細な案内地図(ここでは建物56dの案内図)と、少なくとも案内地図モードに切り換わる直前に測位手段203によって取得された最後の測位位置53fを含む測位位置の履歴53d〜53fと、を含む地図58が表示されている。ここで、少なくとも測位手段203によって取得された最後の測位位置53fが表示されて、建物56dのどちらの方向からユーザが入ってきたか分かりやすくなっている。
【0087】
また、図5に示す表示画面51には、建物56dの階層を指定するためのキーを表す表示72〜74が地図58上に重畳して表示されている。ここでは、操作入力手段205に設けられた数字キーのうち、「2」キーで上層階へ、「5」キーで地上階へ、「8」キーで下層階へ建物56dの案内図を切り替えることができることを示している。さらに、表示画面51の下端部に設けられたソフトキーボタン欄61には、図4に示す表示画面に戻るための「戻る」キー65と表示処理終了用の「END(終了)」キー66が表示されている。
【0088】
ユーザは、測位手段203によって取得された最後の測位位置53fを見て、誤った建物を選択してしまったことが分かれば、「戻る」キー65を押して、図4の表示状態に戻すことができる。なお、測位手段203によって取得された最後の測位位置53fは、例えば、下階層へ降りて地下街の案内図へ表示が切り替わったとしても、ユーザが地下街から出るときの戻り位置の目安になるため、そのまま表示されていることが好ましい。特に地下街では、位置情報を取得する手段がない場合があるので、測位手段203によって取得された最後の測位位置53fを表示するのは有効である。
【0089】
なお、図5では、最後の測位位置に関する情報として、測位手段203によって取得された最後の測位位置53fを表示する例について説明したが、これに限ることはなく、最後の測位位置の方向を表示してもよい。例えば、図4において、所望の建物アイコン(ここでは56c)が選択されると、表示制御手段210は、図6に示すように、表示手段204に案内地図モードで詳細な案内地図を表示するように制御する。
【0090】
図6に示すように、案内地図モードにおいて、携帯端末装置20の表示手段204に設けられた表示画面51には、図4において指定された建物アイコン56cの有する詳細な案内地図(ここでは建物56cの案内図)と、少なくとも案内地図モードに切り換わる直前に測位手段203によって取得された最後の測位位置53fの方向を示す矢印75と、を含む地図59が表示されている。このように、測位手段203によって取得された最後の測位位置53fの方向を示す矢印75が表示されることによって、建物56cのどちらの方向からユーザが入ってきたか分かりやすくなっている。
【0091】
次に、本発明の実施例にかかるナビゲーションシステムにおけるGPS測位後の地図表示の動作について説明する。
図2は、本発明の実施例にかかる携帯端末装置によるナビゲーション中のGPS測位後に呼び出される地図表示モード切替えのチェックルーチンを示すフローチャートである。図2に示す動作手順は、携帯端末装置20の制御手段201がROMに記憶された制御プログラムを実行することで実現される。
【0092】
携帯端末装置20はナビゲーション中に所定の間隔で測位手段203によって現在位置の測位動作を行うので、先ず、ステップS41の処理において、制御手段201の制御によって測位判定手段209が測位手段203によるGPS測位が可能か否かを判定し、GPS測位が通常どおり行なえた場合には、ステップS42の処理に進み、通常案内モードに表示モードを移行させて処理を終了する。一方、GPS測位による現在位置取得に所定の時間がかかったり、GPS測位による位置取得を所定回数失敗したりした場合には、ステップS43の処理に進む。
【0093】
ステップS42の処理により通常案内モードに移行した場合には、制御手段201の制御によって表示制御手段210が地図配信サーバ30から配信された市街地図のうち、測位手段203によって取得した現在位置を含む所定範囲の市街地図を配信データ記憶手段207から読み出して表示手段204に表示させる。このとき、表示制御手段210は、これまで測位手段203によって取得されて測位データ記憶手段208に記憶されている測位位置の履歴や地図配信サーバ30から受信した推奨経路によって案内される地図ルートなども含めて表示手段204に表示させるのが好ましい。
【0094】
一方、ステップS43の処理において、制御手段201の制御によって測位判定手段209が表示手段204に表示されている市街地図に地下街の構内図や建物の案内図などの詳細な案内地図が含まれているか否か判定し、詳細な案内地図が含まれている場合には、ステップS44の処理に進み、表示モードを案内地図モードに移行させて処理を終了する。一方、表示手段204に現在表示されている市街地図に詳細な案内地図が含まれていない場合には、地図や現在位置の更新を行なわず、「現在位置を測位することができません」などのメッセージを表示するエラー処理を行い、処理を終了する。
【0095】
ステップS44の処理により案内地図モードに移行した場合には、制御手段201の制御によって表示制御手段210が表示手段203に表示されている市街地図の中で地下街の構内図や建物の案内図などの詳細な案内地図が用意されている場所(特定領域)をユーザにより視認できるような態様に表示変更させるとともに、操作入力手段205からのユーザ操作により表示画面上を移動させて所定位置を指定するためにクリックできるようにカーソルを表示させる。
【0096】
