説明

基板処理装置及び基板処理方法

【課題】基板保持具(ボート)の形状にかかわらず、ウエハを検知できる基板処理装置及び基板処理方法を提供する。
【解決手段】基板12を保持可能に構成される基板支持部と、前記基板支持部に保持された基板12の周縁の少なくとも一部に設けられるリングプレート70を有し、前記基板支持部に保持された基板12と前記リングプレート70との間に所定の間隔が設けられるように形成される基板保持具26の前記基板支持部に基板12を搬送する基板移載装置と、基板12の位置及び前記リングプレート70の位置を検出可能に構成される検出装置と、前記基板移載装置を制御する制御装置とを有し、基板12の位置及びリングプレート70の位置の少なくとも一方が、正常位置範囲データ外にあると判断した場合には異常と判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイス等の基板を処理するための基板処理装置及び基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の基板処理装置として、基板(ウエハ)を多段に保持する基板保持具(ボート)と、この基板保持具に基板を移載する移載機とを有し、基板保持具に多数の基板を保持した状態で処理炉にて基板を処理するものは公知である。
【0003】
処理炉内にて昇温された時、又は処理炉から取り出され冷却された時、熱応力により、基板は割れ、反り等の異常を生じる場合がある。この割れや反りが基板自動搬送機構により自動搬送できないレベルにある場合、基板を出し入れするツイーザが基板と衝突して基板保持具を倒し、例えば石英製の部品を破損する等の重大事故につながる。
【0004】
これを解決するために基板の状態を検知する機構を設けることが考えられる。検知機構は、例えば移載機にフォトセンサを設け、移載機の上下軸を用いてフォトセンサを移動し、基板保持具の基板を検知する。
特許文献1は、フォトセンサから検知された検知波形が正常波形と比較され、少なくとも異常と判断された基板以外の基板を基板移載機にて移載する技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2005/031851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来では、通常のボートでは可能であったウエハ検知がリングボードである為に各段のリングも一緒に検知してしまうため、取得されたデータのリングとウエハとの判別が出来ずに正確な判定が出来ないといった問題があった。そのため、ウエハ検知機構を有している装置であってもリングボートを使用する場合にはその機能を活用することは出来なかった。
また、判定の際に単純に基本データとの一致・不一致という処理の場合に不一致と判定されてもリングなのかウエハなのか又はどの箇所でどのような状態で不一致となっているのかが解らなかった。
【0007】
本発明の目的は、ボートの形状にかかわらず、ウエハを検知できる基板処理装置及び基板処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の第1の特徴とするところは、基板を保持する基板支持部と、前記基板支持部に保持された基板の周縁の少なくとも一部に設けられるプレートを有し、前記基板支持部に保持された基板と前記プレートとの間に所定の間隔が設けられるように形成される基板保持具の前記基板支持部に基板を搬送する基板移載装置と、前記基板支持部に保持された基板の位置及び前記プレートの位置を検出可能な検出装置と、前記基板移載装置を制御する制御装置と、を有し、前記制御装置は、前記基板支持部に保持された基板の第一正常位置範囲データ及び前記プレートの第二正常位置範囲データを記憶する記憶装置と、前記検出装置が検出した前記基板支持部に保持された基板の位置及び前記プレートの位置と前記記憶装置に記憶された前記第一正常位置範囲データ及び前記第二正常位置範囲データとを比較し、前記基板の位置及び前記プレートの位置の少なくとも一方が前記第一正常位置範囲データ外若しくは及び前記第二正常位置範囲データ外にあると判断した場合に異常と判断する判断装置と、を有する基板処理装置にある。
【0009】
本発明の第2の特徴とするところは、上記基板処理装置であって、前記基板移載装置は、さらに前記基板保持具と異なり、前記基板支持部を有し、前記プレートを有さない他の基板保持具における前記基板支持部に基板を搬送可能に構成されており、前記基板移載装置が、前記他の基板保持具における前記基板支持部に基板を搬送する場合には、前記判断装置は、前記異常判断に代えて、前記検出装置が検出した前記基板保持具に保持された基板の位置と前記記憶装置に記憶された前記第一正常位置範囲データとを比較し、前記基板の位置が前記第一正常位置範囲データ外にあると判断した場合に異常と判断する基板処理装置にある。
【0010】
本発明の第3の特徴とするところは、基板を保持する基板支持部と、前記基板支持部に保持された基板の周縁の少なくとも一部に設けられるプレートを有し、前記基板支持部に保持された基板と前記プレートとの間に所定の間隔が設けられるように形成される基板保持具を処理室内に搬送する工程と、前記処理室で前記基板を熱処理する工程と、検出装置により、前記基板支持部に保持された基板の位置及び前記プレートの位置を検出する工程と、前記検出装置が検出した前記基板支持部に保持された基板の位置及び前記プレートの位置と、記憶装置に記憶された前記基板支持部に保持された基板の第一正常位置範囲データ及び前記プレートの第二正常位置範囲データとを比較し、前記基板の位置及び前記プレートの位置の少なくとも一方が前記第一正常位置範囲データ外若しくは及び前記第二正常位置範囲データ外であれば異常と判断する工程と、を有する基板処理方法にある。