説明

基板処理装置および基板処理方法

【課題】めっき液の安定化を実現できるようにした基板処理装置及び基板処理方法を提供する。
【解決手段】基板表面に無電解めっきを施すめっき処理槽10と、めっき処理槽10にめっき液を供給するめっき液供給槽12と、めっき液供給槽12内のめっき液を循環させるめっき液循環ライン22と、めっき液供給槽12内に配置されたpH検出器34の検出値を基にめっき液循環ライン22から選択的に分岐して該めっき液循環ラインに合流するめっき液分岐循環ライン30を有し、めっき液分岐循環ライン30には、基板表面と同様な無電解めっき反応が生じる補助反応物を内部に有する補助反応ユニット32が設置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置及び基板処理方法に関し、特に半導体ウェーハ等の基板の表面に設けた配線用の微細な凹部内に、銅、銀またはそれらと均等な導電体を埋込んで構成した埋込み配線の露出表面に、Co−W−P、Co−W−BまたはCo−W−P−B等のCo合金やNi合金等からなる配線保護層を、例えば無電解めっきによって選択的に形成するのに使用される基板処理装置及び基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板の配線形成プロセスとして、配線溝及びコンタクトホールに金属(導電体)を埋込むようにしたプロセス(いわゆる、ダマシンプロセス)が使用されつつある。これは、層間絶縁膜に予め形成した配線溝やコンタクトホールに、アルミニウム、近年では銅や銀等の金属をめっきによって埋込んだ後、余分な金属を化学機械的研磨(CMP)によって除去し平坦化するプロセス技術である。
【0003】
この種の配線、例えば配線材料として銅を使用した銅配線にあっては、平坦化後、銅からなる配線の表面が外部に露出しており、配線(銅)の熱拡散を防止したり、例えばその後の酸化性雰囲気の絶縁膜(酸化膜)を積層して多層配線構造の半導体装置を作る場合等に、配線(銅)の酸化を防止したりするため、Co合金やNi合金等からなる配線保護層(蓋材)で露出配線の表面を選択的に覆って、配線の熱拡散及び酸化を防止することが検討されている。このCo合金やNi合金等は、例えば無電解めっきによって得られる。
【0004】
例えば、図1に示すように、半導体ウェーハ等の基板Wの表面に堆積したSiOやlow−K材等からなる絶縁膜2の内部に、配線用の微細な凹部4を形成し、表面にTaN等からなるバリア層6を形成し、必要に応じてバリア層6の表面にシード層(図示せず)を形成した後、例えば、銅めっきを施して、基板Wの表面に銅膜を成膜して凹部4の内部に埋込む(ダマシンプロセス)。しかる後、基板Wの表面にCMP(化学機械的研磨)を施して平坦化することで絶縁膜2の内部に銅膜からなる配線8を形成し、この配線(銅膜)8の表面に、例えば無電解めっきによって得られる、例えばCo−W−P合金膜からなる配線保護層(蓋材)9を選択的に形成して配線8を保護する(蓋めっきプロセス)。
【0005】
一般的な無電解めっきでは、半導体ウェーハ等の基板を、例えば液温が30℃〜90℃のめっき液中に、例えば50秒〜500秒程度浸漬させて、配線の表面に選択的な無電解めっき(蓋めっき)を施すことで、Co−W−P、Co−W−BまたはCo−W−P−B等のCo合金膜、あるいはNi合金膜を選択的に成膜するようにしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
半導体ウェーハ等の基板(めっき対象物)表面に、例えばCo−W−P、Co−W−BまたはCo−W−P−B合金膜等のめっき膜を還元剤の還元反応により成膜する無電解めっきにあっては、基板処理時に、めっき液の液温を高温(例えば30℃〜90℃)且つ一定に保つため、めっき液を循環させて使用する、循環方式が一般に採用されている。
【0007】
しかしながら、めっき対象物としての基板が存在しない中、高温状態で、且つ酸素を取込む状態でめっき液を循環させると、めっき液のpHがアルカリ性側に変化していく。これは、めっき液中に含まれる錯化剤(例えばクエン酸)が分解し、めっき液のpHがアルカリ性側に変化していくためと考えられている。この状態が続くと、めっき液のpHが適正値からアルカリ性側に外れてしまい、その結果、めっきレートが大きく影響される。また、基板表面にめっきを施しながらめっき液を循環させる場合には、めっき反応により水素(H)が発生し、めっき液のpHが酸性側に変化する。そして、めっきするペースが一定の割合を越えれば、めっき液のpHが適正値から酸性側に外れてしまい、めっきレートに大きく影響する。
【0008】
例えば、半導体ウェーハ等の基板の処理を行う無電解めっき装置で基板を連続して処理(無電解めっき)している状態では、めっき液のpH上昇とめっき反応により水素が発生する状態がうまくバランスして、めっき液のpHが適正値に維持され、良好なめっき処理が継続される。しかしながら、前記のバランスが保持できない場合や、めっき対象物としての基板の存在が連続的でなく不十分であると、めっき液が酸素を取込みすぎてしまい、めっき液のpHは、適正値からアルカリ性側に変化してしまう。このような状態のめっき液を使用して無電解めっきを行うと、良好なめっき膜が得られなくなるばかりでなく、めっきレートの変動に繋がる。
【0009】
前述のように、無電解めっき処理において、めっき液のpHは、めっきレートに大きく影響する要素となる。このため、通常のめっき処理において、めっき液のpHを一定範囲内に管理しなければ、良好なめっき処理を連続的に行うことは非常に困難となる。
【0010】
一般的には、めっき液中にpH調整剤を添加することで、めっき液のpHを一定範囲内に管理するようにしている。しかしながら、pH調整剤をめっき液中に添加すると、pH調整剤に含有される塩類が不純物としてめっき液中に堆積してしまい、めっき処理を阻害してしまう等のデメリットが生じる。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みて為されたもので、めっき液の安定化を実現できるようにした基板処理装置及び基板処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の発明は、基板表面に無電解めっきを施す基板処理装置において、基板表面と同様な無電解めっき反応が生じる補助反応物をめっき液に接液させる接液部を有することを特徴とする基板処理装置である。
【0013】