続いて、表示制御手段210は、操作入力手段205によって特定領域の一つの場所がカーソル指定されてクリック選択されると、その選択された場所にある地下街の構内図や建物の案内図などの詳細な案内地図を表示手段204に表示させる。このとき、表示制御手段210は、これまでに測位手段203によって取得されて測位データ記憶手段208に記憶されている測位位置の履歴も含めて表示手段204に表示させるのが好ましい。
【0097】
なお、上記実施例では、最後の測位位置周辺として、表示手段204の表示画面51に表示できる地図範囲を用いる例について説明したが、これに限ることはなく、測位できた最後の測位位置(表示されている地図の中心)から所定の距離に含まれる範囲を用いてもよい。
【0098】
また、上記実施例では、携帯端末装置と地図配信サーバとからなる通信型のナビゲーションシステムとして説明したが、これに限られることはなく、地図情報の更新が管理可能であれば、携帯端末装置と地図配信サーバが一体となったスタンドアロンで動作する携帯情報装置に地図情報をダウンロードして、携帯情報端末単独で地図情報の表示を行う際に本発明を適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0099】
以上詳細に説明したように、本発明にかかる地図表示システムによれば、GPS信号が届き難い地下街に入った場合でも、ユーザの所望するスポットの詳細な案内地図をシームレスに表示することを可能にしている。また、地図が切替わる直前までの測位情報を表示することができるので、ユーザが所望するスポットの選択のミスも防ぐことも可能としている。このため、現在位置取得を行う歩行者用のナビゲーション装置に広く実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の実施例にかかるナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例にかかる携帯端末装置によるナビゲーション中のGPS測位後に呼び出される地図表示モード切替えのチェックルーチンを示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施例にかかる携帯端末装置の表示画面の一例を示す図であり、経路案内動作中に通常案内モードで表示された案内画面の一例を示している。
【図4】本発明の実施例にかかる携帯端末装置の表示画面の一例を示す図であり、図3に示す案内画面を表示した後に案内地図モードで表示された案内画面の一例を示している。
【図5】本発明の実施例にかかる携帯端末装置の表示画面の一例を示す図であり、図4に示す案内画面を表示した後に案内地図モードで表示された案内画面の一例を示している。
【図6】本発明の実施例にかかる携帯端末装置の表示画面の一例を示す図であり、図4に示す案内画面を表示した後に案内地図モードで表示された案内画面のその他の例を示している。
【符号の説明】
【0101】
10・・・・ナビゲーションシステム
12・・・・ネットワーク
20・・・・携帯端末装置
201・・・・制御手段
202・・・・送受信手段
203・・・・測位手段
204・・・・表示手段
205・・・・操作入力手段
206・・・・配信要求手段
207・・・・配信データ記憶手段
207a・・・・市街地図データ記憶領域
207b・・・・地下街構内図データ記憶領域
207c・・・・建物案内図データ記憶領域
208・・・・測位データ記憶手段
209・・・・測位判定手段
210・・・・表示制御手段
30・・・・地図配信サーバ
31・・・・地図データベース
32・・・・経路探索用ネットワークデータベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図配信サーバと地図表示装置とを備え、地図配信サーバは地図データベースに蓄積された地図情報を地図表示装置に送り、地図表示装置が受信した地図情報に基づいて移動するユーザに対して所定の地図表示を行う地図表示システムであって、
現在位置を測位する測位手段と、
前記測位手段により測位された測位位置を含む地図を表示する表示手段と、
地図上の所定領域を選択する操作入力手段と、
前記測位手段が測位できなくなったとき、最後の測位位置周辺に詳細案内地図を有する特定領域がある場合には、前記表示手段に当該特定領域を選択可能な態様で表示させ、
前記操作入力手段によって前記特定領域が選択された場合は、前記表示手段に前記詳細案内地図を表示させるとともに、前記最後の測位位置に関する情報も併せて表示させる表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする地図表示システム。
【請求項2】
前記最後の測位位置周辺とは、最後に測位された際に前記表示手段に表示された地図の表示範囲であることを特徴とする請求項1に記載の地図表示システム。
【請求項3】
前記最後の測位位置周辺とは、最後に測位された測位位置から所定の距離範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の地図表示システム。
【請求項4】
前記最後の測位位置に関する情報は、最後に測位された測位位置を示す位置マークであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の地図表示システム。
【請求項5】
前記最後の測位位置に関する情報は、最後に測位された測位位置の方向を示す方向マークであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の地図表示システム。
