説明

地図表示システム、携帯端末装置、地図スクロール方法

【課題】装置本体の傾きに応じて地図画像をスクロールする場合、傾斜スクロールモードに設定されたまま携帯端末装置が傾斜状態で放置された場合に、スクロールが連続して指示されないようにする。
【解決手段】携帯端末装置20は、傾斜スクロールモード設定手段210と、地図を表示する表示手段212と、傾斜を検出する傾斜検出手段204と、傾斜検出手段204の検出出力に基づいて傾斜の変位を検出する傾斜変位検出手段205と、傾斜変位検出手段205が検出した傾斜の変位に応じて表示手段212に表示された地図画像をスクロールさせるスクロール要求を出力するスクロール要求手段213と、を備え、傾斜スクロールモードが能動化され、傾斜変位検出手段205が携帯端末装置20本体の傾斜の変位を検出した場合に、スクロール要求手段213からのスクロール要求を制限するスクロール制限手段214を更に備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図データを外部のサーバから通信で受信して表示する携帯端末装置における地図スクロールの制御に関するものであり、特に、携帯端末装置に備えた傾斜検出手段が検出した傾きに基づいて、表示手段に表示された地図をスクロールする傾斜スクロールモードを設け、傾斜検出手段の検出した傾きが所定の状態である場合には地図スクロールを抑制するようにした地図表示システム、携帯端末装置、地図スクロール方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、地図データ、道路データを用いて、所望の出発地から目的地までの経路を探索して利用者を案内するナビゲーション装置、ナビゲーションシステムが知られており、このようなナビゲーション装置、ナビゲーションシステムとしては、自動車に搭載して運転者に経路を案内するカーナビゲーション装置、携帯電話をナビゲーション端末として利用して経路探索サーバに経路探索要求を送り、その結果を受信して経路案内を受ける通信型のナビゲーションシステムなどが実用化されている。
【0003】
特に、通信型のナビゲーションシステムは、携帯電話などの携帯端末をナビゲーション端末として利用したシステムであって、歩行者用のナビゲーションシステムとしても用いられるものである。歩行者用のナビゲーションシステムとしては、交通機関を含めた経路案内機能を付加することが好ましく、徒歩経路の探索と案内に加えて、経路探索サーバに交通機関の路線や運行時刻データを蓄積し、所望の出発駅から所望の目的駅までの経路(乗車候補列車)を、徒歩経路の探索と案内に加えて案内する機能を有するナビゲーションシステムも存在する。また、徒歩経路の経路探索を伴わずに情報配信サーバから交通機関の路線や時刻表、乗車可能な列車などの情報の配信を受けて表示する交通案内システムも存在する。
【0004】
一般的なナビゲーション装置、通信ナビゲーションシステムに使用される経路探索装置、経路探索方法は、例えば、下記の特許文献1(特開2001−165681号公報)に開示されている。このナビゲーションシステムは、携帯ナビゲーション端末から出発地と目的地の情報を情報配信サーバに送り、情報配信サーバで道路網や交通網のデータから探索条件に合致した経路を探索して案内するように構成されている。探索条件としては、出発地から目的地までの移動手段、例えば、徒歩、自動車、鉄道と徒歩の併用などがあり、これを探索条件の1つとして経路探索する。
【0005】
情報配信サーバは、地図データの道路(経路)をその結節点、屈曲点の位置をノードとし、各ノードを結ぶ経路をリンクとし、全てのリンクのコスト情報(距離や所要時間)をデータベースとして備えている。そして、情報配信サーバは、データベースを参照して、出発地のノードから目的地のノードに至るリンクを順次探索し、リンクのコスト情報が最小となるノード、リンクをたどって案内経路とすることによって最短の経路を携帯ナビゲーション端末に案内することができる。このような経路探索の手法としてはラベル確定法あるいはダイクストラ法と言われる手法が用いられる。上記特許文献1には、このダイクストラ法を用いた経路探索方法も開示されている。
【0006】
また近年では、携帯電話など携帯端末がブラウザを搭載し、インターネットにアクセスして所望の情報の提供を受けることができるようになっている。このようなシステムにおいては、ユーザは携帯端末を操作して、サーバに備えられた検索エンジン等を利用して所望のサイトを見出し、当該サイトのコンテンツをダウンロードして、ブラウザにより当該コンテンツを閲覧している。上記コンテンツには種々のカテゴリに属する情報があり、店舗やイベントの情報提供、鉄道路線の時刻表の提供や、鉄道の乗り換え案内なども含まれる。
【0007】
店舗やイベントの情報提供にあっては、ユーザが携帯端末を操作して店舗やイベントのカテゴリ、検索したい地域を入力して検索要求する。サーバは指定されたカテゴリに該当し、かつ当該地域に存在する店舗やイベントを検索し、その情報が地図表示端末に配信される。時刻表の提供においては、ユーザが携帯端末を操作して、路線を指定すると、当該路線の時刻表が携帯端末の表示装置の画面上に提示される。また、乗り換え案内においては、ユーザが、出発地や目的地を指定することにより、推奨する経路が提示される。
【0008】
更に、パーソナルコンピュータや携帯電話などの端末装置からインターネット上の地図サーバに接続し、所望の地点や、施設、店舗の住所、名称、電話番号などを入力して当該地点や施設、店舗の位置を含む所定範囲の地図データをダウンロードして表示装置に地図画像を表示することもできる。
【0009】
通信型のナビゲーションシステムにおいて、地図配信サーバから端末である地図表示装置に配信される地図表示用の地図データは次のように構成される。すなわち、地図配信サーバに蓄積される地図データは、一定の緯度範囲、経度範囲でメッシュ状に区分された単位地図データ(メッシュ地図データ)で構成されている。そして、地図表示装置へ地図データを配信する場合は、地図表示装置の位置情報に基づいて、地図表示装置の位置を含む単位地図を中心に、その上下、左右、斜め方向に隣接する単位地図を含め、合計9つの単位地図データが配信される。地図表示装置が移動して単位地図データが不足すると、不足分の単位地図データが新たに配信される。
【0010】
上記の地図画像表示用の地図データは、通信の際のデータ量を抑制するためビットマップデータ(ラスター地図データ)ではなく、ベクトル地図データで構成されるのが一般的である。ベクトル地図データは、メッシュ単位の地図に含まれる道路を自然地形に近い状態で表示するためのポリゴンデータと、各道路リンクをベクトルで表現した道路データとからなる。ベクトルで表現された道路データは地図画像上に案内経路や経路履歴を描画する際に用いられる。地図表示装置の現在位置は経路案内の際には探索された経路や道路データ上に描画される。現在位置は地図表示装置に設けられたGPS受信機を用いて衛星航法により算出する。
【0011】
携帯電話を端末装置とする通信型のナビゲーションシステムは、主として徒歩や交通機関を利用して移動する歩行者用の経路案内に使用されるが、歩行者は必ずしも徒歩で移動するとは限らず、タクシーを用いて移動することもあり、自動車用の道路ネットワークデータを用いて自動車移動する区間をふくめて総合的な経路探索ができることが好ましい。また、助手席に乗車した同乗者が携帯電話を用い、サーバから受信した案内経路を運転者に伝える利用形態が可能であるとより好ましい。
【0012】
また、本出願人は既に下記特許文献2(特開2003−214860号公報)に携帯電話を端末として用いたナビゲーションシステムを開示した。このナビゲーションシステムは、図9に示すように、移動体通信網2に接続される携帯端末(携帯電話)1とデータ通信サービスセンター(情報配信コンピュータシステム)3とから構成され、携帯端末1はデータ通信サービスセンター3と接続して所望のデータ通信サービスを受けるものである。携帯端末1が携帯電話、PHSである場合には移動体通信網2を経由して移動体通信基地局、電話回線網を通して所望の相手方(固定電話、携帯電話、PHSなど)と通話することができる。データ通信サービスセンター3は以下により携帯端末1の要求に応じて経路のナビゲーションサービスを行うように構成されている。
