説明

多連式マニホールド形電磁弁

【課題】 複数の弁孔の加工性と供給用及び排出用の各通孔の加工性とを同時に改善した接合形ハウジングを有する多連式のマニホールド形の電磁弁を得る。
【解決手段】
一つのハウジング20に複数の弁孔25とスプールとを内蔵すると共に、これらの弁孔25を横切る方向に延びて全ての弁孔25に連通する供給用及び排出用の連接通孔P,EA,EBを備えた多連式のマニホールド形電磁弁において、上記ハウジング20を、上記複数の弁孔25と各連接通孔P,EA,EBとをそれぞれ2分する位置で下側の第1ハウジング部材20Aと上側の第2ハウジング部材20Bとに分割し、これら両ハウジング部材20A,20Bを互いに接合、一体化することにより該ハウジング20を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電磁弁機構が組み込まれた多連式のマニホールド形電磁弁に関するものであり、更に詳しくは、複数のハウジング部材を接合して形成した接合形ハウジングを有する多連式のマニホールド形電磁弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載されているように、複数のハウジング部材を接合して形成した接合形のハウジングを有する電磁弁は、従来より公知である。この電磁弁は、上記ハウジングが、弁孔の中心軸線の位置で上下2つのハウジング部材に分割されていて、これらのハウジング部材を相互に接合し、その接合面を接着又は溶接等の手段で結合させることにより一体に組み立てられている。
このように、ハウジングを弁孔の位置で2つに分けて形成すると、弁孔の加工が容易になって加工精度も高められるため、スプールとの摺動精度が向上し、リークのない高精度の電磁弁を容易に得ることができるという利点がある。
【0003】
一方、特許文献2には、複数の電磁弁機構を備えた多連式の電磁弁が開示されている。この電磁弁は、ハウジングの内部に複数の弁孔を有しているため、各弁孔の加工が難しいという問題がある。従って、このような多連式の電磁弁に上述した接合形ハウジングの技術を適用すれば、複数の弁孔を精度良く加工することができるはずである。
【特許文献1】特開平6−174115号公報
【特許文献2】実開昭61−106672号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献2に記載された多連式の電磁弁は、マニホールドに搭載して使用するタイプの電磁弁であって、各弁孔に通じる供給用と排出用及び出力用の各通孔がハウジングの下面に開口し、マニホールドを介してそれぞれ供給用と排出用及び出力用の各ポートに連通するように構成されている。しかも、排出用の通孔は弁孔毎に個別に形成されていて、全体の孔数は多くなっている。
【0005】
このため、上記電磁弁のハウジングを弁孔の位置で2つに分けて形成した場合、確かに各弁孔の加工は容易になるが、各弁孔からハウジングの底面に向けて延びる上記各通孔については、ハウジングを分割することとは関係なくそれらを従前と同じ方法で形成しなければならないため、これらの通孔の加工に手数を要することに変わりはない。
【0006】
そこで本発明の目的は、複数の弁孔の加工性と供給用及び排出用の各通孔の加工性とを同時に改善した、接合形ハウジングを有する多連式のマニホールド形の電磁弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明によれば、両側面に他の電磁弁を連接するための連接面を備えたハウジングと、このハウジングの内部に並列に設けられた複数の弁孔と、これらの弁孔を横切る方向に延びて該ハウジングを貫通すると共に全ての弁孔に連通しかつ両端に上記連接面に開口する連接口を備えた供給用及び排出用の連接通孔と、上記各弁孔に個別に連通して出力ポートに通じる独立通孔と、上記各弁孔内に摺動自在に収容されたスプールと、これらのスプールを操作する複数の電磁操作式パイロット弁とを有し、上記ハウジングが、上記複数の弁孔と各連接通孔とをそれぞれ上下2分する位置で分割された上側の第1ハウジング部材と下側の第2ハウジング部材とからなっていて、これら両ハウジング部材を互いに接合、一体化することにより形成されていることを特徴とする多連式マニホールド形電磁弁が提供される。
【0008】
本発明においては、上記各連接通孔が、孔長方向及び孔高方向に一定の孔幅を有すると共に、該孔幅より孔高が大きい縦長の断面形状を有し、かつその孔高は上記弁孔の直径より大きく形成されており、また、上記連接口が、該連接通孔と同じ形状及び大きさに形成されていても良い。
