説明

基板固定装置

本発明は、プリント基板の側端縁に沿ったアーム部を有さない基板固定装置を提供する。基板挿入方向と直交する方向に接点列を形成するスプリングコンタクトを有するコネクタにおいて、プリント基板の該コネクタへの挿入時に該基板の一端を、前記スプリングコンタクトと接触させながらスプリングコンタクトを押圧する方向に回動させたときに、対応するプリント基板の他端を当該基板固定装置に近接させると、端縁部に、対応する切欠部を有するプリント基板が基部の一面から垂直方向に画成された画成片と係合しながら、該基部から突出した突出部と係合されて、前記スプリングコンタクトの付勢力に抗して固定される。これによって、前記突出片によってマザーボードとの水平方向への振れまたは揺れが規制され、前記基部の突出部とプリント基板の前記他端部との係合によってマザーボードとの垂直方向への振れまたは揺れが規制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
コンタクト部を有する接続用プリント基板の一端をマザーボードに固定されたコネクタに挿入したときの前記基板の他端を固定する基板固定装置に関する。
【背景技術】
特開平8−185936号公報は、プリント基板を受入れる挿入口を一対の対向壁部間に形成したハウジングと、それぞれの接点を少なくとも一方の壁部から挿入口内に突出させて挿入口の長手方向に沿う接点列を形成する複数のスプリングコンタクトと、上記ハウジングの挿入口の長手方向の各端部に近接する部位から延び、プリント基板が上記接点のそれぞれを押圧する方向に回動されたときにこのプリント基板の側縁部で押圧されて外方に移動されかつこのプリント基板が通過したときに原位置にその弾力で復帰し、プリント基板を上記スプリングコンタクトの付勢力に抗して係止する一対のラッチアームと、上記壁部の他方から突出し、ラッチアームがプリント基板の係止を解除したときに、スプリングコンタクトで付勢されたプリント基板が所定角度を越えて回動するのを阻止する押え部とを備え、上記ハウジングとラッチアームとが絶縁材製の一体部材で形成されるプリント基板用ソケットを提供している。
このコネクタ用ソケットは、プリント基板の挿入方向の両端の縁部に沿って延長する支持アームに設けられたラッチ機構のラッチガイドによってプリント基板を前記スプリングコンタクトの付勢力に抗して係止するものである。つまり、マザーボードとの垂直方向の固定手段はラッチガイドが担当し、マザーボードとの水平方向の固定手段は前記支持アームが担当する。しかしながら、この公報による絶縁材製の一体部材で形成されるコネクタの両支持アームは長くなるほど前記水平方向の捩れに対して弱くならざるを得ない。
したがって、本願の出願人は、挿入口の長手方向に沿う接点列を形成する複数のスプリングコンタクトを有するコネクタであって、プリント基板の側端縁に沿った支持アームを具備せず、前記プリント基板の前記コネクタへの挿入端と、挿入方向に延長した該プリント基板の他端とを固定する構造であって、上下左右の方向の振れまたは揺れに対して十分な強度を有する形状の基板固定装置を提供する。以下に具体的な構造を述べる。
【発明の開示】
本発明の実施形態によれば、本発明による基板固定装置は、基板挿入方向と直交する方向に接点列を形成するスプリングコンタクトを有し、プリント基板を着脱可能なマザーボードに固定されたコネクタにおいて、プリント基板を該コネクタに挿入する時に、該プリント基板の一端を前記スプリングコンタクトと接触させながらスプリングコンタクトを押圧する方向にプリント基板を回動させ、該スプリングコンタクトの付勢力に抗して前記プリント基板の他端を係止してプリント基板を固定する基板固定装置であって、
プリント基板の前記他端の縁部に沿って延びる基部と、
基部の両端近傍に設けられて、プリント基板が固定された際は、プリント基板の縁部の両端部近傍を覆って該プリント基板の浮き上がりを阻止する突出部と、
該基部から垂直方向に画成され、プリント基板が固定される際は、プリント基板の前記他端の縁部に形成された切欠部に収容される画成片と、
を備えている。