基板処理装置において、めっき処理(例えば無電解めっき)を行う場合、めっき反応により水素(H)が発生し、めっき液のpHは酸性側に変化する。一方、めっき対象物としての基板が存在しない中、高温(例えば30℃〜90℃)状態でめっき液を循環させると、めっき液のpHがアルカリ性側に変化していく。これは、めっき液中に含まれる錯化剤(例えばクエン酸)が分解し、めっき液のpHがアルカリ性側に変化していくためと考えられている。基板を上記の二つの反応がバランスし合っている条件で処理する場合、めっき液のpHが一定に保たれる。そこで、めっき対象物としての基板が少なく、pHがアルカリ性側に変化してしまう場合には、基板表面と同様な無電解めっき反応が生じる補助反応物をめっき液に接液させて、装置内のめっき液にバランスよくめっき反応を起こさせることで、めっき液のpHを一定に保持することが可能となる。
【0014】
ここで、補助反応物とは、基板に無電解めっきを施すためのめっき液と接することで、水素イオンを発生しうる材質が表面に露出している物を意味する。
例えば、基板表面に形成した銅配線の露出表面に、無電解めっきによって、Co−W−P、Co−W−BまたはCo−W−P−B合金膜を選択的に形成する場合には、前記補助反応物として、例えば銅からなる基材の表面に、無電解めっきの還元反応によりHを発生するCo、W、P、Bのうち少なくとも1つから成る単体金属あるいは合金を成膜したものが使用される。あるいは、Ni−W−P、Ni−W−BまたはNi−W−P−B合金膜を選択的に形成する場合には、前記補助反応物として、例えば銅からなる基材の表面に、無電解めっきの還元反応によりHを発生するNi、W、P、Bのうち少なくとも1つから成る単体金属あるいは合金を成膜したものが使用される。
【0015】
更に、補助反応物は、基板に無電解めっきを施すために基板処理装置で使われるめっき液と同じめっき液で成膜されたものが望ましい。その場合、補助反応物は、基本的には基板に施されるめっき膜と同じ組成となる。例えば基板処理装置で使われるめっき液以外の組成のめっき液で成膜された、基板に施されるめっき膜と異なる組成の補助反応物を用いた場合は、めっき液の濃度比を変えたり、めっき液の汚染源になるなどの望ましくない影響を生じさせる恐れがある。
【0016】
発明者らは、補助反応物として、表面が銅で覆われた20mm×20mm、或いは48mm×100mmの板に無電解によるPdSO触媒処理を行ったものに、無電解Co−W−Pめっき処理を行ったCo合金片を用意し、同じめっき液が満たされためっき装置内に設置し、効果を確認した。
【0017】
基板に対する処理が一定ではなく、断続的に処理が実施される場合や、長時間処理が実施されずに高温(例えば30℃〜90℃)でめっき液を循環させておく場合等には、補助反応物をめっき液に浸漬させることで、めっき液のpHを一定に維持して、めっき液のpHの変動に伴うめっきレートの変動を防止することができる。本発明は、基板に対する処理を実施することなく、めっき液を循環させている状態の時に、非常に高い効果がある。
【0018】
請求項2に記載の発明は、前記補助反応物の反応量を制御するため、前記接液部近傍のめっき液の流速を制御することを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置である。
請求項3に記載の発明は、前記補助反応物の反応量を制御するため、前記接液部の面積を可変として、前記接液部の面積を制御することを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置である。
【0019】
請求項4に記載の発明は、めっき液のpHを検出器で測定し、前記検出器からの出力信号を基に、前記接液部近傍のめっき液の流速または前記接液部の面積を制御することを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置である。
【0020】
請求項5に記載の発明は、基板表面に無電解めっきを施すめっき処理槽と、前記めっき処理槽にめっき液供給ラインを通してめっき液を供給するめっき液供給槽と、前記めっき液供給槽内のめっき液を循環させるめっき液循環ラインと、前記めっき液循環ラインまたは前記めっき液供給ラインには、基板表面と同様な無電解めっき反応が生じる補助反応物を内部に有する補助反応ユニットが設置されていることを特徴とする基板処理装置である。
【0021】
請求項6に記載の発明は、基板表面に無電解めっきを施すめっき処理槽と、前記めっき処理槽にめっき液を供給するめっき液供給槽と、前記めっき液供給槽内のめっき液を循環させるめっき液循環ラインと、めっき液のpHを検出する検出器を設け、前記検出器からの出力信号を基に前記めっき液循環ラインから選択的に分岐して該めっき液循環ラインに合流するめっき液分岐循環ラインを有し、前記めっき液分岐循環ラインには、基板表面と同様な無電解めっき反応が生じる補助反応物を内部に有する補助反応ユニットが設置されていることを特徴とする基板処理装置である。
【0022】
めっき処理槽で基板表面に無電解めっきが施されていない場合、めっき液は酸素を取込み、この結果、めっき液のpHはアルカリ側に変化すると考えられている。このため、めっき液供給槽内に配置したpH検出器でめっき液供給槽内のめっき液のpHを監視し、このpH値が適正値(管理値)よりも大きくなった場合に、補助反応物を内部に有する補助反応ユニットが設置されためっき液分岐循環ラインを通してめっき液を循環させ、補助反応物表面でめっき反応を起こさせることで、めっき液のpHを適正値に維持することができる。また、めっき液循環ラインに分岐しためっき液分岐循環ラインに補助反応ユニットを設置することで、基板処理中であっても、めっき液のpHを監視し制御することが可能となる。
【0023】
請求項7に記載の発明は、基板表面に無電解めっきを施すめっき処理槽と、前記めっき処理槽にめっき液を供給するめっき液供給槽と、前記めっき液供給槽内のめっき液を循環させるめっき液循環ラインを有し、前記めっき液循環ラインには、基板表面と同様な無電解めっき反応が生じる補助反応物を内部に有する補助反応ユニットが設置され、めっき液のpHを検出する検出器を設け、前記検出器からの出力信号を基に前記めっき液循環ラインに沿って流れるめっき液の流量を制御することを特徴とする基板処理装置である。
【0024】
めっき液が補助反応ユニット内の補助反応物表面に接触してめっき反応を起こす際、めっき液の流速が遅いと、補助反応物へのめっき成分の供給が追いつかず、めっき反応が抑制される。逆に、めっき液の流速が速いと、補助反応物にめっき成分が過剰に供給されて、めっき反応が過剰となる。本発明によれば、pH検出器によりめっき液のpHを監視し、めっき液が補助反応ユニット内の補助反応物表面に接触してめっき反応を起こす時の流速を制御することで、めっき液のpHを最適に維持することができる。
【0025】
請求項8に記載の発明は、前記めっき液循環ラインには、該ラインに沿って流れるめっき液の流量を検出する流量センサが設置されていることを特徴とする請求項7に記載の基板処理装置である。
これによって、めっき液循環ラインに沿って流れるめっき液の流量を監視することができる。
【0026】