【請求項6】
前記詳細案内地図は、地下街の構内図あるいは建物の案内図であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の地図表示システム。
【請求項7】
前記表示手段は、地図を表示する際に、これまで前記測位手段により測位された測位位置の履歴を表示することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の地図表示システム。
【請求項8】
前記測位位置を含む地図を地図データベースから取得する際に、前記詳細案内地図も同時に取得する取得手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の地図表示システム。
【請求項9】
地図配信サーバから地図データベースに蓄積された地図情報を受信し、受信した地図情報に基づいて移動するユーザに対して所定の地図表示を行う地図表示装置であって、
現在位置を測位する測位手段と、
前記測位手段により測位された測位位置を含む地図を表示する表示手段と、
地図上の所定領域を選択する操作入力手段と、
前記測位手段が測位できなくなったとき、最後の測位位置周辺に詳細案内地図を有する特定領域がある場合には、前記表示手段に当該特定領域を選択可能な態様で表示させ、
前記操作入力手段によって前記特定領域が選択された場合は、前記表示手段に前記詳細案内地図を表示させるとともに、前記最後の測位位置に関する情報も併せて表示させる表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする地図表示装置。
【請求項10】
前記最後の測位位置周辺とは、最後に測位された際に前記表示手段に表示された地図の表示範囲であることを特徴とする請求項9に記載の地図表示装置。
【請求項11】
前記最後の測位位置周辺とは、最後に測位された測位位置から所定の距離範囲内であることを特徴とする請求項9に記載の地図表示装置。
【請求項12】
前記最後の測位位置に関する情報は、最後に測位された測位位置を示す位置マークであることを特徴とする請求項9ないし請求項11のいずれか1項に記載の地図表示装置。
【請求項13】
前記最後の測位位置に関する情報は、最後に測位された測位位置の方向を示す方向マークであることを特徴とする請求項9ないし請求項11のいずれか1項に記載の地図表示装置。
【請求項14】
前記詳細案内地図は、地下街の構内図あるいは建物の案内図であることを特徴とする請求項9ないし請求項13のいずれか1項に記載の地図表示装置。
【請求項15】
前記表示手段は、地図を表示する際に、これまで前記測位手段により測位された測位位置の履歴を表示することを特徴とする請求項9ないし請求項14のいずれか1項に記載の地図表示装置。
【請求項16】
前記測位位置を含む地図を地図データベースから取得する際に、前記詳細案内地図も同時に取得する取得手段を備えたことを特徴とする請求項9ないし請求項15のいずれか1項に記載の地図表示装置。
【請求項17】
地図配信サーバから地図データベースに蓄積された地図情報を受信し、受信した地図情報に基づいて移動するユーザに対して所定の地図表示を行う地図表示装置における地図表示方法であって、
現在位置を測位する測位手段と、
前記測位手段により測位された測位位置を含む地図を表示する表示手段と、
地図上の所定領域を選択する操作入力手段と、
前記測位手段が測位できなくなったとき、最後の測位位置周辺に詳細案内地図を有する特定領域がある場合には、前記表示手段に当該特定領域を選択可能な態様で表示させ、
前記操作入力手段によって前記特定領域が選択された場合は、前記表示手段に前記詳細案内地図を表示させるとともに、前記最後の測位位置に関する情報も併せて表示させる表示制御手段と、
を備え、
前記測位手段による測位ができるか否か判定するステップと、
前記測位手段による測位ができないと判断された場合に、最後の測位位置周辺に詳細案内地図を有する特定領域があるか否か判定するステップと、
前記特定領域があると判断された場合に、前記表示手段に当該特定領域を選択可能な態様で表示させるステップと、
前記操作入力手段により前記特定領域が選択されたか否か判定するステップと、
前記特定領域が選択されたと判断された場合に、前記表示手段に前記詳細案内地図を表示させるとともに、前記最後の測位位置に関する情報も併せて表示させるステップと、
を有することを特徴とする地図表示方法。
【請求項18】
前記表示手段に地図を表示する際に、これまで前記測位手段により測位された測位位置の履歴を表示させるステップを含むことを特徴とする請求項17に記載の地図表示方法。
【請求項19】
前記測位位置を含む地図を地図データベースから取得する際に、前記詳細案内地図も同時に取得するステップを含むことを特徴とする請求項17または請求項18に記載の地図表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−300245(P2009−300245A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−154886(P2008−154886)
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(500168811)株式会社ナビタイムジャパン (410)
【Fターム(参考)】