基板処理システム及び基板搬送方法
【課題】基板の処理効率を向上させることができる基板処理システムを提供する。
【解決手段】基板処理システム10のロードロックモジュール13では、該ロードロックモジュール13の内部において上部基板搬送機構22及び下部基板搬送機構23が互いに独立して上下動し、上部基板搬送機構22では、昇降ベース26に配された4つのガイドレール25に対して4つのガイドアーム27がプロセスチャンバ11へ向けて相対的に摺動し、各ガイドアーム27に対して4つのピック28がプロセスチャンバ11へ向けて相対的に摺動し、下部基板搬送機構23では、昇降ベース30に配された4つのガイドレール29に対して4つのガイドアーム31がプロセスチャンバ11へ向けて相対的に摺動し、各ガイドアーム31に対して4つのピック32がプロセスチャンバ11へ向けて相対的に摺動する。
【解決手段】基板処理システム10のロードロックモジュール13では、該ロードロックモジュール13の内部において上部基板搬送機構22及び下部基板搬送機構23が互いに独立して上下動し、上部基板搬送機構22では、昇降ベース26に配された4つのガイドレール25に対して4つのガイドアーム27がプロセスチャンバ11へ向けて相対的に摺動し、各ガイドアーム27に対して4つのピック28がプロセスチャンバ11へ向けて相対的に摺動し、下部基板搬送機構23では、昇降ベース30に配された4つのガイドレール29に対して4つのガイドアーム31がプロセスチャンバ11へ向けて相対的に摺動し、各ガイドアーム31に対して4つのピック32がプロセスチャンバ11へ向けて相対的に摺動する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイパネル用の基板を処理する基板処理システム、及び該基板処理システムにおける基板搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フラットパネルディスプレイ等に用いられるガラス基板には、該ガラス基板上に微細な配線等を構成するために、プラズマエッチング処理が施される。通常、ガラス基板へのプラズマエッチング処理は基板処理システムで行われる。
【0003】
第6世代のフラットパネルディスプレイに用いられるガラス基板にプラズマエッチング処理を施す基板処理システムは、プロセスチャンバ(処理室)及び該プロセスチャンバへのガラス基板の搬出入を行うロードロックモジュールを備える。この基板処理システムでは、プロセスチャンバ内において、基板載置台上にてガラス基板を上昇又は下降させる第1のリフターピンとは別の第2リフターピンを使用した基板入替え方式が用いられ、第2のリフターピンはガラス基板の端を数カ所において保持して該ガラス基板を上昇又は下降させるので、ガラス基板の搬出入を行うロードロックモジュール内の搬送アームの構造を簡素化、具体的には、シングルアーム型・上下回転軸レス型の省スペース且つシンプルな構造とすることができ、もって、装置の製造コストとフラットパネルディスプレイの生産性とを両立することができる。
【0004】
ところが、第7世代以降のフラットパネルディスプレイにプラズマエッチング処理を施す基板処理システムでは、ガラス基板のサイズの大型化により、基板支持位置が制限される第2リフターピンを使用した基板入替えの際、第2リフターピンがガラス基板の適切な箇所を保持することができず、ガラス基板のたわみが大きく成り過ぎて基板割れにより搬送が不可能となることがある。そこで、これに対応して、現状は第2リフターピンを廃し、ロードロックモジュール内の搬送アームとしてダブルアーム型の搬送アームを採用し、該搬送アームによって基板入替えを行うことにより、ガラス基板のたわみの発生を防止している。
【0005】
図11は、第7世代以降のフラットパネルディスプレイにプラズマエッチング処理を施す基板処理システムの構成を概略的に示す斜視図である。
【0006】
図11において、この基板処理システム110は、カセット113に収容された未処理のガラス基板を大気系搬送アーム114を介してトランスファモジュール112へ搬送するロードロックモジュール115を備える。該ロードロックモジュール115は処理済みガラス基板をトランスファモジュール112から大気系搬送アーム114を介してカセット116へ搬送する。プロセスチャンバ111やトランスファモジュール112の内部状態はほぼ真空に維持されているため、ロードロックモジュール115は内部状態を大気/真空に切替可能に構成されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
また、基板処理システム110のトランスファモジュール112の内部には基板搬送ユニットとしてのスカラ型や直動型の搬送アーム(図示しない)が配置され、該搬送アームはトランスファモジュール112の内部においてガラス基板を載置したまま回転する。したがって、トランスファモジュール112の内部容積を大きくする必要があった。
【0008】
近年、製造が開始されている第10世代のフラットパネルディスプレイに用いられるガラス基板は一辺が約3m弱の長方形を呈するため、トランスファモジュール112の内部容積をさらに大きくする必要があり、その結果、トランスファモジュール112が巨大化する。また、基板処理システム110ではトランスファモジュール112及びロードロックモジュール115の間に真空断絶可能なゲートバルブ117が配置されるが、該ゲートバルブ117もトランスファモジュール112の巨大化に伴って巨大化するため、トランスファモジュール112やゲートバルブ117の製造コストが上昇するという問題が生じた。
【0009】
近い将来に製造が開始される第11世代のフラットパネルディスプレイに用いられるガラス基板(一辺が約3m超の長方形を呈する)では、上述したトランスファモジュール112等の製造コストの上昇がより顕著となる。そこで、トランスファモジュール112等の製造コストを削減するため、図12に示すような、1つのプロセスチャンバ121と、該プロセスチャンバ121に接続された1つのロードロックモジュール122とを備える、第6世代のフラットパネルディスプレイに用いられるガラス基板を処理する基板処理システムと似た構成を有する基板処理システム120が検討されている。
【0010】
ところで、基板処理システム120は、プロセスチャンバ121を1つしか備えないので、ロードロックモジュール122がガラス基板の搬出入を行う間、他のガラス基板にプラズマエッチング処理を施すことができない。したがって、フラットパネルディスプレイの製造効率を向上させるためには、ロードロックモジュール122によるガラス基板の搬出入を短時間で行う必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007−208235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、ロードロックモジュール122が備える基板搬送ユニットとして一般的なスカラ型や直動式のダブルアーム型の搬送アームを用いた場合、該搬送アームの動作可能領域をロードロックモジュール122の内部に確保する必要があるため、ロードロックモジュール122の内部容積を大きくする必要がある。一方、ロードロックモジュール122は内部状態を大気/真空へ切替可能に構成される必要があるため、ロードロックモジュール122の内部容積が大きいと、ガラス基板の搬出入時の内部状態の大気/真空の切替に時間を要し、結果として、フラットパネルディスプレイの製造効率を向上させることができないという問題がある。
【0013】
本発明の目的は、基板の処理効率を向上させることができる基板処理システム及び基板搬送方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、請求項1記載の基板処理システムは、真空状態で基板に処理を施す1つの基板処理装置と、該基板処理装置に接続されて内部状態を大気/真空へ切替する第1の基板搬送装置と、該第1の基板搬送装置に接続されて前記基板処理装置と前記第1の基板搬送装置を挟んで対向するように配置される第2の基板搬送装置とを備え、前記第2の基板搬送装置は大気状態において前記第1の基板搬送装置に対する前記基板の搬出入を行い、前記第1の基板搬送装置は前記基板処理装置に対する前記基板の搬出入を行う基板処理システムであって、前記第1の基板搬送装置は、該第1の基板搬送装置の内部において上下に重なるように配置され、且つ互いに独立して上下動する上部基板搬送機構及び下部基板搬送装置を有し、前記上部基板搬送機構は、互いに平行且つ前記基板処理装置へ向けて延伸された複数の第1のガイドが配された第1の基部と、各前記第1のガイドに対応して設けられ、前記基板処理装置へ向けて前記第1のガイドに対して相対的に摺動する複数の長細状の第1の中間摺動部材と、各前記第1の中間摺動部材に対応して設けられ、前記基板処理装置へ向けて前記第1の中間摺動部材に対して相対的に摺動する複数の長細状の第1の上部摺動部材とを有し、前記下部基板搬送機構は、互いに平行且つ前記基板処理装置へ向けて延伸された複数の第2のガイドが配された第2の基部と、各前記第2のガイドに対応して設けられ、前記基板処理装置へ向けて前記第2のガイドに対して相対的に摺動する複数の長細状の第2の中間摺動部材と、各前記第2の中間摺動部材に対応して設けられ、前記基板処理装置へ向けて前記第2の中間摺動部材に対して相対的に摺動する複数の長細状の第2の上部摺動部材とを有し、複数の前記第1の上部摺動部材及び複数の前記第2の上部摺動部材のそれぞれは前記基板を載置することを特徴とする。
【0015】
請求項2記載の基板処理システムは、請求項1記載の基板処理システムにおいて、前記第1の基板搬送装置の内部において下方から上方へ向けて突出自在な複数のピン状部材を備えることを特徴とする。
【0016】
請求項3記載の基板処理システムは、請求項1又は2記載の基板処理システムにおいて、前記基板は矩形を呈し、一辺の長さは1.8m以上であることを特徴とする。
【0017】
請求項4記載の基板処理システムは、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の基板処理システムにおいて、前記上部基板搬送機構において各前記第1の中間摺動部材と各前記第1の上部摺動部材とは同期して摺動し、前記下部基板搬送機構において各前記第2の中間摺動部材と各前記第2の上部摺動部材とは同期して摺動することを特徴とする。
【0018】
請求項5記載の基板処理システムは、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の基板処理システムにおいて、前記上部基板搬送機構において各前記第1の中間摺動部材は互いに連結されず、前記下部基板搬送機構において各前記第2の中間摺動部材は互いに連結されないことを特徴とする。
【0019】
請求項6記載の基板処理システムは、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の基板処理システムにおいて、前記上部基板搬送機構において各前記第1の上部摺動部材は互いに連結されず、前記下部基板搬送機構において各前記第2の上部摺動部材は互いに連結されないことを特徴とする。
【0020】
上記目的を達成するために、請求項7記載の基板搬送方法は、真空状態で基板に処理を施す1つの基板処理装置と、該基板処理装置に接続されて内部状態を大気/真空へ切替する第1の基板搬送装置と、該第1の基板搬送装置に接続されて前記基板処理装置と前記第1の基板搬送装置を挟んで対向するように配置される第2の基板搬送装置とを備え、前記第2の基板搬送装置は大気状態において前記第1の基板搬送装置に対する前記基板の搬出入を行い、前記第1の基板搬送装置は前記基板処理装置に対する前記基板の搬出入を行う基板処理システムであって、前記第1の基板搬送装置は、該第1の基板搬送装置の内部において上下に重なるように配置され、且つ互いに独立して上下動する上部基板搬送機構及び下部基板搬送装置、並びに前記第1の基板搬送装置の内部において下方から上方へ向けて突出自在な複数のピン状部材を有し、前記上部基板搬送機構は、互いに平行且つ前記基板処理装置へ向けて延伸された複数の第1のガイドが配された第1の基部と、各前記第1のガイドに対応して設けられ、前記基板処理装置へ向けて前記第1のガイドに対して相対的に摺動する複数の長細状の第1の中間摺動部材と、各前記第1の中間摺動部材に対応して設けられ、前記基板処理装置へ向けて前記第1の中間摺動部材に対して相対的に摺動する複数の長細状の第1の上部摺動部材とを有し、前記下部基板搬送機構は、互いに平行且つ前記基板処理装置へ向けて延伸された複数の第2のガイドが配された第2の基部と、各前記第2のガイドに対応して設けられ、前記基板処理装置へ向けて前記第2のガイドに対して相対的に摺動する複数の長細状の第2の中間摺動部材と、各前記第2の中間摺動部材に対応して設けられ、前記基板処理装置へ向けて前記第2の中間摺動部材に対して相対的に摺動する複数の長細状の第2の上部摺動部材とを有し、複数の前記第1の上部摺動部材及び複数の前記第2の上部摺動部材のそれぞれは前記基板を載置する基板処理システムにおける基板搬送方法であって、前記第2の基板搬送装置が搬入する未処理の基板を前記上部基板搬送機構が受け取る第1の受け取りステップと、前記上部基板搬送機構及び前記下部基板搬送機構を上昇させる第1の上昇ステップと、前記下部基板搬送機構が前記第2の中間摺動部材及び前記第2の上部摺動部材を摺動させて処理済みの基板を前記基板処理装置から搬出する搬出ステップと、前記上部基板搬送機構及び前記下部基板搬送機構を下降させる下降ステップと、前記上部基板搬送機構が前記第1の中間摺動部材及び前記第1の上部摺動部材を摺動させて前記未処理の基板を前記基板処理装置に搬入する搬入ステップと、前記上部基板搬送機構のみが上昇する第2の上昇ステップと、前記複数のピン状部材が突出して前記処理済みの基板を前記下部基板搬送機構から離間させて上昇させる第3の上昇ステップと、前記第2の基板搬送装置が前記上昇した前記処理済みの基板を受け取る第2の受け取りステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、第1の基板搬送装置における上部基板搬送機構は、第1のガイドに対して相対的に摺動する複数の長細状の第1の中間摺動部材と、第1の中間摺動部材に対して相対的に摺動する複数の長細状の第1の上部摺動部材とを有するので、基板を基板処理装置に対して搬出入するとき以外、第1のガイド、第1の中間摺動部材及び第1の上部摺動部材を重ねることによって上部基板搬送機構を小さくすることができる。また、第1の基板搬送装置における下部基板搬送機構は、第2のガイドに対して相対的に摺動する複数の長細状の第2の中間摺動部材と、第2の中間摺動部材に対して相対的に摺動する複数の長細状の第2の上部摺動部材とを有するので、基板を基板処理装置に対して搬出入するとき以外、第2のガイド、第2の中間摺動部材及び第2の上部摺動部材を重ねることによって下部基板搬送機構を小さくすることができる。
