増幅回路及びA/D変換器
【課題】起動時間を短縮し、消費電力の増加を抑制する。
【解決手段】電源電圧Vddと出力ノードVyとの間に接続され、切り替え制御信号が第1の値をとる時にオンし、第2の値をとる時にオフする電流源101と、入力電圧Vinによって電流量が制御される接地された電圧制御電流源104と、前記電圧制御電流源と前記出力ノードとの間に接続されたカスコードトランジスタ102と、前記カスコードトランジスタのゲート電極とソース電極との間に接続されたブーストアンプ103と、前記ブーストアンプの出力ノードとバイアス電圧Vbとの間に接続され、前記切り替え制御信号の値が前記第2の値から前記第1の値へ切り替わるに伴い所定時間オンし、前記ブーストアンプを強制的に立ち上げるスイッチSW13と、を備える。
【解決手段】電源電圧Vddと出力ノードVyとの間に接続され、切り替え制御信号が第1の値をとる時にオンし、第2の値をとる時にオフする電流源101と、入力電圧Vinによって電流量が制御される接地された電圧制御電流源104と、前記電圧制御電流源と前記出力ノードとの間に接続されたカスコードトランジスタ102と、前記カスコードトランジスタのゲート電極とソース電極との間に接続されたブーストアンプ103と、前記ブーストアンプの出力ノードとバイアス電圧Vbとの間に接続され、前記切り替え制御信号の値が前記第2の値から前記第1の値へ切り替わるに伴い所定時間オンし、前記ブーストアンプを強制的に立ち上げるスイッチSW13と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増幅回路及びA/D変換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パイプラインA/D変換器、可変ゲインアンプ等の離散時間アナログ信号処理回路を実現する回路技術として、スイッチトキャパシタアンプ回路が知られている。スイッチトキャパシタアンプ回路は、キャパシタ、アンプ、及び複数のスイッチを有し、当該複数のスイッチを切り替えることにより、キャパシタに入力電圧をサンプリング又はホールドするものである。
【0003】
このようなスイッチトキャパシタアンプ回路を低消費電力化する手法として、スイッチトオペアンプが知られている。この手法では、スイッチトキャパシタアンプ回路の2つの動作モード(サンプルモードとアンプモード)のうち、オペアンプを使用しないサンプルモードの期間中、オペアンプがオフにされる。また、出力インピーダンスを増加して、アンプの開ループゲインを高めるためのブーストアンプの技術を組み合わせたスイッチトオペアンプが提案されている。
【0004】
スイッチトオペアンプでは、オペアンプをオフからオンへ切り替えた際のアンプの立ち上がり時間が長いと、オフにしておける期間が短くなり、省電力の効果が得られず、高速化への対応ができなくなるという問題があった。
【0005】
通常、スイッチトオペアンプのオン・オフの切り替えは、アンプの電流源トランジスタのバイアス電圧を切り替えることで行われている。しかし、このバイアス電圧ノードには、バイアス電圧を一定に保つため、大きなデカップリング容量が付けられていることがある。従って、オフからオンへ切り替える時に、大きな容量を充電する必要が生じ、立ち上がり時間が長くなっていた。
【0006】
そこで、大きな容量が付いているバイアス電圧ノードを切り替える代わりに、寄生容量の小さなブーストアンプの出力ノードの接続を切り替えることによって、立ち上がり時間を短くすることが提案されている(非特許文献1参照)。
【0007】
このような従来技術を低電圧で実現する場合、信号振幅確保のため、メインアンプのカスコードトランジスタに、大きなサイズのトランジスタが使用される。そのため、ブーストアンプの出力ノードとメインアンプの出力ノードとの間に、大きな寄生容量がつき、結果的にメインアンプの起動時間が長くなる。これは、アンプのオン・オフ切り替え動作によるメインアンプ出力ノードの電圧変化が、寄生容量カップリングにより、ブーストアンプの出力ノードに伝わるためである。そのため、従来技術の構成を用いて起動時間を短くするためには、ブーストアンプの駆動能力を大きくする必要があり、省電力の効果が得られなくなるという問題があった。
【非特許文献1】Imran Ahmed and David A. Johns, “A 50-MS/s (35 mW) to 1-kS/s (15 μW) Power Scaleable 10-bit Pipelined ADC Using Rapid Power-On Opamps and Minimal Bias Current Variation”, IEEE Journal of Solid-State Circuits, Dec. 2005, Vol.40, No.12,
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、起動時間を短縮し、消費電力の増加を抑制できる増幅回路及びA/D変換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様による増幅回路は、入力信号を増幅し増幅信号を出力ノードから出力する増幅回路であって、第1の基準電圧線と前記出力ノードとの間に接続され、切り替え制御信号が第1の値をとる時に定電流を発生させ、前記切り替え制御信号が第2の値をとる時は前記定電流の発生を行わない電流源と、第2の基準電圧線に接続し、前記入力信号によって電流量が制御される電圧制御電流源と、ドレイン電極が前記電流源及び前記出力ノードに接続され、ソース電極が前記電圧制御電流源に接続され、前記増幅信号を出力するカスコードトランジスタと、入力端子及び出力端子を有し、前記入力端子が前記カスコードトランジスタの前記ソース電極に接続され、前記出力端子が前記カスコードトランジスタのゲート電極に接続されたブーストアンプと、前記出力ノードと前記第2の基準電圧線との間に接続され、前記切り替え制御信号が前記第1の値をとる時にオフし、前記第2の値をとる時にオンする第1のスイッチと、前記ブーストアンプの出力端子と所定電圧を有する電圧線との間に接続され、前記切り替え制御信号の値が前記第2の値から前記第1の値へ切り替わるに伴い所定時間オンし、前記所定時間の経過後はオフする第2のスイッチと、を備えるものである。
【0010】
本発明の一態様による増幅回路は、差動入力信号を増幅し、第1及び第2の出力ノードから差動増幅信号を出力する増幅回路であって、ゲート電極に前記差動入力信号が与えられるトランジスタ差動対と、第1の基準電圧線と前記第1及び第2の出力ノードとの間に接続され、第1のブーストアンプを含み、前記トランジスタ差動対とは異なる導電型のトランジスタを用いた第1のカスコード段と、第2の基準電圧線と前記第1及び第2の出力ノードとの間に設けられ、第2のブーストアンプを含み、前記トランジスタ差動対と同じ導電型のトランジスタを用いた第2のカスコード段と、前記トランジスタ差動対の共通ソース電極と前記第2の基準電圧線との間に接続され、切り替え制御信号が第1の値をとる時にオンして電流源として動作し、第2の値をとる時にオフする電流源トランジスタと、前記第1の出力ノードと前記第1の基準電圧線との間に接続され、前記切り替え制御信号が前記第1の値をとる時にオフし、前記第2の値をとる時にオンする第1のスイッチと、前記第2の出力ノードと前記第1の基準電圧線との間に接続され、前記切り替え制御信号が前記第1の値をとる時にオフし、前記第2の値をとる時にオンする第2のスイッチと、前記第1のブーストアンプの出力端子と第1の所定電圧を有する第1の電圧線との間に接続され、前記切り替え制御信号の値が前記第2の値から前記第1の値へ切り替わるに伴い所定時間オンし、前記所定時間の経過後はオフする第3のスイッチと、前記第2のブーストアンプの出力端子と第2の所定電圧を有する第2の電圧線との間に接続され、前記切り替え制御信号の値が前記第2の値から前記第1の値へ切り替わるに伴い所定時間オンし、前記所定時間の経過後はオフする第4のスイッチと、を備えるものである。
【0011】
本発明の一態様によるA/D変換器は、前記増幅回路を含み、サンプルモードとアンプモードの2つの動作モードを有するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、起動時間を短縮し、消費電力の増加を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
(第1の実施形態)図1に本発明の第1の実施形態に係る増幅回路の概略構成を示す。増幅回路100は電流源101、カスコードトランジスタ102、ブーストアンプ103、電圧制御電流源104、及びスイッチSW11〜SW13を備える。電流源101は電源電圧Vddが与えられ、定電流を発生する。スイッチSW11は、電流源101で発生した電流をカスコードトランジスタ102に供給するか否かを切り替える。スイッチSW11は切り替え制御信号CS11によりオン・オフ制御される。
【0015】
増幅回路100の出力端子T1は、カスコードトランジスタ102のドレイン電極(図示せず)に接続される。また、出力端子T1はスイッチSW12を介して接地される。スイッチSW12は切り替え制御信号CS12によりオン・オフ制御される。切り替え制御信号CS12は切り替え制御信号CS11を反転した値をとる。
【0016】
この増幅回路100をオンさせる時は、切り替え制御信号CS11がハイレベル、切り替え制御信号CS12がローレベルとなり、スイッチSW11がオン、スイッチSW12がオフする。また、この増幅回路100をオフさせる時は、切り替え制御信号CS11がローレベル、切り替え制御信号CS12がハイレベルとなり、スイッチSW11がオフ、スイッチSW12がオンする。
【0017】
ブーストアンプ103はこの増幅回路100の出力インピーダンスを増加させるものであり、その反転入力端子及び出力端子がそれぞれカスコードトランジスタ102のソース電極、ゲート電極(共に図示せず)に接続される。ブーストアンプ103の非反転入力端子には所定の電圧Vrが入力される。
【0018】
また、ブーストアンプ103の出力端子(出力ノードVx)には、スイッチSW13を介してバイアス電圧Vbが供給される。スイッチSW13は、切り替え制御信号CS13によってオン・オフ制御され、増幅回路100のオン時(立ち上がり時)に所定時間オンする。
【0019】
電圧制御電流源104は、入力電圧Vinが供給され、入力電圧Vinによって流れる電流量が制御される。
【0020】
このような増幅回路100の動作を図2に示す切り替え制御信号CS11〜CS13のタイミングチャートを用いて説明する。なお、切り替え制御信号CS11〜CS13は図示しない周辺回路等により生成される。
【0021】
期間T1では、切り替え制御信号CS11がローレベル、すなわちスイッチSW11がオフとなり、増幅回路100はオフとなる。また、この時、切り替え制御信号CS12がハイレベル、すなわちスイッチSW12がオンとなり、増幅回路100の出力ノードVyは接地される。
【0022】
期間T2では、切り替え制御信号CS11が立ち上がってハイレベルとなり、スイッチSW11がオンし、増幅回路100はオンする。切り替え制御信号CS12はローレベル、すなわちスイッチSW12はオフとなり、出力ノードVyはグランド電位から切り離される。また、切り替え制御信号CS13が立ち上がってハイレベルとなり、スイッチSW13がオンする。
【0023】
スイッチSW13がオンすると、ブーストアンプ103の出力ノードVxはバイアス電圧Vbに接続される。これにより、ブーストアンプ103は強制的に立ち上げられ、起動時間が短縮される。また、出力ノードVyと出力ノードVxとの間の寄生容量による寄生容量によるカップリングの影響を受けなくなる。また、ブーストアンプ103が完全に立ち上がっていなくても増幅回路100は動作を開始するため、増幅回路100全体としての起動時間を短縮できる。
【0024】
