説明

地図表示装置

【課題】利用者が交通情報の信頼度を容易且つ適切に把握することが可能な「地図表示装置」を提供する。
【解決手段】カーナビゲーション装置100内のHDD20は、ハードディスク22に記憶された地図データを読み出す。VICS受信部40は、VICS情報を受信する。制御部102は、VICS情報の送信時刻と現在時刻との時間差を算出し、制御部102、地図描画部106、交通情報描画部114及び画像合成部114は、読み出された地図データに対応する地図画像を描画するとともに、該地図画像に重ねて、VICS情報にて示される渋滞状況に対応する画像を、時間差に応じて態様を変化させて描画し、当該画像をディスプレイ70に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されて地図画像を表示する地図表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されるナビゲーション装置は、車両位置の周辺やユーザによって選択される位置周辺の地図画像を表示する。運転者は、この地図画像を見ることによって、周囲の状況、例えば、曲がるべき交差点等を確認することができる。また、ナビゲーション装置は電波ビーコンや光ビーコンから送信され、あるいは、FM放送に多重されて送信される渋滞情報を含んだVICS(Vehicle Information and Communication System)情報を受信し、地図画像に重ねて渋滞状況に対応する画像を表示する。渋滞状況を表示する際に、例えば、特許文献1では、車両の位置から渋滞区間までの所要時間や距離と、渋滞発生要因に応じて定まる渋滞の精度とに基づいて、渋滞情報の信頼度を判定し、その信頼度に応じて渋滞区間を示す画像の色や形状を変更する。画像の色や形状を変更するものとしては、例えば特許文献1に記載された技術がある。
【特許文献1】特開2002−297114号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、渋滞状況は時間経過に伴って時々刻々と変化するものであり、対応するVICS情報の送信時刻が新しいものほど、信頼度が高いといえる。このため、時刻と信頼度との関係を考慮して、適切な表示を行うことが必要となる。
【0004】
本発明の目的は、上述した問題を解決するものであり、利用者が交通情報の信頼度を容易且つ適切に把握することが可能な地図表示装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る、車両に搭載されて地図画像を表示する地図表示装置は、地図情報を取得する地図情報取得手段と、時間経過に伴って変化する交通情報を取得する交通情報取得手段と、前記交通情報取得手段により取得された前記交通情報に対応する時刻と、現在時刻との時間差を算出する時間差算出手段と、前記地図情報取得手段により取得された前記地図情報に対応する地図画像を描画するとともに、該地図画像に重ねて、前記交通情報取得手段により取得された前記交通情報に対応する画像を、前記時間差算出手段により算出された前記時間差に応じて態様を変化させて描画する画像描画手段と、前記画像描画手段により描画された画像を表示ユニットに表示させる表示処理手段とを有することを特徴とする。
【0006】
この構成によれば、交通情報が時間経過に伴って変化することに鑑み、交通情報に対応する時刻と現在の時刻との時間差を算出し、当該時間差に基づいて、地図画像に重ねられる交通情報に対応する画像の態様を変化させて表示するようにすることで、当該画像を見た利用者は、交通情報の新しさ、換言すれば、信頼度を容易且つ適切に把握することが可能となる。
【0007】
同様の観点から、本発明に係る地図表示装置は、前記画像描画手段が、前記地図画像において、前記交通情報に対応する画像を重ねるべき位置を特定し、該位置に、前記交通情報取得手段により取得された前記交通情報に対応する画像を、前記時間差算出手段により算出された前記時間差に応じて態様を変化させて描画するようにしてもよい。
【0008】
また、本発明に係る地図表示装置は、前記画像描画手段が、前記時間差算出手段により算出された前記時間差に応じて、前記交通情報に対応する画像の色彩の変更、及び、形状の変更の少なくともいずれかを行うようにしてもよい。
【0009】
この構成によれば、色彩や形状の違いは容易に把握可能であることに鑑み、交通情報に対応する時刻と現在の時刻との時間差に応じて、前記交通情報に対応する画像の色彩や形状を変更させることで、利用者は、交通情報の信頼度を容易に把握することが可能となる。
【0010】
また、本発明に係る地図表示装置は、前記交通情報に対応する時刻が、該交通情報の生成時刻、送信時刻、及び、受信時刻のいずれかであるようにしてもよい。
【0011】