【0022】
さらに、第1の基板搬送装置は1つの基板処理装置にしか接続されていないため、第1の基板搬送装置は1つの基板処理装置に対する基板の搬出入を行えばよい。また、上部基板搬送機構は上昇することによって下部基板搬送機構による基板の搬出入や受け渡しを阻害することがなく、下部基板搬送機構は下降することによって上部基板搬送機構による基板の搬出入や受け渡しを阻害することがない。したがって、上部基板搬送機構及び下部基板搬送機構は回転する必要がなく、上部基板搬送機構及び下部基板搬送機構の構成を簡素化することができ、上部基板搬送機構及び下部基板搬送機構をより小さくすることができる。
【0023】
その結果、第1の基板搬送装置の内部容積を小さくすることができ、もって、第1の基板搬送装置の内部状態の大気/真空の切替に時間を要することがない。これにより、基板の処理効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態に係る基板処理システムの構成を概略的に示す平面図である。
【図2】従来の基板処理システムで用いられる基板搬送ユニットの構成を概略的に示す斜視図である。
【図3】図1における線A−Aに関する断面図である。
【図4】図3における上部基板搬送機構の構成を概略的に示す図であり、図4(A)は上部基板搬送機構の構成及び動作を説明するための断面図であり、図4(B)は図4(A)における線B−Bに関する断面図である。
【図5】ガイドレール、ガイドアーム及びピックの位置関係を説明するための拡大断面図である。
【図6】図3における下部基板搬送機構の構成を概略的に示す図であり、図6(A)は下部基板搬送機構の構成及び動作を説明するための断面図であり、図6(B)は図6(A)における線C−Cに関する断面図である。
【図7】本実施の形態に係る基板搬送方法としての搬送シーケンスを説明するための工程図である。
【図8】本実施の形態に係る基板搬送方法としての搬送シーケンスを説明するための工程図である。
【図9】上部基板搬送機構及び下部基板搬送機構の変形例を示す図であり、図9(A)は水平断面図であり、図9(B)は縦断面図である。
【図10】上部基板搬送機構及び下部基板搬送機構におけるピックの変形例を示す拡大断面図である。
【図11】第7世代以降のフラットパネルディスプレイにプラズマエッチング処理を施す基板処理システムの構成を概略的に示す斜視図である。
【図12】第11世代のフラットパネルディスプレイにプラズマエッチング処理を施す基板処理システムの構成を概略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明の実施の形態に係る基板処理システムの構成を概略的に示す平面図である。この基板処理システムは、一辺の長さが1.8m以上の矩形のガラス基板、特に、第11世代以降のフラットパネルディスプレイに用いられるガラス基板に枚葉でプラズマエッチング処理を施す。なお、図1では、基板処理システムの構成の理解を容易にするために、後述のロードロックモジュール13やプロセスチャンバ11は水平断面図を用いて示している。
【0027】
図1において、基板処理システム10は、筐体状のプロセスチャンバ11(基板処理装置)と、該プロセスチャンバ11とゲートバルブ12を介して接続される筐体状のロードロックモジュール13(第1の基板搬送装置)と、該ロードロックモジュール13に接続されてプロセスチャンバ11とロードロックモジュール13を挟んで対向するように配置される大気系搬送装置14(第2の基板搬送装置)と、該大気系搬送装置14と接続されて該大気系搬送装置14に関してロードロックモジュール13から図中時計回り及び反時計回りに約90°回転移動した位置に配置されるカセット15(基板供給装置)及びカセット16(基板収容装置)とを備える。また、ロードロックモジュール13の大気系搬送装置14に対向する側面にはゲートバルブ17が設けられている。
【0028】
プロセスチャンバ11は真空に維持された内部にガラス基板Gを収容し、該内部において生じたプラズマを用いてガラス基板Gにプラズマエッチング処理を施す。また、プロセスチャンバ11は内部にガラス基板Gを載置する基板載置台18を有する。
【0029】
ロードロックモジュール13は内部に後述する上部基板搬送機構22及び下部基板搬送機構23を有し、不図示の排気装置や圧力制御バルブによって内部状態を大気/真空へ切替可能に構成されている。
【0030】
カセット15は複数の未処理のガラス基板Gをストックする枠体からなり、カセット15において複数の未処理のガラス基板Gは互いに平行且つ所定の間隔を保って重ねられる。また、カセット16は複数の処理済みのガラス基板Gをストックする枠体からなり、カセット16において複数の処理済みのガラス基板Gは互いに平行且つ所定の間隔を保って重ねられる。
【0031】
大気系搬送装置14は搬送アーム機構19を有する。該搬送アーム機構19は大気に暴露され、ガラス基板Gを載置する櫛状のピック20と、該ピック20を支え且つ伸縮自在なスカラアーム(図示しない)と、該スカラアームを支え且つ回転自在な回転ベース21とを有する。搬送アーム機構19はスカラアームを伸縮し、回転ベース21を回転させることにより、未処理のガラス基板Gをカセット15から搬出してロードロックモジュール13の上部基板搬送機構22へ渡し、処理済みのガラス基板Gをロードロックモジュール13の下部基板搬送機構23から受け取ってカセット16へ収容する。
【0032】
ゲートバルブ12は、プロセスチャンバ11によるガラス基板Gのプラズマエッチング処理時には閉弁してプロセスチャンバ11の内部及びロードロックモジュール13の内部を仕切り、上部基板搬送機構22による未処理のガラス基板Gのプロセスチャンバ11への搬入時や下部基板搬送機構23による処理済みのガラス基板Gのプロセスチャンバ11からの搬出時には開弁してプロセスチャンバ11の内部及びロードロックモジュール13の内部を連通させる。また、ゲートバルブ17は、ロードロックモジュール13の内部状態が大気の場合、開弁して搬送アーム機構19のピック20が該内部へ進入可能なようにロードロックモジュール13の側面に開口部を形成し、ロードロックモジュール13の内部状態が真空の場合、閉弁してロードロックモジュール13の内部を外部から仕切る。
【0033】
ところで、従来の基板処理システムで用いられる基板搬送ユニット200は、図2に示すように、回転軸(図示しない)に支持された略直方体のスライドベース201と、該スライドベース201に取り付けられてスライドベース201の長手方向(以下、単に「長手方向」という。)にスライド可能な下部ピックベース202と、スライドベース201に取り付けられてスライドベース201の長手方向にスライド可能な上部ピックベース203とを備える。下部ピックベース202及び上部ピックベース203からはそれぞれ4つの長棒状のピック204,205が長手方向に延出しており、下部ピックベース202や上部ピックベース203がスライドすることにより、各ピック204,205がプロセスチャンバの内部へ進入してガラス基板Gを搬送する。
【0034】
この基板搬送ユニット200では、下部ピックベース202や上部ピックベース203が各ピック204,205のスライドベース201に対する取り付け剛性を確保するため、上下方向に厚く構成される。
【0035】
従来の基板処理システムにおいてロードロックモジュールに基板搬送ユニット200を配置した場合、ゲートバルブがプロセスチャンバの側面に開口部を形成してプロセスチャンバの内部及びロードロックモジュールの内部を連通させても、基板搬送ユニット200の下部ピックベース202や上部ピックベース203が厚く構成されるため、該下部ピックベース202や上部ピックベース203は開口部を通過することができず、プロセスチャンバの内部へ進入することができない。したがって、各ピック204,205の長さをできるだけ長く構成することによってガラス基板Gの搬送可能距離を稼ぐ必要がある。
【0036】
各ピック204,205の長さを長くすれば長くするほど、ガラス基板Gの搬送時に各ピック204,205の振れが大きくなり、且つ各ピック204,205の重量も重くなる。したがって、各ピック204,205の振れを防ぎ、各ピック204,205を安定的に支持するために各ピック204,205のスライドベース201に対する取り付け剛性をより高くする必要がある。各ピック204,205の取り付け剛性をより高くするには、下部ピックベース202や上部ピックベース203の静的剛性だけでなくスライドベース201の静的剛性を高くする必要があるため、スライドベース201の厚さも大きくする必要がある。
【0037】
また、基板搬送ユニット200では、スライドベース201が回転することによって該基板搬送ユニット200全体が回転するが、回転時に慣性力によってスライドベース201が撓むのを防止するためにスライドベース201の静的剛性をより高くする必要があり、その結果、スライドベース201の厚さをより大きくする必要がある。
【0038】
ところが、スライドベース201の厚さを大きくすると、基板搬送ユニット200が大型化する。また、上述したように、基板搬送ユニット200では各ピック204,205ができるだけ長く構成されるので、各ピック204,205を収容する場合、すなわち、各ピック204,205をスライドベース201へ重ねた場合であっても、基板搬送ユニット200はさほど小さくならない。したがって、結果として基板搬送ユニット200が大型化する。これにより、ロードロックモジュールの内部容積を大きくする必要がある。
【0039】
さらに、基板搬送ユニット200は回転するために、ロードロックモジュール13の内部に回転可能な領域を確保する必要があり、ロードロックモジュールの内部容積をより大きくする必要がある。
【0040】
ロードロックモジュールの内部容積が大きくなると、内部状態の大気/真空の切替に時間を要し、フラットパネルディスプレイの製造効率を向上させることができない。
【0041】
本実施の形態では、これに対応して、基板搬送ユニットを小型化し、且つ基板搬送ユニットの回転を不要にする。具体的には、上部基板搬送機構及び下部基板搬送機構を小型化し、さらに、上部基板搬送機構及び下部基板搬送機構が一方向にのみガラス基板Gを搬送するだけでロードロックモジュール及びプロセスチャンバの間のガラス基板Gの入れ替えを実行できるように基板搬送ユニットを構成する。
【0042】
図3は、図1における線A−Aに関する断面図であり、本実施の形態に係る基板処理システムにおける第1の基板搬送装置としてのロードロックモジュールの構成を概略的に示す断面図である。
【0043】
図3において、ロードロックモジュール13は、該ロードロックモジュール13の内部において図中上下に重なるように配置される上部基板搬送機構22及下部基板搬送機構23を備え、さらに、ロードロックモジュール13の内部S(以下、単に「内部S」という。)において底部から図中上方へ向けて突出し、上下動自在な複数のバッファーピン24(ピン状部材)と、ロードロックモジュール13の内部の状態を大気/真空へ切り換える排気装置や圧力制御バルブ(図示しない)とを備える。
【0044】
