説明

多孔質アルミナに基づく反射防止のナノメータ構造体及びその製造方法

【課題】複数の異なった分野での利点に使用可能な製品を生じさせる陽極処理された多孔質アルミナの助けを借りて行われたナノ構造化法の新しい適用を提案する。
【解決手段】ナノメータサイズのレリーフ又はキャビティの規則的で整然とした分布を示す表面を持った透明材料2からなる基板は、透明材料からなる基板上にアルミニウムの層を堆積することと、透明基板の表面上に転写されるパターンに従って気孔4が整然とした分布しているアルミナ構造体を得るために、その後にアルミニウムの陽極処理を行う操作と、を含む方法で得られる。当該方法は、反射防止特性を持った透明基板を与え、前記反射防止特性が現れる波長で透明基板によって伝えられた放射線のパーセンテージを増加させるために、寸法や配置の適正化されたキャビティ又はレリーフを得るようにして、あるいは、透明基板の金型成形に用いられる金属基板上で行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の表面上で、ナノメータサイズの一連のレリーフ(relief)と一連のキャビティ又は隙間との間の少なくとも一つを示し、実質的に整然とした幾何学的形状で配置されたナノ構造体を得る方法に関する。当該方法は、ナノ構造体の形成の操作(operation)への助けとして用いられる陽極処理された多孔質アルミナの少なくとも一つの層の形成を備える。上記タイプの方法は、両方とも本出願人の名で出願された文献である国際出願WO2004/079774 A1号及び国際出願WO2004/079056 A2号に示されている。
【0002】
ナノメータサイズの表面構造又はレリーフ(「ナノ構造体」)を持って、所定の幾何学的形状にしたがって配置されたコンポーネントは、ミクロな電気機械(electromechanical)システム(MEMS)、回折光学システム、医療機器、化学・生物センサー等のようなある技術セクターにおいて現在用いられている。
【0003】
前述の国際出願WO2004/079774 A1号において、本出願人は、白熱光源用のエミッタをナノ構造化する方法を提案している。その中で、陽極処理された多孔質アルミナの層は、エミッタをナノ構造化するための犠牲的(sacrificial)要素として用いられている。前記の既知の解決策では、エミッタは電流を流すことによって白熱状態までもたらされている。エミッタのナノ構造化は、電磁スペクトルの所定の領域への吸収及び放射を選択的に増加させる目的を有しており、それにより、エミッタの明るさ及び/又は効率を増加させる。吸収の増加は、白熱光源のエミッタのような電磁波(electromagnetic radiation)に不透明な材料において、対応する反射率の低下を意味する。
【0004】
上で説明された国際出願WO2004/079056 A2号は、国際出願WO2004/079774 A1号と同じ優先権を主張したものであって、陽極処理された多孔質アルミナの助けを借りて行われたナノ構造化の方法に関する。それはもっぱら発光体の分野に制限されていないが、反射防止特性を持った構造体を得ることにどんな場合も着目していない。
【発明の開示】
【0005】
本発明の目的は、簡単で経済的に有利な方法で実行することができ、複数の異なった分野での利点に使用可能な製品を生じさせる陽極処理された多孔質アルミナの助けを借りて行われたナノ構造化法の新しい適用を提案することである。
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の主題は、
前述の基板は、一つ以上の所定の波長範囲に属する波長の電磁波(electromagnetic radiation)に対して透明な材料から形成され、
前記ナノ構造体は、前記反射防止特性が現れる(manifested)波長で前記基板によって伝えられた放射線(radiation)のパーセンテージを増加させるように、一つ以上の前述の所定の波長範囲の少なくとも一部分の電磁波(electromagnetic radiation)に関して反射防止特性を示すように形成されていることを特徴とする、現在の説明の最初に示されたタイプの方法である。
【0007】
一つ以上の所定のスペクトル領域において、電磁波(electromagnetic radiation)に対して透明な基板上に反射防止構造を構成するための方法が、本発明で提案されている。
【0008】
国際出願WO 2004/079774 A1号に提案されているのと同様に、その方法は、多孔質アルミナの少なくとも一つの層の形成を備える。それは、本発明の場合には、基板を構造化するための犠牲的要素として(国際出願WO 2004/079774号のように)、又は基板自体に統合された要素のいずれかとして用いることができる。基板のナノ構造化は、電磁スペクトルの関心領域、特に可視及び/又は紫外線及び/又は赤外線の透過率の増加を可能にする。
【0009】
例として、当該方法によって、ガラス上の反射防止構造が、例えば誘電体多層の堆積又は蛾の目(「MOTH-EYE」)タイプの光学系でナノ構造化することのような既知の技術よりも明らかに低コストで得られることを可能にする。
【0010】
本発明に係る方法は、反射防止特性があって、ナノメータサイズのレリーフ又はキャビティを持った、ナノ構造化された透明なコンポーネントの簡単で経済的に有利な方法での製造を可能にする。
【0011】
