説明

増幅器、および低ノイズ増幅器(LNA)の利得を制御する方法

【課題】同相モードのフィードバックおよび利得制御を有する差動低ノイズ増幅器(LN
A)。
【解決手段】低ノイズ増幅の方法、アルゴリズム、アーキテクチャ、回路、および/ある
いはシステムが開示される。一実施形態で、増幅器は差動信号を受信するよう構成される
第1差動入力、第1差動入力に連結される第1電流ソース、第1バイアス電圧を受け、入
力段を第1電源に連結する第1電流ロード、および第1電流ロードの出力に連結され第1
電流ソースへの電流を制限するよう構成される第1対の同相モードのフィードバック・ト
ランジスタを含むことができる。入力段は入力段に類似した構造を有し、増幅信号をさら
に増幅するよう構成される追加段に増幅信号を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全般的に増幅器回路の分野に関する。より具体的に、本発明の実施形態は同相
モードのフィードバックおよび利得制御を有する差動低ノイズ増幅の方法、回路、および
/あるいはシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの増幅器回路において、低ノイズ性能は一般的に比較的大型の抵抗器および同相フ
ィードバック用に別のエラー増幅器を用いて達成される。しかし、大型抵抗器は比較的大
面積を消耗しがちである。また、別のエラー増幅器は電力消費が増える可能性がある。
【0003】
別の従来の解決法はDC結合増幅器に関わる。しかしこのような方法においてはDCオ
フセットの形成のため通常1つまたは2つの増幅段しか利用されない。他の従来の解決法
は簡単なフィードバック仕組みで利得を設定するのに抵抗器の比率を利用する。しかし、
これらの解決法は増幅器の利得を変更するのには向いていないかもしれない。
【0004】
【特許文献1】米国特許第6624698号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、信頼性があり、電力消費を最小限に抑え、比較的広範囲の電源電圧で動作し、
容易に調節可能な利得を有する簡単な低ノイズ増幅方法があれば好都合である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態は低ノイズ増幅器(LNA)の利得を制御する方法、アルゴリズム、
アーキテクチャ、および/あるいはシステムに関する。
【0007】
一実施形態で、増幅器は、(a)入力段で、(i)差動信号を受信するよう構成される
第1対の入力トランジスタと、(ii)第1対の入力トランジスタに連結される第1電流ソ
ース・トランジスタと、(iii)第1バイアス電圧を受け、入力段を第1電源に連結する
第1対の電流ロード・トランジスタと、(iv)第1対の電流ロード・トランジスタの出力
に連結され第1電流ソース・トランジスタへの電流を制限するよう構成される第1対の同
相モードのフィードバック・トランジスタとを含み、増幅信号を提供する入力段と、(b
)追加段で、(i)増幅信号を入力段から受信するよう構成される第2対の入力トランジ
スタと、(ii)第2対の入力トランジスタに連結される第2電流ソース・トランジスタと
、(iii)第1バイアス電圧を受け、追加段を第1電源に連結する第2対の電流ロード・
トランジスタと、(iv)第2対の電流ロード・トランジスタの出力に連結され、第2電流
ロード・トランジスタへの電流を制限するよう構成される第2対の同相モードのフィード
バック・トランジスタとを含み、増幅出力を提供する追加段と、(c)第1バイアス電圧
を第1および第2対の電流ロード・トランジスタに提供するよう構成される第1バイアス
回路と、(d)第1および第2電流ソース・トランジスタをバイアスするよう構成される
1つ以上のバイアス回路とを含むことができる。
【0008】
別の実施形態で、低ノイズ増幅器(LNA)における利得を制御する方法は、(a)入
力段に差動信号を受信することで、入力段は(i)入力段の差動入力に連結した第1電流
ソースと、(ii)第1バイアス電圧を受け入力段を第1電源に連結する第1電流ロードと
、(iii)第1電流ロードの出力に連結し、第1電流ソースへの電流を制限するよう構成
される第1対の同相モードのフィードバック・トランジスタとを含み、入力段は増幅信号
を提供することと、(b)追加段が入力段から増幅信号を受信することで、追加段は(i
)追加段の差動入力に連結される第2電流ソースと、(ii)第1バイアス電圧を受け、追
加段を第1電源に連結する第2電流ロードと、(iii)第2電流ロードの出力に連結し第
2電流ソースへの電流を制限するよう構成される第2対の同相モードのフィードバック・
トランジスタとを含み、追加段は増幅信号を提供することと、(c)第1バイアス電圧を
第1および第2電流ロードに提供することと、(d)第1および第2電流ソースをバイア
スすることの工程を含むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に発明の好ましい実施形態について詳細に言及し、その例が添付図面で図示される。
発明は好ましい実施形態と併せて説明されるが、これらは発明をこれらの実施形態に限定
する意図ではないことが理解されよう。逆に、発明は添付特許請求の範囲で定義される精
神および範囲に含まれる代替、修正、および同等のものを対象とすることを意図している
。さらに、本発明の以下の詳細な説明において、本発明の充分な理解を提供するために多
数の具体的な詳細が述べられる。しかし当業者であれば本発明がこれらの具体的な詳細な
しでも実施され得ることが直ちに明らかであろう。それ以外で、周知の方法、手順、部品
、および回路は本発明の態様を不必要に分かりにくくしないよう詳細に説明していない。
【0010】
続く詳細な説明のある部分はプロセス、手順、論理ブロック、機能ブロック、処理、お
よびコンピュータ、プロセッサ、コントローラ、および/あるいはメモリ内のコード、デ
ータ・ビット、データ・ストリーム、または波形に対する操作の、他の象徴的表現の形で
提示される。これらの説明および表現は一般的にデータ処理技術の当業者が他の当業者に
自己の仕事の実態を有効に説明するために使用される。プロセス、手順、論理ブロック、
機能、プロセス、等々は本明細書において、また一般的に、望ましいおよび/あるいは期
待される結果につながる工程または命令の筋の通ったシーケンスとみなされる。工程は一
般的に物理量の物理的操作を含む。必ずしもではないが、通常これらの量はコンピュータ
またはデータ処理システムにおいて格納、移転、組み合わせ、比較、および別途操作が可
能な電気的、磁気的、光学的、または量子的信号の形を取る。主に一般的な用法から、こ
れらの信号をビット、波、波形、ストリーム、値、要素、符号、文字、用語、数字等々、
およびコンピュータ・プログラムまたはソフトウェアにおけるこれらの表現をコード(オ
ブジェクト・コード、ソース・コード、またはバイナリ・コードであり得る)と時に呼ぶ
ことが便利であることが分かっている。
【0011】
しかし、これらおよび類似した用語は適当な物理量および/あるいは信号と関連付けら
れ、単にこれらの量および/あるいは信号に適用される便利なラベルであることを忘れな
いことが必要である。具体的に別途述べられず、および/あるいは以下の考察で明らかで
ない限り、本明細書を通じ、「処理」、「操作」、「演算」、「計算」、「決定」、「操
作」、「変換」等々の用語を利用している考察は物理(例えば電子)量を操作または返還
するコンピュータもしくはデータ処理システム、または類似した処理装置(例えば電気、
光、または量子演算または処理装置または回路)の行為およびプロセスを指す。これらの
用語は回路、システム、またはアーキテクチャ(例えばレジスタ、メモリ、他の類似した
情報記憶、伝送、または表示装置、等々)内の物理量を同じまたは別のシステムまたはア
ーキテクチャの、他のコンポーネント内の物理量として同様に表される他のデータに操作
または変換する行為およびプロセスを指す。
【0012】
さらに、本出願内で、「線」、および「信号」は電気的、光学的、または波形に基づく
情報を回路における1点から別の点に物理的に移転させる任意の既知の構造、構成、配置
、手法、方法、および/あるいはプロセスを指す。また、本明細書の使用文脈から別途示
されない限り、「既知の」、「固定の」、「一定の」、「ある」、および「所定の」とい
った用語は、理論的には可変であるが、通常前以て設定され、その後使用中に変わらない
