説明

埋め込み電気絶縁連続層を備えたハイブリッド基板を製造する方法

本発明は、次の工程を含むハイブリッド基板を製造する方法に関する:第1の単結晶領域(12A)およびアモルファス材料の第2の隣接領域(12B)から構成された下位電気絶縁連続層(11)によって延在された混合層を含み、上記第2の領域は、上記第1の基板の自由表面の少なくとも一部を構成する第1の基板(10)が準備され;その表面で、所定の結晶配向を備えた基準層を含む第2の基板(20)が、少なくとも上記アモルファス領域上に、疎水性分子結合によって上記第1の基板に結合され;固相へのアモルファス領域の少なくとも一部の再結晶が、基準層の結晶配向に従って実行され、2つの基板は結合界面で分離される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド基板、すなわち、構成材料または少なくとも結晶配向について、異なるゾーンの族から形成された混合層を含むミクロ技術的な構造を形成する方法に関する。そのような基板は、同じ層内のゾーンの混合により、「混合基板」とも呼ばれる場合がある。より詳細には、本発明は、混合層が延在する連続絶縁層を含むハイブリッド基板の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
混合層の厚みは、典型的には、1nmと1μmとの間に含まれることに留意されたい。
【0003】
マイクロテクノロジーの分野では、電子部品、光学または光電子部品、またはさらにマイクロメカニカル部品(例えば、ミクロ加速器)を製造する場合、シリコン基板が多くの場合使用されるが、他の材料も使用されてもよく、他の半導体は、多くの場合、元素周期表のIV族の元素(ゲルマニウム、特に、シリコンを備えたその合金)、およびIII−V族(特に、GaAsまたはInP)、またはさらにその元素周期表のII−VI族、さらにLiNbO、SiC、ダイヤモンド等から形成されていることは明らかに理解されるに違いない。
【0004】
そのようなハイブリッド基板の使用、詳細には形成、混合層が埋め込まれているまたは表面にあるかどうかが、種々の用途、特に、MOS型のデバイスにとって関心の的となっている。
【0005】
性能に関して、MOSFETデバイスによって直面される制限を鑑みて、使用される基板(ほとんどSi)の表面の結晶配向の変化が、トランジスタの電導チャンネルの方向の変化と同じ方法で、簡単で有効な解決法として現れる。より詳細には、ホールおよび電子のそれぞれの移動性への自由表面の配向および電導チャンネルの方向の影響を多くの研究が実証した。このように、Yangらによって最近報告されるように、キャリア(ホール)の移動性の改善は、タイプ<100>の通常の自由表面と比較して、配向<110>の自由表面の使用によって得られる(下記参考文献1参照)。しかしながら、CMOS技術は、n−MOS型トランジスタ(電子による電導)およびp−MOS型トランジスタ(ホールによる電導)の同時の使用に基づく。さらに、表面の配向の変化は、電子およびホールに相反する効果を有し、このように、2つの自由表面配向を必要とし、これらの2つのタイプのキャリアによって異なる。このように、同じ基板上に2つのタイプの配向を生成するとともに、共存させることができることが望ましい。
【0006】
ハイブリッド構造を製造するための技術が既に公知である。
例えば、文献の国際公開第2004/059711または対応する米国特許出願公開第2006/0166461号が参照されてもよく、2つの基板の分子結合によって混合またはハイブリッド構造の形成を提供し、2つの基板の1つは、その表面上に、それらの構成材料の点で異なる2つのタイプのゾーンを含む。その文献では、これらの2つのタイプのゾーンは、熱酸化物がエッチングされた領域にのみ残されるように、リソグラフィ、エッチング、表面での熱酸化、および研磨の技術によって得られる。この技術の改良は、欧州特許第1923912号または対応する米国特許出願公開第2008/0079123号で提案されており、最終的に露出した表面の平坦性を確実にする犠牲層の形成を教示している。
【0007】
さらに、Yangらの上記文献(参考文献1)は、熱酸化を使用する代わりに、エッチングされたゾーンを満たし、SOI基板(このように、埋め込み電気絶縁層上に半導体層を備えた)にエッチングによって絶縁層を介してキャビティを開け、これらのエッチングされたゾーンの底からエピタキシーによってこれらのキャビティが満たされることを提案しており、その底は、エッチングされていないゾーンとは異なる結晶特性を有するように選択された材料(その絶縁層下)によって構成されている。この技術は、参考文献2により詳細に意見が述べられている。この技術は、エッチングされた各ゾーンの向かい側に間隔を置いて貫通されなければばらない酸化層の使用を必要とし、エピタキシーによってゾーンの成長を可能にするので、連続的である埋め込み電気絶縁層を有する要望と矛盾していることが留意されるべきである。
【0008】
他の製造技術は、Yinらによって記載されている(参考文献3参照)。この技術は、DSB(ダイレクトシリコンボンディング)構造、すなわち、異なる結晶配向を備えた2つのシリコン基板のダイレクトボンディングによって得られたものを使用することに基づく。リソグラフィおよびイオン注入によって、基板の1つのゾーンは、その十分な厚みを介して選択的にアモルファスとされて、2つの基板間の界面に到着し、アモルファスとされたゾーンは、他方の基板の結晶特性に従って再結晶するように誘導される。再結晶前に、アモルファスとされたゾーンとアモルファスとされていないゾーンとの間にトレンチが形成されていないなら、下位基板(第1の結晶配向に従う)からスタートするとともに、隣接ゾーン(第2の結晶方向に従う)からスタートする2つの矛盾する再結晶現象が観察されることを述べている。この技術は、異なる結晶配向のゾーンに沿った埋め込み電気絶縁層の存在と適合しないことが留意されるべきである(そのゾーンは、下位基板の結晶配向に従う結晶を防ぐ)。
【0009】
Yangら(参考文献4参照)は、シミュレーションによって、異なる配向のゾーン下で、そのような連続埋め込み絶縁体を堆積する重要性を実証し、埋め込み電気絶縁層の中断の最小化を目指したそれらの製造方法(参考文献2で定義されるように)への変更を提案している。この変更は、その絶縁層上に位置する層内に開けられたキャビティより小さい部分にわたって、埋め込み電気絶縁層を介してのエッチングを行うことからなる。それにもかかわらず、この改善された技術は、連続的である埋め込み電気絶縁層を有する要望とまだ適合していないことが理解され得る。