基板挿入方向と直交する方向に接点列を形成するスプリングコンタクトを有するコネクタにおいて、プリント基板の該コネクタへの挿入時に該基板の一端を、前記スプリングコンタクトと接触させながらスプリングコンタクトを押圧する方向に回動させたときに、対応するプリント基板の前記他端を当該基板固定装置に固定させると、前記プリント基板の他端の端縁部に設けられた切欠部は、該基部の一面から垂直方向に画成された画成片と係合すると同時に、プリント基板の前記他端は、該基部アームから突出した突出部と係止して、前記スプリングコンタクトの付勢力に抗して固定される。これによって、前記画成片によってマザーボードとの水平方向への振れまたは揺れが規制され、前記基部の突出部とプリント基板の前記他端部との係合によってマザーボードとの垂直方向への振れまたは揺れが規制される。したがって、上下左右全ての方向に対して強固に固定することができる。
本発明の別の実施形態によれば、本発明による基板固定装置は、基板挿入方向と直交する方向に接点列を形成するスプリングコンタクトを有し、プリント基板を着脱可能なマザーボードに固定されたコネクタにおいて、プリント基板を該コネクタに挿入する時に、該プリント基板の一端を前記スプリングコンタクトと接触させながらスプリングコンタクトを押圧する方向にプリント基板を回動させ、該スプリングコンタクトの付勢力に抗して前記プリント基板の他端を係止してプリント基板を固定する基板固定装置であって、
プリント基板の前記他端の縁部に沿って延びる基部と、
基部の両端近傍に設けられて、プリント基板が固定された際は、プリント基板の縁部の両端部近傍を覆って該プリント基板の浮き上がりを阻止する突出部と、
前記プリント基板が載置される、基部と連接された台座から突出して、プリント基板が固定された際は、プリント基板に設けられた孔に挿入されて該プリント基板を基板面方向に固定する画成片と、
を備えている。
基板挿入方向と直交する方向に接点列を形成するスプリングコンタクトを有するコネクタにおいて、プリント基板の該コネクタへの挿入時に該基板の一端を、前記スプリングコンタクトと接触させながらスプリングコンタクトを押圧する方向に回動させたときに、対応するプリント基板の前記他端を当該基板固定装置に固定させると、例えば、本発明による基板固定装置にプリント基板が載置される台座部を設けて、そこから基板面が係止される突出部が画成されていれば、挿通孔を有するプリント基板に前記台座部から画成された突出部が挿入されて係合し、マザーボードとの水平方向への振れまたは揺れが規制される。また、前記他端は、基部アームから突出した突出部と係止して、前記スプリングコンタクトの付勢力に抗して固定される。これによって、前記基部の突出部とプリント基板の前記他端部との係合によってマザーボードとの垂直方向への振れまたは揺れが規制される。したがって、上下左右全ての方向に対して強固に固定することができる。
本発明のさらに別の実施形態によれば、本発明による基板固定装置は、基板挿入方向と直交する方向に接点列を形成するスプリングコンタクトを有し、プリント基板を着脱可能なマザーボードに固定されたコネクタにおいて、プリント基板を該コネクタに挿入する時に、該プリント基板の一端を前記スプリングコンタクトと接触させながらスプリングコンタクトを押圧する方向にプリント基板を回動させ、該スプリングコンタクトの付勢力に抗して前記プリント基板の他端を係止してプリント基板を固定する基板固定装置であって、
プリント基板の前記他端の縁部に沿って延びる基部と、
基部の両端近傍に設けられて、プリント基板が固定された際は、プリント基板の縁部の両端部近傍を覆って該プリント基板の浮き上がりを阻止する突出部と、
前記基部と連接して基部の背面に沿って延びる後背部と、
前記後背部と連接された部分から突出して、プリント基板が固定された際は、プリント基板に設けられた孔に挿入されて該プリント基板を基板面方向に固定する画成片と、
を具備する。
基板挿入方向と直交する方向に接点列を形成するスプリングコンタクトを有するコネクタにおいて、プリント基板の該コネクタへの挿入時に該基板の一端を、前記スプリングコンタクトと接触させながらスプリングコンタクトを押圧する方向に回動させたときに、対応するプリント基板の前記他端を当該基板固定装置に固定させると、例えば、基部の後背位置に基部の長さ方向に沿っての後背部が形成され、該後背部から延びた延長部材にプリント基板の基板面に対して係合する係合片を画成すれば、プリント基板の前記他端は、前記後背部の延長部材に画成された係合片と係止してプリント基板の水平方向の振れ又は揺れが規制され、また、基部から突出した突出部と係止して、前記スプリングコンタクトの付勢力に抗して固定される。これによって、マザーボードとの垂直方向への振れまたは揺れが規制される。したがって、上下左右全ての方向に対して強固に固定することができる。
