多結晶シリコン層の製造方法及びこのための金属混入層形成装置
【課題】本発明は、多結晶シリコン層の製造方法を開示する。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る多結晶シリコン層(22)の製造方法は、非晶質シリコン層(20)と金属混入層(30)とをコンタクトした後、非晶質シリコン層(20)を結晶化熱処理して多結晶シリコン層(22)を製造することを特徴とする。本発明によれば、金属触媒の量を少なく導入しながらも、結晶化温度を低くすることができる多結晶シリコン層の製造方法を提供することができる。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る多結晶シリコン層(22)の製造方法は、非晶質シリコン層(20)と金属混入層(30)とをコンタクトした後、非晶質シリコン層(20)を結晶化熱処理して多結晶シリコン層(22)を製造することを特徴とする。本発明によれば、金属触媒の量を少なく導入しながらも、結晶化温度を低くすることができる多結晶シリコン層の製造方法を提供することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多結晶シリコン層の製造方法及びこのための金属混入層形成装置に関する。より詳細には、本発明は、金属誘導結晶化方法を用いて非晶質シリコン層を結晶化するにあたり、金属触媒の導入量を少なくすることができ、かつ結晶化温度を低くすることができる多結晶シリコン層の製造方法及びこのための金属混入層形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display;LCD)、有機発光ディスプレイ(Organic Light Emitting Display;OLED)などに用いられる薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor;TFT)は、大別して、非晶質シリコンTFTと、多結晶シリコンTFTとに分けられる。
【0003】
TFTの特性は、電子移動度の値で評価するが、非晶質シリコンTFTの電子移動度は約1cm2/Vs、多結晶シリコンTFTの電子移動度は約100cm2/Vs程度となるため、高性能のLCDには多結晶シリコンTFTを採用することが好ましい。
【0004】
多結晶シリコンTFTの製造時に重要なのは、非晶質シリコン層を結晶化させる工程である。特に、結晶化温度を低くすることが好ましいが、結晶化温度が高すぎると、TFTの製造時に溶融点が低いガラス基板を使用することができないため、TFTの製造コストが過度に上昇するという問題があった。このようなガラス基板を使用する可能性を考えて、これまで低温で短時間内に多結晶シリコン層を形成することができる多様な工程が提案されてきた。
【0005】
なかでも、金属誘導結晶化(Metal Induced Crystallization;MIC)法は、非晶質シリコンにNi、Cu、Alなどの金属触媒を塗布して低い温度で結晶化を誘導する方法であって、低い温度で結晶化が可能であるという利点があるが、活性化領域に含まれる相当量の金属により、リーク電流が大きく増加するという欠点があった。
【0006】
このように、MIC法は、TFTの製造時、非晶質シリコンの結晶化温度を低くし、ガラス基板の使用が可能であるという利点があるのに対し、金属汚染によってTFTの特性を低下させるという欠点もあるため、できる限り金属触媒の量を少なく導入しながら、結晶化温度を低くすることが最も好ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、上記の従来技術の問題を解決するためになされたものであって、金属誘導結晶化方式を用いて非晶質シリコン層を結晶化するにあたり、金属触媒の導入量を少なくすることができ、かつ結晶化温度を低くすることができる、金属混入層を用いた多結晶シリコン層の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、非晶質シリコン層を金属誘導結晶化するための金属混入層の形成時に、反応チャンバに供給される金属ソースガスの量を正確に制御することができる金属混入層形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の一実施形態に係る多結晶シリコン層の製造方法は、非晶質シリコン層と金属混入層(metal mixed layer)とをコンタクトした後、前記非晶質シリコン層を金属誘導結晶化熱処理して多結晶シリコン層を製造することを特徴とする。
【0010】
そして、上記の目的を達成するために、本発明の一実施形態に係る金属混入層形成装置は、非晶質シリコン層を金属誘導結晶化熱処理するための金属混入層(metal mixed layer)を形成する装置であって、基板が配置される反応チャンバと、前記反応チャンバに金属ソースガスを供給する金属ソースガス供給部と、前記反応チャンバにマトリックスソースガスを供給するマトリックスソースガス供給部とを備え、前記金属ソースガス供給部は、ソース物質が貯蔵されるソース物質貯蔵部と、前記ソース物質をソースガス化させるソース物質蒸発部と、運搬ガスを供給する運搬ガス供給部と、前記ソース物質貯蔵部と前記ソース物質蒸発部との間に設けられ、前記ソース物質蒸発部に供給されるソース物質の量を調整するソース物質供給部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、金属誘導結晶化方式により非晶質シリコン層を結晶化するにあたり、金属混入層を用いて金属触媒の量を少なく導入しながらも、結晶化温度を低くすることができるという効果を有する。
【0012】
また、本発明によれば、非晶質シリコンを金属誘導結晶化するための金属混入層の形成時に、反応チャンバに供給される金属ソースガスの量を正確に制御することができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態により基板上に非晶質シリコン層が形成されている様子を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態により非晶質シリコン層上に金属混入層が形成されている様子を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態により金属の濃度が調整された金属混入層の様子を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態により非晶質シリコン層が多結晶シリコン層に変化した様子を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態により金属混入層の上部、下部、または上部及び下部に金属非混入層が形成されている様子を示す図である。
【図6】本発明の他の実施形態により金属混入層上に非晶質シリコン層が形成されている様子を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る金属混入層形成装置の構成を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る金属ソースガス供給部の構成を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る金属ソースガス供給部のソース物質貯蔵部の一例を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る金属ソースガス供給部のソース物質貯蔵部の他の例を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る金属ソースガス供給部のソース物質供給部の構成を示す分解斜視図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る金属ソースガス供給部のソース物質供給部の構成を示す部分断面斜視図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る金属ソースガス供給部のソース物質蒸発部及びソース物質排出部の構成を示す図である。
【図14】本発明の一実施形態に係る金属ソースガス供給部のソース物質蒸発部及びソース物質排出部の構成を示す分解斜視図である。
【図15】本発明の一実施形態に係る金属ソースガス供給部のソース物質蒸発部及びソース物質排出部の構成を示す断面図である。
【図16】本発明の一実施形態に係る金属ソースガス供給部のソース物質供給部の動作を示す図である。
【図17】本発明の一実施形態に係る金属ソースガス供給部のソース物質供給部の動作を示す図である。
【図18】本発明の一実施形態に係る金属ソースガス供給部のソース物質供給部の動作を示す図である。
【図19】本発明の一実施形態に係る金属ソースガス供給部のソース物質供給部の動作を示す図である。
【図20】本発明の他の実施形態に係るソース物質供給部の構成を示す断面図である。
【図21】本発明の一実施形態に係る多結晶シリコン層の製造方法により製造された多結晶シリコン層の波長による反射度の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
後述する本発明に関する詳細な説明は、本発明が実施できる特定の実施形態を例示として示す添付図面を参照する。これらの実施形態は、当業者が本発明を実施できるのに十分になるように詳細に説明される。本発明の多様な実施形態は互いに異なるが、相互排他的である必要はないことが理解されなければならない。例えば、ここに記載されている特定の形状、構造、及び特性は、一実施形態に関連して本発明の精神及び範囲を逸脱しない範囲内で他の実施形態で実現可能である。また、各々の開示された実施形態内の個別構成要素の位置または配置は、本発明の精神及び範囲を逸脱しない範囲内で変更可能であることが理解されなければならない。したがって、後述する詳細な説明は限定的な意味として受け止めるものではなく、本発明の範囲は、適切に説明されると、その請求項が主張するのと均等なすべての範囲とともに、添付した請求項によってのみ限定される。図面において、類似の参照符号は様々な側面にわたって同一または類似の機能を指し示し、長さ及び面積、厚さなどとその形態は、便宜のために誇張して表現されることもある。
【0015】
以下では、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を容易に実施できるようにするために、本発明の好ましい実施形態について、添付した図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
多結晶シリコン層の製造方法
【0017】
本発明では、非晶質シリコン層20及び金属混入層30を互いに隣接するように形成した後に、非晶質シリコン層20を結晶化熱処理することを構成上の特徴とする。非晶質シリコン層20及び金属混入層30を互いに隣接するように形成する際は、図3に示すように非晶質シリコン層20上に金属混入層30を隣接形成してもよいし、図6に示すように金属混入層30上に非晶質シリコン層20を隣接形成してもよい。なお、どちらの場合も、非晶質シリコン層20が結晶化されるメカニズムは実質的に同一であるため、以下では、非晶質シリコン層20上に金属混入層30を隣接形成した後に結晶化熱処理する場合についてのみ説明する。金属混入層30上に非晶質シリコン層20を隣接形成した後に結晶化熱処理する場合については説明されていないが、この場合も、以下で説明される非晶質シリコン層20上に金属混入層30を隣接形成した後に結晶化熱処理する方法が同様に適用可能であることを理解されたい。
【0018】
図1〜図7は、本発明の一実施形態に係る多結晶シリコン層22の製造方法を説明するための図である。
【0019】
図1では、基板10上に非晶質シリコン層20が形成されている様子を示している。
【0020】
図1を参照すると、基板10上に非晶質シリコン層20を形成する。
【0021】
本発明で用いられる基板10の種類は、特に限定されず、サファイア、ステンレススチール、プラスチックなど、多様な種類の基板10が使用可能である。太陽電池などに用いられる透明な基板10、例えば、ガラス基板10を使用することが好ましい。
【0022】
非晶質シリコン層20は、物理気相蒸着法(Physical Vapor Deposition:PVD)を用いて形成することもできるが、化学気相蒸着法(Chemical Vapor Deposition:CVD)を用いて形成することが好ましい。特に、様々な化学気相蒸着法の中でも、プラズマ化学気相蒸着法(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition:PECVD)を用いて形成することが好ましい。プラズマ化学気相蒸着法を用いる場合、比較的低温でも速やかに非晶質シリコン層20を形成することができるという利点がある。
【0023】
非晶質シリコン層20をプラズマ化学気相蒸着法を用いて形成する過程及びこのためのプラズマ化学気相蒸着装置の構成は公知の技術であるため、本明細書において、これに関する詳細な説明は省略する。
【0024】
一方、本発明において、基板10上に形成される非晶質シリコン層20の厚さは特に限定されない。したがって、本発明が利用される目的により、非晶質シリコン層20の厚さは多様に変更可能である。
【0025】
図2は、非晶質シリコン層20上に金属混入層30を形成した状態を示す。
【0026】
図2を参照すると、非晶質シリコン層20上に金属混入層30を形成する。ここで、金属混入層30は、連続相であるマトリックス物質内に金属32が分散している層を意味することができる。
【0027】
金属混入層30に含まれる金属32は、後述する結晶化熱処理工程時に、非晶質シリコン層20が低温で結晶化されるようにすることができる。このような金属32の種類は、特に限定されないが、好ましくは、Ni、Al、Ti、Ag、Au、Co、Sb、Pd、Cuのうちのいずれか1つかまたはこれらの任意の組み合わせであり得る。
【0028】
金属混入層30をなす物質、すなわち、マトリックス34は、後述する結晶化熱処理工程時に、金属32が非晶質シリコン層20の内部に拡散することを抑制させる機能を果たすことができる。このマトリックス34の種類は、特に限定されないが、好ましくは、シリコン酸化物(例えば、SiOX)及びシリコン窒化物(例えば、SiNX)の一方または両方を含むもの(例えば、Si(ON)X)であり得る。
【0029】
金属混入層30を形成するために、スパッタリング法(sputtering)のような物理気相蒸着法が用いられてもよいが、化学気相蒸着法が用いられることが好ましい。このように化学気相蒸着法が用いられるのは、金属混入層30の厚さまたは金属32の分布などを制御することが容易であるからである。化学気相蒸着法で金属混入層30を形成する場合、金属混入層30を構成する物質のソース(原料)ガスとしては多様な物質が使用できるが、好ましくは、次のような物質が使用可能である。
【0030】
まず、金属混入層30に含まれる金属32がNiの場合、Niのソースガスとしては、Ni(cp)2[ビス(シクロペンタジエニル)ニッケル;ニッケロセン]またはNi(dmamb)2[ニッケルジメチルアミノメチルブタノエート]のうちのいずれか1つが使用可能である。また、金属混入層30に含まれるマトリックス34がシリコン酸化物の場合、シリコンのソースガスとしてはSiH4ガスが、酸化物のソースガスとしてはO2またはN2Oガスが使用可能である。また、金属混入層30に含まれるマトリックス34がシリコン窒化物の場合、シリコンのソースガスとしてはSiH4ガスが、窒化物のソースガスとしてはN2またはNH3ガスが使用可能である。
【0031】
様々な化学気相蒸着法の中でも、特に、プラズマ化学気相蒸着法が本発明の金属混入層30を形成するために利用できる。前述したように、プラズマ化学気相蒸着法を用いると、比較的低温でも速やかに金属混入層30を形成することができるという利点がある。
【0032】
金属混入層30をプラズマ化学気相蒸着法を用いて形成する過程及びこのための金属混入層形成装置の構成は、図7〜図20を参照した以下の説明によってより明確に理解されるはずである。
【0033】
一方、本発明の用途に応じて、金属混入層30内における金属32の濃度は、多様に制御できる。より具体的には、金属混入層30内における金属32の濃度は、高くまたは低く制御できる。また、金属混入層30内における金属32の濃度は、均一に制御されてもよく、金属混入層30の成長方向に向かって次第に増加するかまたは減少するように制御されてもよい。
【0034】
図3は、金属32a、32b、32cの濃度が制御された金属混入層30a、30b、30cの様子を示す図である。
【0035】
図3(a)は、金属32aの濃度が均一に制御された金属混入層30aの様子を示す図である。金属混入層30a内における金属32aの濃度を均一にするために、金属混入層30aの形成の進行中は、図7の金属ソースガス供給部Bを介して供給される金属32aのソースガスの量を一定に維持する。
【0036】
図3(b)は、金属32bの濃度が金属混入層30bの成長方向に向かって次第に増加するように制御された金属混入層30bの様子を示す図である。金属混入層30b内における金属32bの濃度を金属混入層30bの成長方向に向かって次第に増加させるために、金属混入層30bの形成が進むにつれ、プラズマ化学気相蒸着装置の反応チャンバに供給される金属32bのソースガスの量を増加させる。
【0037】
図3(c)は、金属32cの濃度が金属混入層30cの成長方向に向かって次第に減少するように制御された金属混入層30cの様子を示す図である。金属混入層30c内における金属32cの濃度を金属混入層30cの成長方向に向かって次第に減少させるために、金属混入層30cの形成が進むにつれ、プラズマ化学気相蒸着装置の反応チャンバに供給される金属32cのソースガスの量を減少させる。
【0038】
一方、本発明において、非晶質シリコン層20上に形成される金属混入層30の厚さは特に限定されない。したがって、本発明が利用される目的により、金属混入層30の厚さは多様に変更可能である。
