説明

基板の接続構造、及び表示装置

【課題】基板と接続部材との密着性を向上させたときでも、基板と被接続部品との電気的な接続信頼性が低下するのを防ぐことができる基板の接続構造、及びこれを用いた表示装置を提供する。
【解決手段】異方性導電フィルム(接続部材)25を用いて、ソース・ゲートドライバ(被接続部品)16が接続されるアクティブマトリクス基板5の接続構造において、アクティブマトリクス基板5の表面上に形成されるとともに、ソース・ゲートドライバ16に設けられたバンプ(電極端子)16aが電気的に接続される電気配線(電極部)20と、アクティブマトリクス基板5の表面上に設けられるとともに、異方性導電フィルム25に固着される有機絶縁膜24を備え、有機絶縁膜24及び異方性導電フィルム25の少なくとも一方に、シランカップリング剤を含ませる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板とICチップ等の被接続部品とを接続する基板の接続構造、特に異方性導電フィルムなどの接続部材を用いて、被接続部品が接続される基板の接続構造、及びこれを用いた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば液晶表示装置は、在来のブラウン管に比べて薄型、軽量などの特長を有するフラットパネルディスプレイとして、液晶テレビ、モニター、携帯電話などに幅広く利用されている。このような液晶表示装置では、複数のソース配線及び複数のゲート配線をマトリクス状に配線するとともに、ソース配線とゲート配線との交差部の近傍に薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)等のスイッチング素子を有する画素をマトリクス状に配置したアクティブマトリクス基板を、情報を表示する表示部としての液晶パネルに用いたものが知られている。
【0003】
また、上記のような液晶パネルには、その液晶層を駆動するために、ソース配線及びゲート配線にそれぞれソース信号及びゲート信号を出力するソースドライバ及びゲートドライバが設けられており、これらのソースドライバ及びゲートドライバは、例えばCOG(Chip On Glass)実装を用いて、アクティブマトリクス基板に接続されている。
【0004】
また、従来の基板の接続構造には、例えば下記特許文献1に記載されているように、ガラス基板の表面に設けられた第1の電極に対して、エポキシ樹脂と第1の硬化剤としてのシランカップリング剤と導電性粒子を含有した接着剤(導電ペースト)を塗布することにより、当該第1の電極を覆うように接着剤層を形成する。また、この従来の基板の接続構造では、ガラス基板に接続される被接続部品としてのTCP(Tape Carrier Package)において、当該TCPに設けられた第2の電極に対して、第2の硬化剤(例えば、金属キレート)を塗布することにより、当該第2の電極を覆うように第2の硬化剤層を形成する。そして、この従来の基板の接続構造では、上記接着剤層と第2の硬化剤層とを密着させた状態で加熱押圧することにより、上記第1及び第2の硬化剤を反応させ、エポキシ樹脂を重合させる。これにより、この従来の基板の接続構造では、ガラス基板とTCPとの間に設けられる接続部材としての接着剤を低温、短時間で硬化させて、TCPをガラス基板に接続可能とされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−238906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のような従来の基板の接続構造では、シランカップリング剤を塗布するシランカップリング処理を行うことにより、ガラス基板(基板)と接着剤層(接続部材)との密着性を向上させ、さらにガラス基板とTCP(被接続部品)との密着性を向上させていた。
【0007】
ところが、上記のような従来の基板の接続構造では、シランカップリング剤がガラス基板に設けられた第1の電極上に塗布されていたので、当該シランカップリング剤の膜厚によっては、第1及び第2の電極間の接続抵抗値が大きくなり、ガラス基板とTCPとの電気的な接続信頼性が低下するという問題点を発生した。
【0008】