請求項9に記載の発明は、基板表面に無電解めっきを施すめっき処理槽と、前記めっき処理槽にめっき液供給ラインを通してめっき液を供給するめっき液供給槽と、前記めっき液供給ラインから分岐して該めっき液供給ラインに合流するめっき液分岐供給ラインを有し、前記めっき液分岐供給ラインには、基板表面と同様な無電解めっき反応が生じる補助反応物を内部に有する補助反応ユニットが設置され、めっき液のpHを検出する検出器を設け、前記検出器からの出力信号を基に前記めっき液分岐供給ラインに沿って流れるめっき液の流量を制御することを特徴とする基板処理装置である。
【0027】
これにより、めっき液をめっき処理槽に供給するめっき液供給ライン側でめっき液のpHを調整することができる。従って、例えばめっき液循環ライン側のみでめっき液のpHを適正に調整できない場合に、めっき液供給ライン側でめっき液のpH調整を補足できるばかりでなく、基板の非処理時において、めっき液のpH調整に要する時間を短縮することができる。
【0028】
請求項10に記載の発明は、前記めっき液分岐供給ラインには、該ラインに沿って流れるめっき液の流量を検出する流量センサが設置されていることを特徴とする請求項9に記載の基板処理装置である。
これによって、めっき液分岐供給ラインに沿って流れるめっき液の流量を監視することができる。
【0029】
請求項11に記載の発明は、前記補助反応ユニットの二次側のラインには、フィルタが設置されていることを特徴とする請求項5乃至10のいずれかに記載の基板処理装置である。
補助反応ユニット内の補助反応物表面におけるめっき反応の進行に伴って、補助反応物表面にめっき膜が蓄積してくると、めっき膜表面は毛羽立ってめっき膜が脱落する虞があるが、補助反応ユニットの二次側(下流)のラインにフィルタを設置することで、補助反応ユニット内を通過する時にめっき液中に混入したパーティクルを有効に除去することができる。
【0030】
請求項12に記載の発明は、前記補助反応ユニットの一次側のラインには冷却ユニットが、二次側のラインには加熱ユニットがそれぞれ設置されていることを特徴とする請求項5乃至11のいずれかに記載の基板処理装置である。
【0031】
めっき反応の進行に伴って、めっき膜が補助反応物表面に過剰に成膜されると、補助反応物の交換が必要となる。補助反応物表面に接触するめっき液の温度を、冷却ユニットで、例えば常温に冷却すると、補助反応物表面に成膜されためっき膜がエッチング除去されて、めっき反応機能が元に戻る。このように、補助反応物表面に成膜されためっき膜をエッチング除去することで、反応補助物を交換する必要がなくなる。エッチングされた成分は、めっき液と同成分のため、めっき液に対して何ら阻害するものとならない。めっき液は、補助反応ユニットの二次側(下流)に設置した加熱ユニットで必要な温度に維持される。
【0032】
請求項13に記載の発明は、基板表面に無電解めっきを施すめっき処理槽と、前記めっき処理槽にめっき液を供給するめっき液供給槽と、めっき液のpHを検出する検出器を有し、前記めっき処理槽及び前記めっき液供給槽の少なくとも一方には、基板表面と同様な無電解めっき反応が生じる補助反応物をめっき液に接液させる接液部を有し、前記検出器の出力信号を基に前記接液部の面積を制御することを特徴とする基板処理装置である。
【0033】
このように、めっき処理槽及びめっき液供給槽の少なくとも一方において、補助反応物のめっき液との接触面積を制御することで、めっき液のpHを最適値に維持することが可能となる。
【0034】
請求項14に記載の発明は、基板表面に無電解めっきを施す基板処理方法において、基板表面と同様な無電解めっき反応が生じる補助反応物をめっき液に接触させることを特徴とする基板処理方法である。
請求項15に記載の発明は、前記補助反応物の反応量を制御するため、前記補助反応物がめっき液に接触している近傍のめっき液の流速を制御することを特徴とする請求項14に記載の基板処理方法である。
【0035】
請求項16に記載の発明は、前記補助反応物の反応量を制御するため、前記めっき液が前記補助反応物に接触する面積を可変とし、該面積を制御することを特徴とする請求項14に記載の基板処理方法である。
請求項17に記載の発明は、めっき液のpHを検出し、その検出信号を基に前記補助反応物がめっき液に接触している近傍のめっき液の流速または前記めっき液が前記補助反応物に接触する面積を制御することを特徴とする請求項14に記載の基板処理方法である。
【0036】
請求項18に記載の発明は、基板表面に無電解めっきを施すめっき処理槽に供給されるめっき液のpHを検出し、前記pH検出信号に基づいて、前記めっき液供給槽のめっき液を、基板表面と同様な無電解めっき反応が生じる補助反応物に接触させながら循環させることを特徴とする基板処理方法である。
【0037】
請求項19に記載の発明は、基板表面に無電解めっきを施すめっき処理槽に供給されるめっき液のpHを検出し、前記pH検出信号に基づいて、基板表面と同様な無電解めっき反応が生じる補助反応物に接触させながら循環させるめっき液の流量を制御することを特徴とする基板処理方法である。
【0038】
請求項20に記載の発明は、基板表面に無電解めっきを施すめっき処理槽に供給されるめっき液のpHを検出し、前記pH検出信号に基づいて、基板表面と同様な無電解めっき反応が生じる補助反応物に接触させながらめっき処理槽に供給するめっき液の流量を制御することを特徴とする基板処理方法である。
【0039】
請求項21に記載の発明は、前記補助反応物に接触した後のめっき液を、フィルタを通して濾過することを特徴とする請求項14乃至20のいずれかに記載の基板処理方法である。
【0040】
請求項22に記載の発明は、めっき液を冷却して前記補助反応物に接触させ、該補助反応物に接触した後のめっき液を加熱することを特徴とする請求項14乃至21のいずれかに記載の基板処理方法である。
【0041】
請求項23に記載の発明は、基板表面に無電解めっきを施すめっき処理槽に供給されるめっき液のpHを検出し、前記pH検出信号に基づいて、基板表面と同様な無電解めっき反応が生じる補助反応物の前記めっき処理槽及びめっき液供給槽内の少なくとも一方のめっき液への接液面積を制御することを特徴とする基板処理方法である。
【0042】
請求項24に記載の発明は、基板表面に無電解めっきを施すめっき液を内部に流通させる補助反応ユニットであって、基板表面と同様な無電解めっき反応が生じる補助反応物を収納しめっき液と接液させることができることを特徴とする補助反応ユニットである。
【0043】
補助反応ユニットの一次側ラインには、内部の洗浄及び液抜きをするための洗浄液供給ラインが、更に補助反応ユニットの二次側ラインには、洗浄液を排出するための廃液ラインを有する。これにより、洗浄液供給口から補助反応ユニットの内部に洗浄液(例えば純水または不活性ガス)を供給し廃液口から廃液することで、補助反応ユニットの内部に供給される洗浄液で補助反応物を洗浄することができる。これにより、補助反応ユニットの交換も安全で且つ容易となる。