本発明に係る方法を採用して得られた製品の可能な(possible)適用は、例えばディスプレイ上の物体を保護するために用いられる透明パネル、制御ボード用透明パネル、特に例えば自動車のダッシュボード上で計器(instrument)を保護するための透明パネルである。これらのすべての場合において、本発明に係る方法は、透明パネルの生産工程中の簡単で経済的に有利な方法で、反射防止特性を備えたパネルを得ることを可能にする。そのパネルは、パネルを通して観察することを容易にする。本発明に係る方法のさらに有利な適用は、自動車のダッシュボードの画像の窓に対する反射による形成を防ぐ限りでは、ドライバーが外部場面の良好な視界を得ることができる内部反射防止表面を持った、自動車用の窓(例えばフロントガラス)の製造を目的としている。
【0012】
本発明に係る方法では、アルミナ層の使用によって、複数のレリーフ又はキャビティが、関係した表面に照らして(in the context)得られ、規則的で整然として所定の幾何学的形状に従って配置されることを可能にする。
【0013】
陽極処理された多孔質アルミナは、犠牲的要素として好ましくは用いられる。しかしながら、すでに述べているように、一般に、基板上に堆積されたアルミナは、引き続き、基板と一体的部分を形成し、反射防止機能それ自体を有することができる。
【0014】
本発明に係る方法のさらに好ましくて有利な特徴は、添付された請求項で示される。それは、現在の説明の一体的部分を形成するものとして理解される。
【0015】
もちろん、本発明の主題は、上記方法で得られた製品である。
【0016】
本発明のさらなる目的、特徴及び利点は、添付図面を参照して行う以下の説明から明確になるであろう。なお、それは単なる非限定的な例として提供されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
その可能な実施態様のすべてにおいて、本発明に係る方法は、能動的(active)要素、ほかに犠牲的要素又はテンプレートとして、高い規則性を備えた陽極処理された多孔質アルミナの少なくとも一つのフィルムの使用を想定している。
【0018】
その場合によれば、提供されるアルミナ層は、前述のナノ構造化表面を得るために必要なさらなる犠牲的要素の形成のために、反射防止のナノ構造化表面を直接的に形成するか他のものを間接的に形成するのに用いられる。
【0019】
多孔質アルミナの構造は、アルミニウム・コンデンサーにおける誘電体フィルム(有機コーティングの保持用フィルム、及びアルミニウム基体の保護用フィルムのような適用に対して過去に大きな注目を集めている。
【0020】
多孔質アルミナは、アルミニウム・マトリックスに埋没された中空カラムの格子として理想的に表わすことができる構造を有している。多孔質アルミナは、ガラス、石英、シリコン、タングステン等のような基板上に高純度アルミニウムのシート又はアルミニウム・フィルムを陽極酸化するプロセスによって得ることができる。
【0021】
図1は、適切な基板上のアルミニウム・フィルムを陽極酸化することによって得られた、多孔質アルミナのフィルムのある部分(全体として参照符号1で示されている)を単なる実施例として示している。適切な基板は、参照符号2で示されている。本発明の場合、前記基板は、一つ以上の所定の波長範囲に属する波長、例えばスペクトルが可視、及び/又は紫外線及び/又は赤外線の領域にある波長の電磁波(electromagnetic radiation)に対して透明である。本発明の場合、基板2が、例えば、ガラス又は透明プラスチック材料によって構成されている。
【0022】
図1に示されているように、アルミナ層1は、互いに直接に隣接している一連の実質的に六角形のセル3によって形成されている。各々のセル3は、穴又は「気孔」4を形成する中央の直線の穴を有している。各々のセル3は、基板2の表面に対して実質的に垂直である。基板2に対応する位置に位置する各セル3の端部は、実質的に半球の幾何学的形状をしている閉止部分5を有している。一連の閉止部分5は、フィルム1の非多孔部分、又は「バリヤ層」を全体として形成する。
【0023】
既知の技術では、電解質及び、プロセスの物理的パラメーターや化学的パラメーターや電気化学的パラメーターすなわち酸性電解質(リン酸、シュウ酸及び硫酸のようなもの)、及び適切なプロセス条件(電圧、電流、攪拌、及び温度)を適切に選択することにより、制御された形態を持ったフィルムが作られるときに、高い規則性を備えた多孔性フィルムを得ることが可能である。この目的のために、セル3の寸法や密度、気孔4の直径、及びフィルム1の高さが修正される。例えば、気孔4の直径(典型的には50乃至500nmである)は、化学処理によって拡大したり制限したりすることができる。
【0024】
図2に模式的に表わされるように、多孔質アルミナのフィルム1の形成の最初のステップは、透明基板2の上にアルミニウムの層6を堆積することである。この操作は、数100ナノメータから30ミクロンまでの厚さを持った高純度材料の堆積を含んでいる。本発明では、層6は、熱蒸着及び電子ビーム蒸発及びスパッタリングという従来技術によって得られる。
【0025】
アルミニウムの層6の堆積ステップの後には、層それ自体の陽極処理のステップが続く。層6の陽極処理のプロセスは、得られることになっている気孔4のサイズ及びそれらの間の距離にしたがって異なった電解液を用いて行なうことができる。同じ電解質を考えると、濃度、電流密度及び温度は、気孔4のサイズに最も影響するパラメーターである。電解槽の構成は、陽極プロセスの対応する均一性と共に、電場の力線の正確な分布を達成するのに等しく重要である。
【0026】
図3は、基板2上のアルミニウムの層6を第一の陽極処理を行った結果を模式的に示している。模式的に表わされるように、規則的な構造は、層6の第一の陽極処理によって得られたアルミナ1Aのフィルムによって得ることができない。図1に参照符号1で示された非常に整然とした構造タイプのものを得るために、陽極処理の連続的なプロセス、及び、特に少なくとも以下のプロセスを行なうことが必要になる。すなわち、
