説明

基板処理システム

【課題】レシピの設定ミスの防止及びレシピの設定時間の短縮を実現することができる基板処理システムを提供する。
【解決手段】群管理装置20により実行される群管理プログラム40において、レシピ記憶部408は、基板を処理する手順が記載された複数のレシピを記憶する。マトリクス記憶部402は、ロット情報とレシピとの対応関係(レシピ決定マトリクス)を記憶する。ロット情報受付部404は、送信されたロット情報を受け付ける。レシピ選択部406は、ロット情報受付部404により受け付けられたロット情報とマトリクス記憶部402に記憶されているレシピ決定マトリクスとに基づいて、レシピ記憶部408に記憶されている複数のレシピからレシピを選択する。レシピ送信部410は、レシピ選択部406により選択されたレシピを基板処理装置10に対して送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板やガラス基板等を処理する基板処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の基板処理システムにおいて、基板処理装置は、基板を処理するための詳細な手順が記述されたレシピに基づいて基板を処理する。一般に、レシピは、オペレータにより手動で基板処理装置に対して設定される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、オペレータはプロセス毎にレシピを指定するために制御パラメータ(温度、ガス流量、圧力等)に関して多くの設定値を手作業で入力する必要があるので、作業が煩雑であった。軽微な入力ミス等に起因した誤ったレシピ(所望としていないレシピ)がオペレータにより設定されたとしても、基板処理装置は誤った処理を実行してしまうおそれがある。ひいては、基板処理装置の稼働率の低下を招くことがあった。
【0004】
本発明は、レシピ作成時の設定ミスの防止及びレシピの指定時間の短縮を実現することができる基板処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明に係る基板処理システムは、レシピに基づいて基板を処理する複数の基板処理装置と前記基板処理装置に接続された群管理装置とを含む基板処理システムであって、前記群管理装置は、複数のレシピを記憶するレシピ記憶手段と、ロット情報とレシピとの対応関係を記憶する対応関係記憶手段と、ロット情報を受け付けるロット情報受付手段と、前記ロット情報受付手段により受け付けられたロット情報と前記対応関係記憶手段に記憶されている対応関係とに基づいて、前記レシピ記憶手段に記憶されている複数のレシピからレシピを選択するレシピ選択手段と、前記レシピ選択手段により選択されたレシピを前記基板処理装置に対して送信する送信手段とを有する。
【0006】
また、本発明に係る群管理装置は、レシピに基づいて基板を処理する複数の基板処理装置に接続された群管理装置であって、複数のレシピを記憶するレシピ記憶手段と、ロット情報とレシピとの対応関係を記憶する対応関係記憶手段と、ロット情報を受け付けるロット情報受付手段と、前記ロット情報受付手段により受け付けられたロット情報と前記対応関係記憶手段に記憶されている対応関係とに基づいて、前記レシピ記憶手段に記憶されている複数のレシピからレシピを選択するレシピ選択手段と、前記レシピ選択手段により選択されたレシピを前記基板処理装置に対して送信する送信手段とを有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る基板処理システムによれば、レシピ作成時の設定ミスの防止及びレシピの指定時間の短縮を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は、本発明の実施形態に係る基板処理システム1の構成を示す図である。
図1に示すように、基板処理システム1は、複数の基板処理装置10−1〜10−n、群管理装置20、及びロット情報送信装置50を有する。基板処理装置10−1〜10−n、群管理装置20、及びロット情報送信装置50は、例えばLANなどのネットワーク12を介して接続されている。したがって、データは、基板処理装置10−1〜10−n、群管理装置20、及びロット情報送信装置50の間で、ネットワーク12を介して送信及び受信される。なお、基板処理装置10−1〜10−nなど、複数ある構成部分のいずれかを特定せずに示すときには、単に基板処理装置10などと略記することがある。