【0009】
本発明において好ましくは、上記各弁孔がそれぞれ2つの独立通孔と2つの出力ポートとを有していて、一方の第1独立通孔と第1出力ポートとが第1ハウジング部材に設けられ、他方の第2独立通孔と第2出力ポートとが第2ハウジング部材に設けられていることである。
【0010】
また、本発明においては、上記第1ハウジング部材と第2ハウジング部材とが、互いの接合面に介在する凸部と凹部との係止によって位置決めされており、また、ハウジングの両連接面に、連接される他の電磁弁の係止孔と係止突起とに係合する位置決め用の係止突起と係止孔とが設けられていても良い。
【0011】
さらに、本発明においては、上記第2ハウジング部材が、上記弁孔よりも底部寄りの位置に、上記ハウジングの後端面方向に延出するベース状の張出部を有していて、該張出部の端面に複数の電気接続口が並べて設けられると共に、各電気接続口内にそれぞれソケットが配設されており、また、上記張出部の上部においてハウジングの後端面には、第1ハウジング部材と第2ハウジング部材とに跨って当接するピストンプレートが取り付けられ、該ピストンプレートの内部に、上記スプールを駆動するためのピストンと、該ピストンにパイロット流体圧を作用させるための圧力室とが形成されており、さらに、上記張出部とピストンプレートとの端面には、これらの張出部とピストンプレートとの両方に跨って当接するスペーサを介してアダプタが取り付けられると共に、該アダプタに上記パイロット弁が搭載され、上記スペーサには、上記パイロット弁に電気接続された接続端子を有する差込部が形成されていて、この差込部が上記張出部の電気接続口に差し込まれることによって上記接続端子がソケットに電気接続されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電磁弁のハウジングが、複数の弁孔と複数の連接通孔とを上下に2分する位置で分割された上側の第1ハウジング部材と下側の第2ハウジング部材とからなっていて、これら両ハウジング部材を互いに接合、一体化することにより形成されているから、上記複数の弁孔と各連接通孔とを同じ面側から同時に形成しかつ仕上げ加工することができ、このため、複数の弁孔だけでなく、各連接通孔を含めた孔全体の加工性が改善されることになる。
しかも、複数の弁機構を備えた多連式の電磁弁でありながら、他の同様の電磁弁と直接連接して使用することができるため、使用性に勝れるという利点もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1には、本発明に係る多連式のマニホールド形電磁弁(以下、単に「電磁弁」という。)を複数使用して構成した電磁弁アセンブリの例が示されている。この電磁弁アセンブリは、3組の電磁弁機構が組み込まれた3連式の電磁弁1Aと、2組の電磁弁機構が組み込まれた2連式の電磁弁1Bとを、相互に連接し、一方の電磁弁1Aの外側に給排気ブロック2と第1側板3と給電ブロック5とを順次連接すると共に、他方の電磁弁1Aの外側に第2側板4を連接し、それら一体に結合したものである。
【0014】
図示した例では、上記各部品が次のようにして連結されている。即ち、図2から明らかなように、上記各電磁弁1A,1Bと給排気ブロック2と両側板3,4とは、それらの上端部寄り及び下端部寄りの互いに相対応する位置にそれぞれ連結孔6が形成され、この連結孔6内に、両側板3,4まで達する長さの連結ロッド7を挿通し、これら両側板3,4の外側からボルト8を該連結ロッド7の端部のねじ孔7aにねじ付けることにより、一体に連結されている。そして、上記第1側板3の外側面に上記給電ブロック5を当接させ、この給電ブロック5を複数のねじ9で第1側板3に固定することにより、上記電磁弁アセンブリが形成されている。上記連結孔6と連結ロッド7との直径方向の両側面は平坦化されていて、連結孔6内で連結ロッド7が回転しないように形成されている。
しかし、上述したような連結ロッド7を使用することなく、上記各連結孔6に長寸のボルトを挿通して連結しても良い。
【0015】
上記給排気ブロック2には、その前端面の上下位置に供給ポートと排気ポートとが設けられ、この供給ポートを通じて圧力流体源からエアなどの圧力流体が上記各電磁弁1A,1Bに一括して供給され、該電磁弁1A,1Bからの排気が上記排気ポートを通じて一括して排出されるようになっている。
【0016】