i)第一の陽極処理(その結果が図3に明示されている)のステップと、
ii)酸性溶液(例えばクロム酸(CrO3)やリン酸(PO4))によって得られるアルミナ1Aのフィルムをエッチングによって削除するステップであって、その結果が、エッチング・ステップの後に続く基板2を模式的に示す図4に示されているステップと、
iii)エッチングの後に残っているナノ構造化されたアルミニウム・フィルムの部分を第二の陽極処理するステップと、
iv)反射防止特性を得るために充填の正確なファクタを達成するために、前の陽極処理に関しては同じ電解質の中で行われた、気孔を拡大するステップと、である。
【0027】
ii)のエッチングステップは、アルミニウムの残余の側に、陽極処理の第二のステップの中でアルミナ自体の成長の優先領域を形成するために重要である。
【0028】
多くの回数の連続的なエッチング及び陽極処理操作を行うことによって、図5に模式的に示されるように、非常に均一になるまで、構造が良くなる。図5において、アルミナのフィルム1は、規則的であり、整然としている。
【0029】
以下のことから分かるように、本発明に係る方法のある実施態様では、多孔質アルミナのフィルム1を得た後、フィルムに規則的な部分5によって形成されたバリヤ層の完全又は局所的な除去のステップが行なわれる。そのバリヤ状態は、アルミナ構造を絶縁して、基礎をなす基板2を保護する。したがって、前記層の低減は、電着(電気的な接触が必要である)及びエッチング(三次元のナノ構造体が基板2に直接に作成される)の可能な次工程を行なう目的に必須である。
【0030】
バリヤ層の除去又は低減の前述のプロセスは、
電流を流すことなく、前の陽極処理の電解質と同じ電解質で行われた、気孔4の拡大ステージと、
前の陽極処理に用いられたものと同じ電解質の中で非常に小さな電流を流すことによって行なわれたバリヤ層の低減ステージであって、このステップでは、陽極処理に典型的である平衡に到達しないで、エッチング工程はアルミナの形成のそれに関して容易になるステージと、
という二つの連続ステージを想定している。
【0031】
前に述べたように、本発明によれば、前に説明したプロセスによって生成されたアルミナ1のフィルムは、能動的な(active)反射防止膜若しくはナノ構造化テンプレート(つまり、透明基板上に同じパターンのアルミナを再生する構造を作るためのベース)として、直接に用いられる。理解されるように、選択された実施例によれば、負のナノ構造体(つまり、アルミナに対して実質的に相補的であり、そしてその結果、フィルム1の気孔4に対応する位置にカラムを有している)、若しくは正のナノ構造体(つまり、アルミナに対して実質的に同一であり、そしてその結果、フィルム1の気孔4に対応する位置にキャビティを有している)を得ることは可能である。
【0032】
図6及び7は、二つのナノ構造化フィルムの部分的な模式図を示している。それらの図は、大きさが適切に合わせられ、本発明に従って得ることができる二つの前述のタイプの構造を持った反射防止特性を有する。図6のフィルム10は、ベース部11によって区別された、前述の負の構造をしている。前述のカラム10は、ベース部11から分岐している。図7のフィルム13は、前述のキャビティ15が形成されたボディ14によって区別された、前述の正の構造をしている。
【0033】
図6及び7に示された構造化フィルム10、13を作製するために提案された技術は、透明基板として用いられる材料に従って様々なタイプのものとすることができ、特に、
ウェットエッチングの減法(subtractive)プロセスと、
プラズマエッチングの減法(subtractive)プロセスと、
SiO2のような透明なガラス材料のシルクスクリーン印刷、ゾル・ゲル又は化学的気相堆積(CVD)による加法(additive)プロセスと、
所望のナノ構造体を再生する、透明な材料(例えばプラスチック材料)で作られた基板を射出成形又は熱エンボス加工するのに用いられる母型を製造するために減法(subtractive)プロセス及び/又は減法(subtractive)プロセスにアルミナ構造体が置換されるハイブリッドプロセスと、
のうちのいずれか一つを想定することができる。
【0034】
以下において、本発明に係る方法の前記実施態様のうちのいくつかが詳細に説明される。
【0035】
第一の実施態様
図8は、図7に示されたタイプの正の構造を得るように、基板上にアルミナのパターンを転写(transfer)するために設けられた、本発明に係る方法の第一の実施態様の幾つかのステップを模式的に示している。当該方法の最初の5つのステップは、図2乃至5を参照して前に説明されたものによれば、適切な透明基板上のアルミニウムの各層の少なくとも一つの第一の陽極処理及び第二の陽極処理と、気孔の拡大(図8のa))と、から成る。この実施態様については、前の陽極処理に用いたのと同じ電解質において非常に小さな電流を流すことによって、気孔4(図8のa))の底部分5によって形成されたバリヤ層を除去することが必須である。基板2は例えばガラスで作ることができる。また、陽極処理に必要なアルミニウムの層は、スパッタリング又は蒸着(電子ビーム又は熱蒸着のいずれか)によって堆積することができる。
【0036】
規則的で整然としたアルミナ構造を持ったフィルム1を得た後、基板(図8のc))上の構造体の最終高さを制御する、ウェットエッチング(例えば、ガラスに対しては、フッ酸を主成分にした酸性溶液を用いることが可能である)によって、パターンが基板2に転写される。この後に、例えば炭酸(CO3)及びリン酸(H3PO4(図8のd))のような適切な酸性溶液中でエッチングすることによってアルミナの除去が続く。
【0037】