【0010】
このように、埋め込み電気絶縁層に隣接して、所定の結晶配向を有するゾーンから形成された混合層を含むハイブリッド基板を製造することができる必要がある(実際には、2つの異なる配向であるが、ある場合には、そのような層に所定の方法で3つ(以上)の異なる配向の1つを有するゾーンを含ませることが可能であることが有益である可能性があることが理解される。
【0011】
上記技術は、混合層が表面にあるハイブリッド基板の製造に関係することが留意されてもよいが、実際には結晶である他の層の下に、混合層が埋め込まれたハイブリッド基板を製造することができることが有用である可能性があることも理解される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第2004/059711号
【特許文献2】欧州特許第1923912号明細書
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】「High Performance CMOS Fabricated on Hybrid Substrate With Different Crystal Orientations」,IEDM03−2003,453−456頁
【非特許文献2】「Hybrid−Orientation Technology(HOT):Opportunities and Challenges」,IEEE Transaction on Electron Devices,Vol.53,No.5,2006年5月,965−978頁
【非特許文献3】「Direct Silicon Bonded(DSB)Substrate Solid Phase Epitaxy(SPE)Integration Scheme Study for High Performance Bulk CMOS」,1−4244−0439−8/06/$20.00(C),2006,IEEE
【非特許文献4】「Silicon−on−Isolator MOSFETs with Hybrid Crystal Orientations」,Symposium on VLSI Technology Digest of Technical Papers,2006
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、簡単で確実にハイブリッド基板が製造され得る方法を対象とし、ハイブリッド基板は、電気絶縁連続層を支える下位基板と、その電気絶縁連続層に隣接し、材料またはその下位基板の結晶特性に関するいかなる条件を示唆することなく、結晶特性(結晶配向の視点および/または格子定数の視点から)の特定のセットを有しながら、所定の材料によって各族のゾーンが構成されるように単結晶ゾーンの族から形成された混合層とを含む。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、このようにして、ハイブリッド基板を製造する方法を提供し、本方法は、
電気絶縁連続下位層を有する混合層を含む第1の基板を準備し、電気絶縁連続下位層は混合層に沿って延在し、混合層は、少なくとも第1の結晶材料の第1の単結晶ゾーンおよびアモルファス形態で第2の材料の第2の隣接ゾーンから形成され、それら第2のゾーンは、その第1の基板の自由表面の少なくとも一部を形成することと、
第1の基板に、疎水性分子結合によって、少なくともそれらのアモルファスゾーンにわたって、所定の結晶配向を有する表面基準層を含む第2の基板を結合することと、
少なくとも混合層に、基準層の結晶配向に従うアモルファスゾーンの少なくとも一部の固相で再結晶を引き起こすためになされる熱処理を適用し、その基準層は、結合界面を介して再結晶種の役割をすることと、
第2の基板の基準層と第1の基板の少なくとも部分的に再結晶されたゾーンの間の結合界面において分離を引き起こすことと
を含む。
【0016】
このように、分子結合によって一時的にのみ設けられる基準層に基づいて、アモルファスゾーンの再結晶を引き起こすことを本発明は教示することが留意されてもよい。電気絶縁連続層および下位基板については、このように、基準層の分離後に、Yinら(参考文献2)の教示に従うことによって得られたものに完全に相当する特性の混合層を有しながら、いかなる材料および結晶特性を選択することは可能である。しかしながら、絶縁層内でのいずれの中断にも備える必要はない。
【0017】
ハイブリッド基板から種形成基準層の分離が実行されるので、その基準層は、新しいハイブリッド基板形成サイクルに使用されてもよいことに留意することに関心を引く(場合により、分離によって露出した表面を平滑化処理、または反対に粗面化した後、以下参照)。
【0018】
一時的にのみ取り付けられる種形成層については、結合界面での未結合によって、または結合界面に隣接する破壊によって、再結晶後に、混合層からその層の分離を可能とすることが有利であることが理解され得る。これが、有利には、界面の機械的強度が意図的に下げられる、または種形成層の機械的強度がその結合界面に隣接して意図的に下げられる理由である(これらの選択が組み合わせられてもよい)。しかしながら、心配され得たものに反して、そのような低下または脆弱は、界面を介して基準層が効率的に再結晶種のその役割を担うことを妨げないことは明らかである。
【0019】
結合界面のそのような低下は、再結晶処理などの熱処理の理由で通常生じる強化にもかかわらず、結合エネルギーを低減することを目指しており、特に、分子結合によって結合される予定の面の一方および/または他方の粗面化処理によってもたらされてもよい。実際上の理由で、少なくとも基準層の自由表面を粗面化することは有利である。
【0020】
そのように得られた粗さは、有利には、0.1nmのRMSと、1nmのRMSとの間に含まれ、例えば、約0.2nmのRMSのオーダーである(AFM測定によって、すなわち、例えば、5ミクロン×5ミクロンの表面にわたる原子間力による測定によって)。この粗面化は、有利には、例えば、少なくとも単結晶のシリコンの場合には、15分間、70℃で、水、水酸化アンモニウムおよび過酸化水素(HO、NH/OHおよびH)の比率が1:1:5である溶液内でのエッチングによって得られる(彫るための各材料用の適切な溶液を選択することは、当業者の能力内である)。
【0021】
