説明

基板の直列式処理のためのプロセスモジュール

本発明は、少なくとも1つのプロセスモジュールを備える、平坦な基板の流体直列式処理のための装置及び方法に関する。特に、本発明は、基板の緩やかで且つ制御された搬送中のこのような処理に関し、処理は、基板の搬送にも関することができる。本発明によれば、処理平面5に実質的に水平に配置されており且つ下側流体クッション6Aを形成するように設計された少なくとも1つの処理面7Aを有する処理チャンバ2を含むプロセスモジュール1が設けられており、同じ平面における基板22の線形送りのための入口3及び出口4の形式の2つの開口が、処理面7Aに割り当てられており、処理チャンバ2内の基板22の制御された送り9のための少なくとも1つのキャッチ10を備えた少なくとも1つの送り装置が設けられている。さらに、本発明は、本発明による装置を使用する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平坦な基板の流体直列式処理のための装置及び方法に関し、この処理は、一般的な湿式化学的プロセスステップ及び、特に緩やかな制御された搬送を含む。
【0002】
例えばシリコンウェハ等の平坦な基板の処理のためのプラントは従来技術より公知である。大抵、このようなプラントは、しばしば脆弱な基板を湿式処理するために働く。例えば、湿式処理は、化学的表面改質、又はクリーニングのための機械的表面処理であることができる。プロセスタンクとして設計されたこのようなプラントは、独国特許第19934300号明細書に開示されている。前記明細書に記載されたプロセスタンクは、常時開放した2つの開口を有しており、処理される基板はこれらの開口を通って直線的に引き渡すことができる。プロセスタンクの内部は、基板がいかなるときにも完全に両側において液体によって包囲されるように、処理液体が充填されており、それが、開口が液面より下方に配置されている理由である。超音波処理のための装置がプロセスタンクの内部に配置されている。処理液体に伝達される真空は、両側における開口からの処理液の流出を回避するために、液面よりも上方においてプロセスタンクの内部に提供される。キャッチメントチャネル、ドロップレットセパレータ、及び/又は処理流体の表面張力を低下させる流体が導入される乾燥チャンバが、出口に配置されており、依然としてタンクから逃げ出す又は退出する基板によって一緒に搬出される液体を捕捉するようになっている。
【0003】
まず、この従来技術は、プロセスタンクの外部に配置された汚物粒子が真空によってプロセスタンクの内部に意図せず吸い込まれる恐れがあるという欠点を有する。ある条件下では、基板の厚さとタンク内部の圧力比との最適な関係を達成するために、圧力比は連続的に調節されなければならない。基板の汚染を回避し、処理液体の良好な循環を達成するために、クリーニングされた処理液体が下方からプロセスタンク内へ連続的に導入されなければならない。同時に提出された出願である独国特許出願公開第19934301号明細書に詳細に記載された基板の搬送はグリッパによって行われ、このグリッパは、基板の様々な箇所に対して当て付けられ、処理チャンバを通じてまず押し、次いで引くことによって基板を移動させる。さらに、横方向に配置された接触領域は、基板の横方向案内のために提供されており、これらのガイドは、処理チャンバの前方及び後方に配置された、供給及び排出装置と同じ高さに配置されている。このような配列は、基板と搬送装置とのそれぞれの機械的接触を生じ、これは、脆弱な基板の破壊に達する損傷につながる恐れがある。
【0004】
したがって、本発明の課題は、従来技術の前記欠点を克服する装置及び方法を提供することである。特に、本発明は、単純な形式で基板の、選択的に両面の、均一な処理を可能にし、汚染の回避を考慮して必要な努力はできるだけ少なくするべきである。さらに、本発明は、基板の高純度処理を可能にし、これにより、プロセスチャンバの内部への粒子の引き込み、及びチャンバ内における既にクリーニング除去された粒子又は成分による基板の再汚染が大幅に排除される。さらに、本発明は、処理の前、処理中、及び処理後の基板の特に緩やかな搬送を可能にし、処理は単に基板の搬送に関することもできる。
【0005】
前記課題は、請求項1記載の発明による装置の特徴、及び請求項14記載の発明による方法の特徴によって解決される。
【0006】
本発明の好適な実施の形態は、従属請求項、及び以下の詳細な説明及び図面から得られる。
【0007】
本発明は、少なくとも1つのプロセスモジュールを用いる、平坦な基板の流体直列式処理のための装置に関する。特に、本発明は、基板の緩やかな、制御された搬送を利用するこのような処理に関する。「直列式処理」とは、複数の基板の連続的な処理を意味し、その場合、一列に相前後して配置された一連の基板は、線形に搬送され、1つ又は複数のプロセスステーションを通過する。「直列式処理」は、ウェハプロセシングの分野において特に一般的な「バッチ処理」と区別されなければならず、このバッチ処理では、処理される基板は連続的にそれぞれの処理プラントへ供給されて処理されるのではなく、「バッチ」として提供される。バッチプラントは、商業的な可能性を高めることを考慮して必要である高いスループットを提供するが、バッチプラントは、多くの欠点も有する。例えば、バッチプラントは、基板表面の処理に直接に影響することができず(例えば、メガサウンド処理によって、又は流れ条件に影響することによって)、これにより、処理チャージのバッチの様々な基板の間の異なるプロセス結果のリスクが存在する。プロセスタンクに鉛直方向に浸漬する場合、基板の上縁及び下縁それぞれの異なる処理時間から、別の問題が生じる恐れがある。これらの理由により、直列式処理がますます好ましくなっている。基板はあらゆる材料から成ることができる。しかしながら、このような材料は、電子構造の製造又は太陽エネルギの発生のために好適であり、例えば、半導体材料(例えばシリコン、シリコン−ゲルマニウム、ゲルマニウム、砒化ガリウム、窒化ガリウム、炭化ケイ素、場合によっては適切なキャリヤ材料上の層としても)、ガラス、セラミック、又はプラスチックである。特に好適には、好適には円形又は角張った基板は、以下においてより詳細に説明される、最も緩やかな搬送を可能にするために必要な平面(平坦)形状又は少なくとも平面の下側を有している。基板は、通常、300〜400mmの直径若しくはエッジ長さを有しているが、直径若しくはエッジ長さは、より小さくてもよく、又は好適にはより大きくてもよい。流体処理とは、それぞれのタイプの処理であることができ、本発明による装置は、液体による処理に特に適している。しかしながら、処理のためにガスを使用することもでき、処理は、例えばクリーニングステップ等の別のプロセスによって補足することができるか、又は別のプロセスのみを含むことができる。
【0008】
基板の処理中の望ましくない不合格品の回避のために、基板の緩やかな搬送は極めて重要である。特に、基板の機能面、例えばシリコンウェハの上側及び下側は、表面の損傷及び/又は汚染を回避するためにいかなるときにも機械的に接触するべきではない。機械的な接触は、例えばローラ、グリッパ、スライドトラック等によって生ぜしめられる。しかしながら、これらの機能面の機械的接触は、本発明によって意図されるような流体による搬送の場合、この流体が純水であり、摩耗効果を生じる粒子を含んでいない限り、生じることはない。機械的損傷による別のリスクは、基板のエッジの衝撃的な接触により生じる。極端な場合、このような接触は、基板材料の裂断を生じる恐れがある。適切なフィルタリングが行われないと、破片は、基板の損傷の他に、別の基板の損傷をも生じる恐れがある。従来技術においてしばしば見られるような基板エッジのこれらの衝撃的接触は、基板が搬送軌道又は処理軌道から側方へ投げ出されることを防ぐ、側方端部ストッパ、案内エッジ等を設けることによるものである。
【0009】
処理プロセスの正確な再現性も、経済的な処理及び高品質の処理結果のために必須である。処理継続時間、つまり処理チャンバの処理領域における基板の滞在時間は、直列式処理の関連の中で重要なパラメータである。特に、これは、全ての湿式化学プロセスにおける場合である。従って、入口と出口との間において、搬送方向で見て、特に基板の位置を決定する、正確に調節可能かつ制御可能な送りを提供することは、不可欠である。
【0010】
本発明によれば、装置は、基板の処理のための処理チャンバを備えた少なくとも1つのプロセスモジュールを有している。定義として、「処理」とは、基板の搬送をも含み、ある場合には、専ら搬送に関することもできる。処理チャンバは、処理平面に実質的に水平に配置された少なくとも1つの処理面を有している。処理平面は、通常のように平坦に形成された基板が搬送及び処理される平面であり、処理チャンバ内の基板が一時的に処理平面から外れる場合もある。しかしながら、処理チャンバから出る直前よりも遅れずに、基板は処理平面に再配置されなければならない。本発明によれば、処理面は、処理面に機械的に接触することなく基板を支持するために設けられた下側流体クッションの形成のために設計されている。同じ平面における複数の基板の線形送り通過のための2つの開口は、処理チャンバに入るための及び処理チャンバから出るための入口及び出口として処理面に割り当てられている。言い換えれば、それぞれの入口及び出口は、共通の処理平面に配置されている。本発明によれば、処理チャンバは、特に処理チャンバが基板の並行処理のための複数の軌道を有している場合には、複数の、例えば互いに隣接して配置された入口及び/又は出口を有していてもよい。さらに、本発明によれば、処理チャンバは複数の処理平面を有していてもよく、通常は、全ての処理平面は同一平面に配置されていることが好ましい。複数の入口と、1つの共通の出口のみとが設けられていることも可能であり、最初は別々の処理軌道が、合流させられる。搬送方向で見た処理チャンバの長さは、所望の送り速度及び所要の処理継続時間に応じて選択される。
【0011】
さらに、本発明による処理チャンバは、処理チャンバ内の基板の制御された送りのための少なくとも1つのキャッチを備えた少なくとも1つの送り装置を有している。緩やかな、制御された処理の重要性に関しては、前記説明が参照される。処理によって含まれる搬送の仕事は、「送り」、「支持」、及び「案内」という個別仕事に分割することができる。本発明による送り装置は、「送り」及び「案内」の仕事を行う。
【0012】