バイアス電圧Vbは、ブーストアンプ103内のトランジスタが飽和領域で動作する電位であれば、どのような電位でも良い。バイアス電圧Vbは、ブーストアンプ103の動作点付近の電位にすることがさらに好適である。
【0025】
期間T3では、切り替え制御信号CS13がローレベルとなり、スイッチSW13がオフし、出力ノードVxはバイアス電圧Vbから切り離される。これにより、ブーストアンプ103は増幅回路100(カスコードトランジスタ102)の出力インピーダンスを増加させることができる。
【0026】
増幅回路100では、このような期間T1〜T3が繰り返される。なお、期間T2では、ブーストアンプ103は増幅回路100の出力インピーダンスを増加する役割を果たしていないが、例えばこの増幅回路100がスイッチトキャパシタアンプ回路に含まれている場合、期間T2における動作をサンプルモード期間(アンプを使用しない期間)に行うようにすればよい。つまり、期間T1及びT2がスイッチトキャパシタアンプ回路のサンプルモード期間、期間T3がアンプモード期間となる。
【0027】
このように、増幅回路100の立ち上げに伴いブーストアンプ103の出力ノードにバイアス電圧Vbを印加してブーストアンプ103を強制的に立ち上げることで、増幅回路100の起動時間を短縮することができる。また、ブーストアンプの駆動能力を大きくする必要がないため、消費電力の増加を抑えることができる。
【0028】
なお、バイアス電圧Vbは、周辺回路等で使用されるバイアス回路の一部、例えばカレントミラー回路、から容易に作成することができる。従って、回路規模や消費電力を増大させることなくバイアス電圧Vbを得ることができる。
【0029】
本実施形態では、図1に示すように、出力からみてカスコードトランジスタ102がグラウンド側に設けられているが、逆極性にして電源電位Vdd側に設けるようにしてもよい。
【0030】
また、電圧制御電流源104は入力電圧Vinでなく、周辺回路等で生成されたバイアス電圧を与えるようにしてもよい。
【0031】
(第2の実施形態)図3に本発明の第2の実施形態に係る増幅回路200の概略構成を示す。上記第1の実施形態では一方の極性のみのカスコードトランジスタを用いて増幅回路を構成していたが、本実施形態に係る増幅回路200はP−chカスコードトランジスタ202とN−chカスコードトランジスタ203とを組み合わせて用いるものである。
【0032】
増幅回路200は、トランジスタ(P−chトランジスタ)201、P−chカスコードトランジスタ202、N−chカスコードトランジスタ203、トランジスタ(N−chトランジスタ)204、ブーストアンプ205、206、及びスイッチSW21〜SW24を備える。
【0033】
トランジスタ201のソース電極は電源電圧Vddに接続され、ゲート電極にはバイアス電圧Vbが与えられる。バイアス電圧Vbはトランジスタ201をオンできる電圧となっている。また、トランジスタ201のゲート電極はスイッチSW21を介して電源電圧Vddに接続される。スイッチSW21は切り替え制御信号CS21によってオン・オフ制御される。
【0034】
トランジスタ201のドレイン電極とP−chカスコードトランジスタ202のソース電極との接続点にブーストアンプ205の入力が接続される。P−chカスコードトランジスタ202のゲートとブーストアンプ205の出力が接続される。また、ブーストアンプ205の出力ノードVx1はスイッチSW23を介してバイアス電圧Vbpに接続される。スイッチSW23は切り替え制御信号CS22によってオン・オフ制御される。
【0035】
P−chカスコードトランジスタ202のドレイン電極とN−chカスコードトランジスタ203のドレイン電極との接続点に増幅回路200の出力端子T2が接続される。また、増幅回路200の出力ノードVyはスイッチSW22を介してグラウンド電位に接続される。スイッチSW22は、スイッチSW21と同様に、切り替え制御信号CS21によってオン・オフ制御される。
【0036】
N−chカスコードトランジスタ203のゲート電極はブーストアンプ206の出力に接続される。ブーストアンプ206の出力ノードVx2はスイッチSW24を介してバイアス電圧Vbnに接続される。スイッチSW24は、スイッチSW23と同様に、切り替え制御信号CS22によってオン・オフ制御される。
【0037】
トランジスタ204のドレイン電極とN−chカスコードトランジスタ203のソース電極との接続点にブーストアンプ206の入力が接続される。トランジスタ204のゲート電極は入力端子T1に接続され、入力電圧Vinが与えられる。トランジスタ204のドレイン電極は接地される。
【0038】
次に、増幅回路200の動作を説明する。なお、切り替え制御信号CS21、CS22のタイミングチャートはそれぞれ図2に示す上記第1の実施形態における切り替え制御信号CS12、CS13と同様のものとなるため、図2を用いて説明を行う。
【0039】
期間T1では、切り替え制御信号CS21がハイレベルであり、スイッチSW21がオンし、トランジスタ201はオフするため、増幅回路200はオフとなる。この時、スイッチSW22はオンとなり、出力ノードVyはグラウンド電位に接続される。また、この時、切り替え制御信号CS22はローレベルであり、スイッチSW23、SW24はオフする。
【0040】
期間T2では、切り替え制御信号CS21がローレベルとなり、スイッチSW21がオフし、トランジスタ201はオンして電流源として動作する。これにより、増幅回路200はオンとなる。この時、スイッチSW22はオフとなり、出力ノードVyはグラウンド電位から切り離される。
【0041】
また、切り替え制御信号CS22が立ち上がってハイレベルとなり、スイッチSW23、SW24がオンする。スイッチSW23がオンするとブーストアンプ205の出力ノードVx1がバイアス電圧Vbpに接続され、ブーストアンプ205は強制的に立ち上げられる。同様に、スイッチSW24がオンするとブーストアンプ206の出力ノードVx2がバイアス電圧Vbnに接続され、ブーストアンプ206は強制的に立ち上げられる。
【0042】
従って、ブーストアンプ205、206の起動時間が短縮される。また、ブーストアンプ205、206が完全に立ち上がっていなくても増幅回路200は動作を開始するため、増幅回路200全体としての起動時間を短縮できる。
【0043】
期間T3では、切り替え制御信号CS22が立ち下がりローレベルとなる。これにより、ブーストアンプ205、206は、出力ノードVx1、Vx2がバイアス電圧Vbp、Vbnから切り離され、増幅回路200の出力インピーダンスを増加させる。
【0044】
このように、両極性のカスコードトランジスタを用いた場合も、増幅回路の起動時に、ブーストアンプの出力ノードに対して所定時間バイアス電圧を印加して強制的に立ち上げることで、起動時間を短縮することができる。従って、本実施形態に係る増幅回路も上記第1の実施形態と同様に、起動時間を短縮し、オフにしておける時間を長くすることで、消費電力の増加を抑制できる。
【0045】
上記第2の実施形態において、バイアス電圧Vbpは、ブーストアンプ205の動作点付近の電位にすることが好適である。また、バイアス電圧Vbnは、ブーストアンプ206の動作点付近の電位にすることが好適である。
【0046】
(第3の実施形態)図4に本発明の第3の実施形態に係る増幅回路300の概略構成を示す。図3に示す上記第2の実施形態に係る増幅回路200が単相構成であったのに対し、本実施形態に係る増幅回路300は差動構成となっている。ここでは、テレスコピック型に適用した。
【0047】
増幅回路300は、P−chトランジスタ301〜304、N−chトランジスタ305〜309、ブーストアンプ310、311、及びスイッチSW31〜SW37を備える。スイッチSW31、SW32、及びSW37は切り替え制御信号CS31によってオン・オフ制御される。スイッチSW33〜SW36は切り替え制御信号CS32によってオン・オフ制御される。
【0048】
差動対を構成するトランジスタ307、308のゲート電極に差動入力信号Vin−、Vin+が入力される。カスコード接続された1対のトランジスタ305、306のドレイン電極から、増幅された差動信号Vout+、Vout−が出力される。増幅回路300の出力ノードはそれぞれスイッチSW31、SW32を介して電源電圧Vddに接続される。
【0049】
ブーストアンプ310の2つの出力端子はそれぞれカスコード接続された1対のトランジスタ303、304のゲート電極に接続され、2つの入力端子はそれぞれトランジスタ303、304のソース電極(カスコード接続された1対のトランジスタ301、302のドレイン電極)に接続される。また、ブーストアンプ310の出力ノードはスイッチSW33、SW34を介してバイアス電圧Vbpに接続される。
【0050】
ブーストアンプ311の2つの出力端子はそれぞれトランジスタ305、306のゲート電極に接続され、2つの入力端子はそれぞれトランジスタ305、306のソース電極に接続される。また、ブーストアンプ311の出力ノードはスイッチSW35、SW36を介してバイアス電圧Vbnに接続される。
【0051】
このように、ブーストアンプ310はトランジスタ303、304で共用される。また、ブーストアンプ311はトランジスタ305、306で共用される。
【0052】
トランジスタ301、302のゲート電極は互いに所定電圧に接続され、ドレイン電極はトランジスタ303、304のソース電極に接続される。また、トランジスタ301、302の共通ソース電極は電源電圧Vddに接続される。
【0053】
トランジスタ309のドレイン電極はトランジスタ307、308の共通ソース電極に接続され、ソース電極はグラウンド電位に接続される。トランジスタ309のゲート電極には、トランジスタ309をオンできる程度のバイアス電圧Vbが印加される。また、トランジスタ309のゲート電極はスイッチSW37を介してグラウンド電位に接続される。トランジスタ309は電流源となる。
【0054】
バイアス電圧Vbn、Vbp、Vb、切り替え制御信号CS31、CS32は周辺回路等において生成される。
【0055】
切り替え制御信号CS31、CS32のタイミングチャートはそれぞれ図2に示す上記第1の実施形態における切り替え制御信号CS12、CS13と同様のものとなるため、図2を用いて増幅回路300の動作の説明を行う。
【0056】
期間T1では、切り替え制御信号CS31がハイレベルであり、スイッチSW37がオンし、トランジスタ309はオフするため、増幅回路300はオフとなる。この時、スイッチSW31、SW32はオンとなり、増幅回路300の出力ノードは電源電位Vddに接続される。また、この時、切り替え制御信号CS32はローレベルであり、スイッチSW33〜SW36はオフする。
【0057】
期間T2では、切り替え制御信号CS31がローレベルとなり、スイッチSW37がオフし、トランジスタ309はオンして電流源として動作する。これにより、増幅回路300はオンとなる。この時、スイッチSW31、SW32はオフとなり、出力ノードが電源電位から切り離される。
【0058】
また、切り替え制御信号CS32が立ち上がってハイレベルとなり、スイッチSW33〜SW36がオンする。スイッチSW33、SW34がオンすると、ブーストアンプ310の出力ノードがバイアス電圧Vbpに接続され、ブーストアンプ310は強制的に立ち上げられる。同様に、スイッチSW35、SW36がオンすると、ブーストアンプ311の出力ノードがバイアス電圧Vbnに接続され、ブーストアンプ311は強制的に立ち上げられる。
【0059】
従って、ブーストアンプ310、311の起動時間が短縮される。また、ブーストアンプ310、311が完全に立ち上がっていなくても増幅回路300は動作を開始するため、増幅回路300全体としての起動時間を短縮できる。
【0060】
期間T3では、切り替え制御信号CS32が立ち下がりローレベルとなる。これにより、ブーストアンプ310、311は、それぞれ出力ノードがバイアス電圧Vbp、Vbnから切り離され、増幅回路300の出力インピーダンスを増加させる。