結合される予定の層の粗さを変更する代わりに、伝播する結晶情報を維持し、それによって種形成層が再結晶におけるその役割を果たすことを可能にするという条件で、犠牲層がこれらの2つの表面間で設けられてもよい。一例として、この犠牲層は、アモルファスゾーンおよび種形成層を構成する材料の合金であってもよく、その合金は、シリコンまたはゲルマニウムの種形成層に結合されたシリコンの混合層の場合には、種形成層、例えば、SiGe(1−x)上にエピタキシーによって形成される。単結晶シリコン種によってシリコンのアモルファス部分を再結晶することが望まれる場合、種上にSiGeの犠牲薄膜を堆積することが可能である。その層は、臨界厚みより小さな厚みでなければならない(SiGeが下層シリコンの格子定数で成長するまでの厚みであり、それによって、シリコンの結晶情報を保存する)。Si上のSi0.8Ge0.2について、典型的には、5nmの厚みに限定がされる。結合および再結晶のためのアニール後に、分離を得るために、次いで、例えば、機械研削または種基板で予め形成された埋め込み脆弱ゾーンに位置する破壊によって、種基板の大部分を取り除き、次いで、種基板の残りの部分を除去するために任意の適切な公知のタイプの1つまたは複数の選択的アタック溶液、もしあれば、次いで、SiGeの犠牲層(例えば、シリコンに対してSiGeを選択的に彫るための公知の溶液は、HF/HNOである)を採用することで十分である。
【0022】
未結合を促進するために、再結晶のサーマルバジェットを制限することも可能である(同時に、結合界面を強化する傾向がある)。例えば、結合界面から始めて、アモルファスゾーンの小さい部分のみ、実際には、その厚みの一部を再結晶して、再結晶処理の適用の期間を制限し、次いで、未結合を実行し(結合界面が適度な強度を有するという条件で)、次いで、補足的なサーマルバジェットの適用によってアモルファスゾーンの再結晶を継続し達成することがされてもよい。これは、結合界面の「他の側から」結晶情報を移動する間に、事前未結合サーマルバジェットが制限される(このようにして、構造が結合可能でなくなることを確実にする)ことを可能にする。サーマルバジェットの概念は、処理の温度およびその期間の両方を含むことが思い起こされることになる。
【0023】
アモルファスゾーンの一部のみ(実際には、厚みの一部)の再結晶を引き起こすようになされた第1の処理、および分離後に、アモルファスゾーンの再結晶を継続し達成するようになされた第2の熱処理(またはさらにいくつかの熱処理)の適用を備えた2つの処理工程におけるそのような再結晶は、補足的な熱処理が種形成層に適用される必要はないので、分離がなされる位置と無関係に、エネルギー利点も有する。
【0024】
たとえそれが有利でも、それらの厚みの同一部分にわたって再結晶するゾーンの至る所で再結晶が得られる必要がないことが容易に理解され得る。再結晶されるそれらの層の一部が、分離後の熱処理の時に、ゾーンの残りのための種となるのに十分に大きいことで十分である。
【0025】
基準層の機械的強度を下げる1つの方法は、その層の少なくとも一部を多孔性形態で形成すること、またはその界面の近くにおいて、形成後に、その層の少なくとも一部を多孔性にすることからなる。実際、界面に非常に接近する破壊を可能にすることが有利であっても、その多孔性ゾーンは、正確に隣接するその界面である必要はない。分離が界面から離れた位置で生じる場合、機械的および/または化学的および/または熱研磨の従来の処理が、多孔質層の破壊後に膜に結合されたままの基準層から残留物が取り除かれることを可能にすることは確かに理解され得る。
【0026】
変形例として、基準層の脆弱は、名称「Smart Cut(TM)」で公知の技術によって、非常に小さな所定の深さに、イオンの注入によってなされてもよい。そのような注入は、有利には、結合前に実行され、その結果、注入に起因する脆弱は、再結晶のための熱処理の間に成長することができる。分離は、次いで、結合界面のすぐ近くで、その脆弱層内で生じる。
【0027】
その基準層は、厚みが、数ナノメートルと、数百ミクロンとの間に含まれていることが好ましい。その基準層を構成する材料は、有利には、アモルファスゾーンと同一であり、その影響は、アモルファスゾーンが、その材料に合う格子サイズで再結晶するということである。しかしながら、その基準層に関して、アモルファスゾーンと異なる材料が、例えば、応力状態でそれらアモルファスゾーンを再結晶することが望まれる場合に選択されてもよい。アモルファスゾーンの材料がシリコンである場合、基準層の材料は、有利には、所望の状態の制約を引き起こすように選択されたシリコンの合金(例えば、ゲルマニウムとの)である(一例として、基準層のための緩和Si0.8Ge0.2の使用は、引張で圧力を加えられたシリコンのアモルファスゾーンを再結晶することに寄与する)ように、基準層の材料およびアモルファスゾーンの材料は、有利には、共通の元素を含む。
【0028】
混合層は、有利には、ゾーンに従って、所定の結晶配向の一方または他方を有する単一材料から形成される。それは、有利には、シリコンの混合層であり、例えば、ゾーンに従って、<100>または<110>で置かれている。しかしながら、必要に応じて、混合層が形成されてもよく、ゲルマニウムまたはシリコンとの合金、SiCなどのシリコンの他の合金、または元素周期表のIII族およびV族の元素間の合金、または炭素、または石英、またはLiTaO、LiNbOなどの任意の他の半導体材料であってもよいことが容易に理解され得る。
【0029】
混合層が、様々なゾーンで単一材料から形成される場合、アモルファスゾーンの形成は、基準層(つまり、第1のゾーンが混合層の生成の最後に有するもの)の1つでない結晶配向の1つを有する単結晶層内でゾーンをアモルファスとすることによって得られてもよい。
【0030】
しかしながら、アモルファスゾーンの形成は、単結晶層(将来の第1のゾーンの結晶特性を有する)にキャビティを開け、次いでキャビティを新しい材料で満たすことによってなされてもよく、特に、ゾーンが異なる結晶配向だけでなく、異なる構成材料を有する混合層を得ることを可能にする利点を有することが分かる。堆積によってアモルファスゾーンを形成することは、アモルファスゾーンが混合層の残りと同じ材料から生成される場合でさえ、堆積によるアモルファスゾーンの形成が、アモルファス化が実行される場合よりもそれら隣接ゾーンとの相当に低い結晶適合性を引き起こすので、隣接ゾーンからスタートするアモルファスゾーンのより少ない再結晶をもたらす利点を有する。
【0031】
アモルファス材料の堆積は、炉内で、いくつかの基板上で実行されてもよいことに留意されたい(そのために、用語ウェハは、数十センチメートルの直径、例えば、30cmのディスクである場合使用される場合がある)。これは、このように、公知の集合的処理であり、適度なコストで信頼できて速い生成をもたらす。
