説明

基板検査装置

【課題】製造工程における位置誤差を解消して、位置精度を高め、検査精度を高め、基板上の検査対象領域の正確な位置を取得する。
【解決手段】基板検査装置1は、荷電粒子ビームを基板上で二次元的に走査させて得られる走査画像に基づいて基板検査を行う基板検査装置において、走査画像から基板上の検査対象領域の特定部位の座標データを取得する座標データ取得手段7を備える。基板検査において、座標データ取得手段で取得した座標データに基づいて走査画像上の検査位置を特定することで、誤差によるずれに影響されることなく基板検査を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ビームやイオンビーム等の荷電粒子ビームを基板上で二次元的に走査して得られる走査画像に基づいて基板検査を行う基板検査装置に関し、特に、基板上の検査位置の特定に関する。
【背景技術】
【0002】
電子ビームやイオンビーム等の荷電粒子ビームを基板上で二次元的に走査して得られる走査画像に基づいて基板検査を行う基板検査装置が知られている。例えば、T F T ディスプレイ装置に用いるT F T アレイ基板の製造工程では、製造されたT F T アレイ基板が正しく駆動するか否かの検査が行われる。このT F T アレイ基板検査では、例えば電子ビームをT F T アレイ基板で走査させることで走査画像を取得し、この走査画像に基づいて検査を行っている。
【0003】
電子ビームをT F T アレイ基板上で二次元的に走査するには、電子ビームとステージをX 軸方向及びY 軸方向に相対的に移動することによって、通常、X 軸方向に1 ライン分移動して検出信号を取得した後、Y 軸方向に1 ライン分ずらす操作を繰り返すことによって1 フレーム分の走査信号を取得している。
【0004】
走査画像によってT F T アレイ基板の検査を行うには、T F T アレイのパネルが備える各ピクセルの位置を走査画像で正確に特定する必要がある。
【0005】
従来から特許文献1のようにT F T アレイ上に複数のパネルを配置したT F T アレイ基板が知られている。このようなT F T アレイ基板において、各ピクセルの座標位置を求める際には、T F T アレイの仕様等の設計上で定められている値を用いて計算により求めている。
【0006】
図6 は、従来のT F T アレイ基板検査装置において、T F T アレイ基板上のパネルのピクセル位置の算出を説明するための図である。図6 ( a ) はT F T アレイ基板の設計上の座標位置を示し、図6 ( b ) はT F T アレイのアクティブエリアであるパネルのピクセルを示している。
【0007】
T F T アレイ基板は、その仕様において、パネルの寸法や設置面数、基板上における各パネルの配置位置等の設計値が定められ、製造工程ではこの仕様及び設計値に基づいて製造される。製造されたT F T アレイ基板を検査する際においても、この設計値に基づいて各パネルの位置及びそのパネル上の各ピクセル位置を計算によって求め、この位置に基づいて検査を行う。
【0008】
図6 ( a ) において、T F T アレイ基板1 0 0 に形成される複数のパネル1 0 1 において、各パネル1 0 1 の特定部位の位置を設計情報に基づいて算出して基準位置1 0 2 とし、図6 ( b ) に示すように、この基準位置1 0 2 をパネル1 0 1 の原点として各ピクセル1 0 3 の位置を算出する。
【0009】
一枚のT F T アレイ基板上に、例えば1 6 面のアクティブエリアであるパネルが設けられる場合には、各パネルの基準位置の座標を設計情報に基づいて算出し、得られた座標データを基板検査装置に入力し、この座標データに基づいて、電子ビームとステージをX 軸方向及びY 軸方向に相対的に移動させ、走査画像を取得する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−271516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
走査画像の取得において、座標位置がずれている場合には、基板検査においてピクセル位置がずれるため、欠陥位置の特定に時間を要することになる。この座標位置がずれる一つの要因として、ステージの座標系と走査ビームの座標系とが一致していない場合があり、この場合には、検出信号を取得して得られる走査画像の位置とステージ上に配置した基板の位置との間に位置ずれ( 走査信号の視野ずれ) が生じることになる。