【0013】
すなわち、このナビゲーションシステムは、携帯端末1から出発地と目的地の位置情報を含む経路探索要求が発せられると、データ通信サービスセンター3の情報配信コンピュータシステムは、蓄積手段に蓄積された道路データを用いて出発地から目的地までを結ぶ最適経路を探索し、探索した経路データを案内経路データとして蓄積手段に一時記憶する。携帯端末1から、位置座標と案内経路を指定した表示地図情報が要求されると、データ通信サービスセンター3の情報配信コンピュータシステムは、蓄積手段から指定された位置座標周辺のベクトル形式の地図表示用の地図データと、指定された案内経路データを読み出し、案内経路データを特定色で道路を描画するためのベクトルデータに変え、地図データに組み込んだ後、要求元の携帯端末1宛に送信するものである。
【0014】
携帯端末1には、図示されていないが、移動に伴って現在位置を測位するためのGPS受信機が備えられており、所定の周期でGPS測位を行っている。携帯端末1は、GPS測位の結果表示地図情報に不足が生じるとデータ通信サービスセンター3の情報配信コンピュータシステムに表示地図情報の要求を出す。また、データ通信サービスセンター3の情報配信コンピュータシステムには蓄積手段が設けられており、道路データ(地図データ)や地図上の各所の建物等のランドマーク、交差点名、道路名などのデータが蓄積されている。これらのデータはインターネット網4を介して地図の配信を行う情報配信コンピュータシステム5、6等から最新のデータを取得してメンテナンスされる。
【0015】
ナビゲーションシステムやカーナビにおいて表示する地図情報には、広域をカバーする地図情報から市街地など小さな領域の詳細情報をカバーする地図情報があり、例えば、自動車で高速に移動しながら携帯ナビゲーション装置を利用する場合は広域をカバーする地図情報を使用し、徒歩で移動しながら携帯ナビゲーション装置を利用する場合は市街地など小さな領域の詳細情報をカバーする地図情報を使用するようになされるのが一般的である。広域をカバーする地図情報は鉄道、幹線道路、主要な建物などの情報から構成され、市街地をカバーする地図情報は広域地図の情報に加えて、カバーする範囲内の細かな道路、交差点、店舗などの情報が加えられ構成されている。これらの内容が異なる複数の地図情報を地図の階層(レイヤ)と称しており、状況に応じて複数の地図から適切な地図を選択して利用するように構成されている。
【0016】
上記特許文献2に開示されているような携帯電話をナビゲーション端末として使用し、データ通信サービスセンターから地図、経路案内の配信を受ける通信型のナビゲーションシステムにあっては、その利用態様は様々である。すなわち、利用者が携帯電話(携帯ナビゲーション端末)を所持し、電車や徒歩で目的地までの経路案内を受ける場合、利用者が自動車で移動しながら目的地までの経路案内を受ける場合、あるいは、利用者が新幹線等の高速移動手段に乗車した状態で地図データの配信を受ける場合等、利用方法は状況に応じて様々に変わることが想定される。
【0017】
一般的なナビゲーション装置には、地図の拡大・縮小を行う機能(ズーム機能)と、表示された地図をスクロールする機能とを有している。また、これらの機能が、自動的に作動するオートモードと、ユーザの操作により作動するマニュアルモードとを選択することによりこれらの機能を、自動、または、マニュアルで操作することができるように構成した装置も提案されている。
オートスクロールでは、ナビゲーション装置の現在位置が表示画面の中央になるように表示地図がスクロール制御され、マニュアルスクロールでは操作部から指示された方向とスクロール量に基づいて表示地図をスクロール制御する。また、オートズームではナビゲーション装置の移動速度に応じた適切な大きさの地図が選択され、マニュアルズームでは、操作部から指示されたズーム量に基づいて表示地図が選択される。
【0018】
また、携帯電話のような携帯端末装置における表示画面や画像の処理において携帯端末装置の傾きや姿勢を検出して利用する技術も種々検討されている。例えば、携帯電話の傾きに基づいて表示画像をスクロールさせたり、入力処理したり、撮像画像の回転変移量などを算出したりする技術が検討されている。
【0019】
このような携帯端末装置は、下記の特許文献3(特開2002−341991号公報)や特許文献4(特開2004−163139号公報)に開示されている。この特許文献3に開示された情報表示装置は、装置の傾きを利用して表示画面のスクロールや入力操作を行うものであり、また、特許文献4に開示された回転量算出装置は、撮像装置が撮影した画像の変位量から回転量を求めて、それを初期の姿勢に対する傾き量とするものである。
【0020】
例えば、特許文献3に開示された情報表示装置は、装置の傾きの方向を検出する傾き方向検出部と、装置の傾きの大きさを検出する傾き量検出部とを設け、傾き方向検出部が検出する傾き方向に応じて、表示部に表示されている情報のスクロール方向を決定し、傾き量検出部2が検出する傾きの大きさに応じて、表示部に表示されている情報のスクロール速度を決定するようにしたものである。
【0021】
【特許文献1】特開2001−165681号公報(図1、図2)
【特許文献2】特開2003−214860号公報(図1)
【特許文献3】特開2002−341991号公報(図1)
【特許文献4】特開2004−163139号公報(図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
従って、経路探索サーバから地図情報の配信を受ける通信型のナビゲーションシステムにあっては、ズーム機能とスクロール機能の作動により、携帯端末装置の移動速度および/または現在位置によって新たに表示地図のデータが必要になった場合には、経路探索サーバから該当する地図データの配信を受け、地図表示を行うことが必要になる。
【0023】
一方、端末装置の利用者にとってはスクロールのための操作が簡単であることが望ましい。特に携帯電話などの機器を携帯端末装置とするナビゲーションシステムにあっては、装置が小さく、操作ボタンや入力キーなどの数も少ないため、なるべく簡単なキー操作によりスクロール操作できることが望ましい。
このため、携帯端末装置に加速度センサなどの姿勢検出手段を設け、上記特許文献3に開示された情報表示装置のように、携帯端末装置の傾きの方向や傾きの量を検出して自動的に表示された地図画像をスクロールするように構成することが考えられる。
【0024】
しかしながら、通信型のナビゲーションシステムの場合、携帯端末装置が傾けられた状態のまま放置されると、連続してスクロール動作が実行されてしまう。携帯電話を携帯端末装置とするナビゲーションシステムにおいて、携帯電話のナビゲーションアプリケーションでは、地図データを外部の経路探索サーバから受信する。従って、スクロールが連続して指示されると、経路探索サーバから携帯端末装置に地図データが繰り返しダウンロードされてしまうという問題点があった。
【0025】
この結果、(1)携帯端末装置の利用者にとって意図しないパケット料金が発生する。(2)複数の端末装置でこのような状態が同時に発生した場合、経路探索サーバの処理負荷が増大する、あるいは、ネットワーク上の通信回線のトラフィック位量が増大する。(3)携帯電話のように携帯端末装置のデータ通信量に規制がある場合は、利用停止に至る恐れがある。などの種々の問題を生じ、利用者側にもサービスの提供者側にも問題がある。
【0026】
本願の発明者は上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、装置の傾きの変位に基づいて地図をスクロールする傾斜スクロールモードを有する携帯端末装置において、スクロール処理を禁止するスクロール制限手段を設け、所定の回数以上、傾きの変位を検出した場合、スクロール処理を禁止するようになせば、上記の問題点を解消し得ることを想到して本発明を完成するに至ったものである。
【0027】