【0032】
混合層のゾーンは、有利には、第1の基板の自由表面がそれ自体混合されるように、厚みがその層の厚みと等しい状態で、アモルファス化またはアモルファス材料の堆積によって形成される。変形例として、混合層の第1のゾーンのみが、その混合層の厚みの一部にわたって電気絶縁連続層からスタートして延在し、アモルファス材料は、それらの第1のゾーンに隣接するだけでなく、それらの上に位置している。アモルファス材料は、このように、第1のゾーンおよび第2のゾーン上に延在するので、アモルファス材料は、第1の基板の全自由表面に沿って連続的に延在する。そのような構成は、第1のゾーンの材料から形成された第1の層から第1の基板が形成される場合に相当し、ここで、その第1の層の厚み全体にわたってキャビティが開けられ、アモルファス材料が、第2のゾーンを形成するためにそれらのキャビティ内および第1および第2のゾーンのセット上に所定の厚みにわたって堆積される。
【0033】
有利には、下位電気絶縁連続層は、酸化物、好ましくは、混合層の材料の酸化物、例えば、アモルファスゾーンを構成する材料の酸化物である。それは、下位基板上に堆積された酸化物だけでなく、下位基板から形成された熱酸化物であってもよい。このように、この層は、有利には、酸化シリコンからなる。一般的には、この電気絶縁連続層の材料は、再結晶工程(酸化物、またはさらに窒化物、HfOなど)と適合するというという条件で、広範囲のミクロ技術材料から選択されてもよい。電気絶縁連続層は、均質層または複数の基本層(同一または異なっている)であってもよい。
【0034】
この電気絶縁連続層は、有利には、数ナノメートルと、数ミクロンとの間に含まれた厚みである。その層が十分に厚い場合、その層は、下位基板によって支持される必要をなくすことができ、それ自体では混合層用のキャリア基板を構成してもよいことが容易に理解され得る。
【0035】
分子結合が疎水性的に実行されることが記載されていた。これは、確かに、結合界面にわたって結晶情報の良好で十分な伝播を得る最良の方法(またはさらに唯一の方法)である。しかしながら、表面の1つが親水性である場合、界面に存在する酸化物が、その結晶情報の良好な伝播を防ぐことが分かった。
【0036】
有利には、再結晶のための熱処理は、採用される材料に従って、200℃と1300℃との間、好ましくは350℃と1200℃との間に含まれる温度で実行される。それらの材料に従って、処理の期間は、典型的には、数秒と数時間との間に含まれる(特に、アモルファスシリコンの場合)。
【0037】
少なくとも部分的に再結晶された混合層からの種形成基準層の分離は、種形成層(それが少なくとも部分的に多孔性の場合に、またはイオンがそこに注入された場合に)、または結合界面(その結合エネルギーが低い場合に)によって(または内に)構成された、少なくとも脆弱ゾーン内で、ツール(例えば、ブレード)の機械的挿入によって、または流体(特に、ガスまたは水)、または音波によって実行されてもよい。
【0038】
部分的に再結晶された混合層と種形成層との間の分離後、熱アニールは、有利には、まだ存在する考えられる結晶欠陥をそこから除去するために、その混合層に適用される(このアニールは、有利には、再結晶が実行された温度より一般的に高い温度で実行される)。
【0039】
仕上げ工程は、特に、例えば、粗さに関して良好な表面状態を得るために、そのように得られた構造に役立ってもよい。それら仕上げ工程は、このようにして、還元雰囲気、真空下などで、化学機械研磨、アニール操作などの工程であってもよい。
【0040】
上記において、種形成層が連続的で均質だったことが非明示的に示された。これは、本発明の実行に必要ではない。このように、本発明は、また、ナノワイヤ(すなわち、ナノメートルまたは数ナノメートル、典型的には、5ナノメートル未満の大きさの直径のワイヤ)、例えば、酸化シリコン、あるいはSiGe(1−x)に囲まれたシリコンのナノワイヤからなる不連続層によって構成された種形成層で実行されてもよい。
【0041】
一例として、シリコンから形成された層の場合には、シリコンナノワイヤは、有利には、シリコンナノワイヤがすべて同じ結晶情報を有するように、単結晶シリコン基板上に生成される(「Kuiqing Peng,Ying Xu,Yin Wu,Yunjie Yan,Shuit−Tong Lee and Jing Zhu,small 2005,1,No.11,1062−1067頁」参照)。実行された方法は、例えば、以下に記載されたものである:
Allon I.Hochbaum,Rong Fan,Rongrui He and Peidong Yang,NANO LETTERS 2005,Vol5,No.3,457−460頁
Kuiqing Peng,Juejun Hu,Yunjie Yan,Yin Wu,Hui Fang,Ying Xu,Shuit−Tong Lee and Jing Zhu,Adv.Funct.Mater.2006,16,387−394頁
【0042】
好ましくは、酸化物の層は、次いで、ナノワイヤのセット上に堆積され、化学機械研磨の工程後に、「Volker Schmidt,Heike Riel,Stephan Senz,Siegfried Karg,Walter Riess and Ulrich Gosele,small 2006,2,No.1,85−88頁」で説明されるように、酸化物および結晶シリコンからなる表面が得られる。次に、層上で疎水結合が実行され、それは、例えば、シリコンからなり、少なくとも部分的にアモルファスであり、次いで、再結晶のためのアニールが実行される。分離は、次いで、複合酸化物/ナノワイヤ層内で、好ましくは、機械的および/または化学的に(例えば、HF中での酸化物の分解)なされる。分離を促進するために、低い機械的強度を有する層、例えば、HfO、またはHfOおよび酸化シリコンからなる双晶層(分子結合に必要な平面を得るために、化学機械研磨が促進されることを可能にする酸化シリコンの上側層)で、ナノワイヤのまわりにある酸化シリコンを置換することが可能である。
【0043】
種形成層に関して前に述べられたように、ナノワイヤは、ゲルマニウムを再結晶することが望まれる場合(ゲルマニウムの通常の結晶形態による)、シリコンではなく、ゲルマニウムなどの他の材料であってもよい。
【0044】