また、上記給電ブロック5の外側面には多極の給電用コネクタ10が取り付けられ、この給電用コネクタ10と上記各電磁弁1A,1Bとが電気接続されることにより、この給電用コネクタ10を通じて各電磁弁1A,1Bに一括して給電されるように構成されている。
そして、上記電磁弁1A,1Bにおける何れかのパイロット弁23を選択的に操作することにより、対応する電磁弁機構を動作させてその出力ポート24A,24Bから圧力流体をアクチュエータに向けて出力させるものである。
【0017】
上記3連式の電磁弁1Aと2連式の電磁弁1Bとの相違は、組み込まれている電磁弁機構の数が3つであるか2つであるかという点だけで、それ以外は実質的に同じ構成を有するものであるから、以下に3連式の電磁弁1Aに基づいて構成を詳細に説明する。なお、本発明の電磁弁は4連式やそれ以上の連数であっても良い。
【0018】
図3〜図5に示すように、上記電磁弁1Aは、スプール22で流路を切り換える方式の切換機構を複数組内蔵する主弁部15と、上記各スプール22を操作する電磁操作式のパイロット弁23を備えたパイロット操作部16とで構成されていて、上記主弁部15の後端部側にこのパイロット操作部16が連結され、主弁部15の前端部側に上記出力ポート24A,24Bが設けられている。
【0019】
上記主弁部15は、矩形の断面形状を有するハウジング20を備えており、このハウジング20の左右両側面は、何れも、他の電磁弁を連接するための平坦な連接面20aとなっている。また、このハウジング20の内部には、複数の弁孔25が、それぞれの中心軸線を該ハウジング20の前後方向に向けて並列に設けられると共に、これらの弁孔25の全てに連通する一括供給用の1つの連接通孔P及び一括排出用の2つの連接通孔EA,EBと、各弁孔25に個別に連通する出力用の2つの独立通孔A,Bとが設けられている。そして、上記各弁孔25内には、上記各通孔間の流路を切り換える上記スプール22が摺動自在に収容されており、このスプール22の外周には、弁孔内周面との間をシールする複数のシール部材26が取り付けられている。従って、この主弁部15に内蔵されている複数の切換機構は、全て5ポート式である。
【0020】
上記供給用及び排出用の連接通孔P,EA,EBは、ハウジング20の一方の連接面20aから他方の連接面20aに向けて該ハウジング20を弁幅方向に貫通していて、この弁幅方向に並んで位置する上記複数の弁孔25を横切っており、各連接通孔P,EA,EBの両端には、上記連接面20aに開口する連接口Po,EAo,EBoが形成されている。これらの連接通孔P,EA,EBは、孔長方向及び孔高方向に一定かつ互いに同じ孔幅を有すると共に、該孔幅より孔高が大きい縦長で略矩形の断面形状を有しており、しかもその孔高は上記弁孔25の直径より大きく形成されている。また、上記連接口Po,EAo,EBoも、該連接通孔P,EA,EBと同じ形状及び大きさに形成されている。
【0021】
一方、上記独立通孔A,Bは、各弁孔25毎にそれぞれ2つずつ設けられていて、ハウジング20の前端面の各弁孔25と対応する位置に形成された上記2つの出力ポート24A,24Bに、連通孔24a,24bを介してそれぞれ連通している。これらの出力ポート24A,24Bは、各弁孔25を挟んで上下相対する位置に形成されている。
【0022】
上記ハウジング20は、図6に示すように、上記各弁孔25の中心軸線を含む水平面に沿って分割された上側の第1ハウジング部材20Aと下側の第2ハウジング部材20Bとからなるもので、これら2つのハウジング部材20A,20Bを溶接やはんだ付け等の方法によって互いに接合、一体化することにより形成されている。従って、上記各弁孔25と各連接通孔P,EA,EB及び独立通孔A,Bもそれぞれ上下に2分割されていて、各孔の上半部が第1ハウジング部材20A側に形成され、下半部が第2ハウジング部材20B側に形成されている。
【0023】
また、各弁孔25に対応する上記2つの出力ポート24A,24Bのうち、一方の第1出力ポート24Aが、上記連通孔24aと共に上方の第1ハウジング部材20A側に設けられ、他方の第2出力ポート24Bが、上記連通孔24bと共に下方の第2ハウジング部材20B側に設けられている。
さらに、上記ハウジングに形成された2つの連結孔6,6のうち、一方の連結孔6が第1ハウジング部材20Aに形成され、他方の連結孔6が第2ハウジング部材20Bに形成されている。
【0024】
