説明

垂直搬送装置

【課題】クリーンルームスペースの有効活用を図るとともに被搬送物の搬送を円滑且つ安全に行う。
【解決手段】カルーセル型リフタ5は、同一構成の2つのチェーンユニット4a、4bと搬送台17とで構成されるチェーン手段2、入庫ポート105及び出庫ポート106に備えられFOUP10を搬送台17に搬入出する移載アーム107、リフタカバー108で構成される。チェーンユニット4a、4bは同一構成で平行にずらして配置される1組のチェーンモジュール6a及び6b、6c及び6dで構成され、搬送台17はスプロケットに懸架されるチェーン21a及び21b、22a及び22bに備えられる前方リンク、後方リンクに回動自在に支持される前方連結部材、後方連結部材に両端を回動自在に支持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数階層において被搬送物を垂直方向に連続搬送する垂直連続搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工場、液晶表示パネル製造工場等の製造工場では、製造過程の品物(例えば、半導体製造工場の場合、半導体基板や液晶表示装置用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板等の処理対象物)を収納したキャリア(被搬送物)を、搬送コンベア等を用いた搬送システムにより、プロセスに従って搬送する。搬送システムを用いた製造工場では、生産規模の拡大、製造工場の大規模化が図られ、これに伴い、製造装置台数の増加、搬送システムの規模拡大がなされ、製造工程が複数の階層にまたがって構成されている場合がある。
【0003】
そして、階層間を貫通して異層階間に配置された製造ラインを繋いで、被搬送物を垂直方向に連続搬送する垂直連続搬送装置には、例えば、図13に示すA)エレベータ方式のリフタ搬送装置や、B)カルーセル方式のリフタ搬送装置がある。図13中のA)のエレベータ型リフタ110は、エレベータ昇降スペース112内をワイヤ巻取り装置114に牽引されて被積載物が搭載されたボックス111が昇降する。ボックスは通常1つで、1ボックスに搭載可能なキャリア109は1〜2個であるため、搬送能力は低く、多量搬送には対応できない。ただし、エレベータの昇降速度は高いため、搬送時間は短い。一方、図13中のB)のカルーセル型リフタ100は、スプロケット102に勘合駆動され垂直方向に循環するチェーン101に複数の搬送台103が吊されて循環する方式で、キャリア109は搬送台103に載置されて異層階に搬送される。この方式は搬送台103が複数設置され、搬送台103が次々に巡ってくるので搬送台103の待ちが短く、搬送能力が究めて高い。ただし、通常、循環速度はエレベータ並の高速化は難しく、目的地に着くまでの時間は長い。これら、A)エレベータ方式のリフタ搬送装置と、B)カルーセル方式のリフタ搬送装置の関係は、ビルの昇降設備であるエレベータとエスカレータに例えることができる。一気に最上階まで行きたい人はエレベータに乗るが、エレベータは待たなければならない。エスカレータは待たずに乗れ、同時に多数の人を乗せ輸送できるが、目的階に着くまでに時間がかかる。そして、最近、製造工場の効率化のために垂直連続搬送装置の搬送能力の向上が要求されており、需要が高まりつつあるのは、搬送能力が高いカルーセル方式のリフタ搬送装置である。
【0004】
カルーセル方式のリフタ搬送装置(以下、「カルーセル型リフタ」と称する)として、例えば、図14に示すような従来技術が開示されている(特許文献1参照)。図14に示すように、カルーセル型リフタ100は垂直方向上下端に配置されたスプロケット102に繋合して垂直方向に循環する左右両側に配置されたチェーン101、チェーン101に支持ピン122(後述する図15参照)により回転自在に支持されて循環動作中常に重力方向に姿勢が維持される搬送台103、左右2つのスプロケット102を連結する上下に配置された2つの回転軸115、FOUP(被搬送物)109を搬送台103に搬入出する移載アーム107、リフタカバー108等で構成される。
【0005】
この図14に示す従来技術に於けるFOUP10の搬送台103への移載アーム107による搬入、搬出動作について図14及び図15を用い説明する。
搬入の場合:カルーセル型リフタ100へのFOUP109の搬入は、搬送台103が上昇する側の入庫ポート105の開口部で実行される。例えば、移載アーム107が2段目アーム121に設けられた3つのキネマティックピン126をFOUP109の底面に設けられた内周側の3つの窪みに勘合させ、移載アーム107上に載置させた状態で、2つの回転軸123、125を回転させ、2段目アーム121を搬送台103のハンド侵入スペース119内に侵入させる。この時、2段目アーム121は搬送台103に設けられたキネマティックピン120がFOUP109の底面に設けられた外周側窪みに勘合する位置に位置合わせされる。カルーセル型リフタ100は停止すること無く常時一定方向に循環しているので、位置合わせ後、間もなく搬送台103は上昇し、搬送台103のFOUP載置面がFOUP109の底面に当接し、キネマティックピン120をFOUP10の底面に勘合させてFOUP10を移載アーム107からすくい取る。FOUP109がすくい取られた直後、瞬時のうちに移載アーム107はリフタ領域に侵入しているアームを退避させ、搬送台103との干渉を避ける。
搬出の場合:カルーセル型リフタ100からのFOUP109の搬出は、搬送台103が下降する側の出庫ポート106の開口部で実施される。搬出動作は搬入動作と逆動作である。移載アーム107は搬出すべきFOUP109の載置された搬送台103が降下するタイミングを合わせ、リフタ領域にアームを侵入させる。移載アーム107は2段目アーム121のキネマティックピン120がFOUP109の底面に設けられた内周側の3つの窪みに勘合できる位置に待機させられる。アーム侵入後間もなく、搬送台103は下降しFOUP載置面が2段目アーム121のキネマティックピンに位置合わされて当接し、FOUP109はアーム121にすくい取られる。すくい取り完了後、移載アーム107はリフタ領域に侵入しているアームをリフタ領域外に退避させ、搬出を完了させる。
【0006】
