基板をウェハ・チャックに保持する方法
本発明は基板をウェハ・チャックに保持する方法に向けられる。この方法は基板の一部分をウェハ・チャックに向けて加速させ、ウェハ・チャックへ向かう基板の移動の速度を生成させ、基板がウェハ・チャックに到達する前に速度を下げることを特徴とする。この方式で、ウェハ・チャックとこの部分の衝突の力が大幅に削減され、これは基板の構造的完全性が傷つけられる可能性、さらには基板上の層および/またはウェハ・チャックが傷つけられる可能性を下げる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載)
米国政府が本発明の一括払いライセンス、および米国国防総省国防高等研究事業局(DARPA)によって与えられるN66001−01−1−8964とN66001−02−C−8011の条件で提供されるような妥当な条件で他者にライセンスを与えるように特許所有者に要求する権利を限られた状況の中で有する。
【0002】
本発明の分野は概して構造体のナノ加工に関する。さらに特定すると、本発明はインプリント・リソグラフィ工程において使用するために基板をウェハ・チャックに保持する方法に向けられる。ナノ加工は極めて小さい構造体、例えばナノメートル以下のオーダーの外観を有する構造体の加工を含む。ナノ加工が大きな影響を与えた1つの分野は集積回路の処理にある。半導体処理工業は基板上の単位面積当たりの回路を増やす一方で、より大きな生産収率を得るために努力を続けているため、ナノ加工はますます重要になる。ナノ加工は形成される構造体の最小外観寸法のさらなる削減を可能にする一方で、より大きな処理制御を提供する。ナノ加工が使用されてきた他の開発の分野はバイオテクノロジー、光技術、機械系などを含む。
【背景技術】
【0003】
ナノ加工技術の一例は一般的にインプリント・リソグラフィと称される。例となるインプリント・リソグラフィは米国特許出願公開第10/264960号として出願された「Method and a Mold to Arrange Features on aSubstrate to Replicate Features having Minimal Dimensional Variability」という表題の米国公開特許出願番号2004/0065976、米国特許出願公開第10/264926号として出願された「Method of Forming a Layer on a Substrate to Facilitate Fabrication of Metrology Standards」という表題の米国公開特許出願番号2004/0065252、米国特許出願公開第10/235314号として出願された「Functional Patterning Material for Imprint Lithography Processes」という表題の米国公開特許出願番号2004/0046271などの多くの公報に詳しく述べられており、これらのすべては本発明の譲受人に譲渡される。前述の米国公開特許出願の各々に開示された基本的なインプリント・リソグラフィ技術は重合可能な層の中へのレリーフ・パターンの形成、および下地基板へのレリーフ・パターンに対応するパターンの転写を含む。この目的のために、基板から間隔を置いてモールドが使用され、成形可能な液体がモールドと基板の間に存在する。この液体が固化させられて固化層を形成し、これは、この液体と接触しているモールドの表面の形状に一致する記録されたパターンを有する。このモールドが固化層から分離され、それにより、モールドと基板が隔てられる。次いで基板と固化層は、固化層内のパターンに対応するレリーフの像を基板内に転写するための処理を受ける。分離の際、基板を支持するために使用されるウェハ・チャック上に基板が保持される方式によって基板、固化層内のパターン記録、および/または固化層が傷つけられるという可能性が存在する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基板をウェハ・チャック上に保持する改善された方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は基板をウェハ・チャックに保持する方法に向けられる。この方法は、基板の一部分をウェハ・チャックに向けて加速させ、ウェハ・チャックへ向かう基板の移動の速度を生成させ、基板がウェハ・チャックに到達する前に速度を下げることを特徴とする。この方式で、ウェハ・チャックとこの部分の衝突の力が大幅に削減され、これによって基板の構造的完全性傷つけられる可能性や、基板上の層および/またはウェハ・チャックが傷つけられる可能性を低下させることができる。これらの実施形態、その他が下記でさらに十分に述べられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1を参照すると、モールド10がインプリンティング層12と接触して示されている。通常では、モールド10は石英ガラスで構成され、インプリンティング層12は当該技術で知られているいずれの材料で形成されてもよい。インプリンティング材料12に関して例となる組成は、2003年1月24日に提出され、本願明細書に参照で組入れる「Materials and Methods for Imprint Lithography」という表題の米国特許出願公開第10/763885号明細書に開示されている。インプリンティング層12は基板14上に配置され、基板14は付随する厚さ「t」を有する。基板14はシリコン、石英ガラス、金属、または集積回路の製造に通常関連する化合物材料を含む、事実上いずれの材料で形成されてもよい。モールド10はその上に配置された複数の特徴構造を有する表面16を含み、これら複数の特徴構造は複数の凸部18と凹部20を含む。複数の凸部18と凹部20はインプリンティング層12へ転写されるべきパターンを形成し、レリーフの像を形成する。より具体的には、インプリンティング層12の材料が複数の凹部20内に進入してこれを充填することでモールド10の表面16全域にわたって隣接する構造を備えたインプリンティング層12を形成するようにモールド10はインプリンティング層12に接触する。通常、モールド10とインプリンティング層12を取り巻く雰囲気はヘリウムで満たされている。モールド10はインプリント・ヘッド11に接続されている。インプリント・ヘッド11はX、Y、および/またはZ軸に沿って動くように構成され、Z軸に沿って基板14から離れる方向にモールド10を移動させることによって分離強制力FSを発生させる。この目的のために、基板14は通常ではZ軸に対して定位置に留まり、その一方でインプリント・ヘッド11が移動させられる。
【0007】
インプリンティング層12は、化学線作用成分に晒されると重合され、架橋させられて固化物質を形成するように光電性材料から形成される。この化学線作用成分は紫外波長、熱エネルギー、電磁エネルギー、可視光などを含む。使用されるこの化学線作用成分は当業者によく知られており、通常ではインプリンティング層12が形成される材料によって決まる。
【0008】
インプリンティング層12の固化は、テンプレート10がこれと接触し、インプリンティング層12が複数の凹部20を充填した後に起こる。その後、テンプレート10がインプリンティング層12から分離される。この方式で、テンプレート10のパターンに対応するパターンでレリーフの像がインプリンティング層12へと記録される。
【0009】
固化インプリンティング層12からのテンプレート10の分離はテンプレート10への力FSの適用によって行われる。分離強制力FSはテンプレート10とインプリンティング層12の間の接着力、および曲げ(変形)に対する基板14の抵抗に打ち勝つのに十分な大きさである。基板14の一部の変形は固化インプリンティング層12からのテンプレート10の分離を促すと考えられる。いずれかのよく知られている曲げ力FC、例えば電磁力、磁力、真空力などを使用した分離の際にウェハ・チャック22が基板14を保持する。結果として、分離強制力FSの方向は通常では曲げ力FCの方向と反対である。通常、ウェハ・チャック22はX、Y、および/またはZ軸に沿って移動する試料台23によって支えられる。一例のインプリント・リソグラフィ・システムは商品名IMPRIO(商標)100で販売されており、Molecular Imprints,Inc.,Austin,Texasから入手可能である。
【0010】
図1に示されるように、基板14の曲げ(変形)の程度は加えられる分離強制力FSの関数であり、通常では、基板14が距離dでウェハ・チャック22から隙間を開けられる曲げ領域24の形成に結果としてつながる。曲げ領域24は通常ではテンプレート10と接触したインプリンティング層12の領域の付近に生成され、処理領域と称される。
【0011】
しかしながら、モールド10と固化インプリンティング層12の分離を達成するために必要な分離強制力FSの大きさを最小にすることが望ましい。例えば、分離強制力FSの大きさの最小化は、モールド10と基板14が適切に位置合わせされることを可能にし、同様にモールドのパターン面積対全モールド面積の増大した比を可能にするように位置合わせを容易にする。付け加えると、モールド10と固化インプリンティング層12の分離を達成するために必要な分離強制力FSの最小化は、モールド10、基板14、固化インプリンティング材料12から成る構造的変形の可能性を小さくする。さらに、基板14の変形は曲げ領域24内にポテンシャル・エネルギーを生成させる。これは固化インプリンティング層12からモールド10を分離させる際の運動エネルギーへと変換される。特に、固化インプリンティング層12からのモールド10の分離の後、基板14への分離強制力FSはゼロに近くなる。曲げ力FCおよび基板14が形成される材料の弾性が、曲げ領域24がチャック22に向かって加速する原因となり、それにより、曲げ領域24は通常ではウェハ・チャック22と衝突する。ウェハ・チャック22と曲げ領域24の衝突は基板14やその上に形成される固化インプリンティング層12の構造的完全性を危うくする有害な影響を有する。これは、中でも基板14とモールド10の間の位置合わせに問題を生じさせる。