上部基板搬送機構22及び下部基板搬送機構23は互いに独立して上下動する。具体的には、上部基板搬送機構22は、搬送アーム機構19のピック20から未処理のガラス基板Gを受け取る位置、若しくは、未処理のガラス基板Gをプロセスチャンバ11へ搬入する位置である基板受け渡し位置と、下部基板搬送機構23がガラス基板Gの受け渡しを行う際、下部基板搬送機構23の作業空間を確保するために上部基板搬送機構22が退避する退避先である上部退避位置との間を昇降する。内部Sにおいて上部退避位置は基板受け渡し位置よりも上方に位置する。
【0045】
また、下部基板搬送機構23は、処理済みのガラス基板Gをプロセスチャンバ11から搬出する位置、若しくは、搬送アーム機構19のピック20へ処理済みのガラス基板Gを渡す位置である基板受け渡し位置と、上部基板搬送機構22がガラス基板Gの受け渡しを行う際、上部基板搬送機構22の作業空間を確保するために下部基板搬送機構23が退避する退避先である下部退避空間との間を昇降する。内部Sにおいて下部退避位置は基板受け渡し位置よりも下方に位置する。なお、上部基板搬送機構22の基板受け渡し位置と下部基板搬送機構23の基板受け渡し位置とは同じである。
【0046】
図4は、図3における上部基板搬送機構の構成を概略的に示す図であり、図4(A)は上部基板搬送機構の構成及び動作を説明するための断面図であり、図4(B)は図4(A)における線B−Bに関する断面図である。
【0047】
図4(A)及び図4(B)において、上部基板搬送機構22は、互いに平行且つプロセスチャンバ11へ(図中右方へ)向けて延伸された4つのガイドレール25(第1のガイド)が配された板状の昇降ベース26(第1の基部)と、各ガイドレール25に対応して設けられた長細の角柱状を呈するガイドアーム27(第1の中間摺動部材)と、各ガイドアーム27に対応して設けられた長細の薄板体からなるピック28(第1の上部摺動部材)とを有する。上部基板搬送機構22では、4つのピック28が協働して1枚の未処理のガラス基板Gを載置する。
【0048】
上部基板搬送機構22では、図5に示すように、昇降ベース26において、下方からガイドレール25、ガイドアーム27及びピック28の順で重ねられる。ガイドアーム27は全長に亘って下面に設けられたガイド溝27aを有し、該ガイド溝27aを介してガイドレール25と遊嵌する。また、ピック28は薄板体を断面Uの字状に折り曲げて形成され、Uの字で形成される内部空間にガイドアーム27を収容することによってガイドアーム27と遊嵌する。
【0049】
上部基板搬送機構22は不図示の駆動源を有し、該駆動源が付与する駆動力により、ガイドアーム27はプロセスチャンバ11へ向けてガイドレール25に対して相対的に摺動し、且つピック28はプロセスチャンバ11へ向けてガイドアーム27に対して相対的に摺動する。このとき、4つのガイドアーム27は互いの相対的位置関係を維持しつつ摺動し、4つのピック28も互いの相対的位置関係を維持しつつ摺動する。また、各ガイドアーム27と各ピック28とは同期して摺動するので、ガイドアーム27及びピック28のいずれか一方の摺動中に他方が停止して上部基板搬送機構22において衝撃が生じるのを防止することができる。これにより、ピック28に載置された未処理のガラス基板Gの位置ずれが発生するのを防止することができ、未処理のガラス基板Gをプロセスチャンバ11の基板載置台18における所定の位置に正確に載置することができる。
【0050】
上部基板搬送機構22では、ガイドアーム27及びピック28がプロセスチャンバ11側へ最大限摺動したとき(図4(A)及び図4(B)に示す状態)、ピック28に載置された未処理のガラス基板Gが基板載置台18の上方に到達するように、ガイドアーム27及びピック28の長さ、並びに摺動可能範囲が設定される。
【0051】
また、上部基板搬送機構22では、プロセスチャンバ11側へ最大限摺動したガイドアーム27及びピック28は、駆動源が付与する駆動力により、大気系搬送装置14へ向けて摺動し、昇降ベース26と重ねられる(図3に示す状態)。
【0052】
以下、ガイドアーム27及びピック28がプロセスチャンバ11側へ最大限摺動したとき(図4(A)及び図4(B)に示す状態)を「伸長状態」といい、ガイドアーム27及びピック28が大気系搬送装置14側へ最大限摺動したとき(図3に示す状態)を「短縮状態」という。なお、上部基板搬送機構22は基板受け渡し位置に位置する場合のみ、短縮状態から伸長状態、及び伸長状態から短縮状態へ遷移可能であり、上部退避位置に位置する場合は短縮状態のままである。
【0053】
図6は、図3における下部基板搬送機構の構成を概略的に示す図であり、図6(A)は下部基板搬送機構の構成及び動作を説明するための断面図であり、図6(B)は図6(A)における線C−Cに関する断面図である。
【0054】
図6(A)及び図6(B)において、下部基板搬送機構23は、互いに平行且つプロセスチャンバ11へ(図中右方へ)向けて延伸された4つのガイドレール29(第2のガイド)が配された板状の昇降ベース30(第2の基部)と、各ガイドレール29に対応して設けられた長細の角柱状を呈するガイドアーム31(第2の中間摺動部材)と、各ガイドアーム31に対応して設けられた長細の薄板体からなるピック32(第2の上部摺動部材)とを有する。下部基板搬送機構23では、4つのピック32が協働して1枚の処理済みのガラス基板Gを載置する。
【0055】
下部基板搬送機構23では、図5に示すように、昇降ベース30において、下方からガイドレール29、ガイドアーム31及びピック32の順で重ねられる。ガイドアーム31は全長に亘って下面に設けられたガイド溝31aを有し、該ガイド溝31aを介してガイドレール29と遊嵌する。また、ピック32は薄板体を断面Uの字状に折り曲げて形成され、 Uの字で形成される内部空間にガイドアーム31を収容することによってガイドアーム31と遊嵌する。
【0056】
下部基板搬送機構23は不図示の駆動源を有し、該駆動源が付与する駆動力により、ガイドアーム31はプロセスチャンバ11へ向けてガイドレール29に対して相対的に摺動し、且つピック32はプロセスチャンバ11へ向けてガイドアーム31に対して相対的に摺動する。このとき、4つのガイドアーム31は互いの相対的位置関係を維持しつつ摺動し、4つのピック32も互いの相対的位置関係を維持しつつ摺動する。また、各ガイドアーム31と各ピック32とは同期して摺動するので、ガイドアーム31及びピック32のいずれか一方の摺動中に他方が停止して下部基板搬送機構23において衝撃が生じるのを防止することができる。これにより、ピック32に載置された処理済みのガラス基板Gの位置ずれが発生するのを防止することができる。
【0057】
下部基板搬送機構23では、ガイドアーム31及びピック32がプロセスチャンバ11側へ最大限摺動したとき(図6(A)及び図6(B)に示す状態)、ピック32が基板載置台18の上方に到達するように、ガイドアーム31及びピック32の長さ、並びに摺動可能範囲が設定される。
【0058】
また、下部基板搬送機構23では、プロセスチャンバ11側へ最大限摺動したガイドアーム31及びピック32は、駆動源が付与する駆動力により、大気系搬送装置14へ向けて摺動し、昇降ベース30と重ねられる(図3に示す状態)。
【0059】
以下、ガイドアーム31及びピック32がプロセスチャンバ11側へ最大限摺動したとき(図6(A)及び図6(B)に示す状態)を「伸長状態」といい、ガイドアーム31及びピック32が大気系搬送装置14側へ最大限摺動したとき(図3に示す状態)を「短縮状態」という。なお、下部基板搬送機構23は基板受け渡し位置に位置する場合のみ、短縮状態から伸長状態、及び伸長状態から短縮状態へ遷移可能であり、下部退避位置に位置する場合は短縮状態のままである。
【0060】
上部基板搬送機構22では、昇降ベース26において複数のバッファーピン24に対応した位置に貫通孔(図示しない)が設けられ、各バッファーピン24は各貫通孔と遊嵌する。また、下部基板搬送機構23では、昇降ベース30において複数のバッファーピン24に対応した位置に貫通孔(図示しない)が設けられ、各バッファーピン24は各貫通孔と遊嵌する。したがって、上部基板搬送機構22の位置や下部基板搬送機構23の位置にかかわらず、複数のバッファーピン24は自在に上下動することができる。また、複数のバッファーピン24は駆動源(図示しない)からの駆動力により、同期して上下動するので、複数のバッファーピン24が協働してガラス基板Gを支えながら上下動する際、支えられたガラス基板Gは傾くことがない。その結果、ガラス基板Gの位置ずれが発生するのを防止することができる。
【0061】
また、上部基板搬送機構22及び下部基板搬送機構23は、後述するように回転する必要がないため、各構成部材に回転による慣性力が作用することがなく、撓みを防止するために各構成部材の取り付け剛性を、従来の基板搬送ユニット200における上部基板搬送機構203及び下部基板搬送機構204の各構成部材の取り付け剛性ほど確保する必要はない。したがって、上部基板搬送機構22及び下部基板搬送機構23では、各ガイドアーム27は互いに連結する必要がなく、各ガイドアーム31も互いに連結する必要がない。さらに、各ピック28は互いに連結する必要がなく、各ピック32も互いに連結する必要がない。したがって、従来の基板搬送ユニット200におけるピックベース207のような連結部材は必要ない。
【0062】
本実施の形態に係る基板処理システム10によれば、ロードロックモジュール13における上部基板搬送機構22は、昇降ベース26のガイドレール25に対して相対的に摺動する4つのガイドアーム27と、ガイドアーム27に対して相対的に摺動する4つのピック28とを有するので、短縮状態において昇降ベース26、ガイドアーム27及びピック28を重ねることによって上部基板搬送機構22を小さくすることができる。また、ロードロックモジュール13における下部基板搬送機構23は、昇降ベース30のガイドレール29に対して相対的に摺動する4つのガイドアーム31と、ガイドアーム31に対して相対的に摺動する4つのピック32とを有するので、短縮状態において昇降ベース30、ガイドアーム31及びピック32を重ねることによって下部基板搬送機構23を小さくすることができる。その結果、ロードロックモジュール13の内部容積を小さくすることができ、もって、ロードロックモジュール13の内部状態の大気/真空の切替に時間を要することがない。これにより、ガラス基板Gの処理効率を向上させることができる。
【0063】
上述した基板処理システム10では、上部基板搬送機構22において各ガイドアーム27は互いに連結されず、且つ各ピック28も互いに連結されない。また、下部基板搬送機構23において各ガイドアーム31は互いに連結されず、且つ各ピック32も互いに連結されない。これにより、ガイドアーム27、ピック28、ガイドアーム31並びに、ピック32の連結部材が不要となり、上部基板搬送機構22及び下部基板搬送機構23をより小さくすることができる。
【0064】
なお、上記の実施の形態では、基板処理システムの基板搬送ユニットがガイドレール、ガイドアーム及びピックをそれぞれ4つずつ備える場合について説明したが、ガイドレール、ガイドアーム及びピックの数は、ガラス基板Gを支持及び搬送が可能な数であれば、特に限られることはない。
【0065】
次に、本実施の形態に係る基板搬送方法について説明する。
【0066】
図7及び図8は、本実施の形態に係る基板搬送方法としての搬送シーケンスを説明するための工程図である。本搬送シーケンスは基板処理システム10におけるロードロックモジュール13が主に実行する。なお、図7(A)、図7(C)、図7(E)、図7(G)、図8(A)、図8(C)、図8(E)及び図8(G)は図1における線A−Aに関する断面図であり、図7(B)、図7(D)、図7(F)、図7(H)、図8(B)、図8(D)、図8(F)及び図8(H)は図1における線A−Aに関する断面図である。
【0067】
まず、上部基板搬送機構22が基板受け渡し位置に位置し、下部基板搬送機構23が下部退避位置に位置する。また、複数のバッファーピン24が昇降ベース30の各貫通孔を通過して上昇し、所定の位置で待機する。その後、ゲートバルブ17(図示しない)が開弁して未処理のガラス基板Gを載置するピック20が内部Sへ進入してガラス基板Gを上部基板搬送機構22の直上まで搬送する(図7(A)、図7(B))。
【0068】
次いで、ピック20が下降してガラス基板Gの下面を各バッファーピン24に接触させ、その後、ピック20はさらに下降する。これにより、ガラス基板Gはピック20から離間し、各バッファーピン24はガラス基板Gを支持する。(図7(C)、図7(D))。
【0069】
次いで、ピック20は内部Sから退出し、ゲートバルブ17が閉弁し、排気装置や圧力制御バルブがロードロックモジュール13の内部状態を真空へ切り替える。さらに、2つのポジショナ(pisitioner)33が未処理のガラス基板Gの縁に当接することによって未処理のガラス基板Gの位置を調整する(図7(E)、図7(F))。
【0070】
なお、ガイドアーム27,31やピック28,32の摺動方向(ガラス基板Gの搬送方向)に関するガラス基板Gの位置補正については、例えば、ガラス基板Gが搬送アーム機構19のピック20に保持された状態において別途設けられるズレ量センサ(図示しない)でガラス基板Gの伸縮方向のズレを検出し、該検出されたズレに基づいてピック20を支持するスカラアームで位置補正を行うことにより、ガラス基板Gにポジショナ33を接触させることなく位置補正を行うこともできる。