すなわち、本発明は、上記の問題点を解消することを課題とし、装置本体の傾きに応じて地図画像をスクロールする傾斜スクロールモードを有する携帯端末装置において、傾斜スクロールモードに設定されたまま携帯端末装置が傾斜状態で放置された場合に、スクロールが連続して指示されないようにしたナビゲーションシステムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0028】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、
表示手段に表示された地図画像をスクロールする地図スクロール機能を有する携帯端末装置と、前記携帯端末装置からの要求に従って地図データを提供する地図情報配信サーバと、を有する地図表示システムにおいて、
前記携帯端末装置は、装置本体の傾きに応じて地図画像をスクロールする傾斜スクロールモードを有し、傾斜スクロールモードを能動化する傾斜スクロールモード設定手段と、地図を表示する表示手段と、傾斜を検出する傾斜検出手段と、傾斜検出手段の検出出力に基づいて傾斜の変位を検出する傾斜変位検出手段と、傾斜変位検出手段が検出した傾斜の変位に応じて前記表示手段に表示された地図画像をスクロールさせるスクロール要求を出力するスクロール要求手段と、を備え、
前記傾斜スクロールモードが能動化され、前記傾斜変位検出手段が携帯端末装置本体の傾斜の変位を検出した場合に、前記スクロール要求手段からのスクロール要求を制限するスクロール制限手段を更に備えたことを特徴とする地図表示システム。
【0029】
本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる地図表示システムにおいて、前記傾斜検出手段は加速度センサであり、前記傾斜変位検出手段は前記加速度センサ出力から重力加速度の向きを算出し、重力加速度の向きの変位として検出することを特徴とする。
【0030】
本願の請求項3にかかる発明は、請求項1にかかる地図表示システムにおいて、前記傾斜検出手段は撮像手段であり、前記傾斜変位検出手段は前記撮像手段が撮影した画像の変化から画像の回転方向を変位として検出することを特徴とする。
【0031】
本願の請求項4にかかる発明は、請求項1ないし請求項3の何れか1項にかかる地図表示システムにおいて、前記スクロール制限手段は、前記傾斜変位検出手段が傾斜の変位を検出している時間が所定値を超えた場合、前記スクロール要求手段からのスクロール要求を制限し、または、傾斜スクロールモードを解除することを特徴とする。
【0032】
本願の請求項5にかかる発明は、請求項1ないし請求項3の何れか1項にかかる地図表示システムにおいて、前記スクロール制限手段は、前記傾斜変位検出手段が所定回数を超えて傾斜変位を検出した場合、前記スクロール要求手段からのスクロール要求を制限し、または、傾斜スクロールモードを解除することを特徴とする。
【0033】
本願の請求項6にかかる発明は、請求項1ないし請求項3の何れか1項にかかる地図表示システムにおいて、前記携帯端末装置はスクロール方向を指示するキーの操作に基づいて地図画像をスクロールするスクロールモードを更に有し、前記傾斜スクロールモード設定手段は、前記スクロール方向を指示するキーと異なる特定キーから構成され、
前記スクロール制御手段は、前記特定キーの操作が継続されなくなった場合、前記スクロール要求手段からのスクロール要求を制限し、または、傾斜スクロールモードを解除することを特徴とする。
【0034】
また、本願の請求項7にかかる発明は、
表示手段に表示された地図画像をスクロールする地図スクロール機能を有する携帯端末装置と、携帯端末装置からの要求に従って地図データを提供する地図情報配信サーバとネットワークを介して接続され、表示手段に表示された地図画像をスクロールする地図スクロール機能を有する携帯端末装置において、
前記携帯端末装置は、装置本体の傾きに応じて地図画像をスクロールする傾斜スクロールモードを有し、傾斜スクロールモードを能動化する傾斜スクロールモード設定手段と、地図を表示する表示手段と、傾斜を検出する傾斜検出手段と、傾斜検出手段の検出出力に基づいて傾斜の変位を検出する傾斜変位検出手段と、傾斜変位検出手段が検出した傾斜の変位に応じて前記表示手段に表示された地図画像をスクロールさせるスクロール要求を出力するスクロール要求手段と、を備え、
前記傾斜スクロールモードが能動化され、前記傾斜変位検出手段が携帯端末装置本体の傾斜の変位を検出した場合に、前記スクロール要求手段からのスクロール要求を制限するスクロール制限手段を更に備えたことを特徴とする。
【0035】
本願の請求項8にかかる発明は、請求項7にかかる携帯端末装置において、前記傾斜検出手段は加速度センサであり、前記傾斜変位検出手段は前記加速度センサ出力から重力加速度の向きを算出し、重力加速度の向きの変位として検出することを特徴とする。
【0036】
本願の請求項9にかかる発明は、請求項7にかかる携帯端末装置において、前記傾斜検出手段は撮像手段であり、前記傾斜変位検出手段は前記撮像手段が撮影した画像の変化から画像の回転方向を変位として検出することを特徴とする。
【0037】
本願の請求項10にかかる発明は、請求項7ないし請求項9の何れか1項にかかる携帯端末装置において、前記スクロール制限手段は、前記傾斜変位検出手段が傾斜の変位を検出している時間が所定値を超えた場合、前記スクロール要求手段からのスクロール要求を制限し、または、傾斜スクロールモードを解除することを特徴とする。
【0038】
本願の請求項11にかかる発明は、請求項7ないし請求項9の何れか1項にかかる携帯端末装置において、前記スクロール制限手段は、前記傾斜変位検出手段が所定回数を超えて傾斜変位を検出した場合、前記スクロール要求手段からのスクロール要求を制限し、または、傾斜スクロールモードを解除することを特徴とする。
【0039】
本願の請求項12にかかる発明は、請求項7ないし請求項9の何れか1項にかかる携帯端末装置において、前記携帯端末装置はスクロール方向を指示するキーの操作に基づいて地図画像をスクロールするスクロールモードを更に有し、前記傾斜スクロールモード設定手段は、前記スクロール方向を指示するキーと異なる特定キーから構成され、
前記スクロール制御手段は、前記特定キーの操作が継続されなくなった場合、前記スクロール要求手段からのスクロール要求を制限し、または、傾斜スクロールモードを解除することを特徴とする。
【0040】
また、本願の請求項13にかかる発明は、
表示手段に表示された地図画像をスクロールする地図スクロール機能を有する携帯端末装置と、携帯端末装置からの要求に従って地図データを提供する地図情報配信サーバとネットワークを介して接続され、表示手段に表示された地図画像をスクロールする地図スクロール機能を有する携帯端末装置を用いた地図スクロール方法において、
前記携帯端末装置は、装置本体の傾きに応じて地図画像をスクロールする傾斜スクロールモードを有し、傾斜スクロールモードを能動化する傾斜スクロールモード設定手段と、地図を表示する表示手段と、傾斜を検出する傾斜検出手段と、傾斜検出手段の検出出力に基づいて傾斜の変位を検出する傾斜変位検出手段と、傾斜変位検出手段が検出した傾斜の変位に応じて前記表示手段に表示された地図画像をスクロールさせるスクロール要求を出力するスクロール要求手段と、スクロール制限手段と、を備え、
前記傾斜スクロールモードが能動化され、前記傾斜変位検出手段が携帯端末装置本体の傾斜の変位を検出した場合に、前記スクロール制限手段が前記スクロール要求手段からのスクロール要求を制限するステップを有することを特徴とする。
【0041】
本願の請求項14にかかる発明は、請求項13にかかる地図スクロール方法において、前記傾斜検出手段は加速度センサであり、前記傾斜変位検出手段が前記加速度センサ出力から重力加速度の向きを算出し、重力加速度の向きの変位として検出するステップを更に有することを特徴とする。
【0042】
本願の請求項15にかかる発明は、請求項13にかかる地図スクロール方法において、前記傾斜検出手段は撮像手段であり、前記傾斜変位検出手段が前記撮像手段が撮影した画像の変化から画像の回転方向を変位として検出するステップを更に有することを特徴とする。
【0043】
