説明

基板処理装置、基板処理方法及び記憶媒体

【課題】横並びに複数配置された載置台上の搬送容器から基板搬送機構により基板を取り出して処理を行うにあたり、載置台上の搬送容器内の基板の高さ位置を正確に求めること。
【解決手段】載置台11を複数配置すると共に、少なくとも2つの載置台11の並びに沿って前記大気搬送室22内を移動自在な撮像ユニット41を設けて、載置台11上のFOUP1内においてウエハWが収納される収納領域2全体を撮像ユニット41により一括して撮像し、この撮像結果に基づいて前記FOUP1内のウエハWの高さ位置を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送容器から基板を取り出して処理を行う基板処理装置、基板処理方法及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置を製造するための基板処理装置として、例えば搬送容器であるFOUPからローダモジュール内に設けられた搬送アームによって基板例えば半導体ウエハ(以下、「ウエハ」という)を取り出して、真空処理やレジストの塗布処理などを行う処理部に搬送する装置が知られている。このような基板処理装置には、FOUPを載置(接続)するための載置部(ロードポート)が横並びに一列に設けられている。
【0003】
そして、FOUP内におけるウエハの有無及びウエハが収納されている高さ位置を調べるために、例えばFOUPやロードポートに光センサからなるマッピングセンサを設けている。しかし、このマッピングセンサでは、例えば作業者の取り扱いミスにより、一つのスロットに複数枚例えば2枚のウエハが収納されている場合あるいは1枚のウエハが上下2つのスロットに跨って斜めに収納されているいわゆるクロススロットとなっている場合には、検出結果をウエハの厚みの誤差やFOUPの傾きなどによるものと判断して誤検出してしまうことがあり、そのためこのような事象を検出するのは困難である。また、各々のロードポート毎にセンサが必要になるため、コストアップに繋がってしまう。更に、装置の設置面積(フットプリント)を抑えるために例えばローダモジュールの面積ができるだけ小さくなるように設計されているので、当該ローダモジュール内(搬送アーム)には大型のセンサを設けることができない。
【0004】
特許文献1、2には、カメラを用いてFOUP内のウエハの位置を検出する技術について記載されているが、このようなカメラは視野が狭いので、FOUP内におけるウエハの収容領域全体を撮像するためには例えばカメラを上下方向に移動あるいは揺動させる必要があるため、撮像に長時間必要になりスループットが低下してしまうし、撮像した画像の処理が煩雑になってしまう。また、このカメラの焦点距離が長いので、搬送アームとFOUPとの間にカメラを設けようとすると、カメラとFOUPとを大きく離間させる必要があるので装置の設置面積が増大してしまう。尚、ローダモジュールにおけるFOUPの並びの反対側の領域には、処理部や雰囲気の切り替えを行うロードロック室などが接続されているので、搬送アームの搬送動作に干渉するおそれが大きいためこのカメラを当該領域に設けることは実際には困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−64515
【特許文献2】特表2005−520350
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、横並びに複数配置された載置部上の搬送容器から基板搬送機構により基板を取り出して処理を行うにあたり、載置部上の搬送容器内の基板の高さ位置を正確に求めることができる基板処理装置、基板処理方法及びこの方法が記憶された記憶媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の基板処理装置は、
複数枚の基板が棚状に保持可能に構成され、前面が基板の取り出し口とされる搬送容器を載置するための載置部であって、前記搬送容器の複数個を同じ向きに横並びに配置するように夫々設けられた複数の載置部と、
これら載置部に載置された搬送容器から基板を取り出すための基板搬送機構と、
この基板搬送機構により取り出された基板に対して処理を行う処理部と、