【0039】
図4は、非晶質シリコン層20が多結晶シリコン層22に変化した様子を示している。
【0040】
図4を参照すると、非晶質シリコン層20を熱処理して結晶化する。これにより、図6に示すように、金属混入層30の金属32が非晶質シリコン層20の内部に拡散し、非晶質シリコン層20が多結晶シリコン層22に変化する。
【0041】
このとき、熱処理温度は、約500〜700℃の範囲であることが好ましい。また、熱処理雰囲気は、不活性ガス雰囲気、還元性ガス雰囲気、酸化性ガス雰囲気のうちのいずれか1つまたはこれらの任意の組み合わせであることが好ましい。ここで、不活性ガスとしてはAr、N2などが、還元性ガスとしてはH2、NH3などが、酸化性ガスとしてはO2、N2O、H2O、オゾンなどが使用可能である。
【0042】
金属混入層30の金属32はシード(seed)であって、非晶質シリコン層20の内部に拡散し、低い温度でも結晶化を促進させる役割を果たす。このとき、非晶質シリコン層20の内部に拡散する金属32は金属汚染を誘発させて太陽電池の特性を低下させるため、できる限り少量の金属32が非晶質シリコン層20の内部に拡散するようにしながらも、効率的に結晶化を促進させることが必要である。
【0043】
本発明によれば、非晶質シリコン層20上に金属混入層30を形成した後に結晶化熱処理することにより、少量の金属32のみが非晶質シリコン層20の内部に拡散するようにすることができ、このことにより、効率的に結晶化を促進させることができる。以下、これについてより詳細に説明する。
【0044】
金属混入層30の金属(例えば、Ni;32)は結晶化熱処理が進むにつれ、非晶質シリコン層20に向かって拡散する。このとき、金属混入層30の金属32は、非晶質シリコン層20の内部に直接拡散する前に、金属混入層30のマトリックス(例えば、SiOX;34)を経て拡散するが、金属混入層30のマトリックス34は金属32の拡散を抑制させる。したがって、このようなマトリックス34の拡散抑制効果を利用して、金属混入層30に含まれる金属32の濃度及び分布などを適切に制御すると、金属32の非晶質シリコン層20の内部への拡散を制御することができる。
【0045】
ここで、金属32の非晶質シリコン層20の内部への拡散を制御するというのは、非晶質シリコン層20の内部に拡散する金属32の量を制御するだけでなく、非晶質シリコン層20の内部で金属32が拡散する経路を制御することを含めて意味することができる。例えば、前述したように、金属混入層30内における金属32の濃度を少なくして、非晶質シリコン層20の内部に拡散する金属32の量が少なくなるように制御することができ、金属混入層30内における金属32の濃度を均一に、あるいは、金属混入層30の成長方向に向かって次第に増加するかまたは減少するように制御することにより、非晶質シリコン層20の内部で金属32が拡散する経路を制御することができる。
【0046】
このようにして、非晶質シリコン層20上に金属混入層30を形成した後に結晶化熱処理することにより、非晶質シリコン層20の内部に拡散する金属32の量及び経路を制御することができるため、少量の金属32が非晶質シリコン層20の内部に拡散するようにしながらも、効率的に結晶化を促進させることができる。
【0047】
図5は、金属混入層30の上側、下側または上下両側に金属非混入層40(40a、40b、40c、40d)を形成した状態を示す。
【0048】
図5を参照すると、金属混入層30に隣接する金属非混入層40a、40b、40c、40dをさらに形成することができる。より具体的には、図5(a)に示すように、金属混入層30の上側に金属非混入層40aが形成されてもよく、図5(b)に示すように、金属混入層30の下側に金属非混入層40bが形成されてもよく、図5(c)に示すように、金属混入層30の上下両側に金属非混入層40c、40dが形成されてもよい。
【0049】
ここで、金属非混入層40a、40b、40c、40dとは、金属32が混入しない層を意味することができる。金属非混入層40a、40b、40c、40dは、金属混入層30のマトリックス34と同様に金属32の拡散を抑制する機能を果たす。このような意味から、金属非混入層40a、40b、40c、40dは、金属混入層30のマトリックス34と同じ物質で構成できる。例えば、金属非混入層40a、40b、40c、40dは、シリコン酸化物(例えば、SiOX)、シリコン窒化物(例えば、SiNX)、またはこれらをすべて含む物質(例えば、Si(ON)X)で構成できる。
【0050】
金属非混入層40a、40b、40c、40dを形成するために、スパッタリング法のような物理気相蒸着法が用いられてもよいが、化学気相蒸着法が用いられることが好ましい。特に、様々な化学気相蒸着法の中でも、プラズマ化学気相蒸着法が利用できる。
【0051】
プラズマ化学気相蒸着法で金属非混入層40a、40b、40c、40dを形成する場合、金属混入層30と金属非混入層40a、40b、40c、40dは、1つの反応チャンバでインサイチュー(in-situ)で形成されることができる。例えば、プラズマ化学気相蒸着装置を用いて、Ni及びSiOXで構成された金属混入層30上にSiOXで構成された金属非混入層40aを形成する場合、1つの反応チャンバ内で非晶質シリコン層20上にNi(cp)2ガス、SiH4ガス、及びO2ガスを供給して、Ni及びSiOXで構成された金属混入層30を形成し、その後継続的にSiH4ガス及びO2ガスを供給して、SiOXで構成された金属非混入層40aを形成することができる。
【0052】
このように、金属混入層30のマトリックス34とともに、金属32の拡散を抑制する機能を果たす金属非混入層40a、40b、40c、40dをさらに形成することにより、非晶質シリコン層20の内部に拡散する金属32の量及び経路をより効果的に制御することができる。
【0053】
金属混入層形成装置
【0054】
図7は、本発明の一実施形態に係る金属混入層形成装置の様子を示す図である。
【0055】
本発明において、基板10上に金属混入層30を形成するというのは、半導体分野で一般的に用いられる基板10そのものに金属混入層を形成する場合のみならず、基板10上に形成された非晶質シリコン層20上に金属混入層30を形成する場合を含めた意味であることを明らかにする。
【0056】
図7を参照すると、本発明の一実施形態に係る金属混入層形成装置は、反応チャンバAを備えて構成される。反応チャンバAは、工程が行われている間、実質的に内部空間が密閉するように構成され、基板10上に金属混入層30を形成するための空間を提供する機能を果たすことができる。この反応チャンバAは、最適な工程条件を維持するように構成され、形態は四角形または円形の形態で製造できる。
【0057】
本発明の一実施形態に係る金属混入層形成装置は、金属ソースガス供給部Bを備えて構成できる。金属ソースガス供給部Bは、反応チャンバAに金属ソースガスを供給する機能を果たすことができる。金属ソースガスは、金属混入層30に含まれる金属の種類によって多様な金属ソースガスが使用可能である。例えば、金属混入層30に含まれる金属がNiの場合、金属ソースガスとしては、Ni(cp)2[ビス(シクロペンタジエニル)ニッケル;ニッケロセン]またはNi(dmamb)2[ニッケルジメチルアミノメチルブタノエート]のうちのいずれか1つが使用可能である。
【0058】
前述したように、金属ソースガス供給部Bは、供給される金属ソースガスの量を正確に制御するために、ソース物質貯蔵部200とソース物質蒸発部300との間に設けられ、ソース物質蒸発部300に供給されるソース物質の量を制御するソース物質供給部500を備えて構成できる。これらの構成に関する詳細な説明は後述する。
【0059】
反応チャンバAと金属ソースガス供給部Bとは、金属ソースガス供給管B´を介して連結されていてよい。このような金属ソースガス供給管Bを介して、金属ソースガスは、金属ソースガス供給部Bから反応チャンバAに移動することができる。
【0060】
図7に示していないが、金属ソースガス供給管B´上にはヒーティング装置が設置できる。ヒーティング装置は、反応チャンバAに移動する金属ソースガスの温度を所定の温度以上に維持させることにより、金属ソースガスが固体化して金属ソースガス供給管B´にくっつくことを最小化する機能を果たすことができる。移動する金属ソースガスを一定の温度で維持できれば、ヒーティング装置の構成は、いかなる特別な構成に限定されず、公知の様々なヒーティング装置が本発明の金属ソースガス供給管24に採用可能である。
【0061】
本発明の一実施形態に係る金属混入層形成装置は、マトリックスソースガス供給部Cを備えて構成できる。マトリックスソースガス供給部Cは、金属混入層30に含まれるマトリックスのソースガスを反応チャンバAに供給する機能を果たすことができる。
【0062】
マトリックスソースガスとしては、金属混入層30に含まれるマトリックスの種類によって多様なソースガスが使用可能である。例えば、金属混入層30に含まれるマトリックスがシリコン酸化物(例えば、SiOX)の場合、マトリックスソースガスとしては、SiH4ガス及びO2ガスが使用可能である。また、金属混入層30に含まれるマトリックスがシリコン窒化物(例えば、SiOX)の場合、マトリックスソースガスとしては、SiH4ガス及びN2ガスが使用可能である。
【0063】
反応チャンバAとマトリックスソースガス供給部Cとは、マトリックスソースガス供給管C´を介して連結されていてよい。このようなマトリックスソースガス供給管C´を介して、マトリックスソースガスは、マトリックスソースガス供給部Cから反応チャンバAに移動することができる。マトリックスソースガス供給管C´上には、金属ソースガス供給管B´と類似するように、反応チャンバAに移動するマトリックスソースガスの温度を所定の温度以上に維持させる機能を果たすヒーティング装置(図示せず)が設置できる。
【0064】
図7に示していないが、本発明の金属混入層形成装置は、基板ヒータ(図示せず)をさらに備えて構成できる。基板ヒータは、基板10上に金属混入層30が円滑に形成されるように、基板10に熱を印加する機能を果たすことができる。好ましくは、基板ヒータは、基板10の温度を100〜300℃の温度まで上昇させ、この温度が継続的に維持されるようにすることができる。基板ヒータの種類は、特に限定されず、基板10に熱を印加できるもの(例えば、熱線の材質がタングステンであるハロゲンランプまたは一般的なカンタル(kanthal)ヒータ)であれば、本発明の基板ヒータとして採用可能である。
【0065】
本発明の金属混入層形成装置は、プラズマ発生のための電源が印加される上部電極D、及び基板10が載置される下部電極Eをさらに備えて構成できる。
【0066】
本発明の金属混入層形成装置は、プラズマの電子密度分布を均一に維持できるようにする補助ガス(アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)などのガス)を供給するための補助ガス供給部Fをさらに備えて構成できる。補助ガスを供給するために、補助ガス供給部Fは、補助ガス供給管F´を介して反応チャンバAと連結可能である。
【0067】
以下では、図7の金属混入層形成装置を用いて、非晶質シリコン層20上にNi及びSiOXで構成された金属混入層30を形成する方法について説明する。
【0068】
まず、金属ソースガス供給部Bを介してNi(cp)2ガスが反応チャンバA内に供給される。また、マトリックスソースガス供給部Cを介してSiH4ガス及びO2ガスが反応チャンバA内に供給される。また、補助ガス供給部Fを介してArガスが反応チャンバA内に供給される。その後、高周波電源が上部電極Dに印加されることにより、自由電子(図示せず)が上部電極Dと下部電極Eとの間を往復しながら供給されたガスと衝突し、Siイオン、O2イオン、及びNiイオンを含むプラズマを生成させる。このとき、基板10の表面温度は、基板ヒータ(図示せず)により約100℃〜300℃の温度に維持されることができ、このように生成されたプラズマが非晶質シリコン層20の表面で反応して、Ni及びSiOXで構成された金属混入層30を形成する。
【0069】
一方、図7の金属混入層形成装置を用いて、金属混入層30のみならず、前述した金属非混入層40をインサイチューで形成することもできる。以下では、本発明の一実施形態によりNi及びSiOXで構成された金属混入層30上にSiOXで構成された金属非混入層40をインサイチューで形成する方法について説明する。
【0070】
まず、反応チャンバA内に配置された非晶質シリコン層20上に、金属ソースガス供給部Bを介してNi(cp)2ガスを、マトリックスソースガス供給部Cを介してSiH4ガス及びO2ガスを供給して、Ni及びSiOXで構成された金属混入層30を形成する。その後、金属ソースガス供給部Bでは、Ni(cp)2ガスの供給は中断され、マトリックスソースガス供給部Cでは、SiH4ガス及びO2ガスの供給を継続し、SiOXで構成された金属非混入層40を形成する。
【0071】
また、本発明の金属混入層形成装置は、シャワーヘッド方式の上部電極Dを採用することによって、金属混入層30を形成するための反応ガス、すなわち、金属ソースガス、マトリックスソースガス、及び補助ガスなどをチャンバA内に供給するようにすることもできる。この場合、例えば、上部電極Dには反応ガスを均一に噴射できるようにする複数のホール(図示せず)がさらに形成される。シャワーヘッド方式で反応ガスを噴射するようにすると、非晶質シリコン層20上により均一に反応ガスが噴射可能であり、結果的に、より均一な金属混入層30が形成されることができる。
【0072】
シャワーヘッド方式の上部電極Dを採用する場合、本発明の金属混入層形成装置は、金属ソースガス供給管B´、マトリックスソースガス供給管C´、及び補助ガス供給管F´と連結され、上部電極Dに金属ソースガス、マトリックスソースガス、及び補助ガスが流れるように通路の役割を果たす反応ガス供給管(図示せず)がさらに設けられる。
【0073】
図8は、本発明の一実施形態に係る金属ソースガス供給部Bの構成を示す図である。
【0074】
図8を参照すると、本発明の一実施形態に係る金属ソースガス供給部Bは、ソース物質貯蔵部200と、ソース物質蒸発部300と、ソース物質排出部400と、ソース物質供給部500と、運搬ガス供給部600と、逆流防止ガス供給部700とを備えて構成できる。
【0075】
ソース物質貯蔵部200、ソース物質供給部500、及びソース物質蒸発部300は、ソース物質供給管250を介して上から下方向に配置されており、ソース物質は、ソース物質貯蔵部200からソース物質供給部500に、ソース物質供給部500からソース物質蒸発部300に自由落下の過程により供給可能である。ソース物質蒸発部300に残留するソース物質は、ソース物質排出部400を介して自由落下の過程により排出できる。
【0076】
図9は、ソース物質貯蔵部200の一例を示す図である。
【0077】
図9を参照すると、ソース物質貯蔵部200は、ソース物質を貯蔵することができるように、所定の内部容積を有する容器で構成できる。ソース物質は、金属ソースガスのソース物質、例えば、固体状態のNi(cp)2であり得る。ソース物質貯蔵部200は、外部の異質が侵入したり内部のソース物質が流出したりしないように、強固に作製されることが好ましい。ソース物質貯蔵部200の材質は、ステンレススチールを含むことができる。
【0078】
ソース物質貯蔵部200には、ソース物質貯蔵部200にパージガスを供給するパージガス供給管210が設置できる。パージガス供給管210を介して、ソース物質貯蔵部200内の雰囲気を維持するためのパージガスが供給可能である。
【0079】
ソース物質貯蔵部200の一側には、ソース物質貯蔵部200の内部を観察可能な第1監視窓(図示せず)が設置できる。第1監視窓は、ソース物質貯蔵部200内のソース物質の量とソース物質の状態を目視確認できるようにする。
【0080】
ソース物質供給管250は、ソース物質貯蔵部200とソース物質蒸発部300とを連結して、ソース物質貯蔵部200に貯蔵されているソース物質がソース物質蒸発部300に供給できるようにする。
【0081】
図8をさらに参照すると、ソース物質供給管250にはバルブVが連結できる。バルブVは、金属ソースガス供給部Bの整備作業時にソース物質貯蔵部200からソース物質供給部500へのソース物質の供給を断続する役割や、ソース物質供給部500からソース物質蒸発部300に定量のソース物質がソース物質蒸発部300に供給された後に追加のソース物質が供給されないようにソース物質供給管250を完全に閉鎖する役割を果たすことができる。
【0082】
ソース物質供給管250には第2監視窓260が設置できる。第2監視窓260は、バルブVの下段に設けられ、ソース物質がバルブVを通過してソース物質供給部500に供給されることを確認することができる。第2監視窓260の材質は、石英を含むことができる。
【0083】
ソース物質供給部500とソース物質蒸発部300とを連結するソース物質供給管250上には、冷却ユニット270が設置できる。冷却ユニット270は、ソース物質蒸発部300で金属ソースガスを発生させるために印加された熱が、ソース物質供給管250を介してソース物質供給部500に伝達されることを防止する役割を果たすことができる。
【0084】
図10は、ソース物質貯蔵部200の他の例を示す図である。
【0085】
図10を参照すると、ソース物質貯蔵部200の内側には、所定の目の大きさを有する濾過部220が配置される。濾過部220は、一定の目の大きさを有するメッシュ(mesh)を使用することが好ましい。濾過部220の材質は、鉄またはアルミニウムを含むことができる。濾過部220は、外部から供給されたソース物質のうち、所定の大きさ、すなわち、メッシュの目より小さいソース物質のみが、後述するソース物質蒸発部300に供給されるようにする。濾過部220は、供給されるソース物質の大きさを所定以下に制限することにより、ソース物質の粒子の大きさの不均一により、後述するソース物質供給管250が詰まる現象を防止することができる。濾過部220の濾過効果を向上させるために、濾過部220は複数個配置されてもよく、この場合、各濾過部の目の大きさは互いに異なるようにすることができる。