本願の請求項16にかかる発明は、請求項13ないし請求項15の何れか1項にかかる地図スクロール方法において、前記スクロール制限手段が前記スクロール要求手段からのスクロール要求を制限するステップは、前記傾斜変位検出手段が傾斜の変位を検出している時間が所定値を超えた場合、前記スクロール要求手段からのスクロール要求を制限し、または、傾斜スクロールモードを解除する処理を含むことを特徴とする。
【0044】
本願の請求項17にかかる発明は、請求項13ないし請求項15の何れか1項にかかる地図スクロール方法において、前記スクロール制限手段が前記スクロール要求手段からのスクロール要求を制限するステップは、前記傾斜変位検出手段が所定回数を超えて傾斜変位を検出した場合、前記スクロール要求手段からのスクロール要求を制限し、または、傾斜スクロールモードを解除する処理を含むことを特徴とする。
【0045】
本願の請求項18にかかる発明は、請求項13ないし請求項15の何れか1項にかかる地図スクロール方法において、前記携帯端末装置はスクロール方向を指示するキーの操作に基づいて地図画像をスクロールするスクロールモードを更に有し、前記傾斜スクロールモード設定手段は、前記スクロール方向を指示するキーと異なる特定キーから構成され、
前記スクロール制御手段が前記スクロール要求手段からのスクロール要求を制限するステップは、前記特定キーの操作が継続されなくなった場合、前記スクロール要求手段からのスクロール要求を制限し、または、傾斜スクロールモードを解除する処理を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0046】
請求項1にかかる発明においては、装置本体の傾きに応じて地図画像をスクロールする傾斜スクロールモードを有し、傾斜スクロールモードを能動化する傾斜スクロールモード設定手段と、地図を表示する表示手段と、傾斜を検出する傾斜検出手段と、傾斜検出手段の検出出力に基づいて傾斜の変位を検出する傾斜変位検出手段と、傾斜変位検出手段が検出した傾斜の変位に応じて前記表示手段に表示された地図画像をスクロールさせるスクロール要求を出力するスクロール要求手段と、を備え、
前記傾斜スクロールモードが能動化され、前記傾斜変位検出手段が携帯端末装置本体の傾斜の変位を検出した場合に、前記スクロール要求手段からのスクロール要求を制限するスクロール制限手段を更に備えた。
【0047】
このような構成によれば、傾斜スクロールモードにおいて、傾斜変位の検出が一定以上継続したらスクロール要求手段からのスクロール要求を制限し、または傾斜スクロールモードを解除するようにすれば、携帯端末装置の利用者にとって意図しないパケット料金が発生しないようにすることができる。また、複数の携帯端末装置で同時に多数発生した場合の経路探索サーバや地図情報提供サーバにおける地図配信のための処理負荷の増大を招くことがなくなる。また、通信回線のトラフィックの増大を招くことがなくなる。更に、携帯端末装置のデータ通信量に規制があった場合にも利用停止に至ることがないようにすることができるようになる。
【0048】
請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかる地図表示システムにおいて、傾斜検出手段は加速度センサであり、前記傾斜変位検出手段は前記加速度センサ出力から重力加速度の向きを算出し、重力加速度の向きの変位として検出する。
このような構成によれば、携帯端末装置に加速度センサを設けることにより傾斜変位を検出して地図画像をスクロールすることが可能になる。
【0049】
請求項3にかかる発明においては、請求項1にかかる地図表示システムにおいて、傾斜検出手段は撮像手段であり、前記傾斜変位検出手段は前記撮像手段が撮影した画像の変化から画像の回転方向を変位として検出する。
このような構成によれば、携帯端末装置にCCDカメラなどの撮像機器を設けることにより傾斜の変位を検出して地図画像をスクロールすることが可能になる。
【0050】
請求項4にかかる発明においては、請求項1ないし請求項3の何れかにかかる地図表示システムにおいて、前記スクロール制限手段は、前記傾斜変位検出手段が傾斜の変位を検出している時間が所定値を超えた場合、前記スクロール要求手段からのスクロール要求を制限し、または、傾斜スクロールモードを解除する。
【0051】
このような構成によれば、傾斜スクロールモードにおいて、携帯端末装置が放置されても、傾斜変位の検出が一定以上継続したらスクロール要求手段からのスクロール要求を制限し、または傾斜スクロールモードを解除するようにするから、携帯端末装置の利用者にとって意図しないパケット料金が発生しないようにすることができる。また、複数の携帯端末装置で同時に多数発生した場合の経路探索サーバや地図情報提供サーバにおける地図配信のための処理負荷の増大を招くことがなくなる。また、通信回線のトラフィックの増大を招くことがなくなる。更に、携帯端末装置のデータ通信量に規制があった場合にも利用停止に至ることがないようにすることができるようになる。
【0052】
請求項5にかかる発明においては、請求項1ないし請求項3の何れかにかかる地図表示システムにおいて、前記スクロール制限手段は、前記傾斜変位検出手段が所定回数を超えて傾斜変位を検出した場合、前記スクロール要求手段からのスクロール要求を制限し、または、傾斜スクロールモードを解除する。
【0053】
このような構成によれば、傾斜スクロールモードにおいて、携帯端末装置が放置されても、傾斜変位の検出が一定以上継続したらスクロール要求手段からのスクロール要求を制限し、または傾斜スクロールモードを解除するようにするから、携帯端末装置の利用者にとって意図しないパケット料金が発生しないようにすることができる。また、複数の携帯端末装置で同時に多数発生した場合の経路探索サーバや地図情報提供サーバにおける地図配信のための処理負荷の増大を招くことがなくなる。また、通信回線のトラフィックの増大を招くことがなくなる。更に、携帯端末装置のデータ通信量に規制があった場合にも利用停止に至ることがないようにすることができるようになる。
【0054】
請求項6にかかる発明においては、請求項1ないし請求項3の何れかにかかる地図表示システムにおいて、前記携帯端末装置はスクロール方向を指示するキーの操作に基づいて地図画像をスクロールするスクロールモードを更に有し、前記傾斜スクロールモード設定手段は、前記スクロール方向を指示するキーと異なる特定キーから構成され、
前記スクロール制御手段は、前記特定キーの操作が継続されなくなった場合、前記スクロール要求手段からのスクロール要求を制限し、または、傾斜スクロールモードを解除する。
【0055】
このような構成によれば、従来のカーソルキー操作によるスクロールと異なり、傾斜スクロールモード中は、傾斜スクロールモード設定手段である特定の1つのキーだけを押していれば良く、装置の姿勢を変えるだけで地図をスクロールすることができる。従って、十字カーソルキー(スクロールキー)を方向ごとに押しなおす必要が無い。このため携帯端末装置のホールド性が良く、スクロール方向を変えるときに誤って携帯端末装置を落とすなどの心配が無くなる。
【0056】
また、請求項7ないし請求項12にかかる発明においては、それぞれ請求項1ないし請求項6にかかる地図表示システムを構成する携帯端末装置を提供することができるようになり、請求項13ないし請求項18にかかる発明においては、それぞれ請求項7ないし請求項12にかかる携帯端末装置を実現するための地図スクロール方法を提供することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0057】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための地図表示システムを例示するものであって、本発明をこの実施例の地図表示システムに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の地図表示システムにも等しく適用し得るものである。
【0058】
また、以下の実施例においては、携帯電話機を携帯端末装置とし、経路探索および経路案内、地図データの提供を行うナビゲーションシステムを具体例として説明するが、本発明はこのような実施例に限ることなく、携帯端末装置は携帯ゲーム機や携帯音楽プレイヤーのような移動端末であってもよい。本明細書においては、このような移動端末を含めて携帯端末装置と総称する。