本発明のさらに別の実施形態によれば、本発明による基板固定装置は、プリント基板を固定する際に、プリント基板の前記他端と基部に設けられた突出部の前記頂部傾斜面との当接により前記基部が弾性変形したときに、前記後背部は、前記基部の弾性変形を所定以上に変形することを制限することを特徴とする。
プリント基板を固定する際に、プリント基板の固定する側の端縁がマザーボードとの垂直方向への振れ又は揺れを規制する突出部の傾斜面を押圧しつつ前記基部を弾性変形させたときに、前記後背部が前記基部の過剰な弾性変形を制限するように配設されていれば、該基部は一定以上の外力による影響を受けることはないので、損傷を防止することができる。
本発明の別の実施形態によれば、本発明による基板固定装置の基部上突出部の頂部は、マザーボード側に向かって傾斜面を有し、プリント基板を固定するために前記他端をマザーボード方向に押圧するときに、前記基部が前記傾斜面に加えられた力によって弾性変形し、前記他端が突出部を越えたときに、前記基部が復元力で元の位置に戻ることによりプリント基板の両端部と前記突出部との係止を可能にすることを特徴とする。
本願固定装置の基部に設けられた突出部の頂部が傾斜面を有しているため、プリント基板を当該傾斜面に向かって回動して当接させたときに、そのまま押圧を続けると、前記基部が弾性変形しながら、前記傾斜面に沿ってプリント基板の前記他端を案内する。前記突出部の突出方向の頂部を越えた位置で前記基部は復元力によって元の位置に戻り、前記突出部はスプリングコンタクトによって付勢されたプリント基板の端縁部を係止する。これによりマザーボードに対して垂直方向の固定がなされ、基板を確実に固定する。
本発明のさらに別の実施形態によれば、本発明による基板固定装置はプリント基板の前記他端の側部近傍で接触する接地端子部を有する。
例えば、接地端子を本願基板固定装置の一部から突出させるとともに圧入またはインサートモールドによって形成すれば、プリント基板が固定されたときに、該突出した接地端子の先端部を、該プリント基板の端縁部の下側の側部近傍で接触するように接地部を配置することができ、マザーボードから浮いた状態のプリント基板との当接により接地接続を確保することができる。
本発明のさらに別の実施形態によれば、前記接地端子は、マザーボードとの固定部とともに、導電材製の一体部材で形成される。
前記接地端子とマザーボードとの固定部が導電材製の一体部材で形成されていれば、マザーボードの接地部と本願の基板固定装置の固定部とを半田等による接続を行えば、マザーボードから浮いた状態のプリント基板と前記接地端子は電気的に接続されて接地部を形成することができる。
本発明のさらに別の実施形態によれば、本発明による基板固定装置の前記基部が、プリント基板の挿入時に、プリント基板の前記他端と前記基部に設けられた突出部の頂部傾斜面との当接により弾性変形したときに、所定以上に変形されることを制限する画壁を具備する。
例えば、前記基部の弾性変形方向に所定の間隔を有する、基部の超過弾性変形を防止するためのストッパを本願の基板固定装置に具備すれば、前記プリント基板からは一定以上の押圧力を受けることはないので、過負荷による基部の破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、プリント基板固定装置が配置されたデュアルソケット固定式マザーボード1の外観図である。
図2は、本願発明による例示的なプリント基板固定装置の実施形態の斜視図である。
図3は、本実施形態において、回動するプリント基板が固定装置に接近している外観図を示している。
図4は、図1の本願発明による例示的なプリント基板固定装置の実施形態の異なる視点による斜視図である。
図5(a)および(b)は、本発明による別の実施形態のプリント基板固定装置が配置されたシングルソケット固定式マザーボード1の外観図である。
図6は、図5に示されたプリント基板固定装置の斜視図を示している。