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ボートの形状にかかわらず、ウエハを検知できる基板処理装置及び基板処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る基板処理装置全体を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る基板処理装置全体を示す断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る基板処理装置に用いた基板保持具を示す図で、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る基板処理装置に用いた基板保持具の一部を示す図で、(c)は図3(a)の支柱とリング状プレートとの係合部の拡大図、(d)は図3(b)の支柱とリング状プレートとの係合部の拡大図である。
【図5】本発明の実施形態に係る基板処理装置に用いた処理炉及びその周辺を示す断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る基板処理装置に用いた基板移載機の側面図である。
【図7】本発明の実施形態に係る基板処理装置に用いたウエハ検知を説明するための図である。
【図8】本発明の実施形態に係る検知機構の電気機構を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係る基板処理装置の検知機構における検知結果を説明するための図であり、(a)は検知結果をアナログデータとして示した図であり、(b)は(a)のアナログデータをデジタルデータとして示した図である。
【図10】本発明の実施形態に係る基板処理装置の検知機構により得られる検知波形の一例であり、(a)はリングボートのみを下方から順に検知したデータであり、(b)はリングボートにウエハを載置した状態で下方から順に検知したデータであり、(c)は(b)のリングボートにウエハを載せたデータに(a)のリングボートのみのデータを重ねたものであり、(d)は(b)のリングボートにウエハを載せたデータと(a)のリングボートのみのデータのデータ差分を示す。
【図11】本発明の実施形態に係る基板処理装置に用いたウエハ位置基準設定の動作を示す。
【図12】本発明の実施形態に係る基板処理装置に用いたリング位置基準設定の動作を示す。
【図13】本発明の実施形態に係る(a)は、ウエハを載置した状態のリングボートの側面図を示し、(b)はウエハ及びリング状プレートの位置基準の範囲の設定例を示す。
【図14】(a)は、ウエハが載置された状態のリングボートの側面図を示し、(b)は、検知機構により得られたデータ(検知波形)を示し、(c)は、(b)の検知機構により得られたデータ(検知波形)にウエハ及びリング位置基準範囲を重ねたものを示す。
【図15】本発明の実施形態に係る基板処理装置でリングボートを用いた場合の検知機構による動作を示す。
【図16】本発明の実施形態に係る(a)はリング位置基準の判定方法の一例を示し、(b)はウエハ位置基準の判定方法の一例を示す。
【図17】本発明の実施形態に係る(c)は異常範囲を考慮した場合の判定方法の一例を示し、(d)は図16の(a)と(b)を考慮した場合の判定結果を示す。
【図18】(e)は図16の(a)、(b)及び図17の(c)を考慮した場合の判定結果を示す。
【図19】本発明の実施形態に係る(a)は、ウエハを載置した状態の標準ボートの側面図を示し、(b)はウエハ位置基準の範囲の設定例を示す。
【図20】本発明の実施形態に係る基板処理装置で標準ボートとリングボートを組み合わせて使用する場合の検知機構による動作を示す。
【図21】(a)は従来の装置で用いられる記憶部に格納される格納領域を示し、(b)は本発明の実施形態に係る基板処理装置で用いられる記憶部に格納される格納領域を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2には、本発明の実施形態に係る基板処理装置10が示されている。基板処理装置10は、基板に拡散処理やCVD処理などを行う縦型のものである。この基板処理装置10は、シリコン等からなる基板12を収納したポッド14を、外部から筐体16内へ挿入するための入出ステージ18が筐体16の前面に付設されている。筐体16内には、挿入されたポッド14を保管するためのカセット棚22が設けられている。また、筐体16内には、Nパージ室24が設けられており、このNパージ室24は、基板12の搬送エリアであり、基板保持具(ボート)26の搬入、搬出空間となっている。Nパージ室24は、基板12の処理を行う場合、Nガスなどの不活性ガスで充満され、基板12に自然酸化膜が形成されるのを防止するようになっている。
【0014】
上述したポッド14としてはFOUPが用いられており、ポッド14の一側面に設けられた開口部を蓋体(図示せず)で塞ぐことで大気から基板12を隔離して搬送することができ、蓋体を取り去ることでポッド14内へ基板12を入出させることができる。このポッド14には例えば25枚の基板12が収納される。このポッド14の蓋体を取外し、ポッド14内の雰囲気とNパージ室24の雰囲気とを連通させるために、Nパージ室24の前面には、ポッドオープナ28が設けられている。ポッドオープナ28、カセット棚22及び入出ステージ18間のポッド14の搬送は、カセット移載機30によって行われる。このカセット移載機30によるポッド14の搬送空間には、筐体16に設けられたクリーンユニット(図示せず)によって清浄化した空気をフローさせるようにしてある。
【0015】