【実施例1】
【0059】
図1は、本発明の実施例にかかるナビゲーションシステム10の構成を示すシステム構成図である。図1に示すようにナビゲーションシステム10は、ネットワーク12を介して接続される携帯端末装置20と経路探索サーバ30を備えて構成されている。このナビゲーションシステム10においては携帯電話を携帯端装置20として使用し、自動車用、歩行者用の経路探索、経路案内、地図データの提供を行うものであるが、自動車用のナビゲーションとは、例えば、携帯端末装置20を操作する利用者が助手席に同乗し、移動手段を自動車として経路探索、経路案内のサービスを受け、助手席の同乗者が運転者をナビゲートする利用方法である。
【0060】
経路探索サーバ30は、地図データベース306、経路探索のための経路探索用ネットワークデータベース307を備えている。地図データベース306に蓄積される地図データはベクトル地図データである。このようなベクトル形式の地図データは、通信のためのデータ量が少なくて済み、また、表示手段に表示した地図画像上にアイコンなどのオブジェクト画像を描画(表示)するためのデータ等を付加できるので、本発明のような通信型の地図表示システムには最適である。
【0061】
また、この地図データは、図2に示すように、所定の緯度、経度単位で地図エリアが分けられ、メッシュ状の単位地図データM11〜M33で構成され、携帯端末装置20に配信される場合は、携帯端末装置20の現在位置PPを含む単位地図データM22を中心にして、その上下方向、左右方向、斜め方向に隣接する単位地図データM21、M23、M12、M32、M11、M13、M31、M33の合計9つの単位地図が配信される。地図表示端末20が移動して地図データが不足する場合は地図表示端末20の移動方向を判別して経路探索サーバ30は不足分の単位地図データを配信する。携帯端末装置20が特定の地点やPOI(興味対象場所:Point of Interest)の位置を指定して地図データが配信要求された場合も同様である。
【0062】
経路探索のための経路探索用ネットワークデータベース307には、徒歩や自動車により移動する場合に用いる道路ネットワークデータ、徒歩と交通機関を併用して移動する場合に用いる交通ネットワークデータが蓄積されている。道路ネットワークデータや交通ネットワークデータの構成は、通常のナビゲーションシステムに用いられるものと同様である。
【0063】
経路探索サーバ30はまた、制御手段301、通信手段302、経路探索手段303、配信要求記憶手段304、配信データ編集手段305を備えている。制御手段301は、図示してはいないがRAM、ROM、プロセッサを有するマイクロプロセッサであり、ROMに格納された制御プログラムにより各部の動作を制御する。
【0064】
通信手段302は、ネットワーク12を介して携帯端末装置20や、各種の情報提供サーバなどと通信するためのインターフェースである。配信データ編集手段305は、経路探索やPOI検索の結果あるいは地図データを携帯端末装置20に配信するためのデータに編集するためのものである。また経路探索サーバ30は、ネットワーク12を介して各種の情報配信サーバからPOIの情報や地図情報を収集して地図データベース306に蓄積された地図データを更新したり、拡充したりすることができる。
【0065】
経路探索手段303はマルチモーダルな経路探索エンジンであって徒歩と交通機関を併用した経路探索機能を有するものである。このような経路探索エンジンは例えば特開2000−258184号公報などに開示されている。経路の探索方法としては周知のダイクストラ法と呼ばれる手法が適用され、経路探索条件や地図要求あるいはPOI検索の条件などは携帯端末装置20から送信され、配信要求記憶手段304に記憶される。
【0066】
一方、携帯端末装置20は、図1に示すように、制御手段201、通信手段202、GPS受信手段203、傾斜検出手段204、傾斜変位検出手段205、地図データ要求手段206、地図データ記憶手段207、操作手段208、スクロールキー209、傾斜スクロールモード設定手段210、表示手段212、スクロール要求手段213、スクロール制限手段214などを備えて構成されている。制御手段201は、図示してはいないがRAM、ROM、プロセッサを有するマイクロプロセッサであり、ROMに格納された制御プログラムにより各部の動作を制御する。
【0067】
操作手段208は、数字キーやアルファベットキー、カーソル操作キー、その他の機能キー、選択キー、スクロールキーなどからなる操作・入力のためのものである。また、表示手段212に表示されるメニュー画面から所望のメニューを選択し、あるいは、キーを操作して種々の入力操作を行うものである。従って、表示手段212は操作手段208の一部としても機能する。また、操作手段208にはカーソルなどの操作手段も備えられている。
【0068】
GPS受信手段203は、GPS受信機を備え、複数のGPS衛星からの信号を受信し、携帯端末装置20の位置を緯度・経度で測位する。操作手段208を用いて設定された地図要求、経路探索要求、POI検索要求などは通信手段202により経路探索サーバ30に送信される。経路探索サーバ30から配信された地図データは地図データ記憶手段207に記憶される。
【0069】
表示手段212は、液晶表示ユニットなどからなり、経路探索サーバ30から受信した地図データに基づいて地図画像を表示する。地図画像にはGPS受信手段203で測位した現在位置が現在位置マークとして描画され、また、携帯端末装置20が経路探索を要求した場合には、経路探索サーバ30は携帯端末装置20が指定した地点間の最適経路(または複数の候補経路)を探索して携帯端末装置20に配信する。そして表示手段212には経路探索サーバ30から配信された案内経路が地図画像上に描画される。
【0070】
スクロールキー209は十字キーなどで構成され、スクロールキー209を操作することにより表示手段212に表示された地図画像を上下、左右にスクロールすることができる。スクロールによって地図データ記憶手段207に記憶した地図データが不足すると地図データ要求手段206は経路探索サーバ30に不足分の地図データの配信を要求する。
【0071】
図3は携帯端末装置20として用いられる携帯電話の外観を示す図である。図3に示すように、携帯端末装置20の表示手段212には地図画像が表示され、現在位置マーク42が地図画像上に表示される。操作手段208にはスクロールキー209が設けられ、傾斜スクロールモードを設定する傾斜スクロールモード設定手段210として特定キー「5」が割り当てられている。
【0072】
この携帯端末装置20における地図のスクロールモードは、例えば、デフォルトでは手動スクロールである。この場合、利用者はスクロールキー209を上下、左右に操作して地図画像を所望の方向にスクロールする。スクロールキー209を操作するとカーソル41がスクロールキー209の操作量に応じて移動する。カーソル41と現在位置マーク42とは直線で結んで表示される。
【0073】
カーソル41が表示画面端部に達するとカーソル41の位置が中心になるように地図画像がスクロールされる。このような地図スクロール方法は、例えば、特開2003−208095号公報に示されている。このスクロール方法によれば、カーソル41が表示画面の端に来た時に画像スクロールが行われるため、連続的な画像スクロールにはならないが、描画制御の処理の負荷を軽くすることができ、処理能力の高い描画制御手段を用いる必要がなく携帯電話のような携帯端末装置20には好適な方法である。
【0074】
傾斜スクロールモード設定手段210は操作手段208の前述したように、特定キー、例えば、数値キーの「5」キーに機能が割り当てられ、このキーを操作することにより携帯端末装置20を傾斜スクロールモードに設定することができる。傾斜スクロールモードにおいては、携帯端末装置20が傾斜された場合、その傾斜の変位の方向に基づいて表示手段212に表示された地図画像をスクロールする。
【0075】