図7(a)ないし(e)は、図6の本発明によるプリント基板固定装置の上面図、正面図、下面図、側面図、及び後面図である。
図8は、本発明によるさらに別の実施形態のプリント基板固定装置が配置されたデュアルソケット固定式マザーボード1の外観図である。
図9は、図8に示されたプリント基板固定装置の斜視図を示している。
図10(a)ないし(d)は、それぞれ、図9の本発明によるプリント基板固定装置の上面図、正面図、下面図、及び側面図を示している。
【符号の説明】
1・・・マザーボード
2・・・プリント基板
3・・・接地端子
4・・・マザーボードとの固定部
5・・・画壁
6・・・突出部
7・・・画成片
8・・・接地用パッド
10,20,30・・基部
12・・支持部
14・・切欠部
15・・傾斜部
16,26,36,・・傾斜面
17・・コネクタ
19・・延長部
21・・スナップ式ペグ
23・・台座
24・・支持部
25・・画成片
28・・係止片
29・・突出部
31・・支持面
32・・突出片
33・・連接部
35・・段差部
39・・突起部
40・・後背部
41・・延在部
42・・係止片
43・・基端片
44・・支持部
45・・折返し屈曲部
48・・バランス片
発明を実施するための最良の実施形態
【実施例1】
図1は、基板挿入方向と直交する方向に接点列を形成するスプリングコンタクトを有するコネクタ17において、プリント基板2の該コネクタ17への挿入時に該プリント基板2の一端を、前記スプリングコンタクトと接触させながらスプリングコンタクトを押圧する方向に回動させて、プリント基板2を本願の固定装置が配置されたデュアルソケット固定式マザーボード1に完全に固定した外観図である。
図2は、本願発明による例示的なプリント基板固定装置の実施形態の斜視図を示している。当該基板固定装置は、固定部4によってマザーボード1に固定される(図1参照)。基部10は、固定する側のプリント基板2の端縁に沿って延長され、該基部10の両端部にはプリント基板2を固定したときに、前記端縁の一部を覆うような突出部6が、前記基部10の一面から突出している。
プリント基板2の固定時に、プリント基板2の回動方向に対する前記突出部6の面16は、マザーボード方向に傾斜している。前記基部10は、支持部12を介して、マザーボード1と該プリント基板2との間に位置する台座片13と弾性絶縁部材で一体形成している。前記台座片13の一面と、前記基部10の前記突出部6を有する面とからそれぞれ垂直方向に突出した画成片7が設けられ、その頂部15は湾曲しながら傾斜している。
プリント基板2は、当該基板固定装置の方向に回動しながら、前記プリント基板2の端縁に設けられた切欠部14(図3参照)が、該画成片7の頂部傾斜部15に沿って係合すると同時に、前記基部10の突出部6の傾斜面16に沿って押圧されていくと、該プリント基板2の端縁が、前記基部10の弾性変形によって前記突出部6を越える。前記回動が終了すると、前記プリント基板2は台座片13の対向面上に固定配置され、マザーボード1と概ね平行な状態に保持される。
ここで、プリント基板2が前記突出部6を越えて所定の位置に固定されると、前記基部10の弾性変形が復元して元の位置に戻り、前記突出部6がプリント基板2の端縁の一部を覆うようにマザーボード1に対して垂直方向のスプリングコンタクトの力に抗して係止する。つまり、マザーボード1に対する垂直方向に強固に固定される。また、前記画成片7が前記切欠部14を有するプリント基板2と直交して係合しているために、プリント基板2は、該基板面と水平方向に対して揺れたり振れたりすることはない。つまり、マザーボードに対する水平方向に強固に固定される。したがって、プリント基板2は上下左右方向すべてにおいて強固に固定される。
前記台座片13の長軸方向にその両端から延びる接地端子3とマザーボードとの固定部4は、金属の打ち抜き等で一体型形状で、前記台座片13と圧入またはインサートモールドによって一体形成されている。該接地端子3は、プリント基板2端部近傍に配設された接地部に向けて上部傾斜方向に延びて前記プリント基板2の表裏面の接地部となるパッド8(図3参照)と接触して電気的に接続される。該マザーボード1との固定部4は、マザーボードに向かって下部傾斜方向に延びてマザーボードの接地部と半田接続等で電気的に接続される。また、基部10の背面には、基部10の超過弾性変形を制限するためのストッパに相当する画壁5が前記台座片13からの延長部19(図4参照)と垂直方向に画成され、前記画壁の一面は、前記基部10の背面とほぼ平行に一定間隔を保っている。