【0061】
このように、差動構成とした場合でも、増幅回路の起動時に、ブーストアンプの出力ノードに対して所定時間バイアス電圧を印加して強制的に立ち上げることで、起動時間を短縮することができる。従って、本実施形態に係る増幅回路によっても、起動時間が短縮することでオフにしておける時間が長くなり、消費電力の増加を抑制できる。
【0062】
(第4の実施形態)図5に本発明の第4の実施形態に係る増幅回路400の概略構成を示す。増幅回路400はフォールディッドカスコード型の構成となっている。
【0063】
増幅回路400は、P−chトランジスタ401〜404、N−chトランジスタ405〜411、ブーストアンプ412、413、及びスイッチSW41〜SW47を備える。
【0064】
スイッチSW41、SW42、及びSW47は切り替え制御信号CS41によってオン・オフ制御される。スイッチSW43〜SW46は切り替え制御信号CS42によってオン・オフ制御される。
【0065】
差動対を構成するトランジスタ409、410のゲート電極に差動入力信号Vin−、Vin+が入力される。カスコード接続された1対のトランジスタ405、406のドレイン電極から増幅され差動信号Vout+、Vout−が出力される。増幅回路400の出力ノードはそれぞれスイッチSW41、SW42を介して電源電圧Vddに接続される。
【0066】
ブーストアンプ412の2つの出力端子はそれぞれカスコード接続された1対のトランジスタ403、404のゲート電極(カスコード接続された1対のトランジスタ401、402のドレイン電極)に接続され、2つの入力端子はそれぞれトランジスタ403、404のソース電極に接続される。また、ブーストアンプ412の出力ノードはスイッチSW43、SW44を介してバイアス電圧Vbpに接続される。
【0067】
ブーストアンプ413の2つの出力端子はそれぞれトランジスタ405、406のゲート電極に接続され、2つの入力端子はそれぞれトランジスタ405、406のソース電極(カスコード接続された1対のトランジスタ407、408のドレイン電極)に接続される。また、ブーストアンプ413の出力ノードはスイッチSW45、SW46を介してバイアス電圧Vbnに接続される。
【0068】
このように、ブーストアンプ412はトランジスタ403、404で共用される。また、ブーストアンプ413はトランジスタ405、406で共用される。
【0069】
トランジスタ401、402のゲート電極は互いに接続され、ドレイン電極はトランジスタ403、404のソース電極、及びトランジスタ409、410のドレイン電極に接続される。また、トランジスタ401、402の共通ソース電極は電源電圧Vddに接続される。
【0070】
トランジスタ411のドレイン電極はトランジスタ409、410の共通ソース電極に接続され、ソース電極は接地される。トランジスタ407、408、411のゲート電極には、トランジスタ407、408、411をオンできる程度のバイアス電圧Vbが印加される。また、トランジスタ407、408、411のゲート電極はスイッチSW47を介してグラウンド電位に接続される。トランジスタ309は電流源となる。
【0071】
トランジスタ407、408のドレイン電極はトランジスタ405、406のソース電極に接続される。また、トランジスタ407、408の共通ソース電極は接地される。
【0072】
バイアス電圧Vbn、Vbp、Vb、切り替え制御信号CS41、CS42は周辺回路等において生成される。
【0073】
切り替え制御信号CS41、CS42のタイミングチャートはそれぞれ図2に示す上記第1の実施形態における切り替え制御信号CS12、CS13と同様のものとなるため、図2を用いて増幅回路400の動作の説明を行う。
【0074】
期間T1では、切り替え制御信号CS41がハイレベルであり、スイッチSW47がオンし、トランジスタ407、408、411はオフするため、増幅回路400はオフとなる。この時、スイッチSW41、SW42はオンとなり、増幅回路400の出力ノードは電源電位Vddに接続される。また、この時、切り替え制御信号CS42はローレベルであり、スイッチSW43〜SW46はオフする。
【0075】
期間T2では、切り替え制御信号CS41がローレベルとなり、スイッチSW47がオフし、トランジスタ407、408、411はオンして電流源として動作する。これにより、増幅回路400はオンとなる。この時、スイッチSW41、SW42はオフとなり、出力ノードが電源電位から切り離される。
【0076】
また、切り替え制御信号CS42が立ち上がってハイレベルとなり、スイッチSW43〜SW46がオンする。スイッチSW43、SW44がオンすると、ブーストアンプ412の出力ノードがバイアス電圧Vbpに接続され、ブーストアンプ412は強制的に立ち上げられる。同様に、スイッチSW45、SW46がオンすると、ブーストアンプ413の出力ノードがバイアス電圧Vbnに接続され、ブーストアンプ413は強制的に立ち上げられる。
【0077】
従って、ブーストアンプ412、413の起動時間が短縮される。また、ブーストアンプ412、413が完全に立ち上がっていなくても増幅回路400は動作を開始するため、増幅回路400全体としての起動時間を短縮できる。
【0078】
期間T3では、切り替え制御信号CS42が立ち下がりローレベルとなる。これにより、ブーストアンプ412、413は、それぞれ出力ノードがバイアス電圧Vbp、Vbnから切り離され、増幅回路400の出力インピーダンスを増加させる。
【0079】
このように、上記第3の実施形態と同様に、増幅回路の起動時に、ブーストアンプの出力ノードに対して所定時間バイアス電圧を印加して強制的に立ち上げることで、起動時間を短縮することができる。従って、本実施形態に係る増幅回路によっても、起動時間を短縮することで、オフ期間を長くとることができるため、消費電力を低減できる。
【0080】
また、図4に示す上記第3の実施形態に係る増幅回路300は、5つのトランジスタ301、303、305、307、309が縦続接続されていたのに対し、本実施形態では縦続接続されているトランジスタ数が4つとなっているため、出力振幅範囲を大きくすることができる。
【0081】
上記第4の実施形態おけるブーストアンプ412、413は差動アンプであり、出力の同相電圧の正確なレベルを設定するために、例えばコモンモードフィードバック回路を使用することが好適である。コモンモードフィードバック回路の一例を図6に示す。図6は、図5の破線部に該当する。トランジスタ420、434のゲート電極に与えられる電圧Vc、Vb1は周辺回路(図示せず)により生成される。
【0082】
電流源430、431が電源電圧Vddと、トランジスタ403、404のゲート電極との間に接続される。トランジスタ432は、ドレイン電極がトランジスタ403のゲート電極に接続され、ゲート電極がトランジスタ403のソース電極に接続される。トランジスタ433は、ドレイン電極がトランジスタ404のゲート電極に接続され、ゲート電極がトランジスタ404のソース電極に接続される。
【0083】
トランジスタ420はドレイン電極に電源電圧Vddが与えられる。トランジスタ420、432、433の共通ソース電極がトランジスタ434のドレイン電極に接続される。トランジスタ434のソース電極は接地される。
【0084】
図6では1つのトランジスタ420でコモンモードフィードバックを実現しているが、このようなコモンモードフィードバック回路は、トランジスタ420を流れる電流の分だけ消費電力が大きくなる。
【0085】
従って、消費電力が増加しないスイッチトキャパシタ型のコモンモードフィードバック回路を使用することがさらに好適である。図7に、スイッチトキャパシタ型のコモンモードフィードバック回路を含む差動アンプをブーストアンプ412に適用した場合の回路構成の一例を示す。図6と同じ構成要素については同じ参照番号を付している。
【0086】
スイッチトキャパシタ型のコモンモードフィードバック回路は、出力間(トランジスタ403のゲート電極とトランジスタ404のゲート電極との間)に直列接続された容量値が等しい2つのキャパシタCc1、Cc2を有する。キャパシタCc1、Cc2の電荷をリセットするためのバイアス電圧Vbp、Vb1の印加の有無が、スイッチSW43、SW44、及びSW48により切り替えられる。スイッチSW48は切り替え制御信号CS42によってオン・オフ制御される。キャパシタCc1、Cc2の接続点のノードVzから出力の変化の平均値が検知され、電流源となるトランジスタ434に帰還される。
【0087】
スイッチトキャパシタ型のコモンモードフィードバック回路は、キャパシタCc1、Cc2の電荷の初期値を設定(リセット)するため、定期的にキャパシタCc1、Cc2の両電極に適当なバイアス電圧(VbpおよびVb1)を与える期間を設ける必要がある。そのため、ブーストアンプの出力ノードにバイアス電圧を与える機構(スイッチSW43、SW44、バイアス電圧Vbp)は、コモンモードフィードバック回路をリセットする機構の一部と共用化される。従って、このような構成を実現するにあたり、回路面積の増大を抑制できる。
【0088】
増幅回路400と同時にブーストアンプ412、413のオン・オフを切り替えて、さらに消費電力を低減するようにしても良い。図7に示すブーストアンプの構成に対してオン・オフを切り替える場合、図8に示すような回路構成となる。
【0089】
トランジスタ434のゲート電極及びノードVzがスイッチSW49を介してグラウンド電位に接続される。スイッチSW49は切り替え制御信号CS41によってオン・オフ制御される。これにより、ブーストアンプも増幅回路400と同時にオン・オフの切り替えを行うことができる。このような構成でも、ブーストアンプの立ち上がり時に出力ノードにバイアス電圧を与えることで強制的に立ち上げ、起動時間を短縮できる。
【0090】
図6〜図8に示す構成は、ブーストアンプ413にも適用することができる。この時、ブーストアンプ413を構成するトランジスタの極性はブーストアンプ412と異なる。
【0091】
(第5の実施形態)図9に本発明の第5の実施形態に係る増幅回路500の概略構成を示す。増幅回路500は、スイッチトオペアンプSO、キャパシタC1、C2、及びスイッチSW51〜SW56を備えるスイッチトキャパシタアンプ回路である。
【0092】
入力信号VinはスイッチSW51、SW52を介してキャパシタC1、C2の一端に与えられる。キャパシタC1の前記一端はスイッチSW55を介してグラウンド電位Vssに接続され、他端はキャパシタC2の他端と共に、スイッチトオペアンプSOの入力端子に接続される。また、キャパシタC1の他端及びキャパシタC2の他端はスイッチSW53を介してグラウンド電位Vssに接続される。
【0093】
キャパシタC2の前記一端はスイッチSW56を介してスイッチトオペアンプSOの出力端子に接続される。スイッチトオペアンプSOの出力端子は、スイッチSW54を介して電源電位Vddに接続される。
【0094】
スイッチトオペアンプSOは上記第1〜第4の実施形態に係る増幅回路100〜400のいずれかで構成される。例えばスイッチトオペアンプSOが増幅回路300で構成される場合、図9に示すスイッチSW57は図4におけるスイッチSW33〜SW36に相当し、ブーストアンプにバイアス電圧Vbn、Vbpを与えるか否かを切り替えるスイッチとなる。また、スイッチSW58はスイッチSW37に相当し、スイッチトオペアンプSOのオン・オフを切り替えるスイッチとなる。
【0095】
スイッチSW51〜SW54は切り替え制御信号CS51によってオン・オフ制御される。また、スイッチSW55、SW56は切り替え制御信号CS52によってオン・オフ制御される。切り替え制御信号CS52は切り替え制御信号CS51を反転した値をとる。
【0096】