パージ室24の内部には、複数の基板12を多段に積載する基板保持具26と、基板12のノッチ(またはオリエンテーションフラット)の位置を任意の位置に合わせる基板位置合わせ装置32と、ポッドオープナ28上のポッド14と基板位置合わせ装置32との間で基板12の搬送を行う基板移載装置としての基板移載機34とが設けられている。また、Nパージ室24の上部には基板12を処理するための処理炉36が設けられており、基板保持具26は、昇降手段であるボートエレベータ38によって処理炉36へロードされ、又は処理炉36からアンロードされる。処理炉36は、基板12の処理中以外は、炉口シャッタ40によって炉口が閉鎖されている。
【0016】
次に上記実施形態に係る基板処理装置10の動作について説明する。
まず、AGVやOHTなどにより筐体16の外部から搬送されたポッド14は、入出ステージ18に載置される。入出ステージ18に載置されたポッド14は、カセット移載機30によって、直接ポッドオープナ28上に搬送されるか、又は一旦カセット棚22にストックされた後にポッドオープナ28上に搬送される。ポッドオープナ28上に搬送されたポッド14は、ポッドオープナ28によってポッド14の蓋体が取外され、ポッド14の内部雰囲気がNパージ室24の雰囲気と連通される。
【0017】
次に、基板移載機34によって、Nパージ室24の雰囲気と連通した状態のポッド14内から基板12を取出す。取出された基板12は、基板位置合わせ装置32によって任意の位置にノッチ又はオリエンテーションフラットが定まるように位置合わせが行われ、位置合わせ後、基板保持具26へ搬送される。
【0018】
基板保持具26への基板12の搬送が完了したならば、処理炉36の炉口シャッタ40を開けて、ボートエレベータ38により基板12を搭載した基板保持具26を処理炉36内にロードする。
ロード後は、処理炉36にて基板12に所定の処理が実施され、処理後は上述の逆の手順で、基板12及びポッド14は筐体16の外部へ払出される。
【0019】
図3及び図4において、本実施形態に係る基板処理装置10に用いられる基板保持具(リングボート)26が示されている。
図3(a)は基板保持具26の平面図、図3(b)は基板保持具26の縦断面図である。また、図4(c)は、図3(a)の支柱とリング状部材との係合部を示す拡大図であり、図4(d)は図3(b)の支柱とリング状部材との係合部を示す拡大図である。
【0020】
基板保持具26は、円板状の天板(図示せず)と円板状の底板49とを接続する例えば3本の円柱状の支柱50、50、50と、該支柱50、50、50によって支持される複数のリング形状のプレート(リング状プレート70)とを有する。図3(a)に示すように、支柱50、50、50は上面からみて基板挿入方向(図3の矢印方向)を除く3つの方向、より具体的には、基板挿入側とは反対側に互いに略90度ずつ隔てて配置されている。リング状プレート70は、支柱50、50、50によって略水平状態となるよう垂直方向に積層した状態で多数支持される。
【0021】
支柱50の長手方向(垂直方向)には基板支持部としての基板支持ピン72が複数設けられている。この基板支持ピン72は、支柱50、50、50の垂直方向に所定の間隔で多段に、基板保持具26の中心、すなわちリング状プレート70の中心に向けて突設(固定)されている。基板支持ピン72は、円筒形状をしており、先端部には面取り(C)が施されている。支柱50、50、50の1つの段にはそれぞれ1つずつ基板支持ピン72が突設されている。すなわち、基板保持具26の1段に3つの基板支持ピン72が設けられており、この3つの基板支持ピン72上に基板12の外周が支持されている。したがって、支柱50に設けられた複数の基板支持ピン72により複数の基板12が垂直方向に所定の間隔で略水平に載置されるようになっている。
【0022】
図3(b)に示すように、支柱50の長手方向(垂直方向)には複数の溝部74が設けられている。具体的には、溝部74は、支柱50の垂直方向に所定の間隔で多段に形成され、この溝部74に後述する複数のリング状プレート70が垂直方向に所定の間隔で略水平に固定されている。この溝部74は、該溝部74の水平断面が略半円となるように基板保持具26の中心方向側、すなわちリング状プレート70の中心方向側に形成されている。この溝部74は、上述した基板支持ピン72と基板支持ピン72との中間に形成されている。換言すると、基板支持ピン72は、溝部74と溝部74との中間に形成されている。すなわち支柱50の垂直方向には基板支持ピン72と溝部74すなわちリング状プレート70とが交互に配置されている。
【0023】
また、図4(d)に示すように、溝部74は上面部74a、下面部74bおよび側面部74cを有する。溝部74の垂直方向の大きさ(厚み)、すなわち上面部74aと下面部74bとの間の距離は、リング状プレート70の厚みよりやや大きく形成されている。
【0024】
リング状プレート70は、外周側に支柱50の本数と対応する切り欠き部76を有している。具体的には、リング状プレート70には、該リング状プレート70の外周側に3つの切り欠き部76が形成されている。この切り欠き部76は、3本の支柱50の対応する部分に形成され、支柱50の溝部74とこの切り欠き部76とが係合し、支柱50がリング状プレート70の幅内に収まっている。この切り欠き部76には嵌め込み部76aと開口部76bが形成されており、嵌め込み部76aの両端には面取り(R)が、開口部76bには面取り(C)が施されている。
【0025】
図4(c)に示すように、支柱50とリング状プレート70との係合部にはリング状プレート70の外周側にて該リング状プレート70と支柱50とを溶接固定する溶接部材78が設けられている。この溶接部材78は、リング状プレート70と支柱50とを連結して固定している。具体的には、支柱50の溝部74とリング状プレート70の切り欠き部76とが接触しないように配置され、溶接部材78と支柱50の外周側および溶接部材78と切り欠き部76の開口部76bとが固定(溶接)されている。したがって、図4(d)に示すように、溝部74の上面部74a、下面部74b及び側面部74cと、リング状プレート70の上面、下面および切り欠き部76の嵌め込み部76aとが接触しないようになっている。