上記各弁孔25及び連接通孔P,EA,EB及び独立通孔A,Bの2分割された上半部と下半部には、上記両ハウジング部材20A,20Bを相互に接合する前に必要な仕上げ加工が施され、そのあとこれらのハウジング部材20A,20Bを接合することにより、高精度に仕上げられた完全な形の上記弁孔25と各連接通孔P,EA,EB及び独立通孔A,Bが形成されている。この場合、上記複数の弁孔25と各連接通孔P,EA,EB及び独立通孔A,Bとを、共通の分割面で2分割されるような位置関係に形成したことにより、それらの孔形状が互いに異なっていても、それらの孔面の仕上げ加工を簡単にしかも精度良く行うことができる。
【0025】
上記第1ハウジング部材20Aと第2ハウジング部材20Bとは、それらを精度良く接合するため、互いの接合面に介在する凸部と凹部との係止によって位置決めされ、その状態で相互に接合されている。図6に示す例では、第2ハウジング部材20Bの接合面の四隅に略L字形の凸部28が形成され、第1ハウジング部材20Aの接合面の四隅に、この凸部28が嵌合する略L字形の凹部29が形成されている。
【0026】
しかし、図7に示すように、両ハウジング部材20A,20Bの接合面の互いに相対する位置にそれぞれ孔状の凹部30,30を形成し、これらの凹部30,30内に短円柱のピンなどからなる凸部31を係止させることによって両ハウジング部材20A,20Bを位置決めすることもできる。
【0027】
このように、複数の弁孔25と複数の連接通孔P,EA,EB及び独立通孔A,Bを有するハウジング20を、これらの各孔をそれぞれ2分割する位置で2つのハウジング部材20A,20Bに分割し、これら両ハウジング部材20A,20Bを互いに接合、一体化して形成するようにしたことにより、上記各孔を同時に形成して仕上げ加工することができるため、複数の弁孔25だけでなく、複数の連接通孔P,EA,EB及び独立通孔A,Bを含めた孔全体の加工性と加工精度とが改善される。
また、各弁孔25に対応する2つの独立通孔A,Bと2つの出力ポート24A,24Bとを、第1ハウジング部材20A側と第2ハウジング部材20B側とに分けて形成することができるため、これらの独立通孔A,B及び出力ポート24A,24Bの形成も容易になる。上記連結孔6,6についても同様である。
【0028】
上記ハウジング20の前端面には、上記弁孔25の端部を覆って閉鎖する端部プレート35が、シール部材36を介して取り付けられ、この端部プレート35と上記スプール22の一端の受圧面22aと間に、該受圧面22aにパイロット流体圧を作用させるための第1圧力室37が形成されている。この端部プレート35は、2つのハウジング部材20A,20Bと全ての弁孔25とに跨る大きさを有するもので、両ハウジング部材20A,20Bにねじ24で固定されている。また、この端部プレート35は、上記各出力ポート24A,24Bに管継手40を取り付けるための継手ホルダーも兼ねている。即ち、該端部プレート35の上下両端縁には、上記弁孔25の数に対応する複数の円弧状をした凹部35aがそれぞれ形成され、これらの凹部35aの周縁部を管継手40の外周の係止溝40aに係合させることにより、該管継手40が各出力ポート24A,24Bに取り付けられた状態に保持されている。
【0029】
また、上記スプール22の内部には、上記受圧面22a側の端部から中間位置まで延びる内孔22bが設けられると共に、この内孔22bが、スプール22の外周に開口する導圧孔22cによって上記供給用の連接通孔Pに連通しており、これにより、該連接通孔Pからの圧力流体が上記第1圧力室37に常時導かれるようになっている。
【0030】
上記ハウジング20には、第2ハウジング部材20Bにおける上記弁孔25よりも底部寄りの位置に、該ハウジング20の後端部側に向けて延出するベース状の張出部20bが設けられると共に、該第2ハウジング部材20Bを両連接面20a,20a方向に貫通する中空部41が形成されており、この中空部41は、上記張出部20bの内部まで延びている。
【0031】
そして、上記張出部20bの上部においてハウジング20の後端面には、上記各弁孔25と対応する位置にそれぞれ、上記第1ハウジング部材20Aと第2ハウジング部材20Bとに跨って当接するピストンプレート43が取り付けられている。各ピストンプレート43の内部には、上記スプール22を駆動するためのピストン44と、該ピストン44にパイロット流体圧を作用させるための第2圧力室38とがそれぞれ形成されると共に、手動操作機構45が内蔵され、この手動操作機構45を経由して上記第2圧力室38が、パイロット弁23と上記供給用の連接通孔Pとに連通している。
【0032】