【0086】
図11及び図12は、本発明の一実施形態に係る金属ソースガス供給部Bのソース物質供給部500の構成を示す分解斜視図及び部分断面斜視図である。
【0087】
ソース物質供給部500は、ソース物質供給管250を介してソース物質蒸発部300に供給されるソース物質の量を制御する役割を果たす。例えば、ソース物質供給部500は、ソース物質蒸発部300に供給されるソース物質の量を、金属混入層30の形成工程ごとに均一に制御することができる。
【0088】
図11及び図12を参照すると、ソース物質供給部500は、本体510と、回転供給台520と、充填部530と、隔離板540と、供給ホール550とを備えて構成できる。また、ソース物質供給部500は、第1センサ560と、第2センサ570とをさらに備えることができる。また、ソース物質供給部500は、逆流防止ガス供給部700をさらに備えることができる。
【0089】
本体510は、ソース物質供給部500の骨格をなし、ソース物質供給部500の構成要素が設けられる。本体510は、ソース物質供給管250の中間部に連結される。本体510は、内部に所定の空間を有する円筒状に形成されることができる。本体510は、外部の異質が侵入したり内部のソース物質が流出したりしないように、強固に作製されることが好ましい。本体510の材質は、ステンレススチールを含むことができる。
【0090】
本体510の内部に設けられる構成要素の修理及び管理のために、本体510の上部には蓋512が開閉可能に連結可能である。蓋512の材質は、本体510と同様に、ステンレススチールを含むことができる。蓋512と本体510との連結部位には、シーリング(sealing)用Oリング514が配置できる。本体510の一側には、本体510の冷却のために冷却水が流出入する一対の冷却管502が連結可能である。本体510の上部には、後述する逆流防止ガス供給部700が連結可能である。本体510の内側下端は、逆三角形の断面形態で形成され、ソース物質が本体510の外部に容易に排出できるようにすることが好ましい。
【0091】
本体510の内部には、回転供給台520が回転可能に設けられる。回転供給台520は、ソース物質貯蔵部200からソース物質蒸発部300へのソース物質の供給を一定量に制限する。回転供給台520は、所定の厚さを有する円形のプレート状に形成される。回転供給台520は、回転供給台520の中心軸が回転アクチュエータ522に連結され、回転アクチュエータ522の動作によって回転する。このとき、回転供給台520は、任意に設定された角度、例えば、90度ずつ回転することができる。回転アクチュエータ522は、本体510の外側上部に配置できる。回転供給台520の回転を容易にするために、回転供給台520の上側にはテフロン(登録商標)(Teflon)材質のリング516が配置できる。
【0092】
回転供給台520上の所定の位置には充填部530が形成される。充填部530は、ソース物質供給管250を介して自由落下により供給されたソース物質が充填され、一時的に保管される。充填部530は、所定の体積を有する円筒状の空間で形成される。ここで、充填部530の体積は、1回の金属混入層形成工程に要する金属ソースガスの生成に必要な量のソース物質を貯蔵可能な程度であり得る。
【0093】
図示のように、充填部530は、回転供給台520に90度の角距離で2つ形成されているが、それ以上の角度、例えば、180度の角距離で形成されてもよい。また、充填部530は、90度の角距離で2つ以上の個数、例えば4つが形成されるなど、使用者の所望に応じて形成個数と間隔を異なるようにすることもできる。
【0094】
回転供給台520の下側には隔離板540が設けられる。隔離板540は、本体510の内部空間を上部と下部とに区分する。また、隔離板540は、後述する供給ホール550を介して充填部530に充填されているソース物質の供給を断続する。
【0095】
供給ホール550は、隔離板540に形成される。供給ホール550は、ソース物質供給管250の真下と任意の角距離、例えば、充填部530の形成間隔である90度の角距離をおいて形成されることが好ましい。供給ホール550の直径は、充填部530の下端部の直径と等しく設定されることが好ましい。
【0096】
このとき、充填部530の体積が一定で、これを満たすソース物質の量も一定であるため、ソース物質蒸発部300には、回転供給台520の回転周期によって定量のソース物質が供給できる。このようにして、本発明では、ソース物質貯蔵部200内に貯蔵されているソース物質が、回転供給台520の充填部530及び隔離板540の供給ホール550を順に通過してソース物質蒸発部300に供給されるが、このとき、回転供給台520が所定の周期で供給ホール550の真上に位置するたびに、充填部530の体積に該当する量だけのソース物質が(すなわち、一定量のソース物質が)ソース物質蒸発部300に供給される。
【0097】
回転供給台520に形成される充填部530の個数は2つになっているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、ソース物質の時間あたりの供給量により多様に変更可能である。このとき、ソース物質の時間あたりの供給量を増やすためには、同一の充填部530の個数で回転供給台520の回転周期を短くすることもでき、また、充填部530の容積、例えば、充填部530の直径または高さ(すなわち、回転供給台520の厚さ)を増加させることもできる。つまり、本発明において、ソース物質供給部500を介してソース物質蒸発部300に供給される時間あたりのソース物質の量は、回転供給台520の回転周期、充填部530の個数、及び充填部530の容積などを変更して多様に制御することができる。
【0098】
第1センサ560が回転供給台520と回転アクチュエータ522との連結部品に設置できる。第1センサ560は、回転供給台520が設定された角度で回転したかをチェックする。第1センサ560は、回転供給台520と回転アクチュエータ522とを連結する軸の所定地点に2つのセンサドッグ(図示せず)とドッグ検出部(図示せず)とを設けた後、センサドッグとドッグ検出部との接触を感知する方式により、回転供給台520の予め設定された回転角度、例えば、回転供給台520が90度回転したかを確認することができる。
【0099】
第2センサ570が本体510の下部一側に設置できる。第2センサ570は、供給ホール550を介してソース物質が落下することをチェックする。第2センサ570は、可視光を用いる光センサを備えることができる。第2センサ570の前方には、ソース物質が第2センサ570に付着するのを防止するために、第1透明窓574が設置できる。第2センサ570と第1透明窓574の設置を容易にするために、本体510の外側下部には連結ギャップ576が配置できる。第2センサ570は、連結ギャップ576の一側に固定ブラケット572を用いて配置されることが好ましい。本体510と連結ギャップ576との連結部品にはシーリング用Oリング518が配置できる。
【0100】
逆流防止ガス供給部700が本体510の上部に連結可能である。逆流防止ガス供給部700は、本体510の上部に連結される。逆流防止ガス供給部700を介して供給された逆流防止ガスは、本体510の内側を所定の圧力状態に維持して、ソース物質蒸発部300で発生した金属ソースガスがソース物質供給部500に逆流することを防止することができる。また、逆流防止ガス供給部700を介して供給されるガスは、本体510の内部に残留しているソース物質を排出させることができる。逆流防止ガス供給部700は、運搬ガス供給部600と同一のラインを介してガスが供給できる。逆流防止ガス供給部700に供給されるガスはArであり得る。
【0101】
図13、図14、及び図15は、本発明の一実施形態に係る金属ソースガス供給部Bのソース物質蒸発部300及びソース物質排出部400の構成を示す図、分解斜視図、及び断面図である。
【0102】
ソース物質蒸発部300は、ソース物質貯蔵部200から供給されたソース物質に熱を印加してソース物質を気化させる。ソース物質蒸発部300でソース物質は気化して、金属ソースガスの形態で反応チャンバAに供給される。ソース物質排出部400は、ソース物質を気化させて、金属混入層30の形成工程に必要な金属ソースガスを発生させた後、ソース物質蒸発部300に残留しているソース物質を排出する。
【0103】
図13、図14、及び図15を参照すると、ソース物質蒸発部300は、所定の内部容積を有する容器で構成できる。ソース物質蒸発部300の内部には、ソース物質の気化に必要な熱を発生させるソース物質ヒータ310が設置できる。ソース物質ヒータ310は、ソース物質受け台410に載置されているソース物質が気化できるように、熱を発生させてソース物質に印加する。ソース物質ヒータ310は、所定の長さを有する円形のロッド状に形成される。ソース物質ヒータ310による加熱効果を向上させるために、ソース物質ヒータ310の端部、すなわち、ソース物質受け台410に接触するソース物質ヒータ310の端部で発熱が集中することが好ましい。
【0104】
ソース物質ヒータ310には、熱を発生させるために電源を供給する電源線312と、発熱した熱を測定する温度測定器314とが連結できる。温度測定器314は、サーモカップル(thermocouple)を使用することが好ましい。サーモカップルは、本技術分野において広く知られた公知の構成要素であるため、サーモカップルの構成及び作用に関する詳細な説明は省略する。
【0105】
ソース物質ヒータ310の端部は、ソース物質受け台410に密接に連結できる。ソース物質ヒータ310とソース物質受け台410との連結については後述する。
【0106】
運搬ガス供給部600は、ソース物質蒸発部300で発生した金属ソースガスを反応チャンバAに運ぶ運搬ガスを供給する。運搬ガス供給部600のガス供給管610とガス排気管620とは、ソース物質蒸発部300の一側に連結可能である。ガス供給管610とガス排気管620には、ガスの移動を断続可能なバルブが設置できる。運搬ガスとしては、不活性で、金属ソースガスを反応チャンバAに容易に移動させることができる高純度のアルゴン、ヘリウム、質素などが使用可能である。
【0107】
図13及び図14を参照すると、ソース物質排出部400は、ソース物質受け台410と、反転アクチュエータ420と、ソース物質保管筒430とを備えて構成できる。また、ソース物質排出部400は、ゲートバルブ450と、エアシリンダ460とをさらに備えることができる。
【0108】
ソース物質受け台410は、ソース物質蒸発部300の内側に上下反転可能に設けられる。ソース物質受け台410には、ソース物質供給部500を介して供給されたソース物質が載置される。このとき、ソース物質受け台410の上面は、平板状に形成してソース物質の載置を容易にすることが好ましい。また、ソース物質受け台410の縁は、ソース物質蒸発部300の内周面に密着するようにして供給されたソース物質が、ソース物質受け台410とソース物質蒸発部300の内壁の間を通して流出しないようにすることが好ましい。
【0109】
ソース物質受け台410の下部にはヒータ連結軸412が形成される。ヒータ連結軸412は、所定の長さを有する管状に形成される。ヒータ連結軸412の内側にはソース物質ヒータ310が挿入可能である。ヒータ連結軸412の中心軸は、後述する反転アクチュエータ420の回転軸の中心軸と同軸上で位置させることが好ましい。ヒータ連結軸412にソース物質ヒータ310が挿入されるとき、ソース物質ヒータ310の離脱防止や流動防止などのために、フランジ316と固定リング318が配置できる。ソース物質受け台410とヒータ連結軸412は、熱の伝達が容易な金属材質で形成されることができ、互いに同じ材質で形成されることができる。
【0110】
ソース物質受け台410の一側には反転アクチュエータ420が連結される。反転アクチュエータ420は、ソース物質受け台410を反転させる。このため、反転アクチュエータ420の回転軸がソース物質受け台410の一側に連結される。ソース物質受け台410と反転アクチュエータ420との連結を強固にするために、固定フランジ426と固定リング428が配置できる。
【0111】
反転アクチュエータ420は、空圧によって動作することができる。反転アクチュエータ420の動作のために、反転アクチュエータ420の一側には一対の第1空圧管422が連結される。一対の第1空圧管422のうち、任意の第1空圧管422に空圧が供給され、もう1つの第1空圧管422には空圧が排出されることにより、反転アクチュエータ420が回転動作を行う。本実施形態において、反転アクチュエータ420は、1回に180度回転動作することができる。第1空圧管422を介した空圧の供給方向が変更されると、反転アクチュエータ420の回転方向が変更可能である。
【0112】
反転アクチュエータ420の回転動作をチェックするために、第3センサ424が複数個設置できる。第3センサ424は、反転アクチュエータ420の回転軸を基準として180度の角距離をおいて設けられることが好ましい。第3センサ424は、反転アクチュエータ420の回転軸に設けられたセンサドッグ425と接触し、反転アクチュエータ420が180度回転したかをチェックする。第3センサ424は、固定ブラケット572を用いて反転アクチュエータ420の一側に固定されることができる。
【0113】
反転アクチュエータ420の動作により、ソース物質受け台410は、上面と下面が反転可能である。ソース物質受け台410が反転すると、ソース物質受け台410に載置されていたソース物質は下部に落下する。
【0114】
ソース物質蒸発部300の下部には、排出されたソース物質を保管するソース物質保管筒430が配置される。ソース物質保管筒430に保管されたソース物質は、後の金属混入層30の形成工程に再使用されるか、完全に廃棄されることができる。ソース物質保管筒430の形状は円筒形が好ましいが、必ずしもこれに限定されない。
【0115】
ソース物質保管筒430の一側には、ソース物質保管筒430内のソース物質を目視観察可能な第3監視窓440が所定の大きさに形成される。ソース物質保管筒430内には、ソース物質保管筒430の内部と外部とを隔離することができ、ソース物質の確認を容易にすることができるように、第2透明窓442が配置されることが好ましい。第2透明窓442の材質は、石英を含むことができる。
【0116】
ソース物質蒸発部300とソース物質保管筒430との間には、排出されたソース物質の移動を断続するゲートバルブ450が配置される。ゲートバルブ450は、ソース物質受け台410の動作に連動して開閉される。すなわち、ソース物質受け台410が反転すると、ゲートバルブ450は開放されてソース物質受け台410から落下するソース物質が通過できるようにし、ソース物質受け台410が元の位置に復帰すると、ゲートバルブ450は閉鎖されてソース物質が通過できないようにする。
【0117】
ゲートバルブ450は、バルブ本体452と、ゲート454とを備えて構成できる。バルブ本体452は、ソース物質蒸発部300と、ソース物質保管筒430とを連結する。バルブ本体452は、管状に形成されることができ、ゲート454により開閉可能である。ゲート454は平板状に形成され、エアシリンダ460によって水平に移動する。ゲート454の移動とエアシリンダ460の設置を容易にするために、バルブ本体452の一側にはゲートハウジング456が連結可能である。ゲートハウジング456の内部には、ゲート454が水平移動可能な空間が形成される。
【0118】
ゲートハウジング456の一側にエアシリンダ460が連結される。エアシリンダ460は、外部から供給される空圧によってゲートバルブ450を動作させる。エアシリンダ460には、一対の第2空圧管462が連結される。一対の第2空圧管462のうち、任意の第2空圧管には空圧が供給され、もう1つの第2空圧管462を介して空圧が排出されることにより、エアシリンダ460が伸縮動作することができる。空圧管を介した空圧の供給方向が変更されることにより、エアシリンダ460の動作方向が変更されて、ゲート454の移動方向が変更可能である。
【0119】
ソース物質保管筒430とゲートバルブ450とは、シーリング用Oリング432と固定プレート434により強固に連結されることが好ましい。
【0120】
以下では、図11、図12、及び図16〜図19を参照して、本発明の金属ソースガス供給部Bの動作を説明する。
【0121】
図16〜図19は、本発明の一実施形態に係る金属ソースガス供給部Bのソース物質供給部500の動作を示す図である。ここで、図16及び図17は、図12のA方向における構成を示す図であり、図18及び図19は、図12のB方向における構成を示す図である。参考として、図16〜図19において陰影表示された部分はソース物質を表す。
【0122】
まず、使用者は、ソース物質供給管250上に連結されたバルブVを開放操作して、ソース物質供給管250を介してソース物質が自由に移動できるようにする。
【0123】
図16を参照すると、ソース物質貯蔵部200に貯蔵されているソース物質は、自由落下により、ソース物質供給管250を介してソース物質供給部500に移動する。その後、ソース物質供給部500の回転アクチュエータ522は、回転供給台520を回転させて、回転供給台520の充填部530がソース物質供給管250の真下に位置するように位置合わせする。これにより、ソース物質供給管250を介して供給されるソース物質は、充填部530に移動して充填部530に充填される。ソース物質は、充填部530に供給されて充填されるが、充填部530の下端は、隔離板540によって閉鎖されていて、下部には排出されない。
【0124】
充填部530内へのソース物質の充填が完了すると、回転アクチュエータ522によって回転供給台520が回転するようにする。図17を参照すると、回転供給台520が回転すると、充填部530は、ソース物質供給管250の真下から外れることが分かる。
【0125】