シリコンナノワイヤ上にSi(1−x)Ge(例えば、x=0.2)を成長させることが可能もあり、その利点は、特に、緩和格子定数を備え、ナノワイヤ内に応力のないSi(1−x)Geを得ることである。アモルファスゾーン(例えば、シリコンの)の再結晶においては、それは、種になるナノワイヤのパラメーターであり、再結晶後、および分離後に、Si(1−x)Geに対応する格子定数を備え、従って内部応力を備えたシリコンが得られることを可能にする。
【0045】
均質層よりはむしろナノワイヤを使用して種形成層を形成する際の関心は、いくつかの材料の存在が分離を促進する可能性があるということであることが理解され得る。ナノワイヤは、緩和材料を容易に得ることも可能にする。
【0046】
本発明の目的、特徴および利点が、添付図面を参照して限定しない説明として与えられた次の記載から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明によるハイブリッド基板の製造のためになされる第1の基板の断面図である。
【図2】第1の実施形態による、第1の準備工程後の断面図である。
【図3】第1の実施形態による、第2の準備工程後の断面図である。
【図4】第1の実施形態によるその第1の基板と、第2の基板との一時的組立品の断面図である。
【図5】再結晶の工程および第1の基板を第2の基板から分離する工程後の組立品の断面図である。
【図6】第2の実施形態による第1の準備工程後の図1に類似する第1の基板の断面図である。
【図7】第2の実施形態による第2の準備工程後の断面図である。
【図8】第2の実施形態による第1の基板と、第2の基板との一時的組立品の断面図である。
【図9】再結晶工程および分離工程後のその断面図である。
【図10】第3の実施形態による第1の準備工程後のさらに他の第1の基板の断面図である。
【図11】第3の実施形態による第2の準備工程後の断面図である。
【図12】第3の実施形態による第3の準備工程後の断面図である。
【図13】第3の実施形態による第1の基板と、第2の基板との組立品の断面図である。
【図14】再結晶工程および分離工程後の組立品の断面図である。
【図15】選択薄層化工程後の断面図である。
【図16】変形実施形態による他の組立品の断面図である。
【図17】他の実施形態による分離工程後の図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
第1の例の実施形態
図1から図5は、本発明の第1の実施形態を示し、特に簡単である。
【0049】
所定の配向に従って置かれた電気絶縁連続層11および単結晶層12を含む(図1参照)スタート基板10が開始される。
【0050】
ここで、単結晶層12は、ミクロン未満の厚み、例えば、約60nmのオーダーである。
【0051】
連続層11は、また、ここで検討される例では、1ミクロン(約600nmのオーダー)未満の厚みである場合、連続層11は、キャリア(または下位)基板13によってそれ自体支持される。
【0052】
検討される例において、キャリア基板は、シリコンからなり、それは多結晶である(しかしながら、そのキャリア基板を構成する材料は、本発明の実行に役割を有さず、その結晶特性を示さないことが以下に明らかとなる)。さらに、連続層11は、例えば、キャリア基板13の熱酸化によって形成された酸化シリコンからなる。層12に関して、それは、ここではシリコンからなり、所定の配向、つまり<100>を備えている。
【0053】
そのような第1の基板10は、SOI型の構造であるとして分析されてもよい。最初に、この略称は、絶縁体(シリコンオンインシュレーター)上にシリコンを含む構造を指定したが、マイクロ技術において他の材料の使用の開発を考えると、この略称は、今では、一般的に、絶縁体(セミコンダクターオンインシュレーター)上の半導体を指す。
【0054】
その基板の準備の第1の工程は、不連続マスク14の堆積が、層12内で第1のマスクゾーン12Aおよび第2の非マスクゾーン12Bの範囲を定めるためになされた状態で図2に図式化されている。
【0055】
図3は、図2の非マスクゾーン12Bをイオンの局部注入によってアモルファス化することからなる基板10を準備する第2の工程を図式化する。
【0056】
完全に当業者の能力内で、いくつかの基本工程でマスク14の形成が実行されてもよいことが理解され得る。一般的に、このマスクの形成が、それ自体公知のマイクロリソグラフィー技術によって得られるといってもよい。マイクロリソグラフィー技術は、有利には、フォトリソグラフィによるマスク操作である。
【0057】
マスク14の除去後(図3参照)、基板10は、混合層12を含み、混合層12は、混合層12に沿って延在する電気絶縁連続下位層11を有し、少なくとも第1の結晶材料の第1の単結晶ゾーン12Aおよびアモルファス形態の第2の材料の第2の隣接ゾーン12Bから形成されており、これら第2のゾーンは、その第1の基板の自由表面の少なくとも一部を形成する。検討される例において、第1および第2のゾーンは、同じ材料、つまり、シリコンからなる。
【0058】
実際、ゾーン12Aおよび12Bは、層12の全体厚みにわたって延在するので、同じ混合は、ここでは、下位層との界面、および表面で観察されてもよい。
【0059】
次に(図4参照)、第1の基板10は、少なくともそれらのアモルファスゾーン上での疎水性分子結合によって第2の基板20に取り付けられ、第2の基板は、所定の結晶配向を有する表面に基準層を含む。ここで検討される例では、基板20は、全体として、基板20が所定の結晶配向を有する基準層を形成するように均質で単結晶である。しかしながら、表されない変形例として、基準層は、厚みにおいて、自由表面(図4で下向きに置かれた)に沿って延在するその基板の一部に限定され、基板20の残りは、任意の結晶配向の単結晶または多結晶の任意の材料からなることができる。
【0060】
その層は、有利には、アモルファスゾーン12Bと同じ材料、ここでは、シリコンから構成される。より一般的には、層は、アモルファス材料の考えられる結晶構造と適合する結晶パラメーター(特に、配向および格子サイズの観点から)を有する材料からなる。ほとんどの場合、元素およびその酸化物は、特に、シリコンの場合、適合する結晶特性を有さない。
【0061】
記載された例の実施形態では、基準層は、基板(典型的には、725μmの厚み)である。この基準層は、ゾーン12Aとは異なる結晶配向を有し、検討される例では、<110>に相当する。
【0062】