値、量、パラメータ、制限、条件、状態、プロセス、手順、方法、実施、またはその組み
合わせを一般的に指す。
【0013】
同様に、便宜上および簡素化の点から、「クロック」、「時間」、「タイミング」、「
率」、「期間」、および「周波数」の用語は一般的に互換性があり、本明細書においても
互換的に使用できるが、概してそれらの技術的に認められる意味を与えられている。さら
に便宜上および簡素化の点から、「データ」、「データ・ストリーム」、「波形」、およ
び「情報」は互換的に使用でき、「接続される」、「と連結される」、「に連結される」
、および「と通信する」(これは直接的または間接的な接続、連結または通信を指し得る
)の用語も同様であるが、本明細書においてこれらの用語は概して技術的に認められる意
味を与えられている。
【0014】
本発明の実施形態は低ノイズ増幅の方法、アルゴリズム、アーキテクチャ、および/あ
るいはシステムに関する。発明の別の態様は低ノイズ増幅器(LNA)における利得を制
御する方法に関する。発明はさらに本アーキテクチャ、方法、および回路のハードウェア
実施に関する。本発明の実施形態はエラー増幅器による電力消費の増加を蒙らない、信頼
性がある簡略化された低ノイズ増幅方法を有利に提供する。さらに本発明の実施形態は比
較的広範囲の電源電圧で動作することができ、また比較的容易に調節可能な利得を含むこ
とができる。発明とその各種態様は代表的な実施形態に関連して以下さらに詳細に説明さ
れる。
【0015】
本発明の各種実施形態によると、利得制御を有する低ノイズ増幅器(LNA)のアーキ
テクチャおよび/あるいは回路は望ましい利得を達成するために3つの段を含むことがで
きる。もちろん最大増幅器利得を増やす/減らすために段を追加し(例えば合計3段を超
える)、または除去する(例えば合計3段未満)ことができる。いずれにせよ、設計を簡
素化しすべての段が単一のバイアス・ネットワークを共有できるよう、含まれる段はすべ
て同じまたは類似したトポロジーを利用することができる。この方法は従来の方法と比較
して電量消費の削減をもたらすことができる。
【0016】
本明細書に示される回路の特定例が対象とする用途は振幅変調(AM)電波受信機で、
低電力消費および感度が強調される。例えば、特定の実施形態の増幅器は自動利得制御(
AGC)機構により設定できる可変利得を含むことができる。一用途において、低ノイズ
増幅器(LNA)は40kHzから77.5kHzの範囲にある周波数sで0.3μVr
msのように小さい信号を受信することができる。一般的に低ノイズ増幅器(LNA)の
利得は周波数および基準電流に依存することができ、周波数が増加すると利得は減少する
ことになる(逆もしかり)。またこの用途の一実施における低ノイズ増幅器(LNA)の
対象利得は約66,000V/Vであったが、他の用途では約20,000V/Vから約
100,000V/Vであることができる。さらに、この用途において、約20kHzの
帯域幅で一定の基準電流に対し段毎の対象利得は約200V/Vから約400V/Vの範
囲にあることができる。もちろん、他の用途および/あるいは他の基準電流を用いる場合
他の利得(段毎および増幅器全体として双方)および帯域幅が存在できる。
【0017】
(増幅器)
増幅器は、(a)入力段で、(i)差動信号を受信するよう構成される第1対の入力ト
ランジスタ、(ii)第1対の入力トランジスタに連結される第1電流ソース・トランジス
タ、(iii)第1バイアス電圧を受け、入力段を第1電源に連結する第1対の電流ロード
・トランジスタ、および(iv)第1対の電流ロード・トランジスタの出力に連結され第1
電流ソース・トランジスタへの電流を制限するよう構成される第1対の同相モードのフィ
ードバック・トランジスタを含み、増幅信号を提供する入力段と、(b)追加段で、(i
)増幅信号を入力段から受信するよう構成される第2対の入力トランジスタ、(ii)第2
対の入力トランジスタに連結される第2電流ソース・トランジスタ、(iii)第1バイア
ス電圧を受け、追加段を第1電源に連結する第2対の電流ロード・トランジスタ、および
(iv)第2対の電流ロード・トランジスタの出力に連結され、第2電流ロード・トランジ
スタへの電流を制限するよう構成される第2対の同相モードのフィードバック・トランジ
スタを含み、増幅出力を提供する追加段と、(c)第1バイアス電圧を第1および第2対
の電流ロード・トランジスタに提供するよう構成される第1バイアス回路と、(d)第1
および第2電流ソース・トランジスタをバイアスするよう構成される1つ以上のバイアス
回路と、を含むことができる。
【0018】
図1は本発明の実施形態による低ノイズ増幅器(LNA(Low Noise Amplifier))1
00の概略ブロック図を示す。低ノイズ増幅器(LNA)100は、バイアス電流または
基準電流である第1バイアス電流I_Bias1および第2バイアス電流I_Bias2を
受信する。第1バイアス電流I_Bias1および第2バイアス電流I_Bias2は同じ
値(例えば約100nA)を有しても良いし、設計上の選択および目的により異なった値
を有しても良い。第1バイアス電流I_Bias1は、電圧調整器102、バイアス・ネ
ットワーク104、第1の回路106、および第3の回路110に供給される。第2バイ
アス電流I_Bias2は、バイアス・ネットワーク104に供給される。さらに、電圧
調整器102は、電源電圧VDD(広義の第1電圧)および接地電位GND(広義の第2
電圧)が印加される。
【0019】
第1バイアス電流I_Bias1は、増幅器段の各々(例えば、第1段の第1の回路1
06、第2段の第2の回路108、および第3段の第3の回路110)においてNMOS
電流ソース・ロード(例えば第2のバイアス電圧N_Bias経由で)、NMOSプルダ
ウン・トランジスタ、およびPMOS電流ソース(例えば第1のバイアス電圧P_Bia
s経由で)をバイアスするのに用いる。第2バイアス電流I_Bias2は、第1段の第
1の回路106の出力(例えば差動信号Vo1P(プラス)および差動信号Vo1N(マ
イナス))の同相モードを設定する基準電圧を生成するために用いる。第1段の第1の回
路106の差動信号Vo1Pおよび差動信号Vo1Nは第2段の第2の回路108への入
力(例えば各々差動信号Vin2Pおよび差動信号Vin2N)となる。同様に、第2段
の第2の回路108の差動信号Vo2Pおよび差動信号Vo2Nは次に第3段の第3の回
路110への入力(例えば各々差動信号Vin3Pおよび差動信号Vin3N)となる。
また、利得制御入力Vcontを用いて第1段の第1の回路106、第2段の第2の回路
108、および第3段の第3の回路110における望ましい利得/減衰を設定することが
できる。第3段の第3の回路110の出力は差動信号(例えば差動信号VoutPおよび
差動信号VoutN)であって良い。さらに、低ノイズ増幅器(LNA)100または低
ノイズ増幅器(LNA)100が実装されている電子機器が動作中でない時の電力消費を
削減するために、イネーブル信号(例えば電圧調整器102への入力としてのEnabl
eおよび/あるいはバイアス・ネットワーク104への入力としてのイネーブル反転信号
Enable_x)を用いて低ノイズ増幅器(LNA)100をオフにすることができる

【0020】
(電圧調整器)
図2は本発明の実施形態による電圧調整器200(例えば、図1の電圧調整器102)
の概略図である。上述したように、電圧調整器200は、イネーブル信号Enableと
第1バイアス電流I_Bias1を受信し、信号VSupplyおよびイネーブル反転信
号Enable_xを出力する。
【0021】
電圧調整器200は、受信した電圧の昇圧または降圧をするため、低ノイズ増幅器(L
NA)100が受信して動作する電圧範囲を拡張することができる。そのため、本発明の
低ノイズ増幅器(LNA)100は、比較的大きな供給範囲が許容される。例えば、一般
的な低ノイズ増幅器(LNA)100では電源電圧VDDが1.2Vから5Vで動作する
。しかし、本実施形態では電源電圧VDDがより低い供給電圧、またはより高い供給電圧
にも対応することができる。例えば、電源電圧VDDが1.2V未満または5V以上の範
囲であっても、低ノイズ増幅器(LNA)100の外部から受信した電源電圧VDDを電
圧調整器200で後段の回路(例えば、図1のバイアス・ネットワーク104、第1段の
第1の回路106、第2段の第2の回路108および第3段の第3の回路110)が動作
可能な電圧(例えば、図1の信号VSupplyの電圧)に調整して出力することで、本