【0009】
基板処理装置10において、入出力装置16は、基板処理装置10と一体に、又はネットワーク12を介して接続して設けられており、操作画面18を有する。操作画面18には、オペレータにより所定のデータが入力される入力画面及び装置の状況等を示す表示画面が表示される。基板処理装置10内には、プロセスモジュールコントローラ(PMC:Process module controller)14が設けられ、基板処理装置10内の各装置は、PMC14により制御される。
【0010】
基板処理装置10は、群管理装置20から送信されたレシピを受信し、受信したレシピに基づいて基板の処理を実行する。具体的には、このようなレシピには、基板を処理するための手順が記載されており、PMC14が、複数のステップで構成されるレシピに基づいて基板処理装置10内の各装置を制御する。
【0011】
基板処理装置10は、一例として、半導体装置(IC)の製造方法における処理装置を実施する半導体製造装置として構成されている。なお、以下の説明では、基板処理装置として基板に酸化、拡散処理やCVD処理などを行なう縦型の装置を適用した実施例について述べる。
【0012】
群管理装置20は、複数のレシピを記憶し、ロット情報とレシピとの対応関係を記憶し、ロット情報送信装置50から送信されるロット情報を受け付け、前記受け付けられたロット情報と前記記憶されている対応関係とに基づいて前記記憶されている複数のレシピからレシピを選択し、前記選択されたレシピを前記基板処理装置10に対して送信する。なお、群管理装置20については、後で詳述する。
【0013】
ロット情報送信装置50は、ロット情報読込装置52有し、ロット情報読込装置52により読み込まれたロット情報を群管理装置20に対して送信する。ロット情報読込装置52は、基板収容器等に示されるロット情報を読み込む装置であり、例えば、バーコードリーダ、2次元コードリーダ、RFIDリーダ等により実現される。ロット情報には、生産される製品の品種等の情報が含まれる。なお、ロット情報送信装置50は、群管理装置20と同一の筐体に含まれてもよく、基板処理装置10−1〜10−nの少なくともいずれかに含まれてもよい。ここで、品種が異なる場合、レシピを変更するか又は制御パラメータの設定変更が必要となる。
【0014】
図2は、本発明の実施形態に係る基板処理装置10の斜視図を示す。また、図3は、図2に示す基板処理装置10の側面透視図を示す。
図2及び図3に示されているように、シリコン等からなるウエハ(基板)200を収納したウエハキャリアとしてフープ(基板収容器。以下ポッドという。)110が使用されている本発明の実施形態に係る基板処理装置10は、筐体111を備えている。筐体111の正面壁111aの正面前方部にはメンテナンス可能なように設けられた開口部としての正面メンテナンス口103が開設され、この正面メンテナンス口103を開閉する正面メンテナンス扉104、104がそれぞれ建て付けられている。
【0015】
筐体111の正面壁111aにはポッド搬入搬出口(基板収容器搬入搬出口)112が筐体111の内外を連通するように開設されており、ポッド搬入搬出口112はフロントシャッタ(基板収容器搬入搬出口開閉機構)113によって開閉されるようになっている。ポッド搬入搬出口112の正面前方側にはロードポート(基板収容器受渡し台)114が設置されており、ロードポート114はポッド110を載置されて位置合わせするように構成されている。ポッド110はロードポート114上に工程内搬送装置(図示せず)によって搬入され、かつまた、ロードポート114上から搬出されるようになっている。
【0016】
筐体111内の前後方向の略中央部における上部には、回転式ポッド棚(基板収容器載置棚)105が設置されており、回転式ポッド棚105は複数個のポッド110を保管するように構成されている。すなわち、回転式ポッド棚105は垂直に立設されて水平面内で間欠回転される支柱116と、支柱116に上中下段の各位置において放射状に支持された複数枚の棚板(基板収容器載置台)117とを備えており、複数枚の棚板117はポッド110を複数個宛それぞれ載置した状態で保持するように構成されている。
【0017】