このように得られた基板2は、基板2が透明である一つ以上の所定の波長範囲の少なくとも一部分の電磁放射線に関して反射防止特性を現す。このように、基板2は、前述の反射防止特性を現す波長で伝えられた放射線(radiation)の高い割合を有する。以下に詳細に説明するように、基板の表面上で得られたキャビティ15のパターン及び寸法は、所望の反射防止特性が得られるように選択される。
【0038】
第二の実施態様
第一の実施態様の場合と同じように、図7に示されたタイプの正の構造13が得られるように、本発明の第二の実施態様は、基板上にアルミナのパターンを転写することを想定している。
【0039】
規則的で整然としたアルミナ構造(図8のa)及び図5に対応する図9のa))を持ったフィルム1が得られた後、パターンは、構造体の最終高さを制御する、プラズマエッチングによって基板に転写される。前の場合と同様に、ガラス、プラスチック又はその他同種のもの(図9のb))のようなあらゆる透明基板に対して、当該方法が実行可能である。
【0040】
次に、アルミナのフィルムは、例えばクロム酸(CrO3)やリン酸(H3PO4)のような適切な酸性溶液中でエッチングすることによって除去される。
【0041】
図8に示された第一の実施態様と比較すると、第二の実施態様は、気孔(pore)の開口の操作を要求しないという利点を与える。その操作は、プラズマエッチングの操作によって基板上にパターンを転写することを同時に引き起こす。
【0042】
第三の実施態様
この実施態様は、上に説明した実施態様のものに類似していて、図2乃至5に示された操作に対応するステップで、図6の構造10と同じタイプの負の構造を作ることを想定している。
【0043】
この場合、図10のa)及び図10のb)に示されるように、第二の陽極処理の後に、前の陽極処理に用いられたものと同じ電解質の中で非常に小さな電流を流すことによって行われた、バリヤ層5の除去のステップが続く。
このステップの後に、
ガラス又はプラスチックの母材を備えたシルクスクリーン印刷ペーストがアルミナ構造体の上に堆積され、真空処理によって、アルミナ構造体の気孔を充填していくシルクスクリーン印刷技術と、
前駆体溶液(precursor solution)(例えばテトラエトキシシラン(TEOS)タイプのもの)が、アルミナ構造体上の回転コーティング、及び真空処理によって堆積され、アルミナ構造体の気孔を充填していくゾル・ゲル技術と、
高アスペクト比(図10のc)の堆積物12'を参照すること)を持った構造体の正確な再生を保証する、アルミナの中空の気孔内に堆積される材料の貫通を可能にする還元ガスが存在する反応チャンバを使用することを特徴とする、ガラス、又は透明な材料の化学的気相堆積(CVD)技術と、
という異なった技術による材料の堆積が続く。
【0044】
シルクスクリーン印刷技術及びゾル・ゲル技術の場合、前述の操作の後に、材料の焼結のステップ(図10のd))が続く。
【0045】
提案したすべての場合において、アルミナ層1は、例えばクロム酸(CrO3)やリン酸(H3PO4)のような適切な酸性溶液中でエッチングすることによって除去される。
【0046】
またこの場合、得られた透明基板は、所望の反射防止特性をそれに与えるように選択されたレリーフ(relief)12のパターン及び寸法を有している。
【0047】
第四の実施態様
本発明に係る方法の本実施態様は、前の実施態様に従って得られたテンプレートからスタートする、図6及び図7のものと同じタイプの正の構造又は負の構造を作るために提供されている。
【0048】
前記実施態様は、透明プラスチック又はガラスの材料の上に射出成形加工又は熱エンボス加工を行うための金型に用いられる、ナノメータのパターンを、一つの表面上に持っている金属薄片を得るために、前の実施態様によって得られた、構造体のコピーの生成に基づいている。
【0049】
図11のa)は、出発点が、上記の第一の実施態様(図8)によって、若しくは上記の第二の実施態様(図9)によって得られた構造である場合を示している。この場合、図8又は図9での方法が行われる基板20は、必ずしも透明基板である必要はなく、したがって例えばガラス又は不透明なプラスチック材料、金属、シリコンなどのいずれかであってもよいという違いがある。
【0050】
一旦、マスター20(図11のa))が所望の材料において得られているならば、プロセスは、真空状態(図11のb))の蒸発によって導電性金属層30をマスター表面に形成すること(application)を継続する。電鋳(electroforming)技術(図11のc))によって、金属材料の金型40が生成される。その後、金型40は、図7に示されたタイプの正の構成(図11のf))を持った透明基板(例えば、ガラス又はプラスチック材料で作られている)の射出成形加工又は熱エンボス加工を行うために用いられる(図11のe))。
【0051】
図11-1は、透明な材料で必ずしも作られておらず、負の構成を有する基板20からスタートして用いられる同様の方法を示している。それは、上記第三の実施態様(図10)の方法で得られる。またこの場合、導電性層30の蒸着のステップが行なわれ(図11-1のb)、電鋳(electroforming)技術(図11-1のc)及びd))を用いて、金型40が作られる。また、射出成形加工又は熱エンボス加工を行うことによって得られて、図6のタイプの負の構成(図11-1のe)及びf))を有している前記金型は、透明基板13の製造のために用いられる。
【0052】
図11のf)及び図11-1のf)の透明基板13の両方は、ナノ構造化表面の構成のおかげで、所望の反射防止特性を示す。
【0053】