図3は、本実施形態において、回動するプリント基板2が固定装置に接近している外観図を示している。完全に回動し終えた際の各係合部分の対応関係を説明する。前記画成片7は前記切欠部14と嵌合し、前記突出部6はプリント基板2の端縁に当接し、前記接地端子3はプリント基板2の裏面側の接地用パッド8と当接する。
図4は、図2の本願発明による例示的なプリント基板固定装置の実施形態の異なる視点による斜視図である。
【実施例2】
図5(a)および(b)は、図1と同様に、本発明による別の実施形態のプリント基板固定装置が配置されたシングルソケット固定式マザーボード1にプリント基板2を完全に固定する過程を示した外観図である。図5において、当該プリント基板固定装置は、本実施形態ではモールドで一体形成されているが、金属部材で一体形成されてもよく、マザーボード1にスナップ式ペグ21(図6参照)を挿着して固定されている。
図6は、図5に示されたプリント基板固定装置の斜視図を示している。基部20は、固定する側のプリント基板2の端縁に沿って台座23と連接した2つの支持部24を介して延長しており、プリント基板が固定された際に両端近傍でプリント基板2の端縁が当接するようにプリント基板2の端縁方向に多少傾斜している。該基部20の両端部には、プリント基板2を固定したときに、前記端縁の一部を覆うような突出部29が前記基部20の一部から突出している。
プリント基板2を固定するための回動方向に対する前記突出部29の面26は、マザーボード1方向に傾斜している。固定する側のプリント基板2の端縁方向の両端には、前記台座23の一面から垂直方向に段差部35が形成され、プリント基板2の支持面31が形成されている。該支持面31はマザーボード1方向に貫通した孔を有し、係止片28と一体形成された前記スナップ式ペグ21が前記孔を挿通して前記支持面31と前記係止片28とが係合して固定されている。双方の係止片28を結ぶ長手軸方向の各係止片28の両側には前記支持面31から垂直方向に突出した2つの突出片32が延びており、前記係止片28と前記2つの突出片32とは交差して十字状の突出部を画成し、プリント基板2を固定するための固定手段として機能する。
プリント基板2を前記マザーボード1に固定する過程において、プリント基板2は、当該基板固定装置の方向に回動しながら、前記十字状の突出部が前記プリント基板2の両端縁部近傍に設けられた貫通孔に挿通すると同時に、前記基部20の突出部29の傾斜面26に当接してそれに沿って押圧されていくと、プリント基板2の端縁が前記基部20の弾性変形によって前記突出部29を超える。前記回動が終了すると、プリント基板2は前記支持面31上に配置され、つまり、マザーボード1との間に前記段差部35により形成される空間部を介在して保持される。
ここで、プリント基板2が前記突出部29を超えて所定の位置に配置されると、前記基部20の弾性変形が復元して元の位置に戻り、前記突出部29がプリント基板2の端縁の一部を覆うことにより該基板面との垂直方向への係止を実現する。また、前記十字形状の突出部が前記プリント基板の貫通孔を挿通するため、プリント基板の基板面と直交して係合することとなり、プリント基板2は、該基板面との水平方向への係止を実現する。したがって、プリント基板は上下左右方向のすべてにおいて強固に固定される。
また、前記台座23からは、前記2つの支持部24との間を延びた連接部33を介して支持台27が前記基部20の長手方向に延長されており、該支持台27の両端には、画成片25が画成される。前記台座23、前記連接部33及び前記支持台27の各表面は同一平面上にある。当該画成片25は、前記プリント基板2を固定する際に基部20の超過弾性変形を制限するストッパの役割を果たす。また、前記画成片25の一面は前記基部20の背面とほぼ平行に一定間隔を保っている。
図7(a)ないし(e)は、それぞれ、図6で示した基板固定装置の上面図、正面図、下面図、側面図、及び後面図を示している。
【実施例3】
図8は、図1で説明したように、本発明によるさらに別の実施形態のプリント基板固定装置が配置されたデュアルソケット固定式マザーボード1において、一方はプリント基板2の固定動作直前状態を示し、他方はプリント基板2が既に固定された状態を示した外観図である。