前記搬送容器内の全ての基板保持領域を、前記基板搬送機構により当該搬送容器内の基板の取り出しを行う前に一括して撮像するための撮像部と、
この撮像部を、載置部上の搬送容器の前面に臨む位置を含む領域において搬送容器の並びに沿って水平に移動させる移動機構と、
前記撮像部により搬送容器内を撮像した結果に基づいて基板の高さ位置情報を取得する手段と、
取得した基板の高さ位置情報に基づいて前記基板搬送機構による搬送容器内の基板の受け取り動作を制御する手段と、を備え、
前記撮像部は、少なくとも2個の搬送容器に対して共用されていることを特徴とする。
【0008】
前記撮像部は広角レンズを備えていることが好ましい。
前記搬送容器内の基板の前端と撮像部との間の距離は10cm以下であることが好ましい。
前記移動機構により撮像部と共に移動し、前記搬送容器内に光を照射する照明部を備えていることが好ましい。
【0009】
本発明の基板処理方法は、
複数枚の基板が棚状に保持可能に構成され、前面が基板の取り出し口とされる搬送容器の複数個を同じ向きに横並びに複数の載置部に夫々載置する工程と、
撮像部を、載置部上の搬送容器の前面に臨む位置を含む領域において搬送容器の並びに沿って水平に移動させ、撮像対象となる一の搬送容器の前面を臨む位置に前記撮像部を停止させて、当該搬送容器内の全ての基板保持領域を撮像部により一括して撮像する工程と、
前記撮像部により前記一の搬送容器内を撮像した結果に基づいて基板の高さ位置情報を取得する工程と、
前記一の搬送容器の前面を臨む位置から前記撮像部を退避させ、取得した基板の高さ位置情報に基づいて、基板搬送機構により当該一の搬送容器内から基板を受け取る工程と、
撮像部を、載置部上の搬送容器の前面に臨む位置を含む領域において搬送容器の並びに沿って水平に移動させ、前記一の搬送容器とは別の他の搬送容器の前面を臨む位置に前記撮像部を停止させて、当該搬送容器内の全ての基板保持領域を撮像部により一括して撮像する工程と、
前記撮像部により前記他の搬送容器内を撮像した結果に基づいて基板の高さ位置情報を取得する工程と、
前記他の搬送容器の前面を臨む位置から前記撮像部を退避させ、取得した基板の高さ位置情報に基づいて、基板搬送機構により当該他の搬送容器内から基板を受け取る工程と、
続いて、前記基板に対して処理を行う工程と、を含むことを特徴とする。
【0010】
前記撮像部により搬送容器内の全ての基板保持領域を撮像する時は、広角レンズにより撮像することが好ましい。
前記撮像部により前記基板保持領域を撮像する時において、前記搬送容器内の基板の前端と撮像部との間の距離は10cm以下であることが好ましい。
前記撮像部により搬送容器内の全ての基板保持領域を撮像する時は、前記搬送容器内に光を照射することが好ましい。
【0011】
本発明の記憶媒体は、
搬送容器から基板を取り出して処理を行う基板処理装置に用いられるコンピュータプログラムを格納した記憶媒体において、
前記コンピュータプログラムは、前記いずれか一つに記載の基板処理方法を実施するようにステップが組まれていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、基板搬送機構により搬送容器内の基板の取り出しを行う前に、搬送容器の並びに沿って水平に移動自在な撮像部を搬送容器の前面開口部に臨むように位置させ、前記搬送容器内の全ての基板保持領域を一括して撮像し、この撮像結果に基づいて基板の高さ位置情報を得ている。従って、搬送容器内における基板の高さ位置を正確に求めることができ、また例えば基板搬送機構に共通のセンサを設ける場合と比較してスループットを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の基板処理装置の一例を示す平面図である。
【図2】前記基板処理装置の一部を示す側面図である。
【図3】前記FOUPの内部領域を示す概略図である。
【図4】前記基板処理装置に接続される複数のFOUPを搬送アーム側から見た正面図である。
【図5】前記基板処理装置に設けられる撮像ユニットの一例を示す側面図である。
【図6】前記基板処理装置の制御部の一例を示す概略図である。
【図7】前記基板処理装置における作用の一例を示すフロー図である。
【図8】前記基板処理装置における作用の一例を示すフロー図である。