【0012】
図2を参照すると、本発明は固化インプリンティング層12からのテンプレート10の分離に関連する前述の有害な影響をたとえ阻止しないとしても少なくする。これは、所定の基板14、テンプレート10、固化インプリンティング層12に関してテンプレート10と固化インプリンティング層12の間の分離を行うために必要な分離強制力FSの大きさを小さくすることによって達成される。この目的のために、ウェハ・チャック122は特に分離の際に基板14が受ける曲げ(変形)の程度を制御するように構成される。ウェハ・チャック122は、複数の独立して生成される力F1とF2から曲げ力FCを生成させる。これは基板14全域にわたって方向と大きさで変わることが可能な曲げ力を与える。例えば、可変の力F2の大きさはチャッキング力F1より大幅に小さいことが可能である。結果として、テンプレート10が分離強制力FSを受けると、チャッキング力F1は基板14の非曲げ領域26に関連し、可変の力F2は基板14の曲げ領域24に関連する。
【0013】
この例では、力F1とF2は両方共に分離強制力FSの方向と実質的に反対の方向に沿っている。分離強制力FSは図1に関連して上記で検討されたように、テンプレートが接続されるインプリンティング・ヘッド11の移動によって生成される。付け加えると、図2に示されるウェハ・チャック122は図1に関連して上記で検討されたように試料台23によって支えられている。しかしながら、テンプレート10の位置をZ軸に対して固定して保ち、試料台23を使用して基板14をZ軸に沿ってテンプレート10から離れる方向に移動させることによって分離強制力FSが生成されてもよいことは留意されるべきである。場合によっては、分離強制力FSはZ軸に沿って反対方向に移動するテンプレート10と基板14の組合せから結果として生じてもよい。しかしながらこの検討の目的に関すると、本発明は基板がX軸に対して固定して保持される一方、テンプレート10がZ軸に沿って基板14から離れる方向に移動するように動くインプリント・ヘッド11に関して検討される。
【0014】
分離強制力FSを受けるときに曲げ領域24の外側の基板の部分がウェハ・チャック122上に保持される限り、力F1とF2の大きさが事実上いずれの望ましい値を有してもよいことは留意されるべきである。例えば、可変の力F2はゼロに近い大きさを有することもある。チャッキング力F1の大きさより大幅に小さい可変の力F2の大きさの結果として、固化インプリンティング層12からテンプレート10を分離させるために必要とされる分離強制力FSの大きさを小さくすることができる。より具体的には、可変の力F2の大きさは、分離強制力FSに応答してテンプレート10と重なった基板14の部分の曲げ(変形)を促す。
【0015】
図3を参照すると、場合によっては、曲げ力FCは可変の力F2の方向がチャッキング力F1の方向と反対になって分離強制力FSの方向と釣り合うことが可能になるように基板14全域にわたって変えられることもある。可変の力F2の大きさはチャッキング力F1の大きさと同じ、またはこれより大きい、または小さいこともある。この方式では、基板14の局所的変形は、曲げ領域24をウェハ・チャック122から離れる方向に押す可変の力F2によって促される。これは分離強制力FSの存在と無関係であってもなくてもよい。
【0016】
上述のように、この例ではチャッキング力F1は分離強制力FSを受けるときに基板14をウェハ・チャック122上に保持するように機能する。可変の力F2の方向が分離強制力FSの方向と実質的に同じである結果として、固化インプリンティング層12からテンプレート10を分離させるために必要とされる分離強制力FSの大きさを小さくできる。
【0017】
さらに、可変の力F2が分離強制力FSの方向と実質的に同じ方向にある結果として、可変の力F2は、たとえ衝突を回避しないとしてもテンプレート10と曲げ領域24の衝撃を減少させることが可能である。より具体的には、第2の可変の力F2は固化インプリンティング層12からのテンプレート10の分離の後に、ウェハ・チャック122に向かって伝播するときの曲げ領域24の速度、したがって運動エネルギーを下げる。この方式で、曲げ領域24はその構造的完全性を危うくすることなく、ウェハ・チャック122に対して静止状態に入る。
【0018】
固化インプリンティング層12からのテンプレート10の分離の後に、可変の力F2の大きさと方向が変えられることもある。例えば、チャッキング力F1と同じ大きさと方向を有するように可変の力F2が供給されることがある。さらに、可変の力F2の大きさと方向の変化は、チャッキング力F1と反対の方向を有する可変の力F2の大きさがゼロに近づくように期間中に直線的に変わることもある。ゼロに到達すると可変の力F2は方向を変え、チャッキング力F1の大きさと方向と釣り合うように徐々に大きくされる。結果として、基板14は可変の力F2の傾きを受け、この傾きは曲げ領域24を徐々に減速させ、ウェハ・チャック122に基板14を定位置で固定するように徐々に増大する。したがって、ウェハ・チャック122との衝撃の力を最小にしながらウェハ・チャック122との接触、すなわち衝突に応答した基板14の急激な減速を回避することが可能となる。
【0019】
固化インプリンティング層12からのテンプレート10の分離の前では、可変の力F2の方向は図2に関連して上記で述べられたように分離強制力FSの方向と実質的に反対であることもある。しかしながら、固化インプリンティング層12からテンプレート10を分離させると、可変の力F2の方向は図3に関連して上記で述べられたように分離強制力FSの方向と実質的に同じである。
【0020】
図1および4を参照すると、インプリンティング層12からのテンプレート10をさらに分離しやすくするためにテンプレート10が屈曲力FBを受けるようにしてもよい。より具体的には、屈曲力FBはテンプレート10の中央領域28に沿って、および図1に示されるような分離強制力FSの方向と反対の方向に沿って加えられる。屈曲力FBは上記で検討されたような曲げ力FCの大きさと方向の変更と併せて、または無関係に加えられることがある。この目的のために、テンプレート10は、2004年11月30日に提出され、本特許出願の譲受人に譲渡され、発明者としてCheralaらで識別され、本願明細書に参照で組入れられる米国特許出願公開第10/999898号明細書に開示されるようにテンプレートチャックに取り付けられてもよい。
【0021】
このテンプレート・チャックは中央に設けられた貫通路33を有する本体31を含み、貫通路の一方の側は石英ガラス・プレート35とガスケット36によって密閉される。貫通路33を取り巻いているものは凹部37とガスケット38である。本体31上にテンプレート10を適切に位置決めして貫通路33を密閉することでチャンバを形成し、同様に凹部を密閉することで中央に位置するチャンバを取り巻く第2のチャンバを形成する。中央に位置するチャンバと第2のチャンバは各々、望ましい加圧用の向かい合った通路40、41をそれぞれ設けられる。第2のチャンバを排気して中央のチャンバを加圧することによって、本体31から取り外すことなくテンプレート10に屈曲力FBが加えられる。
【0022】
図1、5、6を参照すると、基板14全域にわたって曲げ力FCの大きさと方向を変えるために前述のウェハ・チャック122を使用できる。さらに、以下の実施形態がステップ・アンド・リピート処理で使用されることが可能であり、一例となるステップ・アンド・リピート処理は、本発明の譲受人に譲渡され、本願明細書に参照で組入れられ、米国特許出願公開第10/194414号として出願された米国公開特許出願番号2004/0008334に開示されている。
【0023】
この目的のために、ウェハ・チャック122は複数の個別真空区画30A〜30Zを設けるように構成されている。本発明の目的に関すると、複数の個別真空区画30A〜30Zの各々は共通した大きさと方向の1つまたは複数のチャッキング力を供給するように区画され、例えば、個別真空区画30A〜30Zまたは複数のチャッキング力のうちの1つに関連する1つの曲げ力FCが存在してもよく、これらの各々は方向と大きさで実質的に同じである。真空区画30A〜30Zの数、サイズ、形状はいくつかの要因に応じて変わってもよい。付け加えると、複数の真空区画30A〜30Zのうちのいずれか1つのサイズと形状が複数の真空区画30A〜30Zのうちの残りの真空区画と異なっていてもよい。例えば、1つまたは複数の真空区画のサイズおよび/または形状が領域24のサイズおよび/または形状と釣り合っていてもよい。結果として、複数の真空区画30A〜30Zの各々は図示された正方形などの多角形の形状、ならびに図6に130で示された円の形状または230で示された環状の形状を含めたいくつかの形状のうちの1つを与えられることが可能である。付け加えると、真空区画は図7に示された不規則な形状のうちの1つまたは複数を含むこともある。
【0024】
図5〜7を参照すると、共通のウェハ・チャック122上に区画された複数の真空区画の各々が共通の形状とサイズを有することは可能であるが、これは必要条件ではない。したがって、ウェハ・チャック222は六角形の真空区画430、長方形の真空区画530、円形の真空区画130、環状の真空区画230に加えて不規則な真空区画330を区画することもある。
【0025】