例えば、携帯端末装置20である携帯電話をその表示画面を観察する標準の構えにある姿勢から、手前に表示画面を起すように傾ければ地図画像は表示画面下方向にスクロールする。標準の構えにある姿勢から、表示画面を視界前方に倒すように傾ければ地図画像は表示画面上方向にスクロールする。本発明においては、このように携帯電話の表示画面の絶対的な傾き方向でスクロール方向を決めるのではなくて、傾斜の変位の向きに応じてスクロール方向を決定する。
【0076】
図4は、携帯端末装置20として用いられる携帯電話の姿勢を示す図である。通常、携帯端末装置20の表示手段208の表示画面の垂直線(矢印F)が、利用者の視線方向(矢印G)と一致するように携帯端末装置20を保持して、表示手段208に表示された地図画像を観察するものである。つまり、携帯端末装置20の表示画面が垂直になるような姿勢で利用者の目の位置に表示画面がくるようにして地図画像を観察する。
【0077】
傾斜スクロールモードに設定すると、図4のような標準的な姿勢から、携帯端末装置20を傾斜させるようにて、表示手段212に表示された地図画像をスクロールさせることができる。図5は、携帯端末装置20を視界G方向に角度Θだけ傾斜させた姿勢を示す図である。図5に示すように、携帯端末装置20を標準の構え(図4参照)から、視界前方(視線G方向)に倒すようにすれば表示手段212に表示された地図画像は画面上方向にスクロールする。また、手前に表示画面を起すように携帯端末装置20を傾ければ地図画像は画面下方向にスクロールする。
【0078】
このため携帯端末装置20は、傾斜検出手段204を有している。傾斜検出手段204は、例えば3軸の加速度センサで構成された傾斜計からなり、携帯端末装置20の表示画面の傾斜を計測(検出)できる。前述したように傾斜スクロールモード設定手段210を操作して傾きスクロールモードに移行すると、傾斜検出手段204はそのときの携帯端末装置20から見た重力加速度方向を記憶する。以後、傾斜検出手段204は携帯端末装置20の傾きの変位に応じて地図をスクロールさせる。地図データが携帯電話のメモリに存在しなければ、通信手段を介してサーバから地図データを受信する。
【0079】
図6は、3軸加速度センサの出力から重力加速度の向きを検出する概念を示す図である。傾斜検出手段204に含まれる3軸加速度センサが検出した3軸方向の加速度の中で、どの軸方向が鉛直方向に近いかを判別する。一般に携帯端末装置20が徒歩移動している場合にはY軸、X軸(水平軸)の加速度に比べ鉛直軸Z方向の加速度が大きくなるから、最も大きな加速度成分が検出された軸方向を鉛直軸方向と判別することができる。同様に携帯端末装置20を所持した利用者が電車などの交通手段に乗車している場合いにも鉛直方向を判別できる。
【0080】
すなわち、図6に示すように、重力加速度35.28[km/h/s](=9.8[m/s2])が常に鉛直方向(図6ではZ軸方向)に向いているのに対して、鉄道は勾配が非常に緩やかであるため、ほぼ水平面上(図6ではXY平面上)に2.0〜2.5[km/h/s]程度の加速度が検出されることに基づいて、加速度成分が最大の軸方向(図6ではZ軸方向)が鉛直軸方向と判定(推定)できることを利用している。なお、従来公知の傾斜センサ(例えば、特開平8−278137号公報等参照)を内蔵して、携帯端末装置20の鉛直軸に対する傾斜量を正確に計算し、鉛直軸や水平面を判別することも可能である。
【0081】
次に、傾斜変位検出手段205は傾斜検出手段204が検出した重力加速度の向きと、傾斜スクロールモードに移行した際に検出して記憶されている重力加速度の向きから携帯端末装置20の傾斜変位(傾斜の変位の向き)を検出する。この傾斜変位に応じてスクロール要求手段213は地図画像をスクロールする要求を表示手段212に出力する。スクロールによって地図画像が不足する場合、地図データ要求手段206は経路探索サーバ30に不足分の地図データの配信を要求する。
【0082】
ここで、携帯端末装置20傾斜スクロールモードに設定され、傾斜変位を検出している姿勢のまま(傾きをもったまま)放置されると、傾斜変位検出手段205が傾斜変位を検出する度に連続してスクロール要求が発生して地図データが不足し、その度ごとに携帯端末装置20から経路探索サーバ30に不足分の地図データの配信要求が発生することになる。
【0083】
そこで、本実施例1においてはスクロール制限手段214がスクロール要求手段213からのスクロール要求を制限するようにしている。スクロール要求は次の何れかの場合に制限される。第1に、傾斜変位検出手段205が傾斜の変位を検出している時間が所定値を超えた場合、前記スクロール要求手段213からのスクロール要求を制限するか、あるいは、傾斜スクロールモードに入ったらタイマをスタートさせ、所定時間タイマが継続したら、傾斜スクロールモードを解除する。
【0084】
第2に、傾斜変位検出手段205が所定回数を超えて傾斜変位を検出した場合、前記スクロール要求手段213からのスクロール要求を制限する、あるいは、所定時間ではなくて、傾斜変位検出手段205が傾斜変位を検出する処理が、所定回数を超えて傾斜変位を検出したら、傾斜スクロールモードを解除する。
【0085】
第3に、傾斜スクロールモード設定手段210であるキー操作が継続されなくなった場合、すなわち、傾斜スクロールモード設定手段210であるキーが長押しされているときのみ傾斜スクロールモードを実行する。そしてキー操作が検出されなくなったらスクロール要求手段213からのスクロール要求を制限する、あるいは、傾斜スクロールモードを解除する。
【0086】
このように傾斜スクロールモードにおいて、傾斜変位の検出が一定以上継続したらスクロール要求手段213からのスクロール要求を制限し、または傾斜スクロールモードを解除するようにすれば、携帯端末装置20の利用者にとって意図しないパケット料金が発生しないようにすることができる。また、複数の携帯端末装置20で同時に多数発生した場合の経路探索サーバ30における地図配信のための処理負荷の増大を招くことがなくなる。また、通信回線のトラフィックの増大を招くことがなくなる。更に、携帯端末装置20のデータ通信量に規制があった場合にも利用停止に至ることがないようにすることができるようになる。
【0087】
特に、前記第3の方法によれば、従来のカーソルキー操作によるスクロールと違って、傾斜スクロールモード中は、傾斜スクロールモード設定手段210である特定の1つのキー、例えば「5」キーだけを押していれば良いのであって、装置の姿勢を変えるだけで地図をスクロールすることができる。従って、本発明によれば、十字カーソルキー(スクロールキー)を方向ごとに押しなおす必要が無い。このため、携帯端末装置20のホールド性が良く、スクロール方向を変えるときに誤って携帯端末装置20を落とすなどの心配が無くなる。
【0088】
経路探索手段303による経路探索は次のように行う。例えば、道路が図7に示すように道路A、B、Cからなる場合、道路A、B、Cの端点、交差点、屈曲点などをノードとし、各ノード間を結ぶ道路を有向性のリンクで表し、ノードデータ(ノードの緯度・経度)、リンクデータ(リンク番号)と各リンクのリンクコスト(リンクの距離またはリンクを走行するのに必要な所要時間)をデータとしたリンクコストデータとで構成される。
【0089】
すなわち、図7において、Nn(○印)、Nm(◎印)がノードを示し、Nm(◎印)は道路の交差点を示している。各ノード間を結ぶ有向性のリンクを矢印線(実線、点線、2点鎖線)で示している。リンクは、道路の上り、下りそれぞれの方向を向いたリンクが存在するが、図7では図示を簡略化するため矢印の向きのリンクのみを図示している。
【0090】
このような道路ネットワークのデータを探索用のデータベースとして経路探索を行う場合、出発地のノードから目的地のノードまで連結されたリンクをたどりそのリンクコストを累積し、累積リンクコストの最少になる経路を探索して案内する。すなわち、図7において出発地をノードAX、目的地をノードCYとして経路探索を行う場合、ノードAXから道路Aを走行して2つ目の交差点で右折して道路Cに入りノードCYにいたるリンクを順次たどりリンクコストを累積し、リンクコストの累積値が最少になる経路を探索して案内する。