また、スイッチSW57は切り替え制御信号CS53によってオン・オフ制御される。また、スイッチSW58は切り替え制御信号CS54によってオン・オフ制御される。
【0097】
このような増幅回路500の動作を図10に示す切り替え制御信号CS51〜CS54のタイミングチャートを用いて説明する。なお、切り替え制御信号CS51〜CS54は図示しない周辺回路等により生成される。期間T1、T2がスイッチトキャパシタアンプ回路のサンプルモードに相当し、期間T3がアンプモードに相当する。
【0098】
期間T1では、切り替え制御信号CS51がハイレベル、切り替え制御信号CS52がローレベルであり、スイッチSW51〜SW54がオン、スイッチSW55、SW56がオフする。これにより、入力信号VinはキャパシタC1、C2にサンプルされる。
【0099】
この時、切り替え制御信号CS54はハイレベルであり、スイッチSW58がオンし、スイッチトオペアンプSOはオフする。サンプルモード中はスイッチトオペアンプSOが使用されないため、オフになっても問題はない。
【0100】
期間T2では、切り替え制御信号CS54がローレベルとなり、スイッチSW58がオフし、スイッチトオペアンプSOがオンする。また、切り替え制御信号CS53がハイレベルとなり、スイッチSW57がオンし、スイッチトオペアンプSO内のブーストアンプの出力ノードにバイアス電圧Vbn、Vbpが与えられる。これにより、ブーストアンプが強制的に立ち上げられ、スイッチトオペアンプSOの起動時間が短縮される。
【0101】
期間T3では、切り替え制御信号CS53がローレベルとなり、スイッチSW57がオフされる。そのため、スイッチトオペアンプSO内のブーストアンプの出力ノードがバイアス電圧Vbn、Vbpから切り離され、スイッチトオペアンプSOの出力インピーダンスが増加する。
【0102】
また、切り替え制御信号CS51がローレベル、切り替え制御信号CS52がハイレベルとなり、スイッチSW51〜SW54がオフ、スイッチSW55、SW56がオンする。これにより、入力信号Vinを増幅した信号Voutが出力される。
【0103】
このように、本実施形態では、スイッチトオペアンプSOの起動時間を短縮できるため、サンプルモードのほとんどの時間(期間T1)でスイッチトオペアンプSOをオフすることができ、消費電力を低減できる。また、起動時間が短いため、高速化に対応できる。
【0104】
なお、図9では、増幅回路500が単相の場合について図示しているが、差動構成にしてもよい。
【0105】
(第6の実施形態)図11に本発明の第6の実施形態に係るA/D変換器600の概略構成を示す。A/D変換器600は、サンプルモードとアンプモードの2つの動作モードを有するパイプラインA/D変換器である。
【0106】
A/D変換器600はサンプルホールド回路601、縦続接続された複数段のステージ602、及びデジタル補正回路605を備える。サンプルホールド回路601はアナログ入力信号をサンプルホールドする。デジタル補正回路605は、各ステージ602からの出力デジタル信号が入力され、最終的なデジタル出力信号を生成する。
【0107】
各ステージ602は、比較器603とD/A変換器(MDAC:乗算型デジタルアナログ変換器)604を有する。各ステージ602の比較器603で入力信号の上位1ビットをA/D変換し、A/D変換結果をデジタル補正回路605へ出力する。また、D/A変換器604において、A/D変換結果のデジタルデータをD/A変換して元の値(入力信号)から減じる。この減算結果(アナログ値)が次段のステージ602へ出力される。
【0108】
このD/A変換器604に図9に示すようなスイッチトキャパシタアンプを使用する。これにより、サンプルモードのほとんどの時間で、スイッチトキャパシタアンプ中のスイッチトオペアンプをオフさせることができ、パイプラインA/D変換器の消費電力を低減できる。
【0109】
また、パイプラインA/D変換器以外のサンプルモードとアンプモードの2つの動作モードを有するA/D変換器にも適用可能である。
【0110】
上記実施形態で説明した増幅回路は適宜極性を逆にして構成してもよい。
【0111】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る増幅回路の概略構成図である。
【図2】同第1の実施形態に係る増幅回路におけるスイッチの切り替え制御信号のタイミングチャートである。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る増幅回路の概略構成図である。
【図4】本発明の第3の実施形態に係る増幅回路の概略構成図である。
【図5】本発明の第4の実施形態に係る増幅回路の概略構成図である。
【図6】変形例によるブーストアンプの概略構成図である。
【図7】変形例によるブーストアンプの概略構成図である。
【図8】変形例によるブーストアンプの概略構成図である。
【図9】本発明の第5の実施形態に係る増幅回路の概略構成図である。
【図10】同第5の実施形態に係る増幅回路におけるスイッチの切り替え制御信号のタイミングチャートである。
【図11】本発明の第6の実施形態に係るA/D変換器の概略構成図である。
【符号の説明】
【0113】
101 電流源
102 カスコードトランジスタ
103 ブーストアンプ
104 電圧制御電流源
【技術分野】
【0001】
本発明は、増幅回路及びA/D変換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パイプラインA/D変換器、可変ゲインアンプ等の離散時間アナログ信号処理回路を実現する回路技術として、スイッチトキャパシタアンプ回路が知られている。スイッチトキャパシタアンプ回路は、キャパシタ、アンプ、及び複数のスイッチを有し、当該複数のスイッチを切り替えることにより、キャパシタに入力電圧をサンプリング又はホールドするものである。
【0003】
このようなスイッチトキャパシタアンプ回路を低消費電力化する手法として、スイッチトオペアンプが知られている。この手法では、スイッチトキャパシタアンプ回路の2つの動作モード(サンプルモードとアンプモード)のうち、オペアンプを使用しないサンプルモードの期間中、オペアンプがオフにされる。また、出力インピーダンスを増加して、アンプの開ループゲインを高めるためのブーストアンプの技術を組み合わせたスイッチトオペアンプが提案されている。
【0004】
スイッチトオペアンプでは、オペアンプをオフからオンへ切り替えた際のアンプの立ち上がり時間が長いと、オフにしておける期間が短くなり、省電力の効果が得られず、高速化への対応ができなくなるという問題があった。
【0005】
通常、スイッチトオペアンプのオン・オフの切り替えは、アンプの電流源トランジスタのバイアス電圧を切り替えることで行われている。しかし、このバイアス電圧ノードには、バイアス電圧を一定に保つため、大きなデカップリング容量が付けられていることがある。従って、オフからオンへ切り替える時に、大きな容量を充電する必要が生じ、立ち上がり時間が長くなっていた。
【0006】
そこで、大きな容量が付いているバイアス電圧ノードを切り替える代わりに、寄生容量の小さなブーストアンプの出力ノードの接続を切り替えることによって、立ち上がり時間を短くすることが提案されている(非特許文献1参照)。
【0007】
このような従来技術を低電圧で実現する場合、信号振幅確保のため、メインアンプのカスコードトランジスタに、大きなサイズのトランジスタが使用される。そのため、ブーストアンプの出力ノードとメインアンプの出力ノードとの間に、大きな寄生容量がつき、結果的にメインアンプの起動時間が長くなる。これは、アンプのオン・オフ切り替え動作によるメインアンプ出力ノードの電圧変化が、寄生容量カップリングにより、ブーストアンプの出力ノードに伝わるためである。そのため、従来技術の構成を用いて起動時間を短くするためには、ブーストアンプの駆動能力を大きくする必要があり、省電力の効果が得られなくなるという問題があった。
【非特許文献1】Imran Ahmed and David A. Johns, “A 50-MS/s (35 mW) to 1-kS/s (15 μW) Power Scaleable 10-bit Pipelined ADC Using Rapid Power-On Opamps and Minimal Bias Current Variation”, IEEE Journal of Solid-State Circuits, Dec. 2005, Vol.40, No.12,
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、起動時間を短縮し、消費電力の増加を抑制できる増幅回路及びA/D変換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様による増幅回路は、入力信号を増幅し増幅信号を出力ノードから出力する増幅回路であって、第1の基準電圧線と前記出力ノードとの間に接続され、切り替え制御信号が第1の値をとる時に定電流を発生させ、前記切り替え制御信号が第2の値をとる時は前記定電流の発生を行わない電流源と、第2の基準電圧線に接続し、前記入力信号によって電流量が制御される電圧制御電流源と、ドレイン電極が前記電流源及び前記出力ノードに接続され、ソース電極が前記電圧制御電流源に接続され、前記増幅信号を出力するカスコードトランジスタと、入力端子及び出力端子を有し、前記入力端子が前記カスコードトランジスタの前記ソース電極に接続され、前記出力端子が前記カスコードトランジスタのゲート電極に接続されたブーストアンプと、前記出力ノードと前記第2の基準電圧線との間に接続され、前記切り替え制御信号が前記第1の値をとる時にオフし、前記第2の値をとる時にオンする第1のスイッチと、前記ブーストアンプの出力端子と所定電圧を有する電圧線との間に接続され、前記切り替え制御信号の値が前記第2の値から前記第1の値へ切り替わるに伴い所定時間オンし、前記所定時間の経過後はオフする第2のスイッチと、を備えるものである。
【0010】
本発明の一態様による増幅回路は、差動入力信号を増幅し、第1及び第2の出力ノードから差動増幅信号を出力する増幅回路であって、ゲート電極に前記差動入力信号が与えられるトランジスタ差動対と、第1の基準電圧線と前記第1及び第2の出力ノードとの間に接続され、第1のブーストアンプを含み、前記トランジスタ差動対とは異なる導電型のトランジスタを用いた第1のカスコード段と、第2の基準電圧線と前記第1及び第2の出力ノードとの間に設けられ、第2のブーストアンプを含み、前記トランジスタ差動対と同じ導電型のトランジスタを用いた第2のカスコード段と、前記トランジスタ差動対の共通ソース電極と前記第2の基準電圧線との間に接続され、切り替え制御信号が第1の値をとる時にオンして電流源として動作し、第2の値をとる時にオフする電流源トランジスタと、前記第1の出力ノードと前記第1の基準電圧線との間に接続され、前記切り替え制御信号が前記第1の値をとる時にオフし、前記第2の値をとる時にオンする第1のスイッチと、前記第2の出力ノードと前記第1の基準電圧線との間に接続され、前記切り替え制御信号が前記第1の値をとる時にオフし、前記第2の値をとる時にオンする第2のスイッチと、前記第1のブーストアンプの出力端子と第1の所定電圧を有する第1の電圧線との間に接続され、前記切り替え制御信号の値が前記第2の値から前記第1の値へ切り替わるに伴い所定時間オンし、前記所定時間の経過後はオフする第3のスイッチと、前記第2のブーストアンプの出力端子と第2の所定電圧を有する第2の電圧線との間に接続され、前記切り替え制御信号の値が前記第2の値から前記第1の値へ切り替わるに伴い所定時間オンし、前記所定時間の経過後はオフする第4のスイッチと、を備えるものである。
【0011】
本発明の一態様によるA/D変換器は、前記増幅回路を含み、サンプルモードとアンプモードの2つの動作モードを有するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、起動時間を短縮し、消費電力の増加を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