図12は、ナノ構造化表面を備えた透明基板の金型成形に使用可能な金属金型を得る方法のさらなる実施例を示す。この場合、本発明に係る方法の第四の実施態様の最初に用いられる基板20(図11のa))は、図9の方法(それは図12において実質的に示されている)で得ることができる。今回、それは金属基板に適用されるという違いを持っている。さらにこの場合、プラズマエッチング技術の代わりに、多孔質アルミナから金属基板20にパターンを転写するために減法(subtractive)の電解プロセスを用いることができる(図12のa)及びb))。したがって、図12の場合、電解のプロセスは、材料除去に適したタイプのものである。
【0054】
また、図12の実施態様の場合、最後に得られたコンポーネント20(図12のc))は、図11に示したのと同様の方法で、ナノ構造化表面を持った透明基板を金型成形するのに使用可能な金型を作るためのマスターとして用いられる。
【0055】
図13は、本発明に係る方法の第四の実施態様のさらなる変形例を示している。図13において、図10の方法と同様の方法で、図11-1のa)に示されたナノ構造化表面を備えた金属基板20が得られる。この場合、金属基板20上に多孔質アルミナのパターンを転写することは、金型を構成するマスターを得るために、金属材料の堆積の電解プロセスによって得られる。
【0056】
本発明に係る方法の第四の実施態様で用いられる金型を作るためのさらに可能な方法は、
前の場合(図14のa)、図2乃至5も参照すること)ように、いずれかの適切なタイプの基板20上にアルミナを得るステップと、
スパッタリング(気孔のトップ部だけが典型的に充填される)によって、導電性フィルム30(図14のb))を真空状態で堆積するステップと、
金属材料(図14のc))の層40を電着させる(electrodepositing)ステップと、
他の挿入物を生成するための電鋳技術によってコピーされる、マスター金型(図14のd))として得られた金属コンポーネント40を用いるステップと、
を備える(図14を参照)。
【0057】
熱可塑性材料又は成型可能なガラス材料2(図14のe)及びf))からなり、ナノ構造化表面を備えた透明基板を得るために、射出成形加工又は熱エンボス加工を行うための機械に金型40が導入される。ガラス材料の成形プロセスは、粉体の射出成形タイプのものであってもよい。
【0058】
上記方法の各々によって、多孔質アルミナのマトリックスの構造(structuring)(図15に模式的に示されている)が、透明な材料の表面上で得られることを可能にする。これが適切な幾何学的な特徴を示すときに、前記構造(structuring)の反射防止特性が顕著に現れる。前記構造の光学的性質の特性決定に重要なパラメーターは、
1)基板内での構造体(structuring)の深さHと、
2)キャビティ/柱(pillar)の直径Dと、
3)構造(structuring)の周期P(period)(つまり、図15においてPx及びPyで示された二つの直交方向の二つの隣接したキャビティ/柱の中心間の距離)と、である。典型的には、互いに隣接した三つのキャビティ/柱は、実質的に正三角形の頂点を形成する。この場合、Px及びPyは、次の関係によって互いにリンクされている。
Py=30.5×Px
【0059】
図16は、構造体(structuring)の異なった深さに対する波長の関数としてBK7ガラスの平面板の反射率の変化を示している。
1)深さがゼロ(「フラット」)の場合。表面がフラットで、ガラスの平面板に典型的な反射率のパターンがある。
2)深さが100nmである場合。反射率は、波長400nm乃至725nmで0.01未満の値をとっている(assume)。
3)深さが100nm以上である場合。反射率は複数の最小(multiple minima)を有している。0.01よりも小さい値をとる(assume)ために反射率に対する波長の全範囲が前の場合よりも狭い。
【0060】
したがって、それが、可視バンドのすべてを実質的にカバーするのに十分に広い単一の最小(minimum)を生じさせるので、構造体の深さが100nmであることは望ましく思われる。どんな場合も、80乃至120nmの間で設けられた深さの選択を想定することができる。
【0061】
図17は、キャビティの直径と構造体(structuring)の周期Pとの間の異なった比率に対する波長の関数として反射率の変化を、構造体(structuring)の深さが100nmの最適値に固定された、BK7ガラス平面板に対してもう一度示している。
1)比率が0.00である場合。キャビティの半径がゼロであり、表面はフラットであり、また、ガラスの典型的なパターンの平面板が得られる。
2)比率が0.8である場合。反射率は、範囲375nm乃至700nmで0.01未満の値をとっていて(assume)、484nmで実質的にゼロの最小値である。
3)比率が中間値である場合。反射率は前の場合によりも常に大きい値をとる(assume)。
【0062】
それが実質的にゼロの最小値を生じさせ、反射率の値が可視バンドで0.01未満であるので、キャビティの直径と構造体の周期Pxとの間の比率が0.8であることは、望ましいと分かっている。どんな場合も、0.75と0.85との間の比率値を選択することができる。
【0063】
図18は、構造体(structuring)の深さが100nmに固定されたときの、キャビティの直径と構造体の周期Pxとの間の比率が0.8である場合に、周期Pxの異なった値に対する波長の関数として反射率の変化(BK7ガラス平面板に対して)を示している。周期Pxが180nm以上になるとき、構造体の特有の寸法は、関心のある波長と比較可能で、追加の反射されたオーダー(その代りに、より短い周期については、単一オーダー(single-order)の反射がオーダー0である)の外観により反射率の激増を現すことを始める(start to)。したがって、最適の周期は200nm未満である。
【0064】
要約すると、反射防止特性を備えた透明基板上のナノ構造体のための最適パラメーターは、