緩やかな「支持」の仕事は、本発明によれば、本発明による装置の別のエレメントによって解決される。このために、それぞれのプロセスモジュールの処理チャンバは、処理平面において実質的に水平に配置されておりかつ、処理面に機械的に接触することなく基板を支持するために設けられた下側流体クッションの形成のために設計された、処理面を有している。本発明による処理面は、出口開口を有しており、この出口開口を通って流体を排出することができる。出口開口はこれにより、少なくとも僅かな過剰圧力を有する流体によって加圧され、この流体は通常は液体である。排出により、安定した、多かれ少なかれ厚い液体層が、処理面に形成される。本発明によれば、この液体層は基板を支持する。これは、特に緩やかな形式でも生じる。なぜならば、基板の支持及び(同時送りとともに)搬送は、それぞれの処理面の機械的な接触を生じることなく行われるからである。好適な実施の形態によれば、本発明による装置はさらに、処理面の上方にかつ処理面に対して平行に配置された、上側流体クッションの形成のために設計された別の面を有している。
【0013】
さらに、本発明による装置のプロセスモジュールは、処理チャンバから分離された少なくとも1つの駆動チャンバを有しており、この駆動チャンバは送り装置のための駆動エレメントを有している。駆動エレメントは、特にチャンバの側壁の1つ又は複数の処理面の一体の構成部材として、処理チャンバ内にもはや全体が配置されていない。つまり、本発明による装置の対応する実施の形態に関連して、送り装置の駆動エレメントは、処理チャンバの外側において、別個の、選択的にすすぎ可能な駆動チャンバに配置されている。このように、軸受及びガイド等の可動部品の摩耗材料は、実際の処理チャンバに進入することさえできないことが保証される。摩耗材料はこの処理チャンバからほとんど再び除去することはできない。望ましくない粒子が処理チャンバに進入する前に、例えば駆動軸のボアホール等を介して、すすぎガス、クリーニング液、又は特に好適には水を用いて本発明によるすすぎを行うことによって、望ましくない粒子は駆動チャンバから除去される。
【0014】
既に前述したように、処理チャンバは、少なくとも1つのキャッチを備えた、基板の制御された送りのための少なくとも1つの装置(ここでは簡単に「送り装置」とも称呼する)を有しており、これにより、装置は、本発明において必要な基板の緩やかな、制御された送りを保証することができる。本発明によれば、この送り装置は、複数の実施の形態で提供することができ、一般的な区別は、上方、下方、又は側方から基板のエッジに作用する送り装置の間で行われる。
【0015】
第1の実施の形態によれば、少なくとも1つのキャッチを有する送り装置は、処理平面の上方に配置されており、前記キャッチは、処理される基板のエッジにキャッチのそれぞれの端部が接触することができるように設計されている。この実施の形態に関連して、送り装置は、別個の構造的構成要素として、又は上側流体クッションの形成のために処理面の上方に設けられた選択的な別の処理面の一体のエレメントとして、設計することができる。送り装置が別個の構造的構成要素として設計されている場合、別の処理面は好適には少なくとも1つのキャッチのためのギャップを有しており、これにより、前記キャッチは、処理チャンバを通って基板を搬送する間、基板エッジに常時接触することができる。
【0016】
第2の実施の形態によれば、少なくとも1つのキャッチを有する送り装置は、下側流体クッションの形成のために処理面の一体の構成要素として処理平面の下方に配置されている。
【0017】
第3の実施の形態によれば、少なくとも1つのキャッチを有する送り装置は、処理チャンバの側壁の一体の構成要素として、送り方向に対して平行に、かつ処理平面に対して横方向に配置されている。
【0018】
当業者に明らかなように、これらの基本的な実施の形態は、本発明によれば、実際の適用分野に応じて互いに組み合わせることができる。
【0019】
本発明によれば、上記実施の形態はそれぞれ、1つの送り装置を用いて実現することができるだけでなく、好適には、最も好適には同一の設計を有する2つの送り装置を用いて実現することができる。
【0020】
上記第1の実施の形態に関連して、送り装置は従って、好適には2つの部分から成る構成の別個の構造的構成要素として設計されており、それぞれの部分は少なくとも1つのキャッチを有している。複数の部分から成る構成は、特に、複数の処理チャンバが相前後して切り替えられ、処理チャンバが所定の最小長さを超過している場合に、特に要求されかつ有利である。複数の部分から成る構成、特に2つの部分から成る構成の送り装置は、前の基板が依然として部分的に処理チャンバに配置されている間に次の基板が処理チャンバに送り込まれる場合にも必要である。送り装置の複数の部分から成る構成は、送り装置が、実質的に同一の仕事を果たす、従って実質的に同一の設計を有する少なくとも2つのアセンブリから成ることを意味する。これらの部分の最も基本的な相違は、処理チャンバの内部におけるこれらの部分の位置決めである。通常、複数部送り装置の1つの部分は、処理チャンバの入口領域に配置されるのに対し、別の部分は処理チャンバの出口領域に配置される。従って、1つの部分は、主に入口領域における基板の送りのために使用され、別の部分は、出口領域における送りのために使用される。プロセスモジュールが複数の処理平面又は処理軌道を有している場合、これらの処理軌道のそれぞれに対して1つ又は複数の個々の送り装置を設けることができる。しかしながら、できるだけ送り装置の部分を組み合わせることが可能であり、これは、平行の軌道における同期した処理及び搬送が望まれる場合に、常に実現するのが容易である。
【0021】
択一的に、上記第1の実施の形態は、好適には処理チャンバの処理平面の長さに関して、この長さのほぼ中央に配置された、別個の構造的構成要素としての1つの部分から成る送り装置を有している。基板エッジへのキャッチの継続的な接触を保証するために、キャッチは、好適には、互いに内外に嵌り合った状態に設計されている。これにより、キャッチは、常に処理平面の高さにおいて基板エッジに接触することができる。
【0022】
本発明によれば、複数の部分から成る送り装置のそれぞれの部分はキャッチを有している。この場合、本発明によれば、キャッチのみが基板と直接に接触する。さらに、キャッチは、基板をキャッチによって案内することもできるように設計及び配置されている。言い換えれば、複数の部分から成る送り装置のそれぞれの部分は、基板の送りのために働くだけでなく、処理チャンバを通る経路における基板の軌道を維持するためにも働く。一部構成又は複数の部分から成る構成の送り装置のそれぞれの部分は、側方制限機構又は端部ストッパを必要とせず、これにより、後で説明するように、基板への衝撃荷重の前記リスクは存在しない。
【0023】
上記第1及び第2の実施の形態に関して、送り装置は、好適には、下側又は上側の処理面の一体の構成要素として、複数の部分から成る構成、特に2つの部分から成る構成を有しており、それぞれの部分は、互いに平行に、好適には互いに所定の距離だけ離れて配置された2つのキャッチを有している。この場合も、一方の部分は入口寄りに配置され、他方の部分は、処理チャンバの出口寄りに配置されている。部分のそれぞれのキャッチを、処理面から延長させることができ、これにより、基板エッジに接触し、この接触は、好適には同期して行われる。意図された送りが行われた後、キャッチをそれぞれの処理面に引き込むことができる。
【0024】
前記第3の実施の形態に関連して、送り装置は、処理チャンバの側壁の一体の構成要素、つまり二部(両側における)として設計されている。上に説明したように、キャッチは、基板エッジに接触するようにそれぞれの壁部から側方へ延長させることができ、この接触も好適には同期して行われる。
【0025】
本発明によれば、それぞれの送り方向での送り速度を、流体クッションの流速と関連して、基板が送り装置のキャッチに対して常時押し付けられ、これにより、基板が1つ又は複数のキャッチから制御されずに離反することを回避するように、調節することができる。このことを一般的に説明するために、保持方向が規定される。以下では、保持方向とは、図7Aから図7Dに示したように、基板の平面におけるそれぞれのキャッチから基板の重心に向かうベクトルの合計を表すベクトルの方向であると理解される。図7A及び図7Cは、基板22と2つのキャッチ10の2つの典型的な配列の平面図を概略的に示しており、これらの図には保持方向hのベクトルも示されている。つまり、保持方向hは、常に、キャッチ10が作用する基板エッジの領域から基板22の中心に向かっている。複数のキャッチ10が設けられている場合には、保持方向とは、対応する個々の単位ベクトルのベクトル加算から生じる。つまり、保持方向は、力がキャッチから基板へ作用することができる方向も与える。
【0026】
図7A及び図7Cは、送り速度VV及び流速VFの典型的なベクトルも示している。図7B及び図7Dは、極座標系における対応するベクトルを示している。送り速度VV、つまり送り装置が移動させられる速度と、流体クッションの流速VFとは、保持方向hの成分を有することができる。保持方向と、対応する速度成分とが、同じ方向に向けられている場合(例えば図7A及び図7Bにおける送り速度VVの場合)、速度成分は正の符号を有する。これらが逆方向に向けられている場合(例えば図7A及び図7Bにおける流速VF、並びに図7C及び図7Dにおける送り速度VV及び流速VFの場合)、速度成分は負の符号を有する。速度が保持方向に対して垂直に向けられている場合、保持方向の成分はゼロである。
【0027】
好適には、送り速度VVと、流体クッションの流速VFとは、保持方向の送り速度VVの成分が保持方向の流体クッションの流速VFを超えるように、ベクトルの観点から調和させることができる。数学的には、これは条件VV・h>VF・hによって表すことができ、つまり、送り速度VVと保持方向hとのベクトルのスカラ積は、符号に関して、流体クッションの速度VFと保持方向hとのベクトルのスカラ積よりも大きくなければならない。
【0028】