なお、搬送台103のチェーン101への取付構造の従来技術には、特許文献2の図2に開示される方法もある。特許文献2の図2に示すように、リフタの左右両側に配置される無端チェーンはそれぞれ2本のチェーン、即ち合計4本で構成され、棚は左右両側に配置された無端チェーンの中間に位置するよう回動自在なピンで前記4本の無端チェーンに取り付けられる。4本のチェーンを使用する効果として、棚は無端チェーンの循環動作に影響されず一定姿勢が保持される。
【0007】
【特許文献1】実公昭40−29548号公報
【特許文献2】特開2004−59223号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上で説明したカルーセル型リフタの従来技術において、FOUP搬入出用ポートを含めた全体領域の装置レイアウトは、図16のようになる。図16において、カルーセル型リフタ100のチェーン101に設置された搬送台103の循環面方向の寸法を装置長さLと定義し、これに直交する方向(回転軸115の軸方向)の寸法長さを装置幅Wと定義している。即ち、入庫ポート105及び出庫ポート106のそれぞれに設けられた開口部105a及び開口部106aからFOUP109を搬入出する移載アーム107は、リフタ本体100の長さ方向に配置され、入庫ポート105及び出庫ポート106はリフタ本体100の幅方向に配置される。ここで、リフタ設置場所間口をMとし、Mを図16に示す寸法として定義すると、従来技術に係るカルーセル型リフタではリフタ本体100と2つの移載アーム107が直列に並ぶため寸法Mは小さく出来ないのが実状であった。しかしながら、リフタ設置場所間口Mは、クリーンルームスペースの有効活用を図る上で重要なパラメータであるが、従来技術に係るカルーセル型リフタは需要者の納得できるものではなく、M寸法を小さくできるカルーセル型リフタの技術が切望されている。即ち、図16に示す従来技術に係るカルーセル型リフタと比較して、図17に示すように、入庫ポート105及び出庫ポート106のそれぞれに設けられた開口部105a及び開口部106aからFOUP109を搬入出する移載アーム107が、リフタ本体100の幅方向(即ち、カルーセル型リフタ100のチェーン101に設置された搬送台103の循環面方向に直交する方向(回転軸115の軸方向))に配置され、リフタ設置間口Mの大幅な縮小化を図ることができるカルーセル型リフタが求められているが、図15で説明した従来技術に係るカルーセル型リフタ100では前面側に配置されるチェーンがFOUP搬入出の障害となり、図17に示す装置レイアウトでは、搬入、搬出作業を実質的に不可能としている。
【0009】
また、図14で説明したカルーセル型リフタの従来技術において、スプロケット102に勘合駆動され垂直方向に循環するチェーン101に支持ピン122を介して回転自在に支持される複数の搬送台103が重力方向に常に姿勢が維持されるように吊されて循環する方式であり、移載アーム107により搬送台103に対してFOUP109を搬入及び搬出する際に、搬送台103に伴ってチェーン101が揺動して、FOUP109の搬送が円滑且つ安全に行えないという課題がある。
【0010】
そこで、本発明は、複数階層において被搬送物を垂直方向に連続搬送する垂直連続搬送装置であって、クリーンルームスペースの有効活用を図るとともに、被搬送物の搬送を円滑且つ安全に行うことができる垂直連続搬送装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0011】
本発明に係る垂直連続搬送装置は、複数階層において被搬送物を垂直方向に連続搬送する垂直連続搬送装置であって、前記被搬送物を搬入及び搬出する搬入ポート及び搬出ポートにおいて、前記被搬送物の搬入方向と搬出方向が平行となるように隣接設置され、前記被搬送物を搬入及び搬出する際に前記搬送台に前記被搬送物を移載する一組の移載手段と、垂直方向上下に配置された一対の懸架軸と前記懸架軸に懸架されて前記懸架軸を駆動させる駆動手段の駆動に伴い垂直方向に循環するチェーンとからなる1つまたは複数のチェーンモジュールと、前記チェーンの外周面に所定間隔毎に固定設置されたリンク部材を介して前記チェーンの外周面に回動自在に支持されて前記チェーンに連動して前記チェーンの外周に沿って垂直方向に循環し、被搬送物を載置する複数の搬送台と、により構成されるチェーン手段と、を備え、前記懸架軸の軸方向に対して前記被搬送物の搬入方向及び搬出方向が平行となり、且つ、循環する前記搬送台に対して前記被搬送物を移載できるように前記移載手段が設置されることを特徴とする。
【0012】
これにより、チェーン手段のチェーンの外周に設置された搬送台の循環面方向と直交する懸架軸の軸方向と被搬送物の搬入出方向とが平行となり、搬送台に対して被搬送物が移載できるように、被搬送物を搬送台に対して搬入出する一組の移載手段が隣接設置されている。従って、垂直連続搬送装置の幅方向の間口(図16及び図17に基づいて上述したリフタ設置場所間口M)が縮小され、クリーンルームスペースの有効活用を図ることができる。また、被搬送物を載置する搬送台を、リンク部材を介してチェーンモジュールのチェーンの外周面に回動自在に支持することから、チェーンの揺動を抑えて、被搬送物の搬送を安全且つ円滑に行うことができる。更に、チェーンモジュールを複数設置することにより、複数のチェーンで強固に搬送台を支持するとともにチェーンの揺動を抑えることができ、被搬送物の搬送を安全且つ円滑に行うことができる。
【0013】
ここで、本発明に係る垂直連続搬送装置は、軸方向及び垂直方向に所定寸法の段違いで設置された略同一寸法の2つの前記チェーンモジュールの2つの前記リンク部材が連結部材を介して回動自在に連結されて構成されたチェーンユニットが、前記懸架軸の軸方向に所定間隔隔てて2つ平行設置されるとともに、2つの前記チェーンユニットのそれぞれの前記連結部材が垂直方向に同一高さになるように設置されて、前記搬送台が2つの前記チェーンユニットのそれぞれの前記連結部材にその両端が回動自在に支持されて前記チェーン手段が構成されて良い。
【0014】
これにより、搬送台の両端が、それぞれ一対のチェーンモジュールから構成されるチェーンユニットで回動自在に支持されることから、垂直連続搬送装置の設置可能高さが高い場合、搬送台の設置個数が多い場合、被搬送物の重量が大きい場合における搬送物の垂直連続搬送に適する構成である。
【0015】