筐体111内におけるロードポート114と回転式ポッド棚105との間には、ポッド搬送装置(基板収容器搬送装置)118が設置されており、ポッド搬送装置118は、ポッド110を保持したまま昇降可能なポッドエレベータ(基板収容器昇降機構)118aと搬送機構としてのポッド搬送機構(基板収容器搬送機構)118bとで構成されており、ポッド搬送装置118はポッドエレベータ118aとポッド搬送機構118bとの連続動作により、ロードポート114、回転式ポッド棚105、ポッドオープナ(基板収容器蓋体開閉機構)121との間で、ポッド110を搬送するように構成されている。
【0018】
筐体111内の前後方向の略中央部における下部には、サブ筐体119が後端にわたって構築されている。サブ筐体119の正面壁119aにはウエハ200をサブ筐体119内に対して搬入搬出するためのウエハ搬入搬出口(基板搬入搬出口)120が一対、垂直方向に上下二段に並べられて開設されており、上下段のウエハ搬入搬出口120、120には一対のポッドオープナ121、121がそれぞれ設置されている。ポッドオープナ121はポッド110を載置する載置台122、122と、ポッド110のキャップ(蓋体)を着脱するキャップ着脱機構(蓋体着脱機構)123、123とを備えている。ポッドオープナ121は載置台122に載置されたポッド110のキャップをキャップ着脱機構123によって着脱することにより、ポッド110のウエハ出し入れ口を開閉するように構成されている。
【0019】
サブ筐体119はポッド搬送装置118や回転式ポッド棚105の設置空間から流体的に隔絶された移載室124を構成している。移載室124の前側領域にはウエハ移載機構(基板移載機構)125が設置されており、ウエハ移載機構125は、ウエハ200を水平方向に回転ないし直動可能なウエハ移載装置(基板移載装置)125a及びウエハ移載装置125aを昇降させるためのウエハ移載装置エレベータ(基板移載装置昇降機構)125bとで構成されている。図2に模式的に示されているようにウエハ移載装置エレベータ125bは耐圧筐体111右側端部とサブ筐体119の移載室124前方領域右端部との間に設置されている。これら、ウエハ移載装置エレベータ125b及びウエハ移載装置125aの連続動作により、ウエハ移載装置125aのツイーザ(基板保持体)125cをウエハ200の載置部として、ボート(基板保持具)217に対してウエハ200を装填(チャージング)及び脱装(ディスチャージング)するように構成されている。
【0020】
移載室124の後側領域には、ボート217を収容して待機させる待機部126が構成されている。待機部126の上方には、処理炉202が設けられている。処理炉202の下端部は、炉口シャッタ(炉口開閉機構)147により開閉されるように構成されている。
【0021】
図2に模式的に示されているように、耐圧筐体111右側端部とサブ筐体119の待機部126右端部との間にはボート217を昇降させるためのボートエレベータ(基板保持具昇降機構)115が設置されている。ボートエレベータ115の昇降台に連結された連結具としてのアーム128には蓋体としてのシールキャップ219が水平に据え付けられており、シールキャップ219はボート217を垂直に支持し、処理炉202の下端部を閉塞可能なように構成されている。ボート217は複数本の保持部材を備えており、複数枚(例えば、50〜125枚程度)のウエハ200をその中心を揃えて垂直方向に整列させた状態で、それぞれ水平に保持するように構成されている。
【0022】
図2に模式的に示されているように移載室124のウエハ移載装置エレベータ125b側及びボートエレベータ115側と反対側である左側端部には、清浄化した雰囲気もしくは不活性ガスであるクリーンエア133を供給するよう供給ファン及び防塵フィルタで構成されたクリーンユニット134が設置されており、ウエハ移載装置125aとクリーンユニット134との間には、図示はしないが、ウエハの円周方向の位置を整合させる基板整合装置としてのノッチ合わせ装置135が設置されている。
【0023】
クリーンユニット134から吹き出されたクリーンエア133は、ノッチ合わせ装置135及びウエハ移載装置125a、待機部126にあるボート217に流通された後に、図示しないダクトにより吸い込まれて、筐体111の外部に排気がなされるか、もしくはクリーンユニット134の吸い込み側である一次側(供給側)にまで循環され、再びクリーンユニット134によって、移載室124内に吹き出されるように構成されている。