流体クッションの流速が、基板の搬送方向の成分を有することは好ましくないが、排除されてもいない。本発明による送り装置を有さない場合、基板は、流れの方向で又は流れとともに制御されずにドリフトし、これにより、基板の処理の正確に規定された期間が達成されない。送り装置が、搬送方向での流体クッションの流体の成分よりも低速で搬送するとしても、この状況は変化しない。基板はキャッチから制御されずに離反する。上述の条件が満たされた場合にだけ、基板のエッジとのそれぞれのキャッチの接触がいかなる時にも保証される。円形の基板の場合には1つの周方向エッジが存在する。キャッチは、好適には搬送方向で後側の領域において基板を押す。後側の領域は、入口開口の方向に向いたエッジの領域であり、搬送方向に対して垂直でかつ基板の中心を通る切断平面が円形の基板を2つに分割することにより規定される。矩形、特に正方形の基板の場合、上方から見た時に、基板の対角が搬送方向に向けられるように基板が45゜だけ回転させられながら搬送されることが好ましい。この場合、正方形の基板の中心の背後に配置されたテーパが設けられており、テーパのエッジに本発明によるキャッチが本発明による形式で接触することができる。もちろん、搬送方向に対して平行に配置された基板を搬送することも可能である。しかしながら、キャッチと基板との間の静止摩擦が、例えば搬送に関連した流れ分離により発生することができかつ基板に横方向に作用しかつ基板を軌道から外れるように押そうとすることができる横流れ成分よりも小さくなると、所定の軌道からの基板の横方向ドリフトのリスクが存在する。
【0029】
さらに、媒体分離のための装置が、本発明による装置の2つの入口開口及び出口開口のうちの少なくとも一方に割り当てられている。従って、媒体分離は、入口及び/又は出口の領域に配置されている。媒体分離は、択一的に、処理チャンバから出る時に基板から余分な処理液を分離するために、又は基板表面のガス処理のために働く。しかしながら、ガス処理の媒体分離は、望ましくない処理液の除去のために、又は処理チャンバへの基板の進入の前に表面改質のために設けることもでき、表面改質のためには媒体分離は対応して処理チャンバの入口領域に配置されなければならない。このように、処理チャンバに提供される処理液の汚染を回避するか、又は少なくとも低減することができる。要するに、媒体分離は、個々のプロセスモジュールの間における媒体の引き継ぎを回避するために及び/又は基板表面のガス処理のために働く。
【0030】
既に述べたように、本発明による装置は、特に、電子製品又は太陽電池の生産又は加工のために働く。このような環境においては、あらゆる汚染物質が即座に損傷を生じて製品の破壊に至らせる恐れがあるので、本発明によれば、処理チャンバの内部は、開口(少なくとも1つの入口と及び出口)を除いて外部に対して封止されていることが好ましい。このためには、例えばシールの利用等の、従来公知の受動的な方法だけでなく、例えば高純度保護ガスの処理チャンバ雰囲気の提供及び/又は僅かな過剰圧力による処理チャンバの内部の加圧等の能動的な方法も考えられる。
【0031】
別の、特に好適な実施の形態によれば、本発明による処理チャンバは、処理面の上方にこの処理面に対して平行に配置されておりかつ上側流体クッションの形成のために設計された別の面を有している。従って、好適には2つのサンドイッチ状の流体クッション、ひいては、互いに面しておりかつ処理平面を包囲した2つの処理面が処理チャンバに存在する。これにより、基板は両側において緩やかに支持され、その際、基板は、この実施の形態においてこれらの領域のうちの1つと機械的に接触することもない。落下する粒子による汚染は大幅に排除される。さらに、基板は、両側における支持によって、よりしっかりと保持及び搬送される。さらに、上側の流体クッションは、基板表面への液体の目標を定めた分配、又は例えば相対移動による液体の付加的な効果を許容する。
【0032】
択一的に、例えばスパッタストリップ等の、流体、特に液体を提供することができる別の装置を処理平面の上方に提供及び配置することもでき、その場合、この装置が処理チャンバを通る搬送経路全体をカバーすることは必須ではない。
【0033】
送り装置の具体的な実施の形態に応じて、上側流体クッションを提供する場合、上側流体クッションを発生する別の面が少なくとも1つのキャッチのためのギャップを提供することが好適には意図されることができる。これらのギャップは、流体が流出する出口開口から機能的に分離されており、上方から働くキャッチが、送り方向における経路において、常に基板のエッジに確実に接触するという目的を果たす。複数の部分から成る構成、例えば2つの部分から成る構成の送り装置が設けられている場合、上側の処理面は対応して複数の、例えば2つのギャップを提供する。
【0034】
処理面におけるギャップの数は、通常、本発明による送り装置の部材の数、及び1つの部材のキャッチのそれぞれの数に対応する。ギャップは、キャッチが行わなければならない移動に従って延びており、1つの部材に少なくとも2つのキャッチが設けられている場合、これらのキャッチは互いに実質的に平行に整合させられている。好適な実施の形態によれば、複数の部分から成る構成、特に少なくとも2つのキャッチを備えた2つの部分から成る構成の送り装置のそれぞれの部分のためのギャップが、搬送方向に対して垂直方向で互いに間隔を置いて配置されており、2つの部分から成る構成の送り装置の場合、それぞれの距離は、異なる部材のキャッチの接触が排除されるように、特に好適には異なっている。特に、このことは、複数の部分から成る構成、特に2つの部分から成る構成の送り装置の第1の部分のキャッチから別の部分のキャッチへ基板が受け渡される場合に必要である。従って、複数の部分から成る構成、特に2つの部分から成る構成の送り装置のキャッチのためのギャップは、異なるが協働する部分のキャッチの接触が排除されるように、処理面に配置されている。一部構成の送り装置の場合、具体的な実施の形態とは無関係に、好適には少なくとも2つのキャッチが提供されており、これらのキャッチの互いに対する距離は、搬送方向で変化している。送り込まれる基板のできるだけ早い受け取りを保証するために処理チャンバの入口ではキャッチの位置はより大きく離間されているが、基板をできるだけ遠くでチャンバから送り出すことができるように、キャッチの距離が出口に向かって小さくなっていると有利である。
【0035】
特に好適な実施の形態によれば、本発明による装置は、上方に面した基板の側に処理流体を排出するための装置を有している。従って、処理液を、場合によっては複数の流体クッションのうちの少なくとも1つから排出することができ、これにより、基板は、対応する流体によって同時に支持及び処理される。処理平面全体が複数の別個に供給可能な流体クッションを有することも可能であり、そのうちの幾つかが処理流体を排出し、他のものはニュートラルな流体を排出し、さらに別のものはクリーニング流体を排出する。
【0036】
好適には、下側流体クッションを形成する処理面と、上側流体クッションの形成のために選択的に提供される選択的な別の面とは、送り方向に対して鏡像対称にそれぞれが配置されておりかつ出口開口として働く複数のボアホールの複数の列を有している。言い換えれば、前記列は、送り方向に互いに平行に延びており、処理面の両側に均一に分配されている。ボアホールは流体クッションの処理面に配置されている。好適には、ボアホールは、処理面に鉛直に起立することができるが、送り方向において又は送り方向に対して傾斜を有していると有利であることができる。この傾斜は、搬送方向に対して垂直に又は搬送方向に対して流入を生ぜしめ、これはある場合には有利であることができる。搬送方向に対して向けられた流れは、いかなる時にも、特に低速送り動作が望まれるか又は一時的に送り動作が全く望まれない場合に、キャッチへの基板の確実な接触を保証するために働く。さらに、流体クッションの逆向きの流れは、既にクリーニング除去された汚染物の再吸収を回避する。しかしながら、再汚染を回避する同じ効果を、前向きの流れによって達成することができる。さらに、ボアホールは横方向傾斜を有していてよく、これは、処理平面の中心線に向かう流れ又は処理平面の中心線から離れる流れをそれぞれ生じる。最後に、本発明による流体クッションは、高い空隙率の材料から成りかつ例えば焼結材料から形成された少なくとも1つの領域を有していてよく、さらに、1つの共通の又は複数の別個の駆動可能な媒体の流入が、ボアホール、又は高い空隙率の材料の少なくとも1つの領域に割り当てられている。これにより、処理、搬送、及びクリーニング流体等の異なる媒体を、それぞれの領域別々に供給することが可能になる。流体クッションの形成のための処理面は、例えば、欧州特許650455号明細書又は欧州特許第650456号明細書に従って設計することができる。
【0037】
前述のように、少なくとも1つの送り装置のそれぞれ又は複数の部分から成る構成、特に2つの部分から成る構成の送り装置のそれぞれの部分は、少なくとも1つのキャッチを有している。好適には、本発明による装置は、特に好適には同じ設計の2つのキャッチを有している。複数の部分から成る構成の送り装置の複数の部分は、好適には処理面の上方に配置されている。少なくとも2つのキャッチの場合、本発明によれば、これらのキャッチは、送り方向に対して垂直に、互いに所定の距離を置いて並んで配置されることが好ましく、つまり、キャッチは、送り方向に対して垂直な共通の平面に位置するが、必ずしも鉛直の向きでなくてもよいことを意味する。より正確に言うと、キャッチは、好適には、垂線が、例外的に、送り方向を向いた成分から成る平面に位置する。したがって、キャッチは好適には、斜めにずれて又は相前後して配置されない。それぞれのキャッチは、端部に例えばV字形又はU字形の分岐部を有しており、これにより、共通のキャッチに割り当てられた選択的に複数の接触領域若しくは接触箇所が存在する。さらに、1つの部分の場合によっては複数のキャッチは、好適には同じ駆動エレメントによって駆動され、これは、キャッチが例えば同じ運動力学で配置されかつ同じ運動力学によって移動させられることを意味する。キャッチの配置により、それぞれの部分は従って、基板を、好適には、後側領域に配置されたエッジにおいて接触し、基板を送り方向に移動させるのに適している。特に好適には、この接触部は基板に対称に係合する。しかしながら、送りは、力を非対称に加えることによって実現することもできる。従って、基板の観点から、押付け力は、好適には、いかなる時にも基板に作用するが、複数の部分から成る構成の送り装置のそれぞれの部分の観点からは、すなわち特に、出口の領域に配置された送り装置の1つの部分が、基板に、依然として処理チャンバの中間に配置されている後側において接触するならば、引っ張り動作が可能である。しかしながら、基板に作用する力は圧縮力のみである。
【0038】
搬送方向で後に続いて配置されたキャッチの衝突を回避するために、処理チャンバが有する複数の部分から成る構成の送り装置の複数の部分のそれぞれのキャッチは、送り方向に対して平行に間隔を置いて配置されており、隣り合う部分のキャッチの接触が排除されるように、すなわちキャッチが、複数の部分から成る構成の送り装置の隣接し合う部分のキャッチと衝突しないように、配置されている。言い換えれば、それぞれのキャッチの横方向の距離は、後に続いて配置されたキャッチが、先行するキャッチの間で又は先行するキャッチの外側で移動し、他のキャッチと接触することなく基板を引き渡すことができるように、寸法決めされている。