上記の課題を鑑み、本発明は、基板と接続部材との密着性を向上させたときでも、基板と被接続部品との電気的な接続信頼性が低下するのを防ぐことができる基板の接続構造、及びこれを用いた表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明にかかる基板の接続構造は、接続部材を用いて、被接続部品が接続される基板の接続構造であって、
前記基板の表面上に形成されるとともに、前記被接続部品に設けられた電極端子が電気的に接続される電極部と、
前記基板の表面上に設けられるとともに、前記接続部材に固着される有機絶縁膜を備え、
前記有機絶縁膜及び前記接続部材の少なくとも一方に、シランカップリング剤を含ませたことを特徴とするものである。
【0010】
上記のように構成された基板の接続構造では、上記有機絶縁膜及び接続部材の少なくとも一方に、シランカップリング剤を含ませている。これにより、上記従来例と異なり、基板と接続部材との密着性を向上させたときでも、基板と被接続部品との電気的な接続信頼性が低下するのを防ぐことができる。
【0011】
また、上記基板の接続構造において、前記被接続部品が、前記電極端子としてのバンプを有するICチップであってもよい。
【0012】
この場合、密着性及び電気的な接続信頼性に優れたCOG実装を容易に行うことができる。
【0013】
また、上記基板の接続構造において、前記接続部材として、異方性導電フィルム、異方性導電ペースト、非導電フィルム、及び非導電ペーストのいずれかが用いられてもよい。
【0014】
この場合、接続部材は上記有機絶縁膜に対して上記シランカップリング剤によって確実に密着される。
【0015】
また、本発明の表示装置は、上記いずれかの基板の接続構造を用いたことを特徴とするものである。
【0016】
上記のように構成された表示装置では、基板と接続部材との密着性を向上させたときでも、基板と被接続部品との電気的な接続信頼性が低下するのを防ぐことができる基板の接続構造が用いられているので、当該表示装置に設けられた基板ではその接続対象の被接続部品に対して、密着性及び電気的な接続信頼性が確保された状態で接続されることができる。その結果、基板と被接続部品との不適切な接続に起因する動作不良の発生が防がれた高性能な表示装置を容易に構成することができる。
【0017】
また、上記表示装置において、情報を表示する表示部を備えるとともに、
前記表示部には、液晶層及び前記基板としてのアクティブマトリクス基板を有する液晶パネルが用いられ、
前記アクティブマトリクス基板には、前記液晶層を駆動するドライバが前記被接続部品として接続されてもよい。
【0018】
この場合、アクティブマトリクス基板に対して、ドライバを密着して、かつ、電気的な接続信頼性を確保した状態で接続することができる。
【0019】
また、上記表示装置において、前記有機絶縁膜として、前記液晶パネルの有効表示領域内に設けられた有機絶縁膜が用いられていることが好ましい。
【0020】
この場合、基板の接続構造の簡単化を容易に図ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、基板と接続部材との密着性を向上させたときでも、基板と被接続部品との電気的な接続信頼性が低下するのを防ぐことができる基板の接続構造、及びこれを用いた表示装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明の一実施形態にかかる液晶表示装置を説明する図である。
【図2】図2は、図1に示した液晶パネルの要部構成を説明する図である。
【図3】図3は、図1に示したアクティブマトリクス基板に接続されたソース・ゲートドライバ及びFPCを説明する図である。
【図4】図4は、図3のIV−IV線断面図であり、上記アクティブマトリクス基板とソース・ゲートドライバとの接続構造を説明する図である。
【図5】図5は、上記アクティブマトリクス基板における、ソース・ゲートドライバとの接続部分及びその近傍部分を示す平面図である。