【0071】
次いで、上部基板搬送機構22が上昇し、ピック28がガラス基板Gの下面に当接した後も上部基板搬送機構22は上部退避位置まで上昇する(第1の上昇ステップ)。これにより、上部基板搬送機構22は未処理のガラス基板Gを受け取る。その後、複数のバッファーピン24は下降し、下部基板搬送機構23が基板受け渡し位置まで上昇し(第1の上昇ステップ)、ゲートバルブ12が開弁する。
【0072】
次いで、下部基板搬送機構23は、ガイドアーム31及びピック32をプロセスチャンバ11側へ最大限摺動させ、プロセスチャンバ11の基板載置台18から複数のプッシャーピン(図示しない)によって持ち上げられた処理済みのガラス基板Gをピック32へ受け取り(図7(G)、図7(H))、さらに、ガイドアーム31及びピック32を大気系搬送装置14側へ最大限摺動させて処理済みのガラス基板Gをプロセスチャンバ11から搬出し、下部基板搬送機構23の直上まで搬送する(搬出ステップ)。
【0073】
次いで、処理済みのガラス基板Gを載置した下部基板搬送機構23が下部退避位置まで下降し、上部基板搬送機構22が基板受け渡し位置まで下降する(下降ステップ)。その後、上部基板搬送機構22は、ガイドアーム27及びピック28をプロセスチャンバ11側へ最大限摺動させ、プロセスチャンバ11の基板載置台18から突出する複数のプッシャーピン(図示しない)へ未処理のガラス基板Gを受け渡す(図8(A)、図8(B))(搬入ステップ)。
【0074】
次いで、上部基板搬送機構22は、ガイドアーム27及びピック28を大気系搬送装置14側へ最大限摺動させて短縮状態へ遷移し、上部退避位置まで上昇する(第2の上昇ステップ)。その後、複数のバッファーピン24が上昇し、下部基板搬送機構23のピック32に載置された処理済みのガラス基板Gをピック32から離間させた後も上昇を継続し、処理済みのガラス基板Gを所定の位置まで上昇させる(第3の上昇ステップ)。さらに、2つのポジショナ33が処理済みのガラス基板Gの縁に当接することによって処理済みのガラス基板Gの位置を調整する(図8(C)、図8(D))。
【0075】
なお、ガラス基板Gの搬送方向に関する位置補正については、前述した大気系搬送装置14からロードロックモジュール13へガラス基板Gを搬入した場合(図7(A)〜図7(F))と同様に、例えば、ピック20を支持するスカラアームで位置補正を行うことにより、ガラス基板Gにポジショナ33を接触させることなく位置補正を行うこともできる。
【0076】
次いで、ゲートバルブ12が閉弁し、排気装置や圧力制御バルブがロードロックモジュール13の内部状態を大気へ切り替える。その後、ゲートバルブ17が開弁し、ピック20が内部Sへ進入して処理済みのガラス基板Gの直下に位置する(図8(E)、図8(F))。
【0077】
次いで、ピック20が上昇し、処理済みのガラス基板Gの下面に当接した後も所定の位置まで上昇して処理済みのガラス基板Gを複数のバッファーピン24から離間させる。これにより、ピック20は処理済みのガラス基板Gを受け取る(図8(G)、図8(H))(第2の受け取りステップ)。
【0078】
次いで、処理済みのガラス基板Gを載置したピック20が内部Sから退出し、本搬送シーケンスを終了する。
【0079】
本実施の形態に係る基板搬送方法としての搬送シーケンスによれば、ロードロックモジュール13は1つのプロセスチャンバ11にしか接続されていないため、ロードロックモジュール13は1つのプロセスチャンバ11に対するガラス基板Gの搬出入を行えばよい。また、上部基板搬送機構22は上昇することによって下部基板搬送機構23によるガラス基板Gの搬出入や受け渡しを阻害することがなく、下部基板搬送機構23は下降することによって上部基板搬送機構22によるガラス基板Gの搬出入や受け渡しを阻害することがない。したがって、上部基板搬送機構22及び下部基板搬送機構23は回転する必要がない。
【0080】
上部基板搬送機構22及び下部基板搬送機構23が回転しないならば、上部基板搬送機構22及び下部基板搬送機構23の各構成部材に回転による慣性力が作用することがなく、慣性力による撓みを防止するために各構成部材の静的剛性を、従来の基板搬送ユニット200における上部基板搬送機構203及び下部基板搬送機構204の各構成部材の静的剛性ほど高くする必要はない。その結果、昇降ベース26,30、ガイドアーム27,31やピック28,32を薄く構成する、例えば、厚さ100mm以下に構成することができ、上部基板搬送機構22及び下部基板搬送機構23をより小さくすることができる。
【0081】
また、ガイドアーム27,31を薄く構成できるので、伸長状態においてガイドアーム27,31はプロセスチャンバ11の側面の開口部を通過することができる。その結果、ピック28,32をさほど長く構成しなくても、ガラス基板Gの搬送可能距離を所望値以上に確保することができる。すなわち、ピック28,32を短く構成できるので、ピック28,32の振れを防ぐためにピック28,32の取り付け剛性を高くする必要がない。その結果、ピック28,32が取り付けられるガイドアーム27,31や、該ガイドアーム27,31が取り付けられる昇降ベース26,30の静的剛性を高くする必要がなく、これにより、ガイドアーム27,31や昇降ベース26,30をより薄く構成することができる。その結果、上部基板搬送機構22及び下部基板搬送機構23をさらに小さくすることができる。
【0082】
以上より、ロードロックモジュール13の内部容積を小さくすることができ、もって、ロードロックモジュール13の内部状態の大気/真空の切替に時間を要することがない。これにより、ガラス基板Gの処理効率を向上させることができる。
【0083】
上述した基板処理システム10では、各ガイドアーム27、各ピック28、各ガイドアーム31、並びに各ピック32はそれぞれ互いに連結されないが、連結部材によって互いに連結されてもよい。例えば、図9(A)及び図9(B)に示すように、各ガイドアーム27が連結部材としてのアームベース34によって互いに連結され、各ガイドアーム31がアームベース35によって連結されてもよい。
【0084】
上述した基板処理システム10では、ピック28やピック32は薄板体を断面Uの字状に折り曲げて形成されたが、図10に示すように、単なる長細薄板体によって形成してもよい。この場合、ガイドアーム27,31の上面にスリットを設け、ピック28,32の下面にピン等のガイドを設け、スリットにピンを遊嵌させるのが好ましい。
【0085】
また、上述した基板処理システム10では、上部基板搬送機構22が未処理のガラス基板Gを搬送し、下部基板搬送機構23が処理済みのガラス基板Gを搬送したが、上部基板搬送機構22が処理済みのガラス基板Gを搬送し、下部基板搬送機構23が未処理のガラス基板Gを搬送してもよい。
【0086】
また、上述した基板処理システム10では、バッファーピン24及びピック20の間でガラス基板Gの受け渡しを行う際、ピック20が昇降して受け渡しを行ったが、バッファ24が昇降して受け渡しを行ってもよい。
【0087】
以上、本発明について、上記実施の形態を用いて説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0088】
G ガラス基板
10 基板処理システム
11 プロセスチャンバ
13 ロードロックモジュール
22 上部基板搬送機構
23 下部基板搬送機構
24 バッファーピン
25,29 ガイドレール
26,30 昇降ベース
27,31 ガイドアーム
28,32 ピック
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイパネル用の基板を処理する基板処理システム、及び該基板処理システムにおける基板搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フラットパネルディスプレイ等に用いられるガラス基板には、該ガラス基板上に微細な配線等を構成するために、プラズマエッチング処理が施される。通常、ガラス基板へのプラズマエッチング処理は基板処理システムで行われる。
【0003】
第6世代のフラットパネルディスプレイに用いられるガラス基板にプラズマエッチング処理を施す基板処理システムは、プロセスチャンバ(処理室)及び該プロセスチャンバへのガラス基板の搬出入を行うロードロックモジュールを備える。この基板処理システムでは、プロセスチャンバ内において、基板載置台上にてガラス基板を上昇又は下降させる第1のリフターピンとは別の第2リフターピンを使用した基板入替え方式が用いられ、第2のリフターピンはガラス基板の端を数カ所において保持して該ガラス基板を上昇又は下降させるので、ガラス基板の搬出入を行うロードロックモジュール内の搬送アームの構造を簡素化、具体的には、シングルアーム型・上下回転軸レス型の省スペース且つシンプルな構造とすることができ、もって、装置の製造コストとフラットパネルディスプレイの生産性とを両立することができる。
【0004】
ところが、第7世代以降のフラットパネルディスプレイにプラズマエッチング処理を施す基板処理システムでは、ガラス基板のサイズの大型化により、基板支持位置が制限される第2リフターピンを使用した基板入替えの際、第2リフターピンがガラス基板の適切な箇所を保持することができず、ガラス基板のたわみが大きく成り過ぎて基板割れにより搬送が不可能となることがある。そこで、これに対応して、現状は第2リフターピンを廃し、ロードロックモジュール内の搬送アームとしてダブルアーム型の搬送アームを採用し、該搬送アームによって基板入替えを行うことにより、ガラス基板のたわみの発生を防止している。
【0005】
図11は、第7世代以降のフラットパネルディスプレイにプラズマエッチング処理を施す基板処理システムの構成を概略的に示す斜視図である。
【0006】
図11において、この基板処理システム110は、カセット113に収容された未処理のガラス基板を大気系搬送アーム114を介してトランスファモジュール112へ搬送するロードロックモジュール115を備える。該ロードロックモジュール115は処理済みガラス基板をトランスファモジュール112から大気系搬送アーム114を介してカセット116へ搬送する。プロセスチャンバ111やトランスファモジュール112の内部状態はほぼ真空に維持されているため、ロードロックモジュール115は内部状態を大気/真空に切替可能に構成されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
また、基板処理システム110のトランスファモジュール112の内部には基板搬送ユニットとしてのスカラ型や直動型の搬送アーム(図示しない)が配置され、該搬送アームはトランスファモジュール112の内部においてガラス基板を載置したまま回転する。したがって、トランスファモジュール112の内部容積を大きくする必要があった。
【0008】
近年、製造が開始されている第10世代のフラットパネルディスプレイに用いられるガラス基板は一辺が約3m弱の長方形を呈するため、トランスファモジュール112の内部容積をさらに大きくする必要があり、その結果、トランスファモジュール112が巨大化する。また、基板処理システム110ではトランスファモジュール112及びロードロックモジュール115の間に真空断絶可能なゲートバルブ117が配置されるが、該ゲートバルブ117もトランスファモジュール112の巨大化に伴って巨大化するため、トランスファモジュール112やゲートバルブ117の製造コストが上昇するという問題が生じた。
【0009】
近い将来に製造が開始される第11世代のフラットパネルディスプレイに用いられるガラス基板(一辺が約3m超の長方形を呈する)では、上述したトランスファモジュール112等の製造コストの上昇がより顕著となる。そこで、トランスファモジュール112等の製造コストを削減するため、図12に示すような、1つのプロセスチャンバ121と、該プロセスチャンバ121に接続された1つのロードロックモジュール122とを備える、第6世代のフラットパネルディスプレイに用いられるガラス基板を処理する基板処理システムと似た構成を有する基板処理システム120が検討されている。
【0010】
ところで、基板処理システム120は、プロセスチャンバ121を1つしか備えないので、ロードロックモジュール122がガラス基板の搬出入を行う間、他のガラス基板にプラズマエッチング処理を施すことができない。したがって、フラットパネルディスプレイの製造効率を向上させるためには、ロードロックモジュール122によるガラス基板の搬出入を短時間で行う必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007−208235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、ロードロックモジュール122が備える基板搬送ユニットとして一般的なスカラ型や直動式のダブルアーム型の搬送アームを用いた場合、該搬送アームの動作可能領域をロードロックモジュール122の内部に確保する必要があるため、ロードロックモジュール122の内部容積を大きくする必要がある。一方、ロードロックモジュール122は内部状態を大気/真空へ切替可能に構成される必要があるため、ロードロックモジュール122の内部容積が大きいと、ガラス基板の搬出入時の内部状態の大気/真空の切替に時間を要し、結果として、フラットパネルディスプレイの製造効率を向上させることができないという問題がある。