【0039】
特に好適には、キャッチは、棒状に設計されており、ボール状若しくは球セグメント状の接触領域を有しており、これにより、できるだけ遠くで、キャッチと基板エッジとの間において、点接触又は線接触のみが生じ、面接触は生じない。さらに、部分のキャッチは、共通の運動機構に配置されており、この運動機構によって、基板接触の経過において、基板エッジに対する接触領域の位置決めは、処理中のいかなる時点においても確実に調節可能である。言い換えれば、運動機構は、処理平面に対する接触領域の高さを常に適切に調節するのに適していなければならない。好適には、従来技術から公知のリンク又は継手の動作をこのために利用することができる。この仕事は、平行四辺形の運動機構によって特に有効に解決することができる。しかしながら、この目的にはリニアガイド又はロボットガイド装置が特に適しているが、コスト及び複雑さの理由によりあまり好ましくない。
【0040】
さらに、処理チャンバは、選択的に、少なくとも1つの超音波装置及び/又はメガサウンド装置を有することができる。超音波装置及び/又はメガサウンド装置は、入口の領域、出口の領域、中間領域、選択的に処理平面の上方及び/又は下方に配置することができる。さらに、複数の同じ又は異なる超音波装置及び/又はメガサウンド装置を処理チャンバに配置することができ、超音波装置及び/又はメガサウンド装置は、処理平面に対して平行に向けることができるが、処理平面に対して角度を成していることもできる。超音波装置及び/又はメガサウンド装置は、さらに、処理チャンバ内に定置に又は可動に配置することができる。さらに、ガス処理、放射装置、又は検査装置等の他の処理装置を提供することもできる。
【0041】
媒体分離部が、処理流体の分離のために、捕捉タンクにおける処理平面の下方に鉛直に配置された、特に箔としての、薄い壁部を有することがさらに好ましい。処理流体は、相前後して配置された複数のプロセスチャンバから出発し、1つのプロセスモジュールの内容物が前のプロセスモジュールの内容物によって汚染されるべきでないことが明らかである。箔は、捕捉タンクを2つの体積に分離し、そのうち一方の体積は先行のプロセスモジュールに、他方の体積は後続のプロセスモジュールに割り当てられている。有利には、これらの体積は別々に空にすることができ、これにより、それぞれの内容物を、対応する処理チャンバにおいて再利用することができる。
【0042】
媒体分離のための装置がそれぞれ、ガス流の発生のための少なくとも1つのノズルを有することも好ましい。このようなガス流は複数の機能を果たすことができる。ガス流が基板の表面に正確に衝突しかつ方向付けられる場合、ガス流は、進入又は退出する基板に付着する処理液を拭き取るために働く。マランゴニ効果が狙われないことに注意すべきである。なぜならば、基板表面の完全な乾燥は、不要であり、望まれないからである。実際、基板表面の完全な低下乾燥(falling dry)はしばしば損傷を生じる。なぜならば、低下乾燥は、もはや除去することができないベール等を生じる恐れがあるからである。ガス流が基板表面により柔軟に衝突し、方向付けられにくい場合には、同じことは、基板のガス処理、例えば気体オゾンによるもともと疎水性表面の親水性化を行うために適している。従って、媒体分離は少なくとも処理ガスを用いて操作することができることが好ましい。
【0043】
好適な実施の形態によれば、複数のプロセスモジュールは相前後して配置されている。従って、第1のプロセスモジュールを、プロセス連鎖を形成するために少なくとも1つの別のプロセスモジュールと組み合わせることができ、その場合、先行するプロセスモジュールの(適用可能であるならば、それぞれの)出口を、後続して(下流に)配置されたプロセスモジュールの(適用可能であるならば、それぞれの)入口に連結することができ、それぞれの処理平面は互いに同一平面に配置されている。従って、プロセスモジュールを、クリーニングラインにおける連鎖リンクとして使用することができる。
【0044】
特に好適な実施の形態によれば、流体処理は、搬送に関し、かつ適用可能であるならば、平坦な基板の湿式化学処理に関する。処理は、例えば、ウェハ製造において一般的な全ての化学プロセスに関することができ、例えば、フッ化水素酸(HF)、塩化水素(HCl)、硫酸(H2SO4)、オゾン(O3)、過酸化水素(H22)、アンモニアク(NH3)、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH,N(CH34OH)、及びこれらの混合物の溶剤を用いた処理に関することができる。一般的な混合物は、特に、それぞれ溶媒に溶解させられた、HF/O3、NH3/H22(いわゆるSCl溶剤)、TMAH/H22、HF/H22、H2SO4/H22、HF/HCl、及びHCl/H22(いわゆるSC2溶剤)である。溶媒として、水、特に脱イオン水(DI水)が好適には使用される。しかしながら、処理は、脱イオン水を用いて単なるすすぎステップに関することもできる。
【0045】
本発明は更に、上記で詳細に説明した装置を使用することによって平坦な基板を流体直列式処理するための方法に関する。以下の説明は、複数の部分から成る構成、特に2つの部分から成る構成の送り装置の各部分ごとに少なくとも2つのキャッチを有する例に基づく。本発明による方法は、もちろん、1つのキャッチしか有さない部分にも有効である。本発明によれば、方法は以下のステップを含み、この場合、付加的に、装置の構成要素の上記説明が参照される。
【0046】
まず、処理される基板を確実にかつ損傷なく搬送することができることを保証しなければならない、本発明によれば、下側流体クッションは、(下側の)処理面に形成されている。本発明によれば、これは、十分に厚い流体層を形成することができるように、処理面に設けられた穴から流体を対応して排出することによって生じる。
【0047】
その後、基板は、入口開口を通って処理チャンバ内へ十分に、すなわち、少なくとも、処理面に機械的に接触することなく基板が下方に面した側において流体クッションの流体層によって支持されるまで、導入される。従って、導入自体は、本発明によって提供された手段以外の手段によって行うこともできる。しかしながら、装置は、上流、つまり処理チャンバ前でも既に使用されていることが好ましく、これは、本発明により生じる基板搬送を例外的に緩やかで制御可能にする。基板の最も幅広の部分に続く基板のテーパが少なくとも僅かに処理チャンバの内部に配置されている場合、導入は十分に深く進行している。言い換えれば、例えば、円形の基板の中心は、処理チャンバの壁部の内面を少なくとも僅かに超えて処理チャンバ内へ入っている。そこで初めて、本発明による送り装置によって基板を処理チャンバ内へさらに移動させることができる。
【0048】
次いで、複数の部分から成る構成の送り装置の第1の部分のキャッチの制御は、基板の好適には後側の領域に配置されたエッジの接触が確立されるような形式で行われなければならない。前述のように、これは、基板が処理チャンバの内部に十分に深く配置された場合にのみ可能である。円形又は正方形の基板に関するこのステップを詳細に説明するために、装置に関する説明が参照される。次いで、複数の部分から成る構成の送り装置の第1の部分のキャッチによる基板の搬送は、処理チャンバ内で行うことができる。本発明によれば、基板の処理は、この経路において行うことができる。もちろん、例えば、処理チャンバにおける基板のより長い滞在時間を可能にするために、搬送を中断することも可能である。しかしながら、本発明によれば、全時間の間、キャッチと基板との永久的な接触が存在する。本発明によれば、これは、送り速度と、流体クッションの流れ速度とのベクトルを調節し、保持方向での送り速度の成分(装置の説明に関連して提供された定義による)が、保持方向での流体クッションの流れ速度の成分を超過するようにすることによって保証することができる。これは複数の形式で達することができる。
【0049】
a)キャッチは、基板の後側の領域に配置されたエッジ、つまり入口に面したエッジに接触し、これにより、保持方向はほぼ入口から出口に向く。流体クッションの流速と、送り速度とは、それぞれ、保持方向で正の成分を有しており、保持方向での送り速度のそれぞれの成分は、保持方向での流体クッションの流速のそれぞれの成分を超過している。例えば、送り速度と、流体クッションの流速とは、等しく(例えば入口から出口に向かって)方向付けることができる。基板の確実な案内のために必要な、基板エッジとのキャッチの常時接触が達成される。なぜならば、送り速度の絶対値は、流体クッションの流速の絶対値を超過しているからである。
【0050】
b)a)の場合のように、キャッチは、基板の後側の領域に配置されたエッジに接触する。流体クッションの流速は、保持方向で負の成分を有しており、送り速度は、保持方向で正の成分を有している。例えば、送り速度と、流体クッションの流速とは、互いに反対に向けることができる。この場合、後側の基板エッジは常に流体クッションの流れによってキャッチに押し付けられる。基板は、キャッチによって流体クッションの流れ方向とは反対方向で入口から出口まで搬送される。
【0051】
c)キャッチは、基板の前側の領域に配置されたエッジ、つまり、出口に面したエッジに接触し、これにより、保持方向はほぼ出口から入口に向いている。流体クッションの流速及び送り速度は両方とも、保持方向(例えば入口から出口へ向けられている)で負の成分を有しており、保持方向での流体クッションの流速のそれぞれの成分の絶対値は、保持方向での送り速度のそれぞれの成分の絶対値を超過している。符号を考慮して、この場合にも、保持方向での送り速度の成分は、保持方向での流体速度の成分を超過している。この場合、基板は、流体クッションの流れによって入口から出口の方向へ搬送され、その際、キャッチは、前側の基板エッジがいかなる時にも当接するストッパとして働く。
【0052】
ケースa)からc)は、用途の典型的な可能性を示しているが、一般的な原理は、流体クッションの垂直に向けられた流れ方向まで傾斜して方向付けられた搬送方向に関して、流れなしの流体クッションのための、及び送り方向に関して非対称に配置されたキャッチにも有効である。送り速度及び流速(方向及び絶対値)は、実際の位置に応じて処理チャンバ内で変化することもできるが、前記一般的な条件は、キャッチによる基板の確実な案内を保証するために常に満たさなければならない。
【0053】