図2、5、7、8を参照すると、複数の真空区画30A〜30Zの各々は、異なるチャッキング力が複数の真空区画30A〜30Zに関連するように個別に対処されてもよい。この方式で、所望のチャッキング力、例えばF1および/またはF2の場所が極めて正確に確定される。しかしながら、基板14が基板14の全領域を横切って延びる軸に沿って存在するように複数の真空区画30A〜30Zに関連する曲げ力FCを変えることが望ましい。この目的のために、前記複数の真空区画30A〜30Zの隣り合う横列が曲げ力の差分ΔFCを決める。例えば、真空区画30D、30I、30O、30U、30Z、30J、30P、30Vが可変の力F2を生成し、これが残りの真空区画30A、30B、30C、30E、30F、30G、30H、30K、30L、30M、30N、30Q、30R、30S、30T、30W、30X、30Yによって生成されるチャッキング力F1より小さいこともある。これは基板14が軸Aの周りで曲がることを可能にし、これは真空区画30D、30I、30O、30U、30Zから成る第1の横列と真空区画30C、30H、30N、30T、30Yから成る第2の横列の間の力の差分ΔFCによって促される。
【0026】
図9、10を参照すると、ウェハ・チャック122および/または222に前述の真空特性を与えるためにウェハ・チャック122、222は、間隔を開けられてそれらの間に複数のチャネル36を区画する複数のピン32、33を備えたステンレス鋼またはアルミニウムから一体で形成される。円形の断面を有して図示されているが、複数のピン32、33の各々は多角形の形状を含めた事実上どのような所望の断面形状を有することも可能であり、通常では3ミリメートルのピッチを有する。複数のピンのうちの1つまたは複数が中空であり、図11に示されるように通路35から延びて基板14に面する開口部で終結する貫通路34を形成している。これらは、重なり合う基板14の部分の屈曲を防止するために約2ミリメートルの直径を有する貫通路を備えたピン32で示されている。
【0027】
ピン32の各々は共有通路35と流体連絡して示されているが、これは必要条件ではない。そうではなく、複数のピン32の各々にある貫通路34は単位時間当たりにこれを通過する流体の量と方向が残りのピン32に関連する貫通路34を通る流体流量と無関係になるように個別に対処されてもよい。これは残りのピン32と流体連絡している通路とは異なる通路と流体連絡している1つまたは複数のピン32を置くことによって達成される。さらなる実施形態では、貫通路34は階段式構造を含むこともある。複数のピン34は基板14が置かれているランド37によって取り囲まれてもよい。チャネル36は通常、開口40を介して共有通路39と流体連絡している。
【0028】
図10および11を参照すると、基板14はチャネル36および/または貫通路34を通る流体流によって生成される曲げ力FCによってウェハ・チャック122上に保持される。この目的のために、通路35が圧力制御システム41と流体連絡しており、通路39が圧力制御システム43と流体連絡している。両方の圧力制御システム41、43がこれらとデータ通信しているプロセッサ45の制御下で運転される。この目的のために、プロセッサは図2〜11に関連して述べられた流体流を実行するためにプロセッサによって動作されるコンピュータ読み取り可能な符号を含んでいる。ウェハ・チャック122上に配置されると、ウェハ・チャック122に面した基板14の一方の面はピン32、33に相対して載せられる。曲げ力FCの存在下、および分離強制力FSの不在下では、基板14に面する貫通路34の端部はピン32、33に面して載せられた面47によって実質的に密閉されている。面47による密閉の結果として貫通路34とチャネル36の間で流体は流れない。
【0029】
分離強制力FSが加わると、固化インプリンティング層12と重なっている面47の部分はピン32および/または33から分離される。分離を行うために必要とされる分離強制力FSの大きさを減らすことによってこの分離を促進させるために、ピン32がウェハ・チャック122の領域全域にわたって配置されている。貫通路34を通って流れる流体は、可変の力F2がチャッキング力F1より小さくなるように選択される。通常、チャッキング力F1は十分な真空下で圧力制御システム43を動作させることによって生成される。可変の力F2が加圧状態で動作させられるとき、曲げ領域24とウェハ・チャック122の間に配置された容積内で約200キロ・パスカル(kPa)の圧力を生成させると十分な大きさである。これは普通、曲げ領域24で約10ミクロンの基板14の移動が生じる。密閉が破られる結果として、貫通路34はチャネル36と開口40を介して通路39と流体連絡状態に置かれる。これは曲げ領域24と重なっている曲げ力FCの大きさをさらに小さくし、したがって、領域24内の基板14の曲げ/変形が促されるのでインプリンティング層12からテンプレート10を分離させるために必要とされる分離強制力FSを小さくすることができる。
【0030】
図12を参照すると、代替の実施形態において、ウェハ・チャック322はピン32、33の使用を伴わずに前述の真空特性を得ることが可能である。この目的のために、ウェハ・チャック322の面49は複数の開口50、52を含み、これらはこれらを通る流体の流れを有するように構成され、流れの大きさと方向はほかの開口50、52を通る流体の流れと無関係にされる。開口は、これと重なり合う基板14の部分の屈曲の可能性を低減させるのに十分ように、通常では3ミリメートルのピッチと2ミリメートルの直径を有する。
【0031】
この例では、開口50が共有通路53と流体連絡しており、開口52が共有通路55と流体連絡している。曲げ力FCは間隔を置かれた複数の開口50、52のうちの1つまたは複数を通って流れる流体によって生成される。分離の前に、間隔を置かれた複数の開口50、52の部分は第1の流量、0sccm以上でこれらを通過する流体を有している。分離強制力FSが与えられれば、流体は第1の流量とは異なる流量で開口50、52を通過することが可能となる。特に、開口50、52を通過する流体の流量は分離強制力FSの存在に応答して変わることが可能である。通常では、前述の流量変化は曲げ領域24と重なり合う開口50、52に局所化される。この流量変化は、通常、曲げ力FCの大きさを小さくするのに十分である。それ自体でこの流量変化は、通常、開口52または開口50の一方のみを通過する流体に影響を与える。例えば、曲げ領域24と重なり合う開口52を通る流量は、それにより生成される曲げ力FCが減らされるように変化する。開口50を通る流量は実質的に一定に留まる。
【0032】
図2を参照すると、インプリンティング層12からのテンプレート10の分離をさらに補助するためにインプリンティング層は本願明細書に参照で組入れられる米国特許第6218316号明細書に開示されるように所定の波長に晒されると気体状の副生成物を生成する材料で構成されてもよい。この気体状の副生成物はインプリンティング層12とモールドの平坦面の間の界面に局所的な圧力を生成させる。この局所的な圧力はインプリンティング層12からのテンプレート10の分離を促進させる。気体状の副生成物を発生させる放射の波長は157nm、248nm、257nm、308nmまたはこれらの組合せといった波長を含む。気体状の副生成物の発生後に、インプリンティング層12への損傷を最小限にするためにテンプレート10の分離を迅速に開始することが望ましい。さらに、テンプレート10とインプリンティング層12の間に位置する気体状の副生成物はテンプレート10とインプリンティング層12の間から漏れ出すことがあり、これは望ましくない。さらに、インプリンティング層12からのテンプレート10の分離はインプリンティング層12の歪みを最小限にするためにインプリンティング層12に対して直角方向であるべきである。
【0033】
図13を参照すると、インプリンティング層12からのテンプレート10の分離をさらに補助するためにテンプレート10と基板14の間に押し付け力FPが使用されることもある。特に、押し付け力FPはテンプレート10と重なり合わない基板14の領域で基板14の付近に加えられる。この押し付け力FPは基板14をテンプレート10から離れる方向に移動させることによってテンプレート10の分離を促す。この目的のために、押し付け力FPは分離強制力FSに対して反対の方向に沿って向けられ、それにより、分離を行うために必要とされる分離強制力FSは小さくされることが可能である。押し付け力FPは図14に示されるように局所的に配置された複数の空気ノズル62によって、または図15に示されるようにアレイ162として加えられる。複数の空気ノズルの中に使用される気体は、限定はされないが窒素(N2)を含む。押し付け力FPは独立して、または図2〜12に関連して上記で検討されたような曲げ力FCの変化と併せて加えられることが可能である。
【0034】
図2、16、17を参照すると、インプリンティング層12からのテンプレート10の分離をさらに補助するためにテンプレート10はテンプレート10とインプリンティング層12の間の真空密閉効果を削減するための複数のトレンチ38を含んでもよい。トレンチ66はテンプレート10とインプリンティング層12が接触するときにテンプレート10とインプリンティング層12の間に位置する空気を放出させ、したがってテンプレート10とインプリンティング層12の間の真空密閉効果を下げる。結果として、分離強制力FSの大きさが小さくされ、これは望ましい。
【0035】
図18、図19を参照すると、さらなる実施形態においてテンプレート10は複数の穴68を含むことも可能であり、これら複数の穴68はトレンチ66と同様に機能し、それにより、穴68はテンプレート10とインプリンティング層12の間の真空密閉効果を下げるように機能する。
【0036】