【0026】
図5において、上記処理炉36の周辺構成が示されている。処理炉36は、例えば石英(SiO)等の耐熱性材料からなるアウターチューブ42を有する。このアウターチューブ42は、上端が閉鎖され、下端に開口を有する円筒状の形態である。このアウターチューブ42内には同心円状にインナーチューブ44が配置されている。また、アウターチューブ42の外周には、加熱手段としてのヒータ46が同心円状に配置されている。このヒータ46は、ヒータベース48を介して筐体16上に保持されている。
【0027】
図5及び図6にも示すように、基板移載機34は、上下方向に移動し、回転する移載機本体54と、この移載機本体54上で往復動する主ツィーザ本体56とを有する。この主ツィーザ本体56には例えば4つのツィーザ58a,58b,58c,58dが平行に延びるように固定されている。また、移載機本体54上には副ツィーザ本体57が主ツィーザ本体56とは一体に往復動できると共に、主ツィーザ本体56とは独立して往復動できるように設けられている。この副ツィーザ本体57には、ツィーザ58eが前述した4つのツィーザ58a〜58dの下位置で平行に固定されている。このため、図6に示すように、基板移載機34は、5つのツィーザ58a〜58eにより5枚の基板12を一括移載することができるし、最下段のツィーザ58eを用いて1枚のモニタ基板を移載(枚葉移載)することもできる。
【0028】
ポッド14には、例えば25枚の基板12が収納されており、基板移載機34により基板12を基板保持具26へ移載又は基板保持具26から回収する場合、5つのスロット(スロット群)の中に異常状態の基板が無いときは、5つのツィーザ58a〜58eにより5枚の基板12を一括移載又は回収し、スロット群の中に異常状態の基板があるときは、正常状態の基板のみを最下段のツィーザ58eを用いて回収する。なお、モニタ基板については、挿入時と同様に一枚ずつ回収してもよい。
【0029】
検出装置としての検出部60は、移載機本体54に設けられている。この検出部60は、平行な2つのアーム62a,62bを有し、該アーム62a,62bが移載機本体54の側面で回動できるように設けられている。該アーム62a,62bの先端付近には、一方が投光素子、他方が受光素子からなる透過型のフォトセンサ64a,64bが設けられている。図7に示すように、基板保持具26の上面から見てフォトセンサ64aが右側にあり、フォトセンサ64bが左側にあるとし、これらフォトセンサ64aとフォトセンサ64bは基板保持具26の前面側に配置されているとする。
基板保持具26に移載された基板12の保持状態を検知する場合は、アーム62a,62bを基板保持具26側に回動固定し、フォトセンサ64a,64bの光軸が基板12を通過するようにし、基板移載機34を基板保持具26下端から上端まで移動し、フォトセンサ64a,64bの検知出力をモニタする。一方、基板移載機34により基板12を基板保持具26に移載する場合は、アーム62a,62bを反基板保持具側に回動し、アーム62a,62bが基板12又は基板保持具26と干渉するのを防止するようになっている。
【0030】
図5に示すように、フォトセンサ64a,64bから出力されるアナログ信号は、例えばコンピュータからなる制御装置としての制御部66に出力される。制御部66は、記憶装置としての記憶部67と判断装置としての判断部69を有し、検出装置としての検出部60が検出したデータと記憶部67に記憶されたデータとを判断部69において比較し、例えばモータ等からなる駆動部68を介して基板移載機34を制御する。
【0031】
図8は、図に示す本発明の実施形態に係る検知機構の電気機構をさらに詳述する図である。
本実施形態における検知機構として使用されるウエハセンサは透過型光電センサであり、図5に示すものと同様のものを使用する。また、値出力をアンプ出力とするための機構を備えている。検知機構は、入出力装置80、シーケンサ84、アンプ86及びフォトセンサ64a、64bから構成されている。入出力装置80、シーケンサ84及びアンプ86は、フォトセンサ64a、64bに、例えばダイレクト配線接続LANやWANなどのネットワーク85を介して接続されている。したがって、検知する際、フォトセンサ64a、64bから得られた受光量数値変化はアンプ86によって電圧数値変化に置き換えられ入出力装置80やシーケンサ84に伝えられる。その数値変化の度合いでウエハの状態判断を行い、入出力装置80等に伝えられる。入出力装置80は、基板処理装置10と一体に、又はネットワーク85を介して接続して設けられており、操作画面82を表示する。操作画面82には、ユーザにより所定のデータが入力される入力画面及び装置の状況等を示す表示画面などが表示される。また、入出力装置80には、制御部66が設けられている。
【0032】
ウエハ12及びリング状プレート70のリング位置基準の設定は2点ティーチング方式で行うものとする。ここで、2点ティーチング方式とは、検出物(本実施形態においてはボート上のウエハ又はリング状プレートのリング)の各段の基準となる位置を求める方法の一つで実測に基づいた複数ある検出物のうち、最下位置にある検出物と最上位置にある検出物とを検出、すなわち最下値と最上値を検出し、その差分値を各段間に均等分し、理論上の基準位置の値とする。
【0033】