【0012】
従来、この位置ずれの補正は、試料( T F T アレイ基板) 上に位置合わせのためのマークを設け、ステージを動作させながら試料上に設けたマークの位置を確認し、ステージの座標系と走査ビームの座標系を座標変換することによって行っている。また、マークを試料上に設けた場合には検査対象の基板を交換する際に生じる位置ずれの問題があるため、この問題を解消するものとして、試料を支持するステージ上にマークを設け、このマークの走査画像からステージの座標系の位置ずれや走査ビームの座標系の位置ずれを求める検査を、本願の出願人は出願している。
【0013】
さらに、本願の発明者は、座標位置がずれる他の要因として、前記したステージの座標系と走査ビームの座標系との関係の他に、基板上の検査対象領域の座標位置があることを見出した。
【0014】
基板のパネルなどの検査対象領域の座標位置は、従来前記したように、設計値に基づいて計算によって求めているが、この座標位置には、基板製造工程における誤差が考慮されていないため、実際の基板上に形成される検査対象位置は、計算で得られた座標位置からずれている場合がある。この座標位置のずれは画一的でなく、製造条件や環境条件によって種々変化する。
【0015】
図7 は、検査対象領域の座標位置のずれを説明するための図である。図7 ( a ) において破線は設計情報に基づいて算出したパネルの位置1 0 4 を、また、実線は実際の基板上に形成されるパネルの位置1 0 5 をそれぞれ模式的に示している。T F T アレイ基板において、アクティブエリアの実際の座標位置( パネル位置) 1 0 5 は、製造上の誤差によって設計上の座標位置1 0 4 から座標ずれが生じる。この座標ずれの方向やずれ量は、同一のT F T アレイ基板上の各パネルによってそれぞれ異なり画一的とならない。
【0016】
図7 ( b ) において、アクティブエリアの実際の座標位置( パネル位置) 1 0 5 が、設計上の座標位置1 0 4 からずれている場合には、実際のピクセル1 0 3 の位置( X 1 1 ,Y 1 1 ) も、設計上のピクセル1 0 3 の位置( x 1 1 ,y 1 1 ) からずれることになり、ピクセルの位置を正確に特定することが困難となり、欠陥ピクセルの特定も困難となる。
【0017】
そこで、本発明は前記した従来の問題点を解決し、製造工程における位置誤差を解消して、位置精度を高め、検査精度を高めることを目的とする。
【0018】
また、製造工程における位置誤差を解消するために、基板上の検査対象領域の正確な位置を取得することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、基板上の検査対象領域の特定部位の座標データを走査画像から求め、この座標データに基づいて座標位置を算出するものであり、走査画像から座標データを求めることによって、製造された実際の基板に含まれる設計値からの誤差を含めた座標データを取得することができるため、製造工程における位置誤差を解消することができる。
【0020】
本発明の基板検査装置は、荷電粒子ビームを基板上で二次元的に走査させて得られる走査画像に基づいて基板検査を行う基板検査装置において、走査画像から基板上の検査対象領域の特定部位の座標データを取得する座標データ取得手段を備える。基板検査において、座標データ取得手段で取得した座標データに基づいて走査画像上の検査位置を特定することにより、パネルの位置ずれによる誤差に影響されることなく基板検査を行う。
【0021】
本発明の座標データ取得手段の第1 の形態は、走査画像を表示し、表示画像上において検査対象領域の特定部位を指定することによって座標データを取得する形態であり、走査画像を表示手段に表示した表示像上において前記特定部位を指定する指定手段と、指定した特定部位の座標データを走査画像から読み出す座標データ読み出し手段とを備える。
【0022】
表示手段は走査画像を表示する。指定手段は、表示手段に表示された表示画像の上でカーソルを移動して、表示された走査画像の特定部位を指定する。座標データ読み出し手段は、指定手段で指定されて表示手段上の位置に基づいて、その位置に対応する走査画像の座標データを読み出す。読み出した座標データは登録しておくことができる。
【0023】