交通情報の生成時刻、送信時刻、及び、受信時刻は、交通情報の新しさを示すものであるので、これらと現在時刻との時間差を算出し、当該時間差に基づいて、地図画像に重ねられる交通情報に対応する画像の態様を変化させて表示するようにすることで、当該画像を見た利用者は、交通情報の新しさ、換言すれば、信頼度を容易且つ適切に把握することが可能となる。
【0012】
また、本発明に係る地図表示装置は、前記交通情報が、道路の渋滞状況を示す情報であり、前記画像描画手段が、前記時間差算出手段により算出された前記時間差が小さいほど、前記渋滞状況に対応する画像の濃度を高くすること、及び、幅を広げることの少なくともいずれかを行うようにしてもよい。
【0013】
また、本発明に係る地図表示装置は、前記交通情報が、駐車場の混雑状況を示す情報であり、前記画像描画手段が、前記時間差算出手段により算出された前記時間差が小さいほど、前記駐車場の混雑状況に対応する画像の濃度を高くすること、及び、大きくすることの少なくともいずれかを行うようにしてもよい。
【0014】
また、本発明に係る地図表示装置は、前記交通情報が、道路における事象を示す情報であり、前記画像描画手段が、前記時間差算出手段により算出された前記時間差が小さいほど、前記道路における事象に対応する画像の濃度を高くすること、及び、大きくすることの少なくともいずれかを行うようにしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、交通情報に対応する時刻と現在の時刻との時間差に基づいて、地図画像に重ねられる交通情報に対応する画像の態様を変化させて表示するようにすることで、当該画像を見た利用者は、交通情報の時刻との関連による信頼度を容易且つ適切に把握することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。図1は、本発明の地図表示装置が適用されたカーナビゲーション装置の構成を示す図である。図1に示すカーナビゲーション装置100は、車両に搭載されており、本体10、ハードディスクドライブ(HDD)20、操作部30、VICS受信部40、GPS受信部50、自律航法センサ60、ディスプレイ70及びスピーカ80により構成される。
【0017】
HDD20は、ハードディスク22を搭載しており、当該ハードディスク22に記録された地図データを読み出す。なお、地図データの記録媒体は、ハードディスク22に限られず、DVD、CD−ROM等であってもよく、記録媒体に応じたドライブが用意される。地図データは、図葉と称される、四隅の経度及び緯度によって特定される矩形領域毎に設けられている。この図葉毎の地図データは、当該図葉に対応する画像データを含む。
【0018】
また、図葉毎の地図データは、当該図葉に含まれる道路の道路情報を含む。図2は、道路情報の一例を示す図である。道路は、始点及び終点(ノード)とこれらノードを結ぶ直線(道路リンク)によって表される。そして、道路情報は、図2(a)に示すノードレコードと、図2(b)に示すリンクレコードからなる。図2(a)に示すノードリストは、ノード毎に設けられるものであり、当該ノードの識別情報であるノード番号と、当該ノードの座標(経度及び緯度)と、当該ノードが端部となるリンク(接続リンク)の識別情報である接続リンク番号とを含む。一方、図2(b)に示すリンクテーブルは、道路リンク毎に設けられるものであり、当該道路リンクの識別情報であるリンク番号と、当該道路リンクの属性(例えば、当該リンクが一般道であるか高速道であるか等)と、当該道路リンクの始点であるノードの識別情報である始点ノード番号と、当該道路リンクの終点であるノードの識別情報である終点ノード番号とを含む。これらノードリスト及びリンクテーブルによって、始点及び終点の2つのノードとこれらノードを結ぶ道路リンクからなる道路の位置が特定可能となる。
【0019】
また、図葉毎の地図データは、VICS情報にて示される交通情報が渋滞状況である場合に、VICS情報と道路との対応付けを可能とするためのVICSリンクレコードを含む。図3は、VICSリンクレコードの一例を示す図である。VICSにおいて、道路は、VICSリンクと称されるリンクによって特定される。図3に示すVICSリンクレコードは、VICSリンク毎に設けられるものであり、当該VICSリンクの識別情報であるVICSリンク識別子と、VICSリンクに対応する1又は複数の道路リンクについての情報である対応リンク情報とを含む。対応リンク情報は、対応する道路リンクのリンク番号と、リンク方向とを含む。ここでリンク方向は、対応する道路リンクの始点であるノードから終点であるノードまでの方向が予め定められているVICSリンクの方向と同一方向であるか反対方向であるかを示す情報である。VICS情報は、同一道路であっても進行方向毎に別の渋滞状況を提供するものであるため、リンク方向を用いることで、当該VICS情報が道路のいずれの方向についてのものであるのかを特定することが可能となる。