(第1の実施形態)図1に本発明の第1の実施形態に係る増幅回路の概略構成を示す。増幅回路100は電流源101、カスコードトランジスタ102、ブーストアンプ103、電圧制御電流源104、及びスイッチSW11〜SW13を備える。電流源101は電源電圧Vddが与えられ、定電流を発生する。スイッチSW11は、電流源101で発生した電流をカスコードトランジスタ102に供給するか否かを切り替える。スイッチSW11は切り替え制御信号CS11によりオン・オフ制御される。
【0015】
増幅回路100の出力端子T1は、カスコードトランジスタ102のドレイン電極(図示せず)に接続される。また、出力端子T1はスイッチSW12を介して接地される。スイッチSW12は切り替え制御信号CS12によりオン・オフ制御される。切り替え制御信号CS12は切り替え制御信号CS11を反転した値をとる。
【0016】
この増幅回路100をオンさせる時は、切り替え制御信号CS11がハイレベル、切り替え制御信号CS12がローレベルとなり、スイッチSW11がオン、スイッチSW12がオフする。また、この増幅回路100をオフさせる時は、切り替え制御信号CS11がローレベル、切り替え制御信号CS12がハイレベルとなり、スイッチSW11がオフ、スイッチSW12がオンする。
【0017】
ブーストアンプ103はこの増幅回路100の出力インピーダンスを増加させるものであり、その反転入力端子及び出力端子がそれぞれカスコードトランジスタ102のソース電極、ゲート電極(共に図示せず)に接続される。ブーストアンプ103の非反転入力端子には所定の電圧Vrが入力される。
【0018】
また、ブーストアンプ103の出力端子(出力ノードVx)には、スイッチSW13を介してバイアス電圧Vbが供給される。スイッチSW13は、切り替え制御信号CS13によってオン・オフ制御され、増幅回路100のオン時(立ち上がり時)に所定時間オンする。
【0019】
電圧制御電流源104は、入力電圧Vinが供給され、入力電圧Vinによって流れる電流量が制御される。
【0020】
このような増幅回路100の動作を図2に示す切り替え制御信号CS11〜CS13のタイミングチャートを用いて説明する。なお、切り替え制御信号CS11〜CS13は図示しない周辺回路等により生成される。
【0021】
期間T1では、切り替え制御信号CS11がローレベル、すなわちスイッチSW11がオフとなり、増幅回路100はオフとなる。また、この時、切り替え制御信号CS12がハイレベル、すなわちスイッチSW12がオンとなり、増幅回路100の出力ノードVyは接地される。
【0022】
期間T2では、切り替え制御信号CS11が立ち上がってハイレベルとなり、スイッチSW11がオンし、増幅回路100はオンする。切り替え制御信号CS12はローレベル、すなわちスイッチSW12はオフとなり、出力ノードVyはグランド電位から切り離される。また、切り替え制御信号CS13が立ち上がってハイレベルとなり、スイッチSW13がオンする。
【0023】
スイッチSW13がオンすると、ブーストアンプ103の出力ノードVxはバイアス電圧Vbに接続される。これにより、ブーストアンプ103は強制的に立ち上げられ、起動時間が短縮される。また、出力ノードVyと出力ノードVxとの間の寄生容量による寄生容量によるカップリングの影響を受けなくなる。また、ブーストアンプ103が完全に立ち上がっていなくても増幅回路100は動作を開始するため、増幅回路100全体としての起動時間を短縮できる。
【0024】
バイアス電圧Vbは、ブーストアンプ103内のトランジスタが飽和領域で動作する電位であれば、どのような電位でも良い。バイアス電圧Vbは、ブーストアンプ103の動作点付近の電位にすることがさらに好適である。
【0025】
期間T3では、切り替え制御信号CS13がローレベルとなり、スイッチSW13がオフし、出力ノードVxはバイアス電圧Vbから切り離される。これにより、ブーストアンプ103は増幅回路100(カスコードトランジスタ102)の出力インピーダンスを増加させることができる。
【0026】
増幅回路100では、このような期間T1〜T3が繰り返される。なお、期間T2では、ブーストアンプ103は増幅回路100の出力インピーダンスを増加する役割を果たしていないが、例えばこの増幅回路100がスイッチトキャパシタアンプ回路に含まれている場合、期間T2における動作をサンプルモード期間(アンプを使用しない期間)に行うようにすればよい。つまり、期間T1及びT2がスイッチトキャパシタアンプ回路のサンプルモード期間、期間T3がアンプモード期間となる。
【0027】
このように、増幅回路100の立ち上げに伴いブーストアンプ103の出力ノードにバイアス電圧Vbを印加してブーストアンプ103を強制的に立ち上げることで、増幅回路100の起動時間を短縮することができる。また、ブーストアンプの駆動能力を大きくする必要がないため、消費電力の増加を抑えることができる。
【0028】
なお、バイアス電圧Vbは、周辺回路等で使用されるバイアス回路の一部、例えばカレントミラー回路、から容易に作成することができる。従って、回路規模や消費電力を増大させることなくバイアス電圧Vbを得ることができる。
【0029】
本実施形態では、図1に示すように、出力からみてカスコードトランジスタ102がグラウンド側に設けられているが、逆極性にして電源電位Vdd側に設けるようにしてもよい。
【0030】
また、電圧制御電流源104は入力電圧Vinでなく、周辺回路等で生成されたバイアス電圧を与えるようにしてもよい。
【0031】
(第2の実施形態)図3に本発明の第2の実施形態に係る増幅回路200の概略構成を示す。上記第1の実施形態では一方の極性のみのカスコードトランジスタを用いて増幅回路を構成していたが、本実施形態に係る増幅回路200はP−chカスコードトランジスタ202とN−chカスコードトランジスタ203とを組み合わせて用いるものである。
【0032】
増幅回路200は、トランジスタ(P−chトランジスタ)201、P−chカスコードトランジスタ202、N−chカスコードトランジスタ203、トランジスタ(N−chトランジスタ)204、ブーストアンプ205、206、及びスイッチSW21〜SW24を備える。
【0033】
トランジスタ201のソース電極は電源電圧Vddに接続され、ゲート電極にはバイアス電圧Vbが与えられる。バイアス電圧Vbはトランジスタ201をオンできる電圧となっている。また、トランジスタ201のゲート電極はスイッチSW21を介して電源電圧Vddに接続される。スイッチSW21は切り替え制御信号CS21によってオン・オフ制御される。
【0034】
トランジスタ201のドレイン電極とP−chカスコードトランジスタ202のソース電極との接続点にブーストアンプ205の入力が接続される。P−chカスコードトランジスタ202のゲートとブーストアンプ205の出力が接続される。また、ブーストアンプ205の出力ノードVx1はスイッチSW23を介してバイアス電圧Vbpに接続される。スイッチSW23は切り替え制御信号CS22によってオン・オフ制御される。
【0035】
P−chカスコードトランジスタ202のドレイン電極とN−chカスコードトランジスタ203のドレイン電極との接続点に増幅回路200の出力端子T2が接続される。また、増幅回路200の出力ノードVyはスイッチSW22を介してグラウンド電位に接続される。スイッチSW22は、スイッチSW21と同様に、切り替え制御信号CS21によってオン・オフ制御される。
【0036】
N−chカスコードトランジスタ203のゲート電極はブーストアンプ206の出力に接続される。ブーストアンプ206の出力ノードVx2はスイッチSW24を介してバイアス電圧Vbnに接続される。スイッチSW24は、スイッチSW23と同様に、切り替え制御信号CS22によってオン・オフ制御される。
【0037】
トランジスタ204のドレイン電極とN−chカスコードトランジスタ203のソース電極との接続点にブーストアンプ206の入力が接続される。トランジスタ204のゲート電極は入力端子T1に接続され、入力電圧Vinが与えられる。トランジスタ204のドレイン電極は接地される。
【0038】
次に、増幅回路200の動作を説明する。なお、切り替え制御信号CS21、CS22のタイミングチャートはそれぞれ図2に示す上記第1の実施形態における切り替え制御信号CS12、CS13と同様のものとなるため、図2を用いて説明を行う。
【0039】
期間T1では、切り替え制御信号CS21がハイレベルであり、スイッチSW21がオンし、トランジスタ201はオフするため、増幅回路200はオフとなる。この時、スイッチSW22はオンとなり、出力ノードVyはグラウンド電位に接続される。また、この時、切り替え制御信号CS22はローレベルであり、スイッチSW23、SW24はオフする。
【0040】
期間T2では、切り替え制御信号CS21がローレベルとなり、スイッチSW21がオフし、トランジスタ201はオンして電流源として動作する。これにより、増幅回路200はオンとなる。この時、スイッチSW22はオフとなり、出力ノードVyはグラウンド電位から切り離される。
【0041】
また、切り替え制御信号CS22が立ち上がってハイレベルとなり、スイッチSW23、SW24がオンする。スイッチSW23がオンするとブーストアンプ205の出力ノードVx1がバイアス電圧Vbpに接続され、ブーストアンプ205は強制的に立ち上げられる。同様に、スイッチSW24がオンするとブーストアンプ206の出力ノードVx2がバイアス電圧Vbnに接続され、ブーストアンプ206は強制的に立ち上げられる。
【0042】
従って、ブーストアンプ205、206の起動時間が短縮される。また、ブーストアンプ205、206が完全に立ち上がっていなくても増幅回路200は動作を開始するため、増幅回路200全体としての起動時間を短縮できる。
【0043】
期間T3では、切り替え制御信号CS22が立ち下がりローレベルとなる。これにより、ブーストアンプ205、206は、出力ノードVx1、Vx2がバイアス電圧Vbp、Vbnから切り離され、増幅回路200の出力インピーダンスを増加させる。
【0044】
このように、両極性のカスコードトランジスタを用いた場合も、増幅回路の起動時に、ブーストアンプの出力ノードに対して所定時間バイアス電圧を印加して強制的に立ち上げることで、起動時間を短縮することができる。従って、本実施形態に係る増幅回路も上記第1の実施形態と同様に、起動時間を短縮し、オフにしておける時間を長くすることで、消費電力の増加を抑制できる。
【0045】
上記第2の実施形態において、バイアス電圧Vbpは、ブーストアンプ205の動作点付近の電位にすることが好適である。また、バイアス電圧Vbnは、ブーストアンプ206の動作点付近の電位にすることが好適である。
【0046】
(第3の実施形態)図4に本発明の第3の実施形態に係る増幅回路300の概略構成を示す。図3に示す上記第2の実施形態に係る増幅回路200が単相構成であったのに対し、本実施形態に係る増幅回路300は差動構成となっている。ここでは、テレスコピック型に適用した。
【0047】
増幅回路300は、P−chトランジスタ301〜304、N−chトランジスタ305〜309、ブーストアンプ310、311、及びスイッチSW31〜SW37を備える。スイッチSW31、SW32、及びSW37は切り替え制御信号CS31によってオン・オフ制御される。スイッチSW33〜SW36は切り替え制御信号CS32によってオン・オフ制御される。
【0048】
差動対を構成するトランジスタ307、308のゲート電極に差動入力信号Vin−、Vin+が入力される。カスコード接続された1対のトランジスタ305、306のドレイン電極から、増幅された差動信号Vout+、Vout−が出力される。増幅回路300の出力ノードはそれぞれスイッチSW31、SW32を介して電源電圧Vddに接続される。