また、本発明の座標データ取得手段の第2 の形態は、走査画像から、特定部位をデータ処理によって自動抽出する抽出手段と、抽出手段で抽出した特定部位の座標データを走査画像から読み出す座標データ読み出し手段とを備える。
【0024】
抽出手段は、走査画像を検索して特定部位を抽出する。特定部位の抽出は、例えば、特定部位に特徴的な形状を画像処理によって走査画像から検索することで行うことができる。座標データ読み出し手段は、第1 の形態と同様に、抽出手段で抽出した特定部位の位置に基づいて、その位置に対応する走査画像の座標データを読み出す。読み出した座標データは登録しておくことができる。
検査対象領域は矩形領域とすることができ、特定部位は、この矩形領域の4 つのコーナー部位とすることができる。
【0025】
また、基板はT F T アレイを形成したT F T アレイ基板とすることができ、この場合には、検査対象領域はT F T アレイ上のT F T が形成されたパネル部分とすることができ、また、座標データ取得手段で取得した座標データを登録することができる。
【0026】
この場合には、電子線を基板上で二次元的に走査して得られる電子ビーム走査画像に対して、登録した座標データに基づいて、T F T アレイ基板の特定部位の検査位置を特定し、パネル部分の検査を行う。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、製造工程におけるパネルの位置ずれによる誤差を解消して、位置精度を高め、検査精度を高めることができる。
【0028】
また、基板上の検査対象領域の正確な位置を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の基板検査装置の動作を説明するための図である。
【図2】本発明の基板検査装置の構成例を説明するために概略ブロック図である。
【図3】本発明の基板検査装置による座標データの取得動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の基板検査装置のディスプレイ上の表示画面例である。
【図5】本発明の基板検査装置の別の構成例を説明するために概略ブロック図である。
【図6】従来のT F T アレイ基板検査装置において、T F T アレイ基板上のパネルのピクセル位置の算出を説明するための図である。
【図7】検査対象領域の座標位置のずれを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照しながら詳細に説明する。
【0031】
図1 は本発明の基板検査装置の動作を説明するための図であり、基板上の検査対象領域の特定部位の座標データを走査画像から求める状態を模式的に示している。
【0032】
なお、本発明の基板検査装置は、荷電粒子ビームを基板上で二次元的に走査して得られる走査画像に基づいて基板検査を行う基板検査装置に関するが、以下に説明する例では、荷電粒子ビームとして電子ビームを用い、T F T アレイを形成したT F T アレイ基板上を二次元的に走査して走査画像を取得し、この走査画像からT F T アレイ上のT F T が形成されたパネル部分を検査対象領域として、そのパネル部分に形成されたピクセルの欠陥検査を行う場合について説明する。
【0033】
図1 ( a ) は、T F T アレイ基板の走査画像を示し、図1 ( b ) は走査画像の表示画像を示している。
【0034】
図1 ( a ) は、ステージ( 図示していない) 上に支持させたT F T アレイ基板を、電子
ビームで走査して得られる走査画像の一例を示している。走査画像1 0 は、T F T アレイ基板1 1 とステージ上に設けられたマーク1 5 を含んでいる。
【0035】
T F T アレイ基板1 1 上にはT F T アレイ1 1 が形成される。ここでは、T F T アレイ1 1 として、[ 0 0 ] , [ 0 1 ] , [ 0 2 ] , [ 0 3 ] , 〜 , [ 2 3 ] の1 2 面のパネル1 2 を配列した例を示している。各パネル1 2 には、複数のピクセル( 図示していない)形成される。このパネルの配列数及び配列パターンはこの例に限らず任意とすることができる。
【0036】
基板検査装置は、この走査画像中のパネル1 2 を検査対象領域とし、例えばこのパネル1 2 中に含まれるピクセルの欠陥検査を行う。本発明の基板検査装置は、T F T アレイ基板1 1 上における各パネルの位置を特定するために、この走査画像1 0 中をパネル1 2 の特定部位1 4 の座標位置を取得する。