ここで、アナログ方式のデータ取得においては各段のリング位置基準で検出波形のピーク値を使用しないものとする。これは、今回、透過型光電センサにてどのウエハの厚みもほぼ同一であり、ウエハ端面を水平にしてデータを取得した場合にピークが現れるが、リングの厚みはリング形状によっても異なり、受光及び投光部におけるフォトセンサのセンサレンズ径よりも厚いものもあり、リングの中心に検出波形のピークが現れるとは限らないため、原則的には、基準としては使用できないからである。
【0034】
なお、本実施例において、データ取得方式はアナログ方式を使用しているが、データ取得方式がデジタルの場合にはピーク値がでないため、判定はOFF,ONの2点で行う。
なお、データ取得方式がアナログ方式であってもピーク値を使用せず、ピーク部分の処理及び判定は省いてもよい。
【0035】
図9(a)は検知結果をアナログデータとして示した図であり、(b)は(a)のアナログデータをデジタルデータとして示した図を示す。
検知環境の例としてフォトセンサ64a、64bを上下に速度一定で移動させる。そのときのウエハからウエハまでの時間的距離が50という値であるとする。1枚目と2枚目のウエハデータを比較する場合に両ウエハが正常であれば、Aからaまでの距離は50である。同様にBからbまでの距離も50である。したがって、A−B=a―bが成り立つ。このように、ウエハの異常・正常の判断を行っていく。デジタルデータの場合、ウエハデータの比較判定をする際、一定のしきい値でのデータ取得は図9(b)のようにONからOFFになった時、OFFからONになった時という2点のデータを1枚分のデータとして設定可能である。アナログデータの場合、デジタルデータのように一定のしきい値を引いた場合での、以上と以下に達した2点という取り方もできるし、データ上の下限値ピークPをとることが可能である。更に複数のしきい値での複数点でのデータ比較が可能である。更に時間軸でのデータの値をみた場合、デジタルではON又はOFFの2点での判定となるが、アナログではデータ数値の変化量を知ることができる。比較の仕方としては、仮に時間軸50の時の値が120だとすれば100の時も値は120であれば正常である等の方法や複数の時間軸における値の差分同士の比較で判断することもできる。
【0036】
上述の検知機構により得られたデータ(検知波形)を図10に示す。
図10(a)の左図はウエハ12を載置していない状態のリングボート26を下方から順に検知したデータであり、(b)の左図はリングボート26に複数のウエハ12を載置した状態で下方から順に検知したデータであり、(c)の左図は(b)のリングボート26に複数のウエハ12を載せたデータに(a)のリングボート26のみのデータを重ねたものであり、(d)の左図は(b)のリングボート26にウエハ12を載せたデータと(a)のリングボート26のみのデータのデータ差分を示す。
すなわち、リングボート26のみを検知し、リングボートにウエハを載せたデータを検知することで、両者のデータを差分し、ウエハ12のみの検知波形を得ることができる。
【0037】
次に、ウエハの第一正常位置範囲としての正常位置範囲データを得るためのウエハ位置基準の設定について図11に基づいて説明する。
ステップS10として、まず、ウエハ位置基準を定めるにあたって正常位置範囲とみなすことができるズレ許容値を設定する。
次に、ステップS12として、リングボート26の最上段及び最下段に今後使用するものと同じ異常のないウエハ12を載せる。
次に、ステップS14として、上述の検知機構でリングボート26のリング状プレート70とウエハ12のデータを取得する。
次に、ステップS16として、取得されたデータを生データとして、それから各ピーク位置、OFF位置、ON位置を抽出する。
次に、ステップS18として、各ピーク位置、OFF位置、ON位置、各々のデータの中から記憶部67に記憶(格納)されている各段のリング位置基準データと入力されたズレ許容値を基にリング適正位置範囲以外の位置データを抽出し、その抽出された位置データで各段のウエハ理論位置を2点ティーチング法により算出する。
次に、ステップS20として、各ピーク位置、OFF位置、ON位置それぞれの各段の理論位置をウエハ位置基準として記憶部67に記憶(格納)させる。
【0038】
次に、リング状プレート70の第二正常位置範囲としての正常位置範囲データを得るためのリング位置基準の設定について図12に基づいて説明する。
ステップS22として、初期設定としてリングボート26の段数を入力する。
次に、ステップS24として、上述の検知機構でウエハを載置していない状態でリングボート26のリング状プレート70のデータを取得する。
次に、ステップS26として、取得されたデータを生データとして、それから各ピーク位置、OFF位置、ON位置を抽出する。
次に、ステップS28として、各ピーク位置、OFF位置、ON位置の各々で各段のリングの理論位置を2点ティーチング法により算出する。
次に、ステップS30として、OFF位置、ON位置それぞれの各段の理論位置をリング位置基準として記憶部67に記憶(格納)させる。ここで、ピーク値は使用しない。
【0039】
上述のウエハ位置基準及びリング位置基準の設定により、各位置基準が設定される。
図13(a)は、ウエハ12を載置した状態のリングボート26の側面図を示し、(b)はウエハ12及びリング状プレート70の位置基準の範囲の設定例を示す。
図13(b)に示すように、A1は1段リングボート許容位置範囲、A2は2段リングボート許容位置範囲、B1は1段ウエハ許容位置範囲、B2は2段ウエハ許容位置範囲を示す。また、C1とD1は1段異常位置範囲、C2とD2は2段異常位置範囲を示す。
すなわち、リングボート26の1段目のリング状プレート70がA1である1段リングボート許容範囲に、2段目のリング状プレート70がA2である2段リングボート許容範囲等になく、1段目のウエハ12がB1である1段ウエハ許容位置範囲、B2である2段ウエハ許容位置範囲になく、C1、D1の1段異常位置範囲やC2、D2の2段異常位置範囲にある等の場合にウエハ12又はリングボート26の位置が異常であると判断される。