【0024】
次に、基板処理装置10の構成要素を制御するPMC14について説明する。
図4は、PMC14を中心としたハードウェア構成を示す。
PMC14は、CPU140、ROM(read-only memory)142、RAM(random-access memory)144、入出力装置16との間でのデータの送受信を行う入出力インタフェース(IF)146、温度制御部150、ガス制御部152、圧力制御部154及び温度制御部150等とのI/O制御を行うI/O制御部148、ネットワーク12を介して外部のコンピュータとの間でのデータの通信を制御する通信制御部156、及びデータを記憶するハードディスクドライブ(HDD)158を有する。これらの構成要素はバス160を介して相互に接続されており、データは構成要素の間でバス160を介して送受信される。
【0025】
PMC14において、CPU140は、群管理装置20により送信されたレシピに基づいて基板を処理する。具体的には、CPU140は、制御データ(制御指示)を、温度制御部150、ガス制御部152及び圧力制御部154に対して出力する。ROM142、RAM144、及びHDD158には、シーケンスプログラム、入出力装置16より入力されるデータ、通信制御部156を介して入力されるデータ等が格納される。
【0026】
温度制御部150は、上述した処理炉202の外周部に設けられたヒータ338により該処理室202内の温度を制御する。ガス制御部152は、処理炉202のガス配管340に設けられたMFC(マスフローコントローラ)342からの出力値に基づいて処理炉202内に供給する反応ガスの供給量等を制御する。圧力制御部154は、処理炉202の排気配管344に設けられた圧力センサ346の出力値に基づいてバルブ348を開閉することにより処理室202内の圧力を制御する。このように、温度制御部150等は、CPU140からの制御指示に基づいて基板処理装置10の各部(ヒータ338、MFC342及びバルブ348等)の制御を行う。
【0027】
したがって、レシピのデータが群管理装置20から送信されると、通信制御部156を介してPMC14に入力される。CPU140は、シーケンスプログラムを起動し、該シーケンスプログラムに従って、送信されたレシピのコマンドを呼び込み実行することで、制御パラメータの目標値等が設定されているステップが逐次実行され、I/O制御部148を介して温度制御部150、ガス制御部152、圧力制御部154、及び図示しない搬送制御部に対して基板を処理するための制御指示が送信される。温度制御部150等は、制御指示に従って基板処理装置10内の各部(ヒータ338、MFC342及びバルブ348等)の制御を行う。これにより、上述したウエハ200の処理が行われる。
【0028】
図5は、群管理装置20の構成を、制御装置22を中心に示す図である。
図5に示すように、群管理装置20は、CPU24及びメモリ26などを含む制御装置22と、ネットワーク12を介して外部のコンピュータなどとデータの送信及び受信を行う通信装置28と、ハードディスクドライブなどの記憶装置32と、液晶ディスプレイなどの表示装置並びにキーボード及びマウス等のポインティングデバイスを含む表示・入力装置30とを有する。このように、群管理装置20は、例えば、後述する群管理プログラム40などがインストールされた汎用コンピュータである。
【0029】
図6は、本発明の実施形態に係る基板処理システム1において群管理装置20により実行される群管理プログラム40の機能構成を示す図である。
図6に示すように、群管理プログラム40は、マトリクス登録部400、マトリクス記憶部402、ロット情報受付部404、レシピ選択部406、レシピ記憶部408及びレシピ送信部410を有する。群管理プログラム40は、例えば、FD、CD又はDVDなどの記録媒体34(図5)に格納されて群管理装置20に供給され、メモリ26にロードされて、制御装置22上で動作する図示しないOS上で、ハードウェアを利用して実行される。なお、群管理プログラム40は、ネットワーク12に接続された外部のコンピュータから通信装置28を介して制御装置22に供給されてもよい。
【0030】