また、本発明に係る垂直連続搬送装置は、軸方向及び垂直方向に所定寸法の段違いで設置された略同一寸法の2つの前記チェーンモジュールの2つの前記リンク部材が連結部材を介して回動自在に連結されて構成された1つのチェーンユニットと、1つの前記チェーンモジュールが、前記懸架軸の軸方向に所定間隔隔てて平行設置されるとともに、1つの前記チェーンユニットの前記連結部材と1つの前記チェーンモジュールの前記リンク部材が垂直方向に同一高さになるように設置されて、前記搬送台が1つの前記チェーンユニットの前記連結部材と1つの前記チェーンモジュールの前記リンク部材にその両端が回動自在に支持されて前記チェーン手段が構成されて良い。
【0016】
これにより、垂直連続搬送装置の構成が簡略化されて、搬送台の一端が一対のチェーンモジュールから構成されるチェーンユニットで回動自在に支持され、搬送台の他端がチェーンモジュールで支持されることから、垂直連続搬送装置の設置可能高さが低い場合、搬送台の設置個数が少ない場合、被搬送物の重量が小さい場合における被搬送物の垂直連続搬送に適する構成であるとともに、垂直連続搬送装置の奥行きを狭めて設置面積を縮小することができる。
【0017】
また、本発明に係る垂直連続搬送装置は、2つの前記チェーンモジュールが前記懸架軸の軸方向に所定間隔隔てて平行設置されるとともに、2つの前記チェーンモジュールのそれぞれの前記リンク部材が垂直方向に同一高さになるように設置されて、前記搬送台が2つの前記チェーンモジュールのそれぞれの前記リンク部材にその両端が回動自在に支持されて前記チェーン手段が構成されて良い。
【0018】
これにより、垂直連続搬送装置の構成がより簡略化されて、搬送台の両端がチェーンモジュールで回動自在に支持されることから、垂直連続搬送装置の設置可能高さがより低い場合、搬送台の設置個数がより少ない場合、被搬送物の重量がより小さい場合における被搬送物の垂直連続搬送に適する構成であるとともに、垂直連続搬送装置の奥行きを狭めて設置面積をより縮小することができる。
【0019】
また、本発明に係る垂直連続搬送装置は、軸方向及び垂直方向に所定寸法の段違いで設置された略同一寸法の2つの前記チェーンモジュールの2つの前記リンク部材が連結部材を介して回動自在に連結されて構成された1つのチェーンユニットが設置されて、前記搬送台が1つの前記チェーンユニットの前記連結部材にその一端が回動自在に支持されて前記チェーン手段が構成されて良い。
【0020】
これにより、垂直連続搬送装置の構成が更に簡略化されて、搬送台の一端が一対のチェーンモジュールから構成されるチェーンユニットで回動自在に支持されることから、垂直連続搬送装置の設置可能高さが更に低い場合、搬送台の設置個数が更に少ない場合、被搬送物の重量が更に小さい場合における被搬送物の垂直連続搬送に適する構成であるとともに、垂直連続搬送装置の奥行きを更に狭めて設置面積を大幅に縮小することができる。
【0021】
尚、2つの前記チェーンモジュールのそれぞれの前記チェーンの側面に対向して前記チェーンと同一軌道で形成される2つの軌道平板が前記チェーンユニットの両側に設置され、2つの前記リンク部材のそれぞれに支持されるとともに、それぞれ2つの前記軌道平板の対向する面に回転自在に当接する従動輪が備えられることが好ましい。
【0022】
これにより、搬送台の一端が連結されて支持されるチェーンユニットの2つのリンク部材が、従動輪を介して軌道平板に当接して循環することから、チェーンユニットのチェーンの揺動は最小限に抑えられて、被搬送物の搬送を円滑に行うことができる。
【0023】
ここで、本発明に係る垂直連続搬送装置は、前記搬送台が、下方に凸のコの字形状に形成されても良い。
【0024】
これにより、搬送台が吊下げ方の構造になるため、搬送台に載置する被搬送物を保護して、被搬送物の搬送を安全に行うことができる。
【0025】
また、前記チェーンモジュールが、前記搬送台及び前記搬送台を支持する前記リンク部材の循環軌道を除いてカバーで覆われても良い。
【0026】
これにより、本発明に係る垂直連続搬送装置において発塵源となる可能性が高いチェーンモジュールの発塵箇所(特に、チェーン及び駆動手段)を可能な限りカバーで覆い、塵埃が外部に漏洩しない構造とすることにより、被搬送物への汚染を遮断して、防塵対策を施すことができる。
【0027】
また、前記チェーンモジュールが、回転自在な複数の当接輪と前記当接輪を支持するフレームとで構成され、前記移載手段に対向して前記チェーンの内周面に設置されて、前記チェーンが前記当接輪に当接した状態で回転する矯正部材を更に備えても良い。
【0028】
これにより、移載手段による搬送台に対する被搬送物の搬入出時において、チェーンモジュールにおけるチェーンの搬送台支持点(即ち、チェーンにおいて、リンク部材を介して搬送台が支持される点)が支える被搬送物等の重量に起因するモーメントにより、チェーンが変位するのを矯正部材が矯正し、搬送台を水平に維持して、被搬送物の搬送を安全且つ円滑に行うことができる。尚、チェーンとの当接で回転する矯正部材の当接輪は、駆動源を設けずにチェーンとの当接により従動するように構成して良いし、矯正部材への負荷が大きくチェーンとの当接により回転が困難な場合は、駆動源を設けてチェーンの循環速度に同期する速度で駆動させるように構成しても良い。
【0029】
また、前記チェーンモジュールが、前記チェーンの側面に設けられて前記チェーンを検知し、前記チェーンを検知しない場合に前記チェーンの切断を判断するチェーン切断検知センサを更に備えても良い。
【0030】
これにより、チェーンモジュールにおけるチェーンの切断を判断して、垂直連続搬送装置の駆動を停止することにより、被搬送物の搬送を安全且つ円滑に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る垂直連続搬送装置を実施するための最良の形態について具体的な一例に即して説明する。
【0032】
[第一の実施形態]
第一の実施形態に係るカルーセル型リフタ(垂直連続搬送装置)について、図1〜図3に基づいて以下に説明する。図1は、第一の実施形態に係るカルーセル型リフタを示す斜視図である。図2は、第一の実施形態に係るカルーセル型リフタのチェーンユニット及び搬送台の構造を示す正面図である。図3は、第一の実施形態に係るカルーセル型リフタの連結部材及び搬送台の構造を示す斜視図である。
【0033】