【0040】
図14(a)は、リングボート26にウエハ12が載置された状態を示す側面図である。
図14(b)は、上述のウエハ検知機構により得られたデータ(検知波形)を示す。
図14(c)は、(b)のウエハ検知機構により得られたデータ(検知波形)にウエハ及びリング位置基準範囲を重ねたものを示している。
図14(c)のAはリング適正基準にズレ許容値を考慮して得られたリング適正範囲を示し、Bはウエハ適正基準にズレ許容値を考慮して得られたウエハ適正範囲を示し、Cは異常範囲(適正範囲外)を示す。
すなわち、記憶部67に記憶されているウエハ及びリング位置基準範囲と、検知されたウエハ及びリング状プレートの検知波形とを判断部69にて照合させて、検知されたデータが1つでも異常範囲Cにあれば、ウエハの搬送を中止もしくは、異常範囲にあるとされたウエハ以外のウエハを1枚ずつ枚葉搬送する。
【0041】
図15に、前述した制御部66による検知機構による検知動作の一例がフローチャートとして示されている。
まず、ステップS100において、記憶装置としての記憶部67に、後述するリング状プレート70の正常位置範囲データを含むリング位置基準が格納されているか否かを判定する。リング位置基準が格納されていると判定された場合には、次のステップS102へ進み、リング位置基準が格納されていないと判定された場合には、前述したリング位置基準の設定を行う。
【0042】
次のステップS102において、記憶装置としての記憶部67に、後述するウエハ12の正常位置範囲データを含むウエハ位置基準が格納されているか否かを判定する。ウエハ位置基準が格納されていると判定された場合には、次のステップS104へ進み、ウエハ位置基準が格納されていないと判定された場合には、前述したウエハ位置基準の設定を行う。
【0043】
次のステップS104からは、判定動作となり、まず、リング位置基準及びウエハ位置基準において正常位置範囲とみなすことができるズレ許容値を設定する。
【0044】
そして、次のステップS106において、リングボート26にウエハ12を載置し、基板移載機34とフォトセンサ64a、64bの駆動を開始する。即ち、図6に示したように、基板移載機34により、5つのツイーザ58a〜58eによって5枚のウエハ12を一括移載する。そして、すべてのウエハ12がボート26に載置されたら、図5に示したように、アーム62a,62bをボート26側に回動固定し、基板移載機34をボート26の最下端から一定速度で上昇させ、フォトセンサ64a,64bによりウエハ12の移載状態及びボート26の状態を検知する。フォトセンサ64a,64bの投光/受光の光量がアナログ信号として制御部66に入力されることになる。
【0045】
次のステップS108においては、フォトセンサ64a,64bから入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換し、フォトセンサ64a,64bからの検知出力を解析し、データを取得する。このフォトセンサ64a,64bからの出力解析は、フォトセンサ64a,64bからの検知波形を記録し、記憶部67に格納されているリング位置基準及びウエハ位置基準の正常位置範囲データから位置情報を抽出する。具体的には、取得されたデータを生データとして、それから各ピーク位置、OFF位置、ON位置を抽出する。
【0046】
次のステップS110において、判断装置としての判断部69において、ステップS18から得られた検知波形をリング位置基準の正常位置範囲データと比較し、リング状プレート70の位置が適正範囲内、すなわち正常位置範囲内にあるか否かを判定する。具体的には、各OFF位置、ON位置の各々で記憶(格納)されている各段のリング位置基準データと入力されたズレ許容値を基にリング位置が適正な位置にあるか合否判定を行う(図16(a)参照)。尚、図16(a)に示されるものは、ピーク値をも判定対象とした際のリング状プレート70の位置合否、判定パターンである。これらの判定パターンは予め判断部69に格納されている。リング状プレート70の位置が適正範囲内、すなわち、ピーク値があり、かつ、OFF位置、ON位置が適正範囲内であれば正常と判定し、次のステップS112へ進み、適正範囲外、すなわち、ピーク値が無いか、又は、OFF位置、ON位置のうちいずれか一つでも適正範囲内に無ければ異常と判定し、基板移載機34によるリングボート26からのウエハ搬送は中止される。
【0047】
次のステップS112において、判断装置としての判断部69において、ステップS108から得られた検知波形をウエハ位置基準の正常位置範囲データと比較し、ウエハの位置が適正範囲内、すなわち正常位置範囲内にあるか否かを判定する。具体的には、各ピーク位置、OFF位置、ON位置の各々で記憶(格納)されている各段のウエハ位置基準データと入力されたズレ許容値を基にウエハ位置が適正な位置にあるか合否判定を行う(図16(b)参照)。尚。図16(b)に示されるものは、ウエハ12の位置合否判定パターンであり、これらの判定パターンは予め判定部69に格納されている。全ての段のウエハ位置が適正範囲内、すなわち、全ての段のウエハ位置のピーク値、OFF値、ON値がいずれも適正範囲内であれば正常と判定し、次のステップS114へ進み、適正範囲外、すなわち、全ての段のウエハ位置のピーク値、OFF値、ON値のうちいずれか一つでも適正範囲内に無ければ異常と判定し、ステップS113のウエハのうち少なくとも1枚が適正範囲内にあるか否かを判定する。ウエハのうち少なくとも1枚が適正範囲内にあれば、次のステップS115として、少なくとも異常と判断されたウエハ以外のウエハを枚葉移載により回収し、全てのウエハが適正範囲外で、ウエハの全てが異常と判断された場合には、基板移載機34によるリングボート26からのウエハ搬送は中止される。