【図9】前記基板処理装置にFOUPが接続される様子を示す模式図である。
【図10】前記基板処理方法における作用の一例を示す平面図である。
【図11】前記基板処理方法においてマッピングが行われるFOUPの一例を示す模式図である。
【図12】本発明の他の実施の形態の基板処理装置を示す平面図である。
【図13】本発明の他の実施の形態の基板処理装置を示す平面図である。
【図14】本発明の他の実施の形態の基板処理装置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態の基板処理装置の一例について、図1〜図6を参照して説明する。この基板処理装置は、図1に示すように、複数枚例えば25枚の基板である半導体ウエハ(以下、「ウエハ」と言う)Wが収納される搬送容器であるFOUP1を載置するための載置部である載置台11と、この載置台11に載置されたFOUP1に対してウエハWの搬入出を行う基板搬送機構である第1の搬送アーム21が設けられた大気搬送室(ローダモジュール)22と、この第1の搬送アーム21によりFOUP1から取り出したウエハWに対して例えば熱処理やプラズマ処理などの真空処理を行うための処理部と、を備えている。
【0015】
大気搬送室22の側壁面この例では図1中奥側の側壁面には、大気雰囲気と真空雰囲気とを切り替えるためのロードロック室32が横並びに2箇所に接続されており、前記処理部である処理容器を含む処理モジュール34は、これらロードロック室32、32における大気搬送室22とは反対側の側壁に設けられた真空搬送室33に気密に接続されている。この例では、処理モジュール34は複数箇所例えば6箇所に設けられている。前記真空搬送室33内には、各々の処理モジュール34とロードロック室32との間でウエハWの受け渡しを行うために、第2の搬送アーム40が2基設けられている。前記ロードロック室32に隣接する大気搬送室22の側壁面には、ウエハWの搬送を行うための受け渡し口22aが形成されている。尚、図1中Gはゲートバルブである。
【0016】
大気搬送室22の側壁面における前記ロードロック室32が接続された面とは別の面この例では図1中手前側の側壁面には、前記載置台11が横並びに複数箇所例えば一列に3箇所設けられており、この載置台11に近接する大気搬送室22の側壁面の各々には、図2に示すように、FOUP1と大気搬送室22との間においてウエハWの搬送を行うための搬送口23が形成されている。尚、これら3台の載置台11が配置されている領域は、ロードポートを構成するものである。大気搬送室22内には、図1及び図2に示すように、搬送口23を塞ぐと共にFOUP1の正面に設けられたドア1aを取り外すためのオープナ24が設けられている。このオープナ24は、載置台11(詳しくは載置台11上に設けられたキャリアステージ11a)上に載置されたFOUP1が当該載置台11により大気搬送室22側(図1中奥側)に引き寄せられてFOUP1の開口部である搬入出口1bと搬送口23とが接触すると、ドア1aと共に大気搬送室22内を下降してFOUP1の内部領域と大気搬送室22内とが連通することになる。
【0017】
前記第1の搬送アーム21は、図1及び図2に示すように、既述の大気搬送室22の長さ方向(図1中左右方向)における概略中央において、床面から伸びる昇降支持軸25により昇降自在に支持されており、既述の載置台11上の各々のFOUP1及び2つのロードロック室32におけるウエハWの載置面に対して昇降することによって、ウエハWを受け渡しできるように構成されている。また、第1の搬送アーム21は、これらの載置台11上の各々のFOUP1及び2つのロードロック室32に対してウエハWを搬送できるように多関節アームとして構成されており、前記昇降支持軸25の上端側に接続された基体21aと、ウエハWを下面側から支持して搬送するための例えば2枚のアーム21b、21bと、これらの基体21aとアーム21bとの間に設けられ、各々の基端側同士が接続されるように積層された2本の腕部21cと、を備えている。図2中、25aは昇降支持軸25を昇降させるための昇降機である。
【0018】