図18を参照すると、回転アクチュエータ522は、回転供給台520を、設定された任意の角度、例えば、90度回転させて、充填部530が隔離板540の供給ホール550の真上に位置するようにする。このとき、第1センサ560は、回転供給台520が設定された角度だけ回転したかをチェックする。充填部530に貯蔵されているソース物質は、充填部530の下部の供給ホール550を介してソース物質蒸発部300に供給される。第2センサ570は、ソース物質が供給ホール550を介して落下して供給されたかをチェックする。
【0126】
一方、前述した過程において、ソース物質蒸発部300で金属ソースガスが発生して供給されるとき、金属ソースガスがソース物質供給部500に逆流することがあるため、これを防止する必要がある。また、金属混入層30の形成工程を行うための金属ソースガスの供給が完了した後、後の金属混入層30の形成工程に備えて、ソース物質供給部500に残留しているソース物質を消去する必要がある。
【0127】
このため、図19を参照すると、逆流防止ガス供給部700を介して逆流防止ガスを供給する。すなわち、充填部530が逆流防止ガス供給部700の真下に位置するようにした後、逆流防止ガスを供給すると、供給された逆流防止ガスは、充填部530を介して本体510の内部に供給される。逆流防止ガスにより、本体510の内部は所定の圧力を維持するようになるため、ソース物質蒸発部300からソース物質供給部500への金属ソースガスの逆流を防止することができる。また、逆流防止ガスは、充填部530に残留しているソース物質を排出させることができる。排出されたソース物質は、供給ホール550を介してソース物質蒸発部300に移動し、ソース物質供給部500から残留しているソース物質を除去することができる。
【0128】
ソース物質供給部500を介して定量供給されたソース物質は、ソース物質蒸発部300の内側のソース物質受け台410上に載置される。
【0129】
その後、ソース物質ヒータ310を動作させると、ソース物質ヒータ310で発熱した熱がソース物質受け台410上のソース物質に印加され、ソース物質は金属ソースガス化し、その後、ガス供給管610を介して供給される運搬ガスとともに、ガス排気管620を介して反応チャンバAに供給される。
【0130】
一方、金属混入層30の形成工程が完了した後、ソース物質受け台410上には所定量のソース物質が残留することができる。
【0131】
残留しているソース物質を排出するために、反転アクチュエータ420の一側の第1空圧管422を介して空圧を供給して反転アクチュエータ420を動作させる。反転アクチュエータ420の回転動作により、ソース物質受け台410の上部と下部が反転して、残留しているソース物質が落下する。このとき、第3センサ424は、反転アクチュエータ420が180度回転したかどうかをチェックする。
【0132】
その後、反転アクチュエータ420が回転動作に連動してゲートバルブ450の開閉動作が行われる。すなわち、反転アクチュエータ420が反転するように任意の第1空圧管422に空圧が供給されると、同時にエアシリンダ460に連結された任意の第2空圧管462にも空圧が供給される。したがって、ソース物質受け台410が反転するとき、ゲート454はバルブ本体452を開放する方向に移動し、ソース物質受け台410から落下するソース物質がソース物質保管筒430に容易に移動できるようにする。
【0133】
ソース物質受け台410が反転によってソース物質を落下させた後、反転アクチュエータ420の第1空圧管422を介して空圧が逆に供給されると、ソース物質受け台410は元の状態に復帰する。このとき、エアシリンダ460の第2空圧管462にも空圧が逆に供給され、ゲート454は、バルブ本体452を閉鎖する方向に移動し、ソース物質保管筒430への経路を閉鎖する。
【0134】
落下するソース物質は、ソース物質保管筒430に保管される。作業者は、第3監視窓440を通してソース物質の量をチェックし、ソース物質保管筒430に保管されたソース物質は、後の金属混入層30の形成工程に使用されるか、または完全に廃棄されることができる。
【0135】
図20は、本発明の他の実施形態に係るソース物質供給部500の構成を示す断面図である。ソース物質供給部500は、中心軸を基準として対称となる形態で構成されるため、図面ではソース物質供給部500の構成を容易に把握できるように中心軸を基準として一側のみを示した。
【0136】
図20を参照すると、回転供給台520の上部には、飛散防止あご580が所定の高さに形成されることができる。飛散防止あご580は、回転供給台520と同心円をなすように形成される。複数の飛散防止あご580の間には充填部530を位置させ、ソース物質供給管250から充填部530に供給されるソース物質が充填部530の周囲に飛散するのを防止する。飛散防止あご580と充填部530との間には飛散防止溝582が形成される。飛散防止溝582は、所定の容積を有するように形成され、飛散防止されたソース物質が一時的に留まる。したがって、飛散防止あご580と飛散防止溝582は、ソース物質が充填部530の周囲に飛散して、ソース物質供給部500の動作に影響を与えることを防止することができる。図20のソース物質供給部の構成及び作用は、飛散防止あご580と飛散防止溝582を除けば、前述したソース物質供給部と同一であるため、これに関する詳細な説明は省略する。
【0137】
前述したように、本発明の金属混入層形成装置は、ソース物質貯蔵部とソース物質蒸発部との間に設けられ、ソース物質蒸発部に供給されるソース物質の量を制御するソース物質供給部を備えて構成されることにより、反応チャンバに供給される金属ソースガスの量を正確に制御することができる。これにより、金属混入層を形成するときに、金属混入層内の金属の濃度及び分布を作業者の所望どおりに制御することができる。
【0138】
これは、非晶質シリコン層の結晶化熱処理時に、非晶質シリコン層内における金属の全般的な拡散を作業者が意図したとおりに制御可能であることを意味する。したがって、少量の金属のみが非晶質シリコン層の内部に拡散するようにすることができ、このことにより、より効率的に非晶質シリコン層の結晶化を促進させることができる。
【0139】
図21は、本発明の一実施形態に係る多結晶シリコン層の製造方法により製造された多結晶シリコン層の波長による反射度の変化を示す図である。
【0140】
図21に示すような反射度の変化を有する多結晶シリコン層の製造過程は、次のとおりである。まず、ガラス基板に非晶質シリコン層を形成した。次に、ガラス基板上にNi−SiOX層、すなわち、金属がNiであり、マトリックスがSiOXである金属混入層を形成した。Ni−SiOX層は、前述したような本発明の金属混入層形成装置を用いて形成した。Niのソース物質としてはNi(CP)2粉末を使用した。Ni(CP)2粉末を83℃で加熱して生成したNiのソースガスを500ccmの流量でチャンバに供給し、それと同時に、SiOXのソースガスとしてのSiH4/N2Oガスを2,500ccmの流量でチャンバに供給し、Ni−SiOX層を形成した。Niのソースガスをチャンバに供給するときは、運搬ガスとして400ccm流量のArを使用した。蒸着圧力は1Torr、蒸着パワーは800watt、蒸着温度は200℃、蒸着時間は10分、厚さは2,500Åであった。次に、Ni−SiOX層上に非晶質シリコン層を通常のPECVD法を用いて形成した。このとき、ソースガスはSiH4/N2O/H2ガスを使用し、各ガスの流量は500ccm、2,500ccm、3,000ccmであった。蒸着圧力は1Torr、蒸着パワーは800watt、蒸着温度は200℃、蒸着時間は2分、厚さは500Åであった。次に、結晶化熱処理を通常の熱処理炉(furnace)を用いて行い、非晶質シリコン層を結晶化させ多結晶シリコン層を形成した。熱処理条件は、650℃で1時間であり、質素雰囲気であった。最後に、結晶化程度(結晶化度)を評価するために、多結晶シリコン層の波長による反射度の変化を測定した。
【0141】
図21を参照すると、非晶質シリコン(a−Si)及び単結晶シリコン(s−Si)の波長による反射度の変化と比較して、前述したような工程条件により製造された多結晶シリコン層(p−Si)は、優れた結晶化度を有していることを確認することができる。これより、本発明の金属混入層を用いた多結晶シリコン層の製造方法によっても、結晶化度の優れた多結晶シリコン層を形成可能であることを確認することができる。
【0142】
一方、本発明の多結晶シリコン層の製造方法及びこのための金属混入層形成装置は、多結晶シリコン層をアクティブ層(active layer)とするポリシリコン薄膜トランジスタ(P-Si Thin Film Transistor)を含む液晶ディスプレイ(LCD)や有機発光ダイオード(OLED)のみならず、多結晶シリコン層をアクティブ層として含むすべての半導体、ディスプレイ、太陽電池、電子素子などに多様に適用することができる。
【0143】
本発明は、上述したように好ましい実施形態を挙げて図示及び説明しているが、上記の実施形態に限定されず、本発明の精神を逸脱しない範囲内で当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって多様な変形及び変更が可能である。そのような変形例及び変更例は、本発明と添付した特許請求の範囲の範囲内に属するとみなさなければならない。
【符号の説明】
【0144】
10:基板
20:非晶質シリコン層
22:多結晶シリコン層
30:金属混入層
32:金属
34:マトリックス
40(40a、40b、40c、40d)金属非混入層
200:ソース物質貯蔵部
210:パージガス供給管
220:濾過部
250:ソース物質供給管
260:第2監視窓
270:冷却ユニット
300:ソース物質蒸発部
310:ソース物質ヒータ
312:電源線
314:温度測定器
344:エア管
364:エア管
400:ソース物質排出部
410:ソース物質受け台
420:反転アクチュエータ
422:第1空圧管
424:第3センサ
430:ソース物質保管筒
440:第3監視窓
442:透明窓
450:ゲートバルブ
452:バルブ本体
454:ゲート
460:エアシリンダ
462:第2空圧管
500:ソース物質供給部
510:本体
520:回転供給台
530:充填部
540:隔離板
550:供給ホール
560:第1センサ
570:第2センサ
600:運搬ガス供給部
610:ガス供給管
620:ガス排気管
700:逆流防止ガス供給部
A:反応チャンバ
B:金属ソースガス供給部
C:マトリックスソースガス供給部
D:上部電極
E:下部電極
F:補助ガス供給部
【技術分野】
【0001】
本発明は、多結晶シリコン層の製造方法及びこのための金属混入層形成装置に関する。より詳細には、本発明は、金属誘導結晶化方法を用いて非晶質シリコン層を結晶化するにあたり、金属触媒の導入量を少なくすることができ、かつ結晶化温度を低くすることができる多結晶シリコン層の製造方法及びこのための金属混入層形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display;LCD)、有機発光ディスプレイ(Organic Light Emitting Display;OLED)などに用いられる薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor;TFT)は、大別して、非晶質シリコンTFTと、多結晶シリコンTFTとに分けられる。
【0003】
TFTの特性は、電子移動度の値で評価するが、非晶質シリコンTFTの電子移動度は約1cm2/Vs、多結晶シリコンTFTの電子移動度は約100cm2/Vs程度となるため、高性能のLCDには多結晶シリコンTFTを採用することが好ましい。
【0004】
多結晶シリコンTFTの製造時に重要なのは、非晶質シリコン層を結晶化させる工程である。特に、結晶化温度を低くすることが好ましいが、結晶化温度が高すぎると、TFTの製造時に溶融点が低いガラス基板を使用することができないため、TFTの製造コストが過度に上昇するという問題があった。このようなガラス基板を使用する可能性を考えて、これまで低温で短時間内に多結晶シリコン層を形成することができる多様な工程が提案されてきた。
【0005】
なかでも、金属誘導結晶化(Metal Induced Crystallization;MIC)法は、非晶質シリコンにNi、Cu、Alなどの金属触媒を塗布して低い温度で結晶化を誘導する方法であって、低い温度で結晶化が可能であるという利点があるが、活性化領域に含まれる相当量の金属により、リーク電流が大きく増加するという欠点があった。
【0006】
このように、MIC法は、TFTの製造時、非晶質シリコンの結晶化温度を低くし、ガラス基板の使用が可能であるという利点があるのに対し、金属汚染によってTFTの特性を低下させるという欠点もあるため、できる限り金属触媒の量を少なく導入しながら、結晶化温度を低くすることが最も好ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、上記の従来技術の問題を解決するためになされたものであって、金属誘導結晶化方式を用いて非晶質シリコン層を結晶化するにあたり、金属触媒の導入量を少なくすることができ、かつ結晶化温度を低くすることができる、金属混入層を用いた多結晶シリコン層の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、非晶質シリコン層を金属誘導結晶化するための金属混入層の形成時に、反応チャンバに供給される金属ソースガスの量を正確に制御することができる金属混入層形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の一実施形態に係る多結晶シリコン層の製造方法は、非晶質シリコン層と金属混入層(metal mixed layer)とをコンタクトした後、前記非晶質シリコン層を金属誘導結晶化熱処理して多結晶シリコン層を製造することを特徴とする。
【0010】
そして、上記の目的を達成するために、本発明の一実施形態に係る金属混入層形成装置は、非晶質シリコン層を金属誘導結晶化熱処理するための金属混入層(metal mixed layer)を形成する装置であって、基板が配置される反応チャンバと、前記反応チャンバに金属ソースガスを供給する金属ソースガス供給部と、前記反応チャンバにマトリックスソースガスを供給するマトリックスソースガス供給部とを備え、前記金属ソースガス供給部は、ソース物質が貯蔵されるソース物質貯蔵部と、前記ソース物質をソースガス化させるソース物質蒸発部と、運搬ガスを供給する運搬ガス供給部と、前記ソース物質貯蔵部と前記ソース物質蒸発部との間に設けられ、前記ソース物質蒸発部に供給されるソース物質の量を調整するソース物質供給部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、金属誘導結晶化方式により非晶質シリコン層を結晶化するにあたり、金属混入層を用いて金属触媒の量を少なく導入しながらも、結晶化温度を低くすることができるという効果を有する。
【0012】
また、本発明によれば、非晶質シリコンを金属誘導結晶化するための金属混入層の形成時に、反応チャンバに供給される金属ソースガスの量を正確に制御することができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態により基板上に非晶質シリコン層が形成されている様子を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態により非晶質シリコン層上に金属混入層が形成されている様子を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態により金属の濃度が調整された金属混入層の様子を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態により非晶質シリコン層が多結晶シリコン層に変化した様子を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態により金属混入層の上部、下部、または上部及び下部に金属非混入層が形成されている様子を示す図である。
【図6】本発明の他の実施形態により金属混入層上に非晶質シリコン層が形成されている様子を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る金属混入層形成装置の構成を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る金属ソースガス供給部の構成を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る金属ソースガス供給部のソース物質貯蔵部の一例を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る金属ソースガス供給部のソース物質貯蔵部の他の例を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る金属ソースガス供給部のソース物質供給部の構成を示す分解斜視図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る金属ソースガス供給部のソース物質供給部の構成を示す部分断面斜視図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る金属ソースガス供給部のソース物質蒸発部及びソース物質排出部の構成を示す図である。
【図14】本発明の一実施形態に係る金属ソースガス供給部のソース物質蒸発部及びソース物質排出部の構成を示す分解斜視図である。
【図15】本発明の一実施形態に係る金属ソースガス供給部のソース物質蒸発部及びソース物質排出部の構成を示す断面図である。
【図16】本発明の一実施形態に係る金属ソースガス供給部のソース物質供給部の動作を示す図である。
【図17】本発明の一実施形態に係る金属ソースガス供給部のソース物質供給部の動作を示す図である。
【図18】本発明の一実施形態に係る金属ソースガス供給部のソース物質供給部の動作を示す図である。
【図19】本発明の一実施形態に係る金属ソースガス供給部のソース物質供給部の動作を示す図である。