その後、送り装置が複数の部分から成る構成、特に2つの部分から成る構成であるならば、送り装置の少なくとも1つの別の部分への基板の引渡しを行うことができる。このために、両部分のキャッチは、基板のエッジが別の部分のキャッチによっても接触されるまで第1の部分のキャッチが基板のエッジに接触しているように制御されなければならない。従って、引き渡すキャッチと受け取るキャッチとは、基板に、少なくとも短い時間だけ接触し、これにより、基板の制御されない移動がいかなるときにも生じないことを保証する。特に、キャッチは基板を案内もし、これにより基板の横方向ブレーキングアウトを回避する。基板の引渡し中の送り装置の様々な部分の衝突は排除される。なぜならば、引渡しキャッチと受け取りキャッチとは、本発明によれば、それぞれ、他方のキャッチから横方向に異なって間隔を置かれているからである。
【0054】
引渡しが完了した後、処理チャンバ内の基板のさらなる搬送は、複数の部分から成る構成の送り装置の別の部分のキャッチによって行われる。もちろん、基板の処理は、このさらなる搬送の間にも行うことができる。望まれるならば、送りの停止又は反転も可能であり、上記説明において規定されている。
【0055】
最後に、基板は、出口開口を通って処理チャンバから十分に送り出される。次いで、この送り出しは、基板の最も幅広の部分に続く基板のテーパが、少なくとも僅かに処理チャンバの外側に配置された時に、十分である。従って、このステップは、処理チャンバへの基板の前記十分な送り込みと同じに見なければならない。本発明による形式の別のプロセスモジュールがプロセスモジュールに続いている場合、基板が、前述のように、別のプロセスモジュールへ十分に深く送り込まれた場合にのみ、別のプロセスモジュールは基板を受け取ることができ、これは、先行するプロセスモジュールからの基板の十分な送り出しと同じである。
【0056】
好適な実施の形態によれば、本発明による方法は、さらに、上流に配置されたプロセスモジュール若しくは実際のプロセスモジュールから、特に処理液等の、進入する基板及び/又は退出する基板に付着する媒体の分離をも含む。このために、上述の媒体分離装置の使用が特に好ましい。媒体分離のステップは、処理チャンバ内での実際の処理の前及び後に行うことができる。従って、対応する数の媒体分離装置も設けられなければならない。もちろん、通常は、1つの媒体分離装置のみが、一連のプロセスモジュールにおいて、これらのプロセスモジュールの間に設けられなければならない。2つの後続配置されたプロセスモジュールにおいて同じ液体が使用される場合には、媒体分離装置は絶対に必要というわけではない。
【0057】
既に前に示したように、本発明による方法は、さらに、選択的に、本発明による基板の緩やかなかつ制御された搬送の他に、以下のステップのうちの1つ又は複数を含んでいることが好ましい:
−処理流体による基板の片面又は両面処理
−超音波及び/又はメガサウンド(megasound)による基板の片面又は両面処理。
【0058】
処理の経過において、基板を、例えば改質及びクリーニングすることができる。また、例えば超音波又はその他の画像化技術による検査が、定義上、処理に含まれるべきである。超音波処理及び/又はメガサウンド処理を、好適には、上述の態様に従って行うことができる。
【0059】
本発明によれば、基板の最も幅広の部分に続く基板のテーパ部が後続のプロセスモジュールの内部に少なくとも僅かに配置される程度まで基板が出口から送り出されると好ましい。従って、この形式の送り出しは、上述の十分な送り出しの判断基準を満たす。しかしながら、本発明によれば、基板を出口から十分に送り出さないことも、可能ではあるが、好ましくはない。これは、常に、完全に処理された、ひいてはより敏感でない基板のその他の取出しが、最後のプロセスモジュールの後に、例えばコンベヤベルト、グリッパ、又は複数の基板を保持するキャリヤ装置によって行うことができる時には、合理的であることができる。
【0060】
別の好適な実施の形態によれば、複数の部分から成る構成の送り装置の別の部分のキャッチは、第1の基板を出口を通って処理チャンバから送り出すのに対し、複数の部分から成る構成の送り装置の第1の部分のキャッチは、第2の基板を入口を通って処理チャンバに送り込む。このように、複数の基板を処理チャンバにおいて同時に送ることができ、これにより、効率のさらなる改善を達成する。送り装置の複数の部分の別個の制御可能性により、第2の基板が一時的に処理チャンバの内部に静止している間に、基板を処理チャンバ内に既に搬送することも可能である。この場合、基板の引渡しのための時間において、対応するキャッチも利用可能であることを保証することだけが必要である。これは、処理された基板を処理チャンバから適時に送り出すことによって、又は複数の部分から成る構成の送り装置の別の若しくは付加的な部分を提供することによっても、達成することができる。
【0061】
本発明による方法の特に好適な実施の形態によれば、少なくとも引渡し速度、及び適用可能であるならば、それぞれの基板に作用する送り速度、及びさらに適用可能であるならば、複数の後続のプロセスモジュールの流速が、互いに同期させられる。この形式において、上流に配置されたプロセスモジュールから送り出された基板が、後続配置されたプロセスモジュールに安全にかつ制御されて引き渡されることが保証される。特に、基板の重なりによる衝突、又は好ましくない位置におけるキャッチによる衝突は生じることができない。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1A】本発明によるプロセスモジュールの好適な実施の形態の側部断面図である。
【図1B】入口領域の詳細図である。
【図2】本発明によるプロセスモジュールの好適な実施の形態の平面図である。
【図3】本発明によるキャッチの好適な実施の形態の詳細図である。
【図4】本発明による媒体分離装置の好適な実施の形態の詳細を示す図である。
【図5】本発明によるプロセスモジュールの一連の複数の好適な実施の形態を示す図であり、プロセスモジュールの間には媒体分離装置が配置されている。
【図6】本発明によるプロセスモジュールを使用することによる処理の経過における基板の送り込みの間、引渡しの間、及び送り出しの間の、本発明によるキャッチの好適な実施の形態の典型的な動作の連続を示す図である。
【図7】保持方向の定義と、保持方向と、送り速度及び流体クッションの流速のベクトルとの好適な依存の定義を表す図である。
【図8】図8Aは処理面から突出したキャッチを備えた処理面の平面図であり、図8Bは、図8Aに示した処理面の側面図である。
【図9】図9Aは、処理面の領域に横方向に突入したキャッチを備えた処理面の平面図であり、図9Bは、図9Aに示した処理面の側面図である。
【図10】図10Aは、上方から処理面の領域へ突入したキャッチを備えた処理面の平面図であり、図10Bは、図10Aに示した処理面の側面図である。
【0063】
図1Aは、本発明によるプロセスモジュール1の好適な実施の形態の側部断面図を示している。図1Bは、入口領域の詳細図を示している。プロセスモジュール1は、入口3及び出口4を備える処理チャンバ2を有している。開口3及び4は、処理チャンバ2の全体に亘って延びた共通の処理平面5に配置されている。図示の実施形態によれば、処理平面5は水平に向けられている。下側処理面7A又は上側処理面7Bはそれぞれ、この処理平面5に対して平行に且つ処理平面5の両側に配置されている。処理平面5の方向で、下側処理面7A及び上側処理面7Bはそれぞれ、処理平面5の下側に配置された下側流体クッション6Aと、処理平面5の上側に対応して配置された上側流体クッション6Bとの境界を規定している。処理平面5の両側に流体の層が形成されるように、流体クッション6A及び6Bの処理面7A及び7Bの穴(図示せず)によって処理平面5に向かって流体を放出することができる。基板22の表面に向けられた流れにより、基板は、下側処理面7A又は上側処理面7Bそれぞれに機械的に接触することなく処理平面5に支持される。このように、基板の特に緩やかな支持が保証される。
【0064】
処理平面5の領域には複数のメガサウンド装置8も配置されている。図示の実施形態によれば、メガサウンド装置8は、処理平面5の下方及び上方に配置されており、処理平面5に対して平行に向けられている。しかしながら、場合によっては、メガサウンド装置8は処理平面5に対して所定の角度で傾斜して配置することもできる。
【0065】
図示の実施形態の別の必須の構成部材は、処理チャンバ2内の、キャッチ10を有する、基板の制御された送りのための複数の部分から成る構成、特に2つの部分から成る構成の装置9(略して送り装置という)である。図示の実施形態によれば、この装置は、前側部分9Aと、後側部分9Bとから成り、前側部分9A及び後側部分9Bはそれぞれ継手を備えた運動機構9Cを有する。従って、前側キャッチ10A又は後側キャッチ10Bはそれぞれの運動機構9Cに配置されており、これらの運動力学は、端部に接触領域11を有しており、この接触領域11は、少なくとも本発明による基板への送りの引渡しの間のいかなる時にも、処理平面5のレベルに配置されている(対応する説明に加えて図6を参照)。
【0066】
図2には、図1に示した本発明によるプロセスモジュールの好適な実施の形態の平面図が示されている。この図では、処理チャンバ2から分離された駆動チャンバ13に収容された、送り装置9のための駆動エレメント12が示されており、それ以外の構成要素は、これに関連して簡単に説明されており、従ってここでは改めて説明しない。運動機構9Cの操作のために、処理チャンバ2と駆動チャンバ13との間の隔壁を複数のシャフトが貫通している。好適には駆動チャンバ13のフラッシング機構が設けられているが、図示されておらず、このフラッシング機構によって、駆動エレメント12の作動によって発生した摩耗材料が開口を通って処理チャンバに到達する前にこの摩耗材料を除去することができる。このためには、処理チャンバ内には負圧を生ぜしめることが特に好ましく、これにより、フラッシング流体が入口(図示せず)から吸入され、出口(図示せず)から吸い出される。
【0067】