図1に示すように、第一の実施形態に係るカルーセル型リフタ5は、開口部(入庫ポート(搬入ポート)105及び出庫ポート(搬出ポート)106のそれぞれの開口部)に対して前方及び後方に存在する2つのチェーンユニット4a、4bと当該2つのチェーンユニット4a、4bのそれぞれに備えられる前方連結部材14及び後方連結部材15(図3参照)に両端を回動自在に支持される搬送台17とで構成されるチェーン手段2、入庫ポート105及び出庫ポート106のそれぞれの開口部に隣接設置されてFOUP(被搬送物)10を搬送台17に搬入出する移載アーム107、リフタカバー108等で構成される。
【0034】
2つのチェーンユニット4a、4bは同一構成をなし、図2は、図1に示す開口部に対して前方に存在する1つのチェーンユニット4aを示す。図2に示すように、チェーンユニット4aは同一構成の1組(2つ)のチェーンモジュール6a、6bから構成される。
チェーンモジュール6aは、チェーン21aを懸架させて上下に配置された2つのスプロケット(懸架軸)19aと、チェーン支持点11a及びチェーン支持点12aにおいてチェーン21aに回動自在に支持される一対の前方リンク(リンク部材)7a、7bで構成され、前方リンク7a、7bの端部は搬送台支持点13aで前方連結部材14に回動自在に支持される。
また、チェーンモジュール6bは、チェーンモジュール6aと平行で垂直方向に寸法b、水平方向に寸法aずらした位置に配置され、チェーン21bを懸架させて上下に配置された2つのスプロケット(懸架軸)19bと、チェーン支持点11b及びチェーン支持点12bにおいてチェーン21bに回動自在に支持される一対の前方リンク(リンク部材)7c、7dで構成され、前方リンク7c、7dの端部は搬送台支持点13bで前方連結部材14に回動自在に支持される。
【0035】
一方、図1に示す開口部に対して後方に存在する他のチェーンユニット4bも、チェーンユニット4aと同一構成をなし、同一構成の1組(2つ)チェーンモジュール6c、6dからなる(図3参照)。
チェーンモジュール6c及び6dは、図2に示すチェーンモジュール6a及び6bと同様に、チェーン22a及び22bのそれぞれを懸架させて上下に配置された2つのスプロケット(懸架軸)19c及び19d(図2に示すスプロケット19a及び19bと置き換えて考えてよく、図示を省略する。)と、チェーン支持点11c、12c及びチェーン支持点11d、12d(図2に示すチェーン支持点11a、12a及びチェーン支持点11b、12bと置き換えて考えてよく、図示を省略する。)においてそれぞれチェーン22a及び22bにそれぞれ回動自在に支持される一対の後方リンク(リンク部材)8a、8b及び後方リンク(リンク部材)8c、8dで構成され、後方リンク8a、8b及び後方リンク8c、8dの端部は、搬送台支持点13c及び搬送台支持点13dで、後方連結部材15に回動自在に支持される(図3参照)。尚、図2に示すチェーンモジュール6a及び6bと同様に、チェーンモジュール6dは、チェーンモジュール6cと平行で垂直方向に寸法b、水平方向に寸法aずらした位置に配置される。また、チェーンユニット4a及びチェーンユニット4bの前方連結部材14及び後方連結部材15が同じ高さになるように、後方リンク8a〜8dが設置される。
【0036】
また、図2に示すように、チェーンユニット4aでは、チェーンモジュール6aを構成するスプロケット19aの回転軸16aは、駆動モータ(駆動手段)18の回転軸に結合し、駆動モータ18の回転によりチェーン21aが上下に配置されたスプロケット19aの周囲を循環する。また、チェーンモジュール6bのスプロケット19bの回転軸16bも回転軸16aに連動して同期回転する。従って、結果的にチェーンモジュール6a及び6bの前方リンク7(7a〜7d)に支持される前方連結部材14は、駆動モータ18の回転軸の回転に伴い(図2中の矢印の向き)、搬送台支持点13a及び13bがそれぞれ軌跡20a及び20bを描くようにして(図2中の矢印の向き)、チェーンモジュール6a及び6bと一体に循環する。
【0037】
尚、チェーンユニット4bも、チェーンユニット4aと同様にして、駆動モータ18に結合され、駆動モータ18の回転によりチェーンモジュール6c及び6dのスプロケット19c及び19dの回転軸16c及び16d(図2に示すスプロケット19a及び19bの回転軸16a及び16bと置き換えて考えてよく、図示を省略する。)も同期回転する。そして、チェーンモジュール6c及び6dの後方リンク8(8a〜8d)に支持される後方連結部材15は、前方連結部材14に同期した循環速度で、前方連結部材14と同様に、搬送台支持点13c及び13dがそれぞれ軌跡20c及び20d(図2に示す搬送台支持点13a及び13bと、軌跡20a及び20bと置き換えて考えてよく、図示を省略する。)を描くようにして、チェーンモジュール6c及び6dと一体に循環する。
【0038】
搬送台17は、図3に示すように、その両端部側面を前方連結部材14と後方連結部材15に回動自在に支持され、循環位置に関係なく常に水平が維持される。従って、搬送台17の上面に載置されるFOUP10も、循環中、常に水平が維持され、搬送台17から滑り落ちる懸念は無い。
尚、搬送台17は、図3に示す形状に限定されるものではない。例えば、図9に示すような吊下げ型の形状であってもよい。図9は、吊下げ型の搬送台を備える第一の実施形態に係るカルーセル型リフタの局部拡大斜視図である。図3では上方に凸のコの字形状の搬送台17の両端が、それぞれ前方連結部材14と後方連結部材15に支持されるが、図9では下方に凸のコの字形状の搬送台23の両端が、それぞれ支持軸27aと27bを介して前方連結部材14と後方連結部材15に支持される。このように、図9に示す形状の搬送台を備えるカルーセル型リフタ5では搬送台23の吊り枠がFOUP10の保護機能を兼ねるので、FOUP10の搬送をより安全に行うことができる。
【0039】
移載アーム107は、各階層に配置される入庫ポート105及び出庫ポート106のそれぞれにおいて、入庫ポート105及び出庫ポート106の開口部を介して、搬送台17に対してFOUP10を搬入出できる位置に配置される。
【0040】
次に、図1及び図3に基づいて、第一の実施形態に係るカルーセル型リフタ5における移載アーム107による搬送台17へのFOUP10の搬入出動作について説明する。