【0020】
再び、図1に戻って説明する。操作部30は、図示しない操作ボタンやジョイスティック等を有しており、誘導経路検索時の目的地の設定等において、ユーザによって操作される。VICS受信部40は、電波ビーコンや光ビーコンから送信され、あるいは、FM放送に多重されて送信される、交通情報を含むVICS情報を受信する。このVICS情報は、5分間隔等の所定の周期で更新され、送信される。
【0021】
図4は、VICS情報の一例を示す図である。図4の示すVICS情報は、当該VICS情報の識別情報であるVICS情報番号と、当該VICS情報の送信元の識別情報である送信元情報と、当該VICS情報の送信時刻と、当該VICS情報の種別(例えば、渋滞状況、駐車場混雑状況、道路上の事象等)と、渋滞状況、駐車場混雑状況、道路上の事象等の交通情報と、当該VICS情報に対応するVICSリンクの識別情報であるVICSリンク識別子とを含む。
【0022】
GPS受信部50は、車両の位置の検出に必要なGPS衛星からのGPS信号を受信する。自律航法センサ60は、車両の進行方向を検出するためのジャイロ等と、一定の走行距離毎にパルス(車速パルス)を発生する距離センサとにより構成される。
【0023】
本体10は、制御部102、バッファメモリ104、地図描画部106、操作画面・マーク発生部108、誘導経路記憶部110、誘導経路描画部112、交通情報描画部114及び画像合成部118により構成される。
【0024】
制御部102は、CPU等によって構成され、カーナビゲーション装置100の全体を制御する。具体的には、制御部102は、GPS受信部50によって受信されたGPS信号や、自律航法センサ60によって検出された車両の進行方向、車速パルスの出力間隔に基づいて、車両の位置及び速度を算出する。また、制御部102は、HDD20に対して、ハードディスク22に記録された地図データの読み出しを指示する。制御部102の指示に応じてHDD104が読み出した地図データは、バッファメモリ104に記憶される。地図描画部106は、バッファメモリ104に記憶された地図データを読み出し、当該地図データに基づいてディスプレイ70の画面に対応する地図画像を描画する。
【0025】
また、制御部102は、ユーザによる操作部30の操作や、カーナビゲーション装置10の動作状態に応じて、操作画面・マーク発生部108に画像描画の指示を出す。操作画面・マーク発生部108は、この指示に応じて、各種メニュー画面や自車位置マーク、カーソル位置の画像を描画する。
【0026】
また、制御部102は、ユーザによる操作部30の誘導経路検索のための操作に応じて、バッファメモリ104に記憶された地図データを読み出し、当該地図データに基づいて、所定の経路探索アルゴリズムを用いて目的地までの誘導経路を設定する。誘導経路の情報は、誘導経路記憶部110に記憶される。誘導経路描画部112は、誘導経路記憶部110に記憶された誘導経路情報に基づいて、誘導経路画像を生成する。
【0027】
また、制御部102は、時計103を内蔵しており、VICS受信部40によって受信されたVICS情報に含まれる送信時刻と、時計103が示す現在時刻との時間差を算出する。そして、制御部102は、その時間差に応じて、交通情報描画部114に、VICS情報で示される交通情報に対応する画像の態様を指示する。交通情報描画部114は、この指示に応じた態様の交通情報に対応する画像を描画する。
【0028】
また、制御部102は、ユーザによる操作部30の操作や、カーナビゲーション装置100の動作状態に応じて、画像合成部118に、画像合成を指示する。画像合成部118は、この指示に応じて、地図描画部106、操作画面・マーク発生部108、誘導経路描画部112及び交通情報描画部114によって描画された各種画像を適宜合成し、得られた画像をディスプレイ70に表示させる。
【0029】
また、制御部102は、ユーザによる操作部30の操作や、カーナビゲーション装置100の動作状態に応じて、音声を生成し、スピーカ80に出力させる。例えば、制御部102は、経路誘導中に誘導経路情報に基づいて、交差点を曲がる指示等の案内音声を生成し、スピーカ80に出力させる。
【0030】
本実施形態においては、HDD20が地図情報取得手段に対応し、VICS受信部40が交通情報取得手段に対応し、制御部102が時間差算出手段に対応し、制御部102、地図描画部106、交通情報描画部114及び画像合成部118が画像描画手段及び表示処理手段に対応する。
【0031】
次に、カーナビゲーション装置100における渋滞状況の画像表示の詳細について説明する。図5は、カーナビゲーション装置100における渋滞状況の画像表示の動作を示すフローチャートである。