【0037】
ここでは、パネル1 2 の矩形形状の4 つのコーナー部位を特定部位14-1〜 14-4とし、この特定部位の座標位置を求めることにより、各パネル1 2 の位置を特定する。パネル1 2の位置を特定することで、パネル1 2 に含まれる各ピクセルの位置を特定することができる。
【0038】
走査画像からパネルの特定部位の座標データの取得は、走査画像1 0 を表示手段( 図示していない) 上に表示し、この表示画像のパネル像の特定部位を指定する形態とすることができる。
【0039】
図1 ( b ) は、図1 ( a ) の走査画像中の一つのパネルを表示手段( 図示していない)上に表示した表示画像を示している。表示画像2 1 には、[ 0 0 ] で示されるパネル1 2のパネル像2 1 が表示される。パネル像2 2 の矩形形状の輪郭に注目して、例えば4 つのコーナー部位23-1〜 23-4を特定部位とし、この特定部位を指定することによって座標データを取得する。ここでは、特定部位としてパネル像2 2 のコーナー部位23-1〜 23-4を用いているが、コーナー部位に限らず任意の部位を特定部位としてもよい。
【0040】
また、図1 ( b ) では、走査画像を表示手段上に表示した表示画像を用いて検査対象領域の座標データを取得しているが、走査画像を画像処理することによって検査対象領域の座標データを直接に取得してもよい。
【0041】
なお、図1 ( a ) 中のマーク1 4 は、ステージの座標系と電子ビーム等の走査ビームの座標系との位置関係を定めるための指標位置であり、ステージの座標系においてステージ上のマークの走査画像からマークの位置を求め、このマーク位置を指標位置として位置ずれを求める。
【0042】
したがって、本発明の基板検査装置では、走査画像1 0 を用いることによって、マーク1 4 の位置からステージの座標系と電子ビームの座標系との位置関係を定める、さらに、各パネルの特定部位の位置から、T F T アレイ基板上のパネルに位置を特定することができ、基板上の検査対象領域の正確な位置を取得することができる。
【0043】
図2 は、本発明の基板検査装置の構成例を説明するために概略ブロック図である。図2において、走査検査装置1 は、電子ビーム源2 、ステージ3 、検出器4 、走査画像形成手段5 , 走査画像記憶手段6 、座標データ取得手段7 , 座標データ記憶手段8 、制御手段9を備える。
【0044】
電子ビーム源2 及びステージ3 は、制御手段9 の制御によって、ステージ3 に配置したT F T アレイ基板( 図示していない) を走査し、T F T アレイ基板からの二次電子を検出器4 で検出する。走査画像形成手段5 は検出器4 で検出した二次電子に基づき、走査画像を形成する。形成された走査画像は、走査画像記憶手段6 に記憶される。
【0045】
本発明の基板検査装置1 は、取得した走査画像からT F T アレイ基板のパネル( 走査対象領域) に設定した特定部位の座標データを取得する。
【0046】
図2 に示す構成では、走査画像記憶手段6 が記憶している走査画像を表示手段2 0 に表示し、表示された表示画像を観察することによって、T F T アレイ基板のパネル( 走査対象領域) に予め設定されている特定部位を確認し、その特定部位の座標データを座標データ取得手段7 によって取得する。
【0047】
表示手段2 0 は、T F T アレイ基板が有する複数のパネルの走査画像を予め設定された順に従って表示する他、全パネルを一括して表示してもよい。また、表示手段2 0 は、液晶表示ディスプレイやC R T 等の任意の表示装置を用いることができる。
【0048】
図2 に示す座標データ取得手段7 は、指定手段7 a 及び座標データ読み出し手段7 b を備える。指定手段7 a は、表示手段2 0 に表示される表示画像上の位置を指定し、座標データ読み出し手段7 b は、指定手段7 a で指定された位置の座標データを走査画像記憶手段6 から読み出し、座標データ記憶手段8 に格納し登録する。
【0049】