上述の本発明の実施形態は例である。本発明の範囲内に留まりながら多くの変更や改造が上記に引用された開示に為されることが可能である。したがって、本発明の範囲は上記の説明を参照して決定されるべきではなく、添付の特許請求項ならびに同等事項の全範囲を参照して決定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】インプリンティング層と接触しており、先行技術に従って基板上に配置されたモールドの断面図である。
【図2】基板上に配置され、インプリンティング層からの分離を本発明の一実施形態に従って受けるモールドの断面図である。
【図3】基板上に配置され、インプリンティング層からの分離を本発明の第2の実施形態に従って受けるモールドの断面図である。
【図4】本発明に従ってモールド保持具に装着されたモールドの断面図である。
【図5】本発明に従って設けられることが可能な多様な真空区画のうちの第1の実施形態を例示するウェハ・チャックの平面図である。
【図6】本発明に従って設けられることが可能な多様な真空区画のうちの第2の実施形態を例示するウェハ・チャックの平面図である。
【図7】本発明に従って設けられることが可能な多様な真空区画のうちの第3の実施形態を例示するウェハ・チャックの平面図である。
【図8】代替の実施形態による解放の仕組みを受ける、図3に示されたウェハ・チャックおよび基板の側面図である。
【図9】図2に示されたウェハ・チャックの一実施形態の平面図である。
【図10】図9に示されたウェハ・チャックの、線10−10に沿ってとられた断面図である。
【図11】上に配置された基板を有する、図10に示されたウェハ・チャックの断面図である。
【図12】上に配置された基板を有する、図2に示されたウェハ・チャックの第2の実施形態の断面図である。
【図13】基板上に配置され、インプリンティング層と接触したモールドの断面図であって、基板が押し付け力を受けている。
【図14】押し付け力を行使するために局所的に配置された複数の空気ノズルを有するモールドを示す、単純化された平面図である。
【図15】押し付け力を行使するためにアレイとして配置された複数の空気ノズルを有するモールドを示す、単純化された平面図である。
【図16】モールドとインプリンティング層の間に位置する空気の放出を容易にするために配置された複数のトレンチを有するモールドを示す、単純化された平面図である。
【図17】図16に示されたモールドの側面図である。
【図18】モールドとインプリンティング層の間に位置する空気の放出を容易にするために配置された複数の穴を有するモールドを示す、単純化された平面図である。
【図19】図17に示されたモールドの側面図である。
【技術分野】
【0001】
(連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載)
米国政府が本発明の一括払いライセンス、および米国国防総省国防高等研究事業局(DARPA)によって与えられるN66001−01−1−8964とN66001−02−C−8011の条件で提供されるような妥当な条件で他者にライセンスを与えるように特許所有者に要求する権利を限られた状況の中で有する。
【0002】
本発明の分野は概して構造体のナノ加工に関する。さらに特定すると、本発明はインプリント・リソグラフィ工程において使用するために基板をウェハ・チャックに保持する方法に向けられる。ナノ加工は極めて小さい構造体、例えばナノメートル以下のオーダーの外観を有する構造体の加工を含む。ナノ加工が大きな影響を与えた1つの分野は集積回路の処理にある。半導体処理工業は基板上の単位面積当たりの回路を増やす一方で、より大きな生産収率を得るために努力を続けているため、ナノ加工はますます重要になる。ナノ加工は形成される構造体の最小外観寸法のさらなる削減を可能にする一方で、より大きな処理制御を提供する。ナノ加工が使用されてきた他の開発の分野はバイオテクノロジー、光技術、機械系などを含む。
【背景技術】
【0003】
ナノ加工技術の一例は一般的にインプリント・リソグラフィと称される。例となるインプリント・リソグラフィは米国特許出願公開第10/264960号として出願された「Method and a Mold to Arrange Features on aSubstrate to Replicate Features having Minimal Dimensional Variability」という表題の米国公開特許出願番号2004/0065976、米国特許出願公開第10/264926号として出願された「Method of Forming a Layer on a Substrate to Facilitate Fabrication of Metrology Standards」という表題の米国公開特許出願番号2004/0065252、米国特許出願公開第10/235314号として出願された「Functional Patterning Material for Imprint Lithography Processes」という表題の米国公開特許出願番号2004/0046271などの多くの公報に詳しく述べられており、これらのすべては本発明の譲受人に譲渡される。前述の米国公開特許出願の各々に開示された基本的なインプリント・リソグラフィ技術は重合可能な層の中へのレリーフ・パターンの形成、および下地基板へのレリーフ・パターンに対応するパターンの転写を含む。この目的のために、基板から間隔を置いてモールドが使用され、成形可能な液体がモールドと基板の間に存在する。この液体が固化させられて固化層を形成し、これは、この液体と接触しているモールドの表面の形状に一致する記録されたパターンを有する。このモールドが固化層から分離され、それにより、モールドと基板が隔てられる。次いで基板と固化層は、固化層内のパターンに対応するレリーフの像を基板内に転写するための処理を受ける。分離の際、基板を支持するために使用されるウェハ・チャック上に基板が保持される方式によって基板、固化層内のパターン記録、および/または固化層が傷つけられるという可能性が存在する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基板をウェハ・チャック上に保持する改善された方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は基板をウェハ・チャックに保持する方法に向けられる。この方法は、基板の一部分をウェハ・チャックに向けて加速させ、ウェハ・チャックへ向かう基板の移動の速度を生成させ、基板がウェハ・チャックに到達する前に速度を下げることを特徴とする。この方式で、ウェハ・チャックとこの部分の衝突の力が大幅に削減され、これによって基板の構造的完全性傷つけられる可能性や、基板上の層および/またはウェハ・チャックが傷つけられる可能性を低下させることができる。これらの実施形態、その他が下記でさらに十分に述べられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1を参照すると、モールド10がインプリンティング層12と接触して示されている。通常では、モールド10は石英ガラスで構成され、インプリンティング層12は当該技術で知られているいずれの材料で形成されてもよい。インプリンティング材料12に関して例となる組成は、2003年1月24日に提出され、本願明細書に参照で組入れる「Materials and Methods for Imprint Lithography」という表題の米国特許出願公開第10/763885号明細書に開示されている。インプリンティング層12は基板14上に配置され、基板14は付随する厚さ「t」を有する。基板14はシリコン、石英ガラス、金属、または集積回路の製造に通常関連する化合物材料を含む、事実上いずれの材料で形成されてもよい。モールド10はその上に配置された複数の特徴構造を有する表面16を含み、これら複数の特徴構造は複数の凸部18と凹部20を含む。複数の凸部18と凹部20はインプリンティング層12へ転写されるべきパターンを形成し、レリーフの像を形成する。より具体的には、インプリンティング層12の材料が複数の凹部20内に進入してこれを充填することでモールド10の表面16全域にわたって隣接する構造を備えたインプリンティング層12を形成するようにモールド10はインプリンティング層12に接触する。通常、モールド10とインプリンティング層12を取り巻く雰囲気はヘリウムで満たされている。モールド10はインプリント・ヘッド11に接続されている。インプリント・ヘッド11はX、Y、および/またはZ軸に沿って動くように構成され、Z軸に沿って基板14から離れる方向にモールド10を移動させることによって分離強制力FSを発生させる。この目的のために、基板14は通常ではZ軸に対して定位置に留まり、その一方でインプリント・ヘッド11が移動させられる。
【0007】
インプリンティング層12は、化学線作用成分に晒されると重合され、架橋させられて固化物質を形成するように光電性材料から形成される。この化学線作用成分は紫外波長、熱エネルギー、電磁エネルギー、可視光などを含む。使用されるこの化学線作用成分は当業者によく知られており、通常ではインプリンティング層12が形成される材料によって決まる。
【0008】
インプリンティング層12の固化は、テンプレート10がこれと接触し、インプリンティング層12が複数の凹部20を充填した後に起こる。その後、テンプレート10がインプリンティング層12から分離される。この方式で、テンプレート10のパターンに対応するパターンでレリーフの像がインプリンティング層12へと記録される。
【0009】