【0013】
本発明の目的は、基板の処理効率を向上させることができる基板処理システム及び基板搬送方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、請求項1記載の基板処理システムは、真空状態で基板に処理を施す1つの基板処理装置と、該基板処理装置に接続されて内部状態を大気/真空へ切替する第1の基板搬送装置と、該第1の基板搬送装置に接続されて前記基板処理装置と前記第1の基板搬送装置を挟んで対向するように配置される第2の基板搬送装置とを備え、前記第2の基板搬送装置は大気状態において前記第1の基板搬送装置に対する前記基板の搬出入を行い、前記第1の基板搬送装置は前記基板処理装置に対する前記基板の搬出入を行う基板処理システムであって、前記第1の基板搬送装置は、該第1の基板搬送装置の内部において上下に重なるように配置され、且つ互いに独立して上下動する上部基板搬送機構及び下部基板搬送装置を有し、前記上部基板搬送機構は、互いに平行且つ前記基板処理装置へ向けて延伸された複数の第1のガイドが配された第1の基部と、各前記第1のガイドに対応して設けられ、前記基板処理装置へ向けて前記第1のガイドに対して相対的に摺動する複数の長細状の第1の中間摺動部材と、各前記第1の中間摺動部材に対応して設けられ、前記基板処理装置へ向けて前記第1の中間摺動部材に対して相対的に摺動する複数の長細状の第1の上部摺動部材とを有し、前記下部基板搬送機構は、互いに平行且つ前記基板処理装置へ向けて延伸された複数の第2のガイドが配された第2の基部と、各前記第2のガイドに対応して設けられ、前記基板処理装置へ向けて前記第2のガイドに対して相対的に摺動する複数の長細状の第2の中間摺動部材と、各前記第2の中間摺動部材に対応して設けられ、前記基板処理装置へ向けて前記第2の中間摺動部材に対して相対的に摺動する複数の長細状の第2の上部摺動部材とを有し、複数の前記第1の上部摺動部材及び複数の前記第2の上部摺動部材のそれぞれは前記基板を載置することを特徴とする。
【0015】
請求項2記載の基板処理システムは、請求項1記載の基板処理システムにおいて、前記第1の基板搬送装置の内部において下方から上方へ向けて突出自在な複数のピン状部材を備えることを特徴とする。
【0016】
請求項3記載の基板処理システムは、請求項1又は2記載の基板処理システムにおいて、前記基板は矩形を呈し、一辺の長さは1.8m以上であることを特徴とする。
【0017】
請求項4記載の基板処理システムは、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の基板処理システムにおいて、前記上部基板搬送機構において各前記第1の中間摺動部材と各前記第1の上部摺動部材とは同期して摺動し、前記下部基板搬送機構において各前記第2の中間摺動部材と各前記第2の上部摺動部材とは同期して摺動することを特徴とする。
【0018】
請求項5記載の基板処理システムは、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の基板処理システムにおいて、前記上部基板搬送機構において各前記第1の中間摺動部材は互いに連結されず、前記下部基板搬送機構において各前記第2の中間摺動部材は互いに連結されないことを特徴とする。
【0019】
請求項6記載の基板処理システムは、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の基板処理システムにおいて、前記上部基板搬送機構において各前記第1の上部摺動部材は互いに連結されず、前記下部基板搬送機構において各前記第2の上部摺動部材は互いに連結されないことを特徴とする。
【0020】
上記目的を達成するために、請求項7記載の基板搬送方法は、真空状態で基板に処理を施す1つの基板処理装置と、該基板処理装置に接続されて内部状態を大気/真空へ切替する第1の基板搬送装置と、該第1の基板搬送装置に接続されて前記基板処理装置と前記第1の基板搬送装置を挟んで対向するように配置される第2の基板搬送装置とを備え、前記第2の基板搬送装置は大気状態において前記第1の基板搬送装置に対する前記基板の搬出入を行い、前記第1の基板搬送装置は前記基板処理装置に対する前記基板の搬出入を行う基板処理システムであって、前記第1の基板搬送装置は、該第1の基板搬送装置の内部において上下に重なるように配置され、且つ互いに独立して上下動する上部基板搬送機構及び下部基板搬送装置、並びに前記第1の基板搬送装置の内部において下方から上方へ向けて突出自在な複数のピン状部材を有し、前記上部基板搬送機構は、互いに平行且つ前記基板処理装置へ向けて延伸された複数の第1のガイドが配された第1の基部と、各前記第1のガイドに対応して設けられ、前記基板処理装置へ向けて前記第1のガイドに対して相対的に摺動する複数の長細状の第1の中間摺動部材と、各前記第1の中間摺動部材に対応して設けられ、前記基板処理装置へ向けて前記第1の中間摺動部材に対して相対的に摺動する複数の長細状の第1の上部摺動部材とを有し、前記下部基板搬送機構は、互いに平行且つ前記基板処理装置へ向けて延伸された複数の第2のガイドが配された第2の基部と、各前記第2のガイドに対応して設けられ、前記基板処理装置へ向けて前記第2のガイドに対して相対的に摺動する複数の長細状の第2の中間摺動部材と、各前記第2の中間摺動部材に対応して設けられ、前記基板処理装置へ向けて前記第2の中間摺動部材に対して相対的に摺動する複数の長細状の第2の上部摺動部材とを有し、複数の前記第1の上部摺動部材及び複数の前記第2の上部摺動部材のそれぞれは前記基板を載置する基板処理システムにおける基板搬送方法であって、前記第2の基板搬送装置が搬入する未処理の基板を前記上部基板搬送機構が受け取る第1の受け取りステップと、前記上部基板搬送機構及び前記下部基板搬送機構を上昇させる第1の上昇ステップと、前記下部基板搬送機構が前記第2の中間摺動部材及び前記第2の上部摺動部材を摺動させて処理済みの基板を前記基板処理装置から搬出する搬出ステップと、前記上部基板搬送機構及び前記下部基板搬送機構を下降させる下降ステップと、前記上部基板搬送機構が前記第1の中間摺動部材及び前記第1の上部摺動部材を摺動させて前記未処理の基板を前記基板処理装置に搬入する搬入ステップと、前記上部基板搬送機構のみが上昇する第2の上昇ステップと、前記複数のピン状部材が突出して前記処理済みの基板を前記下部基板搬送機構から離間させて上昇させる第3の上昇ステップと、前記第2の基板搬送装置が前記上昇した前記処理済みの基板を受け取る第2の受け取りステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、第1の基板搬送装置における上部基板搬送機構は、第1のガイドに対して相対的に摺動する複数の長細状の第1の中間摺動部材と、第1の中間摺動部材に対して相対的に摺動する複数の長細状の第1の上部摺動部材とを有するので、基板を基板処理装置に対して搬出入するとき以外、第1のガイド、第1の中間摺動部材及び第1の上部摺動部材を重ねることによって上部基板搬送機構を小さくすることができる。また、第1の基板搬送装置における下部基板搬送機構は、第2のガイドに対して相対的に摺動する複数の長細状の第2の中間摺動部材と、第2の中間摺動部材に対して相対的に摺動する複数の長細状の第2の上部摺動部材とを有するので、基板を基板処理装置に対して搬出入するとき以外、第2のガイド、第2の中間摺動部材及び第2の上部摺動部材を重ねることによって下部基板搬送機構を小さくすることができる。
【0022】
さらに、第1の基板搬送装置は1つの基板処理装置にしか接続されていないため、第1の基板搬送装置は1つの基板処理装置に対する基板の搬出入を行えばよい。また、上部基板搬送機構は上昇することによって下部基板搬送機構による基板の搬出入や受け渡しを阻害することがなく、下部基板搬送機構は下降することによって上部基板搬送機構による基板の搬出入や受け渡しを阻害することがない。したがって、上部基板搬送機構及び下部基板搬送機構は回転する必要がなく、上部基板搬送機構及び下部基板搬送機構の構成を簡素化することができ、上部基板搬送機構及び下部基板搬送機構をより小さくすることができる。
【0023】
その結果、第1の基板搬送装置の内部容積を小さくすることができ、もって、第1の基板搬送装置の内部状態の大気/真空の切替に時間を要することがない。これにより、基板の処理効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態に係る基板処理システムの構成を概略的に示す平面図である。
【図2】従来の基板処理システムで用いられる基板搬送ユニットの構成を概略的に示す斜視図である。
【図3】図1における線A−Aに関する断面図である。
【図4】図3における上部基板搬送機構の構成を概略的に示す図であり、図4(A)は上部基板搬送機構の構成及び動作を説明するための断面図であり、図4(B)は図4(A)における線B−Bに関する断面図である。
【図5】ガイドレール、ガイドアーム及びピックの位置関係を説明するための拡大断面図である。
【図6】図3における下部基板搬送機構の構成を概略的に示す図であり、図6(A)は下部基板搬送機構の構成及び動作を説明するための断面図であり、図6(B)は図6(A)における線C−Cに関する断面図である。
【図7】本実施の形態に係る基板搬送方法としての搬送シーケンスを説明するための工程図である。
【図8】本実施の形態に係る基板搬送方法としての搬送シーケンスを説明するための工程図である。
【図9】上部基板搬送機構及び下部基板搬送機構の変形例を示す図であり、図9(A)は水平断面図であり、図9(B)は縦断面図である。
【図10】上部基板搬送機構及び下部基板搬送機構におけるピックの変形例を示す拡大断面図である。
【図11】第7世代以降のフラットパネルディスプレイにプラズマエッチング処理を施す基板処理システムの構成を概略的に示す斜視図である。
【図12】第11世代のフラットパネルディスプレイにプラズマエッチング処理を施す基板処理システムの構成を概略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明の実施の形態に係る基板処理システムの構成を概略的に示す平面図である。この基板処理システムは、一辺の長さが1.8m以上の矩形のガラス基板、特に、第11世代以降のフラットパネルディスプレイに用いられるガラス基板に枚葉でプラズマエッチング処理を施す。なお、図1では、基板処理システムの構成の理解を容易にするために、後述のロードロックモジュール13やプロセスチャンバ11は水平断面図を用いて示している。
【0027】
図1において、基板処理システム10は、筐体状のプロセスチャンバ11(基板処理装置)と、該プロセスチャンバ11とゲートバルブ12を介して接続される筐体状のロードロックモジュール13(第1の基板搬送装置)と、該ロードロックモジュール13に接続されてプロセスチャンバ11とロードロックモジュール13を挟んで対向するように配置される大気系搬送装置14(第2の基板搬送装置)と、該大気系搬送装置14と接続されて該大気系搬送装置14に関してロードロックモジュール13から図中時計回り及び反時計回りに約90°回転移動した位置に配置されるカセット15(基板供給装置)及びカセット16(基板収容装置)とを備える。また、ロードロックモジュール13の大気系搬送装置14に対向する側面にはゲートバルブ17が設けられている。
【0028】
プロセスチャンバ11は真空に維持された内部にガラス基板Gを収容し、該内部において生じたプラズマを用いてガラス基板Gにプラズマエッチング処理を施す。また、プロセスチャンバ11は内部にガラス基板Gを載置する基板載置台18を有する。
【0029】
ロードロックモジュール13は内部に後述する上部基板搬送機構22及び下部基板搬送機構23を有し、不図示の排気装置や圧力制御バルブによって内部状態を大気/真空へ切替可能に構成されている。
【0030】
カセット15は複数の未処理のガラス基板Gをストックする枠体からなり、カセット15において複数の未処理のガラス基板Gは互いに平行且つ所定の間隔を保って重ねられる。また、カセット16は複数の処理済みのガラス基板Gをストックする枠体からなり、カセット16において複数の処理済みのガラス基板Gは互いに平行且つ所定の間隔を保って重ねられる。
【0031】
大気系搬送装置14は搬送アーム機構19を有する。該搬送アーム機構19は大気に暴露され、ガラス基板Gを載置する櫛状のピック20と、該ピック20を支え且つ伸縮自在なスカラアーム(図示しない)と、該スカラアームを支え且つ回転自在な回転ベース21とを有する。搬送アーム機構19はスカラアームを伸縮し、回転ベース21を回転させることにより、未処理のガラス基板Gをカセット15から搬出してロードロックモジュール13の上部基板搬送機構22へ渡し、処理済みのガラス基板Gをロードロックモジュール13の下部基板搬送機構23から受け取ってカセット16へ収容する。