また、図1に示すように、大気搬送室22の側方側には、ウエハWの向きを調整したり偏心を修正したりするためのアライメント装置12が設けられており、例えばFOUP1からウエハWを取り出した後、ロードロック室32に搬送する前に、このアライメント装置12にてウエハWの向きの調整や偏心の修正が行われる。尚、前記第1の搬送アーム21については模式的に描画している。
【0019】
次に、載置台11上に載置されたFOUP1の各々について、これらのFOUP1内におけるウエハWが収納されている高さ位置を検出するために、これらのFOUP1に共通に設けられた撮像ユニット41について説明する。先ず、FOUP1の内部構造について、図3を参照して簡単に説明する。FOUP1内には、ウエハWの周縁部を下方側から支持する爪部3が当該FOUP1の内面に沿って複数箇所に多段に設けられている。
【0020】
爪部3上におけるウエハWが載置される領域(基板保持領域)をスロット4と呼ぶと、FOUP1内には、このスロット4が上下方向に亘って複数例えば25箇所に積層されるように爪部3が設けられており、互いに隣接するウエハW間の離間距離(ピッチ)は、例えば10mm程度に設定されている。従って、FOUP1内においてウエハWが収納される収納領域2の高さ寸法Hは、例えば250mmとなっている。
【0021】
前記大気搬送室22の手前側の内壁面における搬送口23を臨む領域の上方側には、3つのFOUP1の並びに沿うように、水平方向に伸びるガイド部であるレール26が設けられている。このレール26には、図2に示すように、既述のドア1a及びオープナ24に干渉せずに当該レール26に嵌合して左右方向(搬送室22の長さ方向)に移動できるように、これらのドア1a及びオープナ24の移動領域分だけ大気搬送室22の内壁面から奥側(ロードロック室32側)に離間した位置において下方側に伸びる支持部27が設けられている。このレール26の側方位置には、当該レール26に平行に支持部27内を左右方向に貫通するボールネジ28が設けられており、このボールネジ28の外周面と支持部27の内周面とが螺合することにより、支持部27がレール26に沿って移動できるように構成されている。大気搬送室22の外方におけるボールネジ28の一端側には、当該ボールネジ28を軸回りに回転させるための移動機構であるモータ28aが接続されており、このモータ28aの回転量(エンコーダ値)に基づいて、支持部27の位置が求められる。尚、図4では、ボールネジ28及び第1の搬送アーム21の描画を省略している。
【0022】
前記支持部27には既述の撮像ユニット41が設けられており、この撮像ユニット41は、FOUP1内を撮像するための撮像部を備えている。この撮像部は、図5に示すように、CCDカメラ42と、CCDカメラ42の側面における搬送口23側に設けられた広角レンズ43と、を含み、更に撮像ユニット41は、CCDカメラ42による撮像領域(FOUP1内)に向かって光を照射するLEDなどの照明部44を備えている。また、撮像ユニット41は、図3に示すように、載置台11上に載置されたFOUP1内の各々の収納領域2の全体を一括して(一度に)撮像できるように、各々の収納領域2の高さ方向においてほぼ中央に位置した状態でレール26に沿って移動できるように当該撮像ユニット41の高さ寸法h(支持部27の長さ寸法)が設定されている。そして、この撮像ユニット41により撮像された撮像結果(画像データ)は、図示しないケーブルなどにより後述の制御部51に伝送される。尚、この例では、前記照明部44は広角レンズ43の上下両側に取り付けられている。
【0023】
前記広角レンズ43は、例えば日東光学株式会社により製造されている商品名が「Theia」のレンズ(米国特許US7009765B2)である。この広角レンズ43の移動路(既述のレール26)は、第1の搬送アーム21の回転中心よりもFOUP1側であって、撮像ユニット41が一のFOUP1内を撮像している時に、当該FOUP1に隣接するFOUP1に対する第1の搬送アーム21によるウエハWの受け渡しに干渉しない位置であることが好ましい。この例では、例えば420mm×297mmの範囲を撮像するために必要な設営距離(撮像対象物とレンズとの間の離間距離)が10cmの広角レンズ43を用いているので、レール26をFOUP1に近接して配置させている。
【0024】