【0044】
請求項25に記載の発明は、前記補助反応物には、該補助反応物の交換時期を検知する電気抵抗計が設置されていることを特徴とする請求項24に記載の補助反応ユニットである。
【0045】
補助反応物は、使用し続けているとパーティクルの発生要因となり得る表面荒れが生じたり、めっき膜応力によりめっき膜に剥がれが生じたりする可能性があるため、補助反応物の交換時期を検知する必要がある。補助反応物の表面にめっき膜が蓄積するにしたがって、補助反応物の電気抵抗が徐々に低下するので、この電気抵抗を検知することによって、補助反応物の最適な交換時期を知ることが可能となる。
【0046】
請求項26に記載の発明は、めっき液に接液させ、基板表面と同様な無電解めっき反応を生じさせる補助反応物である。
請求項27に記載の発明は、銅の表面に触媒処理を施した後、めっき液に浸漬し無電解めっき反応によりCo合金膜またはNi合金膜を形成した補助反応物である。
【発明の効果】
【0047】
本発明によれば、めっき液のpHを一定範囲内に管理して、めっきレートを変動させることなく、良好なめっき処理を連続的に行うことができる。しかも、pH調整剤を使用してめっき液のpHを一定範囲内に管理することがないので、pH調整剤に含まれる塩類がめっき液中に堆積することを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、以下の例では、図1に示すように、配線8の表面に、無電解めっきによって、Co−W−P合金からなる配線保護層9を選択的に成膜する例について説明する。なお、以下の例において、同一または相当する部材には同一符号を付して重複した説明を省略する。
【0049】
図2乃至図6は、無電解めっき装置に適用した本発明の実施形態における基板処理装置を示す。この無電解めっき装置(基板処理装置)は、半導体ウェーハ等の基板表面に無電解めっきを施すめっき処理槽10と、内部に溜めためっき液をめっき処理槽10に供給するめっき液供給槽12を有している。めっき液供給槽12から延びてめっき処理槽10に達するめっき液供給ライン14には、送液ポンプ16とフィルタ18が設置され、めっき処理槽10から延びるめっき液戻りライン20は、めっき液供給槽12に達している。
【0050】
これによって、送液ポンプ16の駆動に伴って、めっき液供給槽12内のめっき液は、めっき液供給ライン14を通してめっき処理槽10に送られ、その際にフィルタ18を通過してパーティクル等が除去される。そして、めっき処理槽10でめっきに使用され、めっき処理槽10をオーバーフローしためっき液は、めっき液戻りライン20を通してめっき液供給槽12に戻るようになっている。
【0051】
めっき液供給槽12には、内部のめっき液の一部を引抜いて循環させるめっき液循環ライン22が付設されている。つまり、めっき液循環ライン22は、めっき液供給槽12の底部から延び、内部に送液ポンプ24とフィルタ26を設置して、めっき液供給槽12の上部に戻るようになっている。
【0052】
このめっき液循環ライン22には、送液ポンプ24とフィルタ26との間で、三方弁28aを介して、めっき液循環ライン22から分岐し、三方弁28bを介して、めっき液循環ライン22に合流するめっき液分岐循環ライン30が備えられている。このめっき液分岐循環ライン30に、補助反応物をめっき液に接液させる接液部としての補助反応ユニット32が設置されている。めっき液供給槽12には、この内部のめっき液のpHを検出するpH検出器34が配置され、このpH検出器34の検出信号は、アンプ36で増幅されて制御部38に入力され、この制御部38からの出力で三方弁28a,28bが制御されて、めっき液供給槽12内から引抜かれためっき液は、フィルタ26が設置されためっき液循環ライン22と補助反応ユニット32が設置されためっき液分岐循環ライン30の一方を選択的に通過して循環するようになっている。
【0053】
補助反応ユニット(接液部)32は、図4に示すように、めっき液流入口40aとめっき液流出口40bを有しており、補助反応ユニット本体48の収納部48aの内部に補助反応物54を収納することができる。
【0054】
前記補助反応ユニット32のめっき液流入側に配置される蓋50には、図5に示すように、複数の円形の流通孔50aが同心状に設けられ、補助反応ユニット32の収納部48aのめっき液流出側に配置される座板52には、図6に示すように、下記の補助反応物54が通り抜けない幅で平行に延びる複数のスリット状の流通孔52aが設けられている。
なお、蓋50は、図示しない嵌め込み構造もしくはねじ込み構造によって、補助反応ユニット本体48と着脱自在に取り付けられている。補助反応物54を交換する際は蓋50を開け、収納部48aに収納された補助反応物54を交換する。
【0055】
なお、蓋50及び座板52に設けられる流通孔50a,52aは、めっき液の流れを阻害しない形状であれば良く、その他の任意のスリット形状でもよい。
【0056】
これにより、図2及び図3に示すめっき液分岐循環ライン30に沿って流れるめっき液は、めっき液流入口40aから蓋50の流通孔50aを通過して補助反応ユニット32の内部に流入する。そして、補助反応ユニット32の内部を流れた後、座板52の流通孔52aを通過して、めっき液流出口40bから補助反応ユニット32の外部に流出する。
【0057】
補助反応ユニット32の収納部48aには、図4に示すように、この例では、多数の薄肉円柱状の補助反応片からなる補助反応物54が収納されている。この補助反応物54は、その表面において、基板表面と同様な無電解めっき反応が生じるようになっている。この補助反応物54は、具体的には、銅で覆われた表面にPdなどで触媒処理を施した後、めっき液に浸漬し無電解めっき反応によりCo合金膜またはNi合金膜を形成したものが用いられる。さらに具体的には、この例のように、基板表面に無電解めっきを施すことによって、銅からなる配線8の表面に、Co−W−P合金膜ならなる配線保護層9を選択的に成膜する時には、例えば、基材としての銅表面に、Co−W−P合金膜を無電解めっきで成膜したものが使用される。なお、基材としては、銅以外のものを使用してもよい。
【0058】
このように補助反応ユニット32の収納部48aに多数の補助反応片からなる補助反応物54を収納することにより、補助反応物(補助反応片)54として、任意の形状のもの(例えば切れ端等)を使用することができる大きなメリットがある。
【0059】