固化インプリンティング層12からのテンプレート10の分離はテンプレート10への力FSの適用によって行われる。分離強制力FSはテンプレート10とインプリンティング層12の間の接着力、および曲げ(変形)に対する基板14の抵抗に打ち勝つのに十分な大きさである。基板14の一部の変形は固化インプリンティング層12からのテンプレート10の分離を促すと考えられる。いずれかのよく知られている曲げ力FC、例えば電磁力、磁力、真空力などを使用した分離の際にウェハ・チャック22が基板14を保持する。結果として、分離強制力FSの方向は通常では曲げ力FCの方向と反対である。通常、ウェハ・チャック22はX、Y、および/またはZ軸に沿って移動する試料台23によって支えられる。一例のインプリント・リソグラフィ・システムは商品名IMPRIO(商標)100で販売されており、Molecular Imprints,Inc.,Austin,Texasから入手可能である。
【0010】
図1に示されるように、基板14の曲げ(変形)の程度は加えられる分離強制力FSの関数であり、通常では、基板14が距離dでウェハ・チャック22から隙間を開けられる曲げ領域24の形成に結果としてつながる。曲げ領域24は通常ではテンプレート10と接触したインプリンティング層12の領域の付近に生成され、処理領域と称される。
【0011】
しかしながら、モールド10と固化インプリンティング層12の分離を達成するために必要な分離強制力FSの大きさを最小にすることが望ましい。例えば、分離強制力FSの大きさの最小化は、モールド10と基板14が適切に位置合わせされることを可能にし、同様にモールドのパターン面積対全モールド面積の増大した比を可能にするように位置合わせを容易にする。付け加えると、モールド10と固化インプリンティング層12の分離を達成するために必要な分離強制力FSの最小化は、モールド10、基板14、固化インプリンティング材料12から成る構造的変形の可能性を小さくする。さらに、基板14の変形は曲げ領域24内にポテンシャル・エネルギーを生成させる。これは固化インプリンティング層12からモールド10を分離させる際の運動エネルギーへと変換される。特に、固化インプリンティング層12からのモールド10の分離の後、基板14への分離強制力FSはゼロに近くなる。曲げ力FCおよび基板14が形成される材料の弾性が、曲げ領域24がチャック22に向かって加速する原因となり、それにより、曲げ領域24は通常ではウェハ・チャック22と衝突する。ウェハ・チャック22と曲げ領域24の衝突は基板14やその上に形成される固化インプリンティング層12の構造的完全性を危うくする有害な影響を有する。これは、中でも基板14とモールド10の間の位置合わせに問題を生じさせる。
【0012】
図2を参照すると、本発明は固化インプリンティング層12からのテンプレート10の分離に関連する前述の有害な影響をたとえ阻止しないとしても少なくする。これは、所定の基板14、テンプレート10、固化インプリンティング層12に関してテンプレート10と固化インプリンティング層12の間の分離を行うために必要な分離強制力FSの大きさを小さくすることによって達成される。この目的のために、ウェハ・チャック122は特に分離の際に基板14が受ける曲げ(変形)の程度を制御するように構成される。ウェハ・チャック122は、複数の独立して生成される力F1とF2から曲げ力FCを生成させる。これは基板14全域にわたって方向と大きさで変わることが可能な曲げ力を与える。例えば、可変の力F2の大きさはチャッキング力F1より大幅に小さいことが可能である。結果として、テンプレート10が分離強制力FSを受けると、チャッキング力F1は基板14の非曲げ領域26に関連し、可変の力F2は基板14の曲げ領域24に関連する。
【0013】
この例では、力F1とF2は両方共に分離強制力FSの方向と実質的に反対の方向に沿っている。分離強制力FSは図1に関連して上記で検討されたように、テンプレートが接続されるインプリンティング・ヘッド11の移動によって生成される。付け加えると、図2に示されるウェハ・チャック122は図1に関連して上記で検討されたように試料台23によって支えられている。しかしながら、テンプレート10の位置をZ軸に対して固定して保ち、試料台23を使用して基板14をZ軸に沿ってテンプレート10から離れる方向に移動させることによって分離強制力FSが生成されてもよいことは留意されるべきである。場合によっては、分離強制力FSはZ軸に沿って反対方向に移動するテンプレート10と基板14の組合せから結果として生じてもよい。しかしながらこの検討の目的に関すると、本発明は基板がX軸に対して固定して保持される一方、テンプレート10がZ軸に沿って基板14から離れる方向に移動するように動くインプリント・ヘッド11に関して検討される。
【0014】
分離強制力FSを受けるときに曲げ領域24の外側の基板の部分がウェハ・チャック122上に保持される限り、力F1とF2の大きさが事実上いずれの望ましい値を有してもよいことは留意されるべきである。例えば、可変の力F2はゼロに近い大きさを有することもある。チャッキング力F1の大きさより大幅に小さい可変の力F2の大きさの結果として、固化インプリンティング層12からテンプレート10を分離させるために必要とされる分離強制力FSの大きさを小さくすることができる。より具体的には、可変の力F2の大きさは、分離強制力FSに応答してテンプレート10と重なった基板14の部分の曲げ(変形)を促す。
【0015】
図3を参照すると、場合によっては、曲げ力FCは可変の力F2の方向がチャッキング力F1の方向と反対になって分離強制力FSの方向と釣り合うことが可能になるように基板14全域にわたって変えられることもある。可変の力F2の大きさはチャッキング力F1の大きさと同じ、またはこれより大きい、または小さいこともある。この方式では、基板14の局所的変形は、曲げ領域24をウェハ・チャック122から離れる方向に押す可変の力F2によって促される。これは分離強制力FSの存在と無関係であってもなくてもよい。
【0016】
上述のように、この例ではチャッキング力F1は分離強制力FSを受けるときに基板14をウェハ・チャック122上に保持するように機能する。可変の力F2の方向が分離強制力FSの方向と実質的に同じである結果として、固化インプリンティング層12からテンプレート10を分離させるために必要とされる分離強制力FSの大きさを小さくできる。
【0017】
さらに、可変の力F2が分離強制力FSの方向と実質的に同じ方向にある結果として、可変の力F2は、たとえ衝突を回避しないとしてもテンプレート10と曲げ領域24の衝撃を減少させることが可能である。より具体的には、第2の可変の力F2は固化インプリンティング層12からのテンプレート10の分離の後に、ウェハ・チャック122に向かって伝播するときの曲げ領域24の速度、したがって運動エネルギーを下げる。この方式で、曲げ領域24はその構造的完全性を危うくすることなく、ウェハ・チャック122に対して静止状態に入る。
【0018】
固化インプリンティング層12からのテンプレート10の分離の後に、可変の力F2の大きさと方向が変えられることもある。例えば、チャッキング力F1と同じ大きさと方向を有するように可変の力F2が供給されることがある。さらに、可変の力F2の大きさと方向の変化は、チャッキング力F1と反対の方向を有する可変の力F2の大きさがゼロに近づくように期間中に直線的に変わることもある。ゼロに到達すると可変の力F2は方向を変え、チャッキング力F1の大きさと方向と釣り合うように徐々に大きくされる。結果として、基板14は可変の力F2の傾きを受け、この傾きは曲げ領域24を徐々に減速させ、ウェハ・チャック122に基板14を定位置で固定するように徐々に増大する。したがって、ウェハ・チャック122との衝撃の力を最小にしながらウェハ・チャック122との接触、すなわち衝突に応答した基板14の急激な減速を回避することが可能となる。
【0019】
固化インプリンティング層12からのテンプレート10の分離の前では、可変の力F2の方向は図2に関連して上記で述べられたように分離強制力FSの方向と実質的に反対であることもある。しかしながら、固化インプリンティング層12からテンプレート10を分離させると、可変の力F2の方向は図3に関連して上記で述べられたように分離強制力FSの方向と実質的に同じである。
【0020】
図1および4を参照すると、インプリンティング層12からのテンプレート10をさらに分離しやすくするためにテンプレート10が屈曲力FBを受けるようにしてもよい。より具体的には、屈曲力FBはテンプレート10の中央領域28に沿って、および図1に示されるような分離強制力FSの方向と反対の方向に沿って加えられる。屈曲力FBは上記で検討されたような曲げ力FCの大きさと方向の変更と併せて、または無関係に加えられることがある。この目的のために、テンプレート10は、2004年11月30日に提出され、本特許出願の譲受人に譲渡され、発明者としてCheralaらで識別され、本願明細書に参照で組入れられる米国特許出願公開第10/999898号明細書に開示されるようにテンプレートチャックに取り付けられてもよい。
【0021】
このテンプレート・チャックは中央に設けられた貫通路33を有する本体31を含み、貫通路の一方の側は石英ガラス・プレート35とガスケット36によって密閉される。貫通路33を取り巻いているものは凹部37とガスケット38である。本体31上にテンプレート10を適切に位置決めして貫通路33を密閉することでチャンバを形成し、同様に凹部を密閉することで中央に位置するチャンバを取り巻く第2のチャンバを形成する。中央に位置するチャンバと第2のチャンバは各々、望ましい加圧用の向かい合った通路40、41をそれぞれ設けられる。第2のチャンバを排気して中央のチャンバを加圧することによって、本体31から取り外すことなくテンプレート10に屈曲力FBが加えられる。
【0022】