群管理プログラム40において、レシピ記憶部408は、基板を処理する手順が記載された複数のレシピを記憶する。レシピ記憶部408は、メモリ26及び記憶装置32の少なくともいずれかにより実現される。
【0031】
マトリクス記憶部402は、ロット情報とレシピとの対応関係(レシピ決定マトリクス)を記憶する対応関係記憶手段を構成する。より具体的には、マトリクス記憶部402は、ロット情報に含まれる製品の品種と該品種に対して用いられるレシピとの関係を工程毎に記憶する。マトリクス記憶部402は、レシピ記憶部408と同様に、記憶装置32等により実現される。なお、マトリクス記憶部402に記憶されるレシピ決定マトリクスについては、後で詳述する。
【0032】
マトリクス登録部400は、表示・入力装置30を介して入力されるレシピ決定マトリクスを受け付け、マトリクス記憶部402に格納する。また、マトリクス登録部400は、同様にして入力されるレシピ決定マトリクスの追加、変更、削除等の処理を受け付け、受け付けた内容に基づいて、マトリクス記憶部402に記憶されているレシピ決定マトリクスの変更等を行う。なお、マトリクス登録部400は、外部のコンピュータにおいて入力され送信されたレシピ決定マトリクスの変更等に関するデータを通信装置28を介して受け付けてもよい。
【0033】
ロット情報受付部404は、ロット情報送信装置50により送信されたロット情報を受け付けて、レシピ選択部406に対して出力する。例えば、ロット情報受付部404は、ネットワーク12を介して送信され、通信装置28により受信されたロット情報を受け付ける。
【0034】
レシピ選択部406は、ロット情報受付部404により受け付けられたロット情報とマトリクス記憶部402に記憶されているレシピ決定マトリクスとに基づいて、レシピ記憶部408に記憶されている複数のレシピからレシピを選択する。より具体的には、レシピ選択部406は、ロット情報受付部404からロット情報を入力すると、マトリクス記憶部402に記憶されているレシピ決定マトリクスを参照し、受け付けられたロット情報に対応するレシピ情報を取得する。たとえば、レシピ選択部406は、ロット情報に含まれる製品の品種情報に基づいて、この品種に対応するレシピの名称を取得する。
【0035】
レシピ選択部406は、レシピ情報を取得すると、レシピ記憶部408に記憶されている複数のレシピから、該当するレシピを選択する。例えば、レシピ選択部406は、レシピの名称に基づいてレシピ記憶部408を検索する。レシピ選択部406は、選択したレシピをレシピ送信部410に対して出力する。
【0036】
レシピ送信部410は、基板処理装置10からレシピの送信依頼をネットワーク12を介して受け付け、レシピ選択部406により選択されたレシピを該基板処理装置10に対して送信する。例えば、レシピ送信部410は、基板処理装置10に基板収容器(図2及び図3に示されるポッド110)が投入された旨の通知を、レシピの送信依頼として受け付ける。この場合、レシピ送信部410は、ポッド110が投入された基板処理装置10に対してレシピを送信する。
【0037】
図7は、群管理プログラム40のマトリクス記憶部402に記憶されているレシピ決定マトリクスを例示する図である。
図7に例示するように、レシピは、ロット情報毎かつ工程毎に予め決定されている。例えば、レシピは、ロット情報としての各品種情報(品種1〜品種u)に対して、工程(工程1〜工程v)毎に決定されている。受け付けられたロット情報が品種1を示すものである場合、群管理プログラム40のレシピ選択部406は、品種1の工程1〜工程vに対応するレシピ、即ちレシピ1〜レシピvを選択してレシピ送信部410に対して出力する。なお、レシピ決定マトリクスにおいて、レシピは、レシピの名称で登録されてもよいし、レシピを一意に識別する識別子(例えば、英数字記号からなる文字列)で登録されてもよい。
【0038】
次に、本発明の実施形態に係る基板処理システム1の制御処理を説明する。
図8は、群管理装置20上で動作する群管理プログラム40によるレシピ選択処理(S10)を示すフローチャートである。
図8に示すように、ステップ100(S100)において、群管理プログラム40のロット情報受付部404は、ロット情報送信装置50により読み込まれて送信されたロット情報を受け付ける。
【0039】