また、この基板処理装置は、図6に示すように、装置全体の動作のコントロールを行うためのコンピュータからなる制御部51を備えており、この制御部51は、CPU52、カメラ移動プログラム53a、マッピングプログラム53b、搬送アームの動作プログラム53c及びメモリ54を備えている。尚、各プログラム53a、53b、53cは、実際にはプログラム記憶部に格納されるが、図8では「プログラム」に符号を付して簡略化している。
【0025】
カメラ移動プログラム53aは、FOUP1のドア1aのオープンを認識するステップと、CCDカメラ42の移動先を認識した後、その移動先に移動する時に第1の搬送アーム21がCCDカメラ42の移動路に干渉する搬送動作を行っているか否かを判断するステップと、第1の搬送アーム21がCCDカメラ42の移動に干渉する搬送動作を行っている時には干渉がなくなるまでCCDカメラ42の移動を禁止するステップと、を含んでいる。
【0026】
また、マッピングプログラム53bは、CCDカメラ42により取得した画像データに基づいて、各ウエハWの高さ位置の取得及びウエハWの保持状態の異常の有無を判定するマッピングステップを含んでいる。即ち、CCDカメラ42の高さ位置と載置台11の高さ位置との関係が一定なので、CCDカメラ42により取得した画像データ上の各部の高さ位置、この例では第1の搬送アーム21の位置を管理する座標系におけるZ座標位置が分かる。そこで、マッピングプログラム53bは、CCDカメラ42により取得した画像データに基づいて、各ウエハWの高さ位置を検出し、この検出結果を記憶するようにしている。尚、ウエハWの高さ位置を求めることにより、結果としてFOUP1内の各スロット4におけるウエハWの有無も分かることになる。また、FOUP1内にウエハWが正常に収納されていない場合、具体的には例えば一つのスロット4に複数のウエハWが収納されている場合あるいは例えば上下2つのスロット4に跨ってウエハWが斜めに収納されている場合には、前記画像データに基づいてウエハWの保持状態の異常が検出される。
【0027】
第1の搬送アーム21の動作プログラム53cは、CCDカメラ42が移動している時に、第1の搬送アーム21がCCDカメラ42の移動路と干渉する搬送動作を行おうとしている場合には、干渉がなくなるまで第1の搬送アーム21の搬送動作を禁止するステップを含んでいる。
【0028】
前記メモリ54は、各々のウエハWに対して行われる処理の種別に応じた処理条件(例えばプラズマ処理の場合には印加する高周波電力、処理ガスの流量、処理圧力、処理時間など)が記憶された処理レシピと、前記マッピングプログラム53bによりFOUP1毎に検出されたウエハWの高さ位置の情報(ウエハWの高さ位置情報)とを記憶するためのものである。
前記プログラム53は、ハードディスク、コンパクトディスク、光磁気ディスク、メモリカード、フレキシブルディスクなどの記憶媒体56から制御部51内にインストールされる。
【0029】
次に、前記基板処理装置を用いた基板処理方法の一例について、図7〜図11を参照して説明する。今、図10(a)に示すように、3つの載置台11のうち例えば中央の載置台11上のFOUP1に対してマッピングが終了し、第1の搬送アーム21によりウエハWが取り出されてロードロック室32に順次搬送されているものとする。この時、撮像ユニット41は、FOUP1の並びから外れた待機位置100にて、ステップS11の「NO」のループにより待機しているものとする。尚、この図10では処理部の記載を省略しており、また第1の搬送アーム21などについては模式的に示している。
【0030】
この状態にて例えば左側の載置台11上にFOUP1が載置され、図9に示すようにドア1aが開くと、ステップS11にて「YES」となり、待機位置100から移動先である当該FOUP1と対向する位置に向かう撮像ユニット41の移動路に対して、第1の搬送アーム21が干渉する搬送動作を行っているか否かの判定がなされる(ステップS12)。第1の搬送アーム21が撮像ユニット41の移動路と干渉する搬送動作を行っている場合としては、例えば図10(b)に示すように、例えば第1の搬送アーム21が3つの載置台2のうち中央のFOUP1からウエハWの取り出している時に、撮像ユニット41が当該中央のFOUP1に近接する領域を横切って例えば待機位置100から右側のFOUP1を撮像するために移動する場合などが挙げられる。このような場合には、干渉がなくなるまで、即ち第1の搬送アーム21の搬送動作が終わるまで、撮像ユニット41の移動が禁止されることになる。