図1、5、6を参照すると、基板14全域にわたって曲げ力FCの大きさと方向を変えるために前述のウェハ・チャック122を使用できる。さらに、以下の実施形態がステップ・アンド・リピート処理で使用されることが可能であり、一例となるステップ・アンド・リピート処理は、本発明の譲受人に譲渡され、本願明細書に参照で組入れられ、米国特許出願公開第10/194414号として出願された米国公開特許出願番号2004/0008334に開示されている。
【0023】
この目的のために、ウェハ・チャック122は複数の個別真空区画30A〜30Zを設けるように構成されている。本発明の目的に関すると、複数の個別真空区画30A〜30Zの各々は共通した大きさと方向の1つまたは複数のチャッキング力を供給するように区画され、例えば、個別真空区画30A〜30Zまたは複数のチャッキング力のうちの1つに関連する1つの曲げ力FCが存在してもよく、これらの各々は方向と大きさで実質的に同じである。真空区画30A〜30Zの数、サイズ、形状はいくつかの要因に応じて変わってもよい。付け加えると、複数の真空区画30A〜30Zのうちのいずれか1つのサイズと形状が複数の真空区画30A〜30Zのうちの残りの真空区画と異なっていてもよい。例えば、1つまたは複数の真空区画のサイズおよび/または形状が領域24のサイズおよび/または形状と釣り合っていてもよい。結果として、複数の真空区画30A〜30Zの各々は図示された正方形などの多角形の形状、ならびに図6に130で示された円の形状または230で示された環状の形状を含めたいくつかの形状のうちの1つを与えられることが可能である。付け加えると、真空区画は図7に示された不規則な形状のうちの1つまたは複数を含むこともある。
【0024】
図5〜7を参照すると、共通のウェハ・チャック122上に区画された複数の真空区画の各々が共通の形状とサイズを有することは可能であるが、これは必要条件ではない。したがって、ウェハ・チャック222は六角形の真空区画430、長方形の真空区画530、円形の真空区画130、環状の真空区画230に加えて不規則な真空区画330を区画することもある。
【0025】
図2、5、7、8を参照すると、複数の真空区画30A〜30Zの各々は、異なるチャッキング力が複数の真空区画30A〜30Zに関連するように個別に対処されてもよい。この方式で、所望のチャッキング力、例えばF1および/またはF2の場所が極めて正確に確定される。しかしながら、基板14が基板14の全領域を横切って延びる軸に沿って存在するように複数の真空区画30A〜30Zに関連する曲げ力FCを変えることが望ましい。この目的のために、前記複数の真空区画30A〜30Zの隣り合う横列が曲げ力の差分ΔFCを決める。例えば、真空区画30D、30I、30O、30U、30Z、30J、30P、30Vが可変の力F2を生成し、これが残りの真空区画30A、30B、30C、30E、30F、30G、30H、30K、30L、30M、30N、30Q、30R、30S、30T、30W、30X、30Yによって生成されるチャッキング力F1より小さいこともある。これは基板14が軸Aの周りで曲がることを可能にし、これは真空区画30D、30I、30O、30U、30Zから成る第1の横列と真空区画30C、30H、30N、30T、30Yから成る第2の横列の間の力の差分ΔFCによって促される。
【0026】
図9、10を参照すると、ウェハ・チャック122および/または222に前述の真空特性を与えるためにウェハ・チャック122、222は、間隔を開けられてそれらの間に複数のチャネル36を区画する複数のピン32、33を備えたステンレス鋼またはアルミニウムから一体で形成される。円形の断面を有して図示されているが、複数のピン32、33の各々は多角形の形状を含めた事実上どのような所望の断面形状を有することも可能であり、通常では3ミリメートルのピッチを有する。複数のピンのうちの1つまたは複数が中空であり、図11に示されるように通路35から延びて基板14に面する開口部で終結する貫通路34を形成している。これらは、重なり合う基板14の部分の屈曲を防止するために約2ミリメートルの直径を有する貫通路を備えたピン32で示されている。
【0027】
ピン32の各々は共有通路35と流体連絡して示されているが、これは必要条件ではない。そうではなく、複数のピン32の各々にある貫通路34は単位時間当たりにこれを通過する流体の量と方向が残りのピン32に関連する貫通路34を通る流体流量と無関係になるように個別に対処されてもよい。これは残りのピン32と流体連絡している通路とは異なる通路と流体連絡している1つまたは複数のピン32を置くことによって達成される。さらなる実施形態では、貫通路34は階段式構造を含むこともある。複数のピン34は基板14が置かれているランド37によって取り囲まれてもよい。チャネル36は通常、開口40を介して共有通路39と流体連絡している。
【0028】
図10および11を参照すると、基板14はチャネル36および/または貫通路34を通る流体流によって生成される曲げ力FCによってウェハ・チャック122上に保持される。この目的のために、通路35が圧力制御システム41と流体連絡しており、通路39が圧力制御システム43と流体連絡している。両方の圧力制御システム41、43がこれらとデータ通信しているプロセッサ45の制御下で運転される。この目的のために、プロセッサは図2〜11に関連して述べられた流体流を実行するためにプロセッサによって動作されるコンピュータ読み取り可能な符号を含んでいる。ウェハ・チャック122上に配置されると、ウェハ・チャック122に面した基板14の一方の面はピン32、33に相対して載せられる。曲げ力FCの存在下、および分離強制力FSの不在下では、基板14に面する貫通路34の端部はピン32、33に面して載せられた面47によって実質的に密閉されている。面47による密閉の結果として貫通路34とチャネル36の間で流体は流れない。
【0029】
分離強制力FSが加わると、固化インプリンティング層12と重なっている面47の部分はピン32および/または33から分離される。分離を行うために必要とされる分離強制力FSの大きさを減らすことによってこの分離を促進させるために、ピン32がウェハ・チャック122の領域全域にわたって配置されている。貫通路34を通って流れる流体は、可変の力F2がチャッキング力F1より小さくなるように選択される。通常、チャッキング力F1は十分な真空下で圧力制御システム43を動作させることによって生成される。可変の力F2が加圧状態で動作させられるとき、曲げ領域24とウェハ・チャック122の間に配置された容積内で約200キロ・パスカル(kPa)の圧力を生成させると十分な大きさである。これは普通、曲げ領域24で約10ミクロンの基板14の移動が生じる。密閉が破られる結果として、貫通路34はチャネル36と開口40を介して通路39と流体連絡状態に置かれる。これは曲げ領域24と重なっている曲げ力FCの大きさをさらに小さくし、したがって、領域24内の基板14の曲げ/変形が促されるのでインプリンティング層12からテンプレート10を分離させるために必要とされる分離強制力FSを小さくすることができる。
【0030】
図12を参照すると、代替の実施形態において、ウェハ・チャック322はピン32、33の使用を伴わずに前述の真空特性を得ることが可能である。この目的のために、ウェハ・チャック322の面49は複数の開口50、52を含み、これらはこれらを通る流体の流れを有するように構成され、流れの大きさと方向はほかの開口50、52を通る流体の流れと無関係にされる。開口は、これと重なり合う基板14の部分の屈曲の可能性を低減させるのに十分ように、通常では3ミリメートルのピッチと2ミリメートルの直径を有する。
【0031】
この例では、開口50が共有通路53と流体連絡しており、開口52が共有通路55と流体連絡している。曲げ力FCは間隔を置かれた複数の開口50、52のうちの1つまたは複数を通って流れる流体によって生成される。分離の前に、間隔を置かれた複数の開口50、52の部分は第1の流量、0sccm以上でこれらを通過する流体を有している。分離強制力FSが与えられれば、流体は第1の流量とは異なる流量で開口50、52を通過することが可能となる。特に、開口50、52を通過する流体の流量は分離強制力FSの存在に応答して変わることが可能である。通常では、前述の流量変化は曲げ領域24と重なり合う開口50、52に局所化される。この流量変化は、通常、曲げ力FCの大きさを小さくするのに十分である。それ自体でこの流量変化は、通常、開口52または開口50の一方のみを通過する流体に影響を与える。例えば、曲げ領域24と重なり合う開口52を通る流量は、それにより生成される曲げ力FCが減らされるように変化する。開口50を通る流量は実質的に一定に留まる。
【0032】
図2を参照すると、インプリンティング層12からのテンプレート10の分離をさらに補助するためにインプリンティング層は本願明細書に参照で組入れられる米国特許第6218316号明細書に開示されるように所定の波長に晒されると気体状の副生成物を生成する材料で構成されてもよい。この気体状の副生成物はインプリンティング層12とモールドの平坦面の間の界面に局所的な圧力を生成させる。この局所的な圧力はインプリンティング層12からのテンプレート10の分離を促進させる。気体状の副生成物を発生させる放射の波長は157nm、248nm、257nm、308nmまたはこれらの組合せといった波長を含む。気体状の副生成物の発生後に、インプリンティング層12への損傷を最小限にするためにテンプレート10の分離を迅速に開始することが望ましい。さらに、テンプレート10とインプリンティング層12の間に位置する気体状の副生成物はテンプレート10とインプリンティング層12の間から漏れ出すことがあり、これは望ましくない。さらに、インプリンティング層12からのテンプレート10の分離はインプリンティング層12の歪みを最小限にするためにインプリンティング層12に対して直角方向であるべきである。