【0032】
制御部102は、GPS受信部50によって受信されたGPS信号や、自律航法センサ60によって検出された車両の進行方向、車速パルスを取得し、これらに基づいて、車両の位置を取得する(S101)。
【0033】
次に、制御部102は、HDD20に対して、S101にて算出した車両位置を中心とする第1の所定範囲を地図データの読み出し範囲として特定する。ここで、読み出し範囲は、車両位置を中心とする円形の領域であり、車両位置の経度及び緯度と、半径とにより一意に特定される。更に、制御部102は、読み出し範囲を一意に特定する車両位置の経度及び緯度と半径とをHDD20に通知し、当該読み出し範囲に含まれる地図データの読み出しを指示する。HDD20は、この指示に応じて、読み出し範囲と、図葉毎の地図データにおける各図葉の四隅の経度及び緯度とを比較する。更に、HDD20は、読み出し範囲に全体又は一部が含まれる図葉を特定し、当該図葉に対応する地図データをハードディスク22から読み出す(S102)。読み出された地図データは、バッファメモリ104に記憶される。
【0034】
次に、制御部102は、車両位置を中心とする第2の所定範囲を地図画像の表示範囲として特定する。ここで表示範囲は、ディスプレイ70の画面に対応する、車両位置を中心とする矩形領域であり、四隅の経度及び緯度により一意に特定される。更に、制御部102は、表示範囲を一意に特定する四隅の経度及び緯度を地図描画部106に通知し、当該表示範囲に対応する地図画像の描画を指示する。地図描画部106は、この指示に応じて、バッファメモリ104に記憶された図葉毎の地図データを読み出し、表示範囲と、図葉毎の地図データにおける各図葉の四隅の経度及び緯度とを比較する。更に、地図描画部106は、表示範囲に全体又は一部が含まれる図葉を特定し、当該図葉に対応する地図データ内の画像データに基づいて地図画像を描画する。更に、地図画像描画部106は、地図画像から表示範囲に対応するものを切り出す(S103)。
【0035】
切り出された表示範囲に対応する地図画像は、画像合成部118へ出力される。画像合成部118は、入力した地図画像を、適宜他の画像と合成して、得られた画像をディスプレイ70に表示させる(S104)。
【0036】
次に、制御部102は、VICS受信部40によってVICS情報が受信されたか否かを判定する(S105)。ここでは、制御部102は、VICS受信部40からのVICS情報を入力した場合には、VICS受信部40によってVICS情報が受信されたと判定する。VICS情報を入力していない場合には、再び、車両位置の取得(S101)以降の処理が繰り返される。
【0037】
一方、VICS情報を入力した場合には、制御部102は、そのVICS情報に含まれる送信時刻を特定する(S106)。次に、制御部102は、特定した送信時刻と、内蔵する時計103によって示される現在時刻との時間差を算出する(S107)。
【0038】
更に、制御部102は、算出した時間差に応じて、入力したVICS情報によって示される渋滞状況に対応する画像(渋滞状況画像)の濃度を設定する(S108)。具体的には、制御部102は、入力したVICS情報内の情報種別が渋滞状況である場合、当該VICS情報内の交通情報によって示される渋滞状況の内容に基づいて、渋滞状況画像の表示色を設定する。例えば、制御部102は、渋滞状況が「渋滞」である場合には表示色を赤色とし、「混雑」である場合には表示色を橙色とし、「順調」である場合には表示色を緑色とする。更に、制御部102は、時間差が小さいほど、換言すれば、VICS情報が新しいほど、当該VICS情報にて示される渋滞状況の信頼性が高いことに鑑み、時間差が小さいほど、渋滞状況画像の表示色の濃度を高くする。例えば、制御部102は、3段階の濃度を用意し、時間差が10分以内である場合には最も高い濃度、時間差が10分乃至30分である場合には中間の濃度、時間差が30分以上であれば最も低い濃度としてもよい。このように、時間差に応じて濃度が設定されることにより、渋滞状況画像を見た利用者が濃度によって渋滞状況の新しさ、換言すれば、信頼性を把握可能とする。
【0039】
次に、制御部102は、地図画像における渋滞状況画像の位置を特定する(S109)。具体的には、制御部102は、入力したVICS情報内のVICSリンク識別子(図4参照)を抽出する。次に、制御部102は、バッファメモリ104に記憶された地図データ内のVICSリンクレコード(図3参照)のうち、抽出したVICSリンク識別子を有するものを読み出し、その読み出したVICSリンクレコード内の対応リンク情報に含まれるリンク番号及びリンク方向を抽出する。ここで、VICSリンクレコードに複数の対応リンク情報が含まれる場合には、制御部102は、各対応リンク情報に含まれるリンク番号及びリンク方向を抽出する。