第一の実施形態に係るカルーセル型リフタ5へのFOUP10の搬入出動作は、図15で説明した従来技術に係るカルーセル型リフタ100の搬入動作に類似する。相違点は、図15では入庫ポート105の開口部及び出庫ポート106の開口部がカルーセル型リフタ100の両側面に備えられており、移載アーム107のカルーセル型リフタ100内部への侵入位置がカルーセル型リフタ100の両側面であるのに対し、図1では入庫ポート105の開口部及び出庫ポート106の開口部がカルーセル型リフタ5の前面に備えられており、移載アーム107のカルーセル型リフタ5内部への侵入位置が搬入、搬出共にカルーセル型リフタ5の前面で実施される。
尚、移載アーム107による搬送台17へのFOUP10の載置とFOUP10の搬送台17からのすくい取りは、図15に示す従来技術と同じであり、その説明を省略する。
【0041】
次に、第一の実施形態に係るカルーセル型リフタの防塵対策構造について、図4に基づいて説明する。図4は、第一の実施形態に係るカルーセル型リフタの防塵対策構造を示す上面図である。
第一の実施形態に係るカルーセル型リフタ5では、2つのチェーンユニット4a及び4bの循環するチェーン21a、21b及び22a、22bと、チェーン駆動部(即ち、回転軸16a、16b、16c、16d及び駆動モータ18)が発塵源となる可能性が高い。防塵はこれら発塵箇所を可能な限りカバーで被い、塵埃が外部に漏洩しない構造とするものである。
図4に示すように、防塵対策構造は、具体的に前面カバー30,31,32及び背面カバー33とから構成されている。前面カバー30は、チェーンモジュール6aのチェーン21aの可動軸部と前方リンク7及び前方連結部材14を除き、チェーン21aと回転軸16a及び駆動モータ18とを覆うように可能な範囲で全面を被服する。前面カバー31,32は、チェーンモジュール6bのチェーン21bの前面と背面について可動軸部と前方リンク7及び前方連結部材14に支持される搬送台17の可動軸部を除き、チェーン21bと回転軸16bを覆うように可能な範囲で全面を被服する。また、背面カバー33は、チェーンモジュール6aのチェーン22aの前面について可動軸部と後方連結部材15に支持される搬送台17の可動軸部を除き、回転軸16c、16d及びチェーン22a、22bを含めたチェーンモジュール6c、6d全体で発生する塵埃を閉じこめ、FOUP10への汚染を遮断する。
【0042】
次に、第一の実施形態に係るカルーセル型リフタのFOUP搬入、搬出部における姿勢矯正部材について、図5に基づいて説明する。図5は、第一の実施形態に係るカルーセル型リフタのチェーンモジュールと姿勢矯正部材とを示す側面図である。
図が複雑になるため図1には割愛されているが、移載アーム107(即ち、入庫ポート105及び出庫ポート106)の正面に位置するチェーンユニット4aのチェーンモジュール6a、6bのチェーン21a、21b及びチェーンユニット4bのチェーンモジュール6c、6dのチェーン22a、22bにはそれぞれ、図5に示す姿勢矯正部材3が設置される。ここで、図5においては、チェーンユニット4aを構成するチェーンモジュール6aのチェーン21aを例にして姿勢矯正部材3を示している。尚、チェーンユニット4aを構成するチェーンモジュール6bのチェーン21b及びチェーンユニット4bを構成するチェーンモジュール6c、6dのチェーン22a、22bも、図5に示すチェーンユニット4aを構成するチェーンモジュール6aのチェーン21aと同様の構成であり、その説明を省略する。
【0043】
図5に示すように、姿勢矯正部材3は複数の当接ローラ(当接輪)28とこれらを転動容易に軸止するローラフレーム(フレーム)29から構成されている。そして、スプロケット19aに懸架されるチェーン21aとの相対位置をチェーン21aにたるみ等の無い場合の正規のチェーン循環軌道に沿わせて姿勢矯正部材3を設置することで、チェーンユニット4aを構成するチェーンモジュール6aに当接してチェーン21aの姿勢を矯正する。
具体的には、図5において点線は姿勢矯正部材3が無かった場合のチェーン21aと前方連結部材14を支持する搬送台支持点13aの姿勢を示す。即ち、姿勢矯正部材3が無い場合、移載アーム107による搬送台17に対するFOUP10の搬入出時において、前方連結部材14に支持される搬送台17が支えるFOUP10等の重量に起因するモーメントにより、チェーン21aは点線のチェーン21a’のように、また、端部が搬送台支持点13aに支持されるリンク7a、7bによりチェーン21aに支持されるチェーン支持点11a、12aがそれぞれ11a’、12a’のように、更に、搬送台支持点13aが13a’のように(図5における矢印方向)変位するため、搬送台17を水平に維持するのが困難となる。そこで、第一の実施形態に係るカルーセル型リフタ5では姿勢矯正部材3を用いることにより、移載アーム107による搬送台17に対するFOUP10の搬入出時において、チェーンユニット4の姿勢を実線のように矯正し、搬送台支持点13aを介して前方連結部材14で回転自在に支持される搬送台17を水平に維持する。
【0044】
尚、図5の例では、当接ローラ28に駆動源を設けずにチェーン21aとの当接で従動するローラとしているが、姿勢矯正部材3への負荷が大きく当接ローラ28の回転が困難な場合、当接ローラ28に駆動源を設けてチェーン21aの循環速度に同期する速度で駆動させてもよい。
【0045】
このように、第一の実施形態に係るカルーセル型リフタ5では、姿勢強制部材3を設置することにより、2つのチェーンユニット4a及び4bが備えるチェーンモジュール6a、6b及び6c、6dのチェーン21a、21b及び22a、22bの前方連結部材14及び後方連結部材15に支持される搬送台17が支えるFOUP10等の重量に起因するモーメントにより、チェーン21a、21b及び22a、22bが変位するのを矯正部材3が矯正し、搬送台17を水平に維持して、FOUP10の搬送を安全且つ円滑に行うことができる。また、入庫ポート105および出庫ポート106において、FOUP10が傾斜することなく水平姿勢が維持されるので、移載手段である移載アーム107に対するFOUP10の位置決めが確実となり、移載アーム107による移載動作が支障なく実行される。
【0046】
次に、第一の実施形態に係るカルーセル型リフタに於けるチェーン切断に対する安全確保の方策について、図6〜図8に基づいて説明する。図6は、第一の実施形態に係るカルーセル型リフタのチェーン切断検知センサを示す斜視図である。図7は、第一の実施形態に係るカルーセル型リフタのチェーンの切断モードを示す正面図である。図8は、第一の実施形態に係るカルーセル型リフタのチェーン切断検知センサのチェーン切断時におけるセンシングの状況を説明する斜視図である。