【0049】
ブーストアンプ310の2つの出力端子はそれぞれカスコード接続された1対のトランジスタ303、304のゲート電極に接続され、2つの入力端子はそれぞれトランジスタ303、304のソース電極(カスコード接続された1対のトランジスタ301、302のドレイン電極)に接続される。また、ブーストアンプ310の出力ノードはスイッチSW33、SW34を介してバイアス電圧Vbpに接続される。
【0050】
ブーストアンプ311の2つの出力端子はそれぞれトランジスタ305、306のゲート電極に接続され、2つの入力端子はそれぞれトランジスタ305、306のソース電極に接続される。また、ブーストアンプ311の出力ノードはスイッチSW35、SW36を介してバイアス電圧Vbnに接続される。
【0051】
このように、ブーストアンプ310はトランジスタ303、304で共用される。また、ブーストアンプ311はトランジスタ305、306で共用される。
【0052】
トランジスタ301、302のゲート電極は互いに所定電圧に接続され、ドレイン電極はトランジスタ303、304のソース電極に接続される。また、トランジスタ301、302の共通ソース電極は電源電圧Vddに接続される。
【0053】
トランジスタ309のドレイン電極はトランジスタ307、308の共通ソース電極に接続され、ソース電極はグラウンド電位に接続される。トランジスタ309のゲート電極には、トランジスタ309をオンできる程度のバイアス電圧Vbが印加される。また、トランジスタ309のゲート電極はスイッチSW37を介してグラウンド電位に接続される。トランジスタ309は電流源となる。
【0054】
バイアス電圧Vbn、Vbp、Vb、切り替え制御信号CS31、CS32は周辺回路等において生成される。
【0055】
切り替え制御信号CS31、CS32のタイミングチャートはそれぞれ図2に示す上記第1の実施形態における切り替え制御信号CS12、CS13と同様のものとなるため、図2を用いて増幅回路300の動作の説明を行う。
【0056】
期間T1では、切り替え制御信号CS31がハイレベルであり、スイッチSW37がオンし、トランジスタ309はオフするため、増幅回路300はオフとなる。この時、スイッチSW31、SW32はオンとなり、増幅回路300の出力ノードは電源電位Vddに接続される。また、この時、切り替え制御信号CS32はローレベルであり、スイッチSW33〜SW36はオフする。
【0057】
期間T2では、切り替え制御信号CS31がローレベルとなり、スイッチSW37がオフし、トランジスタ309はオンして電流源として動作する。これにより、増幅回路300はオンとなる。この時、スイッチSW31、SW32はオフとなり、出力ノードが電源電位から切り離される。
【0058】
また、切り替え制御信号CS32が立ち上がってハイレベルとなり、スイッチSW33〜SW36がオンする。スイッチSW33、SW34がオンすると、ブーストアンプ310の出力ノードがバイアス電圧Vbpに接続され、ブーストアンプ310は強制的に立ち上げられる。同様に、スイッチSW35、SW36がオンすると、ブーストアンプ311の出力ノードがバイアス電圧Vbnに接続され、ブーストアンプ311は強制的に立ち上げられる。
【0059】
従って、ブーストアンプ310、311の起動時間が短縮される。また、ブーストアンプ310、311が完全に立ち上がっていなくても増幅回路300は動作を開始するため、増幅回路300全体としての起動時間を短縮できる。
【0060】
期間T3では、切り替え制御信号CS32が立ち下がりローレベルとなる。これにより、ブーストアンプ310、311は、それぞれ出力ノードがバイアス電圧Vbp、Vbnから切り離され、増幅回路300の出力インピーダンスを増加させる。
【0061】
このように、差動構成とした場合でも、増幅回路の起動時に、ブーストアンプの出力ノードに対して所定時間バイアス電圧を印加して強制的に立ち上げることで、起動時間を短縮することができる。従って、本実施形態に係る増幅回路によっても、起動時間が短縮することでオフにしておける時間が長くなり、消費電力の増加を抑制できる。
【0062】
(第4の実施形態)図5に本発明の第4の実施形態に係る増幅回路400の概略構成を示す。増幅回路400はフォールディッドカスコード型の構成となっている。
【0063】
増幅回路400は、P−chトランジスタ401〜404、N−chトランジスタ405〜411、ブーストアンプ412、413、及びスイッチSW41〜SW47を備える。
【0064】
スイッチSW41、SW42、及びSW47は切り替え制御信号CS41によってオン・オフ制御される。スイッチSW43〜SW46は切り替え制御信号CS42によってオン・オフ制御される。
【0065】
差動対を構成するトランジスタ409、410のゲート電極に差動入力信号Vin−、Vin+が入力される。カスコード接続された1対のトランジスタ405、406のドレイン電極から増幅され差動信号Vout+、Vout−が出力される。増幅回路400の出力ノードはそれぞれスイッチSW41、SW42を介して電源電圧Vddに接続される。
【0066】
ブーストアンプ412の2つの出力端子はそれぞれカスコード接続された1対のトランジスタ403、404のゲート電極(カスコード接続された1対のトランジスタ401、402のドレイン電極)に接続され、2つの入力端子はそれぞれトランジスタ403、404のソース電極に接続される。また、ブーストアンプ412の出力ノードはスイッチSW43、SW44を介してバイアス電圧Vbpに接続される。
【0067】
ブーストアンプ413の2つの出力端子はそれぞれトランジスタ405、406のゲート電極に接続され、2つの入力端子はそれぞれトランジスタ405、406のソース電極(カスコード接続された1対のトランジスタ407、408のドレイン電極)に接続される。また、ブーストアンプ413の出力ノードはスイッチSW45、SW46を介してバイアス電圧Vbnに接続される。
【0068】
このように、ブーストアンプ412はトランジスタ403、404で共用される。また、ブーストアンプ413はトランジスタ405、406で共用される。
【0069】
トランジスタ401、402のゲート電極は互いに接続され、ドレイン電極はトランジスタ403、404のソース電極、及びトランジスタ409、410のドレイン電極に接続される。また、トランジスタ401、402の共通ソース電極は電源電圧Vddに接続される。
【0070】
トランジスタ411のドレイン電極はトランジスタ409、410の共通ソース電極に接続され、ソース電極は接地される。トランジスタ407、408、411のゲート電極には、トランジスタ407、408、411をオンできる程度のバイアス電圧Vbが印加される。また、トランジスタ407、408、411のゲート電極はスイッチSW47を介してグラウンド電位に接続される。トランジスタ309は電流源となる。
【0071】
トランジスタ407、408のドレイン電極はトランジスタ405、406のソース電極に接続される。また、トランジスタ407、408の共通ソース電極は接地される。
【0072】
バイアス電圧Vbn、Vbp、Vb、切り替え制御信号CS41、CS42は周辺回路等において生成される。
【0073】
切り替え制御信号CS41、CS42のタイミングチャートはそれぞれ図2に示す上記第1の実施形態における切り替え制御信号CS12、CS13と同様のものとなるため、図2を用いて増幅回路400の動作の説明を行う。
【0074】
期間T1では、切り替え制御信号CS41がハイレベルであり、スイッチSW47がオンし、トランジスタ407、408、411はオフするため、増幅回路400はオフとなる。この時、スイッチSW41、SW42はオンとなり、増幅回路400の出力ノードは電源電位Vddに接続される。また、この時、切り替え制御信号CS42はローレベルであり、スイッチSW43〜SW46はオフする。
【0075】
期間T2では、切り替え制御信号CS41がローレベルとなり、スイッチSW47がオフし、トランジスタ407、408、411はオンして電流源として動作する。これにより、増幅回路400はオンとなる。この時、スイッチSW41、SW42はオフとなり、出力ノードが電源電位から切り離される。
【0076】
また、切り替え制御信号CS42が立ち上がってハイレベルとなり、スイッチSW43〜SW46がオンする。スイッチSW43、SW44がオンすると、ブーストアンプ412の出力ノードがバイアス電圧Vbpに接続され、ブーストアンプ412は強制的に立ち上げられる。同様に、スイッチSW45、SW46がオンすると、ブーストアンプ413の出力ノードがバイアス電圧Vbnに接続され、ブーストアンプ413は強制的に立ち上げられる。
【0077】
従って、ブーストアンプ412、413の起動時間が短縮される。また、ブーストアンプ412、413が完全に立ち上がっていなくても増幅回路400は動作を開始するため、増幅回路400全体としての起動時間を短縮できる。
【0078】
期間T3では、切り替え制御信号CS42が立ち下がりローレベルとなる。これにより、ブーストアンプ412、413は、それぞれ出力ノードがバイアス電圧Vbp、Vbnから切り離され、増幅回路400の出力インピーダンスを増加させる。
【0079】
このように、上記第3の実施形態と同様に、増幅回路の起動時に、ブーストアンプの出力ノードに対して所定時間バイアス電圧を印加して強制的に立ち上げることで、起動時間を短縮することができる。従って、本実施形態に係る増幅回路によっても、起動時間を短縮することで、オフ期間を長くとることができるため、消費電力を低減できる。
【0080】
また、図4に示す上記第3の実施形態に係る増幅回路300は、5つのトランジスタ301、303、305、307、309が縦続接続されていたのに対し、本実施形態では縦続接続されているトランジスタ数が4つとなっているため、出力振幅範囲を大きくすることができる。
【0081】
上記第4の実施形態おけるブーストアンプ412、413は差動アンプであり、出力の同相電圧の正確なレベルを設定するために、例えばコモンモードフィードバック回路を使用することが好適である。コモンモードフィードバック回路の一例を図6に示す。図6は、図5の破線部に該当する。トランジスタ420、434のゲート電極に与えられる電圧Vc、Vb1は周辺回路(図示せず)により生成される。
【0082】
電流源430、431が電源電圧Vddと、トランジスタ403、404のゲート電極との間に接続される。トランジスタ432は、ドレイン電極がトランジスタ403のゲート電極に接続され、ゲート電極がトランジスタ403のソース電極に接続される。トランジスタ433は、ドレイン電極がトランジスタ404のゲート電極に接続され、ゲート電極がトランジスタ404のソース電極に接続される。
【0083】
トランジスタ420はドレイン電極に電源電圧Vddが与えられる。トランジスタ420、432、433の共通ソース電極がトランジスタ434のドレイン電極に接続される。トランジスタ434のソース電極は接地される。
【0084】
図6では1つのトランジスタ420でコモンモードフィードバックを実現しているが、このようなコモンモードフィードバック回路は、トランジスタ420を流れる電流の分だけ消費電力が大きくなる。
【0085】
従って、消費電力が増加しないスイッチトキャパシタ型のコモンモードフィードバック回路を使用することがさらに好適である。図7に、スイッチトキャパシタ型のコモンモードフィードバック回路を含む差動アンプをブーストアンプ412に適用した場合の回路構成の一例を示す。図6と同じ構成要素については同じ参照番号を付している。
【0086】