【0048】
例えば上述の判定方式にかえて、判定部69では各ピーク位置、OFF位置、ON位置の各段ごとの合否照合によってリング状プレート70及びウエハ12が判定され、リング状プレートとウエハの各段ごとの合否照合によって総合判定してもよい(図17(d)参照)。また、判定部69では、さらに異常範囲(適正範囲外)における各ピーク位置、OFF位置、ON位置の各段ごとの合否照合を行うように設定できる(図17(c)参照)。尚、図17(c)に示されるものは、異常範囲判定パターンであり、これらの判定パターンは予め判定部69に格納されている。ここで、異常範囲とは適正範囲外のデータであり、値が1段ボートOFF適正下限位置以下である場合、値が最上段ウエハOFF適正上限位置以上である場合、値が現段のボートON適正上限位置から現段ウエハOFF下適正下限位置にある場合、値が現段のウエハON適正上限位置から次段ボートOFF適正下限位置にある場合をいう。このように、異常範囲をも考慮して、各ピーク位置、OFF位置、ON位置の各段ごとの合否照合によってリング状プレート70、ウエハ12及び異常範囲が判定され、リング状プレートとウエハと異常範囲の各段ごとの合否照合によって総合判定してもよい(図18(e)参照)。尚、図18(e)に示されるものは、異常範囲を考慮したリング状プレートとウエハの総合判定パターンであり、これらの判定パターンは予め判定部69に格納されている。
【0049】
ここで、リング状プレート70が異常と判断された場合には、例えば「ボートの交換が必要」というメッセージを操作画面82等の入出力手段80に表示し、基板移載機34によるリングボート26からのウエハ搬送は中止される。
また、リング状プレート70又はウエハ12の全てが異常と判断された場合には、例えば「ボートの載置状態の確認が必要」というメッセージを操作画面82等の入出力手段80に表示する。また、基板移載機34によるボート26からのウエハ搬送は中止される。
また、ウエハ12のうち少なくとも1枚が異常と判断された場合には、例えば「ウエハ異常」というメッセージを操作画面82等の入出力手段80に表示する。また、少なくとも異常と判断されたウエハ以外のウエハを1枚ずつ枚葉移載により回収する。
また、ウエハ12の全てが異常と判断された場合には、例えば「全ウエハ異常」というメッセージを操作画面82等の入出力手段80に表示する。また、基板移載機34によるボート26からのウエハ搬送は中止される。
【0050】
次のステップS114において、ウエハは複数枚、例えば5枚が同時に一括回収される。
【0051】
本発明の実施形態は、リングボート26のみならず、リング状プレートのない標準ボート90においても適用することができ、標準ボート使用時の位置基準の設定の一例を図19に示す。
図19(a)は、標準ボートの側面図を示し、(b)は位置基準の範囲の設定例を示す。
図19(b)に示すように、B1は1段ウエハ許容位置範囲、B2は2段ウエハ許容位置範囲、B3は3段ウエハ許容位置範囲、B4は4段ウエハ許容位置範囲を示す。また、C1は1段異常位置範囲、C2は2段異常位置範囲、C3は3段異常位置範囲、C4は4段異常位置範囲を示す。
すなわち、判定時に得られたデータが1つでも異常範囲Cにあれば、ウエハの搬送を中止もしくは、異常範囲にあるとされたウエハ以外のウエハを枚葉移送する。
【0052】
図20は、標準ボート90とリングボート26を組み合わせて使用する際の検知機構動作の一例を示す。
まず、ステップS200として、ボートがリングボート26か標準ボート90かを判定する。リングボートであればステップS100へ進み、前述したリングボート使用時の検知機構により検知する。また、標準ボートであれば、次のステップS202へ進む。
【0053】
ステップS202では、ウエハ位置基準が格納されているか否かを判定し、ウエハ位置基準が格納されていなければ、ウエハ位置基準の設定を行う。ウエハ位置基準の設定は、上述したリングボート使用時のウエハ位置基準の設定と同様である。ウエハ位置基準が格納されていれば、ステップS104の判定動作に移る。ステップS104以降の動作は、ステップS108のリング位置基準抽出動作がない点が相違するが、リングボート使用時の判定方法と同様である。
【0054】
図21(a)は従来のウエハ検知機構における記憶部67の格納領域を示し、(b)は本発明の実施形態に係る検知機構における記憶部67の格納領域を示す。
格納領域は、任意設定領域と生データ領域と抽出データ領域とウエハ基準位置領域を有し、任意設定領域として段数、ズレ許容値、生データ領域として生データ格納領域、抽出データ領域としてピーク位置格納領域、OFF位置格納領域及びON位置格納領域、ウエハ基準位置領域として、ピーク位置格納領域、OFF位置格納領域及びON位置格納領域を格納している。これに対して、本実施形態におけるウエハ検知機構においては、図21(b)に示すように、従来のウエハ検知機構の格納領域に加えて、リングボート基準位置領域が格納され、リングボート基準位置領域として、OFF位置格納領域及びON位置格納領域を格納している点で相違する。
【0055】
本実施形態においては、ウエハ検知動作に加えてリング検知動作を追加し、ウエハ位置基準の設定に加えて、リング位置基準の設定を行い、両者を判定する。
すなわち、上述のウエハ検知動作に加えてリング検知動作を行うことで、標準ボートでのウエハ検知、すなわちウエハの有無・位置判定はもちろん、リングボートでもウエハの有無・位置判定が可能となる。また、リングボートの基準位置を記憶させることにより、リングボート単体でもリングボート各段のリングの有無及び位置判定が可能となる。