【0031】
次いで、撮像ユニット41がドア1aの開かれたFOUP1の内部を臨む位置(FOUP1に対向する位置)に移動し(ステップS13)、CCDカメラ42によりFOUP1内を撮像する(ステップS14)。そして、CCDカメラ42により撮像した画像データに基づいて、既述のようにしてマッピング即ちFOUP1内の各ウエハWの高さ位置の認識(ステップS15)と、ウエハWが正常に収納されているかどうかの判定(ステップS16)とが行われる。ウエハWの収納状態の異常が検出された場合には、例えばアラーム57が作動し(ステップS17)、第1の搬送アーム21の搬送動作が停止することになる。この場合には、例えばオペレータが当該FOUP1を載置台11上から取り除いてFOUP1内を確認するなどの対応が行われる。
【0032】
続いて、撮像ユニット41が既述の待機位置100に退避する。図7に示すフローは簡略してあるため動作について補充記載すると、この時の撮像ユニット41の移動においても、ステップS12のように、その移動路と第1の搬送アーム21の搬送動作とが干渉する時には搬送動作が終了するまで撮像ユニット41の移動が禁止される。そして、前記マッピング結果に基づいて、ウエハWの収納状態に異常が検出されなければ、第1の搬送アーム21によりウエハWの搬出動作を行う(ステップS18)。この時、ウエハWの取り出しを行うFOUP1の位置を認識する(ステップS21)と共に、撮像ユニット41が移動中か否かを判定し(ステップS22)、撮像ユニット41の移動路と第1の搬送アーム21の搬送動作とが干渉するか否かを判断する(ステップS23)。そして、干渉する場合には、撮像ユニット41の移動が完了するまで第1の搬送アーム21が待機して、その後第1の搬送アーム21によりFOUP1からウエハWを取り出す。より詳しくは、第1の搬送アーム21は、FOUP1、アライメント装置12及びロードロック室32の間で決められたルールによってウエハWの搬送を行っており、メモリ54を参照し、新たなマッピングが行われたFOUP1に対して前記ルールに従ってFOUP1にアクセスし、メモリ54内のウエハWの高さ位置情報に基づいてウエハWの取り出しが行われる。ウエハWの取り出し動作については、ウエハWの高さ位置情報に基づいてアーム21bをFOUP1内に進入させてウエハWをすくい上げ、アーム21bを後退させることにより行われる(ステップS24)。
【0033】
次いで、既述のアライメント装置12、ロードロック室32及び真空搬送室33を介して処理モジュール34にウエハWを搬入する。こうしてFOUP1内のウエハWを順次処理モジュール34に搬入すると共に、処理が終了したウエハWについてはFOUP1内にその都度戻していく。
【0034】
上述の実施の形態によれば、第1の搬送アーム21によりFOUP1内のウエハWの取り出しを行う前に、FOUP1の並びに沿って水平に移動自在な撮像ユニット41をFOUP1の搬入出口1bを臨むように位置させ、FOUP1内の全てのスロット4を一括して撮像し、この撮像結果に基づいてウエハWの高さ位置情報を得ている。従って、FOUP1におけるウエハWの高さ位置を正確に求めることができ、例えば第1の搬送アーム21に共通のセンサを設ける場合と比較してスループットを向上させることができる。
【0035】
従って、例えば図11(a)、(b)に示したように、例えば作業者の取り扱いミスにより、1枚のウエハWが上下2つのスロット4に跨って斜めに収納されているいわゆるクロススロットとなっている場合あるいは一つのスロット4に複数枚例えば2枚のウエハWが収納されている場合であっても、更には例えば経時的に各スロット4の高さ位置が歪んでしまったFOUP1を用いた場合であっても、例えば赤外線の透過や遮断などに頼らずに、これらのウエハWが収納されている収納領域2を画像として直接撮像していることから、このような不具合を容易に判別することができる。従って、第1の搬送アーム21(アーム21b)がFOUP1からウエハWを搬出する時に、ウエハWの受け取りミスやウエハWとの衝突などのトラブルを避けることができる。
【0036】