次に、少なくとも基準層に、および混合層に(実際には、組立品10+20の全体に)、ゾーン12B(図5参照)を構成するアモルファス材料の再結晶を引き起こすのにふさわしい熱処理が適用される。アモルファスゾーンと基準層との間の界面で確立された分子結合によって、この再結晶は、酸化物の下位層のものとよりはむしろ、基準層の結晶パラメーターに従ってなされる。実際には、結晶のままであったゾーン12Aとの界面から始まるアモルファスゾーンの再結晶と同時に起こる現象がある可能性があるが、それは、アモルファスゾーンの実際の寸法を鑑みて一般的に適度である(それらの厚みは、図面において、連続層に平行なそれらの幅に対して非常に誇張されている)。
【0063】
このように、ゾーン12Bは、基準層の配向に従って、つまり、配向<110>に従って再結晶し、隣接ゾーンは、<110>の元の配向を維持した。
【0064】
このアニールは、例えば、200℃と1200℃との間で0.5℃/分の温度傾斜からなっていてもよい。
【0065】
最後に、任意の公知の適切な手段によって、第2の基板から第1の基板の分離が引き起こされ、そのゾーン12Bは、再結晶されている(図5も参照)。
【0066】
この分離は、ここで、結合界面の未結合により生成され、それは、基準層が熱処理の時に再結晶種の役割をすることを確実にするための十分な機械的強度に結びつく方法で実行されることを結合に要求するが、基板、特に、混合層12を低下させることなく、その再結晶後に分離を可能にするのに十分に脆弱である。再結晶処理は、分子結合の実現の状態における妥協を決定するために、その注意がされなければならないように、分子結合を強化する傾向があるために実際には十分に高温である熱処理であることが、ここで思い出されるべきである。
【0067】
いくつかのタイプの処理(化学、熱、プラズマ、機械的など)は、「取り外し可能な」界面をもたらす疎水性分子結合のそのような工程で、平坦度、粗さおよび化学的性質の観点から、基準層の表面および混合層の表面を準備してそれらを適合するために当業者の能力内にある。
【0068】
次に、選択的に、表面処理(化学および/または熱および/または機械的など)が実行されて、界面の取り外しによってさらされた表面を、ハイブリッド基板が適用される予定である処理にさらに適応する。
【0069】
この表面処理は、表されない変形例として、混合層の厚みまたはキャリア基板の厚みを低減することを目標とする薄層化処理と置き替えられる。
【0070】
アモルファス化の前または後に(または再結晶前または後であっても)、ゾーン12A、12B間のトレンチ(参照記号3参照)の形成などの他の選択操作が、適用されてもよい。
【0071】
図1の基板10は、このようにハイブリッド基板になり、特に、nFETタイプ(配向<100>を備えたゾーン上)およびpFET(配向<110>のゾーン上)の電界効果トランジスタの同時生成を可能にする。
【0072】
2つの族のゾーンを有さないが、3つ(以上)の族のゾーンを有し、各ゾーンは、所定の結晶配向を有するハイブリッド基板を、同様の方法で準備することが可能であることが容易に理解され得る。
【0073】
再結晶のための熱アニールは、変形例として、2つの工程(またはさらに多い)で実行されてもよく、その第1の工程は、界面からスタートするアモルファスゾーンの厚みの一部の再結晶を引き起こすのに十分であり、それは場合により小さい可能性がある。分離後に、アモルファス層の残りの再結晶は、種としての再結晶される部分をアモルファスゾーンの残りに使用して、1つまたは複数の工程で得られてもよい。第1の工程は、例えば、上記のものより速い立ち上がりである。
【0074】
さらに他の変形例によれば、種形成層は、将来の分離を局部にとどめるように、イオンの適切な注入によって予め弱められる。
【0075】
第2の例の実施形態
図6から図9は、本発明の方法の第2の例の実施形態を図式化する。
【0076】
これらの図では、図1から図5のものに類似する要素は、番号100を付加することによってそれらの図1から図5で使用されるものから推定され得る参照符号で示される。
【0077】
第1の例のように、SOI型の基板110が開始され、キャリア基板113上に電気絶縁連続層111および単結晶層112から形成される。この基板110は、基板10と同じ寸法および同じ性質の層を有する。このように、基板110は、シリコン、例えば、多結晶シリコンのキャリア基板から形成され、SiOの層で被覆され、それ自体、配向<100>のシリコンの単結晶層によって被覆されている。
【0078】
図2とは対照的に、図6で図式化された第1の準備工程は、結晶特性を変えるためになされるゾーン112Bを被覆する第1の不連続マスク114の形成を含む。さらに、この第1の工程は、非マスクゾーン112Aの薄層化を含む。もちろん、この薄層化は、図6において、層112の初期の厚みのおよそ半分の低減に相当し、より適度であってもよい。
【0079】
図7は、図2および図3のもの、すなわち、1工程に相当する第2の準備工程を図式化し、それによって、マスク114の除去と組み合わせて、第2の不連続マスク115が、それらの結晶配向を維持する予定のゾーン112Aを覆って形成され、非マスクゾーンがアモルファスにされる。図6の第1の工程を鑑みて、アモルファス化は、マスクゾーン112Aの厚みより大きな厚み(層112の初期の厚み)に実行される。マスク115は、次いで、取り除かれる。マイクロリソグラフィーのこれらの様々な工程は、それ自体、当業者に公知である。
【0080】
この段階で、第1の基板は、アモルファス化ゾーン112Bを含み、それは、ゾーン112Aに対して突出しており、結晶の観点から元の状態のままであった。
【0081】
このように、第2の基板120(配向<110>の)と第1の基板110を接触して置くことは、ここでは、本発明の第1の例の実施形態と同一であり、それらのアモルファス化ゾーンの自由表面を介してなされるだけであることが理解され得る(図8参照)。考えられる外部からの反応は、このようにして、第1のゾーン112Aおよび基準層120の接面で回避される。
【0082】
アモルファス化ゾーンの再結晶を引き起こすのにふさわしいアニール処理の適用後、この第2の例による本発明の方法の実行は、任意の適切な手段によって、第1の基板から第2の基板を分離する工程を含む(図9参照)。
【0083】
第1の例のような同じ選択操作が、次いで実行されてもよい。実際には、ゾーン112Aおよび112Bの自由表面間のレベル差を構成することを目的とした研磨(または任意の他の平滑化処理、例えば、H下のアニール、真空下のアニールなど)を実行することが推奨される。それにもかかわらず、この差は、例えば、全体または一部で部品を生成するために利用されることが可能である。
【0084】