上記ピストン44は、上記スプール22の受圧面22aより大径に形成することによって受圧面積を該受圧面22aより大きくしたもので、上記パイロット弁23から第2圧力室38にパイロット流体が供給されると、該ピストン44が前進し、上記スプール22を図3の第1切換位置に移動させる。また、上記第2圧力室38のパイロット流体が排出されると、上記スプール22の受圧面22aに常時作用している流体圧の作用力で該スプール22が押され、反対側の第2切換位置に移動する。
【0033】
また、上記手動操作機構45は、上記パイロット弁23による操作状態を手動操作で再現させるもので、流路切換用の弁棒45aを有し、この弁棒45aを押し下げたとき上記第2圧力室38が、供給用の連接通孔Pに直接連通するものである。
【0034】
上記第2ハウジング部材20Bにおける張出部20bの内部には、ハウジング20の幅方向に延びるレール状のソケット取付部50が形成されていて、パイロット弁23に対応する数のソケット51が、その基端部の取付台54をこのソケット取付部50の係止溝50a内に嵌合、係止させることにより取り付けられている。また、上記張出部20bの端面には、各ソケット51に対応する位置に、パイロット操作部16のスペーサ61に形成された差込部70を差し込むための電気接続口52が形成されている。
【0035】
上記ソケット51は、図8に示すように、複数の端子孔53aを前端面に有する矩形のブロック形をしたソケット本体53と、このソケット本体53の基端部に取り付けられた上記取付台54とからなっている。該取付台54は、横方向長さがソケット本体53の横幅よりも長く形成されていて、その前面中央位置にこのソケット本体53が取り付けられており、このソケット本体53の背面からは、上記各端子孔53a内の端子に通じる複数のリード線55が取付台54を通して延出し、上記中空部41を通じて上記給電ブロック5の給電用コネクタ10に接続されるようになっている。
【0036】
また、上記取付台54の背面両端部には、該取付台の縦幅(高さ)全体にわたって延びる脚部54a,54bがそれぞれ形成されていて、一方の脚部54aの外側面に係止用の突起54cが形成されると共に、他方の脚部54bに該突起と同形の切り欠き54dが形成されており、これらの突起54cと切り欠き54dとを、隣接するソケット51の取付台54の切り欠き54dと突起54cとに順次嵌合させることにより、複数のソケット51が互いに係止した状態に連なって設置されている。
【0037】
しかし、上記ソケット51は、複数個を一体に形成し、一体のまま使用することもできる。図示した3連式の電磁弁1Aの場合には、3個のソケット51が一体に形成されることになる。この場合、上記取付台54は、複数個分が一体に連なった状態に形成され、両端に位置する2つの脚部54a,54bに上記突起54cと切り欠き54dとが形成される。
あるいは、複数個のソケット51を一体に形成しておき、それを個々に切り離すかあるいは必要数連なった状態に切り離し、使用することもできる。この場合には、上記突起54cと切り欠き54dが形成されないこともあり得る。
【0038】
なお、上述した例では、各ソケット51をリード線55によって給電用コネクタ10に接続するようにしているが、図9に示すように、各ソケット51をプリント配線基板57に取り付け、この基板57をハウジング20の中空部41内に設置し、この基板57を介して各ソケット51を給電用コネクタ10に接続するように構成することもできる。この場合、上記基板57の両端に連接用のコネクタ58を取り付け、このコネクタ58が、隣接する電磁弁1A,1Bや給排気ブロック2等に内蔵された基板の連接用コネクタと順次電気接続されるように構成することが望ましい。また、このようにソケット51を基板57に取り付ける場合、図8に示すような取付台54は省略することができる。
【0039】
上記パイロット操作部16は、略L字形をなす中空箱形のアダプタ60に上記パイロット弁23を搭載したもので、該アダプタ60の開放する前端面にはスペーサ61が設けられ、このスペーサ61を介して該アダプタ60が、上記主弁部15の後端部に連結されている。図示した例では、上記アダプタ60とスペーサ61とピストンプレート43が、それらを貫通する複数のボルト62を両ハウジング部材20A,20Bの端面のねじ孔63に螺着することにより、上記ハウジング20に共締め状態に固定されており、そのあと上記アダプタ60にパイロット弁23がねじ64で固定されている。