これにより、図2及び図3に示すめっき液分岐循環ライン30に沿って流れるめっき液は、補助反応ユニット32の内部に流入し該補助反応ユニット32内に収納した補助反応物54の表面に接触する。これによって、補助反応物54の表面で基板表面と同様な無電解めっき反応が生じて水素(H)が発生する。特に、めっき処理槽10内で基板のめっき処理を行っていない場合に、補助反応物54の表面で基板表面と同様な無電解めっき反応を生じさせることで、pHを低下させることができる。
【0060】
図7に、補助反応物54の効果を表す静置条件でのビーカーテストの結果を示す。図7において、横軸は時間当たりのめっき量の相対値、縦軸はpH変化の値を示す。図7に示すように、時間当たりのめっき量とpH変化の値の間には直線的な関係があり、めっき量が増加するほどpHが低下する。このことは補助反応物54の表面で基板表面と同様な無電解めっき反応を生じさせることで、pHを低下させることができることを示している。
【0061】
図2及び図3に示すように、補助反応ユニット32の上流側でめっき液分岐循環ライン30に連通する洗浄液供給ライン56が設けられ、この洗浄液供給ライン56には開閉弁58aが設けられている。また。補助反応ユニット32の下流側(補助反応ユニットのめっき液流出側)でめっき液循環ライン30に連通する廃液ライン60が設けられ、この廃液ライン60には開閉弁58bが設けられている。更に、めっき液分岐循環ライン30における補助反応ユニット32の洗浄液供給ライン56との合流点の上流側及び廃液ライン60の分岐点の下流側にも開閉弁58c,58dが設置されている。
【0062】
これにより、開閉弁58a,58bを開き、開閉弁58c,58dを閉じた状態で、洗浄液供給口44aから補助反応ユニット32の内部に洗浄液(例えば純水)を供給して廃液ライン60から廃液し、次に、洗浄液供給口44aから補助反応ユニット32の内部に気体(例えば不活性ガスまたはクレーンガス)を供給して、補助反応ユニット32の内部の残液を排除することで、補助反応ユニット32を安全で且つ容易に交換することができる。
【0063】
次に、この例における無電解めっき処理について説明する。
基板をめっき処理槽10の内部に搬入し、めっき液供給槽12から供給されためっき処理槽10内のめっき液に基板を浸漬させて、基板表面に対する無電解めっきを行うと、めっき反応により水素(H)が発生し、めっき液のpHは酸性側へと変化していく。一方、めっき液供給槽12に付設しためっき液循環ライン22を通して、めっき液供給槽12内のめっき液を循環させておくと、めっき液のpHは適正値からアルカリ性側に変化していく。
【0064】
そこで、めっき液供給槽12内に設置したpH検出器34でめっき液供給槽12内のめっき液のpHを検出し、このめっき液のpHが適正値(管理値)よりも酸性側に偏っている場合には、図2に示すように、三方弁28a,28bを制御して、めっき液がフィルタ26を設置しためっき液循環ライン22に沿って流れて循環するようにする。これによって、めっき液をアルカリ側に誘導する。
【0065】
一方、めっき液のpHが適正値(管理値)よりもアルカリ側に偏っている場合には、図3に示すように、三方弁28a,28bを切替えて、めっき液が補助反応ユニット32を設置しためっき液分岐循環ライン30に沿って流れて循環するようにする。これにより、補助反応ユニット32の内部でめっき液が補助反応物54の表面に接触してめっき反応が起こるようにして、めっき液を酸性側に誘導する。このように、この例によれば、三方弁28a,28bの切替えにより、めっき液のpHの酸性側、アルカリ側への偏りを制御することによって、めっきレートを一定に維持することができる。
【0066】
この例のように、めっき液循環ライン22に分岐しためっき液分岐循環ライン30に補助反応ユニット32を設置することで、基板処理中であっても、めっき液のpHを監視し制御することが可能となる。
【0067】
なお、この例では、めっき液のpHを測定し、その結果を基に、三方弁28a,28bを切替えて、めっき液のpHの酸性側、アルカリ側への偏りを制御しているが、例えば処理される基板の投入頻度からめっき液のpHがアルカリに偏る程度を予測し、それを基に三方弁28a,28bの切替えを行って、めっき液のpHを制御しても良い。
【0068】
図8は、本発明の他の実施形態の基板処理装置(無電解めっき装置)を示す。この例の図2乃至図6に示す例と異なる点は、以下の通りである。つまり、この例にあっては、めっき液分岐循環ラインを備えることなく、めっき液循環ライン22のフィルタ26の上流側に補助反応ユニット32を設置し、更に、めっき液循環ライン22の補助反応ユニット32の上流側に、めっき液循環ライン22に沿って流れるめっき液の流量を検出する流量計62を設置し、流量計62の検出信号をアンプ64で増幅して制御部38に入力するようにしている。そして、pH検出器34の検出信号はアンプ36で増幅されて制御部38に入力され、この制御部38からの出力で送液ポンプ24の回転速度を制御するようにしている。
【0069】
めっき液が補助反応ユニット32内の補助反応物54(図4参照)の表面に接触しつつ該表面に沿って流れる際、めっき液の流速が遅い場合は、補助反応物54へのめっき成分の供給が追いつかず、めっき反応が抑制されてしまう。逆に、めっき液の流速が速いと、めっき成分の補助反応物54への供給が過剰となり、めっき反応が過剰となってしまう。
【0070】
そこで、この例では、めっき液供給槽12内に設置したpH検出計34でめっき液供給槽12内のめっき液のpHを検出し、このめっき液のpHが酸性側に偏っている場合には、めっき液循環ライン22に沿って流れるめっき液の流量が少なく(低流速)なるように送液ポンプ24を制御して、めっき液のpHをアルカリ側へ誘導する。一方、めっき液のpHがアルカリ側に偏っている場合には、めっき液循環ライン22に沿って流れるめっき液の流量が多く(高流速)なるように送液ポンプ24を制御して、めっき液のpHを酸性側に誘導する。このように、めっき液循環ライン22に沿って流れるめっき液の流量を制御することで、めっき液のpHの酸性側、アルカリ側への偏りを制御して、めっきレートを一定に維持することができる。めっき液循環ライン22に沿って流れるめっき液の流量は、流量計62によって検出され、アンプ64で増幅されて制御部38に入力される。
【0071】
更に、補助反応ユニット32内の補助反応物54の表面におけるめっき反応の進行に伴って、補助反応物54の表面にめっき膜が蓄積してくると、めっき膜表面は毛羽立ってめっき膜の表面の一部が脱落する虞があるが、補助反応ユニット32の二次側(下流)にフィルタ26を設置することで、補助反応ユニット32内を通過する時にめっき液中に混入したパーティクルを有効に除去することができる。
【0072】