スイッチトキャパシタ型のコモンモードフィードバック回路は、出力間(トランジスタ403のゲート電極とトランジスタ404のゲート電極との間)に直列接続された容量値が等しい2つのキャパシタCc1、Cc2を有する。キャパシタCc1、Cc2の電荷をリセットするためのバイアス電圧Vbp、Vb1の印加の有無が、スイッチSW43、SW44、及びSW48により切り替えられる。スイッチSW48は切り替え制御信号CS42によってオン・オフ制御される。キャパシタCc1、Cc2の接続点のノードVzから出力の変化の平均値が検知され、電流源となるトランジスタ434に帰還される。
【0087】
スイッチトキャパシタ型のコモンモードフィードバック回路は、キャパシタCc1、Cc2の電荷の初期値を設定(リセット)するため、定期的にキャパシタCc1、Cc2の両電極に適当なバイアス電圧(VbpおよびVb1)を与える期間を設ける必要がある。そのため、ブーストアンプの出力ノードにバイアス電圧を与える機構(スイッチSW43、SW44、バイアス電圧Vbp)は、コモンモードフィードバック回路をリセットする機構の一部と共用化される。従って、このような構成を実現するにあたり、回路面積の増大を抑制できる。
【0088】
増幅回路400と同時にブーストアンプ412、413のオン・オフを切り替えて、さらに消費電力を低減するようにしても良い。図7に示すブーストアンプの構成に対してオン・オフを切り替える場合、図8に示すような回路構成となる。
【0089】
トランジスタ434のゲート電極及びノードVzがスイッチSW49を介してグラウンド電位に接続される。スイッチSW49は切り替え制御信号CS41によってオン・オフ制御される。これにより、ブーストアンプも増幅回路400と同時にオン・オフの切り替えを行うことができる。このような構成でも、ブーストアンプの立ち上がり時に出力ノードにバイアス電圧を与えることで強制的に立ち上げ、起動時間を短縮できる。
【0090】
図6〜図8に示す構成は、ブーストアンプ413にも適用することができる。この時、ブーストアンプ413を構成するトランジスタの極性はブーストアンプ412と異なる。
【0091】
(第5の実施形態)図9に本発明の第5の実施形態に係る増幅回路500の概略構成を示す。増幅回路500は、スイッチトオペアンプSO、キャパシタC1、C2、及びスイッチSW51〜SW56を備えるスイッチトキャパシタアンプ回路である。
【0092】
入力信号VinはスイッチSW51、SW52を介してキャパシタC1、C2の一端に与えられる。キャパシタC1の前記一端はスイッチSW55を介してグラウンド電位Vssに接続され、他端はキャパシタC2の他端と共に、スイッチトオペアンプSOの入力端子に接続される。また、キャパシタC1の他端及びキャパシタC2の他端はスイッチSW53を介してグラウンド電位Vssに接続される。
【0093】
キャパシタC2の前記一端はスイッチSW56を介してスイッチトオペアンプSOの出力端子に接続される。スイッチトオペアンプSOの出力端子は、スイッチSW54を介して電源電位Vddに接続される。
【0094】
スイッチトオペアンプSOは上記第1〜第4の実施形態に係る増幅回路100〜400のいずれかで構成される。例えばスイッチトオペアンプSOが増幅回路300で構成される場合、図9に示すスイッチSW57は図4におけるスイッチSW33〜SW36に相当し、ブーストアンプにバイアス電圧Vbn、Vbpを与えるか否かを切り替えるスイッチとなる。また、スイッチSW58はスイッチSW37に相当し、スイッチトオペアンプSOのオン・オフを切り替えるスイッチとなる。
【0095】
スイッチSW51〜SW54は切り替え制御信号CS51によってオン・オフ制御される。また、スイッチSW55、SW56は切り替え制御信号CS52によってオン・オフ制御される。切り替え制御信号CS52は切り替え制御信号CS51を反転した値をとる。
【0096】
また、スイッチSW57は切り替え制御信号CS53によってオン・オフ制御される。また、スイッチSW58は切り替え制御信号CS54によってオン・オフ制御される。
【0097】
このような増幅回路500の動作を図10に示す切り替え制御信号CS51〜CS54のタイミングチャートを用いて説明する。なお、切り替え制御信号CS51〜CS54は図示しない周辺回路等により生成される。期間T1、T2がスイッチトキャパシタアンプ回路のサンプルモードに相当し、期間T3がアンプモードに相当する。
【0098】
期間T1では、切り替え制御信号CS51がハイレベル、切り替え制御信号CS52がローレベルであり、スイッチSW51〜SW54がオン、スイッチSW55、SW56がオフする。これにより、入力信号VinはキャパシタC1、C2にサンプルされる。
【0099】
この時、切り替え制御信号CS54はハイレベルであり、スイッチSW58がオンし、スイッチトオペアンプSOはオフする。サンプルモード中はスイッチトオペアンプSOが使用されないため、オフになっても問題はない。
【0100】
期間T2では、切り替え制御信号CS54がローレベルとなり、スイッチSW58がオフし、スイッチトオペアンプSOがオンする。また、切り替え制御信号CS53がハイレベルとなり、スイッチSW57がオンし、スイッチトオペアンプSO内のブーストアンプの出力ノードにバイアス電圧Vbn、Vbpが与えられる。これにより、ブーストアンプが強制的に立ち上げられ、スイッチトオペアンプSOの起動時間が短縮される。
【0101】
期間T3では、切り替え制御信号CS53がローレベルとなり、スイッチSW57がオフされる。そのため、スイッチトオペアンプSO内のブーストアンプの出力ノードがバイアス電圧Vbn、Vbpから切り離され、スイッチトオペアンプSOの出力インピーダンスが増加する。
【0102】
また、切り替え制御信号CS51がローレベル、切り替え制御信号CS52がハイレベルとなり、スイッチSW51〜SW54がオフ、スイッチSW55、SW56がオンする。これにより、入力信号Vinを増幅した信号Voutが出力される。
【0103】
このように、本実施形態では、スイッチトオペアンプSOの起動時間を短縮できるため、サンプルモードのほとんどの時間(期間T1)でスイッチトオペアンプSOをオフすることができ、消費電力を低減できる。また、起動時間が短いため、高速化に対応できる。
【0104】
なお、図9では、増幅回路500が単相の場合について図示しているが、差動構成にしてもよい。
【0105】
(第6の実施形態)図11に本発明の第6の実施形態に係るA/D変換器600の概略構成を示す。A/D変換器600は、サンプルモードとアンプモードの2つの動作モードを有するパイプラインA/D変換器である。
【0106】
A/D変換器600はサンプルホールド回路601、縦続接続された複数段のステージ602、及びデジタル補正回路605を備える。サンプルホールド回路601はアナログ入力信号をサンプルホールドする。デジタル補正回路605は、各ステージ602からの出力デジタル信号が入力され、最終的なデジタル出力信号を生成する。
【0107】
各ステージ602は、比較器603とD/A変換器(MDAC:乗算型デジタルアナログ変換器)604を有する。各ステージ602の比較器603で入力信号の上位1ビットをA/D変換し、A/D変換結果をデジタル補正回路605へ出力する。また、D/A変換器604において、A/D変換結果のデジタルデータをD/A変換して元の値(入力信号)から減じる。この減算結果(アナログ値)が次段のステージ602へ出力される。
【0108】
このD/A変換器604に図9に示すようなスイッチトキャパシタアンプを使用する。これにより、サンプルモードのほとんどの時間で、スイッチトキャパシタアンプ中のスイッチトオペアンプをオフさせることができ、パイプラインA/D変換器の消費電力を低減できる。
【0109】
また、パイプラインA/D変換器以外のサンプルモードとアンプモードの2つの動作モードを有するA/D変換器にも適用可能である。
【0110】
上記実施形態で説明した増幅回路は適宜極性を逆にして構成してもよい。
【0111】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る増幅回路の概略構成図である。
【図2】同第1の実施形態に係る増幅回路におけるスイッチの切り替え制御信号のタイミングチャートである。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る増幅回路の概略構成図である。
【図4】本発明の第3の実施形態に係る増幅回路の概略構成図である。
【図5】本発明の第4の実施形態に係る増幅回路の概略構成図である。
【図6】変形例によるブーストアンプの概略構成図である。
【図7】変形例によるブーストアンプの概略構成図である。
【図8】変形例によるブーストアンプの概略構成図である。
【図9】本発明の第5の実施形態に係る増幅回路の概略構成図である。
【図10】同第5の実施形態に係る増幅回路におけるスイッチの切り替え制御信号のタイミングチャートである。
【図11】本発明の第6の実施形態に係るA/D変換器の概略構成図である。
【符号の説明】
【0113】
101 電流源
102 カスコードトランジスタ
103 ブーストアンプ
104 電圧制御電流源
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号を増幅し増幅信号を出力ノードから出力する増幅回路であって、
第1の基準電圧線と前記出力ノードとの間に接続され、切り替え制御信号が第1の値をとる時に定電流を発生させ、前記切り替え制御信号が第2の値をとる時は前記定電流の発生を行わない電流源と、
第2の基準電圧線に接続し、前記入力信号によって電流量が制御される電圧制御電流源と、
ドレイン電極が前記電流源及び前記出力ノードに接続され、ソース電極が前記電圧制御電流源に接続され、前記増幅信号を出力するカスコードトランジスタと、
入力端子及び出力端子を有し、前記入力端子が前記カスコードトランジスタの前記ソース電極に接続され、前記出力端子が前記カスコードトランジスタのゲート電極に接続されたブーストアンプと、
前記出力ノードと前記第2の基準電圧線との間に接続され、前記切り替え制御信号が前記第1の値をとる時にオフし、前記第2の値をとる時にオンする第1のスイッチと、
前記ブーストアンプの出力端子と所定電圧を有する電圧線との間に接続され、前記切り替え制御信号の値が前記第2の値から前記第1の値へ切り替わるに伴い所定時間オンし、前記所定時間の経過後はオフする第2のスイッチと、
を備える増幅回路。
【請求項2】
前記所定電圧は前記ブーストアンプの動作点の電圧であることを特徴とする請求項1に記載の増幅回路。
【請求項3】
ソース電極が前記電流源に接続され、ドレイン電極が前記出力ノードに接続され、前記カスコードトランジスタとは極性が異なる第2のカスコードトランジスタと、
第2の入力端子及び第2の出力端子を有し、前記第2の入力端子が前記第2のカスコードトランジスタのソース電極に接続され、前記第2の出力端子が前記第2のカスコードトランジスタのゲート電極に接続された第2のブーストアンプと、
前記第2の出力端子と第2の所定電圧を有する第2の電圧線との間に接続され、前記切り替え制御信号の値が前記第2の値から前記第1の値へ切り替わるに伴い前記所定時間オンし、前記所定時間の経過後はオフする第3のスイッチと、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の増幅回路。
【請求項4】
前記第2の所定電圧は前記第2のブーストアンプの動作点の電圧であることを特徴とする請求項3に記載の増幅回路。
【請求項5】
前記入力信号は差動信号であり、前記出力ノードから差動増幅信号を出力する差動構成としたことを特徴とする請求項1に記載の増幅回路。
【請求項6】
差動入力信号を増幅し、第1及び第2の出力ノードから差動増幅信号を出力する増幅回路であって、
ゲート電極に前記差動入力信号が与えられるトランジスタ差動対と、
第1の基準電圧線と前記第1及び第2の出力ノードとの間に接続され、第1のブーストアンプを含み、前記トランジスタ差動対とは異なる導電型のトランジスタを用いた第1のカスコード段と、