【0091】
図7ではノードAXからノードCYに至る他の経路は図示されていないが、実際にはそのような経路が他にも存在するため、ノードAXからノードCYに至ることが可能な複数の経路を同様にして探索し、それらの経路のうちリンクコストが最少になる経路を最適経路として決定するものである。この手法は、例えば、ダイクストラ法と呼ばれる周知の手法によって行われる。
【0092】
これに対して、交通機関の経路探索のための交通ネットワークデータは以下のように構成されている。例えば、図8に示すように交通路線A、B、Cからなる場合、各交通路線A、B、Cに設けられた各駅(航空機の路線においては各空港)をノードとし、各ノード間を結ぶ区間を有向性のリンクで表し、ノードデータ(緯度・経度)、リンクデータ(リンク番号)をネットワークデータとしている。図8において、Nn(○印)、Nm(◎印)がノードを示し、Nm(◎印)は交通路線の乗り継ぎ点(乗換え駅など)を示し、各ノード間を結ぶ有向性のリンクを矢印線(実線、点線、2点鎖線)で示している。リンクは、交通路線の上り、下りそれぞれの方向を向いたリンクが存在するが、図8では図示を簡略化するため矢印の向きのリンクのみを図示している。
【0093】
しかしながら、交通ネットワークは道路ネットワークと比べリンクコストが基本的に異なる。すなわち、道路ネットワークではリンクコストは固定的、静的なものであったが、交通ネットワークでは、図8に示すように交通路線を運行する列車や航空機(以下個々の列車や航空機などの各経路を交通手段と称する)が複数ある。各交通手段毎にあるノードを出発する時刻と次のノードに到着する時刻とが定まっており(時刻表データ、運行データで規定される)、かつ、個々の経路が必ずしも隣接するノードにリンクしない場合がある。例えば、急行と各駅停車の列車のような場合である。このような場合には同じ交通路線上に異なる複数のリンクが存在することになり、またノード間の所要時間が交通手段により異なる場合もある。
【0094】
図8に例示する交通ネットワークにおいては、交通路線Aの同じリンクに複数の交通手段(経路)Aa〜Ac・・・、交通路線Cに複数の交通手段(経路)Ca〜Cc・・・が存在することになる。従って、交通機関の運行ネットワークは、単純な道路ネットワークと異なり、ノード、リンク、リンクコストの各データは交通手段(個々の航空機や列車などの経路)の総数に比例したデータ量になる。このため交通ネットワークのデータは道路ネットワークのデータ量に比べて膨大なデータ量になる。従って、それに応じて、経路探索に要する時間も多くの時間が必要になる。
【0095】
このような交通ネットワークデータを用いて、ある出発地からある目的地までの経路を探索するためには、出発地から目的地まで到達する際に使用(乗車)できる全ての交通手段を探索して探索条件に合致する交通手段を特定する必要がある。
例えば、図8において、出発地を交通路線AのノードAXとしてある特定の出発時刻を指定して、交通路線CのノードCYを目的地とする経路探索を行う場合、交通路線A上を運行する交通手段Aa〜Ac・・・のうち出発時刻以降の全ての交通手段を順次出発時の経路として選択する。そして交通路線Cへの乗り継ぎノードへの到着時刻に基づいて、交通路線C上を運行する各交通手段Ca〜Cc・・・のうち、乗り継ぎノードにおいて乗車可能な時刻以降の交通手段の全ての組み合わせを探索して各経路の所要時間や乗り換え回数などを累計して案内することになる。
【実施例2】
【0096】
上記実施例1においては、傾斜検出手段204を3軸加速度センサにより構成した場合を説明したが、本発明において傾斜検出手段204はこの実施例1に限られることはなく、実質的に携帯端末装置20の傾斜を検出できる手段を備えていればよい。例えば、携帯端末装置20がCCDカメラなどの撮像手段を備えていれば、撮像手段が撮影した画像データを用いることができる。
【0097】
すなわち、傾斜スクロールモードが設定された時、傾斜検出手段204を構成する撮像手段が周辺の画像を撮影し、その時の画像データを記憶する。そして利用者が地図画像をスクロールしたい場合にはスクロールさせたい向きに応じて携帯端末装置20の向きを傾斜させて撮像手段により周辺画像を撮影する。傾斜変位検出手段205は、当初記憶された撮影画像と携帯端末装置20を傾けて撮像した撮影画像からその変位の方向を検出する。撮影画像データから変位の方向(回転の方向)を検出する方法は前記特許文献4に開示された技術を適用すればよい。
【0098】
本実施例において検出する変位の方向は、厳密に回転である必要は無く、携帯端末装置20が平行移動した場合も含めて、撮影コマごとに画像が動いていれば傾きがあったとして傾斜スクロールを行う。撮像手段は周辺画像撮影用のカメラでも、また自分自身を撮影するためのカメラ(例えば、テレビ電話用のカメラ)でも良い。この場合も、携帯端末装置20の特定キー、例えば「5」キーが押下されたことにより傾斜スクロールモードになり、最初の画像を記憶し、以後画像の変位で傾斜スクロールを行う。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明は、携帯型の端末装置(地図表示装置)で、装置の傾き検出して地図スクロールを行うものであれば、どのようなタイプの携帯端末装置にも利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の実施例にかかるナビゲーションシステム10の構成を示すシステム構成図である。
【図2】地図データの構成を示す模式図である。
【図3】携帯端末装置として用いられる携帯電話の外観を示す図である。
【図4】携帯端末装置として用いられる携帯電話の表示画面を観察する標準の姿勢を示す図である。
【図5】携帯端末装置を視界方向に角度Θだけ傾斜させた姿勢を示す図である。
【図6】3軸加速度センサの出力から重力加速度の向きを検出する概念を示す図である。
【図7】経路探索のための道路ネットワークデータの概念を説明するための模式図である。
【図8】交通機関を利用した経路探索のための交通ネットワークデータの概念を説明するための模式図である。
【図9】通信型のナビゲーションシステムの一般的な構成を示すシステム構成図である。
【符号の説明】
【0101】
10・・・・地図表示システム(ナビゲーションシステム)
12・・・・ネットワーク
20・・・・携帯端末装置
201・・・制御手段
202・・・通信手段
203・・・GPS受信手段
204・・・傾斜検出手段
205・・・傾斜変位検出手段
206・・・地図データ要求手段
207・・・地図データ記憶手段
208・・・操作手段
209・・・スクロールキー
210・・・傾斜スクロールモード設定手段
212・・・表示手段
213・・・スクロール要求手段
214・・・スクロール制限手段
30・・・・地図情報配信サーバ(経路探索サーバ)
301・・・制御手段
302・・・通信手段
303・・・経路探索手段
304・・・配信要求記憶手段
305・・・配信データ編集手段
306・・・地図データベース
307・・・経路探索用ネットワークデータベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段に表示された地図画像をスクロールする地図スクロール機能を有する携帯端末装置と、前記携帯端末装置からの要求に従って地図データを提供する地図情報配信サーバと、を有する地図表示システムにおいて、
前記携帯端末装置は、装置本体の傾きに応じて地図画像をスクロールする傾斜スクロールモードを有し、傾斜スクロールモードを能動化する傾斜スクロールモード設定手段と、地図を表示する表示手段と、傾斜を検出する傾斜検出手段と、傾斜検出手段の検出出力に基づいて傾斜の変位を検出する傾斜変位検出手段と、傾斜変位検出手段が検出した傾斜の変位に応じて前記表示手段に表示された地図画像をスクロールさせるスクロール要求を出力するスクロール要求手段と、を備え、
前記傾斜スクロールモードが能動化され、前記傾斜変位検出手段が携帯端末装置本体の傾斜の変位を検出した場合に、前記スクロール要求手段からのスクロール要求を制限するスクロール制限手段を更に備えたことを特徴とする地図表示システム。
【請求項2】