【0040】
次に、制御部102は、バッファメモリ104に記憶された地図データ内のリンクレコード(図2(b)参照)のうち、抽出したリンク番号を有するものを読み出し、その読み出したリンクレコード内の始点ノード番号及び終点ノード番号を抽出する。次に、制御部102は、バッファメモリ104に記憶されたノードレコード(図2(a)参照)のうち、抽出した始点ノード番号と一致するノード番号を有するもの、及び、抽出した終点ノード番号と一致するノード番号を有するものを読み出す。更に、制御部102は、読み出した各ノードレコード内のノード座標の集合を、VICS情報に対応する位置の経度及び緯度として特定する。そして、制御部102は、上述した表示範囲の四隅の経度及び緯度と、VICS情報に対応する位置の経度及び緯度の集合とに基づいて、地図描画部106によって描画された表示範囲の地図画像を座標系とした場合の渋滞状況画像の座標の集合を特定し、当該座標の集合と、上述の処理において設定した表示色及び濃度からなる表示制御情報を生成する。この際、制御部102は、上述の処理において抽出したリンク方向に基づいて、表示制御情報において、渋滞状況画像の座標の集合の並びが当該渋滞状況画像の始端から終端の並びとなるようにする。
【0041】
制御部102は、このようにして生成した表示制御情報を交通情報描画部114へ出力する。交通情報描画部114は、入力した表示制御情報に含まれる、渋滞状況画像の座標の集合に基づいて、表示範囲の地図画像の座標系における渋滞状況画像の始端から終端までの位置を特定する。そして、交通情報描画部114は、その特定した位置に、入力した表示制御情報に含まれる、表示色及び濃度を有する渋滞状況画像を描画する(S110)。S109において、VICS情報にて示される渋滞状況に対応する地図画像上の道路に沿って渋滞状況画像の位置が特定され、S110において、その位置に渋滞状況画像が描画されるため、地図画像と渋滞状況画像は、位置の整合が図られる。
【0042】
描画された渋滞状況画像は、画像合成部118へ出力される。画像合成部118は、入力した渋滞状況画像を、S103の処理において、地図描画部103によって描画された地図画像に重ねて、ディスプレイ70に表示させる(S111)。
【0043】
このように、本実施形態では、VICS情報にて示される渋滞状況が時間経過に伴って変化することに鑑み、VICS情報の送信時刻と現在時刻との時間差を算出し、当該時間差が小さいほど、換言すれば、VICS情報が新しいほど、地図画像上に重ねられる渋滞状況画像の濃度を高くすることで、渋滞状況画像を見た利用者は、当該渋滞状況画像の濃度によって、VICS情報の新しさ、換言すれば、渋滞状況の信頼度を容易且つ適切に把握することが可能となる。更には、VICS情報が新しいほど、地図画像上に重ねられる渋滞状況画像の濃度を高くすることで、信頼度の高い渋滞状況ほど、利用者に把握されやすくなる。
【0044】
図6は、渋滞状況画像が重ねられた地図画像の第1及び第2の例を示す図である。図6(a)はVICS情報が新しい場合、図6(b)は図6(a)の場合よりもVICS情報が古い場合であり、図6(a)では渋滞状況画像202の濃度が高く、図6(b)では渋滞状況画像202の濃度が低くなっている。
【0045】
なお、上述した実施形態では、VICS情報の送信時刻と現在時刻との時間差に応じて、渋滞状況画像の濃度を変えたが、渋滞状況画像の幅を変えるようにしてもよい。この場合には、図5におけるS108及びS110の処理に代えて、以下の処理が行われる。
【0046】
すなわち、制御部102は、VICS情報の送信時刻と現在時刻との時間差に応じて、入力したVICS情報によって示される渋滞状況に対応する渋滞状況画像の幅を設定する。具体的には、制御部102は、入力したVICS情報内の情報種別が渋滞状況である場合、当該VICS情報内の交通情報によって示される渋滞状況の内容に基づいて、渋滞状況画像の表示色を設定する。更に、制御部102は、時間差が小さいほど、換言すれば、VICS情報が新しいほど、当該VICS情報にて示される渋滞状況の信頼性が高いことに鑑み、時間差が小さいほど、渋滞状況画像の幅を広くする。
【0047】
次に、制御部102は、上述した表示範囲の四隅の経度及び緯度と、VICS情報に対応する位置の経度及び緯度の集合とに基づいて、地図描画部106によって描画された表示範囲の地図画像を座標系とした場合の渋滞状況画像の座標の集合を特定し、当該座標の集合と、上述の処理において設定した表示色及び幅からなる表示制御情報を生成する。更に、制御部102は、生成した表示制御情報を交通情報描画部114へ出力する。交通情報描画部114は、入力した表示制御情報に含まれる、渋滞状況画像の座標の集合に基づいて、表示範囲の地図画像の座標系における渋滞状況画像の始端から終端までの位置を特定する。そして、交通情報描画部114は、その特定した位置に、入力した表示制御情報に含まれる幅の渋滞状況画像を描画する。その後は、上述と同様、画像合成部118は、交通情報描画部114からの渋滞状況画像を、地図画像に重ねて、ディスプレイ70に表示させる。