【図6】図6は、上記アクティブマトリクス基板における、FPCとの接続部分及びその近傍部分を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の基板の接続構造、及び表示装置の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、本発明を透過型の液晶表示装置に適用した場合を例示して説明する。また、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態にかかる液晶表示装置を説明する図である。図1において、本実施形態の液晶表示装置1は、図1の上側が視認側(表示面側)として設置される液晶パネル2と、液晶パネル2の非表示面側(図1の下側)に配置されて、当該液晶パネル2を照明する照明光を発生する照明装置3とが設けられている。
【0025】
液晶パネル2は、一対の基板を構成するCF(Color Filter)基板4及びアクティブマトリクス基板5と、CF基板4及びアクティブマトリクス基板5の各外側表面にそれぞれ設けられた偏光板6、7とを備えている。CF基板4とアクティブマトリクス基板5との間には、図示を省略した液晶層が狭持されている。また、CF基板4及びアクティブマトリクス基板5には、平板状の透明なガラス材またはアクリル樹脂などの透明な合成樹脂が使用されている。偏光板6、7には、TAC(トリアセチルセルロース)またはPVA(ポリビニルアルコール)などの樹脂フィルムが使用されており、液晶パネル2に設けられた表示面の有効表示領域を少なくとも覆うように対応するCF基板4またはアクティブマトリクス基板5に貼り合わせられている。
【0026】
また、アクティブマトリクス基板5は、上記一対の基板の一方の基板を構成するものであり、アクティブマトリクス基板5では、液晶パネル2の表示面に含まれる複数の画素に応じて、画素電極やTFT(Thin Film Transistor)などが上記液晶層との間に形成されている(図示せず)。また、このアクティブマトリクス基板5は、本実施形態の接続構造が適用される基板であり、このアクティブマトリクス基板5には、後に詳述するように、異方性導電フィルム(ACF;Anisotropic Conductive Film)を用いて、ソース・ゲートドライバがCOG(Chip On Glass)実装されるようになっている。一方、CF基板4は、一対の基板の他方の基板を構成するものであり、CF基板4には、カラーフィルタや対向電極などが上記液晶層との間に形成されている(図示せず)。
【0027】
また、液晶パネル2では、当該液晶パネル2の駆動制御を行う制御装置(図示せず)に接続されたFPC(Flexible Printed Circuit)8が設けられており、上記液晶層を画素単位に動作することで表示面を画素単位に駆動して、当該表示面上に所望画像を表示するようになっている。また、このFPC8は、アクティブマトリクス基板5に対して、本実施形態の接続構造によって互いに接続されている。
【0028】
尚、液晶パネル2の液晶モードや画素構造は任意である。また、液晶パネル2の駆動モードも任意である。すなわち、液晶パネル2としては、情報を表示できる任意の液晶パネルを用いることができる。それ故、図1においては液晶パネル2の詳細な構造を図示せず、その説明も省略する。
【0029】
照明装置3は、光源としての発光ダイオード9と、発光ダイオード9に対向して配置された導光板10とを備えている。また、照明装置3では、断面L字状のベゼル14により、導光板10の上方に液晶パネル2が設置された状態で、発光ダイオード9及び導光板10が狭持されている。また、CF基板4には、ケース11が載置されている。これにより、照明装置3は、液晶パネル2に組み付けられて、当該照明装置3からの照明光が液晶パネル2に入射される透過型の液晶表示装置1として一体化されている。
【0030】
導光板10には、例えば透明なアクリル樹脂などの合成樹脂が用いられており、発光ダイオード9からの光が入光される。導光板10の液晶パネル2と反対側(対向面側)には、反射シート12が設置されている。また、導光板10の液晶パネル2側(発光面側)には、レンズシートや拡散シートなどの光学シート13が設けられており、導光板10の内部を所定の導光方向(図1の左側から右側への方向)に導かれた発光ダイオード9からの光が均一な輝度をもつ平面状の上記照明光に変えられて液晶パネル2に与えられる。
【0031】
尚、上記の説明では、導光板10を有するエッジライト型の照明装置3を用いた構成について説明したが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、直下型の照明装置を用いてもよい。また、発光ダイオード以外の冷陰極蛍光管や熱陰極蛍光管などの他の光源を有する照明装置も用いることができる。