【図20】本発明の他の実施形態に係るソース物質供給部の構成を示す断面図である。
【図21】本発明の一実施形態に係る多結晶シリコン層の製造方法により製造された多結晶シリコン層の波長による反射度の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
後述する本発明に関する詳細な説明は、本発明が実施できる特定の実施形態を例示として示す添付図面を参照する。これらの実施形態は、当業者が本発明を実施できるのに十分になるように詳細に説明される。本発明の多様な実施形態は互いに異なるが、相互排他的である必要はないことが理解されなければならない。例えば、ここに記載されている特定の形状、構造、及び特性は、一実施形態に関連して本発明の精神及び範囲を逸脱しない範囲内で他の実施形態で実現可能である。また、各々の開示された実施形態内の個別構成要素の位置または配置は、本発明の精神及び範囲を逸脱しない範囲内で変更可能であることが理解されなければならない。したがって、後述する詳細な説明は限定的な意味として受け止めるものではなく、本発明の範囲は、適切に説明されると、その請求項が主張するのと均等なすべての範囲とともに、添付した請求項によってのみ限定される。図面において、類似の参照符号は様々な側面にわたって同一または類似の機能を指し示し、長さ及び面積、厚さなどとその形態は、便宜のために誇張して表現されることもある。
【0015】
以下では、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を容易に実施できるようにするために、本発明の好ましい実施形態について、添付した図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
多結晶シリコン層の製造方法
【0017】
本発明では、非晶質シリコン層20及び金属混入層30を互いに隣接するように形成した後に、非晶質シリコン層20を結晶化熱処理することを構成上の特徴とする。非晶質シリコン層20及び金属混入層30を互いに隣接するように形成する際は、図3に示すように非晶質シリコン層20上に金属混入層30を隣接形成してもよいし、図6に示すように金属混入層30上に非晶質シリコン層20を隣接形成してもよい。なお、どちらの場合も、非晶質シリコン層20が結晶化されるメカニズムは実質的に同一であるため、以下では、非晶質シリコン層20上に金属混入層30を隣接形成した後に結晶化熱処理する場合についてのみ説明する。金属混入層30上に非晶質シリコン層20を隣接形成した後に結晶化熱処理する場合については説明されていないが、この場合も、以下で説明される非晶質シリコン層20上に金属混入層30を隣接形成した後に結晶化熱処理する方法が同様に適用可能であることを理解されたい。
【0018】
図1〜図7は、本発明の一実施形態に係る多結晶シリコン層22の製造方法を説明するための図である。
【0019】
図1では、基板10上に非晶質シリコン層20が形成されている様子を示している。
【0020】
図1を参照すると、基板10上に非晶質シリコン層20を形成する。
【0021】
本発明で用いられる基板10の種類は、特に限定されず、サファイア、ステンレススチール、プラスチックなど、多様な種類の基板10が使用可能である。太陽電池などに用いられる透明な基板10、例えば、ガラス基板10を使用することが好ましい。
【0022】
非晶質シリコン層20は、物理気相蒸着法(Physical Vapor Deposition:PVD)を用いて形成することもできるが、化学気相蒸着法(Chemical Vapor Deposition:CVD)を用いて形成することが好ましい。特に、様々な化学気相蒸着法の中でも、プラズマ化学気相蒸着法(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition:PECVD)を用いて形成することが好ましい。プラズマ化学気相蒸着法を用いる場合、比較的低温でも速やかに非晶質シリコン層20を形成することができるという利点がある。
【0023】
非晶質シリコン層20をプラズマ化学気相蒸着法を用いて形成する過程及びこのためのプラズマ化学気相蒸着装置の構成は公知の技術であるため、本明細書において、これに関する詳細な説明は省略する。
【0024】
一方、本発明において、基板10上に形成される非晶質シリコン層20の厚さは特に限定されない。したがって、本発明が利用される目的により、非晶質シリコン層20の厚さは多様に変更可能である。
【0025】
図2は、非晶質シリコン層20上に金属混入層30を形成した状態を示す。
【0026】
図2を参照すると、非晶質シリコン層20上に金属混入層30を形成する。ここで、金属混入層30は、連続相であるマトリックス物質内に金属32が分散している層を意味することができる。
【0027】
金属混入層30に含まれる金属32は、後述する結晶化熱処理工程時に、非晶質シリコン層20が低温で結晶化されるようにすることができる。このような金属32の種類は、特に限定されないが、好ましくは、Ni、Al、Ti、Ag、Au、Co、Sb、Pd、Cuのうちのいずれか1つかまたはこれらの任意の組み合わせであり得る。
【0028】
金属混入層30をなす物質、すなわち、マトリックス34は、後述する結晶化熱処理工程時に、金属32が非晶質シリコン層20の内部に拡散することを抑制させる機能を果たすことができる。このマトリックス34の種類は、特に限定されないが、好ましくは、シリコン酸化物(例えば、SiOX)及びシリコン窒化物(例えば、SiNX)の一方または両方を含むもの(例えば、Si(ON)X)であり得る。
【0029】
金属混入層30を形成するために、スパッタリング法(sputtering)のような物理気相蒸着法が用いられてもよいが、化学気相蒸着法が用いられることが好ましい。このように化学気相蒸着法が用いられるのは、金属混入層30の厚さまたは金属32の分布などを制御することが容易であるからである。化学気相蒸着法で金属混入層30を形成する場合、金属混入層30を構成する物質のソース(原料)ガスとしては多様な物質が使用できるが、好ましくは、次のような物質が使用可能である。
【0030】
まず、金属混入層30に含まれる金属32がNiの場合、Niのソースガスとしては、Ni(cp)2[ビス(シクロペンタジエニル)ニッケル;ニッケロセン]またはNi(dmamb)2[ニッケルジメチルアミノメチルブタノエート]のうちのいずれか1つが使用可能である。また、金属混入層30に含まれるマトリックス34がシリコン酸化物の場合、シリコンのソースガスとしてはSiH4ガスが、酸化物のソースガスとしてはO2またはN2Oガスが使用可能である。また、金属混入層30に含まれるマトリックス34がシリコン窒化物の場合、シリコンのソースガスとしてはSiH4ガスが、窒化物のソースガスとしてはN2またはNH3ガスが使用可能である。
【0031】
様々な化学気相蒸着法の中でも、特に、プラズマ化学気相蒸着法が本発明の金属混入層30を形成するために利用できる。前述したように、プラズマ化学気相蒸着法を用いると、比較的低温でも速やかに金属混入層30を形成することができるという利点がある。
【0032】
金属混入層30をプラズマ化学気相蒸着法を用いて形成する過程及びこのための金属混入層形成装置の構成は、図7〜図20を参照した以下の説明によってより明確に理解されるはずである。
【0033】
一方、本発明の用途に応じて、金属混入層30内における金属32の濃度は、多様に制御できる。より具体的には、金属混入層30内における金属32の濃度は、高くまたは低く制御できる。また、金属混入層30内における金属32の濃度は、均一に制御されてもよく、金属混入層30の成長方向に向かって次第に増加するかまたは減少するように制御されてもよい。
【0034】
図3は、金属32a、32b、32cの濃度が制御された金属混入層30a、30b、30cの様子を示す図である。
【0035】
図3(a)は、金属32aの濃度が均一に制御された金属混入層30aの様子を示す図である。金属混入層30a内における金属32aの濃度を均一にするために、金属混入層30aの形成の進行中は、図7の金属ソースガス供給部Bを介して供給される金属32aのソースガスの量を一定に維持する。
【0036】
図3(b)は、金属32bの濃度が金属混入層30bの成長方向に向かって次第に増加するように制御された金属混入層30bの様子を示す図である。金属混入層30b内における金属32bの濃度を金属混入層30bの成長方向に向かって次第に増加させるために、金属混入層30bの形成が進むにつれ、プラズマ化学気相蒸着装置の反応チャンバに供給される金属32bのソースガスの量を増加させる。
【0037】
図3(c)は、金属32cの濃度が金属混入層30cの成長方向に向かって次第に減少するように制御された金属混入層30cの様子を示す図である。金属混入層30c内における金属32cの濃度を金属混入層30cの成長方向に向かって次第に減少させるために、金属混入層30cの形成が進むにつれ、プラズマ化学気相蒸着装置の反応チャンバに供給される金属32cのソースガスの量を減少させる。
【0038】
一方、本発明において、非晶質シリコン層20上に形成される金属混入層30の厚さは特に限定されない。したがって、本発明が利用される目的により、金属混入層30の厚さは多様に変更可能である。
【0039】
図4は、非晶質シリコン層20が多結晶シリコン層22に変化した様子を示している。
【0040】
図4を参照すると、非晶質シリコン層20を熱処理して結晶化する。これにより、図6に示すように、金属混入層30の金属32が非晶質シリコン層20の内部に拡散し、非晶質シリコン層20が多結晶シリコン層22に変化する。
【0041】
このとき、熱処理温度は、約500〜700℃の範囲であることが好ましい。また、熱処理雰囲気は、不活性ガス雰囲気、還元性ガス雰囲気、酸化性ガス雰囲気のうちのいずれか1つまたはこれらの任意の組み合わせであることが好ましい。ここで、不活性ガスとしてはAr、N2などが、還元性ガスとしてはH2、NH3などが、酸化性ガスとしてはO2、N2O、H2O、オゾンなどが使用可能である。
【0042】
金属混入層30の金属32はシード(seed)であって、非晶質シリコン層20の内部に拡散し、低い温度でも結晶化を促進させる役割を果たす。このとき、非晶質シリコン層20の内部に拡散する金属32は金属汚染を誘発させて太陽電池の特性を低下させるため、できる限り少量の金属32が非晶質シリコン層20の内部に拡散するようにしながらも、効率的に結晶化を促進させることが必要である。
【0043】
本発明によれば、非晶質シリコン層20上に金属混入層30を形成した後に結晶化熱処理することにより、少量の金属32のみが非晶質シリコン層20の内部に拡散するようにすることができ、このことにより、効率的に結晶化を促進させることができる。以下、これについてより詳細に説明する。
【0044】
金属混入層30の金属(例えば、Ni;32)は結晶化熱処理が進むにつれ、非晶質シリコン層20に向かって拡散する。このとき、金属混入層30の金属32は、非晶質シリコン層20の内部に直接拡散する前に、金属混入層30のマトリックス(例えば、SiOX;34)を経て拡散するが、金属混入層30のマトリックス34は金属32の拡散を抑制させる。したがって、このようなマトリックス34の拡散抑制効果を利用して、金属混入層30に含まれる金属32の濃度及び分布などを適切に制御すると、金属32の非晶質シリコン層20の内部への拡散を制御することができる。
【0045】
ここで、金属32の非晶質シリコン層20の内部への拡散を制御するというのは、非晶質シリコン層20の内部に拡散する金属32の量を制御するだけでなく、非晶質シリコン層20の内部で金属32が拡散する経路を制御することを含めて意味することができる。例えば、前述したように、金属混入層30内における金属32の濃度を少なくして、非晶質シリコン層20の内部に拡散する金属32の量が少なくなるように制御することができ、金属混入層30内における金属32の濃度を均一に、あるいは、金属混入層30の成長方向に向かって次第に増加するかまたは減少するように制御することにより、非晶質シリコン層20の内部で金属32が拡散する経路を制御することができる。
【0046】
このようにして、非晶質シリコン層20上に金属混入層30を形成した後に結晶化熱処理することにより、非晶質シリコン層20の内部に拡散する金属32の量及び経路を制御することができるため、少量の金属32が非晶質シリコン層20の内部に拡散するようにしながらも、効率的に結晶化を促進させることができる。
【0047】
図5は、金属混入層30の上側、下側または上下両側に金属非混入層40(40a、40b、40c、40d)を形成した状態を示す。
【0048】
図5を参照すると、金属混入層30に隣接する金属非混入層40a、40b、40c、40dをさらに形成することができる。より具体的には、図5(a)に示すように、金属混入層30の上側に金属非混入層40aが形成されてもよく、図5(b)に示すように、金属混入層30の下側に金属非混入層40bが形成されてもよく、図5(c)に示すように、金属混入層30の上下両側に金属非混入層40c、40dが形成されてもよい。
【0049】
ここで、金属非混入層40a、40b、40c、40dとは、金属32が混入しない層を意味することができる。金属非混入層40a、40b、40c、40dは、金属混入層30のマトリックス34と同様に金属32の拡散を抑制する機能を果たす。このような意味から、金属非混入層40a、40b、40c、40dは、金属混入層30のマトリックス34と同じ物質で構成できる。例えば、金属非混入層40a、40b、40c、40dは、シリコン酸化物(例えば、SiOX)、シリコン窒化物(例えば、SiNX)、またはこれらをすべて含む物質(例えば、Si(ON)X)で構成できる。
【0050】
金属非混入層40a、40b、40c、40dを形成するために、スパッタリング法のような物理気相蒸着法が用いられてもよいが、化学気相蒸着法が用いられることが好ましい。特に、様々な化学気相蒸着法の中でも、プラズマ化学気相蒸着法が利用できる。
【0051】
プラズマ化学気相蒸着法で金属非混入層40a、40b、40c、40dを形成する場合、金属混入層30と金属非混入層40a、40b、40c、40dは、1つの反応チャンバでインサイチュー(in-situ)で形成されることができる。例えば、プラズマ化学気相蒸着装置を用いて、Ni及びSiOXで構成された金属混入層30上にSiOXで構成された金属非混入層40aを形成する場合、1つの反応チャンバ内で非晶質シリコン層20上にNi(cp)2ガス、SiH4ガス、及びO2ガスを供給して、Ni及びSiOXで構成された金属混入層30を形成し、その後継続的にSiH4ガス及びO2ガスを供給して、SiOXで構成された金属非混入層40aを形成することができる。
【0052】
このように、金属混入層30のマトリックス34とともに、金属32の拡散を抑制する機能を果たす金属非混入層40a、40b、40c、40dをさらに形成することにより、非晶質シリコン層20の内部に拡散する金属32の量及び経路をより効果的に制御することができる。
【0053】
金属混入層形成装置
【0054】
図7は、本発明の一実施形態に係る金属混入層形成装置の様子を示す図である。
【0055】
本発明において、基板10上に金属混入層30を形成するというのは、半導体分野で一般的に用いられる基板10そのものに金属混入層を形成する場合のみならず、基板10上に形成された非晶質シリコン層20上に金属混入層30を形成する場合を含めた意味であることを明らかにする。
【0056】
図7を参照すると、本発明の一実施形態に係る金属混入層形成装置は、反応チャンバAを備えて構成される。反応チャンバAは、工程が行われている間、実質的に内部空間が密閉するように構成され、基板10上に金属混入層30を形成するための空間を提供する機能を果たすことができる。この反応チャンバAは、最適な工程条件を維持するように構成され、形態は四角形または円形の形態で製造できる。
【0057】
本発明の一実施形態に係る金属混入層形成装置は、金属ソースガス供給部Bを備えて構成できる。金属ソースガス供給部Bは、反応チャンバAに金属ソースガスを供給する機能を果たすことができる。金属ソースガスは、金属混入層30に含まれる金属の種類によって多様な金属ソースガスが使用可能である。例えば、金属混入層30に含まれる金属がNiの場合、金属ソースガスとしては、Ni(cp)2[ビス(シクロペンタジエニル)ニッケル;ニッケロセン]またはNi(dmamb)2[ニッケルジメチルアミノメチルブタノエート]のうちのいずれか1つが使用可能である。
【0058】
前述したように、金属ソースガス供給部Bは、供給される金属ソースガスの量を正確に制御するために、ソース物質貯蔵部200とソース物質蒸発部300との間に設けられ、ソース物質蒸発部300に供給されるソース物質の量を制御するソース物質供給部500を備えて構成できる。これらの構成に関する詳細な説明は後述する。
【0059】
反応チャンバAと金属ソースガス供給部Bとは、金属ソースガス供給管B´を介して連結されていてよい。このような金属ソースガス供給管Bを介して、金属ソースガスは、金属ソースガス供給部Bから反応チャンバAに移動することができる。
【0060】
図7に示していないが、金属ソースガス供給管B´上にはヒーティング装置が設置できる。ヒーティング装置は、反応チャンバAに移動する金属ソースガスの温度を所定の温度以上に維持させることにより、金属ソースガスが固体化して金属ソースガス供給管B´にくっつくことを最小化する機能を果たすことができる。移動する金属ソースガスを一定の温度で維持できれば、ヒーティング装置の構成は、いかなる特別な構成に限定されず、公知の様々なヒーティング装置が本発明の金属ソースガス供給管24に採用可能である。
【0061】
本発明の一実施形態に係る金属混入層形成装置は、マトリックスソースガス供給部Cを備えて構成できる。マトリックスソースガス供給部Cは、金属混入層30に含まれるマトリックスのソースガスを反応チャンバAに供給する機能を果たすことができる。
【0062】