指定手段7 a による特定部位の指定は、予め設定された順番に沿って行うことができる。座標データ記憶手段8 は、指定手段7 a によって指定して読み出された座標データを、読み出し順に格納することによって、予め設定された順に特定部位の座標データを格納することができる。なお、指定手段7 a による特定部位の指定は、予め設定された順序に限らず任意の順番で指定してもよいが、この場合には、特定部位を識別できるように、特定部位毎に設定されたアドレス等の識別データと共に座標データ記憶手段8 に格納する。
【0050】
指定手段7 a は、表示手段2 0 上のカーソルを移動し、カーソル位置の入力を操作するマウスやキー等の装置や、タッチパネル等の表示手段2 0 の表示面上で位置指定を行う装置等の任意の位置指定装置を用いることができる。
【0051】
座標データ記憶手段8 は、座標データ取得手段7 で取得した特定部位の座標データを記憶し登録する。
【0052】
制御手段9 は、座標データ記憶手段8 に登録された座標データを読み出して、電子ビーム源2 やステージ3 を駆動して、T F T アレイ基板( 図示していない) 上を再度走査し、二次電子を検出器4 で検出し、走査画像を取得する。
【0053】
基板検査装置1 は、基板検査対象のT F T アレイ基板毎に特定部位を指定して座標データを取得して座標データ記憶手段8 に登録し、この登録した座標データに基づいて走査画像を取得して基板検査を行うことができるが、T F T アレイ基板の寸法やパネルの寸法、配列の数やパターン等の各種仕様が同一である場合には、製造工程で生じる位置誤差は何れのT F T アレイ基板にも同様に発生すると考えられるので、一回の走査で得た走査画像を用いて取得した座標データを共通データとし、同じ仕様のT F T アレイ基板に基板検査では、この予め求めて登録しておいた座標データを用いて、基板検査に用いる走査画像を取得してもよい。
【0054】
次に、図3 のフローチャートを用いて基板検査装置による座標データの取得動作について説明する。座標データの取得は、電子ビームをT F T アレイ基板上で走査( Signal Scan) して走査画像を取得する工程(S1)と、S1の工程で取得した走査画像を用いて特定部位の座標データを取得する工程( S2) を備える。
【0055】
座標データを取得するS2の工程では、走査画像記憶手段に記憶されている走査画像から、表示手段のディスプレイ上に表示したいパネルを選択する。このパネルの選択は、予め設定された順に行うことができる。例えば、図1 に示すように、走査画像1 0 に[ 0 0 ], [ 0 1 ] , [ 0 2 ] , [ 0 3 ] , 〜 , [ 2 3 ] の1 2 面のパネル1 2 を配列した例では、[ 0 0 ] → [ 0 1 ] → [ 0 2 ] → [ 0 3 ] → 〜 → [ 2 3 ] 等のように予め順序を設定しておき、この設定順に従ってパネルを選択する。なお、表示手段に表示するパネルの選択は、予め設定した選択順に限らず、入力手段から任意に選択するようにしてもよい(S2a)。
【0056】
S2aで選択したパネルの走査画像を表示手段のディスプレイ上に表示する(S2b)。
【0057】
図4 はディスプレイ上の表示画面例である。図4 に示す表示画像例では、走査画像表示領域2 1 a に選択したパネルのパネル像2 2 を表示する他、パネル像2 2 上で指定した特定部位の座標データを取得し編集するための表示を行う。
【0058】
走査画像表示領域2 1 a には選択されたパネルの走査画像をパネル像2 2 として表示する。ここでは、矩形形状のパネル像2 2 の4 つのコーナー部位( 図中の丸で囲まれた数字1 〜 4 ) を特定部位として設定している。操作者は、この表示されたパネル像2 2 を観察してコーナー部位を確認し、このコーナー部位にカーソルやポインターを移動して位置合わせすることによって、特定部位を指定する。図4 では、矩形形状のパネル像2 2 の4 つのコーナー部位を、左上( 丸で囲まれた数字1 ) 、左下( 丸で囲まれた数字2 ) 、右下(丸で囲まれた数字3 ) 、右上( 丸で囲まれた数字4 ) のように反時計方向の順にクリックして( LUクリック、LDクリック、RDクリック、RUクリック) 、4 つの特定部位を指定する。
【0059】
したがって、座標データを取得する順は、一つのT F T アレイ基板で1 2 面を想定した場合には、以下の表1 となる。
【0060】
【表1】

【0061】