【0032】
次に、図2も参照して、液晶パネル2について具体的に説明する。
【0033】
図2は、図1に示した液晶パネルの要部構成を説明する図である。
【0034】
図2において、液晶表示装置1(図1)には、文字や画像等の情報を表示する上記表示部としての液晶パネル2(図1)の駆動制御を行うパネル制御部15と、このパネル制御部15からの指示信号を基に動作するソース・ゲートドライバ16が設けられている。このソース・ゲートドライバ16は、上記液晶層を駆動するドライバを構成するものであり、後述のソース配線及びゲート配線にそれぞれ指示信号を出力するソースドライバ及びゲートドライバを一体的に構成したICチップからなる。
【0035】
パネル制御部15には、液晶表示装置1の外部からの映像信号が入力されるようになっている。また、パネル制御部15は、入力された映像信号に対して所定の画像処理を行って、ソース・ゲートドライバ16への指示信号を生成する画像処理部15aと、入力された映像信号に含まれた1フレーム分の表示データを記憶可能なフレームバッファ15bとを備えている。そして、パネル制御部15が、入力された映像信号に応じて、ソース・ゲートドライバ16の駆動制御を行うことにより、その映像信号に応じた情報が液晶パネル2に表示される。
【0036】
ソース・ゲートドライバ16は、上述したように、COG実装を用いて、アクティブマトリクス基板5に設置されている。また、このソース・ゲートドライバ16は、液晶パネル2の有効表示領域A内に設けられた複数の画素Pを画素単位に駆動する駆動回路であり、ソース・ゲートドライバ16には、複数のソース配線S1〜SM(Mは、2以上の整数、以下、“S”にて総称する。)及び複数のゲート配線G1〜GN(Nは、2以上の整数、以下、“N”にて総称する。)がそれぞれ接続されている。
【0037】
また、ソース配線S及びゲート配線Gは、少なくとも有効表示領域A内において、マトリクス状に配列されており、当該マトリクス状に区画された各領域には、上記複数の各画素Pの領域が形成されている。また、複数の画素Pには、赤色、緑色、及び青色の画素が含まれている。また、これらの赤色、緑色、及び青色の画素は、例えばこの順番で、各ゲート配線Gに平行に順次配設されている。
【0038】
また、ゲート配線Gには、画素P毎に設けられたスイッチング素子17のゲートが接続されている。一方、ソース配線Sには、スイッチング素子17のソースが接続されている。また、各スイッチング素子17のドレインには、画素P毎に設けられた画素電極18が接続されている。また、各画素Pでは、共通電極19が液晶パネル2に設けられた上記液晶層を間に挟んだ状態で画素電極18に対向するように構成されている。そして、ソース・ゲートドライバ16は、画像処理部15aからの指示信号に基づいて、ゲート配線G1〜GNに対して、対応するスイッチング素子17のゲートをオン状態にする走査信号を順次出力する。また、ソース・ゲートドライバ16は、画像処理部15aからの指示信号に基づいて、表示画像の輝度(階調)に応じた電圧信号(階調電圧)を対応するソース配線S1〜SMに出力する。
【0039】
次に、図3乃至図6も参照して、本実施形態の基板の接続構造について具体的に説明する。
【0040】
図3は、図1に示したアクティブマトリクス基板に接続されたソース・ゲートドライバ及びFPCを説明する図である。図4は、図3のIV−IV線断面図であり、上記アクティブマトリクス基板とソース・ゲートドライバとの接続構造を説明する図である。図5は、上記アクティブマトリクス基板における、ソース・ゲートドライバとの接続部分及びその近傍部分を示す平面図である。図6は、上記アクティブマトリクス基板における、FPCとの接続部分及びその近傍部分を示す平面図である。
【0041】
図3に示すように、アクティブマトリクス基板5では、有効表示領域Aの外側にソース・ゲートドライバ16が設けられている。また、アクティブマトリクス基板5には、FPC8が接続されており、上記制御装置に含まれたパネル制御部15からの指示信号がソース・ゲートドライバ16に入力されるようになっている。
【0042】