前記傾斜検出手段は加速度センサであり、前記傾斜変位検出手段は前記加速度センサ出力から重力加速度の向きを算出し、重力加速度の向きの変位として検出することを特徴とする請求項1に記載の地図表示システム。
【請求項3】
前記傾斜検出手段は撮像手段であり、前記傾斜変位検出手段は前記撮像手段が撮影した画像の変化から画像の回転方向を変位として検出することを特徴とする請求項1に記載の地図表示システム。
【請求項4】
前記スクロール制限手段は、前記傾斜変位検出手段が傾斜の変位を検出している時間が所定値を超えた場合、前記スクロール要求手段からのスクロール要求を制限し、または、傾斜スクロールモードを解除することを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の地図表示システム。
【請求項5】
前記スクロール制限手段は、前記傾斜変位検出手段が所定回数を超えて傾斜変位を検出した場合、前記スクロール要求手段からのスクロール要求を制限し、または、傾斜スクロールモードを解除することを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の地図表示システム。
【請求項6】
前記携帯端末装置はスクロール方向を指示するキーの操作に基づいて地図画像をスクロールするスクロールモードを更に有し、前記傾斜スクロールモード設定手段は、前記スクロール方向を指示するキーと異なる特定キーから構成され、
前記スクロール制御手段は、前記特定キーの操作が継続されなくなった場合、前記スクロール要求手段からのスクロール要求を制限し、または、傾斜スクロールモードを解除することを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の地図表示システム。
【請求項7】
表示手段に表示された地図画像をスクロールする地図スクロール機能を有する携帯端末装置と、携帯端末装置からの要求に従って地図データを提供する地図情報配信サーバとネットワークを介して接続され、表示手段に表示された地図画像をスクロールする地図スクロール機能を有する携帯端末装置において、
前記携帯端末装置は、装置本体の傾きに応じて地図画像をスクロールする傾斜スクロールモードを有し、傾斜スクロールモードを能動化する傾斜スクロールモード設定手段と、地図を表示する表示手段と、傾斜を検出する傾斜検出手段と、傾斜検出手段の検出出力に基づいて傾斜の変位を検出する傾斜変位検出手段と、傾斜変位検出手段が検出した傾斜の変位に応じて前記表示手段に表示された地図画像をスクロールさせるスクロール要求を出力するスクロール要求手段と、を備え、
前記傾斜スクロールモードが能動化され、前記傾斜変位検出手段が携帯端末装置本体の傾斜の変位を検出した場合に、前記スクロール要求手段からのスクロール要求を制限するスクロール制限手段を更に備えたことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項8】
前記傾斜検出手段は加速度センサであり、前記傾斜変位検出手段は前記加速度センサ出力から重力加速度の向きを算出し、重力加速度の向きの変位として検出することを特徴とする請求項7に記載の携帯端末装置。
【請求項9】
前記傾斜検出手段は撮像手段であり、前記傾斜変位検出手段は前記撮像手段が撮影した画像の変化から画像の回転方向を変位として検出することを特徴とする請求項7に記載の携帯端末装置。
【請求項10】
前記スクロール制限手段は、前記傾斜変位検出手段が傾斜の変位を検出している時間が所定値を超えた場合、前記スクロール要求手段からのスクロール要求を制限し、または、傾斜スクロールモードを解除することを特徴とする請求項7ないし請求項9の何れか1項に記載の携帯端末装置。
【請求項11】
前記スクロール制限手段は、前記傾斜変位検出手段が所定回数を超えて傾斜変位を検出した場合、前記スクロール要求手段からのスクロール要求を制限し、または、傾斜スクロールモードを解除することを特徴とする請求項7ないし請求項9の何れか1項に記載の携帯端末装置。
【請求項12】
前記携帯端末装置はスクロール方向を指示するキーの操作に基づいて地図画像をスクロールするスクロールモードを更に有し、前記傾斜スクロールモード設定手段は、前記スクロール方向を指示するキーと異なる特定キーから構成され、
前記スクロール制御手段は、前記特定キーの操作が継続されなくなった場合、前記スクロール要求手段からのスクロール要求を制限し、または、傾斜スクロールモードを解除することを特徴とする請求項7ないし請求項9の何れか1項に記載の携帯端末装置。
【請求項13】
表示手段に表示された地図画像をスクロールする地図スクロール機能を有する携帯端末装置と、携帯端末装置からの要求に従って地図データを提供する地図情報配信サーバとネットワークを介して接続され、表示手段に表示された地図画像をスクロールする地図スクロール機能を有する携帯端末装置を用いた地図スクロール方法において、
前記携帯端末装置は、装置本体の傾きに応じて地図画像をスクロールする傾斜スクロールモードを有し、傾斜スクロールモードを能動化する傾斜スクロールモード設定手段と、地図を表示する表示手段と、傾斜を検出する傾斜検出手段と、傾斜検出手段の検出出力に基づいて傾斜の変位を検出する傾斜変位検出手段と、傾斜変位検出手段が検出した傾斜の変位に応じて前記表示手段に表示された地図画像をスクロールさせるスクロール要求を出力するスクロール要求手段と、スクロール制限手段と、を備え、
前記傾斜スクロールモードが能動化され、前記傾斜変位検出手段が携帯端末装置本体の傾斜の変位を検出した場合に、前記スクロール制限手段が前記スクロール要求手段からのスクロール要求を制限するステップを有することを特徴とする地図スクロール方法。
【請求項14】
前記傾斜検出手段は加速度センサであり、前記傾斜変位検出手段が前記加速度センサ出力から重力加速度の向きを算出し、重力加速度の向きの変位として検出するステップを更に有することを特徴とする請求項13に記載の地図スクロール方法。
【請求項15】
前記傾斜検出手段は撮像手段であり、前記傾斜変位検出手段が前記撮像手段が撮影した画像の変化から画像の回転方向を変位として検出するステップを更に有することを特徴とする請求項13記載の地図スクロール方法。
【請求項16】
前記スクロール制限手段が前記スクロール要求手段からのスクロール要求を制限するステップは、前記傾斜変位検出手段が傾斜の変位を検出している時間が所定値を超えた場合、前記スクロール要求手段からのスクロール要求を制限し、または、傾斜スクロールモードを解除する処理を含むことを特徴とする請求項13ないし請求項15の何れか1項に記載の地図スクロール方法。
【請求項17】
前記スクロール制限手段が前記スクロール要求手段からのスクロール要求を制限するステップは、前記傾斜変位検出手段が所定回数を超えて傾斜変位を検出した場合、前記スクロール要求手段からのスクロール要求を制限し、または、傾斜スクロールモードを解除する処理を含むことを特徴とする請求項13ないし請求項15の何れか1項に記載の地図スクロール方法。
【請求項18】
前記携帯端末装置はスクロール方向を指示するキーの操作に基づいて地図画像をスクロールするスクロールモードを更に有し、前記傾斜スクロールモード設定手段は、前記スクロール方向を指示するキーと異なる特定キーから構成され、
前記スクロール制御手段が前記スクロール要求手段からのスクロール要求を制限するステップは、前記特定キーの操作が継続されなくなった場合、前記スクロール要求手段からのスクロール要求を制限し、または、傾斜スクロールモードを解除する処理を含むことを特徴とする請求項13ないし請求項15の何れか1項に記載の地図スクロール方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−203562(P2008−203562A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−39998(P2007−39998)
【出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【出願人】(500168811)株式会社ナビタイムジャパン (410)
【Fターム(参考)】