図9は、本発明の更に他の実施形態の基板処理装置(無電解めっき装置)を示す。この例は、図8に示す例に以下の構成を付加したものである。つまり、めっき液供給ライン14における送液ポンプ16の下流側でめっき液供給ライン14から分岐し、フィルタ18の上流側で、三方弁28cを介して、めっき液供給ライン14に合流するめっき液分岐供給ライン66を備えている。そして、このめっき液分岐供給ライン66のフィルタ18aの上流側に補助反応ユニット32を設置し、めっき液供給分岐ライン66の補助反応ユニット32の上流側に、めっき液供給分岐ライン66に沿って流れるめっき液の流量を検出する流量計62aを設置して、流量計62aの検出信号をアンプ64aで増幅して制御部38に入力するようにしている。そして、pH検出器34の検出信号はアンプ36で増幅されて制御部38に入力され、この制御部38からの出力で送液ポンプ24の他に送液ポンプ16の回転速度を制御するようにしている。
【0073】
なお、前述とほぼ同様に、補助反応ユニット32が設置されるめっき液分岐供給ライン66には、開閉弁58aを有する洗浄液供給ライン56と、開閉弁58bを有する廃液ライン60が接続され、更に、めっき液分岐供給ライン66における補助反応ユニット32の洗浄液供給ライン56との合流点の上流側及び廃液ライン60の分岐点の下流側にも開閉弁58c,58dが設置されている。
【0074】
この例によれば、めっき液をめっき処理槽10に供給するめっき液供給ライン14側でもめっき液のpHを調整することができる。従って、例えばめっき液循環ライン22側のみでめっき液のpHを適正に調整できない場合に、めっき液供給ライン14側でめっき液のpH調整を補足できるばかりでなく、めっき処理槽10内のめっき液のpHが変動してもよい基板の非処理時において、複数の補助反応ユニットを設けることにより、めっき液のpH調整に要する時間を短縮することができる。
【0075】
図10は、本発明の更に他の実施形態の基板処理装置(無電解めっき装置)を示す。この例の図8に示す例と異なる点は、図8における、補助反応物をめっき液に接液させる接液部としての補助反応ユニット32の代わりに、めっき処理槽10及びめっき液供給槽12に、板状の補助反応物70と該補助反応物70を上下動させる駆動機構72を有し、制御部38から出力信号で駆動装置72を制御して、補助反応物70のめっき液との接触面積を制御する接液部74を設けた点にある。
【0076】
補助反応物70をめっき液に接液させてめっき反応を起こす場合、その反応量、及び反応速度は、補助反応物70のめっき液に接触している面積に大きく影響される。また、補助反応物70のめっき液との接触面積を制御することにより、めっき反応量を制御することも可能である。この場合、めっき液との接触面積を0、すなわち補助反応物のめっき反応を生じさせないことも含む。この例によれば、めっき処理槽10及びめっき液供給槽12において、補助反応物70のめっき液との接触面積を接液部74で制御することで、めっき液のpHを最適値に維持することが可能となる。
【0077】
この例では、めっき処理槽10及びめっき液供給槽12の双方に接液部74を設けているが、めっき処理槽10及びめっき液供給槽12の一方のみに接液部74を設けるようにしてもよい。
【0078】
図11は、本発明の更に他の実施形態の基板処理装置(無電解めっき装置)を示す。この例の図8に示す例と異なる点は、めっき液循環ライン22に設置した補助反応ユニット32の一次側(上流)に冷却ユニット76を、二次側(下流)に加熱ユニット78をそれぞれ設置し、この冷却ユニット76及び加熱ユニット78を制御部38からの出力信号で制御するようにした点にある。
【0079】
めっき反応の進行に伴って、めっき膜が補助反応物54(図4参照)の表面に過剰に成膜されると、補助反応物54の交換が必要となる。補助反応物34の表面に接触するめっき液の温度を、冷却ユニット76で、例えば常温に冷却すると、補助反応物54の表面に成膜されためっき膜がエッチング除去されて、めっき反応機能が元に戻る。このように、補助反応物54の表面に成膜されためっき膜をエッチング除去することで、反応補助物54を交換する必要がなくなる。エッチングされた成分は、めっき液と同成分のため、めっき液に対して何ら阻害するものとならない。めっき液は、補助反応ユニット32の二次側(下流)に設置した加熱ユニット78で必要な温度に維持される。
【0080】
図12及び図13は、他の補助反応ユニット32aを示す。この例の補助反応ユニット32aは、補助反応ユニット本体48の内径と同一の外径を有し、内部に多数の円形の貫通孔80aを同心状に設けた円板状の補助反応物80を、補助反応ユニット本体48の内部に、水平方向に等間隔に配置している。これにより、補助反応ユニット本体48内をめっき液がめっき液流出口40bに向けて流れる時に、めっき液が補助反応物80と接触する面積を大きくして、補助反応物80の表面におけるめっき反応を良くすることができる。なお、図14に示すように、円板状の補助反応物80に長尺スリット状の貫通孔80bを平行に設けるようにしてもよい。
【0081】
図15及び図16は、更に他の補助反応ユニット32bを示す。この例の補助反応ユニット32bは、板状の複数の補助反応物82を、補助反応ユニット本体48の内部に、補助反応ユニット本体48内を流れるめっき液と平行となるように、蓋50と座板52との間に跨って、等間隔に配置している。これにより、補助反応ユニット本体48内をめっき液がめっき液流出口40bに向けて流れる時に、めっき液の流れを均一にすることができ、しかも、めっき液が補助反応物82と接触する面積も多く取れることから、補助反応物82の表面におけるめっき反応もよく、理想的な形状である。なお、図17に示すように、丸棒状の補助反応物84を、蓋50と座板52との間に跨って、同心状に配置するようにしてもよい。
【0082】
図18は、更に他の補助反応ユニット32cを示す。この例の補助反応ユニット32cは、補助反応材製、例えばCo−W―Pを使用して、補助反応ユニット本体86自体を補助反応物とすることで、補助反応ユニット本体86の内部に補助反応物を別途収納する必要をなくしている。これにより、補助反応ユニット本体86内をめっき液がめっき液流出口40bに向けて流れる時に、めっき液が補助反応ユニット本体(補助反応物)86と接触する面積を大きくし、しかもめっき液の流れを安定させることができる。なお、補助反応ユニット本体86全体が補助反応材でなく、補助反応ユニット本体86の内周面のみを補助反応材で構成するようにしてもよい。
【0083】
図19は、図18に示す補助反応ユニット36cの補助反応物としての補助反応ユニット本体86に、導線88を介して、この交換時期を検知する電気抵抗計90を設置し、この電気抵抗計90を制御部92に接続したものである。補助反応物としての補助反応ユニット本体86は使用し続けているとパーティクルの発生要因となり得る表面荒れが生じたり、めっきによって厚さが増加しその応力によりめっき膜の剥がれが生じたりする可能性があるため、一定期間使用すると、交換する必要がある。ここで、補助反応物としての補助反応ユニット本体86にめっきの進行に伴ってめっき膜が蓄積していくと、補助反応ユニット本体86の電気抵抗が徐々に低下する。そこで、補助反応ユニット本体86の電気抵抗値を電気抵抗計90で検出することで、補助反応ユニット本体86の最適な交換時期を知ることが可能となる。