【0032】
ゲートバルブ12は、プロセスチャンバ11によるガラス基板Gのプラズマエッチング処理時には閉弁してプロセスチャンバ11の内部及びロードロックモジュール13の内部を仕切り、上部基板搬送機構22による未処理のガラス基板Gのプロセスチャンバ11への搬入時や下部基板搬送機構23による処理済みのガラス基板Gのプロセスチャンバ11からの搬出時には開弁してプロセスチャンバ11の内部及びロードロックモジュール13の内部を連通させる。また、ゲートバルブ17は、ロードロックモジュール13の内部状態が大気の場合、開弁して搬送アーム機構19のピック20が該内部へ進入可能なようにロードロックモジュール13の側面に開口部を形成し、ロードロックモジュール13の内部状態が真空の場合、閉弁してロードロックモジュール13の内部を外部から仕切る。
【0033】
ところで、従来の基板処理システムで用いられる基板搬送ユニット200は、図2に示すように、回転軸(図示しない)に支持された略直方体のスライドベース201と、該スライドベース201に取り付けられてスライドベース201の長手方向(以下、単に「長手方向」という。)にスライド可能な下部ピックベース202と、スライドベース201に取り付けられてスライドベース201の長手方向にスライド可能な上部ピックベース203とを備える。下部ピックベース202及び上部ピックベース203からはそれぞれ4つの長棒状のピック204,205が長手方向に延出しており、下部ピックベース202や上部ピックベース203がスライドすることにより、各ピック204,205がプロセスチャンバの内部へ進入してガラス基板Gを搬送する。
【0034】
この基板搬送ユニット200では、下部ピックベース202や上部ピックベース203が各ピック204,205のスライドベース201に対する取り付け剛性を確保するため、上下方向に厚く構成される。
【0035】
従来の基板処理システムにおいてロードロックモジュールに基板搬送ユニット200を配置した場合、ゲートバルブがプロセスチャンバの側面に開口部を形成してプロセスチャンバの内部及びロードロックモジュールの内部を連通させても、基板搬送ユニット200の下部ピックベース202や上部ピックベース203が厚く構成されるため、該下部ピックベース202や上部ピックベース203は開口部を通過することができず、プロセスチャンバの内部へ進入することができない。したがって、各ピック204,205の長さをできるだけ長く構成することによってガラス基板Gの搬送可能距離を稼ぐ必要がある。
【0036】
各ピック204,205の長さを長くすれば長くするほど、ガラス基板Gの搬送時に各ピック204,205の振れが大きくなり、且つ各ピック204,205の重量も重くなる。したがって、各ピック204,205の振れを防ぎ、各ピック204,205を安定的に支持するために各ピック204,205のスライドベース201に対する取り付け剛性をより高くする必要がある。各ピック204,205の取り付け剛性をより高くするには、下部ピックベース202や上部ピックベース203の静的剛性だけでなくスライドベース201の静的剛性を高くする必要があるため、スライドベース201の厚さも大きくする必要がある。
【0037】
また、基板搬送ユニット200では、スライドベース201が回転することによって該基板搬送ユニット200全体が回転するが、回転時に慣性力によってスライドベース201が撓むのを防止するためにスライドベース201の静的剛性をより高くする必要があり、その結果、スライドベース201の厚さをより大きくする必要がある。
【0038】
ところが、スライドベース201の厚さを大きくすると、基板搬送ユニット200が大型化する。また、上述したように、基板搬送ユニット200では各ピック204,205ができるだけ長く構成されるので、各ピック204,205を収容する場合、すなわち、各ピック204,205をスライドベース201へ重ねた場合であっても、基板搬送ユニット200はさほど小さくならない。したがって、結果として基板搬送ユニット200が大型化する。これにより、ロードロックモジュールの内部容積を大きくする必要がある。
【0039】
さらに、基板搬送ユニット200は回転するために、ロードロックモジュール13の内部に回転可能な領域を確保する必要があり、ロードロックモジュールの内部容積をより大きくする必要がある。
【0040】
ロードロックモジュールの内部容積が大きくなると、内部状態の大気/真空の切替に時間を要し、フラットパネルディスプレイの製造効率を向上させることができない。
【0041】
本実施の形態では、これに対応して、基板搬送ユニットを小型化し、且つ基板搬送ユニットの回転を不要にする。具体的には、上部基板搬送機構及び下部基板搬送機構を小型化し、さらに、上部基板搬送機構及び下部基板搬送機構が一方向にのみガラス基板Gを搬送するだけでロードロックモジュール及びプロセスチャンバの間のガラス基板Gの入れ替えを実行できるように基板搬送ユニットを構成する。
【0042】
図3は、図1における線A−Aに関する断面図であり、本実施の形態に係る基板処理システムにおける第1の基板搬送装置としてのロードロックモジュールの構成を概略的に示す断面図である。
【0043】
図3において、ロードロックモジュール13は、該ロードロックモジュール13の内部において図中上下に重なるように配置される上部基板搬送機構22及下部基板搬送機構23を備え、さらに、ロードロックモジュール13の内部S(以下、単に「内部S」という。)において底部から図中上方へ向けて突出し、上下動自在な複数のバッファーピン24(ピン状部材)と、ロードロックモジュール13の内部の状態を大気/真空へ切り換える排気装置や圧力制御バルブ(図示しない)とを備える。
【0044】
上部基板搬送機構22及び下部基板搬送機構23は互いに独立して上下動する。具体的には、上部基板搬送機構22は、搬送アーム機構19のピック20から未処理のガラス基板Gを受け取る位置、若しくは、未処理のガラス基板Gをプロセスチャンバ11へ搬入する位置である基板受け渡し位置と、下部基板搬送機構23がガラス基板Gの受け渡しを行う際、下部基板搬送機構23の作業空間を確保するために上部基板搬送機構22が退避する退避先である上部退避位置との間を昇降する。内部Sにおいて上部退避位置は基板受け渡し位置よりも上方に位置する。
【0045】
また、下部基板搬送機構23は、処理済みのガラス基板Gをプロセスチャンバ11から搬出する位置、若しくは、搬送アーム機構19のピック20へ処理済みのガラス基板Gを渡す位置である基板受け渡し位置と、上部基板搬送機構22がガラス基板Gの受け渡しを行う際、上部基板搬送機構22の作業空間を確保するために下部基板搬送機構23が退避する退避先である下部退避空間との間を昇降する。内部Sにおいて下部退避位置は基板受け渡し位置よりも下方に位置する。なお、上部基板搬送機構22の基板受け渡し位置と下部基板搬送機構23の基板受け渡し位置とは同じである。
【0046】
図4は、図3における上部基板搬送機構の構成を概略的に示す図であり、図4(A)は上部基板搬送機構の構成及び動作を説明するための断面図であり、図4(B)は図4(A)における線B−Bに関する断面図である。
【0047】
図4(A)及び図4(B)において、上部基板搬送機構22は、互いに平行且つプロセスチャンバ11へ(図中右方へ)向けて延伸された4つのガイドレール25(第1のガイド)が配された板状の昇降ベース26(第1の基部)と、各ガイドレール25に対応して設けられた長細の角柱状を呈するガイドアーム27(第1の中間摺動部材)と、各ガイドアーム27に対応して設けられた長細の薄板体からなるピック28(第1の上部摺動部材)とを有する。上部基板搬送機構22では、4つのピック28が協働して1枚の未処理のガラス基板Gを載置する。
【0048】
上部基板搬送機構22では、図5に示すように、昇降ベース26において、下方からガイドレール25、ガイドアーム27及びピック28の順で重ねられる。ガイドアーム27は全長に亘って下面に設けられたガイド溝27aを有し、該ガイド溝27aを介してガイドレール25と遊嵌する。また、ピック28は薄板体を断面Uの字状に折り曲げて形成され、Uの字で形成される内部空間にガイドアーム27を収容することによってガイドアーム27と遊嵌する。
【0049】
上部基板搬送機構22は不図示の駆動源を有し、該駆動源が付与する駆動力により、ガイドアーム27はプロセスチャンバ11へ向けてガイドレール25に対して相対的に摺動し、且つピック28はプロセスチャンバ11へ向けてガイドアーム27に対して相対的に摺動する。このとき、4つのガイドアーム27は互いの相対的位置関係を維持しつつ摺動し、4つのピック28も互いの相対的位置関係を維持しつつ摺動する。また、各ガイドアーム27と各ピック28とは同期して摺動するので、ガイドアーム27及びピック28のいずれか一方の摺動中に他方が停止して上部基板搬送機構22において衝撃が生じるのを防止することができる。これにより、ピック28に載置された未処理のガラス基板Gの位置ずれが発生するのを防止することができ、未処理のガラス基板Gをプロセスチャンバ11の基板載置台18における所定の位置に正確に載置することができる。
【0050】
上部基板搬送機構22では、ガイドアーム27及びピック28がプロセスチャンバ11側へ最大限摺動したとき(図4(A)及び図4(B)に示す状態)、ピック28に載置された未処理のガラス基板Gが基板載置台18の上方に到達するように、ガイドアーム27及びピック28の長さ、並びに摺動可能範囲が設定される。
【0051】
また、上部基板搬送機構22では、プロセスチャンバ11側へ最大限摺動したガイドアーム27及びピック28は、駆動源が付与する駆動力により、大気系搬送装置14へ向けて摺動し、昇降ベース26と重ねられる(図3に示す状態)。
【0052】
以下、ガイドアーム27及びピック28がプロセスチャンバ11側へ最大限摺動したとき(図4(A)及び図4(B)に示す状態)を「伸長状態」といい、ガイドアーム27及びピック28が大気系搬送装置14側へ最大限摺動したとき(図3に示す状態)を「短縮状態」という。なお、上部基板搬送機構22は基板受け渡し位置に位置する場合のみ、短縮状態から伸長状態、及び伸長状態から短縮状態へ遷移可能であり、上部退避位置に位置する場合は短縮状態のままである。
【0053】
図6は、図3における下部基板搬送機構の構成を概略的に示す図であり、図6(A)は下部基板搬送機構の構成及び動作を説明するための断面図であり、図6(B)は図6(A)における線C−Cに関する断面図である。
【0054】
図6(A)及び図6(B)において、下部基板搬送機構23は、互いに平行且つプロセスチャンバ11へ(図中右方へ)向けて延伸された4つのガイドレール29(第2のガイド)が配された板状の昇降ベース30(第2の基部)と、各ガイドレール29に対応して設けられた長細の角柱状を呈するガイドアーム31(第2の中間摺動部材)と、各ガイドアーム31に対応して設けられた長細の薄板体からなるピック32(第2の上部摺動部材)とを有する。下部基板搬送機構23では、4つのピック32が協働して1枚の処理済みのガラス基板Gを載置する。
【0055】
下部基板搬送機構23では、図5に示すように、昇降ベース30において、下方からガイドレール29、ガイドアーム31及びピック32の順で重ねられる。ガイドアーム31は全長に亘って下面に設けられたガイド溝31aを有し、該ガイド溝31aを介してガイドレール29と遊嵌する。また、ピック32は薄板体を断面Uの字状に折り曲げて形成され、 Uの字で形成される内部空間にガイドアーム31を収容することによってガイドアーム31と遊嵌する。
【0056】
下部基板搬送機構23は不図示の駆動源を有し、該駆動源が付与する駆動力により、ガイドアーム31はプロセスチャンバ11へ向けてガイドレール29に対して相対的に摺動し、且つピック32はプロセスチャンバ11へ向けてガイドアーム31に対して相対的に摺動する。このとき、4つのガイドアーム31は互いの相対的位置関係を維持しつつ摺動し、4つのピック32も互いの相対的位置関係を維持しつつ摺動する。また、各ガイドアーム31と各ピック32とは同期して摺動するので、ガイドアーム31及びピック32のいずれか一方の摺動中に他方が停止して下部基板搬送機構23において衝撃が生じるのを防止することができる。これにより、ピック32に載置された処理済みのガラス基板Gの位置ずれが発生するのを防止することができる。
【0057】
下部基板搬送機構23では、ガイドアーム31及びピック32がプロセスチャンバ11側へ最大限摺動したとき(図6(A)及び図6(B)に示す状態)、ピック32が基板載置台18の上方に到達するように、ガイドアーム31及びピック32の長さ、並びに摺動可能範囲が設定される。
【0058】
また、下部基板搬送機構23では、プロセスチャンバ11側へ最大限摺動したガイドアーム31及びピック32は、駆動源が付与する駆動力により、大気系搬送装置14へ向けて摺動し、昇降ベース30と重ねられる(図3に示す状態)。
【0059】