ステップ102(S102)において、レシピ選択部406は、マトリクス記憶部402に記憶されているレシピ決定マトリクスを参照し、ロット情報受付部404により受け付けられたロット情報に対応するレシピを工程毎に決定する。
【0040】
ステップ104(S104)において、レシピ選択部406は、レシピ記憶部408に記憶されている複数のレシピから、S102の処理で決定されたレシピを取得する。
このようにして、群管理装置20は、ロット情報送信装置50により送信されたロット情報に対応するレシピを選択する。
【0041】
図9は、本発明の実施形態に係る基板処理システム1の全体動作(S20)を示すフローチャートである。
図9に示すように、ステップ200(S200)において、オペレータは、ロット情報送信装置50のロット情報読込装置52を用いて、処理対象(例えば、基板処理装置10に投入されるポッド110)に付与されたロット情報を読み込む。なお、ロット情報は、例えば、バーコード、2次元コード等の形で処理対象に付与されてもよいし、処理対象に付与されたRFIDタグに含まれてもよい。
ステップ202(S202)において、ロット情報送信装置50は、読み込まれたロット情報をネットワーク12を介して群管理装置20に対して送信する。
【0042】
ステップ204(S204)において、ポッド110が基板処理装置10に投入されると、基板処理装置10は、ポッド110の投入通知を群管理装置20に対して送信する。群管理装置20では、群管理プログラム40のレシピ送信部410が該投入通知を受け付ける。群管理装置20は、基板処理装置10−1〜10−nのうち、レシピを送信する対象となる基板処理装置10を認識する。
【0043】
群管理装置20では、レシピ選択処理(図8;S10)が実行される。なお、レシピ選択処理は、ロット情報が受け付けられた後であれば実行可能であり、S204の処理より前に行われてもよい。
【0044】
ステップ206(S206)において、群管理装置20は、ポッド110が投入された基板処理装置10に対して、S10の処理で選択されたレシピを送信する。基板処理装置10は、群管理装置20から送信されたレシピを受信する。
ステップ208(S208)において、基板処理装置10は、受信したレシピに基づいて基板を処理する。
【0045】
次に、基板処理装置10による基板処理を詳細に説明する。
図2及び図3に示されているように、ポッド110がロードポット114に供給されると、ポッド搬入搬出口112がフロントシャッタ113によって開放され、ロードポート114の上のポッド110はポッド搬送装置118によって筐体111の内部へポッド搬入搬出口112から搬入される。
【0046】
搬入されたポッド110は回転式ポッド棚105の指定された棚板117へポッド搬送装置118によって自動的に搬送されて受け渡され、一時的に保管された後、棚板117から一方のポッドオープナ121に搬送されて受け渡され、一時的に保管された後、棚板117から一方のポッドオープナ121に搬送されて載置台122に移載されるか、もしくは直接ポッドオープナ121に搬送されて載置台122に移載される。この際、ポッドオープナ121のウエハ搬入搬出口120はキャップ着脱機構123によって閉じられており、移載室124にはクリーンエア133が流通され、充満されている。例えば、移載室124にはクリーンエア133として窒素ガスが充満することにより、酸素濃度が20ppm以下と、筐体111の内部(大気雰囲気)の酸素濃度よりも遥かに低く設定されている。
【0047】
載置台122に載置されたポッド110はその開口側端面がサブ筐体119の正面壁119aにおけるウエハ搬入搬出口120の開口縁辺部に押し付けられるとともに、そのキャップがキャップ着脱機構123によって取り外され、ウエハ出し入れ口を開放される。
【0048】
ポッド110がポッドオープナ121によって開放されると、ウエハ200はポッド110からウエハ移載装置125aのツイーザ125cによってウエハ出し入れ口を通じてピックアップされ、図示しないノッチ合わせ装置135にてウエハを整合した後、移載室124の後方にある待機部126へ搬入され、ボート217に装填(チャージング)される。ボート217にウエハ200を受け渡したウエハ移載装置125aはポッド110に戻り、次のウエハ110をボート217に装填する。
【0049】