【0084】
なお、この例では、補助反応物としての補助反応ユニット本体86の電気抵抗値を検知するようにしているが、例えば図2乃至図6に示す例にあっては、補助反応ユニット32内に収納した補助反応物54の電気抵抗値を検出したり、図10に示す例にあっては、板状の補助反応物70の電気抵抗値を検出したりするようにしてもよい。このことは、図12乃至図14に示す補助反応物80、図15及び図16に示す補助反応物82、及び図17に示す補助反応物84においても同様である。
【0085】
次に、図2乃至図6に示す無電解めっき装置を使用し、補助反応ユニット32内に補助反応物を収納しない場合(補助反応片不使用)、補助反応ユニット32内に補助反応物46として薄肉円板状の補助反応片を1枚収納した場合(補助反応片1枚使用)、及び補助反応ユニット32内に補助反応物46として薄肉円板状の補助反応片を4枚収納した場合(補助反応片4内使用)におけるめっきレートの変化を求めたグラフを図20に示す。この図20において、補助反応片不使用時におけるめっきレートの低下率を100としている。図20により、めっきレートの低下率では、補助反応片不使用時に比べて、補助反応片1枚使用時では50%、4枚使用時では10%までめっきレートの低下が改善できることが判る。なお、補助反応片(補助反応物)を増やしすぎると、過剰なめっき反応となってしまい、めっき液成分の消耗を促進させてしまうことになる。従って、最適な補助反応量が必要となってくる。
【0086】
本発明においては、基板表面と同様な無電解めっき反応が生じる補助反応物がめっき液に接し、補助反応物表面で生じる無電解めっき反応の量が制御できるようになっていればよく、実施形態は上に挙げた実施形態にとどまらず、さまざまな変形応用が可能である。
例えばめっき処理槽やめっき液供給槽の内壁などの構造部材が補助反応物でできていても良い。また、補助反応物に向けてめっき液を噴出するノズルを設けて噴出する流量を可変とし、補助反応物表面で生じる無電解めっき反応の量を制御しても良い。
【0087】
このように、本発明によれば、めっき液のpHを監視しつつ、補助反応物をめっき液に接液させることで、めっき液のpHを一定に維持して、めっき液のpHの変動に伴うめっきレートの低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】半導体装置における銅配線形成例を示す断面図である。
【図2】発明の実施形態における無電解めっき装置に適用した基板処理装置のめっき液が管理値よりも酸性側に偏った場合の系統図である。
【図3】発明の実施形態における無電解めっき装置に適用した基板処理装置のめっき液が管理値よりもアルカリ側に偏った場合の系統図である。
【図4】補助反応ユニットを示す縦断面図である。
【図5】補助反応ユニットの蓋を示す平面図である。
【図6】補助反応ユニットの座板を示す平面図である。
【図7】補助反応物の効果を表す静置条件でのビーカーテストの結果における、時間当たりのめっき量(相対値)とめっき液のpH変化の関係を示すグラフである。
【図8】発明の他の実施形態における無電解めっき装置に適用した基板処理装置の系統図である。
【図9】発明の更に他の実施形態における無電解めっき装置に適用した基板処理装置の系統図である。
【図10】発明の更に他の実施形態における無電解めっき装置に適用した基板処理装置の系統図である。
【図11】発明の更に他の実施形態における無電解めっき装置に適用した基板処理装置の系統図である。
【図12】補助反応ユニットの他の例を示す縦断面図である。
【図13】図12のA−A線断面図である。
【図14】補助反応ユニットの変形例を示す図13相当図である。
【図15】補助反応ユニットの更に他の例を示す縦断面図である。
【図16】図15のA−A線断面図である。
【図17】補助反応ユニットの変形例を示す図16相当図である。
【図18】補助反応ユニットの更に他の例を示す縦断面図である。
【図19】補助反応ユニットの更に他の例を示す縦断面図である。
【図20】補助反応物(補助反応片)の有無によるめっきレートの変化の違いを示すグラフである。
【符号の説明】
【0089】
8 配線(銅膜)
9 配線保護層(蓋材)
10 めっき処理槽
12 めっき液供給槽
14 めっき液供給ライン
16,24 送液ポンプ
18,26 フィルタ
20 めっき液戻りライン
22 めっき液循環ライン
28a,28b,28c 三方弁
30 めっき液分岐循環ライン
32,32a,32b,32c 補助反応ユニット
34 pH検出器
38,92 制御部
40a めっき液流入口
40b めっき液流出口
48 補助反応ユニット本体
50 蓋
52 座板
54,70,80,82,84 補助反応物
56 洗浄液供給ライン
60 廃液ライン
62,62a 流量計
66 めっき液分岐供給ライン
72 駆動機構
74 接液部
76 冷却ユニット
78 加熱ユニット
86 補助反応ユニット本体(補助反応物)
90 電気抵抗計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板表面に無電解めっきを施す基板処理装置において、
基板表面と同様な無電解めっき反応が生じる補助反応物をめっき液に接液させる接液部を有することを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記補助反応物の反応量を制御するため、前記接液部近傍のめっき液の流速を制御することを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記補助反応物の反応量を制御するため、前記接液部の面積を可変として、前記接液部の面積を制御することを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項4】
めっき液のpHを検出器で測定し、前記検出器からの出力信号を基に、前記接液部近傍のめっき液の流速または前記接液部の面積を制御することを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項5】
基板表面に無電解めっきを施すめっき処理槽と、
前記めっき処理槽にめっき液供給ラインを通してめっき液を供給するめっき液供給槽と、
前記めっき液供給槽内のめっき液を循環させるめっき液循環ラインと、
前記めっき液循環ラインまたは前記めっき液供給ラインには、基板表面と同様な無電解めっき反応が生じる補助反応物を内部に有する補助反応ユニットが設置されていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項6】