1)キャビティの深さが80乃至120nmであり、好ましくは100nmであり、

2)周期Pxが200nm未満であり、
3)気孔(pore)/柱の直径が0.75乃至0.85であり、好ましくは対応する周期Pyの0.8倍である。
【0065】
前に記載された方法によって、前の構造と同種の構造、すなわち、
1)柱の高さ、
2)柱の直径、
3)構造体の周期(つまり二つの隣接した柱の中心間距離)、
によって規定されることを特徴とする柱状構造体が得られる。
【0066】
前記構造体の挙動は、多孔質アルミナの挙動に類似している。その結果、望ましい高さは、80乃至120nmであり、好ましくは100nmであり、周期(period)Pxが200nm未満である。その代りに、その挙動は、柱の直径が変化するとき波長の関数として、反射率の変化が異なっている。図19は、柱の高さが100nmに固定されたときに、柱の直径と構造体の周期Pxとの間の異なった比率に対する波長の関数として反射率のパターンを示している。
1)比率が0.00である場合。柱の直径がゼロであり、表面がフラットであり、ガラスの典型的なパターンの平面板が得られる。
2)比率が0.7である場合。反射率は、375nm乃至700nmで0.01未満の値をとり(assume)、実質的に484nmでゼロの最小値である。
3)中間値である場合。反射率は前の場合によりも常に高い値をとっている(assume)。
【0067】
したがって、最適値は0.65乃至0.75であり、好ましくは0.7である.
【0068】
要約すると、反射防止特性を持った、柱状のナノ構造体を備えた透明基板に対する最適パラメーターは、
1)柱の高さが80乃至120nmであり、好ましくは100nmであり、
2)周期Pxが200nm未満であり、
3)柱の直径が0.65乃至0.75であり、好ましくは対応する垂直周期(period)の0.7倍である。
【0069】
もちろん、本発明の原理を害することなく、構造の細部及び実施態様は、単なる実施例として本願に記載され且つ図示されたものを、本発明の範囲から逸脱することなく、幅広く変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】多孔質アルミナフィルムのある部分の模式的斜視図である。
【図2】図1のアルミナフィルムを得るために用いられた方法のいくつかのステップを示す模式的な横断面図である。
【図3】図1のアルミナフィルムを得るために用いられた方法のいくつかのステップを示す模式的な横断面図である。
【図4】図1のアルミナフィルムを得るために用いられた方法のいくつかのステップを示す模式的な横断面図である。
【図5】図1のアルミナフィルムを得るために用いられた方法のいくつかのステップを示す模式的な横断面図である。
【図6】本発明に従って得ることができる第一のナノ構造化フィルムのある部分の模式的斜視図である。
【図7】本発明に従って得ることができる第二のナノ構造化フィルムのある部分の模式的斜視図である。
【図8】本発明に係る方法の第一の実施態様の異なったステップの模式的な例示である。
【図9】本発明に係る方法の第二の実施態様の異なったステップの模式的な例示である。
【図10】本発明に係る方法の第三の実施態様の異なったステップの模式的な例示である。
【図11】本発明に係る方法の第四の実施態様の異なったステップの模式的な例示である。
【図11−1】図11の方法の第一の変形例を示している。
【図12】図11の方法の第二の変形例を示している。
【図13】、図11-1の方法の変形例を示している。
【図14】図11-1の方法のさらなる変形例を示している。
【図15】本発明に係る方法で得られた、ナノ構造化表面の模式的平面図である。
【図16】本発明に係る方法で得られた、ナノ構造化表面の幾何学的パラメータが変化するときに、反射率が変化することを示す図である。
【図17】本発明に係る方法で得られた、ナノ構造化表面の幾何学的パラメータが変化するときに、反射率が変化することを示す図である。
【図18】本発明に係る方法で得られた、ナノ構造化表面の幾何学的パラメータが変化するときに、反射率が変化することを示す図である。
【図19】本発明に係る方法で得られた、ナノ構造化表面の幾何学的パラメータが変化するときに、反射率が変化することを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(2)の表面に、ナノメータサイズの一連のレリーフ(12)と一連のキャビティ又は隙間(15)との間の少なくとも一つを示して、実質的に整然とした幾何学的形状に従って配置されたナノ構造体(10; 13)を得る方法であって、
前記方法は、ナノ構造体の形成の操作への補助として用いられる陽極処理された多孔質アルミナ(1)の少なくとも一つの層の形成を備え、
前記方法は、
前述の基板(2)は、一つ以上の所定の波長範囲に属する波長の電磁波に対して透明である材料から形成され、
前記ナノ構造体は、前述の反射防止特性が示される前記波長で前記基板(2)によって伝えられた放射線(radiation)のパーセンテージを増加させるように、一つ以上の前述の所定の波長範囲の少なくとも一部分の電磁波に関して反射防止特性を示すように形成されることを特徴とする方法。
【請求項2】
透明材料で作られた前記基板(2)が提供され、
アルミニウムの層(6)が前記基板(2)の上に堆積され、
基板(2)の表面に実質的に垂直な複数の気孔(4)を形成するアルミナの構造体(1a)が得られるまで、アルミニウム(6)の層の第一の陽極処理が行なわれ、当該アルミナ層(1)は、基板(2)に隣接する気孔(4)の底部分(5)によって形成されたバリヤ層を有し、
陽極処理された多孔質アルミナ(1A)の層は、エッチング操作によってアルミニウム(6)の底部の残余層から除去され、