前側キャッチ10A(図面では左側の部分)の間の横方向の間隔と、後側キャッチ10B(図面では右側の部分)の間の横方向の間隔とが互いに異なる様子が示されている。前側のキャッチ10Aは、基板の直径の約80%の距離だけ離れており、後側のキャッチ10Bは、基板の直径の約20%の距離しか離れていない。これにより、基板の引渡しの間に後側キャッチが前側キャッチの間において掴む時に、キャッチのそれぞれの対が衝突する恐れがない。なぜならば、送り装置9の互いに隣接する部分9A又は9Bのキャッチ10A又は10Bの接触が排除されるからである。図示の好適な実施形態によれば、複数の部分から成る構成の送り装置9のそれぞれの部分のキャッチ10は、この図にも示されている基板に関して対称に配置されており、基板の後側領域に位置するエッジにおいてのみ基板に接触する。図示していない実施形態によれば、適用箇所は基板に関して非対称に配置することもでき、送り装置9のそれぞれの部分に対して、より少ない又はより多くのキャッチを設けることができる。さらに、キャッチは、図示のように上方から基板のエッジに到達することができるだけでなく、例えば、側方から到達する及び/又は処理面から突出して基板を前方へ押すこともできる。キャッチ10が上方から基板に到達するような図示の場合、処理平面の上方に位置する上側処理面には、貫通スロット16が設けられている。
【0068】
図3において、本発明によるキャッチ10の好適な実施の形態の詳細が示されている。キャッチ10は、図面の上側の領域に示された第1の端部に、駆動エレメント12に加えてレシーバを有しており、これらのレシーバは、駆動エレメント12を移動させる運動機構9Cのためのジョイントレシーバとして提供されている。キャッチ10は、棒状であり、図面において下側に配置された端部に接触領域11を有しており、これらの接触領域11は基板と機械的に接触するために設けられている。接触領域11は、接触面積をできるだけ減じるために球形に構成されている。図示しない別の実施形態によれば、接触領域は、球状、ブレード状、又は円筒状である。
【0069】
図4A及び図4Bは、本発明による媒体分離装置14の好適な実施形態の詳細を示している。媒体分離装置14は、基板(図示せず)の表面に向けられた複数のガスノズル17を有している。ガスノズル17の構成に応じて、ガスジェットをより弱く又はより強くすることができる。弱いジェットは、例えば基板を親水性化するためのオゾンによる基板表面のガス処理に特に適している。他方では、強いジェットは、基板表面に依然として付着している余分な流体を吹き流すのに特に適している。図示しない実施形態によれば、1つの媒体分離装置14は複数のガスノズル17を有することもでき、これらのガスノズル17は、例えば吹き流し及び親水性化等の様々な役割を果たすことができる。
【0070】
さらに、媒体分離装置14は、処理平面5の下方に配置された捕捉タンク18を有している。図示の実施形態によれば、捕捉タンクは、鉛直に配置された薄い壁部(箔19)によって2つの体積に分離されており、そのうち一方の体積は、図示していない先行のプロセスモジュールに割り当てられており、他方の体積は、後続のプロセスモジュールに割り当てられている。従って、媒体分離装置14によって分離された注ぎ流体は、流体が生じるそれぞれの処理チャンバ2に向けられた体積20A又は20Bそれぞれに流入する。有利には、体積20A,20Bを別々に空にすることができ、これにより、それぞれの内容物を処理チャンバ2において再利用することができ、そのためにポンピング装置(図示せず)が設けられなければならない。
【0071】
図5には、本発明によるプロセスモジュール1の一連の複数の好適な実施形態が示されており、プロセスモジュール1の間には分離装置14が配置されている。分かりやすくするために、既に上記で説明した詳細の全てが示されているわけではなく、また全てに参照符号が付されているわけではない。それぞれのプロセスモジュールのために、処理チャンバ2と、メガサウンド装置8を備えた下側処理面7Aと、前側及び後側の送り装置9A,9Bと、媒体分離装置14と、が示されている。図示のように、順次に配置されたプロセスモジュール1の場合、それぞれのプロセスモジュール1は1つの媒体分離装置14のみを有することのみが必要である。この場合、望まれるならば別の媒体分離装置14を有することができる最初と最後のプロセスモジュール1は例外である。特に好適には、全てのプロセスモジュール1は同じ処理平面5を有しており、これにより、複数のプロセスモジュール1を通って基板を送る間に処理平面を変更することを省略することができる。図示していないが、この場合、少なくとも隣り合うモジュールにおける送り、適用可能であるならば流速は、基板の衝突が生じることができないように互いに調整若しくは同期化されなければならない、しかしながら、同期化は、1つのプロセスモジュール1から後続のプロセスモジュール1への基板の引渡しだけに関する。別々のプロセスモジュールの処理チャンバ2における送り速度は互いに異なることができる。
【0072】
図6A〜図6Dは、本発明によるプロセスモジュール1を使用することによって、処理の経過において基板を送り込む間、引き渡す間、及び送り出す間の、本発明によるキャッチ10の好適な実施形態の典型的な動作の連続を、斜め上方から示している。分かりやすくするために、関係しない構成部材は省略されている。対応する前側キャッチ10A及び後側キャッチ10Bを備える2つの部分9A及び9Bから成る送り装置9と、運動機構9Cの対応する位置が示されている。
【0073】
図6Aは、本発明によるプロセスモジュール1を示しており、このプロセスモジュール1の入口3において、基板22が下側処理面7Aの上に配置されている。基板22は、基板の最も幅広の部分に続く基板のテーパ部が少なくとも僅かに処理チャンバ2の内部に配置される程度に、処理チャンバ2へ入り込んでいる。基板22は円形であるので、これは、基板の中心が入口3の壁部の内部を通過したことを意味する。この時、送り装置の前側部分9Aに所属するキャッチ10Aは、キャッチ10の接触領域11が、後側領域に配置された基板のエッジに接触するように位置決めされる。この図には、送り方向21が矢印によって示されている。
【0074】
図6Bにおいては、基板22は既に処理チャンバ2の内部に完全に配置されている。前側キャッチ10Aは、基板を前方へほぼ処理チャンバの中央まで押している。接触領域11は依然として基板の後側エッジの高さ、つまり処理平面5に配置されている。送り装置の後側部分9Bに所属する後側キャッチ10Bは、前側キャッチ10Aの間において掴み、基板の後側領域に配置されたエッジの近くに既に配置されている。
【0075】
図6Cにおいて、後側キャッチ10Bは前側キャッチ10Aから基板を完全に引き継いでおり、前側キャッチ10Aはもはや基板に接触していない。ここで、後側キャッチ10Bは基板をさらに送り方向21、若しくは出口4の方向へそれぞれ移動させる。後側キャッチ10Bは、接触の間のいかなるときにも処理平面5の高さにとどまっている。
【0076】
図6Dにおいて、後側キャッチ10Bは、基板の最も幅広の部分に続く基板のテーパ部が少なくとも僅かに処理チャンバ2の外側に配置されるまで、基板を処理チャンバ2の出口4から押し出している。円形の基板の場合、これは、基板の中心が出口4の壁部を通過したことを意味する。特に好適には、後側キャッチ10Bは基板をできるだけ出口4から押し出し、これにより、基板は、別のプロセスモジュールの、選択的な後続配置された処理チャンバ2へ十分に送り込まれ、これにより、図6Aと同様に別のプロセスモジュールの前側キャッチが、基板の後側領域に配置された基板のエッジに接触して押すことができ、前記動作の連続を繰り返すことができる。
【0077】
図7A〜図7Dは、保持方向の定義を示しており、また、保持方向と、送り速度及び流体クッションの流速のベクトルとの好適な依存関係を示している。
【0078】
保持方向は、図7A〜図7Dに示したように、基板平面における1つのキャッチから、基板の重心に向かう複数のベクトルの合計を表すベクトルの方向として理解される。図7A〜図7Cは、基板22と2つのキャッチ10との2つの典型的な配列の平面図を概略的に示しており、この場合、保持方向hのベクトルも示されている。つまり、保持方向hは、常に、キャッチ10が接触する基板エッジの領域から、基板22の中心に向かっている。複数のキャッチ10が設けられている場合、保持方向は、それぞれの1つの単位ベクトルのベクトル加算により生じる。つまり、保持方向は、力がキャッチから基板に作用することができる方向も与える。図7A及び図7Cは、送り速度VV及び流速VFの典型的なベクトルも示している。
【0079】
図7B及び図7Dは、極座標系における対応するベクトルを示している。送り速度VV、つまり送り速度が移動させられる速度と、流体クッションの流速VFとは、保持方向hの成分を有することができる。保持方向hと、対応する速度成分とが、同じ方向に向けられている場合(例えば図7A及び図7Bにおける送り速度VVの場合)、速度成分は正の符号を有する。保持方向hと、対応する速度成分とが、互いに逆向きである場合(例えば図7A及び図7Bにおける流速VF、及び図7C及び図7Dにおける送り速度VV及び流速VF)、速度成分は負の符号を有する。速度が保持方向に対して垂直に向けられている場合、保持方向での速度の成分はゼロである。
【0080】
図8Aは、処理面から突出したキャッチを備えた処理面の平面図を示している。図8Bは、図8Aに示した処理面を側面図で示している。分かりやすくするために、下側の処理平面7Aのみが示されており、この下側の処理平面7A上に複数の基板22と、キャッチ10とが配置されており、そのうち前側のキャッチ10Aのみに符号を付してある。キャッチ10,10Aは、処理面7Aを通って、貫通スロット16を通って突出しており、貫通スロット16のうちの2つにのみ符号を付している。キャッチ10は貫通スロット16に可動に配置されている。貫通スロット16の長手方向軸線に沿った運動と、処理面7Aに対して垂直に延びた運動とが、可能である。つまり、貫通スロット16の長手方向軸線に沿った運動は、搬送方向で基板22の後側エッジに作用する送りを生じ、さらに、キャッチ10′の対の前進接近において、キャッチ10は互いに向かって移動する。つまり、キャッチ10′の対は、複数の部分から成る構成の送り装置の1つの部分を形成している。この場合、一対のキャッチ10′は、搬送方向21で見た場合にそれぞれ同じ位置を有する2つのキャッチ10から成る。例えば、これは、図8Aにおいて参照符号10Aで示されたキャッチに当てはまる。これにより、(図面の右側に示された)最後の貫通スロット16の長さが制限されているにもかかわらず、処理面7Aの領域からの基板22の十分な送り出しを達成することができる。矢印23によって示された、処理面7Aに対して垂直な方向でのキャッチ10,10Aの可動性は、それぞれの貫通スロットの領域に配置されたばかりの基板が、戻るキャッチと衝突することなく、基板の引渡し後にキャッチを初期位置へ戻すために働く。初期位置の特徴は、一対のキャッチのそれぞれのキャッチが、互いに対して可能な限り最大の距離を有するということである。本発明によれば、それぞれのキャッチは、戻る間に処理面7Aに引っ込められて配置される。
【0081】