実施形態の低ノイズ増幅器(LNA)100が動作できる。
【0022】
イネーブル信号Enableがアクティブになり電圧調整器200が動作すると、約1
00nAの第1バイアス電流I_Bias1がNMOSトランジスタM201のソースか
らドレインに流れる。第1バイアス電流I_Bias1を供給する端子は、NMOSトラ
ンジスタM201のソース、NMOSトランジスタM201のゲート、NMOSトランジ
スタM202のゲートに接続されている。NMOSトランジスタM201のドレイン、N
MOSトランジスタM202のドレインは第2の電圧(例えば、接地電位GND)に接続
されている。なお、NMOSトランジスタM201,M202のドレインは、それぞれ抵
抗を介して第2の電圧に接続されていてもよい。よって、NMOSトランジスタM201
を流れる第1バイアス電流I_Bias1は、NMOSトランジスタM202にミラーさ
れる。例えば、NMOSトランジスタM201とNMOSトランジスタM202のトラン
ジスタ・サイズ(ゲート幅/ゲート長)が等しい場合は、NMOSトランジスタM201
に流れる電流と略同一の電流がNMOSトランジスタM202にも流れる。本実施例の場
合、NMOSトランジスタM201のソースからドレインへ約100nAの電流が流れる
。本実施例では、NMOSトランジスタM201とNMOSトランジスタM202のトラ
ンジスタ・サイズ比を等しくしているが、NMOSトランジスタM201とNMOSトラ
ンジスタM202のトランジスタ・サイズ比でNMOSトランジスタM202を流れる電
流量を変更することもできる。NMOSトランジスタM202のソースはPMOSトラン
ジスタM206のドレインに接続され、PMOSトランジスタM206のソースは第1の
電圧(例えば、電源電圧VDD)に接続されている。従って、PMOSトランジスタM2
12がオフでPMOSトランジスタM212に電流が流れない場合は、PMOSトランジ
スタM206にもNMOSトランジスタM202と略同一の電流が流れ、約100nAの
電流がPMOSトランジスタM206から引き出される。
【0023】
イネーブル信号Enableは、インバータ208に入力される。インバータ208は
、イネーブル信号Enableの論理を反転させたイネーブル反転信号Enable_x
を出力する。例えば、イネーブル信号Enableの論理が「1」(例えば電源電圧VD
D)の場合は、イネーブル反転信号Enable_xの論理は「0」(例えば接地電位G
ND)になる。逆に、イネーブル信号Enableの論理が「0」(例えば接地電位GN
D)の場合は、イネーブル反転信号Enable_xの論理は「1」(例えば電源電圧V
DD)になる。
【0024】
電圧調整器200はさらに、接地電位GNDと電源電圧VDDとの間に直列に接続され
たPMOSトランジスタM203、NMOSトランジスタM204、PMOSトランジス
タM205を有する。すなわち、PMOSトランジスタM203のドレインは接地電位G
NDに接続され、PMOSトランジスタM203のソースとNMOSトランジスタM20
4のドレインが接続され、NMOSトランジスタM204のソースとPMOSトランジス
タM205のドレインが接続され、PMOSトランジスタM205のソースは電源電圧V
DDに接続されている。イネーブル反転信号Enable_xは、PMOSトランジスタ
M203のゲートに供給される。イネーブル信号Enableが第1のレベル(例えば電
源電圧VDD)でイネーブル反転信号Enable_xが第2のレベル(例えば接地電位
GND)の場合において、PMOSトランジスタM203のゲート電圧には第2のレベル
の電圧が印加され、PMOSトランジスタM203がオンになる。PMOSトランジスタ
212のゲートに第2レベル(接地電位GND)の電荷が印加され、PMOSトランジス
タ212はオフになる。そのため、PMOSトランジスタM206には、NMOSトラン
ジスタを流れる電流と同じ100nAの電流が流れる。PMOSトランジスタM203が
オンの場合、NMOSトランジスタM204のゲートはネガティブフィードバック(負帰
還)により100nAがPMOSトランジスタM203、NMOSトランジスタM204
、およびPMOSトランジスタM205に流れるような電圧レベルへ設定できる。
【0025】
このように、信号VSupplyはPMOSトランジスタM203のゲート・ソース間
電圧VgsとNMOSトランジスタM204のゲート・ソース間電圧Vgsを足した最大
値を有する。電源電圧VDDが低い場合、PMOSトランジスタM203、NMOSトラ
ンジスタM204、およびPMOSトランジスタM205は100nAバイアス電流に対
応できない可能性もある。この場合、PMOSトランジスタM207のゲートをグラウン
ドに落とし、信号VSupplyを電源電圧VDDに荷電することができる。このように
、PMOSトランジスタM207は、PMOSトランジスタM207のゲートが接地電位
GNDに近い場合最小の電圧低下を以って電圧調整器200が必要とする電流を供給する
ようなサイズにする。この設計により電源電圧VDDが比較的広い範囲を有しながら、信
号VSupplyを上述のように最大約Vgs(M203)+Vgs(M204)に制限
することができる。
【0026】
図2の電圧調整器200は、安定化コンデンサ(stabilizing capacitor、安定化容量)
を用いて、イネーブル信号Enable及びイネーブル反転信号Enable_x以外の
端子からの入力または端子への出力を、安定化させている。例えば、電圧調整器200は
、第1バイアス電流I_Bias1を受けるNMOSトランジスタM201およびNMO
SトランジスタM202のゲートを安定化しコンデンサをして機能するNMOSトランジ
スタM210、電圧供給ノードとしての信号VSupplyを安定化しコンデンサとして
機能するNMOSトランジスタM211、電源電圧VDDを安定化させる追加電源キャパ
シタンスC201を含む。NMOSトランジスタM210は、ゲートが第1バイアス電流
I_Bias1に接続され、ソースおよびドレインが接地電位GNDに接続されている。
NMOSトランジスタM211は、ゲートが電圧供給ノードとしての信号VSupply
に接続され、ソースおよびドレインが接地電位GNDに接続されている。NMOSトラン
ジスタM210,M211のソースおよびドレインは、抵抗を介して接地電位GNDに接
続されていても良い。
【0027】
PMOSトランジスタM212のゲートにイネーブル信号Enalbeが供給されてい
るので、イネーブル信号Enableの論理が「0」のとき、PMOSトランジスタM2
12はオンになる。PMOSトランジスタM212のドレインがおよびPMOSトランジ
スタM206のドレインが、PMOSトランジスタM207のゲートに接続されているの
で、PMOSトランジスタM212はPMOSトランジスタM207のオン/オフの制御
に用いることができる。PMOSトランジスタM212がオンになりPMOSトランジス
タM207のゲート電圧を論理「1」(例えば、電源電圧VDD)に引き上げることによ
り、PMOSトランジスタM207をオフにすることができる。
【0028】
(バイアス・ネットワーク)
図3は本発明の実施形態による増幅器(たとえば図1の低ノイズ増幅器(LNA)10
0)内の回路にバイアス信号を提供するよう構成されるバイアス・ネットワーク300(
たとえば図1のバイアス・ネットワーク104)の概略図を示す。
【0029】
バイアス・ネットワーク300は、第1段の第1の回路106(図1参照)、第2段の
第2の回路108(図1参照)および第3段の第3の回路110(図1参照)に供給する
第1のバイアス電圧P_Bias(図1参照)および第2のバイアス電圧N_Bias(図
1参照)を生成する。第1段の第1の回路106、第2段の第2の回路108および第3
段の第3の回路110のPMOSトランジスタに第1のバイアス電圧P_Biasを供給
し、第1段の第1の回路106、第2段の第2の回路108および第3段の第3の回路1
10の電流源の電流量を調整する。電流源は、使用される特定の回路構成により「逆方向
」電流(head current)または「順方向」電流(tail current)を提供する。同様に、第
1段の第1の回路106、第2段の第2の回路108および第3段の第3の回路110の
NMOSトランジスタに第1のバイアス電圧P_Biasと別の第2のバイアス電圧N_B
iasを供給することによって、NMOSトランジスタの電流ロードを制御する。より正
確なトランジスタのサイズ比を作り出すべくトランジスタのレイアウトは多指装置(mult