基板(2)の前記表面に実質的に垂直な複数の気孔(4)を形成するアルミナ構造(1)が得られるまで、アルミニウムの残余層(6)の少なくとも一つの第二の陽極処理が行なわれ、当該アルミナ層(1)は、基板(2)に隣接する気孔(4)の底部分(5)によって形成されたバリヤ層を有することを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
一旦、多孔質アルミナの前述の新しい構造体が透明基板上に得られると、基板(2)に隣接する前述のバリヤ層の除去又は低減の操作が行われることを特徴とする、請求項2記載の方法。
【請求項4】
アルミナバリヤ層の除去又は低減の前記ステップが、
電流を流すことなく、陽極処理の前操作で用いられるのと同じ電解質中で行われる、気孔(4)を拡大する第一のステップと、
前の陽極処理に用いられた電解質と同じ電解質中で非常に小さい電流を流すことによって行われた、透明基板(2)に接するバリヤ層を低減させる第二のステップと、
を備えることを特徴とする、請求項3記載の方法。
【請求項5】
バリヤ層の低減又は除去の後、透明基板(2)にアルミナのパターンを転写する操作が、ウェットエッチング操作によって行われることを特徴とする、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前述のウェットエッチング操作の後、反射防止特性を示すように形づくられたナノ構造化表面を備えた単一の透明基板を得るように、アルミナの除去の操作がエッチングによって行われることを特徴とする、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前述の第二のアルミナ構造体(1)を得た後、プラズマエッチングの操作が行われ、当該操作によって、透明基板(2)に隣接するバリヤ層の除去、及び透明基板(2)へのアルミナのパターンの転写の両方が得られることを特徴とする、請求項3記載の方法。
【請求項8】
アルミナバリヤ層の除去の後、アルミナ構造体(1)の気孔内(4)の内部にさらなる材料(12')を堆積する操作が行われ、
当該操作の後に、規則的で整然とした配置に従った複数のナノメータのレリーフ12を備えたナノ構造化表面を有する透明基板(2)を得るために、酸性溶液中でのエッチングによってアルミナ構造体の除去の操作が行われることを特徴とする、請求項4記載の方法。
【請求項9】
前述の堆積操作は、ガラス又はプラスチックのマトリックスを備えたシルクスクリーン印刷ペーストの堆積及び真空状態での処理によって行われることを特徴とする、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前述の堆積操作は、回転コーティングによって前駆体溶液を堆積することにより、及びアルミナ構造体における気孔(4)の充填を得るために真空状態で処理することにより、ゾル・ゲル技術を用いて行われることを特徴とする、請求項8記載の方法。
【請求項11】
前述の堆積操作は、アルミナ構造体(1)の気孔(4)の内部に堆積された材料の貫通を得るために還元ガスの存在で反応チャンバの中で透明なガラス又は合成材料の化学的気相堆積(CVD)の技術を用いて行われることを特徴とする、請求項8記載の方法。
【請求項12】
前述の堆積操作の後、堆積された材料及び透明基板の焼結の操作が行われることを特徴とする、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項13】
ナノ構造化表面を備えた透明な材料(2)で作られた前述の基板は、所望とする表面に相補的なナノ構造化表面を持った金型要素の助けを借りた金型成形によって得られ、
ナノ構造化表面を有する前記金型要素(40)は、陽極処理された多孔質アルミナの層の助けを借りて得られることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記金型要素(40)は、所望としている透明基板(2)の構成と同一の構成を有する、例えば金属材料のような必ずしも透明ではない材料にあるマスター要素(20)から得られることを特徴とする、請求項13記載の方法。
【請求項15】
導電性金属層(30)を備えたマスター要素(20)のナノ構造化表面のコーティング操作と、電鋳技術による金型要素(40)のその後の作成操作と、の後に、前述の金型要素(40)が前述のマスター要素(20)から得られることを特徴とする、請求項14記載の方法。
【請求項16】
マスター要素(20)が、一連のキャビティを示すナノ構造化表面を有していることを特徴とする、請求項13乃至15のいずれか一つに記載の方法。
【請求項17】
マスター要素(20)が、一連のレリーフを示すナノ構造化表面を有していることを特徴とする、請求項13乃至15のいずれか一つに記載の方法。
【請求項18】
金属基板(20)の上に堆積されたアルミニウムの層を陽極処理の一つ以上の連続操作を行うこと、
金属基板に接するアルミナバリヤ層を除去すること、及び、
金属基板(20)の表面上にアルミナのパターンを転写するためにアルミナ構造体(1)の気孔(4)を用いることによって、前述のマスター要素(20)が得られることを特徴とする、請求項15記載の方法。
【請求項19】
金属基板(20)の表面上へのアルミナのパターンの転写が、プラズマエッチングによって行なわれることを特徴とする、請求項18記載の方法。
【請求項20】
金属基板(20)の上へのアルミナのパターンの転写が、当該材料の除去の電解法によって行なわれることを特徴とする、請求項18記載の方法。
【請求項21】
金属基板(20)の表面上へのアルミナのパターンの転写が、当該材料の堆積の電解法によって行なわれることを特徴とする、請求項18記載の方法。
【請求項22】
例えば金属材料のような必ずしも透明でない材料からなる基板(20)を設けること、