チェーン切断検出センサ25、26は、図6に示すように、各チェーン21、22に対応して下方に配置されるスプロケット19の付近で、各チェーン21、22の対向面に、チェーン1本につき1つのセンサが設置される。図1では4本のチェーン21a、21b、22a、22bが設置されるので、4つのチェーン切断検出センサ25a、25b、26a、26bが図6に示す位置に取付けられる。
【0047】
図1に示す第一の実施形態に係るカルーセル型リフタ5の場合、チェーンが切断されるモードには図7に示すC1〜C4の4種類の切断ポイントがあり、チェーン切断後のチェーン状態は互いに異なる。ここで、図7においては、チェーンユニット4bを構成するチェーンモジュール6cのチェーン22aを例にして切断ポイントを示している。尚、チェーンユニット4aを構成するチェーンモジュール6a、6bのチェーン21a、21b及びチェーンユニット4bを構成するチェーンモジュール6dのチェーン22bも、図7に示すチェーンユニット4bを構成するチェーンモジュール6cのチェーン22aと同様であり、その説明を省略する。
【0048】
一例として、ポイントC4においてチェーン22aが切断した場合のチェーン切断後の状態を図8に示す。ポイントC4とチェーン支持点12c間のチェーン22aは符号Dで示されるように、チェーン支持点11cの下に垂れ下がり、同時にチェーン切断検出センサ26aとの対向位置にあったチェーン22aはリンク8a、8bが開放状態で自由垂下するので、図のようにチェーン切断検出センサ26aの対向面からはずれ、チェーン切断検出センサ26aが検出できるチェーン22aからの反射光は無くなる。これによりチェーン切断検出センサ26aはチェーン22aの切断を検出できる。
他のポイントC1〜C3においてチェーン22aが切断した場合も、ポイントC4の場合と同様に、チェーン切断検出センサ26aはチェーン22aからの反射光が検出されず、チェーン22aの切断が検出される。
【0049】
尚、図6に示す下方に配置されるスプロケット19付近は、前記4種類のチェーン切断ポイントの全てについてチェーン切断検出を可能とするチェーン切断検出センサ設置位置であるので、チェーン切断検出センサ25、26は、下方に配置されるスプロケット19付近に設置することが好ましい。
【0050】
このように、第一の実施形態に係るカルーセル型リフタ5では、チェーン切断検出センサ25、26を設置することにより、2つのチェーンユニット4a及び4bを構成する一組のチェーンモジュール6a、6b及び6c、6dについてのチェーン21a及び21b、22a及び22bの切断を判断して、カルーセル型リフタ5の駆動を停止することにより、FOUP10の搬送を安全且つ円滑に行うことができる。
【0051】
このように、第一の実施形態に係るカルーセル型リフタ5によると、スプロケット19a、19b及びスプロケット19c、19dの軸方向とFOUP10の搬入出方向とが平行となるように、搬送台17に対してFOUP10が移載できるように、入庫ポート105及び出庫ポート106における移載アーム107が隣接設置されている。従って、カルーセル型リフタ5の幅方向の間口(図16及び図17に基づいて上述したリフタ設置場所間口M)が縮小され、クリーンルームスペースの有効活用を図ることができる。また、FOUP10を載置する搬送台17を、前方リンク7及び後方リンク8を介してチェーンモジュール6a、6b及び6c、6dのチェーン21a、21b及び22a、22bの外周面に回動自在に支持することから、チェーン21a、21b及び22a、22bの揺動を抑えて、FOUP10の搬送を安全且つ円滑に行うことができる。更に、チェーンモジュールを4つ(チェーンユニット4a及び4bの一対のチェーンモジュール6a、6b及び6c、6d)設置することにより、4つのチェーン21a、21b及び22a、22bで強固に搬送台17を支持するとともにチェーン21a、21b及び22a、22bの揺動を抑えることができ、FOUP10の搬送を安全且つ円滑に行うことができる。
【0052】
また、第一の実施形態に係るカルーセル型リフタ5は、搬送台17の両端が、それぞれ一対のチェーンモジュール6a、6b及び6c、6dから構成されるチェーンユニット4a、4bで回動自在に支持されることから、カルーセル型リフタ5の設置可能高さが高い場合、搬送台17の設置個数が多い場合、FOUP10の重量が大きい場合におけるFOUP10の垂直連続搬送に適する構成である。
【0053】
[第二の実施形態]
次に、第二の実施形態に係るカルーセル型リフタについて、図10に基づいて以下に説明する。図10は、第二の実施形態に係るカルーセル型リフタを示す斜視図である。尚、第一の実施形態と同一の部材については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0054】
第一の実施形態に係るカルーセル型リフタ5は、チェーン手段2として開口部(入庫ポート105の開口部及び出庫ポート106の開口部)に対して前方及び後方に2つのチェーンユニット4a、4bを備えるが、第二の実施形態に係るカルーセル型リフタ5bのチェーン手段2bは、図10に示すように、開口部(入庫ポート105の開口部及び出庫ポート106の開口部)に対して後方のみにチェーンユニット4bを備え、前方には1本のチェーン21aからなるチェーンモジュール6aを備える。従って、搬送台17は、前方において前方連結部材14が省略されて、チェーン支持点11a、11bおいてチェーンモジュール6aのチェーン21aに回動自在に支持される前方リンク7a、7bの端部の搬送台支持点13aに直接支持され、後方においては後方連結部材15において支持される。
【0055】
このように、第二の実施形態に係るカルーセル型リフタ5bによると、構成が簡略化されて、搬送台17の一端が一対のチェーンモジュール6c、6dから構成されるチェーンユニット4bで回動自在に支持され、搬送台17の他端がチェーンモジュール6aで支持されることから、カルーセル型リフタ5bの設置可能高さが低い場合、搬送台17の設置個数が少ない場合、FOUP10の重量が小さい場合におけるFOUP10の垂直連続搬送に適する構成であるとともに、カルーセル型リフタ5bの奥行きを狭めて設置面積を縮小することができる。