i-finger device)として構成する。これにより、カレントミラーにおいて精度を高め、
ある電流消費に対する回路帯域幅を減らす可能性のある装置のキャパシタンスを削減でき
る。
【0030】
第1バイアス電流I_Bias1は、低ノイズ増幅器(LNA)100の3つの段(第
1段の第1の回路106、第2段の第2の回路108および第3段の第3の回路110)
をバイアスするのに用いるバイアス電流入力である。ここでは、バイアス電流として10
0nAを例に挙げて説明する。この第1バイアス電流I_Bias1をバイアス・ネット
ワーク300のNMOSトランジスタM310のゲートおよびソースに印加する。NMO
SトランジスタM310のドレインは接地電位GNDに接続されている。また、NMOS
トランジスタM311のゲートにも第1バイアス電流I_Bias1が供給され、NMO
SトランジスタM311のドレインも接地電位GNDに接続されている。NMOSトラン
ジスタM310,M311のドレインは抵抗を介して接地電位GNDに接続されていても
よい。これにより、NMOSトランジスタM310,M311の相対サイズにより、NM
OSトランジスタM310を流れる電流と異なる量の電流をNMOSトランジスタM31
1にミラーすることが出来る。たとえば、NMOSトランジスタM311がNMOSトラ
ンジスタM310のK倍のトランジスタ・サイズを有している場合は、NMOSトランジ
スタM311に約I_Bias1×Kの電流が流れる。本実施例では、K=5の場合を例
に挙げて説明し、500nAがNMOSトランジスタM311にミラーされる。NMOS
トランジスタM311、PMOSトランジスタM324,M325は、第1の電圧源(例
えば接地電位GND)と第2の電圧源(VSupply)との間に直列に接続されている
。これにより、NMOSトランジスタM311を流れる電流量と同じ500nAをPMO
SトランジスタM324,M325から引き出すことができる。
【0031】
PMOSトランジスタM324のゲートは、PMOSトランジスタM324のドレイン
およびPMOSトランジスタM327のゲートと接続されていて、PMOSトランジスタ
M325に流れるこの500nAの電流はPMOSトランジスタM327にミラーされる
。NMOSトランジスタM319は、PMOSトランジスタM327と直列に接続されて
いる。つまり、NMOSトランジスタM319のソースはPMOSトランジスタM327
のドレインに接続され、NMOSトランジスタM319のドレインは接地電位GNDに接
続されている。これにより500nAがNMOSトランジスタM319に印加される。
【0032】
PMOSトランジスタM325のゲートおよびドレインの電圧が第1のバイアス電圧P
_Biasとして出力され、PMOSトランジスタM325は各段のPMOSトランジス
タの電流をバイアスする電流ミラーである。NMOSトランジスタM319のゲートおよ
びソースの電圧が第2のバイアス電圧N_Biasとして出力され、NMOSトランジス
タM319はすべてのNMOS電流ソース・ロードをバイアスする電流ミラーである。比
較的簡単な多指化比率(multi-finger ratio)により低ノイズ増幅器(LNA)100の
各段に対する電流を設定することができる。
【0033】
イネーブル反転信号Enable_xは、NMOSトランジスタM328のゲートに印
加される。イネーブル信号の論理が「0」(例えば接地電位GND)のとき、すなわちイ
ネーブル反転信号の論理が「1」(例えば電源電圧VDD)のとき、NMOSトランジス
タM328はオンになる。同様に、イネーブル信号の論理が「1」(例えば電源電圧VD
D)のとき、すなわちイネーブル反転信号の論理が「0」(例えば接地電位GND)のと
き、NMOSトランジスタM328はオフになる。本実施例の増幅器が使用されていない
場合(例えばイネーブル信号Enableの電圧が低いとき、すなわちイネーブル信号E
nableの論理が「0」で、イネーブル反転信号Enable_xのとき)はNMOS
トランジスタM318,M328を用いて低ノイズ増幅器(LNA)100をオフにする
ことができる。低ノイズ増幅器(LNA)100をディスエーブルするこの方法は、NM
OSトランジスタM318がオンの場合に第1バイアス電流I_Bias1からグラウン
ドへの短絡を防ぐために100nAバイアス電流(第1バイアス電流I_Bias1)を
バイアス・ジェネレータからディスエーブルする必要がある。
【0034】
NMOSトランジスタM320は、そのゲートが第1バイアス電流I_Bias1に接
続されソース・ドレインが接地電位GNDに接続され、DCバイアス線におけるAC成分
を抑制するために用いられる単純なNMOSトランジスタである。差動構造が用いられる
ので、これの殆どは同相モード情報であり、回路によって拒絶され得るが、装置間の固有
の不一致があれば完全な同相モード拒絶ができない可能性がある。
【0035】
第2バイアス電流I_Bias2は約100nAのバイアス電流入力である。これは電
流のPMOSトランジスタM323およびダイオードに接続されるNMOSトランジスタ
M322に電流を印加することにより各段の出力の同相モードを設定する電圧基準を作り
出すことができる。もちろん特定の実施形態において他の適当な第1バイアス電流I_B
ias1の値および第2バイアス電流I_Bias2の値、および電流ミラー用の相対ト
ランジスタ・サイズを利用することができる。例えば、第2バイアス電流I_Bias2
はある実施形態において基準電圧で置き換えることもでき、この場合NMOSトランジス
タM322およびPMOSトランジスタM323は省略することができる。
【0036】
(第1段の回路)
図4は本発明の実施形態による増幅器(例えば図1の低ノイズ増幅器(LNA)100
)の第1段の第1の回路400(例えば図1の第1段の第1の回路106)の該略図を示
す。
【0037】
PMOSトランジスタM301,M302の各々のゲートに差動信号VinPおよび差
動信号VinNが入力され、PMOSトランジスタM301,M302により差動入力が
形成される。PMOSトランジスタはNMOSトランジスタに比べ、比較的優れたノイズ
特性を有する。そのため、差動信号VinPおよび差動信号VinNが入力されるPMO
SトランジスタM301,M302には、PMOSトランジスタを用いるのが好ましい。
PMOSトランジスタM301,M302は、プロセス等に依存したそれぞれのトランジ
スタに固有のフリッカノイズ(1/fノイズ)を有する。フリッカノイズを低減するため
に、PMOSトランジスタM301,M302のゲート電極の面積(ゲート幅×ゲート長
)を第1段の第1の回路400が具備する他のトランジスタより大きくする。また、後述
するように第1段の第1の回路400のSN比は、後段の第2段の第2の回路および第3
段の第3の回路のSN比より大きくする必要があるため、PMOSトランジスタM301
,M302のゲート電極の面積は、それぞれ後段の回路の入力トランジスタのゲート電極
の面積よりも大きくする。フリッカノイズは周波数に依存するノイズで、ノイズの大きさ
は周波数に反比例する。すなわち、それぞれのトランジスタに固有のフリッカノイズは、
高周波より低周波において寄与が大きくなる。そのため、kHzの周波数範囲ではノイズ
の主要な原因となり得る。
【0038】
次いで、周波数に依存しないノイズについて説明する。第1段の第1の回路はノイズ性
能の理由から第2段の第2の回路および第3段の第3の回路より電力を多く消費するよう
に形成されている。特に、第1段の第1の回路の消費電流が後段の消費電流より高いとド
レイン電流のノイズを削減するのに役立つ可能性がある。この種のノイズは周波数に依存
しないという点で前述のフリッカノイズと異なり、トランジスタの電流密度を増加させる
ことでノイズが削減される(SN比が大きくなる)。一実施形態で、第1段の第1の回路
の入力トランジスタとしてのPMOSトランジスタM301,M302は、フリッカノイ
ズが許容できるレベルに削減されるように比較的大きなサイズに設定されている。そのた
め、第1段の第1の回路に流れる電流の量が増加し、ドレイン電流のノイズを容認できる
レベルに削減するのに充分に入力トランジスタ対としてのPMOSトランジスタM301
,M302の電流密度が増加される。本出願で、「許容できるレベル」および/あるいは
「容認できる」はこのようなノイズが原因となる信号処理エラーの可能性が所定および/
あるいは商業的に容認される閾値未満であるレベルを意味する。このドレイン電流ノイズ