【0033】
図13を参照すると、インプリンティング層12からのテンプレート10の分離をさらに補助するためにテンプレート10と基板14の間に押し付け力FPが使用されることもある。特に、押し付け力FPはテンプレート10と重なり合わない基板14の領域で基板14の付近に加えられる。この押し付け力FPは基板14をテンプレート10から離れる方向に移動させることによってテンプレート10の分離を促す。この目的のために、押し付け力FPは分離強制力FSに対して反対の方向に沿って向けられ、それにより、分離を行うために必要とされる分離強制力FSは小さくされることが可能である。押し付け力FPは図14に示されるように局所的に配置された複数の空気ノズル62によって、または図15に示されるようにアレイ162として加えられる。複数の空気ノズルの中に使用される気体は、限定はされないが窒素(N2)を含む。押し付け力FPは独立して、または図2〜12に関連して上記で検討されたような曲げ力FCの変化と併せて加えられることが可能である。
【0034】
図2、16、17を参照すると、インプリンティング層12からのテンプレート10の分離をさらに補助するためにテンプレート10はテンプレート10とインプリンティング層12の間の真空密閉効果を削減するための複数のトレンチ38を含んでもよい。トレンチ66はテンプレート10とインプリンティング層12が接触するときにテンプレート10とインプリンティング層12の間に位置する空気を放出させ、したがってテンプレート10とインプリンティング層12の間の真空密閉効果を下げる。結果として、分離強制力FSの大きさが小さくされ、これは望ましい。
【0035】
図18、図19を参照すると、さらなる実施形態においてテンプレート10は複数の穴68を含むことも可能であり、これら複数の穴68はトレンチ66と同様に機能し、それにより、穴68はテンプレート10とインプリンティング層12の間の真空密閉効果を下げるように機能する。
【0036】
上述の本発明の実施形態は例である。本発明の範囲内に留まりながら多くの変更や改造が上記に引用された開示に為されることが可能である。したがって、本発明の範囲は上記の説明を参照して決定されるべきではなく、添付の特許請求項ならびに同等事項の全範囲を参照して決定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】インプリンティング層と接触しており、先行技術に従って基板上に配置されたモールドの断面図である。
【図2】基板上に配置され、インプリンティング層からの分離を本発明の一実施形態に従って受けるモールドの断面図である。
【図3】基板上に配置され、インプリンティング層からの分離を本発明の第2の実施形態に従って受けるモールドの断面図である。
【図4】本発明に従ってモールド保持具に装着されたモールドの断面図である。
【図5】本発明に従って設けられることが可能な多様な真空区画のうちの第1の実施形態を例示するウェハ・チャックの平面図である。
【図6】本発明に従って設けられることが可能な多様な真空区画のうちの第2の実施形態を例示するウェハ・チャックの平面図である。
【図7】本発明に従って設けられることが可能な多様な真空区画のうちの第3の実施形態を例示するウェハ・チャックの平面図である。
【図8】代替の実施形態による解放の仕組みを受ける、図3に示されたウェハ・チャックおよび基板の側面図である。
【図9】図2に示されたウェハ・チャックの一実施形態の平面図である。
【図10】図9に示されたウェハ・チャックの、線10−10に沿ってとられた断面図である。
【図11】上に配置された基板を有する、図10に示されたウェハ・チャックの断面図である。
【図12】上に配置された基板を有する、図2に示されたウェハ・チャックの第2の実施形態の断面図である。
【図13】基板上に配置され、インプリンティング層と接触したモールドの断面図であって、基板が押し付け力を受けている。
【図14】押し付け力を行使するために局所的に配置された複数の空気ノズルを有するモールドを示す、単純化された平面図である。
【図15】押し付け力を行使するためにアレイとして配置された複数の空気ノズルを有するモールドを示す、単純化された平面図である。
【図16】モールドとインプリンティング層の間に位置する空気の放出を容易にするために配置された複数のトレンチを有するモールドを示す、単純化された平面図である。
【図17】図16に示されたモールドの側面図である。
【図18】モールドとインプリンティング層の間に位置する空気の放出を容易にするために配置された複数の穴を有するモールドを示す、単純化された平面図である。
【図19】図17に示されたモールドの側面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板をウェハ・チャックに保持する方法であって、
前記基板の一部分を前記ウェハ・チャックに向けて加速させるステップと、前記ウェハ・チャックへ向かう前記基板の移動の速度を生成するステップと、
前記基板が前記ウェハ・チャックに到達する前に前記速度を低下させるステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記加速させるステップが、前記基板の一部分を前記チャックから分離させることによって前記基板内にポテンシャル・エネルギーを保存するステップと、前記部分を前記ウェハ・チャックに向けて移動させることによって前記ポテンシャル・エネルギーを運動エネルギーへと変換するステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記加速させるステップが、分離強制力を加え、前記分離強制力を終結させることによって前記基板の一部分と前記ウェハ・チャックの間の距離を増大させるステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記速度を低下させるステップが、前記部分と前記ウェハ・チャックの間に規定される容積に正の圧力を加えるステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記加速させるステップが、前記基板に分離強制力を加え、前記基板の一部分と前記ウェハ・チャックの間に形成される容積に正の圧力を加え、前記分離強制力を終結させることによって前記部分と前記ウェハ・チャックの間の距離を増大させるステップをさらに含み、前記低下させるステップが前記容積内の前記圧力を下げるステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記加速させるステップが、前記基板に分離強制力を加え、前記基板の一部分と前記ウェハ・チャックの間に形成される容積に正の圧力を加え、前記分離強制力を終結させることによって前記部分と前記ウェハ・チャックの間の距離を増大させるステップをさらに含み、前記低下させるステップが前記容積内の前記圧力を上げるステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記低下させるステップが、前記部分とこれに重なり合う前記ウェハ・チャックの間に形成される容積の正の圧力を増大させるステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
基板をウェハ・チャックに保持する方法であって、
前記基板内のポテンシャル・エネルギーを保存するステップと、
前記基板の一部分を前記チャックに向けて移動させることによって前記ポテンシャル・エネルギーを運動エネルギーへと変換するステップと、
前記基板の前記部分が前記ウェハ・チャックに接触する前に前記運動エネルギーを低下させるステップと
を含む方法。
【請求項9】
前記低下させるステップが、前記基板が前記ウェハ・チャックに近づいている間に前記基板を減速させるステップをさらに含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記保存するステップが、前記部分とこれに重なり合う前記ウェハ・チャックの領域の間の距離を増大させる一方で、前記基板の残りの領域と前記ウェハ・チャックの間の実質的に一定の距離を維持するステップをさらに含む請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記保存するステップが、前記部分と前記ウェハ・チャックの間に形成される容積に正の圧力を生成するステップと、前記基板を分離強制力に晒すことによって前記基板の一部分を分離させるステップとをさらに含む請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記移動させることが前記分離強制力を終結させることをさらに含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記低下させるステップが前記容積内の前記圧力を上げるステップをさらに含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記保存するステップが、前記基板を分離強制力に晒すこと、および前記基板と前記ウェハ・チャックの間に真空圧力を加えることによって前記基板の一部分を分離させることを含み、前記領域に加えられる、変形真空圧力である前記真空圧力が、前記基板の残りの領域に加えられる真空圧力より低い請求項8に記載の方法。
【請求項15】
移動させることが前記分離強制力を終結させることをさらに含み、前記低下させるステップが前記変形真空圧力を終結させてその代わりに正の圧力を加えることをさらに含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
基板をウェハ・チャックに保持する方法であって、