【0056】
なお、上記実施形態においては、異常状態のウエハがあった場合、異常状態のあったウエハを基板保持具であるボートに残し、正常状態のウエハの全てをポッドに戻すようにしたが、必ずしもこれに限定されるものではない。異常状態のウエハがあると、上下のウエハも何らかの損傷を生じているおそれがある。そこで、異常状態のウエハの少なくとも上下いずれか1枚のウエハを基板保持具に残し、その他の正常状態にあるウエハをポッドに戻すようにしてもよい。
【0057】
したがって、本発明によれば、リングボートの各段のリング位置を検知することができ、ボートの各段に載せられたウエハ位置をも検知することができる。また、各段のリング及びウエハの有無と位置状態の正常異常を判定することができる。また、反射型・透過型のアナログ式又はデジタル式出力センサを使用しての検知が可能である。また、従来のウエハ検知機構の従来運用との併用が可能で、従来のボートでのウエハ検知も可能である。
【0058】
本発明は、特許請求の範囲に記載した事項を特徴とするが、さらに次に記載した事項も含まれる。
(1)前記記憶装置に記憶されている前記第一正常位置範囲データのうち、少なくとも前記基板保持部に保持された一つの基板に対する前記第一正常位置範囲データは、前記一つの基板に隣接する前記プレートに対する前記第二正常位置範囲データを介在して上下に配置されるデータである請求項1の基板処理装置。
(2)基板を保持した基板保持部と、該基板保持部に保持された基板の周縁の少なくとも一部に設けられるプレートとが各々、前記基板保持部に保持された基板と前記プレートとの間に所定の間隔が設けられるように形成される基板保持体を処理室内に搬送する工程と、前記処理室で前記基板を熱処理する工程と、検出装置により、前記基板保持部に保持された基板の位置及び前記プレートの位置を検出する工程と、前記検出装置が検出した前記基板保持部に保持された基板の位置及び前記プレートの位置と、記憶装置に記憶された前記基板保持部に保持された基板の第一正常位置範囲データ及び前記プレートの第二正常位置範囲データとを比較し、前記基板の位置及び前記プレートの位置の少なくとも一方が前記第一正常位置範囲データ外若しくは及び前記第二正常位置範囲データ外であれば異常と判断する工程と
を有する半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0059】
10 基板処理装置
12 基板(ウエハ)
26 基板保持具(ボート)
34 基板移載機
36 処理炉
50 支柱
60 検出部
66 制御部
67 記憶部
68 駆動部
69 判断部
70 リングプレート
72 基板支持ピン(基板支持部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持可能に構成される基板支持部と、前記基板支持部に保持された基板の周縁の少なくとも一部に設けられるプレートを有し、前記基板支持部に保持された基板と前記プレートとの間に所定の間隔が設けられるように形成される基板保持具の前記基板支持部に基板を搬送する基板移載装置と、
前記基板支持部に保持された基板の位置及び前記プレートの位置を検出可能に構成される検出装置と、
前記基板移載装置を制御する制御装置と、を有し、前記制御装置は、前記基板支持部に保持された基板の第一正常位置範囲データ及び前記プレートの第二正常位置範囲データを記憶する記憶装置と、前記検出装置が検出した前記基板支持部に保持された基板の位置及び前記プレートの位置と前記記憶装置に記憶された前記第一正常位置範囲データ及び前記第二正常位置範囲データとを比較し、前記基板の位置及び前記プレートの位置の少なくとも一方が前記第一正常位置範囲データ外若しくは及び前記第二正常位置範囲データ外にあると判断した場合に異常と判断する判断装置と、
を有する基板処理装置。
【請求項2】
前記基板移載装置は、さらに前記基板保持具と異なり、前記基板支持部を有し、前記プレートを有さない他の基板保持具における前記基板支持部に基板を搬送可能に構成されており、前記基板移載装置が、前記他の基板保持具における前記基板支持部に基板を搬送する場合には、前記判断装置は、前記異常判断に代えて、前記検出装置が検出した前記基板保持具に保持された基板の位置と前記記憶装置に記憶された前記第一正常位置範囲データとを比較し、前記基板の位置が前記第一正常位置範囲データ外にあると判断した場合に異常と判断する請求項1の基板処理装置。
【請求項3】
基板を保持した基板支持部と、前記基板支持部に保持された基板の周縁の少なくとも一部に設けられるプレートを有し、前記基板支持部に保持された基板と前記プレートとの間に所定の間隔が設けられるように形成される基板保持具を処理室内に搬送する工程と、
前記処理室で前記基板を熱処理する工程と、検出装置により、前記基板支持部に保持された基板の位置及び前記プレートの位置を検出する工程と、
前記検出装置が検出した前記基板支持部に保持された基板の位置及び前記プレートの位置と、記憶装置に記憶された前記基板支持部に保持された基板の第一正常位置範囲データ及び前記プレートの第二正常位置範囲データとを比較し、前記基板の位置及び前記プレートの位置の少なくとも一方が前記第一正常位置範囲データ外若しくは及び前記第二正常位置範囲データ外であれば異常と判断する工程と、
を有する基板処理方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−60924(P2011−60924A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−207633(P2009−207633)
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】