は正しい電流密度が達成されるべくバイアス・ネットワークにおけるトランジスタのサイ
ズおよび電流ソース・ロードにも影響を与える。
【0039】
第1段の第1の回路で増幅した差動信号を、さらに第2段の第2の回路および第3段の
第3の回路で増幅するため、第1段の第1の回路の出力に含まれるノイズは第2段の第2
の回路および第3段の第3の回路において信号成分とともに増幅されてしまう。つまり、
第1段の第1の回路のノイズ性能は低ノイズ増幅器(LNA)100全体の入力基準ノイ
ズに作用する可能性があるので、第1段の第1の回路のノイズを第2段の第2の回路及び
第3段の第3の回路などの後段の回路のノイズよりも小さくすることが望ましい。言い換
えると、第1段の第1の回路の出力のSN比は、第2段の第2の回路の出力および第3段
の第3の回路の出力のSN比より高くすることが望ましい。そこで、増幅回路が多段に形
成されている場合、最も前段に位置する増幅回路の消費電流を、その後段に位置する複数
の増幅回路の各々の消費電流よりも大きくする。つまり、第j−1段の第j−1の回路で
増幅した信号を第j段の第jの回路でさらに増幅する増幅器で、第j段の第jの回路の消
費電流をIjとすると、I1>In(nは2以上の整数)となる。例えば、第1段の第1
の回路の消費電流を第2段の第2の回路の消費電流よりも大きくし、かつ第1段の第1の
回路の消費電流を第3段の第3の回路の消費電流よりも大きくする。さらに、最も前段に
位置する1つの増幅回路の消費電流を、その後段に位置する増幅回路が消費する電流の合
計よりも大きくするのが好ましい。つまり、I1>ΣInとなる。例えば、一実施におい
て、第1段の第1の回路は約12μAを消費する一方、第2段の第2の回路および第3段
の第3の回路は合わせて約6μAしか消費しないようにする。
【0040】
本実施形態は、電源電圧VDDを第1の電圧(例えば1.2V)から第1の電圧より高
電圧の第2の電圧(例えば5V)にした場合にも適応できる。また、第1段の第1の回路
などの回路で、第1の電圧から第2の電圧の範囲より高電圧の電源電圧を使用する場合は
、電圧調整器(例えば図2の電圧調整器200)を用いて第1段の第1の回路が動作可能
な電圧である信号VSupplyを生成することで、本実施形態の発明に適用できる。ま
た、第1の電圧から第2の電圧の範囲より低電圧の電源電圧VDDを使用する場合は、電
圧調整器を必要としない場合もある。
【0041】
PMOSトランジスタM306,M307は同相帰還回路(Common Mode Feedback)と
して機能し、第1段の第1の回路のハイ・インピーダンス出力のDCレベルを設定する。
ハイ・インピーダンス出力は、PMOSトランジスタM301のドレインとNMOSトラ
ンジスタM303のソースが接続されている第1のノードN1からコンデンサC301へ
供給される出力と、PMOSトランジスタM302のドレインとNMOSトランジスタM
304のソースが接続されている第2のノードN2からコンデンサC302へ供給される
出力である。第1のノードN1には、同相帰還回路として機能するPMOSトランジスタ
306のゲート、差動信号VinPがゲートに印加されるPMOSトランジスタM301
のドレイン等が接続されている。第2のノードN2には、同相帰還回路として機能するP
MOSトランジスタ307のゲート、差動信号VinNがゲートに印加されるPMOSト
ランジスタM302のドレイン等が接続されている。第1のノードN1のACレベルはコ
ンデンサC301を介して差動信号Vo1Pに出力され、第2のノードN2のACレベル
はコンデンサC302を介して差動信号Vo1Nに出力される。Vo1P/Vo1NのD
Cレベルは、プルダウンNMOSトランジスタM314,M315,M316,M317
によって固定される。本実施形態において、プルダウンNMOSトランジスタM314,
M315,M316,M317はプルダウン・トランジスタで、ゲートには第1バイアス
電流I_Bias1が接続され、プルダウンNMOSトランジスタM314,M316は
差動信号Vo1Nと接地電位GNDの間に直列に接続され、プルダウンNMOSトランジ
スタM315,M317は差動信号Vo1Pと接地電位GNDの間に直列に接続され、V
o1P/Vo1NのDCレベルは接地電位GND近くに固定される。第1段の第1の回路
の入力VinP/VinNと接地電位GNDとの間に接続されるNMOSトランジスタM
312,M313の数より、第1段の第1の回路の出力Vo1P/Vo1Nと接地電位G
NDとの間に接続されるプルダウンNMOSトランジスタM314,M315,M316
,M317の数のほうが多い。
【0042】
増幅器を正常に動作させるために、PMOSトランジスタM306,M307はトライ
オード領域(非飽和領域)でバイアスされる。PMOSトランジスタM306,M307
のソースは信号VSupplyに接続され、ドレインはPMOSトランジスタM305の
ソースに接続されている。PMOSトランジスタM306,M307はトライオード領域
で動作することにより、PMOSトランジスタM305のソースの電圧を調整する。PM
OSトランジスタM305は、第1段の第1の回路のPMOSトランジスタM301,M
302、NMOSトランジスタM303,M304,M308,M309等に電流を供給
する回路であるため、PMOSトランジスタM306,M307は、PMOSトランジス
タM305のソース電圧を調整することにより、ソース・デジェネレイションとして作用
する。このように、PMOSトランジスタM305を流れて第1段の第1の回路のPMO
SトランジスタM301,M302、NMOSトランジスタM308,M309に印加さ
れる電流は、NMOSトランジスタM303,M304の電流ソース・ロードの合計に一
致する。
【0043】
同相モードのフィードバックがなく、PMOSトランジスタM305からの電流がPM
OSトランジスタM306,M307の合計電流に一致しない場合、第1段の第1の回路
の出力にコンデンサを介して接続されるノードのDCレベルが明確に定まらない。ノード
とは、PMOSトランジスタM301がNMOSトランジスタM303に接続する第1の
ノードN1およびPMOSトランジスタM302がNMOSトランジスタM304に接続
する第2のノードN2である。また、電流をソース・ロードするNMOSトランジスタM
303,M304と差動対の信号VinP/VinNを受信するPMOSトランジスタM
301,M302のいずれかがトライオード領域で動作することになり、それらの出力イ
ンピーダンスおよび各々の利得を低下させる可能性がある。
【0044】
バイアス・ネットワーク300のPMOSトランジスタM325,M327(図3参照
)はソース・デジェネレイション(減衰)用にトランジスタである。そのため、第1段の
第1の回路のPMOSトランジスタM306,M307が、バイアス・ネットワーク30
0のPMOSトランジスタM325,M327と同じソース・デジェネレイションを具備
することにより、PMOSトランジスタM305はPMOSトランジスタM325からの
電流をミラーすることができる。これによりPMOSトランジスタM306,M307の
ゲートの同相モード電圧(common mode voltage)は、第2バイアス電流I_Bias2に
よって設定された同相モードの基準電圧になる。PMOSトランジスタM306,M30
7は2つの並列抵抗器のように作用し、出力の同相モード電圧を感知(sense)すること
ができる。差動信号が存在すると、PMOSトランジスタM306,M307の片方の抵
抗が上昇し他方は低下し、PMOSトランジスタM306,M307で形成される並列抵
抗はほぼ一定の抵抗を維持し、PMOSトランジスタM305を流れる電流をデジェネレ
ート(縮退)させる。これにより、NMOSトランジスタM303,M304の電流ソー
ス・ロードのバランスをとることができる。これにより、第1のノードN1および第2の
ノードN2のDCレベルも調整することができる。
【0045】
NMOSトランジスタM312,M313は100nAの電流源である。電流源である
NMOSトランジスタM312,M313は、低ノイズ増幅器(LNA)100の差動信
号VinPおよび差動信号VinNをそれぞれグラウンドにバイアスする。これによって
、本発明の低ノイズ増幅器(LNA)100が、差動信号またはシングルエンド信号アン
テナに使用されることができる。例えば、シングルエンド信号に対応するために第1段の
第1の回路の入力の1つ(例えば差動信号VinPまたは差動信号VinN)を固定する