【0048】
この場合には、渋滞状況画像を見た利用者は、当該渋滞状況画像の幅によって、VICS情報の新しさ、換言すれば、渋滞状況の信頼度を容易且つ適切に把握することが可能となる。更には、VICS情報が新しいほど、地図画像上に重ねられる渋滞状況画像の幅を広げることで、信頼度の高い渋滞状況ほど、利用者に把握されやすくなる。
【0049】
図7は、渋滞状況画像が重ねられた地図画像の第3及び第4の例を示す図である。図7(a)はVICS情報が新しい場合、図7(b)は図7(a)の場合よりもVICS情報が古い場合であり、図7(a)では渋滞状況画像202の幅が広く、図7(b)では渋滞状況画像202の幅が狭くなっている。
【0050】
また、VICS情報にて示される駐車場の混雑状況の画像を表示する場合にも本発明を適用することができる。この場合には、図5のS108乃至S110の処理に代えて以下の処理が行われる。
【0051】
すなわち、制御部102は、算出したVICS情報の送信時刻と現在時刻との時間差に応じて、入力したVICS情報によって示される駐車場の混雑状況に対応する画像(駐車場混雑状況画像)の濃度又は大きさを設定する。具体的には、制御部102は、入力したVICS情報内の情報種別が駐車場の混雑状況である場合、当該VICS情報内の交通情報によって示される駐車場の混雑状況の内容に基づいて、駐車場混雑状況画像の表示色を設定する。例えば、制御部102は、混雑状況が「満車」である場合には表示色を赤色とし、「混雑」である場合には表示色を橙色とし、「空車」である場合には表示色を青色とする。更に、制御部102は、時間差が小さいほど、換言すれば、VICS情報が新しいほど、当該VICS情報にて示される駐車場の混雑状況の信頼性が高いことに鑑み、VICS情報の送信時刻と現在時刻との時間差が小さいほど、駐車場の混雑状況の表示色の濃度を高くしたり、画像を大きくする。
【0052】
次に、制御部102は、地図画像における駐車場混雑状況画像の位置を特定する。具体的には、制御部102は、上述した表示範囲の四隅の経度及び緯度と、入力したVICS情報内の交通情報に含まれる駐車場の経度及び緯度に基づいて、地図描画部106によって描画された表示範囲の地図画像を座標系とした場合の駐車場混雑状況画像の座標を特定する。更に、制御部102は、当該座標と、上述の処理において設定した表示色と、濃度又は大きさからなる表示制御情報を生成して、交通情報描画部114へ出力する。交通情報描画部114は、入力した表示制御情報に含まれる、駐車場混雑状況画像の座標に基づいて、表示範囲の地図画像の座標系における駐車場混雑状況画像の位置を特定する。そして、交通情報描画部114は、その特定した位置に、入力した表示制御情報に含まれる、表示色と、濃度又は大きさを有する駐車場混雑状況画像を描画する。その後は、上述と同様、画像合成部118は、交通情報描画部114からの駐車場混雑状況画像を、地図画像に重ねて、ディスプレイ70に表示させる。
【0053】
図8は、駐車場混雑状況画像が重ねられた地図画像の第1及び第2の例を示す図である。図8(a)はVICS情報が新しい場合、図8(b)は図8(a)の場合よりもVICS情報が古い場合であり、図8(a)では駐車場混雑状況画像203の濃度が高く、図8(b)では駐車場混雑状況画像203の濃度が低くなっている。
【0054】
一方、図9は、駐車場混雑状況画像が重ねられた地図画像の第3及び第4の例を示す図である。図9(a)はVICS情報が新しい場合、図9(b)は図9(a)の場合よりもVICS情報が古い場合であり、図9(a)では駐車場混雑状況画像203が大きく、図9(b)では駐車場混雑状況画像203が小さくなっている。
【0055】
このように、VICS情報の送信時刻と現在時刻との時間差が小さいほど、換言すれば、VICS情報が新しいほど、地図画像上に重ねられる駐車場混雑状況画像の濃度を高くしたり、大きくすることで、駐車場混雑状況画像を見た利用者は、当該駐車場混雑状況画像の濃度や大きさによって、VICS情報の新しさ、換言すれば、駐車場混雑状況の信頼度を容易且つ適切に把握することが可能となる。更には、VICS情報が新しいほど、地図画像上に重ねられる駐車場混雑状況画像の濃度を高くしたり、大きくすることで、信頼度の高い駐車場混雑状況ほど、利用者に把握されやすくなる。
【0056】