このように、本発明のこの第2の例の実施形態は、疎水性分子結合が再結晶するゾーンに限定されるということによって、第1の例と区別され、それらの結晶特性を保存しなければならないゾーンを保護する傾向がある。
【0085】
第1の例のように、再結晶のためのアニールは、分離工程によって分離された2工程で実行されてもよい。
【0086】
第3の例の実施形態
第1および第2の実施形態の例によれば、SOI型の第1の基板が開始され、その上側層は、混合層内で形成することが望まれるゾーンの族の1つの結晶特性を有し、アモルファスゾーンの形成は、その上側層の一部のアモルファス化によってその中で実行されることが留意されてもよい。図10から図14は、アモルファスゾーンの他のタイプの形成を実行する本発明の第3の例の実施形態を表す。
【0087】
この第3の実施形態の例において、第1の例に関して使用されるものに類似する要素は、番号200を付加することによって、その第1の例から推定される参照符号によって指定される。
【0088】
従って、この第3の例の実施形態では、スタート基板210が開始され、キャリア基板213によって運ばれ、単結晶層212の上にある電気絶縁連続層211を含む。それは、有利には、第1および第2の例で使用されたものと同一のSOI型の基板である。
【0089】
図10は、図2に類似し、層212は、不連続マスク214によって被覆されている。
【0090】
第1および第2の例とは対照的に、マスク214は、非マスクゾーン212Bの位置で、元の層のゾーンを選択的にアモルファス化するのではなく、その層にキャビティを開けるために使用されて、任意の適切な公知のタイプの溶液でエッチングすることによって、連続層211(図11参照)に達する。
【0091】
このエッチング工程後に、キャビティ212Bを満たすように、アモルファス材料を堆積する工程(図12参照)が続く。ここで図式化された例において、図11の工程で形成されたキャビティが満たされるまでだけでなく、初期層212の全体を被覆して連続的な膜216が形成されるまで、アモルファス材料の堆積が継続される。第1の基板の自由表面は、次いで、アモルファス材料によって完全に構成される。
【0092】
アモルファスゾーンが材料の堆積によって形成される場合、その材料は、第1および第2の例とは異なり、元の層212とは異なっていてもよい。しかしながら、ここで検討される例において、前の例のように、その材料はシリコンである。
【0093】
第2の基板220が、少なくとも表面に、アモルファス材料の再結晶のための後の処理(その図13参照)で再結晶種を形成するためになされる参照材料を含む状態で、上記のように、第1の基板のその自由表面が、取り外し可能な疎水性分子結合と適合するように(図13参照)、任意の適切なタイプ(化学、熱、プラズマ、機械的など)の第1の基板の自由表面を準備する選択工程が行われる。
【0094】
この結合界面では、第1の基板が単一の均質材料から完全に形成されるということによって、2つの基板間の界面の機械的強度の良好な制御を得ることがここで容易になることが理解され得る。
【0095】
上記のように、結合界面を取り外すことは、次に、任意の適切な手段によって行われる(図14参照)。次いで、前の例のように、考えられる工程の仕上げ工程が行われてもよい。
【0096】
前の例とは対照的に、この第3の例の実行は、電気絶縁連続層に沿って、異なる結晶配向を有する単結晶ゾーンを交互にすることを含む、混合層の形成をもたらし、一方、分離によって露出した表面に沿って単一の結晶配向がある。言いかえれば、混合層は、異なる厚みのゾーンの族を含み、ここで、それぞれは、元の層212の厚みによって、およびアモルファス材料の堆積の最大厚みによって決まる。
【0097】
必要に応じて、任意の薄層化工程は、異なる結晶配向のゾーンが同じ厚みにわたって延在する混合層をもたらすために実行されてもよい(図15参照)。
【0098】
この第3の例の実施形態の変形例として、典型的には、イオン衝撃(例えば、「Smart Cut(TM)」技術による)による脆弱化工程が、初期のゾーン212A上にある連続層216内で実行されてもよく、研磨によってその連続層を取り除かなければならないことを回避することを可能にすることが留意されるべきである。
【0099】
上記のように、再結晶は、数工程で実行されてもよい。
【0100】
分離変形例
前の例は、再結晶に必要なアニール処理がもたらす強化にもかかわらず、取り外し可能な結合、このように、分離されることが可能に制御される機械的強度を実行する。
【0101】
図16および図17は、分離工程(および、つまりは第2の基板の準備)の変形例を示す。
【0102】
図16は、第1の基板に結合される予定のその自由表面のすぐ近くで第2の基板320を脆弱にすることからなる工程を示し、参照記号310(それは、前の例の第1の基板の任意の1つであってもよい)で表される。この脆弱化の結果は、その自由表面に沿って延在する層321によって図式化される。それは、有利には多孔質層である。
【0103】
その多孔質層は、例えば、外部分極下でHF系電解質への露出によって、その自由表面からスタートする第2の基板の所定の厚みに形成されてもよい。この処理は、有利には、接触して置くことおよび第1の基板と第2の基板の疎水性分子結合の前に実行される。
【0104】
再結晶(その気孔率を変更してもよい)のためのアニール後、例えば、ブレードなどのツールの挿入、または高圧下での流体の注入によってその多孔質層内で分離が引き起こされる。
【0105】
図17の構造は、次いで得られて、さらに、任意の適切な公知のタイプの研磨処理が、結合界面が露出されることを可能にする。しかしながら、用途によれば、多孔質層の一部を維持する、または反対に混合層が薄くなるまで研磨を続けることは許容できてもよい。
【0106】
当然のことながら、第2の基板は、再結晶の新しいサイクルに再度使用されてもよい。これは、小さな厚みのみが各再結晶サイクルで消費されるので、分離が結合界面でなされる第1および第2の例においてだけでなく、第3の例においても当てはまる。
【0107】
参考文献
参考文献1:Yang,Ieong,Shi,Chan,Chan,Chou,Gusev,Jenkins,Boyd,Ninomiya,Pendleton,Surpris,Heenan,Ott,Guarini,D’Emic,Cobb,Mooney,To,Rovedo,Benedict,Mo,Ngによる「High Performance CMOS Fabricated on Hybrid Substrate With Different Crystal Orientations」,IEDM03−2003,453−456頁に掲載