上記アダプタ60とパイロット弁23とスペーサ61とピストンプレート43は、上記主弁部15に内蔵されている切換機構の数(従ってスプール22の数)と同じ数だけ設けられている。
【0040】
上記アダプタ60の内部には、複数のプリント配線基板66,67が収容されている。これらの基板66,67は相互に電気接続されていて、それぞれに必要な電子部品68が搭載されている。このうち一方の基板66は、パイロット弁23の励磁コイルに電気接続されると共に、下端部に給電用の複数の接続端子69を有し、この接続端子69が、スペーサ61の下端部に形成された筒状の上記差込部70内に突出している。
【0041】
上記スペーサ61は、張出部20bとピストンプレート43との両方に跨るように当接し、このスペーサ61とアダプタ60との内部に、上記パイロット弁23とピストンプレート43とを結ぶパイロット供給流路46とパイロット出力流路47及びパイロット排出流路48が形成されている。このうちパイロット供給流路46は、上記手動操作機構45を経由して供給用の連接通孔Pに連通し、パイロット出力流路47は、上記手動操作機構45を経由して第2圧力室38に連通し、パイロット排出流路48は、図示を省略したパイロット排出ポートに連通している。
【0042】
また、上記スペーサ61の下端部には、上記張出部20bの電気接続口52内に嵌合する上記差込部70が形成され、この差込部70内に上記接続端子69が延出しており、該スペーサ61を上記張出部20b及びピストンプレート43の端面に取り付けると、上記差込部70が電気接続口52に嵌合し、接続端子69がソケット51の端子孔53aに挿入されて電気接続されるようになっている。
【0043】
さらに、上記主弁部15のハウジング20には、一方の接合面20aの上端部近くに係止突起72が形成されると共に、他方の接合面20aの該係止突起72と対応する位置に係止孔73が形成されていて、図1のように複数の電磁弁を連接するときに、これらの係止突起72と係止孔73とが隣接する電磁弁の係止孔と係止突起とに係合することによって位置決めされるように構成されている。
【0044】
このように形成された多連式のマニホールド形電磁弁1Aにおいて、図3は、パイロット弁23に通電したときの切換状態を示している。この状態では、第2圧力室38にパイロット流体が供給されてピストン44が駆動され、スプール22が第1切換位置に移動しているため、供給用の連接通孔Pと出力用の第1独立通孔Aとが連通して第1出力ポート24Aから圧力流体が出力されると共に、出力用の第2独立通孔Bと排出用の第2連接通孔EBとが連通して第2出力ポート24Bの圧力流体は外部に排出されている。
【0045】
上記パイロット弁23の通電を断つと、上記第2圧力室38が外部に開放されてパイロット流体が排出されるため、上記スプール22の受圧面22aに常時作用している第1圧力室37内の流体圧の作用により該スプール22が押され、反対側の第2切換位置に移動する。このため、供給用の連接通孔Pと出力用の第2独立通孔Bとが連通して第2出力ポート24Bから圧力流体が出力されると共に、出力用の第1独立通孔Aと排出用の第1連接通孔EAとが連通して第1出力ポート24Aの圧力流体は外部に排出される。
【0046】
上記複数のパイロット弁23は、個々に選択的に操作されるが、その操作のタイミングは任意であり、複数を同時に操作することもできる。
【0047】
また、上記電磁弁1Aのハウジング20は、2つのハウジング部材20A,20Bをはんだ付け等の方法で接合することにより形成されているが、これら2つのハウジング部材20A,20Bには、上記端部プレート35と各ピストンプレート43とが両ハウジング部材に跨るように配置され、両方のハウジング部材に固定されているため、これらの各プレート35,43が、両ハウジング部材にそれらを分離させる方向へ作用する外力に対して補強の役目を果たし、接合強度が高められる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係る多連式マニホールド形電磁弁を複数使用して構成した電磁弁アセンブリの斜視図である。
【図2】図1の電磁弁アセンブリを分解して示す斜視図である。
【図3】本発明に係る多連式マニホールド形電磁弁の断面図である。
【図4】図3の電磁弁を一部を切り離して示す斜視図である。
【図5】図4の電磁弁をさらに分解して示す斜視図である。
【図6】接合形ハウジングの構成例を示す組立前の斜視図である。
【図7】接合形ハウジングの他の構成例を示す組立前の斜視図である。