マトリックスソースガスとしては、金属混入層30に含まれるマトリックスの種類によって多様なソースガスが使用可能である。例えば、金属混入層30に含まれるマトリックスがシリコン酸化物(例えば、SiOX)の場合、マトリックスソースガスとしては、SiH4ガス及びO2ガスが使用可能である。また、金属混入層30に含まれるマトリックスがシリコン窒化物(例えば、SiOX)の場合、マトリックスソースガスとしては、SiH4ガス及びN2ガスが使用可能である。
【0063】
反応チャンバAとマトリックスソースガス供給部Cとは、マトリックスソースガス供給管C´を介して連結されていてよい。このようなマトリックスソースガス供給管C´を介して、マトリックスソースガスは、マトリックスソースガス供給部Cから反応チャンバAに移動することができる。マトリックスソースガス供給管C´上には、金属ソースガス供給管B´と類似するように、反応チャンバAに移動するマトリックスソースガスの温度を所定の温度以上に維持させる機能を果たすヒーティング装置(図示せず)が設置できる。
【0064】
図7に示していないが、本発明の金属混入層形成装置は、基板ヒータ(図示せず)をさらに備えて構成できる。基板ヒータは、基板10上に金属混入層30が円滑に形成されるように、基板10に熱を印加する機能を果たすことができる。好ましくは、基板ヒータは、基板10の温度を100〜300℃の温度まで上昇させ、この温度が継続的に維持されるようにすることができる。基板ヒータの種類は、特に限定されず、基板10に熱を印加できるもの(例えば、熱線の材質がタングステンであるハロゲンランプまたは一般的なカンタル(kanthal)ヒータ)であれば、本発明の基板ヒータとして採用可能である。
【0065】
本発明の金属混入層形成装置は、プラズマ発生のための電源が印加される上部電極D、及び基板10が載置される下部電極Eをさらに備えて構成できる。
【0066】
本発明の金属混入層形成装置は、プラズマの電子密度分布を均一に維持できるようにする補助ガス(アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)などのガス)を供給するための補助ガス供給部Fをさらに備えて構成できる。補助ガスを供給するために、補助ガス供給部Fは、補助ガス供給管F´を介して反応チャンバAと連結可能である。
【0067】
以下では、図7の金属混入層形成装置を用いて、非晶質シリコン層20上にNi及びSiOXで構成された金属混入層30を形成する方法について説明する。
【0068】
まず、金属ソースガス供給部Bを介してNi(cp)2ガスが反応チャンバA内に供給される。また、マトリックスソースガス供給部Cを介してSiH4ガス及びO2ガスが反応チャンバA内に供給される。また、補助ガス供給部Fを介してArガスが反応チャンバA内に供給される。その後、高周波電源が上部電極Dに印加されることにより、自由電子(図示せず)が上部電極Dと下部電極Eとの間を往復しながら供給されたガスと衝突し、Siイオン、O2イオン、及びNiイオンを含むプラズマを生成させる。このとき、基板10の表面温度は、基板ヒータ(図示せず)により約100℃〜300℃の温度に維持されることができ、このように生成されたプラズマが非晶質シリコン層20の表面で反応して、Ni及びSiOXで構成された金属混入層30を形成する。
【0069】
一方、図7の金属混入層形成装置を用いて、金属混入層30のみならず、前述した金属非混入層40をインサイチューで形成することもできる。以下では、本発明の一実施形態によりNi及びSiOXで構成された金属混入層30上にSiOXで構成された金属非混入層40をインサイチューで形成する方法について説明する。
【0070】
まず、反応チャンバA内に配置された非晶質シリコン層20上に、金属ソースガス供給部Bを介してNi(cp)2ガスを、マトリックスソースガス供給部Cを介してSiH4ガス及びO2ガスを供給して、Ni及びSiOXで構成された金属混入層30を形成する。その後、金属ソースガス供給部Bでは、Ni(cp)2ガスの供給は中断され、マトリックスソースガス供給部Cでは、SiH4ガス及びO2ガスの供給を継続し、SiOXで構成された金属非混入層40を形成する。
【0071】
また、本発明の金属混入層形成装置は、シャワーヘッド方式の上部電極Dを採用することによって、金属混入層30を形成するための反応ガス、すなわち、金属ソースガス、マトリックスソースガス、及び補助ガスなどをチャンバA内に供給するようにすることもできる。この場合、例えば、上部電極Dには反応ガスを均一に噴射できるようにする複数のホール(図示せず)がさらに形成される。シャワーヘッド方式で反応ガスを噴射するようにすると、非晶質シリコン層20上により均一に反応ガスが噴射可能であり、結果的に、より均一な金属混入層30が形成されることができる。
【0072】
シャワーヘッド方式の上部電極Dを採用する場合、本発明の金属混入層形成装置は、金属ソースガス供給管B´、マトリックスソースガス供給管C´、及び補助ガス供給管F´と連結され、上部電極Dに金属ソースガス、マトリックスソースガス、及び補助ガスが流れるように通路の役割を果たす反応ガス供給管(図示せず)がさらに設けられる。
【0073】
図8は、本発明の一実施形態に係る金属ソースガス供給部Bの構成を示す図である。
【0074】
図8を参照すると、本発明の一実施形態に係る金属ソースガス供給部Bは、ソース物質貯蔵部200と、ソース物質蒸発部300と、ソース物質排出部400と、ソース物質供給部500と、運搬ガス供給部600と、逆流防止ガス供給部700とを備えて構成できる。
【0075】
ソース物質貯蔵部200、ソース物質供給部500、及びソース物質蒸発部300は、ソース物質供給管250を介して上から下方向に配置されており、ソース物質は、ソース物質貯蔵部200からソース物質供給部500に、ソース物質供給部500からソース物質蒸発部300に自由落下の過程により供給可能である。ソース物質蒸発部300に残留するソース物質は、ソース物質排出部400を介して自由落下の過程により排出できる。
【0076】
図9は、ソース物質貯蔵部200の一例を示す図である。
【0077】
図9を参照すると、ソース物質貯蔵部200は、ソース物質を貯蔵することができるように、所定の内部容積を有する容器で構成できる。ソース物質は、金属ソースガスのソース物質、例えば、固体状態のNi(cp)2であり得る。ソース物質貯蔵部200は、外部の異質が侵入したり内部のソース物質が流出したりしないように、強固に作製されることが好ましい。ソース物質貯蔵部200の材質は、ステンレススチールを含むことができる。
【0078】
ソース物質貯蔵部200には、ソース物質貯蔵部200にパージガスを供給するパージガス供給管210が設置できる。パージガス供給管210を介して、ソース物質貯蔵部200内の雰囲気を維持するためのパージガスが供給可能である。
【0079】
ソース物質貯蔵部200の一側には、ソース物質貯蔵部200の内部を観察可能な第1監視窓(図示せず)が設置できる。第1監視窓は、ソース物質貯蔵部200内のソース物質の量とソース物質の状態を目視確認できるようにする。
【0080】
ソース物質供給管250は、ソース物質貯蔵部200とソース物質蒸発部300とを連結して、ソース物質貯蔵部200に貯蔵されているソース物質がソース物質蒸発部300に供給できるようにする。
【0081】
図8をさらに参照すると、ソース物質供給管250にはバルブVが連結できる。バルブVは、金属ソースガス供給部Bの整備作業時にソース物質貯蔵部200からソース物質供給部500へのソース物質の供給を断続する役割や、ソース物質供給部500からソース物質蒸発部300に定量のソース物質がソース物質蒸発部300に供給された後に追加のソース物質が供給されないようにソース物質供給管250を完全に閉鎖する役割を果たすことができる。
【0082】
ソース物質供給管250には第2監視窓260が設置できる。第2監視窓260は、バルブVの下段に設けられ、ソース物質がバルブVを通過してソース物質供給部500に供給されることを確認することができる。第2監視窓260の材質は、石英を含むことができる。
【0083】
ソース物質供給部500とソース物質蒸発部300とを連結するソース物質供給管250上には、冷却ユニット270が設置できる。冷却ユニット270は、ソース物質蒸発部300で金属ソースガスを発生させるために印加された熱が、ソース物質供給管250を介してソース物質供給部500に伝達されることを防止する役割を果たすことができる。
【0084】
図10は、ソース物質貯蔵部200の他の例を示す図である。
【0085】
図10を参照すると、ソース物質貯蔵部200の内側には、所定の目の大きさを有する濾過部220が配置される。濾過部220は、一定の目の大きさを有するメッシュ(mesh)を使用することが好ましい。濾過部220の材質は、鉄またはアルミニウムを含むことができる。濾過部220は、外部から供給されたソース物質のうち、所定の大きさ、すなわち、メッシュの目より小さいソース物質のみが、後述するソース物質蒸発部300に供給されるようにする。濾過部220は、供給されるソース物質の大きさを所定以下に制限することにより、ソース物質の粒子の大きさの不均一により、後述するソース物質供給管250が詰まる現象を防止することができる。濾過部220の濾過効果を向上させるために、濾過部220は複数個配置されてもよく、この場合、各濾過部の目の大きさは互いに異なるようにすることができる。
【0086】
図11及び図12は、本発明の一実施形態に係る金属ソースガス供給部Bのソース物質供給部500の構成を示す分解斜視図及び部分断面斜視図である。
【0087】
ソース物質供給部500は、ソース物質供給管250を介してソース物質蒸発部300に供給されるソース物質の量を制御する役割を果たす。例えば、ソース物質供給部500は、ソース物質蒸発部300に供給されるソース物質の量を、金属混入層30の形成工程ごとに均一に制御することができる。
【0088】
図11及び図12を参照すると、ソース物質供給部500は、本体510と、回転供給台520と、充填部530と、隔離板540と、供給ホール550とを備えて構成できる。また、ソース物質供給部500は、第1センサ560と、第2センサ570とをさらに備えることができる。また、ソース物質供給部500は、逆流防止ガス供給部700をさらに備えることができる。
【0089】
本体510は、ソース物質供給部500の骨格をなし、ソース物質供給部500の構成要素が設けられる。本体510は、ソース物質供給管250の中間部に連結される。本体510は、内部に所定の空間を有する円筒状に形成されることができる。本体510は、外部の異質が侵入したり内部のソース物質が流出したりしないように、強固に作製されることが好ましい。本体510の材質は、ステンレススチールを含むことができる。
【0090】
本体510の内部に設けられる構成要素の修理及び管理のために、本体510の上部には蓋512が開閉可能に連結可能である。蓋512の材質は、本体510と同様に、ステンレススチールを含むことができる。蓋512と本体510との連結部位には、シーリング(sealing)用Oリング514が配置できる。本体510の一側には、本体510の冷却のために冷却水が流出入する一対の冷却管502が連結可能である。本体510の上部には、後述する逆流防止ガス供給部700が連結可能である。本体510の内側下端は、逆三角形の断面形態で形成され、ソース物質が本体510の外部に容易に排出できるようにすることが好ましい。
【0091】
本体510の内部には、回転供給台520が回転可能に設けられる。回転供給台520は、ソース物質貯蔵部200からソース物質蒸発部300へのソース物質の供給を一定量に制限する。回転供給台520は、所定の厚さを有する円形のプレート状に形成される。回転供給台520は、回転供給台520の中心軸が回転アクチュエータ522に連結され、回転アクチュエータ522の動作によって回転する。このとき、回転供給台520は、任意に設定された角度、例えば、90度ずつ回転することができる。回転アクチュエータ522は、本体510の外側上部に配置できる。回転供給台520の回転を容易にするために、回転供給台520の上側にはテフロン(登録商標)(Teflon)材質のリング516が配置できる。
【0092】
回転供給台520上の所定の位置には充填部530が形成される。充填部530は、ソース物質供給管250を介して自由落下により供給されたソース物質が充填され、一時的に保管される。充填部530は、所定の体積を有する円筒状の空間で形成される。ここで、充填部530の体積は、1回の金属混入層形成工程に要する金属ソースガスの生成に必要な量のソース物質を貯蔵可能な程度であり得る。
【0093】
図示のように、充填部530は、回転供給台520に90度の角距離で2つ形成されているが、それ以上の角度、例えば、180度の角距離で形成されてもよい。また、充填部530は、90度の角距離で2つ以上の個数、例えば4つが形成されるなど、使用者の所望に応じて形成個数と間隔を異なるようにすることもできる。
【0094】
回転供給台520の下側には隔離板540が設けられる。隔離板540は、本体510の内部空間を上部と下部とに区分する。また、隔離板540は、後述する供給ホール550を介して充填部530に充填されているソース物質の供給を断続する。
【0095】
供給ホール550は、隔離板540に形成される。供給ホール550は、ソース物質供給管250の真下と任意の角距離、例えば、充填部530の形成間隔である90度の角距離をおいて形成されることが好ましい。供給ホール550の直径は、充填部530の下端部の直径と等しく設定されることが好ましい。
【0096】
このとき、充填部530の体積が一定で、これを満たすソース物質の量も一定であるため、ソース物質蒸発部300には、回転供給台520の回転周期によって定量のソース物質が供給できる。このようにして、本発明では、ソース物質貯蔵部200内に貯蔵されているソース物質が、回転供給台520の充填部530及び隔離板540の供給ホール550を順に通過してソース物質蒸発部300に供給されるが、このとき、回転供給台520が所定の周期で供給ホール550の真上に位置するたびに、充填部530の体積に該当する量だけのソース物質が(すなわち、一定量のソース物質が)ソース物質蒸発部300に供給される。
【0097】
回転供給台520に形成される充填部530の個数は2つになっているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、ソース物質の時間あたりの供給量により多様に変更可能である。このとき、ソース物質の時間あたりの供給量を増やすためには、同一の充填部530の個数で回転供給台520の回転周期を短くすることもでき、また、充填部530の容積、例えば、充填部530の直径または高さ(すなわち、回転供給台520の厚さ)を増加させることもできる。つまり、本発明において、ソース物質供給部500を介してソース物質蒸発部300に供給される時間あたりのソース物質の量は、回転供給台520の回転周期、充填部530の個数、及び充填部530の容積などを変更して多様に制御することができる。
【0098】
第1センサ560が回転供給台520と回転アクチュエータ522との連結部品に設置できる。第1センサ560は、回転供給台520が設定された角度で回転したかをチェックする。第1センサ560は、回転供給台520と回転アクチュエータ522とを連結する軸の所定地点に2つのセンサドッグ(図示せず)とドッグ検出部(図示せず)とを設けた後、センサドッグとドッグ検出部との接触を感知する方式により、回転供給台520の予め設定された回転角度、例えば、回転供給台520が90度回転したかを確認することができる。
【0099】
第2センサ570が本体510の下部一側に設置できる。第2センサ570は、供給ホール550を介してソース物質が落下することをチェックする。第2センサ570は、可視光を用いる光センサを備えることができる。第2センサ570の前方には、ソース物質が第2センサ570に付着するのを防止するために、第1透明窓574が設置できる。第2センサ570と第1透明窓574の設置を容易にするために、本体510の外側下部には連結ギャップ576が配置できる。第2センサ570は、連結ギャップ576の一側に固定ブラケット572を用いて配置されることが好ましい。本体510と連結ギャップ576との連結部品にはシーリング用Oリング518が配置できる。
【0100】
逆流防止ガス供給部700が本体510の上部に連結可能である。逆流防止ガス供給部700は、本体510の上部に連結される。逆流防止ガス供給部700を介して供給された逆流防止ガスは、本体510の内側を所定の圧力状態に維持して、ソース物質蒸発部300で発生した金属ソースガスがソース物質供給部500に逆流することを防止することができる。また、逆流防止ガス供給部700を介して供給されるガスは、本体510の内部に残留しているソース物質を排出させることができる。逆流防止ガス供給部700は、運搬ガス供給部600と同一のラインを介してガスが供給できる。逆流防止ガス供給部700に供給されるガスはArであり得る。
【0101】
図13、図14、及び図15は、本発明の一実施形態に係る金属ソースガス供給部Bのソース物質蒸発部300及びソース物質排出部400の構成を示す図、分解斜視図、及び断面図である。
【0102】
ソース物質蒸発部300は、ソース物質貯蔵部200から供給されたソース物質に熱を印加してソース物質を気化させる。ソース物質蒸発部300でソース物質は気化して、金属ソースガスの形態で反応チャンバAに供給される。ソース物質排出部400は、ソース物質を気化させて、金属混入層30の形成工程に必要な金属ソースガスを発生させた後、ソース物質蒸発部300に残留しているソース物質を排出する。
【0103】
図13、図14、及び図15を参照すると、ソース物質蒸発部300は、所定の内部容積を有する容器で構成できる。ソース物質蒸発部300の内部には、ソース物質の気化に必要な熱を発生させるソース物質ヒータ310が設置できる。ソース物質ヒータ310は、ソース物質受け台410に載置されているソース物質が気化できるように、熱を発生させてソース物質に印加する。ソース物質ヒータ310は、所定の長さを有する円形のロッド状に形成される。ソース物質ヒータ310による加熱効果を向上させるために、ソース物質ヒータ310の端部、すなわち、ソース物質受け台410に接触するソース物質ヒータ310の端部で発熱が集中することが好ましい。