この一方(上段又は下段)のポッドオープナ121におけるウエハ移載機構125によるウエハのボート217への装填作業中に、他方(下段又は上段)のポッドオープナ121には回転式ポッド棚105から別のポッド110がポッド搬送装置118によって搬送されて移載され、ポッドオープナ121によるポッド110の開放作業が同時進行される。
【0050】
予め指定された枚数のウエハ200がボート217に装填されると、炉口シャッタ147によって閉じられていた処理炉202の下端部が、炉口シャッタ147によって、開放される。続いて、ウエハ200群を保持したボート217はシールキャップ219がボートエレベータ115によって上昇されることにより、処理炉202内へ搬入(ローディング)されて行く。
【0051】
ローディング後、処理炉202にて、群管理装置20から送信されたレシピに基づいて、処理がウエハ200に対して実施される。処理後は、図示しないノッチ合わせ装置135でのウエハの整合工程を除き、概上述の逆の手順で、ウエハ200及びポッド110は筐体の外部へ払出される。
【0052】
なお、本発明に係る基板処理装置は、半導体製造装置だけではなく、LCD装置などのガラス基板を処理する装置にも適用されうる。また、本発明に係る基板処理装置は、炉内の処理を限定せず、CVD、PVD、酸化膜、窒化散を形成する処理、及び金属を含む膜を形成する処理を含む成膜処理を行うことができる。また、本発明に係る基板処理装置は、縦型装置だけでなく、枚葉装置にも適用されうる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施形態に係る基板処理システム1の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る基板処理装置10の斜視図を示す。
【図3】本発明の実施形態に係る基板処理装置10の側面透視図を示す。
【図4】PMC14を中心としたハードウェア構成を示す。
【図5】群管理装置20の構成を、制御装置22を中心に示す図である。
【図6】群管理装置20により実行される群管理プログラム40の機能構成を示す図である。
【図7】群管理プログラム40のマトリクス記憶部402に記憶されているレシピ決定マトリクスを例示する図である。
【図8】群管理装置20上で動作する群管理プログラム40によるレシピ選択処理(S10)を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施形態に係る基板処理システム1の全体動作(S20)を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0054】
1 基板処理システム
10 基板処理装置
12 ネットワーク
14 PMC
16 入出力装置
20 群管理装置
22 制御装置
28 通信装置
40 群管理プログラム
50 ロット情報送信装置
52 ロット情報読込装置
400 マトリクス登録部
402 マトリクス記憶部
404 ロット情報受付部
406 レシピ選択部
408 レシピ記憶部
410 レシピ送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レシピに基づいて基板を処理する複数の基板処理装置と前記基板処理装置に接続された群管理装置とを含む基板処理システムであって、
前記群管理装置は、
複数のレシピを記憶するレシピ記憶手段と、
ロット情報とレシピとの対応関係を記憶する対応関係記憶手段と、
ロット情報を受け付けるロット情報受付手段と、
前記ロット情報受付手段により受け付けられたロット情報と前記対応関係記憶手段に記憶されている対応関係とに基づいて、前記レシピ記憶手段に記憶されている複数のレシピからレシピを選択するレシピ選択手段と、
前記レシピ選択手段により選択されたレシピを前記基板処理装置に対して送信する送信手段と
を有する基板処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−78351(P2008−78351A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−255269(P2006−255269)
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】