以下、ガイドアーム31及びピック32がプロセスチャンバ11側へ最大限摺動したとき(図6(A)及び図6(B)に示す状態)を「伸長状態」といい、ガイドアーム31及びピック32が大気系搬送装置14側へ最大限摺動したとき(図3に示す状態)を「短縮状態」という。なお、下部基板搬送機構23は基板受け渡し位置に位置する場合のみ、短縮状態から伸長状態、及び伸長状態から短縮状態へ遷移可能であり、下部退避位置に位置する場合は短縮状態のままである。
【0060】
上部基板搬送機構22では、昇降ベース26において複数のバッファーピン24に対応した位置に貫通孔(図示しない)が設けられ、各バッファーピン24は各貫通孔と遊嵌する。また、下部基板搬送機構23では、昇降ベース30において複数のバッファーピン24に対応した位置に貫通孔(図示しない)が設けられ、各バッファーピン24は各貫通孔と遊嵌する。したがって、上部基板搬送機構22の位置や下部基板搬送機構23の位置にかかわらず、複数のバッファーピン24は自在に上下動することができる。また、複数のバッファーピン24は駆動源(図示しない)からの駆動力により、同期して上下動するので、複数のバッファーピン24が協働してガラス基板Gを支えながら上下動する際、支えられたガラス基板Gは傾くことがない。その結果、ガラス基板Gの位置ずれが発生するのを防止することができる。
【0061】
また、上部基板搬送機構22及び下部基板搬送機構23は、後述するように回転する必要がないため、各構成部材に回転による慣性力が作用することがなく、撓みを防止するために各構成部材の取り付け剛性を、従来の基板搬送ユニット200における上部基板搬送機構203及び下部基板搬送機構204の各構成部材の取り付け剛性ほど確保する必要はない。したがって、上部基板搬送機構22及び下部基板搬送機構23では、各ガイドアーム27は互いに連結する必要がなく、各ガイドアーム31も互いに連結する必要がない。さらに、各ピック28は互いに連結する必要がなく、各ピック32も互いに連結する必要がない。したがって、従来の基板搬送ユニット200におけるピックベース207のような連結部材は必要ない。
【0062】
本実施の形態に係る基板処理システム10によれば、ロードロックモジュール13における上部基板搬送機構22は、昇降ベース26のガイドレール25に対して相対的に摺動する4つのガイドアーム27と、ガイドアーム27に対して相対的に摺動する4つのピック28とを有するので、短縮状態において昇降ベース26、ガイドアーム27及びピック28を重ねることによって上部基板搬送機構22を小さくすることができる。また、ロードロックモジュール13における下部基板搬送機構23は、昇降ベース30のガイドレール29に対して相対的に摺動する4つのガイドアーム31と、ガイドアーム31に対して相対的に摺動する4つのピック32とを有するので、短縮状態において昇降ベース30、ガイドアーム31及びピック32を重ねることによって下部基板搬送機構23を小さくすることができる。その結果、ロードロックモジュール13の内部容積を小さくすることができ、もって、ロードロックモジュール13の内部状態の大気/真空の切替に時間を要することがない。これにより、ガラス基板Gの処理効率を向上させることができる。
【0063】
上述した基板処理システム10では、上部基板搬送機構22において各ガイドアーム27は互いに連結されず、且つ各ピック28も互いに連結されない。また、下部基板搬送機構23において各ガイドアーム31は互いに連結されず、且つ各ピック32も互いに連結されない。これにより、ガイドアーム27、ピック28、ガイドアーム31並びに、ピック32の連結部材が不要となり、上部基板搬送機構22及び下部基板搬送機構23をより小さくすることができる。
【0064】
なお、上記の実施の形態では、基板処理システムの基板搬送ユニットがガイドレール、ガイドアーム及びピックをそれぞれ4つずつ備える場合について説明したが、ガイドレール、ガイドアーム及びピックの数は、ガラス基板Gを支持及び搬送が可能な数であれば、特に限られることはない。
【0065】
次に、本実施の形態に係る基板搬送方法について説明する。
【0066】
図7及び図8は、本実施の形態に係る基板搬送方法としての搬送シーケンスを説明するための工程図である。本搬送シーケンスは基板処理システム10におけるロードロックモジュール13が主に実行する。なお、図7(A)、図7(C)、図7(E)、図7(G)、図8(A)、図8(C)、図8(E)及び図8(G)は図1における線A−Aに関する断面図であり、図7(B)、図7(D)、図7(F)、図7(H)、図8(B)、図8(D)、図8(F)及び図8(H)は図1における線A−Aに関する断面図である。
【0067】
まず、上部基板搬送機構22が基板受け渡し位置に位置し、下部基板搬送機構23が下部退避位置に位置する。また、複数のバッファーピン24が昇降ベース30の各貫通孔を通過して上昇し、所定の位置で待機する。その後、ゲートバルブ17(図示しない)が開弁して未処理のガラス基板Gを載置するピック20が内部Sへ進入してガラス基板Gを上部基板搬送機構22の直上まで搬送する(図7(A)、図7(B))。
【0068】
次いで、ピック20が下降してガラス基板Gの下面を各バッファーピン24に接触させ、その後、ピック20はさらに下降する。これにより、ガラス基板Gはピック20から離間し、各バッファーピン24はガラス基板Gを支持する。(図7(C)、図7(D))。
【0069】
次いで、ピック20は内部Sから退出し、ゲートバルブ17が閉弁し、排気装置や圧力制御バルブがロードロックモジュール13の内部状態を真空へ切り替える。さらに、2つのポジショナ(pisitioner)33が未処理のガラス基板Gの縁に当接することによって未処理のガラス基板Gの位置を調整する(図7(E)、図7(F))。
【0070】
なお、ガイドアーム27,31やピック28,32の摺動方向(ガラス基板Gの搬送方向)に関するガラス基板Gの位置補正については、例えば、ガラス基板Gが搬送アーム機構19のピック20に保持された状態において別途設けられるズレ量センサ(図示しない)でガラス基板Gの伸縮方向のズレを検出し、該検出されたズレに基づいてピック20を支持するスカラアームで位置補正を行うことにより、ガラス基板Gにポジショナ33を接触させることなく位置補正を行うこともできる。
【0071】
次いで、上部基板搬送機構22が上昇し、ピック28がガラス基板Gの下面に当接した後も上部基板搬送機構22は上部退避位置まで上昇する(第1の上昇ステップ)。これにより、上部基板搬送機構22は未処理のガラス基板Gを受け取る。その後、複数のバッファーピン24は下降し、下部基板搬送機構23が基板受け渡し位置まで上昇し(第1の上昇ステップ)、ゲートバルブ12が開弁する。
【0072】
次いで、下部基板搬送機構23は、ガイドアーム31及びピック32をプロセスチャンバ11側へ最大限摺動させ、プロセスチャンバ11の基板載置台18から複数のプッシャーピン(図示しない)によって持ち上げられた処理済みのガラス基板Gをピック32へ受け取り(図7(G)、図7(H))、さらに、ガイドアーム31及びピック32を大気系搬送装置14側へ最大限摺動させて処理済みのガラス基板Gをプロセスチャンバ11から搬出し、下部基板搬送機構23の直上まで搬送する(搬出ステップ)。
【0073】
次いで、処理済みのガラス基板Gを載置した下部基板搬送機構23が下部退避位置まで下降し、上部基板搬送機構22が基板受け渡し位置まで下降する(下降ステップ)。その後、上部基板搬送機構22は、ガイドアーム27及びピック28をプロセスチャンバ11側へ最大限摺動させ、プロセスチャンバ11の基板載置台18から突出する複数のプッシャーピン(図示しない)へ未処理のガラス基板Gを受け渡す(図8(A)、図8(B))(搬入ステップ)。
【0074】
次いで、上部基板搬送機構22は、ガイドアーム27及びピック28を大気系搬送装置14側へ最大限摺動させて短縮状態へ遷移し、上部退避位置まで上昇する(第2の上昇ステップ)。その後、複数のバッファーピン24が上昇し、下部基板搬送機構23のピック32に載置された処理済みのガラス基板Gをピック32から離間させた後も上昇を継続し、処理済みのガラス基板Gを所定の位置まで上昇させる(第3の上昇ステップ)。さらに、2つのポジショナ33が処理済みのガラス基板Gの縁に当接することによって処理済みのガラス基板Gの位置を調整する(図8(C)、図8(D))。
【0075】
なお、ガラス基板Gの搬送方向に関する位置補正については、前述した大気系搬送装置14からロードロックモジュール13へガラス基板Gを搬入した場合(図7(A)〜図7(F))と同様に、例えば、ピック20を支持するスカラアームで位置補正を行うことにより、ガラス基板Gにポジショナ33を接触させることなく位置補正を行うこともできる。
【0076】
次いで、ゲートバルブ12が閉弁し、排気装置や圧力制御バルブがロードロックモジュール13の内部状態を大気へ切り替える。その後、ゲートバルブ17が開弁し、ピック20が内部Sへ進入して処理済みのガラス基板Gの直下に位置する(図8(E)、図8(F))。
【0077】
次いで、ピック20が上昇し、処理済みのガラス基板Gの下面に当接した後も所定の位置まで上昇して処理済みのガラス基板Gを複数のバッファーピン24から離間させる。これにより、ピック20は処理済みのガラス基板Gを受け取る(図8(G)、図8(H))(第2の受け取りステップ)。
【0078】
次いで、処理済みのガラス基板Gを載置したピック20が内部Sから退出し、本搬送シーケンスを終了する。
【0079】
本実施の形態に係る基板搬送方法としての搬送シーケンスによれば、ロードロックモジュール13は1つのプロセスチャンバ11にしか接続されていないため、ロードロックモジュール13は1つのプロセスチャンバ11に対するガラス基板Gの搬出入を行えばよい。また、上部基板搬送機構22は上昇することによって下部基板搬送機構23によるガラス基板Gの搬出入や受け渡しを阻害することがなく、下部基板搬送機構23は下降することによって上部基板搬送機構22によるガラス基板Gの搬出入や受け渡しを阻害することがない。したがって、上部基板搬送機構22及び下部基板搬送機構23は回転する必要がない。
【0080】
上部基板搬送機構22及び下部基板搬送機構23が回転しないならば、上部基板搬送機構22及び下部基板搬送機構23の各構成部材に回転による慣性力が作用することがなく、慣性力による撓みを防止するために各構成部材の静的剛性を、従来の基板搬送ユニット200における上部基板搬送機構203及び下部基板搬送機構204の各構成部材の静的剛性ほど高くする必要はない。その結果、昇降ベース26,30、ガイドアーム27,31やピック28,32を薄く構成する、例えば、厚さ100mm以下に構成することができ、上部基板搬送機構22及び下部基板搬送機構23をより小さくすることができる。
【0081】
また、ガイドアーム27,31を薄く構成できるので、伸長状態においてガイドアーム27,31はプロセスチャンバ11の側面の開口部を通過することができる。その結果、ピック28,32をさほど長く構成しなくても、ガラス基板Gの搬送可能距離を所望値以上に確保することができる。すなわち、ピック28,32を短く構成できるので、ピック28,32の振れを防ぐためにピック28,32の取り付け剛性を高くする必要がない。その結果、ピック28,32が取り付けられるガイドアーム27,31や、該ガイドアーム27,31が取り付けられる昇降ベース26,30の静的剛性を高くする必要がなく、これにより、ガイドアーム27,31や昇降ベース26,30をより薄く構成することができる。その結果、上部基板搬送機構22及び下部基板搬送機構23をさらに小さくすることができる。
【0082】
以上より、ロードロックモジュール13の内部容積を小さくすることができ、もって、ロードロックモジュール13の内部状態の大気/真空の切替に時間を要することがない。これにより、ガラス基板Gの処理効率を向上させることができる。
【0083】
上述した基板処理システム10では、各ガイドアーム27、各ピック28、各ガイドアーム31、並びに各ピック32はそれぞれ互いに連結されないが、連結部材によって互いに連結されてもよい。例えば、図9(A)及び図9(B)に示すように、各ガイドアーム27が連結部材としてのアームベース34によって互いに連結され、各ガイドアーム31がアームベース35によって連結されてもよい。
【0084】
上述した基板処理システム10では、ピック28やピック32は薄板体を断面Uの字状に折り曲げて形成されたが、図10に示すように、単なる長細薄板体によって形成してもよい。この場合、ガイドアーム27,31の上面にスリットを設け、ピック28,32の下面にピン等のガイドを設け、スリットにピンを遊嵌させるのが好ましい。
【0085】
また、上述した基板処理システム10では、上部基板搬送機構22が未処理のガラス基板Gを搬送し、下部基板搬送機構23が処理済みのガラス基板Gを搬送したが、上部基板搬送機構22が処理済みのガラス基板Gを搬送し、下部基板搬送機構23が未処理のガラス基板Gを搬送してもよい。
【0086】
また、上述した基板処理システム10では、バッファーピン24及びピック20の間でガラス基板Gの受け渡しを行う際、ピック20が昇降して受け渡しを行ったが、バッファ24が昇降して受け渡しを行ってもよい。
【0087】
以上、本発明について、上記実施の形態を用いて説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0088】