また、図4に例示するように、アクティブマトリクス基板5の表面上には、複数の電気配線20が所定の間隔をおいて形成されている。これら電気配線20は、上記ソース配線S及び/またはゲート配線Gであり、アクティブマトリクス基板5側に設けられた電極部を構成している。また、アクティブマトリクス基板5の表面上では、隣接する2つの電気配線20の間において、絶縁膜21が形成されている。また、電気配線20の上方には、ITO(Indium Tin Oxide)膜22が設けられている。さらに、アクティブマトリクス基板5の表面上では、絶縁膜21上(すなわち、隣接する2つの電気配線20の間)に有機絶縁膜24が設けられている。これらの電気配線20、絶縁膜21、ITO膜22、及び有機絶縁膜24は、液晶パネル2の有効表示領域A内(つまり、上記液晶層の内部)に設けられたものであり、当該有効表示領域Aの外側に引き出されて、有効表示領域Aの外側でアクティブマトリクス基板5の表面上に形成されたものである。
【0043】
具体的にいえば、図5に示すように、アクティブマトリクス基板5の表面上では、複数の電気配線20及び複数のITO膜22がこの順番で積層された状態で、有効表示領域Aの内側からソース・ゲートドライバ16のバンプ16a(図4)の形成位置まで引き出されている。また、各電気配線20及び各ITO膜22では、同図5に示すように、その端部の面積が他の部分のものに比べ大きくされて端子部として構成されており、上記バンプ16aとの電気的な接続を確実に行えるようになっている。また、アクティブマトリクス基板5の表面上では、絶縁膜21及び有機絶縁膜24がこの順番で有効表示領域Aの内側から当該アクティブマトリクス基板5の縁(図3の下端)まで引き出されている。
【0044】
また、アクティブマトリクス基板5の表面上では、図5に示すように、ソース・ゲートドライバ16とFPC8(図3)との接続を行うために、複数の配線26が設けられている。各配線26では、同図5に示すように、その端部の面積が他の部分のものに比べ大きくされて端子部として構成されており、ソース・ゲートドライバ16側に設けられたバンプとの電気的な接続を確実に行えるようになっている。さらに、各配線26の端子部と上記バンプとの接続は、図4に例示した電気配線20とバンプ16aと同様に、異方性導電フィルム25を用いた本実施形態の基板の接続構造によって行われている。
【0045】
さらに、アクティブマトリクス基板5の表面上では、図6に示すように、複数の配線26はFPC8に設けられた複数の配線27にそれぞれ接続されている。すなわち、各配線26では、同図6に示すように、その端部の面積が他の部分のものに比べ大きくされて端子部として構成されており、FPC8側の配線27との電気的な接続を確実に行えるようになっている。さらに、各配線27の端子部と配線27との接続は、図4に例示した電気配線20とバンプ16aと同様に、異方性導電フィルム25を用いた本実施形態の基板の接続構造によって行われている。
【0046】
また、有機絶縁膜24には、例えばアクリル系の合成樹脂が用いられており、有機絶縁膜24は、例えば3μm程度の膜厚で絶縁膜21上に形成されている。さらに、この有機絶縁膜24には、例えばアミノ系またはエポキシ系のシランカップリング剤が含有されており、アクティブマトリクス基板5と接続部材としての上記異方性導電フィルム25との密着性の向上が図られている。
【0047】
また、本実施形態の基板の接続構造では、異方性導電フィルム25がアクティブマトリクス基板5とソース・ゲートドライバ16との間に配置されており、これらのアクティブマトリクス基板5とソース・ゲートドライバ16とを接続するようになっている。この異方性導電フィルム25には、例えばエポキシ系の合成樹脂と所定の金属によって構成された導電性粒子25aとが含まれている。
【0048】
具体的にいえば、本実施形態の基板の接続構造では、異方性導電フィルム25がアクティブマトリクス基板5の上方に配置された後、異方性導電フィルム25の上方からソース・ゲートドライバ16を熱圧着することにより、異方性導電フィルム25を介してアクティブマトリクス基板5側の電気配線20とソース・ゲートドライバ16に設けられた電極端子としてのバンプ16aが電気的に接続される。すなわち、図4に示すように、バンプ16aは、異方性導電フィルム25に含まれた導電性粒子25a及びITO膜22を介して電気配線20に電気的に接続されている。また、本実施形態の基板の接続構造では、異方性導電フィルム25に含まれた上記合成樹脂は有機絶縁膜24に含有されたシランカップリング剤によって密着性が高められた状態で、互いに接合されている。