更に、収納領域2を一度に撮像できる広角レンズ43を用いているので、例えば撮像領域の狭いカメラを上下方向に移動させたり揺動させたりするなどの機構が不要になる上、撮像時間が短くて済み、画像データの処理も容易になる。また、例えば魚眼レンズなどに比べて、画像の周縁部の歪みが小さいので、ウエハWの高さ位置を正確に求めることができる。
【0037】
更にまた、CCDカメラ42が撮像対象物(FOUP1内の収納領域2)に対して10cmもの近接した位置において撮像できることから、他のFOUP1に対する第1の搬送アーム21の搬送動作の邪魔にならずに、スループットの低下が抑えられる。
また、撮像ユニット41を複数のFOUP1に対して共通化しているので、FOUP1あるいは載置台11にマッピングセンサを設けた場合と比較して、コストを低減することができる。
【0038】
前記実施の形態では、第1の搬送アーム21を多関節アームにより構成し、この第1の搬送アーム21の回動及び伸縮動作により3つのFOUP1、アライメント装置12及び2つのロードロック室32にアクセスできるようにしたが、例えば図12に示すように、大気搬送室22の長さ方向(図1中左右方向)に移動可能な移動基体21a上に、回転自在及び伸縮自在なアーム21bを設けて、移動基体21aを各FOUP1の前に移動させて、FOUP1内にアクセスするものであっても良い。この場合において、図13に示すように、撮像ユニット41のガイド部であるレール26を第1の搬送アーム21の基体21aに設け、第1の搬送アーム21の移動ストロークを利用することでレール26の長さ寸法を短くするようにしても良い。尚、図12及び図13については処理部の記載を省略している。
【0039】
また、撮像ユニット41を3つの載置台11に共通化して用いたが、これらの載置台11のうち2つの載置台11に共通化するようにして、残りの載置台11については例えば個別に撮像ユニット41を設けても良い。また、3つ以上例えば5つの載置台11が大気搬送室22に接続されている場合には、これらの載置台11全てに共通の撮像ユニット41を設けても良いし、例えば図14に示すように、これらの載置台11のうち少なくとも2つ例えば3つの載置台11に共通の撮像ユニット41を設けると共に、残りの2つの載置台11に別途共通の撮像ユニット41を設けても良い。この場合において、2つの撮像ユニット41について、夫々の撮像ユニット41が撮像を受け持つ載置台11を固定しても良いし、あるいは2つの撮像ユニット41が互いに独立して全ての載置台11に対して収納領域2を撮像できるようにしても良い。即ち、大気搬送室22の手前側に一列に横並びに5つ並ぶ載置台11のうち右側の2つの載置台11に共通の撮像ユニット41を設けて、左側の3つの載置台11に共通の撮像ユニット41を設けても良いし、あるいは2つの撮像ユニット41の夫々のレール26を右端の載置台11から左端の載置台11に亘って各々設けて、夫々の撮像ユニット41が5つの載置台11上のFOUP1内を夫々撮像できるようにしても良い。
【0040】
前記基板処理装置としては、この装置の外側にFOUP1が接続される例について説明したが、例えば複数のFOUP1を装置の内部に順次搬入し、この装置内においてFOUP1からウエハWを順番に取り出してFOUP1の各々を装置内部に保管する縦型の熱処理装置であっても良い。また、本願明細書の基板処理とは、ウエハWに対して形成された回路や外観の検査を行う場合も含まれる。また、複数の処理モジュール34を備えたマルチチャンバーモジュールである基板処理装置について説明したが、例えば塗布、現像装置などに本発明を適用しても良い。更に、ウエハWを収納する収納容器としては、密閉型のFOUP1を例に挙げて説明したが、前面に蓋が付いているいわゆるオープン型のカセット(キャリア)からなる搬送容器であっても良い。
【符号の説明】
【0041】
W ウエハ
1 FOUP
2 収容領域
11 載置台
21 第1の搬送アーム
22 大気搬送室
22a 受け渡し口
23 搬送口
26 レール
34 処理モジュール
41 撮像ユニット
51 制御部
53 プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の基板が棚状に保持可能に構成され、前面が基板の取り出し口とされる搬送容器を載置するための載置部であって、前記搬送容器の複数個を同じ向きに横並びに配置するように夫々設けられた複数の載置部と、