図9は、図8に示されたプリント基板固定装置の斜視図を示している。当該基板固定装置は金属材製で形成されており、打ち抜き等で一体型形状である。当該基板固定装置は、プリント基板2を固定する側の端縁方向に延びた後背部40から垂直方向に延びた2つの支持部44(図10(a)参照)を介して該後背部40の一面と、延在方向に沿って延びる2つの基部30の一面とが間隔を隔てて対向配置されている。該基部30は前記後背部40の一面との間隔が前記支持部44から自由端に向かって広がるように傾斜しながら延在している。該基部30の両端部には、折返し屈曲部45(図10(d)参照)が該基部30に対して鉛直上方に延在しており、前記折返し屈曲部45の自由端はプリント基板2を固定したときに、前記プリント基板2の端縁の一部を覆うように形成された突起部39が形成される。前記後背部40の両端からは、L字型を形成するように垂直方向に延在部41が延びている。該各延在部41の先端には、プリント基板を回動して固定したときに該プリント基板2の一面と直交するように画成された各係合片42が互いに平行に位置し、該各係合片42から垂直方向にL字又は逆L字を形成するように基端片43が対向方向に延在している。最後に、前記基部30の基端となる2つの支持部44の間を前記延在部41の延在方向に2つのバランス片48が一定の対向間隔を維持しながら平行に延びている。
プリント基板2を前記マザーボード1に固定する過程において、プリント基板2は、当該基板固定装置の方向に回動しながら、前記係合片42が前記プリント基板2の両端縁部近傍に設けられた貫通孔を挿通すると同時に、固定する側のプリント基板2の端縁が前記基部30の折返し屈曲部45の突起部39のマザーボード方向に傾斜する一面36に当接してそれに沿って押圧されていくと、前記基部30の弾性変形によって前記突起部39を超える。前記回動が終了すると、前記プリント基板2は延在部41との対向面に配置され、該延在部41のマザーボード1に対する垂直方向の間隔を隔てて該マザーボードと水平に保持される。プリント基板を固定する過程において、基部30は、前述したように、前記後背部40との間隔を広げながら傾斜しているため、プリント基板2がバランス片48と接触することはない。
ここで、プリント基板2が前記突起部39を超えて所定の位置に配置されると、前記基部30の弾性変形が復元して元の位置に戻り、前記突起部39がプリント基板2の端縁の一部を覆うように垂直方向への係止を実現する。また、前記係止片42が前記プリント基板2の貫通孔を挿通するため、プリント基板2の基板面と直交して係合することとなり、プリント基板2は、該基板面と水平方向への係止を実現する。したがって、プリント基板2は上下左右方向のすべてにおいて強固に固定される。
また、前記後背部40は、間隔を隔てて前記基部30の背面と対向するその一面で、プリント基板2の固定時における前記基部30の超過弾性変形を制限するストッパの役割を果たす。
図10(a)ないし(d)は、それぞれ、図9の本発明によるプリント基板の固定装置の上面図、正面図、下面図、及び側面図を示している。
各実施例について、同一の構成要素には同一の符号が付されている。
効果
上述したような手順で上下左右全ての方向に対してプリント基板を強固に固定することができる基板固定装置を提供することができる。従来技術による接触端子を有するコネクタの長手方向の両端から延びるプリント基板の側縁部を保護するアーム部が必要ないためにプリント基板の大きさを自由に変更することができる利点を有する。
産業上の利用性
本発明は、マザーボードに実装されるプリント基板の固定装置として利用できる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板挿入方向と直交する方向に接点列を形成するスプリングコンタクトを有し、プリント基板を着脱可能なマザーボードに固定されたコネクタにおいて、プリント基板を該コネクタに挿入する時に、該プリント基板の一端を前記スプリングコンタクトと接触させながらスプリングコンタクトを押圧する方向にプリント基板を回動させ、該スプリングコンタクトの付勢力に抗して前記プリント基板の他端を係止してプリント基板を固定する基板固定装置であって、