(例えば基準電圧またはグラウンドに)。実施形態によっては、NMOSトランジスタM
312,M313は回路のノイズ性能に大きな影響がないかもしれない。
【0046】
さらに、第1段の第1の回路400は、NMOSトランジスタM321を有する。NM
OSトランジスタM321は、ゲートがDCバイアス線としての第2のバイアス電圧N_
Biasに接続され、ソースとドレインが接地電位GNDに接続されたNMOSトランジ
スタであり、DCバイアス線としての第2のバイアス電圧N_Bias上のAC成分を抑
制するために用いられる。同様に、DCバイアス線としての第1のバイアス電圧P_Bi
as上のAC成分を抑制するために、NMOSトランジスタM303のゲートとドレイン
を接続し、安定化コンデンサとして機能するトランジスタを設けてもよい。
【0047】
コンデンサC301,C302は第1段と第2段との間(例えば図1の第1段出力/第
2段入力ノード(図5の差動信号Vin2P(図4の差動信号Vo1P)および図5の差
動信号Vin2N(図4の差動信号Vo1N))に位置するAC結合(AC coupling)コ
ンデンサである。AC結合は回路全体に有害になり得る1つの段から次へのDCオフセッ
トの蓄積を防ぐために用いる。コンデンサC301,C302はAC結合コンデンサおよ
び/あるいは次の段における入力のゲート・ソース間コンデンサとの間の容量性分圧によ
る信号損失が大きくないだけ充分なサイズであって良い。同時に、AC結合コンデンサを
過度に大きくするとコンデンサの寄生的底板(コンデンサC301,C302の第2段側
の電極)のため段の帯域幅を劣化させるかもしれない。一実施形態で、MOSコンデンサ
の非線形性のためMOSコンデンサの代わりにポリシコン・コンデンサを用いることがで
きる。ポリシリコン・コンデンサとして、例えばPIPコンデンサ(一対のポリシリコン
の間に絶縁層を介在させたコンデンサ)を用いることができる。
【0048】
プルダウンNMOSトランジスタM314,M315,M316,M317は第2段の
入力をグラウンドでバイアスすることができる。プルダウンNMOSトランジスタM31
4,M315,M316,M317のサイズが第1段と第2段との間のハイパス・フィル
タの極位置を決定できる。このハイパス・フィルタは、対地分路抵抗(shunt resistance
シャント抵抗)(プルダウン・トランジスタ)を有する直列コンデンサ(AC結合)と
みなすことができる。
【0049】
また、第1段の第1の回路400は、NMOSトランジスタM308,M309を有す
る。NMOSトランジスタM308,M309のゲートには、各段のゲインを制御するた
めの信号であるゲイン制御信号Vcountが印加され、NMOSトランジスタM308
,M309は第1段の第1の回路400の増幅率(利得または減衰)の大きさを制御する
。NMOSトランジスタM308,M309はそれぞれ差動信号VinP/VinNが入
力されるPMOSトランジスタM301,M302のソースとドレインを短絡させること
ができる。具体的には、NMOSトランジスタM308のソースはPMOSトランジスタ
M301のソースと、NMOSトランジスタM308のドレインはPMOSトランジスタ
M301のドレインと、それぞれ接続されているため、NMOSトランジスタM308を
オンにすることで、PMOSトランジスタM301のソースとドレインを短絡することが
できる。同様に、NMOSトランジスタM309のソースはPMOSトランジスタM30
2のソースと、NMOSトランジスタM309のドレインはPMOSトランジスタM30
2のドレインと、それぞれ接続されているため、NMOSトランジスタM309をオンに
することで、PMOSトランジスタM302のソースとドレインを短絡することができる
。それにより関連相互コンダクタンスgmを低減させ、第1段の第1の回路の利得を減少
させる。従って、ゲイン制御信号Vcountが印加されるこれらのNMOSトランジス
タM308,M309のトランジスタ・サイズは、第1段の第1の回路の利得/減衰曲線
の勾配を決定することができる。一般的に、ゲイン制御信号Vcountを受信するNM
OSトランジスタM308,M309のトランジスタ・サイズは第1段の第1の回路の利
得の正確な制御のために、第1段の第1の回路の他のNMOSトランジスタM303,M
304,M312,M313、プルダウンNMOSトランジスタM314,M315,M
316,M317より小さくすることができる。
【0050】
第2段の第2の回路および第3段の第3の回路のトポロジー(接続)および動作は第1
段の第1の回路と大体同じか類似している。この第2段の第2の回路は約2μAの電流で
バイアスすることができ、電流は第2段の第2の回路が充分な帯域幅で第3段の第3の回
路を駆動できるだけ大きければ良い。さらに、第2段の第2の回路の後に追加の低電流段
を配置することができ、先行する段が各々追加(または後続)段を充分な帯域幅で駆動で
きさえすれば良い。図4の例において、第3/最終段は約4μAの電流でバイアスするこ
とができ、この電流は充分な帯域幅を以って第3段のロード(例えばミキサ)に対し充分
な駆動力を提供することができる。
【0051】
(第2段の回路)
図5は本発明の実施形態による増幅器(例えば図1の低ノイズ増幅器(LNA)100
)用の第2段の第2の回路500の該略図を示す。入力差動対はPMOSトランジスタM
401,M402により形成される。つまり、差動信号Vin2P(Vo1P)と差動信
号Vin2N(Vo1N)は、それぞれPMOSトランジスタM401,M402のゲー
トに入力される。PMOSトランジスタM406,M407は第2段の第2の回路の出力
(例えばPMOSトランジスタM406,M407のゲート)のDCレベルを設定する同
相モードのフィードバックを提供する。正しい動作のためにPMOSトランジスタM40
6,M407はトライオード領域においてバイアスすることができる。従って、PMOS
トランジスタM405により第2段の第2の回路に印加される電流はNMOSトランジス
タM403,M404の電流ソース・ロードの合計に一致することができる。
【0052】
PMOSトランジスタM406,M407のゲートの同相モード電圧はNMOSトラン
ジスタM403,M404経由で第2のバイアス電圧N_Biasにより設定された同相
モード基準電圧であることができる。PMOSトランジスタM406,M407は2つの
並列な抵抗器として作用し、出力の同相モード電圧を感知することができる。差動信号が
存在する場合、片方の抵抗が上昇し、他方は低下し、これによりほぼ一定の抵抗を維持し
、電流ソース・ロード(たとえばNMOSトランジスタM403,M404)をバランス
させるべくPMOSトランジスタM305(図4参照)をデジェネレート(縮退)させる
か、ソースにおいて電圧降下を提供する。このように、NMOSトランジスタM403,
M404を通る一致電流はPMOSトランジスタM406,M407を通る電流をバラン
スすることができる。コンデンサC401,C402は第2段の第2の回路と第3段の第
3の回路との間で用いられるAC結合コンデンサであり得る。さらに、NMOSトランジ
スタM408,M409は低ノイズ増幅器(LNA)100の第2段の利得/減衰の制御
を可能にし得る。
【0053】
(第3段の回路)
図6は本発明の実施形態により増幅器(例えば図1の低ノイズ増幅器(LNA)100
)用の第3段の第3の回路600の代表的な該略図を示す。入力差動対はPMOSトラン
ジスタM414,M415により形成される。PMOSトランジスタM414,M415
はトライオード領域においてバイアスされ、第3段の第3の回路の出力(例えばVouP
/VoutN)のDCレベルを設定する同相モードのフィードバックを提供することがで
きる。PMOSトランジスタM418により第3段の第3の回路に印加される電流はNM
OSトランジスタM416,M417の電流ソース・ロードの合計に一致することができ
る。
【0054】
PMOSトランジスタM419,M420のゲートの同相モード電圧はNMOSトラン
ジスタM416,M417経由で第2のバイアス電圧N_Biasにより設定された同相
モード基準電圧であることができる。PMOSトランジスタM419,M420は2つの
並列な抵抗器として作用し、出力の同相モード電圧を感知することができる。差動信号が
存在する場合、片方の抵抗が上昇し、他方は低下し、これによりほぼ一定の抵抗を維持し
、電流ソース・ロード(たとえばNMOSトランジスタM416,M417)をバランス