これら載置部に載置された搬送容器から基板を取り出すための基板搬送機構と、
この基板搬送機構により取り出された基板に対して処理を行う処理部と、
前記搬送容器内の全ての基板保持領域を、前記基板搬送機構により当該搬送容器内の基板の取り出しを行う前に一括して撮像するための撮像部と、
この撮像部を、載置部上の搬送容器の前面に臨む位置を含む領域において搬送容器の並びに沿って水平に移動させる移動機構と、
前記撮像部により搬送容器内を撮像した結果に基づいて基板の高さ位置情報を取得する手段と、
取得した基板の高さ位置情報に基づいて前記基板搬送機構による搬送容器内の基板の受け取り動作を制御する手段と、を備え、
前記撮像部は、少なくとも2個の搬送容器に対して共用されていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記撮像部は広角レンズを備えていることを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記搬送容器内の基板の前端と撮像部との間の距離は10cm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記移動機構により撮像部と共に移動し、前記搬送容器内に光を照射する照明部を備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項5】
複数枚の基板が棚状に保持可能に構成され、前面が基板の取り出し口とされる搬送容器の複数個を同じ向きに横並びに複数の載置部に夫々載置する工程と、
撮像部を、載置部上の搬送容器の前面に臨む位置を含む領域において搬送容器の並びに沿って水平に移動させ、撮像対象となる一の搬送容器の前面を臨む位置に前記撮像部を停止させて、当該搬送容器内の全ての基板保持領域を撮像部により一括して撮像する工程と、
前記撮像部により前記一の搬送容器内を撮像した結果に基づいて基板の高さ位置情報を取得する工程と、
前記一の搬送容器の前面を臨む位置から前記撮像部を退避させ、取得した基板の高さ位置情報に基づいて、基板搬送機構により当該一の搬送容器内から基板を受け取る工程と、
撮像部を、載置部上の搬送容器の前面に臨む位置を含む領域において搬送容器の並びに沿って水平に移動させ、前記一の搬送容器とは別の他の搬送容器の前面を臨む位置に前記撮像部を停止させて、当該搬送容器内の全ての基板保持領域を撮像部により一括して撮像する工程と、
前記撮像部により前記他の搬送容器内を撮像した結果に基づいて基板の高さ位置情報を取得する工程と、
前記他の搬送容器の前面を臨む位置から前記撮像部を退避させ、取得した基板の高さ位置情報に基づいて、基板搬送機構により当該他の搬送容器内から基板を受け取る工程と、
続いて、前記基板に対して処理を行う工程と、を含むことを特徴とする基板処理方法。
【請求項6】
前記撮像部により搬送容器内の全ての基板保持領域を撮像する時は、広角レンズにより撮像することを特徴とする請求項5に記載の基板処理方法。
【請求項7】
前記撮像部により前記基板保持領域を撮像する時において、前記搬送容器内の基板の前端と撮像部との間の距離は10cm以下であることを特徴とする請求項5または6に記載の基板処理方法。
【請求項8】
前記撮像部により搬送容器内の全ての基板保持領域を撮像する時は、前記搬送容器内に光を照射することを特徴とする請求項5ないし7のいずれか一つに記載の基板処理方法。
【請求項9】
搬送容器から基板を取り出して処理を行う基板処理装置に用いられるコンピュータプログラムを格納した記憶媒体において、
前記コンピュータプログラムは、請求項5ないし8のいずれか一つに記載の基板処理方法を実施するようにステップが組まれていることを特徴とする記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−134898(P2011−134898A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−293112(P2009−293112)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】