基板表面に無電解めっきを施すめっき処理槽と、
前記めっき処理槽にめっき液を供給するめっき液供給槽と、
前記めっき液供給槽内のめっき液を循環させるめっき液循環ラインと、
めっき液のpHを検出する検出器を設け、前記検出器からの出力信号を基に前記めっき液循環ラインから選択的に分岐して該めっき液循環ラインに合流するめっき液分岐循環ラインを有し、
前記めっき液分岐循環ラインには、基板表面と同様な無電解めっき反応が生じる補助反応物を内部に有する補助反応ユニットが設置されていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項7】
基板表面に無電解めっきを施すめっき処理槽と、
前記めっき処理槽にめっき液を供給するめっき液供給槽と、
前記めっき液供給槽内のめっき液を循環させるめっき液循環ラインを有し、
前記めっき液循環ラインには、基板表面と同様な無電解めっき反応が生じる補助反応物を内部に有する補助反応ユニットが設置され、
めっき液のpHを検出する検出器を設け、前記検出器からの出力信号を基に前記めっき液循環ラインに沿って流れるめっき液の流量を制御することを特徴とする基板処理装置。
【請求項8】
前記めっき液循環ラインには、該ラインに沿って流れるめっき液の流量を検出する流量センサが設置されていることを特徴とする請求項7に記載の基板処理装置。
【請求項9】
基板表面に無電解めっきを施すめっき処理槽と、
前記めっき処理槽にめっき液供給ラインを通してめっき液を供給するめっき液供給槽と、
前記めっき液供給ラインから分岐して該めっき液供給ラインに合流するめっき液分岐供給ラインを有し、
前記めっき液分岐供給ラインには、基板表面と同様な無電解めっき反応が生じる補助反応物を内部に有する補助反応ユニットが設置され、
めっき液のpHを検出する検出器を設け、前記検出器からの出力信号を基に前記めっき液分岐供給ラインに沿って流れるめっき液の流量を制御することを特徴とする基板処理装置。
【請求項10】
前記めっき液分岐供給ラインには、該ラインに沿って流れるめっき液の流量を検出する流量センサが設置されていることを特徴とする請求項9に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記補助反応ユニットの二次側のラインには、フィルタが設置されていることを特徴とする請求項5乃至10のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記補助反応ユニットの一次側のラインには冷却ユニットが、二次側のラインには加熱ユニットがそれぞれ設置されていることを特徴とする請求項5乃至11のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項13】
基板表面に無電解めっきを施すめっき処理槽と、
前記めっき処理槽にめっき液を供給するめっき液供給槽と、
めっき液のpHを検出する検出器を有し、
前記めっき処理槽及び前記めっき液供給槽の少なくとも一方には、基板表面と同様な無電解めっき反応が生じる補助反応物をめっき液に接液させる接液部を有し、前記検出器の出力信号を基に前記接液部の面積を制御することを特徴とする基板処理装置。
【請求項14】
基板表面に無電解めっきを施す基板処理方法において、
基板表面と同様な無電解めっき反応が生じる補助反応物をめっき液に接触させることを特徴とする基板処理方法。
【請求項15】
前記補助反応物の反応量を制御するため、前記補助反応物がめっき液に接触している近傍のめっき液の流速を制御することを特徴とする請求項14に記載の基板処理方法。
【請求項16】
前記補助反応物の反応量を制御するため、前記めっき液が前記補助反応物に接触する面積を可変とし、該面積を制御することを特徴とする請求項14に記載の基板処理方法。
【請求項17】
めっき液のpHを検出し、その検出信号を基に前記補助反応物がめっき液に接触している近傍のめっき液の流速または前記めっき液が前記補助反応物に接触する面積を制御することを特徴とする請求項14に記載の基板処理方法。
【請求項18】
基板表面に無電解めっきを施すめっき処理槽に供給されるめっき液のpHを検出し、
前記pH検出信号に基づいて、前記めっき液供給槽のめっき液を、基板表面と同様な無電解めっき反応が生じる補助反応物に接触させながら循環させることを特徴とする基板処理方法。
【請求項19】
基板表面に無電解めっきを施すめっき処理槽に供給されるめっき液のpHを検出し、
前記pH検出信号に基づいて、基板表面と同様な無電解めっき反応が生じる補助反応物に接触させながら循環させるめっき液の流量を制御することを特徴とする基板処理方法。
【請求項20】
基板表面に無電解めっきを施すめっき処理槽に供給されるめっき液のpHを検出し、
前記pH検出信号に基づいて、基板表面と同様な無電解めっき反応が生じる補助反応物に接触させながらめっき処理槽に供給するめっき液の流量を制御することを特徴とする基板処理方法。
【請求項21】
前記補助反応物に接触した後のめっき液を、フィルタを通して濾過することを特徴とする請求項14乃至20のいずれかに記載の基板処理方法。
【請求項22】
めっき液を冷却して前記補助反応物に接触させ、該補助反応物に接触した後のめっき液を加熱することを特徴とする請求項14乃至21のいずれかに記載の基板処理方法。
【請求項23】
基板表面に無電解めっきを施すめっき処理槽に供給されるめっき液のpHを検出し、
前記pH検出信号に基づいて、基板表面と同様な無電解めっき反応が生じる補助反応物の前記めっき処理槽及びめっき液供給槽内の少なくとも一方のめっき液への接液面積を制御することを特徴とする基板処理方法。
【請求項24】
基板表面に無電解めっきを施すめっき液を内部に流通させる補助反応ユニットであって、
基板表面と同様な無電解めっき反応が生じる補助反応物を収納しめっき液と接液させることができることを特徴とする補助反応ユニット。
【請求項25】
前記補助反応物には、該補助反応物の交換時期を検知する電気抵抗計が設置されていることを特徴とする請求項24に記載の補助反応ユニット。
【請求項26】
めっき液に接液させ、基板表面と同様な無電解めっき反応を生じさせる補助反応物。
【請求項27】
銅の表面に触媒処理を施した後、めっき液に浸漬し無電解めっき反応によりCo合金膜またはNi合金膜を形成した補助反応物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2009−57601(P2009−57601A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−225991(P2007−225991)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】