また、上述した実施形態では、VICS情報にて示される、通行止め等の交通規制や事故等の交通障害や通行止め等の交通規制といった道路上の事象(道路事象)の画像を表示する場合にも本発明を適用することができる。この場合には、図5のS108乃至S110の処理に代えて以下の処理が行われる。
【0057】
すなわち、制御部102は、算出したVICS情報の送信時刻と現在時刻との時間差に応じて、入力したVICS情報によって示される道路事象の画像の濃度又は大きさを設定する。具体的には、制御部102は、入力したVICS情報内の情報種別が道路上の事象である場合、当該VICS情報内の交通情報によって示される道路事象の内容に基づいて、当該道路事象に対応する画像(道路事象画像)を設定する。更に、制御部102は、時間差が小さいほど、換言すれば、VICS情報が新しいほど、当該VICS情報にて示される道路事象の信頼性が高いことに鑑み、時間差が小さいほど、道路事象の表示色の濃度を高くしたり、画像を大きくする。
【0058】
次に、制御部102は、地図画像における道路事象画像の位置を特定する。具体的には、制御部102は、上述した表示範囲の四隅の経度及び緯度と、入力したVICS情報内の交通情報に含まれる道路事象が発生した道路上の位置の経度及び緯度に基づいて、地図描画部106によって描画された表示範囲の地図画像を座標系とした場合の道路事象画像の座標を特定する。更に、制御部102は、当該座標と、上述の処理において設定した道路事象の画像と、濃度又は大きさからなる表示制御情報を生成して、交通情報描画部114へ出力する。交通情報描画部114は、入力した表示制御情報に含まれる、道路事象画像の座標に基づいて、表示範囲の地図画像の座標系における道路事象画像の位置を特定する。そして、交通情報描画部114は、その特定した位置に、入力した表示制御情報に含まれる、濃度又は大きさを有する道路事象画像を描画する。その後は、上述と同様、画像合成部118は、交通情報描画部114からの道路事象画像を、地図画像に重ねて、ディスプレイ70に表示させる。
【0059】
図10は、道路事象画像が重ねられた地図画像の第1及び第2の例を示す図である。図10(a)はVICS情報が新しい場合、図10(b)は図10(a)の場合よりもVICS情報が古い場合であり、図10(a)では道路事象画像204の濃度が高く、図10(b)では道路事象画像204の濃度が低くなっている。
【0060】
一方、図11は、道路事象画像が重ねられた地図画像の第3及び第4の例を示す図である。図11(a)はVICS情報が新しい場合、図11(b)は図11(a)の場合よりもVICS情報が古い場合であり、図11(a)では道路事象画像204が大きく、図11(b)では道路事象画像204が小さくなっている。
【0061】
このように、VICS情報の送信時刻と現在時刻との時間差が小さいほど、換言すれば、VICS情報が新しいほど、地図画像上に重ねられる道路事象画像の濃度を高くしたり、大きくすることで、道路事象画像を見た利用者は、当該道路事象画像の濃度や大きさによって、VICS情報の新しさ、換言すれば、道路事象の信頼度を容易且つ適切に把握することが可能となる。更には、VICS情報が新しいほど、地図画像上に重ねられる道路事象画像の濃度を高くしたり、大きくすることで、信頼度の高い道路事象ほど、利用者に把握されやすくなる。
【0062】
また、上述した実施形態では、VICS情報の送信時刻と現在時刻との時間差を算出したが、VICS情報に当該VICS情報の生成時刻が含まれる場合には、その生成時刻と現在時刻との時間差を算出し、当該時間差に応じて、渋滞状況画像、駐車場混雑状況画像、道路事象画像の態様を変えるようにしてもよい。また、VICS受信部40がVICS情報を受信した時刻と、現在時刻との時間差を算出し、当該時間差に応じて、渋滞状況画像、駐車場混雑状況画像、道路事象画像の態様を変えるようにしてもよい。更には、渋滞状況画像、駐車場混雑状況画像、道路事象画像の濃度や幅、大きさ以外にも、色彩や形状等の様々な態様を変えるようにしてもよい。また、渋滞状況、駐車場混雑状況、道路事象以外の様々な交通情報の画像を表示する場合にも、同様に本発明を適用することができる。
【0063】
また、上述した実施形態では、地図表示装置をカーナビゲーション装置100に適用する場合について説明したが、他の地図画像表示機能を有する車載装置にも同様に本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上、説明したように、本発明に係る地図表示装置は、利用者が交通情報の信頼度を容易且つ適切に把握することが可能であり、地図表示装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】カーナビゲーション装置の構成を示す図である。
【図2】道路情報の一例を示す図である。
【図3】VICSリンクレコードの一例を示す図である。