前記基板の一部分を前記ウェハ・チャックから分離させる一方で、前記基板の残りの領域と前記ウェハ・チャックの間の実質的に一定の距離を維持させることによって前記基板内のポテンシャル・エネルギーを保存するステップと、
前記基板の部分を前記ウェハ・チャックに向けて移動させることによって前記ポテンシャル・エネルギーを運動エネルギーへと変換するステップと、
前記基板の前記部分が前記チャックに接触する前に前記部分の速度を低速にすることによって前記運動エネルギーを低下させるステップを含む方法。
【請求項17】
前記保存するステップが、前記部分とこれに重なり合う前記ウェハ・チャックの領域の間の距離を増大させるステップをさらに含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記保存するステップが前記部分を分離強制力に晒すステップをさらに含み、前記低下させるステップが前記分離強制力を終結させるステップをさらに含む請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記低下させるステップが前記部分と前記ウェハ・チャックの間に形成される容積内の圧力を上げるステップをさらに含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記保存するステップが前記基板と前記ウェハ・チャックの間に真空圧力を加えるステップをさらに含み、前記領域に関連する範囲に加えられた、変形真空圧力である真空圧力が、前記基板の残りの領域に適用される真空圧力より低く、前記低下させるステップが前記変形真空圧力を終結させて前記変形真空圧力の代わりに正の圧力を加えるステップをさらに含む請求項18に記載の方法。
【請求項1】
基板をウェハ・チャックに保持する方法であって、
前記基板の一部分を前記ウェハ・チャックに向けて加速させるステップと、前記ウェハ・チャックへ向かう前記基板の移動の速度を生成するステップと、
前記基板が前記ウェハ・チャックに到達する前に前記速度を低下させるステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記加速させるステップが、前記基板の一部分を前記チャックから分離させることによって前記基板内にポテンシャル・エネルギーを保存するステップと、前記部分を前記ウェハ・チャックに向けて移動させることによって前記ポテンシャル・エネルギーを運動エネルギーへと変換するステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記加速させるステップが、分離強制力を加え、前記分離強制力を終結させることによって前記基板の一部分と前記ウェハ・チャックの間の距離を増大させるステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記速度を低下させるステップが、前記部分と前記ウェハ・チャックの間に規定される容積に正の圧力を加えるステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記加速させるステップが、前記基板に分離強制力を加え、前記基板の一部分と前記ウェハ・チャックの間に形成される容積に正の圧力を加え、前記分離強制力を終結させることによって前記部分と前記ウェハ・チャックの間の距離を増大させるステップをさらに含み、前記低下させるステップが前記容積内の前記圧力を下げるステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記加速させるステップが、前記基板に分離強制力を加え、前記基板の一部分と前記ウェハ・チャックの間に形成される容積に正の圧力を加え、前記分離強制力を終結させることによって前記部分と前記ウェハ・チャックの間の距離を増大させるステップをさらに含み、前記低下させるステップが前記容積内の前記圧力を上げるステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記低下させるステップが、前記部分とこれに重なり合う前記ウェハ・チャックの間に形成される容積の正の圧力を増大させるステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
基板をウェハ・チャックに保持する方法であって、
前記基板内のポテンシャル・エネルギーを保存するステップと、
前記基板の一部分を前記チャックに向けて移動させることによって前記ポテンシャル・エネルギーを運動エネルギーへと変換するステップと、
前記基板の前記部分が前記ウェハ・チャックに接触する前に前記運動エネルギーを低下させるステップと
を含む方法。
【請求項9】
前記低下させるステップが、前記基板が前記ウェハ・チャックに近づいている間に前記基板を減速させるステップをさらに含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記保存するステップが、前記部分とこれに重なり合う前記ウェハ・チャックの領域の間の距離を増大させる一方で、前記基板の残りの領域と前記ウェハ・チャックの間の実質的に一定の距離を維持するステップをさらに含む請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記保存するステップが、前記部分と前記ウェハ・チャックの間に形成される容積に正の圧力を生成するステップと、前記基板を分離強制力に晒すことによって前記基板の一部分を分離させるステップとをさらに含む請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記移動させることが前記分離強制力を終結させることをさらに含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記低下させるステップが前記容積内の前記圧力を上げるステップをさらに含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記保存するステップが、前記基板を分離強制力に晒すこと、および前記基板と前記ウェハ・チャックの間に真空圧力を加えることによって前記基板の一部分を分離させることを含み、前記領域に加えられる、変形真空圧力である前記真空圧力が、前記基板の残りの領域に加えられる真空圧力より低い請求項8に記載の方法。
【請求項15】
移動させることが前記分離強制力を終結させることをさらに含み、前記低下させるステップが前記変形真空圧力を終結させてその代わりに正の圧力を加えることをさらに含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
基板をウェハ・チャックに保持する方法であって、
前記基板の一部分を前記ウェハ・チャックから分離させる一方で、前記基板の残りの領域と前記ウェハ・チャックの間の実質的に一定の距離を維持させることによって前記基板内のポテンシャル・エネルギーを保存するステップと、
前記基板の部分を前記ウェハ・チャックに向けて移動させることによって前記ポテンシャル・エネルギーを運動エネルギーへと変換するステップと、
前記基板の前記部分が前記チャックに接触する前に前記部分の速度を低速にすることによって前記運動エネルギーを低下させるステップを含む方法。
【請求項17】
前記保存するステップが、前記部分とこれに重なり合う前記ウェハ・チャックの領域の間の距離を増大させるステップをさらに含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記保存するステップが前記部分を分離強制力に晒すステップをさらに含み、前記低下させるステップが前記分離強制力を終結させるステップをさらに含む請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記低下させるステップが前記部分と前記ウェハ・チャックの間に形成される容積内の圧力を上げるステップをさらに含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記保存するステップが前記基板と前記ウェハ・チャックの間に真空圧力を加えるステップをさらに含み、前記領域に関連する範囲に加えられた、変形真空圧力である真空圧力が、前記基板の残りの領域に適用される真空圧力より低く、前記低下させるステップが前記変形真空圧力を終結させて前記変形真空圧力の代わりに正の圧力を加えるステップをさらに含む請求項18に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公表番号】特表2008−532263(P2008−532263A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−553122(P2007−553122)
【出願日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際出願番号】PCT/US2006/001151
【国際公開番号】WO2006/083519
【国際公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(503193362)モレキュラー・インプリンツ・インコーポレーテッド (94)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際出願番号】PCT/US2006/001151
【国際公開番号】WO2006/083519
【国際公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(503193362)モレキュラー・インプリンツ・インコーポレーテッド (94)
【Fターム(参考)】
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