【0104】
ソース物質ヒータ310には、熱を発生させるために電源を供給する電源線312と、発熱した熱を測定する温度測定器314とが連結できる。温度測定器314は、サーモカップル(thermocouple)を使用することが好ましい。サーモカップルは、本技術分野において広く知られた公知の構成要素であるため、サーモカップルの構成及び作用に関する詳細な説明は省略する。
【0105】
ソース物質ヒータ310の端部は、ソース物質受け台410に密接に連結できる。ソース物質ヒータ310とソース物質受け台410との連結については後述する。
【0106】
運搬ガス供給部600は、ソース物質蒸発部300で発生した金属ソースガスを反応チャンバAに運ぶ運搬ガスを供給する。運搬ガス供給部600のガス供給管610とガス排気管620とは、ソース物質蒸発部300の一側に連結可能である。ガス供給管610とガス排気管620には、ガスの移動を断続可能なバルブが設置できる。運搬ガスとしては、不活性で、金属ソースガスを反応チャンバAに容易に移動させることができる高純度のアルゴン、ヘリウム、質素などが使用可能である。
【0107】
図13及び図14を参照すると、ソース物質排出部400は、ソース物質受け台410と、反転アクチュエータ420と、ソース物質保管筒430とを備えて構成できる。また、ソース物質排出部400は、ゲートバルブ450と、エアシリンダ460とをさらに備えることができる。
【0108】
ソース物質受け台410は、ソース物質蒸発部300の内側に上下反転可能に設けられる。ソース物質受け台410には、ソース物質供給部500を介して供給されたソース物質が載置される。このとき、ソース物質受け台410の上面は、平板状に形成してソース物質の載置を容易にすることが好ましい。また、ソース物質受け台410の縁は、ソース物質蒸発部300の内周面に密着するようにして供給されたソース物質が、ソース物質受け台410とソース物質蒸発部300の内壁の間を通して流出しないようにすることが好ましい。
【0109】
ソース物質受け台410の下部にはヒータ連結軸412が形成される。ヒータ連結軸412は、所定の長さを有する管状に形成される。ヒータ連結軸412の内側にはソース物質ヒータ310が挿入可能である。ヒータ連結軸412の中心軸は、後述する反転アクチュエータ420の回転軸の中心軸と同軸上で位置させることが好ましい。ヒータ連結軸412にソース物質ヒータ310が挿入されるとき、ソース物質ヒータ310の離脱防止や流動防止などのために、フランジ316と固定リング318が配置できる。ソース物質受け台410とヒータ連結軸412は、熱の伝達が容易な金属材質で形成されることができ、互いに同じ材質で形成されることができる。
【0110】
ソース物質受け台410の一側には反転アクチュエータ420が連結される。反転アクチュエータ420は、ソース物質受け台410を反転させる。このため、反転アクチュエータ420の回転軸がソース物質受け台410の一側に連結される。ソース物質受け台410と反転アクチュエータ420との連結を強固にするために、固定フランジ426と固定リング428が配置できる。
【0111】
反転アクチュエータ420は、空圧によって動作することができる。反転アクチュエータ420の動作のために、反転アクチュエータ420の一側には一対の第1空圧管422が連結される。一対の第1空圧管422のうち、任意の第1空圧管422に空圧が供給され、もう1つの第1空圧管422には空圧が排出されることにより、反転アクチュエータ420が回転動作を行う。本実施形態において、反転アクチュエータ420は、1回に180度回転動作することができる。第1空圧管422を介した空圧の供給方向が変更されると、反転アクチュエータ420の回転方向が変更可能である。
【0112】
反転アクチュエータ420の回転動作をチェックするために、第3センサ424が複数個設置できる。第3センサ424は、反転アクチュエータ420の回転軸を基準として180度の角距離をおいて設けられることが好ましい。第3センサ424は、反転アクチュエータ420の回転軸に設けられたセンサドッグ425と接触し、反転アクチュエータ420が180度回転したかをチェックする。第3センサ424は、固定ブラケット572を用いて反転アクチュエータ420の一側に固定されることができる。
【0113】
反転アクチュエータ420の動作により、ソース物質受け台410は、上面と下面が反転可能である。ソース物質受け台410が反転すると、ソース物質受け台410に載置されていたソース物質は下部に落下する。
【0114】
ソース物質蒸発部300の下部には、排出されたソース物質を保管するソース物質保管筒430が配置される。ソース物質保管筒430に保管されたソース物質は、後の金属混入層30の形成工程に再使用されるか、完全に廃棄されることができる。ソース物質保管筒430の形状は円筒形が好ましいが、必ずしもこれに限定されない。
【0115】
ソース物質保管筒430の一側には、ソース物質保管筒430内のソース物質を目視観察可能な第3監視窓440が所定の大きさに形成される。ソース物質保管筒430内には、ソース物質保管筒430の内部と外部とを隔離することができ、ソース物質の確認を容易にすることができるように、第2透明窓442が配置されることが好ましい。第2透明窓442の材質は、石英を含むことができる。
【0116】
ソース物質蒸発部300とソース物質保管筒430との間には、排出されたソース物質の移動を断続するゲートバルブ450が配置される。ゲートバルブ450は、ソース物質受け台410の動作に連動して開閉される。すなわち、ソース物質受け台410が反転すると、ゲートバルブ450は開放されてソース物質受け台410から落下するソース物質が通過できるようにし、ソース物質受け台410が元の位置に復帰すると、ゲートバルブ450は閉鎖されてソース物質が通過できないようにする。
【0117】
ゲートバルブ450は、バルブ本体452と、ゲート454とを備えて構成できる。バルブ本体452は、ソース物質蒸発部300と、ソース物質保管筒430とを連結する。バルブ本体452は、管状に形成されることができ、ゲート454により開閉可能である。ゲート454は平板状に形成され、エアシリンダ460によって水平に移動する。ゲート454の移動とエアシリンダ460の設置を容易にするために、バルブ本体452の一側にはゲートハウジング456が連結可能である。ゲートハウジング456の内部には、ゲート454が水平移動可能な空間が形成される。
【0118】
ゲートハウジング456の一側にエアシリンダ460が連結される。エアシリンダ460は、外部から供給される空圧によってゲートバルブ450を動作させる。エアシリンダ460には、一対の第2空圧管462が連結される。一対の第2空圧管462のうち、任意の第2空圧管には空圧が供給され、もう1つの第2空圧管462を介して空圧が排出されることにより、エアシリンダ460が伸縮動作することができる。空圧管を介した空圧の供給方向が変更されることにより、エアシリンダ460の動作方向が変更されて、ゲート454の移動方向が変更可能である。
【0119】
ソース物質保管筒430とゲートバルブ450とは、シーリング用Oリング432と固定プレート434により強固に連結されることが好ましい。
【0120】
以下では、図11、図12、及び図16〜図19を参照して、本発明の金属ソースガス供給部Bの動作を説明する。
【0121】
図16〜図19は、本発明の一実施形態に係る金属ソースガス供給部Bのソース物質供給部500の動作を示す図である。ここで、図16及び図17は、図12のA方向における構成を示す図であり、図18及び図19は、図12のB方向における構成を示す図である。参考として、図16〜図19において陰影表示された部分はソース物質を表す。
【0122】
まず、使用者は、ソース物質供給管250上に連結されたバルブVを開放操作して、ソース物質供給管250を介してソース物質が自由に移動できるようにする。
【0123】
図16を参照すると、ソース物質貯蔵部200に貯蔵されているソース物質は、自由落下により、ソース物質供給管250を介してソース物質供給部500に移動する。その後、ソース物質供給部500の回転アクチュエータ522は、回転供給台520を回転させて、回転供給台520の充填部530がソース物質供給管250の真下に位置するように位置合わせする。これにより、ソース物質供給管250を介して供給されるソース物質は、充填部530に移動して充填部530に充填される。ソース物質は、充填部530に供給されて充填されるが、充填部530の下端は、隔離板540によって閉鎖されていて、下部には排出されない。
【0124】
充填部530内へのソース物質の充填が完了すると、回転アクチュエータ522によって回転供給台520が回転するようにする。図17を参照すると、回転供給台520が回転すると、充填部530は、ソース物質供給管250の真下から外れることが分かる。
【0125】
図18を参照すると、回転アクチュエータ522は、回転供給台520を、設定された任意の角度、例えば、90度回転させて、充填部530が隔離板540の供給ホール550の真上に位置するようにする。このとき、第1センサ560は、回転供給台520が設定された角度だけ回転したかをチェックする。充填部530に貯蔵されているソース物質は、充填部530の下部の供給ホール550を介してソース物質蒸発部300に供給される。第2センサ570は、ソース物質が供給ホール550を介して落下して供給されたかをチェックする。
【0126】
一方、前述した過程において、ソース物質蒸発部300で金属ソースガスが発生して供給されるとき、金属ソースガスがソース物質供給部500に逆流することがあるため、これを防止する必要がある。また、金属混入層30の形成工程を行うための金属ソースガスの供給が完了した後、後の金属混入層30の形成工程に備えて、ソース物質供給部500に残留しているソース物質を消去する必要がある。
【0127】
このため、図19を参照すると、逆流防止ガス供給部700を介して逆流防止ガスを供給する。すなわち、充填部530が逆流防止ガス供給部700の真下に位置するようにした後、逆流防止ガスを供給すると、供給された逆流防止ガスは、充填部530を介して本体510の内部に供給される。逆流防止ガスにより、本体510の内部は所定の圧力を維持するようになるため、ソース物質蒸発部300からソース物質供給部500への金属ソースガスの逆流を防止することができる。また、逆流防止ガスは、充填部530に残留しているソース物質を排出させることができる。排出されたソース物質は、供給ホール550を介してソース物質蒸発部300に移動し、ソース物質供給部500から残留しているソース物質を除去することができる。
【0128】
ソース物質供給部500を介して定量供給されたソース物質は、ソース物質蒸発部300の内側のソース物質受け台410上に載置される。
【0129】
その後、ソース物質ヒータ310を動作させると、ソース物質ヒータ310で発熱した熱がソース物質受け台410上のソース物質に印加され、ソース物質は金属ソースガス化し、その後、ガス供給管610を介して供給される運搬ガスとともに、ガス排気管620を介して反応チャンバAに供給される。
【0130】
一方、金属混入層30の形成工程が完了した後、ソース物質受け台410上には所定量のソース物質が残留することができる。
【0131】
残留しているソース物質を排出するために、反転アクチュエータ420の一側の第1空圧管422を介して空圧を供給して反転アクチュエータ420を動作させる。反転アクチュエータ420の回転動作により、ソース物質受け台410の上部と下部が反転して、残留しているソース物質が落下する。このとき、第3センサ424は、反転アクチュエータ420が180度回転したかどうかをチェックする。
【0132】
その後、反転アクチュエータ420が回転動作に連動してゲートバルブ450の開閉動作が行われる。すなわち、反転アクチュエータ420が反転するように任意の第1空圧管422に空圧が供給されると、同時にエアシリンダ460に連結された任意の第2空圧管462にも空圧が供給される。したがって、ソース物質受け台410が反転するとき、ゲート454はバルブ本体452を開放する方向に移動し、ソース物質受け台410から落下するソース物質がソース物質保管筒430に容易に移動できるようにする。
【0133】
ソース物質受け台410が反転によってソース物質を落下させた後、反転アクチュエータ420の第1空圧管422を介して空圧が逆に供給されると、ソース物質受け台410は元の状態に復帰する。このとき、エアシリンダ460の第2空圧管462にも空圧が逆に供給され、ゲート454は、バルブ本体452を閉鎖する方向に移動し、ソース物質保管筒430への経路を閉鎖する。
【0134】
落下するソース物質は、ソース物質保管筒430に保管される。作業者は、第3監視窓440を通してソース物質の量をチェックし、ソース物質保管筒430に保管されたソース物質は、後の金属混入層30の形成工程に使用されるか、または完全に廃棄されることができる。
【0135】
図20は、本発明の他の実施形態に係るソース物質供給部500の構成を示す断面図である。ソース物質供給部500は、中心軸を基準として対称となる形態で構成されるため、図面ではソース物質供給部500の構成を容易に把握できるように中心軸を基準として一側のみを示した。
【0136】
図20を参照すると、回転供給台520の上部には、飛散防止あご580が所定の高さに形成されることができる。飛散防止あご580は、回転供給台520と同心円をなすように形成される。複数の飛散防止あご580の間には充填部530を位置させ、ソース物質供給管250から充填部530に供給されるソース物質が充填部530の周囲に飛散するのを防止する。飛散防止あご580と充填部530との間には飛散防止溝582が形成される。飛散防止溝582は、所定の容積を有するように形成され、飛散防止されたソース物質が一時的に留まる。したがって、飛散防止あご580と飛散防止溝582は、ソース物質が充填部530の周囲に飛散して、ソース物質供給部500の動作に影響を与えることを防止することができる。図20のソース物質供給部の構成及び作用は、飛散防止あご580と飛散防止溝582を除けば、前述したソース物質供給部と同一であるため、これに関する詳細な説明は省略する。
【0137】
前述したように、本発明の金属混入層形成装置は、ソース物質貯蔵部とソース物質蒸発部との間に設けられ、ソース物質蒸発部に供給されるソース物質の量を制御するソース物質供給部を備えて構成されることにより、反応チャンバに供給される金属ソースガスの量を正確に制御することができる。これにより、金属混入層を形成するときに、金属混入層内の金属の濃度及び分布を作業者の所望どおりに制御することができる。
【0138】
これは、非晶質シリコン層の結晶化熱処理時に、非晶質シリコン層内における金属の全般的な拡散を作業者が意図したとおりに制御可能であることを意味する。したがって、少量の金属のみが非晶質シリコン層の内部に拡散するようにすることができ、このことにより、より効率的に非晶質シリコン層の結晶化を促進させることができる。
【0139】
図21は、本発明の一実施形態に係る多結晶シリコン層の製造方法により製造された多結晶シリコン層の波長による反射度の変化を示す図である。
【0140】
図21に示すような反射度の変化を有する多結晶シリコン層の製造過程は、次のとおりである。まず、ガラス基板に非晶質シリコン層を形成した。次に、ガラス基板上にNi−SiOX層、すなわち、金属がNiであり、マトリックスがSiOXである金属混入層を形成した。Ni−SiOX層は、前述したような本発明の金属混入層形成装置を用いて形成した。Niのソース物質としてはNi(CP)2粉末を使用した。Ni(CP)2粉末を83℃で加熱して生成したNiのソースガスを500ccmの流量でチャンバに供給し、それと同時に、SiOXのソースガスとしてのSiH4/N2Oガスを2,500ccmの流量でチャンバに供給し、Ni−SiOX層を形成した。Niのソースガスをチャンバに供給するときは、運搬ガスとして400ccm流量のArを使用した。蒸着圧力は1Torr、蒸着パワーは800watt、蒸着温度は200℃、蒸着時間は10分、厚さは2,500Åであった。次に、Ni−SiOX層上に非晶質シリコン層を通常のPECVD法を用いて形成した。このとき、ソースガスはSiH4/N2O/H2ガスを使用し、各ガスの流量は500ccm、2,500ccm、3,000ccmであった。蒸着圧力は1Torr、蒸着パワーは800watt、蒸着温度は200℃、蒸着時間は2分、厚さは500Åであった。次に、結晶化熱処理を通常の熱処理炉(furnace)を用いて行い、非晶質シリコン層を結晶化させ多結晶シリコン層を形成した。熱処理条件は、650℃で1時間であり、質素雰囲気であった。最後に、結晶化程度(結晶化度)を評価するために、多結晶シリコン層の波長による反射度の変化を測定した。
【0141】
図21を参照すると、非晶質シリコン(a−Si)及び単結晶シリコン(s−Si)の波長による反射度の変化と比較して、前述したような工程条件により製造された多結晶シリコン層(p−Si)は、優れた結晶化度を有していることを確認することができる。これより、本発明の金属混入層を用いた多結晶シリコン層の製造方法によっても、結晶化度の優れた多結晶シリコン層を形成可能であることを確認することができる。
【0142】
一方、本発明の多結晶シリコン層の製造方法及びこのための金属混入層形成装置は、多結晶シリコン層をアクティブ層(active layer)とするポリシリコン薄膜トランジスタ(P-Si Thin Film Transistor)を含む液晶ディスプレイ(LCD)や有機発光ダイオード(OLED)のみならず、多結晶シリコン層をアクティブ層として含むすべての半導体、ディスプレイ、太陽電池、電子素子などに多様に適用することができる。
【0143】