G ガラス基板
10 基板処理システム
11 プロセスチャンバ
13 ロードロックモジュール
22 上部基板搬送機構
23 下部基板搬送機構
24 バッファーピン
25,29 ガイドレール
26,30 昇降ベース
27,31 ガイドアーム
28,32 ピック
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空状態で基板に処理を施す1つの基板処理装置と、該基板処理装置に接続されて内部状態を大気/真空へ切替する第1の基板搬送装置と、該第1の基板搬送装置に接続されて前記基板処理装置と前記第1の基板搬送装置を挟んで対向するように配置される第2の基板搬送装置とを備え、前記第2の基板搬送装置は大気状態において前記第1の基板搬送装置に対する前記基板の搬出入を行い、前記第1の基板搬送装置は前記基板処理装置に対する前記基板の搬出入を行う基板処理システムであって、
前記第1の基板搬送装置は、該第1の基板搬送装置の内部において上下に重なるように配置され、且つ互いに独立して上下動する上部基板搬送機構及び下部基板搬送装置を有し、
前記上部基板搬送機構は、互いに平行且つ前記基板処理装置へ向けて延伸された複数の第1のガイドが配された第1の基部と、各前記第1のガイドに対応して設けられ、前記基板処理装置へ向けて前記第1のガイドに対して相対的に摺動する複数の長細状の第1の中間摺動部材と、各前記第1の中間摺動部材に対応して設けられ、前記基板処理装置へ向けて前記第1の中間摺動部材に対して相対的に摺動する複数の長細状の第1の上部摺動部材とを有し、
前記下部基板搬送機構は、互いに平行且つ前記基板処理装置へ向けて延伸された複数の第2のガイドが配された第2の基部と、各前記第2のガイドに対応して設けられ、前記基板処理装置へ向けて前記第2のガイドに対して相対的に摺動する複数の長細状の第2の中間摺動部材と、各前記第2の中間摺動部材に対応して設けられ、前記基板処理装置へ向けて前記第2の中間摺動部材に対して相対的に摺動する複数の長細状の第2の上部摺動部材とを有し、
複数の前記第1の上部摺動部材及び複数の前記第2の上部摺動部材のそれぞれは前記基板を載置することを特徴とする基板処理システム。
【請求項2】
前記第1の基板搬送装置の内部において下方から上方へ向けて突出自在な複数のピン状部材を備えることを特徴とする請求項1記載の基板処理システム。
【請求項3】
前記基板は矩形を呈し、一辺の長さは1.8m以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の基板処理システム。
【請求項4】
前記上部基板搬送機構において各前記第1の中間摺動部材と各前記第1の上部摺動部材とは同期して摺動し、
前記下部基板搬送機構において各前記第2の中間摺動部材と各前記第2の上部摺動部材とは同期して摺動することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の基板処理システム。
【請求項5】
前記上部基板搬送機構において各前記第1の中間摺動部材は互いに連結されず、前記下部基板搬送機構において各前記第2の中間摺動部材は互いに連結されないことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の基板処理システム。
【請求項6】
前記上部基板搬送機構において各前記第1の上部摺動部材は互いに連結されず、前記下部基板搬送機構において各前記第2の上部摺動部材は互いに連結されないことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の基板処理システム。
【請求項7】
真空状態で基板に処理を施す1つの基板処理装置と、該基板処理装置に接続されて内部状態を大気/真空へ切替する第1の基板搬送装置と、該第1の基板搬送装置に接続されて前記基板処理装置と前記第1の基板搬送装置を挟んで対向するように配置される第2の基板搬送装置とを備え、前記第2の基板搬送装置は大気状態において前記第1の基板搬送装置に対する前記基板の搬出入を行い、前記第1の基板搬送装置は前記基板処理装置に対する前記基板の搬出入を行う基板処理システムであって、
前記第1の基板搬送装置は、該第1の基板搬送装置の内部において上下に重なるように配置され、且つ互いに独立して上下動する上部基板搬送機構及び下部基板搬送装置、並びに前記第1の基板搬送装置の内部において下方から上方へ向けて突出自在な複数のピン状部材を有し、前記上部基板搬送機構は、互いに平行且つ前記基板処理装置へ向けて延伸された複数の第1のガイドが配された第1の基部と、各前記第1のガイドに対応して設けられ、前記基板処理装置へ向けて前記第1のガイドに対して相対的に摺動する複数の長細状の第1の中間摺動部材と、各前記第1の中間摺動部材に対応して設けられ、前記基板処理装置へ向けて前記第1の中間摺動部材に対して相対的に摺動する複数の長細状の第1の上部摺動部材とを有し、前記下部基板搬送機構は、互いに平行且つ前記基板処理装置へ向けて延伸された複数の第2のガイドが配された第2の基部と、各前記第2のガイドに対応して設けられ、前記基板処理装置へ向けて前記第2のガイドに対して相対的に摺動する複数の長細状の第2の中間摺動部材と、各前記第2の中間摺動部材に対応して設けられ、前記基板処理装置へ向けて前記第2の中間摺動部材に対して相対的に摺動する複数の長細状の第2の上部摺動部材とを有し、複数の前記第1の上部摺動部材及び複数の前記第2の上部摺動部材のそれぞれは前記基板を載置する基板処理システムにおける基板搬送方法であって、
前記第2の基板搬送装置が搬入する未処理の基板を前記上部基板搬送機構が受け取る第1の受け取りステップと、
前記上部基板搬送機構及び前記下部基板搬送機構を上昇させる第1の上昇ステップと、
前記下部基板搬送機構が前記第2の中間摺動部材及び前記第2の上部摺動部材を摺動させて処理済みの基板を前記基板処理装置から搬出する搬出ステップと、
前記上部基板搬送機構及び前記下部基板搬送機構を下降させる下降ステップと、
前記上部基板搬送機構が前記第1の中間摺動部材及び前記第1の上部摺動部材を摺動させて前記未処理の基板を前記基板処理装置に搬入する搬入ステップと、
前記上部基板搬送機構のみが上昇する第2の上昇ステップと、
前記複数のピン状部材が突出して前記処理済みの基板を前記下部基板搬送機構から離間させて上昇させる第3の上昇ステップと、
前記第2の基板搬送装置が前記上昇した前記処理済みの基板を受け取る第2の受け取りステップとを有することを特徴とする基板搬送方法。
【請求項1】
真空状態で基板に処理を施す1つの基板処理装置と、該基板処理装置に接続されて内部状態を大気/真空へ切替する第1の基板搬送装置と、該第1の基板搬送装置に接続されて前記基板処理装置と前記第1の基板搬送装置を挟んで対向するように配置される第2の基板搬送装置とを備え、前記第2の基板搬送装置は大気状態において前記第1の基板搬送装置に対する前記基板の搬出入を行い、前記第1の基板搬送装置は前記基板処理装置に対する前記基板の搬出入を行う基板処理システムであって、
前記第1の基板搬送装置は、該第1の基板搬送装置の内部において上下に重なるように配置され、且つ互いに独立して上下動する上部基板搬送機構及び下部基板搬送装置を有し、
前記上部基板搬送機構は、互いに平行且つ前記基板処理装置へ向けて延伸された複数の第1のガイドが配された第1の基部と、各前記第1のガイドに対応して設けられ、前記基板処理装置へ向けて前記第1のガイドに対して相対的に摺動する複数の長細状の第1の中間摺動部材と、各前記第1の中間摺動部材に対応して設けられ、前記基板処理装置へ向けて前記第1の中間摺動部材に対して相対的に摺動する複数の長細状の第1の上部摺動部材とを有し、
前記下部基板搬送機構は、互いに平行且つ前記基板処理装置へ向けて延伸された複数の第2のガイドが配された第2の基部と、各前記第2のガイドに対応して設けられ、前記基板処理装置へ向けて前記第2のガイドに対して相対的に摺動する複数の長細状の第2の中間摺動部材と、各前記第2の中間摺動部材に対応して設けられ、前記基板処理装置へ向けて前記第2の中間摺動部材に対して相対的に摺動する複数の長細状の第2の上部摺動部材とを有し、
複数の前記第1の上部摺動部材及び複数の前記第2の上部摺動部材のそれぞれは前記基板を載置することを特徴とする基板処理システム。
【請求項2】
前記第1の基板搬送装置の内部において下方から上方へ向けて突出自在な複数のピン状部材を備えることを特徴とする請求項1記載の基板処理システム。
【請求項3】
前記基板は矩形を呈し、一辺の長さは1.8m以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の基板処理システム。
【請求項4】
前記上部基板搬送機構において各前記第1の中間摺動部材と各前記第1の上部摺動部材とは同期して摺動し、
前記下部基板搬送機構において各前記第2の中間摺動部材と各前記第2の上部摺動部材とは同期して摺動することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の基板処理システム。
【請求項5】
前記上部基板搬送機構において各前記第1の中間摺動部材は互いに連結されず、前記下部基板搬送機構において各前記第2の中間摺動部材は互いに連結されないことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の基板処理システム。
【請求項6】
前記上部基板搬送機構において各前記第1の上部摺動部材は互いに連結されず、前記下部基板搬送機構において各前記第2の上部摺動部材は互いに連結されないことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の基板処理システム。
【請求項7】
真空状態で基板に処理を施す1つの基板処理装置と、該基板処理装置に接続されて内部状態を大気/真空へ切替する第1の基板搬送装置と、該第1の基板搬送装置に接続されて前記基板処理装置と前記第1の基板搬送装置を挟んで対向するように配置される第2の基板搬送装置とを備え、前記第2の基板搬送装置は大気状態において前記第1の基板搬送装置に対する前記基板の搬出入を行い、前記第1の基板搬送装置は前記基板処理装置に対する前記基板の搬出入を行う基板処理システムであって、
前記第1の基板搬送装置は、該第1の基板搬送装置の内部において上下に重なるように配置され、且つ互いに独立して上下動する上部基板搬送機構及び下部基板搬送装置、並びに前記第1の基板搬送装置の内部において下方から上方へ向けて突出自在な複数のピン状部材を有し、前記上部基板搬送機構は、互いに平行且つ前記基板処理装置へ向けて延伸された複数の第1のガイドが配された第1の基部と、各前記第1のガイドに対応して設けられ、前記基板処理装置へ向けて前記第1のガイドに対して相対的に摺動する複数の長細状の第1の中間摺動部材と、各前記第1の中間摺動部材に対応して設けられ、前記基板処理装置へ向けて前記第1の中間摺動部材に対して相対的に摺動する複数の長細状の第1の上部摺動部材とを有し、前記下部基板搬送機構は、互いに平行且つ前記基板処理装置へ向けて延伸された複数の第2のガイドが配された第2の基部と、各前記第2のガイドに対応して設けられ、前記基板処理装置へ向けて前記第2のガイドに対して相対的に摺動する複数の長細状の第2の中間摺動部材と、各前記第2の中間摺動部材に対応して設けられ、前記基板処理装置へ向けて前記第2の中間摺動部材に対して相対的に摺動する複数の長細状の第2の上部摺動部材とを有し、複数の前記第1の上部摺動部材及び複数の前記第2の上部摺動部材のそれぞれは前記基板を載置する基板処理システムにおける基板搬送方法であって、
前記第2の基板搬送装置が搬入する未処理の基板を前記上部基板搬送機構が受け取る第1の受け取りステップと、
前記上部基板搬送機構及び前記下部基板搬送機構を上昇させる第1の上昇ステップと、
前記下部基板搬送機構が前記第2の中間摺動部材及び前記第2の上部摺動部材を摺動させて処理済みの基板を前記基板処理装置から搬出する搬出ステップと、
前記上部基板搬送機構及び前記下部基板搬送機構を下降させる下降ステップと、
前記上部基板搬送機構が前記第1の中間摺動部材及び前記第1の上部摺動部材を摺動させて前記未処理の基板を前記基板処理装置に搬入する搬入ステップと、
前記上部基板搬送機構のみが上昇する第2の上昇ステップと、
前記複数のピン状部材が突出して前記処理済みの基板を前記下部基板搬送機構から離間させて上昇させる第3の上昇ステップと、
前記第2の基板搬送装置が前記上昇した前記処理済みの基板を受け取る第2の受け取りステップとを有することを特徴とする基板搬送方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−84725(P2012−84725A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−230467(P2010−230467)
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
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