【図4】VICS情報の一例を示す図である。
【図5】渋滞状況画像表示の動作を示すフローチャートである。
【図6】渋滞状況画像が重ねられた地図画像の第1及び第2の例を示す図である。
【図7】渋滞状況画像が重ねられた地図画像の第3及び第4の例を示す図である。
【図8】駐車場混雑状況画像が重ねられた地図画像の第1及び第2の例を示す図である。
【図9】駐車場混雑状況画像が重ねられた地図画像の第3及び第4の例を示す図である。
【図10】道路事象画像が重ねられた地図画像の第1及び第2の例を示す図である。
【図11】道路事象画像が重ねられた地図画像の第3及び第4の例を示す図である。
【符号の説明】
【0066】
10 本体
20 ハードディスクドライブ(HDD)
22 ハードディスク
30 操作部
40 VICS受信部
50 GPS受信部
60 自律航法センサ
70 ディスプレイ
80 スピーカ
100 カーナビゲーション装置
102 制御部
103 時計
104 バッファメモリ
106 地図描画部
108 操作画面・マーク発生部
110 誘導経路記憶部
112 誘導経路描画部
114 交通情報描画部
118 画像合成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されて地図画像を表示する地図表示装置であって、
地図情報を取得する地図情報取得手段と、
時間経過に伴って変化する交通情報を取得する交通情報取得手段と、
前記交通情報取得手段により取得された前記交通情報に対応する時刻と、現在時刻との時間差を算出する時間差算出手段と、
前記地図情報取得手段により取得された前記地図情報に対応する地図画像を描画するとともに、該地図画像に重ねて、前記交通情報取得手段により取得された前記交通情報に対応する画像を、前記時間差算出手段により算出された前記時間差に応じて態様を変化させて描画する画像描画手段と、
前記画像描画手段により描画された画像を表示ユニットに表示させる表示処理手段とを有することを特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
前記画像描画手段は、前記地図画像において、前記交通情報に対応する画像を重ねるべき位置を特定し、該位置に、前記交通情報取得手段により取得された前記交通情報に対応する画像を、前記時間差算出手段により算出された前記時間差に応じて態様を変化させて描画することを特徴とする請求項1に記載の地図表示装置。
【請求項3】
前記画像描画手段は、前記時間差算出手段により算出された前記時間差に応じて、前記交通情報に対応する画像の色彩の変更、及び、形状の変更の少なくともいずれかを行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の地図表示装置。
【請求項4】
前記交通情報に対応する時刻は、該交通情報の生成時刻、送信時刻、及び、受信時刻のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の地図表示装置。
【請求項5】
前記交通情報は、道路の渋滞状況を示す情報であり、
前記画像描画手段は、前記時間差算出手段により算出された前記時間差が小さいほど、前記渋滞状況に対応する画像の濃度を高くすること、及び、幅を広げることの少なくともいずれかを行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の地図表示装置。
【請求項6】
前記交通情報は、駐車場の混雑状況を示す情報であり、
前記画像描画手段は、前記時間差算出手段により算出された前記時間差が小さいほど、前記駐車場の混雑状況に対応する画像の濃度を高くすること、及び、大きくすることの少なくともいずれかを行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の地図表示装置。
【請求項7】
前記交通情報は、道路における事象を示す情報であり、
前記画像描画手段は、前記時間差算出手段により算出された前記時間差が小さいほど、前記道路における事象に対応する画像の濃度を高くすること、及び、大きくすることの少なくともいずれかを行うことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の地図表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2009−14402(P2009−14402A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−174357(P2007−174357)
【出願日】平成19年7月2日(2007.7.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】