なお、この指定順は、任意に設定することができるが、座標データ記憶手段に格納するアドレスと対応しているため、指定順と座標データの格納順が設定されている場合にはその順で指定し、設定順以外で格納する場合には、指定位置と格納先が対応するようにアドレス等によって指定し、対応関係が識別できるように設定する。
【0062】
なお、走査画像表示領域2 1 a に表示される走査画像は、座標データを取得するための特定部位の選択に用いるものであって、基板検査の走査画像に対する補助的な画像に過ぎない(S2c)。
【0063】
図4 に示す表示画像2 1 において、“ Position Find Start” のボタン2 1 e をクリックすると、座標データの取得処理の実行が開始され、“ Position Find Start” の表示から“ Abort Position Find” に切り替わる。座標データの取得処理を中断するには、この“ Abort Position Find” をクリックする。処理を中断した場合には、取得中のデータは、例えば全て破棄され、全ての取得値は前回値のままとする。
【0064】
座標データの取得処理の実行が開始した後は、“ Next” ボタン2 1 f や“ Back” ボタン2 1 g の操作ガイドに従って処理を行う。
【0065】
走査画像表示領域2 1 a において、パネル像2 2 のコーナー部位( 図中の丸で囲まれた数字1 ) をクリックすると、クリックされたコーナー部位の座標データが領域2 1 b に表示される。このコーナー部位を選択する場合には、“ Plot1 ” のボタン2 1 c をクリックする。このクリックによって、右隣の領域2 1 d に座標値( X X X , Y Y Y ) が表示される。
【0066】
同様に、パネル像2 2 の他のコーナー部位( 図中の丸で囲まれた数字2 〜 4 ) をクリックすると、クリックされたコーナー部位の座標データが領域2 1 b に表示され、“ Plot2” 〜 “ Plot4 ” のボタン2 1 c をクリックすることによって、このコーナー部位が選択され、右隣の領域2 1 d に座標値( X X X , Y Y Y ) が表示される( S2d) 。
【0067】
これら4 点のコーナー部位の座標データが決定された後、“ Next” ボタン2 1 f をクリックすると、ガイドリスト2 1 m に座標データが追加される。なお、ガイドリスト2 1 mにおいて、座標データを既に取得したパネル、座標データを現在取得中であるパネル、座標データを取得する前のパネルを、それぞれ異なる表示状態で表示することができる。例えば、表示状態2 1 j は座標データを既に取得したパネルを示し、表示状態2 1 k は現在取得中であるパネルを示し、表示状態2 1 l は座標データを取得する前のパネルを示し、色や修飾を変えて表示する等して識別可能とすることができる。
【0068】
また、表示状態2 1 k から表示状態2 1 j に変化することによって、そのコーナー部位の座標データの取得が終了したことを認識させている。
【0069】
また、走査( Signal Scan) 時に取得したアライメント座標値を用いて編集する場合には( S2e) 、 “ Alin1” や“ Alin2” の領域2 1 h に表示されたアライメント座標値について、“ Apply” ボタン2 1 i をクリックする( S2f) 。
【0070】
ガイドリスト2 1 m において、表示状態2 1 j の座標データは登録され、座標データ記憶手段に格納される( S2g) 。
【0071】
走査画像表示領域2 1 a に選択されたパネルの全コーナー部位について前記S2c〜 S2gを繰り返し( S2h) 、T F T アレイ基板が備える全パネルについて前記S2a〜 S2hを繰り返すことによって、T F T アレイ基板が有する全パネルの特定部位の座標データを取得する(S2h) 。
【0072】
図5 は、本発明の基板検査装置の別の構成例を説明するために概略ブロック図である。図5 に示す構成例は、走査画像から特定部位の座標データを取得する際に、走査画像を画像処理することによって自動取得するものであり、前記図2 に示した構成例と座標データ取得手段7 の構成の点で相違するが、その他の構成は図2 に示した構成例とほぼ同様である。
【0073】