参考文献2:Yang,Chan,Chan,Shi,Fried,Stathis,Chou,Gusev,Ott,Burns,Fischetti,Ieongによる「Hybrid−Orientation Technology(HOT):Opportunities and Challenges」,IEEE Transaction on Electron Devices,Vol.53,No.5,2006年5月,965−978頁に掲載
参考文献3:Yin,Sung,Ng,Saenger,Chan,Crowder,Zhang,Li,Ott,Pfeiffer,Bendernagel,Ko,Ren,Chen,Wang,Liu,Cheng,Mesfin,Kelly,Ku,Luo,Rovedo,Fogel,Sadana,Khare,Shahidiによる「Direct Silicon Bonded(DSB)Substrate Solid Phase Epitaxy(SPE)Integration Scheme Study for High Performance Bulk CMOS」,1−4244−0439−8/06/$20.00(C),2006,IEEEに掲載
参考文献4:Yang,Chan,Kumar,Lo,Sleight,Chang,Rao,Bedell,Ray,Ott,Patel,D’Emic,Rubino,Zhang,Shi,Steen,Sikorski,Newbury,Meyer,To Kozlowski,Graham,Maurer,Medd,Canaperi,Deligianni,Tornello,Gibson,Dalton,Ieong,Shabidiによる「Silicon−on−Isolator MOSFETs with Hybrid Crystal Orientations」,Symposium on VLSI Technology Digest of Technical Papers,2006に掲載

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッド基板を製造する方法であって、
電気絶縁連続下位層を有する混合層を含む第1の基板を準備し、電気絶縁連続下位層は混合層に沿って延在し、混合層は、少なくとも第1の結晶材料の第1の単結晶ゾーンおよびアモルファス形態で第2の材料の第2の隣接ゾーンから形成され、それら第2のゾーンは、その第1の基板の自由表面の少なくとも一部を形成することと、
第1の基板に、疎水性分子結合によって、少なくともそれらのアモルファスゾーンにわたって、所定の結晶配向を有する表面基準層を含む第2の基板を結合することと、
少なくとも混合層に、基準層の結晶配向に従うアモルファスゾーンの少なくとも一部の固相で再結晶を引き起こすためになされる熱処理を適用し、基準層は、結合界面を介して再結晶種の役割をすることと、
分子結合界面で、第2の基板の基準層と第1の基板の少なくとも部分的に再結晶されたゾーンとの間の分離を引き起こすことと
を含む、方法。
【請求項2】
分子結合によって結合されるようになされた面の少なくとも1つの粗面化を引き起こすことと、分子結合界面で分離を引き起こすこととを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
粗面化は、得られる粗さが0.1nmのRMSと1nmのRMSとの間に含まれるように実行されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
分子結合界面に隣接する基準層の機械的強度を下げるように第2の基板を準備することを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
基準層の少なくとも一部が多孔性であるように第2の基板を準備することと、多孔性部内で分離を引き起こすこととを含むことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
基準層を構成する材料が、アモルファスゾーンの材料と同一であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
基準層を構成する材料およびアモルファスゾーンの材料が、共通の元素を含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
混合層が、ゾーンに従って所定の結晶配向を有する単一材料から形成されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
第2のゾーンが、第1のゾーンの結晶配向を最初に有する単結晶層のアモルファス化によって得られることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
第1のゾーンの結晶配向を最初に有する単結晶層にキャビティを開け、そうして開けられたキャビティ内にアモルファス形態で第2の材料を堆積させることによって、第2のゾーンが形成されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
第1のゾーンを被覆する層が形成されるまで、アモルファス材料の堆積が実行されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
第1および第2のゾーンはシリコンからなり、電気絶縁連続層は、酸化シリコンからなることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
再結晶のための熱処理は、アモルファスゾーンの一部のみの再結晶を引き起こすようになされ、分離後に、第2の熱処理が、それらのアモルファスゾーンの再結晶を達成するようになされて適用されることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2012−507171(P2012−507171A)
【公表日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533791(P2011−533791)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際出願番号】PCT/FR2009/052091
【国際公開番号】WO2010/049654
【国際公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(510099914)
【Fターム(参考)】