図面の左側に示された状況は、一対のキャッチ10′のみによって搬送される基板22を示している。キャッチ10Aと基板22との接触は、基板22の後側エッジに作用し、この場合、キャッチ10Aはそれぞれの貫通スロット16に沿った経路のほぼ半分に達している。
【0082】
図面に右側に示された状況は、一対のキャッチ10′から後続の一対のキャッチ10′′への引渡し直前の基板22を示している。この状況において、第1の対のキャッチ10′は、以下で説明される状況ほどにはまだ互いに接近していない。後続のキャッチ10′′も、基板の後側エッジにまだ接触していないが、間もなく接触する。
【0083】
図面の中央に示されたこの状況は、キャッチ10′の第1の対から、この第1の対に続く一対のキャッチ10′′への引渡し中の基板22を示している。基板22は、短時間の間、両方の対のキャッチ10′,10′′と接触する。搬送方向21で見て後方に配置されたキャッチ10′の対は、既にほぼ互いに接近していて、これにより、基板22を搬送方向21にできるだけ前方へ押しているが、キャッチの後続の対の依然として広く間隔を置いて配置されたキャッチ10′′は、基板の後側エッジの、相応に広く間隔を置かれた箇所に接触することによって、基板22を受け取る。このように、一対のキャッチから後続の一対のキャッチへの基板22の引渡しは、それぞれのキャッチ対が互いに衝突することなく可能である。
【0084】
従って、本発明による引渡しを保証するために、一対のキャッチ10′のキャッチ10の動作はそれぞれ、後続の一対のキャッチ10′′の動作に合わせて調節されなければならない。対照的に、後続の複数の対のキャッチの動作は、複数のグループに同期させられて生じることができる。これは、例えばそれぞれの第3の対のキャッチが同じ動作を行い、これにより、互いに独立した3つのグループが提供されることを意味する。例えば第1のグループのキャッチが、それぞれの貫通スロットに沿った経路の端部の直前にあり、後続のグループのキャッチによる引渡しを同時に準備している時、第3のグループの部材は、引っ込められた位置において初期位置へ戻されているなどである。このように、それぞれの動作を提供するための努力を低減することができる。
【0085】
図9Aは、処理面の領域へ横方向に突入したキャッチを備えた処理面の平面図を示している。図9Bは、図9Aに示した処理面を側面図で示している。図8A及び図8Bのように、実施形態の説明のために関連する部分のみが示されており、不要な参照符号は省略されている。
【0086】
この場合もやはり、本発明によれば、キャッチ10′,10′′は対になるように組み合わされており、これらの対は、複数の部分から成る構成の送り装置のそれぞれの部分を形成している。側面図(図9B)には、キャッチが、処理面7Aの上方及び基板22の上方に配置されていることも示されている。キャッチの接触領域11は、基板22のエッジに接触することができるように処理面7Aの方向へ延びているのに対し、キャッチの他の部分は、好適には基板22と衝突することができないように処理面7Aから鉛直方向に間隔を置かれている。
【0087】
一方では、対応して方向付けられた送りを基板に加えかつ引き続き初期位置へ駆動して戻すために、キャッチは搬送方向21及び搬送方向21とは反対方向に可動である。この初期位置は、キャッチが搬送方向とは反対方向にできるだけ移動させられた位置である。さらに、キャッチの対は、矢印23によって示したように互いに向かっても可動である。この動作は、図8A,図8Bに示した動作に対応し、この動作により、キャッチの対は互いに向かって移動することができる。従って、同様の効果を、図9A,図9Bの実施形態によるキャッチによって達成することもできる。さらに、対応する上記説明が参照される。
【0088】
図9A,図9Bの中央には、一方の対のキャッチ10′から、後続の一対のキャッチ10′′への基板の引渡しの状況が示されている。搬送方向21及びキャッチの軸線の方向で可能な動作により、図8に記載したような引渡しプロセスと同様に行われる引渡しが可能になる。従って、対応する上記説明が再び参照される。同じことは、キャッチの各対の動作の調整及び同期化に当てはまる。
【0089】
図10Aは、上方から処理面の領域に突入したキャッチを備えた処理面の平面図を示している。図10Bは、図10Aに示した処理面を側面図で示している。この場合もやはり、分かりやすくするために不要な参照符号は省略されている。
【0090】
この特定の好適な実施の形態によれば、送り装置は、部分9A又は9Bのそれぞれのキャッチ10A又は10Bが構造的に互いに結合されるように設計されている。複数の部分から成る構成の送り装置の一方の前側部分9Aと、後側部分9Bとはそれぞれ、基板22に関して存在している。(それに続く基板22の観点から、複数の部分から成る構成の送り装置9Bの後側部分は、基板から見た場合にこの基板の前方に配置されているので、再び9Aによって示されなければならない。)それぞれの基板エッジとのキャッチ10A,10Bの継続的な接触を保証するために、キャッチは望遠鏡型に設計されている。これは、矢印23によって示したようにキャッチがキャッチの長手方向軸線に沿って伸縮することができることを意味する。これにより、キャッチ10A,10Bの接触領域11はエッジの高さにおいて基板22のエッジに常に接触することができることが保証される。
【0091】
図面の左側には、複数の部分から成る構成の送り装置の前側部分9Aから(同じ基板22の観点から)複数の部分から成る構成の送り装置の後側部分9Bへの基板22の引渡しの直前の状況が示されている。キャッチ10Aは、キャッチの接触領域11が基板エッジの平面(処理平面)に配置されるように短い長さを有している。キャッチ10Bは、同じ理由により、より長い長さを有している。これは、特に図10B(側面図)によく示されており、図10Bには、例えば、図面の中央に配置された部分はほとんど処理面7Aに対して垂直に配置されているのに対し、後続の部分(右側の図)は処理面に対して約45゜の角度を形成している。本発明による送りをそれぞれの基板に提供することができるために、キャッチ10A,10Bの接触領域11は搬送方向21に可動でなければならない。本発明によれば、これは、矢印24によってそれぞれ示したように、それぞれの部分9A,9Bが付加的に回動可能であることにより達成される。これにより、複数の部分から成る構成の送り装置のそれぞれの部分のキャッチ10A,10Bは極めて異なる位置を占めることができ、これにより、接触領域も搬送方向21に沿って様々な異なる位置を占めることができる。例えば、図10A,図10Bの中央及び右側にそれぞれ示された状況は、引渡しの後に一対のキャッチのみと接触した基板22の搬送を示している。図面の右側に示されたキャッチの対は、接触された基板22を搬送方向22にできるだけ遠くへ押すことができるように整合及び回動させられている。対照的に、部分10Bのキャッチは、そこに配置された基板に、(最初は)引っ張り動作で接触し、この引っ張り動作は、(後で、図示せず)(部分10Bの観点から)押し付け動作(図示せず)に転換する。
【0092】
1つの部分のキャッチの(図示しない)戻りの間、基板22との接触は生じず、これは、単に、戻りの間に基板22との衝突がもはや不可能となるまで部分の長さを減じることによって達成することができる。偶然、キャッチのそれぞれの対の動作の調整及び同期化に関して前の図面に関連して述べたことは、対応して当てはまる。
【0093】
本発明は、複数の部分から成る構成に設計された送り装置の2つの部分を備えたプロセスモジュールの例によって開示された。発明の範囲から逸脱することなく、発明は、前記実施形態に従って又は前記実施形態に基づいて異なる数のこのような部分及びキャッチを用いて実現することもできる。
【0094】
さらに、発明は基板の緩やかな且つ制御可能な搬送の下で処理を提供し、この場合、特に、大きな努力なく両面処理が可能であることがさらに証明された。本発明は、望ましくない粒子がほとんどない処理を提供し、本発明は、特に、高純度の処理プロセスの要求をも満たす。一方では媒体分離装置によって、他方では、好適には送り方向とは反対方向の基板支持流体クッション流によって、処理流体のキャリオーバー、又は既にクリーニング除去された構成要素を備えた基板の再汚染は、懸念されなくてもよい。
【符号の説明】
【0095】
1 プロセスモジュール
2 処理チャンバ
3 入口、入口開口
5 処理平面
6A 下側流体クッション
6B 上側流体クッション
7A 下側処理面
7B 上側処理面
8 メガソニック装置
9 制御された送りのための装置、送り装置
9A 複数の部分から成る構成の送り装置の前側部分
9B 複数の部分から成る構成の送り装置の後側部分
9C キネマティックス
10 キャッチ
10A 前側のキャッチ
10B 後側のキャッチ
10′ 第1のキャッチ対
10′′ 後続のキャッチ対
11 接触面
12 駆動エレメント
13 駆動チャンバ
14 媒体分離器
15 分離器ギャップ
16 貫通スロット
17 ガスノズル、ノズル
18 集水タンク
19 箔
20A/B 第1/第2の体積
21 送り方向、搬送方向
22 基板
23 矢印
24 矢印
V 送り速度
F 流速
h 保持方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦な基板(22)の流体直列式処理のための装置において、少なくとも1つのプロセスモジュール(1)が設けられており、該プロセスモジュールが、少なくとも1つの処理面(7A)を備える処理チャンバ(2)を有しており、前記処理面(7A)が、処理平面(5A)において実質的に水平に配置されており、且つ処理面(7A)に機械的に接触することなく基板(22)を支持するために提供される下側流体クッション(6A)を形成するように設計されており、前記処理面(7A)が、該処理面に割り当てられた、入口(3)及び出口(4)としての、同じ平面における基板(22)の線形の送りのための2つの開口を有しており、
処理チャンバ(2)における前記基板(22)の制御された送りのための少なくとも1つのキャッチ(10)を備えた少なくとも1つの送り装置(9)が設けられていることを特徴とする、平坦な基板(22)の流体直列式処理のための装置。
【請求項2】
保持方向(h)での送り速度(VV)の成分が保持方向(h)での流体クッションの流速(VF)の成分を超過するように前記送り速度(VV)を調節することができ、前記保持方向(h)は、基板(22)の平面における1つのそれぞれのキャッチ(10)から基板(22)の重心に向かう複数のベクトルの合計を表すベクトルの方向として定義される、請求項1記載の装置。