以下、座標データ取得手段7 についてのみ説明する。座標データ取得手段7 は、走査画像記憶手段6 に記憶する走査画像を読み出し、予め設定しておいた特定部位の形状等を検索キーとして特定部位を検索し、検索した特定部位の座標データを抽出する座標データ抽出手段7 c を備える。走査画像から特定部位を抽出する画像処理は、任意のアルゴリズムを用いることができ、例えばコーナー部位の角度情報や陰影情報等の検索キーを用いたパターン処理等の走査画像から対応する形状部分を検索するアルゴリズムによって行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の走査ビーム装置は、電子線マイクロアナライザ、走査電子顕微鏡、X 線分析装
置等に適用することができる。
【符号の説明】
【0075】
1 … 基板検査装置、2 … 電子ビーム源、3 … ステージ、4 … 検出器、5 … 走査画像形成手段、6 … 走査画像記憶手段、7 … 座標データ取得手段、7 a … 指定手段、7 b … 座標データ読み出し手段、7 c … 、8 … 座標データ記憶手段、9 … 制御手段、1 0 … 走査画像、11 … T F T アレイ基板、1 2 … パネル、1 3 … T F T アレイ、1 4 − 1 〜 1 4 − 4 … 特定部位、1 5 … マーク、2 0 … 、2 1 … 表示画像、2 1 a … 走査画像表示領域、2 1 b … 座標データ領域、2 1 c … Plotボタン、2 1 d … 座標値領域、2 1 e … Position Find Startボタン、2 1 f … Nextボタン、2 1 g … Backボタン、2 1 h … Align領域、2 1 i … Applyボタン、2 1 j , 2 1 k , 2 1 l … 表示状態、2 1 m … ガイドリスト、2 2 … パネル像、2 3 − 1 〜 2 3 − 4 … コーナー部位。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子ビームを基板上で二次元的に走査して得られる走査画像に基づいて基板検査を行う基板検査装置において、
前記荷電粒子ビームの走査を制御する制御手段と、
第1の走査で取得した走査画像から基板上の検査対象領域の特定部位の座標データを取得する座標データ取得手段とを備え、
前記第1の走査の後の第2の走査において、前記座標データ取得手段によって取得した特定部位の座標データに基づいて走査画像上の検査位置を特定し、基板を検査するための第2の走査画像を取得することを特徴とする基板検査装置。
【請求項2】
前記座標データ取得手段は、
前記走査画像を表示手段に表示した表示画像上において前記特定部位を指定する指定手段と、
前記指定した特定部位の座標データを走査画像から読み出す座標データ読み出し手段とを備えることを特徴とする、請求項1 に記載の基板検査装置。
【請求項3】
前記座標データ取得手段は、
前記走査画像から、前記特定部位をデータ処理によって自動抽出する抽出手段と、
前記抽出手段で抽出した特定部位の座標データを前記走査画像から読み出す座標データ読み出し手段とを備えることを特徴とする、請求項1 に記載の基板検査装置。
【請求項4】
前記検査対象領域は矩形領域であり、
前記特定部位は、前記矩形領域の4 つのコーナー部位である請求項1 乃至3 の何れか1項に記載の基板検査装置。
【請求項5】
前記基板はT F T アレイを形成したT F T アレイ基板であり、
前記検査対象領域は前記T F T アレイ上のT F T が形成されたパネル部分であり、
前記座標データ取得手段で取得した座標データを登録し、
電子線を基板上で二次元的に走査させて得られる電子ビーム走査画像に対して、前記登録した座標データに基づいて、前記T F T アレイ基板の特定部位の検査位置を特定し、前記パネル部分の検査を行うことを特徴とする、請求項1 乃至4 の何れか1 項に記載の基板検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−180136(P2011−180136A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32622(P2011−32622)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【分割の表示】特願2007−521156(P2007−521156)の分割
【原出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】