【図8】ソケットの斜視図である。
【図9】ソケットの他の構成例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0049】
1A,1B 電磁弁
20 ハウジング
20A 第1ハウジング部材
20B 第2ハウジング部材
20a 連接面
20b 張出部
22 スプール
23 パイロット弁
24A 第1出力ポート
24B 第2出力ポート
25 弁孔
28,31 凸部
29,30 凹部
37,38 圧力室
43 ピストンプレート
44 ピストン
51 ソケット
52 電気接続口
60 アダプタ
61 スペーサ
69 接続端子
70 差込部
72 係止突起
73 係止孔
P,EA,EB 連接通孔
A 第1独立通孔
B 第2独立通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両側面に他の電磁弁を連接するための連接面を備えたハウジングと、このハウジングの内部に並列に設けられた複数の弁孔と、これらの弁孔を横切る方向に延びて該ハウジングを貫通すると共に全ての弁孔に連通しかつ両端に上記連接面に開口する連接口を備えた供給用及び排出用の連接通孔と、上記各弁孔に個別に連通して出力ポートに通じる独立通孔と、上記各弁孔内に摺動自在に収容されたスプールと、これらのスプールを操作する複数の電磁操作式パイロット弁とを有し、
上記ハウジングが、上記複数の弁孔と各連接通孔とをそれぞれ上下に2分する位置で分割された上側の第1ハウジング部材と下側の第2ハウジング部材とからなっていて、これら両ハウジング部材を互いに接合、一体化することにより形成されていることを特徴とする多連式マニホールド形電磁弁。
【請求項2】
上記各連接通孔が、孔長方向及び孔高方向に一定の孔幅を有すると共に、該孔幅より孔高が大きい縦長の断面形状を有し、かつその孔高は上記弁孔の直径より大きく形成されており、また、上記連接口が、該連接通孔と同じ形状及び大きさに形成されていることを特徴とする請求項1に記載のマニホールド形電磁弁。
【請求項3】
上記各弁孔がそれぞれ2つの独立通孔と2つの出力ポートとを有していて、一方の第1独立通孔と第1出力ポートとが第1ハウジング部材に設けられ、他方の第2独立通孔と第2出力ポートとが第2ハウジング部材に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のマニホールド形電磁弁。
【請求項4】
上記第1ハウジング部材と第2ハウジング部材とが、互いの接合面に介在する凸部と凹部との係止によって位置決めされており、また、ハウジングの両連接面に、連接される他の電磁弁の係止孔と係止突起とに係合する位置決め用の係止突起と係止孔とが設けられていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のマニホールド形電磁弁。
【請求項5】
上記第2ハウジング部材が、上記弁孔よりも底部寄りの位置に、上記ハウジングの後端面方向に延出するベース状の張出部を有していて、該張出部の端面に複数の電気接続口が並べて設けられると共に、各電気接続口内にそれぞれソケットが配設されており、
また、上記張出部の上部においてハウジングの後端面には、第1ハウジング部材と第2ハウジング部材とに跨って当接するピストンプレートが取り付けられ、該ピストンプレートの内部に、上記スプールを駆動するためのピストンと、該ピストンにパイロット流体圧を作用させるための圧力室とが形成されており、
さらに、上記張出部とピストンプレートとの端面には、これらの張出部とピストンプレートとの両方に跨って当接するスペーサを介してアダプタが取り付けられると共に、該アダプタに上記パイロット弁が搭載され、上記スペーサには、上記パイロット弁に電気接続された接続端子を有する差込部が形成されていて、この差込部が上記張出部の電気接続口に差し込まれることによって上記接続端子がソケットに電気接続されている、
ことを特徴とする請求項1から4の何れかに記載のマニホールド形電磁弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−349042(P2006−349042A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−175477(P2005−175477)
【出願日】平成17年6月15日(2005.6.15)
【出願人】(000102511)SMC株式会社 (344)
【Fターム(参考)】