【請求項3】
入口(3)及び出口(4)としての2つの開口のうちの少なくとも一方に、媒体分離のための装置(14)が割り当てられている、請求項1又は2記載の装置。
【請求項4】
媒体分離のための装置(14)がそれぞれ、集水タンク(18)において処理平面(5)の下方に鉛直に配置された、流体の分離のための箔(19)を有している、請求項3記載の装置。
【請求項5】
媒体分離のための装置(14)がそれぞれ、ガス流を発生するための少なくとも1つのノズル(17)を有しており、前記ガス流によって、進入又は退出する基板(22)に付着した流体を吹き流すことができる及び/又は基板(22)のガス処理を行うことができる、請求項3記載の装置。
【請求項6】
処理面(7A)の上方に該処理面(7A)に対して平行に配置されており且つ上側流体クッション(6B)を形成するように設計された別の面(7B)が設けられている、請求項1から5までのいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
上を向いた基板の側に第2の流体を供給するための装置が設けられている、請求項1から5までのいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
送り装置(9)が複数の部分から構成されており、複数の部分から構成された前記送り装置のそれぞれの部分が、基板(22)のエッジに接触し且つ該基板を送り方向(21)へ移動させることができるように設計されており且つ制御可能である少なくとも1つのキャッチ(10A,10B)を有する、請求項1から7までのいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
処理チャンバ(2)に設けられた、複数の部分から構成された送り装置(9A,9B)の前記部分のそれぞれのキャッチ(10A,10B)が、隣り合う部分のキャッチ(10A,10B)の接触が回避されるように、送り方向(21)に対して平行に互いに間隔を置いて配置されている、請求項8記載の装置。
【請求項10】
前記キャッチ(10,10A,10B)が、棒状に、ボール形若しくは球のセグメント形の接触領域(11)を有するように設計されており且つ運動機構(9C)に配置されており、該運動機構(9C)によって、基板エッジに対する接触領域(11)の位置決めが、処理中のあらゆる時に確実に調節可能である、請求項1から9までのいずれか1項記載の装置。
【請求項11】
複数のプロセスモジュール(1)が相前後して配置されている、請求項1から10までのいずれか1項記載の装置。
【請求項12】
流体処理が、平坦な基板(22)の搬送、及び望まれるならば湿式化学処理に関する、請求項1から11までのいずれか1項記載の装置。
【請求項13】
少なくとも1つの送り装置(9,9A,9B)の少なくとも1つのキャッチ(10,10A,10B)が、処理平面(5)の上方、下方又は側方に配置されている、請求項1から12までのいずれか1項記載の装置。
【請求項14】
請求項1から13までのいずれか1項記載の装置を使用することによって平坦な基板(22)の流体直列式処理を行う方法において、
基板(22)の下を向いた面が処理面(7A)に機械的に接触することなく流体クッション(6A)の流体層によって支持されるまで、及び基板(22)の最も幅広の部分に続く基板(22)のテーパ部が少なくとも僅かに処理チャンバ(22)内に配置されるまで、処理面(7A)に下側流体クッション(6A)を形成しかつ基板を入口開口(3)から処理チャンバ(2)内へ十分に導入し、
基板(22)のエッジに接触するように少なくとも1つの送り装置(9,9A,9B)の少なくとも1つのキャッチ(10,10A,10B)を制御し、
処理チャンバ(2)内で少なくとも1つの送り装置(9,9A,9B)の少なくとも1つのキャッチ(10,10A,10B)によって基板(22)を送り、その際、保持方向(h)の送り速度(VV)の成分が保持方向(h)の流体クッション(6A,6B)の流速(VF)の成分を超過するようにし、前記保持方向(h)が、基板(22)の平面における1つのそれぞれのキャッチ(10,10A,10B)から基板(22)の重心に向かう複数のベクトルの合計を表すベクトルの方向として定義されており、
基板(22)の最も幅広の部分に続く基板(22)のテーパ部が少なくとも僅かに処理チャンバ(22)の外側に配置されるまで、基板(22)を、出口開口(4)を通って処理チャンバ(22)から十分に送り出し、
前記基板(22)のエッジは、処理チャンバ(2)内に全体が位置する間、少なくとも1つの送り装置(9,9A,9B)の少なくとも1つのキャッチ(10,10A,10B)によって接触されることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項記載の装置を使用することによって平坦な基板(22)の流体直列式処理を行う方法。
【請求項15】
少なくとも1つのキャッチ(10,10A,10B)が、基板(22)の後側の領域に位置するエッジに接触し、流体クッション(6A,6B)の流速(VF)と、送り速度(VV)とが、保持方向(h)で正の成分を有しており、送り速度(VV)の成分が、流体クッション(6A,6B)の流速(VF)の成分を超過するように調節される、請求項14記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1つのキャッチ(10,10A,10B)が、基板(22)の後側の領域に位置するエッジに接触し、流体クッション(6A,6B)の流速(VF)が、保持方向(h)で負の成分を有しており、送り速度(VV)が、保持方向(h)で正の成分を有している、請求項14記載の方法。
【請求項17】
少なくとも1つのキャッチ(10,10A,10B)が、基板(22)の前側の領域に位置するエッジに接触し、流体クッション(6A,6B)の流速(VF)と、送り速度(VV)とが、保持方向(h)で負の成分を有しており、流体クッション(6A,6B)の流速(VF)の成分が、該成分の大きさが保持方向(h)での送り速度(VV)の成分の大きさを超過するように調節される、請求項14記載の方法。
【請求項18】
送り装置(9A,9B)が複数の部分から構成されており、複数の部分から構成された送り装置(9)のそれぞれの部分(9A,9B)が少なくとも1つのキャッチ(10,10A,10B)を有しており、基板(22)が処理チャンバ(2)を通って送られる際に、前記基板(22)が送り装置(9)の第1の部分(9A)から送り装置(9)の別の部分(9B)へ引き渡され、第1の部分(9A)の少なくとも1つのキャッチ(10A)は、基板(22)のエッジが前記別の部分(9B)の少なくとも1つのキャッチ(10B)によっても接触されるまで、前記基板(22)のエッジに接触し、引渡しの後、前記基板(22)は、別の部分(9B)の少なくとも1つのキャッチ(10B)によって処理チャンバ(2)の出口開口(4)まで搬送され、基板(22)の最も幅広の部分に続く基板(22)のテーパ部が少なくとも僅かに処理チャンバ(12)の外側に配置されるまで前記基板(22)を前記出口開口(4)から送り出す、請求項14から17までのいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
複数の部分から構成された送り装置(9)の別の部分(9B)の少なくとも1つのキャッチ(10B)が、第1の基板(22)を、出口(4)を通って処理チャンバ(2)から送り出し、複数の部分から構成された送り装置(9)の第1の部分(9A)の少なくとも1つのキャッチ(10A)が、第2の基板(22)を、入口(3)を通って処理チャンバ(2)へ導入する、請求項18記載の方法。
【請求項20】
進入する基板(22)及び/又は退出する基板(22)に付着する流体を分離する、請求項14から19までのいずれか1項記載の方法。
【請求項21】
選択的に、
処理流体による基板(22)の片面又は両面処理のステップ、及び
超音波及び/又はメガサウンドによる基板(22)の片面又は両面処理のステップのうちの1つ又は複数を含む、請求項14から20までのいずれか1項記載の方法。
【請求項22】
基板(22)の最も幅広の部分に続く基板(22)のテーパ部が少なくとも僅かに後続のプロセスモジュール(1)の内部に位置するまで、基板(22)が出口(4)から送りされる、請求項14から21までのいずれか1項記載の方法。
【請求項23】
それぞれの基板(22)に作用する少なくとも引渡し速度、適用可能であるならば送り速度(VV)及び/又は複数の後続のプロセスモジュール(1)の流速(VF)が互いに同期させられている、請求項22記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4A−4B】
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【図5】
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【図6A−6B】
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【図6C−6D】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8A−8B】
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【図9A−9B】
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【図10A−10B】
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【公表番号】特表2012−530363(P2012−530363A)
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−515380(P2012−515380)
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【国際出願番号】PCT/EP2010/003543
【国際公開番号】WO2010/145787
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(504382349)レナ ゲーエムベーハー (10)
【出願人】(599119503)ジルトロニック アクチエンゲゼルシャフト (223)
【氏名又は名称原語表記】Siltronic AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】