第2の基準電圧線と前記第1及び第2の出力ノードとの間に設けられ、第2のブーストアンプを含み、前記トランジスタ差動対と同じ導電型のトランジスタを用いた第2のカスコード段と、
前記トランジスタ差動対の共通ソース電極と前記第2の基準電圧線との間に接続され、切り替え制御信号が第1の値をとる時にオンして電流源として動作し、第2の値をとる時にオフする電流源トランジスタと、
前記第1の出力ノードと前記第1の基準電圧線との間に接続され、前記切り替え制御信号が前記第1の値をとる時にオフし、前記第2の値をとる時にオンする第1のスイッチと、
前記第2の出力ノードと前記第1の基準電圧線との間に接続され、前記切り替え制御信号が前記第1の値をとる時にオフし、前記第2の値をとる時にオンする第2のスイッチと、
前記第1のブーストアンプの出力端子と第1の所定電圧を有する第1の電圧線との間に接続され、前記切り替え制御信号の値が前記第2の値から前記第1の値へ切り替わるに伴い所定時間オンし、前記所定時間の経過後はオフする第3のスイッチと、
前記第2のブーストアンプの出力端子と第2の所定電圧を有する第2の電圧線との間に接続され、前記切り替え制御信号の値が前記第2の値から前記第1の値へ切り替わるに伴い所定時間オンし、前記所定時間の経過後はオフする第4のスイッチと、
を備える増幅回路。
【請求項7】
前記第1のカスコード段はカスコード接続された2対の第1のトランジスタを有し、
前記第2のカスコード段はカスコード接続された1対の第2のトランジスタを有し、
前記トランジスタ差動対のドレイン電極が、前記第2のトランジスタのソース電極に接続されたテレスコピック型であることを特徴とする請求項6に記載の増幅回路。
【請求項8】
前記第1のカスコード段はカスコード接続された2対の第1のトランジスタを有し、
前記第2のカスコード段はカスコード接続された2対の第2のトランジスタを有し、
前記トランジスタ差動対のドレイン電極が、前記第1のカスコード段に接続されたフォールディッドカスコード型であることを特徴とする請求項6に記載の増幅回路。
【請求項9】
前記第1のブーストアンプ及び前記第2のブーストアンプは、前記切り替え制御信号の値が前記第1の値の時にオンし、前記第2の値の時にオフすることを特徴とする請求項6に記載の増幅回路。
【請求項10】
前記第1のブーストアンプ及び前記第2のブーストアンプは、コモンモードフィードバック回路を具備した差動構成であることを特徴とする請求項6に記載の増幅回路。
【請求項11】
前記コモンモードフィードバック回路は、差動出力間に直列に接続された容量値が等しい2つのキャパシタを有するスイッチトキャパシタ型であることを特徴とする請求項10に記載の増幅回路。
【請求項12】
前記2つのキャパシタの接続点と、前記第2の基準電圧線との間に接続され、前記第1及び第2のスイッチと同じタイミングでオン・オフする第5のスイッチをさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の増幅回路。
【請求項13】
前記電圧制御電流源に与えられる前記入力信号のサンプリングを行うキャパシタ及びスイッチをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の増幅回路。
【請求項14】
前記キャパシタ及びスイッチは、前記切り替え制御信号が前記第2の値の時及び前記第2の値から前記第1の値へ切り替わってから前記所定時間の間に前記入力信号のサンプリングを行うことを特徴とする請求項13に記載の増幅回路。
【請求項15】
請求項13に記載の増幅回路を含み、サンプルモードとアンプモードの2つの動作モードを有するA/D変換器。
【請求項16】
アナログ入力信号を前記サンプルモードの間はサンプルし、前記アンプモードの間はホールドするサンプルホールド回路と、
前記サンプルホールド回路の出力側に縦続接続され、入力される第1のアナログ信号をデジタル信号に変換して出力する比較器、及び前記デジタル信号を第2のアナログ信号に変換すると共に前記第1及び第2のアナログ信号の差信号を出力する前記増幅回路を含んだデジタルアナログ変換器をそれぞれ有する複数のステージと、
前記複数のステージからそれぞれ出力されるデジタル信号を合成してデジタル出力信号を生成するデジタル補正回路と、
を備えることを特徴とする請求項15に記載のA/D変換器。
【請求項1】
入力信号を増幅し増幅信号を出力ノードから出力する増幅回路であって、
第1の基準電圧線と前記出力ノードとの間に接続され、切り替え制御信号が第1の値をとる時に定電流を発生させ、前記切り替え制御信号が第2の値をとる時は前記定電流の発生を行わない電流源と、
第2の基準電圧線に接続し、前記入力信号によって電流量が制御される電圧制御電流源と、
ドレイン電極が前記電流源及び前記出力ノードに接続され、ソース電極が前記電圧制御電流源に接続され、前記増幅信号を出力するカスコードトランジスタと、
入力端子及び出力端子を有し、前記入力端子が前記カスコードトランジスタの前記ソース電極に接続され、前記出力端子が前記カスコードトランジスタのゲート電極に接続されたブーストアンプと、
前記出力ノードと前記第2の基準電圧線との間に接続され、前記切り替え制御信号が前記第1の値をとる時にオフし、前記第2の値をとる時にオンする第1のスイッチと、
前記ブーストアンプの出力端子と所定電圧を有する電圧線との間に接続され、前記切り替え制御信号の値が前記第2の値から前記第1の値へ切り替わるに伴い所定時間オンし、前記所定時間の経過後はオフする第2のスイッチと、
を備える増幅回路。
【請求項2】
前記所定電圧は前記ブーストアンプの動作点の電圧であることを特徴とする請求項1に記載の増幅回路。
【請求項3】
ソース電極が前記電流源に接続され、ドレイン電極が前記出力ノードに接続され、前記カスコードトランジスタとは極性が異なる第2のカスコードトランジスタと、
第2の入力端子及び第2の出力端子を有し、前記第2の入力端子が前記第2のカスコードトランジスタのソース電極に接続され、前記第2の出力端子が前記第2のカスコードトランジスタのゲート電極に接続された第2のブーストアンプと、
前記第2の出力端子と第2の所定電圧を有する第2の電圧線との間に接続され、前記切り替え制御信号の値が前記第2の値から前記第1の値へ切り替わるに伴い前記所定時間オンし、前記所定時間の経過後はオフする第3のスイッチと、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の増幅回路。
【請求項4】
前記第2の所定電圧は前記第2のブーストアンプの動作点の電圧であることを特徴とする請求項3に記載の増幅回路。
【請求項5】
前記入力信号は差動信号であり、前記出力ノードから差動増幅信号を出力する差動構成としたことを特徴とする請求項1に記載の増幅回路。
【請求項6】
差動入力信号を増幅し、第1及び第2の出力ノードから差動増幅信号を出力する増幅回路であって、
ゲート電極に前記差動入力信号が与えられるトランジスタ差動対と、
第1の基準電圧線と前記第1及び第2の出力ノードとの間に接続され、第1のブーストアンプを含み、前記トランジスタ差動対とは異なる導電型のトランジスタを用いた第1のカスコード段と、
第2の基準電圧線と前記第1及び第2の出力ノードとの間に設けられ、第2のブーストアンプを含み、前記トランジスタ差動対と同じ導電型のトランジスタを用いた第2のカスコード段と、
前記トランジスタ差動対の共通ソース電極と前記第2の基準電圧線との間に接続され、切り替え制御信号が第1の値をとる時にオンして電流源として動作し、第2の値をとる時にオフする電流源トランジスタと、
前記第1の出力ノードと前記第1の基準電圧線との間に接続され、前記切り替え制御信号が前記第1の値をとる時にオフし、前記第2の値をとる時にオンする第1のスイッチと、
前記第2の出力ノードと前記第1の基準電圧線との間に接続され、前記切り替え制御信号が前記第1の値をとる時にオフし、前記第2の値をとる時にオンする第2のスイッチと、
前記第1のブーストアンプの出力端子と第1の所定電圧を有する第1の電圧線との間に接続され、前記切り替え制御信号の値が前記第2の値から前記第1の値へ切り替わるに伴い所定時間オンし、前記所定時間の経過後はオフする第3のスイッチと、
前記第2のブーストアンプの出力端子と第2の所定電圧を有する第2の電圧線との間に接続され、前記切り替え制御信号の値が前記第2の値から前記第1の値へ切り替わるに伴い所定時間オンし、前記所定時間の経過後はオフする第4のスイッチと、
を備える増幅回路。
【請求項7】
前記第1のカスコード段はカスコード接続された2対の第1のトランジスタを有し、
前記第2のカスコード段はカスコード接続された1対の第2のトランジスタを有し、
前記トランジスタ差動対のドレイン電極が、前記第2のトランジスタのソース電極に接続されたテレスコピック型であることを特徴とする請求項6に記載の増幅回路。
【請求項8】
前記第1のカスコード段はカスコード接続された2対の第1のトランジスタを有し、
前記第2のカスコード段はカスコード接続された2対の第2のトランジスタを有し、
前記トランジスタ差動対のドレイン電極が、前記第1のカスコード段に接続されたフォールディッドカスコード型であることを特徴とする請求項6に記載の増幅回路。
【請求項9】
前記第1のブーストアンプ及び前記第2のブーストアンプは、前記切り替え制御信号の値が前記第1の値の時にオンし、前記第2の値の時にオフすることを特徴とする請求項6に記載の増幅回路。
【請求項10】
前記第1のブーストアンプ及び前記第2のブーストアンプは、コモンモードフィードバック回路を具備した差動構成であることを特徴とする請求項6に記載の増幅回路。
【請求項11】
前記コモンモードフィードバック回路は、差動出力間に直列に接続された容量値が等しい2つのキャパシタを有するスイッチトキャパシタ型であることを特徴とする請求項10に記載の増幅回路。
【請求項12】
前記2つのキャパシタの接続点と、前記第2の基準電圧線との間に接続され、前記第1及び第2のスイッチと同じタイミングでオン・オフする第5のスイッチをさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の増幅回路。
【請求項13】
前記電圧制御電流源に与えられる前記入力信号のサンプリングを行うキャパシタ及びスイッチをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の増幅回路。
【請求項14】
前記キャパシタ及びスイッチは、前記切り替え制御信号が前記第2の値の時及び前記第2の値から前記第1の値へ切り替わってから前記所定時間の間に前記入力信号のサンプリングを行うことを特徴とする請求項13に記載の増幅回路。
【請求項15】
請求項13に記載の増幅回路を含み、サンプルモードとアンプモードの2つの動作モードを有するA/D変換器。
【請求項16】
アナログ入力信号を前記サンプルモードの間はサンプルし、前記アンプモードの間はホールドするサンプルホールド回路と、
前記サンプルホールド回路の出力側に縦続接続され、入力される第1のアナログ信号をデジタル信号に変換して出力する比較器、及び前記デジタル信号を第2のアナログ信号に変換すると共に前記第1及び第2のアナログ信号の差信号を出力する前記増幅回路を含んだデジタルアナログ変換器をそれぞれ有する複数のステージと、
前記複数のステージからそれぞれ出力されるデジタル信号を合成してデジタル出力信号を生成するデジタル補正回路と、
を備えることを特徴とする請求項15に記載のA/D変換器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−147992(P2010−147992A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−325466(P2008−325466)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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