【0049】
以上のように構成された本実施形態の基板の接続構造では、液晶パネル2の有効表示領域A内に設けられた有機絶縁膜24を当該有効表示領域Aの外側に引き出して、有効表示領域Aの外側に形成するとともに、この有機絶縁膜24にシランカップリング剤を含ませている。これにより、本実施形態の基板の接続構造では、上記従来例と異なり、図4に例示したように、シランカップリング剤がバンプ(電極端子)16aと電気配線(電極部)20との間に介在するのを防ぐことができる。この結果、本実施形態の基板の接続構造では、上記従来例と異なり、アクティブマトリクス基板(基板)5と異方性導電フィルム(接続部材)25との密着性を向上させたときでも、アクティブマトリクス基板5とソース・ゲートドライバ(被接続部品)16との電気的な接続信頼性が低下するのを防ぐことができる。
【0050】
また、本実施形態では、ソース・ゲートドライバ16が電極端子としてのバンプ16aを有するICチップによって構成されているので、本実施形態では、密着性及び電気的な接続信頼性に優れたCOG実装を容易に行うことができる。
【0051】
また、本実施形態の液晶表示装置1では、アクティブマトリクス基板5と異方性導電フィルム25との密着性を向上させたときでも、アクティブマトリクス基板5とソース・ゲートドライバ16との電気的な接続信頼性が低下するのを防ぐことができる基板の接続構造が用いられているので、当該液晶表示装置1に設けられたアクティブマトリクス基板5ではその接続対象のソース・ゲートドライバ16に対して、密着性及び電気的な接続信頼性が確保された状態で接続されることができる。その結果、アクティブマトリクス基板5とソース・ゲートドライバ16との不適切な接続に起因する動作不良の発生が防がれた高性能な液晶表示装置1を容易に構成することができる。
【0052】
尚、上記の実施形態はすべて例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって規定され、そこに記載された構成と均等の範囲内のすべての変更も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0053】
例えば、上記の説明では、本発明を透過型の液晶表示装置に適用した場合について説明したが、本発明の表示装置はこれに限定されるものではなく、例えば半透過型や反射型の液晶表示装置、有機EL(Electronic Luminescence)、PDP(Plasma Display Panel)等の各種表示装置に適用することができる。
【0054】
また、上記の説明では、有機絶縁膜に、シランカップリング剤を含ませるとともに、接続部材としての異方性導電フィルム(ACF)を用いて、アクティブマトリクス基板(基板)に対して、被接続部品としてのソース・ゲートドライバを接続する構成について説明した。しかしながら、本発明の基板の接続構造は、接続部材を用いて、被接続部品が接続される基板の接続構造において、基板の表面上に形成されるとともに、被接続部品に設けられた電極端子が電気的に接続される電極部と、基板の表面上に設けられるとともに、接続部材に固着される有機絶縁膜を備え、有機絶縁膜及び接続部材の少なくとも一方に、シランカップリング剤を含ませたものであれば何等限定されない。
【0055】
具体的にいえば、ソースドライバ及びゲートドライバを一体的に構成したICチップからなるソース・ゲートドライバを被接続部品に用いた場合について説明したが、本発明の被接続部品はこれに限定されるものではなく、別々に構成されたソースドライバ及びゲートドライバの各々を被接続部品としてアクティブマトリクス基板に接続する構成でもよい。また、これらのソースドライバ及びゲートドライバ各々を、基板としてのフレキシブル回路基板に接続したり、被接続部品としてのフレキシブル回路基板を、基板としてのアクティブマトリクス基板に接続したりすることもできる。また、2つのプリント回路基板どうしを、基板及び被接続部品として接続することもできる。
【0056】