【0056】
尚、図10では、第二の実施形態に係るカルーセル型リフタ5bのチェーン手段2bは、開口部(入庫ポート105の開口部及び出庫ポート106の開口部)に対して、後方にチェーンユニット4b、前方に1本のチェーンからなるチェーンモジュール6aを備えるが、前方にチェーンユニット4a、後方に1本のチェーン22aからなるチェーンモジュール6cを備えてもよい。
【0057】
また、第二の実施形態に係るカルーセル型リフタ5bのチェーン手段2bが、開口部(入庫ポート105の開口部及び出庫ポート106の開口部)に対して、前方に1本のチェーン21aからなるチェーンモジュール6a、後方に1本のチェーン22aからなるチェーンモジュール6cを備えてもよい。この場合、搬送台17は、前方において前方連結部材14が省略されて、チェーン支持点11a、11bおいてチェーンモジュール6aのチェーン21aに回動自在に支持される前方リンク7a、7bの端部の搬送台支持点13aに直接支持され、後方においては前方連結部材15が省略されて、チェーン支持点11c、11dおいてチェーンモジュール6cのチェーン23aに回動自在に支持される後方リンク8a、8bの端部の搬送台支持点13cに直接支持される。
【0058】
かかる場合、構成がより簡略化されて、搬送台17の両端がチェーンモジュール6a及び6cで回動自在に支持されることから、カルーセル型リフタ5cの設置可能高さが更に低い場合、搬送台17の設置個数が更に少ない場合、FOUP10の重量が更に小さい場合におけるFOUP10の垂直連続搬送に適する構成であるとともに、カルーセル型リフタ5cの奥行きをより狭めて設置面積をより縮小することができる。
【0059】
[第三の実施形態]
次に、第三の実施形態に係るカルーセル型リフタについて、図11に基づいて以下に説明する。図11は、第三の実施形態に係るカルーセル型リフタを示す斜視図である。尚、第一の実施形態と同一の部材については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0060】
第一の実施形態に係るカルーセル型リフタ5は、チェーン手段2として、開口部(入庫ポート105の開口部及び出庫ポート106の開口部)に対して前方及び後方に2つのチェーンユニット4a、4bを備えるが、第三の実施形態に係るカルーセル型リフタ5cのチェーン手段2cは、図11に示すように、開口部(入庫ポート105の開口部及び出庫ポート106の開口部)に対して後方のみにチェーンユニット4bを備え、前方のチェーンユニット4aが省略されている。従って、搬送台17は、後方において後方連結部材15のみに支持される。
【0061】
このように、第三の実施形態に係るカルーセル型リフタ5cによると、構成が更に簡略化されて、搬送台17の一端が一対のチェーンモジュール6c、6dから構成されるチェーンユニット4bで回動自在に支持されることから、カルーセル型リフタ5cの設置可能高さが更に低い場合、搬送台17の設置個数が更に少ない場合、FOUP10の重量が更に小さい場合におけるFOUP10の垂直連続搬送に適する構成であるとともに、カルーセル型リフタ5cの奥行きを更に狭めて設置面積を大幅に縮小することができる。
【0062】
尚、第三の実施形態に係るカルーセル型リフタ5cにおいて、図12に示すように、一対のチェーンモジュール6c、6dからなるチェーンユニット4bを挟んで両側に一対のガイド板(軌道平板)35a、35bを配置することが好ましい。そして、チェーンモジュール6cの後方リンク8aにガイドローラ(従動輪)36aを、チェーンモジュール6dの後方リンク8cにガイドローラ(従動輪)36bを取り付け、2個のガイドローラ36a、36bはそれぞれ対応するガイド板35a、35bに当接し、チェーン22a、22bが循環する間、常にガイド板35a、35bの表面を習いガイドする。これにより、スムースな循環が得られることにより、チェーンユニット4bのチェーン22a、22bの揺動は最小限に抑えられて、FOUP10の搬送を円滑に行うことができる。
【0063】
以上、本発明は、上記の好ましい実施形態に記載されているが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされる。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。また、具体例は、本発明の構成を例示したものであり、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】第一の実施形態に係るカルーセル型リフタを示す斜視図である。
【図2】第一の実施形態に係るカルーセル型リフタのチェーンユニット及び搬送台の構造を示す正面図である。
【図3】第一の実施形態に係るカルーセル型リフタの連結部材及び搬送台の構造を示す斜視図である。
【図4】第一の実施形態に係るカルーセル型リフタの防塵対策構造を示す上面図である。
【図5】第一の実施形態に係るカルーセル型リフタのチェーンモジュールと姿勢矯正部材とを示す側面図である。
【図6】第一の実施形態に係るカルーセル型リフタのチェーン切断検知センサを示す斜視図である。
【図7】第一の実施形態に係るカルーセル型リフタのチェーンの切断モードを示す正面図である。
【図8】第一の実施形態に係るカルーセル型リフタのチェーン切断検知センサのチェーン切断時におけるセンシングの状況を説明する斜視図である。
【図9】吊下げ型の搬送台を備える第一の実施形態に係るカルーセル型リフタの局部拡大斜視図である。
【図10】第二の実施形態に係るカルーセル型リフタを示す斜視図である。
【図11】第三の実施形態に係るカルーセル型リフタを示す斜視図である。
【図12】第三の実施形態に係るカルーセル型リフタの変形例を示す一部拡大斜視図である。
【図13】従来技術に係る垂直連続搬送装置の一例を示す断面側面図であり、図中A)はエレベータ方式のリフタ搬送装置であり、B)はカルーセル方式のリフタ搬送装置である。
【図14】従来技術に係るカルーセル方式のリフタ搬送装置を示す斜視図である。
【図15】従来技術に係るカルーセル方式のリフタ搬送装置の搬送台及びFOUPを搬入出する移載アームの構造を示す斜視図である。
【図16】従来技術に係るカルーセル型リフタのFOUP搬入出用ポートを含めた全体領域の装置レイアウトを示す図である。
【図17】従来技術と比較して開発が求められるカルーセル型リフタのFOUP搬入出用ポートを含めた全体領域の装置レイアウトを示す図である。