させるべくPMOSトランジスタM305をデジェネレート(縮退)させる。プルダウン
NMOSトランジスタM410,M411,M412,M413は第3段の第3の回路の
入力をグラウンドでバイアスできる。さらに、NMOSトランジスタM421,M422
は低ノイズ増幅器(LNA)100の第3段の第3の回路に対し利得/減衰の制御を提供
することができる。
【0055】
(増幅器の利得を制御する方法)
増幅器で利得を制御する方法は、(a)入力段に差動信号を受信することで、入力段は
(i)入力段の差動入力に連結した第1電流ソース、(ii)第1バイアス電圧を受け入力
段を第1電源に連結する第1電流ロード、および(iii)第1電流ロードの出力に連結し
、第1電流ソースへの電流を制限するよう構成される第1対の同相モードのフィードバッ
ク・トランジスタ、を含み、入力段は増幅信号を提供することと、(b)追加段の入力段
から増幅信号を受信することで、追加段は(i)追加段の差動入力に連結される第2電流
ソース、(ii)第1バイアス電圧を受け、追加段を第1電源に連結する第2電流ロード、
および(iii)第2電流ロードの出力に連結し第2電流ソースへの電流を制限するよう構
成される第2対の同相モードのフィードバック・トランジスタを含み、追加段は増幅信号
を提供することと、(c)第1バイアス電圧を第1および第2電流ロードに提供すること
と、(d)第1電流ソースおよび第2電流ソースをバイアスすることの工程を含むことが
できる。一般的に第1電源はグラウンド電位を含む。
【0056】
図7は本発明の実施形態による低ノイズ増幅器(LNA)100の利得制御する方法の
フロー図を示す。フロー700はステップS702で開始する。同相モードのフィードバ
ック・トランジスタを有する差動入力段を用いて差動入力信号が増幅される(ステップS
704)。差動入力信号は、同様に同相モードのフィードバック・トランジスタを有する
追加段を用いてさらに増幅される(ステップS706)。差動入力信号は次に、同相モー
ドのフィードバック・トランジスタを有する第3段の第3の回路を用いてさらに増幅され
、(ステップS708)、フロー700は終了する(ステップS710)。このように、
少なくとも一実施形態で、方法はさらに増幅された出力を第3段の第3の回路で増幅する
ことを含むことができる。加えて、調整された基準電圧および第1バイアス電圧を増幅段
の3段各々に供給できる。第2段の第2の回路と類似し、第3段の第3の回路は、(i)
第3段の第3の回路の差動入力に連結される第3電流ソース、(ii)第1バイアス電圧を
受け、第3段の第3の回路を第1電源に連結する第3電流ロード、および(iii)第3電
流ロードの出力に連結し第3電流ソースへの電流を制限するよう構成される第3対の同相
モードのフィードバック・トランジスタを含むことができ、第3段の第3の回路は増幅信
号を提供する。
【0057】
各種実施形態において、方法はさらに追加段(例えば図1の第2段の第2の回路108
)に入力段(例えば図1の第1段の第1の回路106)、および/あるいは追加段をさら
なる段(例えば図1の第3段の第3の回路110)に容量的に結合することを含むことが
できる。また、同相モードのフィードバック・トランジスタの第1対および第2対は入力
段、追加段、および(ある場合)第3段に調整された電源電圧を提供するように構成され
ることができる。加えてまたは代わりに、方法はさらに入力段の第1対の利得制御トラン
ジスタに第2バイアス電圧を印加することを含むことができ、第1対の利得制御トランジ
スタは第1電流ソースに連結される。増幅器が第3(差動)段を含む場合、方法はさらに
追加段の第2対の制御トランジスタに第2バイアス電圧を印加することを含むことができ
、第2対の利得制御トランジスタは第2電流ソースに連結される。方法はさらに増幅器を
ディスエーブルし、増幅器がディスエーブルされると第1バイアス電圧を放電することを
含むことができる。
【0058】
上記例は低ノイズ増幅器(LNA)回路のMOSトランジスタの実施を含むが、当業者
であれば、実施形態により他の技術も用いることができることを理解しよう。さらに、当
業者であれば実施形態により電流に基づく差動信号および/あるいは制御も用い得ること
を理解しよう。
【0059】
本発明の特定実施形態に関わる前述の説明は例示および説明の目的で呈される。これら
は網羅的または発明を開示の正確な形態に限定する意図はなく、上記の教示に照らし多数
の修正および変形が可能であることが明らかである。実施形態は発明の原理およびその実
際的な適用を最も良く説明し、それにより他の当業者が検討する特定用途に適するような
修正を加えて発明および各種実施形態を最も良く利用できるように選ばれ説明された。発
明の範囲は本明細書に添付される特許請求の範囲およびこれらの匹敵するものにより定義
されることが意図される。
【0060】
(電子機器)
図8は、本発明の増幅器を用いた電子機器(例えば電波時計)の概略図を示す。アンテ
ナ11で時刻情報を含む無線信号を受信し、入力手段10において電気信号に変換して出
力する。入力手段10から出力された電気信号は、本発明の増幅器に対応する高周波増幅
手段14で増幅され、混合手段(ミキサ)32に入力される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施形態による低ノイズ増幅器(LNA)を示す概略ブロック図。
【図2】本発明の実施形態による低ノイズ増幅器(LNA)供給用の電圧調整器を示す概略図。
【図3】本発明の実施形態による低ノイズ増幅器(LNA)用のバイアス・ネットワークを示す概略図。
【図4】本発明の実施形態による低ノイズ増幅器(LNA)用の代表的な第1段の第1の回路を示す概略図。
【図5】本発明の実施形態による低ノイズ増幅器(LNA)用の代表的な第2段の第2の回路を示す概略図。
【図6】本発明の実施形態による低ノイズ増幅器(LNA)用の代表的な第3段の第3の回路を示す概略図。
【図7】本発明の実施形態による低ノイズ増幅器(LNA)用の利得制御方法を示すフロー。
【図8】本発明の実施形態による電子機器を示す概略ブロック図。
【符号の説明】
【0062】
100…低ノイズ増幅器(LNA)、102…電圧調整器、104…バイアス・ネット
ワーク、106…第1段の第1の回路、108…第2段の第2の回路、110…第3段の
第3の回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
差動信号を受信する第1差動入力と、前記第1差動入力に接続される第1電流ソースと
、第1バイアス電圧を受け第1電源に接続する第1電流ロードと、前記第1電流ロードの
出力に接続され前記第1電流ソースへの電流を制限する第1の一対の同相モードのフィー
ドバック・トランジスタと、を含み、第1の増幅信号を出力する第1の回路と、
前記第1の増幅信号を前記第1の回路から受信する第2差動入力と、前記第2差動入力
に接続される第2電流ソースと、前記第1バイアス電圧が印加され前記第1電源に接続す
る第2電流ロードと、前記第2電流ロードの出力に接続され前記第2電流ロードへの電流
を制限する第2の一対の同相モードのフィードバック・トランジスタと、を含み、第2の
増幅信号を出力する第2の回路と、
前記第1バイアス電圧を前記第1電流ロードおよび前記第2電流ロードに供給する第1
バイアス回路と、
前記第1電流ソースおよび前記第2電流ソースをバイアスするバイアス回路と、を含む
ことを特徴とする増幅器。
【請求項2】
前記増幅信号は前記第1の回路と前記第2の回路との間のAC結合キャパシタンスを含
むことを特徴とする請求項1に記載の増幅器。
【請求項3】
前記第1の回路はさらに、前記第1差動入力および前記第1電流ソースに接続した第1
の1対の利得制御トランジスタを含み、前記第1の一対の利得制御トランジスタは第2バ
イアス電圧が印加されることを特徴とする請求項1に記載の増幅器。
【請求項4】
前記第2の回路はさらに、前記第2差動入力と前記第2電流ソースに連結した第2の1
対の利得制御トランジスタを含み、前記第2の一対の利得制御トランジスタは前記第2バ
イアス電圧を受けることを特徴とする請求項3に記載の増幅器。
【請求項5】
前記第1の一対の同相モードのフィードバック・トランジスタおよび前記第2の一対の
同相モードのフィードバック・トランジスタは調整された電源電圧に連結していることを
特徴とする請求項1に記載の増幅器。
【請求項6】
前記増幅器がディスエーブルされた場合、前記第1バイアス電圧を放電するよう構成さ