また、上記の説明では、異方性導電フィルム(ACF)を接続部材として用いた場合について説明したが、本発明の接続部材はこれに限定されるものではなく、例えば異方性導電ペースト(ACP;Anisotropic Conductive Paste)、非導電フィルム(NCF;Non-Conductive Film)、及び非導電ペースト(NCP;Non-Conductive Paste)のいずれかを接続部材として用いてもよい。このように異方性導電フィルム、異方性導電ペースト、非導電フィルム、及び非導電ペーストのいずれかを接続部材に用いた場合には、当該接続部材は上記有機絶縁膜に対して上記シランカップリング剤によって確実に密着される点で好ましい。
【0057】
また、上記の説明以外に接続部材及び/または有機絶縁膜にシランカップリング剤を含ませてもよい。
【0058】
また、上記の説明では、ITO膜を介在させて、電極部としての電気配線と電極端子としてのバンプを電気的に接続する構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、電極部と電極端子とを直接的に接触させて、これらの電極部と電極端子とを電気的に接続する構成でもよい。
【0059】
また、上記の説明では、液晶パネルの有効表示領域内に設けられた有機絶縁膜を用いた構成について説明したが、本発明の有機絶縁膜は基板の表面上に設けられて、接続部材に固着されるものであればよく、上記有効表示領域内に設けられた有機絶縁膜とは別個のものを用いることもできる。
【0060】
但し、上記のように、液晶パネルの有効表示領域内に設けられた有機絶縁膜を用いる場合の方が、基板の接続構造の簡単化、ひいては表示装置の構造の簡単化を容易に図ることができる点で好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、基板と接続部材との密着性を向上させたときでも、基板と被接続部品との電気的な接続信頼性が低下するのを防ぐことができる基板の接続構造、及びこれを用いた表示装置に対して有用である。
【符号の説明】
【0062】
1 液晶表示装置(表示装置)
2 液晶パネル(表示部)
5 アクティブマトリクス基板(基板)
16 ソース・ゲートドライバ(被接続部品、ICチップ)
16a バンプ(電極端子)
20 電気配線(電極部)
24 有機絶縁膜
25 異方性導電フィルム(接続部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続部材を用いて、被接続部品が接続される基板の接続構造であって、
前記基板の表面上に形成されるとともに、前記被接続部品に設けられた電極端子が電気的に接続される電極部と、
前記基板の表面上に設けられるとともに、前記接続部材に固着される有機絶縁膜を備え、
前記有機絶縁膜及び前記接続部材の少なくとも一方に、シランカップリング剤を含ませた、
ことを特徴とする基板の接続構造。
【請求項2】
前記被接続部品が、前記電極端子としてのバンプを有するICチップである請求項1に記載の基板の接続構造。
【請求項3】
前記接続部材として、異方性導電フィルム、異方性導電ペースト、非導電フィルム、及び非導電ペーストのいずれかが用いられている請求項1または2に記載の基板の接続構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の基板の接続構造を用いたことを特徴とする表示装置。
【請求項5】
情報を表示する表示部を備えるとともに、
前記表示部には、液晶層及び前記基板としてのアクティブマトリクス基板を有する液晶パネルが用いられ、
前記アクティブマトリクス基板には、前記液晶層を駆動するドライバが前記被接続部品として接続されている請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記有機絶縁膜として、前記液晶パネルの有効表示領域内に設けられた有機絶縁膜が用いられている請求項5に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−23510(P2011−23510A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−166666(P2009−166666)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】