本発明は、上述したように好ましい実施形態を挙げて図示及び説明しているが、上記の実施形態に限定されず、本発明の精神を逸脱しない範囲内で当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって多様な変形及び変更が可能である。そのような変形例及び変更例は、本発明と添付した特許請求の範囲の範囲内に属するとみなさなければならない。
【符号の説明】
【0144】
10:基板
20:非晶質シリコン層
22:多結晶シリコン層
30:金属混入層
32:金属
34:マトリックス
40(40a、40b、40c、40d)金属非混入層
200:ソース物質貯蔵部
210:パージガス供給管
220:濾過部
250:ソース物質供給管
260:第2監視窓
270:冷却ユニット
300:ソース物質蒸発部
310:ソース物質ヒータ
312:電源線
314:温度測定器
344:エア管
364:エア管
400:ソース物質排出部
410:ソース物質受け台
420:反転アクチュエータ
422:第1空圧管
424:第3センサ
430:ソース物質保管筒
440:第3監視窓
442:透明窓
450:ゲートバルブ
452:バルブ本体
454:ゲート
460:エアシリンダ
462:第2空圧管
500:ソース物質供給部
510:本体
520:回転供給台
530:充填部
540:隔離板
550:供給ホール
560:第1センサ
570:第2センサ
600:運搬ガス供給部
610:ガス供給管
620:ガス排気管
700:逆流防止ガス供給部
A:反応チャンバ
B:金属ソースガス供給部
C:マトリックスソースガス供給部
D:上部電極
E:下部電極
F:補助ガス供給部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非晶質シリコン層及び金属混入層(metal mixed layer)を互いに隣接するように形成した後に、前記非晶質シリコン層を金属誘導結晶化法で結晶化熱処理して多結晶シリコン層を製造することを特徴とする多結晶シリコン層の製造方法。
【請求項2】
非晶質シリコン層及び金属混入層を互いに隣接するように形成した後に、前記非晶質シリコン層を金属誘導結晶化法で結晶化熱処理して多結晶シリコン層を製造する方法であって、
(a)基板上に非晶質シリコン層を形成するステップと、
(b)前記非晶質シリコン層上に金属混入層を形成するステップと、
(c)前記非晶質シリコン層を結晶化熱処理するステップとを含むことを特徴とする多結晶シリコン層の製造方法。
【請求項3】
非晶質シリコン層及び金属混入層を互いに隣接するように形成した後に、前記非晶質シリコン層を金属誘導結晶化法で結晶化熱処理して多結晶シリコン層を製造する方法であって、
(a)基板上に金属混入層を形成するステップと、
(b)前記金属混入層上に非晶質シリコン層を形成するステップと、
(c)前記非晶質シリコン層を結晶化熱処理するステップとを含むことを特徴とする多結晶シリコン層の製造方法。
【請求項4】
前記金属混入層の金属が、Ni、Al、Ti、Ag、Au、Co、Sb、Pd、Cuのうちのいずれか1つかまたは2つ以上を含むことを特徴とする請求項2または3に記載の多結晶シリコン層の製造方法。
【請求項5】
前記金属混入層のマトリックスが、シリコン酸化物及びシリコン窒化物の一方または両方を含むことを特徴とする請求項2または3に記載の多結晶シリコン層の製造方法。
【請求項6】
前記(b)ステップにおいて、前記金属混入層に含まれる金属の濃度を制御することを特徴とする請求項2または3に記載の多結晶シリコン層の製造方法。
【請求項7】
前記金属混入層内における金属の濃度が均一になるようにしたことを特徴とする請求項2または3に記載の多結晶シリコン層の製造方法。
【請求項8】
前記金属混入層内における金属の濃度が、前記金属混入層の成長方向に向かって次第に増加するかまたは減少するようにしたことを特徴とする請求項2または3に記載の多結晶シリコン層の製造方法。
【請求項9】
前記金属混入層の上側、下側、または上下両側に金属非混入層(metal non-mixed layer)を形成するステップをさらに含むことを特徴とする請求項2または3に記載の多結晶シリコン層の製造方法。
【請求項10】
前記金属非混入層が、シリコン酸化物及びシリコン窒化物の一方または両方を含むことを特徴とする請求項9に記載の多結晶シリコン層の製造方法。
【請求項11】
非晶質シリコン層を金属誘導結晶化法で結晶化熱処理するための金属混入層(metal mixed layer)を形成する装置であって、
基板が配置される反応チャンバと、
前記反応チャンバに金属ソースガスを供給する金属ソースガス供給部と、
前記反応チャンバにマトリックスソースガスを供給するマトリックスソースガス供給部とを備えており、
前記金属ソースガス供給部が、
ソース物質が貯蔵されるソース物質貯蔵部と、
前記ソース物質をソースガス化させるソース物質蒸発部と、
運搬ガスを供給する運搬ガス供給部と、
前記ソース物質貯蔵部及び前記ソース物質蒸発部の間に設けられ、前記ソース物質蒸発部に供給されるソース物質の量を制御するソース物質供給部とを含むことを特徴とする金属混入層形成装置。
【請求項12】
プラズマ発生のための電源が印加される上部電極、及び前記基板が載置される下部電極をさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の金属混入層形成装置。
【請求項13】
前記反応チャンバと前記金属ソースガス供給部とが金属ソースガス供給管を介して連結されており、該金属ソースガス供給管上にヒーティング装置が設けられていることを特徴とする請求項11に記載の金属混入層形成装置。
【請求項14】
前記金属ソースガス供給部が、前記ソース物質蒸発部に残留した前記ソース物質を排出するソース物質排出部をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の金属混入層形成装置。
【請求項15】
前記ソース物質供給部が、
本体と、
前記本体の内部に回転可能に設けられた回転供給台と、
前記回転供給台に形成された充填部と、
前記本体の内部を上下に区分する隔離板と、
前記充填部に対応するように前記隔離板に形成された供給ホールとを含んでおり、
外部から供給される前記ソース物質を前記充填部に充填した後に、前記回転供給台を所定の角度回転させて前記充填部が前記供給ホールの上側に位置させ、前記充填部に充填されている前記ソース物質を前記供給ホールを介して落下させて前記ソース物質蒸発部に供給するように構成されていることを特徴とする請求項11に記載の金属混入層形成装置。
【請求項16】
前記金属ソースガス供給部が、前記回転供給台が回転したか否かをチェックする第1センサをさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の金属混入層形成装置。
【請求項17】
前記金属ソースガス供給部が、前記ソース物質が落下したか否かをチェックする第2センサをさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の金属混入層形成装置。
【請求項18】
前記金属ソースガス供給部が、前記ソース物質蒸発部から前記ソース物質供給部へのソースガスの逆流を防止する逆流防止ガス供給部をさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の金属混入層形成装置。
【請求項19】
前記供給ホールが、ソース物質供給管に対して所定の角度をなして配されていることを特徴とする請求項15に記載の金属混入層形成装置。
【請求項20】
前記ソース物質排出部が、
前記ソース物質蒸発部の内部に上下反転可能に設けられたソース物質受け台と、
前記ソース物質受け台の一端に連結された反転アクチュエータと、
前記ソース物質蒸発部から排出される前記ソース物質を保管するソース物質保管筒とを含んでおり、
前記反転アクチュエータの動作により前記ソース物質受け台を反転させることによって、前記ソース物質受け台上の前記ソース物質を前記ソース物質保管筒に移動させるように構成されていることを特徴とする請求項14に記載の金属混入層形成装置。
【請求項21】
前記金属ソースガス供給部が、
前記ソース物質受け台に形成され、かつ内側に前記ソース物質ヒータが挿入される管状のヒータ連結軸をさらに含んでおり、
前記ヒータ連結軸が、前記反転アクチュエータの回転軸と同軸上に配置されていることを特徴とする請求項20に記載の金属混入層形成装置。
【請求項22】
前記金属ソースガス供給部が、前記反転アクチュエータが回転したか否かをチェックする第3センサをさらに含むことを特徴とする請求項20に記載の金属混入層形成装置。
【請求項23】
前記金属ソースガス供給部が、
前記ソース物質受け台に連動して開閉されるゲートバルブと、
前記ゲートバルブに連結された空圧シリンダとをさらに含んでおり、
前記ソース物質受け台の反転時に前記空圧シリンダが前記ゲートバルブを開放することにより、前記ソース物質を排出するように構成されていることを特徴とする請求項20に記載の金属混入層形成装置。
【請求項1】
非晶質シリコン層及び金属混入層(metal mixed layer)を互いに隣接するように形成した後に、前記非晶質シリコン層を金属誘導結晶化法で結晶化熱処理して多結晶シリコン層を製造することを特徴とする多結晶シリコン層の製造方法。
【請求項2】
非晶質シリコン層及び金属混入層を互いに隣接するように形成した後に、前記非晶質シリコン層を金属誘導結晶化法で結晶化熱処理して多結晶シリコン層を製造する方法であって、
(a)基板上に非晶質シリコン層を形成するステップと、
(b)前記非晶質シリコン層上に金属混入層を形成するステップと、
(c)前記非晶質シリコン層を結晶化熱処理するステップとを含むことを特徴とする多結晶シリコン層の製造方法。
【請求項3】
非晶質シリコン層及び金属混入層を互いに隣接するように形成した後に、前記非晶質シリコン層を金属誘導結晶化法で結晶化熱処理して多結晶シリコン層を製造する方法であって、
(a)基板上に金属混入層を形成するステップと、
(b)前記金属混入層上に非晶質シリコン層を形成するステップと、
(c)前記非晶質シリコン層を結晶化熱処理するステップとを含むことを特徴とする多結晶シリコン層の製造方法。
【請求項4】
前記金属混入層の金属が、Ni、Al、Ti、Ag、Au、Co、Sb、Pd、Cuのうちのいずれか1つかまたは2つ以上を含むことを特徴とする請求項2または3に記載の多結晶シリコン層の製造方法。
【請求項5】
前記金属混入層のマトリックスが、シリコン酸化物及びシリコン窒化物の一方または両方を含むことを特徴とする請求項2または3に記載の多結晶シリコン層の製造方法。
【請求項6】
前記(b)ステップにおいて、前記金属混入層に含まれる金属の濃度を制御することを特徴とする請求項2または3に記載の多結晶シリコン層の製造方法。
【請求項7】
前記金属混入層内における金属の濃度が均一になるようにしたことを特徴とする請求項2または3に記載の多結晶シリコン層の製造方法。
【請求項8】
前記金属混入層内における金属の濃度が、前記金属混入層の成長方向に向かって次第に増加するかまたは減少するようにしたことを特徴とする請求項2または3に記載の多結晶シリコン層の製造方法。
【請求項9】
前記金属混入層の上側、下側、または上下両側に金属非混入層(metal non-mixed layer)を形成するステップをさらに含むことを特徴とする請求項2または3に記載の多結晶シリコン層の製造方法。
【請求項10】
前記金属非混入層が、シリコン酸化物及びシリコン窒化物の一方または両方を含むことを特徴とする請求項9に記載の多結晶シリコン層の製造方法。
【請求項11】
非晶質シリコン層を金属誘導結晶化法で結晶化熱処理するための金属混入層(metal mixed layer)を形成する装置であって、
基板が配置される反応チャンバと、
前記反応チャンバに金属ソースガスを供給する金属ソースガス供給部と、
前記反応チャンバにマトリックスソースガスを供給するマトリックスソースガス供給部とを備えており、
前記金属ソースガス供給部が、
ソース物質が貯蔵されるソース物質貯蔵部と、
前記ソース物質をソースガス化させるソース物質蒸発部と、
運搬ガスを供給する運搬ガス供給部と、
前記ソース物質貯蔵部及び前記ソース物質蒸発部の間に設けられ、前記ソース物質蒸発部に供給されるソース物質の量を制御するソース物質供給部とを含むことを特徴とする金属混入層形成装置。
【請求項12】
プラズマ発生のための電源が印加される上部電極、及び前記基板が載置される下部電極をさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の金属混入層形成装置。
【請求項13】
前記反応チャンバと前記金属ソースガス供給部とが金属ソースガス供給管を介して連結されており、該金属ソースガス供給管上にヒーティング装置が設けられていることを特徴とする請求項11に記載の金属混入層形成装置。
【請求項14】
前記金属ソースガス供給部が、前記ソース物質蒸発部に残留した前記ソース物質を排出するソース物質排出部をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の金属混入層形成装置。
【請求項15】
前記ソース物質供給部が、
本体と、
前記本体の内部に回転可能に設けられた回転供給台と、
前記回転供給台に形成された充填部と、
前記本体の内部を上下に区分する隔離板と、
前記充填部に対応するように前記隔離板に形成された供給ホールとを含んでおり、
外部から供給される前記ソース物質を前記充填部に充填した後に、前記回転供給台を所定の角度回転させて前記充填部が前記供給ホールの上側に位置させ、前記充填部に充填されている前記ソース物質を前記供給ホールを介して落下させて前記ソース物質蒸発部に供給するように構成されていることを特徴とする請求項11に記載の金属混入層形成装置。
【請求項16】
前記金属ソースガス供給部が、前記回転供給台が回転したか否かをチェックする第1センサをさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の金属混入層形成装置。
【請求項17】
前記金属ソースガス供給部が、前記ソース物質が落下したか否かをチェックする第2センサをさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の金属混入層形成装置。
【請求項18】
前記金属ソースガス供給部が、前記ソース物質蒸発部から前記ソース物質供給部へのソースガスの逆流を防止する逆流防止ガス供給部をさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の金属混入層形成装置。
【請求項19】
前記供給ホールが、ソース物質供給管に対して所定の角度をなして配されていることを特徴とする請求項15に記載の金属混入層形成装置。
【請求項20】
前記ソース物質排出部が、
前記ソース物質蒸発部の内部に上下反転可能に設けられたソース物質受け台と、
前記ソース物質受け台の一端に連結された反転アクチュエータと、
前記ソース物質蒸発部から排出される前記ソース物質を保管するソース物質保管筒とを含んでおり、
前記反転アクチュエータの動作により前記ソース物質受け台を反転させることによって、前記ソース物質受け台上の前記ソース物質を前記ソース物質保管筒に移動させるように構成されていることを特徴とする請求項14に記載の金属混入層形成装置。
【請求項21】
前記金属ソースガス供給部が、
前記ソース物質受け台に形成され、かつ内側に前記ソース物質ヒータが挿入される管状のヒータ連結軸をさらに含んでおり、
前記ヒータ連結軸が、前記反転アクチュエータの回転軸と同軸上に配置されていることを特徴とする請求項20に記載の金属混入層形成装置。
【請求項22】
前記金属ソースガス供給部が、前記反転アクチュエータが回転したか否かをチェックする第3センサをさらに含むことを特徴とする請求項20に記載の金属混入層形成装置。
【請求項23】
前記金属ソースガス供給部が、
前記ソース物質受け台に連動して開閉されるゲートバルブと、
前記ゲートバルブに連結された空圧シリンダとをさらに含んでおり、
前記ソース物質受け台の反転時に前記空圧シリンダが前記ゲートバルブを開放することにより、前記ソース物質を排出するように構成されていることを特徴とする請求項20に記載の金属混入層形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公表番号】特表2013−520832(P2013−520832A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−554931(P2012−554931)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際出願番号】PCT/KR2011/001296
【国際公開番号】WO2011/105830
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(506406663)株式会社テラセミコン (22)
【氏名又は名称原語表記】TERASEMICON CORPORATION
【住所又は居所原語表記】164−5,Jangji−ri,Dongtan−myeon,Hwaseong−si,Gyeonggi−do 445−812,Republic of Korea
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際出願番号】PCT/KR2011/001296
【国際公開番号】WO2011/105830
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(506406663)株式会社テラセミコン (22)
【氏名又は名称原語表記】TERASEMICON CORPORATION
【住所又は居所原語表記】164−5,Jangji−ri,Dongtan−myeon,Hwaseong−si,Gyeonggi−do 445−812,Republic of Korea
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]