前記基板(20)の上に堆積されたアルミニウムの層を陽極処理の一つ以上の連続操作を行うこと、
アルミナ層(1)の気孔(4)の上部だけを充填するようにスパッタリングの技術によってアルミナの層(1)の上に導電性フィルム(30)を真空状態で堆積すること、及び
電鋳技術によって、前述の金型要素(4)又は金型要素を作るためのマスターとして用いられる要素を得るためにアルミナ層(1)の上に電着する技術によって金属材料(40)の層を堆積すること、
によって前記金型要素(40)が得られることを特徴とする、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項23】
第一の方向Xに延在し、該第一の方向Xに直交する第二の方向Yに互いに均一の距離でセットされた多くの並行な列に従って、前述のキャビティ(4)あるいは前述のレリーフ(12)の5点影(quincuncial)の配置を示すように、透明基板(2)の前述のナノ構造化表面が得られて、
各列のコンポーネントが、直接隣接した列のコンポーネントに関して第一の方向Xにねじれていることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項24】
比較的広範囲の波長において低反射率を得るために、およそ80乃至120nm、好ましくはおよそ100nmの高さを持ったキャビティ(4)又はレリーフ(12)が得られることを特徴とする、請求項23記載の方法。
【請求項25】
透明基板(2)は複数のキャビティ(4)又はレリーフ(12)を有しており、
前述の第一の方向Xにおけるキャビティ又はレリーフの分布の周期(Px)が、200nm未満であることを特徴とする、請求項24記載の方法。
【請求項26】
複数のキャビティを示すナノ構造化表面を持った透明基板(2)が得られていて、
可視光の波長範囲における反射率を小さな値にさせるために、各キャビティの直径(D)と前述の第一の方向Xでの前記キャビティの分布の周期(Px)との間の比率が、およそ0.75乃至0.85であり、好ましくはおよそ0.8であることを特徴とする、請求項25記載の方法。
【請求項27】
複数のレリーフ(12)を示すナノ構造化表面を持った透明基板(2)が得られ、
可視光の波長範囲における反射率を小さな値にさせるために、各レリーフの直径(D)と前述の第一の方向Xでの前記レリーフの分布の周期(Px)との間の比率が、およそ0.65乃至0.75であり、好ましくはおよそ0.7であることを特徴とする、請求項25記載の方法。
【請求項28】
多孔質アルミナの構造体が犠牲層を構成し、
当該犠牲層は、透明基板上に多孔質アルミナのパターンを転写するために用いられ、そしてその後、除去されることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項29】
透明基板上に多孔質アルミナのパターンを転写するために、多孔質アルミナの構造が用いられ、そしてその後、反射防止特性を備えた透明基板の一体的な部分を形成するように、少なくとも部分的に残存することを特徴とする、請求項2記載の方法。
【請求項30】
透明な材料で作られた基板であって、請求項1乃至29のいずれか一つに記載の方法によって得られることを特徴とする基板。
【請求項31】
透明な材料で作られた基板であって、
それが請求項1記載の方法で得られ、
透明基板(2)のナノ構造化表面は、第一の方向Xに延在し、該第一の方向Xに直交する第二の方向Yに互いに均一の距離でセットされた多くの並行な列に従って、前述のキャビティ(4)あるいは前述のレリーフ(12)の5点影(quincuncial)の配置を有し、
各列のコンポーネントが、直接隣接した列のコンポーネントに関して第一の方向Xにねじれていることを特徴とする基板。
【請求項32】
比較的広範囲の波長において低反射率を得るために、前記のキャビティ(4)あるいはレリーフ(12)の高さは、およそ80乃至120nmであり、好ましくはおよそ100nmであることを特徴とする、請求項31記載の基板。
【請求項33】
前述の第一の方向Xでの前記のキャビティ(4)又はレリーフ(12)の分布の周期(Px)は、200nm未満であることを特徴とする、請求項31記載の基板。
【請求項34】
ナノ構造体は複数のキャビティを有し、
可視光の波長範囲における反射率を小さな値にさせるために、各キャビティの直径(D)と前述の第一の方向Xでの前記キャビティの分布の周期(Px)との間の比率は、およそ0.75乃至0.85であり、好ましくはおよそ0.8であることを特徴とする、請求項33記載の基板。
【請求項35】
透明基板(2)は、複数のレリーフ(12)を示すナノ構造化表面を有し、
可視光の波長範囲における反射率を小さな値にさせるために、各レリーフの直径(D)と前述の第一の方向Xでの前記レリーフ(12)の分布の周期(Px)との間の比率が、およそ0.65乃至0.75であり、好ましくはおよそ0.7であることを特徴とする、請求項33記載の基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図11−1】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−100339(P2008−100339A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−305501(P2006−305501)
【出願日】平成18年11月10日(2006.11.10)
【出願人】(598031246)チ・エレ・エッフェ・ソシエタ・コンソルティーレ・ペル・アチオニ (86)
【氏名又は名称原語表記】C.R.F. Societa Consortile per Azioni
【Fターム(参考)】