れるイネーブル信号を含むことを特徴とする請求項1に記載の増幅器。
【請求項7】
前記第2の増幅信号を前記第2の回路から受信する第3差動入力と、前記第3差動入力
に連結される第3電流ソースと、第1バイアス電圧を受け、前記第2の回路を前記第1電
源に連結する第3電流ロードと、前記第3電流ロードの出力に連結され、前記第3電流ロ
ードへの電流を制限する第3の一対の同相モードのフィードバック・トランジスタとを含
み、第3の増幅出力を出力する第3段を含むことを特徴とする請求項1に記載の増幅器。
【請求項8】
前記第1バイアス回路は前記第1バイアス電圧を生成するためのバイアス電流を受ける
ことを特徴とする請求項1に記載の増幅器。
【請求項9】
前記第1差動入力および前記第2差動入力の各々は、第1の1対の入力トランジスタお
よび第2の1対の入力トランジスタを含み、前記第1の1対の入力トランジスタおよび前
記第2の1対の入力トランジスタは各々PMOSトランジスタであることを特徴とする請
求項1に記載の増幅器。
【請求項10】
前記第1電流ロードおよび前記第2電流ロードの各々は、第1の1対の電流ロード・ト
ランジスタおよび第2の1対の電流ロード・トランジスタを含み、前記第1の1対の電流
ロード・トランジスタおよび前記第2の1対の電流ロード・トランジスタはNMOSトラ
ンジスタであることを特徴とする請求項1に記載の増幅器。
【請求項11】
前記第1電流ソースおよび前記第2電流ソースは各々第1電流ソース・トランジスタお
よび第2電流ソース・トランジスタを含み、前記第1電流ソース・トランジスタおよび第
2電流ソース・トランジスタはPMOSトランジスタを含むことを特徴とする請求項1に
記載の増幅器。
【請求項12】
前記第1の一対の同相モードのフィードバック・トランジスタおよび前記第2の一対の
同相モードのフィードバック・トランジスタはPMOSトランジスタを含むことを特徴と
する請求項1に記載の増幅器。
【請求項13】
第1の電源電圧及び第1のバイアス電流を受信し、第2の電源電圧を生成する電圧調整
回路と、
前記第2の電源電圧、前記第1のバイアス電流および第2のバイアス電流が印加され、
第1のバイアス電圧および第2のバイアス電圧を生成するバイアス生成回路と、
第1の信号と前記第1の差動信号と逆の論理の第2の信号とを受信し、前記電圧調整回
路から前記第2の電源電圧が印加され、前記バイアス生成回路から前記第1のバイアス電
圧及び前記第2のバイアス電圧が印加され、ゲイン調整信号を受信し、前記第1の信号を
増幅した第3の信号と前記第2の信号を増幅した第4の信号を出力する、第1の回路と、
前記第3の信号と前記第4の信号を受信し、前記電圧調整回路から前記第2の電源電圧
が印加され、前記バイアス生成回路から前記第1のバイアス電圧及び前記第2のバイアス
電圧が印加され、前記ゲイン調整信号を受信し、前記第3の信号を増幅した第5の信号と
前記第4の信号を増幅した第6の信号を出力する、第2の回路と、
前記第5の信号と前記第6の信号を受信し、前記電圧調整回路から前記第2の電源電圧
が印加され、前記バイアス生成回路から前記第1のバイアス電圧及び前記第2のバイアス
電圧が印加され、前記ゲイン調整信号を受信し、前記第5の信号を増幅した第7の信号と
前記第6の信号を増幅した第8の信号を出力する、第3の回路と、
を含み、
前記第1の回路は、
前記第1の信号を受信する第1の入力トランジスタと、
前記第2の信号を受信する第2の入力トランジスタと、
前記第1の入力トランジスタのソースが接続される第1のノードと、
前記第2の入力トランジスタのソースが接続される第2のノードと、
前記第2の電源電圧が供給され前記第1のノードの直流レベルを制御する第1のフィ
ードバック・トランジスタと、
前記第2の電源電圧が供給され前記第2のノードの直流レベルを制御する第2のフィ
ードバック・トランジスタと、
前記ゲイン調整信号を受信し、前記ゲイン調整信号に基づいて前記第1の入力トラン
ジスタのソースとドレインを短絡させることを調整する第1のゲイン調整トランジスタと

前記ゲイン調整信号を受信し、前記ゲイン調整信号に基づいて前記第2の入力トラン
ジスタのソースとドレインを短絡させることを調整する第2のゲイン調整トランジスタと

前記第1のフィードバック・トランジスタおよび前記第2のフィードバック・トラン
ジスタと、前記第1の入力トランジスタ、前記第2の入力トランジスタ、前記第1のゲイ
ン調整トランジスタ及び前記第2のゲイン調整トランジスタと、の間に設けられ、前記第
1のバイアス電圧が印加された第1の減衰調整トランジスタと、
前記第1のノードに接続され交流成分を出力する第1のコンデンサと、
前記第2のノードに接続され交流成分を出力する第2のコンデンサと、
前記第1の信号をプルダウンする第1のプルダウン抵抗と、
前記第2の信号をプルダウンする第2のプルダウン抵抗と、
前記第1のコンデンサの出力に接続され、前記第3の信号をプルダウンする第3のプ
ルダウン抵抗と、
前記第2のコンデンサの出力に接続され、前記第4の信号をプルダウンする第4のプ
ルダウン抵抗と、
を含み、
前記第2の回路は、
前記第3の信号を受信する第3の入力トランジスタと、
前記第4の信号を受信する第4の入力トランジスタと、
前記第3の入力トランジスタのソースが接続される第3のノードと、
前記第4の入力トランジスタのソースが接続される第4のノードと、
前記第2の電源電圧が供給され前記第3のノードの直流レベルを制御する第3のフィ
ードバック・トランジスタと、
前記第2の電源電圧が供給され前記第4のノードの直流レベルを制御する第4のフィ
ードバック・トランジスタと、
前記ゲイン調整信号を受信し、前記ゲイン調整信号に基づいて前記第3の入力トラン
ジスタのソースとドレインを短絡させることを調整する第3のゲイン調整トランジスタと

前記ゲイン調整信号を受信し、前記ゲイン調整信号に基づいて前記第4の入力トラン
ジスタのソースとドレインを短絡させることを調整する第4のゲイン調整トランジスタと

前記第3のフィードバック・トランジスタおよび前記第4のフィードバック・トラン
ジスタと、前記第3の入力トランジスタ、前記第4の入力トランジスタ、前記第3のゲイ
ン調整トランジスタ及び前記第4のゲイン調整トランジスタと、の間に設けられ、前記第
1のバイアス電圧が印加された第2の減衰調整トランジスタと、
前記第3のノードに接続され交流成分を出力する第3のコンデンサと、
前記第4のノードに接続され交流成分を出力する第4のコンデンサと、
を含むことを特徴とする増幅器。
【請求項14】
前記第1の回路の消費電流は、前記第2の回路の消費電流より大きく、
前記第1の入力トランジスタは、前記第3の入力トランジスタよりゲート電極のサイズ
が大きく、
前記第2の入力トランジスタは、前記第4の入力トランジスタよりゲート電極のサイズ
が大きいことを特徴とする請求項13に記載の増幅器。
【請求項15】
低ノイズ増幅器(LNA)の利得を制御する方法であって、
入力段に差動信号を受信することで、入力段は(i)前記入力段の差動入力に連結した
第1電流ソースと、(ii)第1バイアス電圧を受け前記入力段を第1電源に連結する第1
電流ロードと、(iii)前記第1電流ロードの出力に連結し、前記第1電流ソースへの電
流を制限するよう構成される第1対の同相モードのフィードバック・トランジスタとを含
み、前記入力段は増幅信号を提供することと、
追加段が前記入力段から前記増幅信号を受信することで、前記追加段は(i)前記追加
段の差動入力に連結される第2電流ソースと、(ii)前記第1バイアス電圧を受け、前記
追加段を前記第1電源に連結する第2電流ロードと、(iii)前記第2電流ロードの出力
に連結し前記第2電流ソースへの電流を制限するよう構成される第2対の同相モードのフ
ィードバック・トランジスタとを含み、前記追加段は増幅信号を提供することと、
前記第1バイアス電圧を前記第1電流ロードおよび前記第2電流ロードに提供すること
と、
前記第1電流ソースおよび前記第2電流ソースをバイアスすることと、の工程を含むこ
とを特徴とする低ノイズ増幅器(LNA)の利得を制御する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−289156(P2008−289156A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−129292(P2008−129292)
【出願日】平成20年5月16日(2008.5.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】