プリント基板の前記他端の縁部に沿って延びる基部と、
基部の両端近傍に設けられて、プリント基板が固定された際は、プリント基板の縁部の両端部近傍を覆って該プリント基板の浮き上がりを阻止する突出部と、
該基部から垂直方向に画成され、プリント基板が固定される際は、プリント基板の前記他端の縁部に形成された切欠部に収容される画成片と、
を備えた基板固定装置。
【請求項2】
基板挿入方向と直交する方向に接点列を形成するスプリングコンタクトを有し、プリント基板を着脱可能なマザーボードに固定されたコネクタにおいて、プリント基板を該コネクタに挿入する時に、該プリント基板の一端を前記スプリングコンタクトと接触させながらスプリングコンタクトを押圧する方向にプリント基板を回動させ、該スプリングコンタクトの付勢力に抗して前記プリント基板の他端を係止してプリント基板を固定する基板固定装置であって、
プリント基板の前記他端の縁部に沿って延びる基部と、
基部の両端近傍に設けられて、プリント基板が固定された際は、プリント基板の縁部の両端部近傍を覆って該プリント基板の浮き上がりを阻止する突出部と、
前記プリント基板が載置される、基部に連接された台座から突出して、プリント基板が固定された際は、プリント基板に設けられた孔に挿入されて該プリント基板を基板面方向に固定する画成片と、
を備えた基板固定装置。
【請求項3】
基板挿入方向と直交する方向に接点列を形成するスプリングコンタクトを有し、プリント基板を着脱可能なマザーボードに固定されたコネクタにおいて、プリント基板を該コネクタに挿入する時に、該プリント基板の一端を前記スプリングコンタクトと接触させながらスプリングコンタクトを押圧する方向にプリント基板を回動させ、該スプリングコンタクトの付勢力に抗して前記プリント基板の他端を係止してプリント基板を固定する基板固定装置であって、
プリント基板の前記他端の縁部に沿って延びる基部と、
基部の両端近傍に設けられて、プリント基板が固定された際は、プリント基板の縁部の両端部近傍を覆って該プリント基板の浮き上がりを阻止する突出部と、
前記基部と連接して基部の背面に沿って延びる後背部と、
前記後背部と連接された部分から突出して、プリント基板が固定された際は、前記プリント基板に設けられた孔に挿入されて該プリント基板を基板面方向に固定する画成片と、
を具備する基板固定装置。
【請求項4】
プリント基板を固定する際に、プリント基板の前記他端と基部に設けられた突出部の前記頂部傾斜面との当接により前記基部が弾性変形したときに、前記後背部は、前記基部の弾性変形を所定以上に変形することを制限することを特徴とする請求項3に記載の基板固定装置。
【請求項5】
前記基部上の突出部の頂部は、マザーボード側に向かって傾斜面を有し、プリント基板を固定するために前記他端をマザーボード方向に押圧するときに、前記基部が前記傾斜面に加えられた力によって弾性変形し、前記他端が突出部を越えたときに、前記基部が復元力で元の位置に戻ることによりプリント基板の両端部と前記突出部との係止を可能にすることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の基板固定装置。
【請求項6】
プリント基板の前記他端の側部近傍で接触する接地端子部を有する請求項1に記載の基板固定装置。
【請求項7】
前記接地端子は、マザーボードとの固定部とともに、導電材製の一体部材で形成される請求項6に記載の基板固定装置。
【請求項8】
プリント基板を固定する際に、プリント基板の前記他端と基部に設けられた突出部の前記頂部傾斜面との当接により前記基部が弾性変形したときに、所定以上に変形されることを制限する画壁を具備する請求項1ないし7のいずれかに記載の基板固定装置。

【国際公開番号】WO2004/062328
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【発行日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−564550(P2004−564550)
【国際出願番号】PCT/JP2003/016919
【国際出願日】平成15年12月26日(2003.12.26)
【出願人】(501189174)エフシーアイ アジア テクノロジー ピーティーイー リミテッド (26)
【Fターム(参考)】