【符号の説明】
【0065】
2 チェーン手段
3 姿勢矯正部材
4 チェーンユニット
5 カルーセル型リフタ(垂直連続搬送装置)
6 チェーンモジュール
7 前方リンク(リンク部材)
8 後方リンク(リンク部材)
10 FOUP(被搬送物)
14 前方連結部材
15 後方連結部材
17 搬送台
18 駆動モータ(駆動手段)
19 スプロケット(懸架軸)
21 チェーン
22 チェーン
23 搬送台
25 チェーン切断検出センサ
26 チェーン切断検出センサ
28 当接ローラ(当接輪)
29 ローラフレーム(フレーム)
30 前面カバー
31 前面カバー
32 前面カバー
33 背面カバー
35 ガイド板(軌道平板)
36 ガイドローラ(従動輪)
105 入庫ポート(搬入ポート)
106 出庫ポート(搬出ポート)
107 移載アーム(移載手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数階層において被搬送物を垂直方向に連続搬送する垂直連続搬送装置であって、
前記被搬送物を搬入及び搬出する搬入ポート及び搬出ポートにおいて、前記被搬送物の搬入方向と搬出方向が平行となるように隣接設置され、前記被搬送物を搬入及び搬出する際に前記搬送台に前記被搬送物を移載する一組の移載手段と、
垂直方向上下に配置された一対の懸架軸と前記懸架軸に懸架されて前記懸架軸を駆動させる駆動手段の駆動に伴い垂直方向に循環するチェーンとからなる1つまたは複数のチェーンモジュールと、前記チェーンの外周面に所定間隔毎に固定設置されたリンク部材を介して前記チェーンの外周面に回動自在に支持されて前記チェーンに連動して前記チェーンの外周に沿って垂直方向に循環し、被搬送物を載置する複数の搬送台と、により構成されるチェーン手段と、
を備え、前記懸架軸の軸方向に対して前記被搬送物の搬入方向及び搬出方向が平行となり、且つ、循環する前記搬送台に対して前記被搬送物を移載できるように前記移載手段が設置されることを特徴とする垂直連続搬送装置。
【請求項2】
軸方向及び垂直方向に所定寸法の段違いで設置された略同一寸法の2つの前記チェーンモジュールの2つの前記リンク部材が連結部材を介して回動自在に連結されて構成されたチェーンユニットが、前記懸架軸の軸方向に所定間隔隔てて2つ平行設置されるとともに、2つの前記チェーンユニットのそれぞれの前記連結部材が垂直方向に同一高さになるように設置されて、前記搬送台が2つの前記チェーンユニットのそれぞれの前記連結部材にその両端が回動自在に支持されて前記チェーン手段が構成されることを特徴とする請求項1に記載の垂直連続搬送装置。
【請求項3】
軸方向及び垂直方向に所定寸法の段違いで設置された略同一寸法の2つの前記チェーンモジュールの2つの前記リンク部材が連結部材を介して回動自在に連結されて構成された1つのチェーンユニットと、1つの前記チェーンモジュールが、前記懸架軸の軸方向に所定間隔隔てて平行設置されるとともに、1つの前記チェーンユニットの前記連結部材と1つの前記チェーンモジュールの前記リンク部材が垂直方向に同一高さになるように設置されて、前記搬送台が1つの前記チェーンユニットの前記連結部材と1つの前記チェーンモジュールの前記リンク部材にその両端が回動自在に支持されて前記チェーン手段が構成されることを特徴とする請求項1に記載の垂直連続搬送装置。
【請求項4】
2つの前記チェーンモジュールが前記懸架軸の軸方向に所定間隔隔てて平行設置されるとともに、2つの前記チェーンモジュールのそれぞれの前記リンク部材が垂直方向に同一高さになるように設置されて、前記搬送台が2つの前記チェーンモジュールのそれぞれの前記リンク部材にその両端が回動自在に支持されて前記チェーン手段が構成されることを特徴とする請求項1に記載の垂直連続搬送装置。
【請求項5】
軸方向及び垂直方向に所定寸法の段違いで設置された略同一寸法の2つの前記チェーンモジュールの2つの前記リンク部材が連結部材を介して回動自在に連結されて構成された1つのチェーンユニットが設置されて、前記搬送台が1つの前記チェーンユニットの前記連結部材にその一端が回動自在に支持されて前記チェーン手段が構成されることを特徴とする請求項1に記載の垂直連続搬送装置。
【請求項6】
2つの前記チェーンモジュールのそれぞれの前記チェーンの側面に対向して前記チェーンと同一軌道で形成される2つの軌道平板が前記チェーンユニットの両側に設置され、
2つの前記リンク部材のそれぞれに支持されるとともに、それぞれ2つの前記軌道平板の対向する面に回転自在に当接する従動輪が備えられることを特徴とする請求項5に記載の垂直連続搬送装置。
【請求項7】
前記搬送台が、下方に凸のコの字形状に形成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の垂直連続搬送装置。
【請求項8】
前記チェーンモジュールが、前記搬送台及び前記搬送台を支持する前記リンク部材の循環軌道を除いてカバーで覆われることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の垂直連続搬送装置。
【請求項9】
前記チェーンモジュールが、回転自在な複数の当接輪と前記当接輪を支持するフレームとで構成され、前記移載手段に対向して前記チェーンの内周面に設置されて、前記チェーンが前記当接輪に当接した状態で回転する矯正部材を更に備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の垂直連続搬送装置。
【請求項10】
前記チェーンモジュールが、前記チェーンの側面に設けられて前記チェーンを検知し、前記チェーンを検知しない場合に前記チェーンの切断を判断するチェーン切断検知センサを更に備えることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の垂直連続搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−197164(P2007−197164A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−18439(P2006−18439)
【出願日】平成18年1月27日(2006.1.27)
【出願人】(302059274)アシスト シンコー株式会社 (146)
【Fターム(参考)】